アスカ「バカシンジのやつ、遅いわね・・・・・・」(124)

―ミサト宅―


アスカ「あ~もうっ!7時になっちゃったじゃない!!」


アスカ「あのバカ!私を飢え死にさせる気!?」


アスカ「・・・・・・・・・」


アスカ「・・・はぁ・・・何の連絡も無し、か・・・」


アスカ「遅くなるなら遅くなるって連絡ぐらいよこしなさいよ、ほんとに・・・」


アスカ「仕方ない、自分で作るしか・・・でも面倒だなぁ・・・」

アスカ「そういえばカップ麺があったような無かったような」


アスカ「おっ、よかった。1つあるじゃない」


アスカ「今日はこれでガマンね・・・」


アスカ「・・・・・・」


ペンペン「くわぁ・・・」


アスカ「あっ。あんたのご飯も作らなきゃね」


アスカ(・・・でもこいつっていつも何食べてたっけ・・・)

アスカ(・・・ま、食い物ならなんでもいいわよね・・・)


アスカ「ほらっ、ご飯よ」


ペンペン「・・・・・・」


アスカ(・・・やっぱりビールのつまみはまずかったかしら・・・)


アスカ(流石に柿ピーじゃ・・・)


アスカ(と思ったら食べ始めた・・・)


ペンペン「・・・・・・・・・ウメェー!」

アスカ「っ!?」


アスカ「・・・・・・」


アスカ(はぁ・・・バカシンジの奴・・・・・・いったいどこにいんのよ・・・・・・)


―――
――



シンジ「ただいまー・・・」


アスカ「・・・・・・」


シンジ「・・・ごめん、アスカ・・・連絡しないで・・・・・・」

シンジ「ていうかできなかったっていうか・・・・・・」


アスカ「・・・・・・」


シンジ「ちょっと綾波の家に行ってたから、それで・・・」


アスカ「!・・・・・・なんであいつの家に行ったのよ・・・」


シンジ「えっと・・・その・・・」


シンジ「綾波に・・・料理を教えてほしいって頼まれたから、それで・・・」


アスカ「ふーん・・・で、2人でイチャイチャしてたら連絡するのも忘れたあげく」

アスカ「2人で仲良く作ったお料理を2人で仲良くあーんしながら食べて」


アスカ「今にいたるってことね」


シンジ「ちぃ・・・・・・違うよっ!!ただ料理教えてただけだよ!!」


アスカ「はっ!どーだかっ」


シンジ「ほんとに料理教えてただけだって・・・・・・」


アスカ「・・・遅くなるなら、連絡ぐらいよこしなさいよこのバカ」


シンジ「・・・ごめん」

アスカ「ごめんで済むと思ってんの!?なんで私が夕飯にカップ麺を食べる羽目になったか言ってみなさいよ!!」


シンジ「自分で作ればよかったじゃないか!!」


アスカ「あんたのご飯じゃないとイヤなの!!」


アスカ「・・・あんたのご飯じゃないと食べた気にならないのよ・・・」


アスカ(自分で作っても多分おいしくないし)


シンジ「・・・・・・そっか・・・」


シンジ「・・・ありがとう」


アスカ「は?なんでこのタイミングで感謝すんのよ」

シンジ「え?僕の作るご飯がおいしいってことじゃないの?」


アスカ「えっ・・・・・・勘違いしないでよね!」


アスカ「さっきのは別においしいって意味じゃなくてぇ・・・・・・そ、その・・・」


アスカ「・・・そうよ!おいしいのよあんたの料理は!!」


アスカ「だから私は毎日食べたいのよ!!わかった!!?」


シンジ「ぉ・・・・・・わかり、ました・・・」


シンジ(・・・凄い剣幕だ・・・・・・)

アスカ(・・・ほんとに料理教えてただけなのかな・・・)


アスカ(こうなったら明日、あのえこひいきに直接聞くしかないわね)


―――
――



―翌日・学校―


アスカ(・・・・・・結局何も聞けずに放課後になってしまった・・・・・・)


アスカ(お、怖気づいたとか・・・もし本当に2人が、その・・・・)


アスカ(事を済ませてたらどうしよう、とか思ったわけじゃないんだから・・・)

アスカ(そうよ!別に無理に今日聞かなくても・・・)


アスカ(今日は早く帰って、明日出直すか・・・・・・)


アスカ「シンジ、帰るわよ!」


シンジ「あ、ごめんアスカ。今日も綾波の家に・・・」


アスカ(なっ!・・・今日もですってぇ~!!?)


