浜面「最近調子はどうよ。主に性的な意味で」
上条「いやもう順風満帆ですな。浜面さんには感謝してもしきれません」
浜面「よせやい、俺は何にもやっちゃいねえよ」
上条「でもインデックスに色々教えてくれたんだろ? インデックスから聞いたよ」
浜面「ごく一般的な保健体育の授業をしただけだ。俺の嫁たちが何を教えたのかは知らんが」
一方通行「オイ料理出来たぞ。運ぶの手伝えリア充共」
上条「へーい」
浜面「ベクトル操作でぽぽーんと投げらんねえの?」
一方通行「ンなことにイチイチ能力使ってられっかボケ。つーか俺を便利に使おうとしてンじゃねェよ殺すぞ」
浜面「すまんこ。おめーら何飲む?」
上条「ビール」
一方通行「俺も。俺のは麒麟な」
浜面「うぇいうぇい。ほんじゃまあ」
上条・一方通行・浜面「カンパーイ!!」
※原作がこの上ないハッピーエンドを迎えた上での、四年後の世界
上条さんは大学生(教師志望)で、浜面は建設会社、一方通行がなんでも屋を営んでいる、そんな世界でのお話
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1328351155(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
忘れてた 補足
以前VIPでやった
上条・一方通行・浜面「カンパーイ」
浜面「よう童貞」一方通行「おゥ童貞」上条「よーし戦争だ」
の続きということになっております
先にこちらを読んでいただけたほうが話にはすんなり入っていけるかと
浜面「大学はどんな感じ?」
上条「んあー、ぼちぼち忙しくなってきたとこ。来週末までに論文書いて発表しなきゃだし」
浜面「うはっ、論文とか。インテリな響き。俺らみたいな人種には縁遠い言葉やのう」
一方通行「そォか? 俺ァ八歳の時には論文読ンでたし、書いてたぞ。かなり適当にだけど」
浜面「黙らっしゃい学園都市一の天才野郎。お前はホント隙あらば自慢するね」
一方通行「自慢してるわけじゃねェよ。事実だから言ったまでだ」
浜面「くわあ! いけしゃあしゃあとこの野郎!!」
上条「ってかお前本名○○○○であってるよな?」
一方通行「あァ」
上条「うわあ、まさかまさかと思ってたけど、俺お前の論文読んだことあるわ。マジかよあれ八歳で書いてたのかよ」
一方通行「あン? テーマ何よ?」
上条「何か犯罪心理学と脳構造のどうのこうの……」
浜面「うおおおい!! インテリトークやめろ!! 俺ついていけねえから!!」
一方通行「大学の話題ふったのテメエだろォが」
浜面「そーゆー真面目なやつじゃなくて、ほら、あんじゃん! キャンパスライフとかそーゆーやつ!!」
ぐぐって先頭に出てきたまとめサイト
上条・一方通行・浜面「カンパーイ」http://punpunpun.blog107.fc2.com/blog-entry-2110.html
浜面「よう童貞」一方通行「おゥ童貞」上条「よーし戦争だ」 http://punpunpun.blog107.fc2.com/blog-entry-2144.html
浜面「お前サークルとか入ってねえの?」
上条「ん~、正直生活費稼ぐためのバイトで時間取れなくてな」
一方通行「……マジで何回も言うけどよォ、世界救ったヒーロー様が何でバイトなンかしてンだよ」
上条「世界救ったとかwww大袈裟すぎるだろwwwwwww上条さんは何者なんだよwwwwwwwwwwwww」
浜面「これだもの……」
上条「いや、でもマジそれ言ったらお前らもじゃん。お前らだってヒーローなんじゃねえの?」
浜面「俺らはあくまで裏方だったかんな」
一方通行「ヒーロー度合いで言ったら『俺:浜面:お前=1:1:255』って感じだ」
上条「カンストしとるやないかい!!」
浜面「いや、マジそんくらい差があるって。周りの認識的にも」
上条「え~…? そうかぁ~…?」
一方通行「援助の申し出とかあるだろ。あの宗教団体とかから」
上条「あ~…それはまあ、確かに。一緒に住んでるやつもそこ出身ってのもあって、結構しつこくな」
浜面「え゛っ、お前それもらってねえの?」
上条「うん、まあ」
浜面「何でッ!?」
上条「いや、何か甘えてるみたいで……俺、自分の力だけ生きていきたいっつーか、なんつーか…正直、俺がインデックスを養っていきたいって気持ち強くて……」
一方通行「出たよ」
浜面「社会に出たことのない甘ちゃんの理屈ですな~。お金なんてあるにこしたことないのよ!!!!」
上条「うわあいきなりキレるな浜面社長!」
浜面「お前俺が資金を工面するためにどんだけ頭下げたと思ってんだオラァ!! いらんなら俺にくれ!! 一回お前の財布を経由して俺にくれ!!」
一方通行「落ち着けいやしンぼ」
浜面「だぁってこいつがさぁ~!!」
上条「甘いこと言ってんのはわかってるよ……ホントにきつくなったら頼るさ。今はできる限り自分たちだけの力で、な……」
上条「と、何やらかっこいいこと言ったばかりで言いづらいんですが」
浜面「ん? なによ?」
上条「実は上条さん最近サークルなるものに入りまして」
一方通行「オーイ彼女自分で養う宣言どこいった」
上条「いや、違うんだよ。先輩にすげえ割のいいバイト教わってさ。正直、今かなり時間に余裕があるんだよ」
上条「んで、その先輩が作ったサークルに誘われてさ、バイトの件で世話になった手前、断れなくて」
浜面「ふーん。それ何するサークルなん?」
上条「何か適当に集まってだべったり、休日に遊び行ったり、どっか泊りがけで旅行行ったりみたいな。旅サークルになるのかな? 強いて言えば」
一方通行「……」
浜面「……」
上条「あれ? なんで黙る?」
浜面(アクセラさん、アクセラさん。なーんか嫌な予感しませんか?)ヒソヒソ…
一方通行(あァ……なァーンか、嫌な予感すンなァ……)ヒソヒソ…
上条「おーいこんにゃろう。俺を置いて二人でコソコソすんな。たまにそういう時あるなお前ら」
浜面(ここは思い切って聞いちゃいましょう)ヒソヒソ…
一方通行(まァ、そうすっかァ……)ヒソ…
浜面「あー、上条くん上条くん」
上条「何ですか浜面くん」
浜面「そのサークルの男女比を伺ってもいいかね?」
上条「えーと…」
上条「9972:2ですね」
一方通行・浜面「「 や っ ぱ り な ! ! ! ! ! ! 」」
ちなみに書き溜め無しのまったり進行
思いつくままにつらつら書いていくんで しばらくしたらまた身に来てくんろ
一方通行「完ッ全に『妹達(シスターズ)』居ンじゃねェかァァァアアあああああああああ!!!!」
浜面「俺んとこで雇ってた『妹達(シスターズ)』が最近有休ばんばん取るようになったのそれが原因かぁぁぁぁあああああああ!!!!」
上条「そんなん俺に言われてもーーーー!!!!」
一方通行「何なンだその目的が見え透いてるサークルはァァァアアああああああ!!!!」
上条「も、目的はさっき言ったとおり旅とか行って楽しく遊ぶことですが!?」
一方通行「ンなワケねェだろ頭お花畑チャンかテメエはァッ!!」
浜面(なんつーか…諦めてないんだなぁ、あの子達)ヒソ…
一方通行(しかも恐ろしいのは『妹達(シスターズ)』が全員加入してると考えても四人は『妹達』以外の奴が居るってこった……)ヒソ…
浜面「ってか『妹達(シスターズ)』って大学生じゃないだろ。少なくともウチで雇ってんのが何人かいるんだぞ?」
上条「やー、何か皆突然編入してきたみたいで……一応うちの大学在籍にはなってるんだよね、信じられないことに」
一方通行「オイオイ学生総数一万人軽く超えちまうぞ……どォいうマンモス校だよ……」
一方通行(ってゆーか誰がそンな手引きしたンだよ!!)ヒソォッ!
浜面(話の流れからして『先輩』ってやつじゃね?)ヒソ…
一方通行「……その先輩ってのァ、何て奴なンだよ」
上条「雲川先輩っていうんだけど」
一方通行(知らねェ名だ……何モンだ? ソイツ)
上条「いや、言っておくけど『妹達(シスターズ)』が来るのって一度に精々二人だぞ? 他のサークルメンバーには双子で通してるし」
一方通行「……つまりサークル内に『妹達』枠が二人分あって、9968人が入れ替わり立ち代わりやってる訳か」
上条「ん、そういうこと」
浜面「じゃあ、実際の活動時の男女比は6:2くらいか?」
上条「そんな感じ。まあ全員揃うことは滅多にないけどな」
一方通行「ふーン」グビ…
浜面「……」グビ…
上条「……」チビ…
上条「……たまに御坂が来るんだけどね」
一方通行・浜面「はいダウト」
一方通行「オマエはバカなの? それともアホなの?」
上条「違うんだよ! だって御坂が来るなんて旅行当日まで知らねーんだもん俺! 集合場所行ったらいるんだもん!!」
上条「そっから帰るなんてできねーじゃん!! しょーがねーじゃん!!」
一方通行「ちなみに何回くらいそーゆーケースがあったンだ?」
上条「えーと……」イチ、ニィ、サン…
一方通行「数えてるよ!! 一度じゃねェのかよ!! 学べよ!!!!」
上条「どうしろってんだーー!! 事前に『まさか御坂は来ないですよね?』って聞けってかーーッ!! 出来るかそんな空気悪くなることぉーーーッ!!」
一方通行「……もォ聞くのも怖ェが一応聞いとこう」
一方通行「そンで……オマエは『無事』だったのか?」
上条「…………」
一方通行「何か黙ってるしィィィィイイイいいいいいいいいいいい!!!!!!」
上条「正直に言えば、何回か多分薬盛られた」
一方通行「オゥフ。まさかあれか、あの誰でもいいモードになるやつか」
上条「誰でもいいモードになるやつだ」
浜面「アクセラちゃんが襲われそうになったってやつ?」
上条「………」
一方通行「ヤベ、思い出したら吐き気がしてきた」
上条「あの時はホンマすいませんっした」
一方通行「いい。つか忘れさせろ。二度と話題にあげンな」
浜面「はーい、てへぺろ☆彡」
一方通行「……」カチッ、
浜面「はーい、チョーカーのスイッチ入れるのやめてシャレになってないからマジ怖いから」
一方通行「……ンで? まさかヤっちまったのか?」
上条「いや、それは大丈夫。その時は一緒に行ってた男に力づくで止めてもらってた」
浜面「おぉ、上条を力づくで抑えれる奴がいんの? あの時は俺でも無理だったぞ?」
一方通行「そォいや、男がいるンだったな」
上条「さすがに男が上条さん一人ならそのサークルにも入ってませんよ」
一方通行「懸命だ」
浜面「男だれ?」
上条「削板軍覇ってんだけど」
一方通行「あァ…」
浜面「んー? 何か聞き覚えあるんだけどな、誰だっけ?」
一方通行「元七位」
浜面「あー」
浜面「そりゃー止めれるわな」
上条「かなり手加減無しでボッコボコにしてくるんだよアイツ。まぁ、ありがたいんだけど」
一方通行「つーか、元七位が大学行ってンのかよ…全然イメージと違うンだけど」
上条「いや、アイツ勉強すればそれなりに出来るんだぜ実は」
一方通行「はァン…意外だねェ……」
上条「夢は体育教師なんだってさ」
一方通行「それはイメージ通りだわ」
浜面「ってか体育大学行けよ……」
上条「知らなかったんだって」
浜面「馬鹿じゃん……」
上条「とまあ、そんな大学生活ですよ」
浜面「誘惑多くて大変ね」
一方通行「つーか泊まりの旅行とかは流石に断れよ、これからは」
上条「いや、やっぱバイト紹介してもらった義理とかあるし……」
浜面「インデックスちゃんは何て言ってんの?」
上条「それが、むしろ行ってきなさいって感じなんだよ。俺の大学生活の重荷にはなりたくないんだってさ」
浜面「何それ泣ける。正妻の余裕も感じる」
一方通行「そンだけ信じられてるってこった。テメエが今後どォしよォが俺ァ知ったこっちゃねェが、その辺のことはしっかり考えて行動するンだな」
上条「ああ…わかってるよ」
浜面「でもぶっちゃけ、あんな可愛い子達にそんな熱烈に迫られたらぐっとくるもんあるよな」
上条「んん?」
浜面「美琴ちゃんとか超絶スタイルいいし、美人だし、甲斐甲斐しいし……」
上条「浜面さん浜面さん?」
浜面「正直ムラムラはしちゃうだろ?」
一方通行「何かいらンこと言い出したぞこのアホ」
浜面「いや、マジのぶっちゃけトーク。お前がインデックスちゃん一筋ってのは分かってるけどさ」
浜面「でも、男として、そんな風に女の子に迫ってもらえるのは悪い気分じゃないし、ましてやそれがあんな可愛い子達だってんなら、ムラっとするよな」
一方通行「それを確認してどォしてェンだテメエは」
浜面「な? な?」
上条「……まあ、正直言うと、そりゃ、まあ」
浜面「だよな!!」
一方通行「何で嬉しそうなンだテメエは」
浜面「エロトークだ!! こっからエロトークの時間といこうぜ!!」
上条「唐突だなオイ!! まあ、やぶさかではないけども!!!!」
一方通行「オイオイそれじゃ今度は俺が置いてかれンだろォが」
浜面「性欲ないからってか!? 嘘つけッ!!」
上条「経験ないからってか!? 嘘つけッ!!」
一方通行「うざァ~い何このテンション」
二時間後―――――
上条「んじゃ、俺そろそろ帰るわ。インデックスも待ってるし」
一方通行「ン。オマエは帰ンなくていいのか?」
浜面「今日は俺一人の日だから無問題。一方通行の家で飲むことは伝えてるし」
上条「じゃ、悪いけどお先するぜ。お疲れー」
一方通行「オゥ」
浜面「お疲れ~」
一方通行「……」
浜面「……」
一方通行「……オマエよォ」
浜面「ん?」
一方通行「三下のこと、少し煽ってたよな?」
浜面「ん~、まあな」
一方通行「何でだ?」
浜面「ぶっちゃけトーク?」
一方通行「ぶっちゃけトークだ」
浜面「……こんなこと言うとすげえ情けねぇんだけどさ……ほら、俺ってさ、いわゆるハーレムっての? そんな状態なわけじゃん?」
一方通行「あァ」
浜面「それがまともじゃないってことぐらいわかってるし……そこらへんもしっかり納得した上でこの道を選んだんだけど…やっぱちょっと、後ろめたい気持ちもあるわけよ」
一方通行「……」
浜面「……もう全然連絡なんかとってねえけど、当然親に報告なんて当然出来ねえし……幸せだよ? 幸せだけどさ……やっぱ、このへんの気持ちを共有してくれる男ってのはいないわけだ、これが」
一方通行「だからってオメエ、三下を唆すのは違ェだろ」
浜面「わかってるよ。だからそんな露骨に勧めたりはしねえ。精々今日みたいに突っつく程度にするさ。ただまあ……」
浜面「正直に言うと、俺はどっちかっていうと、今も上条を諦められない美琴ちゃん達の方に肩入れしちまってるんだ」
一方通行「…………」
浜面「…………ま、そんな感じだ」
一方通行「……そォか」
浜面「あぁ……」
一方通行「…………まァ、好きにしろ。結局どォいう道を選ぶのか、決めるのは三下だ」
浜面「お前もどうだ? ハーレム。楽しいぞ~? ウッハウハだぞ?」
一方通行「ハッ、馬鹿かテメエ。俺にそンな楽しげなモン築く権利があると思ってンのか」
上条「ふ、不幸だ……」ギィ…
浜面「あれ?」
一方通行「あン? 何で戻ってきてンだテメエ」
上条「さ、財布を落として……探し回ってる間に終電過ぎちまったのですよ……うぐぐ」
一方通行「オマエホントついてねェなァ……」
上条「あ、あくせられーた様!! お願いがございましてございます!! 今晩泊めていただけないでしょーか!!」
一方通行「帰ったほうがイインじゃねェのか? タクシー代なら出してやンぞ?」
浜面「いいじゃねえか!! インデックスちゃんの許可はとったんだろ? 今日は夜通し飲み明かそうぜ!!」
上条「財布を無くしてヤケクソ気味の上条さんはとことん付き合う覚悟ですよ!! くそーー!!」
一方通行「家主の許可取る前に決めてンじゃねェ。まァ、いいケドよォ」
浜面「ほんじゃま、あらためまして」
上条「おうッ!!」
一方通行「ヤレヤレ……」
上条・一方通行・浜面「カンパーーーイ!!!!」
というわけでとりあえずプロローグ的なの終了
前回の話から続ける気なんて最初はサラサラ無かったんだけど 何か色々妄想してたらこの設定捨てるの勿体なくなってきちった
SS速報で書くのは初めてだ どうぞよしなに
内容としちゃあ、こういう日常的なやつとかシリアスな奴とか暇なときにぼちぼちやってく予定ー
今日はもうちょい書く予定 とりあえず今から飯食って風呂入る
<とある世界の1week>
―月曜日―
浜面「はい、はい、了解しました。近々ご挨拶に伺わせていただきます。いえ、そんな、とんでもない」
浜面「……はい、はい。期日には余裕を持って…はい、それでは」ガチャンッ
麦野「先方からの催促?」
浜面「それプラス懇親会の誘い。まあ断るわけもいかないしな、受けたよ」
麦野「……何曜日?」
浜面「心配すんな。木曜に調整してもらうよ」
麦野「勘違いすんな、別に心配なんかしてねえよ。……どうしても日程が取れないなら、かまわないから月曜にしろって言いたかっただけだ」
浜面「……さすがは我が社の副社長ってところか?」
麦野「ガキじゃねぇんだ、物事の優先順位くらいつけれる」
浜面「お前のそういうところ、正直マジで助かってる。ありがとな、麦野」
麦野「……ふん」
浜面「今日七時には上がれるよな? 飯、どうする?」
麦野「帰って作んのは正直だるい。帰りにどっか寄ろ」
浜面「りょーかい。こないだ中華のおいしい店見つけたんだよ。そこ行くか?」
麦野「悪くはないわね。……精がつくもん食べさせなさいよ?」
浜面「……明日も仕事だから、お手柔らかにね、麦野さん?」
麦野「さーて、どうしよーかにゃーん? 正直今週はエロオヤジの相手ばっかしててストレス溜まってんだよねー」
浜面「が、頑張ります……あ、麦野」
麦野「なに?」
浜面「エロオヤジについては詳細聞かせろよ。場合によっちゃ『対応』考えなきゃなんねえから」
麦野「……うん」
―火曜日―
上条「軍覇ー」
削板「どうした上条!!!!」
上条「声でかい! 皆見てるでしょ!!」
削板「んなっはっは!! 気にすんな気にすんな!! 人間ちっちぇえぞ上条!!」
上条「俺は人並みに羞恥心持っとるだけだ!! ったく……」
削板「んで? どした?」
上条「お前今日昼飯どうすんの?」
削板「午後は講義もないからな! ウチに帰って昨日作った根性チャーハンの残りを食うつもりだ!!」
上条「そっか、学食行くなら一緒にって思ったんだけど」
削板「すまんな!! 根性チャーハンなんて言っときながら、今日食わないと傷んじまうんだ!! ったく、とんだ根性なしだぜ!!」
上条「食材に根性を求めるな。んじゃ、今日のところはこれでお別れだな。お疲れ」
削板「オレはまったく疲れちゃいないがな!! あばよ、上条!!」ダァン!
上条「音速の二倍の速度で帰るな普通に帰れ!! つってもこの声より早く動いてるからこの声絶対届かないんですけど!!!!」
ゴ バ ッ ヒ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ! ! ! ! ! !
上条「おうふソニックブーム!!!!」
??「キャアッ!!」ブワッサァ!
上条(おうふ! 白!!)
吹寄「ひゃああッ!?」スカートオサエ
上条「ぎゃあ吹寄!?」
吹寄「上条当麻……! 貴様という奴は……!」ワナワナ…
上条「ええ!? 俺!? 違うじゃん!! どう考えても今の俺悪くないじゃん!!」
吹寄「も、問答無用だこのスカポンタンッ!! 記憶を失え~~~~ッ!!!!」ズガァッ!
上条「ぎゃああ!! 講義の内容が飛んでいく!!」
―水曜日―
絹旗「んにゃああ~~!! 今日も超疲れました~~~!!!!」バターム
絹旗「シャワーシャワー何よりもシャワー!! 今日は浜面が来る日ですからね! 超気合入れて汗の匂い落とさないと……」
浜面「おう絹旗、おかえり~」
絹旗「ふにゃあぁぁぁああああああああ!!!! 何でもう居るんですか浜面!!」
浜面「いや、仕事早く終わったから……」
絹旗「何で現場作業員より社長の方が仕事終わるの早いんですか! もっと超仕事しなさい浜面!!」
浜面「いや仕事してるっつの。今日はたまたまだよ」
絹旗「ぎゃああ!! 近寄るな近寄るな!! 私の半径2m以内に近づくなッ!!」
浜面「がーん」
絹旗「あ、や、超違いますよ浜面。そういう意味じゃなくって……」
浜面「いや、ごめん…俺が何か気に障ることしたんだよな? 今日のところは出直すわ……」トボトボ…
絹旗「だから違うんですって!!」
浜面「?」
絹旗「その…私今、超汗臭いから、その……」
浜面「………」
浜面「にや~ん」
絹旗「な、何ですかその超気持ち悪い笑みは」
浜面「絹旗、世紀末覇王浜面様の知られざる真実のひとつを教えてやろう」
絹旗「そ、それは…?」ドキドキ…
浜面「実は俺、匂いフェチなんだ!!」ドンガバチョッ!
