希「不人気、投票……?」 (72)
ラブライブSS
楽しくハッピー!な感じのものじゃないです
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海未「……んん、少し寝てしまっていたようです。……ん?」
希「……ん~、よく寝た! って、あれ?」
花陽「……むにゃむにゃ、もうご飯お腹いっぱいだよぉ……」
ことり「ふわぁーあ……、あれ、海未ちゃん、希ちゃん、花陽ちゃん!」
4人「「「「……ここ、どこ?」」」」
イベントでの遠征後、バスに乗っていたはずの4人が目が覚めた場所は、全く覚えのない真っ白な部屋だった。
5つの扉と、その扉の一つにディスプレイが付いているだけの異様な空間。
ディスプレイが点滅し、白い仮面を被った人物が映し出される。
ザザー・・・ザー・・
仮面『みなさんおはようございます。μ’sの小泉花陽さん、園田海未さん、東條希さん、南ことりさん』
海未「一体なんですかこれは?」
花陽「ここはどこなんでしょう……?」
仮面『突然のことでびっくりされたでしょう。ここに集まってもらったのは、μ’sのうちのほかでもない、貴女たちに用があったからなのでございます』
希「ウチらに用? 一体何やろう」
ことり「それにしても、あの仮面の人、なんだか不気味だね……」
仮面『貴女たちには、μ’sを脱退して頂きます』
海未「だ、脱退?! 一体何を……! あなたは誰なのですか?!」
希「……ちょっと詳しく説明してくれへんとわからへんやん?」
花陽「そ、そうです……、何を言っているのか……」
仮面『私はいち貴女方μ’sのファンでございます。そして、そうですね、正確に言いますと、貴女たちのうちの、誰かに脱退してもらうのです。……死を以てね』
ことり「死を、以て……って?」
仮面『言葉の通りでございます。死んで、この世から居なくなって貰うのです。μ’sに不必要なメンバーは、この世にも必要ない』
海未「死んで…って、な、なにを馬鹿げたことを……、脱退なんて貴方が決めるものではありません!」
希「そうや! それにμ’sに不必要なメンバーなんて居ないよ?!」
花陽「そうですっ! みんな個性があって、9人が居て、初めてμ’sなんだから!」
仮面『……何を言っているのでしょう……人気ランキングの下位メンバーの方々にそう言われても些か説得力に欠けますね?』
ことり「か、下位メンバー?」
仮面『そうです。以前の第5回総選挙……、そこでの貴女たちは何位だったか知っていますか?』
仮面『南ことりさん、貴女は最下位である9位。その次は東條希さんが8位、そして7位園田海未さん、6位小泉花陽さん。どうでしょう、これが現実でございます。貴女たちはμ’sのファンからいらないものとして見られているのではありませんか?』
海未「だったら何ですか?! μ’sは人気とかそんなものに縛られない……!」
仮面『……縛られるなどの問題ではありません。私が正しくμ’sを導く……! μ’sの足を引っ張る不人気なメンバーはいらないのです!!』
ことり「ひ、ひどい……!」
海未「勝手なことを言わないでください! 私たちは、μ’sを抜けるつもりなんてありません! ここから出しなさい!」
仮面『出られますよ。不人気投票を勝ち抜けばね……』
希「不人気、投票……?」
仮面『貴女たちに最後のチャンスをあげます。ここで貴女たちには明後日の朝まで生活して頂きます。各自の部屋もご用意しております。……そしてその生活はすべてライブカメラでファンの皆様に実況中継され、ファンの方々にはそれを吟味して、明後日の朝、人気投票と銘打った不人気投票を行うのです! ファンを獲得する最後のアピールタイムです。せいぜい頑張ってください』
花陽「な、何それっ……!?」
仮面『そして不人気投票で見事1位に輝いた方は……死んでもらうのです』
4人「「「「……!!」」」」
仮面『この私が映っている扉の向こうには、鍵がかかった外への出口がございます。その鍵は不人気投票で1位だった方の命です』
希「……そんな……!」
海未「どうかしています! こんなことは辞めて早くここから出しなさい!」
仮面『明後日になれば出られますよ……人気があればね』
ことり「そ、そんなこと……、私たちのうちの誰かが死ななきゃ出られないなんて……!」
