シェゾ「お前などいらん!」アルル「……え?」(74)

シェゾ「全く、魔導書の処分セールというから大量に買ってみたものの偽物ばかりじゃないか!」

シェゾ「これで最後の本か。あの金魚め! もし全部役に立たなかったら今度会った時に刺身にしてやる!」

シェゾ「さて……タイトルが掠れて良く読めんな」ヒョイ

シェゾ「なになに? 『男性必見! 女性を■■せる■力を上げる100の方法 ギャップモエ編』?」

シェゾ「……ふん。大方『倒せる魔力を上げる』と言ったところか。闇の魔導師たるこの俺にはふさわしいな!」パラッ

数時間後

シェゾ「ふむ、所々理解出来ない記述があったが大体は暗記した」パタン

シェゾ「しかしなぜ女性に限定しているんだ?」

シェゾ「相手のパターンに合わせた方法も有ったのは助かるが『モエ』という単語もよく分からん」

シェゾ「恐らくは『燃え』つまり炎系の魔法の事だとは思うが…」

シェゾ「……」

シェゾ「まあいい。では早速魔力を上げに行くとするか!」バッ

シェゾ「待っていろ女共! 俺の(魔力を上げる)ために尽くしてもらうぞ!」

シェゾ「さて、誰か居ないか?」キョロキョロ

シェゾ「ん?」

ウィッチ「おいっス!」

シェゾ「ウィッチか」

ウィッチ「ええ。丁度良かった。わたくし、あなたに用がありましてよ」

シェゾ「偶然だな。俺も探していた」

ウィッチ「あ、あら? あなたが、わたくしを、ですか?」

シェゾ「ああ(正確には女なら誰でも良かったんだが)」

ウィッチ「そ、そう……コホン。まあいいですわ。ではわたくしから要件を言わせてもらいますわよ」

シェゾ「ああ」

ウィッチ「では……あなたが欲しいっ、ですわ!」

シェゾ「いいぞ」

ウィッチ「もとい、あなたのうぇ!?」

シェゾ「ん?」

『相手の女の子が何かおねだりしてくる魔女っぽい子ならいつもと反対の返しをしてあげましょう』

『ホイホイ聞いているなら断る、相手にしていないならすんなり聞いてあげる。そんな普段と違う貴方の姿がギャップモエです』

シェゾ(確かそんな内容だったな)

ウィッチ「シェシェシェシェゾ!? わたくし今あなたが欲しいといったのですのよ!? 」

シェゾ「ああ分かってるぞ」

ウィッチ「」

シェゾ(どうせこいつの事だから服か髪だろう。いつもならば断るがこれで魔力が上がると言うならくれてやる)

ウィッチ「ほ、ホントにいいんですの? も、もらっちゃいますわよ?」

シェゾ「変な事をしなければな」

ウィッチ「で、では……」スッ

シェゾ(……なぜコイツは俺の頬に手を添えてるんだ?)

ウィッチ「ちょ、ちょっと目をつぶって下さいまし!」カアア

シェゾ「ああ、すまん(なるほど。欲しいのはまつ毛か)」パチ

ウィッチ「……」ドキドキ

シェゾ「……」

ウィッチ(……やっぱり綺麗な顔してますわね)

シェゾ「……」

ウィッチ「……」ソー

シェゾ「……」

ウィッチ「……(も、もう少し!)」ドキドキ

シェゾ「…おい、まだか」パチ

ウィッチ「あ……」

シェゾ「うぉ! 顔近っ!」

ウィッチ「あ、わ、め、メテオ!」チュドーン

シェゾ「ぎゃああああ!」

ウィッチ「きょ、今日はこれくらいにしておきますわあぁぁぁ!」ドップラー

シェゾ「」バタンキュー

シェゾ「いてて。全くなんだったんだウィッチの奴」サスリサスリ

シェゾ「結局魔力も上がっていないようだし失敗したか?」

シェゾ「仕方ない。次の奴を探そう」テクテク

シェゾ「ん?」

ルルー「やっ! はあっ!」

シェゾ「あれは…ルルーか。アイツには魔力はないがまあいいか」

ルルー「せいっ! とうっ! 破岩掌!」

シェゾ「よおルルー」

ルルー「あらシェゾ? 何よ? 今私はサタン様のために身体を磨きあげている途中なのよ?」

シェゾ「お、おお」チラッ

大岩ダッタナニカ

シェゾ(相変わらずとんでもない筋肉女だな)

ルルー「それで? 何か私に用かしら?」

シェゾ「いやなに、ちょっとお前と話をしようと思ってな」

ルルー「は? 何ヘンタイ? お子様アルルだけでなくついにこの超絶美女の私にまで手をだそうというの?」

シェゾ「誰がヘンタイだ! 俺はアイツの魔力が欲しいだけだ! そもそもお前は魔力ないだろうが!」

ルルー「うるさいわね! 私には魔力がないことを帳消しにするほどの美しさがあるからいいのよ!」

シェゾ「何をっ……いや、確かにそうだな」

ルルー「は?」

シェゾ「お前は美しい」

ルルー「はあぁ!?」

『いつも喧嘩ばかりしている力自慢な女性が相手ならたまには褒めまくってみましょう。出来る限り全肯定で。普段と違い戸惑い赤くなる姿は間違いなくギャップモエです』

シェゾ(しかし相手の条件が嫌に具体的だな)

