【艦これ】電「て、提督が誘拐されちゃったのです!!」 (76)



・久しぶりなのでちょっと肩慣らしに短編を
・艦娘VS艦娘あり
・若干下ネタあり


登場キャラ:電、雷、響、天龍、龍田、夕立、利根



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409561769


響「……?」

天龍「はん? なに言ってんだ、お前?」

電「で、ですから! 提督が誘拐されてしまったのです! 大変なのです!」

雷「提督が……なに?」

電「ゆーかい! 誘拐なのです!」

龍田「コアラが大好きな葉っぱかしらぁ?」

電「そ、それはユーカリなのです!」


響「アイヌに伝わる叙事詩?」

電「それはユーカラなのです!」

夕立「祥鳳さんみたいな格好の人がいっぱいいるトコロっぽい?」

電「はわわわっ! それは遊郭なのですっ!!」

利根「人を連れ去ることじゃな」

電「それは誘拐なのです!」


利根「うむ」

電「はっ! そ、そうです。誘拐なのです!!」

天龍「くはは、そいつは大変だ。いきなり横付けされた黒づくめの車から大男が何人も降りてきたってか?」

電「そうなのです! 買い出しの帰りに、普段はひと気の無い方から声がしたので覗いてみたら……」

天龍「んで、抵抗むなしく、ムリヤリ車に押し込められたってか?」

電「そうなのです!」

天龍「ははは、そいつはお前…………マジじゃねーか!!」

響「オバルヂェーチ」


天龍「ちょ、どうしよう! 警察に連絡しねーと!」 オロオロ

電「たいへんなのです!」 オロオロ

龍田「あらあら天龍ちゃんたらお茶目なんだから」

利根「奴も曲がりなりにも提督じゃならのう。誘拐などされたとあっては一大事じゃが……」

夕立「ウチの提督なんか誘拐するかなぁ?」

利根「うむ。重巡である我輩が旗艦を任されるような司令部じゃからのう」


龍田「海軍学校時代の友人に強引に飲みにさそわれて、とかじゃないかしら?」

電「でもでも、提督は凄く抵抗していたのです!」


夕立「きっときっと~、『いいじゃん飲みにいこうぜ~! 車乗れってほら』」

響「……『いやだ! あの店に飲みに行ってもあの子はもう居ないんだ! あんなに貢いだのに彼氏持ちだったなんて! 引退して彼氏とヨロシクやってんだい』」

夕立「ん~と『そう言うなってあの店、他にも可愛いコ入ったんだぜ』」

響「……『もうキャバクラなんてこりごりだ! なぜなんだヲ級ちゃん! 僕は本気だったのに!』」

夕立「『まぁいいから行くぞ、車乗れよほら!!』」

響「……『は~な~せ~』」

夕立「……っていう感じ、っぽい?」


龍田「あらあら」 パチパチパチ

雷「おもしろーい」 パチパチパチ

天龍「って、なげーよ!! なんだよヲ級ちゃんて! つーか提督はキャバクラなんて行かねーだろ!」

夕立「お~。天龍ちゃん、相変わらずキレのあるツッコミをありがと~」

響「スパシーバ」


電「はわわわ、話が進まないのです」


利根「まぁ、夕立の話は冗談としてもどうせ出撃の予定も無いのじゃ。みなで提督を捜しに行ってみようではないか」

龍田「そうねぇ。どうせ暇だし」

天龍「んじゃ間宮さんトコ寄って弁当もらってくっかぁ」

雷「やったー! 出撃ね!」

夕立「艤装とってくるっぽいー!」

響「ハラショー」

電「て、提督! 電が助けにいくまで頑張ってほしいのです!」


……

雷「んで……なんで陸(おか)にいるのよーー!! 出撃っていったら海じゃないの!?」

夕立「艤装が重いっぽ~い」

利根「まったく。提督を捜しにゆくと言ったじゃろ。車に乗っていったということは提督は陸のどこかにおると言うことじゃ」

龍田「まぁ提督が単身で海上へさらわれたなんて言ったらそれこそ大事件だしねぇ」

電「い、今も大事件なのです!」

天龍「おいおい、海にいかねぇなら艤装はいらなかったんじゃねぇか?」


利根「いや、そうとも言えぬぞ。もしも、本当に誘拐されていたとすれば誘拐犯を制圧せねばならぬしな。陸といえど我らの艦砲は少なからず役立つはずじゃ」

響「備え有れば憂いなしだね」

雷「さっすが利根さん!!」

電「凄いのです! 頼りになるのです!」


利根「ときに夕立よ」

夕立「っぽい?」

利根「さっきの話に出ていた『きゃばくら』というのはなんじゃ? 捜索に関係があるのなら見ておいた方がよいと思うが」

電「え?」

雷「え?」

天龍「ぷははは。利根、姉御ぶっといてキャバクラも知らねーのかよ」

龍田「あらぁ。天龍ちゃんは知ってるのかしらぁ?」


天龍「……!? そ、そりゃオレくらいになりゃ当然知ってるっつーの! オトコとオンナがアレしてアレして、アレな感じでアレするとこだろ!!」 カァァ……

夕立「いや……そこまでアレしまくらないと思うけど……」

龍田「あらあら」

響「まぁ同伴してもらった上でお金とトークがあればアレもできるんじゃないかな」

利根「なんじゃアレアレ、アレアレと要領を得んな。ツールの観客か、おぬしらは」


雷「つまりね、男の人がお金を払って女の人と話をするトコロなのよ」

利根「……ふむ。差し詰め……経験の浅い提督が、艦娘から前線の立場の助言を得る教室の様なものか?」

電「……」

雷「……いや、えっと」

龍田「そうよぉ。さすが利根さんねぇ」

電「!?」

雷「!?」


利根「ほう、やはりそうか。ならば我輩も『ばいと』とやらで働けるかも知れぬな!! ろくに出撃のない司令部ゆえ資材の消費は少ないが、その分予算も雀の涙じゃからのう。みなの茶菓子代くらいは稼がねばならぬしな」

