千早「私は輝きの向こう側へ行けなかった」 (38)
ネタバレなし
書きためなしの短編
春香はあの日もいつものように笑いかけてくれた
春香の笑顔はいつも私を励ましてくれた
私はそんな春香に依存していたのかもしれない
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春香は素直でよく笑う子だ
その笑顔は見る人を幸せにする
だからみんなは自然と春香を中心に輪を作っていく
春香はプロデューサーのことが好きだ
それは友人としてではなく異性として…
でもプロデューサーのことを好きなのは春香だけではない
みんなプロデューサーのことが好きだった…
あの日…あんなことさえなければ…
春香は壊れなかったのかもしれない
私達765プロはプロデューサーがくるまでは仕事もない弱小プロダクションと呼ばれても仕方のないものだったと思う
でもプロデューサーが来てからみんな変わったわ
少しずつ仕事が増えて、プロデューサーのことを信頼していなかった子たちも徐々に彼に好意をよせていったわ
私達765プロの目標はトップアイドルになること
美希も言ってたけどみんながライバル
そして…みんなが掛け替えのない仲間だと思っているわ
私達で最初に芽が出たのは律子率いる竜宮小町
みんな彼女たちがテレビに出る姿を羨望の眼差しで見ていたわ
でもただ憧れていたわけじゃないの
いつかそこに追いつきたい
自分たちもステージに立って歌いたい
みんなそんな感情を抱いていたわ
少しずつ仕事をしているうちにだんだん大きな仕事を貰えるようになってきたわ
そして春香と美希が舞台に出演することが決まったの
プロデューサーはとても喜んでいたわ
そしてあの日が…やってきてしまった
それは事故だ
決してあってはならない事故だった
春香が舞台上で稽古をしているとき、下がってるハズのないセリが下がっていたらしい
春香はそれに気付かず足を踏み外したのだと
春香を助けようとしたプロデューサーが代わりに落ちたのだと
そして…プロデューサーは頭を打った即死だった
その日を境に春香の顔から笑顔が消えた
誤 頭を打った
制 頭を打って
制→正
ミスった…
その場にいた美希はつい春香を責める言葉を言ってしまったらしい
春香が悪いわけではないのは美希だって分かっている
でも耐えられなくて口に出してしまったのだと後から律子に聞いた
美希は春香を傷つけてしまったことをとても後悔していた
そして美希は自責の念に耐えられず心を閉ざしてしまった…
それから美希が事務所に顔を出すことはもうなかった
プロデューサーの居なくなった765プロは…
美希を失った765プロは静かに壊れていった
美希の来なくなった次の日、水瀬さんが事務所を辞めた
そして水瀬さんに続き、高槻さん、亜美真美、我那覇さんが辞め、四条さんあずささんが消えた
残ったのは私と真と萩原さん律子に音無さん、そして…笑えない春香だけだった
正確には春香は精神病棟に入院している
私が呼んでも、真や萩原さんが必死に呼びかけても反応はない
きっとプロデューサーの声しか届かないのではないか…
でも、もうプロデューサーはいない
プロデューサーが亡くなってから半年が過ぎた頃、病院から春香の意識が戻ったと連絡があった
私はいてもたってもいられなくなり、春香の病室にすぐに向かったわ
でも…わたしが…病院についたとき…
春香は既に死んでいた…
意識を取り戻してすぐ窓から飛び降りて自殺したのだと病院の先生から聞いたわ
そして春香の葬儀を終え萩原さんは真と一緒に消えた…
律子は春香の死んだ日からプロデューサーのお墓の前から動かない…
社長は責任を感じて自宅で首を吊って自殺したと週刊誌に載っていたわ…
この事務所には今はもう私と音無さんしかいない
あの楽しかった、笑顔で溢れていた765プロはもうどこにもない…
そして私も765プロを去る
音無さんには伝えずに小さく会釈をして事務所の扉を開けた
そしてさらに1年がたった…
音無さんは今でも静かになった事務所でみんなの帰りを待ち続けているらしいと風の噂に聞いた
ねえ優?
私はいったいどうすればよかったの?
どうすれば親友を守ることができたの?
ねえプロデューサーはどう思いますか?
プロデューサーならどんな言葉を春香にかけてあげましたか?
ねえ春香…?
もし貴方と私が反対の立場なら貴方は私にどんな言葉をかけてくれたかしら…?
でもごめんなさい…
私には何も貴方にしてあげることはできなかったわ…
だから…
せめて春香…
あなたがさみしくないように側にいてあげる
待っていて…今行くから
こんなことしか出来ない私を許して欲しい
如月千早
終わりです
アイマスでバッドエンドなんて許さないから!
目指すはトゥルーエンドだから!
だから>>14からリロードする!!
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