志希『このクスリはお香のように匂いを嗅がせることで効くクスリだよ!』
志希『事務所のみんなに嗅がせて回るのは面倒だから晶葉ちゃんに協力
してもらってエアコンから匂いが出るようにしてあるよ!』
志希『キミが目を覚ます頃には事務所に充満してるんじゃないかな~♪』
志希『混沌の坩堝と化した事務所を楽しんでねー♪』
晶葉『なお、このメッセージは再生後自動的に消滅する』
P「!?」ポイッ
パン!
P「……なるほど、なるほどなぁ」
P「俺がちょーっとばかし事務所で昼寝している間にそういうことを……」
P「これはお仕置きが必要だなぁ」
P「まずは空調を止めるべきか……いや、充満しているなら換気か。
とりあえず窓を開けよう」ガラッ
P「ふー、心なしか空気が爽やか……な気がする」
P「さてと、みく。そこで何をしている」
みく「あなたの寝顔を見ていました」
P「そうか。お前もしっかりとクスリが効いているようだな」
みく「そうでしょうか。私としては普段通りなのですが」
P「みんなこのくらいおとなしければいいのだが……そんなわけないか」
みく「これからはどのように?」
P「事務所内を換気しつつ志希と晶葉を捜索だな。解決法を知っているハズだ。
みくは二人を見ていないか?」
みく「申し訳ありません……」
P「あー、そんな気にするな。しかしみくもそんな大和撫子というかお淑やかというか
控えめでいると随分と印象変わるな」
みく「お嫌でしょうか?」
P「いや、いいんじゃないか。上品で」
みく「ありがとうございます」
P「じゃあ行くか」ガチャッ
みく「はい」
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P「事務所内は特別騒がしい感じはしない……ん?」
雪美「……」クイクイ
P「雪美か。どうしたんだ?」
雪美「新しい曲を考えたんだ。ちょっと聞いてみないか?」
P「」
雪美「なに固まってんだよ。まぁいいや。ジャンルはラテン農民のラップだ。
いくぜ?」
雪美「ブンツプツッツ ブンツプツッツ オホオホオホオ ハッハッハッ!」(ピュアボイス)
P「ストップ」
雪美「おいおいなんだよ、まだ全部歌って無いぜ?」
P「いや、もうわかる。出だしだけで名曲の予感がする」
雪美「マジかよ」
P「だから忘れないうちに歌詞をノートに書いとけ」
雪美「おう、そうするぜ。あんがとな。マイ ソウル パートナー!」
P「……」
みく「大丈夫ですか?」
P「ああ……かなり致命傷を負ったが……まだいける……」
みく「無理をなさらないでください」
P「大丈夫だ。心配かけてすまなかった。まずは仮眠室から行こう」
みく「そういえばあなたはなぜいつも社長室で昼寝を?」
P「仮眠室で寝てると布団に忍びこんでくる輩がいるんでね」ガチャ
裕子「ぐぅぐぅ」フワー
P「」バタン
みく「いかがしました?」
P「いや、ちょっと見間違いをな。よし、開けよう」ガチャ
裕子「ぐぅぐぅ」フワー
P「」バタン
みく「あの……」
P(寝ながら浮いていた)
P「……ここは置いておこう。次にいこう」
みく「更衣室見てきましょうか?」
P「ああ、助かる。俺は給湯室に行こう」
P「まぁあの二人が給湯室にはいないよな」
ライラ「」モグモグ
P「ライラだけか」
ライラ「ん? どうかしたですますか?」
P「お、おう。晶葉と志希を探しているのだが」
ライラ「見てないですますね」
P「そうか。ところで何を食っているんだ」
ライラ「イチゴのショートケーキでございますですよ」
P「一人で?」
ライラ「無論」
P「あー……一人でホール一個は食べすぎだと思うぞ」
ライラ「ショートケーキ分が足らないですますよ」モグモグ
P「せめて切り分けてフォークで食べろ。そのままを手づかみで食べるはよくない」
ライラ「面倒でございますですよ」
P「……手はちゃんと洗えよ」
ライラ「あいあいさーですますよ」
P「あのケーキは買って来たのか……?」
みく「Pさん」
P「おう、更衣室はどうだった?」
みく「菜々さんしかいませんでした」
P「菜々? どんな様子だった?」
