奴隷妹「おねえちゃぁん…あたしたちこれからどこに行くの…?」
奴隷姉「分からないわよ…」
兵士「黙って歩け!!」
妹「きゃっ」ビク
兵士「余計な口を開くな」ギロ
妹「ひぇっ…」ビクビク
姉「ほら、言ったでしょ…余計なことはなんにも喋らなくていいの…」
姉「私達は、黙って王の命令を聞いていればいいんだから…」ギリッ
妹「ふえぇ…」グス
兵士「おら、しっかり歩けお前ら!列が乱れてるぞ!!」
奴隷「はい」
妹「どうしてみんな、いうこと聞いてるの…?」
兵士「お前たち…」
妹「うぅぅぅ……このジャラジャラじゃまだよぉ…」
姉「皆つけてるのよ、我慢して…」
兵士(なかなか美人姉妹じゃないか…こいつらを王に差し出しでもすれば…)
兵士(出世できるかも…)
姉「ほら、泣かない泣かない」
妹「おねえちゃぁん…怖いよぉ…」
妹「お姉ちゃん……」ギュウ
姉「怖くないよ」ヨシヨシ
兵士(ぐ……)
兵士(なんか……やっぱりやめとこう…)
兵士(数え切れないくらいの人間を殺してきた俺にも、
まだ良心が残ってやがったか……)
姉「ほら、着いたわよ」
妹「ここ、どこ?」
姉「今日から私達が住むところ…」
妹「えっ…こんなボロボロなおうちにすむの…?」
妹「あのあったかいやつは?火がいっぱい出るのないの…?」
姉「前のおうちにはあったけどね、ここにはないの」
姉「暖炉、妹好きだったよね…ごめんね…」
妹「お姉ちゃんがいるから、がまんすう…」グス
兵士(あーもうっ…くそお…!)
そしてその夜
兵長「奴隷たちのいる牢を、きちんと警備するように」
兵士達「はい!」
兵長「では、あの牢の警備は……」
兵士「あの、俺、やります」
兵長「そうか。頼むぞ」
兵士「はい」
兵士(できるだけ、いい人んところに届けてやりたいな…)
妹「寒いよぉ…」フルフル
姉「私のカーディガンあげるから…」ファサ
妹「うわぁ…あったかーい」キャッキャッ
姉「ふふ」ニコニコ
妹「お姉ちゃん、絵本読んでー」
姉「おうちを出るとき、一冊だけでも持ち出すことができてよかったわね」
妹「うん!」
兵士(ほほえましいな…)
兵士「お前たち、何を読んでいる?」
妹「きゃっ…」ビク
姉「!!」ビクッ
兵士「そんなに怖がらなくてもいい。俺は、ここの係の兵士だ」
妹「え…でも、兵隊さんって、人を殺したりするんでしょぉ…」フルフル
兵士「俺は、指示が出されなければそんなことはしない」
姉「本当ですか?」
兵士「本当だ」
姉「あなたは、何だか他の兵士と違って、横暴ではないのですね」
兵士「そうか?お前は、怖くないのか?」
姉「周りの兵士は怖いですけど…あなたは、
何だか良心を持ってくれてそうな気がします」
兵士「はは。でも、お前たち奴隷がこの牢を抜け出そうものなら、
一発で仕留めてしまうんだぞ」
姉「……」ジー
兵士「ふ、普段はしないさ」
姉「冗談ですよ」
兵士「しかし、親はどうしたのだ?他の子供は、家族と固まっているのに…」
兵士「一緒に連れ出されなかったのか?」
姉「親は……」
姉「母親は、妹が生まれた後に夜逃げしてしまって…」
兵士「…!」
姉「父は、ここの兵士たちの兵長を務めています…」ギリ
姉「あはは…自分の父親が兵士だなんて…私は奴隷で…
皮肉なものですよね」
兵士「す、すまない…余計なことを聞いた」
姉「いいんです。もとからあんな両親、信用なんてしていませんでしたから」
姉「私が小さい頃からずっとそう…」
姉「だから、私、妹を連れて異国に旅立とうって、思ったんです」
兵士「それでこの国に…」
姉「はい、捕まってしまったんです…」
姉「こうなってしまったのは、私のせいなんです。
意地を張って家を飛び出して…異国に逃げたらこんな結果に…」
姉「妹まで巻き込んでしまって……本当に私は、わたしは…」グスッ…
兵士「な、泣くな…!おい…」オロオロ
姉「すいません…急に取り乱してしまって…」グス…
