【安価】提督が鎮守府に着任しました【コンマ】 (1000)
大淀「提督が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮をお願いします」
間宮「どんな方なのでしょうか……楽しみですね」
明石「んー……書類によれば確か>>+2な人ですよ!」
大淀「ちなみに、秘書艦には>>+5さんをつけておきました」
提督の前職 >>+2
2.ギャングスター
3.科学者
4.料理人
5.ロボット
提督の属性 >>+2コンマ以下
01~33 善良
34~66 中立
67~00 凶悪
秘書艦 >>+5
コンマ以下が初期好感度になります
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418051178
提督
前職:料理人
属性:凶悪
気に入らない奴の食事に毒や劇薬を混入したり、
依存性や幻覚作用等の薬効のある食材を使うくらいは平気でやる
秘書官:天龍
好感度:40
提督とは仲のいい友達くらいの関係
要所要所に安価とコンマを入れつつ進行します
進行ペースは遅いですがご容赦ください
――――――――――
執務室前
天龍「……提督ー? てーいーとーくー!?」ドンドン
シーン……
天龍「……ったくあの野郎、留守かよ。また厨房で料理でもしてんのか?」
天龍「大本営から特別任務が回ってきたってのに。仕方ねぇなぁ」
提督「へぇ、特別任務か。ずいぶん急な話だな」
天龍「だろー? 提督の奴、飯の支度なんか間宮さんに任せりゃ……ってオイ!」
提督「よう」
天龍「よう、じゃねぇよ。提督なんだから大人しく執務室にいろよな」
提督「別に俺が夕飯の仕込みを手伝ったって悪いことはないだろ」
天龍「オレが用がある時に限って留守にしてやがるのがムカつくんだよ」
提督「ハハハ、悪いな。天龍を困らせると楽しくて」
天龍「はっ倒されたくなけりゃさっさとこいつに目を通せ」ズイッ
提督「しかし、特別任務ねぇ。お偉いさんのパーティーにでも呼ばれたか?」
天龍「そんなコネもねぇくせによく言うぜ」
提督「客じゃなくてシェフとしてだよ。宴会料理を作れって任務なら楽なもんなんだが」
提督「いや、ひょっとして元帥閣下の専属の毒見係かなんかに抜擢か……おいおい、もう転職か」
天龍「バーカ」
提督「どれどれ……えぇと、>>+2せよ……?」
任務内容 >>+2
――――――――――
厨房
提督「……」シュルシュル
間宮「……」シュルシュル
天龍「……」ショリ…ショリ…
提督「次」ヒョイッ
間宮「あら……やっぱり提督さんはお上手ですね。そんなに手早く剥けるなんて」
提督「まあ、こういう作業は死ぬほどやらされたからなぁ」
天龍「……」ショリ…ショリ…
提督「天龍、遅いぞ。そんなんじゃ日が暮れちまう」
提督「ていうか力が入りすぎだな。もう少しリラックスしてやってみろ」
間宮「う~ん……天龍さんはピーラーを使ったらどうかしら。あれを使えば簡単ですよ」
提督「そうだな、じゃあ天龍はピーラーで皮剥け。ほらナイフ置いて」
間宮「ええと、ピーラーはこの引き出しに」
天龍「……~~!」イライラ
天龍「なんなんだよこの任務は! なんでリンゴの皮なんか剥かなきゃならねぇんだよ!」ムキーッ
提督「仕方ねぇだろ。上層部が急にリンゴを60キロも送ってきたんだから」
間宮「でも、どうしてリンゴなんでしょう。どちらかと言うとお米やジャガイモの方が……」
提督「あー、俺の予想だと、多分お偉いさんが昼のワイドショーかなんかに影響されたんだな」
天龍「はぁ? なんだそりゃ」
提督「知ってるか? リンゴは昔から『医者いらずの果物』というくらい栄養が豊富でな」
間宮「ええ、知ってます。疲労回復に整腸作用、アレルギーの予防にもなるとか」
天龍「まあ食料の補給なら純粋にありがたいんだけどよ……」
提督「問題は、各鎮守府でリンゴをどういう風に消費したかをレポートしろってところだ」
天龍「余所の鎮守府にもこれが届いてんだよな……」
提督「なんでそんな面倒な課題をつけるのか理解に苦しむな」
間宮「それぞれの鎮守府で集めたデータを海自の食事メニューに応用するためとか……?」
提督「いや、自分達が美味いリンゴ料理を食べたいだけじゃないか?」
天龍「違うね。オレが思うに、どこの鎮守府が一番リンゴの皮剥きが下手か知りたいんだ」
天龍「あの鎮守府では他と比べて何グラム無駄にしてるとか、そういうネチネチした感じのアレだと思うぜ」
提督「なるほどな。軍官僚の派閥争いの余波が来てるってわけか……」
天龍「ていうか、こんな量の皮剥きやってらんねーよ。もっと人を呼ぼうぜ」
提督「そうだな。じゃあ天龍、第一艦隊の連中を招集しろ」
間宮「う~ん……アップルパイ、ロールケーキ、リンゴゼリー、今日のデザートはどれにしようかしら」
第一艦隊メンバー >>+1~>>+5
書き忘れてましたが、第一艦隊メンバーもコンマ以下で好感度を設定します
それにしても完全に水雷戦隊ですね……たまげたなぁ……
若葉
好感度:95
提督のためなら24時間寝なくても大丈夫だしいくらでも手を汚せるくらい好き
霞
好感度:99
ケッコン待ったなし。提督をクズ司令官呼ばわりしなくなって久しい
卯月
好感度:37
可もなく不可もなく。悪戯しても怒らない辺りは気に入ってる
阿武隈
好感度:92
提督のためご期待以上の戦果を挙げる。提督にわざと衝突しに行くことも
那珂ちゃん
好感度:16
正直提督のことは嫌い。だが一応上官なので営業スマイルでやり過ごす
今夜はここまで
少しずつ続けていけたらなと思います
若葉「若葉だ。ただいま出頭したぞ」
霞「今日は何をすればいいのかしら、司令官?」
卯月「うーちゃんはぁ~、あんまり難しい任務はやーだびょん」
阿武隈「どんな任務でも任せてください! ご期待に応えます!」
那珂「(チッ)那珂ちゃん、現場入りまーす」
天龍「第一艦隊全員集合だ。オレ達全員でかかれば、リンゴの山なんてどうってこたぁねぇぜ」
提督「期待してるぞ。よし、それじゃあ各艦に作業の分担をするか」
提督「天龍は引き続き俺の補佐に回れ。若葉達はこれから指示する作業を行うように」
若葉 >>+1
卯月 >>+3
阿武隈 >>+4
那珂 >>+5
※申し訳ないがエロはNG。内容によっては再安価します
提督「若葉。ちょっと手伝ってくれ」
若葉「何をすればいいんだ? なんでも言ってくれ」
提督「見ての通り、今回の任務は大量のリンゴを使いきり、その使い方をレポートすることだ」
提督「ちょっと思いついたことがあるんでな。調理を手伝え」
若葉「了解だ。この若葉に任せておけ」
提督「これから作るのは酢豚だ。まずは下ごしらえ。シメジ、ピーマン、パプリカを切ってくれ」
若葉「ほう、シメジか。酢豚といえばニンジンやタマネギだと思ったが」
提督「シメジは石突を切って小房に分け、ピーマンとパプリカは種とワタを取って細切りにする」
若葉「わかった。これでいいか?」ザクッザクッ
提督「なかなか上手いな」
若葉「うむ。すべてお前のためさ」
提督「嬉しいこと言ってくれるな。次はリンゴとパイナップルを1cm角くらいに切っておいてくれ」
提督「次は合わせ調味料だ。塩、醤油、黒酢、酒、リンゴジュース……」
提督「あとはユズのジャムでも入れてみるか。あとは水溶き片栗粉、これで甘酢あんを作る」
若葉「豚肉はどうする」
提督「酢豚に使うのは豚バラ肉だな。一口大に切って下味をつけた豚バラ肉に片栗粉をまぶしておく」
提督「肉を揚げる直前にもう一度片栗粉をつけると、あんを絡めても衣がパリッとするぞ」
若葉「なるほどな」
提督「じゃあ、下ごしらえが終わったら作っていくぞ」
提督「といっても手順自体は簡単なもんだけどな。まず揚げ油を170℃に温めておく」
提督「豚バラ肉を揚げ油に投入し、しっかり中まで火を通しながら揚げる」
若葉「揚がったら油から取りだしてキッチンペーパーの上で余分な油を切るんだな」
提督「それから、次は野菜を素揚げする」
提督「170℃の揚げ油に水気を切ったシメジとピーマンとパプリカを入れ、10秒くらいで取り出す」
若葉「野菜も同様にキッチンペーパーの上に置いておくぞ」
提督「別の鍋を用意し、油を引いてリンゴとパイナップルを軽く炒める」
提督「それから合わせ調味料を投入して加熱し、水溶き片栗粉を適量入れる」
提督「甘酢あんにとろみをつけすぎると、肉や野菜にあんが絡みにくくなるから注意だ」
若葉「そして、甘酢あんの鍋に素揚げした具材を投入」
若葉「具材をあんと絡めて……出来上がりというわけか」
若葉「……ふむ。ジューシーな肉にフルーティなあんも合うものだな」
提督「シメジもフルーツとの相性は悪くない。ユズの風味もいいな」
若葉「中華か……これも悪くない。このレシピを書き残しておけばいいのか」
提督「いや、これはあくまで試作品だ」
提督「これからもう一度作るから、その料理を海軍省の軍需局に差し入れてくれ」
若葉「直接提出するのか?」
提督「この任務を提案した軍需局長とは知り合いでな」
提督「昔、俺が働いてたレストランの常連だったんだ。直接食べてもらった方が早い」
提督「なに、俺の名前を出せば通してくれる。頼んでいいか?」
若葉「お前からの頼みだ。嫌だなんて言わない」
―――――――――
――――――
―――
提督「よし、できた。じゃあ若葉、届けてきてくれ」
若葉「了解した。若葉、出撃する」
タッタッタッ……
提督「……ククク」
天龍「……おい提督、お前何を企んでやがるんだ」
提督「あの酢豚にちょっとした『隠し味』をな」
天龍「……まさか、毒でも入れたのか!?」
提督「そんなんじゃない。むしろ局長はシアワセいっぱいな気分になるだろうよ」
天龍「どういうことだ」
提督「若葉に持たせたものはちょっと濃いめの味付けにしたんだが、それの隠し味のスパイスがな」
提督「ケシの実をたっぷり入れといたのさ」
天龍「ケシの実?」
提督「未成熟のケシの実には麻薬成分が含まれているのは知ってるよな?」
提督「まあ死にゃしねぇさ。ちょいと気持ちよくなってトリップするかもしれねぇし」
提督「後々俺の料理が食べたくて食べたくて仕方なくなるかもしれねぇが」
提督「ま、ちょっとした意趣返しって奴だよ。こんなバカバカしい任務寄越してきたことへの」
天龍「……お前って奴は、ホントに……」
提督「いいだろ? 将軍だろうが大統領だろうが料理人をナメたらいけねぇのさ」
提督「このクソ忙しい時期にクソくだらねぇ任務を……バカにしてるぜまったく」
提督「テメエらが深海棲艦をさっさと滅ぼさねえもんだから食材は高くなる一方だし……」ブツブツ
天龍(ちょっと、こいつの飯を食うのが怖くなってきちまうな……)
とりあえずここまで
間宮「それでは明日のメインのおかずがグリルチキンのリンゴソースがけで、デザートがリンゴの春巻」
提督「ヨーグルトと合わせてリンゴのスムージーにでもすればさっさと消費できそうだな」
間宮「そうですね、それは朝ごはんの時に出しましょう。夜のうちにリンゴをカットして冷凍して……」
提督「ん゛……しかし、今日は午後からずっと厨房に立ちっぱなしだな」ノビー
間宮「第一艦隊の皆さんまで動員して手伝って下さるなんて、本当にありがとうございます」
提督「構わねぇよ。本当なら第二~第四のどれかをつけただろうしな」
提督「同じ料理人としてあんたの苦労はわかるし、こういう時こそ俺の本領発揮だろ」
ガラッ
霞「司令官? いるかしら」
提督「ん? どうした霞」
霞「もう夕方でしょ? ずっと厨房にいるんなら、疲れてるんじゃないの?」
提督「まあ……ちょっとな」
霞「やっぱり。そろそろ休憩にしましょう? こっちも一段落したところよ」
提督「いや、大したことはねぇよ。元々料理人は体力勝負の仕事だし」
霞「いつまで料理人気分でいるのよ。今のあんたは提督で、あたしの司令官なのよ」
霞「張り切るのはいいけど、それで明日からの執務に差し支えるなんて冗談じゃないわ」
提督「そうは言っても、これも任務のうちでな」
霞「そんなのわかってるわよ。ちゃんと身体を休めなさいって言ってるの」
霞「全力でやるのはいいけど、限度をわきまえなさい。大人ならそれくらいわかるでしょ」
提督「……うーん」
間宮「うふふ」
霞「な、何よ間宮さん」
提督「いや……なあ?」
間宮「ええ。うふふ……霞ちゃんったら提督のお母さんみたいなこと言うんですもの」
霞「なっ……何それ、だから何よ!?」///
提督「いやいや、なんていうかなぁ?」ニヤニヤ
間宮「提督に対しても、ずいぶん言い方が柔らかくなったし」クスクス
提督「前なら、『このクズ!』とか『本っ当に迷惑だわ!』とか」ニヤニヤ
提督「いやー、前は『解体してやろうかこのクソガキ』とか思ってたけどよ」ニヤニヤ
提督「こいつの言うことも一理あるかと罵声をアドバイスとして受け取ってみれば」ニヤニヤ
提督「霞の言うことが間違ってたことなんかねぇし、何度も助けられてさ」ニヤニヤ
提督「なんだかんだと一緒に修羅場をくぐってきた仲だもんなぁ」ニヤニヤ
間宮「霞ちゃんったら素直じゃないんですもの。そういうことだったのねぇ」クスクス
霞「~~~っ! い、いいから来なさいよっ!」///
提督「おいおいそんな引っ張るなよ。俺は逃げやしねぇから」グイグイ
提督「あ、夕食の時間までには戻るからな。後は頼むぞ間宮」
間宮「はい♪ じゃあ霞ちゃん、頑張ってね」
霞「が、頑張ることなんて何もないわよ!」
――――――――――
食堂
天龍「指定された量の皮剥きは終わったな。あとは20個分くし切りにして、それからこっちは冷凍して……」
天龍「まったく、これだけやってもまだあんなに残ってんのか。これからしばらくはリンゴ尽くしだな」
卯月「なら天龍ちゃん! 焼酎につけてリンゴ酒を作るのはどうぴょん?」
天龍「それいいな。飲めるようになるのは一ヶ月から三ヶ月ってところか?」
天龍「生きて帰ってくる楽しみが増えるってもんだ。早速間宮さんに瓶を借りるか」
卯月「じゃあうーちゃんはスーパーに行ってお酒を買うぴょん!」
天龍「お前の見た目じゃレジで止められるだろ。つーか卯月、お前逃げようとしてないだろうな」
卯月「ぎくっ……そ、そんなことはないぴょん?」
提督「ようお前ら、やってるか」ズルズル
天龍「んあ? 何やってんだ提督。また霞を怒らせたのか?」
霞「違うわよ! ……いや、ある意味そうだけど、違うの!」グイグイ
提督「俺はこれから霞と休憩するから。いやぁ、霞がどうしてもって言うからよぉ」ズルズル
天龍「なんだ、そういうことかよ。まあ霞が言うんなら仕方ねぇな」
霞「~~」///
卯月「霞ちゃんはホント提督のことが大好きぴょん?」ニヤニヤ
霞「~~、そ、そうよ! 悪い!?」///
提督「いやー好かれてるわー。俺ってば霞に好かれちゃってるわー(棒)」
霞「う、うるさいわねっ! さっさと行くわよ!」グイグイ
天龍「……しっかし、あの霞がねぇ」
卯月「霞ちゃんも物好きだぴょん」
天龍「まっ、提督も一人前になったってことだろ。霞が認めてるんだし」ヒョイッ
卯月「あーっ、秘書艦のくせにつまみ食いぴょん?」
天龍「別にいいだろ、こんだけあるんだから。大体提督が休憩してんだからオレも休憩だよ」シャクシャク
卯月「じゃあうーちゃんも休憩するぴょん!」
天龍「いや、なんでだよ」
卯月「うーちゃんは天龍ちゃんのアシスタントだからだぴょん!」ドヤッ
天龍「その理屈はおかしいだろ……」
――――――――――
提督「あ、そうだ」ズルズル
霞「なに? どうかしたの?」グイグイ
提督「ちょっと寄るところがあったから待っててくれ。すぐ戻るから」
霞「? いいわよ、行ってらっしゃい」
――――――――――
那珂「はーなーのいろはー♪ いたーずらーにー♪」
提督「おう那珂ちゃん、『華の二水戦』はもういいから次は『艦隊アイドル改二宣言』な」
提督「はい家具コイン3000枚。夕食の時間までよろしく」ジャラジャラ
提督「いやー、ジュークボックス買おうにも家具職人呼べなくて困ってたんだよな。助かるわー」
提督「じゃあ、俺は執務室で休んでくるから」
那珂「……」
那珂(死んでくれないかなぁ提督……)ビキビキ
とりあえずここまで
好感度は低いしこんな扱いだけど那珂ちゃんは大好きです(半ギレ)
――――――――――
執務室
霞「ほらっ! さっさと横になりなさいよ!」
提督「はいはい。よっこらせっと」ゴロッ
提督「それで? お前がいいって言うまで寝てりゃいいのか?」
霞「そうよ……ああ、違うわ。うつ伏せになって」
提督「? こうか」
霞「そのまま大人しくしてなさい」ヨイショ
提督「えっ!? おい、なんで馬乗りになるんだ」
霞「ふんっ……!」グリグリ
提督「あッ」ビクッ
霞「やっぱり。結構凝ってるじゃない」グニグニ
提督「ああ゛ぁ……霞、お前マッサージなんてできたのか」
霞「整体もできるわよ。べ、別にあんたのために勉強したわけじゃないけど」モミモミ グリグリ
提督「はいはいツンデレツンデレ」
提督「あー……でも普通に気持ちいいな。マジでいい腕だぞ」
霞「それはどうも。はい、次は首回り行くわよ」グイッ
霞「ん、こっちも硬いわね。ちょっとこの辺重点的にほぐしていくから」モミモミ
提督「ん゛っ……あぅっ」
霞「ちょっと強めに行くから、痛かったら言いなさい」グリグリ
提督「ああ……大丈夫だ。続けてくれ」
霞「よいしょっ……と!」グニッ
提督「俺の喘ぎ声を描写しても誰も得しないだろうからカットするぞ」
霞「どうだったかしら? あたしのマッサージは」
提督「んん゛~、スッキリした。身体が軽くなったみたいだ」ノビー
霞「マッサージ中ずっと情けない顔しちゃって。見てらんなかったわ」クスクス
提督「いや、ホントありがとな。疲れがブッ飛んだぜ」ナデナデ
霞「あっ……」ドキッ
提督「ん? どうした」ナデナデ
霞「う、ううん。なんでもないわ」カァァ
提督「さて、そろそろ夕食の時間だな。食堂に戻るか」パッ
霞「……っ」ギュッ
提督「? ……おい、なんだ?」
霞(あっ……お、思わず司令官の手を掴んじゃった)
霞「え、えっと……その……」
霞「あ、あんたの手、ゴツゴツしてるなって思ったの!」
提督「ん……そうか? まあ、そうだな」
提督「まあ重い鍋を振り続けて腱鞘炎になったりとか、手の骨が疲労骨折したりとかよくある話だしな」
提督「料理人に限った話じゃないが、職人の手ってのはゴツゴツしてるもんさ」
提督「でも料理人の手は何より大事な商売道具だ。手荒れとかには気を使ってるぞ」
霞「ふ、ふーん、そうなの……」スリスリ
提督「お前に言わせりゃ、いつまでも前職の気分を引きずってるってことになるか?」
霞「そ、そうね。あんたは司令官なんだから、料理するのは本来の仕事じゃないし」
霞「……でも、あたしは好きよ。司令官の手」
提督「そうか? でもお前、俺が料理にかまけてるのは不満なんだろ」
霞「だって、あたしの大好きな人の手だもの。嫌いになれるわけないじゃない」ギュッ…
霞「そりゃあ提督らしくしなさいとは言うけど、料理を作ってる司令官も、司令官らしくて好きだから」
提督「……お前、たまに真顔ですげぇ恥ずかしいこと口走るよな。ツンデレ設定はどうした」
霞「何よ。あたしだってたまには素直になるわよ」
霞「……こういうの、隠したって意味ないし」プイッ
提督「……参ったなこりゃ。今のお前すごい可愛いわ」
霞「うるさいっ」///
僕からは以上
艦隊のアイドルをジュークボックス扱いする提督は間違いなく属性:凶悪
――――――――――
食堂
ガヤガヤ
天龍「あっ、来た来た。おせーぞ提督ー」モグモグ
那珂「(チッ)お先に頂いてまーす」パクパク
提督「悪い悪い、霞がなかなか離してくれなくてよ」
霞「そういうこと言わなくていいの! ……バカ」
卯月「ぷぷぷ、今更照れちゃってカワイイぴょん」
阿武隈(むー……)
天龍「そーいや、若葉が帰ってるぞ。もうすぐ食堂に来ると思うぜ」
若葉「いや、今さ」スッ
若葉「若葉だ。帰投したぞ」キリッ
提督「お、若葉。帰ってたのか」
若葉「ついさっきな」
提督「ちゃんと渡してこれたか?」
若葉「お前の名前を出したらすぐ通してくれた。流石だな」
提督「まあ、俺だからな。ご苦労だったな若葉、ほら席につけ」ヨッコイセ
若葉「了解だ」チョコン
卯月(当たり前のように司令官のお膝に座ったぴょん……あっ、隣の席に移動させられたぴょん)
天龍(若葉のあしらい方も上手くなったなぁ提督)
阿武隈「て、提督っ、お待ちしてました!」ギュッ
提督「おう阿武隈。衝突禁止って言ってるだろ」マエガミグシャー
阿武隈「えへへ……すみません」グシャー
卯月(あざといぴょん)
那珂(那珂ちゃんよりあざとい)モグモグ
提督「間宮の手伝いはちゃんと出来たか?」
阿武隈「はい! 見てください、この出汁巻き卵。あたしが作ったんですよ!」
提督「ほほう」
天龍「阿武隈の出汁巻き卵マジで美味いぜ! 提督も食ってみろよ」
阿武隈「提督に食べてもらいたくて、頑張っちゃいました!」
提督「そりゃ楽しみだな。じゃあ早速」
阿武隈「あっ、ま、待ってください」
提督「ん?」
阿武隈「えっと……は、はい、あーん」
提督「おいおい、そこまでしてくれんでいいぞ」
阿武隈「あ、あーん……」プルプル
提督「……」
阿武隈「……」
提督「……わかったわかった」パクッ
提督「ん……甘さ控えめで出汁が多め。関西風だな」モグモグ
提督「出汁が多いからか、ジューシーでふわっとした口当たりだ」
提督「刻んだ青ネギの風味もいいアクセントになってる。こりゃ日本酒が欲しいな」
提督「……うん、また腕上げたな、阿武隈。美味いぞ」
阿武隈「あ……ありがとうございますっ!」ガバッ
提督「だーから衝突禁止って言ってるだろうが」グイッ
卯月(司令官、阿武隈ちゃんのあしらい方も上手くなったぴょん)
天龍(意外とグイグイ行くからなぁ、阿武隈も)
提督「少なくとも出汁巻き卵に関しちゃ俺や間宮にも引けを取らないな。金取れるぞコレ」
阿武隈「ほ、本当……? あたしに期待してくれてるんですね? そうなんですね!」
阿武隈「はいっ、提督。もう一個どうぞ! あーん」
若葉「司令官。若葉もあーんするぞ」
霞「行儀が悪いわよ若葉。阿武隈も、司令官が困ってるでしょ」
卯月(ああは言いつつも提督の対面の席に座った霞ちゃん、正妻の余裕をかましてるぴょん)
天龍(正妻というかかーちゃんだろアレは)
――――――――――
ゴチソウサマー
天龍「今日も美味かったなぁ! なあ提督」
提督「まあ飯の仕込みは俺も手伝ってるんだけどな」
天龍「お前が来てから飯の時間が一層楽しみになって、そこは感謝してるぜ」
提督「当然だろ。俺がいるうちはどこの鎮守府より美味いもん食わしてやるよ」
天龍「……あ、でもお前今日の分の書類とか決裁してねぇだろ」
提督「あっ……仕方ねぇな、じゃあ皿洗いと明日の仕込みをやってから」
天龍「……お前が提督じゃなくて主計科だったらなぁ」
――――――――――
執務室
提督「……バケツの備蓄が334個。このペースなら年内に500個は行けるか」
天龍「いつデカイ作戦があるかわからねぇからな。きちんと貯めとかねぇと」
提督「ボーキサイトが3万を切ってるな。遠征で調達させるか……」
コンコン
提督「? 誰だ……?」
僕からは以上
執務室に来た人物&その目的 >>+3
第一艦隊以外の艦娘・深海棲艦も可
例によってコンマで親愛度設定
金剛 バアアアアニングゥ!ラアアアブ!!(物理)
神通
好感度:15
ハッキリ言ってしまえば提督のことが嫌い。
最後の希望は川内だけですね(震え声)
この際毒を食らわば皿までということで川内の好感度コンマします(白目)
>>+2
川内
好感度:39
提督とは普通に仲のいい友達感覚。でも夜戦の方がもっと好き
神通に何したらこんなに嫌われるんでしょうかね(他人事)
続きはできたら夜辺りにやります
どうも僕です
せっかくだから神通と那珂ちゃんに嫌われてる理由を考察するために
提督の川内型への好感度をコンマで設定します
火傷する予感しかしないけどよろしくお願いします
提督→川内 >>+1
提督→神通 >>+2
提督→那珂 >>+3
提督→川内
好感度:23
割と無関心。夜戦バカにつける薬なし
提督→神通
好感度:11
目と目が逢う瞬間嫌いだと気付いた。一目惚れならぬ一目ギレである
提督→那珂
好感度:93
なぁ……ケッコンしようや……
どうしてこんな極端な数字ばかり出るのか私には理解に苦しむね(ペチペチ)
神通「失礼します。『主計科』」ピシッ
天龍(げっ……)
提督「……よお、何の用だ『川内型二番艦』」
神通「はい。訓練及び演習に関する改善案をまとめましたので、それを提出しに」バサッ
神通「それから、その第一種軍装は主計科の着て良いものではないと忠告して差し上げようかと」ニコォ
提督「おう、ご親切にどうも。実は俺も軍服よりコックコートを着てた方が落ち着くんだ」ニヤァ
天龍「……」
天龍(なんか知らないけど、こいつらすげぇ仲悪いんだよな……)
天龍(川内とはそんな仲が悪いってわけでもないのに、神通とだけやたらと険悪だし)
天龍(那珂は……まあ提督が悪いな。うん)
天龍(フフフ……怖い。気まずい)
提督「わざわざ改善案とやらをまとめてきてくれて悪いが現行のレベリング体制を変えるつもりはない」
提督「今のやり方がベターだ。資材運用上無理のない訓練計画を立ててそれを実行できてる。何が悪い?」
提督「おい天龍、お前もそう思うだろ」
天龍「えっ」
神通「今のやり方は非効率的です。我が艦隊はより高い練度を維持できるはずです」
神通「艦隊全体の練度の底上げを図るべきです。いつ大規模作戦が発令されるとも限らないのですから」
神通「天龍さん。貴女もそう思うでしょう」
天龍「えっ……えっ? いや、その」
提督「とにかく提督は俺だ。艦隊の運営に関してお前の出る幕はねぇぞ。なあ天龍」
神通「私には巷の料理人が帝国軍人のコスプレをして粋がっているようにしか見えませんよ。ねえ天龍さん」
天龍「だからなんでオレに振るんだよ!? お前ら、ちょっとは落ち着いて……」
提督「俺が軍服を着なきゃならん羽目になった理由なんぞ俺が一番知りてぇんだよ! 人事局に聞け人事局に!」
神通「料理人が艦隊司令官なんて畑違いも甚だしい……貴方に命を預けることはできかねます」
提督「……あんまり料理人をナメるなよ川内型二番艦」
神通「貴方こそ自分の能力を過信するのはやめるべきですよ、主計科」
天龍「あーもう! だから落ち着けって言ってるだろ!」ガタッ
天龍(確か、執務室備えつけの冷蔵庫に……あった)ガチャッ ゴソゴソ
天龍「ほら、これでも食って落ちつけよ。神通、お前甘いものは好きだったろ」ドンッ
神通「……それは?」
天龍「オレがオヤツ用に作ってたオレンジピール入りのパウンドケーキだよ」
天龍「我ながらいい出来だぜ? 提督の作るやつには負けるけどよ」
提督「へぇ……いつの間に菓子作りなんてしてたんだよ。美味そうじゃん」
天龍「へへ、そうだろ? 今紅茶を入れてやるから一緒に」
神通「結構です。最近は間食を控えるようにしているので」
提督「フン、そうだこんな奴には勿体ねぇ。鉄インゴッドとガソリンのカルパッチョで十分だ」
天龍(こ、こいつら……)
提督「この際だから言っておくがな。俺には絶対に許せないものがひとつだけある」
提督「それは料理人を愚弄する奴だ。誰だろうと俺の料理をバカにするのは許さねえ」
提督「特に死にたがりの戦争屋、どこぞの軽巡洋艦みたいな奴はな!」
神通「……!」
天龍(……)
提督「俺に文句があるなら異動願いでも何でも出せ。即刻受理してやる」
提督「だが俺が提督をやめることはしねぇ。なんだかんだと言ってもお前らに対して責任がある」
提督「お前がどんなに不満に思おうがこれは決定事項だ。覆らねぇし覆さねぇ。わかったな」
神通「……わかりました。今日のところはこれで失礼します」
神通「ですが、私も貴方に言っておきます」
神通「もし貴方の指揮で誰かが沈むようなことがあれば……」
神通「……私は貴方を決して許しません。覚えておいてください、主計科」ガチャッ
バタン
提督「ケッ、気に入らねぇな。あの川内型二番艦は」ヒョイッ パク
提督「ちったぁ那珂ちゃんを見習えってんだ、ウォーモンガーめ」モグモグ
天龍「……なあ提督。前から聞きたかったんだけどよ」モグモグ
提督「ん?」
天龍「お前ってなんで那珂のことをそんなに気に入ってんだ?」
提督「なんでってお前……そりゃアレだよ。カワイイから」
天龍「真面目に答えろよ」
提督「んー……まあ、アレだ。那珂ちゃんいつも言ってるだろ。アイドルがどうのこうの」
天龍「ああ、アレな」
提督「戦いが終わったら歌手になりたいって、いつだったか言っててよ」
提督「正直艦娘なんて戦争するしかねぇのかと思ってたから、驚いちまったんだ」
提督「応援したくなったっていうかな……ま、ファンになった。そういうこったよ」
天龍「へー、なんか意外だな。お前がそんなこと思うなんて」
提督「アイドルも料理人も同じだ。歌とか踊りとか料理とか、とにかく人を感動させて満足させるだろ?」
提督「豊かになるっていうか、世界を拡げられる。そんな仕事だと俺は考えてる」
提督「艦娘は戦争の道具かもしれねぇが、艦娘にだって世界を拡げることができる」
提督「そんな風に思わせてくれるかもしれないって思ったんだよ、那珂ちゃんを見ててな」
提督「……でも、な。大っぴらに応援すんのも恥ずかしいし贔屓してるみたいになるから」
提督「まあ、任務とかにかこつけて色々と……な?」
天龍(ひょっとして、ジュークボックスの真似事をやらせて家具コイン3000枚も渡してたのもそれか……?)
提督「ああそうだ、せっかくだし美容にいいメニューでも考えるか! 那珂ちゃんのためにも」
天龍(那珂に『死ねばいいのに』と思われてることは黙っておくか……)
提督「さて、そうと決まればさっさと書類仕事を片付けて……ん?」
天龍「どうした? 何かあったのかよ」
提督「いや、これなんだけどな……」
提督が見つけた文書の内容 >>+3
提督「『新規着任艦娘選考について』……」
提督「大本営で建造された艦娘を新戦力としてこっちに招聘できるらしいな」
天龍「艦種なんかもこっちで指定できるらしいな。いい話じゃねぇか」
提督「まあ、戦力を整えるに越したことはないな」
天龍「じゃあ、>>+3なんてどうだ?」
鎮守府に新しく着任する艦娘 >>+3
僕からは以上
天龍、何故まるゆをチョイスした! 言え!
