エレン「っぷ、うぼ……ぷぁ……や、やめろ!なんで顔面を手で拭うんだ!」
ミカサ「口に食べかすがついてるから……」ンフー
エレン「まだ食堂入ったばっかりだろ!せめてハンカチっぷあ、うにゅ……やめ」
ミカサ「……」ンフーンフー
エレン「ん、や……くあ、やめ、ふふ、んあ……んふふ、や、んふふふふ」
ミカサ「……」ンフー……ンフフフフフ
アルミン「……二人共変なツボに入っちゃてるね。楽しそうでなによりだけど、
早くしないと三人で座れるとこなくなるよ」
ミーナ「エレ~ン、ここ席三つ空いてるからおいでよ!今ならなんとアニも
ついてるよ!」
アニ「ミーナ、あんたねぇ……」
エレン「ふ~……おぉ!すまんな、助かる!」
ミカサ「ミーナ、こういう時は私かアルミンを呼ぶべき。エレンといえど思春期。
名指しされるだけで勘違いしかねない」
ミーナ「ん~?案外勘違いじゃない……アニ、その前髪よけて睨むのやめて?
あとミカサ近い近い。無言で覗き込まれるのも……近い近い近い近い!!」
アルミン「僕も一応思春期なんだけどな……ミカサ、ミーナなりの冗談だから
真に受けちゃ駄目だよ。ほら離れて」
エレン「アルミンも大変だなぁ。……パン固ってぇな」
アルミン「人事だなぁ、もう。ん?あれ……」
「食事中失礼するぞ。若き兵士達よ」
コニー「……誰だ?知らないと教官にぶっ飛ばされそうな空気を感じるぜ……」キリッ
ジャン「何カッコつけてんだよ。あの方は」
アルミン「ドット・ピクシス……トロスト区を含む南側領土を束ねる最高責任者
であり、人類の最重要区防衛の全権を託された人物」
ミカサ「アルミン、急にどうしたの?何処見てるの?誰に言ってるの?ジャンいじめなの?」
アルミン「そして……生来の変人としても知られている……」
エレン「おい、結構失礼なこと言ってるぞ。……アルミン?アルミン!」ユサユサ
ミーナ「何気に呼び捨てにしたよね。あ……」
ピクシス「今期の訓練兵はなかなか個性的な者が多そうじゃの」
アルミン「……?……は!?し、失礼しました!!」ガタッ
ピクシス「よいよい。皆も楽にしてよいぞ。ちょっとした通達じゃ」
ライナー「司令が直接?おいおい……厄介ごとの予感がするんだが」ボソ
ピクシス「そこのでかいの、心配せんでも明後日からの訓練のことじゃよ。
ちょっと若者の様子を見たくての、キースに頼んだんじゃ」
ライナー「き、聞こえ……いえ、失礼しました!」
ピクシス「でじゃ、先ほど言ったように明後日からの訓練は夜間に行う。
急ですまないの。調査兵団の都合が先ほどついての」
マルコ「調査兵団?」
ピクシス「うむ。何名か日替わりでお主らの訓練に付き合って貰う為じゃ」
エレン「……っ!調査兵団の人達と訓練、滾るな」
ピクシス「お主らも知ってるように、巨人の大半は夜間の活動が鈍くなることから
調査兵団は夜間の移動にも慣れておる。極力戦闘は避けたいからの」
ベルトルト「……」
ピクシス「ほとんど光が無いなかでの移動はなかなか骨が折れるぞ。しかし、
現役の精鋭達じゃ。学べるところも多いじゃろうて。皆の者励むように」
104期訓練兵団「「「「「ハッ!」」」」」
ピクシス「と、そうじゃの。何せ急じゃからの、準備と体調を考慮して明日は
休暇じゃ。存分に満喫してくれ。それでは夕食の続きを。邪魔したの」
104期訓練兵団「「「「「ハッ!」」」」」
エレン「う~ん、夜間の訓練ならそれに体をあわせないとな。今日は夜更かしが
できるっていうか、しないといけないな」
アルミン「さっき教官に聞いてきたんだけど、今日はずっと食堂使っていいって。
部屋に帰ると寝ちゃいそうだから、ここで話でもしようよ」
エレン「相変わらず手際がいいな。なあ、ライナー達もどうだ?」
ライナー「もちろんいいぞ。部屋にいてもすることないし、絶対寝るからな」
ベルベルト「そうだね、今日の訓練も疲れたからね」
コニー「なんか楽しそうだな。俺たちも混ぜてくれよ」
エレン「おう、語りつくそうぜ」
マルコ「ははっ、なんか眠気覚ましに飲み物持ってくるよ。ジャン、手伝って」ガタッ
ジャン「……ッチ。仕方ねぇな」ガタッ
アルミン「ジャンが変な意地張る前に先手を打ったね。僕も見習わないと」チラッ
エレン「あ?なんだよ、その目は。このキューティクルヘアめ!うははは」ワシャワシャ
アルミン「うわ!やめてよ、ふふふ」
ライナー「……なんだお前ら、気持ち悪いな。ホモなのか?俺も混ざったほうがいいか?」
ベルトルト「なんでもうナチュラルハイになってるんだ、ふふ」
コニー「……なんか、あっちからミカサがすげぇ凝視してるんだがお前ら平気なの?」
エレン「ん?ああ、あいつらもここで語るのか。あれはミカサの癖みたいなもんだ。
気にすんな」
アルミン「癖って……ちょっと疎外感を感じちゃったかもね。あとでフォローしとくよ。
エレンもだよ」
エレン「わかってるよ。あいつ俺のこと子供扱いするくせに、あいつの方が子供なんだよな。
今度久しぶりに、マフラー巻いてやろう。それで機嫌治るだろ」
コニー「それで治るのか……しかしお前らホント仲良いよな。
エレンも何だかんだ言ってもミカサのこと気にかけてるし」
アルミン「幼馴染だしこんなもんじゃないの?エレンとミカサはちょっと特別な関係だけど」
ジャン「おい、それはちょっと聞き捨てならんな。家族って意味だよな?答えによっちゃ
この激辛スープルーレットの選択権は最後になる」
ライナー「激辛スープだと?紅茶とか無かったのか?」
マルコ「うん、女の子達に先越されちゃってティーポットも葉っぱも独占されちゃったよ。