兵士「あ、あぁ…」(目が腫れてる…)
兵士「ところでお前は…見たところまだ随分若い娘ではないか?」
兵士「たった2人で…よくここまで来れたな」
姉「地元に空港があるんです。とても、小さいですけど…」
兵士2「おーい、何しゃべくってんだ!兵士!もう消灯だぞ!!」
兵士「す、すまん!すぐ指示する!」
兵士「ふぅ…お前たち、今日はもう寝ろ。俺と話してたのがバレたら
とんでもないことになってしまうからな」
姉「兵士さん…」
兵士「とはいっても、話しかけてきたのは俺のほうだったな。すまない…。
もう迂闊に兵士とは話さないほうが話してはいけないぞ…」
姉「は、はい……」
妹「お姉ちゃん、眠いよぉぉ…」ムニャ…
姉「さぁ、もう寝ようね」
妹「おやすみーー……」クー
姉(あの兵士さん…何だったんだろう…)
姉(でも、優しい人が係でよかったな…怖い人だと、
何されるか分かんないし…)
姉(でも、油断はできない…。引き取られるところだって、
私はともかく…妹の安全が完全に保障できる人のとこじゃないと…)
姉(自分がどうなろうと…この子だけは私が守ってあげなきゃ…!!)
チチチチチ……
妹「んにゅーー…もうあさぁぁ…?」ノビー
姉「おはよう、妹。よく眠れた?」
妹「ううん…。枕もベッドもないもん…かたかったぁ…」
姉「そう……」
妹「言うこと、聞くっ…。あたし、兵士さん達の言うこときくよ…!」
姉「いい子……」
妹「えへへ…」
兵士2「ほら」ポン
妹「はわわっ」ハシッ
姉「それ、何?」
妹「パンかなぁ?」
姉「きっと、兵士さんが貰ってきてくれたのね」
妹「分けよう、お姉ちゃん」
姉「そうね。兵士さん、ありがとうございます…」
兵士2(慈悲深すぎるだろ…あの姉妹…)
妹「おいしかったぁー」
姉「そうね」
妹「お姉ちゃん、絵本読んでーっ」
姉「また?」
妹「だってこの絵本面白いんだもーん!」キャッキャッ
男「……ん?」
男「この奴隷市…やっぱりひどいなぁ…」
男「こんな…市民をひっ捕らえて奴隷にして売り捌くなんて…」
男「と、いいつつも…」
男「ちょっと気になる自分が虚しい…」
男「……あれ?この子達…」
奴隷商「どうかいたしましたか?」
男「いや、この子達がちょっと気になって…」
奴隷商「あぁ、その娘達ですかい?」
男「確か、1週間くらい前に見に来たときはいませんでしたよね?」
奴隷商「お客さん、お目が高いねぇ。この娘達は昨晩入荷したんだよ」
男「へぇ…そうですか…」(入荷なんて、んな言い方……)ムカッ
奴隷商「見て御覧なさい、お客さん。あの娘達を。綺麗な黒髪を
しているでしょう。」
男「それが、どうかしたんですか?」
奴隷商「おや、お兄さん、知らないんですかい?身なりから見る限り、
お兄さんも異国のビジネスマンって感じだねぇ」
男「はあ、ちょっと隣国で働いてるただのサラリーマンですが…」
奴隷商「隣国の人だったんかい。へーえ。あの国は今豊かだかえらねえ…
羨ましいよ」
奴隷商「この国は…少しばかり荒れてるモンでね」
男「はい、なんか見れば伝わってきます…。市民を全然…、
見かけないものですから」
奴隷商「おっと、話が逸れちまった」
奴隷商「あの娘達の毛色…どう見てもここらでは見かけませんでしょう」
男「はい。そうですね…」
奴隷商「おそらく、異国で2人旅でもしていたのでしょう。
何年か前から見かけているもんでね、多分ここ数年の間
この街に住んでいたんでしょう」
奴隷商「または…混血ですな」
男「は、ハーフ、ですか?」
奴隷商「ええ」
奴隷商「普通黒髪はアジア系の人種ですからな。でも、顔立ちは
どうも欧米系の血が混じっていないとも言いがたい」
男「へ、へー…」(難しくてよくわかんねー…)
奴隷商「それに、黒はこの国では忌み嫌われし色。そんな珍しい少女達を、
王が放っておくわけないでしょう」
奴隷商「しかし、黒髪ってのも、またいいんではないですかい?
