岡部「俺の右腕がこんなに可愛い訳がない」(119)


――ズゥゥゥゥゥン

岡部「っく、ぐぅぅぅ……」

岡部(リーディングシュタイナーが発動した、か。世界線変動時のこの感覚はどれだけ跳んでも慣れるものではないな)

岡部「ふぅ……さて、と」スッ

紅莉栖「あら?岡部、アンタ飲み物買いに行くんじゃなかったの?」

岡部「む、助手か……」

紅莉栖「だから助手ゆーなっての! で、どうしたのよ? さっき私たちの分も纏めて飲み物頼んだじゃない」

岡部(たち、と言うことは少なくとも俺と紅莉栖、それに後一人分が必要なわけだな)

岡部「なに、お前たちの飲み物はなんだったかと思ってな」チラッ

岡部(開発室のカーテンが閉じている、って事はおおかた残る一人はダルか?つまりドクペ二本にダイエットコーラといったところか)


岡部「お前たちの飲み物はなんだったか、と思ってな」

岡部(まぁ、一応確認しておくに越したことはないだろう)

紅莉栖「お使いの内容すらマトモに覚えられない灰色の脳細胞(笑)」

岡部「えぇい!折角この鳳凰院凶真がラボメンの苦労を労い、飲料を与えてやろうと言うのに茶化すでないわ!!このセレセブが!!」

紅莉栖「アンタこそセレセブゆーなってーの!……まったく、私はドクペで橋田さんは小○井のミルクコーヒーよ」

岡部「ああ、了解し…た…?」

岡部「いや待て、クリスティーナよ。今なんと言った?」

紅莉栖「はぁ? だから、ドクペとミルクコーヒーだってば」

岡部「そこも掠ってはいるがちっがぁぁう!!」

紅莉栖「え、え?一体なによ?」

岡部「い、今もしかして…ダルのことを『橋田さん』と言ったのか?クリスティーナ」

紅莉栖「へ?言ったけど、それが何よ。前から私はそう呼んでるじゃない」

岡部「なん……だと」

紅莉栖「だいたい、アンタねぇ。あんな人がアンタみたいな奴と居てくれるだけでもありがたいでしょうに、こともあろうにダルなんて変なあだ名をつけて……」

岡部「」汗ダラダラ

岡部(な、なんなのだ、この紅莉栖のダルへの陶酔具合は!?も、もしや……)モンモンモン

――――――――――――――

紅莉栖『橋田さま、素敵//』ウットリ

まゆり『あのねぇ、まゆしぃ☆はダルくんにメロメロなのです♪えへへー//』テレテレ

萌郁『橋田様……抱いて……//』キャッ

鈴羽『パパ、一緒にお風呂入ろうよー』ニパー

フェイリス『ダルにゃんはフェイリスの、たった一人の大事な人なんだにゃ//』ニャフフ

るか子『は、橋田さん、あの……その……//』モジモジ


岡部「」

紅莉栖「ん?岡部、どうかしたの?顔色が悪いわよ?岡部――?」

岡部「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!いやぁぁぁぁぁいひぁぁぁぁぁぁぁぅぅぅぅ!!?」ガクガク

紅莉栖「ふぇぁ!?」ビクッ

岡部(そんな世界線、あってはならない!なかったことにしなくてはならない!!)ダッ

紅莉栖「ちょ、お、おおお、岡部ぇ!?」

岡部「と、跳べよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」ベチャ

紅莉栖「私が食べようとお湯を入れてたうどんを素手でつかんで、おもむろに耳に!!?」

岡部「あっづぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!?」

紅莉栖「お、おかべぇぇぇぇぇぇ!!!」


ギャーギャーギャーギャー

岡部「ぬぐぉぉぉぉぉぉ!!あっつ!熱いぞぉぉぉぉぉ!?」ジタバタ

??「い、一体何事だお?」シャッ

紅莉栖「あ、橋田さん!?いきなり岡部が…」

岡部「ダ、ダ……ル?」バッ

岡部(ホットパンツから伸びる脚は細くて華奢で、白と青のストライプなニーハイに包まれている)

??「オ、オカリン?耳からうどん生やしてどうしたん!?」ギョッ

岡部(引き締まった腹部は惜しげもなく晒され、可愛らしいへそが覗いている)

??「……牧瀬氏牧瀬氏、うどん生やしたまま僕を見つめて固まっちゃってるんだけど、これどんな状況なん?今北産業」

紅莉栖「そ、それが私にもわかんなくて…いきなり叫びだしたかと思ったらこんなことに……」

岡部(その上にはまゆりにも並び立つかのような双丘が、短めのタンクトップを押し上げるかのようにそそり立ち)