花陽「ここから出れたとしても……そんなの……!」
仮面『……つらければ皆さんもご一緒に脱退してはいかがですか? 生き残ったとしてもそんな経験をしたあとでμ’sの活動なんて……きっと辛いでしょうねぇ。でも大丈夫! 人気メンバーが5人も残っているんですからμ’sは安泰です』
希「……! はじめからウチらをまともに返すつもりなんて無いんや……!」
花陽「ひどい……こんなの、ひどすぎますっ……!」
仮面『いえいえ、そんなことはありませんよ……。それでは只今よりこの不人気投票を始めましょう。……そこの天井にカメラがあるでしょう、すべてはこれで既に実況されると聞いてパソコンの前でお待ちかねのファンの皆様に中継されます。最後の精一杯のアピールを……健闘を祈ります』
ことり「嫌! こんなの、嫌だよ!」
海未「待ちなさい! ここから、ここから出してください……!」
―1日目スタート―
ことり「一体どうして……こんなことになっちゃったの……」
海未「こんな馬鹿げたことが許されるわけありません……! 今すぐ抜け出しましょう!」
花陽「でも、どうやって抜け出せばいいのかな…」
希「さっきの仮面の男が映っていた扉は、やっぱり開かないみたいやね……」
ことり「ほかの扉は……全部、普通の寝室みたい……」
海未「仮面の男は私たちの部屋を用意してると言っていましたので、おそらくこれがそうなんでしょう」
花陽「ベッドがある以外は本当に何も無いみたい」
希「待って、この部屋にもカメラがあるみたいや」
ことり「本当だ、じゃあ、部屋の中でも実況中継されてるってこと……?」
海未「そのようです……。誰かこれを見た人が助けに来てくれるかもしれません!」
花陽「で、でも……この映像だけじゃここがどこかわからないんじゃ……」
希「それもそうやね……。何の手がかりも無いようやし……」
ことり「そんな……」
海未「ですが……警察も動くはずです!」
希「……あんな、ウチ、あの仮面……見たことあるんよ」
花陽「え? ど、どういうこと?」
希「ネットでは有名な、カルト集団みたいな人たちがあんな仮面を付けてるらしくて、ネットで見たことあるん。ちまたで有名な未解決事件の幾つかは、そのカルト集団の手によるものっていう噂もあって……」
海未「そ、それは本当ですか?」
希「……ごめんね、何か怖がらせるようなこと言ってしもたね……、でも……もしこれがホンマなら……」
ことり「……私たちのうち誰か、一人が死なないと、ここから出られない」
花陽「そんな……!」
海未「くっ……!」
ザザー・・・ザー・・
仮面『……さっきぶりですね、皆さん。ひとつ言い忘れていました。これ以上そのような発言をしたり、外部に助けるような発言をした場合……貴女たち全員に死んでもらいますよ。いいですか? くれぐれもそのような発言は避けて頂きましょう。ちなみに先ほどの会話部分の音声も、以降のこちらの企てが露見してしまうような発言は全てこちらでカットさせて頂きますので』
プツッ
(ごめん、外部に助けるような→外部に助けを求めるような です)
ことり「全部、見られてるんだ……もう、ダメなんじゃ……」
海未「諦めないでください、ことり! きっと……きっと助かります!」
花陽「絶対に、みんなのもとに帰ろう……!」
ことり「……うん!」
希「……」
海未「……希も……あきらめないでここから逃げ出す方法を考えましょう!」
希「……。そ、そうやね! それにしても、あのカメラで全て……映し出されてるんやね……」
ことり「そうみたいだね、そして、それを見たファンの人たちが……」
花陽「……私たちに投票するんだね」
希「……。ごめんねみんな、ウチ、ちょっと疲れちゃった……先にちょっと部屋に行って休んどくね」
ガチャッ
ことり「希ちゃん……」
花陽「私たちも、一度部屋で落ち着いた方がいいかも……」
海未「そうですね。希もあんなに落ち込んでしまっています……。こんな……こんなことになってしまうなんて……」
―1日目・晩―
『スタートから12時間が経ちました。ここで皆さんに中間経過発表をしたいと思います。4人の皆さまはメインルームに集まってください』
海未「中間経過発表……きっと不人気投票のでしょうね……」
海未「あれからずっと部屋の中を見て回りましたが、脱出の糸口になるようなものは見つかりませんでした」
