【工口】夫「おやすみー」妻「おやすみなさい」(331)

寝る前の挨拶

散文詩の形態で

背中に感じる高めの体温、子供みたい
汗かきだからか少しひんやりとした右の腕を、私のお腹から寝間着の内側に滑り込ませて鎖骨の少し下に落ち着かせてる
素肌同士の体温の交換
くすぐったいが半分になる前に身体をよじらせて逃げようとするのだけど、はだけた腰の部分を肘でぎゅっと固定されてしまう

逃がしてくれないことを知ってて、でもいつもやっちゃう私たちの儀式みたいなもの、ぴったりくっついた背中が気持ちいい
私たちのじゃなくて私のだな、と思うでも、私たちのだといいな、そう思い直す

しがみついてるみたいな不器用な抱擁が好き

私より深くて遅い、整った呼吸で首筋をくすぐられる特典も、もれなくついてくるのだ
それだけでにやけてしまう
軽く結って明後日の方向に投げ出した長い髪の毛の生え際と、うなじのあいだあたりに顔をうずめながらしがみついてくる彼が、体温が、くすぐったくってたまらない

寝間着と私の間に突っ込まれた手がそっと胸に触れる、じんわりあったかい手のひらに包まれて思わず吐息が漏れそうになるのをごまかして寝返りをうつ
優しい彼はそれを察してか、さっと手を抜いてしまうのだけど、それはそれで実は少しだけ寂しかったりもする
腰にひいていた彼の左手を肩で押し上げて腕枕、私だけの特等席
少し窮屈に折りたたんだ右手を彼の胸に当てて、今度は私が左手を腰に回して巻きつく
あ、背中に手を入れてくれた

シャワー浴びたのにすぐ汗かくからなぁ

おでこで感じる首の熱さと頬で触れるしっとりティーシャツのアンバランスさ、嫌いじゃないんだ
さっき我慢してたからじゃないのだけど、落ち着かせるように息を吐いて

「匂いかいでたでしょ?」

顔に血液が集まるのがわかる、なんでいつもバレるんだろう?
あぁ、絶対意地悪な顔して目を細めてるに違いない
真っ暗にした室内、電源タップのほの赤い光がテーブルの下で60Hzだか50だかで瞬いている
耳たぶの体温を見られてなくてよかったと思う反面、そんな彼の表情を見られなくて残念だなぁとも思う、あぁダメだ顔が熱い

「返事がないのは当たりだよね」

多分そんなことを言われたのだと思う、火照った脳みそが事後報告をあげてくる
窮屈だった右手は彼の身体の下に組み敷かれて、左手は手首を左手で、片手万歳みたいだななんて
酸素の足らない私は軽いパニックになるけれど、いつも通りの彼は構わず唇を重ねてくる

、、、キスしてる時、息が吸えないのを知ってて、でも構わずいつも長めにしてくるんだもんなぁ
と言うか、いつもこうしていきなり始まるんだよなぁ、悪いことした罰みたいに
優しくない側のキス、少し苦手だけど少し好き、ううん好き
こめかみに涙一粒を感じていたら、やっぱり優しくない右手が胸の先端を、そっと優しく、弾いた

油断してた

鼻の奥から変な声が上がり、意識とは関係なく腰が跳ねる
すっと顔が上がって薄明かりに輪郭が

「いい声、も少し聞かせて」

今度ははっきり聞こえた、でも返事なんて待ってくれない彼の、今度は優しい脣
やっと背中に回せた右手でしがみついた私は、彼のと自分のと混ざった唾液で口の周りとろとろにされながら軽く達しました

口の中ってこんなに感じるんだ

さっきよりのけぞっても彼の舌は私を虐めることをやめないで、私はされるがままに
湿る粘膜の離れる、いやらしい音がして、酸素が私に帰ってきた
彼側に首を倒して呼吸を整える、というか目一杯吸う、身体の奥に彼の匂いが広がる
その分の息を吐き出していると、芯に響く不快な音と感触

、、、すごい声が出そうになった
耳は本当に苦手なのだ、彼にもいつも伝えるのに
こもる体温の逃げ場所になっている熱い耳は、彼のと私の唾液で少しだけ冷やされた
でも、耳の穴にあの音と一緒にねじ込まれた、私のより熱いあの舌先は、あれはダメ