まるゆを近代化改修の素材にすることで、
安価とコンマで艦娘一人の好感度を上げるまるゆチャレンジとかアリかもしれない(閃き)
※川内型は特例として提督側からの好感度も設定しましたが、
他の艦娘達については提督も大体同じ程度に好意的だと思っておいてください。
せっかくなのでまるゆの処遇について安価
まるゆチャレンジする/しない >>+2
「しない」になった場合、コンマ以下がまるゆの初期好感度になります
☆まるゆチャレンジ☆
まるゆとの出会いを生贄に捧げ好感度上昇イベントを召喚します
安価で好感度を上げる艦娘とイベント内容を決定
コンマ以下の数字の1/3の数値分好感度を+します
1.天龍 好感度40
2.若葉 好感度95
3.霞 好感度99
4.卯月 好感度37
5.阿武隈 好感度92
6.那珂 好感度16
7.神通 好感度15
8.川内 好感度39
>>+4
神通 好感度12上昇
イベント内容 >>+2
(あ艦これ)
せっかくだからイベントで使うかもしれないので第二艦隊メンバーを安価
いつも通りコンマ以下が好感度になります
>>+1~4
第二艦隊
川内(39)
神通(15)
秋月(62)
響(70)
初春(15)
曙(77)
また水雷戦隊じゃないか(困惑)
僕からは以上
しばらく忙しいので投下できないかもしれませんがガンバリマス
第二艦隊も比較的好意的な艦ばかりと思ったら神通と初春という爆弾がいて草生える
短いのを投下
――――――――――
秋月「あわわ……」アタフタ
提督「よお、どうした秋月。気分でも悪いのか」
秋月「司令っ……! こ、これを見てください!」バッ
提督「あん? なんだこれ、お前の給与明細か? えーと、基本給に各種手当がついて税金が……」
提督「合計で548,900円か。計算間違いもないな。これがどうかしたか?」
秋月「こ、こんなに貰ってしまっていいのでしょうか!? 何かの間違いではないんですか!?」
提督「……はぁ?」
提督「間違いも何も、これがお前の月給だろ」
秋月「月々のお給料でこんなに貰えるなんて知らなくて……」
提督「艦娘は最前線で命賭けてるんだからこのくらい当然だろ。むしろもっと貰ったってバチは当たらん」
秋月「そ、そんな、とんでもありません! ち、長10㎝砲ちゃん、どうしよう」
長10㎝砲ちゃん「己の為すべきと思ったことを為せ」
提督「喋った!?」
秋月「うーん……そうは言われても、思いつきません」
提督「給料日くらい贅沢したらどうだ。服買うとか映画を観るとか」
秋月「ですが、いつ深海棲艦が現れるかわかりません。鎮守府を離れるわけには」
提督「なら通販でもいいだろ。そうだ、ハーゲンダッツを箱買いするってのはどうだ? 贅沢だろ」
秋月「いいえ、秋月にはホームランバーで十分です!」
長10cm砲ちゃん「彼女はそういう娘だ。あまり贅沢なものを食べさせると寝込んでしまうぞ」
提督「どういう体質だよ。どんだけ貧乏こじらせたらそうなるんだよ」
提督「……よしわかった。せっかくだから俺がなんか作ってやるよ」
長10㎝砲ちゃん「ほう」
秋月「しかし、司令のお手を煩わせるのは……」
提督「気にすんな。人間も艦娘も、どうせなら美味いもん食いながら生きたいだろ」
提督「そして美味いもん作ってやるのが料理人の仕事だ」
提督「ま、ただ御馳走されんのも気が引けるだろうし、ちょっと手伝ってもらうぞ」
秋月「司令……ありがとうございます!」
――――――――――
厨房
提督「これから作るのは豚ロース肉のシャリアピンステーキだ」
秋月「シャリアピンステーキ? 普通のステーキとは違うのですか?」
提督「昭和11年に来日したオペラ歌手、フョードル・シャリアピンのために作られたステーキだ」
提督「当時歯の具合が悪かったシャリアピンが『柔らかいステーキが食べたい』と言ったんで」
提督「帝国ホテルの料理長が考案したのがシャリアピンステーキってわけだな」
提督「本当なら牛肉を使うんだが、今回はたまたま冷蔵庫に入ってた豚ロース肉を使う。じゃあ始めるぞ」
秋月「了解しました。秋月、頑張ります!」
提督「まず肉の下ごしらえだ。筋切りをしていくぞ」
秋月「赤身と脂身の境目の筋に包丁を立てて切っていくんですね」
提督「そうだ。包丁の刃先で垂直に切り込みを入れる。感覚は2~3cm程度でいい」
提督「それからあまり長く入れすぎると肉の旨味が流れちまうから、深さは1cmくらいを目安にする」
秋月「こうですか?」グッ グッ
提督「よし、いい感じだ。筋切りをしたら次は肉の表面をフォークで突いて細かく穴を開ける」サクッ サクッ
提督「肉叩きで叩いてもいい。あまり薄くするのは好みじゃないから今回はそうしないが」
提督「そしたら塩、コショウを振ってなじませる。お好みでナツメグなんかもいいかもな」ササッ
秋月「お肉の下処理はできましたね。次はどうするんですか?」
提督「ああ。肉をこれに漬け込む」ドンッ
秋月「これは……?」
提督「摩り下ろしたタマネギだ。タマネギにはタンパク質分解酵素が含まれていてな」
提督「肉を漬け込んでおくと、酵素が肉のタンパク質を消化して柔らかくなるわけだ」
提督「他にタンパク質分解酵素を含む食品にはパイナップルやキウイ、ショウガや大根などがある」
提督「パイナップルを食べ過ぎると口の中が荒れてしまうのはタンパク質分解酵素の働きだな」
秋月「司令。秋月はパイナップルをそんなにたくさん食べたことは……」
提督「……次行くぞ」
提督「裏表まんべんなく浸かるように漬け込んだら、最低でも30分~1時間はそのままにしておく」
秋月「では、その間に付け合わせのサラダなどを作っておきましょう」
~~~~~~~~~~
提督「十分漬け込んだら表面のタマネギを落として、油を引いたフライパンで両面焼く」ジュゥゥゥ
提督「豚肉は有鉤嚢虫という寄生虫がいるのでレアはNGだ。しっかり火を通すように」
提督「肉に火が通ったら皿に取って、続いて肉を焼いたフライパンにバターを入れる」
秋月「漬け込んでいたおろしタマネギをフライパンに入れて炒めるんですね」
提督「その通り。弱火~中火で炒めて、仕上げに醤油を加えて……」
秋月「出来上がったソースをお肉の上にかけて、完成ですね!」
~実食~
秋月「お肉が柔らかくて美味しいです!」モグモグ
提督「こういうマリネステーキは安い肉を美味く仕上げるにはうってつけの手法だ」モグモグ
提督「おろしタマネギだけじゃなく、大根おろしやパイナップルの果汁でも同様の効果が期待できる」
提督「他には炭酸水やビールに肉を漬け込むってのもあるな。これも肉が柔らかくなるぞ」
長10cm砲ちゃん「炭酸に含まれる炭酸水素ナトリウムが余分なタンパク質を灰汁として溶かすからだな」
秋月「御馳走様でした。司令、ありがとうございました!」
提督「まあ、これから贅沢の仕方がわからない時は俺に言えよ。人生美味いもんがあれば……」
間宮「提督……? ちょっとよろしいですか」
提督「えっ?」
間宮「お夕飯のトンカツ用にと思って買っておいたお肉が足りないんですけれど……」
間宮「提督と秋月ちゃんが勝手に使ってしまったんですね……?」ゴゴゴゴ
提督「あっ……そうだ、今日の夕食の献立はトンカツだった! 忘れてた!」
秋月「す、すみません間宮さん! あ、秋月は……」
間宮「いいからお肉屋さんに行って買ってきてくださいな。今すぐでいいですよ?」ドドドド
提督・秋月『イ、イエスマム! 行ってきますっ!!』
長10cm砲ちゃん「やれやれ……」
僕からは以上
秋月の提督の呼び方は母港台詞で「提督」、
ケッコン時に「司令」と若干の揺れがあったのですが
今回は「司令」を採用しました
――――――――――
厨房
天龍「大本営にもこっちに回せる潜水艦はいなかったみたいだなぁ」ジュワァァァ
提督「らしいな。ま、潜水艦自体そんなに数がいるわけでもないしな」ジャッ ジャッ
天龍「でも、代わりにオレ達の艤装の改修のための部品を回してくれるってんだからラッキーだぜ」チャッチャッ
提督「装備の開発と改修は明石に任せっきりだけどな。たまに秋月に手伝わせてるが」
天龍「あいつに高角砲とか造らせるといいモンできるからなぁ。流石は防空駆逐艦……っと」
天龍「よし、から揚げ揚がったぜ」
提督「そこに置いといてくれ。こっちもチキンライス上がりだ」
天龍「しっかし、わざわざ横須賀まで改修資材を取りに行かなきゃなんねぇとはね」
提督「向こうも人手が足りてねぇんだろ。渾作戦の時に確認された敵の新型のこともある」ヨソイヨソイ
天龍「重巡ネ級、駆逐棲姫、それに空母水鬼か……ネ級には改修型もいたらしいしな」
提督「まあ行って戻ってくるだけだし、一日で済む。遠征部隊として第二艦隊を行かせるつもりだ」ギュッギュッ
天龍「旗艦は川内か……まあ、少なくとも昼間は大人しいしな」
提督「夜戦夜戦とうるさいアホだけど、長女らしく仕切りが上手いところもあるんだよな」サッ サッ
提督「よし天龍、次はこっち揚げてくれ。油の温度は170~180℃」
天龍「……わざわざ遠征組の弁当自分で作ってやるんだから、お前もマメな奴だよなぁ」ジュワァァァ
天龍「で、今回の弁当は何なんだ?」
提督「メインはから揚げおにぎりとチキンライスのコロッケだ」
天龍「から揚げおにぎりの方は読んで字のごとく、から揚げを具にしたおにぎりだな」
提督「一口大の鶏のから揚げを炊き立ての白飯で包んで丸く握り、全面にゆかりをまんべんなくまぶす」
提督「鶏肉にはたっぷりのニンニクとショウガ、醤油で濃いめの下味をつけてある」
提督「こってりとしたから揚げの味を、ゆかりの酸味が受け止めて後味をさっぱりさせるって寸法だ」
天龍「へぇ、天むすとかライスバーガーみてぇなジャンクフードっぽい感じか」
提督「で、お前が今揚げてるのがチキンライスのコロッケだ」
提督「チキンライスの具はタマネギ、マッシュルーム、鶏もものひき肉、それに粉チーズを入れてある」
天龍「まずフライパンにバターを溶かして、みじん切りのタマネギをじっくり炒めて」
天龍「マッシュルーム、ひき肉の順で炒めて塩コショウ……ってやってたな」
提督「全体に火が通ってきたら冷や飯を投入して、混ざってきたら全体にケチャップで味をつける」
提督「仕上げに粉チーズを投入してさらに混ぜ合わせればチキンライスの出来上がりだ」
提督「あとはチキンライスを温かいうちに三角形に握り、小麦粉、溶き卵、パン粉をつけてカラッと揚げる」
天龍「ライスコロッケというよりおにぎりのコロッケって感じだな、見た目的に」
提督「あとはおかずを別容器に詰め合わせて……せっかくリンゴが大量にあるし、飾り切りでもやってみるか」
天龍「定番どころならウサギとかか?」
提督「文字も彫れるぜ。星とかハートを書いてやろうかな……」
提督「あっ、あの川内型二番艦には『I hate you.』って書いてやる。どうせ英語なんて読めねーだろ」
天龍「やめとけって。ったく、もう少し仲良くできねぇのかよお前ら……」
――――――――――
母港
提督「第二艦隊、整列! お前達にはこれより横須賀鎮守府に向けて出発してもらう」
提督「横須賀にある改修資材を受領するのが目的だ。旗艦は軽巡洋艦・川内とする」
川内「任せといてよ。夜戦がなさそうなのは不満だけどさっ」
提督「遠征でドンパチなんて御免だぜ。ほら、弁当」ホイッ
川内「ふふー、提督のお弁当美味しいから好きだなぁ。みんなで横須賀についてから食べるね」
提督「はいはい。じゃあ頼んだぞ」
提督「お前らもしっかりやれよ。ほら」ホイッ
秋月「了解です。もしものことがあっても、秋月が艦隊をお守りします!」
提督「そうならねぇことを祈ってるよ」
響「スパスィーバ、司令官。期待してくれ」
提督「行って帰ってくるだけだろ? ま、気をつけろよ」
曙「こんなお弁当なんかで懐柔できると思わないでよね。このクソ提督」
提督「じゃあ返せ。俺が食う」
曙「でも食べてあげないのも可哀想だから、貰ってあげるわ。ふんっ♪」
提督(ある時期の霞と同じ匂いがするな、こいつは……)
提督「……それから、ほらよ。お前らにも」ホイッ
神通「……」
初春「ふん。苦しゅうないぞ」
提督「へっ、可愛くねぇこと。礼のひとつも言えねぇのか? 川内型二番艦に初春型一番艦」
神通「……そうですね、一応お礼は言っておきます。主計科」
初春「誰にでも取り柄はあるものじゃからのう。飯炊き係の下男とはいえ一応上官、礼儀は示さねばな?」
提督「おーおー、そうかい。せいぜいたくさん資材を持ちかえってきな」
≪遠征部隊 出撃!≫
天龍「なぁ提督……神通もそうだけど、初春もなんとかなんねぇのかなぁ」
提督「知るか。あいつら頭ン中が昭和初期だし、平成育ちの俺には理解できねぇな」
天龍(こっちこそ、なんでオレがこんな気苦労抱えんのか理解できねぇよ……)ハァ
――――――――――
数時間後・執務室
提督「う~ん……烈風と流星の開発を進めてぇけど、ボーキサイトの収支は……」
バタァン!
天龍「提督! 大変だ!」
提督「どうした天龍。何かトラブルでも起こったのか? また阿武隈が誰かに衝突を……」
天龍「遠征組が横須賀から帰還中に深海棲艦の襲撃に遭った!」
提督「……!」ガタッ
天龍「規模は一個艦隊だが、例の新型がいるらしい。交戦状態に入ってから通信が途絶してる!」
提督「今すぐ第一艦隊を招集、出動だ。第二艦隊を救え!」
天龍「了解だ! 天龍、水雷戦隊、出撃する!」
僕からは以上
のじゃロリに嫌悪されるというのも結構破壊力高い
それから今後登場するかもしれないということで再び「かもしれない」安価
例によってコンマ以下が好感度となります
第三艦隊のメンバー >>+1(旗艦)~>>+6
第四艦隊のメンバー >>+7(旗艦)~>>+12
第三艦隊
赤城(18)
大鳳(23)
山城(27)
綾波(40)
大和(44)
武蔵(77)
第四艦隊
春雨(77)
初霜(21)
鬼怒(71)
伊58(71)
満潮(13)
加賀(86)
空母機動部隊に受けが悪い提督
赤城さん提督の何が不満だったんですか……
好感度ランキング
01.霞(99)
02.若葉(95)
03.阿武隈(92)
04.加賀(86)
05.曙・武蔵・春雨(77)
08.鬼怒・伊58(71)
10.響(70)
11.秋月(62)
12.大和(44)
13.天龍・綾波(40)
15.川内(39)
16.卯月(37)
17.山城(27)
18.大鳳(23)
19.初霜(21)
20.赤城(18)
21.那珂(16)
22.神通・初春(15)
24.満潮(13)
何故好かれてるかより何故嫌われてるかを考える方が難しいってはっきりわかんだね
00~09 殺意、不倶戴天の敵
10~19 嫌悪、無視
20~29 苦手、無関心
30~39 知り合い、友達
40~49 親友、誤解される仲
50~59 気になる
60~69 尊敬、微妙な関係
70~79 好き
80~89 運命の人
90~99 ケッコン間近
参考までに、好感度の目安は大体こんなものです
したがって>>92の好感度8の金剛がバーニングラブ(物理)をしていた場合
この鎮守府でクーデターが起きていた可能性が微粒子レベルで存在する……?
ちなみに今後の好感度上昇イベント等により好感度が100を超えたキャラが出た場合には
二人は幸せなキスをして終了ということになりますのでよろしくお願いします
――――――――――
同刻・鎮守府近海
ドォォォォン!
響「くっ……!」小破
川内「響、大丈夫!?」
響「問題ない……戦闘に支障はないよ」
川内「響は後退して! 曙は響の援護!」
曙「仕方ないわね。沈ませないわよ!」
響「すまない、曙」
曙「そんなの後にして! 響は鎮守府との交信を続けなさい!」
川内「神通、秋月、初春は私に続いて! 砲雷撃戦、用意!」
秋月「了解! 長10cm砲ちゃん、行きましょう!」
長10cm砲ちゃん「是非もない」
初春「よかろう……わらわの怒りを買ったことを悔いるがいいわっ!」
神通「神通……行きます!」
響「……本部、こちら第二艦隊……応答願う」ガチャッ
響「鎮守府近海にて敵巡洋艦隊に遭遇。数は6」
響「駆逐ハ級3、雷巡チ級1、軽巡ツ級1……それに敵の新型重巡洋艦」
響「繰り返す、敵の新型重巡洋艦がいる」
響「南西方面海域で確認された重巡ネ級……その改修型だ」
――――――――――
同刻・指令室
大淀「第一艦隊、抜鋲。第二艦隊の救援のため出撃しました」
提督「第二艦隊はまだこちらからの呼び掛けに応じないのか」
大淀「依然通信は途絶したままです。ですが川内以下6隻の生命兆候は健在」
大淀「おそらく通信機の故障によるものかと思われます」
提督「天龍、聞いての通りだ。事態は一刻を争う」ガチャッ
天龍『わかってる! 最大戦速でブッ飛ばしてるところだ!』
提督「第二艦隊がいる海域の座標はそっちに送ってある。迷子にはならんはずだ」
天龍『あいつらの状況は? 本部で艦隊の情報をモニターしてるんだろ!?』
提督「ああ、艦娘の艤装に装備されている生体情報モニターからある程度のことはわかってる」
提督「だが通信機が逝っちまってるから詳しい状況は……」
大淀「……秋月中破! ダメージ危険域です!」
提督「……! 急げ天龍!」
天龍『了解!』
提督「クソッ、間に合ってくれよ……大淀、第三・第四艦隊は」
大淀「第三艦隊は南方海域にて展開中のMO作戦に参加中」
大淀「第四艦隊は沖ノ島海域の戦闘支援任務です。今呼び戻しても間に合いません」
提督「ウチは余所の艦隊の支援が主任務の遊撃隊だからな……あちこちに遠征に行くことが多くなる」
提督「第二~第四の戦力は鎮守府にいないことも多い。それがこの土壇場で仇になった」
提督「やはり今頼りにできるのは第一艦隊だけ、か……」
大淀「第二艦隊は輸送用のコンテナやドラム缶を装備していましたから、戦闘能力は落ちています」
大淀「そのため、単独で敵艦隊に決定打を与えることは難しくなっているはずです……」
提督「……今は天龍達が間に合うことを祈るしかねぇ」
大淀「提督……」
――――――――――
鎮守府近海
ドォォォォン!
川内「さあ……待ちに待った夜戦だッ!」シュバッ
チ級「……!?」
ドゴォォォ!
川内「敵艦撃破! 次ッ!」
神通「残敵……駆逐艦2! 軽巡1! 重巡1!」
初春「流石の夜戦狂いじゃのう。わらわ達も続くぞ!」
初春「邪魔な駆逐艦はわらわが始末してくれるッ!」ジャキッ
ハ級「……!」
シュバァァァ……ドォォォォン!
初春「よし、一撃で……」
神通「……! 初春、避けて!」
初春「!?」
バッ!
ネ級「……!」
初春「なっ……」
ドォォォォン!
初春「がぁっ……!」大破
初春(いつの間に接近を……駆逐艦を盾にしてわらわに肉薄しおったのか……!?)
川内「初春っ!」
ネ級「……」
ジャキッ
ネ級「……!」
川内「止めを刺す気……!? やらせないっ!」
ドォンッ!
ツ級「……」
川内「邪魔だ、どけぇっ!」ジャキッ
ネ級「……!」
川内「初春っ!」
初春「……っ」ギュッ
ドォォォォン!
「……油断、しましたね」
ネ級「……!?」
シュバッ……ドゴォォォォン!
ネ級「……!」中破
初春「なっ……」
神通「……次発、装填済みです」大破
初春「神通……わらわの盾になったのか……!?」
神通「秋月さんは初春さんを連れて後退を……早く!」
秋月「は……はい!」
川内「神通! 大丈夫!?」シュタッ
神通「問題ありません……それより姉さん、今のうちです。この海域から離脱を……!」
神通「敵の戦力は半減しました……今なら敵艦隊の追撃を振りきれます」
神通「殿は私が務めます。姉さんは味方を連れて離脱してください」
川内「何言ってんの!? そんなこと……」
神通「いいから早く逃げてください!」
神通「ここで全滅するわけにはいきません……味方の救援を待っている時間もないんです」
神通「私達の任務は、受領した資材を鎮守府に届けることです……」
神通「姉さんは第二艦隊旗艦として、任務を全うしてください」
川内「……」
神通「……」
川内「……わかった。私はみんなを連れて先に行くよ」
川内「神通も……死なないでね」
神通「……」コクッ
≪遠征部隊 離脱!≫
神通「……行きましたか」ヨロッ
ネ級「……!」
ツ級「……」
ハ級「……」
神通「姉さん達を追わせはしません。私が……この神通がお相手します」ジャキッ
神通「神通……行きます」
――!
――轟沈確認……! あと2つ……!
――……ッ!
――まだ……この神通は沈みません……!
――もう一撃くらいは……ッ
――………………
――…………
――……
「……しっかりして! 那珂ちゃんの声、聴こえる!?」
「対象意識不明! 慎重に運んで!」
「こんなムチャして、このバカ……!」
「――こちら天龍、神通を発見した……ああ、大丈夫だ、あいつは……」
僕からは以上
※突然ですが神通イベントのサイドキックを決めます
>>+1~2
第一~第四艦隊の艦娘
【サイドキック】
今後の好感度上昇イベントの際、メインキャラとサイドキックを決めます。
サイドキックはイベントの脇役的なアレですが、彼女達もある程度好感度が上昇します。
今回は神通イベントの脇役として那珂ちゃんと春雨を出していきます。
好感度が100を超えたキャラが好感度イベントのメインキャラに選ばれたら二人は幸せなキスをして終了となります
・イベントの際にメインキャラとサイドキック、及びイベント内容を安価で決定
メインキャラ
そのイベントの主役になるキャラ。好感度上昇値はコンマ以下の数字の1/3。
最大で33も上がる可能性がある一方、サイドキック以下のショボい上昇値の可能性もあり。
好感度が100を超えているキャラがメインキャラに選ばれたら……?
サイドキック
そのイベントの脇役になるキャラ。好感度上昇値はコンマ以下の下一桁の数字。
なお好感度100超えのキャラがサイドキックに選ばれても特に何もないもよう。
――――――――――
入渠ドック内・療養施設
神通「……ん……」
那珂「あっ、神通ちゃん! 目が覚めたの!?」
神通「……あ……那珂、ちゃん……?」
那珂「よかった、本当に……川内ちゃんも本当に心配してたんだよ」
神通「ごめんなさい、心配かけちゃって……」
神通「姉さん達は無事に鎮守府に着いたの……?」
那珂「うん。資材もちゃんと持ち帰れたよ」
那珂「工廠の妖精さんの話だと、あの資材を使えば那珂ちゃん達の艤装がパワーアップするんだって」
神通「川内型の第二改装計画……そういえば、横須賀でもそんな話を聞いたかな」
那珂「……でも、那珂ちゃんは姉妹みんなが揃ってなきゃ嫌だよ」
那珂「いくら那珂ちゃんや川内ちゃんが強くなっても、神通ちゃんがいなきゃ嫌」
那珂「だから、もうこんなムチャはしないでね……?」
神通「……ごめんなさい」
那珂「あっ、そうだ……あんまり気は進まないけど、提督呼んでこなきゃ」
神通「……あの主計科を?」
那珂「うん。神通ちゃんが目を覚ましたらすぐ知らせてくれって」
那珂「嫌だなぁ。どうせ神通ちゃんに意地悪するつもりなんだから!」プンプン
那珂「こないだだって那珂ちゃんのこと家具扱いして……」
神通「……ううん、今回だけは仕方ないよ。私が勝手にやったことだから……」
那珂「神通ちゃん……」
那珂「……提督に意地悪されそうになったら、那珂ちゃんが守ってあげるからね」ナデナデ
――――――――――
指令室
「……!」ザザッ
「――!! ――――」ザーッ
提督「……どうだ、春雨」ピッ
春雨「雑音が酷くて聞こえにくかったですけど……なんとなくわかりました」
春雨「……『てすとハ終ワリだ。コレ以上戦ッテモ得ルモノハナイ』」
春雨「『コンナ死ニ損ナイノ相手デオ前ヲ失ウワケニハイカナイ。撤退スル……』」
提督「軽巡ツ級がそう言ってたんだな?」
春雨「はい」
提督「ネ級とツ級が第二艦隊を深追いせず、あいつに止めを刺さなかった理由がそれか……」
提督「艤装に積んであったレコーダーの戦闘記録、それに川内達の証言……」
春雨「川内さん達によれば、重巡ネ級の周囲には金色の靄がかかっていたって……」
提督「Flagshipクラスか……この間の南西方面海域での実戦投入からやけに早い」
春雨「でも……他の皆さんの艤装の戦闘記録から見ても、Eliteクラス以上は確実だと思います」
提督「状況証拠は十分だな。敵は新型重巡の運用試験のために適当に目に付いた艦隊を襲ったってわけだ」
提督「だが遠征の帰りの補給部隊と侮った相手が予想以上の奮戦」
提督「試験戦闘で新型を失っては本末転倒。連中も適当なところで撤退した……」
提督「チッ……俺の鎮守府の目と鼻の先で好き勝手やってくれるぜ、まったく」
春雨「でも何にせよ、天龍さん達が間に合って本当に良かった……」
提督「……そうだな。俺もホッとしてる」
春雨「艤装の修理にはすごく時間がかかってしまうらしいですけど……」
提督「……まあ、工廠の方にも色々都合があるからな。さて春雨、ご苦労だった。歩けるか?」
春雨「もう司令官、春雨は大丈夫ですよぅ。義足にも慣れましたし」
提督「他の艦娘同様に水上移動も問題ないって話だからな。さすが妖精作、大したもんだ」
春雨「で、でも、前みたいに司令官に抱えてもらうのも……春雨は好きです……」///
提督「輸送する側が輸送されてどうすんだよ。輸送作戦、好きなんだろ?」
提督(……春雨は第二次渾作戦の際に保護された艦娘だ)
提督(南西方面海域で確認された敵の新型・駆逐棲姫の撃破のためにウチからも戦力を出した)
提督(駆逐艦とはいえ『姫』クラスの深海棲艦。ウチの水雷戦隊もかなり手こずった)
提督(そして駆逐棲姫を倒した後に発見されたのが春雨だった)
提督(……驚きだったのは、保護された時には彼女の両脚の膝から下が欠損していたことと)
提督(彼女には『姫』や『鬼』以外の深海棲艦の言葉を理解することができたってことだ)
提督(上層部は春雨と駆逐棲姫を同一の個体であると考えているらしい)
提督(両脚の修理と保護観察のため、彼女は現在ウチの鎮守府に籍を置いているが……)
春雨「でも歩けるようになって嬉しいのは本当です。これで護衛任務や輸送作戦もこなせますから!」
提督「ああ、バリバリ働いてくれて助かる。お前に第四艦隊の旗艦を任せたのは正解だったぜ」
春雨「艦隊の皆さんもよくしてくれて……この鎮守府に配属になってよかったです」
提督「そうかそうか。というかお前、もう他の鎮守府に行っても働けないぜ」
春雨「え?」
提督「何と言っても、余所じゃ俺の料理が食えねぇからな」
春雨「ふふ……そうですね。それじゃあもう、他の鎮守府には行けませんね」
提督(……仮に春雨が元深海棲艦なのだとしても)
提督(美味いもんを美味いと思う感覚は艦娘も深海棲艦も変わらねぇみてぇだ)
提督(みんな仲良く、とは言わねぇけど、何のために戦争してんのかたまにわからなくなるな……)
僕からは以上
春雨は着任後しばらくは車椅子だったりしました
メインキャラやサイドキックに選ばれた艦娘にはこうやって
適当な裏設定を生やしたり生やさなかったりします
――――――――――
入渠ドック内・療養施設
神通「……」
コンコン
神通「はい……どうぞ」
ガチャッ
提督「よう、川内型二番艦」
神通「……こんにちは、主計科」
提督「思ったより元気そうだなオイ。まあ身体の傷は高速修復材で治してんだから当たり前か」バタン
神通「あの……何の用ですか? 私の処分についてでしょうか」
提督「大体そんなところだ。だがまずはこれを食え」トン
神通「うどん……ですか」
提督「こういう時は消化にいいもん食って体力を取り戻すに限る」
提督「うどんやお粥のような消化のいい穀類は、体調の悪い時食べるものの定番だな」
提督「つゆはサバとムロアジの混合節で出汁を取って、醤油で味を調えた」
提督「そして……っと」コンコン パカァ
提督「トッピングは温泉卵。薬味はすり胡麻、おろしショウガ、ネギ、刻み海苔と用意してある」
神通「わざわざ作ってきたんですか……?」
提督「まあ今は四の五の言わずに食え。何事も腹が減ってちゃ始まらねぇんだから」
提督「俺は俺の分のうどんを食うから気にせずに食ってろ」サッ
神通「……そうですね。頂きます」ペコッ
提督「おう」
提督「……」ズルズル
神通「……」チュルチュル
提督「……」ズズー
神通「……」モグモグ
提督「……」パクパク
神通「……」コクン
――――――――――
那珂「……」コソコソ
春雨「……司令官も神通さんも無言ですね」コソコソ
那珂「提督のお料理じゃ神通ちゃんは懐柔されないよーだ。いくら美味しくても性格最悪なんだから」イーッ
春雨「那珂さん、そんなことは……確かに提督は、ちょっと変わったところもありますけど……」
那珂「ううん、神通ちゃんの気持ちだって全然わかってない……神通ちゃんがどんな気持ちで戦ってるか」
春雨「……でも、それは」
春雨(……神通さんだって那珂さんだって、司令官の気持ちなんてわかってないじゃない……)
――――――――――
神通「御馳走様でした」
提督「おう。丼は脇に置いとけ、後で持ってくから」
神通「はい」
提督「で、だ。早速本題に入るが……」
提督「良いニュースと悪いニュースがある。どっちから聞きたい」
神通「別に、どちらからでも構いません」
提督「そうか。なら良いニュースから話す」
提督「まず、お前達が持ち帰った資材のおかげで、川内型の第二改装が可能となった」
提督「いわゆる改二ってやつだな。艤装の性能も向上し戦力の大幅アップが期待できる」
提督「川内型は三人とも十分な練度に達している。艤装に振り回されるようなこともないだろうな」
神通「……それは知っています」
提督「那珂ちゃんにでも聞いたか」
神通「はい」
提督「艤装の改修は既に始まってる。ま、お前の艤装はメチャクチャだったからほぼ新造だがな」
神通「……」
提督「で、悪いニュースだ。お前を第二艦隊から外す」
神通「……!」
那珂「!」
春雨(司令官……)
提督「今回はずいぶんと無茶をやってくれたな、川内型二番艦」
提督「確かにお前のおかげで資材は手に入った。第二艦隊は一人の欠員もなく帰還した」
提督「が、それも全部結果論だ。お前がくたばり損なったのも深海棲艦側の都合があったからで」
提督「天龍達が到着したのがあと10分遅れてもヤバかった」
提督「言ってしまえば運が良かっただけだ。あのまま死んじまってもおかしくはなかった」
神通「……」
提督「勝手な真似をしやがってよ……いくら戦果を挙げようがこれじゃ危なっかしくて使えねぇんだよ」
提督「お前は俺がいいと判断するまでイモの皮剥きでもしててもらうからな」
神通「……わかりました」
提督「……どうした? なんか申し開きはねぇのか」
神通「いいえ。あれが私の勝手な判断であったことに変わりはありません」
提督「自覚はあるんだな。結構なこって」
神通「ですが……間違ったことをしたとも思ってはいません」
神通「私はあの状況で、自分の為すべきことを為しました」
神通「……貴方のような主計科に御理解頂けなくても構いませんが、それだけは言っておきます」
提督「」イラッ
提督「……おーおー、なるほど。こりゃあ参ったね」
提督「流石は花の二水戦旗艦サマは言うことが違うねぇ。うわーカッコイイー」
提督「旧日本海軍の伝統に則った優等生だぜテメエ。戦争の優等生だなぁ」
提督「旗艦は先頭に出て後続を守る、そのため旗艦には駆逐艦より装甲の硬い軽巡を使うんだっけか?」
提督「川内を差し置いて旗艦気取りで出しゃばった上にこのザマだ。そんなに死にてぇんだな」
提督「コロンバンガラ島沖の再現がしてぇなら余所でやりやがれ! いい迷惑だ!」
神通「」ピキッ
ガシッ!
神通「……」ググッ
提督「なんだテメエ、この手は……! 上官の胸倉掴むたぁいい度胸だな」ギリギリ
神通「貴方にはわからないでしょう。私達艦娘が、この国を守るためにどれだけ……!」
提督「知らねぇよ。大正生まれの若作りババアの考えてることなんざ……!」
バタァンッ!
那珂「神通ちゃんやめて!」
春雨「司令官も落ち着いてください!」
提督「うるせぇっ! こいつには言いたいことが山ほどある!」
神通「那珂ちゃん、どいて! こんな人が上官だなんて……っ!」
那珂「提督っ! 神通ちゃんに謝って!」
提督「いくら那珂ちゃんの頼みでもそれは聞けねぇな! いいかこのアホ軽巡!」
春雨「司令官!」
提督「俺はな、手前勝手な、身投げのようなヒロイズムで勝手に死ぬ奴が嫌いだ!」
提督「お前の命と引き換えにしなきゃ手に入らねぇ資材ならいらねぇ! そんなの気持ち悪ぃんだよ!」
提督「そんでお前達を改造してやることと言ったらまた戦争じゃねぇか……バカにしやがって、畜生!」
神通「それが戦争を終わらせるために必要だから、私達は……!」
神通「……私こそ、貴方のようなヒューマニズムに酔いしれたことを言う人が嫌いです!」
神通「私達が戦わなければ、世界中の海に深海棲艦がはびこり、人を殺します」
神通「それをさせないために命を賭して戦うのが私達艦娘です!」
神通「私一人の命でもっと多くの人の命を救えるなら、それが私達の勝利なんです!」
提督「勝手なこと言いやがって……! だったら、テメエの命の使い道を指図するのは俺じゃねぇか!」
神通「言ったはずです……貴方に命を預けることなんてできない!」
神通「私達を死にに行かせる覚悟もない貴方なんかに!」
提督「――この野郎ッ!!」
バシィンッ!
神通「……っ、やりましたね……!」
バキィッ!
提督「ぐがっ……テメエ、グーでやりやがったな!」
ガシッ ドカッ
ガシャン!