ルルー「ど、どうしたのよ!? なに? ホントに気が狂ったわけ?」

シェゾ「なぜそうなる? ただ単にお前は美人だなと思っただけだ」

ルルー「」

ルルー(な、なんなのコイツ? 調子狂うわね…。 さてはまた変な呪いでも受けたのかしら?)

ルルー(まあ……褒められて悪い気はしないわね)

ルル―「……ふ、ふふん! 当然よ! なら私とアルル、どちらがサタン様の妃に向いてると思うかしら?」

『とにかく褒めましょう! そう思ってなくても褒めましょう!』

シェゾ「ルルーだな」

ルルー「おーっほほほ! その通りよ! アルルみたいなお子様と違ってこの私の方がずっと女らしいもの」

シェゾ「ああ。お前の方が綺麗で女らしい」

ルルー「あら? なら私の方が貴方は女性として見ていると言う事?(ま、そんなことあるわけないでしょうけど)」

『あとの事など考えずに全肯定!』

シェゾ「ああ」

ルルー「」

ルルー(え? 何? 実はシェゾったら私の事を?)

ルルー(駄目よ! 私が愛をささげる相手はサタン様と決まっているのよ!)

ルルー(……でもシェゾって黙っていればかなり美形なのよね)

ルルー(っは!? 何を考えているのルルー! 私の愛はそんな揺らぐものではなくてよ!)

シェゾ「ルルー?」

ルルー「残念だったわねシェゾ! 貴方の想いは届かなくてよ!」

シェゾ「はあ?」

ルルー「悔むのならばサタン様に心を奪われる前の私に出会えなかった己の運命を悔みなさい」

『全肯定!』

シェゾ「…そうだな。先に会えば良かったな」

ルルー「…くっ。ちょ、ちょっと用事を思い出したわ! 失礼するわね!」ダダダ

シェゾ「あ、おい」

シェゾ「……なんだ、全く」

シェゾ「おかしいな。ウィッチはともかくルルーには問題なく出来ていたはずなんだが」

シェゾ「もしやあの本も偽物か?」

シェゾ「……次の奴でどうなるかで決まるな」

シェゾ「っと考え事をしていたらいつの間にか水辺まで来ていたな」

シェゾ「確かここには……」

セリリ「あ! シェゾさん!」

シェゾ「セリリ、久しぶりだな」

セリリ「はい。今日はどうされたんですか? もしかして私に会いに来てくれたんですか?」パシャパシャ

シェゾ「あー、そうだな。お前に会いに来た」

セリリ「ホントですか!? 嬉しい…」

シェゾ(えーっと魔導書には確か)

『相手の子が引っ込み思案で泣き虫で他の人と比べて自分と話す時は笑顔になる子ならパターンは二つ。

1つはいつも優しく相手をしているならば敢えて意地悪をして落とすとこまで落としてみる。その姿に新しい自分が発見できるかも』

シェゾ(つまりコイツを虐めろと)チラッ

セリリ「シェゾさんが私に会いに…」ニコニコ

シェゾ(……無理!)

(いや別にヘタレた訳じゃなくてわざわざコイツを虐める理由がないだけだからな!)

シェゾ(となると二つ目の案は……)

シェゾ「セリリ」

セリリ「はい? なんです……」

シェゾ「……」ギュウウ

セリリ「」

セリリ(……へ? え? あう? 私いまシェゾさんに抱きしめられてる?)

シェゾ「……」ギュウウ

セリリ「あ、あの…シェゾ、さん?」

シェゾ「……セリリ」

セリリ「ひゃい!?」

シェゾ「…………(冷たい声で)貴様が欲しい」

セリリ「……」

セリリ「……!?」

セリリ「」キュウ

シェゾ「お?」

『2つ目は黙って抱きしめてしばらくして名前を読んであげましょう。ついでに相手を求めちゃいましょう』

『いつもと違い積極的な貴方の行動に一発で落ちる事間違いなしです』

シェゾ「確かにセリリ(の意識)は落ちたが魔力は特に上がってはいないぞ?」

シェゾ「くそ! 薄々感づいていたがやはりあの魔導書はインチキか?」

シェゾ「おい、セリリ起きろ」

セリリ「」

シェゾ「駄目か。仕方ない、置いていくか」スッ

シェゾ「……」スタスタ

セリリ「うーん、シェゾさん///」

シェゾ「……」ピタッ

シェゾ「……」クルッ スタスタ

シェゾ「ふん!」バサッ

シェゾ「別に深い理由は無いからな。顔も赤かったしそのままだと風邪をひきそうだからマントを掛けてやっただけだからな!」

シェゾ「……誰に言ってるんだ俺は?」

シェゾ「全く結局魔力はぜんぜん上がらないし時間を無駄にしたな。あの金魚め! 覚えてろ!」プンスカ

シェゾ「……帰るか」

アルル「あ、シェゾだ」

シェゾ「ん? 何だアルルか」

アルル「なんだとは酷いなーシェゾは。あれ? マントつけてないけどどうしたの?」

シェゾ「お前には関係ない」

アルル「えー? 気になるなあ」ジロジロ

シェゾ「……」

シェゾ(……どうするか。ここでコイツの魔力をもらってもいいが今日はやる気が起きん)