アスカ(・・・もう後手に回るのはやめだわ、アスカ!)


アスカ「~~~・・・じゃあ私も行く!!」

シンジ「え」


アスカ「いいでしょ別に!!私もあのえこひいきの料理毒味してやるわよ!!」


シンジ「毒味って・・・」


レイ「碇くん」


シンジ「綾波っ!」


レイ「今日もよろしく・・・」


シンジ「あ、あのさ・・・今日さ・・・」

レイ「?」


アスカ「私も行くから!」


レイ「・・・そう。かまわないわ」


アスカ「ってことでさっさと行きましょ!」


シンジ「う・・・うん・・・」


アスカ(・・・とにかく、なんとかえこひいきと2人きりになる状況を作らなきゃね・・・)


レイ「・・・」

シンジ「じゃあトウジ、ケンスケ。悪いけど今日も先に帰るよ」


トウジ「おう、じゃあなセンセイ!」


ケンスケ「またな、碇」


トウジ「あ、夫婦喧嘩はせんよーにな!なはははは!!」


アスカ「うるさいこのバカ!!ほら、さっさと行くわよ!!」


シンジ「ちょっ・・・アスカ、引っ張らないでよ!!痛いよ!!」


シンジ「てか、綾波まで引っ張ることないだろ!」


レイ「・・・・・・」

トウジ「・・・」


ケンスケ「・・・」


トウジ「・・・・・・センセェ、まったく羨ましいで!」


ケンスケ「両手に花とは、まさにこのことを言うんだね・・・」


トウジ「まぁ式波は花というほどじゃないがな!なはははは!」


トウジ「・・・なぁケンスケ」


ケンスケ「ん?」

トウジ「わしらとシンジ、なにが違うんや・・・なんでアイツは・・・」


トウジ「アイツの周りにはハーレム空間ができとるんや・・・!」


ケンスケ「エヴァのパイロットかそうじゃないか、の違いだろ」


ケンスケ「まぁそれに加えて整った顔立ち、優しいまなざし、いざというとき頼りになる男らしさ」


ケンスケ「ほんと、羨ましいよ・・・碇・・・・・・」


トウジ「わしらだって・・・わしらだってミサトさんと一つ屋根の下で暮らしたりしたいわ!!」

ケンスケ「同感だな、まぁ式波がいらないが」


トウジ「せやな・・・・・・」


ケンスケ「・・・・・・」


「「・・・帰ろう・・・・・・」」


――


アスカ「それで?今日は何作るの?」


レイ「オムライス」

アスカ「・・・それって教えられなきゃ作れないものかしら?」


レイ「あなたは作れるの?」


アスカ「もちのろんよ!!」


シンジ「・・・嘘ばっかり」


レイ「嘘なの?」


アスカ「~~~!黙ってなさいよ、このバカ!!」


シンジ「痛っ!!」

アスカ「・・・で、材料は揃ってんの?」


レイ「・・・・・・あ」


レイ「卵、ない」


アスカ「一番大事なものじゃないの!!」


シンジ「えー・・・もう綾波の家に着いちゃうよ・・・」


アスカ(ん?・・・これはえこひいきと2人になれるチャンスじゃ・・・)


アスカ「バカシンジ!早くスーパー行って卵買ってきなさい!!」

シンジ「なっなんで僕が!」


アスカ「男の子でしょ!!それともわざわざ女の子に行かせる気なの!?」


シンジ「うぅ、わかったよ・・・」


アスカ「・・・まったく」


レイ「うち、こっちよ」


アスカ「今行くわよ!!」


アスカ(よし、これでこいつから昨日のことを聞き出せる・・・はず!)