夕立「……」

天龍「……いy」

龍田「そおねぇ。利根さんならきっと沢山指名をもらえるわぁ」

夕立「!?」

天龍「!?」

利根「ほう、助言を貰う相手を指名する制度なのじゃな。そうかそうか! 我輩もついに『ばいと』先が見つかったか」

響「パズドゥラリューユ(おめでとう)」


電「と、そんな話をしているあいだに提督が誘拐された場所に着いたのです!」

利根「ふむ。ここで……」

響「地面にタイヤの跡があるね」

雷「ホントだ。凄い急発進したのかな」

夕立「キャバクラの送迎にしては荒っぽい運転っぽい?」

天龍「いや、もうその話はいいから」


龍田「いえ、一刻も早くお客様にアレしてアレして、アレな感じでアレして頂きたいという思いから運転手さんを先走らせてしまったのかも」

天龍「頼むから黙ってろ。な?」

電「でもこれでは車がどこに行ったのか分からないのです……。電がもっと、しっかりしていれば……」

利根「いや、落ち込むにはまだ早いぞ。あれを見よ」

雷「ん? あ! あそこに落ちてるのは!?」

電「提督の軍帽なのです!」

天龍「なんだって軍帽を捨ててんだよ?」


夕立「じゃあじゃあ帽子が落ちてた方向に進んでみましょ!」

雷「よーし、取り舵いっぱーーい!」

夕立「全速前しーん!」


……

天龍「つーかよ、これマジなんじゃね? もしかして」

雷「確かに軍帽を道ばたに捨てていくなんて、いくら提督でも……」

電「ですから、まじなのです。超まじなのです!」

龍田「あら、また交差点ねぇ。どっちに行ったのかしら~」

利根「……ふむ」

夕立「あ、あそこ! 今度は上着が落ちてるよ」


天龍「おいおい……。帽子なら百歩譲って落っこどしたで済むけどよ、ジャケットなんてお前……」

龍田「ええ。まさか……キャバクラじゃなくて、本当に野戦をするお店に? 待ちきれずに移動しながら脱ぐなんて……」

利根「なんと? 野戦をする店まであるのか? 興味深い話じゃ」

響「ハラショー」


天龍「道を知らせる為に身につけたモン置いてったに決まってんだろ! ヘンゼルとグレーテルの帰り道の目印と同じだろうが!」

龍田「あらあら、天龍ちゃんも絵本読むのね~。可愛いわぁ♪」

天龍「んなっ……! ど、どどどうでもいいだろーが! ///」





……

響「これは、ワイシャツのようだね」




……

電「はわわわっ! こ、これは提督のズボンなのです!」



……

夕立「そんな訳で、ここにたどり着いたっぽいワケ」 コソコソ

電「って、ここって……」 コソコソ


天龍「お前……海軍総司令本部じゃねーか!! 何だってウチみたいな弱小司令室の提督がこんなトコに」 コソコソ


龍田「いえ、天龍ちゃん。まだここへ来たと決まった訳じゃないわ。この先の道に提督のパンツが落ちていて、更に先に野戦のお店がある可能性も……」 コソコソ

天龍ちゃん「お前ホント、ファンに怒られんぞ」 コソコソ


雷「っていうか、別に私たちも海軍所属なんだしコソコソ隠れて見ないで堂々とすればいいんじゃない?」

利根「……待て。あの建物の格子が付いた窓を見るのじゃ」

夕立「ん~~? あれは……!」

龍田「中に半裸の変質者がいるわね~」

天龍「いや、ありゃ提督だろ!」


龍田「あらぁ、そうだったかしら。いつも帽子と服しか見ていなかったから」

夕立「何気にヒドすぎるっぽい発言っ!」

利根「同じ部屋に何人かおるようじゃな。階級章は……大佐か」


電「な、なんだか提督が虐められてる様に見えるのです」

響「というより、尋問されているようだね」

天龍「おいおい、いくらウチが大した戦果もあげてねぇからって拉致って尋問はねぇだろうがよ」

龍田「いえ、もしかしたら夜な夜な経費で司令室にデリバリー野戦を呼んでいたのがバレたとか」

利根「デリバリー野戦!!!?」

電「て、提督はそんな人じゃないのです……それに、もしかしたら……」

天龍「……あん?」

響「……なにか心当たりがあるの?」


電「それは……」

夕立「?」


雷「わたしから話すわ! ……あれは前回バシー島へ出撃した時のことよ。私が中破したって言って電と一緒に先に帰港したでしょ?」

天龍「……ああ」

雷「私たちは、みんなから少し離れたところから雷撃で援護してたんだけど、その時に偶然大破したリ級と遭遇して……」

夕立「っぽい!?」

