アスカ「スナオニナレール?」(270)
木曜日
―――NERV本部 ミサトの部屋
ミサト「そうよ!このリツコが開発したスナオニナレールを飲んだらどんな意地っ張りでも素直ないい子になっちゃうの!」
アスカ「ふーん」
ミサト「まだ試作段階ではあるんだけどリツコ曰く効き目はバッチリだそうよ!」
アスカ「へー」
ミサト「そこでアスカ!」
アスカ「嫌よ」
ミサト「お願い!人助けだと思って」
アスカ「イ・ヤ!」
アスカ「相談あるって言うから来てみたら私にモルモットになれって言うの!?」
ミサト「かわいいじゃない、モルモット」
アスカ「そういう問題じゃないわよ!」
ミサト「ホントお願い!アスカが適任なのよ!」
アスカ「誰が意地っ張りよ!私まだ死にたくないもん!」
ミサト「心配しなくても毒性はないわよ、ちょっち甘いらしいし」
アスカ「実験したいならリツコでもミサトでも飲めばいいじゃない!」
ミサト「ほらー、あたしもリツコも結構歯に衣着せぬっていうかースパーッと物事言っちゃうタイプだしー」
アスカ「だから私じゃなくても……」
ミサト「お願い!アルバイト代出すから!3万円!」
アスカ「うっ」
ミサト「それになーんでもおいしいもの食べに連れてってあげる!約束するわ!」
アスカ「……ホント?」
ミサト「あたしを信じなさい」ドンッ
アスカ「……じゃあ、飲む」
ミサト「ありがとーアスカ!」
アスカ「……うう」チャプン
ミサト「ささ、グイッと」
アスカ「うっさいわね……」
アスカ「……ホントに変な物入ってないでしょうね?」
ミサト「リツコを信じなさい」
アスカ「……」
ミサト「……」ドキドキ
アスカ「……ていっ!」グイッ
ミサト「おおっ!」
アスカ「……」ゴックン
ミサト「どう!?」
アスカ「……うええ甘すぎ……いちご味」
ミサト「あ、そうなの」
ミサト「で、何か変化はあった?」
アスカ「そんなに即効性なの……?……なんともないけど」
ミサト「あたしのこと、どう思ってる?」
アスカ「3万円よこしなさいよ」
ミサト「あ、ごみーん!今手持ちがないのよ」
アスカ「……」ギロリ
ミサト「し、心配しなくても今日家に帰ったら渡すから!」
アスカ「だましたのかと思ったじゃない……ミサトのバカ」
ミサト「いや、申し訳ない」
ミサト「体調悪くなったりしてない?」
アスカ「なんともないわよ、ただの甘すぎるイチゴジュース飲んだ感じ」
ミサト「なーんだ、そうなの」
アスカ「リツコもたまには失敗するのね」
ミサト「そうなのかしら……?」
アスカ「ま、でもイチゴジュース飲んで3万もらえておいしいもの食べさせてくれるんだったら得した気分よね!」
アスカ「シンジの料理以上においしいものなんてないけどどこに連れてってもらおうか考えとこーっと!」
ミサト「え」
アスカ「じゃあシンジが待ってると思うから私帰るね、バイバイミサト!」
ミサト「え、ええ、ご苦労様。あたしもう少し残るから晩御飯先に食べててね」
アスカ「はーい、あとで3万円よこしなさいよー!」 プシュッ
ミサト「……おやおや?」ニヤリ
アスカ「なんか身体が熱いわね…」
ミサト「(始まったわね…ふふふ)」
アスカ「ちょ、ちょっとトイレに行ってくるから待ってなさいよ!」
アスカ「なによ…股間が…熱い…」
―――ミサト宅
プシュッ
シンジ「アスカ、おかえり!」
アスカ「ただいまシンジ!会いたかった!」
シンジ「え?」
アスカ「あ!いいにおい!今日はミートソーススパゲティ!」
シンジ「え、うん、そうだよ」
アスカ「もうおなかペコペコ!手洗ってくるからすぐ食べよ!」パタパタ
シンジ「……」
シンジ「いただきます」
アスカ「いただきます」
モグモグ
シンジ「どうアス」
アスカ「おいっしーー!!」
シンジ「えっ?」
アスカ「すっごいおいしい!こんなおいしいミートソース食べたことないわ!」ガツガツ
シンジ「そ、そう?よかった」
アスカ「まあシンジの作るものならなんでもおいしいんだけどね!」ガツガツ
シンジ「あ、ありがとう……」
アスカ「おかわりある?」
シンジ「あ、うん、皿貸して」
アスカ「ありがと、シンジ!」
シンジ「……」
アスカ「ごちそうさまでした!」
シンジ「ごちそうさまでした」
アスカ「シンジ」
シンジ「なに?」
アスカ「いつもおいしいご飯を作ってくれて、ありがとう」ニコッ
シンジ「い、いや」ドキッ
アスカ「お皿持っていっとくね?」ガチャガチャ
シンジ「……」
アスカ「そういえばペンペンは?」
シンジ「え、先にご飯食べてもう部屋で寝てるんだと思うけど……」
アスカ「あ、そう。じゃあ私部屋にいるから、お風呂で来たら呼んでね!」スタスタ
シンジ「わ、わかった……」
シンジ「……」
プシュ
ミサト「ただいまー、あ、今日はミートスパ?」
シンジ「ミサトさん!」ドタドタ
ミサト「うわ、どしたのシンちゃん」
シンジ「アスカが!アスカがおかしいんです!」
ミサト「おかしいって……あー……」
シンジ「何か知ってるんですか!?」
ミサト「あのー……ちょっちね……」
アスカ「ミサト帰ってきたのー?」ガラッッ
ミサト「ただいまアスカ」
アスカ「おかえり!3万円!」
シンジ「何の!?」
ミサト「はいはい、どーぞ」
シンジ「あげるの!?」
アスカ「どーも!シンジ、お風呂は?」
シンジ「う、は、もうすぐできるよ」
アスカ「そう、ありがとシンジ!」ニコッ
シンジ「はぐっ」
ミサト「」ニヤニヤ
アスカ「もうこのまま入るわ、じゃあね」スタスタ
シンジ「……」
ミサト「さぁーって、ごはんにしましょ」
シンジ「ミサトさん!」
シンジ「スナオニナレール?」
ミサト「そーよー、アスカはその被験者やってくれてんのよ」
シンジ「それで3万円ですか……」
ミサト「素直になってるでしょー?」