―綾波宅―


アスカ「・・・なにこれ、殺風景な部屋ねぇー・・・」


レイ「そう?」


アスカ「そうよ、女の子らしさがまるでないわ」


レイ「そう」


アスカ「まぁしょうがないか!あのバカ以外にはつくづく無関心だもんね~、あんたは」


レイ「バカ?」

アスカ「バカといったらバカシンジでしょ」


レイ「碇くん?」


アスカ「・・・あんた、昨日ここであのバカと何してたの?」


レイ「・・・料理、教えてもらってたの」


アスカ「ほんとにそれだけ?」


レイ「それ以外の用は無かったから、それだけ」


アスカ「本当はあいつとイチャイチャしてたんじゃないのぉ?」

レイ「イチャイチャ?」


アスカ「あいつと密着したりしなかったのかって聞いてんのよ!!」


レイ「密着・・・体と体を合わせる・・・体を重ねること・・・?」


レイ「したわ」


アスカ「なっ」


レイ「私の背中と碇くんの胸が重なり合ったわ」


アスカ「え」

レイ「すごく・・・ぽかぽかした・・・気持ち・・・いいこと、だった」


アスカ「うそっ」


レイ「ぽかぽか・・・ぽかぽか・・・」


アスカ「・・・けっ・・・・・・」


アスカ「汚らわしいわよ!・・・なによっ!!頬なんか染めちゃってさ!!」


アスカ「男なんて、ケダモノなのよっ!?」


レイ「そんなこと、ない」

レイ「碇くんは、私に優しく教えてくれた」


レイ「私、初めてだったから」


レイ「後ろから、優しくしてくれた」


レイ「手を添えて、握ってくれた」


レイ「とても温かかった」


アスカ「あああああああああああああ」


レイ「・・・あなたは、してもらったことないの?」

アスカ「あるわけないでしょっ!!」


レイ「そう」


レイ「でも、もしかしたら私にしかあんなことしてくれないのかもしれない」


アスカ(・・・もう諦めるのよ、アスカ・・・)


アスカ(まさかあのバカとこいつが・・・すでに事を終えていたなんて・・・)


アスカ(しかも昨日・・・!私が孤独に過ごしていた時にこいつらは・・・!)


レイ「碇くんがいなきゃ、ケガしてたかもしれない」

アスカ「・・・ケガ・・・?」


レイ「そう、ケガ」


アスカ「ちょっと、なんでケガなんかすんのよっ」


レイ「初めてでもケガ、しないの?」


アスカ「ふっ、普通しないんじゃないの・・・?」


アスカ(エッチでケガするってどういうプレイよ・・・・・・)


レイ「私、包丁使うの初めてだったから」

アスカ「ほっ、包丁!!?」


アスカ(あのバカ!なんてことを・・・一体どんなプレイなの・・・!?)


アスカ(アブノーマルにもほどがあるわよっ!!)


シンジ「卵買ってきたよー」


アスカ「バカシンジ!!ちょっと・・・ちょっと・・・!!」


シンジ「ん?どうしたの」


アスカ「あんた、かわいい顔してなんっつーことしてんのよ!!」

シンジ「へ?なんのことだよ、アスカ」


アスカ「とぼけないで!!あんた、昨日えこひいきと包丁使って何やったのよ!?」


シンジ「何って・・・食材切ってただけだけど・・・」


アスカ「まだシラを切るの!?」


シンジ「ちょっ・・・とよくわかんないんだけど・・・」


アスカ「・・・あんたがそんな変態だったなんて・・・!最低っ!!信じらんない!!」


シンジ「綾波・・・どういうこと・・・?」

レイ「・・・よく、わからない」


シンジ「そんなぁ~・・・」


アスカ「だーかーらーっ!あんたが昨日えこひいきと包丁使ってどんなプレイしたのか聞いてんのよ!!」


シンジ「プ、プレイ!?・・・僕はそんなつもりじゃあ・・・」


アスカ「やっぱり心当たりあるんじゃない!!この変態!!」


シンジ「あっ、綾波が包丁初めて使うっていうから最初は見てたんだよ!!」


アスカ「ますます訳わかんないわ・・・」

シンジ(訳わかんないのはこっちだよ・・・)


シンジ「でも危なっかしいから僕が後ろから綾波の包丁握る手を押さえて」


シンジ「それで食材切ってただけだよ!僕はやましい気持ちなんて持ってなかったよ!!」


アスカ「なによ食材切るプレイって!!・・・・・・ん?食材??」


シンジ「そうだよ!僕が綾波を後ろから押さえて、料理に使う食材切ってただけだよ!!」


シンジ「それのどこが変態なんだよ!!!」


アスカ「・・・じゃあ、あんたとえこひいきはただ料理作ってただけってこと?」

シンジ「だからそうだって何度も言ってるだろこのば・・・」


アスカ「ば?」


シンジ「・・・バーモンドカレーも買ってきたから明日作ろう、綾波」


レイ「わかったわ」


シンジ「じゃあ綾波の家に置いといていいかな?」


レイ「かまわないわ」


アスカ「何話そらしてんのよこのバカ・・・」

シンジ「うっ・・・」


アスカ「・・・まぁ、いいわ」


アスカ(・・・なんだ、私の勘違いか・・・てゆうか)