雷「一人で帰れないみたいだったから、どうしても放っておけなくなっちゃって……」

龍田「あらあら」


雷「それで……提督に相談したら、よくなるまで入渠してもらえばいいって言ってくれて……」

利根「なるほど。それでおぬし達は深海棲艦を助けたと」

電「ご、ごめんなさいなのです! 電が悪いのです」


利根「おぬしが正しいと思ったことじゃ。詫びる必要なぞなかろう」

電「で、でも」

利根「今はその深海棲艦は?」

電「元気になって、帰っていきました」

利根「ならば誰が迷惑を被ったものでもない。いつか我らの誰かがその深海棲艦と砲を交えることとなったとしても、それはまた別の話じゃ」

天龍「ああ。お前がそうしたかったんなら、堂々と胸張ってろってんだ!」


夕立「でも、司令本部にはそう思わなかった人がいるっぽい?」

利根「うむ。その可能性もあるのう」

龍田「あらあら。提督、凄く詰め寄られてるみたい。半裸なのが幸いして胸ぐらを掴まれたりはしてないみた…………!!?」

電「!!?」


天龍「……! あんの野郎! 提督をぶん殴りやがったぞ!!」

利根「むう。机上で作られた規律に従うならば、敵を助けたなど軍法会議ものじゃからのう」

夕立「だからって、現場の私たちの事情も聞かず提督さんを殴るなんて!」

天龍「クソ野郎がッ!! ブチのめしてやる!!!」

龍田「天龍ちゃん」


天龍「んだよ、止めんなよ龍田。オレは今アタマにきt……」

龍田「止める~? 誰がかしら~?」

天龍「ぇ……ぁ、ぃゃ」 ビクッ



龍田「ブチのめすなんて生ぬるいわぁ~。ナマス切りにしてあげなきゃぁ。特に右手。提督を殴った手なんて、この世にあっても仕方ないもの。本人の見ている前で細切れにして魚の餌にしてあげましょう」


天龍「…………あ、いやでもアレだな。よく考えたら馬鹿正直に行っても提督のトコまで辿りつけるワケねーしな」

利根「うむ。その通りじゃな」

天龍「だよな。ここはいったん……」

利根「我らは艦娘。攻めるなれば当然海からじゃ! 海上より回り込んで軍港を突破するぞ!」

天龍「」

夕立「ふふふふ、楽しいパーティになりそう♪」


天龍「いや、でもよ。総司令本部だぜ? 戦艦とかわんさか居るんじゃねーの?」

響「いや、第一艦隊というのは基本的には出撃、補給、入渠、出撃の繰り返しだから司令部にいることはあまりないよ」

天龍「で、でもよ……」

雷「雷、出撃しちゃんだから!!」

電「電の本気を見るのです!!」

天龍「……まじかよ」



……

【海軍司令本部・近海】

夕立「やっぱり海上の方が楽ちんっぽい!」

電「でも、いくら主力艦隊が居ないと言っても、これだけ大きな司令部ですから、待機している方もいるんじゃないでしょうか?」

天龍「まぁそりゃ艦が6隻限りなんて司令部はウチくれーだろうがよ」

雷「こっちには天龍たちに利根さんだっているんだし、へーきへーき!」

天龍「お、おう! こうなりゃどんと来いってんだ!」

利根「うむ、そのいきじゃ!」

天龍「へっ! 駆逐艦だろうが、軽巡だろうが、この天龍さまが…………!?」

利根「……! あれは!? 全員散開するのじゃ!!」



--ドガーーーン!!


龍田「砲撃!?」

天龍「いきなりぶっ放してきやがったのか!?」


那智「おい! 止まれ貴様ら!!」

天龍「!?」

足柄「この先は海軍司令本部よ。許可無く立ち入りは出来ないのだけれど、何か……ご用かしら?」

雷(あの人たちの艤装……)

電(じゅ、重巡洋艦! それも2隻も)

夕立(結構ピンチっぽい?)


天龍「あぁ、オレ達は別に怪しいもんじゃ……」

那智「海上から通達無く、司令本部へ航行しているのだ。怪しくない訳がないだろう!」

足柄「艤装を解除して両手を高くあげてくださいな!」


天龍(くそったれ。重巡2隻とやり合うとは割に合わねぇが……)

利根(うむ……ここは強行策しか……)

龍田「あの~」

利根(!?)

那智「何だ? 妙な動きはするなよ!」

龍田「勘違いされているようですが、私たちただの『デリバリー野戦嬢』なんですけどぉ」

利根(!?)


天龍(何だよ!? 『デリバリー野戦嬢』ってなんだよ!?)

那智「なに? デリヤセの?」

足柄「でも司令、いつもは夜に呼んでいるのに」

天龍(デリヤセ!? そう略すの!!? いつも呼んでんのかよ!!?)