那珂「神通ちゃん、やめて! やめてったら!」
春雨「司令官! 落ち着いて! 誰か、誰か来てください!」
………………
……
――――――――――
医務室
武蔵「ずいぶん男前になったじゃないか、なあ提督よ」薬ヌリヌリ
提督「いてて……あの川内型二番艦がよ、軽巡のくせしてお前に負けず劣らずのメスゴリラだ」ボロッ
神通「……」
武蔵「減らず口が叩けるんなら大丈夫そうだな? 艦娘と殴り合う提督なんて前代未聞だ」絆創膏ペタッ
武蔵「ま、殴り合うというにはずいぶん一方的だったようだが……」ピンッ
提督「痛ッ」
武蔵「次は痴話喧嘩の仲裁じゃなく、敵艦との殴り合いにお呼ばれしたいものだ」
武蔵「お互い頭を冷やすことだな。じゃあな、お大事に」ガラガラッ
提督「……」
神通「……」
提督「……チッ。まあ、なんだ。アレだ、オイ川内型二番艦」
神通「……なんですか、主計科。まだやり足りないと」
提督「ちげーよ。今日のところはアレで勘弁しといてやる……ってそうじゃなくてだ」
提督「……まあ、俺は自分の意見を曲げる気はねぇ。お前の言うことにも一理くらいは認めてもいいが」
提督「だがな、これだけは知っておけ」
提督「お前達みたいな死にたがりに飯を作ってやる人間が、どんな気持ちでいるかってことをな」
神通「……なら、貴方も知ってください」
提督「あん?」
神通「貴方のような戦争を知らない大勢の人の命を守るために戦う存在が、どんな想いでいるのか」
提督「……ああ。考えといてやる」
提督「明日からお前の仕事場は厨房だ。間宮にイモの皮剥きのやり方でも習っておけ」ガラガラ
ピシャッ
神通「……」
提督「あ」バッタリ
那珂「……」
提督「どうした那珂ちゃん。あいつにゃお見舞いは必要ねぇよ。俺よりよっぽど元気だ」
那珂「……ねぇ提督」
提督「なんだ、那珂ちゃん」
那珂「提督は、なんで神通ちゃんにあんなに辛く当たるの」
提督「……参ったな、那珂ちゃんがそれ聞くか」
那珂「いいから答えて」
提督「……一言で言えば、気に食わないからだな」
那珂「どうして。どんなところが」
提督「自分が艦娘として生まれて艦娘として死ぬと決めつけてるところが、だ」
那珂「なんで? それのどこが悪いの?」
那珂「那珂ちゃん達はそういう風に生まれてくるから、だから艦娘なのに」
提督「……艦娘だからって艦娘にしかなれないなんて誰が決めたんだよ」
那珂「それは……」
提督「いつだったか言ってただろ、那珂ちゃん。終戦後は歌手になりたいって」
那珂「……うん。でも、それは」
提督「確かに難しい道かもしれねぇ。戦争が終わった後の艦娘の扱われ方なんてわからねぇし」
提督「でも、そうなりたいと思うのは全然悪いことじゃない。悪いことであるはずがない」
提督「むしろ、俺はそんな那珂ちゃんを尊敬してすらいる」
那珂「……」
提督「俺はお前達に死ぬ覚悟なんか求めてねぇ。俺が欲しいのは生きる覚悟だ」
提督「どんなに下らなくてもいいから生きる理由を見つけろ」
提督「見つからないなら、俺の料理を食うために生きて帰るんでもいい」
提督「艦娘なんぞという戦争の道具のまま死ぬな。どうせなら『人間』になってから死ね」
提督「……とまあ、理由としちゃこんなもんだ。だからああいう死にたがりが許せねぇ。それだけ」
那珂「提督は、那珂ちゃん達が『人間』になれるって本当に思うの?」
提督「そう思うきっかけをくれたのは那珂ちゃん、お前だぜ」
提督「じゃ、話は終わりだ。あいつが抜ける分、艦隊の編成を考え直さにゃならんからな」
那珂「あっ……」
提督「那珂ちゃんは、あいつにちゃんと厨房の下働きをするよう言い聞かせといてくれよ。じゃあな」
那珂「……那珂ちゃんの言ったこと、提督覚えてたんだ」
那珂「あの時は、そんな深く考えずに……みんなにちやほやされたいくらいの気持ちで……」
那珂「……」
那珂「……那珂ちゃん達が、『人間』に……かぁ……」
――――――――――
翌日・厨房
ジリリリリリリ……
提督「よォーし、昼食の時間終わりだ。俺達も休憩にするか」
間宮「お疲れ様です、提督」
提督「お前もお疲れさん、間宮。で、どうだあいつは」
間宮「神通さんですか? ええ、呑み込みが早いし手際も良くて助かってます」
提督「へぇ、あいつがねぇ」
神通「……」テキパキ
提督「懲罰人事とはいえ適材適所だったかね。ま、しばらく楽させてもらうか」
神通「……主計科」ヒュッ
提督「ん? おっと」パシッ
神通「片付けが終わったので、上がらせて頂きます」
提督「……おう。夕食の時も遅れんなよ」
神通「それでは失礼します」ペコッ
提督「ふん、相変わらずいけ好かねぇ。リンゴなんか投げて寄越しやがって……ん?」
『I HATE YOU TOO !』
間宮「あらあら、飾り切りも上手ですねぇ」ウフフ
提督「……あの野郎、英語読めてんじゃねぇか」シャクッ
神通 好感度15→27
那珂 好感度16→22
春雨 好感度77→80
僕からは以上
神通の部署が第二艦隊から厨房の下働きになりました
提督と殴り合って多少は距離が縮まったようです
次のイベントのメインキャラ >>+2
次のイベントのサイドキック >>+3~>>+4
書き忘れてしまいましたが、今後はこの鎮守府に所属している24名の中から選ぶ形になります。すみません
青葉はいないのでメインキャラ再安価で
あとついでに第一艦隊を再編成します
神通を除く23名の中から選んでください
再安価 メインキャラ >>+2
再編成後の第一艦隊 >>+4~>>+9
しまった、メインキャラとサイドキックが被ってしまった……まあいいや
メインキャラ 川内 好感度15UP
サイドキック 霞 好感度9UP
再編成後の第一艦隊
・霞(秘書官)
・阿武隈
・那珂
・曙
・赤城
・春雨
イベント内容 >>+3
再編成後の第一艦隊旗艦に収まったりして霞の正妻ポジションが確立されていく中、
水雷戦隊に赤城を突っ込んでいく提督の考えがわからないわ
捕鯨に成功したのが嬉しかったので今日は何回も投下しましたが今後は頻度が落ちていくものと思われます
最新好感度ランキング
01.霞(99)
02.若葉(95)
03.阿武隈(92)
04.加賀(86)
05.春雨(80)
06.曙・武蔵(77)
08.鬼怒・伊58(71)
10.響(70)
11.秋月(62)
12.大和(44)
13.天龍・綾波(40)
15.川内(39)
16.卯月(37)
17.神通・山城(27)
19.大鳳(23)
20.那珂(22)
21.初霜(21)
22.赤城(18)
23.初春(15)
24.満潮(13)
神通と那珂ちゃんが「嫌い」から「苦手」程度までマシになった他、
春雨が「運命の人」レベルまで好感度を上げてます
天龍
好感度:40(親友)
初代秘書艦。艦隊で一番の古株で、提督とは親友と言って差し支えない。
提督と一部の艦娘の不和に頭を悩ませる苦労人。
若葉
好感度:95(ケッコン間近)
提督のためならなんでもできる。ん? 今何でも(ry
最低限のことしか話さないが、提督といると比較的口数が多くなる。
霞
好感度:99(ケッコン間近)
二代目秘書艦。提督の正妻というかおかん。クズ呼ばわりはもうやめた。
提督の一番の理解者であり現在ケッコンに最も近い艦娘。
卯月
好感度:37(友達)
提督とは普通の友達感覚。悪戯しても怒られないというかあまり相手にされない。
ニンジンが嫌いだったが提督お手製のニンジンフルコースをお見舞いされて克服。
阿武隈
好感度:92(ケッコン間近)
よく提督に衝突と称してボディタッチを試みる。料理の腕も高い。
弱々しい態度と裏腹にかなりガツガツ攻めるタイプ。
那珂
好感度:22(苦手)
提督にとても好かれているが、ズレたアプローチを繰り返されたためうんざりしている。
過去に提督の価値観に影響を与えたことがあり、地味に重要人物。
神通
好感度:27(苦手)
元第二艦隊所属だったが独断専行を咎められ現在は厨房の下働き。
提督と本音をぶつけ合い(結構一方的に)殴り合ったことからわだかまりは薄れ始める。
川内
好感度:39(友達)
第二艦隊旗艦の夜戦の鬼。あるいはただの夜戦バカ。
生来の社交性の高さから川内型では最も提督と気軽に話せる人物である。
秋月
好感度:62(尊敬)
第二艦隊所属の対空の鬼。あるいは貧乏をこじらせすぎた娘。
最近何やかんやと理由をつけては提督がご飯を作ってやっている。
春雨
好感度:80(運命の人)
駆逐棲姫を倒したらドロップした。駆逐棲姫と同一人物ではないかと思われている。
姫や鬼以外の深海棲艦の言葉を理解できるという特殊能力を持っている。
響・初春・曙はそこまで詳しく描写してないので省略
他の未登場組も省略
大淀・明石・間宮は好感度を設定していないNPC的な扱いです
あと長10cm砲ちゃんは多分中田譲治とか小山力也とかそんな感じの声
好感度0~100の間で変動するんだったら50あたりが苦手と好意の分かれ目だと思ったんだが
けっこう低くても友達と認識してもらえるのか
あ、あと武蔵も好感度がかなり高い方なのでメスゴリラ呼ばわりも冗談として流せる程度には仲良しです
同じことを大和に言ったら殺されるかもしれませんが
大和44なのにメスゴリラって呼べるほど仲は良くないのか
>>383
制作上、あまり嫌われすぎても>>1の心が持たないかもと思ったので
嫌われるボーダーを敢えてかなり低く設定しました
それでも全体の1/3には苦手意識ないし嫌悪を抱かれてる辺りは妙にリアルな……
>>385
まあ艦娘ごとの性格の違いも関係あるということで……
いくら親友だからって大和にメスゴリラとか言ったら傷つくと思われますしおすし
今日見つけて一気読みしたが
前職をコンマ(5種類)から選んだとは思えない料理描写の巧みさで吹いた
>>396
提督の前職と属性は安価とコンマで決めたわけですが、
ある程度前職ごとにシナリオのイメージを用意してあったのでそれに合わせる形でやってます
例えば他の職業の場合は以下のようになってました
前職:警察官(善良)
君は市民を守る使命に燃える刑事だったが、軍に適性を認められ提督になった。
警察と海軍、組織が違っても人々を守ることに変わりはない。
持ち前の機転と推理力で、『ボーキサイト消失事件』『第三砲塔爆発事件』
『艦隊のアイドル解体事件』などの数々の怪事件を解決に導け。
前職:ギャングスター(凶悪)
君は暴虐の限りを尽くしたマフィアのドンだったが、警察の捜査の手を逃れるため
軍官僚に多額の賄賂を渡してある鎮守府の提督の座に収まった。
今日からはこの鎮守府が君の家であり、艦娘達が新たなファミリーだ。
再び勢力を拡大し、野望を達成しろ。
前職:ロボット(中立)
君は海軍が造り出したAIプログラムだ。君の中にあるのは与えられた使命のみ。
鎮守府に赴き、艦娘達を指揮し、人類の敵・深海棲艦を駆逐すること。
それだけが君の思想であり、行動原理であり、作戦目的だ。
深海棲艦撲滅のために行動せよ。
警察官の設定が酷い(褒め言葉
ギャングスター(ヤクザ)とか口だけ達者な役立たずじゃねーか
普段は威張りくさってるけど実戦になったら後ろに隠れて震えて馬鹿にされた話あるぞ
逆に普段ヤクザが馬鹿にしてた寡黙な元農民達は黙々と戦っていたという
そんな話があるって位でよくぞそこまで……一面的なやっちゃの
前職:ロボットってそれもうロボットじゃね?
いやまあ……ギャングスター()とかうちら市民からしたら迷惑な屑だし……
つーか迷惑かけられた事あったから熱くなってしまったよ、すまんな
>>401
警察官ルートの場合、ボーキサイトをつまみ食いした正規空母が憲兵さんのお世話になり
「私もまたボーキサイトに踊らされただけの被害者に過ぎなかったんです」
とか言い訳を述べる展開が待っていたに違いない(確信)
>>403
ロボット(善良)ならほのぼのロボットコメディになり、
ロボット(中立)なら提督自ら出撃するバトルものになり、
ロボット(凶悪)なら艦娘を扇動して人間に反旗を翻すような話になったかも……
ロボット(善良)ならメカ沢だな、コメディ枠だし
基本的には提督の属性が善良ならコメディに、凶悪ならシリアス()になります
中立はどっちにも転がる感じで
今回は料理人(凶悪)なので、料理漫画のごとく要所要所で料理と食事のシーンを挟みつつ
なんかシリアスっぽい展開になったりならなかったりします
乙乙
これはギャングスター(善良)で行くしかない
>>411
ギャングスター(善良)
君はあるギャングの下っ端だったが、ある艦娘との出会いによって更生した。
悪事から足を洗い海軍に志願した君は提督としての適性を見出され、ある鎮守府に着任。
そこで秘書艦として君を待っていたのは、あの時出会った艦娘だった。
恩人である艦娘――『姐さん』と共に深海棲艦と戦え。
その場合こういう感じのストーリーにするつもりでした
安価次第では睦月や朝潮を姐さんと呼び慕い、しかも向こうからはガチで嫌われているという
チンピラ提督の悲哀を垣間見れるかもしれません
ロボットの悲哀か……
ゼボットきょうもうごかないなにも
しゃべらないすーぷサメタツクリナオシ
ちなみに提督の前職の候補はもっと色々ありましたが、
諸般の事情(主にシナリオが思いつかない)から最終的に5つに絞った結果がアレです
何故料理人を入れたのかは自分でもよくわかりません
・兵士
・技術者
・ビジネスマン
・アスリート
・仙人
――――――――――
執務室
提督「ケッコンカッコカリ……ねぇ」
霞「なに? またその話?」
提督「だってよ……ケッコンだぜケッコン」
提督「たかだか艦娘の能力のリミッターを外すだけのものに『結婚』ときやがる」
提督「なんだってこんな意味深な名前をつけやがったのか理解に苦しむぜ」
霞「その方が現場の士気が上がるって、お偉いさんの判断なんじゃないの」
提督「だとしてもだ、そういう色恋めいた話はひどい拗れ方をするもんだぞ」
提督「俺は反対だね。ご丁寧に指輪まで用意しやがって、大本営の奴ら……」
霞「本当の結婚じゃない、おままごとみたいなものでしょ。問題なんてないわよ」
提督「いや、まあ……お前だからそう言えるのかもしれねぇけどよ」
霞「何よ。どういう意味?」
提督「誰だって形のあるものを欲しがるってことだ」
霞「はぁ?」
提督「ま、ケッコンカッコカリについてはしばらく保留だな」
霞「充分な練度に達した艦は何隻かいるわよ? 私に若葉に阿武隈……加賀さんや春雨ももうすぐね」
霞「個人的には、天龍が全然足りてなかったっていうのはちょっと意外ね」
提督「天龍は一番の古株だったが、秘書艦として前線に出さないことも多かったからなぁ」
霞「秘書艦っていうか、司令官のアシスタントでしょ。結構な頻度で厨房に立たせてたじゃない」
提督「あいつは呑み込みが早くて教えがいがあったからな」
霞「あら、じゃあ神通とも案外仲良くなれそうじゃない?」
提督「……ノーコメントだ」
提督「それより霞、艦隊から何件か陳情が来てたはずだ。見せてくれ」
霞「はいはい。えーと、この書類ね」
提督「サンキュー。どれどれ……『酒の種類を増やしてくれ』? こりゃ武蔵の奴だな」
提督「そうだな……フルーツビールでも仕入れてやるか。木苺とか青リンゴとかの」
提督「……となると、フルーツビールに合うつまみを考えとかないとな」
霞「司令官がそうやって甘やかすからそういう陳情を寄越すんじゃないの」ジトー
提督「あの大喰らいどもを黙らすには、結局飯を与えるのが一番なんだよ」
霞「そういえば山城、第二改装が終わってからたくさん食べるようになったわよね」
提督「前は戦艦にしちゃ食が細いと思ってたが、気のせいだったみてぇだな」
提督「大和、武蔵、山城、赤城、加賀、大鳳。あいつらの『女子会』とやらを見たことあるか?」
提督「ありゃ女子会なんかじゃねぇ、控え目に言ってもゴリラとカバの集いだ」
霞「あんたねぇ。いい加減赤城をカバ呼ばわりするのやめなさいよ」
提督「お前だってさん付けしてやれよ。加賀にはしてるだろ」
霞「だって……いいや、私はいいのよ。でも司令官はダメ」
提督「俺はお前の子供か。そのオカンみたいなお為ごかしやめろや」
提督「次は……『川内と那珂の改二記念パーティーを開くぴょん』。これは卯月だな」
霞「そういえばあの二人の第二改装も終わってたわね。神通はまだだけど……」
提督「あいつの艤装はほぼ新造になるからな。まあ改装が終わったところで出撃はさせねぇが」
霞「司令官、ひとつ聞きたいことがあるんだけど」
提督「なんだよ」
霞「川内と那珂の改二をお祝いしてないのは、神通を仲間外れにしないため?」
提督「そんなんじゃ……オイ、そのやたら優しげな眼差しやめろ。違うから。オカンか」
提督「次。えーと、『ゴーヤの魚雷さんがお利口すぎてごめんなさいでち』」
霞「ゴーヤの開幕魚雷がダメージ出すぎてMVPをさらっていくのを愚痴ってたわね」
提督「次。『若葉だ。司令官はいつ若葉とケッコンするつもりなのか教えてくれ』」
霞「若葉もかなりストレートに来るわよね」
提督「次! 『宿舎のベッドがふかふかすぎて落ち着きません』」
霞「かといって秋月の部屋の家具のレベルを落とすとイジメみたいになるし」
提督「次! 『扶桑姉様を呉から呼び寄せるか、扶桑姉様を招聘するか、扶桑姉様を着任させてください』」
霞「扶桑は呉のエースなんだから呼べるわけないでしょ……」
提督「改二になっても山城は相変わらずか」
提督「次……うわぁ……っ」
霞「どうしたの? また鬼怒が鬼怒のポーズのイラストだけで何かを伝えようと……」
『夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい
夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい夜戦したい』
霞「」ドンビキ
提督「川内……夜戦欠乏症にかかって……」
霞「ちょっと、これヤバくない? 改二になってから酷くなってない?」
提督「オイ、改二ってなんかヤバいんじゃないのか。戦闘能力と引き替えに精神が不安定になるとか……」
提督「! こうしちゃいられねぇぞ。那珂ちゃんがこんなことになるくらいなら改二なんてやめだ」
霞「あんたも落ち着きなさい。最近出撃もないし、川内がこうなるのは予想の範疇だけれど」
提督「予想できてたのかコレを」
霞「……川内の場合、単に戦いたいだけって感じじゃなさそうなのが厄介なのよ」
提督「……」
霞「ねえ司令官、たまには川内と遊んであげたら? 川内にとってもいい気晴らしになるんじゃない?」
提督「俺はあのアホと違って忙しいんだ。夜中に遊んでられねぇよ」
霞「話をするだけでもいいわ。良い機会よ。多分、あんたも知っておくべきことなのよ」
提督「何を」
霞「なんで川内が夜戦が好きなのか」
提督「そんなのは……」
霞「たまには付き合ってあげなさいよ。そうでなくても、司令官はあんまり艦隊の皆と触れ合わないじゃない」
霞「大丈夫よ、厨房の仕事は私がやっておいてあげるから」
提督「……はぁ、わかった。考えとく」
僕からは以上
提督の属性が凶悪である以上はダークなネタを突っ込んでいきたい
でもできるだけ死人は出さないようにしていきたいと思います
――――――――――
艦娘宿舎・川内型の部屋
川内「ああ~……ああ゛~」ゴロゴロ
川内「夜戦したいなぁ。今すっごく夜戦したいなぁ」ジタバタ
川内「誰でもいいから夜戦しよー、やーせーんー」ゴロゴロ
神通「姉さん……前にもまして夜戦したがりですね」ペラッ
川内「だってさだってさ、改二になってから身体がウズウズしちゃってしょうがないんだもん」
川内「最近は出撃も演習もないし……もー退屈だよー!」
神通「そういえば、那珂ちゃんはどこに? あの子に模擬戦の相手を頼めば……」
川内「わかんない。なんだか最近どこかに出かけるようになっちゃったしさ」
川内「聞いても『アイドルには秘密がつきものなの☆』って言って教えてくれないもん」
神通「そうなんですか……那珂ちゃん、最近またアイドルの話をするようになりましたね」
川内「そうだねー。提督にその辺イジられてやめちゃったのかと思ってたけど」
川内「部屋の隅に立たせてジュークボックス代わりにBGM歌わせるとか端的に言ってイジメだし」
川内「その上よくわかんないのが、那珂の歌をひとしきり聞いたら満足げな顔で家具コイン渡したりねー」
神通「……あの主計科の考えることは私には理解できません」
川内「模擬戦……模擬戦かぁ。じゃあ神通、模擬戦の相手してよ」
神通「ごめんなさい、明日も朝早いから……」
川内「だよねぇ。神通、最近厨房で働いてるんだもんね」
神通「主計科の許可なしには出撃も演習もできないし、そもそも艤装の改修が済んでいなくて……」
川内「いつまでかかるんだろうねぇ。待ち遠しいよねぇ」
川内「あー、夜戦したいなぁ。やーせーんー、やーせーんー」パタパタ
コンコン
川内「? はーい、開いてるよー」
ガチャッ
提督「夜戦夜戦うるせぇぞ夜戦バカ。ないしただのバカ」
川内「あれ、提督? 珍しいね、宿舎に来るなんて」
神通「……」
提督「まあ、色々な。まず聞くが、あの気持ち悪い陳情書はなんなんだオイ」
川内「私の溢れ出る夜戦へのパッションをちょっとね」キリッ
提督「ちょっと? あれでちょっとか?」
川内「だって夜戦したいんだもん! なんで出撃しないの?」
提督「俺達が出ていくような作戦が発動していないからだ」
川内「えー、何それ」
提督「俺達が余所の艦隊の支援任務を専門にやる遊撃隊だってのは知ってるだろ」
提督「南方海域攻略作戦の際は、舞鶴艦隊の前衛としてサーモン沖海域の威力偵察」
提督「この間の第二次渾作戦では、佐世保艦隊の行動を遅らせないための敵新型駆逐艦の無力化を行った」
提督「主力艦隊を側面から支援する遊撃部隊。それがウチの艦隊ってわけだ」
川内「それはわかってるよ。みんな結構練度も高いし、何気に精鋭部隊だよね」
提督「大和や武蔵、赤城や加賀は大本営直属の艦だしな」
提督「むしろ、こういう自由に動かせる精鋭部隊を置いとかないと立ちいかないのが海軍の現状でもある」
提督「深海棲艦との戦いはいつでも満を持して行われるわけじゃなく、むしろ戦いながら作戦を立ててる有様」
提督「大本営の奴らが拙速に立てた作戦の穴を埋める、俺達のような存在は必要不可欠になる」
提督「……問題は、作戦の穴に合わせてウチの艦隊が編成されたんじゃなく」
提督「俺達の方で作戦の穴に合わせにゃならんってことだがな……」
川内「でも、その分バリバリ夜戦ができるじゃん! 私は大歓迎だな」
提督「お前みたいなバカにこんな話をした俺が間違っていたな、うん」
川内「あー、またバカって言った! 提督こそ料理バカのくせにー!」
提督「とにかく、今は俺達が動かなきゃならんような作戦はないわけだ」
川内「ちぇーっ、せっかく改二になれたのに」
提督「そこで、だ」
川内「?」
提督「川内、これからちょっと付き合え」
川内「なに? 夜戦!?」
提督「なわけあるか。まあ夜遊びってやつだ。気晴らしにはなるだろうと思ってよ」
川内「……へー、提督がねー」
提督「なんだその目は。俺がお前を遊びに誘ったら悪いのかよ」
川内「料理バカの提督のことだし、早朝の魚市場とかに連れてかれるんじゃないかなって」
提督「連れて行ってもいいが、意味がないとわかりきってることはしたくねぇな」
提督「……とまあ、そういうわけだ。お前の姉を借りてくぞ川内型二番艦」
神通「……姉さんをいかがわしい場所に連れて行くというのであれば、許すことはできませんが」ジロッ
提督「別にお前の許しを得るつもりもねーけどな。明日も遅刻するなよ」
提督「そうだ、明日の朝は俺の代わりに霞が入るからな。あいつの指示を聞いてりゃ問題はない」
川内「大丈夫大丈夫、提督にやらしーことされそうになっても……ボン! だから」
提督「オイ、今何が破裂した? 何が爆発する音だ今の……ほら行くぞ」
川内「了解! じゃあ神通、行ってくるね! おやすみー!」
神通「……仕方ありませんね。姉さん、おやすみなさい」
バタン
提督「さて、どこに行こうかね……」
川内「えー、決めてないの?」
提督「まあな。まずは適当にフラフラしながら決めようぜ」
僕からは以上
提督と川内の行き先 >>+2
スケベティックなイベントは起きない。いいね?
お察しの通りこの鎮守府の艦隊が少数精鋭の遊撃部隊であるという設定は
安価の結果からテキトーに生やしたものですが、案外原作の艦これもプレイヤーの艦隊はこういう扱いなのかも
大本営のガバガバ作戦の穴埋めに酷使されるからこそ去年の秋イベのような修羅場が……?
――――――――――
街・駅前広場
ガヤガヤ
川内「うわー、人が多いね」
提督「この辺じゃ一番賑わってる地区だからな。こっちに来たことないのか」
川内「ううん、私や神通はあんまり鎮守府の外には出ないし」
提督「もったいねぇな。世の中、美味いもんや楽しい遊びは掃いて捨ててもまだ余るくらいあるんだぞ」
川内「ホントー? 美味しいものだったら提督の料理で間に合ってるんだけどな」
提督「俺や間宮以外にも、腕のいい料理人はたくさんいるんだよ。当然だろ」
川内「……でも、いいなぁ」
提督「何がだ」
川内「キラキラしてるなって思って。あの看板の電飾とか、街路樹の飾り付けとか」
川内「あっ、あっちにすごくでっかいのがある! 何あれ!?」キラキラ
提督「そろそろクリスマスだしな。街のあちこちでああいうイルミネーションが飾られてる時期だ」
川内「クリスマス……去年もやったよね。那珂がサンタの格好してた」
提督「実はあの衣装は俺のチョイスなんだ。那珂ちゃんも改二になったし、新しいのを用意しないとな」
川内「えー? 提督が選んだら那珂、イヤなんじゃないかなー」
提督「バカ言え。俺くらい那珂ちゃんの魅力について考えてる人間はいない」
川内(当の那珂には『死ねばいいのに』って思われてるけどね)
~~♪
川内「? なんだろ、あっちで何かやってるよ」
提督「ストリートパフォーマンスだな。ここの広場だけ、市が許可申請なしのパフォーマンスを認めてるんだ」
川内「パフォーマンスって何やってるの?」
提督「歌とかマジックとか大道芸とか、日によって色々だな」
川内「テレビでやってるようなやつ!?」
提督「そこまですごいのはないと思うぞ」
川内「提督、見てこうよ!」キラキラ
提督「そうだな。まあ、暇つぶしにはなりそうだし」
提督(……こうして見ると、この夜戦バカもそこらへんのガキと変わらねぇな)
提督(あまり鎮守府から出ないっつうし、遊び方なんか知らないだけなんだな、多分)
提督(こうやって連れ出してみれば無邪気に喜んでるんだから可愛いもんだ)
提督(霞の奴も考え過ぎだ。これで夜戦夜戦うるさいのが治ればいいんだが……)
コイノ 2-4-11ー♪
川内「誰か歌ってるみたい。ストリートライブってやつだね!」
提督「でも何人も立ち止まってないな……まあここの客は目も耳も肥えてるから仕方ないだろうが」
「ハートが高鳴るーのー♪」
川内「歌いながらダンスもやってる。上手いなぁ」
「入渠しても治まらなーい♪ どおーしーたーらーいいーのー♪」
提督「ん、もうちょっと近くに行ってみようぜ。素人にしちゃレベルが高いな」
「恋の2-4-11ー♪ もうごまーかーさーなーいー♪」
川内「すいません、通ります……よいしょっ」
「しずーかーにー♪ でも大胆にー♪」
提督「さて、どんな奴がやってんのかな……っと」
那珂「アナタのココロに出撃しちゃうから~♪ ……きゃはっ☆」キメッ
提督「……」
川内「……」
那珂「……」
「「「……え?」」」
――――――――――
川内「まさか那珂がストリートライブやってるなんて、びっくりしたなぁ」
提督「最近外出許可申請が多いと思ってたが、こういうことだったんだな」
那珂「え、えへへ……バレちゃったね」
川内「でも那珂、歌もダンスもすごく上手かったよ。いつの間に練習してたのさ」
那珂「最近本格的に練習始めたの。歌とかダンスの教本を買って、早朝とか訓練の後とかに時間を作って」
提督「流石は那珂ちゃんだな! 鎮守府の奴らにも見せてやれよ。なんなら今度セッティングして……」
那珂「い、いいの! まだみんなに見せるのは恥ずかし……じゃなくて」
那珂「那珂ちゃんはもう艦隊のアイドルだから、今度はステップアップしてこの街のアイドルを目指すの!」
那珂「本格的にアイドルを目指すのは戦争が終わってからになるだろうけど……」
那珂「今はこうして、一人でも多くの人に那珂ちゃんのことを覚えてもらおうと思って」
提督「那珂ちゃん……」
川内(……覚えてもらう、か)
提督「……それが那珂ちゃんの選んだ道なら、俺は応援するぜ」
提督「ま、もちろん深海棲艦が出たら出撃してもらわにゃならんけどよ」
川内「そういえば提督、なんで私を第一艦隊に編入してくれないの。那珂は入れるのに」
提督「当たり前だろ。一番頼りになる連中を選りすぐったらああなったんだよ」
川内「えー! ズルイよ、私も夜戦したいのにー!」プンスコ
那珂「ところで提督、那珂ちゃんお願いがあるんですけどぉ」チラッチラッ
提督「なんだ那珂ちゃん」
那珂「これからもこの広場に歌いに来るつもりなんだけどぉ……その時は外出許可よろしくね☆」パチーン
提督「俺が許可を出さないわけないだろ。頑張れよ、那珂ちゃん」
那珂「ありがとー♪ 那珂ちゃん提督のことちょっとだけ好きになっちゃったかも」
提督「おぅ……いいぞ那珂ちゃん、今のアイドルらしかったぞ」
川内「……提督、那珂のこと好きだねぇ」
提督「まあな。何しろ那珂ちゃんのファン第1号を自負してる」キリッ
川内「ふふふ、本当にそう思う? 実は違うんだなぁ~」ヌフフ
提督「なにぃ? 俺がファン1号じゃなきゃ誰が1号だってんだ」
川内「そーれーはー……」クイックイッ
提督「……まさか、お前?」
川内「当然。だって那珂の姉だよ? ファン1号と2号は私と神通に決まってるじゃん」
川内「したがって提督はファン第3号ってわけ。残念でした」フフーン
提督「ぐぬぬ……ナンバーが2つも繰り下がったのもそうだが、川内型二番艦の後塵を拝するというのも……」
那珂「那珂ちゃんはぁ、ファンのみんなには仲良くして欲しいかなぁー?」
提督「……仕方ねぇ、ファン3号で妥協してやる。覚えてろよ」
川内「ホント、提督って那珂のことになると途端に気持ち悪くなるよねぇ」
那珂「じゃあ、もう遅いから那珂ちゃんはそろそろ帰るね。川内ちゃんはどうするの?」
川内「んー、まだ提督といるかな。神通によろしくね」
那珂「うん! 川内ちゃん、提督、おやすみなさーい!」
タッタッタッ……
提督「……意外だったというか、驚いたな。こんなところで那珂ちゃんに会うなんてよ」
川内「でも良かったの? 提督」
提督「何が?」
川内「私達って一応、海軍の最高機密なんでしょ。それをホイホイ外出させていいのかなって」
提督「まあ……一応、二人以上で外出するように言っておくつもりではあるけどよ」
川内「……ホント、提督って那珂に甘いよねぇ」
提督「うるせぇ、ファン暫定1号」
川内「そろそろ負けを認めたら~? 3号くん」
提督「畜生、なんて時代だ……!」
川内「わっはっは! 当然の結果だね3号くん。いいのいいの、そんなに褒めなくても……」
提督「褒めるつもりはこれっぽっちもねぇ。調子に乗んな」
――――――――――
数時間後・公園
川内「……っはぁ、色んなところ回ったね。ゲーセンとかボウリングとか」
提督「怪しい露天商を冷やかしたり、コンビニの肉まん食べ比べたりな」
川内「イルミネーション、綺麗だったよねぇ。ああいうの毎年やってるの?」
提督「そうだな、毎年手を変え品を変え、だ。ウチの鎮守府でもやってみるか?」
川内「あはは、お偉いさんのウケ悪そう~」ケラケラ
提督「まあ、そんなこんなで……」
提督「……現時刻、午前3時。当然終電は逃した」
川内「違う違う、マルサンマルマルだって」
提督「正直どうでもいい」ハァ
提督「どうすんだオイ。タクシー拾うにしても結構高くつくぞ」
川内「いいじゃん、3時間も待てば始発でしょ?」
提督「寒いんだよ。12月の夜は。お前はどうなんだよ」ブルブル
川内「平気平気。海の上の方がよっぽど寒いくらいだし」
提督「……艦娘に聞いた俺がバカだったな」
川内「ゆっくりしてこうよ。ほら、あっちの自販機でココアでも買ってくれば」
提督「そうするわ」ヨッコイセ
カシュッ
ゴクッ
提督「ふぅ……」
川内「この前テレビで見たんだけど、ココアって身体を温める効果が高いんだって」
提督「だな。お湯や温かいお茶を飲むより身体の芯まで温まって、しかもそれが長く持続する」ゴクッ
提督「ココアにおろしショウガを混ぜたショウガココアなんてのもあるらしいぞ」
川内「ショウガといえば、この間の遠征で持たせてくれたホットジンジャーエール。美味しかったよ」ニッ
提督「おう。香りづけに少量のラム酒を使ってみたんだが……」
川内「うん、ショウガの風味の中に優しい香りが立って……夜だったなぁ、それ飲んだの」
川内「提督……夜はいいよねぇ、夜はさ」
提督「……なあ、川内。ひとつ聞いてもいいか」
川内「なに?」
提督「お前、なんでそんなに夜戦が好きなんだ? 正直常軌を逸してるレベルだと思うんだが」
川内「あはは、それ今聞いちゃうー? ……そうだなぁ」
提督「おう」
川内「……提督はさ、自分が『生きてる』って感じる時って、ある?」
提督「美味いもんを食った時だな。誰だろうと、生きてなきゃ何食っても美味いとは言えねぇだろ」
川内「提督らしいねー」
提督「お前はどうなんだ? 質問に質問で返しっぱなしは感心しねぇぞ」
川内「……私はさ、戦ってる時が一番『生きてる』って思えるんだ」
川内「特に夜戦でね。暗くて、自分と相手の息遣いが聞こえそうな静かな海で」
川内「深海棲艦に魚雷を叩きこんで、敵は海に沈んで、私は生き残るんだ」
川内「一歩間違えればその時沈んでるのは私かもしれなかったのに、私が生き残ったんだよ?」
川内「そういうギリギリの、ヒリヒリするような殺し合いの中で」
川内「……なんというかね。みんなの命が光って見えるような気がするんだ」
川内「その瞬間、街で見たイルミネーションに負けないくらい、戦うみんなの命はキラキラ光ってる」
川内「暗くて静かで、行きも帰りもわからなくなりそうな海の上で、眩しいくらいキラキラしてるんだ」
川内「昼の明るさの中じゃ、そのキラキラはわからない。だから、私は夜戦が好き」
提督「常人の感覚じゃねぇな。イカレてる」ケッ
川内「提督から見ればそうかもね。でも、艦隊のみんなに聞いたら意外と賛同してくれると思うなぁ」
提督「そんなわけねぇだろ……根拠を言えよ根拠を」
川内「だって、私達艦娘だよ。戦争するために生まれてきたんだよ」
川内「だったら……戦争する以外に、自分の命をキラキラさせる方法なんて思いつかないじゃん」
提督「そんなことはねぇと言い切れるぜ。お前の妹がまさにそれだ」
川内「すごいよねぇ、那珂は。アイドルだってさ……私じゃ思いつきもしないよ」
提督「ああ、そうだ。だから那珂ちゃんはすげぇんだよ」
川内「でもみんながみんなそうじゃないよ。それが一番正しいんだって思ってる子もいる」
川内「例えば満潮とか。あの子、根がすごく真面目だしさぁ」
川内「そういう子だから、不安なんだよ。提督みたいな、戦争を二の次三の次に考える人の下にいると」
提督「あのクソガキがそんなナイーブなもんかよ。仮にも上官を愚図だのノロマだの言いたい放題だぜ」
川内「子供だから、強がってないとダメになっちゃうんじゃないかな」
提督「できれば俺への暴言以外の方法で子供らしさを表現して欲しいけどな」
川内「結局さ……艦娘って、人間なんだよ。どうしようもないくらい、人間に似ちゃったんだ」
提督「……難しく考えすぎだと思うがな」
川内「あはは……そう思う? そうかなぁ……」
提督「ああ。俺に言わせりゃ、戦争しなけりゃ輝けないと思ってるのは、戦争以外しようとしてねぇからだ」
提督「……お前から見て、今日の那珂ちゃんはどう映った?」
川内「どう、って?」
提督「こういう場所でやるのに慣れてねぇせいもあるだろうが、歌もダンスもまだまだ硬さがあったし」
提督「立ち止まる見物人もまばら。贔屓目にも人気を博してるとは言えねぇだろう」
提督「……でも、俺の目には那珂ちゃんが光って見えたぜ」
提督「戦争なんかやらなくったって、那珂ちゃんは輝いてた。キラキラしてたぞ」
川内「……うん。そうだね、那珂はキラキラしてた」
川内「ひょっとしたら本当に街のアイドルになるかもって、ちょっとだけ思っちゃったよ」
提督「な? だから、お前も見つけてみろよ」
提督「殺し合いする以上に、生きてることを実感できる瞬間をよ」
提督「まあ……料理をやってみたいんだったら俺が教えられる。教え方は厳しくするけどな」
川内「……ふふっ、そうだなぁ。試してみる価値はあるかもだね」
提督「……つーか寒いなやっぱ。カラオケか漫画喫茶にでも行くか」
川内「カラオケ? ってアレだよね、歌うやつ。今の時間でも開いてるの?」
提督「多分な。そうだ、お前もなんか歌ってみろよ。那珂ちゃんと声似てるし上手いかも」
川内「えー? どうかなぁ。そういう提督はどうなのさ。すごい音痴だったら面白いんだけど」
提督「バーカ、ナメんな。誰とカラオケ行っても困らない程度には幅広いレパートリーがだな……」
川内 好感度39→54
那珂 好感度22→25
僕からは以上
安価のストリートライブが美味しいネタだったので那珂ちゃんをサイドキック扱いで好感度アップさせました
提督の中の那珂ちゃんへの過大評価が止まらない
次のイベント安価
メインキャラ >>+3
サイドキック >>+4~>>+5
イベント内容 >>+7
みんなが川内型と霞好きすぎる問題
那珂 好感度4うp
武蔵 好感度5うp
霞 好感度1うp
那珂ちゃんへのアプリケーション(アプローチ?)を考える
次のイベントはこれで行きます
僕からは以上
ん?
