ヒストリア「…」アルミン「…」(31)
ヒストリア「…」エレン「…」
ヒストリア「…」ミカサ「…」
の続き
ネタバレあり
―――夕方の外
ヒストリア「……ふあぁぁ………」
ヒストリア「…」ゴシゴシ
アルミン「ヒストリア、そろそろ見張り交代だよ」
ヒストリア「あ、アルミン、うん」
アルミン「…今日は夕焼けが綺麗だね」
ヒストリア「だね」
アルミン「…」
ヒストリア「…」
アルミン「…交代だよ、帰らないの?」
ヒストリア「夕焼けをもう少し見てから帰る」
アルミン「そっか」
ヒストリア「うん」
アルミン「……」
ヒストリア「……」
アルミン(…会話が続かない…)
ヒストリア「………アルミン」
アルミン「!なんだい?」
ヒストリア「ごめんね」
アルミン「………え?」
ヒストリア「私の身代わりになったの…色々あったみたいで………あの時は謝ってなかったから、謝っておいた方がいいかなって」
アルミン「いやいや、謝る必要なんかないじゃないか。あれが作戦なんだから」
ヒストリア「でも……気持ち悪いおじさんに迫られたみたいだし……何だか申し訳ないと思って」
アルミン「はは、気にしなくていいよ…確かに気持ち悪かったけどさ…」
ヒストリア「でもその話聞いた時は面白かった」
アルミン「正直だね、ヒストリア」
アルミン「…僕は情けないよ…身体動かすの苦手だから…あんな事くらいしか出来ないんだ…」
ヒストリア「………頭いいじゃん……」
アルミン「うん。エレンとミカサからも…皆からも信頼されてるのはわかってる。だから自分自身を否定するつもりは無いよ……でも、やっぱりさ…強くなりたいんだ。今の僕なんか男らしくないし…」
ヒストリア「………アルミンは男らしくて強くてカッコいいよ」
アルミン「え?そんな事…」
ヒストリア「カッコいいよ。略してイケミン」
アルミン「なにそれ」
ヒストリア「……アルミンは強いよ。私と違って……どんな困難な状況でも逃げずに正しい行動をしっかり取れる。凄いと思うよ」
アルミン「そうかな…ありがとう」
ヒストリア「…私は逃げて……死に場所を探してるだけだった。前向きに生きようとするアルミンとは全然違う。私こそ自分が情けないよ…」
アルミン「…自分のダメなとこを見つめ直すのも大事だけど……そうやって自分を責めてばかりもダメだよ。ヒストリアにはヒストリアのいいところがあるんだから」
ヒストリア「ありがとう。やっぱりイケミンだよ」
アルミン「ははは、イケミンってなんなのさ」
ヒストリア「…」
アルミン「…何だか、最近よく話すようになったね」
ヒストリア「…エレンやミカサと仲良くなってから…ちょっと自分に自信が持てるようになって来たかな」
アルミン「そういえばあの二人とも最近話してるね」
ヒストリア「うん…アルミンって、エレンやミカサと幼なじみなんでしょ?」
アルミン「うん」
ヒストリア「いいなぁ…私にも小さい頃から…友達が欲しかったな……エレンもミカサも昔からあんな感じなの?」
アルミン「そうだね、昔から強いし頼りになるし…憧れの存在だった。正直、劣等感もあったよ…今はそんな事無いけどね」
ヒストリア「アルミンも頼りになるんだからね。劣等感なんか抱く事無いよ」
アルミン「うん、自分を否定するのはダメな事だから」
ヒストリア「…そうだよね」
アルミン「ただ…いつまでも三人で引っ付いてる訳にはいかない。いつかは大人になるんだから…自分一人でも…強く生きていけるようにならなきゃいけないんだ」
ヒストリア「…」
ヒストリア「そうだね、ユミルがいなくなったからって……ウジウジしてちゃダメだよね」
アルミン「うん。引っ付いてなくても……どれだけ離ればなれになっても絆は変わらない。それが本当の友達だ」
ヒストリア「………私とユミルも…本当の友達だったかな」
アルミン「うん、エレンも言ってたけど…ユミルは君の事を本当に大事に思ってたはずだ。いつかまた会える事を信じよう」
ヒストリア「そうだね、ありがとう」
アルミン「…」
ヒストリア「…」
アルミン「はぁ…筋肉が欲しいなぁ…もっと皆みたいに戦えるようになれば…」
ヒストリア「筋肉ムキムキのアルミンなんて想像つかないよ」
アルミン「ははは。でもさ…やっぱり男らしくなりたいじゃん。ライナーみたいな感じに」
ヒストリア「ライナーみたいに筋肉ムキムキなら男らしいって訳じゃないよ。確かにライナーは男らしいしカッコいいし理由の無い暴力を与えてみたい良い筋肉してるよ……結婚は無理だけど。」