足柄「それに……6人も?」

龍田「はい~。たまに6回転をご利用いただくお客様なんです」

那智「6回転だと!? 司令の7.7mm機銃でそれだけの連戦を突破できるのか!?」


足柄「それに……ずいぶん小さい子がいるようだけれど」

龍田「まぁ提督や司令なんて駆逐艦コンプレックスばかりですから~」

那智「あぁ、たしかに先日も登庁する朝潮型たちを遠巻きに見守る事案が発生していたが……」

龍田「やっぱりスキャンダルにならないように、定期的に入渠しないといけませんから~」

利根(何やらまったく分からぬが、穏便に済みそうじゃの)


龍田「では、私たちは先を急ぎますのでこれで~」

那智「あぁ」

天龍「うっす。ゴクローさんっす」

雷電「「しつれーしまーす」」

那智「あぁ……ところで……」

電「……!!?」


那智「提督と夜戦(意味深)するのに艤装は必要なのか!?」




--ジャキッ!!



雷「!!」

天龍「ちぃっ!!!」



--ガキィィィン!


那智「ほう、止めたか」


天龍「テメー、駆逐艦相手に不意打ちとは随分じゃねーか!」

電「はわわわわ……」


龍田「あら~、バレちゃってたみたいね~」

足柄「危うく騙される所だったけど、そこのショートカットちゃんから色気がまったく感じられなかったからね」

天龍「オレ!? オレのせいなのかよ!」

利根「止むを得ん! 強行突破じゃ」

那智「ふん! 弱小司令部の雑魚どもが何人あつまろうt……っ!!」

天龍「おらぁ!!」


--ギィィン!!


那智「チィ!」

天龍「はっ!! 利根が出るまでもねーぜ!」

龍田「ふふふ。死にたい艦はどこかしらぁ?」

足柄「っ!」

龍田「ここは私たちが引き受けるわ~」

天龍「チビどもを連れて提督のコトへ行きやがれ!」


利根「おぬしら……。すまぬ! ゆくぞ、全速離脱じゃ!」

雷電「「はい」なのです」

夕立「天龍たちも気を付けてっぽい!」

響「武運を祈ってるよ」

那智「させるか!!」

天龍「それをさせるかってんだよ!!」


--ズガガガガガッ!!


那智「この、軽巡風情が!」

龍田「あらぁ? なんでも火力で決まるわけじゃないのよ~」



……

【海軍司令本部・取調室】


提督「私は何も間違ったことも恥じることもしていない!」

尋問官「ふざけるな! 証拠はあがっているんだぞ!!」

提督「私は、あの子たちを信じている! そう。それだけだ!!」


尋問官「貴様っ!!」

提督「ぐはぁっ!」



……

【海軍司令本部・近海】

電「ま、まさか重巡の人がいるなんて……」

雷「うん! 龍田さんたちが主力を押さえてくれてる間に提督のところへ行こう!」

利根「…………」

響「……利根?」

利根「うむ。……2人が敵の重巡を引きつけてくれた以上大した敵はおらぬじゃろう」


雷「うんうん」

利根「じゃが、念には念をじゃ我輩は正面から様子を伺いつつ入港する。おぬしらは工廠の方角から回り込んで提督のところへゆくが良い」

電「で、ですけどそれではかなりの回り道になってしまうのです」

利根「うむ。急がば回れじゃ! なんなら正面からゆく我輩が先に提督を救出すればそれで良い」」

雷「まぁ利根さんがそう言うなら……」

利根「うむ。夕立よ、3人を頼んだぞ」

夕立「うん。任せてっぽいぽ~い」


響「じゃあ」

電「利根さんも気をつけてなのです!」

利根「うむ」


利根「……」


利根「……さて」

利根「おるのじゃろう。出てくるがよい」


***「ふ~ん。気づいてたんだ。少しはやるじゃない」

利根「いつ撃ってくるかと思っておったが、あやつらを行かせて良かったのかの?」


陸奥「まぁ小さい子を虐める趣味は無いからね。貴方でも役に足りてるとは言い難いけど」

利根「…………これはこれは、よもや超超弩級戦艦どのとは、思わんかったぞ」

陸奥「大人しく退くなら考えてあげてもいいけどねぇ」

利根「ふむ。じゃが生憎、我輩の背には決死を賭けて戦う者たちが、前には大切な者を救わんと進む者たちがおる。そのどちらにも、おぬしを行かせる訳にはゆかぬでな」


陸奥「格好いいけど火遊びは、轟沈の元だよ!」


利根「……っ! 利根型の長女の底力、見せてやるのじゃ!!」


雷「天龍と龍田さん、大丈夫かなぁ?」

電「利根さんもなんだか様子が違った気がするのです」

響「私たちが提督を助け出せば、天龍たちも撤退できる。無駄な交戦も避けられるだろうね」

夕立「あ、工廠が見えてきたっぽい。あそこから陸に上がって提督をところに突入しよう!」


--……ィィィィイイン!!


電「……!! 夕立さん! 危ないのです!」

夕立「っぽい?」


--ズガァァァンッ!!!



響「爆撃!?」

雷「うっそ! なんで艦載機がこんなところ飛んでるのよ!?」

電「あ、あそこなのです!!」


加賀「……」


雷「げぇ! 正規空母!」

夕立「……ピンチ……っぽい?」

加賀「この司令本部の所属ではないわね。……駆逐艦が4隻も、こんなところで何をしているのですか?」

電「あの、えっと……」

加賀「正当な手続き無く司令本部に立ち入ることは出来ません。返答次第では……この場で撃沈します」


電「はわわわ……」

夕立(返答しだいでは見逃して貰えるっぽい?)