耳たぶや上の軟骨のところでさえ、ずっとずっとダメだって言ってたのに、今では普通にカプカプ甘噛みされる
、、、許した覚えなんてないのだけど、きっともうそんな風に躾けられてる私の身体

これで左を向いたら右耳が狙われるのはもはや通過済み
軽くブンブンと首を振ってイヤイヤと、すると軽く鼻で笑う声
、、、私は本当に嫌なんだよ?いや、イヤじゃないんだけどさ、でも

逡巡してたらまた不意打ちされた、今度は鎖骨の間、そして首を下から上に
意識とは関係なく跳ねる腰と私の声
ガラ空きの首筋を甘噛みとそんな情けない声とが通過して行く

いつのまにか指を絡ませてくれた左手同士をニギニギされながらまた口を塞がれる

恋人繋ぎだー、なんて

私を虐めながら貯めてたであろう唾液を少しずつ飲まされながら、でも美味しいなぁなんて考えてる私の身体はやっぱり躾けられたんだなぁとしみじみ思う

これが幸せってやつなのかなぁ?足りない酸素は答えてくれない

でも酸欠気味の身体の要求は厳しくて、甘い唾液を飲み込む合間をぬって、むせながら必死に呼吸する私は、左の胸が痛い手前くらい揉みしだかれてることに今更気付いた
手のひらで転がされた敏感な先端は多分顔と同じくらい熱く尖っている
お腹の奥がぽうっとあったかい

寝間着を上にずらされて、普段なら首がくすぐったくって、きもちわるくなるところだけど、ひんやり外気に火照りが触れる心地よさでどうでも良くなってしまっていた
寝間着の下には何もつけてない、窮屈なのはあんまり好きじゃないから

「舐めてあげるね」

言葉の意味が脳みそを通過する
わからないままに左の胸を音を立てて吸われる
跳ねる腰に合わせて右手が差し込まれた、左手は荒々しく左の胸をまさぐられる
腰が浮かされて、私は早くもダメになりつつあった

女の子は優しく扱わないとダメなんていつも自分で言ってるし、普段は叩き込まれたレディファーストで私を優しくエスコートしてくれる彼
でも夜は最高に意地悪

熱い塊が足にに押し当てられる
存在感を主張されて、すごくドキドキする

シーツならぬ敷きパッドを弱々しくつかんで、声を我慢してると彼の左手がそっと添えられた

、、、私知ってる

どちらともなく導きあって彼の猫っ毛な髪にそっと触れる
彼の不器用な愛情表現と愛情確認の作業、かわいいなぁ、最近ちょっとこれ好き
指先に巻き毛をくるくるさせながらふわふわと撫でながら、自分の目が細くなるのがわかる
満足そうに彼の左手は私の右の胸に戻って行った、優しく先端をつままれて、甘噛みされて、そんな余裕はなくなっちゃったけど

じわりと全身に汗をかくくらい、とろとろにされた、され続けた
丁寧と言えば聞こえは良いのだけど、すごく、その、長いんだよね
、、、好きなんだけどさぁ、クタクタになるんだよ?好きだけどさぁ

むくりと起き上がって自分のティーシャツを脱いだ彼
覆いかぶさるように、肋骨とかお腹とかを優しくついばまれた、お腹の奥がヒクつく
それ以外は熱でぼーっとした、ほとんど無反応の私
腰を持ち上げられて、寝間着のズボンを脱がされる、されるがまま

下着つけてたら汚してたなぁ、なんてトロけた頭で考えてから、すっと彼が膝の間に
吐息が触れる、そんな暇なんてなかった

垂れ目気味の優しい顔立ちで、細身の体躯で
頭も良くって、明るい印象の彼だけど、実は本当にねちっこい、大好き、容赦ないけど

彼は私が本当は感じやすいって知らないから余計に

身体の内側の、粘膜の、体温同士の触れ合い
触られてもないのにかたく湿ってたそこを念入りに愛されて深く深く達してしまう
内腿に触れる柔らかい髪の毛も、、気持ち良くって仕方がなかった