絹旗「ほわぁぁぁあああああああああ!!!!!! ぎゃあぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!」
浜面「ん~!! 全然臭くなんかないぞ絹旗!! その証拠にほら! 俺このまま深呼吸だって出来ちゃう!!」
絹旗「んぎゃあああああああああああああああ!!!!!! 離れろぉぉぉぉおおおおおお!!!! マジでぇ!! 超マジでぇぇぇえええええええ!!!!!!」
浜面「くんか!! くんか!!」
絹旗「ほわぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!」
メ ッ コ シ ! ! ! !
浜面「……あ痛ぁ…」
絹旗「自業自得です!! 超クソ浜面ッ!!!!」
―木曜日―
―――よろず屋『一方通行』にて
一方通行「くァ……」
番外個体「だらしないあくびしちゃって」
一方通行「暇なンだからしゃァねェだろ」
番外個体「外出て呼び込みするとかさー、何かそういう営業努力とかしたらいいじゃん?」
一方通行「オマエがやれスカポンタン。何のために給料払ってると思ってやがる」
番外個体「む、人のことタダ飯食らい呼ばわりすんのやめてくれる? ミサカ不愉快すぎて吐いちゃいそうなんだけど」
一方通行「そンで、汚物の片付けってェお仕事追加か? 自分で仕事を作るなンて社員の鑑だな。泣けてくンぜ」
番外個体「かっちーん☆ 分かったよ。ミサカがタダ飯食らいじゃないってこと、証明してあげる。お客さんを唸るほど連れてきてあげるよ」
一方通行「おゥ行け行け。客一人連れてくる毎に時給200円ずつアップしてやらァ」
番外個体「ふん、ミサカが太もものひとつやふたつ晒せば客の一人や二人ほいほい釣れちゃうんだから。見てなよ」
一方通行「待て待て待て待て。やっぱオマエは外出禁止だバカヤロウ」
番外個体「にっひひー」
一方通行「……ンだそのツラァ」
番外個体「ミサカの太ももがその辺のオヤヂに見られるの我慢出来ないんだ? じぇらしー? ねえそれじぇらしー?」
一方通行「ハイハイじぇらしィじぇらしィ。いいから茶ァ入れろ役立たず」
番外個体「とびっきりビターなコーヒー煎れてやるよん。んふふ」
カツン、カツン
番外個体「およ、足音。お客さんかな?」
一方通行「茶の数をひとつ増やしとけ」
番外個体「あいさー」
ギィィ……
??「よう、仕事を持ってきたぜ」
一方通行「ワーストォ、やっぱ茶はいらねェ」
??「いいのか? ひと仕事の前に一服ってのは大事だぜ?」
一方通行「っせェよ。どうせまたにっげェ仕事持ってきたンだろが」
土御門「ま、その通りなんだがな。頼むぜ、よろず屋さん」
―金曜日―
浜面「んなー」ゴロゴロ
滝壺「ん~~」ギュ~
浜面「滝壺さ~ん。おっきなおっぱいが顔に当たってますよ~?」
滝壺「あててんのよ」
浜面「おうふ」
滝壺「……萌えた?」
浜面「勃起した」
滝壺「ほんとにはまづらは……ムードがない」
浜面「いや、だってね、こんなに魅力的なおっぱいをね? 顔にぐりぐりされたらね? 男なら誰だってこうなるよ」
浜面「しかも滝壺さんあんたノーブラじゃないのぉぉぉおおおおおおおお!!!!」
滝壺「ブラ窮屈。嫌い」
浜面「サイズ合ってねえんじゃねえの?」
滝壺「……わかんない。麦野と同じサイズのブラ使ってるはずなんだけど」
浜面「……いや、自覚しようぜ滝壺。お前のおっぱい麦野よりでっけえから」
滝壺「そうなの?」
浜面「自分で気づかんの!?」
滝壺「そんなまじまじと見比べたことない。……はまづらはおっきなおっぱい、好き?」
浜面「大好物っす」
滝壺「………」
浜面「……あれ? 呆れちゃってる?」
滝壺「ううん、大丈夫だよはまづら。私はそんなあけすけなはまづらを」
滝壺「愛してる」
―土曜日―
一方通行(土御門が持ってきた案件、うまくいきゃ今日中にカタがつきそうだなァ)
一方通行(あとはまァ、番外個体がもって帰ってくる情報次第かね……)
一方通行「コーヒーでも飲むかァ」
??「では、私の分も頼むよ。一方通行」
一方通行「……魔術だかなんだか知らねェが、イチイチ気配消して入ってくンのやめろ。心臓に悪ィんだよ」
バードウェイ「おやおや、そんなナイーブな心臓などしていないくせに。罪悪感など植え付けて、お前は私をどうしたいのだ?」
一方通行「どうかしたいってンなら、年上への礼儀ってのをキッチリ教えこみたいね」
バードウェイ「やれるものなら、それは私からも是非お願いしたいな」
一方通行「……チッ、砂糖はいくつだァ」
バードウェイ「いい加減長い付き合いなんだ。私の好みくらい覚えてくれよ。砂糖は三つ、クリームは無しだ」
一方通行「どォでもいいこたァすぐ忘れるタチなンだよ、俺ァ」
一方通行「ンで? 今日は何しに来たンだよ」
バードウェイ「なんだ、用がなくては来てはいけないのか?」
一方通行「当然だろォがバカタレ。こっちは仕事してンだよ。テメエと違って暇な訳じゃねェンだ」
バードウェイ「別に私も暇なわけでは無いんだがな……しかし、寂しいことを言うなよ一方通行。私たちは共に戦場で肩を並べた仲だろう」
一方通行「戦場で一緒にいただけで仲良くなれりゃ、俺ァ今頃友達一万人突破してらァ」
バードウェイ「まったく素直じゃないな。ふむ、これがジャパニーズ・ツンデレというものか」
一方通行「…………」
バードウェイ「こうして二人で居ると思い出すなぁ一方通行。ハワイでのグレムリン討伐を皮切りに、我々は共に数多くの戦場を駆け抜けた」
一方通行「……ンなことイチイチ覚えてねェよ。日常すぎてな」
バードウェイ「これはいつか語った話だが……何気にな? 誰かと肩を並べて戦うというのは私にとって稀有な経験だったのだよ」
バードウェイ「まぁ、ほら、私ってさ、魔術師としてはトップクラスなわけじゃん?」
一方通行「うぬぼれの強いこった」
バードウェイ「事実なのだからしょうがない。そんなわけだから私は、常に先頭に立ち、常に誰かをその背にかばって戦ってきた」
バードウェイ「だから…重ねて言うが、稀有な体験だった。そして心地よい体験だった。誰かと『肩を並べて戦う』というのはな」
バードウェイ「今のところ、私にそんな経験をさせてくれたのはお前だけなんだよ、一方通行」
一方通行「……あァ、そりゃ光栄だ」
バードウェイ「というわけでまぁ、何しにきたのかと問われれば、得難い経験をさせてくれたお前にお礼をしに来たのだ」
一方通行「またそれか。毎度毎度、余計なお世話だっつってンだろ」
バードウェイ「まあいいじゃないか。人の厚意は素直に受け取っておけ。今回の件にしたって、本当のところ欲しいだろう?」
一方通行「あァ?」
バードウェイ「『もう一つの法則』の力が」
一方通行「……いらねェよ。うまくいきゃ、今日中にカタがつく」
バードウェイ「十中八九うまくいかないよ。いや、番外個体だったか? 彼女を見くびっているわけじゃない。気を悪くしないでくれ。だが、これは純然たる事実なんだ」
一方通行「それならそれで構やしねェよ。仕事の段取りをチッと増やすだけだ」
バードウェイ「皆まで言わせるな。手伝わせろと言ってるんだよ一方通行」
一方通行「………」
バードウェイ「私だってな、決して暇なわけじゃない。みっちみちに詰まったスケジュールの合間を縫ってここに顔を出しているんだ」
バードウェイ「その意味を……上条当麻じゃあるまいし、お前なら容易く汲み取れると信じているんだがな」
一方通行「さっぱりわかンねェよ。わかる気もねェ。だがまァ、手伝いたいなら好きにしろ。働きにあった報酬もくれてやる」
バードウェイ「……つれないな、一方通行」
一方通行「………」
バードウェイ「それともあれかな? 四年経ち、それなりに成長してしまった私の体はお前のストライクゾーンを外れてしまったのかな?」
一方通行「しばくぞクソガキ」
―日曜日―
上条当麻バイト中……
上条「えーと…これがあっちで……あれがこっち……」
上条「ふぅ……これで今日のノルマ終わり!」
店主「上条君お疲れー。これ今日の分ね」
上条「ありがとうございまーす!!」
上条当麻帰宅中……
上条「いや、しかし、たった四時間で五万円……しかも現金支給……」
上条「やってる仕事は倉庫内のよくわからん備品をあっちへやったりこっちへやったり整理するだけ……」
上条「何か条件よすぎて逆に不安になってくるな。まあ、つってもおいしすぎるから辞められないんだけど」
上条「なーんか、悪いことに利用されてたりしないだろうなぁ」
店主「あ、もしもしー? 依頼人の方? 曰くつきの品、解呪済みましたよー。えぇ、えぇ、じゃ、成功報酬300万、来月までに振込みお願いしますねー」
上条「まあ、考えてたって仕方ないか! よーし待ってろインデックス!! 今日は奮発して国産牛買って帰っちゃうぞ~!!」
―――とある大学の、とある部室
雲川「さて、第27回『上条王国建国のための第一歩』会議を始めるわけだけど」
御坂妹「わー」
ミサカ11020号「どんどんぱふぱふ」
雲川「直近のイベントと言えば花見だな。これを何とかして活かしたいところだけど」
美琴「雲川さん」
雲川「どうした美琴。意見があるなら述べることを許すけど」
美琴「ありがとうございます。今度の花見の時は、少し目先を変えていきませんか?」
雲川「というと?」
美琴「私たちは今まで、酒を飲ませたりだなんだと、あいつ自身に攻勢を仕掛けていたわけですが……」
御坂妹「そうですね、それで我々はことごとく失敗している、とミサカは過去の作戦を振り返ります」
美琴「これまでの作戦でも、何度かアイツの理性を破壊する直前までは進捗している。でも、それでも、最後の一線を超えることはできない。それは何故か」
雲川「答えるまでもない。彼の強固な意思故だ」
美琴「ではその意思の根底にあるものは?」
雲川「……成程、インデックスへの罪悪感、か…」
美琴「仮定の話ですが、もしインデックスが『浮気してもいいよ』と許可を出せばどうなると思います?」
雲川「将を射んと欲すればまず馬から…か。考えてみれば、それが常套手段ではあるけれど」
御坂妹「お姉様の頭の冴えに、ミサカはただただ感服して頭を垂れます」
ミサカ11020号「して、具体的にどういった行動に出れば? とミサカは当日の段取りを確認します」
美琴「とりあえずインデックスを酔わせてみましょ?」
御坂妹「わっほう大雑把! お姉さま素敵!!」
雲川「ま、細部をつめるのは私の役目だ。そこらへんは任せておけ」
インデックス「ふぇっくしょっ!!」
上条「インデックス、風邪か?」
インデックス「うう……何だか悪寒がするんだよ……」ブルブル…
<とある世界の1week> とりあえず終了
もうそろそろ寝なきゃーと思って巻きでやってたらガチで姫神のこと忘れてたよ! 食堂で上条さんと絡む予定だったのに! ごめんね姫神!
一方通行×バードウェイは最新刊読んで仲いいなオイ!!って思ったから
バードウェイとの絡みを入れたら打ち止め出す暇なくなっちった! ごめんね打ち止め!!
ま こんな感じでぐだぐだ行くんで よければお付き合いくださいな
20000人いて10031人殺害されてるから
妹達は9969人じゃね?
それに打ち止めと番外足して9971人じゃね?
まぁ、細かいことはいいよ
ちょっとトリップテスト
もう一回
うし、以降>>1はこのトリでやっていくこととしまうす
>>80 さんきゅーべりまっち モチベーション上がるわ
>>88 オウフ計算ミスだな サークル参加の『妹達』は9969人が正しいです
ほいじゃ、眠くなるまでだらだらと書いていきます
雲川「という訳で、次の我々の活動は花見ということにあいなったわけだけど」
吹寄「どういう訳なのかちっともさっぱりわかんないですけど」
姫神「でも。悪くない。むしろいい提案。……今はとても桜が見頃」
雲川「うん、さすが秋沙は風流というものを解している。巫女服が似合うだけはあるな」
姫神「それは。あまり関係ないと思う」
雲川「当日は巫女服を着てくるのをオススメするけど。そのほうが男共も喜ぶ」
姫神「……そうなの?」
上条「そんなことより質問があるのですが!!」
姫神「流された。泣ける」
雲川「ふむ、発言を許そう」
上条「その花見には俺たち以外に誰かが来る予定なんでしょうか!?」
雲川「ふふふ、勘がいいな。確かにサプライズ・ゲストを呼ぶ予定だけど」
上条「そのゲストが誰なのか教えてもらうわけにはいかないでしょうか!!」
雲川「それを言ってしまってはサプライズにならんだろう」
上条「うわーいやっぱりそうですか! 軍覇ーーッ!!」
削板「何だ上条ッ!!」
上条「お前も来るよな!? 来てくれるよな!?」
雲川「お前は来んよな? というかお前に雅な花見なんぞ似合わんぞ?」
姫神「『花よりだんご』の典型。略して花んご」
吹寄「ぶふっ! な、何故略した…!」プルプル…
削板「何だ!? オレはもしかして今馬鹿にされているか上条!!」
上条「おちょくられているのは確かだ軍覇!!」
雲川「それで? どうするんだ花ンゴ」
削板「ええーい!! ここまで馬鹿にされて引き下がれるかってんだ!! オレがどれだけ雅を解する男なのか、お前らに見せつけてやるぜ!!」
上条「その馬鹿さが素敵! 頼りになるぜ軍覇!!」
削板「あれ? お前も今オレを馬鹿にしたか? 上条」
上条「気のせいでございますよ削板さん。あ、肩揉みましょうか?」
雲川「ちっ…」
吹寄「まあいいじゃないですか。こういった席は大勢の方が楽しいですよ」
姫神「それに。荷物運びに場所取り。ソギーの使いどころはたくさんある」
雲川(こいつらはやはり上条当麻に対してのハングリーさがやや欠けているなぁ……)
―――よろず屋『一方通行』
上条「という訳でまず間違いなく美琴さんが来るものと思われます」
一方通行「……で?」
上条「どうしましょ?」
一方通行「知るかボケ」
上条「助けてくださいよアクセラさぁぁぁぁん!!!!」
一方通行「脳天気に学生やってるテメエらと違って忙しいンだよこっちは。今も三件処理待ちの依頼抱えてる」
上条「あ、商売繁盛おめでとうございます」
一方通行「ありがとォ」
上条「あ~…でもマジで不安だよ。次はどんなことされるのか……一応軍覇もいるからいざという時はなんとかなるだろうけど」
一方通行「まァ、事前にちゃンと確認取ったってのは成長したな。こうやって対策練れるじゃねェか」
上条「この間お前らに言われてから上条さんもちゃんと考えるようにしたんですよ」
一方通行「当日風邪ひいたことにして休めよ」
上条「いやそれは…余りに不誠実というか……」
一方通行「面倒くせェ性格しやがって」
上条「それに仮病バレたら今後すげぇ気まずくなるだろ」
一方通行「したらアレか。参加するのは確定した上で、傾向と対策を考えなきゃならンってワケか」
上条「そういうことになりますねぇ~」
一方通行「とりあえず一番マジイのはこの間無人島行った時みてェな手段取られた場合だろ」
上条「そうだな。そうなった時の抑止力が軍覇一人しかいないっては不安だよ。だから一方通行に……」
一方通行「要は薬盛られなきゃいいワケだろォが。なら話は簡単だ」
上条「え!? なになに!?」
一方通行「まず酒は飲むな。その席で出てくる全ての飲みモンを警戒しろ。飲みモンだけじゃねェ、勿論コップもだ。マイコップを持っていくくらいの周到さは必要だ」
一方通行「そンで、出てくる食いモンに先に箸はつけンな。必ず誰かが口をつけて、薬の有無を確認してから食うンだ」
一方通行「薬塗った針みてェなモンを飛ばしてくる可能性もある。幸いオマエにゃ右手があるから、テレポートで直接体にぶち込まれるってこたァねェが、常に周囲に気を配れ。神経を研ぎ澄ませ。かつてくぐり抜けた戦場を想定しろ」
一方通行「……現地で取れる対策っちゃァ、こンなモンか」
上条「…………」
上条「た、楽しくねぇぇぇえええええええ!!!!!!」
上条「何なのその警戒レベル!! 俺は何なの!? 大統領なの!?」
一方通行「そンくれェやりかねねェ女ってのはもう嫌ってほど知ってンだろォが」
上条「ううぅ…やるっきゃないのか……あ、そうだ。浜面くんにも声かけてみよ」
一方通行「………」
上条「あれなにその微妙な顔」
一方通行「……アイツが果たして戦力になるかねェ」
上条「男の数は多いに越したことはない!! じゃ、俺そろそろ帰るわ。仕事邪魔して悪かったな」
一方通行「ま、健闘を祈っておいてやるよ」
上条「サンキュ、そんじゃ!」バタン…
一方通行「…………」
一方通行「……あァ~もう!! ったくメンドクセェな!!」カチャ、ピ、ピ
一方通行「………」prrr、prrr
番外個体『は~い、もしも~し』
一方通行「スケジュールの繰り上げだ。オマエが今やってる仕事、今日中に終わらせろ」
番外個体『はぁ~? 別に出来なくはないけど、何で?』
一方通行「しゃァねェだろ。もう一件依頼が増えたンだよ」
―――花見当日
削板「おーう! こっちだこっち!!」
姫神「わあ…綺麗。すごくいい場所。よくこんな所取れたね」
削板「がはは! なんせ根性出して朝二時にはここに来てたからな!!」
姫神「それ朝って言わない。夜。深夜。ってか丑三つ時。怖くなかった?」
削板「死んでなおぐだぐだと恨み辛みを吐き出してるような根性ナシを恐れる必要がどこにある!」
吹寄「とりあえず、お疲れ。ほら、飲め。この間通販で買った精力ドリンクだ」
雲川「精力ドリンクとはエロいな吹寄。何アピールだそれは」
吹寄「ば、馬鹿いってるんじゃない!! そういうアレで渡したんじゃないわ!!」
削板「ん? そーゆーアレってどーゆーアレだ?」
吹寄「セクハラ禁止だ大馬鹿者ッ!!!!」バチーン!
削板「オウフッ! い、今のはきいたぞ吹寄!!」
上条「せんぱーい、車にあった荷物ここに並べときますよー?」
雲川「うん、ありがとう」
上条「……」キョロキョロ
吹寄「ん? 何をキョロキョロしてるんだ上条当麻」
上条「いや、ほら、ゲストってまだ来てないのかなってさ」
雲川「やれやれ、そんなに期待されてはこちらも呼んだかいがあるというものだけど。もう少しで到着すると先程連絡があった」
雲川「そろそろ来るころだと思うけど」
アー、イタイタ アソコダワ アソコ!>
雲川「お、噂をすれば、という奴だな」
美琴「こんにちはー! 今日はよろしくお願いします!」
上条「やっぱりな!!!!」
美琴「なによ、ちょっとはびっくりしなさいよ。サプライズしがいのない奴ね」
上条「驚けるか! もう何度目だよこのパターン!!」
吹寄「こんにちは美琴ちゃん。やっぱりあなたも来たのね」
美琴「すいません、お邪魔じゃなかったですか?」
姫神「全然。そんなことない」
削板「おう第三位!! また会ったな!」
美琴「その呼び方やめなさいよ第七位。私には御坂って名前があるんだから」
削板「がっはっは! 悪い悪い! まだ慣れなくてな!」
上条「ほらもうすっかり馴染んじゃってるし!」
雲川「まだまだこれからだよ上条。ゲストは一人だけじゃない、まだまだこれからが本番だ」
上条「いーよもう見なくてもわかるよ『ミサカは~』って言う奴が来てんだろどうせぇ!!」
御坂妹「どうも皆様お久しぶりです、とミサカはお姉様に続いて皆様と挨拶を交わします」
上条「ほーらやっぱりだ!! ちょっとは予想裏切れよ逆によぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!!」
吹寄「うるさいぞ上条。なーにを一人で盛り上がってるんだお前は」
御坂妹「ミサカの登場でそれほどテンションを上げてもらえるとは、とミサカは久しぶりに勝機を感じてガッツポーズをせざるを得ません」
姫神「はいどうどうどう。水。飲む?」
上条「お気遣いありがとう。でも大丈夫だ姫神。上条さんはマイ水筒を持って来たからな!!」
御坂妹「ミサカ盛大に転びました!!!!」ドンガラガッシャーンバガーンパリーン!