おまけに稀に見ない美少女…しかも若い。
どうですかい??ちょっくらマニアックですが…」
男「ううーーん……」
男「い、……っ、うぅぅー…ちょっと待ってください…」
男(いやっ…こんな非道なことをするヤツだったのかっ、俺!!)
男(でもっ…美少女2人…)
男(夢見るハーレムも夢じゃなくな…る……!!)
男「っ……い、いくら、っすか…?」プルプル
奴隷商「何をそんなに身構えてるんだいww」
奴隷商「んーー…平凡なサラリーマンにはちとキツいかな?」サッ
男「……」ガーーン
男「え、たか、高すぎます…」
奴隷商「しゃーないねぇ。兄さんが旅行のおみやにでもするってんなら…
どうだい??」サッ
男「おっ、…」
男(ぴったり…)
男「でもなぁ…」(もう一度考えなお…)
男2「お、あの娘達、いいな」
男3「お前、性奴隷にでもすんのかよwwあんな小さい子達を」
男「!!おい!テメーらっっ…」イラッ
男「か、買います!!あの子達を!!!!」ウガーッ
奴隷商「まいどありーっ♪」
男「……か、買ってしまった……」ドーン
兵士「おい、お前ら、買い手がついたぞ」
妹「ふえ?」
姉「う、うそっ…」
姉「ど、どんな人…??」
妹「ひとーっ」
兵士「ここからじゃ良く見えないが…なんか、若い男っぽいな」
兵士「ずいぶん野暮ったいヤツだな…」
姉「危険そうな人ですか…っ?」
兵士「だーっ、めんどくせーなお前は!あんなヤツがそう見えるか?」
妹「みえなーい」
兵士「だろ??」
姉「い、一応良かった…です」
妹「新しいおうちーっ」キャッキャッ
姉「あんた、昨日のおびえ具合は一体どこへ…」
妹「しらなぁーい」
突然だけどあねいものイメージ図かきまっする
でけたーー
姉 http://uploda.cc/img/img50811c6c5b82f.gif
妹 http://uploda.cc/img/img50811c5cc1c06.gif
絵、にがてすぎワロタwww
男「えっとっ…」モジモジ
姉「…」(なんですか、このひ弱そうな人は)
妹「にゃーん」(あたしたちのご主人様だよ、お姉ちゃん)
姉(そうは見えないわ)
妹「にゃん」(失礼だよぉー、お姉ちゃん…)
男「よ、よろしくね」ニコ
姉「よろしくお願いします、ご主人様」
男(ごっ、ご主人様ぁぁああ!!!女の子がっ、俺のことを!!)
妹「よろしくね、ごしゅじんさま♪」ギュ
男「ふおぉぉぉ!!」(や、やーらかいッ…!)
姉(そんな…こんな変態みたいな人が私達のご主人様なんて…
このまま牢にいたほうがまだマシ……)ガーン
妹「ねー、お姉ちゃん、この人、何だかかわいいよー」プニプニ
男「うがっ…ぷにぷにしないでくれっ…」
姉「面白そうね」プニ
男「うっ」
あ、明日の定期試験の予習するのでまた明日です
見てくれてる人すみません
姉「こ、これからよろしくお願いします…」プイッ
男(う、冷たい…)
妹「あたしたちは、何すればいーの?ご主人様ぁ」
姉「こ、こら妹!ご主人様になんて口調…」
男「あ、ああ、そのことなら気にしないで。
俺、君達を奴隷にするために買った訳じゃないから」ニコ
姉「…え……?」
姉「ど、どういう事ですか…?」
男「あ…あのさ、俺、ほら、見た目こんなだろ?
