真「生きとしいけるものすべて」(31)


※内容には自己解釈が含まれます

真「おはようございまーす!」

p「お、真。おはよう」


真「プロデューサー! ボクに歌の仕事が来たってホントですか?」

p「あぁ。正確には曲のカバーだがな」


真「それで、その歌って」

p「これなんだが」スッ


真「…へぇ、ボクにはあまりないタイプですね」


p「だからこれからちょっと勉強会だ。曲のイメージを掴んで、感情込められるようにな」


真「はい!」

p「よいしょ」ドサッ


真「うわぁ、なんか厚くて古い本ですね」

p「昨日近くの図書館から借りてきたんだ」


真「すごいですね…戦争の本って」


p「ああ…」


p「始める前に言っておくことがある。これには戦争に関する写真や資料がまとめてある」


p「可能な限り気を付けるが…」


真「…多少残酷な、ですよね?」


p「真は女の子だ。無理だけはするな」


真「へへ、大丈夫ですから…始めましょう」


p「…わかった」

p「そうだなぁ、折角の覚悟だが、先にこっちの本から見よう」


真「その本は?」


p「言ってみれば戦闘機の写真集だ。そしてこれが…」ペラッペラッ


p「今回の主役だ」


真「…f-177、ですか」


p「別名nighthawk、アメリカヨタカと呼ばれるアメリカ製のステルス攻撃機だ」


真「アメリカヨタカ、か。だからこの曲…」


p「うん。資料によると当時ロッキード社が全64機製造した機体なんだが、現役中に一体どれだけ撃墜されたと思う?」


真「えっ? えぇっと…戦時中だから…半分以上、ですか?」

p「実はな、たった一機だけなんだ」


真「え! 一機だけですか!?」


p「ナイトホークは夜間飛行用のステルス機だからまず見つからないんだが、それを差し引いても一機だけだ」

真「はぁ…それはすごいような」


p「さて。じゃあ本題に移るか」


真「はい!」


p「まずこれ。この1996年から1999年のコソボ紛争っていう戦いが曲の舞台だな」


真「1999年って最近じゃないですか!」


p「そう。10年ちょっと前まで起きていたことだ」


真「外国では身近なことなんですね。戦争って」


p「そうだな」

p「このページだ。その夜、この機体はいつものように爆撃に出発したんだ」

p「それが曲の頭に当たる。わかるな?」

真「はい」

p「名前も顔も声も知らない人達を、攻撃しに行ったんだ」

真「…はい」

p「そして結果は歌詞から察するに」

真「成功、ですね」


p「うゎ!」ペラッ

真「っ!」

p「真、やっぱりこのページは飛ばそう」

真「大丈夫です!」


p「真…」


真「目を逸らしちゃ、いけないんです!」フルフル…


p「…次の歌詞にいこう」

真「…はい」

p「…次だ。そして問題はここ」スッ

真「何も見ない、何も聞かないみたいなところですね?」


p「ここは操縦者が開き直りで言っているのか、はたまた自分の心が壊れないために考えないようにしているのかで印象が変わるだろう」

真「確かに」

p「そこからざっと飛ばして…2番のサビの最後かな。個人的に読み解きが難しいのは。どうだ?」

真「確かにちょっと難しいですね。これは」


真「…でも」


p「でも?」


真「心の迷い、じゃないでしょうか?」


p「…成る程。真がそう感じるならそれで良いだろう」


p「そして同時にここでこの機体が撃墜されたと言う考察と、もう少し後だと言う複数の考えがあるが、それこそ真に任せる」


真「わかりました…って、撃墜?」

p「ああ。この曲のナイトホークは撃墜されている」

真「じゃあさっきの話の…」


p「撃墜されたたった一機と言うのが、このナイトホークだな」


真「だから先にナイトホークの予習を」


p「まぁな」


p「そして最後の締め括りだが、何を感じる?」


真「今までより強いメッセージ性と言うか、訴えを感じます」


p「俺もだ。この投げ掛けは操縦者によるものか、曲全体によるものか」


真「……」


p「真?」


真「すいません。なんか悲しくなっちゃって」

真「なんで戦争なんて起きるんでしょう? お互い辛く、苦しいだけなのに…」
p「…この歌にもある通り、戦争は正義のぶつけ合いだ。ぶつかるのが口じゃなく武力だから、人が死ぬ」

