にこ「夏の肝試し!にこ☆」 (52)
「きゃあーーー!?」
静かだった森の中
突然絵里ちゃんの叫び声がこだまする
その絵里ちゃん本人は――――
にこのすぐ隣―――――ていうかにこにしがみついてるの
※人によっては不快に感じる内容が含まれる可能性があります。ご注意ください。
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「む、無理……!もう無理っ!」
にこにしがみついて、フルフルと震えていて
μ'sのクールビューティー担当の面影は微塵もないわ
「大丈夫。きっと木の枝がカサカサって揺れただけにこよ?」
このセリフ何回言ったのかな
でも、絵里ちゃんって
「そ、そうね……!気のせいよ。気のせい」
ぶつぶつ自分に言い聞かせて、気丈に振舞ってる
意外に単純♪
もう、にこがいないとダメなんだからー☆
――――――――――――――――
――――――――
――――――――――――
「それじゃあ――――肝試ししよかー?」
合宿初日の夜
皆で作ったカレーライスを美味しく食べた後
希ちゃんが、当たり前のように肝試しを提案したの
「い、いやよっ!」
真っ先に反対したのは絵里ちゃんで――――
続いて、海未ちゃん花陽ちゃん真姫ちゃんが反対ー!って
そして賛成派は、希ちゃん穂乃果ちゃんことりちゃん凛ちゃん
賛成4人反対4人
にこが決定権を持つことになったにこ
うーん、って悩んでいる風に見せているけど
心の中では既に決めてるの
にこにーはー
もっちろん楽しくて面白いのがだーい好きだから
肝試しさんせーい!
にこの賛成票で、絵里ちゃんと花陽ちゃんが力なく崩れたけど気にしないにこー
2人1組のペアが4組で、希ちゃんが驚かす係り
肝心のペアはくじ引きで決めることになったのだけど
いいリアクションをしてくれるのなら誰でもいいかな
強いて言うなら、真姫ちゃんか絵里ちゃん
驚かしがいがあるにこ
え?
にこは驚かす側じゃないって?
でもでもー
怖がっている人って弄ってみたくなるでしょ?
支障のない程度に弄って、にこはにこの肝試しを楽しむにこー☆
――――――――――――――――
――――――――
――――――――――――
「いやああぁぁーー!?」
またまた絵里ちゃんの絶叫
絵里ちゃんの怖がりようが尋常じゃなくて
にこが驚かす暇なんてなく、数歩進む度に叫んでもう大変!
「い、今人影がゆらって‥!?」
顔をにこの胸に埋めて、森の奥を指さす絵里ちゃん
指の差された方を見たけど――――何もない
「何もいないにこよ?」
こころやここあをあやすように絵里ちゃんの頭をナデナデ
あーもう可愛い☆
にこって、こういう小動物大好き
なんていうのか
守ってあげたくなるって言うの?
にこががんばらなくちゃー!ってなっちゃう
だからもう今日は驚かすのはお休み
今更で本当に申し訳ないのですが、SIDにこで書いてます。
「もうやだ……帰る……」
ああ、絵里ちゃんがぐずりだしちゃった
「もう半分まで来てるからもう少しにこよー?一緒に頑張るにこ」
ナデナデ
やさしく頭を撫でながら諭す
「でも……」
「今から帰っても誰もいないし、それならゴールして皆で帰った方が怖くないにこよ?」
そう――――
合宿所は今誰もいなくて
希ちゃんはもちろん皆は全員この森の中
森を突っ切ったらお昼に練習をした小さな広場があって
そこがゴール
ゴールまでしか聞いてないから、そこで皆と合流して終わりだと思う
希ちゃんがなにもしなければ――――
2、3分くらい考えて
小さな声で、行くって
ああもう、今日の絵里ちゃん可愛い☆
ずっとこんな感じでもいいにこよ?