上条「あぁぁぁああああああああ上条さんのマイ水筒(¥980)がぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!」
御坂妹「やっちゃいましたてへぺろ、とミサカは可愛く舌を出します」
上条「奮発して買った奴だったのに……!!」ポロポロ…
削板「お、おいマジ泣きすることもないだろ。本人は悪気ないって言ってるじゃねえか」
御坂妹「めんごっ☆」
上条「悪気しか感じられないッ!!!!」
美琴「妹の不始末は私が弁償するから勘弁してやってよ、ね?」
雲川「そもそもこういった席で飲み物を持参するとは、KYにも程があるけど」
上条「ち、ちくしょう……」
インデックス「いいよ、とうま。まだ今月はお金に余裕あるし、新しいの買お?」
上条「うぅ……ありがとうインデックス」
インデックス「うん」
上条「…………」
インデックス「ん?」
上条「おわぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!!!」
インデックス「きゃああああああああああああああ!!!!!!」
インデックス「な、なに!? どうしたのとうま!?」
上条「何でぇ!? 何でインデックスがここに居んのぉ!?」
インデックス「さっきみことに誘われたんだよ」
上条「!?」
美琴「……」グッ!
上条「いやぐっと親指立てられても!! なになにどういうこと!?」
雲川「というわけでサプライズゲストその3だけど。驚いてもらえたようで何よりだよ」
上条「驚きましたわ!! サプライズ過ぎますわ!!」
上条(なんだ!? 美琴の方からインデックスを連れてくるなんて初めてのパターンだぞ!?)
上条(美琴たちの狙いが読めない…! 何これすっごい不安!!)ドッキンドッキン
??「オイ、そっちもォちょっと詰めろよ」
上条「あ、ハイ、すんません……って」
一方通行「……よォ、奇遇だなァ」
上条「ア、アクセラさぁぁぁぁん!!!!」
美琴「ッ!?」
打ち止め「あ! お姉様だ! やっほー! ってミサカはミサカはぴょんぴょん跳ねて自分の存在をアッピール!!」
番外個体「中学生のガタイになってその言動は見てて中々痛々しいよ上位個体」
打ち止め「は、しまった…! 嬉しくってつい…ってミサカはミサ……あーもう!!」
??「すいません、ビニールもうちょいそっち広げていいっすか?」
削板「おう! いい席だからって独占するほど俺は小さい男じゃないぜ!!」
浜面「あ、あっれー? そこにいんのもしかして上条と一方通行かーー? き、奇遇だなー」
上条「その大根っぷりが素敵! 待ってましたよ浜面さぁぁぁぁん!!!!」
絹旗「ん~!! 桜が超綺麗ですね~!! 超テンション上がっちゃいます!!」
滝壺「北北西からいい匂いの電波が来てる……具体的にはイカ焼きの香り……」
麦野「……ふ~ん、急に皆で花見に行こうなんていうから、どういう風の吹き回しかと思ったら、こういうこと」
美琴「麦野……」
麦野(まだ諦めてないのねぇ……ま、ちょっとは応援してあげるわよ。美琴)
姫神「何だか。あれよあれよという間に人が増えた」
吹寄「皆貴様の知り合いか?」
上条「そうなんだよ! なあ折角だから皆で一緒にわいわいやらないか!! 人数は多いほうが楽しいだろ!?」
吹寄「私は別に構わんが……」
姫神「私も。あなたがそうしたいというなら」
削板「いいないいな! 何だかお祭りじみてきやがった!!」
雲川「……ま、いいけど。私とてそこまで狭量ではない。皆がそういうなら、千客万来、大いに結構ではないか」
雲川「お前もそれでいいな? 美琴」
美琴「私もお客の身分ですもの。どうこう言うつもりはないわ」
御坂妹「ミサカもお姉様と同意見です」
雲川「よし、それでは宴会を始めようじゃないか。飲み物と食べ物を皆に配ってくれ」
ふーむ SS書くの久しぶりすぎて何だか思うように筆が進まねー
キリが悪くて申し訳ないが今日はここで一旦切る
時間ある時に細かにチマチマ書き足していくんで、思い出した頃にまたこのスレを覗いてくれい
146が可愛すぎてモチベーションがやばい
とりあえず今日シコシコ書いた分だけ投下
吹寄「とりあえず料理は適当に並べてしまおう」
削板「うっほ~! すげぇな!! こりゃあ食い応えがありそうだ!」
姫神「私とふっきーと先輩で作った。褒められると嬉しい」テレテレ
雲川「コップを回すから皆ひとつずつ取っていってくれ」
御坂妹「了解です、とミサカは宴会御用達のプラスチックコップを時計回りに回します」
絹旗「大丈夫ですか? 私たち超飛び入りですけど数足りてます?」
雲川「かなり多めに買っておいたからな。問題はないと思うけど」
麦野「じゃ、遠慮なくもらおうかな」
滝壺「私たちだけ手ぶらじゃ失礼。はまづら、その辺の出店で何か買ってこよう?」
浜面「あー、そうだな。でも、もう乾杯の雰囲気だし、後でな?」
滝壺「む~。イカ焼きが私を呼び続けてるのに……」
浜面「気のきいた風なことを言っといて、さてはお前自分のことしか考えてねえな?」
番外個体「ほい、コップ。あの人にも回したげて」
打ち止め「りょーかい! ねえねえあなた! コップが回ってきたよ!!」
一方通行「おゥ…おら、三下。テメエとインデックスの分だ」
上条「おうさんきゅ。ほいインデックス」
インデックス「ありがとうなんだよとうま!!」
削板「先輩! もう全員にコップ行き渡ったみたいだぜ!!」
雲川「ふむ、では皆好きな飲み物を各自注いでくれ。お勧めとしては―――」
一方通行(おい…わかってンな?)チラッ
上条(ああ…協力頼むぜ、一方通行)チラッ
上条「取り出したるはさっきコンビニで調達したミネラルウォーター!!」スチャッ
上条「IN☆マイコップ!!」ドボボボッ
一方通行「そしてベクトル操作ァ!!」
上条「コップの中で水流が渦を巻き荒れ狂う!!」シュゴゴゴゴゴ!
上条「洗・浄・完・了!!!!」バッシャア!
インデックス「……なにしてるの?」キョトン
上条「なんでもないよ! なんにも気にしなくていいよ!!」
打ち止め「……なにしてるの?」
一方通行「アレだアレ。水芸だよ。いっちょ場を盛り上げてやろォと思ってなァ」
番外個体「何で今から乾杯って時にやんのさKY……ほら皆シーンってしちゃったじゃん」
一方通行「ハイハイめンごめンごォ」
美琴「…………」
雲川「…………」
雲川「…ん、こほん。気を取り直して乾杯の音頭を取らせてもらうけど」
雲川「まずは我がサークルに所属するメンバーよ、今日もまたこうして私の思いつきに付き合ってくれたことに感謝する」
雲川「そして招待されたゲスト達も、飛び入り参加の者達も、今日はよく来てくれた。今日はこの上ない花見日和だ。存分に桜を愛で、存分に笑ってくれ」
雲川「かつて幾たびも訪れた苦難・困難を越えて、これだけのメンバーが集い、これ程の絶景を共有出来る奇跡に祝杯をあげよう」
雲川「それでは皆、グラスを手に。―――かんぱ」
上条「ちょ、ちょっと待てぇぇぇええええええ!!!!!!」
雲川「……なんだ。いつものことではあるけど、さすがに今回はKYが過ぎるぞ」
上条「ちがーうちがーう!! 読むべきは空気より先に社会のルールブゥーーック!!!!」
上条「酒じゃん!! これアルコールじゃぁぁぁん!!!! しれっと何勧めてんの!?」
雲川「何か問題が?」キョトン
上条「目ぇ丸くすな!! ここにどんだけ未成年いると思ってんの!?」
番外個体「え!? 未成年!? どこどこ!?」
一方通行「コラ五歳児」
打ち止め「あはは~」
一方通行「テメエもしれっと酒ついでンじゃねェ。調子のンなガキども」
美琴「まあまあ、大目に見てあげなさいよ」
上条「お前もよく考えたらまだ未成年だろ!! 俺がギリギリ二十歳なんだから!!」
御坂妹「今さらですね、とミサカは嘆息します。無人島に行った時も飲んでたじゃないですか」
上条「あん時は正直旅先でテンション上がってたのと、無人島って事で俺もいいかな~って思っちゃったんだけど、後ですげえ反省したの!!」
雲川「おいおい、そのツンツンしたウニ頭は中身まで固いのか?」
上条「きょぉーーし!! 一応俺教師志望ですから!!」
雲川「しかしどうする、もう皆コップについでしまったぞ? まさか廃棄しろというのか? それこそ教師志望が言うことではないと思うけど」
美琴「じぃー」
御坂妹「じぃー、とミサカは粘つく視線をあなたに送ります」
上条「う、うぐぅ…」
麦野「ちょっとぉ~、どうでもいいから早く始めましょうよ」
上条「わ、わかったよ! 今未成年のところに注がれた酒は全部上条さんとこに持ってこい! 俺が全部飲むから!!」
一方通行「オイィィィ!!!! 何まンまと乗せられてンですかァァァァ!!!!?」
上条「だってしょうがねぇじゃんよぉぉぉ!!!! 他にやりようねぇじゃんよぉぉぉ!!!!」
一方通行「そこは浜面にでもふっとけよ!!」
浜面「俺かよ!? まあ頼まれりゃ飲むけど!!」
上条「う~…すまん浜面!! 手伝ってください!!」
削板「オレも飲むぞ上条! 考えてみりゃあ、お前の言うとおりだった。自分の体を張ってまで志を貫くその男気……そんなもん見せられて、燃え上がらなきゃ男じゃねぇ!!」
上条「軍覇……酒弱いくせに……でも、ありがとう…!」ウル…
一方通行「ったく、ホントメンドクセェ性格しやがって……オラ、コップこっちにも回せ」
上条「一方通行……!!」ウルウル…
インデックス「わ、私も手伝うんだよ!!」
上条「お前は未成年だろインデック、み、未成年ですよね?」
インデックス「た、多分?」
麦野「いいからさっさとしろいつまでコップ掲げさす気だこのやろう!!!!」
美琴(下ろしゃいいのに……)
雲川「やれやれ、それじゃ改めて―――乾杯ッ!!」
一同「カンパーーイ!!」
滝壺「さ、はまづら、行こう。北北西でイカ焼きが呼んでる」
浜面「おおい引っ張るな滝壺!! 何だ!? 何がお前をそんなにイカ焼きにかきたてるんだ!?」
絹旗「そういやなんか、この間テレビで超お祭り特集みたいなやつやってましたね。滝壺さんそれを超見てたんじゃないですか?」
麦野「浜面ー! りんご飴あったら買ってきてーー!」
絹旗「あ、私も超欲しいです!! 他に欲しい人います?」
打ち止め「はい!」
インデックス「欲しいんだよ!」
姫神「私も」
番外個体「ミサカも味わってみたいかな~」
麦野「浜面ー!! 四本追加ーー!!」
浜面「全部俺のポケットマネーで出すんですねわかります!!」 ハマヅラ ハヤク! >
浜面「はいはいわかりましたよ荷物持ちでも財布でも好きに使ってくださいよチクショー!!」
姫神「お金は。払う」
麦野「いーのいーの。あいつああ見えて社長やってるから。金はそこそこ持ってんのよ」
姫神「若社長…なんていい響き。結婚したい男性ランキング3位には入る逸材」
麦野「悪いけど、アレは私たちのものなのにゃーん」
絹旗「誰にも超あげません!」
姫神「お、おおう……まさかこんなにストレートに惚気られるとは思わなかった」
打ち止め「やっほーう! ってミサカはミサカは一際輝きを放つから揚げに箸を伸ばしてみたりー!!」
番外個体「あれ? そんな脂っこいもん食って大丈夫なの? 最近ウエストがどうとかもががが」
打ち止め「うわー! うわー!! うわー!!」チラッ…
一方通行「ガキがいっちょ前に色気づいてンじゃねェよ。食事制限なンざもォちょい体出来てからにしとけアンポンタン」
打ち止め「聞かれてるし! さり気に成長の遅いミサカの体を馬鹿にしてるし!! うあーんもうわーすとのばかぁー!!」
番外個体「ぎゃはっ☆ めんごめんご、悪気はいっぱいあったんだよ。ごめんね?」
打ち止め「うぅ~! いいもん! 今日は気にせず食べるもん!! ってミサカはミサカは―――」
番外個体「まっ、ダイエットとか大人なこと考えるのはまずその語尾が取れてからだよね~」
打ち止め「うっきーーーーー!!!!」
バードウェイ「しかし先ほどの発言。お前はこの娘の成長を望んでいると、つまりお前のストライクゾーンは幼女より少し上まで広がった、というか今の私こそがストレート直球ど真ん中なのだと解釈していいのだな?」
一方通行「ちょっと待てナチュラルすぎてリアクションすら出来ねェ。オマエ、なに?」
バードウェイ「なにと言われても、私は私で、お前もよく知るレイヴィニア=バードウェイお姉さんでしかないが?」
美琴(また一人増え……ってバードウェイ!? 何で!?)
打ち止め「やっほーう! ってミサカはミサカは一際輝きを放つから揚げに箸を伸ばしてみたりー!!」
番外個体「あれ? そんな脂っこいもん食って大丈夫なの? 最近ウエストがどうとかもががが」
打ち止め「うわー! うわー!! うわー!!」チラッ…
一方通行「ガキがいっちょ前に色気づいてンじゃねェよ。食事制限なンざもォちょい体出来てからにしとけアンポンタン」
打ち止め「聞かれてるし! さり気に成長の遅いミサカの体を馬鹿にしてるし!! うあーんもうわーすとのばかぁー!!」
番外個体「ぎゃはっ☆ めんごめんご、悪気はいっぱいあったんだよ。ごめんね?」
打ち止め「うぅ~! いいもん! 今日は気にせず食べるもん!! ってミサカはミサカは―――」
番外個体「まっ、ダイエットとか大人なこと考えるのはまずその語尾が取れてからだよね~」
打ち止め「うっきーーーーー!!!!」
バードウェイ「しかし先ほどの発言。お前はこの娘の成長を望んでいると、つまりお前のストライクゾーンは幼女より少し上まで広がった、というか今の私こそがストレート直球ど真ん中なのだと解釈していいのだな?」
一方通行「ちょっと待てナチュラルすぎてリアクションすら出来ねェ。オマエ、なに?」
バードウェイ「なにと言われても、私は私で、お前もよく知るレイヴィニア=バードウェイお姉さんでしかないが?」
美琴(また一人増え……ってバードウェイ!? 何で!?)
うげ、何かミスっとる ファック
一方通行「俺が言いてェのは何でテメエがここにいンのかってことだよ!」
バードウェイ「おいおい、分かりきったことを聞くなよ。お前がいるからに決まってるだろう」
一方通行「Why(何故)を聞いてンじゃねェよ!! 聞いてンのはHow(どうやって)だ!!」
バードウェイ「私の情報収集能力を舐めてくれるな。腐ってもいち組織を預かる身だぞ? お前の事務所の音声を拾うことなど朝飯前というものだ」
一方通行「ただの盗聴じゃねェか!! 今すぐ止めろボケェ!!」
バードウェイ「お前が今後こういったイベントに参加するとき、必ず私に一声かけると約束すればやめてやろう」
一方通行「テメエの耳を今ココで物理的に聞こえなくしてやろォかオイ」
バードウェイ「メールで一報するだけじゃないか。それがそんなに苦か? 私にメールするのはそんなに嫌か?」
バードウェイ「泣くぞ? 本気で泣くぞ? 一方通行のバカァー! って叫んで街中を駆け回ってやるぞ?」
一方通行「やりゃァいいンだろォがクソッタレがァ!!!!」
バードウェイ「やあ嬉しいな。嬉しくて泣いちゃいそうだ」ニコニコ
一方通行「こンのやろォ…!」イライラ
打ち止め「あ、あの…?」
バードウェイ「こうして面と向かって会うのは初めてだな、『打ち止め(ラストオーダー)』。私はレイヴィニア=バードウェイ。呼び方は好きにしてくれて構わん」
番外個体「じゃあ、ばーさん」
バードウェイ「死にたいのか番外個体」
打ち止め「知り合いなの?」
番外個体「昔、あちこちの戦場でちょっとねー。まあ今も仕事でたまに絡んだりするけど」
打ち止め「そ、そうなんだ。仕事って、あの人とのだよね? あ、あの、これからもあの人のこと、よろしくお願いします」
バードウェイ「そんなに気を使う必要はないよ打ち止め。お前が今私に対して抱いている警戒心はひどく正しい」
打ち止め「え?」
バードウェイ「私とお前はライバルだ、ということだ」
打ち止め「……ッ!!」
番外個体「いきなり宣戦布告? 恋も戦争も変わんないんだねアンタは」
バードウェイ「先手必勝というのは、全ての物事に共通する真理だよ番外個体」
打ち止め「ま、負けないよ!? ってミサカはミサカは最近ちょっとは成長した胸を張って宣言してみる!!」
バードウェイ「ハッ! そんな慎ましやかな胸を張っても惨めなだけだぞ打ち止め!!」
打ち止め「がーん。あ、あなただってミサカとそんなに変わんないじゃない!」
バードウェイ「だから私は全然胸を主張してなどいないだろうがぁ!! あ、やばい涙出てきた」
番外個体「女の魅力度ではミサカが六馬身差で大幅リードってとこだね~」ムギュウ
打ち止め「うぐぅ…これ見よがしに寄せて上げて……!」
バードウェイ「その女性として成熟した肉体は素直に羨ましくもあるが、しかし一方通行を相手にするとあってはそれは大きなハンデにしかならんぞ番外個体」
番外個体「ど、どういうことさ!!」
バードウェイ「私より長くヤツと時を共にしてきて気付いていないのか? アイツは大きな胸や尻に性欲を掻き立てられるタイプではない」
バードウェイ「むしろ逆!! ヤツは幼女の未成熟な肢体にそそられる真性のロリコンだ!!」
番外個体「そ、そんな…!?」ガーン!
打ち止め「そ、それじゃ今までミサカが重ねてきた努力はまったくの無駄……それどころか逆効果だったってこと……?」
一方通行「オイ、誰がロリコンだコラ……!」ゴゴゴゴゴ…!
バードウェイ「お前」
打ち止め「あなた」
番外個体「あんた」
一方通行「よしそこ並べ。グーで殴ってやらァ」
打ち止め「違うの?」
一方通行「キョトンとすンなボケ!! オマエ等全員マジで脳みそとろけてンじゃねェの!?」
浜面「そうだよなあ。お前の好みはむしろ逆だよな一方通行」
一方通行「いきなり出てきて何いらンことほざいてンだテメエはァァァ!!!! 何しにきやがったコノヤロウ!!」
浜面「打ち止めちゃんと番外個体ちゃんにりんご飴持ってきたんだよ。はい、二人とも」
打ち止め「わーい! ありがとう!!」
番外個体「ありがとう」
番外個体「で、さっき言ってたのはマジ?」
浜面「おうマジもマジ。その証拠に」
一方通行「内側からバァーンってなンのと外側からグシャァってなンのどっちがいいンだM面くゥン?」カチッ
浜面「マジすんませんっした調子に乗りました」ゲザー!
一方通行「行け」
浜面「はい!!」ピューッ
一方通行「…ったく、もう酔ってンのか? あのバカは」
バードウェイ「……ふむ、しかしそうか。お前の好みはロリロリ幼女ではないのか一方通行」
一方通行「当たり前だボケ」
バードウェイ「何てことだ…それではお前の需要に応えるつもりで装備してきたうさぎさんパンツは完全に逆効果ということではないか!!」
一方通行「ぶふッ!!」
バードウェイ「お前の好みがもっと大人な女だというなら、もっと大人なパンツをはいてくるべきだった……黒のスケスケとか!!」
打ち止め「じゃ、じゃあミサカの水玉パンツもアウトってこと!?」
番外個体「そういえばミサカこの間雑誌でこんな記事を見たよ……曰く、セレブで大人な女の人はそもそもパンツはかないんだってさ。下着のライン出ちゃうから」
バードウェイ「…………」
打ち止め「…………」
番外個体「…………」
バードウェイ・打ち止め・番外個体「「「ちょっとトイレに……」」」
一方通行「行かせねェよ!?」
バードウェイ「こ、ここで脱げと…?」モジモジ…
打ち止め「で、でも、あなたが望むなら……」モジモジ…
番外個体「応えてあげてもいいかな、なんて、ミサカは…」モジモジ…
一方通行「誰かァーー!! 近くに頭のお医者さンはいませンかァァーーッ!!!!」
とりあえず今日はここまで
あとはシコシコ書き溜めて 土曜の夜にまとめて投下する予定
まさかの書き溜め終わらず……
んまあ八割くらいは出来てるんで とりあえず投下しながら書いていきまふ
御坂妹「どうしました? 先ほどから全然箸が進んでいませんが、とミサカはあなたに問いかけます」
上条「うぇ? あ、いや、食べるよ? おいしそうなのがいっぱいで、何から食べようか迷っちゃってさーあははー」
御坂妹「ではミサカがいくつか見繕ってあげましょう、と気のきいた良妻アピールに余念のないミサカです」
上条「い、いいよいいよ! 自分でやるって!!」
御坂妹「何を遠慮してるんです。ミサカとあなたの仲じゃないですか、とミサカは暗に二人はただならぬ関係であることをほのめかしつつ、料理をテキパキと皿に盛ります」
御坂妹「はい、あーん」
上条「はぁ!? ちょッ!!」
御坂妹「じぃ、とから揚げを差し出しつつミサカはあなたを見つめます」
上条(怖い! 食べるの怖い!! でもそんなこと言ったら料理を作った吹寄や姫神に何言われるかわからん!!)