あ、辛いスープは一つだけだから、ちょっとしたゲームだ」
ベルトルト「なんかオチが見えた気がするよ……」
ジャン「で、どうなんだよエレン。ミカサは俺が貰っていいんだよな?」
エレン「は?ヤダよ。なんでお前と身内にならないといけないんだよ。俺このカップな」ヒョイ
ジャン「あ、テメッ!順番……」
ライナー「俺はこれだ」ヒョイ
アルミン「僕はこれかな」ヒョイ
コニー「んじゃ、これ」ヒョイ
ベルトルト「それじゃこれで」ヒョイ
マルコ「まぁ、残り物には福があるよ」ヒョイ
ジャン「」
―――――
ミカサ「エレンとアルミンが戯れてる。……楽しそう、やっぱり私もあっちに行こう」
ミーナ「まあまあ、こんなこと滅多にないんだし、女子だけでお喋りしようよ。
ミカサの恋話とか聞きたいな?」
ミカサ「エレンのことなら、一昼夜話すことだってできる!」
アニ「」ピク
クリスタ「」ピク
ミーナ「あはっ、それは頼もしい。それじゃいろいろ聞かせて貰おうかな?好きな人の
ことなら喋りたいし知りたいものよね」チラ
アニ「…………ふん」プイ
ユミル「ミーナ、ほどほどにしてくれよ。うちのクリスタちゃんにはまだ早い。
な~クリスタ~」ギュ
クリスタ「え!?うん、どうだろう……あはは」
サシャ「ふんふん、なるほど……ミカサってやっぱりエレンと特別な関係なんですね」
ミカサ「当然。私とエレンの絆は」
クリスタ「サシャ、家族って意味よね?」
ミカサ「」
サシャ「どうでしょう、あちらの会話を聞いた限りでは、ジャンがミカサと恋仲に
なろうとしたのをはっきり拒否しましたが。う~ん」
ミカサ「エレンが守ってくれた……守ってくれた!」ユサユサ
ミーナ「う、うん。そうだね……あのミカサ少し落ち着……うあ~うあうあ」ガクガク
アニ「サシャ、はっきりしな。それは家族って意味でしょ?」
サシャ「なんか圧がすごいですね……まぁ、ジャンと身内になるのが嫌って言ってましたからね。
断言はできませんけど」
ユミル「しかし、お前よく聞こえるな。とてもじゃないが、この距離じゃ聞き分けることなんて
できねぇよ。あ、ジャンがなんか噴き出した」
サシャ「ここに来る前は、狩猟を生業にしてましたからね。音を聞き分けることは得意なんですよ。
もちろん耳がいいというのもあると思いますが」
ミーナ「……ふぅ。何にしてもすごいね。今はどんな話してるの?」
サシャ「そうですね、ジャンをイジってますね」
ミーナ「ふ~ん、そっかぁ……」
ミカサ「……」
アニ「……」
クリスタ「紅茶おいしいね」
サシャ「……う~ん、お?エレンの好きな女性のタイプの話になりました」
ミカサ「!?」ガタッ
アニ「!?」ピク
クリスタ「!?」ピク
ユミル「おまえら……」
―――――
エレン「ふはは、きれいな霧だったぞジャン!なんなの芸人なの?うひひ」
ジャン「かっら!おまっエレ……かっら、嘘だろ何これ……かっら……かっら!!」
ベルトルト「わ、わかったから、そんな必死に伝えて……こない、で……くく」
ジャン「いやだってこれ、あれだぜ?あの……かっら!!も、かっら!!っかぁ!!」
コニー「あの、なんだよ。っかぁ、じゃねぇよ。ベルトルトがツボに入ってプルプル
してるだろ」
ライナー「……なあなあ、あっちに女達がいるだろ?ていうか、クリスタがいるだろ?
なんかチラチラ俺を見てくるんだが、結婚していい?」
アルミン「何言ってるんだ、ライナー。あれは僕を見てきてるんだよ。結婚していい?」
エレン「何だよそのノリ。にしてもお前らクリスタ好きだよな。女神、天使って他の奴ら
もすごいし、あいつモテてんなぁ」
ジャン「んくはぁ~……俺はミカサ一筋だけどな!」
エレン「聞いてねぇよ馬鹿!ミカサはやんねぇよクソ馬鹿!!」
ジャン「んだとこらぁ!てめぇ何の権限があって……」
ライナー「はいはい、やめとけって。それでエレン、ミカサとの事については嫌ってくらい
聞かれてるだろうからもういい。でも好きなタイプぐらいないのか?」
エレン「う~ん……わかんねぇ」
アルミン「エレンは巨人一筋だからねぇ……あとミカサが近すぎて女の子と接する機会が
少なかったからピンとこないんだよ」
ライナー「あ~じゃあなんだ、気になる奴とか。……クリスタは許さんぞ」
エレン「なんだそりゃ。クリスタはかわいいとは思うけど……気になる奴っていったら、
アニかなぁ。なんとなく」
ベルトルト「へぇ、でもなんとなくわかる気がする。対人格闘訓練よく一緒にやってるもんね」
エレン「あ、クリスタをかわいいって言ったけど、容姿に関しては……」
―――――
ミーナ「サシャ、エレンは何て言ってるの?何気に私も気になるな」
サシャ「えっと、エレン曰くですねジャンに対し、ミカサはやんねぇよっと力強く言いました。
これ二回目ですよね」
ミカサ「大事なことだからっ……大事なことだから二回言ったの!」ハウッ
ユミル「乙女ミカサ、感極まる。くふっ」
アニ「……チッ」
クリスタ「……ムゥ」
サシャ「そして好きなタイプはわからないみたいです。でも気になる人はいるみたいですね。
むふ、聞きたいですか?」
ミーナ「もう!もったいつけないでよ。ミカサがヘブン状態のうちに!早く!!」
サシャ「は、はい。それは……アニです!あ、クリスタのことはかわいいと……ンン?」
アニ「……ッ!……ッ!!」グッグッ
ミーナ(コブシを二回握ったね、アニ。隠しきれてないよ、顔ひくついてるし。んふふ)
クリスタ「あう……よろこんでいいのかな……」
