デク「汝は人狼なりや?」オールマイト「そう!」 (83)

オールマイト「今日はそのゲームをキミ達にしてもらおうってワケさ!」

飯田「なっ……先生! ちょっといいですか!?」バッ

オールマイト「何かな飯田少年!」

飯田「ゲームをするとおっしゃいましたが、我々は『ヒーロー』になるためこの高校に入学したのです!」

飯田「もし遊ぶことが目的のゲームならば即刻中止し! ヒーローに必要なスキルを身に付ける授業に変更していただきたい所存!」バババッ

切島「いつになく荒ぶってんなー委員長。言いたいこたぁ分からなくもねーけどよ」

瀬呂「あの雄英高校ヒーロー科の授業時間にゲームして遊ぼうってんだもんな。ま、こういうのもたまにゃいいんじゃねーの?」

上鳴「だな。息抜きくらいにはなんじゃね?」

相澤「ったく……ゲームだと分かったらすぐ気を緩めやがる」スタスタ

デク「! 相澤先生」

相澤「遊びや息抜きじゃねぇ。これも立派なヒーロー基礎学の授業だ」

飯田「それはどういうことですか!?」

相澤「ヒーローってのは単純に強けりゃ良いってもんじゃねぇ。ヴィランとの駆け引きが必要な場面も多くある」

相澤「ヴィランの心理を読み、必要であれば嘘をつく。ヒーローにとって必要なスキルを効率よく学べる合理的遊戯」

相澤「それがこの『汝は人狼なりや?』ってわけだ」

飯田「な、なるほど! 失礼しました!」

お茶子「遊戯は遊戯なんだね」

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芦戸「それでその、えっと、あー……」

梅雨「汝は人狼なりや?」

芦戸「そ! それってあの、どういうゲームなんですか?」

オールマイト「HAHAHA! 知りたいだろう!? いいよ!私が教」

八百万「村人陣営と人狼陣営に分かれて行われる、所謂騙し合いのゲームでしょう?」

オールマイト「!!」

飯田「知っているのか八百万君!?」

八百万「ええ、昔本で読んだことが」

切島「すげーな……つーか八百万ってもう読んでない本無いんじゃねーか?」

峰田「エr」

梅雨「……」シュッ

峰田「」ビターン

八百万「舞台となる村には人の姿をした狼、『人狼』が何人か村人に紛れて潜んでいますの」

八百万「人狼を全員探し出して処刑するのが村人陣営の目的。バレないように村人を全員食べ尽くすのが人狼陣営の目的」

八百万「基本はこのような感じでしたわよね?」

オールマイト「ウムム……だ、大体合ってるな」

オールマイト「しかし説明も教師の仕事! 無理せずここは先生に任せちゃっていいんだぞ!」

八百万「はぁ……分かりました」

相澤「じゃあ続きは俺が説明するが……」

オールマイト「!?」

相澤「設定としては今八百万が言った通りのものと認識してくれればいい。問題はゲームとしてお前らが何をするかだ」

相澤「このゲームでは夜→昼→夜→昼→……といった具合に時間が進んでいく。夜と昼、それぞれの時間帯でそれぞれの行動を行うわけだ」

相澤「人狼陣営は夜に誰か一人を選んで襲撃し、食うことが出来る。食われたやつはその時点でリタイアだ」

轟「……なるほど。毎晩それを繰り返して村人を全滅させればいいってわけか」

お茶子「村人は反撃できないんですか?」

相澤「出来ねぇ。人狼は変形型個性持ち、村人は無個性の一般人だと思えばいい」

砂藤「ああ、流石に無個性で立ち向かうのは無理だなー」

デク「そ、そうだね……うん」

相澤「で、それに対抗して村人が行うのが『処刑』だ。これがこのゲームの肝になる」

相澤「昼に村の全員が集まり議論をし、その後投票により人狼っぽい奴を一人選び、処刑する。もちろん処刑された奴はリタイアだ」

相澤「これでうまく人狼を処刑していければ良いんだが、誤って村人を処刑してしまうことも当然ある。それがこのゲームの難しいところだ」

葉隠「ふむふむ、つまりミスったらやばいってことだね!」

尾白「まあ、夜の襲撃→昼の処刑→夜の襲撃で三連続村人が減ることになるし、良くなさそうってのは分かるよ」

爆豪「めんどくせーーーな。俺以外全員処刑すりゃ解決じゃねーか」

飯田「何の解決にもなっていないぞ!?」

相澤「で、昼と夜を繰り返し人狼がいなくなれば村人陣営の勝利。人狼の人数が村人と同じかそれ以上になれば人狼陣営の勝利ってわけだ」

芦戸「うーん、人数にもよりますけど村人側が不利っぽいですねコレ」

常闇「人狼か否かを見抜けられなければ、処刑は完全に運任せとなるからな」

オールマイト「そう! 議論をするとはいえ、流石になんの手がかりも無しに人狼を見つけ出すというのはあまりにも困難!」

オールマイト「そこで、んん~~……」グググ

オールマイト「これ!! 『役職』だ!」パッ

耳郎「役職?」

オールマイト「ウム! だよな相澤くん!」

相澤「あー……はい、そうですね」

相澤(わざわざ溜めて……相変わらずこの人の話し方は合理性に欠ける)ポリポリ

相澤「このゲームは人狼陣営と村人陣営の二つの陣営に分かれて行うと言ったが、何も『人狼』と『村人』だけで争うわけじゃねぇ」

相澤「それぞれの陣営において『人狼』や『村人』の他に、特殊な個性を持った役職が存在するってことだ」

切島「ゲームっぽくなってきた!」

飯田「個性とはどのような個性なのですか」

相澤「焦るな。今から説明する」

相澤「役職の種類はプレイする人数によって変わるんだが……」

相澤「今日はオールマイト班、俺班に分かれて11人村をそれぞれやってもらうから、役職は村人、人狼含め全部で6つだ」

お茶子「あ、全員いっしょにはやらないんだ」

八百万「人数が多いほど複雑になりますものね。初心者がいきなり20人以上でやるなんて無理ですわ」

爆豪「何人相手だろーが関係ねー。全員ぶっ潰すだけだ」

瀬呂「おめーが真っ先に処刑されそーだけどな!」

爆豪「はぁ!? ざけんな生きるわ!!」

梅雨「信頼って大事よ爆豪ちゃん」

デク「あはは……」

相澤「続けるぞ。まずは村人陣営の役職から説明する」

相澤「【①村人】」

相澤「最も人数の多い役職だ。特に能力は無い。以上」

切島「これにはあまりなりたくねーなー。いかんせん地味すぎる」

デク(あ、これフラグだ)

お茶子(フラグや)

梅雨「フラグね」

切島「思っても黙っててくれよ梅雨ちゃん!」

相澤「次いくぞ」


相澤「【②占い師】」

相澤「毎晩1人選んで占い、人狼かどうかを知ることが出来る。村陣営のメインとも言える役職だ」

相澤「ちなみに人狼以外はどの役職だろうと『村人』として扱われることになるからな」

瀬呂「へー、普通の村人と違って派手に活躍出来ちゃう感じなのね」

青山「派手でかっこいいと言えばボク☆」

葉隠「あれ、いたんだ青山くん」

青山「……!」

尾白「あ、青山……多分彼女悪気は無いと思うから」

青山「モチロン☆ そう、輝きすぎて見えなかっただけのハズ」

葉隠「ごっめん青山くん! 素で気付かなかったよ!」

青山「……」

上鳴「まぁ気にすんな。透明人間から存在を認識されてねーって、ある意味すげーよ」

常闇「派手に地味、といったところか」

青山「……」

青山「派手ってことなら良し☆」

障子「それでいいのかお前」

相澤「【③霊能者】」

相澤「毎晩、その日の昼に処刑した人物が人狼かどうかを知ることができる。重要度はわりと低めの役職だな」

八百万「占い師が本物かどうかの裏付けが主な仕事になりますわね」

お茶子「霊能者……ところでさ、実際幽霊っているんかな?」

口田「!?」

八百万「いませんわ! 分子構造がまったく理解出来ませんもの!」

障子「必死だな……」

葉隠「でもさ、いないと思うよ! 見たことないもん!」

瀬呂「おめーがそれ言うのね」

常闇(……似たようなものならば、この体に宿しているがな)

