第二次OG後のIFSSです。
一部設定を変えている所があります。
エロ注意の予定です。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424873263
アダマトロンとの決戦からしばらく経った頃のお話。
ATXチームのある日の出来事......。
日本某所、訓練施設。
シミュレーションルーム内。
キョウスケ「仕掛けるぞ、アリエイル!」
アリエイル「了解です、キョウスケ中尉」
キョウスケ(連携戦闘の訓練......。日に日にレベルが上がっているな、アリエイル。流石だ。なら!!)カチッ
アリエイル(......!いつもより踏み込みの速度が速い!なら、タイミングをずらして......)
キョウスケ(......!これにも合わせるか!末恐ろしいセンスだな......)
アリエイル(あのピーキーな機体を手足の様に操るなんて。凄い......)
エクセレン「あららぁん?今日も張り切ってるわねぇん、2人とも」
ブリット「ええ、本当に。日に日に息が合っていくようですね」
エクセレン「キョウスケが凄いのは勿論として、アリエイルちゃんのセンスは流石ねぇ」
ブリット「ええ。でも、良いんですか?」
エクセレン「何が?」
ブリット「いえ、最近中尉と少尉が連携戦闘の訓練をしているのを見ていないので......」
エクセレン「それは心配御無用よん?訓練なんてしなくても、お姉さんとキョウスケは息ピッタリなんだから」ギュッ
ブリット「しょ、少尉っ!胸を押し付けるのは止めて下さいっ!」ドキッ
エクセレン「大人をからかうとバチが当たるのよ?」ギュッ
ブリット「べ、別にからかった訳じゃ......」
エクセレン(でも、確かに最近キョウスケと訓練所かデートすらしてないのよねぇ......。アリエイルちゃんが正式にATXチームに入ったから、張り切ってるのは分かるけど......。ちょっぴり妬けるわね)
キョウスケ(通信機ぐらい切っておけ、丸聞こえだ。とにかく......)
キョウスケ「仕上げだ、アリエイル!!」
アリエイル「了解!フォースレイ!!」
ドォォォン......
【ターゲット撃破。シミュレーション終了。パイロットは、シミュレーターから出て下さい】
キョウスケ「ふぅ......」
アリエイル「お疲れさまでした、キョウスケ中尉」
キョウスケ「そっちこそな。急にタイミングをずらしたのに付き合わせてすまなかった」
アリエイル「いえ、あの機体をあそこまで自在にコントロール出来る......。流石だと思いました」
キョウスケ「流石なのはお前の方だ。このまま腕を磨けば、俺など敵わなくなるだろうな」
アリエイル「そんな!とんでもありません!私ではエクセレン少尉の様に上手く合わせられないので......。いつも申し訳無く思っています」
キョウスケ「何を言う。お前のお陰でアルトの戦闘パターンにも幅が出る。感謝している」
アリエイル「中尉......。ありがとうございます」
アリエイル(私の様な者にここまで心ある言葉を掛けて下さるなんて......。本当にありがたいわ)
本日はここまでです。
明日更新予定です。
キョウスケ「とにかく、今日はこれで終わりだ。この後は非番だ、ゆっくり休め」
アリエイル「はい、わかりました」
アリエイル(残念だわ、もう終わってしまうなんて......)
アリエイル(......残念?何故?訓練が物足りないから?)
アリエイル(......私、何を考えているのかしら)
アリエイル(これ程自分の思考が理解出来ないのは初めてだわ......)
キョウスケ「どうした?」
アリエイル「は?あ、いえ?何でもありません!」
キョウスケ「体調が悪いのか?ワン博士のお陰で身体の問題は解決したが、手術から日も浅いからな。まだ体力が戻ってないんじゃないか?」
アリエイル「い、いえ。そんな事は」
キョウスケ「いや、無理をさせてすまなかった。少し無神経だった。部屋まで送ろう」
アリエイル「え?だ、大丈夫です!中尉の手を煩わせる訳には」
キョウスケ「構わん。どうせすぐそこだ。大事があっては困るからな」
アリエイル「は、はい」
キョウスケ「じゃあ行こう。早めに休んだ方が良い」
アリエイル「分かりました、ありがとうございます」
アリエイル(やった......)