アルル「……? シェゾ?」

シェゾ(しかし会って何もしないと言うのも勿体ないか。どうせインチキだろうが最後に試してみるか)

アルル「あれ? どうしたの黙っちゃって? あ! さてはまたボクの魔力を狙ってるな!?」

シェゾ「……いや」

シェゾ「お前などいらん!」

アルル「……え?」

『いつもこちらの要求を拒む元気いっぱいな相手には逆にこちらから接触を絶ちましょう。いつもと違う貴方の態度にギャップを感じた相手は向こうから迫ってきます』

アルル「あ、あは、それってボクの『魔力』がいらないってことだよね?」

シェゾ「ああ」

アルル「ふーん、そっかあ。ついにボクの魔力を諦めたんだ。じゃあ今度っからは普通に会える訳だね!」

シェゾ「いや。魔力を奪う必要がない以上お前にはもう用は無い」

アルル「……え?」

シェゾ「じゃあな」

アルル「ちょ、ちょっと待って!」

『迫ってきたらさらに冷たくあしらってみましょう。こう、まるで心が闇に支配された魔導師のような感じで!』

シェゾ(セリリならともかくアルルなら問題ないだろう)

シェゾ「何だ?」

アルル「冗談だよね? もう会わないとか。だってそんな理由ないじゃん?」

シェゾ「用がないのに会う必要こそ何処にある?」

アルル「えっと、ほら! お話したり、一緒に遊んだり、ご飯食べたり勝負したりとか!」

シェゾ「そんなことをしてどうする?」

アルル「」

シェゾ「お前だって俺に付きまとわれて迷惑だと言っていただろう」

アルル「それは……確かに言ったけど」

シェゾ「もう会うことも顔を見る事もないんだ。じゃあな」スタスタ

アルル「あっ……」

シェゾ(さて、これで魔力が上がらなかったら明日にでもアルルから魔力を奪うか)

アルル「」ギュ

シェゾ「ん?」

シェゾ「なんだ。離せ」

アルル「……るから」ボソッ

シェゾ「…なに?」

アルル「……あげるから」

アルル「あげるから。全部あげるから」

アルル「魔力でも何でもボクの全部をキミにあげるから」ギュウウ

アルル「だからお願いシェゾ」グスッ

アルル「ボクの事を嫌いにならないで!」ウルウル

シェゾ「」

次の日

シェゾ(あの後上目づかいのアルルがあまりにも可愛かったから抱きしめて『俺がお前を嫌いになるわけないだろう』と言ってしまった)

シェゾ(お互い顔を真っ赤にしてそのまま二言三言話して分かれたが何を言ったか覚えていない)

シェゾ「くそ! 魔力を奪う絶好の機会だったのに!」

シェゾ「全く、こんなインチキ本め! 魔力など全く上がらなかったじゃないか!」バン!

シェゾ「……ん? 後書き?」

『この度は男性必見! 女性を落とせる魅力を上げる100の方法を手に取っていただきありがとうございます』

シェゾ「……おい! 魔導書ですらないぞあの金魚!」

シェゾ「くっそー!」

シェゾ「しかも何だ。この『あまり多用すると修羅場になります』だと?」

シェゾ「こんな本の事など信じられるか。大体昨日のでどうして修羅場なんかになるか」



ウィッチ「昨日はつい逃げてしまいましたけど、本人の了解もあった事ですし家へ連れて行っても問題ないですわね///」テクテク

ルルー「サタン様用に作ったカレーがつい余ってしまったから捨てるのももったいないし誰かにあげようかしら。別に誰とは決めてないけど」テクテク

セリリ「シェゾさんが掛けてくれたマント、お返ししないと。そ、それに昨日の返事も返さないと///」フワフワ

アルル「えへへ、シェゾったら最後にあんな事いうんだもんなー。もう困っちゃうなー///」テクテク

ウィッチ「あら」

ルルー「む」

セリリ「あ」

アルル「え」



その後どうなったかは神のみぞ知る


終わりです
これ見てネタが浮かびました。
魔導のシェゾのフラグはいつみてもニヤニヤします

とりあえずセガは早くセリリを出せ
なんですけとうだら出してんのにセリリを出さない!
シェゾセリリすけとうだらの三角関係はよ!

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