シンジ「確かにそうですけど、なんか落ち着かないですよ……」
ミサト「いいじゃない、今のうちに素直なアスカを楽しんどきなさい」
ミサト「それともシンちゃんも飲む?スナオニナレール」
シンジ「遠慮しておきます」
ミサト(シンちゃんの本音も気になるんだけどなあ)
ミサト「ま、なんにしろ今のアスカは嘘偽り無い本心を喋ってる状態なのよ」
シンジ「はあ……」
ミサト「そのつもりで接して……」
prrrrrr prrrrrr
ミサト「あ、電話」カチャ
シンジ「僕、洗い物してますね」
ミサト「はい、葛城です」
リツコ『ミサト!』
ミサト「わ、リツコどうしたの?そんなあわてて」
リツコ『勝手に薬持っていったでしょ!?』
ミサト「え?だって被験者探してるって」
リツコ『ハァー……それはまだ先の話でまだ薬自体は調整段階だったのよ!』
ミサト「あらー……ごみん」
リツコ『もういいわ、それで薬はどうしたの?』
ミサト「えー、アスカに飲ませちゃった」
リツコ『アスカね、それでどれぐらい飲ませたの?』
ミサト「え?どれくらいって全部」
リツコ『』ガシャーン
ミサト「リツコ!大丈夫?」
リツコ『もう……あの薬は水で5倍に希釈しないとまずいのよ』
ミサト「あぁー……どおりで甘すぎるって」
リツコ『あんたねぇ……あれをなんだと思ってるの!?』
ミサト「え?素直になれる薬じゃないの?」
リツコ『何言ってんのよ!』
ミサト「ひい」
リツコ『アレは尋問等に使われる予定の一種の自白強要剤なの!』
ミサト「あたしは嘘がつけなくなるって聞いたけど」
リツコ『パーティーグッズじゃないのよ!』
リツコ『もういいわ、それでアスカは?体に異常とか見られない?』
ミサト「うーん……素直になったみたいだけど」
リツコ『そう……まずいわね……』
ミサト「何が?」
リツコ『本来希釈する薬を原液のまま、しかも全部飲んじゃったら嘘をつけなくなるだけじゃすまないわ』
ミサト「ど、どうなるの」
リツコ『もはや行動すらも、考慮も得ぬまま本能的に起こしてしまうようになる可能性があるわ』
ミサト「つ、つまり……何も考えてない子になる……ってこと?」
リツコ『そうなるわね』
ミサト「ど、どうしようリツコ」
リツコ『心配しないで、命に問題があるということはないわ』
リツコ『とにかくアスカが暴走しないよう気を付けてね、あなたの責任よ』
ミサト「分かったわ」
リツコ『それから明日学校終わりでいいから本部に来るように言っておいてね、念のためシンジくんもよ』
ミサト「ええ」
リツコ『じゃあ、よろしく』プツッ
シンジ「リツコさんですか?」ジャー
ミサト「え、ええ」
ミサト(聞かれてなかったかしら)ドキドキ
シンジ「まったくリツコさんもよく分からないもの作りますよねー」ジャー
ミサト「う、うーん、そうねー」
シンジ「スナオニナレールなんて、父さんの指示かな」カチャカチャ
ミサト「ど、どうかしらねー」
ミサト(確かにあんなもの、なんで作ったのかしら)
アスカ「シンジー!!」ドタバタ
シンジ「うわ!アスカ!バスタオル一枚で!」
アスカ「髪を乾かしなさい!」
シンジ「分かったから服着てよー!」
ミサト「……」
――夜
アスカ「シンジ!今日一緒に寝るわよ!」
シンジ「は?なんで?」
アスカ「私が寝たいからよ!反論は無しよ!」
シンジ「そ、そんなあ……ミサトさぁん」
ミサト「シンジくん、今のアスカは嘘偽り無いありのままのアスカよ、逃げちゃダメ、受け入れなさい」
シンジ「本気ですか……?」
アスカ「行くわよシンジ!ただしあんたの部屋だからね!」グイグイ
シンジ「ひぃぃぃぃ」ガラ パタン
ミサト「シンジくん、ごめん」
―――シンジの部屋
アスカ「」スースー
シンジ「……」
アスカ「うーん……ムニャムニャ」
シンジ(嘘偽り無いって……)
アスカ「しんじぃ……」ギュッ
シンジ「!」ドキッ
アスカ「ウフフ……」スースー
シンジ(これずっとアスカの本心ってこと……?)
シンジ(いつまで続くんだろう……)ギンギン
金曜日
――朝
ミサト「おっはよ~」
アスカ「おはようミサト」ギュッ
シンジ「おはようございます……」ゲッソリ
ミサト「あら~?」ニヤニヤ
シンジ「朝ごはんと弁当出来てますよ……」
アスカ「私も手伝ったのよ!」フンス
ミサト「二人とも仲いいじゃな~い♪」
アスカ「当たり前じゃない、私シンジのこと好きだもん」スリスリ
ミサト「ふぇっ」
シンジ「た、食べましょう、ね?」
ミサト「そ、そうね、いただきます」イソイソ
アスカ「シンジは?」
シンジ「え?」
アスカ「シンジは私のこと好き?」
シンジ「え、え~と、その」
アスカ「そうよね、嫌いよね」
シンジ「いや、あの」
アスカ「今まであんなにひどいことしてきたんだもんね、嫌われて当然よね」
シンジ「」
アスカ「ミサト」
ミサト「ん、な~に?」モグモグ
アスカ「この家出てくわ」
ミサト「ブッ!?」
シンジ「ちょ、ちょっとアスカ!?」
アスカ「今までごめんねシンジ、離れても好きだからね」
ミサト「お、落ち着きなさいアスカ!」
アスカ「ミサト、おいしいお店には連れて行きなさいよ」
ミサト「その約束は忘れてないのね」
シンジ「待ってよアスカ!僕は……その……」
アスカ「何よ!素直になりなさいよ!」
ミサト(あんたが言うか)
シンジ「ぼ、僕は!僕も、アスカが……好き……です……///」
アスカ「ほんと!?嬉しい!」ギュッ
シンジ「ア、アスカ……///」
ミサト「ヒューヒュー」パチパチ
シンジ「ミ、ミサトさん……///」
アスカ「じゃあ行ってくるわ!」ギュッ
シンジ「ま、待ってよアスカぁ」
ミサト「行ってら、あ、二人とも今日放課後NERVに顔だしてくれる?」
アスカ「めんどくさいけど了解よ!」ギュッ
シンジ「は、はい」
ミサト「よろしくね~ん」フリフリ