砂藤「人狼の話しろよ」

お茶子「!」



相澤「【④狩人】」

相澤「毎晩自分以外の1人を選び、その日の人狼の襲撃から守ることが出来る。ハマれば強いな」

オールマイト「最もヒーローらしい役職だが、他の役職とは違い自分がその役職であることを隠し潜むのが基本となる!」

オールマイト「何故かなぁ~~分かる人!!」バッ

デク「自分で自分は守れないし、バレたら真っ先に襲われちゃうから……かな」

轟「仮に潜伏したまま死んでも、いるかもしれねぇって思わせることで襲撃をある程度抑止できる……ってのもあるな」

爆豪「狩人がいねーって分かったら速攻占い師潰せっからな」

耳郎「でも終盤なら言っちゃっても良いんじゃない? もし守るの成功してたらその時誰守ってたのかって結構重要だしさ」

飯田「たしかに! どうですか先生」

オールマイト「んん~理解が早い! いいね! 次いこ!」

相澤「続いて、人狼陣営だ」


相澤「【⑤狂人】」

相澤「簡単に言うと、人狼陣営の村人だ。勝利条件は人狼と同じだが、人狼ではない」

相澤「つまり占いや霊能の結果では村人として扱われるってことだ」

梅雨「勝利条件的に自分が死んでも大したリスクは無さそうだから、それ覚悟でわりと好き勝手できそうね」

峰田「死んだらおっぱいも拝めなくなるってのに……狂ってやがるな緑谷」

デク「ど、同意求められても」

尾白「人狼のために身を捧げて場をかき乱す……か。なんというかすごい役職だね」

芦戸「まさに狂人! って感じだよー」ブンブン


相澤「【⑥人狼】」

相澤「人狼同士は夜に会話をすることが出来る。誰を襲撃するか、また昼の議論においての動きなど、色々作戦を立てられる」

お茶子「村人と違って確実に味方って分かる人がいるのは良いですね!」

瀬呂「はーい質問! 狂人はその話し合いに参加出来るんですか?」

相澤「出来ねぇし、人狼が誰かを知ることも出来ねぇ。逆もまた然りだ」

相澤「人狼がうっかり狂人を襲撃してしまうことも、占い師を騙る狂人がうっかり人狼に人狼判定を出してしまうこともあったりする」

お茶子「……カタル?」

デク「騙るっていうのは、他の役職のフリをするみたいなことじゃないかな。例えば占い師だと思わせれば、処刑先を誘導できたりするし」

オールマイト「その通り! 占い師は一人だが、人狼か狂人、どちらかは確実に騙りにくると思っていいぞ」

爆豪「そうでもしねーと占い師無双だからな。当たり前だろ」

お茶子「カタル……騙る……うんOK! こういう専門用語多いんかな?」

砂藤「多そうだな。こいつは大変そうだぜ」

八百万「……『騙る』は専門用語ではないのですけれど」

相澤「さて、役職は以上だ。全11人のうち、村人5人、人狼2人、占い師・霊能者・狩人・狂人が1人ずつになる」

相澤「あとは……実際やってみりゃなんとかなるか」

飯田「ところで、その役職の振り分けはランダムなのですか」

相澤「ああ、完全にランダムだ」

相澤「この施設には人数分の個室が完備されていて、その中にあるモニターを見れば自分がどの役職か知ることができる」

相澤「昼の議論以外の個別の行動、つまり投票や占い、襲撃等は全部その中の機械で行う。タッチパネル式のモニターで簡単操作らしい」

飯田「このゲームのためだけにそこまで……流石は最高峰! 設備も凄まじく充実している!」

相澤「ああ、ちなみにカメラを通してお前らの行動は筒抜けな。何人か良い個性持ってるやついるが……人狼のプレイ中は使用禁止とする」

八百万「当然ですわ」

障子「あぁ」

耳郎「はーい。にしてもさっきから人狼人狼って……やり辛いな」

切島「あぁ、そういや響香ちゃんと被ってんな。ジロウとジンロウで」

耳郎「そーなんだよね。だからどうってワケでもないんだけどさ、なんかこう……嫌じゃん?」

上鳴「案外それで本当に人狼になっちゃうかもな」

耳郎「なったら真っ先にアンタ襲撃すっから」

上鳴「何故!?」

相澤「仲良しこよしはどうでもいいが、さっきも言ったように今から2つの班に分かれてもらう。クジでな」

お茶子「クジなんだ」

相澤「さ、引け。ちなみに余談だが俺はメディアで大衆に晒されるのは嫌いだ」

デク「? どういうことですか?」

相澤「俺の下でやるヤツらはどこにも晒されない。ここからはオールマイト班だけを追っていく形となる。それだけの話だ」

デク(都合が良い!)

オールマイト「よし! 決まったようだな!」


【オールマイト班】

GM: オールマイト
デク(緑谷出久)
お茶子(麗日お茶子)
爆豪(爆豪勝己)
飯田(飯田天哉)
梅雨(蛙吹梅雨)
峰田(峰田実)
切島(切島鋭児郎)
上鳴(上鳴電気)
耳郎(耳郎響香)
八百万(八百万百)


【相澤班】

GM:相澤消太
轟(轟焦凍)
青山(青山優雅)
芦戸(芦戸三奈)
尾白(尾白猿夫)
葉隠(葉隠透)
瀬呂(瀬呂範太)
常闇(常闇踏影)
障子(障子目蔵)
砂藤(砂藤力道)
口田(口田甲司)


オールマイト「さ! それじゃ早速やろ! 私の班は人狼ルームAへ!」

相澤「俺らはBな。行くぞ」


デク(このゲームは初めてで、まだ全然勝手が分かってない状態。だけど……)

デク(オールマイトが見てるんだ。やっぱり、負けたくないな……!)

~人狼ルームA~


切島「おおー、あのでっかい円卓みたいなとこで議論すんのか!」

上鳴「個室も広そうだぜ! ほんと凝ってんなー」

オールマイト「ゴホン! さて、まずはそれぞれの個室に入って最初の夜を過ごしてもらう!」

オールマイト「夜から始まるということはいきなり襲撃されて議論も出来ないままリタイアなんてこともあるんじゃ? なんて考えたそこのキミ!」

オールマイト「大丈夫! 何故って? 私が死ぬ!」

デク「ええっ!? そっそんな、なななんで……!」

お茶子「実際に死ぬわけじゃないんじゃない?」

オールマイト(動揺しすぎ! 可愛い弟子だな全く!)