海未「とりあえず……メインルームというのは先ほどの部屋のことでしょうか、出て行ってみましょう」
花陽「みんな……」
ことり「……」
希「……」
海未「(みんなもやはり疲れきった顔をしています……)な、何か手がかりになりそうなものはありましたか?」
花陽「残念だけど……」
ことり「ベッドの下に食料と水があったけど……ほかは出口になりそうなのは何も見当たらなかったよ……」
海未「……そうですか」
ザザー・・・ザー・・
仮面『さぁみなさん今晩は。1日目が終わるということで、これまでの中間経過を発表したいと思います。ではまずは……人気投票第1位から行きましょうか?』
海未「……何が人気投票ですか……!」
仮面『1位は、園田海未さん! おめでとうございます! 悩ましい顔が可愛いとのファンの声もありました』
海未「くっ……!」
仮面『そして2位は、南ことりさん! 前回では最下位という結果でしたが、今回は上位に食い込んでいますね』
ことり「……っ」
仮面『そして、3位は東條希さん! 残念ながら暫定4位は……』
花陽「ぇ……ぁ……あぁっ……」
ことり「は、花陽ちゃん!」
仮面『小泉花陽さんです! しかしまだ投票は始まったばかり、最後までどうなることやら楽しみでございますね』
プツっ
海未「な、なにを言って……! くっ……」
希「……花陽ちゃん……!」
花陽「ひ、ひぐっ、ぅ、、、あ、ぁ……! わ、私、死んじゃうの……?」
海未「そんなこと絶対に私たちがさせません! 花陽……!」
ことり「……もう、こんなこと……ひどすぎるよ……!」
―1日目終了―
ちょっとスクフェスやって寝てくる
続きはまた起きたら書きます
―その頃―
穂乃果「おはよう……みんな、今朝のメール見た?」
絵里「えぇ。てっきりあの後私たちが寝てる間に先に帰ってしまったものだと思ってたけど……」
にこ「4人で合宿に行きます、だなんて……絶対変よね?」
凛「凛も一緒に行きたかったにゃー!」
穂乃果「何かあったのかな……。海未ちゃんたちが、4人だけで黙って合宿なんて行くはず無いよ」
真姫「……どうやら合宿というのは違うみたいね。このウェブページ、見て」
『μ’s選抜人気投票開催中!』
にこ「な、何よこれ?! 人気投票ですって?」
絵里「何も聞いてないわね……。それに、この投票も何かの媒体の企画だったとして、あの4人だけで決めるだなんてやっぱりおかしいわ」
穂乃果「あっ! これ見て!」
凛「かよちんだ! それに海未ちゃんや希ちゃん、ことりちゃんも!」
真姫「このライブカメラで4人の生活をリアル中継……って書いてるわね」
にこ「こんなの怪しすぎるでしょ! 何か事件にでも巻き込まれたんじゃない?!」
絵里「でもこのサイトを見る限り、怪しい感じはしない、むしろちゃんとした企画にも見えるし……」
穂乃果「だけどこんなの絶対変だよ! 第一、μ’sのほかのメンバーが知らされてないんだもん! 警察に言った方がいいのかな?」
にこ「はっきりとした事件性がないと取り合ってくれないかも……」
穂乃果「そんな……」
真姫「見て、この映像……花陽が泣いてるわ!」
凛「え! 何で? どうしちゃったの!?」
希『……そうやって泣いてればええよ。か弱いところを見せてアピールして……ウチらが・・ザザー・・・ザー・・いいと思ってるんと違う? ウチだって・・ザザー・ザー・・・や……!』
海未『希! 辞めてください! 何を言い出すんですか?!』
絵里「の、希……? これ、何を言ってるの? 音声が混線してるのか時々聞こえないわ」
にこ「なんだか希が花陽に辛く当たってるように見えるけど……」
凛「な、何かこの希ちゃん怖いにゃ……、かよちんと何かあったのかな……」
真姫「やっぱり様子がおかしいわ。ただの人気投票じゃないんじゃない?」
穂乃果「変だよ! おかしすぎるよ! それにそもそも人気投票なんておかしいよ! 穂乃果たちはみんなそれぞれ居るから成り立ってるっていうのに人気だとかで順位をつけるなんて!」
凛「そうだよ、こんなこと早く辞めてもらうように言おう!」
絵里「でもどこに問い合わせたらいいのかしら……」
穂乃果「希ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん、花陽ちゃん……どこに居るの……?」