シンジ(ち、ちなみに薬の効果はいつまで続くんですか?)ヒソヒソ
ミサト(それも調べてもらうために来てもらうのよ)ヒソヒソ
シンジ(そ、そうですか……)ヒソヒソ
アスカ「二人とも何してんのよ!」グイッ
シンジ「わっ」
アスカ「私以外の女と内緒話なんてしないで!」プリプリ
シンジ「わ、わかったよぅ」
ミサト「行ってらっしゃ~い」
―――通学路
アスカ「~♪」ギュッ
シンジ(まずいなぁ、学校でもこのままなんだろうか)
アスカ「ねえシンジ!いい天気ね!」
シンジ「うん、そうだね」
アスカ「あ!エコヒイキ!」
シンジ「あ、おはよう綾波」
レイ「おはよう、碇く……」
アスカ「……」ギュッ
レイ「どうしたの、その人」
シンジ「あ、えーと」
アスカ「シンジ!」
シンジ「は、はい!」
アスカ「エコヒイキと会話するのは百歩譲って認めるわ、ただし内容は必要最低限にとどめること!いい!?」
シンジ「そ、そんな」
アスカ「……」ウルウル
シンジ「ご、ごめんね綾波」
レイ「……そう」
シンジ「きょ、今日学校終わったらNERVに行かなきゃいけないんだ!よかったら一緒……に……」チラッ
アスカ「……」ムー
アスカ「……」ウン
シンジ「一緒に……行かない……?」ホッ
レイ「……別にいい、一人で行くから」スタスタ
シンジ「あ、そう……」
アスカ「なによ!感じ悪い!」
シンジ(とほほ……)
―――教室
トウジ「よーセンセ!今日もふう……ふで……」
ヒカリ「ア、アスカ……?」
シンジ「お、おはようトウジ、ケンスケ、委員長」
アスカ「おはようヒカリ♪」ギュー
ケンスケ「な、何なんだ……?」
アスカ「どしたの?」ギュー
シンジ(薬の件はNERVの機密だから言わないほうがいいかな……)
シンジ「ま、あの、そういうことだから……」
アスカ「そういうことよ~♪」ギュー
トウジ「こ、これは……」
ケンスケ「いや~んな感じ……なのか?」
ヒカリ「アスカ……///」(おめでとう……)ホロリ
アスカ「シンジまたね、すぐ会えるからね」
シンジ「別々の席に座るだけじゃないか……」
レイ「……」
――昼休み
―――屋上
アスカ「シンジ!はい、あーん♪」
シンジ「あ、あーん」モグモグ
アスカ「やっぱりシンジの作るご飯はおいしい!シンジ、いつもありがとう!」ニコッ
シンジ「うっ」キューン
アスカ「今日もエコヒイキにお弁当渡してたけど、特別に許してあげる!」
シンジ「うん、ありがとう」
アスカ「でもあんたは私のものだからね!シンジ!あーん♪」
シンジ「はい、あーん」
アスカ「……♪」モグモグ
イチャイチャ
ヒカリ「アスカ、どうしちゃったのかしら」
トウジ「昨日もセンセを蹴飛ばしてたのに一日でどういう心変わりや!?」
ケンスケ「いいなあ~碇」
ヒカリ「アスカ、熱でもあるんじゃ」
シンジ「だ、大丈夫だよ!そのうち……」
ケンスケ「そのうち?」
シンジ「いやあの、元に戻るかなー……なんて……」
アスカ「何言ってるのシンジ!」グワッ
シンジ「ひっ」
アスカ「私たちいつまでも一緒でしょ!?」グス
アスカ「もうわがまま言ったりしないから……暴力振るったりしないからぁ……」ポロポロ
アスカ「嫌いにならないでぇ……」シクシク
シンジ「う、うん!もちろんだよ!嫌いになるわけないじゃないか!」アセアセ
アスカ「ホント!?」パァッ
シンジ「本当だよ、アスカに嘘はつかないよ」
アスカ「シンジぃ……」
ケンスケ「なんかこう……」
トウジ「居づらい感じやな……」
ヒカリ「そ、そうね」
アスカ「ヒカリも早く告っちゃいなさいよ」モグモグ
ヒカリ「ブー!!」
トウジ「い、いいんちょ!?」
シンジ「大丈夫!?」
ケンスケ「お、お茶!」
ヒカリ「ゲホゲホ!」
アスカ「? 変なヒカリ」モグモグ
―――教室
レイ「……」モグモグ
レイ(碇くんのお弁当……おいしい……)
レイ(でもこのすっきりしない気持ちはなんなの?)
―――NERV本部
ゲンドウ「そうか、成功したのだな」
リツコ「葛城三佐の報告によると効果は著しいもののようです」
冬月「……」
リツコ「原液では効果が強すぎるようですが、希釈しても十分効果は期待できます」
ゲンドウ「そうか、ご苦労だった」
リツコ「ありがとうございます」
ゲンドウ「後は手筈通りに」
リツコ「はい、失礼します」 シュイン
冬月「……碇」
ゲンドウ「なんだ、冬月」
冬月「本気なのだな?」
ゲンドウ「……」ニヤリ
―――学校
放課後
アスカ「じゃあねヒカリ!また月曜日!」ギュー
ヒカリ「うん、またね」
シンジ「じゃあ、また」
ケンスケ「お、おう、ごゆっくり」
トウジ「ほどほどにな~」
アスカ「行くわよシンジ!」グイッ
シンジ「わ、またひっぱんないでよ~」
ヒカリ「……」
トウジ「……」
ケンスケ「青春だなぁ……」
―――NERV本部
マヤ「アスカが……」
リツコ「何度聞いても信じられないわね」
ミサト「そーなのよあたしもびっくりしちゃってー」ケタケタ
マヤ「形はどうあれ成功したといえますね先輩!」
リツコ「そうね、でも薬を勝手に飲ませたのは感心しないわね」
ミサト「それはもーごめんってばー」
ミサト「あ、それとアレって効果はどのくらい持つものなの?」
リツコ「そうね……希釈したもので数時間の効果はあるから、原液でアレ一杯となると、もしかしたら2~3日は効果は持続するかもね」
ミサト「そ、そんなに!?シンジくんの体が心配だわ……」
リツコ「ま、まさか二人はもうそこまで!?」
マヤ「不潔です!」
ミサト「いや、多分まだ大丈夫だと……」
リツコ「しっかりしなさいよ、あなたは保護者なんだから」
ミサト「もちろん、二人の純潔はあたしが守るわ!」
シュイン
レイ「こんにちは」
ミサト「レイ、こんにちは。二人は?」
レイ「知りません」スタスタ