オールマイト(死なないさ緑谷少年。今は、まだ―――)フッ

爆豪「で、アンタが死ぬってどういうことだ?」

オールマイト「死なないさ!」

爆豪「……は?」

デク「えっ」

お茶子「え?」

オールマイト「あ、いや、死ぬけども……んん! ゴホンッ! とにかく!」

オールマイト「初日犠牲者は進行役の私が兼ねる、と言う意味さ!」

オールマイト「流石にプレイヤーがいきなり脱落はつまらないだろう? だから人狼の襲撃先は最初だけ私で固定! 当然、狩人も何も出来ない」

梅雨「当然と言えば当然の措置ね。占いは初日から普通に出来るのかしら?」

オールマイト「出来るとも! なんならいきなり人狼引き当てちゃっても構わない!」

オールマイト「ちなみに初日犠牲者の私も参加者の一人と何ら変わらず『役職』を持っている場合がある」

オールマイト「襲われることが前提のポジションだから人狼にはならないようになっているが、もしかしたら占い師や狂人だったりするかもしれないぞ!」

上鳴「マジか! ってことは占い師がいない状態から始まるかもしれないってことッスよね?」

耳郎「うっわそれかなり厳しいかも。その可能性があるってだけで超ややこしくなるし」

オールマイト「フフ、これもまた人狼の醍醐味だからな!」

八百万「あの、そろそろ……」

オールマイト「おっと、そうだな。説明はここまでにして……始めようか」

オールマイト「このゲームで最も重要なこと。それは最後まで決して諦めないこと!」

オールマイト「どんな困難が待ち受けているか分からない! でも君たちならきっと乗り越えられるはず!」

オールマイト「『Plus Ultra』だ! それじゃ……健闘を祈る!!」

そして初日、それぞれの夜を過ごし……


――――――――――――――――――――――――

二日目の朝になりました。

『オールマイト』が無残な姿で発見されました。

――――――――――――――――――――――――



~円卓~


オールマイト「おはよう!!」

デク「うわっ!?」

切島「元気じゃねぇかオールマイト!」

お茶子「個室のモニターには『無残な姿で発見されました』って出てたのにね」

梅雨「緊張感もクソもないわね」

爆豪「ったりめーだろゲームなんだから」

耳郎「まともなこと言ってる……」

爆豪「言うわ! 殺すぞ!」

オールマイト「たしかに私は初日犠牲者だが、それ以前に進行役でもある! 今後もずっといるから安心していいよ!」

オールマイト「といっても議論には一切口出さないけどな! そういうゲームだから!」

オールマイト「議論の時間はだいたい5分間。終了の合図は私がするから、まずは思うがままに議論してくれ!」

オールマイト「はいスタート! 私もう喋らないから! はい!!」パン


デク「……と、言われても……うーん」

切島「何から話したもんかねー。パッと見じゃ誰が人狼かなんて分かんねーよな」

飯田「ならまずは占い師だ! 占い師は一人占っているはずだから、唯一手がかりを持っているはずだろう?」

上鳴「そりゃそうだけどよ、いきなり言っちゃっていいのか?」

八百万「人狼を見つけたのならすぐに出るべき。そうでないなら……難しいところですわね」

お茶子「出ちゃっていいんじゃない? その方がスッキリするし!」

峰田「まぁ、狩人がいるんならいきなり人狼に襲われるってことはないだろうけどよ」

梅雨「オールマイトが狩人って可能性もあるけど、人狼がそれを予想していきなり占い師を狙いにくるっていうのは考えにくいわ」

飯田「よーし、じゃあ占い師は速やかに挙手!」

八百万「……」



上鳴「じゃ」スッ
耳郎「はい」スッ


上鳴&耳郎「「あ……」」



切島「占い師が二人!」

八百万「やっぱり、こうなりますわよね……となると片方は狂人か人狼か……」

お茶子「カタリ、ってやつだよね。分かる」

飯田「しかしこれではどちらが本物でどちらが騙りなのかがわからないぞ……」

上鳴「お、俺が本物だからな! マジで!」

耳郎「ウチが本物だっつーの。占ったのは『飯田』ね。『村人』だった」

飯田「!! 合っている! これで耳郎くんが本物の可能性が高まったぞ!」

爆豪「変わんねーーよ。俺らからしたらお前も信用出来ねぇからな」

八百万「仮に飯田さんが本当に村人だったとして、偽占い師が様子見で適当な人に村人判定を出すこともありますしね」

飯田「それはそうだが……うーむ」

上鳴「えーと、俺が占ったのは『麗日』。『村人』だったぜ」

お茶子「え、私?」

峰田「確かに麗日は村っぽいよな。こう、コスチューム姿とか見てるとムラm」

梅雨「それで……」シュッ

峰田「」バシィン

梅雨「占った理由とかあれば、聞かせて貰えるかしら?」

耳郎「んー、初日で何の材料も無いから大した理由は無いんだけどさ……強いて言えば委員長だからかな」

飯田「と言うと?」

耳郎「まとめ役的な人が必要だと思ったわけ。占って村人だと分かれば、そういう役もやれるかなって思って」

耳郎「正直、人選ミスった感あるけど。つーか偽占い師出てきちゃったからあんまり意味ないかな」

飯田「人選ミスて!!」

デク「そ、それで上鳴くんは?」

お茶子「うんうん! なんで私?」

上鳴「あー……っと」

上鳴「処刑し辛そう……だから?」

お茶子「うん?」

上鳴「だって女子に投票ってし辛くね? もし人狼だとしたら、占いでハッキリさせないと処刑出来ねー気がしてさ」

切島「いやいやそんなことないだろ! 男女に差を付けるなんて男らしくねーぜ!」

梅雨「今、一言の中に酷い矛盾を見たわ」

デク「うーん、理由としては耳郎さんの方がちゃんとしてるっぽい……かな?」

八百万「まぁ、耳郎さん自身も言っていました通り、初日の占いですし理由などあまり気にする必要は無いかと」

梅雨「確かにそうね。そこは明日以降考えるところかしら」

爆豪「つーか勘でいいだろ別に」

飯田「良くな……いのだろうか?」

耳郎「ぶっちゃけほとんど勘だけどね理由。戦闘訓練の時、敵役ハマってたし」

お茶子「あっ、たしかに!」アハハ

飯田「褒められているのか……?」

デク「それで、今日誰を処刑するかだけど……それぞれが人狼だと思う人に投票すれば良いんだよね?」

八百万「村で意見が統一出来る状況でもありませんしね。それで良いと思いますわ」

梅雨「占い師候補の上鳴ちゃんと耳郎ちゃん、それと村人判定の飯田ちゃんと麗日ちゃんは候補から除外しても良いんじゃないかしら?」

峰田「つまり今日の処刑対象は蛙吹、緑谷、八百万、爆豪、切島の誰かってことになるわけか」

切島「さりげなく自分抜いてんじゃねーよ! ……! さてはおめぇ人狼じゃ……」

峰田「お、オイラ視点での投票先の話だよぉ! 分かってるって!」

デク「峰田くんを入れても6分の1……この中に霊能者や狩人がいるかもしれないと考えると地味にリスク大きいね」

切島「ん……あ、じゃあなんなら霊能者も出ちまって良いんじゃねーか? 処刑されちまうかもしんねーしよ」

お茶子「うーん、でもそうしたら人狼に襲われちゃうんじゃないかな? 狩人は占い師のどっちか守るだろうし」

上鳴「裏をかいて霊能者守ろうとして占い師襲撃されたら結構やばいしな。自分で言うのもなんだが占い師の無事が最優先だろ?」

爆豪「出るかどうかは自分で決めりゃいいだろ。処刑も襲撃もされねー自信があるんなら別に出なくても問題ねーからな」

切島「おぉなるほど……意外とちゃんと考えてんのなお前」

爆豪「あ? 普通だろこれくらい」

飯田「では、他に何か話すことはないか?」

耳郎「占い師としては今夜誰占っとくべきか聞いときたいんだけど、いい?」

上鳴「あっそれ俺も聞こうと思ってた! どうよ皆?」

お茶子「誰でも良いんじゃない? でも相手の占い師は偽者って分かってるし占わなくていいよね?」

梅雨「それと個人的には飯田ちゃん、お茶子ちゃん以外が良いわね。占っても占われてもない、何の情報もない人の情報を得るためにも」

峰田「ってことは蛙吹、緑谷、八百万、爆豪、切島、そしてオイラの誰かってわけだな」

切島「処刑対象と同じメンツなんだな」

飯田「うーむ、自然とこうなってしまうのか」

八百万「ちなみにこのように役職も宣言せず占われてもいない人たちのことを『グレー』と呼ぶのが一般的だそうですわ」

耳郎「オッケー。じゃ、グレーの誰かに投票して、残ったグレーの誰かを占えばいいってことね」

上鳴「分かったぜ。じゃ、んーっと、そうだな……誰か占ってほしい人とかいるか?」

お茶子「いないと思う」

デク「村人は自分より人狼を占ってほしいし、人狼なら占われたくないはずだからね」

上鳴「そ、そうか」

耳郎「やっぱアンタ結構アホだよね」

上鳴「ぐ……! っきしょー、絶ッ対人狼見つけて汚名返上してやる……!」



―――――――――――――――――――――――――――――――――


オールマイト「さ! そろそろ議論はおしまいだ! いよいよお待ちかね『投票』の時間だぞ!」

オールマイト「最も票を多く集めた者が『処刑』されてしまうわけだが……その前にゴメン! 説明してないことあった!」

八百万「最多得票者が複数いた場合……ですわよね?」

オールマイト「それ! その場合だけどな、全員で再投票ということになる!」

オールマイト「そして再投票しても決まらなかった場合、また再投票! これを『四回』繰り返すと……」

オールマイト「キリが無いのでそこでゲーム終了! 『引き分け』という結末を迎えることになる!」

峰田「な、なんだってー!」

梅雨「わりと重要な新情報ね」

爆豪「そういうことは先に言っといてくれよオールマイト」

オールマイト「マジゴメン! ってなわけで、みんな個室に戻ってくれ!」

オールマイト「果たして人狼は処刑出来るのか!? あ、誰が誰に投票したのかとか全部公開されるからそこも意識しような」

飯田「また新情報が!!」

お茶子「なんというか、段取り下手だね」スタスタ

デク(麗日さん辛辣!)スタスタ



オールマイト「さーて、最初の犠牲者は誰かなぁー! 投票タイム、スタートだ!」

―――――――――――――――――――――

投票結果

 緑谷出久(1)  → 爆豪勝己
 麗日お茶子(0) → 峰田実

 爆豪勝己(3)  → 緑谷出久
 飯田天哉(0)  → 切島鋭児郎
 蛙吹梅雨(0)  → 峰田実
 峰田実(5)   → 爆豪勝己
 切島鋭児郎(1) → 峰田実

 上鳴電気(0)  → 峰田実
 耳郎響香(0)  → 爆豪勝己
 八百万百(0)  → 峰田実



『峰田実』が処刑されました……



―――――――――――――――――――――

今日はここまでです
これは「僕のヒーローアカデミア」のキャラが「汝は人狼なりや?」をプレイするSSですが、ここまでは人狼を知らない人のためのチュートリアル部分だと思ってください
ある程度書き溜めてあるので、追い付かない程度にテンポ良く投下していければと思います
一応酉付けときます

続き投下します
基本的にゲーム内の1日分を毎日投下していく予定

――――――――――――――――――――――――

三日目の朝になりました。

『麗日お茶子』が無残な姿で発見されました。

――――――――――――――――――――――――



~円卓~


デク「う、麗日さんが……!」

切島「くそっ! 女子を狙うなんて男らしくねぇ人狼だぜ」

飯田「男とは限らないのではないか!?」

耳郎「いや……男っぽい。少なくとも一人は」

八百万「……それはどういう?」

上鳴「ま、まさかお前……」

耳郎「ん。占い結果言うけどさ……」


耳郎「『爆豪』。アンタ『人狼』だよね?」


梅雨「!」チラッ

デク「!!」チラッ


爆豪「……………………」




爆豪「はぁ!?」ドカァン




飯田「ば、爆豪くんが人狼……それは本当か!?」

耳郎「うんマジ」

飯田「マジか!」

上鳴「信じるな! 偽者だそっちは!!」

耳郎「偽者って……そりゃアンタからしたらそう言うしか無いだろうけどさ」

梅雨「私たちから見たらどっちが本物かまだ分からないわね」

上鳴「たしかにそうだけど……くっそー、難しいなこのゲーム」

耳郎「占った理由だけど、爆豪にしては妙に落ち着いてると言うか、無難な言動に見えたから。口悪いのは変わってないけど」

耳郎「なんて言うか、普段なら『おいデクこらてめぇ人狼だろ?あぁ?』みたいに特攻しててもおかしくないじゃん?」

デク「た、たしかに……」

耳郎「でもそうはせず、冷静にまともな発言したりして……処刑されたくない人狼だからかなって。で、占ったら当たりだったわけ」

爆豪「俺を何だと思ってんだ! ルールに則りゃ誰だって処刑されたくねーと思うし、普段より慎重にもなんだろ! 違うか!?」

飯田「酷い占い理由だ……しかし何故か納得してしまうな。それで上鳴くんは誰を占ったんだ?」

爆豪「納得すんなクソメガネ!!」

上鳴「あぁ、俺が占ったのは『八百万』だ。『村人』だった」

八百万「私? 怪しかったかしら」

上鳴「怪しかったというか、強いと思ったからさ。人狼だとこえーし占ったんだよ」

八百万「そう……評価して貰えるのは嬉しいけど、買い被られるのも困ったものですわね」

切島「なるほどな、強いから……そういう占い理由もあんのか。いいと思うぜ」

爆豪「クソッ……で、どーすんだよ? 今日はこのまま俺処刑して終わりっつーんなら見過ごせねーぞ」

デク「今日誰かを処刑して、明日の襲撃で1人減ったら残り6人……最悪半数が人狼陣営なんて事態になっちゃうんだよね」

飯田「そうなるともう絶望的だな。慎重になるべき場面……とはいえ爆豪くん以外に処刑すべき人も……」

梅雨「もっと情報が欲しいわね。霊能者もいるなら出ていい頃だと思うけど」

切島「俺はちげーぞ。自慢じゃねーが今日まで生き残れるかすら不安だったんだ。霊能者なら昨日の時点で出てるぜ」

八百万「……まぁ、言われなくとも出ていましたけれど」

デク「え?」




八百万「私が『霊能者』。早速ですが良い報せがありますわ」

飯田「八百万くんが霊能者だったのか!」

上鳴「で、良い報せってなんだ?」

梅雨「霊能者なのよ。一つしかないんじゃない?」

上鳴「! ってことは……」

八百万「ええ。昨日、投票によって処刑した峰田くんですが……」

八百万「『人狼』でした。残る人狼は一人……このままいけば楽勝ですわね!」

上鳴「!! マジ?」

耳郎「ってことは爆豪処刑したら……終わり?」

爆豪「終わらねーよ殺すぞ!」

デク「処刑対象を決める前に……みんな、耳郎さんと上鳴くん、どっちが本物だと思う?」

梅雨「……現時点だと、上鳴ちゃんかしら。爆豪ちゃんが人狼って、微妙にしっくりこないわ」

切島「俺も上鳴だな。なんつーか、しっかりしてなさすぎて逆に本物っぽい」

爆豪「イヤホン女が違うってのは分かったから、そっちだ」

上鳴「っしゃあ! 俺の支持率たけえええええ!」

耳郎「ちょっ、マジ? ……結構ショックでかいね、これ」

飯田「俺は耳郎くんを支持しているぞ。やはり自分に対して村人判定を出してくれたのは大きい」

八百万「私は……なんとも言えませんわね。単純に、偽者なら連続で村人判定を出すことなどあまり無いのでは? とは思いますが」

デク「僕もそんな感じかな。中立って言うとあんまり良く聞こえないかもだけど……どうしても判断出来なくって。だからみんなの意見を聞きたかったんだ」

八百万「いずれにせよ、今日は爆豪さん処刑で良いと思います」

上鳴「へ?」

爆豪「あぁ!?」

上鳴「なんでよ!? 俺のが支持されてたろ!?」

八百万「上鳴さんが本物だとして、人狼を見つけていない以上他に処刑すべき対象がいませんので」

上鳴「耳郎は? 最後の人狼の可能性、十分あると思うぜ」

八百万「リスクなどを考慮すると、占い師を騙るのはどちらかというと狂人の可能性の方が高いと言われています」

八百万「人狼の可能性もありますが……それよりは耳郎さん視点で確実に人狼と言える爆豪さんを処刑する方が合理的ですわ」

デク「うん……そうだね。僕もかっちゃん処刑で賛成かな」

爆豪「んだとデクてめぇ!」

デク「べっ別にかっちゃんが人狼だって決め付けるわけじゃないんだ! ただここでかっちゃんを処刑しとかないと他にするタイミングが無いと言うかそのあのえーとあのね」

梅雨「落ち着いて緑谷ちゃん」

デク「う、うん……つまり、かっちゃんが人狼だろうとそうでなかろうと、今処刑しておくべきだ……ってこと」

爆豪「あぁ? ……」

切島「えーっと……どういうことだ?」

梅雨「……そういうことね。つまり」

梅雨「それでゲームが終了すれば村人の勝ち。終了しなければ響香ちゃんが偽物である可能性が高まる。どちらにせよ何かしらの進展はある、ってことかしら?」

デク「うん。その判断が出来るのは、多分今だけだと思うから」

飯田「今だけ……か。うむ、確かにそんな様子見のような選択をする余裕は無くなってくるだろうな」

切島「処刑対象の選択肢も増えてくるだろうしな……そういうことなら納得だぜ。諦めろ爆豪」

爆豪「……」

爆豪「分かったよ……勝手にしろ」

切島「おっ、意外と聞き分けいいのな。ぶっちゃけ俺もおめぇが人狼には見えねーぜ」

爆豪「お前の支持なんていらねーよ。この状況で悪足掻きするほどバカじゃねぇってだけだ。ただ……これだけは覚えとけ」

爆豪「終わらねーからな。俺を処刑しても、終わらねー。そのイヤホン女は偽者だからな」

耳郎「本物だっての。にしても意外な展開。てっきり自分は狩人だとか主張して延命しようとしてくると思ったんだけど……まさか……」

飯田「では今日の処刑は爆豪くんということでみんな票を合わせよう! 上鳴くんもそれで良いか?」

上鳴「ああ。冷静に考えりゃ俺からみても爆豪人狼の可能性はあるんだ。耳郎が狂人なら誰が人狼かなんてわからねーだろうしよ」

上鳴「それより今日誰を占うかだな。順当にいけば緑谷か蛙吹か切島……で良いんだよな?」

梅雨「それで良いわ。その中にいないと思ったら別に飯田ちゃんや響香ちゃんを占ってみても良いけど」

上鳴「あー……考えとく」

耳郎「ウチは処刑した時点で終わると思ってるけど……」

耳郎「万が一終わらなかったとしたら、占うとこはもう決まってるから」

八百万「……でしょうね」

デク「狩人次第だけど、明日で6人になる。最悪の展開にだけはなってなければいいけど……」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






