【ミリマス】瑞希「月の誕生日」 (44)

ミリオンライブ、真壁瑞希の誕生日SSです

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「瑞希ちゃん、お誕生日おめでとう!」

パンッパンッ、とクラッカーの音が少しずつズレて何度も鳴ります

「みなさん、ありがとうございます」

本日は私の誕生日です、なんと水瀬さんの計らいで水瀬さんのお家で765プロのみなさんが誕生日パーティーを開いてくれました

いろいろ料理が用意されていて好きにとって食べてする形式のようです、誕生日会というよりは会食のような…?


考えても仕方ないのでとりあえず私も何か食べることにします、おでん、ピザ、おにぎり、ボルシチ・・・より取り見取りです

何でもデザートにはコーヒーゼリーもあるそうです。・・・楽しみだな

「もがもが~!もぐもぐ!」

色々とご飯を見繕っていると後ろから声をかけられました

振り返ると手に持ったお皿一杯に料理を乗せた春日さんが口をもごもごさせていました



「春日さん、食べながら話すのはやめましょう」

「もが?・・・んぐ・・・ふー・・・あー!美味しかった!」

「それは良かったですね」

相変わらず子犬のような子です、思わず頭をなでなで・・・


「わわわっ・・・瑞希ちゃん恥ずかしいよ~きゅ、急になに~?」

「なんでもないので、気にしないでください、なでなで」

「もう~・・・」

さて、好きなだけなでなでしたのでそろそろ離してあげましょう

そういえば最初私に何か話しかけてきていたような?


「そういえば春日さん、私に何か言いかけてましたけど、何か御用ですか?」

「あれ?そうだっけ?」

「はい、確か」

「う~ん・・・そういえば何か言おうとしてたような・・・なんだっけ?」

そのまま春日さんはうんうんと唸ったまま何処かへ行ってしまいました。・・・何だったのでしょう


・・・・・・


「瑞希さん!ビビッとハッピーバースデー!イェイ!!パーティー楽しんでる?杏奈はさいっ・・・こうに楽しんでるよ!」

「望月さん、ありがとうございます、私もビビッと楽しんでます。・・・イェイ」


・・・・・・

・・・・・・


「ミズキ!今日のためについさっき完成させたロコアートがあるんです!後でミズキにみせてあげますね!!」

「伴田さん、ありがとうございます、お礼に私も鳩を使った新しいマジックをお見せしましょう」

・・・・・・


その後もいろんな人にお祝いしてもらい色々なプレゼントをもらいました、しかし少し歩き回ったので疲れました、お手洗いに行くついでに一休みしましょう

料理を運んでいるメイドさんにお手洗いの場所を聞きます、本物のメイドさんを初めて見ました。・・・流石お金持ち

廊下を歩いている途中窓の外を見ると日はすっかり沈んでいました、パーティーが始まったのは夕方あたりでしたから結構時間がたっていたようです、お月様も見えます

最近、月を眺めるのが日課になりました、先週から昨日まで雨が続いてしばらく月が見れなかったのですが、今日は晴れて雲一つなく綺麗に月が見えます


先週の貴音さんの誕生日にも雨が降っていて、『今宵は満月、しかしこの雨のせいで見れなくて少し残念です』と貴音さんが言っていたのをよく覚えています

「あー!瑞希さん見つけましたよ~!」

月を眺めていると後ろから声をかけられました、この元気な声は・・・

「あんた今日の主役のくせになんでこんなところでボーっとしてるのよ」

「高槻さん、それに水瀬さんこんなところでどうしたんですか?」


「それはこっちのセリフよ」

「わたしたち瑞希さんを探してたんですよ~?」

「それはまた、すいませんでした」

そういえばせっかくお家に招待していただいたのにあまり話せていませんでした、本来私から探してお礼を言わなければいけませんでした・・・不覚です


「なんで謝るのよ・・・相変わらずあんたはどっかズレてるわね・・・まあ、いいわ」

そういうと水瀬さんは手に持っていたバッグから何かを取り出しました

「ほら、やよいあんたも出しなさい」

「うん!よいしょ・・・」

高槻さんも同じように肩から下げてるポシェットからなにやら紙袋を取り出します


「はい、瑞希さん!お誕生日おめでとうございま~す!これどーぞ!」

「こっちはわたしからよ、ありがたく受け取りなさいよね」

そういって二人が差し出したものを受け取ります、水瀬さんからもらったものはプレゼントラッピングされた手のひらに収まるくらいの平たい箱で高槻さんからもらったものは少し厚みのある紙袋のようです、これは一体なんでしょうか?