上条(どうする…!? つっても逃げるしかないよね実際!!)シュバッ!
御坂妹「はい、あーん。とミサカは愛しのあなたに再度甘い声を囁きます」
削板「おぉ?」
御坂妹「……あれ?」
削板「何かよくわからんがくれると言うならもらうぞ!! はむっ!」
御坂妹「ちょっ」
削板「うん、うまい! ありがとな御坂の妹さん!!」
削板「んお? そういやお前さっき愛しのあなたにとか言ってなかったか? ……まさか」
御坂妹「いやいや違いますよ何言ってやがりますかこの単細胞はとミサカは惜しげもなく毒を吐きつつ否定します」
削板「そうか、そうだったのか! 今まで気付いてやれなくて悪かった! お前のその気持ち、オレは嬉しく思うぞ!!」
御坂妹「いや違うっつってんだろ話きけよお前とミサカは荒くなる口調を隠せません」
削板「ツンデレってやつか!!」
御坂妹「大概にしろこの野郎」
上条「ところで軍覇くん何か体が変になったりしないかね?」
削板「オレはいつだって絶好調だぜ上条!!」
上条(から揚げは平気か…)
上条「よし、じゃあ俺もから揚げ食べようかな!」
御坂妹「ですからあなたの分はミサカがこうしてあーん、と」
削板「あむ。うまいッ!」
御坂妹「お前マジいい加減にしろマジさっさと酒でも飲んで酔っ払ってやがれとミサカは口に一升瓶突っ込んでぐりんぐりん回して渦作ってオラオラオラオラ」
削板「ずごごもがもがごきゅごきゅ」
上条「軍覇! これもうまいらしいぞ!」
削板「んにゃあ~? お~くうくうくれくれ。むしゃ、びゃああうまいいいいいいい」ヒック
上条「よし、ウインナーもセーフ!」ムシャムシャ
美琴「………」ジィー…
美琴「……はぁ、悲しくなるくらい警戒されてるわね」
一方通行「前科があンだから当たり前だろォが」
美琴「ぐ…一方通行……! で、でも、あそこまで徹底する必要ないじゃない。これでも、薬の件は反省してるんだから……正直、ちょっとヘコむわよ」
一方通行「よく言うぜ。今までもこういうサークルとやらの活動でバンバン薬仕込ンできたくせに」
美琴「はぁ? 何言ってんのよ。薬使ったのは無人島の時の一回きりよ。あの時あれだけ大事になっちゃったんだから(※島がひとつ消えました)、さすがに懲りるわよ」
美琴「それに……あの時は必死だったからそれでもいいって思ってたけど、薬使って関係を持ったりしたら、きっと当麻は私を許さないと思うから……」
一方通行「あン? 嘘付いてンじゃねェよボケ」
美琴「う、嘘じゃないわよ! そ、そりゃ、スッポンとか、まむしとかそういうのはいっぱい食べさせたけど、それくらいはいいでしょ! 正攻法じゃない!!」
一方通行「……じゃあ、アイツが誰でもいいってくらいムラムラしてたってのはどォいう事なンだよ」
美琴「え?」
一方通行「あ」
美琴「ちょ、ちょぉーー!! せりりん! せりりーーーん!!」
雲川「どうしたみこっち」
美琴「凄い情報聞いちゃったわ!! 旅行いった時アイツね! やっぱりムラムラしてたんだって!! 誰でもいいってくらい興奮してたんだって!!」
雲川「ほう…それは旅行中乳尻太ももを殊更に強調した甲斐があったというものだけど。やはりあれだな、セックスの味を覚えた事で、確実にヤツの理性は緩くなってくれているらしい」
美琴「あ、ちょっとヤバイ私すごいテンション上がってきたんだけど」
一方通行「ヤッベェこれ完全にやぶへびった」
いやだめだこれ全然集中できねえ
ごめん一旦書き溜め終わらすわ
一時間くらいで終わると思う
お待たせ
さくさく投下していくぜ
SS速報さるさんとかないよね?
姫神「や。こうして会うのは久しぶり」
インデックス「うん、そーだね。一年くらい会ってなかったのかな?」
姫神「うん。それくらいなるかも」
インデックス「あいさも前みたいにウチに遊びに来てくれたらいいのに」
姫神「……それは。さすがに」
吹寄「二人がラブラブで過ごしているところを邪魔なんて出来ないよなぁ?」
インデックス「あ、せいり。顔赤いよ? 酔ってる?」
吹寄「少しだけな。私はすぐ顔に出ちゃうんだよ」
姫神「ふっきー色っぽい」
吹寄「わっはっは、もっと褒めなさい」
姫神「ふっきーおっぱい大きい」
吹寄「わっはっは、マジでやめなさい」
インデックス「でも、本当におっきいんだよ。ちょっとうらやましいかも」
姫神「なん…」
吹寄「だと…?」
インデックス「ど、どうしたの二人とも。急に目が怖くなったんだよ?」
吹寄「うらやましいとかどの口がぬかすかーー!!」ムギュウ!
インデックス「きゃあーー!!」
姫神「形よく突き出たバスト。ほっそりとくびれたウエスト。張りのあるヒップ……正直完璧すぎて嫉妬すら起こらないレベル」サワサワ…
インデックス「あ、ひゃ、く、くすぐったいんだよあいさ……あ!」
姫神「感度もいい…だと…?」
吹寄「どうやったらそんなにくびれることが出来るんだー! そのわがままボディで上条を虜にしたのかーー!!」
姫神「吐けー。吐くのだー」
吹寄「二人っきりのときとかどんな会話してるんだー!!」
インデックス「ふ、二人とも実はかなり酔ってるでしょ!?」
吹寄「にゃにおー! 逆にお前は全然酒が足りてないじゃないかー!」
インデックス「わ、私は(多分)未成年だからお酒は飲めないんだよ!」
姫神「良いではないか。良いではないか」
上条「こらー! 未成年に酒勧めんなーー!!」
姫神「ちっ。しっかり監視してる」
雲川「そんな君らにお勧めのものがあるのだけど」
雲川「これは私が開発した『不思議な水』という代物だ。これの何が不思議かというとだな、アルコールなど全く入っていないのに、まるで酒に酔ったようにふわふわした気分になれるのだ」
上条「いやアルコールより怖くね? ソレ」
雲川「しかし法律上全く問題は無い成分で出来ている。むしろアルコールよりよっぽど体に優しい代物だけど。二日酔いなどもないしな」
吹寄「いやそれ製品化したらひと財産築けるんじゃないですか?」
雲川「無理だな。コストが高すぎる。コレ一本作るのに千人以上の諭吉さんが私の懐から旅に出てしまった」
上条「この人馬鹿だ……頭いいけど馬鹿だ……」
麦野「浜面ぁ~」
浜面「なんだよ」
麦野「つげ」
浜面「こ、この野郎、人を顎で使いやがって…」
麦野「あぁ~ん? 普段仕事先にニコニコしながら酌してやってんだぞぉ? こんな時くらい気持ちよく酒飲ませろよ浜面ぁ~」
浜面「あ、すんませんいつもお疲れ様です副社長!!」トポトポトポ…
絹旗「そんなこと言ったら能力フル活用して重機の費用超大幅削減してる私にも超ご褒美くれてもいいんじゃないですかぁ~?」
浜面「あ、肩お揉みしますよ現場監督!!」モミモミ
絹旗「うむうむ、くるしゅーない」
滝壺「はまづら」
浜面「あ、滝壺営業部長! 何をお申し付けでしょうか!?」
滝壺「ぎゅー」ムギュッ
浜面「もがっ」
麦野「ッ!?」ブホッ!
絹旗「ッ!?」ブフッ!
滝壺「……いつもお疲れ様。これは私からのご褒美……今日も一緒に居てくれてありがとう」
浜面「滝壺……」
麦野「ちょっと待たんかい!!」
絹旗「今のそういう流れじゃなかったでしょ! そこは滝壺さんも浜面をおちょくる流れでしょッ!!」
麦野「前々から思ってたけど、滝壺そういうところあるよねー。しれっといい女ポジションさらっていくってかさー、私たちを踏み台にするってかさー、一言で言うとマジずるい」
滝壺「大丈夫。今日のはまづら好感度を著しく下げた二人を、私は応援してる」ニヤリ
絹旗「言ったなこんにゃろッ!!」
麦野「こっち来い浜面! おっぱいさわらせてやる!!」
絹旗「こっち来なさい浜面! 太ももで挟んであげます!!」
滝壺「ぎゅ~~」
浜面「いたたた滝壺さん力強い息できない麦野やめて足引っ張んないで絹旗取れちゃう腕取れちゃう誰か助けてッ!!!!」
インデックス「それでね~? それでね~?」ヒック
吹寄「いや、もういい……」
インデックス「なんでなんで~? まだまだいっぱいあるよ~? とうまのかっこいいところ~」
姫神「こちらから話ふっといてなんだけど。正直おなかいっぱい」
インデックス「ぶぅ~。……ごめんあいさ、トイレどこ?」
姫神「あっち行ってこう行ってそっち」
インデックス「ありがとなんだよ!」タタタタ…
吹寄「……いや~、なんというか……幸せ、なんだな」
姫神「うん」
吹寄「おめでたいこと……だな」
姫神「うん。……そう思えるようにならないと」
吹寄「よし、飲もう飲もう。祝杯だ祝杯だ」
姫神「てやんでえべらんめえ。もっと強い酒もってこいこんちくしょー」
上条「ん? インデックスのやつ…トイレに行くのかな?」
美琴「………」トコトコトコ…
上条「……御坂も、トイレか?」
上条「……嫌な予感がする」
上条「………」
上条「ええい! 追っかけるか!!」
浜面「あ、上条さん上条さんちょっと助けてくんない!?」モガモガフガガ
上条「そのまま窒息死してしまえ!!」
雲川「待て待て、どこに行こうというのだ上条当麻」
上条「どこって…いや、その」
雲川「女子の小用の後をつけるとは、これ程下卑た真似も中々ないけど」
上条「いや、そういうつもりじゃ」
雲川「そんな真似をするヤツにはお仕置きだ。『精々男同士で濃密に絡み合っていろ』」
上条「何を言って…」
浜面「おうわぁッ!」ガバァ!
上条「おぉぉッ!?」
浜面「何コレ! 何コレ!?」ギュウゥゥゥ!
上条「俺の台詞だばっきゃろい!! 離せ浜面俺抱きしめて何がしたいのキミ!!」ジタバタジタバタ!
浜面「違う違う! 体が勝手に…!」
雲川「しばらくそうしてそこで遊んでいろ。女子には女子だけで話したいこともあるのだ……安心しろ。いずれにしろ、すぐに済むさ」
上条「離せ浜面ぁぁぁあああああああ!!!!!! やめろ乳首触んな殺すぞマジでぇぇぇぇえええええええ!!!!!!!」
浜面「違うんやーー!!!! これは断じて俺の意思じゃないんやーーー!!!!」
インデックス「ふーんふふーん」
美琴「インデックス」
インデックス「あ、みこと。みこともトイレ?」
美琴「ううん。ちょっとアンタと話したいことがあってさ」
インデックス「私と?」
美琴「うん。少しだけ時間いいかな?」
インデックス「わかったんだよ」
美琴「あんまし人に聞かれたくない話だからさ…ちょっとそこの裏まで付き合ってくれるかしら」
インデックス「……うん」
一方通行「………」コソ…
バードウェイ「覗きとは随分な趣味をお持ちだな、一方通行」
一方通行「……音も無く後をつけてくるようなストーカーに言われたかァねェよ」
バードウェイ「ひとつ聞いていいか一方通行」
一方通行「なンだよ」
バードウェイ「お前は一体誰の味方なんだ?」
一方通行「……誰の味方でもねェよ。ただ行き過ぎた真似しねェように見張ってるだけだ」
バードウェイ「全く、面倒見の良いことだ。ますます惚れてしまうではないか」
一方通行「……ケッ」
インデックス「……それで、話ってなに?」
美琴「うん……」
インデックス「………」
美琴「…………」
インデックス「…………」
美琴「あ~、なんだろ。聞きたい事、色々あったんだけど……たくさん、あるんだけど……シラフじゃ、やっぱり勇気でないわ。ごめんだけど、ちょっと待ってくれる?」
インデックス「お酒飲んだらとうまに怒られちゃうよ?」
美琴「大丈夫よ、これ飲むから…不思議な水。アンタも飲んでるんでしょ?」
インデックス「うん。ちょっとだけ」
美琴「ホントは一気飲みなんてしちゃいけないくらいお高いものなんだけどね……ん」ゴクゴクゴク
美琴「ぷは……ん、勢いついた。あのね、インデックス」
美琴「言うまでもないことだけど、わかりきってることだと思うけど」
美琴「私は、上条当麻のことが好き」
インデックス「……うん」
美琴「そりゃ、知ってるわよね。無人島では、アンタの見てる前でアイツにモーションかけてたワケだし」
インデックス「そう…だね。あの時は本当にびっくりしたんだよ」
美琴「そう、アンタは私の気持ちを知っている。私がアイツを寝取ろうとしている最低な女だってことも知っている」
美琴「ねえ、アイツが今入ってるサークルに、私も飛び入り参加しているのは知ってるんだよね?」
インデックス「うん、とうまから聞いた」
美琴「でも、あんたはアイツを止めたりはしない。サークルを辞めるように言うこともしない。だよね?」
インデックス「……うん」
美琴「それってどうして? 不安じゃないの? 怖くないの? ……嫌じゃ、ないの?」
インデックス「不安だよ。怖いよ。……嫌だよ。だけど……でも、とうまの重荷になっちゃうのは、もっと嫌」
インデックス「……とうまは私と一緒に生活するためにずっとずっと遊ぶ暇も無くお仕事してた」
インデックス「街に出るとね、凄く楽しそうな人達をいっぱい見かけるの。多分、とうまと同じ大学生。本当は、とうまもあんな風に色んな友達と楽しく過ごせてたはずなんだよ」
インデックス「でも、私のせいでそれは出来なかった。私のために遊びの誘いもたくさん断って、だから、とうまには学部での友達があんまりいない」
インデックス「とうまは何も言わないけど……私にだって、それくらいはもう、わかる」
インデックス「だから、とうまがいいお仕事について、遊ぶ時間ができて、さーくるっていうのに入ったって聞いたときは嬉しかった」
インデックス「とうまには私のことを気にせず遊んで欲しかったから」
美琴「……あんた、ほんと馬鹿ね」
インデックス「うん。だよね」
美琴「ほんと……いい子すぎるわ」ボソ…
上条(やっと浜面振りほどいて、二人を見つけたはいいけど……)コソ…
上条(何話してんだ? もう少し近づいてみるか……)
美琴「私は、当麻のことが好き」
インデックス「うん」
美琴「アンタのことも、嫌いになれない」
インデックス「ありがとう。私もみことのこと、好きだよ」
美琴「ありがとう……でも、ごめん。私はあなたの嫌なことをする。私はこれからも、アイツを誘惑し続ける」
インデックス「……うん」
美琴「止めないの?」
インデックス「止められるなんて思ってない」
美琴「…………」
美琴「……ねえ」
美琴「…………」
美琴「……駄目なのかな? 私たち、浜面さん達みたいな関係になれないのかな?」
インデックス「わからないよ。だけど、もしもとうまが……」
インデックス「とうまが、それを望むのなら……」
インデックス「私は、とうまの望むとおりにするだけだよ」
雲川(救われた者特有の自己犠牲、救い主の絶対的優先……インデックスがこの結論に至ることは、自明の理であったわけだけど)
雲川(上条当麻はその答えを聞いた。私があれこれ手を加えられるのはここまでだ。あとは、奴がどの未来を掴み取るのか―――結果を待つしか、ないのだけど)
絹旗「私達という超絶美少女を三人も侍らしていながら男に絡みつくとはどーゆー了見ですか超ボケ浜面ぁーー!!」ゲシ! ゲシ!
浜面「いたいいたい!! 違うのマジで俺もよくわからんのよ!! ホントに体が勝手に……」
麦野「体が私達よりアイツを求めたと、そう言うわけだ?」
浜面「なにその歪んだ解釈!!」
滝壺「でも、二人が絡みつく光景を見て、私の頭にビビッと、なんか、こう……きた」ホゥ…
浜面「いかーーん捨てて捨てて!! 滝壺さんそんな腐った電波受信しないで!!」
上条(………)
上条(……ったく、いつも浜面達は楽しそうだな…)
上条(…………)
―――私は、とうまの望むとおりにするだけだよ
上条(……もしも……もしも、俺が望めば…)
絹旗「罰としてダッコです! 私を超ダッコしなさい浜面!!」
浜面「ちょ、超ダッコ!? 何それハードルたけぇ!!」
麦野「なら私からの罰は24時間耐久腕まくらね。今夜から実施するわ」
浜面「腕棒になっちゃう!」
滝壺「私もそれ、したい」
浜面「まさかの両腕!?」
上条(……あるんだろうか。ああいう、未来が……)
上条(ちょっと無理して広い部屋に引越しして、そこには御坂が居て、御坂妹が居て、五和や、もしかしたら神裂なんかも居たりして……)
上条は少しだけその未来を想像する。
御坂美琴は相変わらずビリビリと電気を飛ばしてきて、怒っているけど、笑っていて。
御坂妹は何故か当然のように常時裸エプロンで微笑んでいて。
五和と神裂がキッチンで作業をしながら、そんな光景に苦笑している。
望めば実現するかもしれない、そんな未来。
しばらく、上条はそんな未来予想図に思いを馳せて、ふと何かに気付き、笑って―――目の前に置かれていたコップを次々とあおった。
インデックス「ただいまなんだよ」
インデックスが帰ってくる。
意図して時間をずらしたのだろう、美琴はもう随分早く帰ってきている。
上条は立ち上がった。
あれだけの酒を一気飲みしたというのに、その足取りはしっかりしたものだ。
思考もクリアで―――ただひとつの思いを胸に、上条はインデックスの前に立つ。
上条「インデックス」
インデックス「ふぇ? どうしたの? とうま」
上条「インデックス――――」
上条「――――ごめん」
そう言って――――上条は、インデックスの体を思い切り抱きしめていた。
インデックス「え? え? とうま? ええ?」
上条「ほんとゴメン。今まで色々不安にさせちまったよな」
インデックス「な、なんのこと?」
上条「誓うよ。インデックス―――俺はお前だけだ。ただお前だけを一生、死ぬまで愛し続ける」
インデックス「……とうま?」
上条「だから、いいんだ。俺を優先なんてしないでくれ。わがままを言ってくれ。俺を困らせてくれ」
上条「俺は―――お前の願いを叶えたい」
インデックス「………とうま」
ぽろぽろと、インデックスの瞳から大粒の涙がこぼれた。
やがて、ひっくひっくと、涙は嗚咽も伴って―――インデックスは子供のように泣きじゃくりながら、上条の顔を見上げる。
インデックス「おねがいします――ずっと、ずっと、いっしょにいてください! わたしだけのとうまでいてください!!」
上条「ああ。病める時も、健やかなる時も、ずっとずっと一緒だ、インデックス」
先ほど想像した未来予想図に、インデックスはいなかった。
ハーレムなんて枠組みにインデックスを当てはめることは不可能だった。
特別で。余りにも特別すぎて。
ぱちぱちぱちと、拍手が聞こえた。
拍手を送っていたのは誰あらん、雲川芹亜と御坂美琴だった。
呆然と事の成り行きを見守っていた皆も、つられて手を叩き出す。
吹寄「なんというか、その、おめでとう」
姫神「まさかのプロポーズ。度肝を抜かれるとはこのこと」
番外個体「やぁー、なんか凄いもんみちゃったよ」
打ち止め「ミサカもらい泣きしちゃった、ってミサカはミサカはハンカチで目尻を押さえながら二人を祝福してみたり!!」
美琴「幸せになりなさいよ」
上条「御坂……」
インデックス「みこと……」
美琴「それがアンタの答えだってんなら、私はもう邪魔しない。今まで色々とごめんね」
上条「いや、俺のほうこそ……」
美琴「ただ、ね? あの、ひとつだけお願いがあるんだけど」
上条「なんだ?」
美琴「このサークルで皆で遊ぶの、ホントに楽しくてさ。これからも私、参加だけはさせてもらっていいかな?」
上条「もちろんだよ! そんなの当たり前じゃねーか!!」
美琴「ありがとう! それじゃこれから私とアンタは遊びの関係ってことでひとつよろしくね!!」
インデックス「ぶふッ!!」
上条「おかしくなーい!? 御坂さんそのニュアンスはなんかおかしくなーい!!!?」
美琴「あははは!」
一方通行「………ふゥ」
バードウェイ「何を一人でたそがれている」
一方通行「ホンットテメエはどこにでも湧いてくンなァ」
バードウェイ「ゴキブリみたいな言い方をするな。傷つくだろうが」
一方通行「そンな殊勝なタマかよ」
バードウェイ「肩の荷が下りた、といった顔をしているな」
一方通行「まァ、アイツらのゴタゴタには今まで散々苦労かけられたからな。正直気は楽になったよ」
バードウェイ「最終的には収まるべきところに収まった、という感じなのかな?」
一方通行「元々アイツに複数の女と付き合うなンて器用な真似出来るわきゃなかったからな。当然っちゃ当然の帰結だ」
バードウェイ「しかし大したものだよ。あれだけの器量の女に、それも複数から言い寄られてなお一人への愛を貫けるとは」
バードウェイ「自身の血統の繁栄のために出来るだけ多くの種を残そうとするのが雄としての本能のはずなんだがな」
一方通行「本能のままに腰振ってりゃただのサルだろォが。理性で本能抑えてこその人間だ」
バードウェイ「ふむ、愛あるが故に人は人たりえると。いや、箴言だな」
一方通行「勝手にロマンチック全開に解釈してンじゃねェよボケナス」
バードウェイ「くふ、くふふ」
一方通行「……なンだよ」
バードウェイ「やはりお前との会話は楽しいな一方通行。何というか、痒いところに手が届く、というのかな。実に小気味良い」
一方通行「あっそォお褒めにあずかり光栄ですゥ」
バードウェイ「お前も私との会話をそういう風に感じてくれていたら、私はとても嬉しい」
一方通行「………」
バードウェイ「沈黙は肯定と見なすぞ」
一方通行「この間スーパーに買い物に行ったらさァ」
バードウェイ「黙らないのかよ……」
バードウェイ「しかし先ほどの話からするとだ」
一方通行「どの話だよ」
バードウェイ「サルのくだり」
一方通行「あァ」
バードウェイ「お前は浜面仕上の、ああいった関係性についてはあまりいい感情を持ってはいないということか?」
一方通行「……いや、アイツらのアレは、またちょっと違ェだろ…」
浜面(………)
浜面(上条は、インデックスちゃんを選んだ。インデックスちゃんだけを選んだ。他にも色んな女の子を自分の物にすることもできたのに)
浜面(いやあ、かっこよかったな。やっぱさすがだよ、上条)
浜面(………)
浜面(………俺は…)
絹旗「なんちゅー顔をしてるんですか浜面は」
浜面「うぇ? あ、いや…」
麦野「どうせあれでしょ? さっきの暑苦しいプロポーズ紛いの宣誓を目にして、何か自分と比較して勝手に凹んでんでしょ」
浜面「エ、エスパー!?」
麦野「あんたのことは何でもわかる」
浜面「む…ぐ……照れるやら情けないやら複雑な気持ちだぜ」
麦野「誇んなさい。私がこんなに考える男なんて、あんた以外にいない」
絹旗「まったく浜面は…ホントに超浜面ですね。くっだらないことで悩んじゃって」
浜面「くだらないって、お前なあ…」
絹旗「くだらねーですよ。上条当麻と浜面にどんな違いがあるってんです?」
絹旗「一緒ですよ。どちらも自分の人生を賭けて守るべきたったひとつのものを、自分の意思で選び取っている」
絹旗「上条当麻はインデックスを。そして浜面は私達『アイテム』を」
麦野「忘れるなよ浜面。私達は皆でひとつなんだ。そのあり方は確かに歪で、他の人間から見れば奇異に映るかもしれない」
麦野「それでいい。私達は唯一無二なんだ。他と比較なんて、そもそも出来るもんじゃないんだよ」
浜面「……そっか。そうだよな」
麦野「ま、確かにこの関係の始まりは浜面が滝壺居るのに私に手をだしちゃったことだから、浜面がああいう日本男児象に負い目を感じるのもわからなくはないけどにゃーん」
浜面「はう! 何なの!? お前らは俺を慰めに来たの!? トドメ刺しにきたの!? どっちなの!?」
麦野「ま、その辺のことについて、最初に浜面を落とした女である滝壺から何か一言ある?」
滝壺「……はまづら」
浜面「は、はい!」
滝壺「私達が今のこの関係にたどり着くまでに、本当に色々あったよね。本当に、色々」
浜面「……あぁ」
滝壺「あれだけの苦労をして、あれだけ紆余曲折して、いっぱい喧嘩して、いっぱい泣いて、それでも『アイテム』に戻れた今の関係を、私はとてもとても大切に思ってる」
滝壺「だからはまづらが、そんな私達の関係を間違っていたのかもしれないと思ったことがとても悲しい」
浜面「……ごめん」
滝壺「これは簡単に許されることじゃないよ、はまづら。私達がまた『アイテム』としてやっていくためには、仲直りの儀式が必要だと思う」
浜面「ぎ、儀式といいますと?」
滝壺「……」チョイチョイ
麦野「ん?」
絹旗「何ですか?」
滝壺「ごにょごにょごにょ」
麦野「ほぉ~それはそれは」
絹旗「超大胆なことを考えましたねえ」
浜面「い、嫌な予感しかしない!!」
滝壺「ううん。とても簡単なことだよ、はまづら」
麦野「早い話、仲直りのキスをしましょうってこと」
絹旗「ただし、私達全員と同時にです!!」ニヒヒ
浜面「は、はあ!? そ、そんなのどうやって!」
麦野「こうやって……ん」
滝壺「ん……」
絹旗「んはぁ……」
浜面は我が目を疑った。
麦野、滝壺、絹旗の三人が、密着するほど顔を寄せ合い、それぞれの舌を差し出している。
当然、三人の舌も触れあいそうな程近くに寄せ合っていて。
麦野「ほら…なにしてんのよ」
滝壺「はまづら……はやく」
絹旗「浜面もべろ出して…」
つまり、三人同時べろちゅー。
舌を出したまま喋ろうとしたものだから、三人の舌から唾液が垂れて地面に零れ落ちた。
浜面「じゃ、じゃあ……」
浜面もまた、三人の正面に陣取り、舌を差し出した。
麦野「ん…ふ…」
滝壺「あむ…ん…」
絹旗「ふぁ…む…」
麦野「あむ、ふ…んん…」
滝壺「むぎの、独占禁止……ふ、う、む…」
絹旗「浜面、こっちも、こっちもぉ……んむぁ、むぅ」
ヽ`
´
´.