オールマイト「時間が来た!! 議論は一旦おしまいだ!」

オールマイト「前日と同様、個室に戻って投票タイム! さぁ~て誰が処刑されるか! もう決まってるっぽいけどな!」

オールマイト「爆豪少年……ドンマイ!」

爆豪「……」

―――――――――――――――――――――

投票結果

 緑谷出久(1)  → 爆豪勝己

 爆豪勝己(7)  → 緑谷出久
 飯田天哉(0)  → 爆豪勝己
 蛙吹梅雨(0)  → 爆豪勝己
 切島鋭児郎(0) → 爆豪勝己

 上鳴電気(0)  → 爆豪勝己
 耳郎響香(0)  → 爆豪勝己
 八百万百(0)  → 爆豪勝己



『爆豪勝己』が処刑されました……



―――――――――――――――――――――

今日はここまでです
一応ジャンプ毎週買ってて単行本も揃えてますが、やっぱりまだ把握しきれていない部分はあります
ですのでキャラの口調おかしいとかあれば教えてください
また明日!

続き投下します

――――――――――――――――――――――――

四日目の朝になりました。

『切島鋭児郎』が無残な姿で発見されました。

――――――――――――――――――――――――



~円卓~


飯田「切島くんがやられてしまったか……人狼ではないと思ってはいたが」

八百万「今日が来た時点で分かっているとは思いますが、『爆豪』さんは『村人』。耳郎さんは偽占い師でしたわね」

耳郎「やられた……『八百万』占ったけど、『人狼』だった」

デク「!」

八百万「やはりそうきますか。苦し紛れにもほどがありますわ」

上鳴「……マジごめん。『蛙吹』占ったけど……『村人』だった」

飯田「また村人か!?」

梅雨「ダメダメね。占われた私にも問題があったのかもしれないけれど」

上鳴「蛙吹はさ、昨日占うべきとこの話で、飯田や耳郎も候補に入れようとしてたろ? 自分が占われると困るからなんとか範囲広げようとしただけに見えたんだよ」

上鳴「で、結果……またダメだったわけだ。どうしよ?」

八百万「仕方ありませんわね。今日は耳郎さんを処刑しましょう」

耳郎「待ってよ。それが人狼の狙いだったんでしょ?」

八百万「私は霊能者ですわ」

耳郎「あーもう……とりあえず、ウチ視点での現状説明するから」

梅雨「そうね、お願いするわ」

耳郎「んーと、まず昨日の時点で、爆豪が人狼ってことは確定。ウチ視点でよ?」

デク「うん、そうなるね」

耳郎「でさ、もし八百万が本物の霊能者なら、もう一人の人狼は峰田で確定。消去法で上鳴が狂人ってことになる」

飯田「ふむ、既に敵陣営は全員判明していたわけか」

耳郎「でもそれは違うって分かった。爆豪処刑しても終わらなかったからさ」

耳郎「ってことは八百万は偽者。その時点で、上鳴と八百万、どっちかが人狼でどっちかが狂人ってことで確定したわけ」

耳郎「だからどっち占っても良かったんだけど、どっちかというと八百万人狼のが可能性高そうって思ってそっち占ったのね」

耳郎「そしたら人狼だった。ここでウチ処刑したら狂人と人狼が残っちゃうことになるから……かなりまずい。分かる?」

飯田「大体は分かったが……それは耳郎くんが本物の占い師ならばの話だろう?」

耳郎「そうだけど、筋通ってるっしょ? てか飯田あんた私派だったじゃん」

飯田「そうだったのだが……流石にこの状況で耳郎くんが本物とは簡単には言えないな」

飯田「単刀直入に聞くが、もしそうならば『本物の霊能者』は誰になる?」

耳郎「知らないけど……候補は何人かいるよ。オールマイト先生か峰田……それか麗日ね」

八百万「仮に私が人狼だとして……その誰かが霊能者であったことを、私たちの誰も知らなかったはず」

八百万「本物がいるかもしれず、かつ相方が貴女に人狼判定を出されて後がない状況で、人狼がわざわざ霊能者として名乗り出たと考えるのですか?」

耳郎「そう言ってんの。実際出てくるの遅くなかった? 本物出てこないか様子見てたって考えればしっくりくるんだけど」

八百万「言いがかりですわ。出るのが少し遅かった理由は、人狼を誘い込むため」

八百万「あの時点で偽霊能者が出てくれれば、私視点で敵陣営全露呈。と同時に上鳴さん本物も確定。賭ける価値は十分にありました」

梅雨「そこはちょっと微妙なところよね。百ちゃん視点でスッキリしても、周りから信頼されなければ意味がないもの」

デク「そう考えたら霊能者はすぐに出ておくのが正解だったのかもね。そしたらこんなややこしくならなかっただろうし」

八百万「私は最良の判断をしたつもりなのだけれど……うーん」

耳郎「霊能者は既にいなかったんだって。八百万は状況を見てそれを察して、ウチを処刑する流れに持っていくために霊能者を名乗り出たってわけよ」

耳郎「今日は八百万処刑してよ。有り得ないけど、それで終わらなかったら完全に破綻ってことでウチ処刑して良いからさ」

上鳴「そういうわけにはいかねー。騙されんなよみんな、今日は耳郎処刑だ!」

デク「! 上鳴くん」

上鳴「全然活躍できてねーけど、俺が本物の占い師なんだ。昨日は耳郎の言う通り爆豪処刑したろ? 今度はこっちの意見優先してくれよ!」

梅雨「響香ちゃん処刑には賛成寄りだけど、そんなターン制みたいな決め方は出来ないわ。まず上鳴ちゃん視点での内訳を整理してくれるかしら?」

上鳴「ああ、分かった。あーっと……」

上鳴「八百万は人狼じゃねーが、狂人の可能性もある。耳郎は多分狂人だと思ってるが、人狼の可能性も十分」

上鳴「だから色んなパターンが考えられるし、確実にこうって言えることは無いんだけど……」

上鳴「一番可能性高いのは、八百万が霊能者で耳郎が狂人、人狼は峰田と……飯田か緑谷。このパターンだ」

梅雨「そうね。私も今のところそう思ってるわ」

上鳴「ここで八百万処刑しちまったら、狂人と人狼が残っちまう。耳郎が同じ理由で自分の処刑を拒否ってたが、こっちにだってそれは言えるわけだ」

上鳴「俺としては狂人濃厚で人狼の可能性もある耳郎を処刑して欲しい。そんで緑谷! 飯田!」

上鳴「お前らのどっちかを占って、今度こそ人狼を見つけるからな! だから狩人! まだいるなら俺を守れ!」

飯田「まぁ、他に守るべきところもないが……」

八百万「狩人……いるのかしら、まだ」

デク「結局、上鳴くんを信じて耳郎さんを処刑するか、耳郎さんを信じて八百万さんを処刑するかって話になっちゃうね」

飯田「どちらを信じるべきか。その選択次第で勝ちの目は無くなってしまうわけだな」

梅雨「ねぇ……どっちのパターンでも、私は村人陣営ってことでいいの?」

飯田「ん、そうだな。言われてみれば……蛙吹くんは村人確定、か?」

八百万「なら蛙吹さん、貴女が決めて指示を出しては? それにみんな従うということで……どう?」

梅雨「いいの?」

デク「うーん……確かにここでそれぞれ好きに投票、ってなる方が村陣営にとって不利だよね」

デク「村陣営の票はバラけるのに対して、人狼陣営の票は固まる。そうなるくらいなら、統一してくれた方が良いかもしれない」

飯田「そうだな……ああ。分かった。俺も蛙吹くんに従おう」

上鳴「……ん? 待った、確定村陣営って言うけど、俺視点じゃまだ耳郎人狼で蛙吹狂人の可能性もあんじゃね?」

耳郎「流石にそれは無いって……狂人なら今まで何もしてないのがおかしいし、それに」

梅雨「心配しなくてもいいわよ上鳴ちゃん。もう決めたから」


梅雨「今日処刑するのは―――耳郎ちゃん。それなら上鳴ちゃんも文句無いでしょ?」


上鳴「!!」

耳郎「! だっ……」

デク「うん……分かった」

飯田「では、票を合わせよう」

上鳴「サンキュー蛙吹! 疑って悪かった! よーし狩人、俺守れよ!」

耳郎「ッ……」

耳郎「……そうなっちゃうか。悔しいけど、流石にもう無理だよねこれ」

耳郎「ぶっちゃけ爆豪処刑で終わらなかった時点でこうなる覚悟はしてた。最後に言っとくけど、八百万を盲信しないようにね」

耳郎「夜の間にみんな考えといてよ。よく考えたら八百万が超怪しいって、分かるはずだから」

耳郎「まだ引き分けの目も十分あるし、狩人が頑張ってくれたら勝てる可能性も無くもない。思考停止だけはしないでよ?」

梅雨「そうね。もちろん、最後まで考えることはやめないわ」

耳郎「……なら、良いけど。そんじゃ後ヨロシクね」





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




オールマイト「ここまで! 四日目の議論も無事終了! んん~盛り上がってきた! イイね!」

オールマイト「さ、個室に戻って投票だ!」

―――――――――――――――――――――

投票結果

 緑谷出久(0)  → 耳郎響香

 飯田天哉(0)  → 耳郎響香
 蛙吹梅雨(0)  → 耳郎響香
 上鳴電気(0)  → 耳郎響香
 耳郎響香(5)  → 八百万百
 八百万百(1)  → 耳郎響香



『耳郎響香』が処刑されました……



―――――――――――――――――――――

ここまでのまとめ(一応)

【占い結果】
耳郎……飯田『村人』→爆豪『人狼』→八百万『人狼』
上鳴……お茶子『村人』→八百万『村人』→梅雨『村人』

【霊能結果】
八百万……峰田『人狼』→爆豪『村人』

残り5人
デク、飯田、上鳴、梅雨、八百万

というわけで今日はここまでです

明日で決着
明後日か明々後日に完結

の予定です
では!