にこ「とりあえず……ダメ元で警察に言ってみましょう」
真姫「そうね! 花陽は泣いてるし、希もなんだか様子が変だし……」
凛「みんな……大丈夫かにゃ……」
―それより少し前 2日目・朝―
『おはようございます、皆さん。館内放送で朝の9時をお知らせいたします』
ことり「……結局、一睡も出来なかった」
ことり「希ちゃんが言ってたカルト集団の噂……そのことが頭から離れなくて、やっぱりことりたちのうち誰か一人が死しんじゃうんじゃないかって……」
ことり「そんな悪いことばかりが頭に浮かんでくるの……」
ことり「……ううん、きっと今は、花陽ちゃんの方が怖いはず。海未ちゃんみたいに希望を捨てないで、なんとか抜け出せる方法を探さなくちゃ。みんなは、どうしてるかな……花陽ちゃん、大丈夫かな」
ガチャ
海未「……ことり、おはようございます」
ことり「(海未ちゃんも疲れきった顔をしてる……きっとことりみたいに寝れなかったんだね)おはよう、海未ちゃん。花陽ちゃんも希ちゃんも、まだ部屋に居るのかな?」
海未「そうみたいですね……」
ことり「ことり、花陽ちゃんが心配だから……ちょっと部屋に様子を見てくるね?」
海未「えぇ、ありがとうございます。私も……希の様子を見てきます」
コンコン
ことり「……花陽ちゃん」
花陽「……ことり、ちゃん?」
ことり「おはよう、……もう、海未ちゃんは起きてるみたいだよ。良かったら一緒に居ない? その方が落ち着くかもしれないよ」
花陽「ありが、とう……ぐすっ……」
ことり「花陽ちゃん……」
海未「花陽、おはようございます」
ことり「希ちゃんも……おはよう」
希「……」
ことり「(とても暗い顔をしてる……希ちゃん……)」
海未「花陽も……希も……、あんな人の言うことを真に受けてはいけません。私たちは大丈夫、みんなで抜け出せます。それにきっと今に……穂乃果たちだって助けに来ます」
花陽「……海未ちゃん、ありがとうね……ぐすっ……。私、μ’sを辞めたくない……死にたくないよぉ……!」
希「…ウチも……ない……よ……」
ことり「? 希ちゃん?」
希「ウチも死にたくないんよ。花陽ちゃんは最下位なんやから、そのままで居てよ」
花陽「えっ……!? ひぐっ……のぞみ……ちゃ……?」
希「……そうやって泣いてればええよ。か弱いところを見せてアピールして、ウチらが最下位になって死んだらいいと思ってるんと違う? ウチだって死にたくないんや」
海未「希! 辞めてください! 何を言い出すんですか?!」
ことり「希ちゃん!? どうしちゃったの! 辞めて!」
花陽「ぅ……ぁあ……ひぐっ……」
希「庇護欲掻き立ててそういう層の人でも狙ってるんかな? なんならウチも泣き叫んでみよか? 凛ちゃんも真姫ちゃんも誰もいつもみたいに花陽ちゃんを助けてくれない、だからウチはこの投票で負けるわけには行かないんや。一人じゃ何もできない花陽ちゃんもメンバーに要らないよね?」
ことり「希ちゃん辞めてよ! 何を言ってるの?! きっと……きっと…私たち助かるよ!」
希「何を言ってるん? ウチらは不必要なんよ。誰も助けてはくれへんし、海未ちゃんもことりちゃんだって、ここから脱出するなんて無理なんてことくらいわかってるやろ?」
海未「いい加減にしてください! 落ち着いてください、私たちは……助かります!」
希「ありもしない希望を持たせるのは酷やと思うよ?」
ことり「希ちゃん……!」
海未「あります! 希望は絶対に、あります! 生きてみんなでμ’sとして……またやっていくんです!」
希「二人はまだ上位やから余裕があるんやね、やからそんな甘いことが言えるんと違う?」
花陽「やめて…もう、希ちゃ……やめて……!」
希「そもそも2人はメンバーの中でも穂乃果ちゃんの幼なじみっていうだけで優遇されてるしね。何もしなくても、穂乃果ちゃんのファンがお情けで投票してくれるもんね。これからもそのポジションに甘んじてるつもり! そんなメンバー、要らないんよ」
海未「……希何を言ってるのかわかってるのですか!」
ことり「ひどすぎるよ!」
希「ウチは……部屋に戻る。ファンのみんなに投票してもらうためなら何でもやるつもり。部屋で精一杯のアピールをする。もう投票が終わるまではウチに関わらんといて」
希「2人もそこで泣き崩れてる花陽ちゃんを慰めて、優しい所でもアピールでもしてたら? ほな、お先」