料理人編(続編があるかは不明)のテーマは「人間性」です
書いてる途中で勝手に生えてきたテーマだけどとりあえずこれにしてます
しかし那珂ちゃんって意外と攻略が難しいんですね(白目)
最新好感度ランキング
01.霞(108) ↑
02.若葉(95)
03.阿武隈(92)
04.加賀(86)
05.春雨(80)
06.曙・武蔵(77)
08.鬼怒・伊58(71)
10.響(70)
11.秋月(62)
12.川内(54)↑
13.大和(44)
14.天龍・綾波(40)
16.卯月(37)
17.神通・山城(27)
19.那珂(25)↑
20.大鳳(23)
21.初霜(21)
22.赤城(18)
23.初春(15)
24.満潮(13)
霞がケッコン可能状態となりました。
この状態でイベントのメインキャラに選ばれたら二人は幸せなキスをして終了。
川内が『友達』から『気になる』になりました。
那珂ちゃんは依然として提督のことが『苦手』なままです。
せっかくなので新第二・第三艦隊の編成安価
霞・阿武隈・那珂・曙・赤城・春雨・神通を除く17人の中からどうぞ
第二艦隊 >>+1~>>+6
第三艦隊 >>+7~>>+12
新・第一艦隊
霞 阿武隈 那珂 曙 赤城 春雨
新・第二艦隊
山城 鬼怒 大鳳 響 秋月 川内
新・第三艦隊
加賀 若葉 大和 伊58 綾波 満潮
予備戦力(留守番組)
武蔵 天龍 卯月 初霜 初春 (神通)
ご協力ありがとうございました
今後、艦隊単位で何かのサブイベントに使うかもわかりません
元々機動力重視の遊撃隊であると考えれば駆逐艦や軽巡が多いのはまあ……
最も古株の天龍からして軽巡ですし
色々結果を出して大本営から実力を認められ重用されるようになり、戦力増強のために
大和型と一航戦のような優れたスタッフが回されてきたと考えれば何もおかしなところはない
うん、そういうことにしよう
でも個人的に利根とプリンツが来なかったのは残念
大和型と一航戦とか回してくれた戦力偏りすぎィ!
よし大本営(安価)に頼んでとねちくとプリケツ呼ぼう
>>531
個人的な設定イメージだと艦娘は基本的に全員ワンオフで
鎮守府の運営に関与する大淀・明石・間宮・伊良湖だけ量産されてるとかそんな感じなんですけど、
本隊の側面支援の遊撃部隊に大和型と一航戦が集結してるとか面白いことになりましたね
4艦隊ぶん24名一気に揃えたので、多分料理人編の間は艦娘の追加はしません
これ以上追加すると確実に持て余しますし、できれば殺して退場もさせたくないし……
那珂ちゃんイベントを書いてる途中ではありますが急に書きたくなったのでイベント安価
今回はチームイベントとなります
【チームイベント】
>>525の第一~第三艦隊と予備戦力の4チームのいずれか6人を使って書きます。
メインキャラ・サイドキックは指定せず、イベント内容も極力こちらで考えます。
好感度は全員一律で5ずつ上がります。
使用チーム >>+2
若葉をケッコン可能状態まで持っていくつもりなのね、わかるわ
では第三艦隊で何か考えてきます
――――――――――
母港
加賀「第三艦隊、帰投しました」ピシッ
提督「おう、お疲れさん。お前達も怪我はねぇか」
若葉「大事ない。痛みも存外心地いい」中破
提督「そういえばお前ドMだったな……さっさと入渠しろ。で、他は」
大和「はい。大和、損傷軽微です。問題ありません」カスダメ
提督「……お前が問題なくても資材とか色々な……いや、まあいいか」
58「ゴーヤもピンピンしてるでち!」
綾波「綾波も大丈夫です!」
満潮「……」小破
提督「どうしたクソガキ。さっさと報告しろ」
満潮「……ウザいわね。艤装小破、魚雷発射管の調子が悪いわ」
提督「あっそ。ならお前もとっととドックに行け」ケッ
満潮「あーはいはい、そうさせてもらうわ」チッ
58(いつもながら険悪でち)
綾波(司令官、どうして霞ちゃんや曙ちゃんと仲良しなんだろう……)
提督「ところで綾波。ついさっきだが、俺のところに良いニュースが舞い込んできた。何だと思う?」
綾波「えっ、良いニュースですか? なんでしょう……?」
58「晩御飯の食材が安く仕入れられたとか!」
大和「いいえ、きっと珍しい食材が手に入ったんですね。シャコ貝とかヤツメウナギとか……」
加賀「そうね……流石に気分が高揚します」キラキラ
提督「今は飯の話はしてねぇぞ。良いニュースってのは綾波の第二改装だ」
綾波「……! 綾波も改二になれるんですか!?」
提督「ああ、大本営の方で改装設計案がまとまった。一両日中に資料が届く」
提督「ま、今のお前じゃちょいとばかり練度が足りないが、すぐに改二になれるだろうよ」
綾波「嬉しいです! これでもっともっと頑張れますね!」キラキラ
加賀「そう……良かったわね。改二に向けて励みなさい」
綾波「はい!」
提督「数週間前に山城、ついこの間には川内型だ。既に川内型二番艦の艤装も改修が完了してる」
提督「今回は綾波と響、それからあの麻呂眉毛の第二改装。改修用の部品もそのうち回ってくるぞ」
大和「ここ最近、各艦の第二改装が急ピッチで進められていますね」
提督「俺達がこき使われた成果が出てるってこったな。データ収集も俺達の仕事のうちだ」
58「てーとくさん、ゴーヤ気になってたんだけど、改二ってどんな感じなの?」
58「こう……生まれ変わるー! とか? すっごい新兵器だったりとか?」
提督「そんなわけねぇだろ。基本的にこれまでの戦闘・運用データを元にした艤装のマイナーチェンジだ」
提督「プラモじゃあるまいし、そうホイホイ新兵器なんて出来てたまるかよ」
58「なーんだ、つまんないの」
提督「機構が洗練されて少しばかりメンテナンスが楽になったりとか、そういうこともあるらしいな」
提督「あとはまあ、第二改装を受けた奴には新式の装甲被服が支給されるくらいか」
加賀「装甲被服を更新すると袖がなくなったりへそを出したりするのに、どうして耐久力が上がるのかしら」
大和「前に利根型のお二人は下着を着けないように指示されたと聞いたんですが、本当でしょうか……」
58「大本営の高級技官は変態ばっかりって噂はどうやら真実みたいでち」
綾波「し、司令官……綾波も下着禁止になるんですか……?」
提督「それは工廠の連中に聞いてくれ。俺も詳しくは知らねぇよ」
提督「とにかく、近々綾波の第二改装の準備が整う。あとはお前次第ってわけだな」
提督「さ、今日はこれで解散していいぞ。今日はもう出撃する用事はねぇからな」
加賀「わかりました。後ほど今次遠征の詳細報告に伺います」
――――――――――
一航戦の部屋
加賀「ただいま」
シーン……
加賀「……そうね、赤城さんは出撃中だったわ」
加賀「さて、報告書を書かないと。提督は『テキトーでいい』なんて言うけれど」ペラッ
加賀「……北方海域戦闘哨戒支援任務に関する報告……と」カキカキ
加賀「当艦隊による佐世保艦隊の支援中、敵艦隊に遭遇。艦種は……」カキカキ
加賀「北方AL海域において陸上拠点型『姫』級深海棲艦の存在は確認できず……」カキカキ
加賀「……」ペラッ
加賀「……」カキカキ
加賀「……」トントン
ピタッ
加賀「……そういえば、佐世保の提督が大鯨……いえ龍鳳とケッコンカッコカリをしたそうだけれど」
加賀「提督は誰とケッコンするのかしら。気になって報告書どころではないわ」
加賀「順当に考えればまあ、当然、私なのだけれど」キリッ
加賀「霞や若葉とはとても長い付き合いのようだし、春雨のことも気にかけているみたい」
加賀「阿武隈も侮れないわ。提督ほどではないにしても、料理上手ですもの」
加賀「提督ご自身は那珂に格別の思い入れがあるようだけれど」
加賀「その那珂は提督を蔑ろにしている。許しがたいわね」
加賀「……」
加賀「……つまるところ、提督の好みというのはどういう女性なのかしら」
加賀「……特に仲の良い霞と若葉を例にとって考えると」
加賀「髪型はサイドテール、あるいはセミロング」
加賀「性格は……そうね、どちらも冷静で端的な物言いをする面がある。若葉は口数も少ない」
加賀「そして艦種はどちらも駆逐艦、容姿は幼い。まあ、私達艦娘に年齢の話はあまり意味がないのだけれど」
加賀「以上のことから導き出される結論は……」
加賀「……! なんてこと……そういうことだったのね」
加賀「こうしてはいられないわ。今すぐ行動しなくては」ガタッ
――――――――――
工廠
加賀「というわけで、私を駆逐艦に改装して欲しいのだけれど」
明石「すみません、まるで意味がわかりません」
加賀「栄えある一航戦としては、正規空母でなくなるというのは心苦しいのだけれど……」
明石「それ以前に正規空母を駆逐艦にする方法なんてわかりません」
加賀「きっと提督はそれを望まれるわ。だから早く改装しなさい」
明石「それは一体どういう根拠で……」
加賀「提督の好みの女性像を分析した結果、私自身が駆逐艦になることが答えだったのよ」ドヤッ
明石(加賀さん……普段クールで頼りになるのに提督のことになるとコレだからなぁ……)
満潮「はぁ……馬鹿が馬鹿のために馬鹿言いながら馬鹿やろうとしてるわ。世も末ね」
加賀「2番目の馬鹿は提督のことね? 頭にきました」ガタッ
明石「やめてください加賀さん!」
満潮「まったく、あんなののどこに魅力を感じるのか理解に苦しむわね」フンッ
加賀「旗艦である私の目の前で上官侮辱とはいい度胸ね。軍法会議にかけるまでもなく私が裁きます」ビキビキ
明石「まあまあ……満潮ちゃんが提督と仲が悪いのはいつものことじゃないですか」
加賀「そうね、いつものことよ。常日頃からその提督への悪態は目に余ると思っていたの。表に出なさい」
満潮「何よ、やろうっての? 駆逐艦になりたいなんて若返り願望持ってる年増には負けないわよ」
加賀「頭にきました」
明石「しまった、火に油を!?」
ジリリリリリ……
加賀「? 何かしら」
満潮「まさか敵襲……なわけないわよね」
明石(どちらにせよ天の救いだわ)ホッ
ガチャッ
提督『こちら提督だ。第三艦隊、食堂に集合しろ。繰り返す、第三艦隊は食堂に集合しろ』
加賀「……提督のご命令なら仕方がないわ。命拾いしたわね」
満潮「ふん、そっちこそ」
明石(よかった……艦娘二人が暴れてメチャクチャになる工廠はいなかったのね……)
――――――――――
食堂
提督「集まったな」
加賀「提督、一体どうしたのですか。急に私達を呼び出すなんて」
提督「まあ、急に人手が必要になってな……ん? 加賀、お前サイドテールの位置逆だな。いつも左側だろ」
加賀「そう? 提督は私の髪型がそんなに気になるのかしら」チラッチラッ
大和(加賀さん嬉しそう)
提督「いや別にそんな大した興味はねぇけど」
加賀「そう」シュン
大和(加賀さんわかりやすっ)
提督「お前達も知ってるかもしれねぇが、佐世保の提督が部下の艦娘とケッコンカッコカリをしたらしい」
提督「実はそいつは俺の古い知り合いだ。俺が料理人として働いていた頃の客でよ」
若葉「ずいぶんと奇妙な偶然だな」
提督「民間から適性のある人材を引き抜くのは、俺が思ってたより大々的にやってたらしくてな」
提督「呉や大湊にも俺の知り合いがいたのはビックリしたもんだ」
提督「それで、野郎はご丁寧にもこんな手紙を寄越しやがった」ピラッ
【私達ケッコンしました!】(佐世保提督と龍鳳のツーショット写真付き)
提督「わざわざ報告してくることもそうだが、近々身内だけでパーティーをやるってんで」
提督「俺に料理を作ってくれないかとほざきやがった」
綾波「ケッコンですか……素敵じゃないですか」
58「てーとくみたいな性悪にもケッコン報告の手紙を出す辺り人格者でち」
提督「聞こえてんぞでち公。単艦オリョクルがそんなに恋しいか」
大和「もちろん、お料理を作って差し上げるんですよね?」
提督「まあな。それでお前達にも調理を手伝ってもらいたい。パーティーは三日後だ」
満潮「なんで私達がやらなきゃならないのよ。他の連中にやらせれば?」
提督「三日後は第一・第二艦隊は出払ってるんだよ」
提督「鎮守府を空にするわけにはいかねぇから留守番組も置いていく必要がある。動かせるのはお前達だけだ」
加賀「……了解しました。第三艦隊は命令を受領、作戦行動に移ります」ピシッ
若葉「ところで司令官。佐世保の提督はどういう人物だ?」
提督「んー……俺と同じでスカウト組だからな。確か2年前までは……」
佐世保提督の前職と属性 >>+1・コンマ以下
2.ビジネスマン
3.魔法使い
4.ヒーロー
佐世保提督の前職:魔法使い(凶悪)
僕からは以上
加賀は居住性悪かったらしいし個人的には残念美人なイメージ
続きは後ほど投下します
民間から魔法使いをスカウトする海軍、有能
――――――――――
パーティー前日・佐世保港
提督「はぁ、やっと着いたな……道中退屈だったな」コキコキ
若葉「若葉は楽しかったぞ」
提督「そりゃ隙あらば俺の膝に乗ろうとしてくるんだからな。確かにお前は楽しそうだった」
綾波「それにしても、どうして軍の輸送艦で来るよう指示があったんでしょう? 他の交通機関は……」
加賀「戦争が始まってからは新幹線や航空機の本数も減っているし、仕方ありません」
大和「それに私達が随伴できる分、下手な客船より軍用艦の方が安全ですからね」
提督「ま、輸送艦も乗り心地は悪くなかったがな。飯も美味かったし」
58「でも『俺の方が美味いという確固たる自信はあるがね』っていうんでしょー?」
満潮「ホント誰かれ構わず張り合う奴ね。子供じゃないんだから」
加賀「ところで……佐世保の提督は本当に?」
提督「あん? またその話か。そんなに気になるか?」
大和「それはそうですよ。海軍に入る前は魔法使いだったなんて……」
提督「正確に言えば魔女だな。見るからに性根の腐ってそうなババアだよ」
提督「俺が働いてたレストランに月一くらいで来てた客だったんだが、とにかく変人でな」
提督「自分は魔女だとか、500年は生きてるだとか、そういう与太話をよくしてたんだ」
提督「まあ金払いの良い上客だったから、魔女だろうが何だろうが気にはしなかったけどよ」
大和「それって本当に魔女なんですか? 実際に魔法を使ったところとか……」
提督「見たことはあるにはある。種も仕掛けもなかったと確約はできねぇが」
加賀「……提督を疑うわけではありませんが、単なるホラ吹きにしか思えませんが」
提督「本人がそう言ってるんだしそうなんだろ? 俺はどっちでもいい」
提督「大体、艦娘や妖精や深海棲艦だって大概ファンタジーな存在なんだから、魔法使いぐらいいるだろ」
加賀「私達を妖怪変化の類だと思われては困りますが」ムッ
提督「関係ねぇよ俺にとっちゃ。美味いもんを味わう舌がついてりゃ、俺の客だ」ベェ
提督「現にその魔法使いと艦娘のケッコンを祝うための料理を作れときてる」
提督「これが妖怪と宇宙人の結婚だったとしても、俺のやることは大差ねぇだろうよ」
大和「それは……どうでしょう。必ずしもお料理を作る用事になるかどうか……」
提督「そうじゃなければ俺の出る幕じゃねぇ。俺が提督やってること自体、本来おかしなことなんだよ」
加賀「でも、そのおかしなことのおかげで提督と出会えたのは、私個人は好ましく思っているのだけれど」
提督「……ハッキリ言うな、お前も」
チリンチリン
若葉「? 今のは」
提督「自転車のベルの音か? どこから鳴ってんだ」キョロキョロ
加賀「……! 提督、上です!」
提督「へ?」パッ
チリンチリン スィー
???「遠いところよく来たねぇアンタ達! 迎えに来てやったよ」キコキコ スィー
??「て、提督、やっぱり自転車で来るのは……皆さん驚いてしまいますよぉ」オロオロ
若葉「」
58「」
満潮「」
綾波「じ、自転車が……飛んでる……?」
大和「て、提督! ひょっとして……」
加賀「あのご婦人がこの佐世保の」
提督「ああ。あのママチャリで空飛んでる不審なババアが、佐世保鎮守府の提督」
提督「通称“佐世保の魔女提督”だ」
スタァッ キキーッ
若葉「自転車が着陸したぞ」
満潮「翼もないのに飛ぶものね、自転車って」
綾波「いや、普通は飛ばないと思うけど……」
提督「ようババア! わざわざ来てやったぞ。ふざけた手紙寄越しやがって」
佐世保「なんだい、その口の聞き方は。アンタは昔っから変わらないね」ジロッ
提督「あんたこそ、俺が下働きだった頃からちっとも変わってねぇじゃねぇか。昔っからババアだ」
提督「で、後ろに乗ってるのがあんたのケッコン相手か?」
佐世保「そうだよ。龍鳳、こいつがアタシの知り合いの料理人提督さ」
龍鳳「はじめまして。潜水母艦改装空母の龍鳳です。提督がお世話になっております」ペコッ
提督「おいおい、本当にケッコンカッコカリしたのか? 新妻と意地悪な姑にしか見えねぇぞ」
佐世保「いちいち憎まれ口を叩かないと話もできないのかい? まったく最近の若い者は礼儀がなってないよ」
提督「あんたが本当に500年生きてるんだったら、誰だって『最近の若い者』だろうが……」
提督「じゃあ、こっちも紹介しとくぜ。ウチの鎮守府の第三艦隊……といっても、そっちはもう知ってたか?」
龍鳳「はい。この間の北方海域での作戦でご一緒しました」
大和「私達は部隊の性質上、あちこちの鎮守府の艦隊と共同作戦を行いますからね」
加賀「それに私や大和は大本営から派遣された艦なので、各地に知り合いも多いですから」
提督「なるほどな、じゃあ堅苦しい挨拶は必要ねぇな。なあババア」
佐世保「まったく可愛くない坊やだよ! こういう用事でもなけりゃ、アンタなんか呼ばないってのに」
佐世保「さあ、ついておいで。アタシ達の鎮守府に案内するよ」
――――――――――
佐世保鎮守府
58「ここが佐世保鎮守府でちか。ゴーヤ達のところより立派でち!」
満潮「当然でしょ。西日本一帯の防衛を担う場所よ? 立派じゃなくてどうするのよ」
若葉「うむ。しかし、若葉達の鎮守府が一番だな」
大和「若葉さん、そういうこと言っちゃダメですよ。すみませんね、龍鳳さん」
龍鳳「うふふ……いいですよ。では客室を用意していますので、そちらにご案内します」
綾波「ありがとうございます。司令官はどうしますか?」
提督「俺はババアの執務室で今後の予定について詰める。加賀、お前も来い」
加賀「わかりました」
佐世保「龍鳳! アンタも後で来るんだよ。明日のパーティーのことなんだからね」
龍鳳「はい、提督。後で伺いますね」
――――――――――
佐世保鎮守府・執務室
提督「ここがババアの執務室か? 扉が襖とはね」
佐世保「そうだよ。洋室もいいけど、アタシは今こういうのに凝ってるのさ」ガラッ
提督「俺もこういう内装にしてみようかね。たまには和室も悪くない」
加賀「それは防諜上あまり良いとは言えないのでは……」
佐世保「さ、座んな。そこの炬燵がアタシの執務机で……」
初雪「すぅ……すぅ……」zzz
加古「うぅん……むにゃ……」zzz
球磨「クマぁ……」zzz
時津風「くー……くー……」zzz
提督「……先客がいるな」
加賀「だらしのない寝顔ね。執務室の留守番という感じではないけれど」
佐世保「まったく……この子らは暇さえあれば寝てるんだから呑気なもんだよ。ほら起きな!」ペシッ
球磨「んみゅ……ばーちゃん? その人誰クマ?」グシグシ
佐世保「アタシの知り合いの料理人だよ。パーティーのために呼ぶって言っといただろ」
佐世保「これからそれについての話をするから出て行きな。アタシらが入れないじゃないさ」
初雪「眠い……出たくない……ひきこもる」zzz
加古「んみゅ……おばぁ、もうちょっと寝かせて……」zzz
時津風「しれぇ、おこたを一人占めなんて良くないなー……良くないよぉ……」zzz
佐世保「いいからさっさと出ておいき! ハァッ!」ペカー
ガタッ!
バサァッ! バサバサッ!
加賀「炬燵がひとりでに動いて……!?」
提督「おー、まるでロデオだな」
ペッ ドサドサッ
球磨「クマー!」
初雪「あうぅ……炬燵に追い出された。寒い……」フルフル
加古「もう、おばぁったら短気なんだからさぁ」
時津風「むー……しれぇ、意地悪だよー!」パタパタ
佐世保「お黙り! アタシはこれから仕事の話をするって言ってるんだよ。昼寝なら余所でおやりよ」
球磨「ばーちゃんがそういうなら仕方ないクマ……じゃあ別の部屋に行くクマ」
初雪「明石さんに炬燵出してもらう……」
加古「部屋に戻って寝なおそうかなぁ」
時津風「しれぇ! お客さんがいない時ならいいでしょ?」
佐世保「ダメだよ、炬燵で寝たら風邪を引くだろ。そうでなくとも薄着じゃないさ」
佐世保「ちゃんとあったかくして寝るんだよ! 病気なんてされちゃ面倒だからね!」
時津風「ぶー、わーかったよぉー」
ガラッ パタン
佐世保「まったくもう、これだから子供は嫌いなんだよ」ヨッコイショ
提督「嘘つけ。完全にババアと孫のやり取りだったじゃねぇかよ、なあ加賀」ヨッコイセ
加賀「失礼します……確かに、彼女達には憎からず思われているように見えました」スワリ
佐世保「冗談じゃないよ。図に乗りゃうるさいし泣かれりゃ面倒、こんな厄介なものはないさね」パチン
フワァー ストン
加賀(今度は急須と湯のみが浮かび上がって飛んできた……)
佐世保「大体、ケッコンカッコカリにしたって周りが勝手に段取りしたんだ」コポコポ
佐世保「最初は大本営の連中が、世間にアピールするために艦娘とケッコンしろと言ってきたし」
佐世保「今度はあの子らが勝手に話を進めて、なんだかんだと龍鳳とケッコンすることになったし」
佐世保「パーティーの件は身内だけでささやかにやるって決めたけど、まったく困ったもんだよ」ズズー
佐世保「ケッコンカッコカリなんて単なる任務、仕事さね。給料のうちと思わなきゃやってられないったら」
提督「ババアのツンデレとか誰も得しねぇからやめとけって。満更でもねぇくせに」
佐世保「バカ言うんじゃないよ。アンタみたいな若造こそ舞い上がってるんじゃないかい?」
佐世保「娑婆にアンタと一緒になろうなんて酔狂な女はいないだろうけど」
佐世保「いっそ艦娘とケッコンすれば、なんてさ。年頃の男が考えそうなことだよ」
提督「そっちこそ痴呆が始まったんじゃねぇのか? ケッコンなんて悪い冗談だろ」
加賀(……)
提督「まあ、とりあえず俺は料理を作るだけだがな。リクエストはあるか?」
佐世保「さっきも言ったけど身内だけの集まりだからね。そう手の込んだものは作らなくていいよ」
加賀「貴女の御家族と、佐世保鎮守府の関係者だけということ?」
佐世保「アタシに家族なんかいやしないよ。ここの連中だけさ」
ガラッ
龍鳳「提督、龍鳳ただいま戻りました」ペコッ
佐世保「ああ、ちょうどよかった。今パーティーの準備の話をしていたところさ」
提督「ババアの好き嫌いとか教えてくれよ。ケッコン相手なら詳しいだろ」
龍鳳「そうですね……提督は生卵がお嫌いなんですよ。それから……」
加賀「……」
提督「? どうした、加賀」
加賀「えっ……いえ、大丈夫です。問題ありません」
提督「そうか? ならいいんだけどよ」
加賀「……」
加賀(提督はケッコンに興味がないのかしら……)
加賀(一体どうして? 私という者もいれば、他にも貴方を恋い慕う艦娘もいるのに)
加賀(私達に不満? いいえ、そんなことはあり得ないわ)
加賀(……だとすれば、提督がケッコンに対して前向きでないのは何故?)
加賀(気になって打ち合わせどころではないわ。どうしましょう)
加賀(提督……時々、貴方のお考えがわからなくなるのだけれど、私はどうすればいいのかしら)
僕からは以上
続きはまた後ほど
個人的に初雪は全艦娘の中でも屈指の孫っぽさを備えていると思ってます
なんとなく気が向いたので提督の前職解説します
【警察官】
警察官や警備会社職員、陸軍の憲兵隊など、捜査と犯人逮捕のエキスパート。
近接格闘能力に優れるほか尾行や盗聴といった搦め手も得意。
【ギャングスター】
ギャング、マフィア、ヤクザなど犯罪組織の構成員。
独自のコネクションを通じて違法な物品を取り寄せたりなどが得意。
【科学者】
民間の研究者や医師、軍の高級技術士官など、実験と研究のスペシャリスト。
装備品や、艦娘自体を強化改造したり、自身をミュータント化したりする。
【料理人】
レストランや料亭の料理人、陸海軍の主計科など、栄養管理の専門家。
艦娘に美味い料理を振る舞うことで常時キラキラを維持できる。
【ロボット】
人間や妖精の手によって造られた存在。容姿は人型に限らない。
自身を改造して戦闘能力を向上でき、艦娘と共に戦うことができる。
【ビジネスマン】
タフな交渉をまとめる個人事業主や海外駐在員など、交渉の達人。
軍上層部や、時には深海棲艦との交渉によって物事を有利に進める。
【魔法使い】
魔術師、呪術師、錬金術師など、神秘のテクノロジーに精通した人々。
科学者とは違ったアプローチで艦娘や深海棲艦に働きかけることができる。
【ヒーロー】
法で裁けぬ悪を裁く、特殊な訓練を積んだ問題解決のエキスパート。
高い戦闘能力と幅広い人脈を持つが、誰にも正体を知られてはいけない。
提督は海軍にスカウトされる前は警察官だったり科学者だったり、それぞれ多様なキャリアを持つ。
艦隊司令官として鎮守府に着任してからは前職の経験を活かして軍務に励む。
(メタ的には>>1が提督のキャライメージを掴みやすくするためのシステム)
そして多分一番すごいのは各業界から優れた人材を見つけてきてスカウトする海軍。
――――――――――
数時間後
佐世保鎮守府・厨房
提督「……よし。食材も揃ってるし買い出しに行く必要はなさそうだな」
提督「今のうちに作れるものは作っておくぞ。いいな、加賀、大和」
大和「はい、お任せください」
加賀「……」
提督「……おい加賀。さっきからどうした」
大和「加賀さん?」
加賀「あ……いえ、別に。問題ありません」
提督「嘘つけ。ババアの執務室にいる時からボーっとしやがって」
加賀(見られていたのね。……恥ずかしい)カァ
加賀「大丈夫です。それで提督、私は何をしたらいいかしら」
提督「バーカ、そんな上の空な奴を厨房には立たせられるか」
加賀「いえ、ですが私は」
提督「いいから顔でも洗ってこい。大和、お前は肉と野菜を切れ」
大和「わかりました。……加賀さん、提督のことですか?」ボソッ
加賀「……参ったわね。わかってしまうかしら」
大和「はい、加賀さんがそういう風になるのは決まって提督絡みですからね」
加賀「……ええ、そうよ。提督のことで少し考え事をしていたの」
大和「やっぱり」
加賀「でも自分では答えが出せなくて、悩んでいたの」
大和「でしたら、あとで提督と二人きりで話せばいいじゃないですか。そのことについて」
大和「加賀さんは自分の中に溜め込んでモヤモヤするタイプですし、その方が手っ取り早いですよ」
大和「提督には私から言っておきますから、今は気持ちを落ち着かせてください」
加賀「そうね……ありがとう。恩に着るわ」
大和「ふふ、どういたしまして」
<オイヤマトー ナニヤッテンダー
大和「それじゃあ加賀さん、またあとで」
加賀「ええ。少しの間だけ失礼します」
ガチャッ パタン
提督「加賀と何を話しこんでたんだ? さっさと取り掛かれ」
大和「すみません提督。えぇと、この牛肉と、タマネギ、ニンジンですね」
大和「他の材料がデミグラスソースに赤ワイン、ケチャップ、バター、ローリエ……ビーフシチューですか?」
提督「ああ。今回は牛肩ロース肉を使う。すね肉やバラ肉でもいいな」
提督「まずタマネギはくし切り、ニンジンは小さめの乱切りにしてくれ。牛肉は一口大だ」
大和「了解です」トントン
提督「牛肉を切ったら塩コショウを振って軽くもみ込んでおけよ」
提督「次に厚手の鍋にバターを熱して、牛肉に焼き色がつくまで強火で焼いていく」ジュゥゥゥ
提督「それからタマネギとニンジンを加え、タマネギがしんなりするまで中火で炒める」ジュワァァァ ジャッジャッ
提督「肉と野菜に火が通ったら、鍋に赤ワインと水を加えて煮る。沸騰したらちゃんと灰汁を取れよ」サッサッ
提督「灰汁を取ったら蓋をして、だいたい1時間半~2時間ほど弱火で煮込む」グツグツ
提督「時間をかけて煮込めば煮込むほど牛肉が柔らかく仕上がって美味くなるぞ」
大和「牛肉を煮込み終わったら、デミグラスソースとケチャップを加えてさらに煮込むんですね」
提督「ああ。蓋はせず、時々かき混ぜながら20~30分ほどだな」
提督「じゃ、煮込んでる間に別のものを作るか。今度はこっちを頼む」トン
大和「顆粒コンソメと粉ゼラチン……コンソメジュレを作るんですね。サラダ用ですか?」
提督「パッパとやっちまってくれ。俺は別のを作ってるからな」
大和「わかりました」
大和「まずはお鍋に水を入れて火にかけ、沸騰したら顆粒コンソメを溶かして」サァー
大和「塩コショウで味を調えてコンソメスープを作ります」コトコト
大和「そしたら粉ゼラチンを入れて混ぜ、粗熱を取ったら濡らしたバットに流し入れて冷蔵庫で冷やします」
大和「固まってコンソメゼリーが出来たら、それをスプーンで崩してサラダの上に盛り付けます」
大和「ドレッシングの代わりにしますから、コンソメスープの味付けは濃いめにしておくといいでしょう」
大和「野菜やお魚など、具材をコンソメスープに混ぜて一緒に固めてしまうのもアリですね」
提督「手際が良くて助かるぜ。流石は大和ホテルだな」
大和「それで、提督は何を?」
提督「デザートだ。これから二層のプリンケーキを作る」チャッチャッ
大和「二層ケーキですか。ということは、スポンジ生地とプリン液を別々に作るんですね?」
提督「いや、いっぺんにやってしまえる方法がある」
提督「まずはボウルにバターと砂糖を入れてよく練り混ぜ、そこへ卵黄を加えながら混ぜ合わせる」ガシャガシャ
提督「卵黄がバターと砂糖全体に馴染んだら、小麦粉、レモン汁、バニラエッセンスを加えてさらに混ぜる」
提督「レモンピールなんかを入れてもいいかもな。材料が混ざったら今度は牛乳を少しずつ入れながら混ぜる」
提督「最後に、あらかじめ砂糖を加えながらしっかり腰がつくまで泡立てておいたメレンゲを入れて」
提督「泡が潰れちまわないように気をつけつつ、生地を軽く混ぜ合わせる」サッサッ
提督「次は仕上げの焼き作業だ。バターを塗ったキャセロールに、この生地を流し入れる」トロォ
提督「そしてこいつを2cmの湯を張った天板に置いて、オーブンで湯煎焼きするわけだ」パタン
提督「ポイントは二度焼きすること。最初は170℃で30分、次は130~140℃で15分」
提督「スポンジが焼けすぎて焦げるのを防ぐために、後半の焼きでは上にアルミホイルを被せるといい」
大和「これで二層になるんですか?」
提督「ああ。焼き上がった頃にはオーブンの直火で焼いた上半分はスフレ状のふんわりとしたスポンジに」
提督「湯煎で火を通した下半分はカスタードクリームになってるはずだ」
提督「生地にメレンゲを混ぜる際、混ぜなさすぎると上手く層ができないし」
提督「混ぜすぎて泡を潰してしまうとスポンジが焼き上がらないから、混ぜ加減には注意が必要だな」
大和「焼き上がったらしばらく放置して粗熱を取って、冷蔵庫に入れるんですね」
提督「焼き立てを食っても美味いし、冷やすと甘味がより強くしっかりする。どっちも美味いな」
提督「それに生地にレモン汁を加えることで、口当たりがサッパリするんだ。案外サラッと食べられるぞ」
大和「なるほど……食べるのが楽しみですね」
提督「おいおい、今回は俺達のために作ってるんじゃねぇぞ。ババアのパーティーのためだ」
提督「……と、気がついたらやることすっかりやっちまったな。もう加賀の仕事ねぇぞ」
提督「ボーッとしてやがったし、何かあったのか? あいつらしくもねぇな……」
大和「そのことなんですけど、提督」
提督「あん?」
大和「加賀さんが二人きりで相談したいことがあるそうなんです」
提督「加賀が?」
大和「個人的な悩みがあるらしいんです。後片付けは私がやっておきますから、行ってあげてください」
提督「そうか……悪い、じゃあ頼むわ」
大和「はい。行ってらっしゃい、提督」
ガチャッ パタン
大和「……さて。大丈夫かなぁ、加賀さん」
僕からは以上
刈衣式スーパープディングはたまに作りますが、かなり美味いのでオススメ
クリスマスっぽい料理は敢えて避け……クリスマス? うっ、頭が……
――――――――――
佐世保鎮守府・ロビー
加賀「……はぁ」
加賀「大和にはああ言ったけれど、提督の前で上手く話せるかしら」
加賀「どうして提督がケッコンの消極的か……なんて、差し出がましい話だわ」
加賀「図々しい女だと思われたりしないかしら……」
加賀「……」
加賀「……よく考えれば、正規空母や駆逐艦より、給糧艦の方がいいのかもしれないわね」
加賀「提督は厨房にいることも多いから、自然と間宮さんと会う機会も多いわ」
加賀「でも私、体温が高いから生ものには触るなとよく言われるし……」
加賀「あまり料理が上手いというわけでもないから、やはり無理かしら」フゥ
トントン
加賀「? 誰……」クルッ
加賀「……いない? さっきのは誰……」
トントン
加賀「……姑息な悪戯ね。一体誰の……」
σ)Д`)プニ
加賀「なっ……!?」
加賀(手首だけが宙に浮いている……!?)