??「オカリンが変なのはいつもの事だとしても、今日は輪に掛けて変だお」

紅莉栖「ど、どうしよう…まさか熱中症とかじゃ」オロオロ

岡部(シャープな顎に小ぶりで愛らしい唇、スッと芯の通った鼻の左右には少し眠たげなたれ目がこちらを見つめていた)


岡部「」

紅莉栖「きゅ、救急車を呼ぶべきかしら?橋田さぁん」オロオロ

??「いや、呼ばなくていいと思われ。具合が悪いって言うより、僕的にはなんか呆然としてるだけの顔に見えるお」

岡部「………だ」

??「お、喋ったお。オカリーン、割とマジでどしたん?悪いものでも食べたん?」

岡部「だ、だだだだ、だ……」

??「?」キョトン

岡部「誰だ貴様ァァァァァァァァァ!!?」

??「」ビクッ

紅莉栖「」ビクッ


岡部「くっ…貴様、まさか機関の差し金か?助手が手引きしたのか!?」

紅莉栖「あー……なるほど」ハァ

??「今日はそういう設定って事ですねわかります」

岡部「なっ…設定などではない!貴様っ――」

??「はいはい、わかった、わかったお。オカリン」

岡部「ぐぬぬ……そ、それに貴様、オカリンなどと気安く呼びよって!我が名は鳳凰院凶真だ!機関の人間ならばその名も――」

??「厨二病乙!僕早くエロゲの続きしたいからもう開発室に戻るお」スチャ

岡部「っ!!?そ、その眼鏡はっ!!」

??「ん、なんぞ?」首カシゲ

岡部「ダル、ダルの眼鏡だろう!それはぁ!!マイフェイバリットライトアームを一体何処へやったのだ!!?」

紅莉栖「………はぁ?」

??「何処へやったって言われても…」
ダル「僕は目の前にいるのだぜ?」

岡部「」


岡部「ダ……ル?貴様が、俺の相棒で、頼れる右腕だった、あの……あのダルだと言うのか!?」

ダル「当たり前だろjk、この流れだと言いそうだから先に言っとくけどスーパーハカーじゃなくてスーパーハッカーな」

岡部「な、なら聞くが、貴様の名前とラボメン№、ダルというあだ名の由来に俺とダルの出会い、これらを知っているのか!?」

ダル「名前は橋田依流(はしだ いる)。ラボメン№002であだ名の由来は名前の上下の尻尾を取ってダルでそ。出会いはギャルゲ的な展開でもない限り高校の時だった筈だお」

岡部「なっ――あ、あ、あぁ……」ガクガク

紅莉栖「お、岡部?」

ダル「牧瀬氏、多分なにか叫ぶパターンだから離れるか耳塞いだ方がいいかと思われ」サッ
紅莉栖「ふぇ――」

岡部「有 り 得 ん ! !」

紅莉栖「」ビクゥッ

ダル「予想通り、って奴だお(キリッ」


岡部「俺の知ってるダルはメタボで巨漢にして、口調こそ貴様とも合致する根っからの@チャンネラーだが、それはそれは痛々しいモノだった!!」

紅莉栖「ちょ、ちょっと岡部、アンタ本当にどうしたのよ!?橋田さんにそんな酷い事言って――」

ダル「いや、牧瀬氏。止めなくていいお、ちょっとこの設定は斬新すぎて聞いてみたい」サッ

紅莉栖「で、でもっ」

岡部「それだと言うのに貴様は、体系は小柄でスレンダー!しかもあろう事かボンキュッボォンで健康的にそこそこ筋肉もついている!!」

岡部「さぁらにぃ、本物のダルとは似ても似つかぬ鈴が鳴るような綺麗な声!合致してる点なぞ、その口調と茶色の天然パーマな頭に眼鏡くらいではないかぁ!!」

岡部「大体も・し・も、もしもだ。ダルが何かしらの要因で女になったとしても、こんな姿になるわけがなかろう!!」

岡部「つまり、だ。いいか!?しかと刮目し、聞け!!」

岡部「――俺の右腕がこんなに可愛い訳がない!!!」

ダル「………」

紅莉栖「………」


岡部「……はぁ、はぁ」

岡部(ふっ、ダルの偽物め…これだけ証拠を言い立てればもはやぐぅの音もでまい!!)