海未「希! 待ってください! 希!」
ことり「希ちゃん……どうして……」
花陽「2人とも……ごめんね……私が……私が弱気になって泣いてばかり居たから……」
海未「花陽は何も悪くありません! 希も……希だって……こんな状況になってしまって我を失ってるだけに違いないんです……」
ことり「……ひどいよ、私たちが、何をしたって言うの……」
花陽「希ちゃん……、いつも明るくて優しい希ちゃんがあんなになっちゃったのに……私が弱気になってちゃ、だめだよね。絶対に、みんなでここから出ようね!」
海未「そうです。絶対に諦めちゃダメなんです……!」
ことり「……うん!」
―一方ほかのメンバー―
警察「うーん……でもこれってどうみてもアイドルの企画か何かなんでしょ? そんなのに首突っ込んでる暇はないんだよねぇ」
穂乃果「私たちこんな企画があるなんて知らなかったんです! 昨日だって急に居なくなっちゃったし、きっとさらわれたりとか……!」
警察「マネージャーとかの秘密の企画なんじゃないの?」
絵里「マネージャーって……私たちスクールアイドルだからそんなもの居ませんし!」
警察「まぁでも一応調べておくから。今日はいったん帰って帰って」
にこ「ちょ、ちょっと!」
凛「何でにゃ~!」
真姫「イミワカンナイ!」
~~~
にこ「やっぱりまともに取り合ってくれなかったわね」
真姫「信じられないわ。あんなのが国民を守ってるって言うの?! こっちは危険に遭ってるかもしれないってのに!」
絵里「でも……どうしたらいいのかしら、私たちは、何をすべきなのかしら……。希たちがどういう状況になっているのかなんてあの映像からだけじゃわからないし、希だって……どうして……あんな風な態度を取ってしまったのか……」
凛「なんだか見てられなかったね……」
穂乃果「きっと何かあったんだよ……。海未ちゃんたちがどこに居るのかわかれば、穂乃果たちが助けにいけるのに……」
凛「どうやったらわかるのかにゃ……」
真姫「例えばパソコンでどこから発信してるのかを調べるとか……?」
にこ「そんなのにこたちに出来る……?」
穂乃果「私たちには出来なくても……、誰か……そうだ! ファンのみんななら誰かそういうことが出来る人がいるんじゃないかな?」
絵里「そうね……私たちを助けてくれる人を、呼びかけましょう!」
真姫「待って! 見て、これ。希がカメラに向かって何か――」
~~~
穂乃果「スクールアイドルのμ’sです! 今日は訳があってみなさんに……」
にこ「こっちも配信で呼びかけるってわけね」
絵里「そうよ、目には目を、ってやつね」
真姫「確かにそうね。見て、この動画を見てる人がこんなにもいるわ!」
凛「わ~すごいにゃ!」
穂乃果「……以上です! どうか、私たちを、いえ、私たちの大事なメンバーを……助けてください!」
絵里「絶対に……絶対に助けるわよ」
穂乃果「うん……絶対に、絶対!」
にこ「ええ、もちろんよ!」
凛「みんな、あとちょっとだけ待っててね!」
真姫「ほんと……めんどくさい人なんだから……」
―2日目・晩―
花陽「結局、扉を壊そうとしたけど……ダメだった……」
海未「なんて、頑丈なんでしょう……」
ことり「やっぱり扉以外には外に通じるものもなさそうだったし、壁もさんざんやったけど壊れそうにないね……」
海未「希は……どうしてるでしょうか……」
ことり「……海未ちゃん、残念だけど、希ちゃんは……」
海未「そうですね……」
花陽「……」
海未「……すみません、希が言ったことは本当だったのかもしれません。ありもしない希望を持たせて……」
ことり「そんなことない!」
花陽「そうだよ! 希望は、きっと、あるよ……だから、海未ちゃんも弱気にならないで! 諦めちゃダメだよ!」
~希の部屋~
希「……希望は、ある、か……」
―3日目・朝―
海未「……あ、」
ことり「……!」
花陽「寝ちゃってた……みたいだね」
海未「……こんな状況になっても、眠ってしまうなんて……結局、何も手がかりは見つからないまま朝を迎えてしまいました」
ことり「大丈夫だよ。絶対に、絶対に、私たちがダメでも……μ’sのみんななら……!」
ガチャ
仮面「……おはようございます。μ’sの不人気さんたち」
海未「あ、あ、あ……貴方は!」
ことり「!」