p「だが戦争のお陰で技術が進歩し世界が変わってきたのも、また事実なんだ」

真「そんな! じゃあプロデューサーは戦争を肯定するんですか!?」


p「そんなことは言ってない。戦争が正しいか間違ってるかなんて俺にはわからない。ただ…」

p「最低限人として、人の死が悲しいものだと思う心があるなら、今はそれで充分じゃないか?」

真「…はい」

p「さ、もう昼だ。食べに行くか?」

真「いいんですか?」


p「午後はスタジオでレッスンだろ? ついでだ、ついで」


真「へへっ、ありがとうございます」ニコッ


p「やっと笑ったな。肩肘張りすぎだ」


真「えへへ、すいません」

p「よし、行こうか」


真「はい!」


真(……………戦争、か)

真「プロデューサー、今日はありがとうございました! わざわざ送ってもらっちゃって」


p「気にするなって。それじゃあ早く寝ろよ?」


真「はい、また明日!」


真「…うん。今日は、早く寝よう…」ガチャ…バタン


あれ…ここはどこだろう?

人がいる。外国の人?


何でみんな逃げてるの? 何に怯えてるの?


向こうに何か落ちてくる
あれは


ひどい
辺りがメチャクチャだ


建物だったもの
車だったもの
そして人だったもの


色んなものが転がっていた

元凶はまだ降ってくる

やめて
やめてよ
やめろ
やめろ!

真「やめろおおお!」ガバッ

真「はぁ…はぁ……ゆめ?」

真「はぁ…はぁ…ボクは…」ギュッ

真「…プロデューサー」


prrr...prrr..

p『もしもし、真?』

真「あ、プロデューサーすいません。こんな夜中に」

p『それは良いが、どうした?』


真「…夢を見て」


p『夢?』


真「やっぱり、ボクは戦争が赦せません! たくさんの人を傷付ける戦争なんて、間違ってます!」


p『…ああ。俺も赦せない』


真「プロデューサーも?」

p『良いか悪いかわからないと言っただけで、赦す赦さないは別だからな』

真「そう、ですか。ありがとうございました!」

p『役に立てたなら良かった』


真「はい、スッキリしました!」


p『うん。明日もその調子で頼むぞ』


真「はい!」


p「いよいよ収録だな」


真「思いのすべてをぶつけてきますよ!」


p「おう。行ってこい!」


ジュンビデキマシター!!


真「はい! よろしくお願いします!」


真(戦争に対するこの怒りを、この悲しみを、歌にぶつける。歌にのせる!!!)


夜の闇にまぎれ
僕等 低空で飛び続けた
月は何も知らず
低く エンジンが響いてた

真(虚しさ)


そこにどんな人が暮らし 笑い合っているのでしょう
そこでどんな夢が生まれ 育まれていたのでしょう


真(切なさを)

生きとしいけるもの全て
焼き尽くす紅蓮の炎(ひ)が
真下に流れる
予定どおりに機首上げて
弾薬庫の蓋閉じて
勝利の旋回
何も 見ない 何も 聞かず
何も 何も 何も 何も


真(戦争の愚かさを!)

生まれた国が違うなら
こんな砂漠の朝焼け
見ずに生きてゆく
暁の空に夜鷹が
はぐれてもう戻れない
流れ星になる


真(悲しいんだ)

生きとしいけるもの全て
同じ色 真紅の血で
命を 育てる


真(同じ人なのに!)

どんな正義をかざしても
流れ出る真紅の血を
止められはしない


真(正義じゃ戦争は止められない!)

夢を 見てた 長い 夢を
長い 夢を 長い 夢を


真(もう…終わりだ!!!)


真「生きとしいけるものすべて」


『夜鷹の夢』


~おわり~

夜鷹の夢に泣かされたから書いた
真にカバーしてほしいです

おつ

歌を元にして書くssや初心者にありがちなんだけど、読む人を置き去りにしてると思う
描写をもうちょっと丁寧にやらないと「真が受けたショック」や「戦争に対する怒りや悲しみ」が伝わってこない
書く人は頭の中にイメージがあるかもしれないけど、読む人は文字からしか情報を得られないからそれを頭に置いておくようにするといいよ

あと改行にバラつきがあるのは何か意味があるの?
ないならちゃんとチェックしてから投下するようにした方がいい

>>29
意見ありがとう!
歌ssは初めてでうまく表せないから自分でもやきもきしてた

行はね、文末の位置によって改行が潰れるから不得意なもんで。要練習だな

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