ベルトルト「共同生活」(36)
???年
ベルトルト「……僕が憎いんじゃなかったの」
エレン「憎いさ。言ったろ、お前のことはなるべく苦しめてから殺すって」
ベルトルト「なら、君、自分が今何を言ったかわかってる?」
エレン「ああ。勿論」
ベルトルト「そう……じゃあ、僕の聞き間違いかな。なんせ満身創痍だからさ、ちょっと音が遠いんだよね」
エレン「だろうな。実はオレも、少し目の前が霞んでてよ」
ベルトルト「僕が誰かちゃんと見えてる?」
エレン「正直、ちゃんとは見えねぇが、お前が誰かはわかってるぞ。第一、オレがお前を間違える訳ないだろ」
ベルトルト「まあ、そりゃあ……そうだろうね」
エレン「だから、さっきからそう言ってるだ ろ」
ベルトルト「ごめんって。やっぱり僕の聞き間違いみたいだ……もう一回、さっきの言ってもらえる?」
エレン「何回でも言ってやるよ。……なあ、オレと一緒に生きよう、ベルトルト」
ベルトルト「……はぁ?」
その日、人類はついに勝利した。
世界の謎とそれにまつわる王政の闇が暴かれ、白日の下に曝された。
何十年、何百年と追い求めた真実を手にした人々は、自由の翼をはためかせ、壁の外へと飛び出して行った。
そんな感じのIF設定。ベルトルトとエレンメイン
捏造とかネタバレとかご都合展開とかなんでもあり。
旧調査兵団本部 裏庭
エレン「……お前、ほんとよく飽きねえな」
ベルトルト「飽きないというより……他にすることがないから」
エレン「つっても、そういう地味な作業、昔っから得意だったろ」
ベルトルト「そういう君は、細々した作業は苦手だったよね。不器用って訳じゃないのに」
エレン「性に合わないんだよ」
全てが終わった後、僕とライナーは調査兵団に身柄を預けられることになった。
人類最強の兵士長とその後継者(本人は不本意そうだけど)の傍に置いておけば、すぐに対応できるからという理由らしい。
以来僕は彼らと一緒に、街から離れた森の中にある旧調査兵団本部で、家畜や壁外から持ち帰った植物を育てながら暮らして――もとい、隔離されていた。
エレン「ふあ……」
ベルトルト「眠いなら、中戻って寝てれば?」
エレン「そういう訳にもいかねぇだろ……この後、来月の壁外調査の話をしに、兵長たちが来ることになってんだし」
ベルトルト「ねえ、それ、僕も行かないと駄目なの」
エレン「お前も一応、調査兵団所属ってことになってるからな」
ベルトルト「僕が君たちをまた裏切って、巨人化しないとも限らないのに?」
エレン「その気があるなら今してみろよ。今なら邪魔する奴は誰もいねぇぞ」
ベルトルト「……」
エレン「な。お前は何の意味もなく、自分のためだけに嘘を吐けるような奴じゃない」
ベルトルト「…… よくわかってるじゃないか」
エレン「自分には意志がない、自分でそう言ってたじゃねぇか」
ベルトルト「懐かしいな、適性検査の時だっけ」
エレン「……オレさ、不謹慎かもしれねぇけど、あの時嬉しかったんだ。オレ以外にも、同じ経験をした奴がいるってわかって。なのに」
ベルトルト「気の毒だと思ったよ」
エレン「早い」
ベルトルト「ご、ごめん……」
エレン「……」
ベルトルト「……」
エレン「……まさか、お前らが巨人だったなんてな」
ベルトルト「その言葉、そっくりそのまま返すよ。君が巨人でなくて、座標でもなければ……こんなことにはならなかっただろうに」
エレン「オレと一緒に暮らしてることか? それとも、使命のことか?」
ベルトルト「両方。……どこで失敗したんだろうな。君と出会ってしまったところかと思うけど、壁を壊したからこそ君と出会えたんだよね。きっと」
エレン「始めから間違いだった?」
ベルトルト「でも、もし僕が壁を壊さなければ、世界の謎は解けなかったかもしれない。解けたとしても、今みたいな平和は手に入らなかった可能性だってある」
エレン「……難しいな」
ベルトルト「難しいね。ただ生きてるだけなのに」
エレン「なんだよベルトルト、今すぐに死にたいとでも言いたげだな」
ベルトルト「死にたいというか……僕だって死ぬのは恐いさ。でも、まあ、なんで生きてるんだろうなとは思う 。僕がしてきたことを思えば受け入れる気持ちはあったし、何よりこれでもう苦しまなくて済む、君に殺されるなら悪くないって、少し安心もしていたのに」