仮面「そう畏まらずに、今日は最終結果の発表をお持ちしました。そして、これは私が直々に発表させて頂きましょう」
海未「いい加減にしなさい! ここから早く出してください!」
仮面「そう慌てなくてももう出られますよ、じきにね。さぁ、東條希さん、部屋から出て来てください。最後の発表を始めたいと思います」
ガチャ・・・
花陽「希ちゃん!」
希「……」
仮面「貴女たち4人の、不人気投票の結果が出ましたよ」
ことり「……っ」
海未「このっ……!」
仮面「おっと、海未さん。私に何かしようとしても無駄ですよ。私はほら――銃を持っていますからね?」
花陽「ひっ……!!」
海未「あなたは……!」
仮面「……お待ちかねの発表と行きましょう。以前説明いたしました通り、最下位になった方には脱退して頂きますからね、この銃で、命とともに……」
ことり「いや……!」
仮面「さてはまず、脱退を免れた不人気ランキング第4位の発表から……告げていきましょうか」
仮面「第4位は……園田海未さん。まずはおめでとうございます」
海未「くっ……!」
仮面「第3位は……小泉花陽さん。追い上げ票を獲得しましたね」
花陽「……!!」
仮面「第2位は……南ことりさん! おめでとう、脱退を見事免れましたね!」
ことり「そんな……希ちゃん……!」
仮面「そしてぶっちぎりで第1位に輝いたのは……! 東條希さん! 貴女でーす! あはははははははははは! おめでとうございます、本当におめでとうございます! 貴女の願いが叶いましたね!? 最後まで不人気のくせに変なものを見せつけてくれる!! 要らない奴のくせに!! 死ね! 死んでμ’sから消えなさい!!」
希「……あーあ、負けてしもうたみたいやね」
海未「!!」
花陽「希ちゃん……ダメ! 絶対に死なせない……!」
海未「そうです!」
ことり「希ちゃん!」
希「……最後まで優しいんやね。あんなにひどいこと言ったのに。もう点数稼ぎする必要はないんよ。見苦しいから辞めてくれるかな?」
海未「何が……何が不人気ですか……! 何が人気投票ですか……! そんな、そんなものがあるから……希は壊れてしまったんです……」
(…すべてライブカメラでファンの皆様に実況中継され…)
海未「……!」
(…それにしても、あのカメラで全て……映し出されてるんやね……)
花陽「希ちゃん……!」
(…花陽ちゃんを慰めて、優しい所でもアピールでもしてたら?)
ことり「……!」
3人「「「待って!」」」
海未「待ってください、希」
ことり「希ちゃん、どうして?」
花陽「どうして、あんな酷いことを言ったの?」
希「……」
海未「あなたは言いました。カメラが全て映し出していると」
ことり「それなのに、カメラの前でわざと私たちに酷いことを言った」
花陽「希ちゃんが……ファンからの印象を悪くするために……!」
ことり「わざと……最下位になるために!」
海未「そして……仮に私たちが生きて帰ったあとの気持ちも考え……徹底して最後までいやな役を演じていた!」
希「ち、違う! ウチの、ウチの本心や……!」
仮面「あははははは! バレちゃったみたいですねぇ。バレたところでもう希さんの死は決まってるんですけどぉ! ついでにバラしますと、部屋に戻ったあと、ほかのメンバーに投票して貰うようにファンのみんなにお願いしてたんですよ!? 傑作ですねぇ! 不人気メンバー同士の友情! 3人がウチの希望、なんて言ってましたからねぇ!」
希「違う、違う……! やめて……!! 最後まで……最後まで悪役でおらせて……」
海未「貴女は!! 貴女は……なぜ……!」
希「だって! 逃げられるわけないんよ?! 誰かが死なないと、生きては帰れない……。3人は、ううん、μ’sのみんなは……ウチの希望なんや……! 誰一人として死なせたくないんや!」
ことり「……希ちゃん、それは私たちも一緒だよ?」
花陽「そうだよ……。希ちゃんの言うように、私にとって希ちゃんも、私の希望なんだよ」
海未「……希、貴女は、大バカですっ……!」
仮面「さぁさぁもういいでしょう! 不人気同士の結束なんて反吐が出る! 東條希! 脱退の時間です!」
カチャッ
希「……ありがとう、そして、ごめんね……」
パンッ
海未「希ィー!!!!」
ことり「い、いやぁーーー!!」
花陽「いやぁ!!」
ガキン!