「外側ばっかり見てても中身はわからないわよ、ちゃっちゃとあけてみなさい」


それもそうですね、言われた通りに袋を開けて中身を見ます、まずは水瀬さんの分

ラッピングを外し箱を開けると中に入っていたのは一組のトランプでした、ただし絵札がすべてリトルミズキで描かれているオーダーメイドです

「あんた手品好きでしょ、特別丈夫に作ってあげたんだから大事に使いなさいよね」

「ありがとうございます、水瀬さん・・・大事に、使わせてもらいます」


次は高槻さんにもらった紙袋を開けます、中にはオレンジ色のパーカーやワンピースなど人形用の小さな服が入っていました

「何か瑞希さんにプレゼントしたくて、いっつも一緒に居るリトルミズキちゃん用の服をあげたらうれしいかなーって思って余った布とかを使って作ったんです!わたし、お裁縫は得意なんですよ~!」

なんとわざわざ手作りしていただけるとは、感激です・・・良かったね、リトルミズキ

「ありがとうございます、高槻さん、リトルミズキも喜んでいます、このとおり・・・『アリガトウネ!』」


「あんたどっから出したのよその子・・・」

「トップシークレットです」

「ああ、そう・・・まあいいわ、それじゃあ渡すものも渡したし私達は戻りましょうか」

「うん、そうだね!それじゃあ瑞希さん、またあとで!」

「そういえば、あんたさっきボケっとしてたけど、疲れたのなら少し夜風にあたってきたら?・・・それじゃあね」

なるほど、いいことを聞きました、とりあえずお手洗いに向かってから中庭に行ってみましょう


・・・・・・


上着を羽織り、中庭に出ると外はもう真っ暗でした

月明かりを頼りに座れる場所を探します、流石にお金持ちのお家だけあってお庭もとても広そうです、なんと都会の真ん中にも関わらず綺麗な星が見えます

しばらく星を見ながら歩いていると少し開けたところに出ました、お茶会を開いたときにでも使うのかベンチと近くに椅子とテーブルもあります

ベンチには先に誰かが居て座って空を見上げていました


ここから顔は見えませんが、あの銀髪は見間違えようがありません、貴音さんです

劇場の屋上でもよく貴音さんが月を見上げているのを見かけます、いつも思うけど綺麗だなぁ・・・

「・・・そこでずっと立っているのもなんでしょう、あなたもこちらへ来て良いのですよ」

ドキッ、見ているのに気づかれていたようです


「こんばんは、貴音さんも夜風に?」

「いいえ・・・わたくしはここで貴女を待っていたのですよ、瑞希」

なんと、気まぐれで来たのになぜ私がここに来ると分かったのでしょうか・・・エスパー?

「ふふっ・・・じょーくです、月を見にたまたまここに来ただけです」

ジョークでしたか、ビックリしました


「立ち話もなんですし、どうぞ瑞希、こちらへ」

貴音さんに促され隣に座ります、貴音さんの方を見るとまた空を見上げて月を見ているようでした

私もならって月を見ます、月はさっき窓から見ていた時から少し動いていました、ほとんど真上です

・・・おや?・・・・・・何か違和感があるような?・・・むむむ


「どうかしましたか、瑞希?」

「いいえ、特に何がというわけではないのですが妙な違和感が・・・」

相変わらず空には大きくて丸いお月様が浮かんでいます、都会にしては珍しく星の光も見えます

隣の貴音さんも少し首をかしげてこちらを見ています、白銀の髪が月光に照らされキラキラと輝いていてとてもきれいです

それ以外は特に変わったものはありません・・・この違和感の原因は何なのでしょう?


何が引っかかってるのかもう少しでわかりそうなのですがなかなか出てきません、なんだかもやもやします

「瑞希、あまり深く考えずともふとしたきっかけで気付くこともありますよ」

そういうものでしょうか?・・・確かに今考えてもわからなそうなので考えるのはやめましょう

「さて、瑞希」

話を区切るように貴音さんはパンッと一つ手拍子を打ちました


そういうと貴音さんは隣に置いていたバッグから箱を取り出しました、箱の中には内側から淡い青色の光を発している小さな石がついたチェーンのブレスレットが入っていました

「これを、私に・・・?」

「ええ、受け取っていただけますか?」

「もちろんです、ありがとうございます」

受け取ったブレスレットに付いた石は月光を浴びて柔らかく穏やかな輝きを放っています・・・


この石はブルームーンストーンですね」

「はて?その石はぶるぅむぅんすとぉんというのですか?」

し、知らずにプレゼントしたのですか、流石です

「申し訳ありません、瑞希・・・何分あくせさりぃをぷれぜんとするのは初めてでして・・・一目見て貴女に似合いそうだと思いそのままの勢いで・・・つい」


「いいえ、謝らないでください貴音さん、とてもうれしいです」

「そう思ってもらえるのならばわたくしの気も楽になります、しかしむぅんすとぉんとは何とも親近感のわく名の石ですね」

「ムーンストーンは月の満ち欠けで大きさが変わるとも言われてるほど月と縁の深い不思議な石です、もしかしたら貴音さんが惹かれたのもそういうところからなのかもしれません」

