ほむら「夜が来る」 (28)

杏子「夜?」

マミ「もしかしてまたワルプルギス…?」

さやか「なっ、なんで!?撃退したはずじゃん!」

まどか「こ、怖いよぉ…」

QB「嘘は良くないよ、ほむら」

ほむら「…違うわ、それよりももっと恐ろしくて一人では乗り越えることのできない…」

ゴクリ…

ほむら「クリスマスの夜が…やってくる…!」

マミ「…何言ってるの?暁美さん」

杏子「珍しいな、ほむらがボケるなんて」

ほむら「ボケてなんかいないわよ!」

さやか「いや、ボケてるよ」

ほむら「しばくわよ、だって!だって!」

ほむら「私は体感時間でもう数年間はクリスマスを経験していないのよ!」

ほむら「そしてそれ以前もコミュ症引きこもり病弱少女だったの!」

ほむら「…お、恐ろしい…恐ろしいわ」

ほむら「…久々のクリスマスが…クリぼっちだなんて…!」

まどか「…」

まどか(なんか、ズレてるなぁ…)

さやか(マミさんどうします?)

マミ(そうねぇ、普通にパーティを考えていたんだけれど)

杏子(誘ったら喜ぶだろ)

マミ(…とは言っても)

ほむら「まどか、私のことは忘れて、私は長い旅に出るわ」

まどか「ウェヒッ!?」

ほむら「大丈夫、ワルプルギスを乗り越えた貴方達にもう怖いものなんてない」

ほむら「私は夢に旅に出る」

QB「要するにふて寝だね」パァン

ほむら「いつまでそこに居る気?早く出ていきなさい」

QB「やれやれ」

杏子(なんでこいつは私たちと過ごすっていう発想がないんだ?)

さやか(ずっと友達らしい友達がいなかったんでしょ)

マミ(暁美さん、どんなケーキが好きかしら)

さやか(ほむらはチョコケーキが好きですよ)