__,,:::========:::,,__
...‐''゙ . ` ´ ´、 ゝ ''‐...
..‐´ ゙ `‐..
/ \ ちゅどーん
.................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´ ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
.......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ .' ヽ ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
;;;;;;゙゙゙゙゙ / ゙: ゙゙゙゙゙;;;;;;
゙゙゙゙゙;;;;;;;;............ ;゙ ゙; .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;............................. ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
/゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li ' ; .` .; il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ <ギャアアアアアアアアアアア!
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
御坂妹「失恋したばかりの人間の目の前でちゅっこらちゅっこらしてんじゃねーよ、とミサカはミサカ式波動砲を再び放ちます」
削板「ふにゃー、すごいぱーんち」
ズ ド ギ ャ ァ !!!! ド ォ ーー ン !!!!!!
浜面「ごぶぁあ!! なんじゃあ! 何が起こってんだぁ!?」
御坂妹「ちっ、おい生きてんじゃねーか火力足んねーぞとミサカは波動砲のケツをひっぱたきます。おら、あそこに悪い奴がいるぞしゃきっとしろこのやろう」
削板「んむにゃあああ悪は許さんぞぉぉぉおおおおおおおすごぉぉぉいぱぁぁぁんち」
ド ギ ュ バ ァ !!!! あ ぼ ーー ん !!!!!!
絹旗「誰だァこの! 超ォ舐めた真似しくさりやがってェ!!」
麦野「ブ・チ・コ・ロ・シ確定だコラァ!!!!」
――――― 花 見 公 園 全 ☆ 壊 ―――――
※壊された公園は後で『よろず屋一方通行』が完璧に修繕しました。浜面の金で。
エピローグ 笑顔の裏で
美琴「……終わっちゃいましたね」
雲川「……まぁ、な。もっとも、わかりきった結末ではあったけど」
美琴「そう…ですね。あそこで、ハーレムを選択するなんて、アイツらしくないし」
雲川「一人への想いを貫く、そんな愚直なあの男だからこそ、我々はこれほど強く惹き付けられていたわけだしな」
美琴「ですよね~、あはは」
美琴「はは……」
雲川「…………」
美琴「…ぐす、うぇ、うぇぇ……!」
美琴「でも…ぐす、やっぱり、考えちゃう…! なんで、なんで私じゃ駄目なんだろう、インデックスのいるあの場所に、何で私は立てなかったんだろう、って……!」
雲川「めぐり合わせ、時の運……理由を探すことはいくらでもできるけど。そんなものは慰めにもならんよな」
美琴「うわぁ~~ん!!!!」
雲川「正直な、こうなることは初めから分かっていた。上条王国なんて、夢見がちなことを嘯いてはいたけど……私はただ、悪あがきをしていたにすぎん」
雲川「付き合わせてしまってすまなかったな、美琴」
美琴「ううん、ありがとう先輩。私、先輩と会えてよかった」
雲川「そう言ってもらえると私も救われるよ」
雲川「しかし実際問題、私達はもう女として終わってしまっているよなぁ」
美琴「え?」
雲川「だってそうだろう。お前、今から上条以外の男を好きになれる気がするか?」
美琴「それはまあ、確かにしませんが」
雲川「恋をやめた女は女にあらず、だ。まいったな。どうだ? もういっそ百合にでも目覚めてみるか?」
美琴「はぁ~、それもいいかもしれませんねぇ~」
黒子「な、なにかとてつもなく幸せの予感がいたしますのッ!!!!!!」ガターン!
とある四年後の未来世界 ~花見変~ おすぃまい
っちゅーことで今回の分はおしまい
楽しんでもらえたらこれ幸い
とりあえず上条さんの色恋沙汰に関してはこれで決着
今後の話
とりあえず今んとこ日常的な短編いくつかとシリアス一本考えてる
けどネタさえあればいくらでも話作れる設定ではあるんで 何か見てみたい話あればどんどん教えてくんろ
そこからネタが膨らむこともあるべさ
おーやっとSS速報入れた
ほんとは昨日のうちに書きたかったバレンタイン小ネタ行きまうす
インデックス「今日はバレンタインデー。この日本という国の文化において、それは女の子が男の子にチョコを渡すことで愛を告げる日」
インデックス「私だけを選んでくれたとうまのために……私、今年は頑張るんだよ!」
インデックス「この間、りこう・しずり・さいあいの三人に教えてもらった男の子が最高に喜ぶチョコを作って、とうまに喜んでもらうんだ!」
インデックス「そしたらまた、とうまに『愛してる』って言ってもらえたりして……」ニヘラ~
インデックス「えへへ~」ボヤァ~
インデックス「はっ!? いけないいけない! とうまが大学から帰って来る前に作り終えなきゃならないんだよ!」
インデックス「え~っと……」メモトリダシ
インデックス「①まず市販のチョコを湯せんで溶かします」
インデックス「ふんふふ~ん」グツグツ…
インデックス「溶けたんだよ!!」
インデックス「え~っと…次は……」
インデックス「②服を脱ぎます」
インデックス「うんしょ、うんしょ」ヌギヌギ…
※インデックス現在の装備パンツのみ。
インデックス「うう…部屋の中とはいえ、胸を丸出しにするのはとても恥ずかしいんだよ……」プルンプルン
インデックス「ううん、これもとうまに喜んでもらうため…頑張らなくちゃ……!」
インデックス「③チョコが固まらないうちにおっぱいに塗りたくります」
インデックス「つ、つまり、私のおっぱいをチョコでコーティングして、とうまにそのまま食べてもらうってことなんだよ」
インデックス「はぅぅ…///」カァァ…
インデックス「は、恥ずかしがってる場合じゃない! チョコがドロドロのうちにレッツトライなんだよ!!」ペタッ
インデックス「あ゛ッッづうッ!!!!!!」ドンガラガッシャーン! ゴヅーン!
インデックス「きゅう……」
上条「帰ってきたらインデックスがパンツ一丁でおっぱい片方チョコまみれにしてのびてたでござるの巻」
インデックス「…………」死ーん
上条「どうしてこうなった……いや、何となくやろうとしてたことはわかるけど」
上条「何か浜面の嫁さん達と飯食いに行ったりするようになってから段々アホの子になってきてる気がするなぁ……」ハァ…
上条「まあとりあえず、起こすのは片付けと風呂の準備すましてからにするか」
インデックス「むにゃ…とうま……愛してる……」ムニャムニャ…
上条「はいはい、俺もですよー」
その元凶浜面家のバレンタイン
浜面「ふっふっふ、たぁっぷりチョコの塗りたくられたこのバナナ……一体誰の口に捻じ込んでやろうかなぁ……」ゲッヘッヘ
麦野「くっ…誰がアンタのバナナなんて食べるもんですか!」
絹旗「私が口にするものは自分の意思で決めます!」
滝壺「私、いいよ…はまづらのバナナなら、いくらでも食べられるから……」
麦野「滝壺、アンタ…!」
絹旗「駄目です滝壺さん!! あんなヤりすぎ浜面のバナナを口に含むなんて…!」
浜面「いい度胸だ滝壺! なら口を開けろ! 大きく、おおぉきくなぁ~!!」
滝壺「んぁ……」
浜面「おらぁーーッ!!」ガポッ!
滝壺「んむ!? はむ、ぴちゃ、じゅる……あむ…」
浜面「どうだ滝壺、お味の方はよぉ~」
滝壺「んぅ、むしゃむしゃ、ごくん……うん…バナナの果汁とチョコの甘みが渾然一体となって……美味」
絹旗「あ~あ、食べちまいましたよ。浜面がチョコ超つけすぎたバナナ」
浜面「いや、マジでこんくらいつけたほうが旨いんだって。なあ滝壺?」
滝壺「うん、おいしかった」
麦野「あんまりチョコつけすぎるとカロリーがさぁ~。あ、最後のイチゴもらうわよ~」
浜面「チョコレートフォンデュやってる時点でそんなもん今さらだろ」
麦野「そうだけどぉ~」
絹旗「んー! マシュマロふわふわで超おいしーです!! ま、私は仕事で超汗かくから正直問題ないんですけどね」
麦野「はぁ~……私等は明日から走り込み増やさないとまずいよ、滝壺」
滝壺「ランニング嫌い……おっぱい痛い…」
※さすがに四年目ともなれば案外普通な浜面一家でした
――バレンタイン一週間前、よろず屋一方通行にて。
一方通行「先に言っとくケドよォ」
番外個体「んー?」
打ち止め「なになになにー? ってミサカはミサカは番外個体と一緒に見てた雑誌から視線を外してあなたの方を見つめてみたり!」
一方通行「俺ァチョコなンざいらねェからな」
番外個体・打ち止め「「ぶふッ!!」」
打ち止め「バ、バレンタイン特集記事を見てきゃいきゃいはしゃいでる女の子の目の前でそんなこと言うッ!?」
一方通行「アホ。俺をその手のイベントに関わらすンじゃねェよ。不似合い過ぎて寒気がすらァ。そもそも俺ァチョコみてェな甘ったるいモンは好きじゃねェンだよ」
番外個体「ミ、ミサカ達あんたにあげるなんてまだ一言も言ってないじゃん! 自惚れすぎだよばぁーか!!」
一方通行「取り越し苦労ってンならそら結構なこった」
打ち止め「う、うぅ~~!! 一方通行の馬鹿ぁ~~!!!!」ダダダダ!
番外個体「うおりゃあああああああああああああ!!!!!!」ドバゥン!
一方通行「うおおお!? 事務所内で超電磁砲もどき撃つンじゃねェェェええええ!!!!」ガシャーンパリーンドガーン!!
番外個体「アホ! アホッ!! 今のはミサカ暴走じゃないからねバァーカ!!」ダダダダ!
一方通行「……ったく、いらン仕事増やしやがってあの馬鹿…」
――バレンタイン当日、よろず屋一方通行。
番外個体「………」ブッスゥ~
一方通行「何むくれてンだよ」
番外個体「べっつにぃ~」
一方通行「………」
番外個体「……ふんだ」
カツン、カツン
一方通行「客だ。ワースト、茶ァ入れとけ」
番外個体「たまには自分でやれば~?」
一方通行「テンメェ…」
ガチャ…
バードウェイ「なんだ? お前が手ずから茶を振舞ってくれるというのか? それは重畳だな」
一方通行「まァたテメエかよ。ホント暇なンだな」
バードウェイ「暇じゃないといっとろーが。忙しい中本当に苦労してスケジュールを調整してここに来る時間を作ってるんだ」
バードウェイ「ところでお前お手製の茶はまだか? 久しぶりなんで正直かなり楽しみなんだが」
番外個体「はい、粗茶ですが」コトッ
バードウェイ「むぅ…存外有能じゃないか番外個体」
番外個体「お褒めに預かり光栄ですぅ」
一方通行「ンで、実際何しに来たンだよ」
バードウェイ「まったく、急かすなよ一方通行。多少は世間話をしてくれてもいいだろう。互いの近況報告とかな」
一方通行「興味がねェ」
バードウェイ「ぐぬぬ……まあいい。私も忙しいというのは本当だからな。ならば取り急ぎ用件を済ますとしよう」
バードウェイ「ほれ、これをやる」
一方通行「……何だコリャ」
バードウェイ「おいおい、まさか今日が何の日なのか知らんわけじゃないだろう」
番外個体(ありゃりゃ。事情を知らないとはいえ、やっちゃったねバードウェイ)
一方通行「……冗談じゃねェ。勘弁しろよ。俺をこの手の浮かれたイベントに巻き込むンじゃねェっつの」
バードウェイ「文句を言うのは中身を確認してからでも遅くは無いんじゃないか?」
一方通行「チッ……」ワシャワシャ…パカッ
一方通行「……ッ! これァ…!?」
バードウェイ「ふふ、お前がチョコなどを好まんというのは事前にリサーチ済みだったからな。ちょっと趣向を凝らしてみた」
バードウェイ「その道の通が厳選したコーヒー豆だ。かなり希少な豆らしくてな、結構手に入れるのには苦労したんだぞ?」
一方通行「………」
一方通行「……チッ。あァーあ、捨てンのも勿体ねェしなァ……しょうがねェからもらってやンよ」
バードウェイ「やあ、よかった。喜んでもらえたようで何よりだよ一方通行」
一方通行「だ、誰も喜ンでなンざいねェっつの! しょうがなくっつってンだろがァ!!」
番外個体(何まんざらでもない感じ出しちゃってんのぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!)
番外個体「………」ブッッスゥ~
一方通行「何さらにむくれてンだよ」
番外個体「よくそんなこと平然と言えるねあなた」
一方通行「………」
番外個体「ミサカ達のチョコは断っといてバードウェイのはもらうなんてさ……」ブツブツ
一方通行「チョコなンざもらってねェだろ」
番外個体「一緒じゃん!! バレンタインの贈り物には変わらないじゃん!!」
一方通行「ぐおッ…! るっせェな耳元でキャンキャン喚くンじゃねェよ!!」
番外個体「キャンキャンキャンキャン!!!!!!」
一方通行「だァーッ!! いい加減にしろォッ!!」
打ち止め「あ、あの、一方通行」ガチャッ
一方通行「あン?」
番外個体「あれ、上位個体……って、まさかその手に持ってるのは……」
打ち止め「あの、その、ね…? やっぱり、どうしても日頃のお礼とかミサカの気持ちとか形にしたくって……その…」モジモジ…
打ち止め「な、なるべく甘くならないように工夫したから、その…」ビクビク…
打ち止め「受け取って、もらえないかな…? って、ミサカはミサカは精一杯の勇気を振り絞ってチョコを差し出してみる」スッ…
一方通行「………ったく」
打ち止め「……ッ!!」ビクッ
一方通行「……オマエはホーント、俺の言うことなンざひとっつも聞きやがらねェな」
打ち止め「あ…その、ご、ごめんなさ……」
一方通行「寄こせ」ヒョイッ
打ち止め「…ッ!?」
一方通行「……まァ、ちょうど良い豆が手に入ったとこだ。甘ったりィチョコも、茶菓子としちゃ悪くねェ」
打ち止め「あ……」
一方通行「……………ありがとよ」
打ち止め「…ッ!! ど、どういたしまして!! ってミサカはミサカは喜びのあまりその場でくるくる」
番外個体「ふざっけんなこらぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!!」
打ち止め「ぶわぁぁぁぁあああああああ!!!?」
番外個体「何なのコレ!? 何で言いつけをしっかり守ったミサカが一番損したみたいな形になってんの!? もぉ信じらんない!!」
打ち止め「わ、わーすと?」
一方通行「オイ、落ち着け」
番外個体「落ち着いてられるかぁぁぁああああああ!!!! 正直者は馬鹿を見るってこのことだね!! ミサカ学習したよ!! もう知らない! 好き勝手やらせてもらうよミサカは!!」
番外個体「ミサカ今からウチ帰って準備してたチョコ取ってくるから!! あなたはそれまでここで待ってなさい!!」
一方通行「エェ~俺もう書類整理終わったから帰りてェンだけど」
番外個体「待ってろ!!!!」バダーム! ドタタタタ…!
打ち止め「……え~っと、じゃあ用事も済んだし、ミサカ帰るね?」アハハ…
一方通行「……メンドクセェ」ハァ~…
―――翌日、出勤してきた一方通行は事務所の郵便受けに突っ込まれた箱を見つける。
煌びやかにラッピングされたその箱には、差出人の名前がないメッセージカードが差し込まれていて。
そこには、一方通行のよく見知った筆跡で『義理じゃん☆』と一言だけ書かれていた。
部屋に入った一方通行は、盛大なため息をひとつ。
戸棚から、昨夜さらに数を増やしたチョコを取り出して。
「……ったく。ホントにどいつもコイツも……俺の言うこと聞く奴なンざ、一人も居やしねェ」
そんなことを呟きながら、コーヒーメーカーのスイッチを入れた。
おまけ Girl’s side
美琴「バレンタインってさぁ、元々兵隊さんに結婚を斡旋してた司祭さんの名前にちなんだイベントなのよね。それが今や結婚できない女にトドメ刺す日なんだもん笑っちゃうわあっはっは」
御坂妹「目が笑っていません、お姉様」
雲川「いずれこんなふざけたイベントは駆逐してやるさ。あと三年ほど辛抱しろ」
五和「お鍋の準備できましたよ~」
御坂妹「しかしこんな日にコタツで鍋囲んで女子会とは負け犬感が半端ないですね、とミサカは正直な感想を漏らします」
美琴「なーに言ってんのよ。見なさいよこのチョコの山を。こんだけチョコもらってる私が負け組なわけないでしょコンチクショー」
五和「御坂さん相変わらず女の子にもてますね……」
黒子「あ゛ぁ゛ーーーお姉様!! そんな有象無象の幼稚な憧れなど捨て置いて、黒子の真実の愛を受け取ってくださいまし!!」ヒュパッ!