腰からわき腹に彼の両腕が伝う
割と、その、控えめな、私の両胸はすっぽりと彼の手のひらの中に、強めに掴まれてもう痛みはなかった
自由になった私の両腕はもう彼の頭を撫でであげる余裕なんてなくしていた
気を利かせたのか、何処かに行ってたまくらをなんとか抱き寄せ、歯の隙間から漏れ出す自分のじゃないみたいな声をただただ抑えるのに必死だった

何度目だろう、跳ねそうな身体で考えていると
「ちゃんと気持ちよかった?」
心配性な彼は身体を起こしながら、こんなクタクタな私にこんな聞き方をする
、、、もちろん聞こえているけど、でも聞こえてないので反応なんてできやしない
上がる息を抑えられもしない私

何度目かもうわからない不意打ちでまた達してるのに、さらに彼の指先が私の内側の弱いところを撫でた
入り口付近のお腹側、ぷっくりと充血した私の弱点なんてもう知られてるもんね
ゆっくり中指と薬指を曲げられて息が吸えない

女性の内側というのは実はそんなに感覚が鋭くない、多分私のだけじゃないと思う
実際入れられた指の違いなんてわからないけど、絶対これは中指と薬指
、、、彼に舐めまわされながら、まくらを剥ぎ取られて口に突っ込まれたから私にはわかる

私のと違って大きくて骨ばっててかたくって、でも繊細なところもあって
男の人なんだなって思う
指でも舌をいじめられるなんて、昔は本当に思ってなかったけど

お腹側に指の腹でぐぐぐっと圧迫されながら、それだけでまた達しそうなのに、さらに同時に硬く充血した先端を唇と舌とで吸われてから、私はよくわからなくなった

「シーツ汚れちゃったねぇ」

何処か他人事みたい独り言
言葉の端にあの意地悪な笑みが浮かんでいる
強制的に行ったり来たりさせられた意識がパチパチする
暴れて振りほどいたから足の爪で引っ掻いちやったかもな、なんて横向きに寝ながら太ももの内側を伝う生暖かさと腰に漂う倦怠感

膝が遠くかんじる、腰も遠いなぁ

上がる息が整わない、そう思ってると

「いれていい?」

昔はこのまま寝かせてくれたりしてくれた
してくれたなんて言うと悪いなぁと思う
我慢させてしまった、なんて次の日にちくりと思ったりしたけど、逆に気にしないでなんて気を使われたりもした
嬉しい反面、もうちょっと強引でもいいのにな、なんて思ってた
上がりっ放しの息で、無言で必死に肯定を伝えたいけど

足首を優しくさする熱い手のひら

次は私の番という思いはあるけれど、そんなにテクニックなんて私は持ってない
なによりもうグニャグニャにされてしまってるし
鼻筋に伝う涙を感じていると、立ち上がる雰囲気と衣擦れの音

かすかに上がってる彼の息に嬉しいなぁなんて思う私もやっぱり少し変態だな
、、、そう躾けられてきたんだもん
遠い冷静な部分が、一人でやりあっていると腰の左右にあの熱い手のひらが当てられた

、、、細い悲鳴のような嬌声、他人事じゃないのだけど
惚けきった私でもすんなりとは彼を受け入れきれなかった
圧迫感は指の比じゃなくって、かき分けて奥まで突き立てられた彼をお腹の奥で感じる
また息を吸えないでいると

「大丈夫?痛くない?」

あぁ、やっぱりやさしいなぁ
完全に躾けられた私は再度無言で返す、言葉なんて出ない、ふるふると頷いて気持ちを伝える

彼の体重が私の一番深いところをぺっちゃんこにした
彼の吐息に満足感を得るわたし、そんな余裕はなくって、気を失いそうになる

敷きマットに噛み付いて、私は半ば叫びながらヨダレでグチャグチャにしながら
何度も何度も奥でイカされた
彼と敷布に挟まれて、逃げ場を失った体温が私を汗でも濡らした

時に両腕で後ろからがっしりと抱きかかえられながら、二人分の汗で滑らせて一番敏感な先端と胸を執拗にその器用な指先で虐められながら、さらには奥に突き刺さった彼の先端を私のお腹越しにグリグリと撫でられながら彼は全然休んでくれない
最後のは本当に鬼畜だと思う、つまり大好きなんだけどね