ツカツカ
佐世保「浮かない様子だねぇ。執務室での打ち合わせの時からそうだったけど」ヒュンッ
加賀「あ……貴女は、佐世保の」
佐世保「アンタ、顔には出ないけど細かい仕種や態度に出るタイプだよ。わかりやすいったらないさね」グッパッ
加賀(宙に浮いた手首が消えて、彼女の腕に戻った……)
加賀「……そんなにわかりやすかったかしら」
佐世保「あの坊やみたいな奴には伝わらないだろうけどね」
加賀「そうね……提督はそういう機微には疎いですから」
佐世保「だから坊やだってんだよ、まったく。客に対して無礼な態度も全然変わらないしさ」ヨッコイショ
佐世保「はぁ、まったく歳は取りたくないね。冬の寒さは身に染みるよ」サスリサスリ
加賀「提督の話だと、500年は生きていると吹聴していたそうですが」
佐世保「そうだよ。正確には584年だったかね? 優れた魔法使いの肉体は老いと死を忘れちまうものさ」
佐世保「でも、流石に魔力は衰え始めていてね。全盛期の力はなくなっちまったよ」
佐世保「海軍の奴らはアタシの魔法にずいぶん期待していたみたいだけれどね」
加賀「貴女の魔法で深海棲艦を倒せないか、と?」
佐世保「昔なら『鬼』にも『姫』にも負けなかったさ。でも今は駆逐艦を追い散らすのがせいぜいだよ」
佐世保「ま、気休め程度の簡単な呪いなら今でもできるけどね」
佐世保「それで断ろうとしたら、海軍の機密に触れたからこのまま帰すわけにはいかないときたもんだよ」
加賀「当然でしょうね。私達艦娘に関する情報は海軍のトップシークレットです」
佐世保「まったく、性質の悪い詐欺にでも引っかけられたような気分だよ」
加賀「海軍としては、適性のある人間を逃したくないのでしょう」
加賀「妖精の言葉がわかるというだけでも提督としての適性は十分ですから」
佐世保「これだから魔法使いが浮世に関わるのはよくないのさ。ロクなことになりゃしない」
佐世保「……そういうアンタは? どうして今の鎮守府にいるんだい」
加賀「私ですか」
佐世保「一航戦の加賀ときたら有名じゃないか。前は横須賀鎮守府にいるって聞いてたんだけどね」
加賀「それは少々不正確です。今の鎮守府に転属になる前は、大本営直属の教導団にいました」
佐世保「教導団? なんだいそれは」
加賀「艦娘の戦闘技術を研究・開発し、その成果をもとに各鎮守府の艦隊を訓練する仮想敵部隊です」
加賀「私達がいた頃は、私と赤城さんに加え、長門、陸奥、利根、筑摩、夕張、島風などが所属」
加賀「全員が最初期に建造された古参であり、精鋭中の精鋭であり、海軍の選良でした」
佐世保「生え抜きのエリートってわけだね。それがどうしてだい?」
加賀「理由はわかりません。転属自体が急に決まったものでしたから」
加賀「ですが、提督の艦隊が、南方海域強襲偵察作戦や鉄底海峡作戦の勝利に大きな貢献をしたのも事実」
加賀「栄光の一航戦である私達を後方の教導団で燻らせておくこともないという判断だったのかもしれません」
加賀「現に、大本営にて建造された艦隊決戦の切り札である大和型が回されていたのですから」
佐世保「大本営の奴らが考えることはわかんないねぇ……ケッコンカッコカリのこともそうだけどさ」
加賀「……そういえば、ひとつ聞いてもいいでしょうか」
佐世保「なんだい?」
加賀「先刻貴女は、ケッコンカッコカリは周囲が勝手に話を進めたのだと言っていました」
佐世保「そうだよ。周りが勝手に熱くなっちゃってさ、こっちは迷惑してるんだ」
加賀「……貴女がケッコンカッコカリに積極的でない理由とは何なのですか?」
佐世保「うん……?」
加賀「私には解せないんです。貴女はケッコンカッコカリそのものには批判的であっても」
加賀「決して部下の艦娘を嫌っている風には見えませんから……」
佐世保「バカ言うんじゃないよ。アタシは子供が嫌いなんだ」
加賀「それは貴女にご家族がいないことと関係が?」
佐世保「他人のことを詮索しすぎる奴は嫌われるよ。そういうのが余所の鎮守府にいるみたいだけどね」
加賀「……すみません。ですが」
佐世保「アンタの気にしていることと関係あるのかい?」
加賀「はい」
佐世保「……はあ、まったくあの坊やときたら。天下の一航戦を不安にさせるとはね……」
佐世保「まあ、いいさ。アタシがケッコンを快く思わないのはね、それが意味のないおままごとだからさ」
加賀「……?」
佐世保「今の海軍はね、艦娘を兵器として扱うか人間として扱うか決めかねているのさ」
佐世保「軍だけじゃなくて世間もそうさね。艦娘ってのがどういう存在なのか誰にも決められない」
加賀「艦娘に人権は認められていませんから、名目上は海軍の艦船や装備品の扱いになりますが……」
佐世保「人の形をしてものを考えて言葉を喋る兵器なんて、そんなもの今までありゃしなかったからね」
佐世保「戦後の艦娘の扱いについてだって誰も考えてやしない。みんな面倒ごとから目を背けてる」
佐世保「無責任な文句や難癖ばかりつけてくる連中もいて、ホントにやんなるよ」ハァ
加賀「……確かに、私達の存在が一部の政党や市民団体に受けが悪いのは事実ですが……」
佐世保「そのくせ、こうやって艦娘を中途半端に人間扱いするんだよ。ケッコンだなんだとね」
佐世保「そうやってあの子らを騙して、後で裏切ることになって、それで恨まれるなんてアタシゃ御免だよ」
加賀「貴女の部下の子達が、貴女を恨んだりするでしょうか」
佐世保「さあね。でも考えてごらんよ、戦争が終わった後のこと」
佐世保「アタシはいいさ。戦争が終わったらまた今までの暮らしに戻るだけだからね。」
佐世保「でもあの子達はどうなるんだい。この世に現れてからずっと戦争ばかりしてきたんだよ」
佐世保「人によく似ているけど人じゃない、兵器なんだよ」
佐世保「あの子達が暮らす場所なんてどこにあるんだい。軍の中にしかないじゃないさ」
加賀「それは……」
佐世保「アンタ達は普通の人間に比べて力も強い。身体も丈夫さ。必ずどこかで一線を引かなきゃならない」
佐世保「それなのに、ケッコンだなんてさ……人間と同じようになれると勘違いさせたらいけないんだよ」
佐世保「戦争が終わって、アタシと龍鳳が一緒に暮らしていけるなんて保証はどこにもないんだよ」
加賀「……それでも貴女は、龍鳳とケッコンをしたのでしょう?」
佐世保「……そうさ。アタシも老いちまったね。あの子らがあんまり熱心に言うから根負けしちゃったよ」
佐世保「おばあちゃんおばあちゃんって、うるさいったらありゃしない。子供は気楽でいいもんだよ」
佐世保「上の連中が言うだけなら突っぱねていたのに、まったく……」
加賀「……」
佐世保「ほら、アンタの望む通りつまんない話をしてやったよ。役に立ったかい?」
加賀「わかりません」
佐世保「そうだろうね。何しろアンタは艦娘だから、実感が湧かないのも無理はないさね」
加賀「ですが……」
佐世保「?」
加賀「やはり、貴女のような人こそ艦娘とケッコンすべきだったのだと思います」
佐世保「……人の話を聞いてなかったのかい? アタシはね……」
加賀「いいえ。先程の話を聞く限り、誰よりもあの子達を人間扱いしたがっているのは、貴女ですから」
佐世保「……!」
加賀「そして……多分、それは私達の提督も同じです」
加賀「提督は私達に人間になれと言います。戦争の道具で終わるなと……人間になってから死ねと」
加賀「それは貴女の言うような残酷な嘘になるのかもしれません。所詮、艦娘は兵器です」
加賀「……それでも、私も彼と同じ人間になりたいと望んでいます」
加賀「だから……その提督が、どうして貴女と同じようにケッコンに消極的なのか、知りたかった……」
スック
加賀「……ありがとうございました。私はこれから提督とお会いしますので」ペコッ
佐世保「……ふんっ、勝手なことばかり言って。これだから子供は嫌いさ」
加賀「私も貴女にとっては、駆逐艦や軽巡洋艦の子と同じなのかしら」
佐世保「アンタみたいなのを一人前扱いするには、アタシはちょいと歳を取りすぎちまってるからね」
加賀「……失礼します」
タッタッタッ……
佐世保「……まったく、あの坊やなんか呼ぶんじゃなかったよ。知った風な口を聞いてさ」
佐世保「半ば人間じゃなくなったようなアタシが、艦娘を人間扱いしたがるなんて……悪い冗談さ……」
僕からは以上
このチームイベント長くなりすぎじゃないですかね(名推理)
一応旗艦の艦娘にスポットを当てていくという方針はあったにせよ……
料理人提督の鎮守府の所在地等を決めていないせいで、
余所の鎮守府の人々を出すとやりづらくなることに今更気づく
部隊名だけでも決めておくべきでしょうか……
よし、もう日本のどこかの港にある鎮守府ということでいいか(思考放棄)
部隊名に関しては一応↓のようなコンマ表作っておいたんですが要らなさそうですね
とりあえず今後も「ウチの艦隊」とか「俺の鎮守府」とかでゴリ押していこうと思います
0.ホワイト 0.キャット
1.レッド 1.スパイダー
2.ブルー 2.ゴリラ
3.イエロー 3.アリゲーター
4.グリーン 4.シャーク
5.ピンク 5.バルチャー
6.パープル 6.コブラ
7.ゴールド 7.バッファロー
8.シルバー 8.バット
9.ブラック 9.ドッグ
申し訳ないがゴールド・バット隊とかどこから来るのかコウモリだけが知っていそうな部隊名はNG
――――――――――
佐世保鎮守府・廊下
提督「加賀の奴、どこ行ったんだ? ったく、無駄に広い鎮守府だな……」テクテク
提督「……」テクテク
提督「……」
提督(……加賀のことだからな。どうせ『アレ』についてだろ)
提督(あいつもそうなのかね……参ったな、しかし)
提督(どう言ったらいいものか、俺にだって整理できてねぇってのに)
提督(こういう時、霞が相手なら楽なんだがなぁ……)
スッ
提督「あっ」バッタリ
加賀「あっ……」
提督「……」
加賀「……」
提督「……よ、よう。加賀」
加賀「はい」
提督「さっき大和に聞いたんだが、俺に話があるんだってな」
加賀「ええ、いくつかお聞きしたいことが」
提督「そ、そうか。で、何だ?」
加賀「……ここ最近、髪を結ぶ位置を反対にしているのだけれど」
提督「おう、そうだな」
加賀「やはり、駆逐艦でなければいけないのかしら?」
提督「はぁ? なんだそりゃ」
加賀「貴方が霞や若葉と仲がいいから、霞を真似てみたのだけれど」
加賀「あまりいい反応を示してくれないから、提督は正規空母には興味がないのではないかと思って……」
提督「……俺が霞や若葉と仲がいいのは、あいつらが艦隊の古参メンバーだからだ」
提督「お前にとっての赤城と同じだ。付き合いが長いから、お互い気の置けねぇ間柄ってだけだ」
加賀「では、今度はお団子にしてみます。提督は軽巡洋艦のアイドルがお好きなのでしょう?」
提督「言っておくが那珂ちゃんは特別だ。艦種とかそういうのは関係ねぇ」
提督「……つーか、そんな下らねぇことでずっと上の空だったんじゃねぇだろうな。第三艦隊の旗艦だろお前」
加賀「いえ。確かにずっと気にしてはいたのだけれど、瑣末なことです」
提督「じゃあ何で悩んでたんだ。言ってみろよ」
加賀「ケッコンカッコカリについて」
提督「……」
加賀「大本営からケッコンカッコカリについての指令書が来て数週間ほど経ちますが」
加賀「提督はケッコン相手を選ぶことはおろか、話題にも出そうとしません。それは何故?」
提督「そりゃあ……必要を感じねぇからだよ」
加賀「……正直に言うと、練度と戦功、それに貴方への想い」
加賀「それら全てにおいて私こそが提督のケッコン相手に相応しいと確信しているのだけれど」
提督「正直すぎだろ」
加賀「ええ。私の心に何ら恥じるところはないもの」
加賀「だからこそ解せない。戦略上の意味でも、私達の能力を限界以上に引き出せるというし」
加賀「……何より、私達を人間扱いしてやまない貴方が、ケッコンを避けようとするのは何故?」
提督「……」
加賀「……私は他の子ほど感情表現が上手くないけれど、ハッキリ言うわ」ギュッ
加賀「――私は、貴方が好き」
提督「……相変わらず熱いな、お前の手」
加賀「多分いつもより熱いわ。今、とても照れていますから」
提督「そうか。お前、そういうのあんまり顔に出ねぇけどな」
加賀「……これも、貴方が私達に望む姿のひとつだと思うわ」
加賀「愛する人と結ばれたいと願うのはとても人間的だと思わなくて?」
提督「……ああ、そうだな。俺もそう思うさ」
加賀「なら教えてください。何故提督はケッコンを避けているの。私達に何か落ち度があるの?」
提督「そんなんじゃねぇよ。まあ……俺自身の問題だ」
加賀「提督の……?」
提督「確かに俺は、お前達に人間になれと言う。戦争の道具以外の何かになれと言うさ」
提督「だが……だからこそ、そのせいでお前達の関係が崩れちまうんじゃないかと思う時もあるんだ」
加賀「どういうこと?」
提督「ケッコンカッコカリ……本当に夫婦になるわけじゃない、ただのままごとだとしても」
提督「お前達はそれをただの強化改造だとは思えないはずだ」
提督「書類にサインして指輪を贈って、なんて手順を踏むんだ。ただの改装とはわけが違う。そうだろ?」
加賀「そう、ね……確かにその通りだわ」
提督「俺の側にしても同じだ。どんなに気をつけても部下の艦娘の扱いに差をつけるだろうよ」
提督「何しろ俺の嫁だからな、贔屓するなって方が無理だ。婚約指輪なんかプレゼントしてんだぞ」
加賀「しかし……それは当然の心理ではないの?」
加賀「私と赤城さんだってそう。周囲の人との関係性を区別するのは自然なことです」
提督「そうだ。だが俺は立場が立場だから、話はそれで終わらねぇんだよ」
提督「こういう色恋めいた話で贔屓されてる奴は周囲のやっかみを受けるし、拗れちまうんだ」
提督「それに……こう言うのもなんだが、俺そこそこモテてるだろ。自慢じゃなくて自覚の話だがよ」
加賀「ええ。貴方のことを想っている艦娘は他にもたくさんいます」
提督「で、だ。仮に俺がお前とケッコンしたとして、お前はそいつらに対して優越感を感じないか?」
加賀「それは……」
提督「感じないわけがねぇよ。言うならそいつらはお前の競争相手なわけだからな」
提督「お前は選ばれなかった連中を見下し、周りの連中はお前を妬む」
提督「俺は嫁であるところのお前を贔屓し、他の連中を知らず知らずのうちに軽んじる」
提督「そうやって小さな軋轢が積み重なって、いずれは破綻する。よくある話だ」
加賀「……私はそんなことは」
提督「ないと断言できるか? 俺は無理だ」
提督「言っとくが俺は好きな奴はとことん贔屓するぜ。それが嫁となっちゃ尚更だ」
提督「だが……俺はお前達の命を預かってる立場だ。そういうつまらねぇ諍いは起こしたくない」
提督「見せかけの友情やチームワークに価値なんてねぇ」
提督「お前達が結束してるのは文字通り命懸けで積み重ねた結果だ。それを崩しちまうのは惜しい」
提督「だから、火種になる可能性がある以上はケッコンカッコカリをするわけにはいかねぇんだ」
加賀「……提督。失礼ですが、貴方がそういうことを言うなんて意外です」
加賀「貴方なら、その程度で崩れる関係なら崩れてしまえと、そんな物言いをすると思っていたから」
提督「ああ。俺自身も驚いてるよ。まさかこんなことを考えるなんてな」
提督「だが……考えてみりゃ簡単な理由だ」
加賀「?」
提督「俺が提督として鎮守府に来てから2年足らず。色々なことがあった」
提督「お前と赤城が来たのは去年の今頃だったっけな。あの頃のお前は仏頂面で堅物で」
加賀「やめてください……」
提督「天龍は俺の最初の秘書艦で、ずいぶん気が合ってよ。長いことそばに置いてたな」
提督「霞とはぶつかってばかりだったが、あいつの助言は常に正鵠を射ていた。助けられたよ」
提督「若葉の素直な性格にはムカつくこともあったが、救われることも多かった」
提督「川内達は3人いっぺんに配属されたんだっけな……那珂ちゃんと出会えたのは最高だったぜ」
提督「大本営から大和と武蔵が回されてきた時はビビったな。聞きしに勝る大飯喰らいどもだった」
提督「一番最後にここに来たのが春雨だが、義足でも関係なしに頑張ってる意外とガッツのある奴だ」
提督「……そんで俺は、まあ、昔も今も変わらねぇ。あいつらに飯を作ってやってる」
提督「そうやって過ごしてる毎日を、俺は心地よく思ってた」
提督「壊れちまうのが惜しいって、なんとなく思ってたんだろうなぁ」
加賀「提督……」
提督「そりゃ、俺の心配しすぎだってんならそれに越したことはねぇよ」
提督「後になって取り越し苦労だったと笑い話になるんならそれが一番いい」
提督「だが、お前達の間に亀裂が入って、今の鎮守府がどうにかなっちまう可能性があるなら……」
提督「……俺はそれを避けたいと思っている」
提督「だからケッコンカッコカリについても結論が出せねぇ」
提督「お前らがどうこうっていうより、全部、俺自身の気持ちの問題ってわけだ」
加賀「……提督。貴方は勝手な人だわ」
提督「よく言われる」
加賀「ええ、本当に勝手な人。私達には人間になれと……戦争以外の生き甲斐を見出せと言うくせに」
加賀「貴方自身は、人間の愚かさや醜さを避けようとしている」
加賀「それは人間なら当たり前に持っているものなのに。私達の中にもあるものなのに」
加賀「……そこから遠ざかって、目を背けようとするのね」
提督「……何とでも言え。概ねその通りだからな」
提督「幻滅したか? 失望したか? だったらちょうどいい。ケッコンなんて考えるのをやめるいい機会だ」
加賀「いいえ。むしろ安心しました」
提督「安心?」
加賀「提督がそういう考えをお持ちなら、私にも考えがあります」
提督「……言ってみろ。何企んでるんだ?」
加賀「簡単なことです。貴方がケッコンによって鎮守府の人間関係が崩れるのではないかと心配なさるのなら」
加賀「私は全員に認めさせます。どんな手を使っても、ケッコンを祝福させてみせます」
加賀「誰にも文句は言わせません。無論、提督のお手を煩わせることもしません」
加賀「……貴方は私のものだと、徹底的に、完膚なきまでに、思い知らせてみせます」
提督「お前……言ってることがメチャクチャだぞ。わかってんのか?」
加賀「ええ。ですが実現不可能だとも思っていません」
加賀「提督の好みが艦種に拠らないということもわかりましたし、わざわざ改装する必要もありませんから」
提督「思ってたよりヤンデレの素質あるのな、お前」
加賀「はい。私、これでも結構独占欲が強いタイプみたい」
提督「……ったく、それじゃ俺は尚更ケッコンなんてしたくなくなるぞ。揉めるのが目に見えてるからな」
加賀「ですから、提督のために後顧の憂いを断つと言っているのです」
加賀「あるいは……提督が平等に、分け隔てなく私達を愛してくだされば、その心配もないかもしれません」
提督「はっ、ジュウコンか? それともハーレム作れってか? 悪かねぇ話だな」
加賀「まあ、私はジュウコンなど認めるつもりはないのだけれど」フフッ
提督「怖えーよ。やめろよそういうの」
加賀「……どちらにせよ、避けては通れない道です」
加賀「提督が私達を人間扱いする限り、貴方が私達の人間性を肯定する限り」
加賀「貴方を愛し、愛されることへの渇望は、消えたりしないのですから」
提督「……」
加賀「でも、今は……貴方の気持ちを聞けてよかったわ」
加賀「私達を想うがゆえに臆病になる貴方を、知ることができてよかった……」
提督「忘れろ……ってのは無理だろうが、あんまり表に出すなよ」
加賀「ええ。私にもそのくらいの気は回るわ」
提督「……問題の先送りなのはわかってる。いずれ答えは出す。出さなきゃならねぇだろう」
提督「俺が何を、誰を選ぶにしても……その時まで待ってろ」
加賀「……本当に、勝手な人」
提督「うるせぇ。お前も大概だろうが」
加賀「……いいわ、私は待ちます。貴方が結論を出せるまで」
提督「……悪いな」
加賀「提督が気にすることはありません。だって」
加賀「こういう気持ちを……惚れた弱み、というのでしょう?」フフッ
僕からは以上
やっとこのイベントを畳めるなぁ……
加賀さんが正妻いやさ制裁空母にまっしぐらですね
――――――――――
パーティー当日
佐世保鎮守府・厨房
提督「そろそろパーティーが始まるぞ。まずはワインとアップルサイダー、人数分のグラスを運んでけ」
満潮「……それはいいんだけど、なんで私達が給仕なのよ」
綾波「シャツに蝶ネクタイ、ベストにズボン……司令官、わざわざ用意したんですか?」
若葉「悪くない。若葉はこういう服は慣れてる」
58「ゴーヤにこんな服を着せるなんて……てーとくさんは変態でち! コスプレマニアでち!」
提督「春夏秋冬四六時中セーラースク水のお前の方が変態だろうが。水着が俺指定だとか触れ回りやがって」
提督「オラ、さっさと運べ! その次は前菜のカナッペの大皿を持ってってもらうからな」
満潮「ハイハイ、わかったわよ。運べばいいんでしょ!」
加賀「提督、バタールのトーストができました」
提督「よし。大和、手分けして具を乗せるぞ。加賀はシチューの鍋をチェック」
加賀「了解です」
大和「お任せください。えぇと、それじゃ私はたまごサラダで」
大和「荒く切ったゆで卵をボウルに入れて、塩、コショウ、みじん切りのパセリ、マヨネーズで和えて」チャッチャッ
大和「これをパンに乗せて、さらにくし切りにしたプチトマトとブロッコリースプラウトを乗せて……っと」
提督「こっちは海老アボカドだ。スライスしたアボカドと茹でた海老をパンに乗せて、軽く塩コショウ」パッパッ
提督「仕上げにマヨネーズを絞れば完成。次!」
大和「次はサーモンのカナッペ。スライスしたキュウリをパンに乗せて、上にサーモンのお刺身」サッサッ
大和「それからレッドオニオンのスライスを乗せ、ちょっとだけオリーブオイルをかけて出来上がりですね」
提督「お次はチーズと生ハムのカナッペ。一口大にカットしたカマンベールチーズをパンに乗せて」
提督「生ハムとピクルスを乗せ、軽くブラックペッパーを振って完成だ」ガリガリ
大和「最後に、フルーツのカナッペですね。まずはパンにラズベリージャムを塗って」ヌリヌリ
大和「カットしたイチゴとキウイを乗せて、ミントを添えれば完成です」
提督「よし、これで具は5種類。それぞれ同じ数ずつ皿に乗せてけ。あと偶数にはするなよ」
大和「……ふふっ」
提督「なんだよ? なんかおかしいか」
大和「いえ、それって縁起担ぎのためですよね?」
提督「……何のこった」
大和「ご存知ですか、提督? かつて戦艦大和で士官向けに供されていたオムライスなんですけどね」
大和「ソースの上には必ず奇数個のグリーンピースを置いていたんですよ」
大和「船が割れないように、割り切れない奇数で。つまりそういうことですよね」
提督「……ゴチャゴチャ言ってねぇで手を動かせ」
大和「了解です♪」サッサッ
――――――――――
佐世保鎮守府・食堂
パァン!パァン!パァン!
