ヒストリア「…」ミカサ「…」(17)
※原作のネタバレあり
新リヴァイ班 隠れ家 調理場にて芋の皮剥き中
ヒストリア「…」シャッシャッ
ミカサ「…」シャッシャッシャッシャッシャッ
ヒストリア「…」シャッシャッ
ミカサ「…」シャッシャッシャッシャッシャッシャッ
ヒストリア「…早いね」
ミカサ「ええ」
ヒストリア「…」シャッシャッ
ミカサ「…」シャッシャッシャッシャッシャッシャッシャッ
ミカサ「…ヒストリア、最近、表情が少しだけ柔らかくなった………気がする」
ヒストリア「え?」
ミカサ「エレンから聞いたけど…この前、私たちがリーブス商会を襲撃した時にエレンと話してみたいね」
ヒストリア「うん」
ミカサ「その時に少し元気づけられたの?」
ヒストリア「まぁ……今の私が普通の人間って言われて自信がついたかな、ちょっとだけ」
ミカサ「エレンはイケメンで優しいから当然の事。私も…今のあなたの方が自然体でいいと思う」
ヒストリア「ありがとう、ミカサ」
ミカサ「ええ。貴女のような思い詰めた子を少しでも元気づけたエレンは世界一のイケメンだと思う」
ヒストリア「でも……ユミルの方がイケメンだよ」
ミカサ「いえ、エレンがイケメン」
ヒストリア「じゃあ両方とも世界一イケメン」
ミカサ「それなら納得した」
ヒストリア「…」シャッシャッ
ミカサ「…」シャッシャッシャッシャッシャッシャッ
ミカサ「あの時は…少し申し訳ないと思ってる」
ヒストリア「え?」
ミカサ「エレンがライナー達に拐われた時…ユミルと貴女に剣を向けた事」
ヒストリア「ああ…あれか。そりゃ、あんな物凄い殺気向けられら怖かったけど……仕方ないんじゃないかな、あの状況なら。ミカサは間違ってないよ」
ミカサ「そう…なら安心した」
ヒストリア「うん」
ミカサ「…貴女は、意外と冷静にものを見ることが出来る。エレンも言ってた……最初、壁内に戻った時はユミルに対して怒りをぶつけてたけど、少し時間の経った今ならユミルの行動も冷静に受け入れる事が出来ると」
ヒストリア「…うん、ユミルが自分が選んだ事だから…」
ミカサ「貴女は強い。そして普通の人間。だからもっと自信を持って皆とも前みたいに打ち解けるべき」
ヒストリア「うん」
ヒストリア「……私は本当に強い人間かな?」
ミカサ「ええ…弱い人間はそんなすぐに冷静になれない…今でもユミルに対して怒りしか向けてないはず。でも貴女は違う」
ヒストリア「…ミカサの方が強いよ…」
ミカサ「…」
ヒストリア「ミカサがうらやましい……私は、ミカサくらい強くなりたかった。そしたら私はきっと……こんな空っぽな人間にならずに済んだかも知れない」
ミカサ「…確かに私は強い…とても強い、自分の身体を完全に支配できるから」
ヒストリア「…」
ミカサ「でもヒストリア、貴女は勘違いをしている」
ヒストリア「え?」
ミカサ「強いからと言って…全ての不幸をまたいで生きていく事など出来ない」
ヒストリア「…」
ミカサ「…私は、おばさんを救う事ができなかった。ハンネスさんも…大事な家族だったのに…目の前で巨人に喰われ殺された。私は何もできなかった」
ヒストリア「…ごめん…」
ミカサ「…ライナーとベルトルトにもトドメを刺せなかった。そのせいでエレンが拐われ……多くの兵士が結果的に死んでしまった」
ヒストリア「…でも、ミカサは悪くない…」
ミカサ「それでも人が死んだ事に変わりない。二度と生き返らない」
ヒストリア「…」
ミカサ「ヒストリア…貴女は私のような強さをうらやましいと言ったけど、強くなれば何でも思い通りになると思ったら間違い」
ヒストリア「うん…」
ヒストリア「ごめん…私、何も考えずに…簡単にそんな事言って…」
ミカサ「いえ、いい…強くなりたいと思うのはいいこと。ただ、強くなれば何でも思い通りなると思っちゃダメという話」