アリエイル(......「やった」?何を考えてるの?私は)
アリエイル(何も異常は無いのに中尉に迷惑を掛けて喜ぶなんて......)
アリエイル(何故なの......?)
ブリット「いい加減離して下さいよ、少尉!」
エクセレン「ダーメ、謝るまでオシオキしちゃうわよん?」ギュッ
ブリット「だから何を謝るんですか!?」
ブリット(くっ、こんな所クスハに見られたら後でどうなるか......)
キョウスケ「......何をしてるんだ」
エクセレン「あら、お二人様。遅かったわね」
アリエイル「申し訳ありません」
キョウスケ「謝る必要はないぞ、アリエイル。お前達、待ち時間とは言え訓練中なら少しは真面目にしろ。通信機から間抜けな会話が丸聞こえだったぞ」
ブリット「い、いえその......。申し訳ありません」
キョウスケ「まあブリットは良い。エクセレン」
エクセレン「はい?」
キョウスケ「上官なら少しは威厳のある所を見せたらどうだ?おふざけはオフの時だけにしろ」
エクセレン「あーら?相変わらずお堅いわねぇ?通信機から聞こえたなら、あれが愛のこもったメッセージと分かるはずよん?」
アリエイル(愛......)
キョウスケ「......訓練中は真面目にしてくれる方が、俺に取ってはありがたいがな。その方が余程愛情を感じる」
アリエイル(......愛情)
エクセレン「ホントにつれないわねぇ......」
キョウスケ「とにかく、俺はアリエイルを部屋まで送る。お前達はシミュレーション戦闘のノルマを終わらせておけ」
エクセレン「あら?具合悪いの?」
アリエイル「いえその......」
キョウスケ「大事をとってな。とにかく、戻るまで頼む」
ブリット「了解しました!」
エクセレン「......」
キョウスケ「何をむくれている」
エクセレン「べーつーにー?」
キョウスケ「......まあ良い。行くぞ、アリエイル」
アリエイル「はい」
アリエイル(......エクセレン少尉は何故不機嫌になったのだろう)
アリエイル(中尉が私を送ると言ってから)
アリエイル(何か、悪い事をしてしまったのかしら......)
ブリット「どうしたんですか?少尉?」
エクセレン「何でも無いわよぉ?さ、始めましょ!私に負けたら罰ゲームよん?」
ブリット「え?今日はタッグでの連携戦闘の訓練ですよね?」
エクセレン「良いから良いから、さ、早くぅ!」
ブリット「は、はい......」
エクセレン(......やぁね、私。ヤキモチかしら?)
エクセレン(でも、構われないと寂しいの位は分かって欲しいのよねぇ......)
エクセレン(まぁ、キョウスケに過剰な期待をするのが間違いよねぇ。そう言う無愛想な所が魅力みたいなものだし)ニヤッ
ブリット(......少尉の表情が変わりやすいのはいつもの事だけど、今日は特にだな)
ブリット(まあ、きっと中尉絡みなんだろうけど。板挟みの身にもなって欲しいな......。早く戻って来ないかな、中尉)
アリエイル「......」スタスタ
キョウスケ「......」スタスタ
アリエイル(......中尉が送って下さってるのに、何を話したら良いのか分からない......)
アリエイル(......こう言う時、自分の出自を少し恨めしく思う)
アリエイル(私が普通だったなら、もっと普通に話せたの......?)
キョウスケ「......どうした?」
アリエイル「え?」
キョウスケ「今日は思い詰めた様な表情をしている時間が多い様だが」
アリエイル「い、いえ」
アリエイル(中尉に変な心配を掛ける訳には......。何か話題を......)
アリエイル「あ、あの中尉」
キョウスケ「何だ?」
アリエイル「先程、通信について少尉とお話されていましたが......。エクセレン少尉は何を話されていたのですか?私は外部周波数はカットしていたので、中尉以外の会話は聞こえませんでしたので......」
キョウスケ「......それが気になるのか?」
アリエイル「ええ、とても」
アリエイル(とても?何故そんな事を?)