アルミン「途中からなかなかに酷いね」
ヒストリア「つまり…アルミンにはアルミンの男らしさがあるの。アルミンが私には私のいいところがあると言ったみたいに」
アルミン「うん。それはわかってるんだけどね…」
ヒストリア「私は今のアルミンのままでもいいと思うよ」
アルミン「ありがとう」
ヒストリア「…でも、アルミンってさ…」
アルミン「ん?」
ヒストリア「たまに怖い顔するよね」
アルミン「はは…前から言われてて気にしてるんだよ…」
ヒストリア「…そこは、ヒストリアも怖い顔するだろって言って突っ込んで欲しかったな」
アルミン「女の子に向かってそんな事は言えないよ」
ヒストリア「気にしなくていいよ、私は空っぽな人間だから」
アルミン「そうは見えない」
ヒストリア「まぁ…あれだよね、頭の中で色々な考えがごちゃごちゃしてると変な顔になっちゃうよね。何となくわかるよ」
アルミン「うん…良心を捨てようとしても心の中でどこか戸惑いがあるからさ。ゲスイような困ってるような中途半端な顔つきになるんだよ」
ヒストリア「ゲスミンスマイルって奴だね」
アルミン「やめてくれよ、そんな呼び方…」
ヒストリア「気にしないで、私の顔はゲストリアだから」
アルミン「……いや、ヒストリアはゲスではないよ、たまに顔が怖いだけで…」
ヒストリア「怖いって言われた…泣こ…」
アルミン「ええ!?自分で言ってたじゃないか!!」
ヒストリア「冗談だよ。でも壁に戻った時のはちょっとやり過ぎたかなって思ったよ。色々言ったからスッキリしたけど」
アルミン「あの時はさすがの僕もビックリしたよ」
ヒストリア「皆もビックリしてたね」
アルミン「でもさ…ああやって自分の感情を吐き出す事も大事だよ。それが人間だ」
ヒストリア「うん、発散したおかげですぐに冷静になれたよ。前は溜め込んでばかりだったからさ…正直に喋るのって気持ち良いね。まぁ、エレンに突っ掛かりすぎて困らせたのはやり過ぎたと思うよ、エレンも大変なのにね」
アルミン「別に良いんじゃないかな。普通の人間は自分の感情なんか簡単にコントロール出来ないし……やっぱ不満を発散したい時はあるよ」
ヒストリア「そうだよね」
アルミン「うん」
ヒストリア「エレンがクリスタの頃を気持ち悪いって言ってたのも何となくわかるよ」
アルミン「はは、エレンらしいね。確かに嘘とか嫌いだろうし…以外と観察力があるからね。自分を偽ってるようなクリスタの頃が嫌だったんだろう」
ヒストリア「…アルミンも気付いてたの?」
アルミン「…いや、正直気付いてたなかった…」
ヒストリア「アルミンの自慢の観察力でも気づかれなかった私って凄くない?」
アルミン「それ自慢する事じゃないからね?」
ヒストリア「はい」
アルミン「エレンやミカサも、今の方がいいってのもわかるかな…正直に話してくれるし。自然体だしね」
ヒストリア「おお、ヒストリアでも私はモテモテだね、困っちゃう」
アルミン「…変な冗談も言うようになったし」
ヒストリア「変な冗談なんて酷いね…私も頑張ってるのに…泣いちゃうよ?やっぱり貴方はイケミンじゃなくてゲスミンだよ」
アルミン「あれ、泣いちゃうって…空っぽな人間じゃなかったっけ?」ニヤッ
ヒストリア「ぶふぉっ!!」
アルミン「今、凄い声出したね」
ヒストリア「いやいや、アルミンもやるようになったね、面白いよ」
アルミン「ヒストリアこそ、今の方が面白いよ」
アルミン「…暗くなってきたね、ヒストリアもそろそろ戻らなきゃ」
ヒストリア「うん…あっ」
アルミン「ん?」
エレン「よう、アルミン、お前が見張りの当番か?」
ミカサ「暗いから気をつけて」
アルミン「そうだよ。暗いから気をつけてって…子供じゃないんだからさ…」
アルミン「二人とも何してるの?」
エレン「ああ、ずっと中でじっとしてるのもあれだし…ちょっと外歩いてたんだ」
ミカサ「何かあってはいけないから私も同行していた」
アルミン「なるほど。でも、ミカサも言う通りあまり外をうろつくのも良くないよ、エレン」
エレン「おう、わかってるよ。大丈夫だ」
ミカサ「本当に?私は心配で仕方ない…エレンはもう二回も誘拐されてる。一人じゃ危ない」
エレン「うるさいな…いつまでもお前に守られてばっかじゃ…」
ヒストリア「エレンだってミカサの事を守りたいもんね」
エレン「!?」
アルミン「おおう…」