ヒストリア「うん」
ミカサ「…」シャッシャッシャッシャッシャッ
ヒストリア「…」シャッシャッ
ミカサ「…あっ」ポロッ
ヒストリア「あ」
コロコロコロ…
ミカサ「…」
ヒストリア「…」
ミカサ「…わ、わたしとした事が…」
ヒストリア(芋落として戸惑ってるのを少し可愛いと思ってしまった)
ミカサ「…私こそ、貴女がうらやましい」
ヒストリア(おう、いつものキリッとした表情に戻った)
ミカサ「聞いてる?」
ヒストリア「あ、うん」
ミカサ「…貴女は優しい人。私には真似できない」
ヒストリア「え…そんな事ないよ。クリスタの頃はいい子だったかも知れないけど……あれは、私が生きていく為に与えられた役で…本当の私はこんなに空っぽで…気持ち悪い奴だよ…」
ミカサ「…確かにクリスタの頃は作ったような顔だったけど、優しさは…本物だったはず」
ヒストリア「…」
ミカサ「そもそも性格悪い人はそんなこといちいち気にしない。貴女は本当に優しい人。ただ、今は自分の事を…何をして生きたいかをわかって無いだけ」
ヒストリア「…うん、エレンにも言われた…」
ミカサ「さすがはエレン、よく見ている。帰ったらいい子いい子しないと」
ヒストリア「そんな事したら嫌がられるよ…」
ミカサ「もちろん冗談」
ヒストリア「ミカサも冗談言うんだね」
ミカサ「当然」
ヒストリア「…芋剥き終わったね」
ミカサ「ええ…疲れたし1つだけ、私達で食べよう」
ヒストリア「勝手にいいのかな?」
ミカサ「たまにはいい…蒸かして食べよう」
ヒストリア「うん」
ミカサ「…」
ヒストリア「…」
ミカサ「…」
ヒストリア「…」
ミカサ「そろそろいいかしら」
ヒストリア「そうだね」
ミカサ「…はい、半分」ブチッ
ヒストリア「ん」
ミカサ「どうぞ」4分の1
ヒストリア「ブッ!!」
ミカサ「ふぅ~…」
ヒストリア「ちょっ…ミカサ……やめて……ププッ…」プルプル
ミカサ「やっと笑った」
ヒストリア「…サシャの物真似って時点でヤバイのにミカサがやったら破壊力抜群だよ……」プルプル
ミカサ「…皆の前でもそうやって自然な笑いを出そう」
ヒストリア「うん、ありがとう」
ヒストリア「…」モグモグ
ミカサ「…」モグモグ
エレン「おーい、お前ら、芋の皮剥き終わったか?」
ミカサ「あ、エレン。終わった」
アルミン「…って、二人とも勝手に芋食べてるの!?」
ヒストリア「冷めては元も子も無いので今食べるべきだと判断しました」
アルミン「は!?」
ミカサ「ごめんなさいエレン、1つだけだから許して」
エレン「お前なぁ…まぁ、もういいけどよ」
サシャ「芋の匂い!!!」ダダダッ
コニー「おい待て、勝手に芋食う気だろお前!!」
サシャ「違います、蒸かした芋の匂いがするんです!!」ダダダッ
ジャン「腹減りすぎておかしくなったかこいつ!?」
サシャ「芋ください!!」ガチャン
ヒストリア「あ、サシャ」
サシャ「うほっ、お芋わけてください!!」
ジャン「おいおい、ミカサとヒストリア!勝手に食ったらダメだろ!」
ミカサ「1つだけだから許して、ジャン」
ジャン「おう…まぁ1つなら」
アルミン「ジャン…」
サシャ「ヒストリア!わけてくださいな!」ワクワク
ヒストリア「ん」ブチッ
サシャ「わーい!」
ヒストリア「どうぞ」一ミリ
サシャ「」
ヒストリア「ふぅ~~…」
サシャ「これだけじゃたりませんよぉぉ、お願いします神様あぁぁ!!」
ヒストリア「…くすっ…はい半分」
サシャ「わお、ありがとうございます神様あぁ!!」
エレン「ははは、やるようになったじゃねぇかお前!!」
ミカサ「…やっぱりヒストリアは普通の人間」
おしまい
前作は、ヒストリア「…」エレン「…」です。
気が向いたらまた続きを書きます。
このSSまとめへのコメント
良い話です。
他のパターンも期待してる