「「「提督! 龍鳳!」」」
「「「ケッコンおめでとー!」」」
ワイワイ ガヤガヤ キャーキャー
佐世保「……まったく、この子らはホント騒がしいねぇ」
龍鳳「ふふっ。みんな、それだけ提督のことがお好きなんですよ」
佐世保「ふんっ。毎日うるさいったらないよ」
佐世保「思えば、アンタしかいなかった頃は静かでよかったよ」
龍鳳「……懐かしいですね。私、最初は間宮さんや伊良湖さんみたいな給糧艦として着任して……」
佐世保「元々潜水母艦……つまり潜水艦用の補給船だったからねぇ」
龍鳳「空母予備艦でもありましたから、改装計画そのものは当初からありましたけどね」
龍鳳「それでも、秘書艦に任命されたのは驚きました」
佐世保「仕方ないじゃないのさ。大淀や明石を除いたらアンタしかいなかったんだからね」
佐世保「実質戦闘要員はほぼゼロ。まったくとんでもないところに飛ばされちまったと思ったもんさね」
龍鳳「それから初雪さんに球磨さん、加古さん……多くの艦が艦隊に加わって」
龍鳳「気づけば私も軽空母に改装されて、第一艦隊旗艦を任されるようになって」
龍鳳「そして今、提督とケッコンなんて……こうして振りかえると、不思議な気持ちになります」
佐世保「まったく苦労のかけられっぱなしだったよ」
佐世保「アタシの魔力さえ衰えてなけりゃ……そう思うことも何度もあったからねぇ」
龍鳳「でも、提督の作ってくれたお守りには何度も救われましたし、勇気を貰いました」
佐世保「そんなの気休め程度の代物さ。アタシ自ら深海棲艦をやっつけてやれればね……」
龍鳳「それは言いっこなしですよ、提督。私達は提督のお力になれているのが嬉しいんです」
佐世保「龍鳳……」
球磨「ばーちゃん!」トテテ
佐世保「ん? どうしたんだい球磨。それにアンタ達も」
加古「へへ……実はさ、おばぁ」
時津風「あたし達、しれぇと龍鳳のためにプレゼント用意したんだよ!」ジャジャーン
初雪「がんばった……」フンス
球磨「こないだみんなで街に買いに行ったクマ!」
龍鳳「まあ……! 皆さん、ありがとうございます!」
佐世保「なんだい、みんなして妙な気を回してさ。開けてもいいかい?」
時津風「いいよ! しれぇ、開けてみて!」
ガサガサ バリバリ
佐世保「これは……」
龍鳳「カメラと……なんでしょう? 黒い板みたいな……」
ビスマルク「デジタルフォトフレームよ。知らないの?」ズイッ
龍鳳「きゃっ」
佐世保「ビスマルク? アンタも一枚噛んでたのかい」
ビスマルク「当然じゃない。私達のオーマの記念日だもの」
加古「あたしもよくわかんないんだけど、デジカメで撮ったデータをそっちに移して使うんだって」
初雪「たくさん写真が入るから……みんなの写真、いっぱい残せる……」
ビスマルク「そして、もちろんドイツ製よ! 性能は折り紙つきなんだから!」ドヤッ
球磨「球磨達は日本製がいいっていうのに、ビスマルクがドイツ製にしろってうるさかったクマ」
ビスマルク「何よ、大切な人への贈り物に確かな品質のものを選ぶのは当然でしょ?」
加古「性能はともかく説明書が読めないだろー。輸入モノだからドイツ語で書いてるし」
ビスマルク「大丈夫、私が教えてあげるわ。さあオーマ、早速最初の一枚を撮りましょう!」
時津風「あっ、ずるーい! あたしも撮りたーい!」
初雪「私も撮る……」
ワイワイ
龍鳳「ふふ……よかったですね、提督」
龍鳳「……提督?」
――ポタッ
佐世保「……あぁ」ポロポロ
球磨「ば、ばーちゃん? どうしたクマ?」
初雪「おばあちゃん……泣いちゃった……」
佐世保「バ、バカお言いじゃないよ! 誰が泣いてるもんかい」グシグシ
加古「もー、おばぁは素直じゃないなぁ」ケラケラ
時津風「しれぇ、泣いちゃうほど嬉しかったんだぁー!」
ビスマルク「オーマ、恥ずかしいことはないわ。嬉しい時にだって涙は出るんだもの」
佐世保「だから泣いてなんかいやしないよ! まあ、せっかくだし、写真くらいは撮ってあげようかね」フンッ
龍鳳「はい、提督。それじゃあ皆さん、並んでください!」
――――――――――
廊下
提督「……盛り上がってるな」コソッ
加賀「慕われているのね……皆、心から祝福しています」
提督「あれで子供嫌いなんて言ってんだから……まったく嘘つきババアめ」
加賀「遠ざけようと、一線を引こうとしても、彼女達はその線を踏み越えてしまうのでしょう」
加賀「あの人に甘えて、頼りにして……そして支えようと頑張っているのね」
提督「だが、あのババア……また弱くなっちまうんじゃないのかね」
加賀「?」
提督「いつだったか、あのババアが言ってたんだけどな」
提督「……悪い魔法使いは、流した涙の数だけ魔力を失っていく」
提督「それが誰かを想って流す涙なら尚更だ……ってよ」
提督「これが本当なら、あのババアはまた一歩ただのババアに近づいたってわけだ」
加賀「そんなことが……?」
提督「ただのババアになっても不老不死のままなのか……そうでなかったら多分、いずれ寿命が来る」
提督「当たり前のババアが、当たり前に歳を取って……当たり前に死ぬ日が、いつか来るんだろうな」
加賀「……」
提督「子供嫌いだなんだと言って遠ざけるのも、それが理由なのかもな」
加賀「……でも、それであの人がただの人間に戻っていくのだとしても」
加賀「どんな困難があっても、きっと乗り越えていけると思えます。この鎮守府の艦娘達と一緒に……」
提督「……さあ、どうだろうな」
加賀「少なくとも、指輪の有る無しは彼女達にとってどうでもいいことなのだと思います」
加賀「ケッコンしていてもいていなくても、あの人を想う心はひとつなのですから」
提督「だといいがね」
提督「さあ、宴もたけなわだ。加賀、全員呼んで来い」
加賀「? はい……どうして?」
提督「あとの給仕は俺がやるからパーティーに混ざって来い。知り合いの艦娘もいるだろ」
加賀「よろしいのですか?」
提督「俺一人でも問題ねぇからな。賄いを作る手間が省けて助かるくらいだ」
提督「……それに、くたばり損ないのババアの最後の記念日になるかもしれねぇからな」
加賀「素直じゃないのね」
提督「……うるせぇ」
加賀「……本当に、素直じゃない人」クスッ
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24.初春(15)
若葉がケッコン可能状態となりました。
加賀が『運命の人』から『ケッコン間近』になりました。
他のメンバーは大きな変動はありませんでした。
やっと那珂ちゃんイベントに戻れます。
今度のイベント安価で個別イベントをやるかチームイベントをやるかも併せてやります。
僕からは以上。
ちなみに>>1のリアル艦隊のケッコン可能艦娘は大井っちと北上様と木曾です
貴重な開幕雷撃要員として大事に酷使していたらいつの間にかLv99になっていたという面白みのない経緯で申し訳ない
来年こそ那珂ちゃんをLv99にしなきゃ(使命感)
明けましておめでとうございます
今年も潜水艦を休みなしで酷使したりほっぽちゃんを囲んで三式弾で叩いたり
道中一発大破撤退に台パンしたりしながら過ごしましょう
なお那珂ちゃんのファンはやめません
――――――――――
厨房
コンコン
武蔵「提督? 来たぞ」
提督「おう武蔵。時間通りだな」
武蔵「この武蔵が遅刻などするものかよ。お前に呼び出されたのなら尚更だ」
武蔵「言っておくが料理の手伝いならしない……と言いたかったが、私のやることはなさそうだな」
提督「ま、もうあらかた出来上がって切るだけだからな」ストン
武蔵「ふむ、ロールケーキか……いいなぁ、実にいいぞ。提督の料理は何でも美味いからな」
提督「ていうかお前も料理できるだろ。なあ武蔵屋旅館」ストン
武蔵「無論だ。だが、しない」
提督「そりゃまたどうして」
武蔵「この武蔵は食道楽なのさ。それも提督専門のな」
提督「はっ、そりゃあいい。なら俺が料理をしなくなったら自発的に料理をし始めるわけか?」
武蔵「まあ、そういうことになるが……それこそ無意味な仮定だ」
武蔵「歌わないカナリアに価値はあるか? 泳げなくなった魚は死んだのと同じではないか?」
武蔵「同様に、お前が料理をやめる時はお前が死ぬ時さ。違うか?」
提督「……俺が軍を辞めるってパターンは考えられねぇのか?」
武蔵「この情勢で退役するか? それこそ考える必要がない」
提督「どうしてだよ。戦況がよくなりゃ辞められる可能性も高くなるだろ」
武蔵「現在人類がかろうじて優勢を維持できているとはいえ、有能な指揮官を逃がすほど海軍は甘くないさ」
武蔵「それに、お前はおそらく、海軍が最も必要としている類の人材だと私は思うのだがな」
提督「へぇ? なんだよそりゃ」
武蔵「適性があるのはもちろん、軍内部での出世や派閥争いに興味がなさそうな者というのが大きい」
武蔵「妙な野心や功名心を持たず……というより、そういうものに興味がない奴こそ、提督向きの人材さ」
武蔵「特に、執務室でふんぞり返っているより、厨房で働いている方が活き活きしているような奴がね」
提督「そりゃお前、俺は民間からスカウトされたからな。軍の中での野心なんて無くて当然だろ」
武蔵「それはどうかな。艦娘というのは、お前が思っているよりとんでもない存在だぜ?」
武蔵「なにしろ深海棲艦同様に通常兵器をものともしない。艦娘を殺せるのは深海棲艦か、同じ艦娘だけだ」
武蔵「たかが四個艦隊、たった20数名でも一国の軍事力に匹敵すると言っても過言ではない」
武蔵「そんな奴らを指揮し、手足のように動かして戦うんだ。勘違いをしてしまっても不思議じゃないさ」
提督「クーデターでも起こすかも、ってか?」
武蔵「それが可能な者は限られているが、可能性はゼロではない」
武蔵「無論、海軍としても、そういった事態への対策はしているだろうがな」
提督「……前に聞いた話じゃ、各鎮守府に配属される艦娘の中に大本営の紐付きがいるってな?」
武蔵「うん? 政治将校のことか?」
武蔵「まあ、秘密裏に提督への監視を行っている者も中にはいるだろうさ。必要なことだからな」
武蔵「秋月や春雨のような、深海棲艦の拠点から保護された者を除外するとしても……」
武蔵「大本営から派遣されたり他の部隊から転属してきた者は相当数いる。今更特定は不可能だと思うがな」
提督「とりあえずお前は違うな。そういうキャラじゃねぇし」
武蔵「それは私を信頼しているという解釈でいいのかな」
提督「好きにしろ。それにお前を疑うなら、天龍や大和、一航戦、川内型……疑わしい奴は何人もいる」カチャカチャ
提督「そいつらはこの鎮守府になくてはならない存在だ。疑いの目を向けたところでどうしようもねぇ」トン
武蔵「ふふ……提督。お前の素直というか、割り切るべきところを割り切れる性格は好ましいな」
武蔵「覚悟を決めているのか、それとも単に興味がないだけか……まあ、好きだぜ。そういうの」
提督「そりゃどうも。だが俺はお前と政治向きの話がしたくて呼んだわけじゃねぇんだ」コポポ
提督「とりあえず座れよ。一服してからゆっくり話をしようぜ」コトン
武蔵「ふむ、洋菓子に緑茶とは……まあ頂こう」ズズ
武蔵「ロールケーキの方はスポンジの色が少し濃いな。それに生地に混ざっているこの黒くて細いのは……?」
提督「まあ食ってみろ、添えてあるアイスクリームと一緒にな。美味いに決まってるからよ」
武蔵「不安には思っていないさ。お前の料理はいつも美味い」パク
武蔵「……ふむ。この濃厚で華やいだ香りに違わぬどっしりとした味わい」モグモグ
武蔵「香り高い塩味と香ばしさ、まろやかな甘味の調和は、洋菓子なのに和菓子のような……」
武蔵「敢えて近いものを挙げればみたらし団子か? だがこの複雑な味と香りは単に和風というわけでもない」
武蔵「添えてあるバニラアイスの上品な香りと、ミントの爽やかな香りもいいアクセントになっている」
武蔵「不思議な菓子だな……提督、この黒いのはひょっとして海苔か?」
提督「やっぱりわかるか? その通り、それは刻み海苔だ」
提督「そのロールケーキの香りのもとはバニラビーンズと醤油だ。生地に醤油を混ぜてあるのさ」
武蔵「ロールケーキの生地に醤油を?」
提督「この前アイスクリームにかける醤油ってのを見つけてな」
提督「中身は丸大豆醤油に砂糖と水飴で甘さととろみを加えたものなんだが、これが黒蜜みたいで美味かった」
提督「実は洋菓子と醤油ってのは案外相性がいいもんで、醤油にはバニラと同じ香り成分も含まれている」
提督「なら実際にこれでケーキでも作ってみたらどうかと思ってやってみたのさ」
武蔵「なるほど……醤油とバニラの相乗効果で、この濃厚で華やかな芳香が漂うわけか」
提督「火の通った海苔の香ばしさもバニラ香に合うだろ?」
武蔵「ふむ……これはいい。これになら緑茶も悪くない」ズズー
武蔵「しかしすごいな、これは。他の菓子を作る際にも応用が効きそうだ」
提督「そのうち製菓用醤油なんてのもできるかもな。醤油にもまだまだ可能性があるってことさ」
武蔵「……ふう、美味かった。いつもながら提督の料理は最高だな」
提督「そうかそうか。正直、お前みたいな奴が一番作りがいがあるぜ」
武蔵「ふふ……私も、提督のような料理人の作る食事が食べられるのは幸せさ」
武蔵「艦娘としてこの時代に生まれ変わった時は、新しい身体に慣れないというか、少々不便を感じたものだ」
提督「それは結構よく聞く話だな。なにしろ船から人だ、違和感がない方がおかしいが」
武蔵「ああ。軽くて小回りは効くが、疲れたり眠くなったり腹が減ったり。正直困惑したよ」
武蔵「だがこの身体も、お前に出会うために得たのだと思えば……愛おしく感じるものだ」
提督「おいおい、メスゴリラのくせに少女趣味か」
武蔵「言ったな? ……そんな提督はこうしてやる」グイッ
提督「モガッ」ムニュッ
武蔵「女の身体というのも悪くないぞ? こうして愛しい男を胸に抱くんだ」ギュウッ
提督「~~~~ッ」ジタバタ
武蔵「そうすると、この武蔵の胸の中でお前が窒息する。どうだ、幸せだろ?」ギュウ~
提督「! ~~!」ペチペチ
武蔵「……ちなみに、私はいま割と幸せだな」ギュッギュッ
提督「~~~~!」
武蔵「ん……そろそろ限界かな」パッ
プハァッ
武蔵「あはははは! 私の胸の感触はどうだったかな?」カラカラ
提督「うるせぇ! お前どんだけ力強えぇんだよ! やっぱりメスゴリラじゃねぇか!」
武蔵「そう怒るな。これでお互い様ってことでいいだろう?」
提督「ったく……」
武蔵「それで、そろそろ本題に入らないか?」
提督「あん?」
武蔵「この武蔵を呼びつけた理由が、まさか茶会への誘いなわけがなかろうよ」
武蔵「私に対して個人的かつ内密の相談があるからだ。違うか?」
提督「どうしてそう思う」
武蔵「なんとなくさ。強いて言うなら、私が最もお前に頼りにされているという自信があるからかな」
提督「はっ、勘違いも甚だしいな」
武蔵「自信とはつまり、楽観的勘違いさ。それが実力以上の力を発揮する時もある。訂正するつもりはないぜ」
提督「……お前にも加賀と似たものを感じるな」
武蔵「さあ提督よ、この武蔵になんでも相談してみるがいい」
提督「今更だが、人選を間違えた気がしないでもないな……まあいいか」
提督「実はな……那珂ちゃんのことなんだが」
武蔵「ほう? 提督が贔屓にしている彼女か」
提督「贔屓はしてねぇよ。少なくとも表立ってはな」
武蔵「嘘をつけ。那珂が外出許可を求めたら、面倒な手続きをすっ飛ばして二つ返事で許すくせに」
武蔵「そういえば、今朝は霞を那珂に随伴させていたようだが?」
提督「ストーカーか。メスゴリラの上にストーカーか」
武蔵「気にするな。今朝たまたま二人が出かけるところを見ただけさ」
武蔵「それで、その那珂がどうしたんだ」
提督「ああ。第一から第三までの艦隊を再編、那珂ちゃんを第一艦隊に編入してしばらく経つが……」
提督「そろそろ那珂ちゃんとの距離を縮めたくてな」
武蔵「距離?」
提督「俺は……認めたくはないが、那珂ちゃんのファン第3号だ。本当は第1号のはずだったが」
提督「那珂ちゃんのアイドルになる夢のためには俺は協力を惜しまない。応援したいと思う」
提督「だが……もう少し個人的に仲良くなりたいとも思ってんだ。ファンではあるが、上司と部下でもあるし」
提督「なんだかんだでそれなりに付き合いも長くなってきたし、まあ多少はな?」
提督「しかし、具体的にどうやって那珂ちゃんと仲良くなって距離を縮めていけばいいのかわからねぇ」
提督「自然な……それこそ贔屓に見えない程度の、なにかいい方法はないか?」
武蔵「……むう」
武蔵「……正直、私としてはあまり面白い内容ではないな」ムスッ
提督「な……なんでだよ」
武蔵「好きな男が別の女と仲良くするのを手伝えと言われているんだぞ? 面白いわけがない」
提督「……お前の気持ちはわかってるつもりだが」
武蔵「いいや、わかってなどいない。その上……」
武蔵(……那珂は提督のことを嫌っているし、提督にとって良い結果になるとは限らん)
提督「その上、何だよ?」
武蔵「……いや、何でもない」
武蔵「……だが、相談された手前、いい加減なことも言いたくないと思っているのも事実だ」ハァ
武蔵「提督と那珂が仲良くならないように誘導できるほど、この武蔵も器用ではないしな」
提督「じゃあいいじゃねぇか。頼む、協力してくれ」
武蔵「しかしここで首を縦に振れば、私がまるでロールケーキひとつに釣られたようではないか」
武蔵「私をそんな安い女だと思っているのならそれこそ許しがたいぞ。提督よ」ジロッ
提督「……やっぱりロールケーキで買収するのは無理か……」ボソッ
武蔵「提督? 今なんと」
提督「いいや、何でもない」
武蔵「とにかく、私は今不機嫌なのだ。誠意を見せて欲しいものだな」プイッ
提督「……悪いがケッコンなら受け付けてねぇぞ」
武蔵「知っている。それに私自身、最近出撃もなく、練度も足りんからな」
提督「じゃあどうしろってんだ。お前を第一艦隊に配属するか?」
武蔵「それも悪くはないが……いや、ダメだな。この武蔵が出るような戦いはあるまい」
提督「そもそもお前と大和は相応の大規模作戦に投入するんじゃなきゃ元が取れねぇよ」
提督「ていうか、どうすりゃお前は満足なんだ。俺に那珂ちゃんと仲良くするなって言うのか?」
武蔵「ム……その言い方は良くないな。私が意地悪を言っているようじゃないか」
武蔵「私だって、いたずらに艦隊の規律と連帯を損なおうという意図はない。お前の態度が問題なんだ」
提督「じゃあ俺にどうさせたいのか言ってみろよ」
武蔵「そうだな……さっきも言ったようにケッコンは時期尚早、出撃の必要もないし……」
武蔵「……よし。提督、ちょっとそこに立っていてくれ」
提督「ん? ……ここか?」
武蔵「そうだ。それから、目をつむれ」
提督「? ああ」
武蔵「そのまま動くな。貝のように口をつぐめ」
提督「……?」
武蔵「よし。それじゃあ……行く、ぞ」
グイッ
提督「っ!?」
武蔵「んっ」
チュッ
提督「ちょ……おまっ、何して」バッ
武蔵「……ふふ」ペロッ
提督「……どんだけ肉食系だ、お前は」
武蔵「今回はこれで許す。次からはどうなるかわからんがね」ニヤッ
提督「ったく、お前は……」
武蔵「さて、機嫌も直ったところで知恵を貸そうか。那珂との距離を縮めたいんだったな?」
武蔵「なら……>>+2なんてのはどうだ」
武蔵の助言 >>+2
スケベティックなイベントは起きない。いいね?
僕からは以上
この鎮守府の武蔵はめんどくさい肉食系乙女ゴリラです
東京大本営
新日本軍の最高統帥機関。深海棲艦出現と艦娘の開発、自衛隊の再編に伴って設置された。
各鎮守府の提督に任務と称して無理難題を押し付けてくる。
艦娘達は主に、大本営で建造された新型が試験運用の名目で回されたり
秘書艦や補充要員として他の鎮守府から転属してくる(初期艦、クエスト報酬)、
各鎮守府が大本営から送られた設計図をもとに建造する(建造、大型建造)、
深海棲艦の拠点で発見・保護される(ドロップ、イベント報酬)の3つの経緯で鎮守府に着任する。
政治将校
各鎮守府に秘密裏に派遣された大本営直属のスタッフ。
艦隊司令官の監視を主任務とし、命令無視・素行不良・艦娘への虐待など海軍将校の腐敗や横暴に対する
内部告発や、時には作戦への介入を行う権限を有する。
基本的に鎮守府の他のメンバーに正体を明かすことはない。
佐世保鎮守府
長崎県佐世保市に設置された新日本海軍の鎮守府。
九州をはじめとする西日本一帯の防衛を任されており、練度の高い艦隊を保有する。
司令官は前職:魔法使いの魔女提督。
所属艦娘は龍鳳、球磨、加古、初雪、時津風、ビスマルクなど。
料理人提督の鎮守府(「ブラック・コブラ」隊)
所在地未定(決めなくてもいいんじゃないかな)。
横須賀や佐世保の主力艦隊を側面から支援する、独自に作戦行動が可能な遊撃部隊である。
なお大本営が定めたコードネームは「ブラック・コブラ」だが、誰もその名前を使っていない。
司令官は前職:料理人の料理人提督。
所属艦娘は>>525参照。
教導団
艦娘の戦闘技術の研究・開発を行い、演習によって各鎮守府の艦隊を教導するエリート部隊。
新装備の実戦データ収集を任務とする実験部隊としての側面も併せ持ち、実戦に赴くことも少なくない。
赤城と加賀はこの教導団から「ブラック・コブラ」隊へ転属となった。
所属艦娘は長門・陸奥・利根・筑摩・夕張・島風など。
今後のイベント等での新規登場安価では佐世保鎮守府のメンバーは原則選択不可とします
なんか教導団メンバーとして名前だけ出てきた艦娘もいるけど
「一航戦が転属になった後に他の鎮守府に移った」とか適当な理由をつけて登場させればいいよね!
ビスマルクのレベリングが忙しくてしばらく投下できてませんでした。正直すまんかった
ケッコンもできたのでこっちに切り替えていく
――――――――――
駅前・喫茶店
那珂「……はぁ」
霞「……どうしたのよ。今日は溜め息が多いじゃない」
那珂「えっ? ……那珂ちゃん、溜め息なんて吐いてた?」
霞「無意識だったわけ? 何か悩みでもあるの?」
那珂「えへへ……ごめんね、霞ちゃん。付き合ってもらってるのに」
霞「別にいいわ。外出の際には一人で出歩かず二人か三人で、って決まりだもの」
霞「半ば以上あんたのために作られた規則だけどね。司令官ってば、那珂の外出許可は二つ返事で出すから」
那珂「あはは……」
那珂「でも、提督のおかげで街にもよく来れるし……ほら、今日も良さそうなビデオとか教本とか買えたし!」
霞「ふーん……それも例のアイドルがどうのこうのっての?」
那珂「そうだよ、那珂ちゃんは艦隊のアイドル! だから常に努力は欠かせないのです!」ピシッ
霞「……でも、それ終戦後の話でしょ? このご時世に軍を離れられるわけないし」
霞「今のところアイドル云々は絵に描いた餅、単なる与太話よ。あまり現を抜かさない方がいいわ」
那珂「霞ちゃん厳しいっ! ……それは、提督の秘書艦としての意見?」
霞「いいえ、第一艦隊旗艦としての意見よ。同じ艦隊の仲間が沈むようなことはあって欲しくないの」
霞「まあ、多分秘書艦としても同じことを言うわね……司令官を悲しませたくないし」
那珂「そっかぁ。霞ちゃん、提督のこと好きだもんね」
霞「好きっていうか……まあ、いい加減付き合いも長いもの。司令官のことは大体わかるつもり」
霞「それに、司令官は頑固で傲慢で口が悪くて敵を作りやすい奴だけど、心を許した人には甘いから」
霞「司令官に甘やかされて贔屓されてるってことは、つまりそういうことよ。本人は否定するだろうけど」
那珂「えー? 那珂ちゃん贔屓されちゃってるのー?」
霞「何言ってんのよ、こと那珂に限って言えば誰の目にも明らかでしょ。ただ……」
那珂「ただ?」
霞「あんた自身はどうなの? 司令官のこと、どう思ってるの」
那珂「……えーっと、それはねぇ」
霞「あんたが司令官を好いていないのは知ってるわ。ただ、それだけじゃないような気がするのよ」
那珂「……どうしてそう思うの?」
霞「なんとなくの印象」
那珂「印象?」
霞「今朝執務室に外出願いを出しに来たあんたを見ていて、ただ意味もなくそう感じただけだけど」
霞「司令官のことを嫌うとか、疎むというより、避けてるような感じがしたのよ」
霞「もっとハッキリ言えば、逃げてる。司令官と顔を合わせるのに居た堪れなさを感じてるような……」
那珂「……」
霞「まあ、あくまで印象の話よ。実際のところどうなのかはわからないわ」
霞「だから、良かったら聞かせてくれない? 那珂が司令官をどう思ってるのか」
霞「ここで聞いた話を司令官に告げ口したりなんてしないわよ? そこは安心して」
霞「もちろん、話したくなければ話さなくていいけど」
那珂「……」
那珂「那珂ちゃんは、提督を……」ボソッ
霞「……?」
那珂「……」
霞「……」
那珂「……」
那珂「……提督を避けてるっていうのは、確かにその通りかも」
那珂「那珂ちゃんは……提督が嫌いっていうより、怖いのかな……」
霞「怖い?」
那珂「後ろめたいって言った方がいいのかも。提督が期待するほど、那珂ちゃんすごくないから」
霞「司令官の期待っていうと、アイドルのことね?」
那珂「実はね、提督が艦娘が艦娘以外の何かにもなれるって思い始めたのは、那珂ちゃんのせいなんだよ?」
霞「司令官が……?」
那珂「いつだったか、那珂ちゃんが戦争終わったら歌手になりたいって言ったのを聞いてたんだって」
那珂「でも、その時はそんな真剣に考えてなかったんだ」
那珂「みんなにちやほやされたくて言ってみてさ、でもみんなの反応も悪くって、だんだん言わなくなって」
那珂「戦ってるうちに自分でも熱が冷めて、忘れていって……歌手なんてどうでもよくなってたのに」
那珂「提督はそんなこと知らなくて……艦娘にもきっと戦争以外の生き方ができるって、そう思っちゃった」
那珂「……正直、重荷だよ。提督は那珂ちゃんを過大評価してる」
那珂「提督が那珂ちゃんによくしてくれるのもそう。那珂ちゃんに期待して、期待しすぎてるから」
那珂「……歌手やアイドルに対して、ちょっとは真剣に向き合ってみようって思いはしたけど」
那珂「やっぱり不安になるよ。努力したって無駄なんじゃないかって思ったりもする」
那珂「歌もダンスもなかなか上達しないし、駅前の広場で歌っても足を止めて聞いてくれる人も少ないし」
那珂「でも……それでも提督は那珂ちゃんに期待してる。那珂ちゃんを信じてるんだろうって思う」
那珂「……那珂ちゃんにだって、戦争以外の生き方をしてる自分のイメージ、いまいち掴めてないのにさ」
那珂「那珂ちゃんはただの軽巡洋艦なのに……ただの艦娘だったのに……」
那珂「でも、今更やめるとも言いにくいし、なんだか提督に対して後ろめたく感じるの」
那珂「なんで那珂ちゃんがこんな気持ちにならなきゃならないのって、すごく嫌な気持ちになるし……」
那珂「それで、なんとなく気まずくて……提督のことを避けるみたいになってたのかな……?」
霞「……なるほど、ね。そういう理由だったわけ」
那珂「……うん」
霞「まあ確かに、司令官があんたを特別視するのはそれだけ期待してるってことでしょうけど……」
霞「でも、あんたが重責に耐えかねて潰れてしまうのも、司令官は望まないわ」
霞「辛いって思うなら、きっぱりとアイドルをやめるって言いなさい」
那珂「でも、そんなこと……!」
霞「さっき言ったでしょ、司令官は心を許した人には甘いのよ」
霞「仮にあんたが歌手やアイドルの道を諦めても、司令官はそれを裏切りだなんて思ったりしないわ」
霞「……もっとも、あんた自身にとってどう思えるのか、それはまた別の話だけれど」
那珂「那珂ちゃんにとって……?」
霞「後ろめたいとか、そういうやましい気持ちになるってことは、あんた自身が一番そう感じているからよ」
霞「司令官の期待は行きすぎだけど、あんたも心底からアイドルが嫌なわけじゃないんでしょ?」
霞「歌ったり、踊ったり、そのための練習だって、ただ辛いだけだった? つまらなかった?」
霞「……少なくとも、私にはそうは見えなかったけど?」
那珂「……」
霞「あんたを苦しめてるものの正体ってのはね、結局……」
ピリリリリリリリ
那珂「?」
霞「? 誰からの電話……司令官から?」ピッ
霞「はい、霞よ……司令官、どうしたの?」
霞「今? 那珂と一緒に駅前の喫茶店にいるけど……広場? 司令官と武蔵が?」
霞「……わかった。今から行くわね」ピッ
那珂「……提督から? なんて言ってたの?」
霞「今から駅前の広場に来いって。那珂は絶対に連れてこいとも言ってたけど」
那珂「那珂ちゃんを……?」
霞「ま、さっさと行きましょ。司令官がわざわざ出向くくらいだから、何か大事な用でもあるのかしら」
那珂「う、うん……そうだね! 広場ならすぐそこだし、行こっ!」
――――――――――
駅前・広場
武蔵「……お、来たぞ」
提督「ん、早かったな。マジにすぐそこの喫茶店だったか」
タッタッタッ
霞「どうしたのよ司令官? わざわざこっちに来てまで」
那珂「ひょっとして那珂ちゃんに会いたくなっちゃったのかなぁ? もー、提督ってば♪」
提督「ああ、そんなところだ。誰あろう那珂ちゃんに用があってな」
那珂「えっ?」
提督「武蔵、準備いいか?」ヨッコイショ
武蔵「大丈夫だ。……しかし、本当に即実行に移すとはね」スッ
霞「司令官がギターに……武蔵はハーモニカ? なによ、演奏できるの?」
提督「昔ちょっとな。モテたくて音楽をかじってた時期があった」ジャラーン
武蔵「手慰みに始めたものだが、案外面白くてな。大して上手くはないが」
提督「さあ那珂ちゃん、聞いててくれ。俺の歌を……」
那珂「て、提督の……?」
霞(……何考えてるのかしら、司令官)
武蔵(……まあ、この武蔵に二言はない。最後まで協力はしてやるさ)
提督「はい、ワン、ツー、スリー、フォー」
~~♪
「ありがとうの涙が 今 この胸に溢れてるよ」
「ずっとずっと 君を守りたい」
「桜が降る 桜が降る 新しい僕らの上に」
「ずっとずっと 手をつないで歩いて行こう」
「いつまでも……」
「今 初めて 打ち明けるよ 僕の本当の気持ちを」
「大好きな君にだけ 偽りのないこの気持ちを」
「ずっと苦しかった 誰にも見せなかった」
「胸の奥の方に溜まった涙 君となら流せる気がした」
「これから先 僕と君が 歩いていくこの道には」
「嬉しいこと 悲しいこと 色々あると思う」
「だけどもう 一人じゃない 僕がずっと守るから」
「そんな強さをくれたのは 全部君なんだ」
「ありがとうの涙が 今 この胸に溢れてるよ」
「ずっとずっと 君を守りたい」
「桜が降る 桜が降る 新しい僕らの上に」
「ずっとずっと 手をつないで歩いて行こう」
「いつまでも……」
~~♪
那珂「……」
霞「……」
提督「……ふう。どうだった、那珂ちゃん?」チラッ
那珂「えっ? あ、えっと……提督、結構歌上手いんだね?」
那珂「武蔵さんのハーモニカの伴奏もすごかったし! あはは……」
武蔵「そうか? まあ、素人の演奏だがこんなものさ」フフン
霞「それにしても突然呼びだしたかと思えば路上ライブなんか始めて、どうしたってのよ」
武蔵「それはまあ、成り行きと言うかな」
霞「はあ?」
提督「で、他には? 他になんか感想ないか、那珂ちゃん?」
那珂「ええ? えっと、えっとねー……あっ、そうだ、もうこんな時間! 那珂ちゃん帰らなきゃ!」アセアセ
提督「そうなのか? じゃあ片付けて帰るか」
那珂「いいよ、那珂ちゃん急いでるし! 提督達はゆっくりでいいから」
提督「っつってもどうせ帰る先は同じだろ? ちょっと待っててくれ、すぐ……」
那珂「じゃあ提督、那珂ちゃんお先に失礼します! それじゃあねっ」パタパタ
提督「あっ、ちょ、那珂ちゃん……」
タッタッタッ……
提督「……おい武蔵、那珂ちゃんの反応イマイチだったじゃねぇか」
武蔵「ふむ……私が思うに選曲が少々重すぎたかな。もう少しライトなラブソングの方が」
提督「流石に『これから先ずっと一緒に生きて行こう』的なテーマは重かったか?」
武蔵「完全にプロポーズの歌だからなぁ。もう少し段階を踏むべきだったろう」
霞「……なんとなくわかったわ。司令官がやろうとしてたこと」ハァ
武蔵「ま、結局那珂には逃げられてしまったがな」
提督「いや、一の矢でダメなら二の矢三の矢を射るまでだ。次は>>+2で行くぞ!」
次なる那珂ちゃんへのアプローチ >>+2
僕からは以上
流石に三の矢までは放ちませんので次が那珂ちゃんイベントの〆になります
――――――――――
艦娘宿舎・川内型の部屋
ガチャッ パタン
川内「あっ、那珂。もう帰ってきてたんだ?」
那珂「う、うん。ついさっきね」
川内「いつもはもう少し遅いのにね。買い物とか練習とかでさ」
那珂「たまには早く帰ることだってあるよー。それにいつもだって門限は守ってるし」
川内「あーあ、私もまた出かけたいなー。提督ってば、なんで夜間の外出を禁止にしたんだろ」
那珂「昼間に出かければいいんじゃないかなぁ……じゃあ、那珂ちゃんちょっとお休みするね」
川内「あれ、もう寝るの?」
那珂「うん、少し疲れちゃって……晩御飯の時間になったら起こしてもらえるかな?」
川内「おっけー、任せといて!」
ノソノソ ファサァッ
那珂「……」
那珂(……やっぱり、提督と顔を合わせるの辛いなぁ)
那珂(提督は那珂ちゃんに会うたびにああだし、今日だってあんな)
那珂(……)
那珂(霞ちゃんは何を言いたかったんだろ……?)
那珂(……那珂ちゃんを苦しめるものの正体……って……?)
川内「……」スッ
ガチャッ パタン
川内「……那珂も嘘が下手だなぁ。いや、姉だからわかるのかな」ボソッ
川内(買ってきた教本やビデオを放り出してすぐ寝るなんて、今までなかったし)
川内(どうせ提督絡みのことなんだろうなぁ……神通がいなくてよかったかも)
川内「……」
川内(那珂も、私も、神通だって、みんな自分の命をキラキラさせたい)
川内(誰だってまっすぐ生きていたいんだよ。自分の命を喜ばせていたい)
川内(ちょっとだけ提督が羨ましいかな……自分本位に身勝手に人生を楽しんでいるから)
川内「きっと、誰もがそうなれるわけじゃないから……」
――――――――――
鎮守府・正門
提督「……というわけでだ。那珂ちゃんを呼び出してデートに誘う」
武蔵「ふむ、存外ストレートだな。しかし何か策はあるのか?」
提督「よくぞ聞いたぜ。いいか? まずは那珂ちゃんにこの熊のぬいぐるみをプレゼントする」ヒョイッ
霞「うわっ、案外おっきい。いつの間にそんなの買ったの?」
武蔵(可愛い……)
提督「こいつの背中にはこれ見よがしなジッパーがついてて、ここを開けると……」ジィー
提督「なんと、俺からのメッセージカードと一緒に人気アイドルグループのライブチケットが!」ジャーン
武蔵「……わざわざそんな回りくどいことをする必要があるのか?」
提督「サプライズだよ、サプライズ! 距離を縮めるのが目的なんだからビックリする方がいいんだよ」
武蔵「……思うに、普段から変な凝り方をするから仲良くなれないのではないのか?」
霞「それはあるかも。司令官はひねくれ者だから」クスッ
提督「ほっとけ。お前に言われたかねぇよ」
霞「それに仮にも司令官なんだから、堂々と公私混同ってのも良くないわよ?」
武蔵「そうだな、くれぐれも節度は守れよ」
提督「わかってるっつーの。じゃあ早速、那珂ちゃんにこいつを渡してくるか」
武蔵「ン……待て、提督。その熊は考え直すべきだ」
提督「なんでだよ」
武蔵「考えてもみろ。それを那珂に渡したとして、背中のジッパーを開けるとは限らないじゃないか」
武蔵「サプライズも結構だが、その計画は那珂の行動に依存しすぎている」
武蔵「せっかく用意したチケットも無駄になるかもしれん。直接手渡して誘った方がいいのではないか?」
提督「まあ……そうか。アホの川内なら開けるかもしれねぇが、那珂ちゃんはわからねぇな」
武蔵「そうだ。那珂との距離を縮めたいと思うなら、ここは正攻法で行くべきだ」
提督「一理あるな……ここは小道具に頼るべき場面じゃあないってわけか」
武蔵「うむ……だから、な? その熊は私が責任を持って」チラッ
提督「霞、この熊やるよ。せっかく買ったんだし、捨てるのも勿体ねぇし」モフッ
霞「えっ」
提督「じゃあ、俺は那珂ちゃんの部屋に行ってくる。そいつは好きにしてくれ」スタスタ
霞「ちょ、ちょっと司令官!?」
霞「……」
武蔵「……」
霞「……ねぇ武蔵、ひょっとしてこの子欲しかったの?」
武蔵「そんなことはないっ」ムー
霞「でも欲しそうな顔してたじゃない」
武蔵「……別に、必ずしも拓郎である必要はなかったのだ」
霞(もう名前付けてる……)
武蔵「ただ、提督から何かを贈られるという形式が欲しかっただけだ。物自体はなんでもいい」
霞「武蔵って見かけによらず乙女よね……じゃあ、はい」スッ
武蔵「む?」
霞「あげるわ。拓郎」
武蔵「施しは受けんぞ」プイッ
霞「勘違いしないでよ。駆逐艦寮の部屋はそう広くないから、この子を置いておく場所がないの」
霞「執務室に置いておくのもアレだし、司令官の部屋に置いたってしょうがないし」
霞「名前を付けるくらい気に入ってるなら、あんたのところにいた方がいいわ」
霞「あくまで預かってもらうだけだから。そのうち返してもらいに行くからね」
武蔵「……なるほどな。そういうことなら、この武蔵が預かろうか」ギュッ
武蔵「よろしくな、拓郎♪」モフモフ
霞(……もう。ホント、面倒くさい人なんだから)
午後~夜辺りから再開したい(願望)
――――――――――
艦娘宿舎・川内型の部屋
コンコン
那珂「? 誰……」モゾモゾ
那珂(川内ちゃん……あれ、いない。どこ行ったんだろ……)
那珂(お手洗いかな……それとも買い物とか……?)
コンコン
那珂「あ、はーい。今開けるよー」
ガチャッ
提督「よっ、那珂ちゃん」
那珂「て、提督……どうしたの?」
提督「ちょっと話があってよ。上がってもいいか?」
那珂「えっと……い、いやぁ、それはちょっとダメかな? 込み入った話なの?」
提督「いや、そう時間は取らせねぇよ。ほら、これ」ピラッ
那珂「? それは……」
提督「人気アイドルグループのライブのチケットだ。最前列ド真ん前の一番いい席だぜ」
提督「来週の日曜日なんだが、一緒に行かねぇか?」
那珂「ひょっとして那珂ちゃん、デートに誘われてる? もー、那珂ちゃんはみんなのものなんだよ?」
提督「そう言うなって。我ながらデートにアイドルのライブってーのもどうかと思ったが」
提督「アイドルを目指す那珂ちゃんにとっても何か参考になるかもしれねぇだろ?」
那珂「……っ」ズキッ
提督「つーわけで、次の日曜は出撃や遠征を入れないようにしておくから……」
那珂「……いいよ、那珂ちゃんは」
提督「は?」
那珂「那珂ちゃんは……その、遠慮しておくから……ね? 霞ちゃんとか、他の子と行ってきて?」
提督「なんでだよ? 何か予定でも入ってたのか」
那珂「それは……」
提督「じゃあ都合のいい日を教えてくれよ。どこに行きたい?」
那珂「……」
提督「ライブじゃなくても、映画とか……あっ、遊園地貸切とかどうだ。それくらい軍のコネで簡単に」
那珂「……にして」
提督「ん?」
那珂「いい加減にしてっ!!」
提督「な……」
那珂「那珂ちゃんは提督とお出かけなんてしたくないの! 放っておいてっ!」
那珂「アイドルのライブなんて……いつ那珂ちゃんがそんなの観たいなんて言ったの!?」
那珂「いつも外出許可をくれるのは感謝してるけど、そうやって那珂ちゃんを縛りつけないでよ!」
提督「違っ……俺はそんなつもりで言ったんじゃ」
那珂「いいから出てって! 出てってったら!」グイグイ
提督「ち、ちょっ、那珂ちゃん……!?」
那珂「出てって!」ドンッ
提督「うわっ!?」ドサァッ
バタンッ!
