キノの旅×蜘蛛の糸(13)

先に言っておきますが短いです

気がむいたらもう一話書きます



夢の話 - rational answer -

「へえ、キノが夢を見るなんて珍しいね。どんなの?」

「うん。それが……説明しにくいんだけど。ボクは真っ暗な空間で、よくわからない真っ赤な池に浮いてるんだ。遠くの方では銀色の山がぼんやりと浮かんでいた。それから人の悲鳴があちちこちから聞こえてきた。ボクのまわりにも、同じように人がたくさん浮いていた。それで暫く浮いているとね、すごく上の方から一本の糸が降りてきたんだ」

「……」

「それで、そんなところにいつまでも浮かんでいたって仕方がないし、その糸を登りはじめた。登れば登れるもんだね」

「……ふうん」

「それが、すごく高くまで登ってもまだ先がある。上を見上げると、ほんの小さくだけど白く光っているところがあってね、ああそこへ向むかって登っているんだなと思った。それでずうっと登って、疲れたから少し休憩してふと下を見ると、今まで赤い池に浮かんでいた人達が次々と糸を登って来るのが見えた。糸は細いから、そんなに沢山の人を支える事はできない」

「……ねえキノ。その話どこかで聞いた事があるよ」

「そう?」


「うん。ほら、この間キノ一日じゅう本読んでた事があったじゃん」

「ああ。まあ本しか無かったからね」

「その時読んだ本の中に、そういう話があったんじゃない?」

「あったかなあ……覚えてない。ちなみにエルメスの覚えている話だと、その後のボクはどうなるんだい?」


「……ええとね、下から次々と人が上がってくるのを見たキノ君はびっくりするんだね。それで、自分はとにかく上の白いところへ行きたいし、だから下の人たちに言うんだ。“この糸はボクのです、どうか皆さんこの糸から降りてください”って。その途端、ごーつくばりな性格のバチが当たって糸はぷっつり、キノ君は元の池へと真っ逆さま。選抜駅伝でしたっていう話だったと思うよ」

「……天罰てき面?」

「そうそれ」

「……でも、ボクの見た夢はそうならなかったな」

「へえ。じゃあどんな?」

「うん、その時ボクは……」


「待って待って。当ててみる。そうだな……どうせキノの事だから、腰のパースエイダーで下の人達をバンバン撃っちゃったんじゃない?一番手っ取り早いし」

「ひどいなあ……いくらなんでもボクはいきなり撃ったりはしないよ。大体……」

「大体?」

「弾がもったいないじゃないか」

「さいですか。……でもそうすると、他に何があるかなあ」

「? そんなに悩む事じゃないと思うけど」

「む、じゃあどうしたのさ。教えてよキノ」


「簡単だよ。袖のナイフを取り出して、自分より下のところで糸を切ったのさ」

「……ありゃりゃ」

「それで、その後もどんどん登って行った。上の白い光はどんどん大きくなっていく」

「そうして、白いところに無事に着きました、めでたしめでたし」

「いや、白いところには行けなかったんだ」

「そうなの?」

「そう。もう少しでその白いところに辿り着くっていう所で、突然頭の上に変な金色の人が出て来て、ボクが登っている糸に手を伸ばしたんだ」

「……キノ、それって……」

「タイミングがタイミングだろう? 驚いて、咄嗟に『カノン』を抜いて撃った」


「あらららら」

「そうしたら目が覚めたんだけど……何だいエルメス? 何かまずかった?」

「いや、マズいっていうか。うん。キノらしいといえば、まことにキノらしい……かな」

「? ま、変な夢だったよ。……さて、そろそろ行こうか」

「どうか、バチとか当たりませんように」

「何? 何か言った?」

「い~え何にも。それじゃ行きましょー」



キノ×蜘蛛の糸
終了

とりあえずここまで

次書く時は地の文を入れようと思います

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