エレン「死にたいなら素直にそう言え」
ベルトルト「生きろって言ったり死ねって言ったり、なんなんだ、君は。めんどくさい奴だな」
エレン「お前には言われたかねぇよ……」
ベルトルト「死んでほしいならさっさと殺してくれ」
エレン「なら、今すぐブレード取ってきて、自分で自分の首跳ねればいいだろ。それすら指示してもらわなきゃできないのかよ、腰巾着野郎は」
ミカサ「……何をしているの?」
ベルトルト「!!!」
エレン「おう、ミカサか。 どうした」
ミカサ「そろそろアルミンたちが来ると思う……ので、エレンたちを呼びに来た」
エレン「そっか、もうそんな時間か」
ベルトルト「……!? ……!?!??」
ライナー「……大丈夫だ、落ち着け。お前の反応が正しいと俺は思うぞ」
ミカサ「それより、何やら不穏な会話が聞こえてきたのだけど」
エレン「……ちょっとふざけてただけだろ」
ライナー「エレンの場合、その『ちょっと』が『ちょっと』じゃないことの方が多いだろ」
ミカサ「エレンはそろそろ、加減というものを知るべき。いつまでも昔のままでは駄目」
ベルトルト「ハッ……! やるんだな……ミカサ!」
ミカサ「ええ! 勝負は今! ここで決める!」
ライナー「逃げろ、エレン!!」
エレン「!? こんの……裏切りもんがぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」
――…………
旧本部 食堂
エレン「……」
ミカサ「……」
ライナー「……」
ベルトルト「……」
リヴァイ「……お前ら、自分の立場が分かっているのか?」
エレン「……はい」
ライナー「重々承知しております」
リヴァイ「お前らを人目につかない旧本部にやったのは、そうやってハメ外して遊ばせる為じゃねぇぞ?」
ミカサ「申し訳ありませんでした」
ベルトルト「深く反省してます」
エレン「(だから言ったのに)」
ミカサ「(申し訳ない)」
ベルトルト「(ごめん)」
ライナー「(すまなかった)」
アルミン「(人類最強の後継者と人類の仇敵と人類の英雄が正座させられてる……)」
ジャン「(正座させられて自分よ りちっさいオッサンに説教されてる……)」
ハンジ「人類最強の後継者と人類の仇敵と人類の英雄が正座して、自分たちよりちっさいオッサンから説教受けるなんて、シュールな絵面だよねえ!」
アルミン「(言った! この人言った!)」
ジャン「(流石ハンジ分隊長! 俺たちに出来ない事を平然とやってのける! そこに痺)」
リヴァイ「お前らはさっさと会議の準備をしろ」
アルミン「あっはい」
ジャン「すみませーん」
リヴァイ「……ミカサよ」
ミカサ「はい」
リヴァイ「お前は一度、情が湧いて、こいつらを仕留め損ねたことがあるらしいな?」
ライナー「……」
ベルトルト「……」
ミカサ「……。はい」
リヴァイ「お前にとっては同期だ。監視目的とはいえ共に生活している以上、馴れ合うなと言う方が無理だろう。だがな、もしそれで、いざというときまた手元が狂うなんてことがあれば、俺はお前を推した責任を取らねばならない。……その意味がわからないお前ではないよな」
ミカサ「勿論です」
リヴァイ「……、 まあ、なんだ。そんな深く考えるな。節度を持ってやってくれればそれでいい。その『いざというとき』はやって来ないと、お前たちを信じてるからな」
ハンジ「お待たせー、準備できたよ」
リヴァイ「次の壁外調査は長期間の遠征になる。それだけ重要な話も多くなるから、気持ちを切り替えて会議に参加しろ」
ライナー「はっ」
ベルトルト「……」
エレン「……」チラ
巨人の数が減り、これまでの調査よりもさらに遠方に出かけることが可能になってから、最も調査兵団を悩ませていたのが自然環境だった。
壁から離れるほど気候変動が激しくなり、また壁内では見られない地形や自然現象による災害も相次いだ。
過酷な環境に耐えるには壁内の技術では追い付 かず、とにかく頑丈なもの、と考えて、兵団が目をつけたのが壁である。
何百年もずっとそこにあって、人類を巨人から守り続けてきた壁。
耐久性と強度は折り紙付きだ。
その壁が、巨人により精製されたものだと判明したのは記憶に新しい。
そこで、三人の巨人化能力者を擁する特別作戦班――通称、ミカサ班に、白羽の矢が立てられたのだった。