提督「……!?」ポカーン
タッタッタッ
川内「提督! どうしたの一体!?」
提督「あ、ああ……俺にも何が何だか……」
川内「怒鳴り声が聞こえたけど、今の那珂……だよね? 喧嘩でもしたの?」
提督「喧嘩……っつーか、那珂ちゃんに拒否られたというか……」
川内(……那珂……?)
――――――――――
那珂「はぁ……はぁ……」
那珂「……」
那珂(……提督に、那珂ちゃんの気持ちなんてわからないよ……!)
那珂(いつもいつもアイドルアイドルって、無責任に那珂ちゃんを応援して……!)
那珂(でも、那珂ちゃんは艦娘で……知ってることなんて戦争のことばっかりで……)
那珂(提督は人間で……提督になる前にも、色んなことを知ってて……経験して……居場所があって……)
那珂(提督を辞めても、提督はやっていける。でも那珂ちゃんは違う)
那珂(アイドルなんて本当になれるのかって不安で、へこたれて、停滞しちゃう……)
那珂(そんな那珂ちゃんの気持ちなんかわかりっこない……)
那珂(那珂ちゃんは『艦娘』で……提督は『提督』だから……!)
――――――――――
翌日・執務室
霞「……ちょっと司令官、いい加減に立ち直りなさいよ」ユサユサ
提督「那珂ちゃんに嫌われちまった……あぁ……」グダー
霞「ったく、打たれ弱いんだから……しっかりしなさいよ、これじゃ仕事にならないじゃない」
提督「そんな気分にゃなれねぇよ。休みにしといてくれ……」
霞「そういうわけにはいかないの! 今日だって色々予定が入ってるんだから」
霞「那珂のことを怒らせちゃったんなら、きちんと謝って仲直りすればいいじゃない」
霞「なんならそういう場をセッティングしてあげるわ。だから今は切り替えて仕事しなさい!」
提督「はぁ……那珂ちゃん……」
霞「ほら、シャキッとする! さて、今日の予定はっと……」
最新好感度ランキング
01.霞(109)↑
02.若葉(100)
03.阿武隈(92)
04.加賀(91)
05.武蔵(82)↑
06.春雨(80)
07.曙(77)
08.伊58(76)
09.鬼怒※(71)
10.響(70)
11.秋月(62)
12.川内(54)
13.大和(49)
14.綾波(45)
15.天龍(40)
16.卯月(37)
17.那珂(29)↑
18.神通・山城※(27)
20.大鳳※(23)
21.初霜※(21)
22.赤城、満潮(18)
24.初春(15)
※マークは未登場
霞・若葉はケッコン可能状態です。
武蔵が『好き』から『運命の人』になりました。
那珂は特に変化ありません。
次のイベント 個別orチーム
メインキャラ >>+2
サイドキック >>+3~4
メインキャラ:霞 好感度17UP
サイドキック:春雨 好感度3UP
秋月 好感度1UP
「二人は幸せなキスをして終了」イベント発生!
コンマ20以下でバッドエンド
コンマ80以上でグッドエンド
>>+1
というわけで「比較的バッド寄りかもしれないけどノーマルな霞エンド」となります
僕からは以上
(赤城も未登場なのに※マークをつけ忘れた音)
正直シリアス寄りにするかコメディ寄りにするか決めかねてるのでコンマで決めます
00に近ければ近いほどシリアス、99に近ければ近いほどコメディ
>>+1
(バッド寄りのシリアス寄りだしちょっと暗めの話になりそうだけどまあいいか)
――――――――――
約2年前
鎮守府・執務室
天龍「工廠の明石から連絡が来た。新造艦が完成したみたいだな」ガチャッ
提督「ん? ああ、朝方から建造してたやつか……」
提督「大本営から回されてきた設計図の……確か朝潮型の駆逐艦だったか?」
天龍「ああ。特型駆逐艦なんかに比べると装備が強化されてるらしいけどな」
提督「そういうことは俺にはわからねぇよ。何にせよ戦力になればいいんだがな」
天龍「おっと、そうか。お前士官学校出じゃねぇもんな」
提督「ついでに言うと軍オタでもねぇもんでな。じゃあその新造艦をこっちに寄越すよう言っとけ」
天龍「わかった。ちょっと待ってな」
~数分後~
コンコン
提督「入れ」
ガチャッ
霞「朝潮型駆逐艦10番艦、霞よ。あんたがここの司令官かしら」
提督「おう、俺が提督だ……しかし、また威勢のいい奴が来たな」
天龍「いいじゃねぇか。オレは秘書艦の天龍だ、よろしくな」
霞「よろしく。それで、ここの艦隊の規模はどのくらい?」
提督「軽巡2、駆逐艦はお前を含めて3。今のところ近海の哨戒が主任務だ」
霞「……それだけ? 他の艦種は?」
天龍「いや、いねぇよ。なにせ提督は着任して間もないからな」
提督「戦艦や空母ならそのうちこっちに回されてくるんじゃねぇか?」
天龍「どうだろうな。今の海軍は人手不足だからなぁ」
提督「まあ、でなきゃ俺をスカウトして提督になんてしねぇだろうけどよ」
霞「スカウト? なんのことよ」
天龍「つまり、そいつは正規の軍人じゃなかったってことだ。つい一ヶ月前までな」
霞「……どういうこと? こいつ、正式な士官教育を受けてないの!?」
提督「……流石にそういう反応も4回目となりゃ慣れたもんだが、提督をこいつ呼ばわりかよ」
天龍「いいんじゃねぇの? オレだってお前呼ばわりだろ」
提督「ったく……ちゃんとした軍人が提督なら黙っちゃいねぇんだろうがよ」
霞「答えなさい! あんた、軍事教育は受けてるの!?」
提督「一応受けてはいる。2週間で終わるくらい簡易化されたカリキュラムらしいがな」
天龍「適性があったからって、まさかレストランのコックが提督とはね。流石のオレも驚いたぜ」
霞「コ、コックが提督って……まったく世も末ね」ハァ
提督「いいか、文句は大本営に言えよ。俺だって文句を言いてぇくらいなんだ」
提督「とはいえ、まあ……長い付き合いになりそうだし、挨拶くらいはキチッとしとこうぜ」
提督「これからよろしくな、霞」
――――――――――
現在
鎮守府・執務室
霞「――司令官、起きなさい。もうヒトゴーマルマルよ」
提督「……んあ?」
霞「起きなさいったら。一時間だけ昼寝するって言ったでしょ?」
提督「ああ……そうだったな……ふあぁぁあ」ノビー
霞「さ、顔洗ってらっしゃい。書類を片付けたら次は厨房の仕事だからね?」
提督「わかってる……しかし懐かしい夢見ちまったなぁ」
霞「? どんな夢よ」
提督「お前が建造されたばっかりの頃の夢だよ」
霞「……そういえば、もう2年近く経つのね」
提督「あの頃はなぁ。お前ときたら事あるごとに突っかかって来やがって」クイッ ジャー
霞「見てられなかったのよ。仕事の手際は悪いし、ろくな軍事教育も受けてないから頼りないったら」
霞「神通じゃないけど、本当は主計科としてスカウトされたんじゃないかっていつも思ってたわね」
提督「ま、変われば変わるもんさ。提督業にも慣れて、今じゃ中将の地位」パシャパシャ
提督「警備任務ばかりの小規模な艦隊も、どんどん仲間が増えていって……」
提督「ついでに言えば、お前だって自発的に俺に膝枕なんかしてくれるようになっちまってよ?」ニヤッ
霞「別に? してあげたいからしてあげてるだけよ」フフッ
提督「あの頃は……確か、天龍、若葉、阿武隈、卯月、曙、それにお前だったな」フキフキ
提督「お前が建造されたすぐ後に曙が建造されて、クズだのクソだの二人して言いたい放題言いやがってよ」
霞「曙は素直じゃなかっただけよ。信じて裏切られるのが怖くて、距離感がわからなかっただけ」
提督「じゃあお前は素直なのか? ツンデレのくせに」
霞「ええ。少なくとも、あの頃の司令官のことは心からクズだと思っていたわよ?」
提督「てめぇ、このっ」ワシャワシャ
霞「あっ、もう、髪わしゃわしゃしないで! そうやってすぐムキになるところが子供っぽいったら」
提督「……ま、今じゃあお互いのことはわかりすぎるくらいわかっちまってるもんな」ポンポン
提督「そういや、最近間宮との勝負もしてねぇな」
霞「前は司令官、間宮さんに対抗意識燃やして、事あるごとに料理勝負だなんだってやってたわね」
提督「まだ白黒ハッキリしたわけじゃねぇから、いずれ機会があればと思ってるが」
霞「そんな下らないことやるくらいなら、艦隊の指揮についてもっと勉強しなさいって思ってたわ」
提督「いや、思うだけじゃなかったぞ。お前はよく俺にそういう趣旨の文句を垂れてた」
霞「あら、そうだったかしら?」スットボケ
提督「そのシラの切り方は昔っから変わらねえな」
霞「間宮さんが和菓子を作るのに対して、司令官は洋菓子をよく作ってたのをよく覚えてる」
霞「卯月なんて、司令官が勝負を言い出した日はデザートがひとつ増えるからもっとやれって喜んでたわよ」
提督「……しかし、今それをやったら秋月が目を回しそうな気がするけどな」
霞「ふふっ……かもしれないわね」
提督「……さて、昔話はこのくらいにして仕事するか」
霞「そうね。まだ未処理の書類がたくさんあるわよ?」
提督「料理人時代には書類仕事なんざ無縁だったんだがなぁ……肩が凝っていけねぇや」
霞「だったら後でマッサージでもしてあげる? 効果のほどは知ってるでしょ」ワキワキ
提督「ああ、頼むわ。なんだって俺が目を通さなきゃならねぇ書類がこんなにあるんだか……」
コンコン
霞「……誰?」
秋月『秋月です。司令に緊急の御用が』
提督「わかった、入れ」
秋月「失礼します!」ピッ
霞「それで、司令官に緊急の用っていうのは?」
秋月「はい。先程、大本営からこの指令書が届いて……」サッ
提督「なんだよ、また大本営がおかしな任務を出してきやがったのか?」
霞「でも変ね。いつもなら執務室のコンピュータに暗号化された文書が送られてくるのに」
提督「わざわざ紙の指令書を寄越すような性格の任務ってことか」ビリッ
秋月「ということは、機密性の高い極秘任務?」
提督「なるほど紙なら燃やすのは簡単だが、パソコンを燃やすのは骨が折れるからな。どれどれ」ペラッ
【南方海域を強襲せよ!】
サーモン諸島海域にて、Flagship級を多数含む敵深海棲艦の大艦隊を確認。
主力艦隊進撃のための陽動支援作戦として、ブラック・コブラ隊は同海域を強襲せよ。
また、同海域に未知の敵新型戦艦の情報あり。可能ならばこれを撃破せよ。
提督「……相変わらず大本営は無理難題をおっしゃるぜ。クソ野郎が」グシャッ
霞「……司令官?」
提督「霞、今から全員集めろ。十分以内に会議室だ」
霞「了解。放送で呼びかけるわ」
提督「秋月は資料室から南方海域の海図を持ってこい。これが資料室の鍵だ」チャラッ
秋月「了解しました!」
提督「クソ……忙しくなるな、こりゃあ」
うちのレ級がスナイパーすぎて初戦旗艦大破撤退しまくるんですけど(憤怒)
僕からは以上
――――――――――
十分後
鎮守府・会議室
ザワ……ザワ……
大淀「皆さん、静粛に! ……では提督、どうぞ」
提督「おう。ついさっき、大本営のアホどもから愉快な任務が回ってきた」
提督「南方、サーモン海域北方。この海域に深海棲艦の大艦隊が集結しつつある」
提督「大本営は横須賀や呉の主力艦隊を差し向け、同海域を制圧する腹積もりのようだが」
提督「それに先立って俺達にも、主力艦隊から目を逸らさせる陽動として動けという話だ」
提督「……ま、つまるところ、やることはいつもと変わらねえ」
提督「まず敵艦隊に適当にちょっかいをかけて主力艦隊が戦力を整える時間を稼ぎ」
提督「敵艦隊の編成や配置についての情報を集める。俺達がやるべきことはこんなもんだ」
提督「この作戦を遂行するにあたって、第一~第三までの艦隊を再編する」
提督「まず第一艦隊。大和型、山城を基幹とした水上打撃部隊」
提督「旗艦は武蔵で、大和、山城、阿武隈、鬼怒、天龍の6隻だ」
武蔵「ほう、この武蔵が旗艦とは光栄だ。暴れてやろうじゃないか」スック
提督「うちには重巡がいないから打撃力が落ちちまうが、そこは大和型の火力でカバーしてくれ」
武蔵「第二改装を済ませた山城もいる。問題ないさ」
提督「信頼してるぜ、武蔵」
武蔵「任せておけ、相棒」
提督「次に第二艦隊。一航戦、大鳳を基幹とした空母機動部隊」
提督「旗艦は加賀。続いて赤城、大鳳、響、卯月、満潮」
加賀「やりました」キリッ
提督「まだ始まってもいねえっつーの。第二艦隊を頼んだぞ」
加賀「お任せを。ところで、響の第二改装は済んでいて?」
提督「ヴェールヌイの改装用パーツは既に到着してる。工廠の妖精が急ピッチで作業中だ」
加賀「わかりました。一航戦の誇りにかけて、必ず作戦を成功させます」
提督「頼りにしてるぜ、加賀」
提督「そして第三艦隊。川内型を基幹とした水雷戦隊」
提督「旗艦は川内。続いて……神通、那珂。それに初春、初霜、綾波」
川内「了解! ガンガン夜戦しちゃうよ!」ガタッ
提督「うるせぇ座ってろ。夜戦はほどほどにやれよ」
川内「……ところで、みんな第二改装されてる子ばっかりだね。やっぱり優先的に選んだの?」
提督「まあな。初霜の艤装の改装もじきに終わるし、ちょうどよかったと言えばそうだ」
提督「……死んだら承知しねぇぞ、川内」
川内「……大丈夫。新しいキラキラを見つけるまで、私は死なないからね」
提督「残りは予備戦力として鎮守府に待機だ」
提督「霞、春雨、秋月、曙、若葉、そして伊58」
霞「……私達を残す理由は? 対空能力の高い秋月は第二艦隊に編入すべきじゃないの?」
提督「AL/MI作戦を思い出せ。あの時、敵の別働隊が本土近海を強襲したよな?」
提督「主力艦隊が出払っている隙を狙われて、俺達も迎撃作戦に参加した」
提督「南方海域に集結してる艦隊の規模は相当なものだが、俺はある可能性を考慮してお前達を残す」
霞「……つまり、サーモン海域の艦隊こそ陽動で、敵が本土攻撃を狙っているっていうの?」
提督「あくまで可能性にすぎねぇが、その時が来てから慌ててもどうしようもない」
提督「そのためにも、できるだけ練度が高く機動力のある奴らを残しておきたいからな」
霞「なるほど、そういうことね……そうならないことを祈るわ」
提督「……なに、心配すんな。いくら大本営でもたった三個艦隊でサーモン海域を制圧しろなんて言わねえ」
提督「それに深海棲艦が本土攻撃を考えてるってのも仮定の話だ」
提督「杞憂だったと笑い話で終わるならそれが一番いい」
提督「俺達の仕事はあくまで陽動だ。敵艦隊を引っかき回して、適当なところで逃げ出せ」
提督「……さて。そんじゃあいつもの台詞で〆るとするか」
提督「――暁の水平線に、勝利を刻め」
作戦の進行状況をコンマで決めます
100から各艦隊の好感度の平均値を引いたものが難易度になります
第一艦隊 >>+1 40以上で作戦①成功
第二艦隊 >>+2 59以上で作戦②成功
第三艦隊 >>+3 69以上で作戦③成功
作戦①成功
作戦②失敗
作戦③失敗
失敗の数×10が難易度に加算されます
待機組 >>+1 難易度36以上
好感度とか数値化しておくと色々便利ですね
続きは後ほど
僕からは以上
――――――――――
鎮守府・執務室
提督「またサーモン海域を攻撃することになるとはな……こりゃ出し惜しみしてられねぇ」
提督「霞、整備班に連絡だ。一番いい装備で頼むって言っとけ。資材に糸目はつけねぇってな」
霞「……司令官」
提督「どうした、霞。今は書類仕事をしてる暇はねえぞ」
霞「そうじゃないわよ。司令官はどう思ってるの?」
提督「何の話だ」
霞「この任務自体よ。処分の簡単な紙の指令書で通達されたってことの意味」
霞「秋月は極秘任務だと解釈してたけど、私はそれだけじゃないと思う」
霞「……司令官もそう思ってるんじゃないの?」
提督「……まあ、な。というより、露骨に不自然だからな」ピラッ
提督「敵艦隊への強襲……確かに機密性の高い案件だが、別にパソコンに送っても問題ない」
提督「せいぜい暗号の強度を上げればいいだけだ。そもそも紙に書く意味がねえ」ヒラヒラ
霞「ということは……やっぱり?」
提督「ああ。大本営は今回の作戦、よっぽど勝つ自信がないらしい」
提督「大本営のコンピュータの記録に残らない指令書……こいつは言うなれば私物命令だ」
霞「私達が勝てばよし。負ければ司令官と、あとは適当な参謀辺りをトカゲのしっぽ切りにするわけ?」
提督「その気になりゃいつでも握り潰せるだろうな。正式な命令ではないはずだし」
提督「艦隊の……いや、国民のかもしれねぇが、士気を保つためにこういう手の込んだことをするのかもな」
霞「呆れた話ね……」
提督「……ま、予想できたことではあるな。なにしろ俺達は体のいい便利屋だからな」
霞「結局、何かあれば真っ先に切り捨てられる立場ってことね……」
提督「そうなると、大和型や一航戦もどうなるか」
提督「大和や武蔵のような秘蔵っ子を回してきたのも、大和型の戦闘データ収集の意味合いが強い」
提督「失うのは惜しいはずだし、出撃の直前にあいつらだけ呼び戻すってこともありうるな……」
霞「まさか。そんなことしたら、それこそ作戦成功の目はなくなるわよ」
提督「そこまで大本営の連中もバカじゃねぇと思いたいがね……」
提督「とはいえ、この戦いに負けられなくなったのは確かだ」
提督「負ければ命令違反の独断で出撃したってことにされて、最悪銃殺だろうしな」
霞「……」
提督「……おいおい、そんな顔すんな。要は負けなきゃいいんだ」
提督「俺達の任務は陽動。適当に敵の目を引いていればよくて、何も全滅させる必要はねぇ」
提督「俺達が負けることがあるとすれば、それはこっちが全滅した時くらいだ。違うか?」
霞「確かに、主力艦隊が戦力を整える時間を稼げればそれでいい、っていうのはわかるわよ」
霞「でも、大本営がそれほど消極的になるくらいの大艦隊が相手なんでしょ?」
霞「正直言って、嫌な予感がするわ……最悪の事態にならなきゃいいんだけど」
提督「そればっかりは俺にもわからねぇよ。尻尾巻いて逃げ出すわけにもいかねぇしな」
提督「だが考えてもみろよ。負けられない戦いで負けない戦い方をする。俺達の得意分野じゃねえのか?」
提督「……そうだ。この作戦が終わったら、お前らにアレを振る舞ってやるよ」
霞「アレ?」
提督「前はよく作ってたろ。俺特製・苺のミルフィーユ」
霞「ああ、アレね? 懐かしいわね……」
提督「今じゃ艦隊の人数も増えてきた上に、大飯喰らいが何人もいるもんだからな」
提督「手間のかかりすぎるものは作りにくくなったが、今回は特別だ」
霞「そうね……最近ここに来た春雨や秋月は食べたことないんじゃない? いい機会だわ」
霞「あの優しくて上品な甘さのカスタードクリームと、サクサクした香ばしいパイ生地……」
霞「それでいて、苺の甘酸っぱさが味を引き締めていて……」
霞「あの頃は、こんなクズ司令官にもひとつくらい取り柄があるものねって思ってたわよ」クスッ
提督「なんだとこの野郎」ワシャワシャ
霞「あっ、もう、やめなさいったら!」グワングワン
霞「まったくもう! 大体、昔の話なんだからもう時効よ」サッサッ
提督「だったら口に出すなよ。俺もわしゃわしゃしたくなるだろうが……それともされたいのか?」
霞「……さあ、どうかしら?」
提督「ああ……なるほどな。『そういうこと』だと思っとくぞ」
霞「ええ、『そういうこと』ね」
霞「……ミルフィーユ、楽しみにしてる。みんなで食べられたらいいわね」
提督「……ああ、そうだな」
霞「そのためにも……私が司令官を、みんなの帰ってくる場所を守るわ」
霞「だから、司令官も負けないで。……みんなを、死なせないで」
提督「ああ……任せとけ」
――――――――――
鎮守府・指令室
大淀「先行した第三艦隊、敵深海棲艦に遭遇。交戦開始しました!」
提督「川内、聞こえるか! 敵の編成はどうなってる!」
川内『戦艦3、重巡2、雷巡1! 戦艦レ級と重巡ネ級もいる!』
川内『奴らの周りに金色の靄がかかってる……間違いない、Flagshipだよ!』
提督「レ級にネ級のFlagshipだぁ……!? ついに実戦配備しやがったのか!?」
川内『――あぁっ!?』ドォォォンッ
提督「川内!? どうした!」
大淀「敵の雷撃です! 川内、初霜小破!」
提督「大丈夫か!?」
川内『大丈夫、まだ行ける……砲雷撃戦、開始!』
提督「よし。全艦、単縦陣だ!」
大淀「第一艦隊、第二艦隊も戦闘海域に到着。支援攻撃を開始!」
提督「加賀!」
加賀『了解。全機爆装、発艦します』
提督「武蔵、交戦中の敵艦隊にはレ級がいる! 死ぬ気で当てろよ!」
武蔵『言われるまでもない! 撃ち方……始めッ!』
提督「この攻撃で少しでも削れればいいが……」
大淀「ですが敵前衛艦隊旗艦のレ級の装甲は堅牢です。おそらく遠距離からの攻撃では決定打には」
提督「新型のネ級といい、連中もとんでもねぇものを投入してきやがる」
大淀「この規模です、敵本隊には『姫』や『鬼』も存在すると思われますが……」
提督「こいつらを突破できても俺達だけじゃ後が続かねえ。そっちの方は主力艦隊の到着を待つしかない」
ビビーッ
大淀「……! 神通、初春中破!」
提督「チッ……! 第三艦隊は後退、第一艦隊を前に出せ!」
提督「第二艦隊には第二次攻撃を急がせろ! 加賀、状況は!?」
加賀『……! 敵の対空砲火が予想以上に激しく、攻撃は難航しています。未帰還機も多数……!』
提督「第三艦隊が退くまで持たせろ!」
武蔵『第一艦隊、第三艦隊と合流! これより援護に回る!』
ドォン! ドォン!
大淀「戦艦タ級、雷巡チ級、撃沈確認! 戦艦レ級も大破……しかしいまだ健在!」
――――――――――
鎮守府正面海域
秋月「……こちら秋月。鎮守府周辺に異常はありません」
霞『了解。交代要員に曙とゴーヤを送るから、鎮守府に戻ってきて』
春雨「でも、司令官の命令は予備戦力として待機だったよね? 勝手に警備についていいのかな……」
霞『心配はいらないわ。鎮守府周辺の警備については司令官の許可を貰ってるから』
秋月「そういえば、司令は敵別働隊による攻撃を懸念されていました」
長10cm砲ちゃん「戦力の大部分が出払っている状況だからこそ、か……」
霞『そういうこと。どこの鎮守府も似たような状況だし、何かあっても対応できるようにしないと』
秋月「なるほど……では、秋月・春雨両名、これより帰投します」
春雨「――っ」ピクッ
秋月「……? どうしたんですか、春雨さん」
春雨「ううん……何か、今、嫌な感じが……?」
長10㎝砲ちゃん「なに?」
秋月「嫌な感じって、一体……」
春雨「……!」
春雨「電探に感あり……パターン『赤』!」
長10cm砲ちゃん「Eliteクラスか!?」
秋月「……! 本部、こちら秋月!」
霞『霞よ! 何があったの!?』
秋月「こちらの電探に深海棲艦の反応! パターン『赤』です!」
霞『……! 数は!? 艦種特定できる!?』
長10㎝砲ちゃん「数は12……二個艦隊だろう……おそらく戦艦タ級を含む!」
秋月「航路から予想される目標は、私達の鎮守府と思われます!」
霞『……秋月、春雨は後退! 私達も今すぐ向かうから、合流して迎え撃つわよ!』
秋月「了解! 春雨さん、急ぎましょう!」
春雨「う、うん!」
――――――――――
鎮守府・指令室
大淀「提督! 母港で待機中の霞より入電!」
提督「霞から……? 繋げ!」
霞『司令官!』
提督「どうした、霞」
霞『鎮守府に接近中の敵艦隊がいるわ! 戦艦タ級を含む二個艦隊よ!』
提督「……! まさか、この鎮守府を狙ってきやがったってのか!?」
霞『今すぐ迎え撃つわ。出撃許可を!』
提督「わかった。こっちも艦隊を呼び戻す! 大淀、近くの鎮守府に救援要請!」
大淀「り、了解!」
提督(……大淀や明石は量産タイプ。オペレーターや整備員として配属されていて、戦闘用の艤装はない)
提督(横須賀とか、一部の鎮守府にはあいつら用の艤装が配備されてるらしいが……)
提督(ここに残った戦力は駆逐艦が5、潜水艦が)
提督(向こうの戦力は戦艦を含む12隻。持ちこたえられるのか……!?)
提督「予備艦隊、出せ!」
霞『了解。霞、出るわよ!』
× 提督(ここに残った戦力は駆逐艦が5、潜水艦が)
〇 提督(ここに残った戦力は駆逐艦が5、潜水艦が1)
――――――――――
南方海域・サーモン海域北方
武蔵「なに……! 敵別働隊が鎮守府を強襲だと!?」
提督『奴ら、よりにもよって俺達の鎮守府を狙って来やがった。撤退してくれ!』
大和「どうやら深海棲艦の間でも「ブラック・コブラ」隊は有名なようですね……!」
提督『まったくな……だがこういう過激なファンはお断りだぜ』
武蔵「我々の帰る場所がなくなるのは御免だな。急ぐぞ!」
山城「不幸だわ……しかもこれが初台詞だなんて……」
武蔵「言ってる場合か! 全艦、転進!」
加賀「赤城さん、撤退命令です! 全艦転進、鎮守府に帰投します」
赤城「くっ……私達が制空権を掌握できないなんて……!」
加賀「悔しいですが……私達だけでどうにかできる戦場ではありません」
加賀「元より私達の任務は陽動です。敵に多少なりと痛手を負わせ、時間稼ぎもできました」
加賀「私達の帰る場所を深海棲艦に壊させるわけにはいきません。さあ、撤退しましょう」
赤城「……わかりました」
加賀(……本当は、あの人の期待に添えなかったことに対して忸怩たる思いはあるけれど)ギリッ
加賀(今はそんなことにこだわってはいられないわ)
加賀(あの人の身に何かあったら……その時こそ、私は一航戦の、『加賀』としての誇りを失うでしょう)
加賀(無事でいてくれるといいのだけれど……!)
川内「各艦の被害状況は?」中破
神通「神通、初春は中破……初霜と綾波が小破しています」中破
川内「航行不能な子はいないね。全艦、鎮守府へ帰投するよ!」
神通「……っ」ギリッ
川内「……神通?」
神通「……せっかくの第二改装なのに、艤装の性能を活かしきれなかったから……」
神通「私がもっとちゃんと戦えていれば……!」
川内「気にしちゃダメだって。そんなことより、今は鎮守府を守るのが先決だよ」
川内「霞達が敵艦隊を追っ払えなければ、私達がやるしかない。その時は頼りにしてるからね!」
神通「……はい!」
――――――――――
鎮守府正面海域
シュバァッ……ドォォォン!
ロ級A「……!」轟沈
58「どう? ゴーヤのお利口な魚雷さんの味は!」
霞「いいわ、ゴーヤはそのまま駆逐艦と軽巡の攻撃を引きつけていて!」ジャキッ
若葉「左舷の敵艦……逃がさない」ジャキッ
ドォン!
ヘ級「……!」大破
ロ級B「!!」轟沈
曙「残るは戦艦が2隻……! うっざいわね、あいつら!」ジャキッ
長10㎝砲ちゃん「行くぞ、秋月」
秋月「秋月が健在な限り、私達の鎮守府はやらせません!」ジャキッ
春雨「砲戦……始めます!」ジャキッ
ドォン!
長10㎝砲ちゃん「やったか!?」
秋月「! いいえ、まだ!」
タ級A「……」ニィ
タ級B「……」ジャキッ
曙「……!」
ドォォォン!!
霞「曙! 秋月! 春雨!」
春雨「私は大丈夫! ……みんなは!?」
曙「ぐぅっ……! た、たかが魚雷管がやられただけよ……!」中破
秋月「秋月は……まだ行けます!」小破
若葉「くっ……やはり、若葉達では火力不足なのか」
霞「まだよ! 全艦、雷撃戦用意!」
春雨「り、了解!」
58「おっきな魚雷をお見舞いしてやるでち!」
シュバァッ……ドォォォン!!
――――――――――
鎮守府・指令室
大淀「タ級への雷撃、有効打になりません! 随伴していたヘ級がタ級の盾になったようです!」
提督「クソッ……! 武蔵達はあとどれくらいで戻る!?」
大淀「どんなに急いでも3時間は……」
提督(早くなんとかしねぇと敵の後続が……どうする……!?)
ビーッ! ビーッ!
大淀「……ッ!」
提督「おい、今のビービーうるせぇのはなんだ!?」
大淀「敵攻撃機が多数接近、到達は4分後!」
大淀「兵装確認、敵機は爆装しています……この鎮守府を、空爆するつもりです!」
提督「!」
――――――――――
鎮守府正面海域
キィィィン……
58「! あれは……?」
曙「敵の爆撃機……まさか鎮守府に!」
霞「秋月! 対空射撃用意!」
秋月「了解! 長10㎝砲ちゃん!」ジャキッ
長10㎝砲ちゃん「ああ、鎮守府の空は我々が守らねばな」
霞「若葉と曙は秋月の直掩について! 敵戦艦は私達で食い止める!」
ドォン! ガガガガガガ……
ドォォォン!
秋月「長10㎝砲ちゃん! 弾幕薄いよ!」ドドドド
曙「くぅっ……! ダメ、数が多すぎる!」
若葉「諦めるな。司令官を守るんだ……!」
タ級A「……」クルッ
タ級A「……!」ジャキッ
霞(……! あいつ、秋月を狙って……!?)
タ級A「……」ニヤッ
霞「やらせない!」バッ
春雨「霞ちゃん! 待っ……!」
58「ダメでち!」
ドォォォン!!
霞「……っ」大破
タ級A「……!」チッ
タ級B「……」ジャキッ
ドォォォン!
霞「ぐっ……ああっ……」ヨロッ
霞(あ……)ガクッ
バシャアッ ザバァン……
霞(みん……な……)
ゴボッ……
霞(しれい……かん……)
霞(私が……沈む、なんて……)
霞(認めない……)
霞(認めないん……だから……)
バチィッ
――――――――――
鎮守府・指令室
ドォン! ドドドドドッ!!
大淀「きゃあっ!」ガタンッ
提督「ぐっ……! ついに来やがったか……!?」
提督「被害報告、急げ! どこに爆弾を落とされた!?」
ザザー ザッ……ザザッ
明石『……港湾施設に被害甚大! 建造ドックに火災発生です!』
提督「あのクソ野郎ども……! 明石、お前らはさっさと地下のシェルターに避難しろ!」
明石『ですが……!』
提督「大淀! 霞達は今どうなってる!」
大淀「は……はい! 予備艦隊は……!?」
大淀「……!」
提督「どうした! さっさと報告しろ!」
大淀「は……はい……」
大淀「……予備艦隊……旗艦・霞が……しました」
提督「なんだって!?」
大淀「予備艦隊旗艦・霞……が……」
大淀「戦艦タ級の砲撃を受け……炎上……轟沈、しました……」
提督「……な……!」
大淀「艦隊は分断しています。春雨、伊58は戦艦タ級2隻の足止めを……」
大淀「秋月、若葉、曙は対空攻撃を……行っていますが……状況は……」
ドォォォン!
パラパラ……
提督「……霞が? 沈んだ……だと……?」
大淀「はい……艤装からの反応は途絶えています……」
提督「……」ギリィッ
大淀「……提督。このままでは、第一~第三艦隊の旗艦を待たず、全滅することは……」
提督「……っ!」
バァン!
大淀「!」
提督「……これまでなのか……畜生……!」
提督「……霞……!」
大淀「……提督……」
ビーッ! ビーッ!
大淀「! これは……!?」
提督「……?」
大淀「提督! 鎮守府正面海域に接近する艦影あり! これは……」
――――――――――
鎮守府正面海域
58「霞ちゃん……霞ちゃんが!」
春雨「そん……な……!?」
タ級A『……ウルサイ駆逐艦ニ潜水艦メ……!』
春雨「っ!」
タ級B『ソウ慌テルナ。ジキニ奴ラノ拠点モ灰ニナル』
春雨(深海棲艦の言葉が……? そうだ、私は元々……)
タ級A『ぶらっく・こぶら隊トカ言ッタカ……? 最後マデ鬱陶シイ連中ダッタ』
タ級B『シカシ、コイツラノ本隊ハ南方ニ釘付ケニナッテイル。残ッタノハ雑魚バカリ』
タ級B『見ロ、奴ラノ鎮守府ガ燃エテイル。精鋭ノぶらっく・こぶらノ恐ロシサハ、ソノ身軽サダッタガ……』
タ級A『アトハ愚鈍ナ主力艦隊ヲ南方海域デ迎エ撃ツノミ』
タ級A『ソノ前ニ、マズハ……コイツヲ沈メテヤルトシヨウ』ジャキッ
春雨「……!」
タ級B『ソコノ潜水艦ハ捨テ置イテ構ウマイ。潜水艦一隻でナニガデキルモノカ……』
58「春雨ちゃん!」
タ級A『サア、トドメヲ……ムッ!?』
ドォォォン!