ミカサ「そんな…///」
エレン「なに言ってんだお前!?」
ミカサ「エレン…私の事を守りたいと思ってくれてたなんて…嬉しい…」
エレン「はあ!?バカな事を…」
ミカサ「え…私なんかどうでもいいの?」
エレン「…いや…そんな事はねぇし…大事な存在だが…」
ヒストリア「二人とも結婚したらお祝いさせてもらうよ。友達だからね」
エレン「なに勝手なこと言ってんだよ!?」
ミカサ「ありがとうヒストリア、頑張ってエレンと幸せな家庭を築く。おじいちゃんとおばあちゃんになっても…」
エレン「気が早すぎる事言ってんじゃねぇ!!まずはこの世界をなんとかしてからだな…」
アルミン「今の言い方だと、まんざらでも無いんだね」
エレン「アルミンまでなに言ってんだ!?」
読み返してみたら、書こうとしてた感じと何か違うので、考えてからまた書き直します。
やっぱり、ここまで書いたからこのまま続き進めます
エレン「ああもう…変な事ばっか言いやがって……てかヒストリアはもう交代だろ?いつまで居るんだよ」
アルミン「そうだね、暗くなってきたしそろそろ戻りなよ、危ないし」
ヒストリア「うん。私はそろそろお邪魔するよ…」
ミカサ「また後で」
ヒストリア「…三人はまだ話しとけばいいよ。最近三人で集まる暇も無かっただろうし」
アルミン「え?」
ヒストリア「アルミンは、いつまでも引っ付いてる訳にはいかないって言ってたけど…やっぱ一緒に居れる時は居たいでしょ?」
アルミン「うん。そうだね」
エレン「じゃ、久しぶりに外の世界の話聞かせてくれよ」
アルミン「え?最近その話題しないから忘れたものかと思ってた……」
エレン「んな訳ねぇだろ。やっぱそれが一番の目標なんだ」
ミカサ「私も久しぶりに聞きたい」
アルミン「うん!」
ヒストリア「……」
ヒストリア(さて、三人の邪魔しちゃ悪いし帰ろ)
ヒストリア「…ただいま」ガチャッ
サシャ「お疲れ様です、ヒストリア。パンを半分どうぞ、この前のお礼です」
ヒストリア「…このパンどこから持ってきたの」
サシャ「えへへ、皆には内緒ですよ?」
ヒストリア「もう…勝手に取っちゃダメでしょ、半分より小さいし……ありがたく貰うけど」パクッ
ジャン「おい、ヒストリア…鼻水出てるぞ」
ヒストリア「え?あ…」タラー
ヒストリア(恥ずかしい)
コニー「今日は寒いからなぁ…ほら、これでかめよ」
ヒストリア「んんんんん!!」ヂーンッ
『はい、よく出来ました』
ヒストリア「!!」
ヒストリア(あれ、なんだろう…今一瞬思い出した声)
ジャン「…どうした?紙鼻に抑えたまま硬直して」
ヒストリア「ん、何でもない」
コニー「お前、最近話すようになったよな」
ヒストリア「そんな事ないよ」
ジャン「いやいや…まぁ、クリスタの頃よりは口数は少ないが、ヒストリアは正直に話してくれるから今のお前がいいよ」
ヒストリア「照れるなぁ」
―――
アルミン「ふう…見張り終わった」
ヒストリア「おつミン」
アルミン「うん、お疲れ…ん?何だって?」
エレン「ははは、久しぶりに盛り上がったな」
ミカサ「ええ、とても良かった」
ジャン「な!?盛り上がったとか良かったとか…ミカサと何してたんだエレンお前コラァ!?」
エレン「はあ!?」
アルミン「はは…ジャン、外の世界の話で盛り上がったって事だよ」
ジャン「…」
ジャン「…」
ジャン(自分が情けねぇ…)
ヒストリア「元気出して」
サシャ「そうそう、そういえば外の世界って私も興味あったんですよね!!」
コニー「俺も、前のエレンの話聞いてから気になっててよ!!」
エレン「お、アルミン、皆とも話そうぜ」
アルミン「サシャとコニーも興味持ってくれて嬉しいな」
ジャン「…俺も聞いてやるよ」
ヒストリア「…」
エレン「何やってんだよヒストリア、そんな微妙に離れて」
ヒストリア「!」
ミカサ「遠慮する事はない」
ヒストリア「ん…ちょっと混ざるの恥ずかしくて…」
アルミン「もう、なに言ってんのさ。ヒストリアもこっち来なよ」
ヒストリア「………」
ヒストリア「うん」
おしまい
一応これで終わりの予定ですが、気が向いたら続き書くかも知れません。
このシリーズ以外には、進撃SSでは過去に
ユミル「お前ダズ助ける気あるのか?クリスタ「え?」
アルミン「このまま一緒に故郷まで行けばいいんじゃね?」
クリスタ「自由への進撃っ!!!」
なども書きました。
このSSまとめへのコメント
おつかれ!!
楽しめたよ。