奴隷を嗜むような貴族じゃないんだ」
姉「はぁ…」(確かに、あんまり冴えない容姿ですけど…)
男「牢にいた君達を見た時に、思ったんだ…。
あんな辛そうな顔して、生きてくよりは、まだマシなんじゃないかってね」
男「って、なんかカッコつけたような言い方してゴメンな」ハハ
姉「そんな…そんな理由で、お金を手放したんですか…」
男「でもさ、1人暮らしだったし、俺のアパートにも、なんか華が
欲しかったっつーか…///」
姉「は、華、だなんて、褒めすぎです…」カァ
男「でも、とりあえず、君達は奴隷からは解放されたんだ。
俺ん家の家事とか、俺が出来ないことを手伝ってくれれば、
俺ん家に居候してるって気分で、一緒に暮らして欲しいんだけど…」
妹「え、あたしたち、もう奴隷じゃないの?」
男「あ、あぁ」
妹「やったあぁーっ、やったよ、お姉ちゃん!」パァァッ
姉「良かったね、妹…」
姉(世の中には、こんな変わった人もいるんですね…母さん)
姉(それに、みすぼらしい私なんかが貴族の奴隷をしたって…
結局、使えないって捨てられるだけだもの…)
姉(この人がいい人そうで、良かった)
姉(まずは、この新しい暮らしに慣れないと…!新しいスタート、だわ…)ギュッ
妹「ねえ、じゃあご主人様じゃなくて、お兄ちゃんって呼んでもいい?」ニパー
男「えっ、おにい…??」カァーッ
妹「あーっ、恥ずかしがってるーっ」
男「うっ、うるさい…!!」
姉(さすが子供ね、新しい環境にもすぐ適応できる…)
姉(その柔軟さが、ちょっとは私にもあったらなぁ…)シュン
妹「ねえお兄ちゃん、まず何すればいいのー?もうずーっと、
この街でぼけーっとしてるよおー」
男「じゃ、じゃあ早速、手伝ってもらおうかな…」
妹「なになにーっ?」ワクワク
男「夕飯の買い物、から…」
妹「えー、おかいものーっ…」シューン
男「そんな落ち込まなくてもー!」
妹「だって、ふつうすぎるんだもん」
男「何を基準に普通なのか普通じゃないのか、よく分からないんですけど…」
姉(買い物ですか、まあ、オーソドックスなお仕事です……)
男「じゃあ列車に乗って、俺の街に行こうか」
姉「れ、列車……?何ですか、それは?」
妹「なにそれーっ」
男「ええぇっ、君達、列車を知らないのか?」
姉(むっ、知らなくてすみませんでしたねっ)
姉「し、知りません…」
妹「知らないよー」
男「そ、そうか…結構世間知らずなんだね…」
男(確かに、まだ生まれて十数年やそこらだもんなあ…)
男(お姉ちゃんの方は、何だか知的なイメージだけど…)チラッ
姉「な、何ですかっ??」ビクッ
男「え、あっ、なんでもないよ」
姉「ひゃっ、きゃーっ」ドテーッ
男「だ、大丈夫!?」
姉「いててて……」
男(案外、おっちょこちょいみたいだ…可愛いなぁ…)
男(妹ちゃんは、いかにも妹って感じだな…お姉ちゃんっ子なんだろうなぁ…)
妹「お姉ちゃん、大丈夫ー?」
姉「うぅ、いたたたたっ…」ヨロヨロ
妹「ばんそーこー、あるから貼ってあげるー」ペタッ
姉「あ、ありがと、妹…」
妹「いたいのいたいの、飛んでけーっっ」
姉「ちょっ、声大きいわよ、妹っ…」
妹「飛んでけーっ」キャッキャッ
男(やっぱり、言動はまだまだ子供っぽいけど、意外としっかり者なんだな…)
男「もう大丈夫?」
姉「はい、何とか…取り乱してすみませんでした、ご主人様」
男「も、もうその呼び方じゃなくてもいいんだよ?」
姉「でも、私は、奴隷としてではなくても、ご主人様が購入されたので、
ご主人様の所有物です。なので、ご主人様とお呼びします」
男「礼儀正しいんだねえ…」
姉「これは、私が好き好んでこうお呼びしてるのですっ
あなたには関係、あ、ありませんですっ」プイッ
男「ツンデレ属性ですか…」(ツンデレ、嫌いじゃないです)ニヤニヤ
男「じゃあ、列車の話に戻るんだけど…」
男「一言で言えば、鉄の塊だよ。これが操縦されて、
行きたいところまで座席に座ってれば、乗ってるだけでそこまで
連れてってくれるんだよ」
姉「つまりは、鉄の乗り物、ということでしょうか?」
男「そうなるかな」
姉「す、素晴らしいです…私の国にはそんなもの、ありませんでした…」パァァ
姉「早く、乗ってみましょうっ、ご主人様!!」ワクワク
妹「乗りたーいっ」ウズウズ
男「はは…」(テンション高いなぁー…)
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