キョウスケ「......只の馬鹿話だ。気にするな」
アリエイル「馬鹿話、ですか」
キョウスケ「......?何か勘に障ったか?」
アリエイル「いえ、そうではありませんが......。私は生まれが生まれですから今まであまり普通の会話と言うのに馴染みが無くて」
キョウスケ「......」
アリエイル「ですから、気の利いた事も言えず少なからず皆さんに嫌な思いをさせているのではないかと......」
キョウスケ「そんな事は無い。お前がいる事で不快になる者など有りはしない」
アリエイル「そうでしょうか......」
キョウスケ「......お前が自分の生まれを気にするのも解る。俺も、多少は人ならざるモノと関わって来た身だからな」
アリエイル(人ならざるモノ。アインスト......)
キョウスケ「だが、そうしたモノを乗り越えて俺達は仲間になった。その仲間にそんなつまらない事で不快に思う事など無い」
アリエイル「仲間......」
キョウスケ「そう。俺達は仲間でありATXチームのメンバーであると言う強い繋がりがある。それを忘れるな」
キョウスケ「人付き合いや会話など、時間を経て慣れるものだ。焦る気持ちも解るが、少しずつ習得して行く事だ」
アリエイル「......ありがとうございます、中尉」ニコッ
キョウスケ「......ようやく笑顔を見せたな」
アリエイル「え?」
キョウスケ「その笑顔さえあれば、お前は大丈夫だ」
アリエイル「......はい」ニコッ
アリエイル(......何だろう、この気持ちは)
アリエイル(意識せず顔が笑ってしまう)
アリエイル(この温かい不思議な気持ちは......)
キョウスケ「......そろそろだな」
アリエイル「え?」
キョウスケ「お前の部屋までもうすぐだ。今日は何も考えず休むと良い」
アリエイル「は、はい」
アリエイル(もう部屋に着いてしまう。もう少し中尉とお話したかったのに......)
アリエイル(......何を?特に目的も無いのに話したいなんて)
アリエイル(本当に変だわ......)フラッ
キョウスケ「......!危ない!」
アリエイル「え?」
ガッ......
アリエイル(しまっ......!足が段差に......)
ガシッ
アリエイル「え?」
キョウスケ「大丈夫か?」
アリエイル「は、はい......」
ドクンッ......
アリエイル「......!!」
キョウスケ「どうした?顔が赤いぞ?フラフラ歩いてたし、熱があるんじゃ」
アリエイル「い、いえ。申し訳ありませんでした。大丈夫です。ちょっと不注意でした。もう1人で行けますので」
キョウスケ「しかし......」
アリエイル「本当に大丈夫ですから。ありがとうございました。では......」スタスタ
キョウスケ「あ、ああ」
キョウスケ「......どうしたんだ?一体」
アリエイル(......何なの?あれは?)
アリエイル(転んだ所を中尉に抱き留められた時の、あの胸の高鳴り......)
アリエイル(今も下がらないこの熱......)
アリエイル(どうしてしまったの?私は)
アリエイル(......この気持ち。ドゥバンに感じた様な......。でもそれよりもっとハッキリした熱く激しいこの感情は一体何なの?) ドクンッ
アリエイル(中尉......)
アリエイル(どうして?頭から中尉の事が離れない)
アリエイル(中尉の声が耳から消えない)
アリエイル(病気、なのかしら。本当に)
アリエイル(でも、何の......?)
アリエイル(キョウスケ中尉......)
エクセレン「わおわおーん!!」ドンッドンッ
ドーンッ......
ブリット「うわぁぁああ!!」
「プレイヤーB、大破。シミュレーション終了。パイロットは、シミュレーターから出て下さい」
エクセレン「んふふ~、これで私の3連勝!まだまだ修行が足りないわねぇ」
ブリット「め、面目ありません......」
エクセレン「まあ、新しい機体データだから無理も無いわねぇ。でもまだまだ詰めが甘いわよん?それじゃあお姉さんには当てられなーい。いくらブリット君の熱い気持ちを込めてもねん」
ブリット「はい......」
ブリット(3戦して1度も当てられなかった......。いくら不馴れな機体データとは言え、やはり少尉のテクニックは凄い......)