サシャ「ほうほう……仕方ないですね。聞くだけ聞いてあげましょうか。フーッ」ガタ
ユミル「あ?イラっとする顔だなおい。どこ行くんだよ」
サシャ「エレン達の所ですよ」
―――――
エレン「容姿に関してはサシャだな。あいつ美人だしスタイルもいいだろ。
これって好きなタイプになるのか?」
コニー「なるんじゃねぇの?俺もそう思うしな。見た目は、な」
マルコ「そうだね、結構な逸材だと思うよ。見た目は」
ジャン「その結構な逸材さんがこっちに来てるぞ。なんかイラっとする顔で」
サシャ「エレン、来てあげましたよ。さあ、思いの丈をぶつけていいですよ」
エレン「は?……ああ、なんだお前らも混ざりたいのか。俺はいいけどみんなどうだ?」
アルミン「もちろんいいよ。むしろ大歓迎……ていうか、もう女の子達こっちに来てるよ」
ミーナ「サシャ、急にどうしたの?あ、イラっとする顔だ」
エレン「ん?こっちで一緒に話すんじゃないのか」
ミカサ「エレン…………エレンエレン」クイクイ
エレン「なんだよ……って、そういえばお前拗ねてたな。ほらちょっと前に来い」
アルミン(あれ?拗ねてる感じじゃないな。まあいいか、エレンに任せよう)
ミカサ「エ、エレン?…………あ」
エレン「……大分このマフラーも古くなったな。ん、これでいいだろ」ファサ
ミカサ「……今日はいい日。とてもとてもいい日。この世界はとても美しい……」
ユミル「またトリップしたな。で、どうすんだ?」
ミーナ「そうだね、せっかくだからもう混ざって話そうか。いいでしょ?」
ライナー「おう。ちょっと待ってな、机と椅子持ってくるから」
クリスタ「ごめんね?ありがとう」
ライナー(結婚だ。こりゃ結婚だわ)
ジャン「」
マルコ「ジャン?……駄目か。あのミカサ見たら無理もないけど、ここに
突っ立てられても邪魔だなぁ。残りのスープ口に入れてみよう」
ベルトルト「っふ、ふふ、かっら……ふふふ」
コニー「……何がそんなにおもしろいんだよ」
―――――
ミカサ「……アルミン、どうしてエレンの隣にサシャとアニが座ってるの?
どうして私はエレンの対極にいるの?」
アルミン「ミカサが幸せ空間にいる間に、見えない駆け引きがあった結果だよ」
ミーナ「アニなんかずっと黙って、エレンのそばでタイミングを計ってたからね。
まあ、ミカサも話せない距離じゃないんだから落ち着いてね?」
ミカサ「むう……今日はいい事があったので、我慢しよう」
サシャ「エレンは照れ屋ですね。でもこうして隣に座ってあげましたよ。このチャンス
生かすべきじゃないですか?」
エレン「さっきからイラっとする顔で何言ってんだ?お前の中で何が始まってんだよ」
サシャ「フーッ、エレン……何も行動を起こさずに何かを得ようなんて、そんな甘い考え
では、始まるどころかスタートラインにすら立てませんよ?」
エレン「……アニ、解説してくれないか?同性のおまえならいくらか理解できるだろ」ミミウチ
アニ「なっ!?」ビクッ
サシャ「ちょっと!何ですかそれは!私がせっかくチャンスをあげてるのに、他の女の子
にコソコソ内緒話なんて!始まる前に終わっちゃいますよ!」
エレン「だってお前イラっとする顔で訳わからんこと言うからさ、俺もイラっと
させたいじゃん?……んで、結局何が言いた……アニ?」
アニ「サシャの言うこと気にしてたらキリ無いから、適当に流せば大丈夫だよ」ミミウチ
サシャ「ま、また……もう!告白のチャンスをあげるって言ってるんですよ!」
エレン「はぁ、そうですか。なあ、マルコもう一回さっきのゲームしようぜ」
サシャ「なに流しようとか!好きな人の話は真剣に聞かんとあかんやろ!」バンバン
ユミル「サシャー、方言出てるぞ。さっきからお前ら何はしゃいでんだよ」
サシャ「あ……んん!エレンの察しが悪すぎるんですよ。ほら、エレン!いくら私にその気
がないのだとしても、気持ちを伝える事によって何か変わるかもしれませんよ」
エレン「おい……なんか俺がお前のこと好きみたいになってないか?しかも、お前しれっと
振ってるよな」
サシャ「さっきエレン達が話してるのを向こうで聞いてたんですよ。私の事好きなタイプって
言いましたよね?それはもう私の事が好きってことでしょうが!」
ミカサ「サシャ……眠気でおかしくなったの?エレンは私を二回も守ってくれたって
あなたが言ったのよ。それはもう私の事が好きってことでしょう」
アニ「……ふふ」
ミーナ「あのアニがすごいやさしい目で微笑んでるよ。余裕を感じるねくふふ」
アルミン「楽しそうだねミーナ。僕には嫌な予感しかしないよ……」
クリスタ「う~、ユミル~」クイクイ
ユミル(なにこれ女神)
エレン「なんで聞こえてるんだよ……、まあ確かに言ったけど」
サシャ「認めましたね!やっぱり好きなんじゃないですか!」
ミカサ「エ、エレン何いってるの……エレン!」
アニ「はぁ!?あんた気になる人……はぁ!?」
ミーナ「……人の表情ってあんなにも変わるもんなんだね。修羅だよね、あれ」
アルミン「あれって……あ、ジャン。煽ろうと思ってるだろうけど、今回は本当にやめた方が
いいよ。たぶんミカサに本気で殴られる」
ジャン「え?マジで?そんな本気の顔されると……うん、黙っとくわ」
クリスタ「や~、こんなのやだ~ユミル~」ギュ
ベルトルト「え?どうしたのクリスタ……酔ってる?」
ユミル「ああうん。さっき紅茶にブランデーぶち込んどいたから。ふひっうへへへ」
ライナー「おいおい、女がしちゃいけない顔になってるぞ」
エレン「待て待て!あくまで容姿に関してはだろうが!それに、コニーとマルコ
