八幡「あんだよTUTAYAは店員さんと話さなきゃいけないから怖いってあんなに嫌がってたのに、結局映画借りれたのか？」


材木座「ふふん、甘いぞ八幡。　これは我と映画研究部の合同合作の超力作映画なのだっ！」


雪ノ下「パッケージまで作ったのね・・・。　これは今までのと違って本気、ということかしら？」


材木座「い、いや今までのも本気・・・なんですけど・・・。」


八幡「でもなんでまたお前が関わることになったんだ？」


材木座「それがな、早いところ新作を作り上げなきゃならんという事だったのだが、脚本係が急病で倒れてな、困っていたところを我が助太刀したわけだ！」


由比ヶ浜「でもうちの学校の映画研究部ってすごくレベル高いはずだよ？　特にホラーの演出が凄いって・・・」


八幡「ふーん、まあ長ったらしい作文読ませられるよりは楽かもな。　どうするんだ部長？」


雪ノ下「そうね、忌まわしいけれど忌み谷君の言うとおりだわ。　それに依頼人を無碍に帰すわけにもいかないし、受けましょう」


由比ヶ浜「さっすがゆきのん！　でもどこで見るの？　うちDVDプレーヤーないし・・・」


雪ノ下「そうね、では私の家で鑑賞しましょうか。　テレビも大きいし比企谷くんも、離れていても見やすいと思うわ」


八幡「優しさに見せた残虐な仕打ちしようとしないでくれる？　じゃあ俺はいかねーよ」


由比ヶ浜「え、そ、それはちょっと困るかなーなんて・・・」

八幡「なんだよホラー映画より俺の存在のほうが怖いから隣に居て欲しいってか？」


由比ヶ浜「卑屈すぎだしっ！　でも怖くないかもしれないのは本当・・・かも・・・」


雪ノ下「ま、まあ一人だけ取り残すのもかわいそうだし、特別に同行を許可するわ」


八幡「へーへーありがとうございますっと、じゃあいくか」







材木座「・・・・・・リア充爆発しろ！！！！」

八幡「あいかわらず広い部屋だな」


雪ノ下「あまり見ないでくれるかしら？　目を閉じていて頂戴」


由比ヶ浜「じゃああたしがヒッキーの目になるよ！そこ右に曲がって！」


八幡「・・・いたっ！」


由比ヶ浜「あははっ！　ヒッキーマジ正直者過ぎるしっ！」


八幡「・・・もう帰る」


雪ノ下・由比ヶ浜「待って（くれるかしら）！」


八幡「な、なんだよ急に大きい声出すなよびびるだろ？」


雪ノ下「あなたここまで来ておいて帰れると思っているの？」


八幡「雪ノ下、それ完璧ラスボスの台詞な？　いや逆に似合ってるが」


由比ヶ浜「お、女の子だけでホラー見させるとかありえないしっ！　まじサイテー！」


八幡「大丈夫だ、お前の隣にはラスボスこと雪ノ下さんが控えている、怖がることはないだろ？」


雪ノ下「え、ええもちろん怖いはずなんてないわそもそもたかが映像に臆するなんて発想が比企谷君らしくて滑稽ね、さらに学生が製作したレベルのものなんて悪いけれどなんとも思わないもの。」


由比ヶ浜「ゆ、ゆきのん・・・」


雪ノ下「それにまず・・・・・・ぜ、ぜんぜん怖くなんてないのだけれど、比企谷君も部員なのだから観て行く必要があるの、分かったら早く席に着きなさい」


八幡（大丈夫かこれ？）

～～～～～～～～～～

＜ぎゃぁぁぁぁぁ！！

由比ヶ浜「ひゃああああ！！！」がしっ



雪ノ下「・・・」ぷるぷる




八幡「えーっとお二方？　まだ始まって２０分ですけど、しがみつきすぎじゃない？」


由比ヶ浜「だ、だってこれ怖すぎるし！　ヒッキーは怖くないの！？」



八幡「俺はほら、鏡で自分の顔見てるし？」


由比ヶ浜「いうほど変な顔してないのに・・・」ぼそっ


八幡「なんか言ったか？」


由比ヶ浜「な、なんでもない！」

八幡（まあまだ由比ヶ浜はいい、しっかり鑑賞を続けている。
　　　だが雪ノ下はもうなんかやばい。　俺にがっしりしがみついておきながら小さくぷるぷると震えていらっしゃる。　なにこれやばいかわいい）