クォーターで綺麗で美しくて頭も良くて
だけどとっても怖がりの小動物系アイドル
うん――――とっても素敵☆
μ'sのキュート枠はにこのモノだけど
この絵里ちゃんなら譲ってもいいかも☆
まぁ、簡単に譲る気はないけどー
フルフルと産まれたての小鹿のように脚を震わせながら立ちあがる絵里ちゃん
何もいない、何もいないー。って自分に言い聞かせてながら
にこの腕をぎゅ、って
「きゃあーーー!?」
遠くから悲鳴
あの声は………きっと、ことりちゃんと花陽ちゃんにこ
くすくす。皆楽しんでる楽しんでる
がさがさ
がさがさ
茂みががさがさ蠢いている
気のせいとかじゃなく―――――何かいる
ど、動物だよね?
今まで叫んでいた絵里ちゃんは――――
叫ぶのも忘れてにこの腕を今までより強くぎゅーっと握って
「何もいない何もいない」
ぶつぶつ繰り返す
がさっ!
茂みから飛び出した―――――
「あれ?にこちゃんと絵里ちゃんだー」
穂乃果ちゃん
頭に葉っぱがついているにこよ
「な、なんだ……。穂乃果ちゃんだったの。驚いちゃったにこ」
よかった
もし幽霊とかだったらどうしちゃおうかと思ったにこ
穂乃果ちゃんが右手で頭を掻きながら
「ごめんごめん。そうだ。にこちゃんたち真姫ちゃん見てない?」
「途中ではぐれちゃって…」
あらら
真姫ちゃんはぐれちゃったの
可哀想
こんなところでひとりきりなんて
にこにはとても耐えられないにこ
「ううん、見てないにこよ」
「絵里ちゃんは見かけた?」
腕にしがみついていた絵里ちゃんに聞いてみる
反応がなくて
絵里ちゃんを見てみると失神してたの
そう言えばさっき力がふっと抜けてたようだったけど……
にこも真姫ちゃんを探そうとしたのだけど
絵里ちゃんがこんな状態だし
真姫ちゃんは穂乃果ちゃんに任せるにこ
もちろん途中で見かけたらちゃんと保護するけど
それまでは穂乃果ちゃん、お願いね
穂乃果ちゃんと別れて
とりあえず絵里ちゃんを切り株に座らせる
軽く頬をぺちぺち叩いてみたけど
起きる気配はまったくないにこ
うーん
とりあえず、絵里ちゃんが目を覚ますまでここで待つしかないにこね
それにしても………
絵里ちゃんのほっぺをぐいー、っとつまむ
ふふっ、可愛い☆
にこが絵里ちゃんで遊んでいると
不意に、背後から感じた視線
はっと、振り返るとそこには―――――
学校とかに置いてある人体模型が
あら?
こんなところにあったっけ?
それにしても、こんな森の中で人体模型って……
希ちゃん、もうちょっとひねった方がいいにこ
確かにちょっと怖かったけどさ
「にこ……ここは?」
再び背後から声
「あ、絵里ちゃん目が覚めたにこ」
思ったより早いお目覚め
よかった♪
空気を読まない希ちゃんの人体模型攻撃でちょっと怖かったの
話相手が出来て少し安心
とりあえず真姫ちゃんが穂乃果ちゃんとはぐれた事を絵里ちゃんに話す
「そう、ね……。肝試しは中止にしましょう。もし、真姫ちゃんの身に何かあったら大変だわ」
急に冷静になった絵里ちゃん
頼りがいがあるっていうか。さっきまでとのギャップがあるっていうか―――
なんか少しドキッてしちゃった☆
って、そんなことしてる場合じゃないにこ
携帯は希ちゃんに預けてるから
一度ゴールしないといけないにこ
絵里ちゃんと、簡単に打ち合わせをして―――――
にこが絵里ちゃんの手をしっかり握っていざ出発
打ち合わせって言っても、絵里ちゃんが目をつむって
にこが引っ張るっていう簡単なもの
絵里ちゃんが怖がらないように、にこが鼻歌を歌ってるの
こんな簡単な作戦なんだけど意外や意外
さくさく進んじゃった
少し歩くと、ちょこっと広い道に出る
あれ、ここって――――
確かお昼に花陽ちゃんが転んだ場所にこ
だとすると広場までもうすぐね
「絵里ちゃんもう少しで広場にこ」
更に少し歩くと、遠くから聞き慣れた話し声
この声は――――希ちゃん
「絵里ちゃんゴールにこ!」
絵里ちゃんの手をしっかり握ったまま駆け出して
希ちゃんの元へ――――
「あ、にこちゃん早かったね!」
そこにいたのは
希ちゃんと穂乃果ちゃんと――――真姫ちゃん
「あれ?真姫ちゃん見つかったんだ。よかったにこー」
にこの言葉で、皆が不思議そうな顔をしたの
「見つかった……?何がよ?」
「え、穂乃果ちゃんと途中はぐれたんでしょ?」
「そんなことないわ。むしろ穂乃果ちゃんが手をぎゅーって握って大変だったわよ」
あれ?