雷(うん。でもなんて答えたら)

響(慎重に言葉を選んだ方がよさそうだね)


夕立「えっと~、デリヤセで~っす。ここの司令と野戦(意味深)しにきました……っぽい?」


加賀「全機発艦。攻撃を開始してください」

夕立「あれ~。返答間違えたっぽい~?」

雷「ば、ばかーーーー!!!」



……

【海軍司令本部・近海】

天龍「痛っつ! クソが……」

龍田「天龍ちゃん!」

天龍「このオレをここまで追いつめるとはな、やるじゃねーか」

那智「『このオレを』?? ……ふん。笑わせるな」

足柄「型遅れの軽巡風情を何隻始末した所で、実力の証明になどならないけど、ふふ。的撃ちゲームとしては楽しかったわ」


那智「所詮は雑魚司令部で天狗になっているだけの小物か」

天龍「……! 何つった、てぇんめぇ!」


龍田「天龍ちゃん! 駄目よ!」

天龍「ウチは雑魚司令部なんかじゃねぇ! 取り消しやがれ!」 ズガガガ……

那智「……それで艦砲のつもりか? なんだその豆鉄砲は?」

龍田「待っ……」

那智「艦砲射撃というのはこうやるんだ」

天龍「!!」




--ドォォォーーン!!




天龍「……っぁ……」 ボチャン……

龍田「天龍ちゃん!!!」

那智「ふん。大破したか」

足柄「……さぁ、貴方も艤装を解除なさい」

龍田「……」

足柄「轟沈させられるよりもマシでしょ」


龍田「……」 ガチャン

那智「それでいい。艤装を回収しろ。連行するぞ」

足柄「ええ」

天龍「」

龍田「……」



……

利根「……っ!! カタパルトが不調じゃと!? えぇい、至近弾でこの威力とは……!!」

陸奥「ふ~ん。逃げ足だけは誉めてあげるけど、そんな装備ではね」

利根「言わせておけばっ!! そこじゃ!! 食らえぃ!」 ドガガガ……


--ズガガガンッ!!


陸奥「……」

利根「直撃じゃ! やったか?」

陸奥「あら。あらあら」

利根「……!? 無傷じゃと!?」

陸奥「この程度で、やったかなんて言われても……。まぁビッグ7を相手によく頑張ったんじゃない?」

利根「おのれ!」

陸奥「でも重巡じゃあ私には勝てないわよ。所詮、戦艦の下位互換だもんね」

利根「……っ!」

陸奥「さぁて、それじゃあ一撃で撃沈してあげるわ」



……

加賀「……」

夕立「……っ!」

電「こ、これが艦載機の攻撃!? 速すぎて全然見えないのです! それに……凄い火力……」

雷「ちょっと! 卑怯じゃない! 正々堂々と前に出て撃ち合いなさいよ!!」

加賀「勘違いしないで。この艦載機たちが私の火力そのもの。貴方たちのような駆逐艦程度、何隻いようと鎧袖一触よ」


夕立「なんか本気になっちゃったっぽい?」

加賀「私の任務はあくまでも司令本部の海上護衛。大人しく投降するのなら中破程度にとどめてあげてもいいわ」

電「電たちのしたことのせいで、提督に迷惑をかけてしまったのです……。そのその責任は……なんとしても果たすのです!!」

雷「当然!」

夕立「じゃあ、夕立もがんばるっぽいっぽい!」



……

龍田「……」

那智「艤装を解除したか。当然だな。我々と戦ってもコイツの様になるのは目に見えているからな」

天龍「」

龍田「……」

足柄「さて、身柄を拘束させてもらうわ」

龍田「……」

足柄「さぁ、両手を後ろに……」


龍田「…………うふふ」


--バキィッ!


足柄「んにゃ!! 痛ったっ!」

那智「なっ!? 素手で?」


足柄「痛ったいじゃない! 降参したふりして、悪あがきね!」


龍田「降参~? 私は攻撃しやすい所にアナタが来るのを待ってただけよぉ~」

足柄「この! そんなに撃沈されたいなら……」

龍田「……ふふ」


--グイッ


足柄「……!? ちょ、離しなさい!」

龍田「ダ~メ。離さないわぁ。それにしてもアナタ達、さっきの口振りじゃあ、まるで私と天龍ちゃんより強いみたい。ふふふ」

足柄「な、何を! こ、このっ! 離しなさい!」

那智「ふん、重巡の我らが貴様らより上にいるのは当然だろう」

龍田「いいえ~。貴方たちなんて足下にもおよばないわ」


那智「なに?」

龍田「だって天龍ちゃんの仲間を思う強い気持ちは、世界水準なんて軽く越えてるものぉ」

那智「馬鹿な事を! 足柄! 砲撃してしまえ! ソイツはもう艤装解除した丸腰だ。それだけ密着していればソイツ自身もただでは済まないだろう」


足柄「……っこの! 10門の主砲は伊達じゃないんだから! どうなっても知らないわよ!」

龍田「……ふふ」 グイッ!

足柄「って! あら!? 那智の方に……?」

那智「ばっ!」


--ズガガガガンッ!!