ほむら「…あぁ、こうしてはいられないわ」

ほむら「まどか!私は明日居ないから!居ないんだからね!」

ほむら「おやすみ!」ガチャッバタンタッタッタ

まどか「…行っちゃった…」

さやか「まだお昼なのにね」

さやか「さーて、買い出しにでも行きますか」

杏子「あたしフルーツタルトな」

さやか「あんたも行くんだよ」

マミ「行きましょう?鹿目さん」

まどか「で、でも、ほむらちゃんは…」

マミ「また明日誘えばいいわ」

マミ「それにただでさえ暁美さんこの頃寝不足だったでしょう?」

さやか「ま、ほむらのためのクリパでも開きましょうかね」

杏子「よっし、行くか」

まどか「…ウェヒヒ、ありがとう、皆」

杏子「さっみいいいいいい!?」

さやか「薄着で出るからでしょ」

マミ「ほらほら、佐倉さん、マフラーと手袋をしないと」

杏子「わわわわわりぃな、ままままみ」カタカタ

まどか「わっ、すごい雪…」

QB「やぁ」

杏子「うおお!?」

QB「僕も連れていっておくれよ」

杏子「溶け込むんじゃねぇよ!」

さやか「いやー、友達とクリスマスかー」

杏子「なんだ?お前んちはやんねぇのか?」

さやか「毎年やってるけど友達だけでっていうのは初めてなのよ」

杏子「ふーん…そういうもんか」

さやか「…」

杏子「…いい家族なんだな」

さやか「…」

さやか「ほーら!何してんの!」

杏子「うわ、ちょ!」

さやか「あんたのためのクリスマスパーティーでもあるんだからね!」

さやか「今日はみんなが主役!誰一人つまんなさそうな顔はさせないよ!」

杏子「…!」

杏子「へへ、そうだな」

まどか「どうしてQBも来たの?」

QB「この行事に乗じて魔法少女の勧誘をしようと思ってね」

QB「メリークリスマス!鹿目まどか!よかったら最高のプレゼントはどうだい?」

まどか「円環のお断り」

QB「残念だよ」

杏子「懲りねぇなお前も」

マミ「…そう言えばみんなお昼食べた?」

杏子「そういや腹へったな」

マミ「食べて行きましょ!」

ほむら「…」

ほむら「…あぁ、こたつがあったかいわ」

ほむら「…それにしてもみんなで集まって何の用事だったのかしら?」

ほむら「…あぁ、考えるのもめんどくさいわ」

ほむら「…こたつむりになるわ」

ほむら「…いえ、こたつむらになってやる!」

ほむら「…はぁ…クリスマス…かぁ…」

ほむら「…ずっと一人ぼっちだったものね」

ほむら「…でも今は…」

ほむら「…」

ほむら「…はっ!?」

ほむら「そうよ!誘えば良かったのよ!」

ほむら「あの四人を誘えばもうクリぼっちだなんて呼ばせない!」

ほむら「…そうだわ!その手があったわ!」

QB「やぁ」

ほむら「消えなさい」

QB「酷くないかな」

QB「君はクリスマスを一人で過ごしたくないから彼女たちを誘うのかい?」

ほむら「そうよ」

QB「そうかい」

ほむら「でも」

QB「…」

ほむら「それだけじゃないわ」

QB「…」

QB「そうかい、その言葉が聞けてよかったよ」 

ほむら「…らしくないわね、気持ち悪い」

QB「クリスマスだからね、たまには休むのさ」

ほむら「…ふん」

ほむら「そうと決まればこうしてられないわ」

ほむら「買い出しよ」

QB「…マミ達は…」

ほむら「余計なことは言わなくていいわ」

ほむら「これは彼女達へのサプライズなの」

ほむら「バラしたら殺すわよ」

QB「…はいはい、分かったよ」

ほむら「後あなたクリスマスに乗じてまどかを勧誘したら殺すわよ」

QB「…はい」

杏子「ふー、食った食った」

さやか「食べ過ぎだってーの」

マミ「うふふ、いいわよ、私が払うわ」

さやか「ごちになりやーす!」

まどか「あはは…」

マミ「それにしても寒いわねぇ」

さやか「そうっすね」

マミ「風邪なんてひいたら駄目よ、手洗いうがいはしっかりね、特に佐倉さん」

杏子「なんであたしだけなんだよ!」

マミ「さっ、続きの買い出し行きましょう」

ほむら「ほ、ほむぅ…」

QB「君は寒いのが苦手なのかい?」

ほむら「え、えぇ…あと何勝手に肩に乗ってるの?」

QB「マミたちのほうに付いていこうと思ったんだけれどね」

QB「君の方についていくことに決めたよ」


ほむら「勝手になさい…うぅ…」

ほむら「さ、寒い…」

QB「…」

QB「…」クルクル

ほむら「な、何のつもり?」

QB「QBマフラーさ、気休めでもあったかいだろう」

ほむら「…ふん」

マミ「よし、チョコケーキ、フルーツタルト、シュークリーム、ショートケーキ、モンブラン、全部OKね」

さやか「プレゼントは買うんですか?」

マミ「もちろんよ」

杏子「プレゼント交換ってやつか」

まどか「ウェヒヒ、楽しみだね、ほ…」

さやか「…」

まどか「…」

さやか「だーいじょうぶだっての、ほら、ほむらの為にもさっさと済ますぞー、まどか」

まどか「…うん!」

ほむら「なななななな、何これ!」ビュオオオオオオオオ

QB「君はどこへ来てるんだい?」

ほむら「しょ、商店街よよよよ!」

QB「方向が全く違うよ!」

ほむら「う、うる、さい…」

QB「…ふぅん」

QB「…ひどい熱だね」

ほむら「…くっ」

QB「意識ははっきりしてるかい?」

ほむら「…う、うん…」

QB「取り敢えず、僕が道案内するよ」

QB「そこの角を…」

ズズズズズズ

QB「…!」

ほむら「…ちっ…」

ほむら「アンハッピークリスマスって奴ね…!」

杏子「なぁなぁさやかは何買ったんだ?」

さやか「ひーみーつ!」

杏子「ちぇっ」

マミ「やっと私の家に着いたわね」

まどか「ほむらちゃんを誘ってきます!」

さやか「お、よろしくー!」

杏子「みーせーろー!」

マミ「ほらほら、貴方達は飾り付け、休んでる暇なんてないわよ!」

さやあん「はーい」

QB「…なんとか倒したね」

ほむら「…」ハァハァ

ほむら「少し、休ませて頂戴…」

QB「こんなところで寝ると凍えてしまうよ」

ほむら「う、るさいわね、魔法少女はそんなに…やわじゃ…ない」ガクッ

QB「…やれやれ、これじゃあ休むというより気絶に近いよ」

QB「…ほむら」

QB「…僕らの目的はエネルギーの回収にある」

QB「こんなところで魔女になる可能性のある君を放っておくわけには行かないんだ」

QB「…」

QB「…嘘って、難しいね、ほむら」

ほむほーむ

まどか「ほーむーらーちゃん!」

まどか「ほーむらちゃん!」

まどか「…寝てるのかな?」

まどか「…」

まどか「…」

まどか「ほむらちゃーん!!」

QB「やぁ、まどか」

まどか「お断るよ」

QB「…違うよ、ほむらのことさ」

まどか「…ほむらちゃん…?」

ほむら「…夜が来る」

ほむら「夜が来る」

ほむら「本当に怖いのは」

ほむら「ひとりぼっち」

ほむら「夜が来る」

ほむら「一人ぼっちの夜が来る」

ほむら「起きても覚めない悪夢がやって来る」

ほむら「…夜が来る」

ほむら「誰もいない」

ほむら「夜が…」

ほむらちゃん!! 


ーーーーーーーー

ーーーー

ーー

ほむら「…ここは?」

まどか「…気が付いたんだね、ほむらちゃん!」

杏子「ったく、聞いたぞほむら」

さやか「あんま無茶すんなっての」

ほむら「ご、ごめんなさ…」

ほむら「…!」

12月26日

ほむら「…!」

ほむら「…そう」

ほむら「…私はまた、一人ぼっちだったのね」

ほむら「…一人ぼっちのクリスマスだったのね…」ぽろぽろ

マミ「そうね」

マミ「取り敢えずリビングに行きましょう」

マミ「あなたの家は広くて分かりにくいわ」

ほむら「…そうね」グスッ

ガチャ

ほむら「…」

ほむら「私ってこんなだから」

ほむら「一人で強がって」

ほむら「だけど何もできない自分が嫌いなの」

ほむら「…馬鹿ね、クリスマスは年に一度なのよ?」

ほむら「…どこまで、愚かなの?」

杏子「ま、確かにクリスマスの日ってのは一日だけだよ」

さやか「だけどあんたがいる日は一日だけじゃない」

マミ「大事な事はクリスマスだけじゃないわ」

QB「大変だったんだよ、この飾り付け」

まどか「ウェヒヒ、一日遅れのパーティーだよ!」

ほむら「…メリークリスマス、皆」





「メリークリスマス!」

ほんの小さな奇跡でもそれが積み重なって大きな一つの奇跡が生まれればそれは魔法少女達にとって、とっても嬉しいなって

おやすみ
おしまい


メリークリスマス!

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