続き投下します

――――――――――――――――――――――――

五日目の朝になりました。

『上鳴電気』が無残な姿で発見されました。

――――――――――――――――――――――――



~円卓~


八百万「どうやら狩人はもういないようですわね。ここで護衛成功してくれたらほとんど勝ち確定だったのに……残念」

デク「そうだね。人狼もきっとここが勝負どころだったんだと思う」

飯田「上鳴くんが襲撃されたということは……彼は本当に占い師だった、ということか?」

八百万「狂人だとしたら襲撃するメリットがありませんもの。当然そういうことになりますわ」

梅雨「だとしたら人狼は緑谷ちゃんか飯田ちゃんね。私と百ちゃんは村人判定を貰ってるもの」

飯田「つまり……緑谷くん、きみが人狼だったのだな」

デク「違うよ飯田くん! 僕は村人だけど……うーん、難しいなやっぱり」

梅雨「今のところどちらがそうなのかは判断しかねるわね。二人とも何か主張は無いの?」

八百万「二人が互いに投票するとして、誰を処刑するかの決定権は私と蛙吹さんにあります。人狼でないのなら、アピールしておくべきところじゃない?」

飯田「うむ……そうだな。緑谷くんが人狼である証拠……明確ではないが、それらしい理由ならば説明出来る」

梅雨「じゃあお願い」

飯田「ああ。まず二日目昼、人狼である峰田くんがまだ生きていた頃だ。あの日の緑谷くんは、どこか峰田くんを庇っていたように見えた」

八百万「というと?」

飯田「処刑対象の候補を考えていた時、峰田くんはさりげなく自分を除いて列挙していたことで切島くんに突っ込まれていただろう?」

八百万「そういうこともありましたわね」

飯田「今思えば明らかにあれは失言だった。その後峰田くんは必死に言い訳をしていたが、それがかえって怪しく見えた」

梅雨「覚えてるわ。その日私が峰田ちゃんに投票した理由、それだもの」

八百万「露骨に怪しく見えましたわね」

飯田「ここからが問題なのだ。峰田くんの言い訳を止めようとしてか、他の人からの更なる追求を止めようとしてか……」

飯田「その場を自然に流し、話題の方向を切り替えた男がいる」


 峰田『お、オイラ視点での投票先の話だよぉ! 分かってるって!』

 デク『峰田くんを入れても6分の1……この中に霊能者や狩人がいるかもしれないと考えると地味にリスク大きいね』


飯田「緑谷くん。君は人狼仲間の峰田くんに注意を向けさせまいとしたのではないか?」

デク「!」

梅雨「よくそんなに細かく覚えているわね飯田ちゃん」

飯田「委員長だからな! クラスの皆の発言に常に気を配らせているのは当然のことさ!」

デク「す、すごいね飯田くん。でもそれだけじゃ僕が人狼だって理由にはならないんじゃないかな」

飯田「確かに決め手にはならないかもしれない。しかし人狼である峰田くんを君が庇ったことに違いはないだろう?」

デク「結果的に庇ったってことにはなるのかもしれないけど、単にあの時の峰田くんが人狼っぽいと思わなかったからスルーしただけだよ」

デク「言動が変に見えたっていうのは分かるけど、僕はむしろ村人陣営だからこそのあの言い方だったんじゃないかって思ったんだ」

デク「ほら、普通の村人ならともかくさ、例えば狩人や霊能者だったら生き残らなきゃって思いも強いはずだよね?」

デク「そういう状況なら無意識に自分を処刑対象から外したのも理解出来るよ。普通の村人の僕だって処刑なんてされたくないしさ」

飯田「む……なるほど、一理あるな。だが実際に峰田くんは人狼だったではないか!」

デク「……そもそも人狼を庇ったなんて話をすると、飯田くん、君はずっと狂人らしき耳郎さんを庇ってたよね?」

飯田「ぐっ!?」

デク「耳郎さんと上鳴くんのどっちが本物っぽいかみんなに聞いた時、飯田くんだけが耳郎さんを支持してた」

デク「不利な立場だった耳郎さんをなんとか本物に見せようとしたようにも思えるよ。そうすれば、耳郎さんに村人判定を出された自分は安全圏にいられるし」

飯田「はっきり言うが、当時どちらが本物かなど全く分かっていなかったからな」

飯田「あくまでどちらかといえばとのことならば、自分に対して正しい占い結果を提示してきた彼女の方を信じようと思ったのだ」

デク「でもね、考えたんだけど……仮に飯田くんが人狼だとするとさ」

デク「最初に耳郎さんが飯田くんに村人判定を出した時点で、耳郎さんが狂人……上鳴くんが本物だって分かってたことになるよね」

飯田「!」

八百万「それはそうでしょうね。本物の占い師ならば人狼に村人判定など出しませんし」

梅雨「それがどうかしたの緑谷ちゃん」

デク「うん、そうすると、最初の襲撃先にもすごく納得がいくんだ」

梅雨「最初の襲撃先って……」

梅雨「お茶子ちゃん?」

デク「うん、麗日さん。飯田くんが人狼なら、本物の占い師から村人判定を出されているってだけで終盤まで残しておきたくない位置のはず」

梅雨「村人陣営確定として扱われる可能性のある人は、人狼なら極力潰しておきたいわね」

デク「それに霊能者や狩人の可能性もあるし、占い師と違って守られている可能性も低い。狙い所として、すごくしっくりくるんだ」

飯田「そうかもしれない。しかし、緑谷くんが人狼でも普通に麗日くんは狙い所だったのではないか?」

デク「僕が人狼なら、どちらかというと飯田くんを先に狙っていたと思うよ。あの時点でどっちの占い師が本物かなんて分かってなかったし」

デク「麗日さんは直感的に物事を考えるタイプだし、飯田くんみたいにしっかり考えて村のまとめ役になり得る方を狙うのが普通じゃないかな」

デク「……むしろそんな飯田くんが、最初に村人判定を貰ってから今まで狙われてないことが不自然に見えるよ」

飯田「不自然なんてことはないだろう! 客観的に見ても、俺が狙われる可能性があったのは最初だけだ」

飯田「爆豪くんを人狼と主張した時点で、人狼の緑谷くんから見ても耳郎くんが狂人であることは分かったはず」

飯田「そうなれば愚かにも狂人を信じ切ってしまっていた俺をわざわざ襲撃するなど、考えにくくないか?」

デク「狂人を信じていたからこそ、そこを襲撃することで狂人を本物に見せることに繋がるんだよね。だから襲撃する価値は十分にあるよ」

八百万「それを考えていてはキリがありませんわ。襲撃先より、発言を考えた方が有益では?」

梅雨「発言に関してこれまでの話をまとめると、緑谷ちゃんは峰田ちゃん、飯田ちゃんは耳郎ちゃんをそれぞれフォローしていた感じね」

八百万「難しいですわね……なんというか、決め手に欠けますわ。現時点では一応飯田さんを人狼と見ていますが」

飯田「マジか!?」

梅雨「まだ変わる可能性もあるけど、私もそうね。どちらも怪しくは見えているんだけど」

飯田「二人とも……考え直してくれ! 俺を処刑してしまうと村人陣営は負けてしまう!」

飯田「緑谷くんが人狼なのだ! そもそも何故……」

デク「待って! 僕は人狼じゃないよ」

飯田「俺こそ人狼ではない! というかそう主張するのは当然のことで……」

デク「うん、飯田くんは村人だと思う」

飯田「だから……」

飯田「……」



飯田「?」



八百万「……」

梅雨「どういうこと? 緑谷ちゃん」

デク「みんなにどう見えてるのかは分からないけど……僕から見て飯田くんは『露骨に怪しい』んだ」

デク「狂人を頑なに信じてたっていう大きな事実も、襲撃先も、何もかも。でも……どうしても言動が人狼には見えなくって」

デク「多分人狼は、飯田くんを人狼に仕立て上げるためにここまで残したんだと思う。最後の最後、処刑するために」

八百万「……それは自白と受け取っても? 緑谷さん」

デク「違うよ。僕も人狼じゃない。そうなると……答えは一つ」

八百万「……」



デク「八百万さん―――君が『人狼』だ」


飯田「!!」

梅雨「大きく出たわね」

八百万「……話になりませんわ。上鳴さんが襲撃された時点で、普通は捨てるべき可能性です」

八百万「参考までに聞いておきますが、どういった内訳を考えていますの?」

デク「もちろん、君に村人判定を出した上鳴くんは狂人。耳郎さんが真の占い師で、もう一人の人狼はかっちゃん……ってことになる」

八百万「そうですわね。となると上鳴さんを襲撃した理由が説明できないのでは?」

梅雨「そこよね。狂人を残しておけば、最悪百ちゃんが処刑されそうになっても二人がかりで引き分けに持っていけるもの」

八百万「ええ。引き分け以上が確定する選択を捨ててまで上鳴さんを襲撃するメリットなど、皆無ですわ」

デク「僕も最初はそう思ったよ。でもさ、上鳴くんを襲撃しなければ、負けは無くなるかもしれないけど勝てる確率も少なくなるんだ」

八百万「……は?」

デク「だってもし僕か飯田くんが人狼なら、上鳴くんを襲撃するしかないもの」

デク「でないと上鳴くんに人狼だってバレるし、そうなると勝つことは100%出来なくなるからね」

飯田「……なるほど」

飯田「上鳴くんを残すということは、俺や緑谷くんが人狼ならば不自然極まる行為。八百万くんへの疑いを強めてしまうというわけか」

デク「引き分け以上なんていうけど、その選択だとほぼ引き分けなんだ。だから八百万さんは勝てる道を選んだ……んだと思う」

八百万「……」

八百万「……貴方の主張は、狩人の存在を考えていません」

八百万「狩人が生き残っていたならば、上鳴さん以外に守るところはありませんでした。上鳴さんを襲撃するのはあまりに危険すぎますわ」

八百万「襲撃を阻止されてしまえば、人数は5人に。まず私を処刑し、その後上鳴さんが導き出した人狼を処刑する余裕すらある」

八百万「あの状況、誰が人狼であろうと守られた時点で『詰み』ですの。緑谷さんや飯田さんはともかく、私がそんな賭けをする必要はありません」

八百万「それとも貴方は、私が狩人は既にいないと分かっていたとでも言うのですか?」

デク「分かってたはずはないよ。けど……峰田くん、麗日さん、切島くん、それにオールマイト」

デク「君が人狼だとして、狩人だった人の候補はこれだけいるんだ。分の悪い賭けじゃなかったと思うよ」

八百万「私にとってそれは分の悪い賭けですわ。メリットやデメリットを考えると、蛙吹さんを襲撃する方が確実ですもの」

デク「確実って、どう確実なの? 負けないかもしれないけど、勝てるとも思えない。そんなので満足出来るなんて思えないよ」

デク「多少無茶してでも勝つための方法を模索する。ヒーローはそうあるべきだって、僕は思うんだ」

飯田「!!」

デク「な、なんて押し付けがましいこと言っちゃったかな? でも僕は、八百万さんが人狼って考えると一番しっくりくるんだ」

デク「というか、やっぱり飯田くんの反応が人狼に見えないんだよね」

デク「皆の意見にちゃんと耳を傾けて、自分と相反する意見でも正しいと思ったらちゃんと納得する……そんな飯田くんが人狼には見えなくって」