ブリット(......いつも以上に執拗に攻められた気がするのは俺の勘違いだろうか)
キョウスケ「終わった様だな」
ブリット「あ、キョウスケ中尉。お疲れさまです!」
エクセレン「遅かったわねぇ?もう少し早ければ私の華麗な姿が見られたのにぃ」
キョウスケ「だったら対等な条件の元に闘うんだな。不馴れな新型機のブリットを苛めても腕の証明にはならん」
エクセレン「......少しは褒めるって事を知らないのかしら?」
キョウスケ「お前は褒めると調子に乗るからな。ちょっとやそっとでは褒められん」
エクセレン「ホントに可愛いげが無いわねぇ。あ、アリエイルちゃんは?大丈夫なの?」
キョウスケ「ああ。少し様子がおかしい。熱があるのかも知れん」
ブリット「あ、ならクスハに頼んで見てもらいましょうか?もうすぐ外出から帰って来ると思いますし」
キョウスケ「済まん。頼む。俺はこの後エクセレンと艦長の所へ行かなくてはならないからな」
エクセレン「あら?何かあったかしら?」
キョウスケ「お前な......」
ブリット「明日お2人の昇任式があるから、その話し合いがあるとこの間おっしゃっていたじゃないですか。キョウスケ中尉は大尉に、エクセレン少尉は中尉になられると」
エクセレン「あら、そうだったかしら?」
キョウスケ「......階級に対する頓着は兎も角、粗相をすれば艦長に迷惑が掛かる。しっかりしろ」
エクセレン「はいはい。偉くなっても良いこと無いし、あんまり実感湧かないのよねぇ」
ブリット「でも、嬉しいですよ!お2人の功績が認められたって事ですから」
キョウスケ「まあ、あくまで形式的なものだ。喜んでくれるのはありがたいが、大仰にならないようにな」
ブリット「はい、わかりました!」
キョウスケ「では、クスハの件は頼む。終わったらお前も休んでくれ」
エクセレン「アフターワークはクスハちゃんと楽しんでらっしゃいな」ニヤッ
ブリット「ちょっ、エクセレン少尉!!」
キョウスケ「......行くぞ」
エクセレン「はぁい。じゃ、ブリット君。オシオキはまたね♪」
ブリット(だから何をする気なんだ......)
エクセレン「やーっと2人きりになれたわね?」ニコッ
キョウスケ「生憎だがそんな時間は無いぞ。艦長との打ち合わせの後は新型アルトとヴァイスのプランについての話し合いだからな」
エクセレン「あー、あったわねぇ......。今更ヴァイスちゃんの新型造る意味あるのかしらん?」
キョウスケ「純粋な地球製の技術でライン・ヴァイスリッターを越えたいと言うのが博士の意向だ。汲むべきだと思うが」
エクセレン「それは分かるけど、アルトちゃんは?これ以上バクチ性の高い機体にするつもり?」
キョウスケ「性能が向上するなら越した事は無い。後はそれを乗りこなす訓練をするだけだ」
エクセレン「訓練ねぇ......」
キョウスケ「何だ、その表情は。さっきから」
エクセレン「別にぃ?ただ、最近アリエイルちゃんとばかりで私とは訓練してくれないからー?誰かさんがね?」
キョウスケ「......それで拗ねているのか」
エクセレン「悪い?」
キョウスケ「......言葉にならんな」
エクセレン「またそうやってバカにするのかしら?ヒドイわねぇ......」
キョウスケ「いや、そうじゃない。お前とは訓練の必要は無い。しなくてもお前の心は解るからな」
エクセレン「!!」
キョウスケ「まあ、しなくても良いと言うのは語弊があるが。お前とは何も特別な事をしなくても合わせられる。だが、アリエイルとは付き合いが浅い。だから息を合わせる為に訓練を重ねる必要がある。それだけだ」
エクセレン「......」
キョウスケ「そんな当たり前の事も分からず拗ねているのなら、それこそ呆れるしか無いがな」
エクセレン「分かってはいるわよ。ただぁ......」
キョウスケ「何だ?」
エクセレン「なーんでもない」ギュッ
キョウスケ「おい、職務中だと言っただろう」
エクセレン「いいじゃない?ちょっと位は」
キョウスケ「......好きにしろ」
エクセレン(そうやって不器用でも言葉にしてくれるなら、いちいち不機嫌にならないのよね。って言おうとしたけど)
エクセレン(もう良いわ。さっきの言葉でしばらく我慢出来そうだから)
エクセレン(......そう言えばアリエイルちゃん。大丈夫かしらん?気になるのよね)
エクセレン(何か、良くない予感が......。気のせいかしら......)