マヤ「あっ、レイ」タタッ
シュイン
ミサト「……」
リツコ「当然ね」
ミサト「そっかそっか、あー……」
リツコ「……」
ミサト「……ねえリツコ」
リツコ「なに?」
ミサト「あの子の本音も知りたくならない?」
リツコ「……薬はおもちゃじゃないのよ」
シュイン
ミサト「お、実験結果がおいでなすったわ」
リツコ「まあ……」
アスカ「やほっ、ミサト、リツコ」ギュー
シンジ「こんにちは」
リツコ「あれが素直になったアスカなのね」
アスカ「リツコ!昨日飲んだ薬ただの甘すぎるイチゴジュースだったわよ!完全な失敗作ね!」
リツコ「そう?それは残念ね」
リツコ(自覚症状は無し……と)
アスカ「まあいいバイトだったから毒じゃなければまた飲んであげるわよ!」フフン
リツコ「ええ、お願いね」
シンジ「あの、リツコさん、あんまり強力なのは……」
リツコ「心配しないでシンジくん、今度はちゃんと言い聞かせておくから」
シンジ「え?」
ミサト「さ、さあ早速シンクロテストよ!二人とも着替えて着替えて!」
アスカ「はぁーい♪」グイッ
シンジ「わわっ、それじゃあ」
シュイン
ミサト「ふー、あたし達も準備するわよ!」スタコラ
リツコ「……」
―――更衣室
レイ「……」
シュイン
アスカ「エコヒイキ!」
レイ「……なに」
アスカ「シンジは私のものよ!あんたには渡さないわ!」
レイ「……」
アスカ「それだけ覚えときなさい!」
シンジ「ア、アスカ!」
アスカ「これは宣戦布告よ!ま、私のが一歩も二歩もリードしてるけどね!」
レイ「……そう」
アスカ「正直あんたにシンジを取られそうで不安だったのよ!」
レイ「……」
アスカ「だから負けないから!いいわね!」
レイ「……ええ」
―――廊下
レイ「……」
シンジ「綾波?」
レイ「……」スタスタ
シンジ「ま、待ってよ綾波!」
レイ「私と話してると、あの人がうるさいわ」
シンジ「アスカにはトイレに行くから先に行っててって言ったよ」
レイ「……そう」スタスタ
シンジ「待って!違うんだ綾波、説明させてよ、実は―――」
レイ「そう、そんな薬が……」
シンジ「だからアスカの性格が変わっちゃってるんだ、そのうち元に戻ると思うよ」
レイ「……そう」
シンジ「うん、だから心配は」
レイ「心配なんてしてないわ」
シンジ「あ、そうだよね……」
レイ「……でも、あの人の言葉は全部本心なんでしょう?」
シンジ「う、うん、そうらしいけど……?」
レイ「碇くんはどうなの?」
シンジ「え」
レイ「碇くんはあの人に本心で接してるの?それとも話を合わせてるだけなの?」
シンジ「そ、それは……」
レイ「碇くんの本当の気持ちは、なに?」
シンジ「綾波……」
レイ「……」
シンジ「……」
シンジ(僕は……)
レイ「もう時間ね、行きましょう」
シンジ「う、うん……」
―――シンクロテスト実験場
マヤ「信じられません!」
リツコ「ありえないわ!」
ミサト「アスカのシンクロ率が……80%を超えてる……」
リツコ「おそらく薬の影響で素直な心になってるから雑念がないも同然、だからシンクロ率が伸びているのよ」
リツコ「これは興味深いわ、出撃の前に全員に飲ませてもいいかもしれないわね」
ミサト「なんか景気づけの酒みたいね」
リツコ「それに比べてこっちの二人は……」
ミサト「特にシンジくんね。雑念が多いってことなのかしら……ね」
リツコ「……」
―――エントリープラグ内
シンジ(アスカは本心で僕にぶつかってきてくれてる……僕はただアスカに合わせているだけなんだろうか……)
シンジ(アスカに嫌われたくないから……アスカのご機嫌をとるために今日あんなに仲良くしていたのかな……)
シンジ(僕の本当の気持ち)
シンジ(そんなの、僕が一番知りたいよ……)
シンジ(……)
シンジ(僕が飲めばよかった……スナオニナレール)
ミサト「皆お疲れ様!アスカ、今日の成績すごかったわよ!」
アスカ「私はエリートパイロットよ!そんなの当然よ!」エヘン
リツコ「アスカは例の薬の経過を見るから、また私の部屋に来てちょうだい」
アスカ「はーい、シンジはどうするの?」
シンジ「うん、アスカを待ってるよ」
アスカ「……!」パァァ
レイ「……」
アスカ「ありがとうシンジ!すぐ済ませるから待っててね!」タタタ
シンジ「はは……」
リツコ「さて、私も」
レイ「赤木博士」
リツコ「なに?レイ」
レイ「私にもください」
リツコ「何を?」
レイ「スナオニナレール」
リツコ「……」
リツコ「……」チラ
ミサト「」テヘ
リツコ「……」ハァ
リツコ(いや……これはチャンスかも?)
リツコ「わかったわ、ついてらっしゃい」
―――休憩室
シンジ「……本当の気持ち、か」
レイ「碇くん」
シンジ「綾波」
レイ「疲れてるの?」
シンジ「さっき綾波に言われたこと、考えてたんだ。僕はちゃんと本当の気持ちでアスカに接してるのかって」
レイ「そう、はいこれ」
シンジ「あ、ありがとう。ダメだよね僕は、男のくせにはっきりしないで。アスカに失礼だよ」
レイ「碇くん……」
シンジ「僕も飲みたかったな、スナオニナレール」
シンジ「今日のアスカみたいにハキハキとした性格になれたら、きっと楽なんだろうね」
レイ「碇くん、あの」
シンジ「でも僕は男だから」
レイ「!」
シンジ「そんな薬に頼らずに、やっぱり自分の気持ちくらい自分で整理つけなきゃ!」ゴクッ
レイ「あっ」
シンジ「ぷはっ、甘いねこれ、イチゴジュース?」
レイ「……」
カメラ「」ジーッ
リツコ(やった!)
ミサト「あら、レイが飲むんだと思ってたら、そうくるとは予想外ね」
リツコ「ええ、そうね」
ミサト「リツコ、今のはどうなの?」
リツコ「ちゃんと希釈してある完成品よ、原液ほどではないけど効果は十分あるわ」
ミサト「シンジくん……」
ビー!!! ビー!!!