飯田「緑谷くん……」

デク「今のままなら飯田くんを処刑出来たかもしれないけど、そうしたからって勝てるわけじゃない。生き残っても、人狼を処刑出来ないと負けるんだ」

デク「だから僕は勝つために―――飯田くんを村人と信じて、八百万さんに投票するよ」

八百万「はぁ……そうですか。それは困りましたわね。さて……」

飯田「……」

飯田「乗ったぞ、緑谷くん」

デク「!」

飯田「俺は自分が処刑されてはいけないとばかり考えて……広い視野で見ることが出来ていなかったのかも知れない」

飯田「緑谷くん、俺を信じてくれた君を信じる! 共に人狼を処刑しよう!」

デク「飯田くん……!」

梅雨「ケロ……これで2票。どうするの百ちゃん?」

八百万「……」

八百万「今、考えて……うん……そうね」

八百万「飯田さん。やはり貴方に投票しますわ」

飯田「!」

八百万「緑谷さんが私を疑っているのは、きっと本心からでしょう。人狼ならばあそこで私に矛先を向ける必要などありませんから」

八百万「私も蛙吹さんも、どちらかといえば飯田さんを処刑するような雰囲気でした。人狼なら、自分以外の誰を処刑しても同じこと」

八百万「飯田さんを処刑できそうな流れを断ち切り、かつ私から反撃される危険のある道を選ぶメリットを考えると……ええ」

八百万「どう考えてもあの場面では飯田さん処刑の方向で押すのが得策。緑谷さんは村人ですわ」

八百万「対して飯田さんは緑谷さん人狼を押していたにも関わらず、私に投票すると聞きすぐに掌を返しました」

八百万「確実に1票入る相手に投票すれば、確実に引き分け以上に持ち込めますものね。せめて貴方に勝たせることは阻止しますわ」

飯田「ぐっ……これで2対1か。だが蛙吹くん! 君は……」

梅雨「じゃあ私も飯田ちゃんに投票するわ。これで2対2ね」

飯田「!?」

デク「これじゃ引き分け……それじゃダメだ! 蛙吹さん、なんとか考え直して」

梅雨「梅雨ちゃんと呼んで。百ちゃんを理論派とすると……私は直感を大事にしたい派なの」

梅雨「百ちゃんは本当の霊能者だと思った。だから投票はしないわ」

デク「そう……お互い譲らないなら、残念だけど引き分けみたいだね」

梅雨「……ええそうね。それじゃ、終わらせましょうか」

飯田「引き分けか……望ましい結末ではないが、仕方がないのかもしれないな」

八百万「こんなはずじゃ無かったなのに……私もまだまだ未熟、ね」

デク「……ふぅ」

梅雨「……」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






オールマイト「さぁ! 議論も終わり、どう転んでも最後の投票時間!! 決着の時が来た!」

オールマイト「果たして誰が人狼だったのかな!? ゲームマスターからネタバレさせてもらうと……」


オールマイト「人狼は……この中にいる!!!」


梅雨「知ってるわ」スタスタ

~飯田の個室~


飯田「さて、八百万くんに投票しよう」

飯田「タッチパネルで『八百万百』を選び、『投票する』……と。うーむ、やはりすごい設備だ。流石は最高峰」

飯田「しかし弱ったな……特殊な能力を持たなくとも、最後にこんな選択を迫られることになるとは……全く」


飯田「村人も、わりと荷が重い役職だったのだな……」


飯田「本当にこの選択で良かったのだろうか? いや、よそう。考えたところで今更何も出来ん」

飯田「もうレールは引いてしまったのだ。俺に出来るのはその上を走り、結果を待つだけ」

飯田「悔いは無いさ。俺は友を信じた。それだけなのだから」

飯田「おや、投票が終わったようだ。どれどれ……ちゃんと2対2に……」


飯田「!!」


飯田「これは……」



投票結果―――




 緑谷出久(0)  → 飯田天哉




飯田「……」

飯田「なん……だと……?」

飯田「そうか……緑谷くんが人狼だったのだな。俺に3票集めて処刑しようと……はは、やってくれるじゃないか」

飯田「悔しいが、君の方が一枚上手だったようだ。やはり俺もまだまだだな」

飯田「しかし、大したものだな。上には上がいる。このクラスにいると何度となく思い知らされるよ。精進せねば……もっと、もっと……」

飯田「……ふふっ」

飯田「本当に……大したものだ」




飯田「―――蛙吹くん」




―――――――――――――――――――――

投票結果



 緑谷出久(0)  → 飯田天哉

 飯田天哉(2)  → 八百万百
 蛙吹梅雨(0)  → 八百万百
 八百万百(2)  → 飯田天哉




投票の結果、処刑対象が決まりませんでした。
新たに一分間の再投票期間を設けます。
あと『三回』の投票で決まらなかった場合、引き分けとなります。


―――――――――――――――――――――




飯田「緑谷くんの票変更を読み切ったのか、はたまた気が変わったのか。どちらにせよ、蛙吹くんはここにきて八百万くんに投票した」

飯田「2票と2票。予定通りだが、予定通りではない。蛙吹くんに、八百万くん……彼女達ならば当然気付いていることだろう」

飯田「感慨深いものがあるな……対立していた村人陣営が今! 最後の最後で! ようやく!!」


飯田「一つに……まとまったのだ」





―――――――――――――――――――――

再投票結果

 緑谷出久(3)  → 飯田天哉

 飯田天哉(1)  → 緑谷出久
 蛙吹梅雨(0)  → 緑谷出久
 八百万百(0)  → 緑谷出久



『緑谷出久』が処刑されました……







 【村人陣営】の勝利です!!!





―――――――――――――――――――――

今日はここまでです
ゲームは決着がつきましたが、SSはまだちょっとだけ続くのでまた明日!
多分明日

続き投下します

オールマイト「ふぅ……んん!」


オールマイト「終ッ!! 了~~~~~~~~~!!!!」




切島「っしゃああああああ!!!! なんかよく分からんが勝った!!!」

デク「油断した……何度か八百万さんに投票して様子を見るべきだった。蛙吹さんが票を変えてくることを想定すれば票変えのタイミングはもっと慎重に考えないと。少なくとも最初は一番良くないしそれに」ブツブツブツブツ

梅雨「緑谷ちゃんやめて 怖い」

上鳴「しかし最終日すごかったなー。正直、俺襲撃されて良かったぜ」

八百万「最終日の様子を知っているのですか?」

お茶子「負けちゃった人はモニターで様子を観戦出来たんだ。ずっと見てたよー! ……誰かさんに真っ先に襲撃されちゃったから」チラッ

デク「!! ご、ごめん麗日さん、やっぱりよく知った人の方が何かとやりやすかったというか、その……」

お茶子「あはは、冗談だって。全っ然気にしてないよ! 見てるのも楽しかったし!」

デク(麗らか!!)ズキューン

耳郎「それより峰田、どう考えても戦犯アンタだよね」

峰田「し、仕方ねーだろ!? まさか初日に処刑されるなんて思わねーもんよ! つか処刑するなら爆豪だろそこは!」

爆豪「うるせーよ雑魚」

峰田「!? !? みみみ緑谷ァ!」ブワッ

デク「ま、まあまあ……」

デク(今回ばかりは援護出来ない)

切島「爆豪すげぇまともだったからな。つーかやっぱ普通に村人陣営だったのな」

爆豪「そう言ってたじゃねーか。てめぇら好き勝手言いやがって」

耳郎「意外と結構ちゃんと考えてるんだよね。安直に人狼に仕立て上げようとしたのは失敗だったかな」

飯田「何気に緑谷くんにずっと投票していて、実際に人狼だったのだな。単なる私情とばかり思っていたが……評価を改める必要があるな」

デク「かっちゃんは勝負ごとだとちゃんとしてるんだよね。ちょっと乱暴だけどルールは守るし、僕なんかより頭も良いし……」

デク「私情が入ることも多いけど、考えなしにってわけじゃなくて……その……」

爆豪「お前なんかが俺をフォローしてんじゃねーよデク! とにかくこれで分かったろ! 俺は強ぇんだ!」

爆豪「次は見とけよ。一位だ。誰もが納得するような活躍を見せ付けて、完膚なきまでの一位に俺はなってやる!」

上鳴「そういうゲームだったかこれ?」

切島「違うだろうけど……それくらいやる気ってことだろ? 男らしくて良いじゃねーか!」

八百万「今回、結果的には私たちの勝ちというわけですけれど……正直なところ、勝った気がしませんわ」

飯田「すまない八百万くん。真の霊能者の君を疑ってしまった」

八百万「問題なのは疑わしかった私の方。それに人狼も当てられませんでしたし……うーん悔しい」

梅雨「百ちゃんは理論で考えすぎなのかもしれないわね。確率とかメリットとか、人の考えって案外そういうのに縛られないものよ」

オールマイト「その通り! 『メリットなど一切無いのに気付けば動いていた』なんてこと、逸話を残してきたヒーローにはよくあることだからな!」

八百万「……肝に銘じておきますわ」

デク「それにしても、蛙吹さんにはしてやられたよ。僕のミスでもあるんだけど……完全に飯田くんに投票するものと思わされたし」

梅雨「してやったわ。といっても、緑谷ちゃんが人狼って確信を持ててたわけじゃないんだけれど」

上鳴「最後の票変え、どういう意図でやったんだ? 結局あれのおかげで勝てたんだけどさ」

麗日「気が変わっちゃったとか?」

梅雨「そうね、少なくとも飯田ちゃんに投票すると言った時点で、飯田ちゃん人狼の可能性は捨ててたわ」

飯田「そうだったのか!? では何故俺に投票するなどと……」

梅雨「だからこそよ。そう言って百ちゃんに票を変えれば、飯田ちゃんが処刑されることはまず無いもの」

梅雨「百ちゃんが処刑されちゃう可能性も高かったけど、百ちゃんも少し怪しく見えてたから仕方ないわね。結局緑谷ちゃんも票を変えてくれて結果オーライよ」

耳郎「つかかなり博打よな、そのチョイス。素直に引き分け狙わないあたり」

梅雨「引き分けは、つまらないじゃない」

切島「おお……そうだな。堂々としてんな」

上鳴「とにかく、だ。勝てて良かったな! 村人陣営の勝利ってのはヒーローの勝利も同じ! 綺麗にまとまったじゃん」

耳郎「上鳴……確かにそうだけど、あんたが言う? それ」

八百万「今回、私もあまり上手く動けていなかったようですが……多分、上鳴さんよりはマシですわ」

峰田「三連続村人判定だったしよ。一回でも緑谷占えてたらもっと楽に勝てたぜ多分」

梅雨「偶然か分からないけど、女の子しか占っていなかったわね。特に理由はないけどちょっと引いたわ」

お茶子「あ! というか私、上鳴くんに占われてなかったら襲撃されずにすんで、狩人としてみんな守れたかもしれないんだ!」

切島「狩人そこかよ!!」

お茶子「うぐぐ、そう考えると悔しいよー」

上鳴「……なんかごめん。色々」

デク(改めて僕、かなり運に恵まれてたんだな……負けたけど)

