咲「犬鍋美味しいね、お姉ちゃん」
照「はふはふ、旨い旨い」
咲「一杯あるからたくさん食べてね」
照「やったー」
咲「もう、お姉ちゃんたらそんなに急いで食べるとのど詰まるよ」
照「もぐもぐ、なんもかんも咲が料理上手いのが悪い」
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咲「それにしても丁度いい具合に野良犬を見つけたね」
照「あの野良犬『メゲるワン……』とか鳴いてて不気味だったけど、さばいてみるとこんな美味しい肉になったな」
ピンポーン!
咲「あれ?お客さんだ」
照「誰だ?こんな時間に……」
咲「はーい、ただいま……」
洋榎「おう!チャンピオンの妹やないか」
由子「こんにちはなのよー」
絹恵「こんばんわ」
咲「2回戦で部長と戦った人だ、立ち話なんですし上がって下さい」
洋榎「いや、今日はゆっくりしにきたんちゃうんや、実は聞きたい事があるんやけど……」
洋榎「うちの犬見いへんかったか?」
咲「犬ですか?」
絹恵「『メゲるワン……』って鳴く変わった犬なんですけど……」
咲「!?」ビクッ!
照「おい!咲、お客さんか?」
洋榎「チャンピオンやないか」
照「久しぶり……」もぐもぐ
洋榎「相変わらずやな……ところで手に持ってるそれなんや?」
照「これは咲が作ってくれたい……」
咲「あわわ!な、なんでもないよ!」
洋榎「ん?」
咲「豚!豚鍋だから」あせあせ
洋榎「そうか……なんや『犬鍋』の匂いがしたんやけどな……」
咲「そ、そんなもの食べる訳ないよ!」
洋榎「まぁ、たとえ犬鍋やとしても、人様の愛犬を勝手に食べる奴はおらへんやろう」
照「!?そ、その通り……」
絹恵「それにしても何処いったんやろうね」
洋榎「しばらく遠征に行くからって、安いペットホテルに預けたんが悪かったんかな……」
絹恵「せやかて、代行に預ける訳にもいかんし……」
由子「あのBBA、犬畜生に欲情するとかレベル高すぎなのよーwwwwwww」
咲「あ、あのー…もし、万が一なんですけどね……」
洋榎「なんや?」
咲「絶対にあり得ないんですけどね、その……大事な愛犬を野良犬と間違えて勝手に食べたって人が居たら……」
洋榎「なんやて!?」
照「も、もしもの話だから……」
洋榎「そうやな、そんな馬鹿な奴がおったら……」
咲「おったら……」ごくり
照「どきどき……」ごくり
洋榎「手足搔っ捌いて、口裁縫して道頓堀の愉快なオブジェクトにしたるで……」
照「ひぃひぇぇぇ!!」カタカタ
洋榎「まぁ、そんな奴おったらやけどな」
洋榎「ん?なんやそのリボンは、メゲるワンがしてたのと似とるな……」
咲「!?き、気のせいだよ、さ、最近リボンが流行ってるからね、買ってきたんだよ!」あせあせ
洋榎「おかしいな、あのリボンは由子が作ってくれたもんで、市販されてるもんやないのに……」
咲「た、たまたまだよたまたま!」あせあせ
絹恵「お姉ちゃん、あんまり迷惑かけてもあかんし、次探しに行こう」
洋榎「せやな、邪魔したな、もし見かけたら連絡くれるか?」
照「わ、わかった……見つけたら連絡する」ガクガク
洋榎「そうか、すまんな。ほなさいなら」
絹恵「ほんま、迷惑おかけします」ぺこり
由子「のよー」
ばたん!
咲「行ったね」
照「あわわわわわ」カタカタカタカタ
咲「お、お姉ちゃん!!」
照「道頓堀……搔っ捌く……愉快なオブジェ……」カタカタカタカタ
咲「だ、大丈夫だからねお姉ちゃん!ばれっこないよ!」あわわ
照「ほ、本当に?」カタカタカタカタ
咲「そうだよ!それよりさ、今度は猫鍋食べようよ!」
照「猫鍋!」ピキーン!
咲「うん、さっき活きのいいのを捕まえたからね」
咲「さばくの大変だったんだよ、猫の癖に『カナちゃん美味しくないし』とか言って暴れるから」
照「咲!猫鍋もう出来てるの」わくわく
咲「うん!もう煮えてるとおもうよ、今持ってくるね」
照「やったー」
咲「それ、たんと召し上がれ」
照「美味しそう……」
照「ぱくぱくもぐもぐ……ンマーイ!」
咲「ふふ、そんなに慌てなくても猫鍋は逃げないよ」
ピンポーン!
照「咲、お客さん……」
咲「誰だろう、こんな夜遅くに……」
咲「はーい、今まいります」
美穂子「宮永さん、夜遅くにごめんなさい……」
久保「池田ァ……」ぐすっ
咲「あ!風越のキャプテンさんと、なんだか解らないけどよく怒鳴ってた人……」
美穂子「実は聞きたい事があってここに来たの……」
咲「なんですか?」
美穂子「単刀直入に言うわ、ウチの華菜知らないかしら?」
咲「!?い、池田さんですか?し、知りませんよ……」
美穂子「そう、残念ね……」
久保「ほら、池田ァ……お前の好きな鰹節だぞ……だから早く帰ってこい……」うわーん
照「どうしたんだ?咲……」もぐもぐ
咲「!?」
久保「池田ァ?池田ァの匂いがするぞ……」くんくん
美穂子「あら?宮永さんのお姉さんが手に持ってるのは一体?」
照「あぁ、これは咲が作ってくれた猫……」
咲「な、な、なんでもないよ!これは、そう!牛しゃぶだから!」
久保「それから池田ァの匂いがする……」くんくん
美穂子「ほんとに牛しゃぶかしら……」
照「!?ぎくり……」
久保「ぎくり?」
美穂子「どうしたのかしら宮永さん、まさかウチの可愛い華菜で猫鍋なんて……」
咲「ま、まさか勝手に他人の愛猫を捕まえて猫鍋なんて、普通しないよ!」あせあせ
美穂子「それもそうよね」
咲「そ、そうですよ!」あせあせ
咲「あのー……もし、もしですよ……誰かが汚いどら猫と間違えてお宅の猫を食べちゃったら……」
久保「!?池田ァ!!!池田ァ!!!を食べたのかァ!!!」
美穂子「そうね、もしそんな人が居たら……」
照「ごくり……」
美穂子「そいつの両目を素手でくり抜いた後、無理矢理ルビーとサファイアをはめ込んで綺麗なオッドアイにしちゃおうかしら♪」
照「ひぃ!ひぇぇぇぇ!!」ガクブルガクブル
久保「!?池田ァの耳が落ちてるぞ……」
美穂子「あら?本当……」
咲「ね、ね、猫違いですよ!最近野良猫が多いですからね!」あせあせ
久保「くんくん……ぺろっ……池田ァの味がするぞォ!!」
咲「た、たまたま!そうたまたま同じ味なんですよ!」
美穂子「そうね……ほらもうこんな時間、もうそろそろ行きましょう久保」
久保「ペロペロ池田ァ……!!」
美穂子「ほら、そんな汚いものはやくポイしなさい」
咲「あはは……」
美穂子「それじゃあね、宮永さん、もし華菜を見かけたら連絡してちょうだい、ほら久保も来なさい!」
久保「池田ァ……」
咲「あはは……わかりました……」
美穂子「さようなら……」
ばたん!
咲「………」汗ダラダラ
照「うわわわわわわ」ガクブルガクブル
咲「お、お姉ちゃん大丈夫だよ!絶対バレっこ無いよ!」
照「素手……ルビーとサファイア……オッドアイ……」ガクブルガクブル
咲「そ、そうだ!人魂の天ぷらを作ったんだ!」
照「人魂の天ぷら!」ピキーン!
咲「うん!さっき墓場で見つけたんだ!」
咲「時々消えるから捕まえるの苦労したんだよ、人魂のくせにおもちデカくてでむかつくし」
照「人魂の天ぷら!」るんるん♪
咲「うん、今持ってくるからね!」
照「人魂の天ぷらうまうま♪」もぐもぐ
咲「うん!たくさん食べてね♫」
照「本当美味しい、ほんのり梅の香りも漂ってくるし」むしゃむしゃ
咲「なんにも味付けしてなくても良い香りが漂ってくるね」
照「本当、咲は料理の天才」ぱくぱく
咲「もう、お姉ちゃんたら//」
照「むしゃむしゃ……」もぐもぐ
咲「もう、そんなに急がなくても誰も取ったりなんかしないよ」
ピンポーン!
照「咲、お客さん……」
咲「またか……今日はよくお客さんが来るなぁ……」
咲「はいはい、今出ます!」
蒲原「わはは、邪魔するぞ」
ゆみ「久しぶりだな、清澄の大将」
咲「わあ!鶴賀の部長さんにワハハさん」
蒲原「わはは、部長は私だぞ……」
咲「それよりどうしたんですか?こんな夜遅くに……」
蒲原「実はな、聞きたい事があるんだ……」
咲「何ですか?私に解る事なら何でも言って下さい」
蒲原「いや、実はなモモが行方不明なんだ……」
ゆみ「何を言ってるんだ、蒲原?モモなら私の隣りにいるだろ?」
咲「え?」
ゆみ「ほらモモ……挨拶するんだ……」虚ろな目
蒲原「わはは……そこには誰もいないぞ……」
ゆみ「はは、モモ……可愛い奴だな……」
蒲原「わはは、ゆみちん……目を覚ましてくれ……」ぐすっ
咲「あ、あの……大丈夫ですか?」
蒲原「あぁ、ごめんな……モモが居なくなってからゆみちんショックでこんなんになっちゃったんだ……」
照「咲?どうしたの?」もぐもぐ
咲「あわわ、お、お姉ちゃん!」あせあせ
蒲原「ん?何だその手に持った天ぷらは……」
照「ん?これは咲が作ってくれた人魂の……」もぐもぐ
咲「わ、わ、わ!!ただの天ぷらだよ!」あせあせ
蒲原「そうか……なんだか嗅いだ事ある匂いだな……」
咲「き、きのせいだよ!」
蒲原「そうかな……?」
咲「そ、そうだよ!」あせあせ
蒲原「ん?そのおもち、見たことあるデカさだぞ」
咲「き、き、気のせいだよ!そ、そうだ!おもちが最近流行ってるみたいだし……」
蒲原「むむ、なんか怪しいな……」
咲「あ、あはは……そんな、怪しくなんて……そうだおもち片付けなきゃ」あせあせ
ゆみ「そのおもち!取る必要なし!」
咲「!?」
ゆみ「聞こえなかったか?そのおもちはモモので間違いない」
蒲原「やっぱり……」
照「な、何かの間違いだ!」
ゆみ「いや、散々揉み尽くした私には解る!この大きさこの柔かさ、モモのに間違いない!」
蒲原「わはは、ちょっと上がらせてもらうぞ」
咲「い、いまは散らかってますし、上がるのは……」あせあせ
照「そ、そうだ!足の踏み場もないほど散らかってるし後日改めて……」
蒲原「構わないぞ」
ゆみ「あぁ、別に気にしないからな」
咲「あわわ、で、でも……」
ピンポーン!
洋榎「邪魔するで、いやなウチの犬がこの家に入っていくのを見たって聞いたさかいなちょっとだけ調べさせてもらうで」
絹恵「何度もすいません」ぺこり
咲「!?」
由子「何か様子が変なのよー」
ピンポーン!
照「!?」
美穂子「ごめんなさい、何度も何度も、ここで華菜が消えたって聞いたから……」
蒲原「ほら、早く家の中を見せてもらうぞ」
洋榎「悪いけど疑わしきはなんとやらや、調べさせてもらうで」
美穂子「中に入れてもらえるかしら?」
久保「中から池田ァ!の匂いがするぞォ!」
咲「あわわ、お姉ちゃん……」ガクブルガクブル
照「咲……」ガクブルガクブル
由子「あ!あったのよー!メゲるワンの首輪なのよー!」
咲「あ!勝手に上がられた!」
久保「こっちにも池田ァ!の制服だァ!」スリスリ
照「まずい……!」
蒲原「わはは……もう言い逃れは出来ないぞ……」
美穂子「あらあら、悪い子は躾なきゃね♫」
洋榎「おい!宮永姉妹、どうなるかわかっとんやろうな?」
咲「ひぃひぇぇぇ!」
洋榎「両手両足切断した後……」
美穂子「両目を抉って、元の目玉より大きな石を詰めちゃおうかしら♪」
蒲原「わはは」
照「い、命だけはお助け……」
咲「あわわ、ごめんなさい!謝るから許して!」ガクブルガクブル
ゆみ「調子のいい事を言うな!!」
久保「よくも池田ァ!を!!」
絹恵「さすがのウチかて許せへんな!」
照「この通りだから!!」ガクブルガクブル
蒲原「わはは、地獄に堕ちるぞ!!」
照「三十六計逃げるにしかず、行くぞ咲!」
咲「あ!待ってよ、お姉ちゃん!」
由子「逃げてくのよー!」
ゆみ「くそ!隙をついて逃げられたか!」
洋榎「待たんかいコラ!」
照「ひぃぇぇぇ!!」ガクブルガクブル
「どこやー!どこにおるんやー!」
「あらあら、見つけたら死ぬより酷い拷問ね♪」
「わはは」
咲「ひぃ……まだ追ってくるよ……」はぁはぁ
照「もう一息だ咲!」ハァハァ
咲「もう駄目だよ……」はぁはぁ……
照「咲!頑張れ!」ハァハァ
照「はぁはぁ……さすがにここまでこれば……」
咲「ここどこ?」うるうる
照「山の中みたいだな……しばらくここに身を潜めよう……」
ガサガサ
咲「!?」
照「なんだ……野生動物か?」
ガサガサガサガサ
咲「どきどき!!」カタカタ
照「まさか、追っ手か!」
「その声はもしかして宮永さんかな?ちょー意外だよー」
咲「ひぃひぇぇぇ!!」カタカタカタカタ
照「まて、追っ手では無いみたいだぞ!」
豊音「宮永さん、逢えて嬉しいよー」
咲「あ!宮守の大将!」
照「なんだ知り合いか……」
豊音「こんな山奥でどうしたの?ちょー気になるよ」
咲「実は………」
照「………」ぐぅ~
豊音「あ!もしかしてお腹減ってるの?」
照「こくこく……」
咲「もう、お姉ちゃんこんな時に……」
豊音「それならウチ来るといいよ、丁度夕ご飯の支度をしようと思ってたとこだし」
咲「夕ご飯?なのに外を出歩いてたんですか?」
豊音「うん、食材が足りなくてね……でももう大丈夫……」
咲「?」
照「匿って貰えるうえにご飯まで御馳走してくれるなんて……」
咲「なんだか悪いですね」
豊音「うんうん気にしないで」
豊音「宮永さんのことは『食べちゃいたい』くらい大好きだから」
豊音「それより早くウチに来てよ、ちょーお腹へったよ」
照「やったー」
翌朝
豊音「けぷっ……」
豊音「ふぅ、『姉妹丼』美味しかったよ」
豊音「また食べたいよ」
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戒能「所詮この世は弱肉強食……」
戒能「強いものが弱いものを食らい、また強いものがそれを食らう……」
戒能「そうしてこの自然は循環する……」
戒能「そう、我々人間もその範疇にあるのですね……」
戒能「いつ私たちが誰かに食べられるかもわからない……」
戒能「その逆もしかり……」
戒能「特に大好きな人の肉なら尚更美味しいのかもしれませんね……」
ピンポーン!
「はやや!良子ちゃん!はやりだよ!」
戒能「おや?来ましたね、私のガールフレンドです」
戒能「なんでも私のこと『食べちゃいたい程大好き』らしいです//」
「良子ちゃーん!早く開けて!もうお腹ぺこぺこだよー!」
戒能「今開けます!ふふっ……」
世にも奇妙な咲-saki- カン!
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