アルミン「今回の壁外調査では、前回と同じ拠点を利用するけど、エレンたちは他の団員が周囲を探索している間に、拠点からさらに遠方の地点に新たな拠点を作ってほしい」
ライナー「探索と拠点作りを同時進行するのか」
アルミン「うん。まだいくらか巨人が残っているとはいえ、巨人との戦闘で失われる兵士の数は段違 いに減少した。巨人そのものの数が減ったから、巨人の掃討以外にも人員を割ける余裕が出てきたんだ。……とは言っても、まだ気は抜けないけどね」
ジャン「拠点作りは企画書の通り、特別作戦班と第二分隊が担当する。ただし今回、アルミンは別行動になるから、代わりにリヴァイ兵長に入って頂くことになった」
エレン「兵長が?」
アルミン「今回はハンジ分隊長と一緒に、調査の方にあたりたいんだ……前に仕掛けておいた計測器のデータを回収しなくちゃいけないからね。ごめんね、僕もミカサ班なのに」
ミカサ「構わない。それはアルミンにしか出来ない仕事。であれば、アルミンがそちらを優先するのは当然」
ジャン「拠点作りが終われば俺たちは巨人掃討だ。兵団の主戦力を全部こっちに回してもらってんだ。兵団の命は俺たち、というか、お前ら三人の仕事ぶりに掛かってると言っても過言じゃねぇ。きっちり仕事しろよ、頼りにしてるぜ」
――…………
ベルトルト「(……とは言われたものの)」
速報にもいます?
旧本部 裏庭
ライナー「硬質化させた皮膚を切り出して、小屋を建てる際の補強材にする……。巨人というのも、こうして見ると便利なものだな」
ベルトルト「そうだね。僕らは本当に、何も知らなかったんだと思い知らされるよ」
ライナー「お前はできないのか、あれ」
ベルトルト「僕の巨人化した姿は、そもそも皮膚らしい皮膚がないからどうだろうね。そう言えば、考えたこともなかったな」
エレン「でも、ベルトルトがやってくれたら絶対楽になるよな。いろいろと」
ライナー「まあ、仮にできたとしても、こいつの場合、変身するには広い場所が必要だし……」
ジャン「おい、アルミン。そろそろ出発するぞ」
アルミン「ちょっと待ってー」
ミカサ「……また行ってしまうの?」
ジャン「悪いな。一体、何の為のミカサ班なんだか……まあ、これも、監視の数が少なくてもお前らに心配はいらないっつー、信頼の表れではあると思うけどな。まさか壁外調査の会議で一月も本部に軟禁される上に、まだ帰れないとは思わなかったぜ」
アルミン「ねえ、これ、すごいよ! どの植物も、本部で見るのよりずっと育ってる」
ベルトルト「そうなんだ? 不思議だね、土は同じ筈なのに」
アルミン「植物は優しい心を以て育てると強く育つと聞くけど、それが関係あったりしてね」
ミカサ「つまりあのチビは優しくないと」
アルミン「ちょ、そういう意味で言ったんじゃ……」
エレン「ミカサ……お前、まだそんなこと言ってるのか」
ライナー「チビ? ……もしかしてリヴァイ兵士長のことか?」
ミカサ「兵長のことは尊敬している。私自身、何度もあの人に助けられた。けど、それとこれとは話が別。私はあのことを許してはいないし、チビがチビなのは紛れもない事実」
ジャン「……まあ、アルミンより背が低いのには驚いたな……」
ベルトルト「えっマジで?」
ジャン「マジで。そりゃ、お前からしたら全員チビに見えるだろうけどな。さっき兵長の隣に座ってただろうが。気付けよ」
>>14
ここにしか書きこんだことないです
アルミン「……こんなもんかな。お待たせ、ジャン。粗方メモが取れたからもういいよ」
ジャン「ん。じゃあ、行くか」
エレン「せっかく一ヶ月ぶりに戻ってこれたのにな、お前ら」
アルミン「仕方ないよ。壁外調査に向けて準備することは沢山あるし、それに……アニの処遇を決める審議が、近々行われる予定なんだ」
ライナー「アニの……」
アルミン「戦いが終わったからこそ、彼女を保護しておく必要はない、殺してしまえという意見が出始めたんだ。いずれ目覚めるにしろ、あのままにしろ、アニが大罪人の危険人物であることに変わりはないからね」
ベルトルト「そんなの……!」
アルミン「絶対にさせない」
ベルトルト「……」
アルミン「そのために僕もジャンも、エルヴィン団長も動いてる。守ってみせるさ。大事な同期だからね。……それに」
ベルトルト「?」
アルミン「アニが目を覚ましたら、伝えたいことがある人もいるみたいだし?」
