P(ってなんとなく思ったけど)
P(気になってしょうがないな)
P(いっちょ試してみるか)
真美「兄ちゃんただいまー」
P「おう、アンコールもすごく良かったぞ!」
真美「今日はヘトヘトだよー」
響「自分もだぞ~」
貴音「私も本日は堪えました」
P「あー…すまん。疲れてるところ悪いんだが」
P「もう1曲できないか?」
貴音「…もう1曲ですか?」
P「ああ。スポンサーの重役が今頃お見えになってな…」
P「だが、もしお前達の舞台が盛り上がってる所を見せられれば」
P「今後の活動にも良い後押しになる」
真美「そんなこと言われてもなー」
響「さすがの自分ももう1曲を完璧にこなす体力はないぞ~」
P「まぁ、今日は特に激しい曲ばかりだったからな」
P「それなら貴音のソロでも…」
真美「お姫ちんだって一緒だよ」
響「センターだから一番動くし一番疲れてるさー」
貴音「わ、私は……」
P「……駅前の新店舗をおごろう」ヒソヒソ
貴音「!!」
貴音「その役目、私が全う致しましょう」
P「やってくれるか!?」
貴音「あなた様の頼みとあらば」ニコ
真美「お姫ちんまだ大丈夫なの?」
貴音「もう1曲程度でしたら」
P(結局、2つ返事で引き受けてくれた貴音のおかげで)
P(ファンは大熱狂。重役も次回は破格の好条件での名義主催を約束してくれた)
P(これがらぁめんパワーってやつなのか…?)
P(だがプロデューサーの指示だからってこともあるな)
P(次は俺でも干渉できない頼みでもするか)
P「みんなお疲れ様! 新幹線の時間まで結構あるから、自由にしていいぞ」
P「ただし、集合に遅れないように」
真美「やった→! 亜美にお土産買ってくるね」
響「自分もみんなに買ってくるさー」
真美「ほらほら、お姫ちんも行くよ!」
貴音「ふふっ、そのように引っ張らなくとも」
P「貴音はちょっと残ってくれ。話がある」
貴音「えっ……?」
真美「兄ちゃん、今は自由行動なんだから、そんなの電車の中ですればいいじゃん!」
P(真美の言うとおり、話なんて移動中にいくらでも出来る)
P(メンバーとの貴重な自由時間を優先したいのは当たり前だ)
P(そこでラーメンの話を出してみる)
P「この前出演したカップ麺のCM……」ヒソヒソ
貴音「!!!」
貴音「私はプロデューサーとご一緒致しますので、皆は気にせず楽しんでください」
P(詳細を言ってないのに乗ってきただと…っ)
響「えっ…一緒に行かないのか!?」
貴音「真、申し訳ないですが、私はどうしてもプロデューサーと話さねばならないのです」
真美「まぁ、お姫ちんまでそう言うなら仕方ないけどさ」
響「それじゃあ、何か欲しい物があったらメールしてさー!」
真美「行ってきまーす!」
P「おう、気をつけてな」
貴音「それで、先ほどの続きですが…」
P「あ、ああ。あの仕事の後、先方に少し無理を言ってな」
P「発売前の製品を1箱送って貰えることになった」
貴音「っ! 真ですか!?」
P「真だ。隠し場所は車庫の備品置き場、俺と貴音、そして社長だけの秘密だぞ」
貴音「あのかっぷらぁめんは実に美味でした」
貴音「あなた様は私のためにわざわざ……」
P「ま、まぁ…な。貴音にはいつも世話になってるからさ、お礼に」
P「さすがに社長には話し通したけど……」
貴音「ああ、私は幸せものでございます」
P「あはは、カップ麺くらいで大げさな」
貴音「それでも、嬉しいのです。ありがとうございます、あなた様」
貴音「ですが、なぜ皆に内緒で?」
P「そ、そりゃあ日頃のお礼を兼ねてだし……まぁその…」
P「そういうことだ!」
貴音「あなた様……ふふっ真、私は幸せものなのでございますね」ニコニコ
P(それから1週間ほど、事務所では貴音がついにカップ麺を錬金出来るようになったという噂が流れた)
P(う~む…自由時間がなくなる程度なら、ラーメンを取るか)
P(なら次は……)
P(すまん貴音、だが好奇心が俺にそうさせるんだ…!)