ミサト「!!」
リツコ「ミサト!!」
ミサト「ええ!」
シンジ「使徒!?」
レイ「碇くん、行きましょう!」
シンジ「うん!行こう!」タタタッ
レイ「……」タタタ
シンジ「……綾波」
レイ「なに?」
シンジ「見えてきた気がする、僕の本当の気持ちって奴が」
レイ「そ、そう」
シンジ「こんなときに心が澄んでいるような感覚になるなんて、不謹慎かな?」キラキラ
レイ「おかしいことじゃ、ない、と思う」ドキドキ
シンジ「そうかな?今なら素直になれる……自分の気持ちに蓋をしなくていい、そんな気がするんだ!」キラキラ
レイ「え、ええ……」
―――ケイジ
アスカ「二人とも!遅いわよ!」
シンジ「ごめんアスカ!」
アスカ「シンジ!この短い間に浮気とかしてないでしょうね!」
シンジ「その心配はないよ」
アスカ「本当?」
シンジ「本当さ、僕も目覚めたんだ!自分の本当の気持ちって奴に!」キラキラ
レイ「……」
―――作戦司令室
マヤ「パターン青!使徒です!」
日向「目標は第三新東京市に接近中!防衛システム攻撃開始!」
ゲンドウ「第一種戦闘態勢、エヴァを3機全て出せ」
ミサト「了解!エヴァンゲリオン、発進!」
マヤ「これは……!」
リツコ「どうしたのマヤ?」
マヤ「初号機と弐号機、ともにシンクロ率が80%オーバー!90%に届きそうです!」
リツコ「やはりね」
冬月「これはまさか……」
ゲンドウ「赤木博士」
リツコ「作戦は成功ですわ、司令」
ゲンドウ「そうか、よくやった」
冬月「何もこんなときに……」
ゲンドウ「心配するな冬月、今は使徒の殲滅が最優先だ」
冬月「ならいいんだが……」
ゲンドウ「初号機と弐号機を先行させ、レイには援護をさせろ」
ミサト「了解!シンジくん、アスカ、聞こえる!?あなたたち二人が主軸で攻めるのよ!」
アスカ『分かったわミサト!私たちに任せなさい!』
シンジ『了解!アスカ!』
アスカ『なによ?』
シンジ『無理はしないでね、君は僕が守るから』
日向・青葉「「ブ――――――――――――!!」」
マヤ「……///」カァァ
アスカ『シンジ……ありがとう、あなたのこと、信じてる///』
シンジ『アスカ……』
アスカ『でも守られてばかりはイヤ!私もシンジのこと守ってあげるんだから!』
シンジ『ありがとうアスカ……!僕はやっぱり、君がいないとだめだから……』
アスカ『もう……バカ……』
日向「こ、これは一体……」
ミサト「シンジくん……それが答えなのね」
ゲンドウ「シンジ……」ドキドキ
冬月「碇、まずは使徒を」ドキドキ
ゲンドウ「わかっている」クイッ
レイ『葛城三佐、私は』
ミサト「レイは二人のバックアップをお願い!」
レイ『了解』
―――第三新東京市郊外
使徒「グオオオオオォォォォオオオオオ――――――」
シンジ「今ならわかる……僕の本当の想い!」
シンジ「皆に伝えたい……この溢れる気持ちを!」
アスカ「シンジ!行くわよ!」
シンジ「うん!」
ドド―――――ン!!
―――NERV本部 作戦司令室
青葉「初号機および弐号機、使徒と接触!戦闘を開始しました!」
日向「す、すごい!ATフィールドをものともしていません!」
マヤ「以前シンクロ率は80%強を維持!圧倒しています!」
ミサト「すごいわ二人とも!」
リツコ「素直になるって素敵なことね」
シンジ『まず綾波ーーー!!』ガシィィン
レイ『!?』
日向「シ、シンジくん!?」
シンジ『最初はいろいろ迷惑かけたけど!綾波には戦場でもそれ以外でも何度も助けられた!』ガキィィン
シンジ『綾波にはまるで兄妹のような安心できる雰囲気がある!エヴァに乗りだしたころの僕はそんな綾波のおかげでやってこれた!』ジャキッ ドーン
シンジ『さっきも心配させちゃったし!これからもたくさん迷惑かけるかもしれないけど!僕たちは大切な仲間だから!』ガシャーン
シンジ『これからも!!ずっと一緒に頑張っていこう!!』
レイ『……///』ポカポカ
冬月「サードチルドレンはどうしたというのだ!?」
ゲンドウ「冬月、黙っていろ」
冬月「」
シンジ『次にミサトさーーーーん!!!』
ミサト「は、はい!」ビクッ
シンジ『甘ったれていた僕を!見捨てずに叱ってくれたミサトさん!!』ドカーン
シンジ『変な意味ではなくて!!ミサトさんと一緒に暮らせてよかったです!!』ズダッ
シンジ『まだまだ子供な僕だけど!!』グオッ
シンジ『これからもよろしくお願いしまーーーーーーす!!』
ミサト「シンジくん……」ウルウル
日向「……」グスッ
シンジ『あとたまには自分で部屋片づけてくださーーーーい!!!』ドッシャーン
ミサト「……」
リツコ「無様ね」
マヤ「副司令のパルス逆流を確認」
ミサト「……シンジくんはどうしちゃったの?」チーン
リツコ「スナオニナレールの効果ね」
ミサト「あ、その名前で行くんだ」
リツコ「シンジくんはミサトも知っての通り普段から自己主張なんてめったにしないタイプだわ」
リツコ「どうやら普段貯め込んでいる思いが強ければ強いほど、薬の効果が強く表れるようね」
ミサト「日頃の不満が爆発したみたいな感じ……?」
リツコ「彼の場合不満よりも感謝のほうが強かったみたいよ?いい子ね、彼」
ミサト「シンジくん……」ジーン
青葉「いい話ですねえ……」ゴシゴシ
冬月「お前たち、気を抜くな、作戦中だぞ」フキフキ
リツコ(さて……)
ゲンドウ「……」ドキドキ
下手したらゲンドウ死ぬかもな
アスカ『シンジ……』ガキィン
シンジ『最後にアスカーーー!!』ドガッ
アスカ『!』ドキッ
シンジ『最初はおっかなくて怖かったけど!一緒に暮らしていくうえで!どんどん君の魅力に引きつけられていった!』ガァン
シンジ『いつしか君は僕の全てになった!もう言葉では言い表せられないくらい!僕の中は君でいっぱいになった!』ドドーン
アスカ『……』ズドン
シンジ『君の気持ちだけ受け取っておいて!僕だけなあなあな態度でごめん!でも今なら自信を持って言える!』
アスカ『シンジ……!』
シンジ『碇シンジは!!式波・アスカ・ラングレーが!!本当に世界で一番大好きでぇぇぇぇぇぇぇす!!!!』ドカーン