だって言ってただろうが!」
コニー「おい、巻き込むんじゃねぇよ!」
マルコ「そうだよ!こういうのはエレンの担当だろ!?」
サシャ「二人にはエレンのあとでチャンスをあげますよ!」
エレン「ただのビッチじゃねぇか!」
サシャ「なんてこと言うんですか!暴言にもほどがありますよ、こんな可愛い乙女をつかまえて!」
エレン「何が乙女だよ!そんな食い意地が張ってる乙女が居てたまるか!」
サシャ「ここにいるじゃないですか!なんですか、エレンは私の事が嫌いなんですか!?」
エレン「嫌いじゃねぇよ、むしろ好きだよ!」
サシャ「あ、はい……いざ言われるとやっぱりうれしいですね。ふふ」
エレン「何照れてんだよ、恋愛的な意味じゃねぇよ!流れでわかるだろ!」
サシャ「な!?わかる訳ないじゃないですか!……あ、私もエレンの事好きですよ」
エレン「え?あ、おう……」
サシャ「エレンだって照れてるじゃないですか!もちろん恋愛的な意味じゃないですからね!」
エレン「なんなんだよお前は!何がしたいんだよ!」
サシャ「それはこっちのセリフですよ!いい加減素直になって私のこと愛してるって言えばいいじゃ
ないですか!」
エレン「だから恋愛的には好きじゃないって言ってるだろ!誰が、隣の部屋から大きな音が聞こえ
たら、それは彼女の放屁って言われる奴を好きになるんだよ!」
サシャ「あれは、エレンとミカサとジャンの所為じゃないですか!さっきから乙女に対する言動
じゃないですよ!」
エレン「乙女に対してないからな!」
サシャ「もう!っもう!!……いいでしょう、ええ、いいでしょう!明日デートしますよ!
そこで乙女っぷりを見せつけて、私に惚れさせてやります!」
エレン「はぁ!?嫌だよ、面倒くさい」
サシャ「乙女の矜持ってもんがあるんですよ!いいですか、行きますよ!!」ユサユサ
エレン「わ、わかった!わかったから離せ!」ガクガク
ミカサ「」
アニ「」
アルミン「……怒涛のやりとりだったね」
ミーナ「ミカサですら割り込めないって、あの二人仲良すぎでしょ」
アニ「……ミーナ」
ミーナ「はい、冗談です。ごめんなさいごめんなさい」
アニ「明日、買い物に行こう。付き合ってくれるよね?」
ミーナ「え?……あぁ、うん!んふふ、もちろんいいよ!」
ミカサ「アルミン」
アルミン「了解」
クリスタ「ユミル~明日サシャとエレンとあそぼ?」
ユミル「クリスタ~?ミカサですら自重してるから、それは我慢しような~?
せめて後をつけるくらいにしような~?」
クリスタ「そっかぁ……わかったぁ」
――――――――
―――――
――
エレン「くぁ……もう昼過ぎか。そろそろ行くかな」
アルミン「ふぁ……エレンもう行くの?ご飯食べていかないの?」
エレン「ん、サシャが食べてくるなって言ってたからな」
アルミン「……なんか、もうどんなデートになるか想像できたよ」
エレン「ふぁ……久しぶりに街に出るから楽しんでくるよ。偶には金も使わないとな。
じゃあ、行って来る」
アルミン「うん、いってらっしゃい…………やれやれ、僕も行こうか」
エレン「なあ、デートって待ち合わせして、『待った?いや、今来たとこ』ってアホみたいな
やりとりするもんじゃないのか?乙女的に」
サシャ「エレンの場合、私が延々と待たされそうな気がしましたからね。それに迎えに来て
もらって一緒に目的地まで行くのも、うれし恥ずかしじゃないですか」
エレン「そんなもんか?まあ行こうぜ」
サシャ「……少しは意識してくださいよ。いくら私が若干強引に誘ったとはいえ、つれないですね。
ほら、スカートですよ?どうですか?」クルクル
エレン「ああ、似合ってると思うぞ。綺麗だ」
サシャ「……やけに素直ですね。てっきり『えぇ?そのくだりはやるの?もういいじゃん』くらい
は言うと思ったんですけど」
エレン「どうして欲しいんだよ。ていうかお前、照れてるだろ」
サシャ「……照れてなんかないですよ?変なこと言ってないで、早く行きますよ!馬鹿!」
エレン「おお、乙女っぽいぞ。はは」
ミカサ「」ギリギリギリギリ
アルミン「うわぁ……最初っからミカサがクライマックスだぁ」
ミーナ「あの二人いい感じだね。あんまり上手くいかれると怒れるレオンハートさんのフォロー
が大変なんだけど、ほっこりするね」
アニ「……スカートか」
アルミン「あ、やっぱり後をつけてたんだ……クリスタ達もいるよね」
ユミル「おう、ご想像通りな。しかしなんだあのエレン。きもいな」
アルミン「あれたぶん、まだ眠たいんだよ。頭がついていってなくて適当に答えてると思う。
エレンって基本、早寝早起きだから」
ミカサ「そう、エレンはまだ半分寝てるだけ。私以外にあんな歯が浮くようなセリフは言わない」
クリスタ「エレン……私もスカートだよ?褒めて欲しいなぁ……」
ミーナ「なんか超絶乙女がいるんですけど。なにこれかわいい」
ユミル「いいだろ。あげねぇよ」ギュ
クリスタ「……もう、ふふ」
アルミン「あれ?これ僕ハーレムだ。傍から見たら羨ましがられるかな、ふふ」
ゲルガー「あー、酒飲みてぇな……お、見ろよ美少女の集団だ。いいな、おい」
ナナバ「ホントだ。美少女の集団だ」
アルミン「くそぅ……くそぅ!!」ダンダン
―――――
サシャ「さあ、着きましたよ!お肉のいい匂いがしますね!」
エレン「なぁ……今日はおまえの乙女っぷりを見せてくれるんだよな。いきなり
男前なんだが」
サシャ「何言ってるんですか!よく見てくださいよ、ここはカフェ!カフェテリア!!