仮面「な、なん、だ……と?」
??「いまだ! 撃ち落とした銃を奪え!」
??「オォー!!」
穂乃果「みんな! 遅くなって、本当に本当にごめんなさい……怖い想いさせてごめんなさい……!」
海未「穂乃果!? みんなも!!」
仮面「なんだ、何だお前たち!? 何でここが……!」
絵里「……あなたより何枚も上手の方が居たのよ。私たちのファンの方の中にね」
上手のファン「へっ! こんなののんたん愛を持ってしたらちょろい!」
銃持ってるファン「のんたーん! 助けに来たぞぉ! 何かおかしいと思ったら!!」
その他ファン達「「「「「「のんたん! 花陽ーー! うみちゃー!! ことりちゅーーーん!!!」」」」」
仮面「くっ! は、はなせ! 離せ! μ’sは俺が導くんだあ!!」
警察官ファン「逮捕だ逮捕!!」
にこ「誰も導かないわよ。μ’sはね、9人が手を取り合って、お互いに真っすぐ見つめ合いながら進んでいくんだから」
凛「誰かが人気だからじゃない、誰かが居るから、μ’sなんだ!」
真姫「希……勝手なことして、帰ったらただじゃ済まないんだから!」
希「……みん、な……、みんなぁ……」
海未「希……!」
ことり「希ちゃん! 助かったよ!! 私たち……一緒に帰れるんだよ!!」
花陽「希ちゃん……! 怖かったよね、ありがとう、私たちを守ろうとしてくれて……!!」
希「花陽ちゃん、海未ちゃん、ことりちゃん、酷いこと言ってしもて……ごめんね……!」
海未「いいんですよ、私たちを守ろうとしてくれて……」
ことり「だけど! 覚えておいてね、ことりたちは、希ちゃんが居なくなったらダメなんだから!」
花陽「そうだよ! 希ちゃんが居てくれたから、今の9人で居られるんだから!」
希「みんな……ありがとう…!」
絵里「みんなが無事で……本当に良かったわ!」
穂乃果「そうだね、本当の本当に良かった……! ファンの皆さん、ありがとうございました! さっ、みんな帰ろう!」
9人「おー!」
***
こうして、ウチらはみんなのおかげで無事に一緒に帰ることができた。
その後、この事件の首謀者だった男がやっぱり例のカルト集団の一員だったことから集団は摘発され、事態は収拾を迎えた。
ウチは、……本当の希望を失わずに済んだ――。
***
絵里「さっ、練習も終わったし、明日のファンのみんなの感謝ライブの為にも着替えて帰りましょう」
穂乃果「うぇー、穂乃果、お腹がすいて動けないよぉー」
凛「凛も動けないにゃー」
にこ「もう! それならさっさと着替えて帰りにどこかよればいいでしょ!」
真姫「あれ、4人は……?」
穂乃果「ほんとだ……って、あ!!」
絵里「ふふふ……疲れ果てちゃったのかしらね、寝てるわ」
凛「4人とも手をつないで寝てるにゃ~! かーわいー!」
にこ「全くー、こんなとこで寝てると風邪引いちゃうわよ?」
真姫「まぁいいじゃない。幸せそうだし、もうちょっとだけこうさせといてあげましょ」
希「……うち、μ’sのみんなとおれて…幸せ……むにゃむにゃ」
(おわり)
ということでおわり
のんたんセンター曲がうれしくて書きました。
いろいろ突っ込みどころありですが、センター投票は人気投票じゃない!!
でもいろんなランキングがあるけど、下位常連組にはもっと活躍してよさを知って欲しいなと思います
でぁ読んでくれてどうもでした!
このSSまとめへのコメント
のんたん良いキャラすぎるよ(泣)
次回作も期待してます
古参ファンの中にはこのSSの仮面みたいな奴いそうだよな…
のんたんをネタ要員としてしか見ていませんでしたが、見方が変わりました・・・
このSSのおかげです
ありがとうございました!