使徒「オオオオォォォォォ……」
アスカ『私も……シンジがだああああああああいすきいいいいいいいいいいいい!!!』ドドドドドカーン
青葉「目標、沈黙しました」
リツコ「」パチパチパチ
マヤ「先輩……」
リツコ「おめでとう」パチパチパチ
日向「おめでとう」パチパチパチ
マヤ「おめでとう」パチパチパチ
青葉「おめでとう」パチパチパチ
ミサト「おめでとう」パチパチパチ
冬月「おめでとう」パチパチパチ
ゲンドウ「……」ションボリ
シンジ『ハァ……ハァ……』
アスカ『シンジ……』
レイ『碇くん……』
ミサト「エヴァの回収、手配して」
日向「了解」
シンジ『それから、父さん』
ゲンドウ「!」ドキッ
シンジ『父さん、聞いてるんでしょ?』
ゲンドウ「あ、ああ、聞いている」ドキドキ
シンジ『父さんのことは最初嫌いだった……』
シンジ『でも今僕がエヴァに乗ってるのは、アスカや皆を守りたいっていうのもあるけど、父さんに褒められたいって気持ちもあるんだ』
シンジ『父さんに……認められたいから……』
ゲンドウ「……」
シンジ『父さん……僕、ちゃんとやれてるかな……?』
しかしゲンドウはまだ薬を飲んでいない…ッ
ゲンドウ「……」
冬月「碇」
リツコ「司令」
ミサト「司令」
マヤ「司令」
日向「司令」
青葉「司令」
アスカ『司令』
レイ『碇司令』
シンジ『父さん』
ゲンドウ「……」ウー アー
ゲンドウ「……」
ゲンドウ「……赤木博士、例のものを」
リツコ「こちらに」コトッ
ゲンドウ「……うむ」チョビッ
ゲンドウ「……」アマイ
ゲンドウ「……」
ゲンドウ「……シンジ」
シンジ『……はい』
ゲンドウ「よくやった。さすが俺の子だ」
シンジ『……!』
ゲンドウ「これからも、よろしく頼む」
シンジ『……はい!』
GJ!
しかしリツコとの関係がバレる恐れがwww
―――NERV本部 リツコの部屋
ミサト「はー、終わったわねー」
リツコ「素直になるっていいことね、いろいろと」
ミサト「おばさん臭いわよリツコ」
リツコ「失礼ね、はいこれどうぞ」
ミサト「ありがと、いやーあの薬のためにこんな結果になるなんて思わなかったわ」
リツコ「ふふ、あなたが勝手にアスカに飲ませたおかげ、なのかもしれないわね?」
ミサト「いやねー、そんなこと言ってないじゃなーい」ゴクッ
リツコ「そうね、だからあなたには褒美と罰を同時にあげるわ」
ミサト「甘い、なにこれイチゴジュー……」
リツコ「……」
ミサト「……」
シュィン
加持「ようリッちゃん、急に呼び出したりして。俺になんか用かい?」
リツコ「後はよろしくね、加持くん?」
加持「え?」
ミサト「……」
wktk
夜
―――ミサト宅
prrrrrrrr カチャ
シンジ「もしもし葛城です」
シンジ「あ、加持さん、ええ、はい」
シンジ「ミサトさんが?そうですか、あっ、はい」
シンジ「そうですね、こっちは問題ありません、アスカも、はい」
シンジ「ありがとうございます、はいもちろん、はい、覚悟してます」
シンジ「はい、ええ、もちろん、ええ、離しませ、え?あ、はい」
シンジ「わかりました、はい、ミサトさんをよろしくお願いします。はい、それでは、おやすみなさい」カチャ
アスカ「誰からー?」ホカホカ
シンジ「加持さんから、今日ミサトさん帰れないんだって」
アスカ「ふーん」
シンジ「……」
アスカ「……」
マヤ「そんな…ありえません!だってまだ中学生ですよ」
―――NERV本部
リツコ「期待通りの結果になりましたか?」
ゲンドウ「おおむね、な」
リツコ「あら、薬の効果はもうお切れになったので?」
ゲンドウ「そのようだ」
リツコ「なら、おかわりはいかがです?」コト
ゲンドウ「……」
リツコ「少し改良してお酒でも割れるようにしてみましたの」
ゲンドウ「……」
リツコ「たまには素直になってみたらいかがです?」
ゲンドウ「……」ニヤリ
土曜日
朝
―――シンジの部屋
シンジ「……」ムクッ
シンジ「……」
シンジ「……///」カーッ
シンジ(はぁ……昨日はなんて恥ずかしいことを……)クシャ
シンジ「……」チラッ
アスカ「……」スヤスヤ
シンジ「……本当の気持ち、か」ナデナデ
―――キッチン
シンジ(おそらく綾波が飲ませたあのジュース、アレが例のスナオニナレールだな)ジュー
シンジ(甘いとは聞いてたけど全く気づかなかった)ジュー
シンジ(なんで綾波は僕に飲ませたんだろう……)トントン
シンジ(誰かの指示か、それとも……)カチャ
アスカ「シンジー?」
シンジ「あ、アスカおはよう」
アスカ「おはよシンジ」
シンジ(……アスカもついに効果が切れたかな)
アスカ「急にいなくならないでよ!心配するじゃない!」ギュッ
シンジ「あれ」
prrrrrrrr
カチャ
アスカ「はい葛城です、あ、リツコ、おはよう」
アスカ「ええ、ええ、そうね、なんともないわよ」
アスカ「分かった、伝えとく、うん」
アスカ「ミサト?いや、帰ってないみたいよ?うん」
アスカ「分かった、じゃあまたあとでね」カチャ
シンジ「リツコさんから?」カチャ
アスカ「うん、今日も薬の経過が見たいからお昼ごろにNERVに来てだって」
シンジ「僕も?」
アスカ「当たり前じゃない!私たちはいつも一緒よ!」
シンジ「あ、うん、そうだね、いただきます」
アスカ「いただきまーす」パクッ
アスカ「んーっ!おいしーっ!!」
―――NERV本部
ミサト「……」ツヤツヤ
リツコ「おはようミサト」ツヤツヤ
ミサト「うう……おはようリツコ……」
リツコ「あら、二日酔い?」
ミサト「そんな感じ……」
リツコ「ふふ、血色はいいじゃない。昨晩は楽しかったんじゃない?」ニヤニヤ
ミサト「一杯食わされた……いや、一杯飲まされたわ……」
リツコ「これに懲りたら勝手に薬を持ち出したりしないことね」
ミサト「ふぁーい」ショボン
リツコ「で、昨日はどうだったの?」
ミサト「……」
リツコ「……」
ミサト「……」ニヘラ
リツコ「よかったわね」
これが…人類補完計画!