P『もしもし、貴音か? 今話せるか?』
貴音『ええ、どうかされたのですか』
P『いやぁ…休みの日に悪いんだけど、今日って事務所まで出られるか?』
貴音『仕事でとらぶるでも?』
P『そうじゃないんだが、事務仕事が立て込んでてな、出来れば手伝って欲しいんだ……』
P(本人には関係ない内容の休出。しかもアイドルに事務仕事なんて、普通なら断るはずだ)
P(そこでラーメンを投げ込む)
P『来てくれたら、お礼にあれおごってやるよ。2駅先のいつも行列の店』
貴音『!!!!』
P『久しぶりに会った友人がそこの店長の知り合いでな』
P『閉店後に入れてくれるよう口をきいて貰ったんだ』
P『無理にとは言わないが……』
貴音『はい! 私、すぐに参ります』
P『あ、ああ。それじゃ、待ってるから』
P(即答でOKだと……恐るべしラーメンパワー)
貴音「あなた様!」
P「早っ!」
P(ちなみに、仕事は貴音の手伝いもあって早く片付いた)
P(店が閉まるまで2人で街をぶらぶらした後、貸切の店内でラーメンに舌鼓を打った)
P(以来、たびたびその店に並ぶ貴音の姿が目撃されることになる)
P(しっかし、オフ返上も易々とやってのけるとは……)
P(俺の想像以上に貴音のラーメン愛は凄まじい物だったか……)
貴音「あなた様」
P「ん? どうした?」
貴音「本日はご馳走様でございました。大変美味ならぁめんでした」
P「いやいや、俺こそオフだった貴音に事務仕事なんてさせちゃって」
貴音「いえ、家におりましても読書をするか、散歩をするか」
貴音「むしろ今日のように普段しないことをするのは、いい気分転換になりました」
貴音「それに…」チラ
P「それに?」
貴音「……それにこうして、美味ならぁめんを頂けたのですから」
P「そっか、そう言ってくれると助かるよ」
P「そうだ、貴音、来週の予定なんだけど」
貴音「香川でどらまの撮影のはずでは?」
P「ああ、貴音はそうなんだが、真美と響は別番組で温泉巡りの収録なんだ」
貴音「では……」
P「悪いが2,3日は1人で活動してくれ」
P「俺も場所が近ければ行ったり来たり出来るんだけど、東北だからな…」
貴音「……あなた様は響達の方に」
P「あいつらは俺が見張ってないと何しでかすか分からんし」
P「貴音なら1人でも問題ないだろう」
貴音「……嫌です」
P「えっ!? 嫌って、言われてもなぁ…あいつらの収録が終わったらすぐに向かうから」
貴音「わ、私だってまた、すたっふの方とけんかするかもしれません」
P「最近は衝突も少なくなったし、その辺は貴音を信頼してるよ」
P「お土産もいっぱい買ってくるぞ。ラーメンどころだからな、喜多方、米沢、赤湯、仙台」
P「変わり種でじゃじゃ麺とか……」
貴音「……」
P「……あれ?」
P(ラーメンの誘惑が効かないだと……!)
P「ダメ……かな?」
貴音「……」コクン
P(響達の行き先がまずかったか……確かに貴音だけ香川ってのは可哀想かも)
P「あー……まぁ、でもなんだ、うどんも麺類な訳だし……」
貴音「そうではございません! あなた様はいけずです!」
P「へっ!? き、急にどうしたんだ」
貴音「私は、ただあなた様のっ……」
P「え?」
貴音「……」カァァ
貴音「さ、最近のあなた様は、何かにつけてらぁめんを出しにしております」
P「うっ」
P(気づいてたのか……)
貴音「ですが私とて、らぁめんを出されても譲れないことはあります」
P「いやでも、俺が響達について行くことがそんなに嫌なんて……」
P「それにたった2,3日だ。別にもう会わないとか、そういう訳じゃないし」
貴音「……だから、あなた様はいけずなのです」
貴音「あなた様が皆について行くことが嫌なのではありません」
貴音「私はあなた様が傍に居ないことが……」
P「……貴音、それって」
貴音「ふふっ真、あなた様はいけずです。皆まで言わせる気ですか?」
P「……」
貴音「お慕い申しております。たとえそれが叶わぬ恋だとしても」ウルウル
P「っ!!」ドキッ
貴音「あなた様の頼みならば、多少の疲れなどどうとでもなります」
貴音「あなた様と共に居られるなら、自由な時間などいりません」
貴音「あなた様から離れるくらいなら、身を尽くしてでも逢いに……」グスッ
P「た、貴音……?」
貴音「……」
貴音「ふふふ……少し意地悪してしまいました」
貴音「どらまの台詞、うまく言えたでしょうか?」
P「あ、ああ! ばっちりだ! とんでもなくドキッとした」
貴音「…っ! では、本番もばっちりですね」ニコ
P「おう、期待してるぞ」
P(今の破壊力はすごかったな……)ドキドキ
貴音「それで、その……来週は…」
P「はぁ……仕方ない」
貴音「!!!!!」パァ
P「響達のことは律子に頼み込んでみるよ」
貴音「では、あなた様は…」
P「ああ、貴音と一緒に行く」
貴音「はい、ありがとうございます」
P(結局、撮影中はずっと貴音と一緒に居たわけだが)
P(あの台詞は一度も使われることのないまま、めでたくクランクアップを迎えた)
貴音「あなた様、香川にも美味しいらぁめん屋があると聞きました」
P「それじゃあ、打ち上げが終わったら一緒に行こうか」
貴音「はいっ!」
おわり
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