ことり「あなたのうしろの歩き方」 (22)
・アニメとSIDの設定をごちゃ混ぜにしています
・ことりちゃんお誕生日おめでとうございます的な短編
海未「ことり、11日の放課後は空いていますか?」
ことり「うんっ、なんにもないよ。どこか寄り道するの?」
海未「ええ、ふたりで出かけましょう」
ことり「あれっ?穂乃果ちゃんは?」
海未「穂乃果には内緒です。つまり、その――デートのお誘い、なのですが」
ことり「でーとっ!」ガタッ
ことり「でーとって…デートっ?」キラキラ
海未「は、はい、あの……デート、です」
ことり「へぇ、そっかぁ…ふふっ、そうなんだぁ……」テレテレ
海未「……」
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―――
――
―
海未「私はことりに衣装の採寸を頼まれていますから、今日は寄ってから帰りますね」
穂乃果「りょうかーい。ふたりとも、また明日ね!」タタタ
穂乃果「おっ…と、ことりちゃーん!明日楽しみにしててねー!」クルッ
ことり「…はぁい、またあした!」
海未「……明日はサプライズのつもりだったんですが」
ことり「あはは、まあ毎年の事だし…ね」
海未「まったく…」
ことり「でも、ちょっとドキドキしちゃった。穂乃果ちゃんに悪いことしたかな?」
海未「いつも3人ですし、たまにはいいでしょう。――さて、どこに行きましょうか?」
ことり「…エスコートしてくれないの?」
海未「…私が先導するんですか?」
ことり「デートって、聞いたんだけどなぁ…」
海未「すみません、勝手が分からなくて――あの、でも、ことりが行きたいところでいいんですよ」
ことり「海未ちゃん、なんで『デート』なの?」
海未「……いいじゃないですか、明日は3人で遊びに行くんですし、前日くらい…ふたりきりでも」
ことり「…絵里ちゃん、辺りかな」ボソ
海未「えっ!?」ビクッ
ことり「ううん、なんでもないの。じゃあ秋葉原の方に行こっ」
海未「え…ええ、そうしましょうか」
―――
――
―
海未「ところで…ことり。以前から疑問だったのですが」
ことり「なぁに?」
海未「何故私とふたりの時は、私の少し後ろを歩くのですか?」
ことり「…うーん、海未ちゃんだけって訳でもないんだけど……癖みたいなものかなぁ?」
海未「癖…ですか」
ことり「うん。それに海未ちゃんの時はね、守ってもらってるーっ!…って感じがするから」
海未「ふふっ、デートというより、護送ですね」
ことり「ご、護送…」
海未「? どうかしましたか?」
ことり「ううん、なんでもないの……あっ、じゃあ今日は守ってもらおうかな。海未ちゃん、手を出して」
海未「はい、どうぞ」スッ
ことり「うふふ、エスコートしてね、海未ちゃん」ギュ
海未「…ええ、お守りしましょう」
ことり「……」キュン
海未「ことり?」
ことり「海未ちゃん、今のもう一回」
海未「…い、嫌ですっ」
―――
――
―
ことり「海未ちゃん見て見て、ネコミミ!」
海未「着けませんよ」
ことり「えーっ」
海未「大体、以前もアイドルショップで買ったじゃないですか!」
ことり「『アルテミス』で買ったのはコスプレ用だもん。こっちはニットの形を工夫してあってね…」
海未「…普通のニット帽じゃないんですか?」
ことり「気になる?被ってみるっ?」
海未「被りませんよ」
ことり「絶対かわいいのに…」
ことり「うぅん、でも…今日一日……なら、これより……」ブツブツ
海未(あ、これは――)
ことり「…何か被せたいなぁ」ギラッ
海未(――逃れられないパターンでは)
―――
――
―
ことり「やーん、かわいいっ!やっぱり海未ちゃんベレー帽似合うね!」
海未(…ネコミミじゃなかっただけ良しとしましょう)
ことり「デートなんだからおしゃれしないと。今日はそれ被っててね」
海未「構いませんが――ああ、ことり、手を繋ぎ替えましょう」
ことり「どうしたの?」
海未「道が混んでいますし、車の往来も激しいですから。…歩道側に居て下さい」クイ
ことり「ぁ――は、はいっ」ススッ
海未「? ふふっ…私の口調が伝染りましたか?珍しいですね」