アスカ「あんたが悪い!!」


シンジ「・・・綾波を指さしていきなり何訳のわからないことを・・・」


アスカ「あんたが思わせぶりなこと言うから勘違いしちゃったじゃない!!」


レイ「思わせぶり?」

アスカ「そうよ!意味深なことばっか言ってさ!!」


アスカ「あんなの誰だって勘違いするわよ!!」


レイ「・・・ごめんなさい。あんな気持ち、初めてだったから」


レイ「どう話したらいいのかわからなかったの」


アスカ「ま、わかればいいのよ・・・・・・」


シンジ「ねぇ・・・2人で何話してたの?」


「あんたには関係ない!」「碇くんには関係ないわ」

シンジ「あっ・・・・・・そ、そう・・・・・・」


アスカ「・・・さっ、バカシンジが卵買ってきたことだし」


アスカ「さっさと作ってよね!!お・ふ・た・り・さん!!」


シンジ「・・・ほんとに食べる為だけに来たんだ・・・」


アスカ「あったりまえでしょ!」


レイ「・・・・・・碇くん」


シンジ「あっ、うん。僕たちで作ろうか」

アスカ「・・・・・・」


レイ「私、今日はいいわ」


シンジ「え?」


レイ「私、今日は見てるから」


シンジ「えぇ~、僕一人ってこと・・・?」


レイ「ううん、違う」


レイ「碇くんは、彼女と一緒に作って」

アスカ「えっ、私?」


レイ「そう」


アスカ「なっ・・・いいわよ、私は・・・」


アスカ「あんた達2人で作ればいいでしょ!!」


レイ「・・・碇くんと、したくないの?」


アスカ「・・・・・・」


レイ「碇くんとの、共同作業」

レイ「碇くんとの、初めての」


アスカ「あーもうわかったわよ!!やればいいんでしょやれば!!」


アスカ「・・・ほんとにいいのね?」


レイ「ええ。私は・・・あなたにも、ぽかぽかしてほしいから」


レイ「碇くんと一緒に料理作って、ぽかぽかしてほしいから」


レイ「だからいいの」


アスカ「・・・・・・あ・・・ぁりがと・・・・・・」

シンジ(・・・・・・ぽかぽかってなんだ・・・?)


アスカ「・・・バカシンジ!」


シンジ「はっはい!!」


アスカ「私に・・・料理・・・教えてよね・・・」


シンジ「うん、でも綾波は」


アスカ「本人がいいって言ってるのになんでまた聞くのよ!バカ!!」


シンジ「ぅ・・・ごめん・・・」

アスカ「さぁ作るわよ~!まずは・・・・・・何すればいいの?」


―まずは食材を切ろうか― ―じゃあ玉ねぎはあんたがやってよね―


―それじゃあアスカは肉を細かくしてね― ―はいはーい―


―・・・うぅ・・・目がぁ・・・― ―しっかりしなさいよ―


レイ(・・・弐号機パイロットの娘・・・ぽかぽかするかな・・・)


アスカ「むー・・・」


シンジ「目が・・・・・・ん?ちょっ、アスカ!!」

アスカ「へ?」


シンジ「食材押さえるときに指先は丸めなきゃ危ないよ!」


シンジ「刃の向かう方向に不用意に指を置いちゃダメだよ・・・・・・」


アスカ「そ、そうね・・・」


シンジ「・・・・・・」


シンジ(危なっかしい・・・危なっかしすぎるよ・・・・・・)


シンジ「これはもう・・・・・・」

アスカ「ん?ちょっ!!あ、あんた、ちょっ」


シンジ「僕が後ろからアスカの手を押さえててあげるから」


アスカ「ちょおおおっ」


アスカ(近い!近い!近い!近い!!)


シンジ(・・・気持ち悪がられてもいい・・・でも、アスカがケガするのだけは阻止しないと・・・)


アスカ(と、吐息が・・・・・・しかもこんなに体が密着・・・・・・)


アスカ(おまけに私の両手をシンジが優しく握っているこの状況・・・)

アスカ(耐えるのよアスカ・・・耐えるのよ・・・)


シンジ「ほら、こうやって両脇は軽く締めて」


アスカ「ぁんっ・・・」


シンジ「・・・どうしたの?」


アスカ「なんでも、ないわ・・・」


アスカ(まさか声が出るとは・・・しかもちょっと色っぽい感じで・・・)


アスカ(恥ずかしい・・・・・・)

シンジ(・・・なんだ今の声・・・妙に色っぽかったような・・・)


シンジ(ま、気のせいかな。アスカに限ってそんなことするわけないしね)


レイ(2人とも楽しそう・・・・・・よかった)


―――
――



シンジ「できた・・・」


アスカ「早く食べましょう!!」


アスカ(・・・しかしバカシンジのやつ、あんなことするなんて意外と大胆なのね・・・)

アスカ(・・・・・・私ったら、まだ胸がどきどきしてるし・・・・・・)


アスカ(これは一生の思い出になるわね・・・・・・!)