ダル「………//」カァァ

岡部「どぉぉぉしたぁ?我が右腕を騙る機関の刺客、《迂闊な道化(ケアレス・クラウン)》よ!! この狂気のメァァァッドサイエンティスツッ、鳳凰院凶真の鋭い指摘に恐れをひぐぅっ!?」ガスッ

紅莉栖「あ、あ、あ…アンタねぇ!!」プルプル

岡部「ぬぅ!?な、何をするのだザ・ゾンビ!!」

紅莉栖「こ、の……一級フラグ建築士がぁぁぁぁぁぁ!!!」

岡部「ちょまっ――ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


―――
――


紅莉栖「……で?どういう事なのか、ちゃぁぁぁんと説明して貰おうか。岡部?」

岡部「………」セイザー

紅莉栖「返事ィ!!!」クワッ

岡部「は、はいぃぃぃぃぃ!!」

紅莉栖「その汚い口からクソのような言葉を垂れ流す前に、頭とお尻にサーをつけなさい!!!」

岡部「サ、サー!イエッサー!!」

紅莉栖「……よろしい」

紅莉栖「それじゃあ、まずはなんで今回のような奇行に走ったのか、簡潔に説明しなさい!」

岡部「サー! dメールによる過去改変による影響で混乱していました、サー!」

紅莉栖「はぁ?dメールですって!?」

岡部「サー!イエス、サー!」

紅莉栖「それはつまり、勝手に実験を行った、って事?」

岡部「サ、サー!イエス、サー!」

チンパンジー「ウータン君って見れば見るほど残念だよね」

チンパンジー「僕、ウータン君より劣ったら死んじゃうかも!」

チンパンジー「嘘だよウータン君!僕死んだら多くの人悲しむからね!」

チンパンジー「君は死んだら僕、涙出るよ!」

チンパンジー「嬉しくて!」

ウータン「.........」

ミスだ すまん

笑いすぎて書けねぇちくしょうwww


tv《ウータン君可愛いって言われてるよ!》ワハハハ

ダル「あは、あはははー」ボー

紅莉栖「橋田さんも現実逃避してないで、戻ってきなさい!!」ブチッ

tv《》

ダル「あぁ、ウータン……」

紅莉栖「うーぱみたいに言わないの、可愛さが桁違いでしょうが!!」

岡部「ウータン……」

紅莉栖「アンタ説教くらいながら何気に見てたの!?」

岡部「はっ……サ、サー!ノー、サー!!」

紅莉栖「嘘付けぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

岡部「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


紅莉栖「それじゃ、そろそろ建設的な話し合いをしましょうか」フゥ

岡部「……ふ、ふぁい」ボロボロ

ダル「オ、オーキードーキー」

紅莉栖「で、だ。岡部?」

岡部「サー!なんでしょう、サー!」ビシッ

紅莉栖「それ、もういいから。とりあえず前の世界線について、この世界線との違いを判っている限りでいい、話して」

岡部「サー!イエ――」

紅莉栖「軍隊式禁止ィ!!」バンッ!!

岡部「オーキードーキィィィィィ!!」


紅莉栖「まず、橋田さんが前の世界線では男だった、って話からね」

岡部「う、うむ。俺のよく知るダルはあらゆるジャンルを網羅するヲタでだな」

ダル「まぁ、その辺は大体合ってると思われ。僕普通に可愛いおにゃのこ好きだし、フヒヒー♪」

岡部「フヒヒwwwとは笑うが、フヒヒー♪なんて可愛らしく笑わないしな」

紅莉栖「無理に橋田さんの真似しようとすんな気持ち悪い」

岡部「………」orz

紅莉栖「それで体系は大柄でメタボ、だっけ?」

岡部「う、うむ。見た目の点で言えば共通点は眼鏡と髪の色、天然パーマくらいで……あと、本物は帽子を被っていたな。年中、室内外問わず」

ダル「帽子ってコレのことかお?」ヒョイ

岡部「!! ま、まさにそれだ……が」

紅莉栖「が?」

岡部「……なんで、それだけ元々のダルサイズなんだ?ブカブカじゃないか」

ダル「そこ疑問に思うの遅すぎだろ常考。僕この帽子高校時代から愛用してるお」

岡部「いや、それはあくまでこの世界線での事象であって、前の俺はお前がその帽子を被っている姿を見慣れて疑問を抱いていないのかも知れんが、他の世界線から来た俺としては初めて見る姿なのだ」