みく「スクール水着を着て『ななはななさいだもん! ぶいっ!』
って言ってました」
P「そうか。忘れてさしあげろ」
みく「わかりました」
P「さてと、あとは応接室なんだが」
凛「」
ありす「」
蘭子「」
まゆ「」
P「あのソファーに座ってる連中の横を抜けて行かないといけない」
P「通りたくねぇ……」
みく「私がついています」
P「そうだな。よし、さりげなく行こう」テクテク
みく「はい」テクテク
P「この前の仕事なんだけどさ。衣装大丈夫だったか」テクテク
みく「ええ、問題ありませんでしたよ」テクテク
P「そうk」
凛「プロデューサー。待って」
P「なんだ、今いs」
凛「座れ」
P「いs」
凛「座れ」
P「……ひゃい」スゥ
ありす「なんでそこに座るんですか」
凛「はぁ?」
ありす「私の隣に座るべきですよね」
凛「なんで」
ありす「なんでって……ああ、知らないんですね。
Pさんは私のフィアンセなんで」
凛「笑わせるな。小娘。あんたなんて子どもは相手しないよ」
ありす「はっ、年齢でしか人のことを判断出来ない残念なかたでしたか」
P(もうやだこの空気)
蘭子「まぁ落ち着きたまえ。そんな殺気立っても仕方あるまい」
P(おお、蘭子が仲裁に)
蘭子「世界の半分は我の物なのだ。ならばPは我の物と考えてもおかしくあるまい」
凛「何言ってんの?」
ありす「世界の半分とか……今時魔王でもいいませんよ」
蘭子「なんだ、貴様ら下々の民は我が名を、我が力を知らぬのか」
凛「何が下々の民だ、馬鹿馬鹿しい」
蘭子「やれやれ、無知たる民に智を授け、道を示すのもまた王の勤め……。
ノブレス・オブリージュというものか」
ありす「ずいぶんと上からの物言いですね」
蘭子「無論その通りである」
凛「何様のつもり」
蘭子「我が名は神崎蘭子。この星の民が選びし女王、シンデレラガールなり。
我の否定は自らの、そして民意の否定に繋がるぞ。控えたまえ」
ありす「くっ」
凛「ちっ」
蘭子「その若き野心故の無礼。赦してやろう。物を欲する心こそがその者の成長を
導く。貴様らの欲求もまた成長になくてはならぬ必要なものだ。だがしかし
時と場所、そして相手を選ぶのだな。我と争いたくば同じテーブルに着くぐ
らいのことはしたまえ」
ありす「……仮に初代シンデレラガールがPさんが欲しいと言ったらどうするのですか」
蘭子「無論話し合う。最も譲る気はないがな」
P(女王様怖い。そういえばさっきからまゆがニコニコしてるだけで何も言わないな。
クスリの影響で毒気が抜けたか?)
凛「まゆは言うことないの?」
まゆ「まゆとPさんは宇宙意思によりDNAの二重螺旋上にその名が刻まれて、遺伝子で
繋がっているので特に言う事はありませんね」
P(あかん)
ありす「そもそもにしてPさんの意思はどこにあるのですか」
P「えっ」
蘭子「ふむ。確かに興味がある。Pよ、貴様は誰を望む」
凛「そうだね。Pさんはどうなの。誰がいいの?」
まゆ「誰を選んでもPさんは最終的にはまゆと一緒ですよぉ」
P「ど、どうすればいいんだ……」チラッ
みく「わ、私はPさんが誰かと一緒になっても……あなたが幸せならそれで……」ボロボロ
P「……! そうだな。じゃあこうしよう。晶葉と志希を捕まえてきた奴と
結婚を考えてもいい」
ありす「」ガタッ
凛「」ガタッ
蘭子「」ガタッ
まゆ「」ニコニコ
P「……よし、厄介払い出来たな。とりあえず窓を開けておこう」
みく「Pさん……あの私も二人を探しに……」
P「大丈夫。考えるだけだ。するとは言っていない」
みく「あ、なるほど」
P「まゆも気付いてたんだろ?」
まゆ「いえ、まゆはPさんと銀の庭で那由他の時を過ごすことは
決まっているので別に結婚程度なら上げても構わないと思ったんですよぉ」
P「お、おう。そういえば聞き忘れたが志希と晶葉がどこに行ったか知ってるか?」
まゆ「知らないです。お役に立てなくてごめんなさい。
あとあの三人も私と一緒にいたのでおそらく知らないと思いますよぉ」
P「そうか。ありがとう」
みく「では応接室に行きましょう」
P「まぁいないとは思うがな」ガチャ