ことり「いや、あの――えへへ…」
海未「ことり、次はあのお店に入りましょう。…お返しです」
―――――
海未「ことり、このイヤリングなんかどうですか?」
ことり「あっ、かわいい…こっちもいいなぁ」
海未「こんなものもありますよ」
ことり「うーん…これはどっちかというと穂乃果ちゃんの方が似合いそうな……」
海未「ああ、確かに…穂乃果ならこっちも」
ことり「こういうちょっと子供っぽいのがいいよね」
海未(これ、穂乃果に買ってあげたら喜びそうですね…)
ことり(穂乃果ちゃんならこういうのもありかな…今度の衣装で再現できそうだけど……)
海未「―――はっ、ことりのアクセサリーを探しに来たんでした」
ことり「これもいいかな…ねえ海未ちゃん、これ、穂乃果ちゃんに似合うかなぁ?」
海未「ことり、帰ってきて下さい」
ことり「えっ?」
―――――
海未「厳選の末…イヤリングかブレスレットの二択ですね」
ことり「うん…イヤリングがいいかな」
海未「あら――決断が早いですね。ブレスレットはお気に召しませんでしたか」
ことり「そういう訳じゃないけど…手首だとちょっと気になっちゃうから。せっかく海未ちゃんと手繋いでるのに」
海未「…………そうですか。ではもう精算してしまいましょう」フイ
ことり「うーみちゃん、こっち向ーいてっ」
海未「…嫌です」
―――――
ことり「ありがとう、買ってもらっちゃってごめんね」
海未「構いませんよ、誕生日プレゼントは別にありますから安心して下さい」
海未「……少し休憩しましょうか。アイスでも買ってどこかに座りましょう」
ことり「…。うん」
海未「……」
ことり「……」
海未「……あの、ことり――」
ことり「ねぇ海未ちゃん、どうして今日は『デート』だったの?」
海未「…それは」
ことり「絵里ちゃんのアドバイス、だよね?」
海未「……はい」
ことり「海未ちゃんがデートなんて普通言わないもんね」
海未「デートと言えばことりなら食いつくと…」
ことり「ぶぅっ、騙されちゃった」
海未「すみません…ふたりだけで話したかったんです。断られないように念を押す必要がありました」
ことり「そんなことしなくたって、海未ちゃんのお誘いなら絶対断らないのに」
海未「それは、その――ありがとうございます」
ことり「……」ジッ
海未「……私を恥ずかしがらせて楽しむのはやめてもらえませんか」
ことり「海未ちゃんかわいいんだもん。みんなはかっこいいって言うけど、
こっちの海未ちゃんの方が魅力的だと思うな」
海未「もう、からかわないで下さい……」
ことり「それで――話って、なぁに?」
海未「…留学の話です。後悔はなかったんですか?」
ことり「うん、ないよ、全然」
海未「しかし、またとないチャンスだったんですよ」
ことり「…海未ちゃんは、ことりに留学して欲しかった?」
海未「心情的には、なにがなんでも阻止したかったんです。穂乃果の件は正直焦れました」
海未「ですが…ことりのためなら、ことりにとっていい結果になるなら、私情を押し殺してでも行かせるべきだと――」
ことり「…いい結果になんてならないよ、絶対」
ことり「ことりね、穂乃果ちゃんが空港まで止めに来てくれた時…ずっと穂乃果ちゃんと海未ちゃんのところに居ようって決めたの」
ことり「服飾の勉強はしたかったけど、ことりの居場所は絶対にここなんだって。
他の全部を捨てても、ことりはふたりと一緒にいるのが一番幸せなんだって、気付いたの」
海未「でも!あの時飛行機に乗っていれば、ことりは誰かの前を歩ける人になれたかも知れないのに――!」
ことり「…海未ちゃん」
海未「ことりには服飾の才能があります。メイドカフェでの人気だって一番なんですよ。
μ'sの活動も私や真姫よりも負担が大きいのにしっかりこなしています」
海未「それだけの素質があって、努力が出来て…私や穂乃果の後ろをついて歩くだけなんてもったいないです。
本場で勉強が出来れば、誰かの後ろについていくのではなく、誰かの前に立てるあなたに――」
ことり「…ねえ海未ちゃん、誰かの後ろって、そんなに悪くないんだよ?」
ことり「誰かの後ろにいるって事は、その人についてたくさんの事が見えるって事なの。