「なんと!月の満ち欠けで大きさが・・・面妖な」


それにしても見事なブルームーンストーンです

現在ブルームーンストーンは原石が採掘できなくなったため、市販で流通しているもののほぼすべてがムーンストーンとは別のぺリストライトという大変よく似た鉱物です

まあ、二つの石の見た目の違いは内側から光っているか外側が光っているかの違いぐらいなので大したことではないのですが・・・値段以外


「瑞希、よろしければつけてみてはくれませんか?」

ショックから立ち直ったのか貴音さんがうずうずした様子でそう言いました

私は受け取った箱からブレスレットを取り出し手首に巻いてみます、ムーンストーンの作用でしょうか、付けたらなんだか安らかな気持ちになってきました

手首を返しムーンストーンを見ます、内側から淡く青く光る手元の宝石はまるで小さな月のようです、空に掲げて月と並べてみると月が二つになったように見えます


「やはりよく似合いますね」

貴音さんは嬉しそうにそういってくれました、なんだか照れます

「時に貴音さん、これは一体どこで?」

「ふふっ・・・トップシークレットです」

・・・そうきたかー


「ふぁ・・・」

うむむ・・・今日は一日いろんな人にお祝いしていただいたりいろいろあったせいでしょうかなんだか眠たくなってきました・・・

「何やら眠たそうですね、瑞希」

むむ・・・なんだか遠くから貴音さんの声が聞こえます・・・これはいけません、本格的に寝てしまう前にお屋敷に戻らないと・・・風邪を・・・

ぼやーっとする頭で立ち上がろうとすると何かに引っ張られてそのまま横にコテンっと倒れてしまいました、なんだか柔らかい感触・・・・・・

「瑞希、焦らずとも大丈夫ですよ、しばしわたくしの膝を貸してあげます」

貴音さんの体が暖かいからか真冬の一月のはずがなんだか身体があったかいです、いよいよ意識が途切れそうです

重い瞼を持ち上げて何とか半分ほど目を開きます、仰向けに倒れてしまったのか優しく微笑んでいる貴音さんとこれまた柔らかな光を放っている満月が見えます


あ・・・なるほど・・・さっき感じた違和感の正体がわかりました・・・・・・

伊織さんが言っていたように本来先週の貴音さんの誕生日は満月でした、一週間で月の満ち欠けが一巡することは絶対にありません

それにさっきお屋敷の窓から見た月は綺麗な半月でした、それならば今見えているこの月はいったい・・・?


「貴音さん・・・あの月は・・・?」

何か知っているのではないかと貴音さんに聞いてみます、貴音さんは私の頭をなでていた手を離すと人差し指を立て自分の口の前にもっていきました

「・・・・・・」

貴音さんは何かを言うと私の視界を手で隠しそのまま瞼を閉じさせました、あまりにも心地よくてもう意識は持ちそうにありません

最後の言葉、声はほとんど聞こえませんでしたが口の動きでなんといったかはわかります

・・・そうきたかー


・・・・・・


「・・・っ!・・・き・・・・・・さいよ!」

うーん・・・誰かに肩を揺すられています・・・安眠妨害です・・・

「ほらっ!瑞希、起きなさい!」

む?この声は水瀬さんの声です、そういえばここは水瀬さんの家で私の家ではありませんでした、起きなくては


「あ、やっと起きた」

「おはようございます、水瀬さん」

「はい、おはよう・・・じゃないわよ!なんで主役のあんたがぐっすり寝てるのよ!」

周りを見回すと私はどうやらお屋敷の何処かの客室で寝ていたようです、貴音さんが運んでくれたのでしょうか?・・・意外と力持ち


部屋の時計に目を向けるともうすでに9時を回っていました、どれくらい寝てたんでしょう

「そういえば水瀬さん、パーティーはどうなりましたか?」

「ちょっと前に解散してみんな帰ったわよ?全く・・・主役不在のまま終わりだなって開いた方の面子も考えてほしいわね」

それはとても悪いことをしました・・・すいません


「別に謝んなくてもいいわよ、今日はあんたの誕生日なんだから」

水瀬さんには本当にお世話になりっぱなしです、このご恩はいつか返さないと、ぐっ

「そういえば貴音さんも帰ったのでしょうか?運んでもらったお礼を言いたいのですが」

「貴音?貴音ならもう帰ったわよ」

そうですか・・・残念


「なんだか機嫌よかったみたいだけどあいつとなにかあったの?」

「お誕生日を祝っていただきプレゼントをもらいました、それ以外は特にはなにも」

「まあ、いいわ、今日は綺麗な月が見れてあいつも満足なんでしょう、半月なのがちょっと惜しいけどね」

あの月が何だったのかはわかりませんが、どうやら私達だけがあの月を見れたようです


「さあ、あんたもそろそろ帰らないと家族が心配するでしょ?新堂に送らせるから支度しなさい」

そういって水瀬さんは部屋を出ていきました、私もついて行こうとベットを降ります

その時シャラっと音がしました、巻いていたブレスレットがこすれる音でした


不思議な時間でしたが夢ではなかったようです、ブレスレットに付いたムーンストーンが優しく照明の光を反射し青く輝きます

この輝きを見ていると貴音さんとあの月を見ていた時の安心感を思い出します

月光にかざしたあの時から私にとってのもう一つの月になってくれているのかもしれません

今日は765プロのみなさんのおかげでとてもいい誕生日でした、ハッピーバースデー、瑞希




END

というわけで終わりです
誕生日SSなのに当日に書き始めて結局一週間たってようやく投稿とかいう無残なことになってしまってPとして大変情けない・・・
HTML化依頼に行ってきます

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