いつも最後は泣きながら前からして欲しいと、私はねだるらしい
、、、前からして欲しいとは言ったのは覚えてるけど、泣いてたのかなぁ

頑張って細いひも一本分くらいの意識をつなぐ、落ちたら彼に何されるかわからないから
、、、嘘、ちゃんと私で気持ち良くなっているのを見てたいから

何度目かのおねだりで、彼は身体をゆっくり起こしてくれた
背中を外気が舐めて私はまた達してしまう
彼は少し乱暴に足首をつかんで、奥にグリグリと押し当てながら私の身体を軽々と回す
、、、体格差あるけどさぁ、変なところ擦れて、もう変な声も出ないよ?

背中に敷いてしまった髪の毛をはらわなきゃ、なんて思ってるとまたひょいと身体を持ち上げられる、もちろん彼を受け入れたままで

、、、自分で自分の肩を抱いてまた情けなく達する私をきっとあの目で見てるんだろうな

ほどけてどっかにいっちゃってたシュシュを渡してくれたので、自分で髪をもう一度結うことにする
大丈夫、それくらいできる

、、、でも正直油断してた
中腰で彼にしがみつこうとしたら、彼は下から私を突き上げた、あの笑顔で
髪なんて結えるわけなんてない

中腰の足首をしっかり掴まれて、もう何もできない私は激しく突き上げられてまた達してしまう
たまらず後ろに尻餅を着くと汗やらなんやらですっかり薄くなったからか、私の中から彼が少し間抜けな音を立てて抜けてしまった
お腹の奥が驚くのに耐えられないでいると、優しく抱きしめられながら後ろに倒された、ちゃんと枕のうえに
髪は結えなかったけどちゃんとどけてくれていた

せめてもの抵抗に睨みつけてやろうと思ったけど、そんな暇もなく再び奥まで差し込まれた
太ももを抱えられて少し腰が浮かされてる

「じゃぁそろそろいいかな?」

待ってと言える間も無く、さっきまでのと違う、すごい自分勝手な動き、でも悪くない
入り口から奥まで、激しくかき混ぜられながら、私は快感混じりの別の満足感を味わっていた

彼の息が荒くなるのを感じていると

「どこに出したらいいかな?どこに出されたい?」

大丈夫な時はいつでもそのままで、そう答えるのだけど
彼は避妊のつもりではなく、ただ私に掛けたいという欲求があるのだといって中にくれないことも多くて困る
、、、髪にかかると大変なんだよ?

、、、あなたはどこで出したいの?

「じゃぁ飲んで欲しいな、いやじゃなければ」

ズルい、そんなお願い、ズルい
返事の代わりに目をつむり口を開けて答える、やっぱり私躾けられてる

何回目の深い往復の後、奥にいっぱい押し付けられて抜かれた

、、、絶対ワザとだ
首を伸ばして受け取りに行ったのに
ヨダレと汗でもうドロドロになってるのに

「だって不味いでしょ?」

やっぱり全然優しくない

そのあとティッシュ箱を取り上げられたり、なんだかんだ意地悪されて、やっと顔を綺麗にできた
余韻に浸りながら、でも口をゆすぎたいなぁなんて思ってると寝間着をしっかり着替えた彼が横に来て最後の不意打ち
、、、彼のが口にまだ残ってたのに

今日一番の優しい優しいキスでした


おわり

うれしいな、反響あると
読んでくれてほんとありがとう!

ごめんなさい、特に意味は無いのです
トリップつけたほうが良いのかなぁなんて思ったのだけど、自意識過剰かなと思って間を取ってコテだけ

明日投下用にtest

ごめんなさい、sage忘れ

割れてたのでこっち

別の日

散文詩の形態で

ちょっとだけベタベタしたくなった
腕枕の上でぐりぐりと頭を、見た目よりは厚かった彼の胸板に押し付ける
ふんわり優しい右手が降りてきた
頭撫でられるの好き

同棲してた頃からずっと、彼は私の髪の担当
機嫌が良いと乾かすのも手伝ってくれるし
お湯だけの優しいすすぎ洗い、指の腹でのマッサージ、至福の時間ってこのことだと思う

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年01月29日 (月) 15:48:48   ID: SeoX7amD

続き落とせないうちに落ちちゃった残念

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