リツコ「アスカはまだ効果は持続するみたいね」
シンジ「原液のくだりは聞いてないですよ」
ミサト「あら、そうだっけ?」
アスカ「私はなんともないっていってるでしょー?」ギュッ
シンジ「もしかして一生このまま……なんてことは」
リツコ「あら、嬉しくないの?」
シンジ「そ、それは……///」
アスカ「私たちは一生このままよ!」ギュー
リツコ「そうね、じゃあアスカ、検査するからこっちにいらっしゃい」
アスカ「はーい♪またねシンジ!私の事待っててね!」 シュイン
シンジ「うん、待ってるよ」
ミサト「シンちゃん」
シンジ「はい?」
ミサト「これからはなるべく、部屋片づけるわね」モジモジ
シンジ「……そうしてくれると、ありがたいです」
―――休憩室
シンジ(僕も軽い検査を受けたけど、薬は完全に抜け切っていた)
シンジ(アスカはいつまで……あ)
シンジ「綾波!」
レイ「こんにちは碇くん」
シンジ「こんにちは」
レイ「……」
シンジ「……あの、綾波、昨日は、その」
レイ「いいの」
シンジ「ふぇ?」
レイ「碇くんの本当の気持ち、聞けたから」ポカポカ
シンジ「あー、うん、その」
レイ「私は碇くんの妹みたいな存在なのね」
シンジ「……嫌、かな?」
レイ「嫌じゃないわ、嬉しい」
シンジ「……そっか」
レイ「はいこれ」
シンジ「ありがと……これは?」
レイ「……」クスッ
シンジ「!?」
レイ「ただの水よ」
リツコ「アスカへの効果は間もなく切れるわ」
シンジ「まもなく、ですか……」
ミサト「またあの粗暴なアスカが帰ってくると思うと憂鬱?」
シンジ「いや、そんな、あれが本来のアスカだし」
リツコ「何度も言うようだけれど今のアスカの言葉はまぎれもない本心よ」
リツコ「いつもみたいにつんけんし出しても今の言葉は嘘じゃないってことを覚えておきなさい」
シンジ「はい……」
リツコ「それからあなた自身も知っての通り、効果が表れている期間中の記憶が消えることもないわ」
シンジ「そうですか……」
ミサト「ちゃーんと責任取るのよ、シンちゃん」
シンジ「せ、責任って///」
シュイン
アスカ「シンジー!お待たせ!」ギュッ
ミサト「二人ともご苦労様、今日はもう帰っていいわ」
シンジ「分かりました、それじゃあ」
アスカ「今日も加持さんとこ泊まるの?」
ミサト「きょ、今日はちゃんと帰るわよ!」
アスカ「あっそう、それじゃあね」
シンジ「失礼します」
シュイン
ミサト「全く、色気づいちゃって」
リツコ「かわいいじゃない」クスクス
ミサト「結局どうするの?スナオニナレール」
リツコ「どうしましょうかしらね、目的は果たされたし今は二次利用を考えなくちゃ」
ミサト「目的?」
リツコ「シンクロ率を上げるって効果が見られたのは面白いわ、シンクロ率向上のカンフル剤としてLCLに混ぜてみても……」
ミサト「ちょ、ちょっと!目的って何よ」
リツコ「名前の通りよ」
ミサト「名前の通り?」
リツコ「そ、素直になることよ」クスクス
ミサト「なんのこっちゃ?」
―――司令室
ゲンドウ「……」ゲッソリ
冬月「朝から顔色が悪いな、碇」
ゲンドウ「問題ない」
冬月「赤木博士の研究成果を個人利用など二度とするものではないな」
ゲンドウ「個人利用ではない、新型自白強要剤の実験題材を提案したまでだ」
冬月「息子の本音が聞きたいなどと……直接聞けばいいだろうに」
ゲンドウ「……」
冬月「不器用な男だ」
ゲンドウ「ならばお前も飲むか?冬月」
冬月「いや、ここにいられなくなるだろうから遠慮しておこう」
ゲンドウ「そうか……」
―――第三新東京市
シンジ「夕飯の材料を買って帰ろう」
アスカ「私ハンバーグがいい!」
シンジ「ははっ、いいよ、今日はハンバーグにしよう」
アスカ「やった♪」ルンルン
シンジ(これがアスカの本音か……普段からこんな風でいてくれたらいいのに)
シンジ(それにはやっぱりエリートパイロットのプライドとか……いろいろあるんだろうな……)
アスカ「シンジどうしたの?悩み事?」ギュッ
シンジ「あ、いや、大丈夫だよ」
アスカ「なんかあったら私に言いなさいよね?力になってあげるから」
シンジ「ありがとう、アスカ」ナデナデ
アスカ「えへへ///」
夜
―――ミサト宅
ミサト「たっだいまー!お、今日はハンバーグ?」
シンジ「おかえりなさい、ミサトさん」
アスカ「おかえりミサト!私決めたわよ!」
シンジ「何を?結婚?」
アスカ「美味しいもの食べに連れてってくれるんでしょ!?お店を決めたの!」
シンジ「今日夕飯の買い出しの途中で美味しそうなラーメン屋を見つけたんですよ」
ミサト「あら、ラーメンでいいの?」
アスカ「ミサトの懐事情なんてとっくに承知してるわよ!」
ミサト「うへー、ありがたかったり情けなかったり」
シンジ「アスカの本心ですから」
ミサト「分かってるわよ、明日はあたしも早上がりだから明日行きましょ!」
アスカ「やったー!!」
―――シンジの部屋
シンジ「……」
ガラッ
アスカ「シンジ!一緒に寝るわよ!」
シンジ「うん、おいで」ポフポフ
アスカ「♪」ゴソゴソ
シンジ「狭くない?」
アスカ「いいもん」ギュッ
シンジ「うう……///」
ミサト(もう慣れたもんかと思ったら、シンちゃんもやっぱり男の子ね♪)
ミサト(あたしも寝よっと……避妊はするのよ二人とも♪)
アスカ「ねえシンジ」
シンジ「ん?」
アスカ「私の事、好き?」
シンジ「うん、好きだよ」
アスカ「ほんと?」
シンジ「ほんとさ」
アスカ「良かったぁ……」
シンジ「? どうして?」
アスカ「あんたと私のことを思い返してみてたの」
アスカ「今までの私って、口悪くって乱暴で、かわいくないなあって……」
アスカ「ふつう嫌われて当然じゃない」
シンジ「アスカ……」