足柄「那智!?」

那智「ぐっ! ちょ、直撃は免れたか……」


***「……ったく。硝煙の臭いが最高だなぁ」

那智「!?」

天龍「おちおち沈んでもいらんねぇぜ! オラァ!!」


--ザシュ!!


那智「しまっ! 砲塔が!?」

足柄「那智!!」

龍田「あらぁ? よそ見はだめよ~」


--ズガンッ!


足柄「っかは!!」 ボチャン


那智「……っく! 馬鹿な! け、軽巡ごときに……」

天龍「フフフ、怖いか? こちとら前世じゃ殴り込みの水雷戦隊で旗艦(アタマ)張ってんだ。ナメてもらっちゃ困るぜ」

那智「……ば……かな」 ガクッ



……

利根「分の良い勝負とは言えぬが……いかに超超弩級戦艦とて、速力で翻弄すれば! その重装ではついてこれまいっ!!」

陸奥「ふ~ん。少しはやるじゃない」

利根「いかに砲撃が通らぬとて、ここで我輩がおぬしを足止め出来さえすればっ!」

陸奥「でも別に、追いつかなくても……全砲門、開け!」

利根「……!?」

陸奥「撃てぇーーーー!」



--ドンッ!!



利根「避けきれん!! じゃが、直撃とてこの程度でh……」

陸奥「撃てぇぇーーーーーー!!」



--ドドドドドンッ!!!



利根「……!!!」


陸奥「撃てぇぇぇぇぇーーーーーー!!!」



--ドドドドドドドドドドドン!!!



利根「」


誰も突っ込んでおらんが、電ちゃんは司令官呼びだぞ

過去のガルパンSS見る限り真面目なのとB級アクションとどっちもイケるクチっぽいけど
艦これでもマジノ女学院みたいな真面目なの書いて欲しい


>>49
存じてますが、ss的に那智たちの上官と呼称を分けたほうがいい感じがして……

>>50
これはある意味肩慣らしなので、次で書きますよ
マジ学よりもっとシリアスなヤツ
まだ言えませんがここまで真面目なストーリーはまどか「私、プリキュアになる!」以来かもしれない




利根「」



陸奥「……っと。やりすぎちゃった」

利根「」

陸奥「また弾薬使いすぎだって怒られちゃう。どれどれ、艤装は大破してるけど、とりあえず司令本部に連行してあげようかしらね」

利根「」


陸奥「よいしょっと……」

利根「……っ!! 今じゃ!! くらえぃ!!!!」 バッ!!


陸奥「あらあらあら……」


--ガシッ!


利根「……っ!!」

陸奥「ふ~ん。沈んだふりをして隙を伺うなんて、少しはやるじゃない。それにしても、素手で握った魚雷をそのまま炸裂させようとしてくるなんて、自分もただじゃ済まないわよ?」

利根「……っく! ここまで読んでおったとは……」

陸奥「……読んで……? ふふ」

利根「な、何が可笑しいのじゃ!!」

陸奥「別に貴方を相手に、先読みするまでも無いわ。ただ動きが見えたから掴んだだけよ」

利根「……」


陸奥「貴方が決死で試みた奇襲も、私にはどうってこと無かったって言うだけのこと」

利根「……っ!!」

陸奥「私と貴方じゃ、それほどに性能が違う訳。同情してあげる」



***「なら同情ついでに一発受けてもらおうか」


利根「おぬし!?」

陸奥「後ろ! いつの間に!?」

響「ypaaa!!!」


--ズガンッ!!


陸奥「っ! 駆逐艦なんかにっ!」

利根「今じゃ!! 今度こそ外さぬ!!!」 



--ドォォォォン!!!




響「……大丈夫?」

利根「はぁ……はぁ……。うむ。助かったぞ。しかしおぬし、どうして?」


響「利根さんの様子がおかしかったから引き返してきたんだ。結果的に正解だったようだね」

利根「うむ、我輩ひとりでは到底倒せる相手では無かった。改めて礼を言うぞ」

響「スパシーバ」


***「ふぅ~ん。この程度で勝ったつもりになっちゃうんだ?」


響「……!!?」

利根「バ、バカな!! あの爆発で……」

陸奥「ビッグ7は伊達じゃないってコト、もう少し教えてあげたほうがいいよね?」



……

加賀「せっかく忠告してあげたというのに……愚かな子たち」

電「」

雷「」

加賀「一人を囮として攻撃すれば、あるいは一発くらいは私に届いたかもしれないのに……お互いに庇い合って被弾するだなんて……これでは深海棲艦の方がよっぽど利口ね」

夕立「……」

加賀「……貴方もそう思うでしょう?」

夕立「……確かに、そう思うっぽい?」

加賀「そう。なら貴方は彼女たちとは違うと判断して、もう一度言います。艤装を解除して投降してください」

夕立「……」


加賀「深海棲艦と違うと言うなら、何が利口か分かるはずよ」

夕立「う~ん。多分なんか、分かる……っぽい?」


加賀「ならば……」

夕立「でも……友達をやられて黙っているくらいなら、このまま提督さんに褒めてもらえないなら夕立は、そんなの分からなくていいっぽい」

加賀「…!?」

夕立「……お利口なんかじゃ、無くていいっぽい!!!」

加賀「馬鹿な子。ならその子たちと一緒に沈みなさい」

夕立「……」


--ドンッ!!