お洒落でしょうが!」
エレン「いや、店がうんぬんじゃなくて……まあいいや、腹も減ったし肉も久しぶりだ。
よし、食うか!」
サシャ「食いましょう!ここカフェなのに結構ボリュームがあるお肉を出してくれるんです。
その分値は張りますが……」
エレン「そこは心配すんな。一応デートだからな、ここは俺が持つよ。遠慮すんな」
サシャ「神様……」
ミーナ「このデートって、サシャがエレンを堕とそうとしてるんだよね?逆じゃん」
アルミン「まあ、サシャの魅力でエレンが奢りたい気持ちになったという解釈も……」
ユミル「無理だろ」
アルミン「だよね」
クリスタ「うんうん」
ミカサ「エレンはただやさしいだけ。でも私だったらエレンに払わせる前にすでに
会計は済ませておく」キリ
アニ「別に聞いてないよ」
ミーナ「まあまあ、しかしミカサもイケメンだねぇ」
アニ「でもそれやったらエレンの立場が無いだろうね。怒るんじゃないの」
ミーナ「やっぱり?」
クリスタ「うんうん」
ミカサ「」
ユミル「…………ふひっ」
―――――
サシャ「さて、お腹も膨れましたし、腹ごなしに夕日でも眺めながら歩きましょうか」
エレン「俺の1.5倍は食ったよな。乙女ってなんだっけ……」
サシャ「何をブツブツ言ってるんですか。ほらどうですか、夕日のなか、やわらかな風
に吹かれながら佇む少女。フーッ」
エレン「んっは!イラっとする顔すんなよ、ふはは。ちょっとクリスタを意識して遠く
を眺めてみ」
サシャ「まったく失礼ですね。難しいこと言いますし……こうですか?」
エレン「おぉ!それだ!それなら乙女な感じがする。すげぇ綺麗!!」
サシャ「え、あの……ありがとうございます」
エレン「いや、急に照れんなよ。俺まで恥ずかしくなるだろうが」
サシャ「さ、作戦ですよ!私の乙女っぷりに揺らぎましたね?あ、あーかわいい雑貨屋
だぁ。私は乙女だから行かないといけませんねー。ほら、行きますよ!」
エレン「めちゃくちゃ動揺してるじゃねぇか。あぁもう待てよ」
クリスタ「う~、喜んでいいのかな?私をいい風に見てくれてるってことだよね。でも、む~」
ミーナ「なんかあれだね、ムズムズするっていうか、大声で叫びたいっていうか」
ユミル「んあぁぁ!かっゆい!なんかイラっとするぅ!!」
ミーナ「ユ、ユミル?」ビク
ユミル「何がイラっとするって、会話が聞き取れるくらい接近してるのにまったく気づかない
桃色空間!ぬあぁぁ!もぉぉ!!」
ミカサ「」ギリギリギリギリ
アニ「」ニチッ
アルミン(怖い、怖い怖い……これあれだ、恐い)
―――――
エレン「ちょうどいいや、ここで土産買おうかな」
サシャ「お土産ですか?意外に律儀なんですね」
エレン「まあな。昨日語った奴らと、あと同じ班の奴らに買っていこうかな。う~ん、でもここ
アクセサリーとか、かわいい物が多いな」
サシャ「そうですねぇ。女の子はアクセサリーとか身につける物を、好きな人以外から貰っても
扱いに困る人もいますからねぇ。あ、私はエレンなら大丈夫ですよ」
エレン「そうなのか……でもミカサは大丈夫だよな。身内だし……この髪留めとかどうだ?」
サシャ「あ、スルーしましたね。どれどれ……ミカサだったら何あげても喜びそうですけど、
いいですね、エレンにしてはナイスチョイスです。かわいいですね」
エレン「よっしゃ、じゃあこれはミカサに。え~と、昨日いた女はアニ、クリスタ、ユミル、
ミーナか。この四人は食い物とかのほうがいいかな」
サシャ「そうですねぇ。考えすぎかもしれませんが、そうしたほうがエレンの男心が傷つく
可能性はないですね」
エレン「う~ん、どうしようかな。まあとりあえず他の奴らのを……お、このリボンはライナー
だな。んふふ、この櫛はコニーだ。この口紅はアルミンに……笑えんな」
サシャ「すごい無駄遣いな気がしますが……」
ミカサ「……ッ……ハウッ!」ピョンピョン
ミーナ「ミカサが女の子ジャンプしてる……はぁ、サシャも悪気はないんだろうけど」
アニ「ゆびわ……ちょーかー……」
クリスタ「いやりんぐ……ぶれすれっと……」
ミーナ「エレンからアクセをプレゼントされるなんて考えられない分、ショックが
大きかったんだろな。ユミルとアルミンは外にいるし、どうしよ……」
ユミル「こういう店はどうも苦手だな。アルミンはなんで入らないんだ?似合うアクセ
いっぱいあるだろうに、くくっ」
アルミン「……ユミルだってかわいいリボンとか似合うんじゃない?」ニッコリ
ユミル「……やめよう」
アルミン「……うん」
―――――
サシャ「意外に長居してしまいましたね。すっかり日が暮れました、午後からだと
することは限られますね。そろそろ帰りますか」
エレン「そうだな、今日はお前が乙女だったかどうかはともかく楽しかったよ。
ということで、ほらやるよ」
サシャ「ほう!なかなか粋なことしますね!……あちゃ~、被っちゃいましたね。私も
エレンにプレゼントしようと思って、これ」
エレン「同じチョーカーじゃねぇか。ふはっ俺を惚れさすんじゃないのかよ。これ、友情
がいつまでも続きますようにって願いのデザインじゃなかったか?」
サシャ「そうですね、正直恋愛うんぬんはよくわからないんですよ。でもエレンの事が友達
として好きなのは間違いないですから」
エレン「そっか、まぁ俺も似たような感じだ。じゃ、交換しようぜ」
サシャ「はい、……んふふ、でも友情から始まる恋ってのもあるみたいですからね。私のこと
好きになったらいつでも言ってください。検討はしてあげますよ」
エレン「はは、言ってろ」
ユミル「なんだありゃ。結局あいつらはまだ、おこちゃまってことか……どっちにしても
恥ずかしいやりとりだな、おい」
アルミン「エレンってここに来るまで、僕とミカサしか友達いなかったから、
うれしい反面ちょっと寂しかったりして……」
ユミル「なんだホモか。ライナー混ぜていいか?」
アルミン「ライナーはタイプじゃないなぁ。ダズにしてくれる?」
ユミル「ぶはっ!なんでそこでダズをチョイスしてくるんだよ、ふひひ」
ミーナ「二人共ふざけあってるとこ悪いんだけど、この二人どうにかしてくれない?