シンジ(・・・アスカ、顔がにやけてる・・・)


シンジ(きっとお腹すいて我慢の限界だから、目の前の料理を見て口元がゆるんでるのかな)


レイ「おいしそう・・・・・・」


シンジ「あぁ、綾波のオムライスは肉入ってないから安心してね」


レイ「ごめんなさい。肉、食べれなくて」

アスカ「ま、人には好き嫌いがあるからしょうがないわね」


シンジ(アスカ、前は残さず食べつくせって説教してたのに・・・)


シンジ(寛容になったなぁ・・・・・・)


シンジ「それじゃあ食べよう!」


「いただきます」「いっただっきまーす」「・・・いただきます・・・」


アスカ「・・・自分で作っといて言うのもなんだけど、おいしいわね」


シンジ「うん、すごくおいしいよ!」

レイ「・・・おいしい」


シンジ「アスカのおかげだよ、ありがとう」


アスカ「っ・・・ふんっ。私とあんたで作ったんだからおいしくなるのは当然よ」


アスカ(・・・初めての共同作業よね、これ・・・・・・)


アスカ(ふっ・・・ふふふ)


シンジ(・・・よかった。アスカ、凄い嬉しそう)


レイ(きっと彼女も・・・ぽかぽかできたのね・・・)

シンジ「ねぇ、綾波」


レイ「なに、碇くん」


シンジ「昨日言い忘れたんだけどさ、綾波の手って凄い綺麗だよね」


レイ「・・・毎日キ〇イキ〇イ使って、手、洗ってるから」


シンジ「いや、そういう意味じゃなくて・・・」


レイ「?」


シンジ「だからさ、僕がいない時に包丁使って料理の練習とか今はしてほしくないんだ」

シンジ「その綺麗な手をケガしたら大変だから・・・」


レイ「!・・・ぁ、ありがとう・・・・・・」


アスカ「私は!?」


シンジ「わっ・・・どうしたの、いきなり」


アスカ「私も料理の練習するときに包丁使っちゃダメ、かな・・・」


シンジ「アスカ、料理なんかするの?」


アスカ「するわよ!これから・・・」

シンジ「アスカもまだ危なっかしいから、包丁使うのは僕がいるときだけね」


アスカ「じゃあ・・・また教えてよね・・・・・・」


シンジ「わかったよ」


アスカ(やった!)


シンジ(アスカ、あの後ろから僕が密着して教えるの・・・嫌じゃなかったのかな?)


レイ(ぐぬぬ・・・)


―――
――

「「「ごちそうさまでした」」」


シンジ「はーっ、おいしかった」


アスカ「ほんとねー」


シンジ「・・・さて、食器も洗ったしそろそろ帰ろうかアスカ」


アスカ「・・・そうね、もうすぐ7時だし」


シンジ「じゃあ綾波、また明日!」


レイ「ええ、また」

アスカ「じゃあねー」


レイ「・・・さよなら」


レイ(・・・・・・彼女、一途なのね・・・・・・)


レイ(でも、明日は私が碇くんとぽかぽかしたい・・・)


レイ(彼女は葛城一佐の家で碇くんを独占できるのだから)


レイ(私の家では私が独占したい・・・・・・)


レイ(・・・・・・こんな気持ち、初めて・・・・・・)

――


アスカ「・・・ねぇ、バカシンジ」


シンジ「なに?」


アスカ「明日も私行くから」


シンジ「うん、わかった」


アスカ「それと・・・・・・」


アスカ「・・・明日は、えこひいきと2人で料理作りなさいよね」

シンジ「え?・・・・・・うん・・・」


シンジ(アスカのことだから、てっきり明日も私と作ろうって言ってくるのかと思ったけど)


シンジ(変わったな、アスカ)


アスカ(・・・えこひいき・・・最初はいけ好かない奴だと思ってたけど)


アスカ(意外といいとこもあるのね・・・・・・)


アスカ(ま、シンジを独占していいのは私だけだけどね!)