加賀「……!? 私の流星が撃ち落とされた!!?」

夕立「そんなに戦いたいなら……ソロモンの悪夢、見せてあげる!」

加賀「急に目の色が…………なに……この子!? ……っ! 全機発艦!!」

夕立「さぁ、最高に素敵なパーティしましょ!!!」


……

【海軍司令本部・取調室】

尋問官「まだ自分のしたことが分からんと言うのか!! 貴様!!!」


--ドカッバキッ!!


提督「じ、自分のしたことは分かっている! 私は何も間違ったことはしていない!!」

尋問官「この海軍の恥曝しめ!!」 バキッ!!

提督「それは……ぐはっ! それは違う。平和を望むなら誰もがそうあるべきなんだ……」


ずっと6人、6隻って書いてたけどよく見たら7人だった
響が可愛すぎて気づかなかった



……

【海軍司令本部・近海】

龍田「天龍ちゃん、しっかり」

天龍「あぁ」

龍田「大丈夫!? 他のみんなも心配だけれど」

天龍「……まぁ利根は心配ねーとしてチビどもがな」

龍田「えぇ。無事デリヤセとして潜入できているか……ボロが出ていなければいいけど」

天龍「……いや、そこはどうでもいいから」

龍田「私たちがボロボロなのは激しいプレイの専門店です、って言えば誤魔化せるけど、あのメンバーでは駆逐園の生徒と引率の先生みたいになっちゃうし」

天龍「だからそこは心配してねーから。つーか駆逐園てなんだよ」

龍田「……ってあら。あれは」



……

響「っ!」

利根「やられ……」

陸奥「……って!」

利根「って?」

陸奥「熱っつ! だ、第三砲塔が!!」


響「ハラショー。燃えキャラというやつだね」

陸奥「ちょ、引火! 引火しちゃう!!」 ドカーン ボーン

利根「なんと!」

響「これを使うといいよ」 チャプン

陸奥「あ、ありがとう! しょ、消火器!?」

響「うん……高速建造剤」

陸奥「……………………ぇ?」 ……ピカッ!!

利根「え?」

響「ふせて」



--ドォォォォォォォォォォン!!!!