アスカ「あんたにはホント御礼してもしきれない感じだけど」
アスカ「私のこと好きになってくれて、ありがとう」
チュッ
シンジ「アスカ……///」
アスカ「お休み、バカシンジ……」スゥ
シンジ「……」
シンジ「お休み、アスカ」
こういったのを映像化してDVD番外編で売り出せば結構売れると思うの
ゲームソフトじゃなくてさ…
日曜日
朝
―――シンジの部屋
シンジ「……」ナデナデ
アスカ「……」
シンジ「……」ナデナデ
アスカ「……」パチ
シンジ「おはよう、アス「ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!」
バシーン ガバッ ドダダダッ ガラッ ダダダッ ガラッ ピシャッ
シンジ「」ヒリヒリ
ミサト「ど、どうしたのシンジくん!?何事!?」
シンジ「あー、えーっと……」
シンジ「薬、切れたみたいです……」
シンジ「アスカー、ご飯出来てるよー」トントン
アスカ「」
シンジ「冷めちゃうよー」トントン
アスカ「」
シンジ「アスカ……」シュン
ミサト「ダメ?」
シンジ「ダメみたいです……」トボトボ
ミサト「選手交代。アスカー」トントン
アスカ「」
ミサト「シンジくんならもういないわよ」
アスカ「……どこにいったの」
ミサト「さぁてね」
テレツンアスカとデレデレシンジか…
wktk
アスカ「うぅ~……」
ミサト「アスカ、入るわよ」ガラッ
アスカ「……」ショボン
ミサト「薬、切れたのね」
アスカ「ミサトが変な薬飲ませたせいよ」
アスカ「おかげでもうバカシンジの顔まともに見れないじゃない……」ウルウル
ミサト「何言ってんのよ、昨日までのアスカもまぎれもないアスカでしょ?今迄通り振る舞えばいいじゃない」
アスカ「無理よぉ~……あ、あんな恥ずかしいことたくさん人前でして……もう外出れない……」フルフル
ミサト(まあ確かに)
アスカ「そ、それに……またシンジを叩いちゃった……もうしないって言ったのに……」ヒックヒック
ミサト「アスカ……」
アスカ「もう嫌われたぁ~」ウワーン
ミサト「どう思う?シンちゃん」
アスカ「ふぇっ」
シンジ「……」
アスカ「シ、シンジ……」ブルブル
ミサト「あたし仕事行くから、あとお願いねん♪」ポン
シンジ「……はい」
アスカ「……」グスッ
シンジ「アスカ、入るよ」
アスカ「……」ビクビク
シンジ「アスカ」
アスカ「ごめんなさい……ごめんなさい……」
シンジ「アスカ」
アスカ「私の事……嫌いにならないでぇ……」シクシク
シンジ「アスカ」ギュッ
アスカ「ふぁっ」
シンジ「アスカが素直になってくれたから、僕も薬に頼らず自分の言葉でいうよ」
アスカ「シンジぃ……」
ミサトさんって作戦部長なんだよね
>>211
こういうのはSSだからいいんだよ
本編でやられると寒い上に萎える
エヴァSSが旧劇後にブームといえるくらいに流行ったのは本編が悲惨すぎたから
だから本編は救われない方がいいのかもな・・・・・皮肉だが
シンジ「最初はアスカのことおっかなくて怖かった……けど、えーっと、一緒に暮らしてて、本当は優しいところとか、どんどん君の魅力に引きつけられていった」
シンジ「僕には、その、アスカがいないとだめになったんだ。う、うまく言えないけど、僕の中はアスカでいっぱいなんだ」
シンジ「アスカが正直に言ってくれたから、僕もはっきり、今度こそ自信を持って言うよ」
アスカ「……」
シンジ「い、碇シンジは!式波・アスカ・ラングレーが、本当に、世界で、一番、大好き、です」
アスカ「……」
シンジ「~~~~///////」カァー
アスカ「……バカシンジ」
シンジ「ん?」
アスカ「私も、シンジ、大好き……」
>>224
いや本編っていうか番外編的なのをって事。
テレビ版の
綾波「遅刻遅刻~♪」ってあったじゃん
そのスタンスでファン向けに作って欲しいかなってさ
本編とは全く関わりなくね
月曜日
―――学校 屋上
シンジ「アスカ、今日の弁当どう?」
アスカ「ま、まぁまぁね!」モグモグ
トウジ「なんや、もう倦怠期か?」
アスカ「うるさい!」
ケンスケ「元に戻った……っていうことかな?」
ヒカリ「そんなことはない……気がするけど……」
アスカ「今度家で昨日のラーメン作りなさいよ」モグモグ
シンジ「あ、アレは無理だよ……」
アスカ「じゃあ今度皆で行きましょう!こないだ臨時収入が入ったのよね~♪」
トウジ「マジでか式波!ええんか!」
アスカ「ただし、男どもは3倍返しよ!」フンス
ケンスケ「ええー!?」
レイ「碇くんのお弁当、今日もおいしいわ」モグモグ
シンジ「そう?ありがとう綾波」
アスカ「ところでなんでエコヒイキがここにいるのよ!」
レイ「私は碇くんの妹だもの」モグモグ
トウジ・ケンスケ「「ブ――――――!!」」
ヒカリ「トウジ、ケンスケ!汚い!」
トウジ「わわ、すまんいいんちょ」
アスカ「ど、どういう意味よバカシンジ!」
シンジ「そ、それは、その」
レイ「碇くんの本心よ」
アスカ「な、なんですってぇ~~!!浮気よ浮気!!サイテー!!」
シンジ「ご、誤解だよ~」
ケンスケ「同級生に彼女と妹を作るなんて……」
トウジ「いや~んな感じ!」
ヒカリ「ねえアスカ?」
アスカ「なによ?」
ヒカリ「さっきの『みんな』って、綾波さんも入ってるのよね?」
アスカ「え、それは、そのー」
レイ「……」ジーッ
アスカ「う、まあ、ついてきたって構わないわよ!」
レイ「じゃあ、行くわ」ニコ
アスカ「フ、フン!ついでだからね!ついで!」プイッ
シンジ「あはは、素直になりなよアスカ」
アスカ「うるさい!バカシンジ!!」
終劇
支援感謝
乙
GJ!
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