キョウスケ「......エクセレン」
エクセレン「へっ?あ、何?」
キョウスケ「もうすぐ艦長室だ。離れろ」
エクセレン「はいはい、ホントにドライねぇ?」
キョウスケ「......今晩食事位は付き合ってやる。だから職務中は我慢しろ」
エクセレン「......!了解っ♪」
エクセレン(ま、気にしすぎよね。さ、お仕事お仕事っと)
アリエイル(......眠れない)
アリエイル(あれから落ち着かなくて眠れない)
アリエイル(......まだ腕の感触が残ってる。キョウスケ中尉の)
アリエイル(......何故?)
コンコン
アリエイル「(?)どうぞ」
クスハ「失礼します」
アリエイル「クスハ少尉?どうしました?」
クスハ「あ、ブリット君から具合が悪いって聞いて。ちょっと様子を見に」
アリエイル「そうですか、申し訳ありません」
クスハ「気にしないで下さい。好きでやってる事ですから!」ニコッ
アリエイル「ありがとうございます」
クスハ「食事も持って来ました。少しでも口に入れて下さいね」
アリエイル「ありがとうございます......?!あ、あの......」
クスハ「はい?」
アリエイル「あ、あの。その、例のドリンクは......」
クスハ「あ、今日は持って来てないんです。ブリット君に止められちゃって。却って精がつきすぎるからって」
アリエイル「そうですか......(良かった......)」
クスハ「具合、どうですか?」
アリエイル「ええ、大丈夫。心配ありません」
クスハ「なら良かった。中尉が心配する位だから余程酷い状態なのかと心配しました」
アリエイル(中尉......!!)ドキッ
クスハ「アリエイルさん、大丈夫ですか?」
アリエイル「え?」
クスハ「顔が赤いですよ?熱があるんじゃ?」
アリエイル「な、何でもありませんっ」
クスハ「そ、そうですか?」
アリエイル「はい、大丈夫です!中尉とは関係ありません!」
クスハ「え?」
アリエイル「......?!あ、いえ!何でも無いんです!」
アリエイル(何を口走ってるの?私......)
クスハ「でも、元気そうで良かったです。ゆっくり休んで下さいね」
アリエイル「ええ、ありがとう......。あっ」
クスハ「?何か?」
アリエイル「え、あの......」
アリエイル(何故呼び止めたの?でも......)
アリエイル「あの、ちょっとお伺いしたい事が」
クスハ「私にですか?」
アリエイル「ええ、少し」
アリエイル(......この人なら、分かるかも知れない。今の私の状態が)
クスハ「あ、あの。私に答えられる事なら」
アリエイル「ありがとうございます。ではお伺いします。クスハ少尉」
クスハ「は、はい」
クスハ(凄く真剣な表情......。いつもアリエイルさんは真面目だけど、より真剣な顔)
アリエイル「少尉は、とある特定の人の事が頭から離れない時がありますか?」
クスハ「えっ?!」
アリエイル「特定の人の事が頭から離れなくて、その人の事を考えると頭の芯がボーッとする様になって......」
アリエイル「身体が熱くなって、胸の高鳴りが止まらない時がありますか?」
クスハ「え、え......っと」
クスハ(え、それって......。誰かに......。恋してるって事......?アリエイルさん、が?)
クスハ「......」
アリエイル「クスハ少尉?」
クスハ「あ、えっとごめんなさい。その......」
クスハ(アリエイルさん、真面目な性格だし下手に色々遠回しにしても混乱してしまいそう)
クスハ(ここはハッキリ言った方が......)
クスハ「えっと、アリエイルさん」
アリエイル「はい」
クスハ「それは多分、恋だと思います」
アリエイル「こ、い?」
アリエイル「それはその、つまり......」
アリエイル「キョウスケ中尉とエクセレン少尉の様に......。特定の異性に対する強い好意を抱いている、と言う事ですか?」
クスハ「はい。恐らくは」
アリエイル(恋......?私が、恋?)
アリエイル(そんな、そんなバカな事が......?)