美琴「勝手に部屋の中入ってきてんじゃないわよコラァァァァアアアアアア!!!!!!」ビリビリビリビリ!
黒子「あばばばばばば!!!! ……あれぇ!? 前回感じた幸せの予感はいずこへ!?」
美琴「わっけわかんないこと言ってんじゃないわよ!! ってゆーかコタツ入りたきゃ体洗って来い!!」 アアンオネエサマゴムタイナ! >
雲川「やれやれ……まあ、こんな馬鹿騒ぎも悪くはないけど……」
雲川「……幸せになりたいなぁ」
雲川の呟きに五和と御坂妹がめっちゃ頷いたとこで、Girl’s side 閉幕。
というわけでバレンタイン小ネタでした
次回予告
短編~初めてのバードウェイ~
いつになるかは知らね
短編~初めてのバードウェイ~
パートA
―――『現在』より二年前、よろず屋一方通行。
一方通行「………」ダガガガガガガガ!
開業して間もない事務所のデスクに腰掛け、一方通行は凄まじい速度でキーボードを叩き続ける。
打鍵の激しさからも読み取れるように、その顔は不機嫌そのもので、苛立ちを隠そうともしていない。
一方通行「………」ダガガガガガガガ!
一方通行「……………」ダガガガガガガガガガガガガ!
一方通行「……だァァァッ!!!! 買出しひとつにどンだけ時間かかってンだあのガキャア!!!!」ガッシャーン!
苛立ちの原因はここで働くもう一人の従業員だった。
番外個体(ミサカワースト)。
全てのいざこざが解決し、自由に、何の束縛もなく生きていくことができるようになったのに、どういうわけか未だに一方通行の傍に居る事を選択した少女。
彼女は今、事務用品の買出しに出かけている。
すぐに戻ってこいと一方通行は命じた。
別に無理な注文をしたわけではない。買い物は文房具店をひとつ回れば済む程度の内容だった。
ここから最寄の文房具店までは徒歩でおよそ15分。
番外個体が出て行ってから既に二時間が経過しようとしている。
一方通行「大体こォいう事務処理任せるためにアイツ雇ってンだぞ!? それがお使いすらまともに出来ねェってなァどういう了見だクソッタレ!!」
心配などは欠片もしていない。どうせどこかで道草食ってるだけに違いないのだ。
強かで、無恥で―――無垢な、あの女は。
一方通行「……戻ってきたらお説教だ、クソガキが」
自らの癇癪で散らしてしまった雑多な書類を拾い上げ、一方通行はため息をつく。
―――と、カツン、カツン、と足音が聞こえた。
五階建てビルの三階を間借りしているこの事務所は、階段を上がってくる音がよく響く(そこが気に入って借りたのだが)。
まだまだ開業したてで知名度も低いよろず屋一方通行。事務所は正直閑古鳥が鳴いている状態だ。
であれば、役立たずの従業員が戻ってきたに違いあるまい――一方通行はそう結論付けた。
果たして、コンコンと遠慮がちに事務所のドアがノックされた。
一方通行「……開いてンぞォ!」
まるで機嫌を伺うかのようなノックの響きに、一方通行はなお苛立ちを募らせ声を荒げる。
キィィ、と音を立ててドアが開かれた。
一方通行「テメエ! 今までどこほっつき歩いてやがった!!」
開口一番怒声を上げた一方通行だったが、直後に口をつぐんだ。
番外個体ではない。
そこに立っていたのは、鮮やかな金髪の少女だった。
「やれやれ、来客に対して随分な応対だな。これではこの事務所の閑散とした状況も頷けるというものだ」
その華やかな容姿とは些かギャップのある高圧的な口調。
この少女に、一方通行は見覚えがある。
というか、忘れようがない。
一方通行「……何しに来やがった、クソガキ」
「ちゃんと名を呼べ。それとも忘れてしまったか? 学園都市第一位の脳みそは金勘定でいっぱいいっぱいで、記憶に領域を割く余裕もないか?」
一方通行「……チッ」
変わらねェなこの野郎は、と一方通行は思った。
相変わらず―――生意気な口をきく。
一方通行「誰に向かって言ってンだ? レイヴィニア=バードウェイ」
一方通行の言葉に、少女――バードウェイは実に嬉しそうに、にんまりとはにかんだ。
バードウェイ「互いに息災なようで何よりだ―――久しぶりだな、一方通行」
一方通行「満足したなら俺の質問にちゃンと答えろよ。何しに来たンだオマエ」
バードウェイ「別に? 特に用事という用事はないよ。別件で学園都市に来たついでにお前が営んでいるという店の様子を見てみようと思っただけだ」
一方通行「じゃあ客じゃねェじゃねェか。冷やかしならさっさと帰れ」
一方通行はシッシ、と犬猫でも追い払うような仕草をして、自らの定位置となっているデスクに戻る。
一方通行「ご覧の通り、客はいねェが暇ってワケでもねェンでな。暇人の相手なンざしてらンねェンだわ」
バードウェイ「別に私も暇というわけではないんだがな。この後も仕事の予定は目白押しだ」
一方通行「そりゃうらやましいこった。商売繁盛オメデトさン」
バードウェイ「ありがとう」
一方通行「ほンじゃァお元気で」
バードウェイ「待て待て。折角来たんだ、もう少しゆっくりさせろ。実に二年ぶりの再会じゃないか。積もる話もあるだろう」
一方通行「積もった話を崩していく前に現在進行形の話を先に処理してくンねェ? 忙しいっつってンだろ俺」
バードウェイ「手を動かしながらの世間話などそこらのOLでも備えている技能だぞ? 学園都市第一位も堕ちたものだな」
一方通行「……こンの…」
バードウェイ「ソファ、座るぞ?」
一方通行「……もォ好きにしろボケ」ダガガガガガガガガガガ!
バードウェイ「本当に私と会話しつつ仕事を始めたか。昔からその辺、お前は意外と素直だよな」
一方通行「テメエも変わンねェよ。舐めた口きくクソ生意気なガキのままだ」
バードウェイ「何を言う! これでもちょっとは成長したと自負しているんだぞ!? よく見ろ! ほら! ほら!!」
一方通行「何でこの手の話題出すとオマエラぐれェのガキはそっち方面でしか受け取ンねェの!?」
バードウェイ「当然だろうが! 女子舐めんな!!」
一方通行「いや別に舐めてねェけど!!」
バードウェイ「すまんな。やや取り乱した」
一方通行「やや…?」
バードウェイ「しかしあれか、お前は私のこの口の利き方が気に入らんか」
一方通行「少なくとも目上の人間に対する口の利き方としちゃ失格だ」
バードウェイ「目上(笑)」
一方通行「そォいうトコだコラ」
バードウェイ「なら少し改めてみるか。きゃる~ん☆ アクセラおにいたん、レイヴィーのこともっとかまってぇ~☆ お・ね・が・い♪」
一方通行「…………」
バードウェイ「びっくりするほど死にたくなった」
一方通行「俺も久々に殺意覚えたわ」
バードウェイ「というかお前人のこと言えんだろう。お前、客にちゃんと敬語使ってるのか?」
一方通行「ちゃンと使ってマスけどォ? クソガキ様と一緒にしねェでくださいマスゥ?」
バードウェイ「頭のわっるい大学生みたいな喋りになってるぞ」
一方通行「いいンだよ。大体その辺の応対は俺の仕事じゃねェ」
バードウェイ「番外個体か。しかし奴もこの手のことが向いてるとは思えんが」
一方通行「人並みに出来りゃ問題ねェ……そういやあのガキ、まだ戻ってきやがらねェな」
バードウェイ「もう少しかかるんじゃないか? まだ生まれて三年程度しかたってないんだ。買い物ひとつにしても、インストールされた知識だけじゃ対応できないこともあるだろう」
一方通行「……何で買い物って知ってンだ?」
バードウェイ「………お前が自分で言ってたろう。買い物から戻ってこないとか何とか」
一方通行(言ってたか…? いや、少なくともコイツとの会話中に言った覚えはねェ……ぐァ、あン時叫ンだのが外まで響いてたってワケかよ…!)
バードウェイ「一方通行」
一方通行「あン?」
バードウェイ「お前は私の口の利き方が気に入らんというが、しかし組織の長として私はお前より一日の長がある。それは認めるだろう?」
一方通行「……だから?」
バードウェイ「そんな私から組織を運営する上でのちょっとしたアドバイスをくれてやろう。人の縁を大事にしろ。人間関係を疎かにするな」
バードウェイ「人脈の形成は種を播くことに似ている。組織を運営し、ましてや利潤を追求する以上、種は広く広く播いておくべきだ。いつどこで花が咲くかわからんのだからな」
一方通行「…………」
バードウェイ「具体的に言えばたとえ客でなくとも来訪した人間には茶のひとつくらい振る舞ってもてなしておくべきだ、ということだ」
一方通行「さンざ偉ぶって講釈垂れといて結局茶の催促かよ」
バードウェイ「何を言う。私のありがたい講釈のお代をお茶一杯で済まそうというのだ。これは破格だぞ一方通行」
一方通行「……ったく…」ガタッ…
バードウェイ「……ほんと、意外と素直だよな。お前」
一方通行「………」ギュィィィィィ!
バードウェイ「ほぉ、豆から挽いてるのか。本格的だな」
一方通行「やっぱ味としちゃこっちのが上等だ。缶コーヒーの雑な味も嫌いじゃねェが」
バードウェイ「良いことだ。これでお前の缶コーヒーまとめ買いにイライラするコンビニ店員の数も減るわけだな」
一方通行「……何でンなこと知ってンだよ」
バードウェイ「いつか何かの話題で出たんだよ。誰から聞いたかは忘れたが」
一方通行「チッ……忘れろ。オラ、砂糖はいくつだ」
バードウェイ「三つで頼む」
一方通行「甘ったるいモン好むのはどこのガキでも一緒だな」
バードウェイ「馬鹿を言え。私はこの後も大量の頭脳労働を控えているんだ。これはそのためのエネルギー補給に過ぎん」
一方通行「咄嗟にそれらしく言い繕ってみせるあたりはウチのガキよりゃ上等だが」
バードウェイ「そうだろうそうだろう。もっと褒めてもいいぞ」
一方通行「ちっとおだてりゃ簡単に上機嫌になるとこはやっぱ変わンねェな」
バードウェイ「むう」
一方通行「おらよ」コト…
一方通行はバードウェイの分を机に置くと、ついでに淹れたのだろう自らの分を持ってデスクに戻る。
バードウェイはまずは目を閉じ、香りを十分に楽しんでからカップに口をつけた。
バードウェイ「……旨いじゃないか」
一方通行「そりゃどォも」
そこで会話が止まった。
しばらく、一方通行がパソコンのキーボードを叩く音と、その間を縫うように聞こえる時計の針の音だけが部屋に響く。
バードウェイ「一方通行」
沈黙を破ったのはバードウェイだった。
バードウェイ「かつて共に駆け抜けた戦場のことを覚えているか?」
一方通行「あァ?」
バードウェイの質問に、一方通行はしばし中空に目を泳がせ、何やら思案していたが―――やがて、怪訝そうな顔でバードウェイに向き直った。
一方通行「……どの戦場のこと言ってンだよ」
バードウェイ「ははっ! そうだな、考えてみれば我々は数え切れないほどの戦場を共にした」
バードウェイはにんまりとした顔を一方通行に向ける。
バードウェイ「その全てを―――覚えているのか、一方通行」
一方通行「生憎とな。さっさと忘れちまいてェモンだがよ」
バードウェイ「寂しいことを言うなよ。あんなものでも私との大切な思い出だろう」
一方通行「アホ。あンな血生臭ェモンさっさと捨てちまうに越した事ねェっつの」
バードウェイ「ま、確かにな。どうせ浸るなら私も華やかな思い出の方がいい」
一方通行「ハッ、互いにそンなモンにゃほとほと無縁だったがなァ」
バードウェイ「だからこそ、これから紡いでいかねばなるまいよ。――互いにな」
何やら軽快な音楽が事務所内に鳴り響く。
音の出所はバードウェイの持つ携帯電話だった。
バードウェイ「もしもし……なにぃ!? まだ10分かそこらしか経っていないではないか! そこはお前がもっと何とか……ええい! この無能が!!」ピッ!
一方通行「揉め事か?」
バードウェイ「いや、そういうわけではないが……すまんな一方通行。名残惜しいだろうが私はもう行かねばならない」
一方通行「おう行け行け」ヒラヒラ
バードウェイ「むう…そこまであっさりだと、流石になんというか、傷つくな」
一方通行「この俺に何を期待してンだよ。後ろ髪でも引っ張って欲しいのか?」
バードウェイ「ふん……まあいい。どうやら本当に時間に余裕がなくなったようなんでな。じゃあ、私は行くよ」
言うが早いかバードウェイは来客用のソファから立ち上がり、颯爽とドアに手をかける。
その背中に――後ろ髪を引くつもりなど毛頭ないが――一方通行は問いかけた。
一方通行「結局よォ……マジで何しに来たンだよ、オマエ」
バードウェイ「いやなに、ちょっと確認したいことがあったんだよ。そしてそれはもう済んだ。……じゃあ、またな。一方通行」
顔だけ振り向いてそう答え―――バードウェイは去っていった。
一方通行「確認…? ったく、またメンドクセェ事に巻き込む気じゃねェだろォなァ」
一方通行は胸のうちに湧いた倦怠感を流し込むように残ったコーヒーをあおる。
と、またカツンカツンと階段を上がる足音が響いてきた。
一方通行「あン? 忘れモンでもしたか?」
怪訝な目で一方通行はドアのほうに目をやって―――しかしドアを開けて入ってきたのは、両手に買い物袋を提げた番外個体だった。
番外個体「たっだいま~」
一方通行「何だ、テメエか……ってテメエッ!!!!」
番外個体「うわ、いきなり何怒ってんのさ」
一方通行「買い物ひとつにどンだけ時間かかってンだコノヤロウ!!」
番外個体「違う違う! これにはちゃんと理由があんの! ミサカ何も悪くないよ!!」
一方通行「ほォ…言い訳する気かオイ。聞いてやろォじゃねェか」
番外個体「ミサカねぇ、ちゃんと買い物は早く済ませたんだよ? ミサカがやんなきゃならない事務処理があるのはわかってたし。あ、もしかして代わりにやってくれたの?」
一方通行「もォ八割方済ンじまったよ!!」
番外個体「うし。あ、じゃなくて、だからミサカは迅速に任務を終えて帰ろうとしてたんだよ。そしたら変な外人に絡まれて」
一方通行「ガイジン?」
番外個体「うん、何かめちゃくちゃ典型的な片言日本語で道を尋ねてきたんだよ。あれは絶対カタカナ表記だったね。ワタシ○○イキタイネー、みたいな」
番外個体「ミサカ適当にあしらって行こうとしたんだけど、もうホントしつこくってさ。しまいにゃミサカの白魚のような手を掴んでまで引き止めようとするし」
番外個体「最終的にはミサカもキレちゃってビリビリやっちゃったよ。はぁーあ、お姉様じゃあるまいし、街中であんま目立つことミサカはやりたくなかったんだけどねぇ」
一方通行「……それで、二時間もかかったと?」
番外個体「うんうん。いやもうほんとしつこかった。一時間以上絡まれてたよ」
一方通行「つまり……オマエは買い物を済ませてすぐに帰ろうとしたが妙な外人に一時間以上足止めを食らった。ンで、無理やり外人を振り切ってここまで飛ンで帰ってきたと、そォいうワケだな?」
番外個体「まったくもってその通り。さすが学園都市第一位は理解が早いね」
一方通行「そォか…」
番外個体「褒めてもいいよ? 特別に頭を撫でさせてあげてもいい」
一方通行「ならそりゃァ何だ?」
一方通行は番外個体の両手に提げている買い物袋を指差す。
右手に持っているのは確かに注文していた文房具のようだ。
しかし左手に持っている方には、明らかに文房具ではない何かが20個近く詰め込まれている。
というか、一方通行の目には『雪見だいふく』という商標がバッチリと映っていた。
番外個体「アイス」
特に悪びれもせずあっさり答える番外個体。
一方通行「ほォ…ンじゃ何でそのアイスは一時間以上も立ち話したにも関わらずまだまだキンキンに冷えてンだ? その袋にゃフリージング機能がついてるようにゃ見えねェが」
番外個体「げっ」ギクッ!
一方通行「そもそもオマエが一時間もご丁寧にそンなモンの相手出来るワケねェだろォが。もって十分が精々だ」
番外個体「うぐっ」ギクギクッ!
一方通行「つまりオマエは外人に絡まれる前か後かは知らねェが、そのアイスが買えるトコ――まァどっかのコンビニだろォが、そこに寄った」
一方通行「一時間以上時間を食ったのァそン時だ。大方オリジナルよろしく雑誌の立ち読みでもしてたンだろォが…」
番外個体「……ミサカのことそんなにわかってくれてるなんて、ミサカちょぉ感激☆」
一方通行「他に何か言いてェことはあるか?」ゴゴゴゴゴゴ…!
番外個体「いや、あのね、どうしてミサカがこんなに『雪見だいふく』が好きなのか聞いてほしいんだけど」
番外個体「この真っ白なアイスを見つめてるとさ……思い出すんだよ。あなたと初めて出会ったロシアの雪原を……」
一方通行「だから何なの? それ聞いて俺が『チッ…可愛いこと言いやがって…』ってなるとでも思ってンの?」
番外個体「ならないの?」
一方通行「なるかボケェ!!」
番外個体「きゃー! 暴力反対! ミサカに手ぇ出したら上位個体にチクっちゃうゾ?」
一方通行「そのアイスの代金はオマエの給料から差し引いとくからな」
番外個体「えーー!! 何で何で!? 経費で落ちないの!?」
一方通行「テメエのおやつに該当する支出項目なンて存在しねェよ!!」
番外個体「ね、燃料費とか!!」
一方通行「ならテメエは従業員じゃなくて備品扱いだ!! 給料は要らねェなァ!!」
番外個体「ぐうぅ、かくなる上は…!」カパァッ!
番外個体「はい、あーん!」
一方通行「あァ!?」
番外個体「あなたもこのアイスを食べれば当然アイス代は折半だよねぇ?」ググググ…
一方通行「なンだその理屈はァ! っつか、無理やり口にアイス突っ込もうとしてくンじゃねェよ!!」
番外個体「うぎぎぎ…!」ギリギリ…!
一方通行「は・な・れ・ろォ…!」ギリギリ…!
番外個体「……嘘だよ。折半させようなんて考えてない」
一方通行「ハァ…?」
番外個体「これはミサカからの純粋なお詫びの気持ち……ごめんね、ミサカの分の仕事までさせちゃって」
一方通行「………」
番外個体「受け取ってよ……お願い」
一方通行「……次同じコトやったらクビにすっからな」
番外個体「はいはい、肝に銘じておくよ。それより、ほら…早くしないと溶けちゃうから」
一方通行「……チッ…」
番外個体「はい、あ~~~~ぁぁぁぁほぁたぁッ!!!!」ズボォ!!
一方通行「おごァッ!!!!」
慈しむような目から突如獣のソレへと変貌し、一方通行の口に拳ごと雪見だいふくを突っ込む番外個体。
一方通行「おっばァァァァ!!!! 刺さった!! フォーク刺さった!!」
番外個体「あれ!? あれ!? 違う! ミサカ何もしてない! こんなことしようなんて思ってない! ……はっ!!」
番外個体は気付く。
ドアの隙間からじっとりとこちらを見つめる『上位個体(ネットワークのボス)』の姿に。
打ち止め「……なにいちゃいちゃしてるの? ってミサカはミサカは胸のうちに湧く黒い感情を隠そうともせず問いかけてみたり…」ゴゴゴゴ…!
番外個体「じょじょじょじょ、上位個体!! 違う、コレ違うの!! ってかやめて! 機嫌直して体止まんないからぁ!!」バキッ!! ドカッ!! メコッ!!
一方通行「ごう! ウッ!! ハグッ!!」
打ち止め「ミサカもあーんする!! ってミサカはミサカは番外個体の手から雪見だいふくを強奪してみたりぃーー!!」ガバァ!