八幡「ゆ、雪ノ下大丈夫か？」



雪ノ下「な、なにがかしら？　私はいたって正常だけれど」



八幡「映画観るより俺にしがみついていたほうが良いって時点でもうやべーよ。　休んでるか？」



雪ノ下「あなた、さすがに卑屈すぎると思うのだけれど・・・。　でもそうね、少し気分が良くないから休ませてもらうわ。　ごめんなさい」



八幡「いいよ、別に」



雪ノ下「いえ、由比ヶ浜さんに言ったのだけれど。　こんなむさい男と二人にしてしまってごめんなさい」



由比ヶ浜「そんなことないよ！　ゆきのんはゆっくり休んでて！　私がばっちり見てるから！」



雪ノ下「ありがとう、そこの男に何かされたらすぐに叫ぶと良いわ、１１０を押したまま待機しているから」



八幡「・・・やっぱかえｒ」



雪ノ下・由比ヶ浜「だめだし（よ）！！」


八幡「・・・」

八幡「お前も無理しなくていいんだぞ？」


由比ヶ浜「や、ぜんぜんしてないよ？　むしろ嬉しいっていうかなんていうか・・・？」



八幡「お前ってこういうの好きだったっけ？」



由比ヶ浜「と、隣に居るのはきらいじゃない・・・かも・・・///」



八幡（こいつ・・・何か勘違いしてないか・・・？
　　　俺は映画の話をしていたんだが・・・何これ超恥ずかしい！！）


由比ヶ浜「ひ、ヒッキーはどうなの！！」


八幡「な、何がだよ？」



由比ヶ浜「隣にあたしが居てもその・・・邪魔じゃないのかなーなんて」

八幡「・・・正直、迷惑じゃない。　全くな」


由比ヶ浜「え・・・それって・・・」


八幡「でも俺も男だ、こう密着されてると意識してしまう部分もなくはないわけでだな・・・」


由比ヶ浜「・・・あ、あたしは叫ばないよ？」


八幡「へ？」


由比ヶ浜「も、もしだよ？　ヒッキーがこの映画の中の人みたいにあたしを襲ってきても・・・叫ばない・・・よ？///」


八幡「も、もしも・・・な。　俺ももしも映画の中だったらお前のことを襲っているかもしれないな、なんて・・・」


由比ヶ浜「それは、現実にはならないの・・・？」


八幡（う・・・そんな上目遣いで見られたら、嫌でも意識してしまう・・・。
　　　怖くてしがみついていたからか上気した顔と少し赤くうるんだ瞳、恐怖か興奮か荒くなった息遣いは俺に甘ったるい香りを運んでくる）


八幡「映画・・・観たいか？」


由比ヶ浜「あ、あたしは現実のほうがいいかな・・・？」


八幡「じゃあ・・・もっとよく見てみるか？」


由比ヶ浜「うん・・・」


八幡（最初にこの部屋に入った時のことを思い出してしまう、私が目になるとか言いながら俺を柱に激突させた張本人は今自らその目を閉じ、こちらに主導権を預けている。
　　　美しい、そう表現するほかないだろう今の由比ヶ浜をそっと抱き寄せ、左手を後頭部に添えて誘導してやる。　嫌がることなくこちらに顔を近づける由比ヶ浜に俺は・・・。）



―――キスをした。

八幡（どれくらいキスをしていただろうか。　まだ由比ヶ浜と繋がっていた感覚は、ほのかな熱と共に確かに俺のくちびるに残されている。
　　　そして何より決定的なのは・・・。）


由比ヶ浜「――！　―――！///」


八幡（目の前で真っ赤になって悶えている由比ヶ浜が居ることだ）


八幡「ゆ、由比ヶ浜・・・その、どうだ？」


由比ヶ浜「え、えーと・・・よかった、よ？」


八幡「そ、そうか・・・もう一回してみないか？」


由比ヶ浜「・・・うん///」


八幡（今度は由比ヶ浜が近くに居るため抱き寄せる必要はない、だがその代わりに押し倒す形になってしまう
　　　苦しくないように気を使いながらも由比ヶ浜と唇を合わせる。
　　　今度はもっと強く、求め合う。
　　　離すと同時に酸素を求める口を強引にふさぎ、舌を挿れてみる。
　　　苦しいのか、由比ヶ浜はさらに俺を締め付けてくるが、やめない。
　　　限界というところで口を離すと、透明な粘液が二人の間から糸を引く。）


由比ヶ浜「はあっ、はあっ・・・ヒッキーもっと・・・///」


八幡「いいのか由比ヶ浜？　もう加減できそうにないんだが・・・」


由比ヶ浜「いいよ・・・映画みたいにあたしを襲って？///」


八幡「・・・ああ」