店からずっと離してくれないんだけど。病んだセリフ付きで」
アニ「なんでなんでなんで?私はうれしいよ?ねぇねぇねぇ?エレン、ゆびわゆびわ」
クリスタ「おそろいがいい、あのねおそろいがいいの。ねぇねぇ肌身離さないよ?エレンエレン」
アルミン「……………………あ、ミカサ~そんな謎ステップを踏んでたら憲兵団が来ちゃうよ~
あははー」タッタッタッ
ユミル「……………………それスキップのつもりかよ~笑かすなよ~あははー」タッタッタッ
ミーナ「ちょっ!?逃げ……待って!お願い待って!あの……わりと本気で!!」
――――――――
―――――
――
マルコ「あ、帰ってきたんだね。今日も食堂使ってもいいみたいだから、また駄弁ろうよ」
エレン「おう!あれミカサとアルミンは?土産買ってきたんだけどな」
サシャ「ユミル達もいませんね……あ、揃って来ました」
アルミン「エレンおかえり。どうだった?楽しかった?」
ユミル(よくもまあ、しれっと言えるよ)
エレン「楽しかったぞ!ただサシャが乙女だったかどうかはノーコメントで」
サシャ「フーッ、照れなくていいんですよ?コノコノ」
ジャン「いろんな意味でイラっとくるな……あ!ミカサ、こいつらイチャイチャしてるぞ。
これはもう付き合ってるだろう!」
ミカサ「……エレン」ウキウキ
エレン「付き合ってねぇよ。……なんだミカサ、やけに楽しそうだな。そうだ、土産があるんだ。
ちょっと後ろ向いてくれ」
ミカサ「うん、うん!」クルッ
エレン「ん、よっと……これでいいか。サシャみたいなったけど、立体起動もしやすくなっただろ」
アルミン「エレン、それじゃどんな物をくれたのかわからないよ。はい、ミカサ鏡」
ミカサ「……っ!かわいい!ありがとう、ありがとうエレン!!」ダキッ
エレン「ゴボォ!!」
ジャン「」
コニー「おまえ馬鹿みたいだな。ていうか馬鹿だろ」
エレン「絞め殺されるかと思った……みんなにも買ってきてるんだ。えっと、これはアニだな。
これはミーナ。お前ら仲いいからおそろいのアンクレット」
サシャ「あれ?その模様、私達のチョーカーにもなかったですか?」
エレン「よく気づいたな。同じ意味があるらしいぞ。で、これはクリスタとユミルにおそろいの
ブレスレット。これも一緒のデザインだ」
ミーナ「エレン……本当に、本当にありがとう!助かった!!」
エレン「は?助かった?ってお前ら何泣いてんだ。あ、そうか……無理して着けることないからな。
俺なら大丈夫だから」
クリスタ「ううん、うれしい。すごくすごくうれしい……ユミル、一緒に着けよ?」
ユミル「ああ。エレンも偶にはいい事するじゃないか。おそろいだな~クリスタ~」ギュ
アニ「……泣いてないから。別に泣いてないから。あと、これありがとう……大事にする」
ミーナ「むふふ、改めてありがとね、エレン。私も大事にするよ」
エレン「ふぅ、喜んでくれて良かった。よし、次はアルミンだ。女の子向けの雑貨屋だった
からネタに走ろうと思ったけど、まあアルミンにはこの羽ペンとインクにした」
アルミン「なんか含むところを感じるけど、でもうれしいよ、ありがとう」
エレン「ライナーにはこのリボンな」
ライナー「ふざけんな、エレン。俺にもまともな土産をくれよ、こんなの絶対着けないからな」イソイソ
ベルトルト「ふふ、ライナーなんでそんな手際がいいんだ、ふ、ふふ」
ライナー「ライナーって誰だ。私はライ菜だ」キリッ
エレン「うはは、うぜぇ。なんでそんな男らしいんだ。……ジャンにはこのウイッグな」
ジャン「おまえ、これはコニーだろ。わかってねぇな」
エレン「コニーにはこの櫛な」
コニー「おぅ、ありがとな!」
ジャン「…………んふ」
エレン「お前、笑ってんじゃん。本気で喜ばれて俺は焦ったけど。そのウイッグ、いらんなら
ライナーに被せとけよ」
ジャン「ほら、ライ菜。リボンも付け替えてやるよ……お前、男度が高すぎてただのロン毛野郎
に見えるな」
ライナー「人は女に生まれない。女になるのだ」キリッ
エレン「ふはっ何か名言っぽいこと言い出したぞ。……マルコにはイヤリングな」
マルコ「これもうライナーに着ける流れだよね。はい、ライ菜」
コニー「うわぁ……ぶっさいくだな。すげぇブス」
ライナー「醜い女はいない。ただ、どうすればかわいく見えるかを知らない女はいる」キリッ
エレン「ふふふ、うぜぇ……ベルトルトには口紅な」
ベルトルト「う~ん、やり方よく知らないからクリスタ、ライナーにしてあげてくれる?」
クリスタ「ふふ、いいよ。かわいくしてあげるね」ヌリヌリ
ジャン「ライ菜の顔が赤いぞ。あのゴリラいっちょ前に恥らってやがる。案外乙女だぞ」
ユミル「うひひぬはは。芋女、お前メスゴリラに乙女っぷり負けてんじゃねぇか?ふひひ」
サシャ「失礼ですよ!こんな、頬染めてるぐらいで…………負けかもしれないですね!」
ミーナ「認めちゃったよ。ライナー、私のこのチークもう少ししかないからあげる。
はい、クリスタお願い」
クリスタ「任せて。ふふ、ちょっと楽しいな」
アニ「何してんだか……うわっキツ」
アルミン「なんで、なされるがままでいるのか僕には理解できないよ」
ライナー「女は愛されるようにできているので、理解されるようにはできていない」キリッ
ユミル「んははは、むかつく!ライ菜、愛され女子宣言、ぶはははは」
エレン「夜ってみんなテンション高くなるよな……お前いつまで鏡見てんだよ」