陸奥「」 プスプスプス…………~


利根「……い、生きておるのじゃろうな?」

響「多分」

天龍「利根~! 響~!!」

利根「む? 天龍、龍田か。無事でなによりじゃ」

龍田「えぇ。利根さん達も」

天龍「って! うお! コイツのこの艤装、戦艦じゃねーか!!」

龍田「あらあら」

利根「むう。今はその『あらあら』は、ちと背筋が寒くなるのう」


天龍「ス、スゲー!! 利根がやったのか!!」

利根「いや、これはひb……」

響「利根さんが一撃で倒したんだ」

天龍「マ、マジかよ! 戦艦を一撃って利根ヤベー! マジヤベー!!」

利根「あ、いや我輩は……」

龍田「あら、でも利根さん、艤装が……」

利根「う、うむ……」

響「素手で殴り飛ばしたんだ」

利根「いや……」

響「最後は素手で魚雷を相手に叩きつけて轟沈させたようだよ」

天龍「マジか!?」

利根「う、うむ……それは本当じゃ。だが他は……」

天龍「やべぇぇぇぇぇ!! 利根やべぇぇぇぇぇ!!! 戦艦殺しとか、スゲー! カッケェェェ!! 一生ついてくぜ!!」

利根「え……いや……うん。そ、そうか」


龍田「あらあら」



……

利根「なんと、我輩が戦艦を引きつければ後はと思っておったが……空母までおったとは」

天龍「ばっかお前なんで早く言わねーんだよ! 空母が相手じゃあのチビども一溜まりもねーじゃねーか!!」

龍田「まぁボロボロの私たちが駆けつけても力になれるか分からないけどねぇ」

響「いや、夕立がいれば多分大丈夫だと思うよ」

天龍「バッカお前。アイツなんか普段からぽいぽい言ってフラフラしてるだけじゃねーか!! くっそ! 無事でいろよ。チビども!!」

利根「む、見えてきたようじゃ!」

龍田「あれは!!!?」


雷「」 チーン

電「」 チーン

夕立「」 チーン


天龍「おい!! お前ら大丈夫か!? くっそ、敵はどこだ!? タダじゃおかねーぜ!!」

龍田「あら、見て天龍ちゃん!! あそこよ」

天龍「どこだ!? オレがぶっ倒してやるぜ!! ……ってえ!!」



加賀「」 轟チーン




利根「すでにやられたあとのようじゃの」


夕立「ふぁぁぁ~。よく寝たっぽい……」

雷「いたた~。電、大丈夫?」

電「なんとか大丈夫なのです」

天龍「おい、大丈夫かお前ら!!」

利根「無事で何よりじゃ」

天龍「そうか、お前らも協力して空母をぶっ倒すまでになったか。成長したじゃねーか!!」

電「いえ、電は雷ちゃんと一緒にすぐやられてしまったのです」

天龍「え? じゃあ夕立が倒したのかよ?」

夕立「ん~夕立も寝てたからよく分からないっぽい?」

利根「ほう」


夕立「でも、なんだか夢ではなんだか、大活躍したっぽい!」

天龍「いやいや、んじゃ現実じゃ誰が敵を倒したんだよ」

龍田「きっと艦載機の離着陸ミスで自爆したんじゃないかしら」

天龍「なるほどなぁ。アホな敵で命拾いしたな、お前ら」

夕立「ん~、楽しい夢だったっぽい? 気がするけど~」

響「興味深い。あとで聞かせてほしいね」


利根「何はともあれ、これで戦線突破じゃ! 提督を救出に向かおうではないか!!」

天龍「おう!!」



……


【海軍司令本部・取調室】

尋問官「貴様は海軍の予算が何の為にあるか分かっていないようだな!!」

提督「……なにをっ」

尋問官「我らの任務は深海棲艦を殲滅することだ!!」

提督「それは違う。我らの存在意義は平和をもたらすことだ!」

尋問官「この、どこまで減らず口を!!! その口、二度と聞けぬ様にしてやr……」



--ズドーーーン!!



提督「……!?」

尋問官「……!?」

雷「提督! 大丈夫!?」

電「助けに来たのです!!」

尋問官「な、なんだ貴様らは!!」


天龍「あぁん!? テメーこそ何だ! ヒトんとこの提督に……(ってよく見たら大佐の階級章じゃねーか。大丈夫なのかコレ)

龍田「事情は後ほどご説明致します~。まずは……その手、落としても構いませんか? 構いませんよね? 構いませんかそうですか」

尋問官「は、はなしたまえ!!」

電「大佐さん!!! 聞いてほしいのです!!」

尋問官「……?」

電「たしかに電のしたことはいけないコトなのかも知れないのです!」

雷「でもそれは私が勝手にやったことで、悪いのは私よ!」

電「提督にはなんの非もないのです!どうか……どうかそれ以上、提督を責めないでほしいのです!!」


尋問官「……」

雷「……」

電「……」

尋問官「……君たちが何をしたって?」

電「……で、ですから。深海棲艦を助けたのは電たちがやったことで……」




ヲ級「……大佐。コレハ何ノ騒ギデスカ?」 ガチャ……



天龍「……」

ヲ級「……」

天龍「……」

ヲ級「……」

天龍「って! うぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!」


雷「な、なんで深海棲艦がここにいるのよ!!?」

尋問官「あ、いやいや。驚かせて済まない」

利根「……む?」

尋問官「彼女は傷を受けて帰港できなくなった所を我々が救助してね。それ以来、基地の秘書官として働いて貰っているんだ」

ヲ級「ソウデス。驚カセテ申シ訳アリマセン」


雷「え?」

尋問官「え?」

電「え? ……で、でも提督は……電が深海棲艦を助けたから……怒られているんじゃ……」



尋問官「彼の容疑は司令部の資金の着服だが?」


天龍「……は?」

尋問官「軍の資金で定期的にキャバクラに遊びに行っていたんだ」

雷「……」

尋問官「証拠も上がっているのに非を認めようとしなくて手を焼いていたところだ」

提督「戦争なんてしていても世界はよくならない。世界を良くする為にもまずは私の心を平和にしなければいけないんだ!!」

尋問官「しかし貴様は軍から支給された艦娘のおやつ代まで着服しているな」

提督「私はこの子たちを信じているんだ。現に天龍と龍田は近所の商店街でバイトをしてくれている!」

尋問官「キャバクラでは頻繁にボトルを開けて、お気に入りの嬢に随分貢いでいるそうだな。お持ち帰りを失敗していた、という調査報告もある」


提督「戦争をする代わりにベッドで過ごそう。髪を伸ばそう。平和になるまで!」


天龍「なんでジョン・レノン!!?」

雷「不思議! ジョンが言うと格好いいのになぜか……」

電「そ、その先は言っちゃ駄目なのです!」

提督「私はただ平和を願っているだけなんだ。皆だって分かってくれていr……」


--ゴキッ!!!


提督「ぶふぉあ!! あれ! 腕が、変な方向に」 プラーン

龍田「提督? その手落としても構いませんかじゃあ落とします」

提督「ぎ、疑問系ですらない!! ひぃ! て、天龍、助けt」


天龍「よ、よるんじゃねぇ性犯罪者!!」 バキィ!

提督「べ、別に法には触れt……へびゃぁ!」

利根「その『きゃばくら』と言うのが何かはいまだに分からぬが、提督よ。戦わずにベッドでゴロゴロしておるなど、日本男児の風上にもおけぬ台詞じゃのぅ」

提督「いや、ジョンのあれはそうゆう意味の台詞じゃ……。……電」

電「……提督」

雷「しー。見ちゃだめよ」


提督「な、なぜ……私のキャバクラ平和主義に賛同したから皆も来てくれたんじゃ……」

龍田「あらあら」


--ジャキ


夕立「ふふふ、素敵なパーティ始めましょ!」

提督「……夕立さん。なんか目の色が……」

響「……」

提督「響。そんなみんなが艦砲構えてるから、じゃあ私もみたいなノリで協調性を発揮しなくても……ごふぁぁぁ!!」




--ズドォォォォォォォォォン!!!!






電「こうして、私たちの司令部のたった1日限りの大決戦は、海軍指令本部を吹き飛ばすことで、終わりを迎えたのです」

雷「その後、利根さんがみんなの為にバイトを始めたりするけど……」

電「それはまた別のおはなし、なのです」





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