ベルトルト「なっ……あ、アルミン!」
ミカサ「……やっぱり、あの視線はそういう意味だったの」ジー
ライナー「これは逃げられないなあ」ニヤニヤ
ベルトルト「も、もう……やめてよ……」
エレン「……なあ、ジャン」
ジャン「あ?」
エレン「あいつらは何の話をしてるんだ?」
ジャン「……エレン、お前」
エレン「……なんだよ」
ジャン「……。いや、やっぱいいわ」
エレン「はあ?」
アルミン「来月の壁外調査の前にまた戻ってくるよ。いい報せを持ってこられるよう、頑張るからね」
ライナー「アニのこと、頼んだぞ」
ジャン「おう、任せとけ。あのナイル師団長も、表立っては動けないが 協力してくれてるらしいからな。よっぽどの事態にゃならないとは思うが」
アルミン「じゃあ、また来月に」
ミカサ「ええ。いってらっしゃい」
ライナー「……そんじゃ、俺らは部屋戻って片付けするか」
スタスタスタ……
ベルトルト「……聞いた? 優しい心で育てると、植物がよく育つんだってさ」
エレン「おう」
ベルトルト「優しい、だって。……信じてるだの、頼りにしてるだの。巨人相手に、みんな何を言ってるんだか」
エレン「褒められて怒るなんて、面白い奴だな」
ベルトルト「当然だろ? 僕は信頼するに値する人間じゃない」
エレン「苦しいか?」
ベルトルト「……」
エレン「人を殺して、仲間を裏切って、自分を殺そうとしてきたかつての仲間に、また信頼され、感謝される。どんな気持ちだ?」
ベルトルト「……苦しいよ。すごく。というか、君たちも君たちだ。よくまた僕らを信じようと思えたね」
エレン「もうオレらが戦う理由がないからな。戦う理由がないなら、ベルトルトを疑う理由もない」
ベルトルト「戦う理由がないなら、僕を捉えて生かしておく理由もないだろ」
エレン「ある。お前を死なせないためだ」
ベルトルト「は……?」
エレン「死ぬってのは、つまりは逃げだろ。絶対逃がさねぇよ。死ぬのなんて許さない。生きて、償って、人類に感謝されて、お前は苦しむべきだ。ベルトルト」
ベルトルト「……。なら、なおさら調査兵団にいる意味がわからないな。僕の巨人としての力は使ってないんだし、むしろ、巨人との戦闘を避けられない調査兵団の方が、死ぬ確率が高いと思うけど」
エレン「第一に、リヴァイ兵長とミカサが調査兵団にいるからだよな。憲兵や駐屯兵には、お前らに対抗できる奴がいないと言っても過言じゃない。これはオレの時もそうだった」
ベルトルト「第一にって、それ以外にもまだあるの?」
エレン「一応、オレがお前らをどうするべきかを最初に提案したから、ってのもあると思う。けど、団長がお前らを欲しがったからってのが、一番の理由だろうな 」
ベルトルト「エルヴィン団長が?」
エレン「ライナーもお前も、訓練兵をミカサに次ぐ成績で卒業したろ? 生還率五割の初めての壁外調査で生き残ったし、巨人の群相手に籠城作戦成功させたり、たったの3人でシガンシナ区まで到達したり……まあ、これは裏技使ったようなもんだけどよ。団長がその実力と実績を欲しがったって話だ」
ベルトルト「本当に恐ろしい人だね、あの人は。利用できるものはなんでも利用する。……にしても、君、やけに詳しいね」
エレン「アルミンとジャンがぼやいてたんだよ。かなり無茶させられたらしいからな」
ベルトルト「……もしかして、本部に顔を出す時に、街で見掛ける商会の役人がやたら怯えてたのって」
エレン「ああ……相当裏で際どいことしてたらしい」
ベルトルト「わかるよ……すごくよくわかる。あくどいこと をするアルミンはトラウマレベルの恐さがある」
エレン「団長の補佐役っつー形で指導者としての手腕を学ぶ、ってのを建前に、色々付き合わされてるみたいだからな。なんだかんだ言いつつも、それに応えるあいつらもあいつらだけど」
ベルトルト「でも、お陰で納得できた」
エレン「ん?」
ベルトルト「いくら君という前例があるからとは言え、あの超大型巨人と鎧の巨人をあっさり他人の手に委ねるなんて、上手く行きすぎだと思ったんだ」
エレン「だよなあ。オレん時はもっと揉めたのに」
ベルトルト「ああ、リヴァイ兵長にボコボコにされたんだって?」
エレン「奥歯が折れて吹っ飛ぶ程度には」
ベルトルト「うわあ……」
エレン「憲兵団とか商会の奴らが、無関係のミカサのことまで化け物だなんだ好き勝手言うからよ……」