ダル「あー…なるほろ、リーディングシュナイザー?だっけ。その辺は僕自身が体験したわけじゃないから漠然としかわかんないし、忘れてたお」

     スカイクラッド
紅莉栖「《孤独の観測者》なんて如何にも厨二の岡部が思い付きそうな設定だからいまいち信用し辛いんだけどね……」

岡部「リーディング・シュタイナーだっ!そしてクリスティィィッンナ、貴様はどこまで疑い深いのだ!?」

紅莉栖「…だって、ねぇ?橋田さん」

ダル「これに関しては重度の厨二病患者なオカリンの自業自得な罠。敢えて言おう、ぷぎゃーであると」キリッ

岡部「き、さ、ま、らぁ……!!」ギリギリ

ダル「まぁ、何かしらの方法で僕達に未来から来たことを証明しないと、今のところ大きな釣り針にしか見えないわけだが」

紅莉栖「そうそう、話に乗ったが最後『釣られたクマー』って」

岡部「えっ?」

ダル「えっ?」

紅莉栖「へ?……あ゛っ」


紅莉栖「えっと、その……こ、これは」アセアセ チラッ

紅莉栖「そ、そう、橋田さんが前言ってて!!」

ダル「僕釣り仕掛けるの苦手だからやらないし、言った覚えがない件」

岡部「ポロッと@ちゃん語がでるにしても、そんなディープな物とは……迂闊だな、助ぉ手ぅぅ…いやっ!重度のネラー、クリスティィィッンナよっ!!」フゥーハハハ

紅莉栖「う、ううぅっ……うるさいうるさいうるさい!!迅速に忘れなさい!さもないとその頭解剖して、海馬に電極を差し込むわよ!!?」ブンブンブン

岡部「うぉっ!?ちょ、おま、洋書は危なっ!!」
    アブソリュート・バリア
ダル「《絶対防御の盾》だお」

岡部「おい、俺の後ろに隠れるでないわスーパーハカー!!動きにくいではおふっ!!?」ゴスッ

ダル「オ、オカリィィィィィィン(棒」


書き溜めが消し飛んで鬱に入ってましたごめんなさい生まれてきてごめんなさい充電器刺さずに寝落ちしてごめんなさい


紅莉栖「ふぅ、ふぅ……さて、話を戻しましょうか」キリッ

岡部「」チーン

ダル「何事もなかったかのようにキメ顔で仕切り直す牧瀬氏……そこに痺れる憧れるぅ!!」

紅莉栖「(釣られちゃダメよ、ワタシ)……で、岡部。次は判る限りでいい、前の世界線の橋田さんの特徴を挙げてみて」

岡部「ふむ……sernのデータベースにすら単独で潜入できる腕を持ったスーパーハカーだというのは?」

ダル「スーパーハカーじゃなくてスーパーハッカー!!」

紅莉栖「ちょ、ちょっと待って、sernってあのsern!?」

岡部「助手の言っているのがどのsernかはわからんが、恐らくそれであっている。我々はsernのデータベースにハッキングを仕掛け、奴らの孕む闇を……垣間見た」ギリッ

ダル「最後の一行で一気に設定臭くなった件」

岡部「だから、設定などではないとっ……!!!」ドクン、ドクン

岡部(ゼリーマンズレポート……ヒューマンイズデッド……)ドクン、ドクン

岡部(壁の一部となった
       ……――まゆり)ドクン…


岡部「……ぐ、ハァ、ハァッ!!」ダッ

紅莉栖「お、岡部!?」

ダル「オカリン!!?」

岡部「ぐ、ぐぐぐ……」ガチャ

岡部「……うぇ、おぇぇぇ!!」オボロロロ

紅莉栖「な、泣きながら吐いて……」

ダル「………こんなオカリン、初めて見たお」

岡部「うっ、ぐす、おぇぇぇ……」オボロロロ

紅莉栖「………」

ダル「………」



―――一蓮托生のアポステート


紅莉栖「とりあえず、私達はアンタの言い分を信じる」

ダル「ま、あんな様子見せられたら信じざるを得ないお」

岡部「お前たち……」

紅莉栖「で、アンタは具体的に今からどうする気なの?」

岡部「どうって……」

岡部(まゆりを救うためには、元の世界線へ戻る必要がある)

岡部(その為に俺は……フェイリスのdメールを取り消して、アイツから再び父を奪い)

―――《パパ、愛してるよ……》

岡部(るか子が密かに抱き続けていた想いを知りながらも、結果的に踏みにじり)

―――《岡部さん、言ってくれましたよね。男でも女でも、関係ない!って》

岡部(萌郁とmr.ブラウン……fbの屍を越えて)

―――《すまねぇな、岡部》《死に…たく…ない、よ》

岡部(幼き小動物、綯の心に傷を残し……それを、なかったことにした)

―――《岡部倫太郎!父さんを殺したお前を、私は絶対に許さないッ!!》


岡部(未来から来たダルの娘、鈴羽の思いを……仲間との記憶をも踏みにじった)

―――《私は失敗した、失敗した失敗した失敗した失敗した失敗したっ!!》

岡部(今更、立ち止まる事なんて……)

岡部「――……え?待て、よ?」

紅莉栖「?」

ダル「なんぞ?」

岡部(鈴羽、奴はダルの娘だ。しかし、この世界線におけるダルの性別は女。この場合は、どうなる?)