前にある何を見てるのかな、とか、何を気にしてるのかな、とか、…何を、怖がっているのかな、とか」
ことり「緊張してピンて伸びた背中や、怒って震えちゃう肩、とぼとぼしちゃう足運びとか…
きっと自分ひとりじゃ気付けない動きに…すぐ後ろにいることりだけが気付けるの」
ことり「その人がいつか前に進むことが怖くなって後ろを振り返ったとき、
ことりが笑いかけて、がんばれって、服を作って、かわいくしてあげて――背中を押してあげられたら、ことりも嬉しいんだ」
海未「――その誰かが、後ろにいることりに気付いてくれるとは限りません」
ことり「それでもいいの。それに…海未ちゃんや穂乃果ちゃんみたいな人が、ことりの事に気付いて手を引っ張ってくれるから」
ことり「海未ちゃん。誰に気付いてもらえなくても、感謝されなくても、ことりは平気だよ」
ことり「穂乃果ちゃんが新しいところに連れて行ってくれるから…海未ちゃんが守ってくれるから…
ことりはふたりのうしろで、ふたりの背中を押してあげることに専念できるの」
海未「…それだけの覚悟で、私たちのところに残ってくれたんですね」
ことり「ほんとはね、ちょっぴりもったいないかなって思ったこともあるんだ。
でも、服飾の勉強をして、いろんな服が作れるようになって…ことりの前に誰も居なかったら、
誰にもことりの服を着せてあげられないもん」
海未「そうですか――すみません。私は余計なことを聞きましたね」
ことり「ううん、ありがとう、海未ちゃん」
海未「次の曲の準備もありますし――これからもっと忙しくなります。その前に…確かめておきたかったんです」
海未「私がずっとあなたを守ります。あなたがどれほど私たちの力になってくれているか、穂乃果がみんなに伝えます。
ですから、ことり……ずっと私と穂乃果の側に居てください」
ことり「…うん。そのために、私はここに残ったんだよ、海未ちゃん」
海未「…暗くなってきましたね。そろそろ帰りましょうか」
ことり「うんっ。海未ちゃん、ありがとう。ことり楽しかったよ」
海未「…私もです。帽子、大切にしますね」
ことり「あ――でも、髪がちょっと乱れちゃってるみたい。直してあげるね」スッ
海未「すみません、ありがとうございます」
ことり「……」スン
海未「ことり?」
ことり「…海未ちゃんのにおい……」スンスン
海未「――――!? やっ…やめて下さい!頭、蒸れてますから――」
ことり「でも全然汗臭くないよ。いいにおいなのになぁ…」ホワン
海未「も…もう帰りますよ!行きましょう」
ことり「海未ちゃーん、こっち向いてっ」
海未「嫌です!」
ことり(――実はね、海未ちゃん)
ことり(海未ちゃんの背中を見てると、海未ちゃんがどんな顔してどんな気持ちでいるか、もうことりにはわかっちゃうんだ)
海未「ほら、ことり。手を」
ことり「うんっ」ギュ
海未「…どうしてことりが私の少し後ろを歩くのか、わかった気がします」
ことり「ことりはね、別に遠慮してる訳でも、自信がない訳でもないんだよ。今こうしていられることがことりの自信なの」
ことり「ことりがいちばん上手に、海未ちゃんのうしろを歩けるんだから――」
おしまい
おしまいです、ありがとうございました。ことりちゃんお誕生日おめでとうございます!
急ぎで書いたものなのでところどころ雑かもしれませんがあまり考えずに読んでいただけると幸いです。
このSSまとめへのコメント
強引に穂乃果排除して即退場させるなら最初からださないでくれ
ことほのうみかと思った
米1
ことうみはそんなもんだよ。
最初から排除しとるやないか
ことうみはほんと構図が同じだな
ことり「穂乃果ちゃんは今日は風邪でお休みだって~」
海未「そうですか。だったら仕方ありませんね。今日は2人きりですね///」
ことり「デートだね///」
昔あったこのSSを思い出す
友達が風邪で寝込んでいる中そんな薄情な2人ではないだろと激しく突っ込んだものだ
お見舞いにすらいかないとかねえよと思ったな
ことうみはいつの時代も強引すぎだな
ほのかのつながりが強すぎるししょうがないっしょ
よかった