時子「……」
桃華「……」パチン
P「二人だけか。何やってんだ?」
時子「……」パチン
桃華「王手」パチン
時子「ん……ん? 待って。ちょっと待って」
桃華「お好きにどうぞ。あら、Pくん。どうしたのかな」
P「将棋やってるのか。緑茶飲みながら」
桃華「ま、ね。結構渋みがあってうまいんだよ。飲む?」
P「いや、結構。というか急須じゃなくて紅茶のポットで淹れてるのか」
桃華「案外イケるもんよ?」
P「さいでっか……」
時子「ちょっと戻すわよ。ここを……こっちかな」パチン
桃華「ふむ」パチン
時子「こうして……」パチン
桃華「王手」パチン
時子「こっちに……いや、こっち……ダメだ。こっち……」
桃華「もう積みだから諦めてよ」
時子「まだよ! 私が諦めない限り希望は!」
桃華「んでPくんどったの?」
P「ああ、晶葉と志希見て無いかなって……見てないよな」
桃華「ああ、クスリの件?」
P「知ってるのか!」
桃華「はい、中和剤」ポイッ
P「おっとっと。ありがとう! でもなんで桃華が持ってるんだ?」
桃華「事務所に来たときになんかしてたからSPにシメてもらったら
それくれたんだ」
P「そうだったのか。本人達はどうした?」
桃華「ウチで監禁中」
P「じゃあここに連れてくるように頼めるか?」
桃華「らじゃー」
P「これで解決か。香水みたいだな……。さっそく使うか。
でも、中和剤持ってるなら撒いてくれればよかったのに」カパッ
桃華「アイドルが変になるクスリだっけ? まぁどうなるか多少興味があったんだ」
P「なるほど。お、これ結構爽やかな香りがするな」フリフリ
桃華「でもさー、みんな変わらないんだよね。いつも通り。ボクも変わらないし。
Pくんから見ると変わってるの?」
P「そりゃ変わってるさ。激変さ。あれ、なんか眠くなってきた」ウトウト グラリ
みく「危ない! 大丈夫ですか?」ガシッ
桃華「んー。じゃあもしかしてさ。ボクたちが変わったんじゃなくて
Pくんが変わったんじゃないかな」
P「俺……が……? じゃあ……俺の記憶にあるみんなは……」
桃華「すべては夢の中だよ。Pくん」
みく「Pさん! どう……た……で……か! Pさ……!」
P「」ガクッ
P(俺が目を覚ますと全ては元通りの事務所に戻っていた)
P(最後の桃華の問いかけの真相……その回答は考えるまでもなくすぐに思い知らされた)
P(なぜなら……)
蘭子「本当にすみませんでした」ドゲザ
凛「いや、蘭子顔上げて。気にしてないから」
ありす「そうです。全てはクスリのせいだったんですから」
蘭子「いえ、もう本当にごめんなさい」
桃華「ちゃんと道具は正しく使うべきですの!」
時子「王手」パチン
桃華「……待ってくださいまし」
時子「早くしなさい。まだやられた分やり返し足りないのよ」
桃華「く……」
菜々「」ズーン
裕子「私が寝ている間に一体何が……さいきっく大混乱」
雪美「ぶんつく……つっつ……おうおうおう……」
P「まさか記憶が残っているとはな……」
みく「こういうのって全部忘れてるもんじゃないの?」
P「俺もそう思うんだが……。みく、なんか遠くないか?」
みく「いや、そのみくも結構……恥かしかったから……」
P「みく……俺はあの控えめなみくも元気なみくも、そして今恥かしがっているみくも
全部好きだ。いや、愛してる!」
みく「P……チャン?」
P「みく、結婚しよう」
みく「Pチャン!」ダキッ
P「みく!」ダキッ
まゆ「……」ニコニコ
P「……えーっと」
まゆ「大丈夫ですよぉ。まゆは怒ってませんよぉ」
P「そ、そうか。あははははは」
まゆ「だってPさんは宇宙が終焉を迎え、闇に閉ざされ、そして新たなる光が
満ちようともまゆの世界で一緒になるんですから少しくらい構いませんよぉ?
でもですねぇ……少しだけ早くまゆの世界に旅立つことぐらいは出来るんですからねぇ?
うふふふふ……」
こうして事務所に平和が戻った。
なお晶葉と志希の処罰はちひろさんが担当した。
以上
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