岡部(アトラクタフィールドによって世界は収束する。だがダルの性別が変わったことによって起こる誤差は、僅かばかりのモノなのか?)

岡部(未来のダルの妻と成るはずだった人物は?彼女の性別が逆転しなかった場合、ダルと彼女が結婚する可能性は極めて低くなる)

岡部(それ以前にそもそも、万が一彼女と今のダルが結婚しても、女同士だ。子供なぞ作れるはずがない)

岡部(つまり……じゃあ……)

岡部「この世界線に……鈴羽は、存在しない?」


紅莉栖「な、なによ今度は?」

岡部「くっ――!!」ダッ

ダル「あ、ちょ……オカリン!?」

ガチャ バタン ダダダダダッ

岡部「はっ、はぁっ……!!」

岡部(そんな事が……そんな馬鹿な事があってたまるかっ!!!)

―――《やっほー、岡部倫太郎》
―――《バイト戦士よ、何度も言うが我が名は岡部倫太郎ではない、鳳凰院凶真だ!!まったく何度言えば……》
―――《あはは、ごめんごめん。岡部倫太郎》
―――《だーかーらー!!》
―――《だって長くて覚えらんないんだもーん》

岡部(アイツも立派なラボメンの一員だ……それが、それがっっ!!)

―――《アタシが悪いんだ。自分勝手な我が儘でこの時代に留まったばかりに》

―――《ありがとね、岡部倫太郎》

岡部(いなくなるなんて、許さんぞ!!鈴羽ァァァァァ!!)


鈴羽「あ、岡部倫太郎じゃん。トゥットゥルー」

まゆり「オカリントゥットゥルー☆」

岡部「!!?――ぬぉぉぉぉぉぉ!!!」ズザー

鈴羽「ちょ、岡部倫太郎!?大丈夫!?」

まゆり「オ、オカリンがいきなりヘッドスライディングしちゃったのです!!?」

岡部「ぬ、ぬぐぅ………」ピクピク

鈴羽「あっちゃあ、滑ったのかな?」

まゆり「オカリーン、生きてるー?」

岡部「はっ!!……バ、バイト戦士!! 貴様なぜココに!?」ガバッ

まゆり「オカリンすごーい!あれだけ派手にこけたのにケガ一つないのです☆」

鈴羽「お、さすがは岡部倫太郎、頑丈だねぇ。なんでって、いつも通りバイトだけど?」


岡部「い、いや!そういう意味ではなくてだなぁ……っ!」チラッ

まゆり「オカリン?」キョトン

岡部(くそ、まゆりがいてはタイムマシンの事について鈴羽に問いただすことができない。こいつだけには絶対に知らせるわけには――)

ダル「――ぜぇ、ぜぇ、あ、牧瀬氏!オカリンいたお!!」タッタッタ

紅莉栖「橋田さんgj!岡部ェェェ!!アンタって奴は本当にもう、行動が何から何まで突発的すぎるのよっ!!」ゼェゼェ

岡部「ダル、紅莉栖……!!」ハッ

鈴羽「牧瀬紅莉栖と、か…じゃないや、橋田依流トゥットゥル……んぉ?」ガシッ

岡部「俺は少し鈴羽と話がある、まゆりを頼んだぞ!!!」ダッ

鈴羽「え?岡部倫太郎!?アタシバイトが――」

岡部「mr.ブラウンには俺から事情を説明する、いいから来てくれ!!」

鈴羽「えええぇぇぇぇ!?」

ダダダダダッ


まゆり「わー、オカリンと鈴羽さんあっという間に見えなくなっちゃったのです」

ダル「まさに脱兎の如くって奴だお……あー、しんどい。小岩井のミルクコーヒー飲みたい」フゥ

紅莉栖「……お、お、おぉ!」プルプル

ダル「ん?牧瀬氏?」

紅莉栖「岡部ェェェェェェェェェ!!!」キシャー

ダルまゆり「「」」ビクゥッ

―――――――――――――――――

鈴羽「それで、岡部倫太郎。いきなりラジ館なんかまで連れ込んでどうしたのさ?」

岡部「言っただろう?少し内密の話があるのだ。とりあえず屋上まで着いてくるがいい」スタスタ

鈴羽「むー……って、屋上?」

岡部「あぁ、屋上だ。ここにあるのだろう?貴様の乗ってきたタイムマシーン……」ガチャ

岡部「………が?」


屋上「」ガラーン


岡部(は?え?な、無い!?タ、タイムマッスィィンが、無いぃぃぃぃぃ!!?)