ミカサ「……ふふ…………ふふふ」ウットリ
――――――――
―――――
――
エレン「ん~、夕方に起きるってのは、なんか調子でないな」
アルミン「そのうち慣れるよ。それより見てよ、団長はいないみたいだけど
人類最強の兵士だよ」
エレン「訓練に兵長が来るって、どうなってるんだろうな。でも気合入るぜ」
サシャ「結構、先輩方来てるんですね。お、女性の方もいらっしゃいますね……おや?」
ぺトラ「オルオ、何してんの!こっちは訓練兵の場所でしょ。早く来なさいよ」
ダズ「え?」
ジャン「は?おまえ、こんな綺麗な人といつの間に知り合ったんだよ」
ダズ「え?」
ぺトラ「え?」
オルオ「おいぺトラ。何遊んでんだ。おまえがいないせいで始められないだろ。
まったく、手のかかる女だぜ……」
ぺトラ「あ、あの、キミ……ご、ごめんね?………………あんた紛らわしいのよ!」ゲシッ
オルオ「んぐ!舌噛んだんだが!?噛んだんだが!?理不尽すぎるだろうが!馬鹿か!?バーカ!」
ぺトラ「うっさい!バーカバーカ!!」
ダズ「……え?」
エレン「調査兵団の……精鋭?」
アルミン「いや、まあ実力はあるんじゃないのかな……たぶん」
ハンジ「やあ訓練兵の諸君、こんにちは。私は分隊長を勤めるハンジだ。今日は司令に頼まれて
夜間訓練の指南役を仰せ仕った訳だけど、正直私達ってこういうの不向きなんだ」
リヴァイ「…………フン」
ハンジ「だからこれはもうおまえらに、身をもって学んでもらおうと思う。見て、聞いて、感じて、
嗅いで、考えて、逃げて逃げて逃げて……ね」
ぺトラ「うわぁ……悪い顔だ……」
ハンジ「ということで鬼ごっこをするよ。鬼は私達だ。キミ達はスリーマンセルになってお互いを
助け合って逃げてくれ。組み合わせはこっちで決めてるから」
アルミン(精鋭達から逃げろって……)
ハンジ「時間までその班の一人でも逃げ切ったら、ご褒美に訓練後の食事は肉だ。おまえら今日
まだ何も食ってないだろ?少しはやる気でたかな?」
エレン(それまでの飯は自分達でなんとかしろってか……サシャ複雑な顔してんなぁ)
ハンジ「それでアウト判定なんだけど、この特殊ブレードを……はい、リヴァイ。そんで、オルオ
ちょっと前に出てきて」
オルオ「はい……?」
リヴァイ「……っ!」ダバーン!!
オルオ「ん!?」ビクンッ
ハンジ「こうやって尻を叩かれたらアウト。しかしさすがオルオだ、平然と立ってるなんて」
オルオ「」
ハンジ「気絶してるね。それじゃ、ここに班の振り分けを書いてるから確認して」
エレン「俺は……お、アルミンとサシャか!なかなか楽しくなりそうだな」
アルミン「よかったよ、気心知れた間柄で組めて」
サシャ「頑張りましょうね!エレン、アルミン!肉はいただきですよ。逃げて逃げて追いかける
のが馬鹿らしくなるくらい逃げてみせます!」
ミカサ「エレンと……いっしょ……じゃ、ない」フラフラ
アニ「……チッ」
クリスタ「ミカサ、アニ……二人共よろしくね…………残念だなぁ、一緒じゃなかったかぁ」ハァ
ハンジ「確認したみたいだね。それじゃ今日のラッキーな班をこのくじで決めるよ。呼ばれた
奴は怪我人の手当てと、高台で時間と方角を知らせる係りだ。飯もあるぞ」
ライナー「今日は曇って星が出てないからさすがに配慮してくれたか」
ハンジ「ん~、これだ!ミカサ・アッカーマン、アニ・レオンハート、クリスタ・レンズ だな。
ラッキーだと言ったけど怪我人もラッキーかもな。かわいい娘ばっかりだ。三人共頼むな」
ミカアニクリ「「「ハッ!」」」
ミカサ(……はっ!?もしエレンが怪我したら、手厚く看護が!?でも怪我はしてほしくない……
しかし、念の為に救護係は私が引き受けよう)ムフフ
アニ(あいつ、無茶しがちだからね。どうせ運ばれてくるから、私が救護係しよう)フフ
クリスタ(エレン猪突猛進だから……うん、救護係だ)キリ
ハンジ「範囲はこの森の中ならどこまでも。遭難しないようにね……まあそんなことになる前に
捕まってると思うけど!じゃあ最後に兵長から一言」
リヴァイ「……これは持論だが、躾に一番効くのは痛みだと思う。今お前等に一番必要なのは
言葉による教育ではなく……教訓だ。男も女も関係なくな」
エレン(躾って言ったぞ……)
ハンジ「ははは、ドン引きしとる。それじゃ松明もらった班からスタートだ。私達は最後の班から
三十分たったら行くからね。準備はいいね?夜間訓練開始!」
――――――――
―――――
――
ミカサ「……寒い。エレンが傍にいないだけでこんなにも寒い。こんなに大きなかがり火があると
いうのに……」
アニ「…………」
ミカサ「あぁ、寒い……寒いの、エレン……あぁエレン……そこにいたの?私、寒いの……
そっちに行くから……早くあたため、あっつ!!」
アニ「あんた、何してんの?ほら二時間たったよ。火の色変えな。あと配給のパンだよ」
ミカサ「……アニ、アニ。今見たことは内緒にしておいてほしい。それと火傷したので治療したい。
ついでに救護係も交代したら合理的」
アニ「見た感じ大丈夫そうだね。あんたジャンケンに負けたんだから諦めな……こんなことしてる
うちにあいつが運ばれてくるかもしれないし、私は戻るよ」
ミカサ「あいつって誰?アニ、待って!待ちなさい!!…………ぐぬぅ」
「いやぁぁ!やめてやめて、やめてくだっはん!?」ダバーン!!