ウィーン

相澤「終わったか?」

デク「相澤先生!」

オールマイト「今、終わってひと段落してたトコさ! そっちも終わった?」

相澤「ええ、とっくに。そろそろ総評を―――」

オールマイト「ああそうだな! それじゃみんな、集合!!!」

瀬呂「っし! やっと俺らにも出番が……」



――――――――――――――――――
―――――――――
―――




~放課後~




お茶子「いやー、まさか相澤先生たちのトコであんな壮絶な戦いが繰り広げられてたなんてねぇ」スタスタ

飯田「口田くんの護衛成功には驚いたな。まさかあんなところを守るとは……俺にはとても出来ん」スタスタ

デク「結果は人狼陣営の勝ちみたいだったけどね。轟くんに障子くん、それに狂人が常闇くんなんて、どう考えても強いよ」スタスタ

お茶子「それにしても……なんやかんやで、今日は楽しかったね!」スタスタ

飯田「うむ。思えばクラスで今日のように交流することなど、これまで無かったな。親睦を深める良い機会だったのかもしれん」スタスタ

デク「ヒーロー科は基本忙しいからね。相澤先生は息抜きでも遊びでもないなんて言ってたけど、そういう面も間違いなくあったと思うよ」スタスタ

飯田「敵の心理を読む訓練としても間違いなく機能していた。ここまで合理的な授業だったとは……脱帽せざるを得ないな」スタスタ

お茶子「相澤先生らしいよね。またやらへんかなぁ」スタスタ

デク「やれたら良いね! もっと色んな役職があるみたいだし、慣れてきたらクラス全員でっていうのも楽しそう」スタスタ

飯田「もちろん、俺もやりたい。痴態を晒しただけのこのままでは、終われないさ」スタスタ

お茶子「うんうん! というか……」スタッ

お茶子「最悪、休みの日とかにやっても良いよね! ヒーロー基礎学でもうやらないとしても、あそこ借りてみんなでさ!」グッ

デク「う、麗日さん結構本気だね」

お茶子「いやまぁ、だって今日は……ね? すぐ終わっちゃったし」

飯田「そ、そうだな」

デク(やっぱり気にしてる……?)

オールマイト「んんー……終わった!」

オールマイト「お疲れ、相澤くん」ポン

相澤「はい。汝は人狼なりや……この授業が本当に意味のあることだったのかは分かりませんが、無事終わりましたね」

オールマイト「うむ! ちょっと酷だが、彼らもこれで少しは『人を疑う』ことを学んでくれるといいな」

相澤「……そうですね。このゲーム事態は架空のものですが……その側面は現実に沿ったものである。それを伝えたかったんですよね?」

オールマイト「そ! 最も賢しいヴィランは、内部に潜む。考えたくはないが、我々教師陣、あるいは生徒たちの中にももしかするとそう言った者がいるかもしれない」

相澤「どんな事態になっても冷静に対処出来なければヒーローは務まらない。だからこれから共に歩んでいく仲間の『嘘』や『裏切り』に対し耐性を付けて貰おうと思った」

相澤「それが真の目的だったんですよね?」

オールマイト「その通り! うんうん……」

相澤「言わなくてよかったんですか? それ」

オールマイト「……ん?」

相澤「なかなか言わずにやけにもったいぶるなと思ってましたが……最後まで言いませんでしたね、生徒たちに」

相澤「ヒーロー基礎学を教えるメインの教師は貴方だ。どんな理由かは分かりませんが、貴方の決定に従おうと黙っていた結果です」

相澤「で、何で黙ってたんですか? それを知っていれば、生徒たちももっと気を引き締めてこの授業の意味を考えられたと思うんですが」

オールマイト「…………」

オールマイト( 忘 れ て た ! )

オールマイト(そうだ、これを生徒たちに伝えねばならなかったんだ! こうしてはいられない、すぐに皆の元へ……)

オールマイト「ちょ、ちょっとジョギングにでも行こうかな! それじゃ相澤くん、また……」

相澤「……明日でいいでしょう。活動限界、そろそろじゃないんですか」

オールマイト「あ……うん……」

相澤(ほんと……相変わらずだな、この人も)

オールマイト(しかし……言わなくて正解だったっちゃ正解だったのかもな)

オールマイト(ここ最近色々あったし、彼らには気を休める間も無かっただろう。今日くらいは気楽に過ごして貰おうじゃあないかってな。そういうことにしとこ)

オールマイト(だが―――戦いは始まったばかりだ。ヴィラン連合……彼らがいつ襲ってくるかも分からない)

オールマイト(学内に一度侵入されているのだ。こちらの情報はある程度知られている可能性が高い。それに対しあっちは未知数)

オールマイト(もし本当になんらかの個性で我々の誰かに化けることが出来るのならば……それを見抜けなければ、クラス壊滅もあり得る)

オールマイト(人を疑い、真実を見抜く。それが出来ないようではヒーローをやっていくのは厳しい)

オールマイト(今後も人狼の授業は続けていこう。疑う力を、身に付けるために)

オールマイト(そしてもちろん、それだけじゃなく―――)



 デク『僕はむしろ村人陣営だからこそのあの言い方だったんじゃないかって思ったんだ』

 飯田『緑谷くん、俺を信じてくれた君を信じる!』



オールマイト(庇う力、信じる力。これらもまた間違いなく必要なスキル)

オールマイト(え? 疑うことと真逆なんじゃないかって? そんなことはないさ!)

オールマイト(疑い、その末に信じる。これが重要ってワケだ)

オールマイト(むやみに疑い続けることも、盲信して思考停止することもない)

オールマイト(それこそがヒーロー、いや……人として、生きるために必要なことなのだ)

オールマイト(究極に信じるということは、疑わしきを乗り越えてこそ成り立つ。疑いの『更に』『向こうへ』……ってね)

オールマイト(頑張れよ少年少女! 君たちならやれる! きっとやれる! ……何故って?)






オールマイト(私が信じた!!!)








ストーリーはこれで終わりです
けどすいませんまだちょっと残ってます
明日「おまけ」として今回の人狼ゲームの裏側、夜における各役職の思惑を投下して完全に終わりたいと思います
本当はそこまで今日まとめて投下したかったのですが、書き溜めが間に合わず無理でした
明日の夜までにやっときます

