春香「長閑な花園」 (6)
「さようなら、春香」
それは、とても悲しそうな顔でした。
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千早ちゃんは、背を向けると歩いていきます。
私はそれを遮るかのように、千早ちゃんを呼び止めました。
「なんで…ねぇ、どうして?」
「私の事は気にしないで」
立ち止まって、元気そうに千早ちゃんは言います。その後ろ姿はとても寂しそうでした。
「嫌だよ!千早ちゃん。待って…行かないで!」
「春香…」
「…元気で」
そう言って千早ちゃんは歩いていきます。
それが、私の聞いた千早ちゃんの最後の声でした。
……………
………………………
ふと、横から声がしました。
「はるるん…何してるの?」
「えっ……あ、あぁ…どうしたの亜美」
「それはこっちのセリフだよ、さっきからぼぅ…っとアルバム眺めて」
「…それはぁ」
いけないいけない!
私はポンッとアルバムを閉じて立ち上がります。
懐かしい頃を思い出し、少し昔の思い出に浸っていたのでした。
最近気がつけばアルバムを覗いてることが多く、よく声をかけられます。
「何でもないよ。……ちょっと、懐かしくなって見てただけかな」
「ふーん…最近そればっかりだね」
「あっはは…」
私はアルバムを棚に直します。
時計を見て、仕事時間の確認をしました。
「あ、そういえば亜美。今日集合時間1時間早くなったんだっけ。私昨日忙しくってあまり話聞けなかったんだよね」
「あーうん、そうだよ。何でもどこかのグループがキャンセルしたからその分を詰めるとか言っててだね。他の事務所も時間繰り下げだよ」
「へぇ〜」
誰もいないソファに腰を下ろし、亜美も向かい合う形で座ります。
完
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