アスカ(明日のバカシンジはゆずってやるわよ、レイ)


―――
――

シンジ「あれ?鍵が開いてる・・・・・・もしかして!」


アスカ「ミサト帰ってたんだ、早かったわね」


ミサト「シンジくぅん・・・・・・ごはんわぁ~・・・?」


アスカ「食べてきたわよ、えこひいきのとこでね!」


ミサト「・・・レイから聞いてるわ・・・」


アスカ「なんだ、知ってたの」


シンジ「綾波から?電話きたんですか?」

ミサト「ちょうどさっきね、2人のご飯はいりませんからって」


ミサト「きっと私が家でみんなのご飯作ってると思ってんのね、レイは・・・」


ミサト「・・・オムライス、おいしかった?」


シンジ「ええ、とっても」


ミサト「・・・私も食べたかったぁ~~~!」


アスカ「今日は帰り遅くなるから食べてくるって言ってたじゃない!」


ミサト「実は、仕事が予想以上に早く終わってね・・・」

ミサト「この時間ならシンジ君の作るおいしい晩御飯に間に合うと思って、電話もかけずに急いで帰ったのよ」


ミサト「そしたらね、2人ともいなくて・・・」


ミサト「まぁ帰ってきた直後にレイから電話があったから2人がもうすぐ帰ってくるのはわかったけど」


ミサト「仕方ないから今日はすぐに作れるカップ麺で我慢しようと思ったら・・・」


ミサト「一昨日買ったカップ麺が無くなってて・・・」


アスカ「あ」


ミサト「・・・とにかく今日は疲れて今から外出するのも面倒だったから家にある他のものでね」


ミサト「夕飯済まそうと思ったらほとんど何もないのよ、これが」

ミサト「しかもご飯も炊いてないみたいだったからね?冷凍食品のえびシューマイとビール」


ミサト「そしておつまみの柿ピーで夕飯を済ませようとしてたところよ」


シンジ「・・・そういや冷蔵庫の中、ビールと冷凍食品以外ほとんど何もなかったんだった・・・」


シンジ「ごめんなさい・・・」


ミサト「いいのよ、何も買わないで帰ってきた私が悪いんだから・・・・・・」


シンジ「僕、今から買ってきます!」


シンジ「何か食べたいものありますか?」

ミサト「うぅ~ん・・・なんかパスタ的なものが食べたいわ~~」


シンジ「わかりました!じゃあ他にも色々買ってきますから!!」


アスカ「じゃあ私も行くわ、ミサトは?」


ミサト「えぇー、めんどくさーい」


ミサト「それにぃ、若い2人の邪魔なんてしないわよ~」


ミサト「2人の夜のお買いものデート?なんてね~~」

アスカ「早く行きましょ」


シンジ「そうだね」


ミサト「・・・・・・スルーは、お姉さんでもちょっとキツイかなぁ~なんて・・・」


―――
――



シンジ「ただいまー、ミサトさん。ナポリタン買ってきましたよ」


ミサト「ありがとうねぇー!!ほんっとうに!!」


シンジ「じゃあ温めますね。アスカは買ってきたもの冷蔵庫に入れといてよ」

シンジ「僕は風呂沸かしたりするから」


アスカ「はいはーい」


ミサト「シンちゃん、本当にいつもすまないわねぇ・・・」


ミサト「これはお礼よぉ、ひっくぅえ」


シンジ「へ?」


アスカ「ちょっ、離れなさいよミサト!」


ミサト「いーーやーー」

シンジ「ちょちょおちょちょちょ」


シンジ(胸の感触が背中に・・・!)


シンジ(これで酒臭くなけりゃ完璧なんだけどなぁ)


アスカ「バカシンジもなにまんざらでもなさそうな顔してんのよ!!」


シンジ「いやぁ、だって・・・えへへ」


アスカ「もうっ、バカっ!!」


アスカ(ミサトに嫉妬とは、私の独占欲って相当なものね・・・)

アスカ(みてなさいバカシンジ!いつか必ず私のものにしてみせるんだからっ)


シンジ(・・・この街に来て、嫌なこととか辛いこともあったけど)


シンジ(こういう楽しい時間を過ごせて本当に幸せだな、僕は)


シンジ(明日は綾波とのカレー作りかぁ・・・)


(楽しみだなぁ、早く明日にならないかな)(楽しみ・・・早く会いたい、碇くん)



つづかない

終劇

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