投下します
人狼ゲームの間、役職持ちの人々が夜の間何を考えていたのかって感じの内容のおまけです
山も谷もオチも無いですがこれで最後です

THE OMAKE

各役職の裏側


~一日目、夜~


【人狼】


デク「人狼か……ある意味一番難しい役職だね。峰田くん、よろしく」

峰田「なんだ緑谷かよ。どうせなら女子と組みたかったぜ」

デク「ご、ごめん……それより、どうする? 僕としては騙りは狂人に任せるのが得策だと思うんだけど」

峰田「いいんじゃねえか? じゃあ基本的には何も騙らない方針で、やばそうなら騙るって感じか」

デク「うん、臨機応変に。処刑されそうになったら狩人を騙るとか良さそうだね。狩人がその時点でいなかったら、立場を奪えるかもしれない」

峰田「とにかくまずは怪しまれずに生き残ることだな。自慢じゃないがオイラはあまり信用されてないからフォローは任せたぜ」

デク「えぇ……が、頑張るよ」



【狂人】


耳郎「狂人か……人狼にこそならなかったけど結局人狼陣営なわけね」

耳郎「普通に占い師騙ろっと。いきなり人狼判定……も悪くないけど、やっぱ最初は村人判定にしとこ」

耳郎「相手誰にしよ。人狼に村人判定出せたらベストだけど、まだ誰が人狼かとか分かるわけないし……んー」

耳郎「飯田でいっか。あとは適当な理由付けて、それっぽく見せればオッケーよね?」

耳郎「『個性』使えればなー。人狼の会話も余裕で聞けんのに。仕方ないけど」

【霊能者】

八百万「私が霊能者ですのね」

八百万「ひとまず潜伏しましょう。処刑も襲撃もされないよう出来る限り目立たないようにすれば、問題ないはず」

八百万「狩人には占い師の護衛に専念してもらいますわ。早々に占い師がいなくなってしまえば、勝つのはかなり難しいですし」

八百万「最も非現実的と言える役職ですが、全力を尽くしますわ!」


【狩人】

お茶子「お、狩人! カッコイイやつ!」

お茶子「初日はオールマイト先生が襲撃されるから誰も守れへんし、本番は次からかな」

お茶子「それまでにやられんようにせんなんけど……大丈夫かなぁ?」


【占い師】

上鳴「主役きた! うっわマジかよ嬉しいけど……やれるか?俺に」

上鳴「いや、やってやる。個性のせいでアホだと思われてるフシがあっからな。この風評被害を払拭して、名誉挽回といくか」

上鳴「まず占うのは……んー……うらなう……うらら……麗日?」

上鳴「ってダメだろこんな決め方! ……つっても、直感って結構大事だよな。どれ……」タッチ

上鳴「あー……やっぱ村人か。そう上手くはいかねーよな。しゃーねぇしゃーねぇ」

上鳴「占った理由、後付けだけどもうちょいマシなの考えとくか。流石にこれはちょい無いわ……ん?」

上鳴「そういや俺が占い師だってこと、いつバラせば良いんだ? よく考えたら人狼見付けてからの方がいいんじゃ」

上鳴「ま、その辺の話も出てくるだろ。成り行きだ成り行き」

~二日目、夜~


【人狼】

デク「峰田くぅぅぅぅぅぅぅん!!!!!!!」

デク「ああどうしよう、まさかとは思ったけどまさかいきなりまさか……や、やばいぞこれは、かなり」

デク「隙があるとすれば、霊能者。今日出てこなかったし、オールマイトがそうだった可能性もある」

デク「明日も出てこないようなら、なんとかその立場を乗っ取って生き残りたいな。失敗して他に霊能者が出てきたら確実に詰みだし、慎重に……」

デク「そのためにも今日は霊能者候補を襲撃しよう。候補は多いけど、やっぱり麗日さんが無難かな」

デク「処刑候補から外れてる分生き残る可能性が高いと見て霊能者であることを隠してるかもしれない。狩人かもしれないしね、うん」

デク「飯田くんは……耳郎さんに占われたことを言われた時のあの反応」

デク「『村人だった』に対し『合っている!』って言葉がすぐに出てくるのは、本当にただの村人だからじゃないかな。根拠としては薄いけど、すごくそれっぽい」

デク「とにかくここは麗日さんを襲おう。八百万さんや蛙吹さんも霊能者っぽい気もするけど……占われたら終わりな今、占い先の候補を減らすのは危険だ」

デク「本当は占い師を襲撃出来れば一番なんだけど……二択外して狂人襲っちゃったらおしまいだから無理は出来ないな」

デク「うう……き、緊張してきた。とりあえず……麗日さんごめん!!」


【狂人】

耳郎「上鳴が本物の占い師ね。基本アホだしなんとかなるかな?」

耳郎「さて、占いどうしよっかねーっと。誰が人狼か分かんないけど、そろそろ人狼判定出しとくか」

耳郎「峰田の次に票入ってた爆豪ならすんなり処刑出来そうかな。もしマジで人狼ならこれはもう仕方ないよね?」

耳郎「これで人狼もウチが狂人って気付くはず。ちょっとはフォローしてくれんのかな?」

【霊能者】

八百万「とりあえず処刑は免れましたわね。順調順調。さて、露骨に怪しかった峰田さんの霊能結果は……」

八百万「じ、人狼!? あ、アホですの……?」

八百万「とにかく、これで人狼はあと一人ですわ。明日すぐに報告を……いや」

八百万「敢えて少し待ってみましょう。最後の人狼を誘い込めれば、私諸共処刑させることも可能ですわ」

八百万「……占い師、上鳴さんかしらね。峰田さんに投票してますし……いやでも狂人なら誰が人狼か分かりませんし、人狼でもあそこまで怪しければ身内切りの線も……」

八百万「まだ中立でいましょう。確信が持てるまでは、中立で……」


【狩人】

お茶子「占われちゃった。おかげで処刑はされずにすんだけど……もしかしてこれって襲撃されやすいってことなんかなぁ」

お茶子「まいっか。どのみち狩人ってことは秘密だし、私の仕事は占い師を守ること!」

お茶子「となると守るのは上鳴くんだよね。今のところ偽者要素ないもん」

お茶子「流石にいきなり占い師は襲わないかな? あえてデクくんとか全然関係ないとこ守るって手も……」

お茶子「無いよね。もし護衛成功してもかえってややこしくなるかもだし、大人しく占い師守ろう」

お茶子「占い師を守れたら私ヒーローだよね! えっへへ、活躍できるといいなー」

お茶子「もし活躍出来たら、父ちゃんと母ちゃんに話すんだ。私の学校での話、楽しみにしてるし! いい土産話、できるかなぁ」


【占い師】

上鳴「耳郎が偽者て……マジで人狼なんじゃねーか? すげぇなランダム」

上鳴「偽者ならそろそろ適当なやつに人狼判定出してくるはず。俺も人狼見つけてやっと対等って感じか……さて」

上鳴「占い対象は八百万! 発言力があって強いから! どうよこれ!」タッチ

上鳴「む ら び と!! くっそもうダメだ俺これ完全に役立たずだわやだやだ」

上鳴「誰かぁ!! 代わってくれぇ!!!」

~三日目、夜~


【人狼】

デク「よし、耳郎さんが狂人。思ったほどかっちゃん怪しく見せられなかったけど……これならなんとか、うん」

デク「それにしても危なかった……八百万さんが霊能者だったんだね。もう少し出るのが遅かったら僕が出ちゃってたかも」

デク「とはいえここで八百万さんを襲撃する意味はない。もう霊能者としての仕事は終わってるし」

デク「耳郎さんがほぼ偽者確定で見られることになりそうだし、いっそここで上鳴くんを襲うか? いやでももし狩人が生きてたら……うーん」

デク「麗日さんかかっちゃんかオールマイト。誰かが狩人だった可能性もあるけど、まだ怖い。個人的に狩人っぽいのは切島くんかな」

デク「八百万さんが人狼って主張する余地を残しておくためにも、ここは切島くんを襲撃しよう。ここで僕が占われていたらキツいけど、祈るしかない」

デク「切島くんを占ってくれてたら理想的なんだけど、どうかな……」


【狂人】

耳郎「あー……飯田かな? 人狼。だとしたら初日かなり良い仕事したっぽいよね」

耳郎「ま、人狼が誰だろうと今出来る主張は一つ。八百万は偽物ってことにしないとウチ破綻じゃんこれ」

耳郎「上鳴狂人、八百万人狼って風に見せるのがやりやすいかな。最悪ウチは処刑されてもいいし、人狼が最終日頑張れるように出来るだけ主張しないと」

耳郎「にしても峰田あいつ……マジか」

耳郎「マジか……」

【霊能者】

八百万「終わらないということは……やはり、爆豪さんは村人でしたか。耳郎さんは偽確定ですわね」

八百万「明日は上鳴さんが人狼を見つけられたらその人を、そうでなければ耳郎さんを処刑、といったところでしょうか」

八百万「問題は明日の耳郎さんの行動ですわ。恐らく私を占い、人狼だったと主張してくるはず」

八百万「苦し紛れですが、万が一それを信用されるようなことがあっては困りますわね。強めの口調で否定して、隙を見せないようにしませんと」

八百万「最後まで油断大敵、ですわ!」


【占い師】

上鳴「蛙吹が怪しい」

上鳴「飯田はともかく耳郎まで占い候補に入れようとするか普通? 思いついたこと言っちゃうタイプだから単なる失言ってのもあるが……これは人狼とみた」

上鳴「自分が占われない確率を上げようと範囲を広げに来たに違いねぇ。やっとだ、やっと人狼見つけ……」タッチ

上鳴「村人だった!!! ああああ……マジかよ……」

上鳴「となると切島か飯田か緑谷……やっぱ飯田か? 耳郎信じてるしよ」

上鳴「つーか俺明日まで生きてんのか? 生きてたとして、どんな顔して出てきゃいいんだ?」

上鳴「やべぇ。戦闘訓練よりよっぽど過酷に思えてきた。こえーよ雄英の授業……マジでこえー」

~四日目、夜~


【人狼】

デク「なんとかここまで来れたけど……依然として危ない状況であることに変わりはない。とりあえず今日は上鳴くんを襲撃しよう」

デク「上鳴くん以外を襲撃すると勝ちは無くなる。僕と飯田くんのどっちが占われても上鳴くん視点で僕が人狼だってバレるから……」

デク「八百万さんと上鳴くんは確実に僕に投票してくる。そうなるともう一人をうまく味方に付けても引き分けにしかならない。やっぱりこの選択は無いよね」

デク「狩人が生きてたらもう諦めるしか無いけど……うまく襲撃が通ったら、十分勝ちの目はある」

デク「恐らく明日は僕か飯田くんが人狼、って流れになるはず。一方的な展開にはならないだろうし、これまでの発言とかを考えても多分五分と五分って感じかな」

デク「飯田くんの怪しい所はいくつか考えてある。このまま普通にやってもうまくいけば飯田くん処刑で勝てるだろうけど……もう一つ、道はある」

デク「チャンスは僅か。八百万さんと蛙吹さん、2人の意見が飯田くん人狼に傾いた時。そこで……八百万さん人狼を主張する」

デク「僕が疑われてる状況でそれを言うのは絶対ダメだ。処刑逃れの矛先逸らしにしか見えないし、間違いなく総攻撃にあう」

デク「でも飯田くんに矛先が向けられている時なら、きっとイケる……はずだ」

デク「飯田くんから見れば救世主。きっと僕の提案に乗ってくれると思う」

デク「八百万さんから見れば『メリットの無い行動』。深く考えてくれて、うまく嵌ってくれればいい」

デク「問題は蛙吹さんかな。どう行動するか読めないけど……八百万さんに投票してくれる可能性もきっとある。このやり方ならきっと、うん……イケる!」

デク「普通にやるのとどっちの方が良いのかは分からないけど、『僕か飯田くんか』って二択の状況から『八百万さん』を加えた三択になってくれるんなら、そっちの方がいいはずだ」

デク「ここが正念場だ。峰田くん、耳郎さん……処刑されていった2人の意思を僕は背負ってるんだ」

デク「ワンフォーオールだ。彼らのためにも―――」


デク「勝ってみせる!」

【霊能者】

八百万「耳郎さんは村人……狂人ね。流石に彼女が人狼で終わりとは思っていませんでしたけど」

八百万「こうなると候補は緑谷さんか飯田さんか……難しいですわね。どちらが人狼の可能性もありますわ」

八百万「狩人が生きてさえいれば、念のために私を処刑してからでも人狼を処刑する余裕がある。勝ち確定ですけれど……」

八百万「まぁ、そう上手くはいかないでしょうね。恐らく上鳴さんは明日にはいないでしょう」

八百万「今日の処刑を考えても、蛙吹さんは比較的私の味方に位置している。彼女の意見にも耳を傾けつつ、判断を下さなければいけませんわね」

八百万「流石に私を処刑する流れには……なりませんわよ、ね?」


【占い師】

上鳴「飯田だ! 飯田を占うぞ!! うおおおおおおお!!!!」タッチ

上鳴「村人だった。ははっ」

上鳴「最後までこうかよ……まぁいい。これで緑谷人狼で確定だ。明日生きてりゃ村人陣営の勝ちってわけだ」

上鳴「頼むぞ狩人……昨日あれだけ俺を守れっつったんだから……」

上鳴「あ!!!」

上鳴「フリじゃねーからな!? 絶対守れってのは、マジのやつで……っべー、伝わってるかな?」

上鳴「……ま、いいか。心配ばっかしてても仕方ねー」

上鳴「泣いても笑ってもこれが最後。気楽に構えとくかな」

上鳴「ウェーイ。ウェイウェーイ」ヘラヘラ



そんなこんなで最終日、>>48へ……


THE OMAKE 完

以上です
ヒーローアカデミアはSSこそまだ少ないですが、魅力的なキャラがかなり多い作品だと思ってます
A組の面々はもちろん、他のクラスの生徒たち、教師陣、その他のヒーロー、ヴィラン等、本当に個性的なキャラだらけです
アニメ化したらSS増えるかな

読んでくれた方ありがとうございました!

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