エレン「今のミーナかな……叫び声のあとの静寂ってこう……くるものがあるな……」
サシャ「大分叫び声も減りましたね……アルミン無事だといいですけど」
アルミン「変なフラグ立てようとしないでよサシャ。にしても、暗い所での立体起動は
命がけだね」バシュ
エレン「おう、偵察おつかれ。先輩方どんな感じだった?」
アルミン「うん、人間とは思えないね。躊躇無く立体起動でターゲットを追い詰めてた。よく見え
ないからはっきりとは言えないけど空中で人をキャッチしてた。たぶんミケ分隊長」
エレン「マジか……逃げてた奴もすげぇな、立体起動で逃げてたんだろ?」
アルミン「これもたぶんだけど、ジャンだと思う。ミケ分隊長に小脇に抱えられて後ろから
兵長がフルスイング。ジャン声出ず」
エレン「ふふ……笑えん筈なのに、ジャン……んふふ」
アルミン「ついさっきミーナがぺトラさんに捕まって、どこからともなく兵長が現れて
フルスイング。容赦なし」
エレン「うへぇ……」
サシャ「アルミンの索敵能力に驚きを隠せないんですが、それよりも!食料はどうでした!?」
アルミン「そんな余裕ないよ。気配を消すだけで、いっぱいいっぱいなんだから」
サシャ「そんなぁ……うぐぅ、この葉っぱ食べられますかね?」
エレン「やめとけよ……お前狩りで暮らしてたんだったら、俺らよりそういうのくわしいだろうが。
ていうか乙女なんだろ?もうちょっと慎めよ」
サシャ「むぅ……それじゃお星様に鹿あたりが出てきますようにってお願いします。乙女でしょう!」
アルミン「曇ってる曇ってるよ。お星様隠れちゃってる」
サシャ「あ、あれですよ!アッカーマン六等星です!」
エレン「それだとレオンハートかレンズでもいい……って、おまえ腹減りすぎて訳わかってないだろ」
アルミン「六等星ってチョイスがまた……」
サシャ「願いを叶えてくれる時、光輝くんですよ!」
エレン「ていうか、鹿を出してくれって願いが乙女うんぬんじゃないよな」
サシャ「お腹減ってるんですよ!もう!もう!!」ジタジタ
エレン「落ちる、見つかるから、ふふ揺らすな、ふはは」
アルミン「二人共、静かにね……」
ミカサ「……寒い。エレン……あたたかいはずなのに、あなたがいないだけで私は」
クリスタ「ミカサ?」
ミカサ「んっふ!?」
クリスタ「大丈夫?火を見つめて、ものすごい憂いを帯びていたけど」
ミカサ「……問題ない。どうしたの?救護係変わってくれるの?」
クリスタ「いやいや!あのね、ハンジさんが早く火の色を変えるようにって」
ミカサ「そんなことよりエレンは来た?私を呼んでない?」
クリスタ「今のとこ無事みたいだけど、そんなことって言っちゃダメだよ!時間がわからないと
エレンだって困るんだよ」
ミカサ「うっ……ごめんなさい。すぐやる」
クリスタ「ふふ、いいよ。あ、あとね、この発色剤入れ過ぎないようにだって。爆発まではしない
けど超反応?するからって。じゃあ私戻るね」
ミカサ「エレン……早く私をあたためて…………あ」ザァァ
エレン「うわっ!なんだ!?一瞬すげぇ光ったぞ」
アルミン「なんかあったのかな?ミカサ達大丈夫かな?」
エレン「ああ、火の色変えたのか。今は落ち着いてるし大丈夫だろ」
サシャ「ん?んん!?今の光で一瞬見えたんですけど、あれたぶん鹿です!ひゃっほぅ!!」ダッ
エレン「あ、おい!……立体起動使わずに降りてったぞ。あいつ人間か?」
アルミン「オランウータンとかチンパンジーの類って言われても納得しちゃいそうだね」
サシャ「よいっしょー!さあ行きますよぉぉ!!」ダンッ
リヴァイ「!?」ビクッ
アルミン「あ、ご対面」
サシャ「……」
リヴァイ「……」
サシャ「ひゃぁ!!カリアゲおばけぇぇ!!」
リヴァイ「……上等じゃねぇか」ピクピクッ
サシャ「助けてくださぁい!エレーン、エッレーンひゃぁ!」ヒョイ
エレン「無理だろあれ……ぶち切れじゃねぇか」
リヴァイ「ちょこまかするんじゃねぇ!!」ビシュビシュ
サシャ「アルミーン、アル、ミンッミン、ミ、ミ、ミーン!!」ヒョイヒョイ
アルミン「セミかな?」
エレン「んふふ、やめろよアルミン」
リヴァイ「さっさとあきらめてケツをこっちに向けろ!」ビシュンビシュン
サシャ「セクハラやんか!うひゃぁ絶対逃げたる!追いかけるのが馬鹿らしくなるまで
逃げて逃げて逃げたるわ!」ダッ
リヴァイ「……絶対お前のケツしばいてやる」ダッ
エレン「サシャの奴いくら尻だけとはいえ、人類最強の攻撃全部かわしてるぞ」
アルミン「人間やめて、ひとつ上のステージ昇ったんだよ」
サシャ「エレ、エ、レ、エ、エレーン!」ヒョイヒョイ
エレン「……」
サシャ「アルミーン、アル、ミン……ミン、ミ、ミ、ミーン、ミン」
アルミン「セミかな?」
エレン「………………………………………………………………ンフ」
ハッピーエンド
すまんな終わりなんだ
いつかまた誰かいじりたいな
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