鈴羽「…………」

岡部(な、ならば鈴羽はどこから来たというのだ!?ま、まさかこの世界の鈴羽は未来から来たダルの娘などではなく、純粋な現代人?いや、しかし鈴羽が未来人だと言うのは確定した事象の筈だ、収束がどう働いてもそんな世界線が構成されるわけが――)汗ダラダラ

鈴羽「……岡部倫太郎」

岡部「な、な、な、なんだっ!?」ビクッ

岡部(どどどどど、どうするのだ!俺ぇ!?)

鈴羽「いや、タイムマシンの事を知ってるって事はもう無理してこう呼ばなくてもいいのかな」

岡部「………お?今、タイムマシン、と?」

鈴羽「うん、タイムマシン。どうして気付かれちゃったのかはわかんないけど、もう判ってるんでしょ?」

岡部(セ、セーフ!!この言い草からしてやはり鈴羽は未来人にして、あのダルの――)

鈴羽「――ねぇ、《父さん》」

岡部「えっ」


岡部「え、え?えぇ……?」

鈴羽「ん、どうしたの?《父さん》」

岡部「お、俺が父さん?お前は、鈴羽はダルの娘じゃ……え?」

鈴羽「? そうに決まってるじゃん」

岡部(ダルの娘で、俺が父さん?what?why?そ、それってつまり……)

鈴羽「私は2036年の未来から来た、父さんと母さん……橋田依流の娘だよ(ドヤァ」

岡部「は、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!?」

鈴羽「ふぇっ」ビクッ

岡部「ちょ、ちょちょ、ちょぉぉぉぉぉっと待てぃ!!鈴羽、お前はダルと阿万音由季さんの子では……!?」

鈴羽「あ、そんなとこまで知ってるんだ。流石父さん、確かに由季おばさんもある意味ではアタシのもう一人の母親だよ。だからこそ、この時代に来るにあたって阿万音って苗字を使わせてもらってるんだし」

岡部「……ダメだ、わからない事だらけでもう頭が痛い」

―――
――


岡部「それから、俺の記憶とはまったく合致しない未来を語る鈴羽をmr.ブラウンから呼び出しの電話が来るまで質問責めにし、なんとか俺は情報を纏め上げた」

岡部「どうやら、鈴羽が俺と……ダルの子だと言うのは間違いないらしい」

岡部「では、何故母親似と言っていた筈の鈴羽の母がダルなのか?」

岡部「勿論、世界線の変動で女体化したダルが鈴羽、ひいては阿万音由季氏に似た容姿になった、などという事ではない」

岡部「現実、俺からみて鈴羽とダルの容姿における共通点など髪の色くらいなのだから」

岡部「ここで絡むのが、先程鈴羽が言った『阿万音由季は私のもう一人の母親』という言葉だった」

岡部「近い将来発覚することだが……ダルと俺の間には、医学的に子供を残すことが不可能、らしい」

岡部「――先天性の障害によって、ダルの卵巣は、正常な卵子を作れないそうだ」

無駄に重たい話だな


岡部「それが発覚した事でダルは一時期凄まじく塞ぎ込むのだが、そこに一人の女性が現れる」

岡部「その人物こそが、阿万音由季。この世界線では、ダルの大親友らしい」

岡部「なんでもこの世界線のダルはコスプレイヤーでもあるそうで、今年の夏コミで出会い、意気投合するんだとか」

岡部「さて、この阿万音由季氏。彼女は失意に沈むダルの目の前に颯爽と現れ、ある書類を突きつける」

岡部「それは、その頃アメリカにて確立された医療技術についての論文だった」

岡部「その内容は、《胎外受精》。阿万音氏が卵子を提供し、体外にて俺の精子と受精、受精卵をダルの胎内にて育てる、と言うものだ」

岡部「――変則的な代理母、と言った所か。ダルは最初この案に反対していたが、最終的には受け入れた」

岡部「その結果産まれたのが……鈴羽と言うわけだ」

>>49
すまんこ

講義始まるしキリがいいんで
一旦休憩

ウィンブルドン見てたら寝落ちしたんだごめん
充電器挿さずにもしもしのメモ帳に書き溜めしてたから
寝起きで充電切れたもしもしみて絶望したんだごめん
生まれてきてごめんなさい