なんかさっき穂乃果ちゃんが言ってた事と違う
「穂乃果ちゃん、森の中で真姫ちゃんとはぐれたって言ったよね?」
「ううん。言ってないし、にこちゃんとも会わなかったよ?」
どういう事……?
まったく話が見えない
頭の中がグルグルグルグル
脳をフル回転させてみたけど、どういう事なのか全く分からない
「ぶぅー。希ちゃん、何もなくてつまらなかったよー」
「あはは、今回のテーマは「シンプルイズベストな肝試し」ってことやから何も仕掛けてなかったんよ」
「でも、穂乃果ちゃんには不評やったんか。次回はひねったやつするから許してな?」
何も仕掛けてない?
わからない要素がまた一つ増えちゃった
「希ちゃん。その、人体模型とか……置いた?」
「人体模型?そんなん置いてないよー。森に人体模型とか合わないし」
「で、でも!森の中で人体模型見たにこ!」
「おや?そんなんでウチを騙そうとしてるん?まったく、にこっちは嘘が下手やなぁ」
くすくす笑う希ちゃん
でも――――確かに
そうだ!
多分絵里ちゃんも見ているはず
「そうにこ!きっと絵里ちゃんも見ているはずにこ!」
振り返って絵里ちゃんの同意を求めようとしたんだけど
振り返ると誰もいない
さっきまで一緒だったのに
「あれ…?絵里ちゃん?どこ行ったにこー?」
「絵里ちゃん?にこちゃんひとりで走ってきたじゃない」
「そうそう、にこっち。エリちはどうしたん?もしかしてはぐれたとか?」
違う
違う違う――――
にこは、穂乃果ちゃんと会って、真姫ちゃんとはぐれったって聞いて
人体模型に少し驚いて、絵里ちゃんを引っ張ってここまで――――
両手で頭を抱えて、必死に今まであった出来事を整理する
すると後ろか
「ほら、ゴールですよ絵里」
海未ちゃんの声と絵里ちゃんのすすり泣く声
にこね
恐る恐る振り返ったの
そこには――――
海未ちゃんと凛ちゃんに連れらてた絵里ちゃんがいて
海未ちゃんがにこを見つけると
「にこ。絵里が森の中でひとり泣いていましたよ」
って
一度深いため息をついて
「絵里から聞きました。ひとりで鼻歌を歌いながらどこかに歩いて行ったそうではないですか」
「まったく、どこで何をしていたのですか」
海未ちゃんがそう話していた気がする
でも途中でクラッて――――意識が飛んだからよく覚えてないの
意識が飛ぶ瞬間
脳裏によぎったひとつの疑問
それは――――
にこが手を握って引っ張っていたのは誰?
おしまい
最後まで読んでいただきありがとうございました。
にこえりって予告していたのに、にこえり要素があったの最初だけでした。申し訳ありません。
そして、SID設定ってのも最初に書くのを忘れていました。そちらも申し訳ありませんでした。
次回はのぞえりっぽいもので、その後はのぞまきか、にこまきの予定です。
SIDはカタカナで「ニコ」なんだよなぁ
>>51
SIDでは「ニコ」ですね。
「ニコ」と「にこ」
どっちが読みやすいかな、って考えた結果馴染みのある「にこ」にしました。
このSSまとめへのコメント
シンプルで王道な流れだけど最後背筋ゾクッとした!(・_・;)
文章巧い!
最後ゾクッとしたww
面白かったです!