ザァァァァ……
タ級A「……!?」
春雨「うわぁっ!?」
58「春雨ちゃん! 大丈夫でち!?」
タ級B「……!」
春雨「あ……あれは……?」
――――――――――
ビスマルク「――オーマ、敵の戦艦を捕捉したわ」ジャキッ
金剛「Wow、あの子達がグランマのFriendの艦娘ですネー?」
球磨「そうだクマ。あそこの提督はばーちゃんと龍鳳のケッコン記念パーティーに来てたクマ」
加古「おばあ、港が燃えてる! かなりヤバそうだよ!」
飛鷹「急ぎましょう! このままだと間に合わなくなるわ。そうでしょ、おばあ様」
龍鳳「皆さん、行きましょう――全艦突撃! 攻撃隊、発艦!」
――――――――――
鎮守府・指令室
提督「佐世保から救援……!?」
大淀「はい! 佐世保鎮守府より入電、繋ぎます!」ピッ
ザザッ……
佐世保『――坊や、生きてるかい』
提督「ババア……?」
佐世保『遅くなってすまないね。アンタのそんな死にそうな顔、あんまり見たくはなかったさね』
提督「……すまねえ、恩に着る」
佐世保『この間のパーティーの時の借りを返すだけさ。さ、アンタはアンタのやるべきことをやりなよ!』
――――――――――
鎮守府正面海域
ビスマルク「さあ、行くわよ! Feuer!」
金剛「行きます! Fire!」
ドォォォン!
タ級A『増援ダト……!』中破
タ級B『ソンナバカナ……! エエイ、奴ラモ沈メテシマエ!』中破
ドォン! ドォン!
58「み、味方の援軍でち……?」
加古「そういうこと!」
球磨「二人とも、大丈夫クマ?」
春雨「は、はい……でも……!」
球磨「あとは球磨達に任せるクマ!」
加古「ああ、あいつらはあたしらがブッ飛ばしてやる!」
58「お願いするでち。敵の後続の空母機動部隊は、ゴーヤ達には……!」
球磨「行くクマ、加古!」
加古「ああ!」
ザァァァァ……
春雨「……ゴーヤちゃん、手伝って!」
58「えっ?」
春雨「霞ちゃんを助けないと……!」バシュン ガシャン
58「は、春雨ちゃん!? こんなところで艤装を外したら……!」
ドボォン!
春雨「早く! 一緒に霞ちゃんを引き上げるの!」バシャバシャ
58「……! わかったでち!」ザバァン
バシャァァァン!
58「! 春雨ちゃん、ゴーヤみたいに泳ぎが上手いでち!?」
春雨「霞ちゃん……どこに……!?」
春雨(やっぱり……! 元々深海棲艦だった私なら、たとえ水上艦であっても潜水艦みたいに泳げる!)スイスイ
春雨(助けなきゃ……! 今ならまだ間に合うかも……!)
58「艤装を着けたまま沈んだんだったら、流されたりしてないはずでち。この近くに……!」
春雨「……! いた!」
58「急いで艤装を外して引き上げるでち!」
霞「……」轟沈?
――201X年1月。
「ブラック・コブラ」隊の本拠地である鎮守府は深海棲艦の攻撃を受け
壊滅寸前にまで追い込まれるも、佐世保鎮守府からの救援艦隊によって救われた。
数時間後に帰還した第一~第三艦隊も合流し、鎮守府正面海域に展開した敵艦隊を掃討。
「ブラック・コブラ」隊は満身創痍ながら、深海棲艦の強襲を退けたのである。
「ブラック・コブラ」隊の鎮守府は母港と工廠を破壊され、
保管されていた資材や装備の多くも失われたが、幸いにして『轟沈』した艦娘はいなかった。
――そう。
僕からは以上
今回できれば死人を出さないという方針でやっていたので轟沈しない優しい世界です
でもややバッドでシリアスだしなぁ……
――――――――――
数日後
鎮守府・執務室
提督「――霞が目を覚ましたのか!?」ガタッ
天龍「ホントかよ! 大丈夫なのか?」
明石「はい。元々身体の傷は修復済みでしたし……」
天龍「そっか……良かったじゃねえか提督!」
提督「……こんな書類仕事は後回しだ。天龍、あとは頼む!」バサッ
天龍「……ま、今は仕方ないか。いいぜ、行って来いよ」
提督「確か、霞は療養施設に入院してるんだったな?」ガチャッ
天龍「ああ。108号室だったっけな」
明石「待ってください提督、今は……!」
バタァン
明石「ああ、もう……!」
天龍「なんで提督を引きとめるんだよ? ずっと昏睡状態だった霞が目覚めたんだ、めでたい話だろ」
明石「それは……」
天龍「オレも霞の代理で久々に秘書艦をやることになったけど、こういう時だからな……」
天龍「……知ってるか? 大和に武蔵、赤城、加賀、大鳳……みんな余所の鎮守府に移ることになったんだ」
明石「……」
天龍「そのうちオレや、他の奴らも余所に異動になるだろうな。この部隊は遠からず解散だ」
天龍「そりゃあ、この鎮守府はもう半分機能してねぇよ。工廠も焼けちまって、修理もろくにできやしない」
天龍「でも、だからって……ホント、上の連中は薄情っつーか」
天龍「提督だってうんざりしてるはずだ。こういう時に霞がいてくれりゃあ、提督も……」
明石「……すみません。私はこれで失礼しますね」
天龍「えっ? あ、オイ!」
バタン
天龍「……なんだ? 明石の奴。様子が変だったけど……」
天龍「……」
天龍「……この鎮守府も、このまま終わっちまうのかな」
天龍「2年近くもいたってのに……なくなる時は、ビックリするくらい呆気ねぇもんだな……」
――――――――――
鎮守府・療養施設
タッタッタッ……バタン!
提督「霞!」
霞「っ!?」ビクッ
提督「霞……大丈夫か? どこか痛むところとかねえか?」スッ
提督「はは……お前が目を覚ましたって聞いて、居ても立ってもいられなくてよ」ナデナデ
霞「ち、ちょっ……」
提督「でもよかった、結構元気そうじゃねえか。お前、あの日以来ずっと昏睡状態で……」ワシャワシャ
霞「ちょっと、やめてよ!」パシッ
提督「っと……悪い悪い。怪我人をわしゃわしゃしたらダメだったか?」
提督「よし、今日はとびきり美味いもんを作ってやるぞ。なにしろ霞が目ェ覚ましたんだから……」
霞「ねえ、あんた」
霞「さっきから『カスミ』って……誰のこと?」
提督「は……? おい、なんだそれ」
霞「ちゃんと答えなさいよ。ひょっとしてカスミって私のことを言ってるの?」
提督「お前こそ何言ってんだ? 霞ってのはお前の名前だろ」
霞「カスミ……私の名前? じゃああんたは、私の知り合い?」
提督「……さっきから笑えねぇ冗談飛ばしてんじゃねえよ。俺は提督だろ!?」
霞「ていとく? ……ああ、提督ね。軍服を着てるし、海軍の人」
霞「じゃあここって、軍の病院……? どうして私、そんなところに……」
提督「霞……お前どうしちまったんだ!? そんな、まるで……!」ガシッ
霞「きゃっ! ……なに触ってんのよ、さっきから馴れ馴れしいわね! このクズ!」
提督「な……!?」
明石「……やっぱり、そうなっていましたか」
提督「明石! こりゃ一体どういうことだ!?」
霞「? なに、また海軍の人……?」
提督「明石、なんなんだこれは! さっきから霞の様子がおかしいんだよ!」
提督「俺のことも、ここが鎮守府だってことも、自分の名前さえ! これじゃまるで……」
明石「……ええ、提督の想像どおりですよ」
提督「じゃあ……!」
明石「霞ちゃんは……艦娘としての記憶の一切を失っています」
提督「轟沈した時の影響か? それとも、何かの後遺症……」
明石「いいえ、身体自体は健康そのものです」
提督「だったらどうしてだ!」
明石「……提督は、深海棲艦は何故生まれると思いますか?」
提督「……はあ? そんなことが、この状況に何の関係が……」
明石「実際、詳しいことはわかっていませんし、仮説の域を出ませんが……」
明石「深海棲艦は艦娘と表裏一体……現世への恨みや未練を抱く魂が変異したものと言われています」
明石「高位の深海棲艦の中には特定の艦娘と瓜二つの容姿をした者も確認されていますし」
明石「轟沈した艦娘が深海棲艦に造り変えられるという説には説得力があります」
明石「逆に、深海棲艦だったけれど艦娘に生まれ変わったした者もいます。例えば、春雨ちゃんのような……」
明石「……そこで、大本営はこう考えたんですよ」
明石「恨みも未練もすべてリセットしてしまえれば、艦娘が深海棲艦になることはないのではないか……と」
提督「おい……ちょっと待て。じゃあ、まさか!」
明石「そうです。艤装には戦闘データを記録するレコーダーや、各種バイタルセンサーの他に」
明石「……破壊された際、装備していた艦娘の記憶を抹消するキルスイッチが内臓されているんです」
提督「……!」
ガシッ
提督「消したってのか、霞の記憶を! ふざけんな!」ギリギリ
明石「機密保持の観点からも必要な機能だったんです! 敵に利用されるくらいなら破壊しなければ……!」
提督「戻るのか、霞の記憶は!? 俺達を思い出すのか!?」
明石「今回のようにサルベージされて蘇生するケースは極めて稀で、そもそも想定されていなくて……!」
明石「多分……霞ちゃんが私達のことを思い出すことは……」
提督「なんでだよ……! せっかく生きて帰ってきたってのに、どうして……!」
提督「……畜生!!」
霞のレベルが99から1になりました
霞のケッコン可能状態が解除されました
霞が『ケッコン間近』から『赤の他人』になりました
――――――――――
鎮守府・厨房
長10㎝砲ちゃん「……遅いな、提督は」
春雨「司令官、どうしちゃったんだろ……」
秋月「突然私達を呼んで『手伝え』とだけ……一体なにがあったんでしょうか」
長10㎝砲ちゃん「……しかし、あの空爆で宿舎と食堂が焼けなかったのは不幸中の幸いと言うべきか」
長10㎝砲ちゃん「自分の料理でお前達が喜んでいるのを見るのは、あの男の生き甲斐だろうからな……」
秋月「長10㎝砲ちゃん……」ギュッ
ガチャッ
春雨「あっ、司令官!」
提督「悪い、待たせた……」ツカツカ
霞「厨房……? なによ、こんなところに連れてきて」
秋月「霞さん! 目を覚ましたんですね!」
春雨「よかったぁ……すっごく心配してたんだよ」
霞「……? あんた達も、私の?」
春雨「え? ……どうしたの、霞ちゃん。元気ないけど……」
長10㎝砲ちゃん「流石に病み上がりで、本調子ではないかな?」ピョコッ
霞「きゃあっ! 茶筒が喋った!?」
秋月「え……ち、長10㎝砲ちゃんですよ? どうしたんですか、霞さん……?」
提督「……お前ら、手ぇ洗え。今から調理に移る」バサッ
霞「なんで軍服の下にコックコートを着てるのよ。あんた、提督じゃなかったの?」
提督「……そういうもんなんだよ。ま、その辺に座って見てろ」
秋月「司令! 霞さんはどうしたんですか!?」
春雨「司令官、どうして? 霞ちゃん、まるで私達のことを忘れちゃったような……」
提督「黙れ! いいから手伝えっつってんだよ!」
秋月「! 司令……!?」
春雨「司令官……?」
長10㎝砲ちゃん(……)
提督「……今から作るのは苺のミルフィーユだ」
提督「ミルフィーユってのはフランスの菓子で、少なくとも19世紀には存在してた歴史のある菓子だ」
提督「フランス語でmilleは「千」、feulleは「葉」の意味で、千枚の葉っぱとかいう意味になる」
提督「現代では、2~3枚のパイ生地にクリームを挟んで重ねるのがポピュラーだな」
提督「まずはパイ生地を作っていくぞ。秋月、そっちのボウルだ」
秋月「は、はい! この強力粉と薄力粉の入ったボウルですね」
提督「それに溶かしバターをゆっくりと流し入れて、馴染むまでかき混ぜる」
秋月「了解です」サッサッ
提督「さらに食塩と水と酢を混ぜたものを少しずつ加えながら、全体が均一になるまで混ぜる」
提督「混ぜ終わったら生地をひとかたまりにしてラップで包み、冷蔵庫で2~3時間寝かせておく」
提督「この間にクレーム・パティシエールを作っておくぞ」
提督「クレーム・パティシエールはカスタードクリームのことで、『菓子屋のクリーム』って意味だ」
提督「フランス菓子職人の間では基本にして究極と言われるほど重要なクリームで」
提督「材料や配合ひとつとっても千差万別の個性があり、菓子職人の名刺代わりになるくらいだ」
春雨「す、すごいんですね……カスタードクリームって」
提督「春雨、鍋を頼む。まず小鍋に牛乳、鞘からこそげ取ったバニラビーンズと取った後の鞘を入れる」
春雨「これを沸騰直前くらいまで温めるんですね」カチッ ボォォ
提督「大事なのはごく弱火でじっくり温めること。沸騰させると風味が飛んじまって台無しになる」
提督「ギリギリの火加減でゆっくりじっくりと熱するのがコツだ。気をつけろよ」
春雨「はい!」
提督「その間にボウルに砂糖と卵黄を入れてよくかき混ぜるんだが……俺はこれを使う」ドン
長10㎝砲ちゃん「ん……? それは甜菜糖か?」
提督「ああ。甜菜糖と卵黄が空気を含んでよく馴染んできたら、薄力粉をふるいにかけながら少しずつ入れる」
提督「ここで小麦粉を一気に入れて雑に混ぜるとダマになるから、少しずつ入れて慎重にやるんだ」ガシャガシャ
提督「そして甜菜糖・卵黄・小麦粉が完全に混ざったら……春雨! そっちはどうだ」
春雨「はい、大丈夫です! いい感じの温度ですよ」
提督「よし。温めておいたバニラビーンズ入りの牛乳から鞘を取り除いて……」サッ
提督「漉し器で漉しながら3~4回に分けて加え、全体が均一になるように混ぜて別の小鍋に移す」
春雨「こっちの小鍋も中火くらいの火にかけて、泡立て器で底をこそぐように絶えずかき混ぜて」ヨイショ
提督「クリームを炊いていると、次第にもったりした重い手応えになってくる」
提督「そこからさらに炊き上げると手応えが弱まってなめらかになる。その時に弱火にしろ」
提督「なめらかに炊き上げたクリームにバターを加えて、溶かして混ぜ合わせて」
提督「火から下ろして、ラップを敷いたバットに流し入れ、表面にもラップをぴったりかける」
提督「そしたら上下からアイスノンを当てて急速に冷やし、粗熱が取れたら冷蔵庫でよく冷やす」
提督「……パイ生地の方も一段落したようだし、一緒に冷蔵庫に入れるぞ」
提督「お前ら、一旦部屋で休憩してていいぞ。どうせ向こう何時間かは暇だしな」
霞「……ねえ。お菓子作りなんて見せて何がしたいの? 手持ち無沙汰だったんだけど」
提督「うるせぇ。次は駆逐艦の宿舎だ、ついてこい」
霞「提督だからって偉そうにしないでくれる?」イラッ
提督「……」キッ
霞「なによ、逆ギレ? ホント感じ悪いわね、あんた」
提督「いや……いい。なんでもねえよ」
秋月「あの……司令。霞さんのことですけど……」コソッ
春雨「霞ちゃんに何かあったんですか?」コソッ
秋月「明らかに様子がおかしいですし、喧嘩をしたというわけでもなさそうで……」
提督「気にすんな。詳しいことは後で話す」
春雨「でも」
提督「いいから……秋月、厨房の鍵閉めといてくれ」チャリッ
秋月「あ、は、はい……」
提督「行くぞ、霞」
霞「はいはい。行けばいいんでしょ行けば」
ガチャッ バタン
秋月「司令……霞さん……」
秋月「どういうことだろう……ねえ長10㎝砲ちゃん、どう思う?」
長10㎝砲ちゃん「いや……私にはわからないな。彼らがどうしてしまったのか」
春雨「司令官と霞ちゃん、あんなに仲良しだったのに……」
長10㎝砲ちゃん「……」
長10㎝砲ちゃん(……キルスイッチが発動したのか。轟沈したあの時に……)
長10㎝砲ちゃん(私とて秋月の自立型艤装。自分に内蔵された機能のことくらいはわかる)
長10㎝砲ちゃん(しかし、なんと残酷なことだろう)
長10㎝砲ちゃん(提督も、そして記憶の無い霞も、今は耐えがたく孤独なはず……)
長10㎝砲ちゃん(孤独とは……周りに多くの他人がいてなお、独りであるということなのだ)
僕からは以上
コンマ00とかのバッドエンドならワンチャン皆殺しエンドまであったかもなぁ
ノーマルエンドって事はこれで終わりなのかそれともこのまま継続してSS続けるの?
>>943
一応エンディングを迎えたということで料理人提督のストーリーは終わりになります
多分再安価から次スレに移行して新たな提督のSSを書く感じになるかと思います
――――――――――
3時間後
鎮守府・厨房前
霞「……ちょっと、いい加減にしてくれるかしら?」イライラ
提督「何がだよ」
霞「私を連れ回して何がしたいわけ? 言っとくけど、こんな施設全然見覚えなんてないわよ」
提督「病室のベッドでくたばってるよりは健康的だろ」
霞「だいたい、会う人会う人みんな変な顔して……本当にみんな私の知り合いだったの?」
霞「艦娘とか、深海棲艦とか……信じられないわよ。私が軍艦だったなんて」
提督「駆逐艦は軍艦じゃないらしいけどな」
霞「そんなことはどうでもいいのよ! 何もかも身に覚えのないことばっかり。薄気味悪いったら……」
提督(……ダメだった、か)
提督(厨房、食堂、霞の部屋、執務室……あちこち連れて行ってみたが、記憶が戻る気配すらねえ)
提督(艦娘や鎮守府に関することはすっかり忘れてやがる……)
提督(……霞はここで建造された艦だから、つまり何もかもってことだが)
提督(艤装も鉄クズになって海の底……艦娘としちゃ再起不能もいいところ)
提督(だからって、今の霞は人間として生きていけるのか?)
提督(自分が何者かもわからない、今の霞に)
提督(……地獄の淵から生きて帰ってもコレかよ。艦娘ってやつは……)
提督「ん……?」
霞「なに? どうしたの」
提督「いや、厨房の鍵が開いて……」
ガチャッ
秋月「あっ、司令!」
春雨「司令官、お待ちしてました」
提督「……なんだよお前ら、待ってたのか?」
長10㎝砲ちゃん「さっきの菓子作りの続きをするのだろう? 少し前から待っていたのだ」
提督「お前に手伝えることはねーけどな、茶筒」
提督「よし、じゃあ再開だ。秋月、寝かせておいたパイ生地と、そこに置いといた無塩バターを取ってくれ」
秋月「はい! これですね」サッ
提督「まず寝かせた生地を、この無塩バターが包める大きさになるまで十字に伸ばす」グッグッ
提督「そして常温に戻した無塩バターを伸ばした生地の真ん中に乗せ、均等な厚さになるように生地を重ねる」
提督「空気が入らないように気をつけながら、合わせ目をしっかり閉じる。必要に応じて打ち粉しろよ」
提督「で、この生地をラップで包んでさらに冷蔵庫で2~3時間寝かせる」
春雨「また2時間寝かせるんですか?」
提督「言っておくが、パイ生地作るのはえらく時間がかかるからな?」
提督「さて、ここから一気に巻いていくぞ」
霞「……」
長10㎝砲ちゃん「退屈そうだな」ピョコッ
霞「ホント退屈。ていうか手持ち無沙汰ね」
霞「あいつ、こんなの私に見せて何がしたいのかしら……私に何を思い出させたいの?」
霞「私も……こうやって料理とかしてたのかしら……」
長10㎝砲ちゃん「そうだな……君もかつては彼と一緒に厨房に立っていたものだ」
長10㎝砲ちゃん「彼はこの鎮守府の艦娘達のために腕をふるっていた。君もその手伝いをしていたのさ」
霞「嘘。提督のやる仕事じゃないでしょ、そんなの」
長10㎝砲ちゃん「そうかもしれん。だが事実だ」
霞「あいつ本当に軍人なの? 全然それっぽくないんだけど」
長10㎝砲ちゃん「少なくとも今は軍人さ。昔は料理人だったそうだがね」
霞「ふーん……なるほど、軍人に見えないわけよね……」
~2時間後~
提督「寝かせたパイ生地を冷蔵庫から出して室温に戻したら、麺棒で上から押さえる」
提督「この時、バターが中からはみ出さないように気をつけて力加減をしろよ」
秋月「折り込み用のバターが溶けてしまわないように、できるだけ手で触らないように……」グッグッ
提督「かつ、手早くだ。冬場でものんびりしてたらどんどん生地は柔らかくなるぞ」
提督「バターが出ないよう注意しながら均等な薄さに伸ばしたら、三つ折りにして再び麺棒で押す」
提督「さっきと同じくらいに伸ばしたら今度は四つ折りにして、さらに伸ばす」
提督「伸ばした生地をもう2時間ほど冷蔵庫で寝かせたら、またさっきの繰り返しだ」
~2時間後~
秋月「さっきと同じく、寝かせた生地をまた常温に戻して、折り込んで伸ばしていくんですね」
提督「そうだ。それが終わったらまた2時間冷蔵庫で寝かせる」
~さらに2時間後~
提督「よし、ここからが大事だぞ。生地を常温に戻し、さっきと同様に麺棒で上から押さえる」
提督「均等な薄さになったら三つ折りにして再び麺棒で押すところまでは同じだが、ここからだ」
提督「生地を3mmくらいの厚さに伸ばして、1.5mm程度の間隔で均等にフォークを刺して穴を開ける」
春雨「あ、知ってます! ピケっていうんですよね!」
提督「よく知ってるな。パイ生地に火を通すと、バターが溶けて空気が入り込んで膨らむわけだが」
提督「この膨らみ具合は均一にはならない。部分的に膨らみすぎたり、火の通り具合にムラが出たりする」
提督「それを避けるために細かい空気穴を開けるのを『ピケする』っていうんだ」
提督「それから、200℃に余熱したオーブンで、ピケしたパイ生地を薄い焼き色がつくまで焼く」バタン
提督「いい具合になったら一旦オーブンから取り出して、パイ生地の上に全体的に粉糖を振りかける」ササーッ
提督「パイ生地の表面にかけた砂糖が溶けて焦げることで薄いキャラメルになり、艶が出る」
長10㎝砲ちゃん「いわゆるキャラメリゼだな」
秋月「フランス語は難しいですね……」
提督「そして粉糖をかけた生地をオーブンに戻し、香ばしいキツネ色になるまで焼く」
提督「焼き上がったらオーブンから取り出して粗熱を取っておき……」
提督「生地の端っこを切り落として、適当な大きさに切り揃える」サクッサクッ
提督「そろそろ仕上げだ。春雨、カスタードクリームと生クリームを出してくれ」
春雨「はい! 生クリームはホイップしておくんですよね」カシャカシャ
提督「ラップを剥がして、カスタードクリームをボウルに移す」
提督「この時、程よく炊いたカスタードはラップからペロッと綺麗に剥がれるんだ」ペロンッ
春雨「あっ、本当です! すごい!」
提督「炊き方が足りないとこうはならない。カスタードをゴムべらでよく練り、なめらかにしていくぞ」ネリネリ
提督「そしてさらに、このカスタードクリームにホイップした生クリームを加えて混ぜる」マゼマゼ
提督「こうするとカスタードクリームの旨味をそのままに口当たりが軽くなる。まあ好みの問題だな」
秋月「甜菜糖を使ったカスタードは色が濃かったですが、生クリームと合わせるともうわかりませんね」
提督「じゃあいよいよ組み立て作業だ」
提督「カスタードクリームを絞り袋に入れ、底になるパイ生地をキャラメリゼした面を上にして置く」
提督「両端に一本ずつカスタードを絞り出して、中央部分にはその半分程度の厚さで平らに絞り出す」
提督「真ん中の平らな部分に、輪切りにスライスした苺を並べて、その上にまたカスタードを絞り出す」
提督「ちゃんと全体が同じ高さになるように気をつけて、上にもう一枚パイ生地を乗せて」
提督「またさっきと同様に苺とカスタードを並べて、その上に天井のパイ生地を乗せる」
提督「まな板とかで上から軽く押さえて、はみ出たクリームはバターナイフで綺麗にならして形を整える」
提督「そして上のパイに別の絞り袋に入れた生クリームを絞り、苺を飾って……」
春雨「ついに完成です!」
秋月「やりましたね、司令!」
提督「ミルフィーユを作るにあたって一番時間と手間がかかるのがパイ生地作りだが」
提督「家庭で作る時は、まあ冷凍パイシートを使うのが楽だろうな。ピケすら既にやってあったりするぞ」
秋月「では、崩れないように慎重に切り分けて……」サクサクッ
春雨「あ、そうだ。人数分のお皿とフォークを用意しなきゃっ」
提督「じゃあ適当に紅茶でも淹れてやる。おい霞、お前もこっちに来い」
霞「いいの? ……私、見てただけなんだけど」
提督「ゴチャゴチャ抜かすな。お前に食わせるために作ったんだよ」
霞「私に?」
提督「ああ……約束だからな」ボソッ
秋月・春雨『いただきます!』
パクッ
秋月「このバターの香りが広がるサクサクのパイ生地に……」
春雨「あっさりして控え目だけど、黒糖みたいに趣のある香りのカスタードクリーム。すごく美味しいです!」
長10㎝砲ちゃん「甜菜糖を使うとそこまで違うものか?」
秋月「うん……パイ生地の香ばしさと、トロリとしてマイルドな後味のクリームの対比が見事です」
春雨「苺の甘酸っぱさも引き立って、すごく奥行きのある味……」
長10㎝砲ちゃん「なるほど……サトウキビの砂糖とは明確に違いがあるのだな」
提督「ハハッ、どうだ美味いだろ? もっと食ってもいいぞ! ……ほら、お前も食え」
霞「……そうね。せっかくだし、頂くわ」パクッ
霞「……」モグモグ
提督「……どうだ?」
霞「……」コクン
霞「……ええ、美味しいわ。確かに控え目だけど、上品で印象的な味のクリームで……」
ポタッ
霞「あ……あれ……?」ポロポロ
秋月「!」
春雨「か……霞ちゃん?」
提督「霞……?」
霞「な、なんで……? こんなの、食べたことないはずなのに」ポロポロ
霞「どうして? この味が無性に懐かしくて……」グシグシ
霞「胸に、穴が、開いたみたいな……」グスッ
霞「うぅ……っ!」パクッ
提督「……霞」
霞「ねえ、どうしてなの……? おかしいわよ、こんなの」モグモグ
霞「私、知らないのに……どうしてこの味を覚えてるの?」
霞「覚えてるのに……どうして、あんたとの思い出が無いの?」
霞「どうして……私の中に何も残ってないの……!?」
提督「霞っ!」
ダキッ
霞「!」
提督「もういい、すまねぇ。俺、無理に思い出させようと……」ギュッ
霞「うぅっ……!」グスグス
春雨「司令官……」
秋月「司令、まさか霞さんは記憶を?」
提督「……ああ。沈んだ時に、何もかも忘れちまったらしい」
春雨「そんな……!」
秋月「司令……秋月のせいです! 霞さんは秋月を狙った敵から……!」
提督「そんなこたぁどうでもいいんだよ!」
秋月「……っ」ビクッ
提督「確かに霞は俺達のことを忘れちまった……でも、ひとつ覚えてたことがあったじゃねぇか」
提督「……なあ、霞。その苺のミルフィーユは俺がよくお前に作ってやったもんなんだぞ?」
霞「これを……あんたが……?」
提督「ああ。お前にとっちゃまるで身に覚えがないかもしれねぇけど」
提督「その味は覚えてただろ? ……当たり前だ。人間、美味いもんのことは忘れねぇもんだ」
霞「……うん」
提督「それでいいんだ。それだけが、俺にとって最後の希望だった」
提督「そして……その最後の希望が繋がった」
霞「希望……?」
提督「霞……頼む。これからも俺と一緒にいてくれ」
提督「俺はこれからもずっと、お前に美味いもん食わせてやる」
提督「たとえ俺のことを忘れてても、艦娘として戦えなくても……」
提督「きっとお前は、俺の料理を覚えてるはずだ。俺達との思い出は消えてなんかいないはずだ」
提督「何年かかったって、お前の記憶を取り戻してやる」
提督「だから……思い出すまで、俺と一緒にいてくれ」
提督「俺は……お前にそばにいて欲しいんだ……」
霞「……ホント、強引ね。提督だからって偉そうに」
提督「ああ。そういう奴だよ、俺は」
霞「……私も」
提督「ん?」
霞「私も……あんたと一緒がいい」
霞「このミルフィーユを食べたら……すごく懐かしくて、すごく切なくて」
霞「すごく……優しい気持ちになったの」
霞「全然覚えてないし、わけわかんないけど……この気持ちはきっと、あんただけのものだから」
霞「……だから、ね」
霞「ついていってあげるわよ……司令官」ギュッ
――それから二ヶ月後。「ブラック・コブラ」隊は解散となり、
所属していた艦娘達はそれぞれ新たな配属先へと異動していった。
提督はその前職経験と「ブラック・コブラ」隊での実績を評価され
参謀兼コックとして呉、佐世保、舞鶴と様々な鎮守府を転々としたが、
終戦を目前にして退役。
霞は一度轟沈したことで戦闘能力を失っていたが、提督の補佐官として『艦娘』であり続け、
提督と共に退役。提督が身元保証人となり、共に暮らし始めた。
戦後の軍諜報部の調査によれば、現在、二人はある街でレストランを営んでいるという。
大和・武蔵は共に横須賀鎮守府に召還され、
後の深海棲艦との最終決戦においては連合艦隊を率いて戦った。
戦後、大和は軍に残ったが、武蔵は退役し行方不明となった。
……武蔵が『拓郎』と呼んで可愛がっていた熊のぬいぐるみと共に。
若葉は「ブラック・コブラ」隊解散が決定してからも最後まで残った一隻だったが、
解散後はその練度の高さを評価され横須賀鎮守府に配属となった。
その後、中部海域攻略作戦参加中に重傷を負い、地上にて終戦を迎えた。
戦後は退役し、艦娘社会参画プログラムに従いとある高校に編入となった。
天龍もまた「ブラック・コブラ」隊の最後を見届けた一隻だった。
解散後は妹の龍田の所属しているリンガ泊地に異動し、遠征部隊の一員となる。
終戦直後、深海棲艦の残党のテロに巻き込まれ行方不明となるが、
一説には元艦娘を集めた民間軍事会社に入隊するための偽装であったとも言われている。
春雨は「ブラック・コブラ」隊の最後を見届けた後、軍を脱走。
捜索隊が結成されるが、彼女を見つけることができないまま終戦を迎える。
戦後の彼女の行方を知る者はいないが、かつて第二次渾作戦が展開された
南西諸島にて、彼女によく似た少女を見たという目撃情報がある。
秋月は比較的早い時期から横須賀鎮守府への召還命令を受けていた。
霞の記憶喪失の遠因となったことを悔やんでいたが、長10㎝砲ちゃんの励ましで奮起、
連合艦隊所属の防空駆逐艦として最終決戦に参加。
戦後は軍に残り、教導団にて自立型艤装の研究を行った。
赤城・加賀は横須賀鎮守府に召還され、それぞれ違う部署に異動となった。
加賀は古巣である教導団に戻り、後進の育成に励んだ。
赤城は諜報部に配属された。彼女は提督の監視役だったのだ。
戦後、加賀は退役。一説によると行方知れずの提督を探しに行ったとか……。
川内・神通・那珂は、それぞれ別の鎮守府に異動。
川内は大湊警備府の水雷戦隊旗艦、神通はラバウル泊地の教官、
那珂はタウイタウイ泊地の遠征艦隊旗艦として迎え入れられた。
戦後、神通と那珂は軍に残り、川内は退役して数年後に軍に再志願している。
――――――――――
5年後
レストラン『BLUME』
客「御馳走様! マスター、また来るよ」
提督「おう。いつでも来な!」
ガチャッ パタン
霞「……そろそろ店じまいね。明日の仕込みとか大丈夫?」
提督「問題ねえよ。食器下げてくれ」
霞「はいはい」カチャカチャ
提督「……なあ、霞」トントン
霞「なに? 司令官」クイッ ジャー
提督「それだよそれ。いつまで俺のこと司令官呼びしてるつもりだ?」トントン
霞「……だって、これが一番しっくりくるのよ。名前で呼んでも違和感あったし」カチャカチャ
提督「だからって、軍を辞めてもう何年も経つんだぜ?」
提督「……そろそろ、新しい呼び方を考える時期だと思うんだよな。俺は」
霞「はあ? 何よそれ」
提督「あー……お前、今朝のニュース見たか?」
霞「ニュースって……見てないけど」
提督「終戦からこっち、ずっと検討されてた法案が成立したんだとよ」
霞「どんな法律?」
提督「……『艦娘』と呼ばれる人型兵器にも、人間と同等の権利を与えるってやつ」
霞「そうなの? ……助かるわね。やっぱり、一緒に暮らしててその辺りの問題もあったし」
提督「関連する法律も色々変わるし、これからゴタゴタするかもしれねぇけど」
提督「……これ渡すのは、今しかねぇと思ってな」スッ
コトッ
霞「! これって」
提督「……あー、なんだ、霞。この数年間、色々あったな」
提督「あちこちの鎮守府で色々やって、軍を辞めて一緒に暮らし始めて」
提督「提督だった頃の給料はたいて店を持って……でも、お前の記憶は戻らなかった」
霞「……いいのよ、もう」ギュッ
霞「司令官は昔と同じか、それ以上に私を幸せにしてくれたわ」
霞「感謝してる。司令官と一緒にいてよかった」
提督「……でも、ケジメってやつは必要だろ? だからさ、霞」
提督「俺と……結婚してくれ。ずっと、一生、死ぬまで一緒にいてくれ」
霞「……はい!」
チュッ
――艦娘と、強い絆を結びました。
最終好感度ランキング
01.霞(126)
02.若葉(100)
03.阿武隈(92)
04.加賀(91)
05.武蔵(82)
06.春雨(83)
07.曙(77)
08.伊58(76)
09.鬼怒※(71)
10.響(70)
11.秋月(63)
12.川内(54)
13.大和(49)
14.綾波(45)
15.天龍(40)
16.卯月(37)
17.那珂(29)
18.神通・山城(27)
20.大鳳(23)
21.初霜(21)
22.赤城、満潮(18)
24.初春(15)
これにて終了です
思ったより重いエンディングになりましたがまあそれはそれです
反省点も多かったですが、次の提督はもっとうまくやってくれるでしょう
というわけで次スレ建造とかHTML化依頼とかやってきます
またお会いしましょう
ビターエンド……かねえ
面白かったよ、次も期待
>>994
二人は幸せなキスをして終了したけど
艦娘としては死んだも同然だし結局記憶は戻らないし……ということでここはひとつ
このSSまとめへのコメント
僕はからは以上とか気色悪い。設定厨なんか知らんがトンデモ過ぎて気色悪い
面白いね。続き期待してます~!
せめてBADかGoodエンドくらいはコンマに頼らないでもらいたいものだな
最後になってからあまり良い終わり方をしないと明かされるのは好きじゃないんだ
他の作者の方があらかじめ鬱展開注意、等を入れてくれてるようにね
最後までは十分楽しめました
とにかくお疲れ様です
いやー面白かった!またの次回作期待しております
誹謗中傷の米はスルーで