コミマ前まで書いてたのに……


岡部「……正直、そんなドラマのような美談が現実に、ましてや俺自身の未来に降りかかるなんて、全く持って実感が沸かないのだがな」

岡部「そもそもダルと結婚、鈴羽が…俺の子だと言うこと、この二つですら信じがたいのだから」

岡部「っと、こんな事を言っている場合ではなかった」

岡部「鈴羽に吐かせた情報から、更に重大な事実が浮かび上がってきた」

岡部「……アイツは言った、ちょっとした笑い話の中のあくまで自然な一言として」

――《父さんが母さんとくっついちゃったお陰で、牧瀬紅莉栖はすっかり嫁に行き遅れちゃってさ》
――《ラボメンで集まるとだいたい父さんがからかって、牧瀬紅莉栖はぶてちゃって》
――《それに怒った椎名まゆりが「トゥルットゥー★」って言いながら父さんを追い回すの》
――《それ見て変わってないなぁ、ってみんなで笑ってさぁ》
――《こうやって過去に跳んできて、その意味がよくわかったよ。父さん》

       _
     σ   λ
     ~~~~ 

    / ´・ω・)   <闘流ッ闘~★
 _, ‐'´  \  / `ー、_
/ ' ̄`y´ ̄`y´ ̄`レ⌒ヽ
{ 、  ノ、    |  _,,ム,_ ノl
'い ヾ`ー~'´ ̄__っ八 ノ
\ヽ、   ー / ー  〉
  \`ヽ-‐'´ ̄`冖ー-/


>>59
ワロタ

正確には

「トゥットゥルー♪」 だよ

支援


岡部「この言葉が示す、未来にて確定された事象は三つある」

岡部「一つ、助手……いや、紅莉栖の生存」

岡部「二つ、まゆりの生存」

岡部「そして最後の一つが、この世界線の未来においてはsernによるディストピアの構成も、大惨事世界大戦も発生しないということ」

岡部「……つまり、全ては終わったのだ。俺の戦いも、まゆりの凄惨な死も、全て」

岡部「………ッ!!!」グッ

岡部「勝利のときは来た! この俺はあらゆる陰謀にも屈せず、己の信念を貫き、ついに最終聖戦を戦い抜いたのだ! この勝利のため、我が手足となって戦ってくれた仲間たちに感謝を! 訪れたのは、俺が望んだ世界なり! すべては運命石の扉の選択である! エル・プサイ・コングルゥ……世界は、再構成され――」

紅莉栖「……お・か・べ?」ポン

岡部「えっ」

>>60
分かりにくくてごめん
トゥルットゥーは北斗ネタで>>59がaa貼ってくれてる通りまっちょしいイメージだったんだ
正しくはトゥットゥルーなのは>>36見てもらえば判ると思うが知ってた


岡部「じょ、じょじょじょ、助手ぅ!?な、なんだいきなり!いつからいたっ!!?」ビクゥッ

岡部(まさか、全て聞かれて……)

紅莉栖「ラグナロックの辺りから、かしら?まぁ大檜山ビルの屋上で叫んでたら、嫌でも気付くわよ。ね、岡部ぇ?」ニコッ

岡部(ッ――殺気!!?)バッ

紅莉栖「アンタって奴はぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」ブゥン

岡部「ふぉぅ!?そ、それはっ!!」

紅莉栖「あら、避けられちゃったかぁ……コレ?私が作った未来ガジェット《バールのようなもの》だよ、素敵でしょ?お・か・べ」クスクス

岡部「未来的でもガジェットでもなくただの鈍器ではないか!?俺を殺す気か貴様はっ!!」

紅莉栖「だって岡部、話の途中でいきなりいなくなっちゃうじゃない?だから」ブンッ

岡部「へぁぁぁっ!?」サッ カシャン

岡部(!? しまった……!!柵際に追い詰められ――)

紅莉栖「……ゆっくりお話出来るようにしようと思って、ねッッッ!!!」ブゥンッ

岡部「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


岡部(紅莉栖が振りかぶった《バールのようなもの》が、正確に俺の側頭部目掛けて振り下ろされる)

岡部(その刹那の時間に俺の脳内を駆けめぐったのは、やはりあの地獄の三週間の事だった)