クスハ「ごめんなさい、その、そう言う気持ちを私が感じた事があるか聞かれてるのに変な答え方をしてしまって」
アリエイル「いえ......。でも、答えて下さったと言う事は少尉も」
クスハ「ええ、感じた事があります。いえ......」
クスハ「感じて、います」
アリエイル「......!」
クスハ「アリエイルさんの言う、胸が熱くなる気持ちを。胸の高鳴りを。今も感じています」
アリエイル「それは、何故感じる様に?」
クスハ「何故、と言われると難しいけれど......」
クスハ「その人は、とっても真っ直ぐで真っ直ぐ過ぎてちょっと失敗しちゃう事もあるけど」
クスハ「とても温かで優しい人なんです」
クスハ「その人を見てる内、段々とその人のをずっと見てる内にその人が心の中に入って来と言うか......」
アリエイル「心の、中に......」
クスハ「ええ、ずっとその人が私の中にいる。そんな気持ちになるんです」
アリエイル「......」
クスハ「すみません、答えになって無いですね。何故、そうなってしまうかは分からないんです」
クスハ「自分でも、気付かない内になってしまっていたから」
アリエイル「......気付かない内に」
クスハ「ええ、知らない内にブリット君を」
アリエイル「......!」
クスハ「あっ!つい、口に......。まあ、分かりますよね。見ていたら」
アリエイル(......確かに、分かる。でも、そんな気持ちが私に?)
アリエイル(しかも、中尉相手に......?)
クスハ「すみません、結局却って混乱させてしまって」
アリエイル「いえ......。ありがとうございます」
アリエイル「......恋。ですか。そうなったら、どうしたら良いのでしょうか」
クスハ「......それは、とても難しい質問です。それこそ、答えが無いから」
アリエイル「答えが、無い?」
クスハ「ええ。正しいと思ってした事で却って相手を傷付けてしまう事もあるし、その逆もあるし」
クスハ「答えは、分からないんです」
アリエイル(......その気持ちを経験したクスハ少尉ですら分からないのなら、私はどうしたら)
クスハ「......ただ」
アリエイル「ただ?」
クスハ「今すぐ、では無くても自分の気持ちをハッキリ理解できたなら」
クスハ「その気持ちを伝えてあげると良いと思います」
アリエイル「気持ちを、相手に?」
クスハ「ええ、どんな形でも」
クスハ「伝えないより、伝えた方がきっと良いと私は思います」
クスハ「伝えても、相手に伝わるかは分からないけれど......」
アリエイル「......」
クスハ「......すみません、無責任な事を言って」
アリエイル「いえ、とても参考になります。ありがとうございます」
クスハ「お礼を言われる様な事は......。勝手な意見を言っただけで」
アリエイル「いえ。助かりました。私なりに考えてみます」
クスハ「分かりました。その、何て言うか......」
クスハ「頑張って、下さい」
アリエイル「......はい」
アリエイル(......私の気持ちを、理解する)
アリエイル(出来るの?私に......)
アリエイル(出来たとして、その気持ちを中尉に?)
アリエイル(......中尉に)ドクン
アリエイル(でもそれは......。エクセレン少尉と言う好意の対象のいる人に自分の好意を伝えると言う事)
アリエイル(許されるの?そんな事が?)
アリエイル(......元々ヒトとすら呼べない私に)
アリエイル(他者への好意を持つ事など許されるの?)
アリエイル(あなたがいたら何と言うのかしらね、ドゥバン......)
キョウスケ「......!」
レフィーナ「どうかしましたか?キョウスケ中尉?」
キョウスケ「いえ、申し訳ありません」
キョウスケ(何だ?何か感じた気がしたが)
レフィーナ「では、式は明日の正午と言う事で宜しいですね?」
キョウスケ「了解です」
エクセレン「口頭で済ませる訳には、いかないのよね」ボソッ
ショーン「それは難しいですな。式には今後の合同演習の打ち合わせも兼ねて教導隊の面々も出席する予定ですからな」
エクセレン「まあ、ラミアちゃんに会えるのは嬉しいんだけどね」
レフィーナ「そうですね。カイ少佐は遅れて参加されるそうですが」
エクセレン「あら、珍しいわねぇ?真っ先に参加しそうなヒトなのに?」
キョウスケ「......察しは付くがな」
エクセレン「あら、どうして?」
キョウスケ「......先日リュウセイからメールが来ていた。アラドが色々問題を起こしたので、しごかれているそうだ」
エクセレン「あ、なーる......」
エクセレン(それで遅れて来るのね。まあ、情報源はあっちからこっちねん。ンフフ......)