ベルトルト「(それは強ち間違いではないと思う)」
エレン「ついカッとなって言いたいことぶちまけてたら顔蹴られた」
ベルトルト「はは、エレンらしいね」
エレン「……名前」
ベルトルト「名前?」
エレン「やっと、オレの名前呼んでくれたな」
ベルトルト「……」
エレン「もしかして、無意識か? お前、あの日からずっとオレのこと、『君』としか呼んでなかったんだぞ」
ベルトルト「そう……だったかな」
エレン「そうだった! これからはちゃんと、名前で呼んでくれよ、ベルトルト!」
ベルトルト「……。馬鹿じゃないの。そんなことで一々喜んで」
エレン「は?」
ベルトルト「馬鹿だよ。エレンだけじゃない。ミカサもアルミンも、ジャンだって、リヴァイ兵士長やハンジ分隊長だってそう。みんな馬鹿だ」
エレン「……言っとくが、オレはお前を許した訳じゃないぞ。オレだけじゃない。ミカサもアルミンも、ジャンだって、兵長やハンジさんだってそうだ。誰も、お前やライナーや、アニを許してなんかいない」
ベルトルト「……」
エレン「けど、さっきも言ったけど、逃げるなんてのはもっと許さねぇし……許す許さないってのと、怒る怒らないってのは別の感情な んだ。オレも、お前らと同じ巨人だからな」
ベルトルト「え?」
エレン「どうした?」
ベルトルト「珍しいと思って。君が……エレンがそんなこと言うなんて」
エレン「お前らの審議の前に、オレの処遇を決める審議があったんだ。聞いてないか?」
ベルトルト「知らなかった……誰もそんな風なこと、言ってなかったし」
エレン「最初にオレが調査兵団に預けられることになったのも、元々は巨人に対抗しうる戦力としてだからな。戦う理由がなくなれば、生きる理由がなくなるのはオレも同じだったんだ」
ベルトルト「そんな……人類を救った英雄なのに、静かに暮らすこともできないなんて」
エレン「人類にとっちゃ巨人は巨人なん だろ、改めて痛感したよ。……けどオレは、そういう考えの奴らを恨んだりしない。巨人が恐いのは当たり前だからな」
ベルトルト「……強いな、エレンは。羨ましいよ」
エレン「巨人としてのオレに生きる理由がなくても、オレ自身にはあるんだ。壁の外を冒険する、昔からの夢が。炎の海、氷の大地、砂の雪原……それらを見付けて、本当の自由を手に入れる! ようやく実現しそうだってのに、こんなとこで終えてたまるかよ」
ベルトルト「訓練兵の頃にも言ってたね。エレンとアルミンがあまりにも熱く語るもんだから、僕も影響されそうになったよ」
エレン「見たくないのか?」
ベルトルト「見られるもんなら見たいさ」
エレン「じゃあ、決まりだな! 一緒に行こうぜ、ベルトルト。自由を見付けに」
ベルトルト「……どうして僕なんかと?」
エレン「その感動を共有してくれる奴がいなきゃ、それは見付けたことにならないんだ。ただ見付けただけじゃあ、本の中の空想と何も変わらねぇ。だから、一緒に来てくれる奴が欲しいんだ」
ベルトルト「アルミンやミカサがいるじゃないか。今ならジャンもいるし」
エレン「つれないこと言うなよ。みんなで行くんだ、お前も、ライナーも、アニも一緒に! コニーやサシャや、ヒストリアにユミルも連れて行きてぇな。感動を共有してくれる奴ってのは、一人でも多ければ多い程いいんだ。それに、多くの人が掴んでこその『自由』だからな」
ベルトルト「君は――君って奴は」
エレン「ん?」
ベルトルト「……エレンには敵わないよ、本当に」
エレン「な、なんだよ、急に……」
ベルトルト「なんでも? 自由を探すために、まずは目の前の壁外調査を頑張らないとね」
エレン「そうだな」ニッ
/バターン!!\
ライナー「お前ら! いつまでそこで喋ってんだ。早く中戻ってこい」
ベルトルト「ごめん、ごめん。行こう、エレン」
エレン「……ああ!」
本誌でまた誰かが死ぬ前に早急に書き上げるべきだと判断しました!
といっても単行本派だから今本誌がどうなってるかわからないんですけど
ハッピーエンドがみたかった。それだけ。
だから矛盾してるとことか納得いかないとこもあるだろうけど見逃してくれたら幸い
とりあえずお粗末さまでした
このSSまとめへのコメント
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