岡部(まゆりを助け、紅莉栖を助け、やっと乗り切ったかと思えば、最後の最後にコレ、か)

岡部(……俺はやはり、最後の最後で詰めが甘いと言うことなのだろう)

岡部(もし叶うのならば、あのときの俺に言ってやりたい……迂闊なことをするなと、軽率なことをするなと、もっとよく考えろと、紅莉栖をヤンデレ化させるな、と)

岡部(……まぁそれも、俺自身が窮地に陥ったこの状況ではもはや、遅すぎる後悔なのだが)

岡部(エル・プサイ・コングルゥ――)

――ガッ!!

bad end


岡部「うっ……ぐ……」ドサッ

岡部「………」

岡部「………あれ?い、痛くない。死んで、ない」キョトン

紅莉栖「当たり前でしょ。なにを芝居臭く吹っ飛んでるのよ、アンタは……」ハァ

岡部「これは……バールが折れてるだと!?ま、まさか俺の秘められた防御術式が今ここでっ――」ハッ

紅莉栖「妄想厨二設定乙、よく見てみなさいよソレ」

岡部「ん……この手触り、独特なイボイボ感、まさか……発泡スチロール?」

紅莉栖「exactly. 制作時間20分、原材料は橋田さんのプラモ用の塗装具と発泡スチロール。だから言ったでしょ?《バールのようなもの》だ、って」

岡部「ぐ、ぐぬぬ……一杯食わせよったな、天才hentai処女め!!」

紅莉栖「……本物のバールで殴られたいならお望み通りにするけど?」

岡部「申し訳ございませんでした、牧瀬紅莉栖様」

紅莉栖「ん、よろしい」ニコッ

今更ですまんが>>44に地味なミスがあったから訂正

鈴羽「うん、タイムマシン。どうして気付かれちゃったのかはわかんないけど、もう判ってるんでしょ?」 誤

鈴羽「うん、タイムマシン。光化学迷彩シートかけてたのに、どうして気付かれちゃったのかはわかんないけど、もう判ってるんでしょ?」 正

脳内補完頼みま

そしてちと用事挟むのでいったん休憩

紅莉栖「それで、結局どうなったの?」

岡部「あ、えぇっと、それはだな……」

岡部(――もう紅莉栖に、全てを話してもいいのか?)

岡部「………」

紅莉栖「岡部?」

岡部「ふ、ふふっ……」フルフル

紅莉栖「?」

岡部(なにを言っている、駄目だ駄目だッ!!駄目に決まっているだろう!!)

岡部「フゥーハハハハハッ!!!」ブワサァッ

岡部(妄想が得意なこのhentai天才処女の事だ、俺の話を信じたら《別の世界線の自分》を自身に重ね合わせて、いらない悲しみを負うに決まっている)

岡部(お前は頭が良すぎるんだよ、紅莉栖。数々の世界線において俺を支えてくれたお前に、そんな思いをさせられるものか)

岡部「助ぉ手よぉ、俺の扱う案件は実にその九割九部九厘が極秘事項である!そうおいそれと話すわけにはいかんなぁ」

岡部(それに、他の世界線のことで、《なかったこと》にしたことで悩むのは、悲しむのは……俺だけでいい)ジワァ

岡部(それが好き勝手かつ不用意に事象をねじ曲げ続けた、この俺――孤独の観測者、独善的なマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真に課せられた罰であり、宿命なのだ)

岡部「だから!だからこそ、敢えて言おう!! だが断る……と!フゥーハハハッ!!」


紅莉栖「……私は鳳凰院凶真にじゃなく、アンタ自身に聞いたのよ、岡部」

岡部「岡部倫太郎、それは確かにこの俺の世を忍ぶ仮の名前だg――」

紅莉栖「――岡部っ!!」

岡部「ぬ……」

紅莉栖「誤魔化さないで。もう、無理しなくていい。話せないなら、無理には聞かないから……だからっ」

岡部「………っ」

紅莉栖「そんな、泣きそうな顔しないで。悲しそうに笑わないで、その寂しそうな目、やめなさいよ……バカ」グスッ

岡部「………」

紅莉栖「こ、こっち見んな!!バカ岡部、hentai、厨二病!!」グスッ…グスッ…

岡部「クリスティーナ……」ギュッ

紅莉栖「……ティーナ禁止」

岡部「……すまなかった」

紅莉栖「わ、私は謝罪なんて求めてないわよ。言うべきは、他にあるでしょーが」

岡部「そう、だな……ありがとう、紅莉栖」

紅莉栖「うん……」

sage忘れた死にたい

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