キョウスケ「......何をにやついている」
エクセレン「別にー」
ショーン「まあ、ヒゲのナイスミドルが被ってしまいますからな。致し方なしといたしましょう。式は私が進行を勤めます」
レフィーナ「宜しくお願いします。では、解散と致します」
キョウスケ「了解しました」
エクセレン「あ~、この後はヴァイスちゃんのウルトラスーパーメイクアップのお話ねん?」
キョウスケ「化粧をする訳じゃない。強化プランの話しだぞ」
エクセレン「だってぇ、ラインヴァイスちゃんはやっぱり見た目で損してる部分もあるしぃ?キレイにメイクアップされたヴァイスちゃんならより愛の力も引き出せるかもよん?」
キョウスケ「そんな飾り立てた機体で戦場にいたら的にされるだけだ。そんなのに乗るヤツの気がしれん」
エクセレン「......それはラミアちゃんに対して失礼だと思うわよん?」
キョウスケ「......とにかく、相手が相手だ。あまりバカなプランを打ち出さない事だな」
エクセレン(あの御方の場合、その方が喜びそうだけど)
レフィーナ「お2人共、相変わらず仲が宜しいですね」ニコッ
ショーン「全く。我が隊は仲睦まじい若人が多くて素晴らしい限りですな」ニコッ
キョウスケ「......失礼します」
レフィーナ「......キョウスケ中尉も相変わらずですね」
ショーン「まあ、お互い様と言う所ですな。所で、艦長の方はいかがなのですかな?」
レフィーナ「え?私は、あの......」カーッ
ショーン「......青春ですな」ニコッ
レフィーナ「......んん、とにかく。式の後のお祝いの席はお願いしますね」
ショーン「了解しました。何せこっそりやらないと。あの2人なら断りかねませんからな」
レフィーナ「ええ、内密に願います。少しでもあの2人に喜んでもらえれば良いのですが......」
ショーン「お任せ下さい。必ずやご期待に応えましょう」
レフィーナ「宜しく頼みます」
レフィーナ(......正直、ハガネクルーが来られないのは残念なのですが)
アリエイル「......んっ、ここは?」
アリエイル「私は、部屋で休んでいたはずでは」
アリエイル「一体、何故......?」
キョウスケ「......アリエイル」
アリエイル「......!キョウスケ中尉!」
キョウスケ「......」
アリエイル「お会い出来て良かった、状況が理解出来なくて。ここは一体......」
ガシッ
アリエイル「えっ?」
キョウスケ「......」
アリエイル「あ、あの、中尉?」
キョウスケ「......」ギュッ
アリエイル「ちゅ、中尉?!何を?!」ドキッ
キョウスケ「......」
アリエイル「ちゅ、中尉......。どうされたのですか?!」
アリエイル(な、何がどうなって?でも、でも)
アリエイル(とても温かい......)
キョウスケ「......アリエイル」
アリエイル「は、はい中尉」
キョウスケ「......俺は、お前を」
アリエイル「えっ......?」
キョウスケ「お前を......」
アリエイル「私を何ですか?中尉っ!?」ガバッ
アリエイル「......え?」
アリエイル「......ゆ、夢?」
アリエイル「......何て夢を見たの」
アリエイル「......そう、あれからずっとクスハ少尉の言葉の意味を考え続けて」
アリエイル「いつの間にか寝てしまったのね」
アリエイル「......それにしても、とんでもない夢を」
アリエイル「......まだ心臓が鳴っている」ドキドキ
アリエイル「腕の感触が、残ってる」
アリエイル「......やはりクスハ少尉の言う通りに」
アリエイル「私は、中尉が......。好き、なの?」
アリエイル「......中尉」
アリエイル(何なの?この気持ちは)
アリエイル(理屈を抜きにして、中尉に)
アリエイル(......会いたい)
クスハ「......アリエイルさん、大丈夫かしら」
ブリット「お、お疲れさま」
クスハ「あ、ブリット君」
ブリット「どうだった?具合、見てきて貰った訳だけど」
クスハ「う、うん。大丈夫そう」
ブリット「そっか、良かった!」
クスハ(......まさか恋愛相談を受けました、なんて言えないものね)
クスハ(......結局、アリエイルさんが誰を好きなのかは聞かなかったけれど)
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