番外個体「くっ! 逆らったら負の感情でミサカが暴走しちゃうから逆らえないジレンマ!! これは立派なパワハラだよ上位個体!!」
打ち止め「ふははは! ミサカは目的のために自らの権力を行使することになんら躊躇いを覚えたりはしないのだーー!!」
打ち止め「はい、あーん! ってミサカはミサカは優しくあなたにアイスを差し出してみる!!」
一方通行「………」ピクピク…
打ち止め「……あれ?」
棘だらけの花に囲まれる一方通行。
彼の営む『よろず屋一方通行』が軌道に乗るのは、まだもう少し先の話である。
短編~初めてのバードウェイ~
パートA END
「見渡す限りの大軍勢―――壮観だな、これは」
地平線に蠢く影を見据え、金髪の少女は不敵に笑う。
少女の傍に並び立つ白髪の少年がつまらなそうに答えた。
「殲滅戦はオマエの十八番だろォが」
「それにしても数が多い。流石に最終戦とあって、あちらさんも出し惜しみがないな」
「弱音か?」
「まさか。祭りは派手であれば派手であるほど私の好みだ」
「ハッ。同感だ」
白髪の少年も笑い、首についたチョーカーに手をかける。
金髪の少女は懐から一振りの杖を抜いた。
「いいか。私たちの後ろではあの馬鹿が最後の決戦に挑んでいる。私たちの任務は――」
「皆まで言うンじゃねェよ。要はアイツ等全部ぶっ潰せばいいンだろォが」
「そうだ。一滴の取りこぼしも許さんぞ」
「チッ、働かせすぎだぜ」
「ことここに至っては流石に私も本気を出す。巻き込まれずについて来れるのはお前ぐらいしかいないんだよ」
雄雄、と目の前の軍勢から怒号が響いた。
震える空気が二人の肌を叩く。
「右は任せるぞ」
金髪の少女が短く呟く。
「左を潰せ」
白髪の少年が端的に命じる。
「出来るか?」
「出来るか?」
二人の声が、綺麗に重なる。
「まったく…」
「ったく…」
「―――私を誰だと思っている? 一方通行」
「―――誰に向かって言ってンだ? クソガキ」
「……またアイツの夢か」
ふかふかしたベッドの中で目を覚ましたバードウェイは、憮然とした顔でそう零した。
短編~初めてのバードウェイ~
パートB
「やっぱりそいつのこと好きなんじゃないですか? ボス」
「ぶっふぉ!」
腹心の部下、マーク=スペースのストレートな物言いに、バードウェイは飲んでいた紅茶をコタツにぶちまけた。
バードウェイ「い、いきなり何を言い出すんだお前は」
マーク「あーもう、盛大に零しちゃって」
バードウェイ「お前が変なことを言うからだろうが!」
マーク「いいからどいてくださいボス。染みにならないうちに拭いちゃいますから」
バードウェイ「んむ…(もこもこ…)…ぷう」ヒョコッ
マーク「中を潜って反対側に……どんだけコタツから離れたくないんだあんたは」
バードウェイ「さっきの話だがな、確かに私は、私が奴の夢をよく見るという事実において客観的な意見を述べろと言ったよ。ああ言ったさ」
バードウェイ「いやー、でもそれはないだろう。ないって」
マーク「でもボスがそいつの夢見るのって大抵なんか大きな仕事抱えてる時じゃないですか。そういう不安なときにそいつの夢見るってのは、ほら、ねえ…」
バードウェイ「私が仕事なんぞで不安を感じることがあると思うのかお前は」
マーク「思いませんが、しかしそれをはっきりと自分で断言しちゃうのは女の子としてどうなんでしょう、ボス」
バードウェイ「精々あれだ。そういう時に私が思うのは、アイツがいればもう少し楽なのになー、とかその程度のことだ」
マーク「いや、十分だと思いますけどね。ボスがそんな風に誰かをあてにするなんて今まで無かったでしょう」
バードウェイ「いやーでもほらあれじゃん。あいつロリコンだろー? ロリコンはちょっとなー」
マーク「それってボス向きってことじゃないですか」
バードウェイ「誰がロリ幼女だコラ。どうやら久しぶりに仕置きが必要なようだなマーク=スペース」
マーク「まあそれは置いといて」
バードウェイ「置いとくな。何か最近生意気になったなお前」
マーク「今までボスに散々鍛えられましたからね。そりゃちょっとは適応するってもんですよ」
マーク「しかしそれならいっそ、確かめにいったらどうです?」
バードウェイ「た、確かめにってお前」
マーク「ちょうど一週間後は仕事で学園都市に行かなきゃならないでしょう? そのついでに会ってきたらいいじゃないですか」
バードウェイ「簡単に言うが、お前なぁ…」
マーク「実際簡単なことでしょ」
バードウェイ「私にとってはそうじゃないんだよ。わからんかな、まったく」
マーク(もうそんなこと言ってる時点で特別に思ってるってことじゃねえか。めんどくせえなこの幼女)
バードウェイ「そい!!」メシャァ!!
マーク「ぐはぁ! 何故!?」
バードウェイ「何か不愉快なこと考えてたろお前」
マーク「ボ、ボス! まさかあなたはジャパニーズ・サトリの妖術を身につけたというのか!?」
バードウェイ「ふん、そんなものなくともお前のことは何でもわかる」
マーク(やだ……かっこいい…)キュンッ
一週間後―――学園都市内『よろず屋一方通行』ビル前、黒塗りベンツの車中にて。
バードウェイ「いやちょっと待ってやっぱだめだって帰ろうやっぱ帰ろう」
マーク「えーいここまで来て何を言っとるんですか! ちょうど今事務所には彼一人みたいですし、チャンスですよボス!!」
バードウェイ「お前二年ぶりに会うのにいきなり二人っきりってハードル高すぎだろ。向こうが私のこと忘れてたらどうすんだよ気まずいってレヴェルじゃねーぞ」
マーク「ええーい忘れられるようなキャラしてねえでしょアンタ!! いいからさっさといけこの野郎!!」グイグイ
バードウェイ「押すな押すないたた痛い痛い。お前ほんと生意気になったな覚えてろよコンニャロ」
マーク「あー!! ボスがもたもたしてるからほら! 帰ってきちゃった!」
番外個体「~♪」
バードウェイ「ああ駄目だほら駄目だ。やっぱり今回は縁が無かったってことで帰ろうほら帰ろう」
マーク「駄目です! 私が彼女の足止めをしますから、ボスはその間に彼に会って来てください!! 行けホラ!!」ゲシ!
バードウェイ「け、蹴ったか!? 私のケツを蹴ったか今!?」
マーク「いいからGO!! GOOOO!!!!」
バードウェイ「くっ…! 後で絶対シバくからなお前!!」タッタッタッタ…
マーク「やれやれ…やっといったか。世話のやけるボス少女だぜあの人は」
マーク「さて……その部下として、最大限やれるフォローはやるとするか」スチャッ
変装用のサングラスをかけ、愛すべきボス少女の忠臣は番外個体の前に躍り出る。
マーク「ハァ~イチョトスイマセ~ン! ワタシミチマヨテマァスネェ~!」
番外個体(何この外人うざい。アイス溶けちゃう)
一歩一歩、踏みしめるように階段を上がる。
目的の場所は三階。そこに、夢に出てきては安眠を妨害する憎きあの男が居る。
(………)
おかしい。
心臓の音がうるさい。
今までどんな敵を前にしても、どんな戦場に立ってもこんなことはなかったのに。
長く感じた階段も、登ってしまえば一瞬だったようにも感じる。
『よろず屋一方通行』。
そう表札がかけられたドアの前に立つ。
ごくり、と唾を飲んで、やや遠慮がちにノックする。
こつん、こつん、とゆっくり二回。
「……開いてンぞォ!」
殊更気を使ってノックしたというのに、返ってきたのは苛立ったような声。
思わずむっとしたことで、幾分か緊張は和らいだ。
ドアノブに手をかける。
大丈夫だ。このままならいつものレイヴィニア=バードウェイでいける。
さっきまでの無様な自分を封印し、ドアを開いた。
「テメエ! 今までどこほっつき歩いてやがった!!」
途端に飛んでくるぶっきらぼうな声。
ああ、変わっていないなと、何故か安心してしまう。
それに対して答えた自分はどうだっただろうか。
いつもの自分を意識するあまり、いつも以上に偉ぶった口調になってしまった気がする。
「……何しに来やがった、クソガキ」
名前を呼ばれなかった。
気に入らない。
……いや、嘘だ。
本音を言えば、少し悲しい。
そして不安だ。
だから、思わず問うていた。
そしたら、やつめ、
「誰に向かって言ってンだ? レイヴィニア=バードウェイ」
なんて、夢と同じ言い回しで返答してきやがった。
―――にやけてしまったではないか、くそ。
まあいい。
嬉しかったのは本当だし。
私は既に行動してしまった訳だし。
行動を起こした以上は、このまま突っ走るしかない。
とりあえず今日はこのまま、時間の許す限りこいつとの触れ合いに興じてみるとしよう。
よろず屋一方通行を後にしたバードウェイは、少し離れたところに移動していた黒塗りのベンツに乗り込んだ。
マーク「で、どうだったんです? ボス」
バードウェイ「ぶふぉ」
運転席ですまし顔をしている腹心の部下(アフロ)の姿に思わず噴出すバードウェイ。
バードウェイ「ぶふぉ、うぶ、おま、ソレ、くふ、何で…!」ピクピク…!
マーク「全力であんたのサポートに徹した末にビリビリ食らって男前を台無しにした部下に労いも無く爆笑ですかそうですか。わざとぶつけてエアバックおみまいするぞこのやろう」
バードウェイ「すまん…! いや、しかし…!! くっはぁ!!」ゲラゲラ!!
マーク「はぁ…いいですよもう。私がこれだけの犠牲を払ったんです。もちろん何かしら成果を得て帰ってきたんですよね?」
ひとしきり笑ったバードウェイは、ふぅ、と一息ついて、窓の向こうで流れる景色に目を向ける。
バードウェイ「まあな……少なくとも、自分の気持ちの確認は出来たよ」
マーク「ほう。それで、答えは?」
バードウェイ「ふん、認めるのはどうにも癪だが……どうやら、間違いなく―――」
「―――恋だな、これは」
短編~初めてのバードウェイ~
パートB END
というわけで
短編~初めてのバードウェイ~
パートAccelerator
パートBirdway
終了でござい
ホントはバレンタインネタの前にこの話やりたかった
まあ今更言ってもしゃーねぇけど
次回予告
思い出話~上条攻略秋の陣~ (上条さんメイン ギャグ)
世紀末帝王HAMADURA伝説 (浜面メイン 微シリアス) の、どっちか
どっち先見たい?
Today.
「浜面のことが知りたい? 何を今さら。今となっては俺なんかよりお前らの方がよっぽどあいつのことに関しちゃ詳しいだろう?」
「ふ…ん、まあいいさ。ちょうど手すきではあったしな。暇つぶしに、ちょっとだけ喋ってやる」
「浜面仕上。無能力者集団『スキルアウト』の元リーダー。現在は建設会社を立ち上げ、まあそこそこうまくやっていけてるらしい」
「それと…昔からあいつを知ってる俺みたいな奴からしたらどうしようもなく笑えることだが……何やらあいつのことを羨望と尊敬を込めてこう呼んでる奴等がいるという」
「曰く―――」
短編 『世紀末帝王HAMADURA』
4 days ago.
麦野「うおらぁぁぁぁあああああああ!!!!!!」ガッシャーン!
浜面「うわあ! 社長室のドアを蹴り開けて入ってくんなや!! あーもうほら壊れた! まーたドア壊れた!!」
麦野「風通しが良くなってちょうどよかったじゃないの」ツッカツッカ
浜面「お前なぁ、修理代だってタダじゃないんだぞ?」
麦野「ならお前が直せ。これ先方との打ち合わせの報告書」ダンッ!
浜面「なんだよ。何イライラしてんだ?」
麦野「……ケツ触られた」
浜面「あん!?」
麦野「さっきの打ち合わせの時」
浜面「相手は……この業界最大手の××会社の社長さんだったな。今回初めてウチに仕事を持ってきてくれたっていう」
麦野「あのクソ豚成金野郎……こっちが強く出れないのをいいことにベタベタしてきやがって……」
浜面「強く出れない?」
麦野「……あの豚野郎、ウチの取引先のほとんどの社長と懇意にしてるんだとさ」
浜面「……はぁ?」
麦野「そういうことを、これ見よがしに自慢してきやがった。『私とは仲良くしていたほうがお得だよ』ってね」
浜面「権力を傘にきて好き放題やるタイプのおっさんだったのか……しくじった。関わり合いになるんじゃなかったぜ」
麦野「言ってもしょうがないでしょ。まだまだ駆け出しのウチがあんな大手からの仕事を断れる訳もなかったわけだし」
浜面「そりゃそうだけどよ……」
麦野「ってなわけで、今日はこれで帰らせてもらうわ」
浜面「ああ、いいよ。鍋は俺ん家で8時開始予定だから」
麦野「その件だけどね、今日は私やめとくわ。むしゃくしゃしてあんまりパーってはしゃぐ気分じゃないし」
浜面「…? らしくねえな。お前ってそういう時こそハメ外す奴じゃなかったっけ」
麦野「たまにはそういう時だってあるわよ。それじゃね」
言って、麦野はそそくさと社長室を後にしようとする。
まるで、この後に急ぎの用事があるように。今日はもう帰ってのんびりするだけのはずなのに。
浜面「麦野」
麦野「なに?」
思わず、浜面は麦野の背中に声をかけていた。
浜面「なんつーか、その……何か隠してないか?」
麦野「……何も」
浜面「俺の目を見て言え」
麦野「何も隠してなんかいません」
浜面「いや、やっぱ何か隠してるだろ」
麦野「あら、目には何の動揺も現れていなかったはずだけど」
浜面「その物言いはもう嘘ついてますって言ってるようなもんじゃねえか」
麦野「……浜面のくせに、生意気ね」
麦野「………浜面のくせに…」
麦野「…………」
麦野「食事に、誘われてるわ」
浜面「××会社のおっさんにか?」
麦野「そうよ」
浜面「行く気かよ」
麦野「当然最初は断ったけどね。ホントにしつこくてさ。しまいには『仕事の打ち合わせの続きをするだけだ』なんて言ってくるし」
浜面「仕事の延長ってことにすりゃ、断れないだろうってか」
麦野「そういうこと。ま、適当にあしらってくるわよ」
浜面「駄目だな。許可できねえ」
麦野「はあ?」
浜面「何だよその間の抜けた顔は。その『お食事』があくまで仕事の延長だっていうんなら、その決定権は俺にあるだろ」
麦野「ちょ、何を言って……」
浜面「口答えは許さねえよ。子供でも知ってることだぜ麦野。副社長より社長のほうが偉いんだ」
麦野「……浜面の分際で、いっちょ前にこの私の心配をしてるつもりかよ」
浜面「そうだ。俺は俺の分際で、お前をそのクソ野郎から守りたいと思っちまってるんだ、麦野」
麦野「…………」
浜面「そいつのケータイ番号は知ってるな? 教えろ」
麦野「……でも」
浜面「麦野」
麦野「……ああもう! どうなっても知らねえぞ!! ほら、番号!!」
『もしもし?』
何回目かのコールの後、相手は出た。
知らない番号からの着信を訝しむ様な声。
汚い声だ、と浜面は率直に思った。
浜面「もしもし、○○様(以下成金と表記)でいらっしゃいますでしょうか」
成金『そうだが……君は誰だね?』
浜面「申し遅れました。私、浜面建設代表取締役の浜面仕上と申します。先ほどはウチの麦野がお世話になったようで」
成金『ああ、浜面さんか。こちらこそ世話になっているよ。それで、何の用件なのかな?』
浜面「ええ、実は先ほどの打ち合わせで何やらまだご不明な点がございましたようで、本日夜にまた打ち合わせの続きを行うと報告を受けまして」
成金『……それで?』
浜面「はい、今度こそ不備がございませんよう、今度は私が打ち合わせの方には参加させていただこうと」
成金『……いやいや、君も忙しい身だろう? 無理はしなくていい』
浜面「いえいえ、まだまだ暇が多い身でありますから。お気遣いありがとうございます」
成金『そうじゃない。私は麦野さんとの打ち合わせを希望しているんだよ、君』
浜面「しかし麦野では打ち合わせの内容に不足があり、また打ち合わせを必要とする事態に陥ってしまった。成金様にも二度手間をかけさせてしまいました」
浜面「ですので、二度とこのようなことがないよう、お詫びも兼ねて私の方が参らせていただきたいと、そういう所存であります」
成金『……麦野さんの仕事に不備などないよ。今回の件は私がプライベートで麦野さんを食事に誘ったに過ぎん。君が顔を突っ込んでくる問題ではないのだ』
浜面「成程、プライベートで」
成金『そうだ』
浜面「であれば、なおさら麦野を参加させるわけにはいきません」
成金『……貴様に何の権限があってそんなことを』
浜面「麦野沈利は私の伴侶となるべき女性です。夫になる身としては、異性と二人きりの食事など許可するわけにはいかない」
成金『……貴様。誰に口をきいているのかわかっているのか?』
浜面「××社の成金様でございますよね? よく存じ上げております。これからも弊社との末永いお付き合いをよろしくお願いいたします。それでは」
成金『待―――!!』
相手の返事を待たず、浜面は通話を切った。
浜面「ふぅ―――ってわけで、もう行く必要ねえぞ。麦野」
麦野「は、あ、えう?」
浜面が一息ついて麦野のほうに顔を向けると、何やら凄い顔をした麦野がわたわたしていた。
浜面「なんだよ、どした?」
麦野「いや、その……な、何でもない………」
浜面「なんだよーどうしたんだよー。ん? ん?」
麦野の顔がほんのり赤くなっていることにちゃんと気付いていながら追撃する浜面。
返事の代わりに帰ってきたのは股間への蹴りだった。
浜面「くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
麦野「調子のんなこの馬鹿!!」
悶絶する浜面の傍をつかつかと通り過ぎ、麦野は社長室から出て行った。
出て行くときに浜面がとりあえず枠にはめ込んでいただけのドアをズバンと開け放っていったもんだから、ドアはもう完全に枠を外れ、浜面と同調(シンクロ)して床に倒れた。
浜面「おごごご……これはアカン、これはアカンでぇ……!」
股間を押さえ、両膝を床に着き、さらには額まで床にべったりという、かなり情けないポーズになっている浜面の尻で、携帯電話が震えた。
先ほどの成金との通話を終え、マナーモードにしてから尻のポケットに突っ込んでいたのだが、今の浜面にそれを確認する余裕はない。
ただ、着信の短さからメールだろうことは推測できた。
浜面「ぐ…う…」
息も絶え絶えに立ち上がり、とんとんとジャンプする浜面。
ようやく落ち着きを取り戻し、ポケットから携帯電話を取り出し、画面を確認する。
メールが二件。
差出人は滝壺理后と、絹旗最愛。
浜面「……?」
『う~! 今日の鍋パ超楽しみにしてたのに! この埋め合わせは絶対にするように! 超絶対ですよ!?』
『むぎのから聞いた。今日は優しくしてあげてね。』
浜面「????」
メールを読んでも『?』が増えるばかり。
いや、今その鍋パーティーが予定通り出来る様になったんじゃなかったっけ? と浜面は首を捻る。
自分は二人に何も言っていないのだから、必然、麦野が二人に何か言ったのだろう。
でも何故鍋パーティーの中止を告げたのだ?
浜面「あいつまさか……結局あの成金のとこに行くつもりじゃねえだろうな……!」
焦りを覚えながら、浜面は麦野の後を追おうとして―――そうしたら、麦野がひょっこりと社長室に戻ってきた。
浜面「お前どこ行ってたの?」
麦野「電話してた。滝壺と絹旗に」
浜面「そうだよそれそれ。お前あいつらに何言ったんだ? 何で鍋中止なんてことになってんだよ」
麦野「許可をもらったのよ」
浜面「許可?」
麦野「今夜、あんたと二人きりになる許可」
浜面「へ?」
麦野「……あんだけカッコつけられて、こんだけときめかされといて、皆でワイワイ鍋やるとかで満足できるわけないでしょ」
浜面「………」ポケ~…
浜面「……へへ。ホント、時々すげえ可愛いよな。お前ってさ」ポリポリ
麦野「アンタがかっこいいのはホント、極稀だけどね」
浜面「オーケイだ。愛してやるぜ、麦野沈利」
麦野「受け止めてあげるわ、浜面仕上」
怒りに震える手で男は携帯電話を下ろす。
「小僧が……この俺をコケにしやがって……」
机の上に散らばった写真を、男は憎憎しげに睨みつける。
写真の数は4つ。写っているのは。
浜面仕上。
麦野沈利。
滝壺理后。
絹旗最愛。
「許さん…絶対に許さんぞ浜面仕上……俺が貴様の全てを奪い尽くしてやる……でなければ気が収まらん……!」
男は醜かった。
裕福な暮らしに体は肥え太り、皮膚は脂ぎっていて、指は太く短い。
金に汚く、欲望に忠実で、良識は無く、それ故に権力の行使に迷いがない。
そして、何だかんだで巨大な組織を運営出来ている以上、男は間違いなく有能で―――
つまり、最悪だった。
「……まずはこいつだ。この中では、こいつが一番手玉に取りやかろう」
男は一枚の写真を手に取り、じゅるりと嫌らしく舌なめずりをする。
写真に写っていたのは、小柄で、セーター生地のワンピースに身を包んだ少女。
絹旗最愛だった。
☆☆ つ☆☆ づ ☆☆ く ☆☆
みじけwwwwwみっじけwwwwwwwwwwwwww
今日のところはここまでが限界でしたwwwwwwwwすまんこwwwwwwwwwwww
明日がんばる
がんばれ明日の俺
短編のつもりが書き始めたらどんどん長くなってくぜファックの巻
とりあえず出来た分だけ投下しまうす
>>375から
3 days ago.
―――とあるトレーニング・ジム
浜面「ってなことがあってな」
半蔵「はーん。随分と大人になったもんだなお前も」
浜面「社会ってもんに出ちまうと、やっぱな。自分の思うまま、やりたい放題なんてわけにはいかねえよ」
半蔵「つっても、業界最大手の社長にあっさり啖呵切るなんざ普通はしないし、できねえもんだ。結構好き放題やってる方だと思うぜ? お前は」
浜面「へぇ……その言い方だとあれか? お前の方もやっぱ色々大変なんか? 『服部半蔵』」
半蔵「やーめろやめろ。お前と会ってる時の俺はただの半蔵だ。鬱陶しいこと思い出さすんじゃねえや」
浜面「かっかっか。あんなに人の上に立つのを嫌ってたお前がなあ」
半蔵「やらなきゃならんからやってるだけだ。本当は俺の性分じゃないんだよ、こんな役割は」
浜面が無能力者集団『スキルアウト』に所属していた時代の相棒、トレーニング中でも頭のバンダナを外さない男、半蔵は荷物棚からペットボトルを取り出し、口を付ける。
半蔵「――ふう。しかし浜面、注意はしておけよ」
浜面「なにをだ?」
半蔵「今回はまだ大事にならなかったみたいだが、世の中には色んな奴がいる。報復に手段を選ばないような下種なんて、それこそごまんといるんだ」
浜面「………」
半蔵「そういう連中が標的にするのは、大抵お前本人じゃなくて周りの連中だったりするんだぜ?」
浜面「そうなったらむしろ相手のほうの心配をしなきゃなんねえよ」
半蔵「わかってないな。昔の暗部時代ならそうだったかもしれないが、今の彼女達には致命的な弱点があるだろう」
浜面「弱点? あいつらに? 鬼の麦野に? 鉄の絹旗に? 実は怒ると一番怖い滝壺に?」
半蔵「ああ、あるさ。それもとびっきりにタチの悪い弱点がな。そこを突かれると、彼女たちはどうしようもなく無力になってしまう。どんな抵抗も、出来なくなってしまう」
半蔵「その弱点ってのは―――――お前だよ。浜面」
とある作業現場で、現場主任兼重機代用作業員であるところの絹旗最愛は怒っていた。
絹旗「ちょっと! 資材はまだ届かないんですか!! 予定では二時には届く予定だったでしょう!! 今何時だと思ってんですか!! はいそこのお前!!」
ミサカ11020号「三時です、とミサカは即答します」
絹旗「その通りですよちくしょう!! これじゃあ全然作業が進められないじゃないですか!! この現場のクライアントは納期厳守の超厳しい人なのに!!」
絹旗「…あれ? ってか、ミサカ11020号は今日こっちの現場でしたっけ?」
ミサカ11020号「いえ、昨晩社長より指示があって急遽こちらに回されました、とミサカは突然の配置換えに実は若干いらっとしたことをここでぽろりと漏らします。向こうの現場の面倒最後まで見たかったのに~」
絹旗「くっ、人員を増員することで遠まわしに急かしてくるとか浜面のくせにやることが超陰険です、超やり手です……」
絹旗「あーもう!! 資材搬入は△△社に依頼してましたよね!? 電話で状況を確認してください! 超ダッシュで!!」
ミサカ11020号「あいさー、とミサカは了解します」
作業員「主任、今その△△社の社長から直接連絡があったんですが……」
絹旗「あん!? なんて!?」
作業員「事情があって今日中の搬入が無理になったと」
絹旗「はああああ!!!?」
作業員「それと、その件で侘びと説明をしたいので学園都市グランドホテルの4201号室に来てくれと」
絹旗「超・ふ・ざ・け・ん・な!!!! 詫びする側が呼びつけるとかどういう了見ですか!! 何で電話を私に繋がなかったんです!?」
作業員「用件だけ告げてから、一方的に切れてしまったので……」
ミサカ11020号「今△△社に電話したのですが、浜面建設の名前を出しただけで切られました、とミサカは怒り心頭の主任に油を注ぐ報告をいたします」
絹旗「むっきゃああああああああああ!!!!!! もうトサカに来ました!! 今日はもうみんな解散!! 資材が届かなければこれ以上残っても超無意味ですし!!」
ミサカ11020号「主任はどうされるのです? と、ミサカは蟹股でのっしのっしと去ろうとする主任に確認を取ります」
絹旗「△△社の社長のところに行ってきます! 呼びつけに応じるのは超癪ですが、どうしても一言言ってやらにゃ気が済みません!!」
絹旗「と、意気込んできたものの……」
絹旗の目の前では、学園都市でも指折りの、42階建て高級ホテルがずぅんと聳え立ち、その威容を見せ付けている。
絹旗「さすがに作業着のままで入るのは超抵抗がありますね。う~ん、一度家に帰って着替えてきたほうがよかったでしょうか……」
絹旗「は!? いやいや!! 何を超弱気なことを! 調子に乗ってる△△社長をどつくのに何をめかし込む必要があるってんですか!!」
絹旗「レッツゴー私!」ウイーン
従業員「いらっしゃいませ」
絹旗(う、やはり目立ってます……超怪訝な目で見られてます……)
絹旗は周りの視線から逃げるようにそそくさとエレベーターを目指す。
指定された部屋は4201号室。案内板で確認すると、それはこのホテルの最上階、スイートルームであるらしかった。
絹旗(何でこんな超いい部屋に……? △△社はそんなに大きくない会社ですし、そこの社長が金を持ってるって話も聞いたことがないんですが……)
若干の違和感を覚えながらも、絹旗はエレベーターに乗り込み、42のボタンを押す。
エレベーターは外の景色が見えるガラス張りの構造になっており、昇っていく絹旗の目に鮮やかな夕焼けが映った。
絹旗(う~…今日は浜面の家で晩御飯食べようと思ってたのに……)
どうやら、食事の時間には間に合いそうにも無い。
今日部屋に行くという連絡をしていない以上、浜面は絹旗を待つことなくいつも通りの時間に食事を終えてしまうことだろう。
絹旗(……仕事の不備のみならず、私の幸せタイムの邪魔までしてくれた罪は超重いですよ、△△社長!!)
チーン、と音がしてエレベーターの扉が開く。
4201号室をわざわざ探す必要はなかった。
学園都市グランドホテル42階には、客室はそのひとつしかなかったからだ。
4201と記されたドアの前に立つ。
試しにノブに手をかけてみたが、電子式のロックがかかっており、ドア周辺にはインターホンの類もない。
絹旗「……ちっ」
煩わしさに舌打ちしながら、絹旗はドアを乱暴にノックした。
絹旗「ノックしてもしもぉーし!! 浜面建設の絹旗です!! 早く開けやがりなさいこの野郎!!」
それからしばらくの間が空いて、ピー、と電子ロックの解除される音がした。
ドアを開き、中へ。
絹旗「ふお…」
思わず声を失ってしまうほど、豪華な部屋だった。
床の絨毯はふかふかで、照明は当然のごとくシャンデリア、いちいち趣向の凝らされた家具類に、品の良い茶色のソファ。
中でも特に目を引くのは、天蓋付きのキングサイズベッド。
そこに、一人の男が腰掛けていた。
男「やあ、待っていたよ……絹旗最愛くん」
絹旗(△△社長じゃない……誰? こんな人、会ったことありましたっけ…?)
男「怪訝そうな顔だね。無理も無い。こうして君と顔を合わせるのは初めてだからな」
男はベッドに腰掛けたまま、絹旗の全身に目を這わせる。
舐めるようなその視線に、絹旗は生理的な嫌悪感を覚えた。
絹旗「△△の社長はどこです? 私は△△の社長に呼ばれてここに来たんですけど」
男「君をここに呼んだのは私だ。△△の社長はその仲介をしたに過ぎん」
絹旗「……あなた、誰です?」
男「××という会社の名は当然耳にしたことはあるだろう? 私はそこの代表取締役を務めている成金という」
絹旗(××建設……ウチとは比べ物にならない規模でやってる業界最大手の…!?)
絹旗「……その成金さんが私に一体何の用なんです?」
成金「単刀直入に言おう。君をここに呼んだのは謝罪を要求するためだ」
絹旗「はあ? 何言ってるんですか。超逆です。私は謝罪を受けるためにここに来たんですよ?」
成金「ふむ、これは連絡の行き違いだな。こちらの用件がうまく伝わっていなかったとみえる」
成金「△△の社長は君の部下にこう告げたはずなんだ。『侘びをしろ。理由を説明してやる。ホテルに来い』とな」
絹旗「超ワケがわからないんですけど。私、あなたに謝るようなことをした覚えはないです。大体、さっき初対面だって言ってたじゃないですか」
成金「確かに初対面だよ。……私と君はな。しかし浜面建設と私がコンタクトを取るのは今日が初めてではない」
絹旗「……?」
成金「そう怪訝な顔をするな……今説明してやる。といっても、至極簡単なことだがね」
成金「君にはまだ伝わっていなかったようだが、先日私は浜面建設に仕事を依頼してね。結構大きな仕事だったんだ」
絹旗「はあ……それはどうも、ありがとうございます」
成金「礼はいらんよ。どうせその話はおじゃんになったのだからな」
絹旗「ッ!? な、なんでです!?」
成金「理由は君のところの社長だよ。昨日の話なのだがな、彼は私に向かって、実に、実に実に不愉快な態度をとってくれた」
絹旗(あ・の・超馬鹿浜面!! 一体何をしでかしてくれやがったんです!?)
成金「とてもあんな男と一緒に仕事は出来ん。この業界は信頼関係が大事なのだ。わかるね?」
絹旗「はあ……それはまあ、その通りだと思いますけど……」
成金「だから私は、この業界を牽引する代表として、同胞達に伝えてやらなければならない。すなわち、『浜面仕上は共に仕事をするに値しないクズである』と」
絹旗「なッ!?」
絹旗「じょ、冗談じゃありません!! そんな評判をばらまかれたらッ!!」
成金「信用を失う。仕事をなくす。結果、浜面建設がどうなるかは火を見るより明らかだな」
絹旗「そ、そんなの名誉毀損です!! 訴えますよ!?」
成金「好きにすればいい。結果は同じだ」
絹旗「そんな…! そんな…!!」
成金「……とはいえ、たった一度の無礼でそこまでの制裁処置をとるほど私も狭量ではない」
絹旗「え…?」
成金「ここで再び君をここに呼び出した理由を繰り返そう。『侘びをしろ。理由は説明してやる』」
成金「既に理由は説明してやった。誠意を見せろ。それ次第で、今後の対応については検討し直してやる」
絹旗「せ、誠意って」
成金「私は男で、君は女―――つまりは、そういうことだ」
ぞわりと、絹旗の体に怖気が走った。
恐怖ではなく、ただただ純粋な嫌悪感で。
成金と名乗った男は、それ以上は語らず、ただじっと絹旗を見据えている。
天蓋つきの、ベッドの上で。
絹旗「……そんなことを、了解すると思ってるんですか?」
成金「ならばかまわんよ。帰りたまえ。その場合、私もすぐに連絡を回させてもらうが」
絹旗「……あんたの方が超謝りたくなうような目にあわせてやっても構わないんですよ?」
成金「ああ、君は能力者だったな。その自信、さぞかし強力な能力を持っているのだろう。聞けば、重機代わりに巨岩をほいほい放り投げるそうだしな」
成金「よかろう、好きにするといい。ただし、もちろん復讐はさせてもらう。いっそ私を殺すか? どちらにせよ君と浜面仕上の人生は終わりだがな」
絹旗「とことん舐めてくれますね……今ここでお前を連れ去って、そんな気がなくなるまで拷問することだって出来るんですよ?」
成金「それは恐ろしい。私からの定時連絡が途切れた場合、『警備員(アンチスキル)』が急行するよう段取りを整えておいて正解だったな、これは」
絹旗(コイツ……『警備員(アンチスキル)』まで動かせるんですか…!?)
絹旗(く…! 『警備員(アンチスキル)』を敵に回したりしたら、その時点で私たちの生活は…!)ギリ…!
終わる。
苦労して得たこの陽だまりの世界から、策謀渦巻く闇の世界に逆戻りだ。
成金「舐めた口を利いているのはどちらか理解できたなら……これ以上俺の機嫌を損ねるな、クソガキ」
絹旗「う……う……!!」
絹旗の顔に苦渋の色が浮かぶ。
絹旗(やだ……絶対やだ……!!)
あんな奴には指一本触れられたくない。
いや、それ以前に―――そもそも、この体を浜面以外の男に抱かせるなど考えられない。
でも。
絹旗は唇を噛む。
絹旗は知っている。
今のこの会社を立ち上げるときに、浜面がどれだけ苦労したか。
会社をここまでの規模にするのに、浜面がどれだけ頭を下げてきたか。
これまで浜面がどれだけ工夫を凝らしてきたか。これまで浜面がどれだけ努力を重ねてきたか。
ひとつひとつの成功に、浜面がどれだけ喜んできたか。
それを、ずっとずっと、すぐ傍で見続けてきたのだから。
それが、なくなってしまうという。
それが全て無意味になるという。
それは、絶対に、絶対に、絶対に―――――――――いやだ。
絹旗(あああああああああでもほんとすげえいやぁぁぁああああああああああああああ!!!!!!)ジタバタドタドタ!
成金「…?」
絹旗(何なんですかあの脂ぎった肌!! ごつごつした指!! 超出てる腹!! ぶっさいく!! あいつマジでぶっさいくです!!!!)イヤンイヤンイヤン!
成金「……突然ヘンテコな踊りを見せられても、私の機嫌は直らんぞ」
成金「というか、いい加減にしろ。さっさとどうするか決めないと……」
絹旗「シャ、シャワー!! せめて先にシャワーを浴びさせてください!! ほら、仕事してそのまま来たから、私今超くっさいです!!」
成金「……確かに臭いそうな姿だな。……10分だけ待ってやる。さっさと済ませろ」
絹旗(他の誰に言われてもテメエにだけはクセェって言われたくねンだよォォォおおおおおおお!!!!!)
成金「……なんだその目は」
絹旗「なんでもないでーす!! いってきまーす!!」
シャワァァァーーー…………
絹旗(う~、まずいです。このままじゃホントにあんな奴に抱かれちゃいます)
絹旗(このまま逃げることは超簡単ですが……その場合、アイツはマジで浜面建設を潰しにかかるでしょう)
絹旗(現に今日、△△社の資材搬入をアイツは差し止めた。アイツはそれだけの権力を持っている)
絹旗(くやしいけれど、それは認めるしかない。アイツに逆らうことは、イコールで浜面建設の破滅につながってしまう)
絹旗(どうすればいい……どうすれば………)
絹旗(私はアイツに逆らわず、でもアイツ自身がその気を失くすというのが一番いい)
絹旗(でも、そんなのどうやって……超しまりました。汗の臭いムンムンで萎えさせてやればよかったですね……)
絹旗(いや、でもそんなのアイツが臭いフェチだったとしたら逆効果……もっと他に、私が女として超致命的な欠陥を抱えてると思わせることが出来れば……)
絹旗(…………)
絹旗「!!」ピーン!
絹旗「この方法なら、もしかしたらいけるかもしれません!」
絹旗「『窒素装甲(オフェンスアーマー)』絹旗最愛、参ります!!」
成金「……ほぉ」
シャワールームから出てきた絹旗に成金は嫌らしい目を向ける。
湿った髪の毛を首筋に貼り付けた絹旗は、既にバスタオル一枚の姿だった。
絹旗「………」
成金「ようやく覚悟を決めたか。……どうした、何を突っ立っている。早くこっちに来い」
絹旗は成金の言葉に逆らわず、ベッドの傍まで歩み寄る。
成金「そこで止まれ」
絹旗「………」ピタッ
成金「いつまでそんな無粋な布キレを貼り付けている。……取れ」
絹旗「………」
成金「早くしろ」
絹旗「……わかり、ました」
絹旗はぐっと唇を噛み、バスタオルを押さえていた手を―――離した。
ひらりと床に舞い落ちるバスタオル。
醜く肥え太った男の目の前で。
絹旗最愛の一糸纏わぬ姿が――――――晒された。
成金「ふほっ」
成金の口から、下品な声が漏れる。
絹旗の肉体は、一言で言えば美しかった。
まだまだ女性として成熟しているとは言い難く、胸などはやや小ぶりで、全体的な印象としては柔らかさより固さが目立つ。
しかし日々の肉体労働によりウエストは見事にくびれ、しかし太ももはむっちりと程よい肉感を醸し出している。
総評として、それは男性から見て十分に―――むしろ非常に、劣情を催す肉体といって差し支えなかった。
成金「くか、くかか。良い。良いじゃないか絹旗最愛。素晴らしいぞ。想像以上だ。やはり貴様は浜面仕上なんぞにはもったいない」
『死ね』と絹旗の唇が動いた。成金は気付かない。
成金「さあ来い。そのまま、この俺の傍まで来るんだ」
絹旗「………」
絹旗は成金の目の前まで進み出る。
ベッドに座っていた成金が立ち上がった。
成金「安心しろ。俺だけ楽しむなんてことはしない。お前も存分に楽しませてやるさ」
そう言って成金は絹旗の小ぶりな、しかし形の整った胸に手を伸ばし。
同時に、絹旗の唇に舌を這わそうとして。
―――それが、一片もままならないことに気が付いた。
成金「……んお?」
膜だ。
目に見えない膜のようなものが絹旗の体を覆っている。
成金の指は、成金の舌は、その膜に阻まれて絹旗の体に触れられない。
成金「なんっだコレは!!!!」
絹旗「『窒素装甲(オフェンスアーマー)』……それが私の能力です」
激昂する成金に、絹旗は飄々と答えてみせた。
絹旗「体表数センチの間なら窒素を自由に操ることができ、全身を覆うように窒素を押し固めることで絶対的な防御力を得ることも出来ます……ちょうど、今みたいに」
成金「ふざけたことを……!! すぐに解除しろ!! でなければ……」
絹旗「違うんです。ごめんなさい成金さん。この能力は、私が危機を感じたときに無意識に発動してしまう……コントロールの出来ない、自動防御なんです」
成金「な…にぃ…?」
絹旗「私にあなたに逆らう意思はありません。でも……寒い時、人が体の震えを止めることが出来ないように……」
絹旗「今の私には……この能力を制御することが出来ないんです……」
成金「なん…だとぉ……?」
成金「………」
絹旗「本当に……ごめんなさい」
成金「わかった……もういい」
絹旗「……ッ!!」パァァ…!
成金は先ほどまでの興奮が嘘のように、冷めた目で絹旗を一瞥すると、テーブルに放り投げていた携帯電話を手に取った。
その隙に、絹旗はバスタオルを拾い上げ、再び自分の体に巻きつける。
成金「………」prrr、prrr
絹旗「あ、あの、そういうわけですから、お詫びは後日必ず、別の形でしますから……」
成金「もしもし……ああ、私だ。君のところは何件か浜面建設と仕事の契約を交わしていたな」
絹旗「!?!!?」
成金「その契約は破棄してくれ。代わりの業者はこちらで手配してやる」
絹旗「ま、待ってください!! だってしょうがないじゃないですか!! 自分じゃどうしようもないんですから!!」
成金「難しい? 今後の信用にかかわる? 貴様、そこらの有象無象の信用を失うことと私からの信用を失うこと、どちらが大きな損失か分からんほど馬鹿か?」
絹旗「ねえ、ちょっと!!!!」
成金「……わかればいい。無理を言った礼は必ずしよう。では新しい業者のことだが……」
絹旗「ごめんなさい!!!!!!」
成金「………」
ようやく、成金は絹旗のほうに顔を向けた。
成金は、一切の温もりを感じさせない冷たい目で、無言のまま絹旗を見据えている。
絹旗「能力……解除します……だから、だから……」
絹旗「お願い……やめてください……」ポロ…ポロ…
成金は、はぁ、とため息をつき、再び携帯電話を耳に当てる。
成金「……今言った件はとりあえず、保留だ。私がもう一度貴様の携帯を鳴らしたとき……その時に、今言ったことを実行しろ」ピッ
成金「……二度と舐めたことはするな」
絹旗「ごめん……なさい……」
成金「バスタオルを外せ」
絹旗「………」シュル…
成金「跪け」
逆らわない。
絹旗は成金の目の前に跪く。
成金「口を開けろ」
絹旗「……ッ!!?」
成金「口を開けろ」
絹旗「は、あ」
涙に濡れた顔で、絹旗は口を開く。
カチャカチャと、成金がズボンのベルトを外す音が部屋に響き―――――
―――――――その音を差し止めるように、コンコンと部屋のドアを叩く音が響いた。
成金「誰だ!!」
『ルームサービスでーす』
絹旗「………」
絹旗(こ、の……声、は………)
ぼろぼろと、絹旗の瞳から押さえきれない涙が溢れ出す。
それは先ほどまでの、不安の涙とは違う―――安堵の、涙。
成金「頼んでなどいない!! 今いいところなのだ、失せろ!!!!」
『いやあ、そんなこといわずにさぁ~~』
バァン!!!!!! と盛大な音を立て、豪奢なドアが蹴り開けられる。
浜面「せっかくサービスだっつってんだからよぉ、受け取ってくれやクソ野郎!!!!」
駆け出す。
最初に目に入ったのは裸になって泣いている絹旗の姿。
瞬時に目の前が真っ赤になった。
何もかもがどうでもよくなった。
今はただ―――とにかくこのブタ野郎を―――――!!
絹旗「浜面、だめ!!!!」
絹旗の咄嗟の制止など効く筈もなく。
浜面の拳は成金の顔面を撃ち抜いていた。
今日はここまで
次は最後まで書き溜めてから投下するんで 目処がたったら告知にきます
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません