ミレイ「実はねアッシュフォードがほとんど趣味で経営しているお店なんだけど、今度潰すことになって」
ルルーシュ「その片付けでもやらされるわけですか?」
ミレイ「端的に言えばね。でも、バイト代もちゃんと出すから」
ルルーシュ「……まぁ、いいですよ」
ミレイ「やったぁ。なら、日曜日に駅前で」
ルルーシュ「分かりました」
ミレイ「それからお弁当もお願い。きっとお腹空いちゃうし」
ルルーシュ「お弁当ですか」
ミレイ「あと飲み物も用意してくれるとうれしーなっ」
ルルーシュ「はいはい」
駅前
ミレイ「おっまたせー」
ルルーシュ「俺も今来たところです」
ミレイ「お、モテる台詞ありがとう」
ルルーシュ「で、その店はどこに?」
ミレイ「ここからすぐ近くだから」
ルルーシュ「詳細はまだ聞いてませんでしたけど、その店ってなんですか?アッシュフォードが経営していた店なんて聞いたことがありませんが」
ミレイ「言ったでしょ。趣味でお店開いてたんだもん。私も最近まで知らなかったし。祖父母が気まぐれでやってたみたい」
ルルーシュ「どんな店なのか会長も知らないってことですか」
ミレイ「そうそう。骨董品集めてたみたいだし、そう言う店かもね」
ルルーシュ「骨董品ですか。目ぼしいものがあればバイト代でもらっても?」
ミレイ「んー。いいんじゃない。私が許可する」
ルルーシュ「適当ですね」
ミレイ「いいじゃない。それぐらいの報酬は当然でしょう」
店
ルルーシュ「ここですか……」
ミレイ「さ、入って入って」
ルルーシュ(何とも古めかしい館……と言っていいのか)
ミレイ「さー、ルルーシュ」
ルルーシュ「なんでしょうか?」
ミレイ「何から始めればいいとおもう?」
ルルーシュ「片付けでしょう?貴重な品もあるみたいですが、いらないものは捨てていかないと」
ミレイ「あー、なるほどね。なら、そうしましょうか」
ルルーシュ「しかし、本当に多いですね。向こうには倉庫のような場所もあるし、この分だと地下室もあるような……。一日では終わるものでもないし、二人でどうにかなる量でもないと思いますが」
ミレイ「いいから手を動かす。これ鉄則」
ルルーシュ「はいはい。ですが、会長。この品物、俺たちの目利きだけで廃棄するかどうか決めてもいいんですか?」
ミレイ「いいんじゃない?任されたの私たちだし」
ルルーシュ「……会長がそういうなら」
ほ
ルルーシュ「ふぅ……。この店、一体なんだ?骨董品を扱うにしては商品が奥のほうへ仕舞われているし……」
ルルーシュ「趣味で開いていたというよりは、ただ収集して展示をしていたと言ったほうがいいのかもしれない」
ミレイ「ルルーシュ、つかれたー」
ルルーシュ「まだ一時間もやってないでしょう」
ミレイ「ミレイちゃんはお腹が空いた」
ルルーシュ「……もう少ししたらご飯にしましょう。会長のリクエスト通り、弁当もつくって来ましたから」
ミレイ「おっほぉ。なら、がんばろ」
ルルーシュ(どこまでが本気なのか分からない人だな……)
ルルーシュ「ん?これは……?」
ミレイ「なになに?何か見つかった?」
ルルーシュ「帳簿……顧客名簿みたいですね……」ペラッ
ミレイ「知ってる名前とかあったりする?」
ルルーシュ「……日本人の名前が多い。知り合いといえば咲世子さんとスザクぐらいですから、居ませんよ」
ミレイ「ふぅん。確かに骨董品もどこと無く日本風よね。こっちの人向けに商売していたのかしら?」
ルルーシュ(オウギ……コウヅキ……タマキ……トウドウ……?ふっ、まさかな……。同一の名前はよくあることだ)
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・) バンバンバンバン゙ン
_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
\/___/ ̄
バン はよ
バン(∩`・д・) バン はよ
/ ミつ/ ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄\/___/
ドゴォォォォン!!
; ' ;
\,,(' ⌒`;;)
!!,' (;; (´・:;⌒)/
∧_∧(;. (´⌒` ,;) ) ’
Σ(* ・ω・)((´:,(’ ,; ;'),`
⊂ヽ ⊂ ) / ̄ ̄ ̄/
 ̄ ̄ ̄\/___/ ̄ ̄ ̄
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_, ,_゚ ∴\//
(ノ゚Д゚)ノ |/
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ポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチ
ポチ ポチポチポチポチポチポチ
ポチ(∩`・ω・) ポチポチポチポチポチ
_/_ミつ/ ̄/_
/_/
「すいませーん」
ミレイ「ん?もしかしてお客さんが来ちゃった?」
ルルーシュ「閉店したんじゃないんですか?」
ミレイ「もしかしたら閉店したこと知らないのかも」
ルルーシュ「はぁ……。それぐらい張り紙を出しておけばいいものを……」
ミレイ「私が説明してくる」
ルルーシュ「俺も行きますよ」
ミレイ「はいはい、お待たせしました」
「ど、どうも……」
ルルーシュ(ん?この女、どこかで……)
ミレイ「えっと。何か御用ですか?」
「知り合いに紹介されて来たんです」
ルルーシュ「申し訳ありませんが、この店はもう閉店してしまったんですよ」
「そんな。でも、ここなら何でも悩みを聞いてくれると……。私、その……今、すごく困っていて……」
ルルーシュ(悩みだと?なんの店なんだ……ここは……)
ミレイ「どうする?困ってるみたいだけど」
ルルーシュ「会長。俺たちは店員じゃないんですよ?」
ミレイ「困ってる人をこのまま突っ返すのは私の性分じゃないからねぇ……」
ルルーシュ「しかし」
ミレイ「ルルーシュも、でしょ?」
ルルーシュ「……っ」
「ど、どうしても……だめでしょうか……?」
ミレイ「とりあえず話だけでも聞きます。前の店主がどうしていたかは知らないですけど、話を聞くだけなら聞きますから」
「あ、ありがとうございます」
ルルーシュ「全く……。本当のアルバイトになってきたな……」
ミレイ「まずは自己紹介からしないといけませんね。私はミレイ・アッシュフォードです」
ルルーシュ「ルルーシュ・ランペルージです」
「私は千草といいます」
ミレイ「ちぐさ?あ、あの……失礼ですけど……」
千草「あ、はい。私、今、記憶がなくて……これも仮の名前なんです……」
ミレイ「では、悩みと言うのは……」
千草「記憶が無いことに関係しています……」
ルルーシュ(この女……そうか!!ブリタニアの……!!)
ミレイ「どんなことですか?」
千草「はい。私を保護してくれた人がいるんですが、その人は日本人で……。私はどう見ても……」
ミレイ「ああ……。なんとなく分かりました」
千草「その人、本当にいい人なんです。記憶のない私を家に置いてくれて、それから衣食住まで。本当に何から何まで……手厚くしてくれて……」
ミレイ「いい人ね。こっちの人はブリタニア人を相当恨んでるのに」
千草「はい……。とても優しくて……。だから、私……いっそのことイレヴンになってしまおうかと」
ルルーシュ「……」
ミレイ「え……」
千草「あの人の傍にいられるならって……。でも、それを言うと彼はダメだっていうんです。そんなことをしても君は幸せになれないって」
ルルーシュ「貴方の恋人が正しい」
千草「どういうことですか?」
ルルーシュ「記憶が戻ったとき、最も辛い思いをするのは貴方自身のはずだ。あなたは記憶が戻る前、イレヴンを虐げていた側の人間だったのだから」
おう
ミレイ「ルルーシュ」
ルルーシュ「事実ですよ」
千草「……だから、今日はここへ来ました」
ミレイ「はい?」
千草「私が何者だったのか、ここなら教えてくれると……彼が……」
ルルーシュ(この店は治療も行っていたのか。闇医者か?)
ミレイ「ま、待ってください……。記憶を戻す戻さないは別にして、このお店のことをどのように聞いてきたんですか?」
千草「なんでも願いを叶えてくれる店だと……。対価を支払えば何でも、一つだけ」
ルルーシュ(途端に胡散臭くなったな……。占いの類だったのか?)
ミレイ「ルルーシュ、どうしよっか?」
ルルーシュ「できるわけないでしょう。会長の祖父母にどう対応していたのか聞いてくれませんか?」
ミレイ「う、うん……ちょっと待ってて」
ルルーシュ(何でも願いを叶える店か……。ギアスを配り歩く魔女でも住んでいたのか?)
千草「やはり、おまじないみたいなものだったのでしょうか?」
ルルーシュ「そうだと思います。どんな願いも叶えるなんて常識的に考えてもありえませんからね」
ほ
ほ
千草「そうですか……。いえ、そうですよね……」
ルルーシュ(手段がないわけではないがな)
千草「……」
ルルーシュ「知ってしまえば関係は終わる。それでも貴方は知りたいと願ったのですか?」
千草「だって、このままじゃ私……彼のことを諦められないから……」
ルルーシュ「諦めるために記憶を?」
千草「もうどうしようもないんだっていう事実が欲しいんです。だって……このままじゃ……私……胸が苦しくて……」
ルルーシュ「そこまでその人をことを?」
千草「愛しています……」
ルルーシュ「それなら尚のこと記憶が戻ったとき、貴方は後悔する。出会わなければよかったと絶叫する」
千草「それは……」
ルルーシュ「……貴方の記憶を一生戻さないことなら、できますよ?」
千草「え?」
ルルーシュ「そこまで愛しているなら、記憶を戻さないことも一つの選択肢でしょうね」
千草「そ、そんなことができるんですか?」
ルルーシュ「どうしますか?」
千草「……お願いします」
ルルーシュ「対価として貴方の今までの人生をもらうことになりますが?」
千草「構いません」
ルルーシュ「一時の感情ではない、と?」
千草「はい。私は彼を……扇要を愛していますっ」
ルルーシュ「……」
千草「真剣に」
ルルーシュ(おうぎ……かなめ……!?)
千草「どうかされましたか?」
ルルーシュ「い、いや……なんでもない……」
ルルーシュ(扇め……俺になんの報告もせずに……ブリタニア兵を保護していたのか……?!)
千草「……?」
ルルーシュ(しかも……こんなにも美人な相手を……!!)
ルルーシュ(いや、冷静になればこれは都合がいい。ギアスを使えば…………しまった、こいつにはギアスは使えないぞ……)
ほ
千草「あのー」
ルルーシュ(まずいな……。こいつには一度使ってしまっている……。ギアスで命じて記憶を封じてやろうと思ったが、それはできない)
千草「……記憶を封じてください」
ルルーシュ(ここで下手に詮索し、こいつの記憶を掘り返しても俺に被害が及ぶだけ……。かくなるうえは……!!)
ルルーシュ「そこまで本気ならいいでしょう。貴方の望みを叶えます」
千草「おねがいします」
ルルーシュ「俺の目を良く見てください」
千草「はい」
ルルーシュ「……」ジーッ
千草「……」ジーッ
ルルーシュ「……終わりです」
千草「……え?」
ルルーシュ「これで貴方の望みは果たされた。もう記憶が蘇ることもない」
千草「ほ、本当ですか……?だって……いま……目を見つめただけで……」
ルルーシュ「信じられないのは仕方ないでしょうが、これで問題ありません。末永くお幸せに」
ほ「
ルルーシュ「恋人に紹介されてきたんでしょう?俺の力を信じないということはその恋人も信じないということになる」
千草「そ、そんなことは」
ルルーシュ「信頼を置けない者というなら先はない」
千草「……信じます」
ルルーシュ「それでいい」
千草「あの、お金とかは……?」
ルルーシュ「今までの人生を頂きましたから」
千草「本当にいいのですか?」
ルルーシュ「ええ、これ以上は貰いすぎになりますからね。多すぎず少なすぎず……これが絶対です」
ルルーシュ(とういうことで納得して早く帰ってくれ)
千草「では、失礼します。ありがとうございました」
ルルーシュ「はい」
ルルーシュ(ふっ。プラシーボ効果でなんとかなるはずだ。よほどのことでもないと記憶は戻らないだろう)
ミレイ「ルルーシュ、きいてきたわよ。って、あれ?千草さんは?」
ルルーシュ「ああ。もういいですって言って帰りました。今のままで満足だそうです」
h
ミレイ「そうなんだ……」
ルルーシュ「それで今まではどう対応していたと?」
ミレイ「なんでもその人の悩みに応じて品物を渡していたらしいわ。対価としてお金じゃなくてその人が大事にしているものを貰っていたそうだけど」
ルルーシュ(その手があったか……!!確かにプラシーボ効果を狙うなら、現物があったほうがより効果が見込める!!)
ミレイ「でも、帰ったならいいか。さ、片付けしないと」
ルルーシュ「その前に閉店と張り紙をしておきましょう。このままではまた来ますよ」
ミレイ「あー、そっか。ルルーシュ、お願い」
ルルーシュ「分かりました」
ルルーシュ(このような綱渡りはもうしたくないからな……)
ルルーシュ「張って来ます」
ミレイ「はーい」
ルルーシュ「……この辺りに」
千葉「いいだろうか?」
ルルーシュ「ん?―――なっ?!」
千葉「なんだ?私と面識でもあるのか?」
ルルーシュ「あ、いえ。なんでしょうか?」
千葉「知人の紹介でやってきた。どんな悩みでもすぐに解決してくれると」
ルルーシュ「申し訳ありませんが、この店はもう閉店してしまって」
千葉「それはないと聞いたが?」
ルルーシュ「ない?」
千葉「この店は何百年と店主を代え、続いてきた店なのだろう?今は君が店主ではないのか?」
ルルーシュ(何百年だと?!どんな店だ?!誇大広告にも程がある!!)
千葉「ダメか?」
ルルーシュ(悩みか……。まぁ、千葉は貴重な戦力だ。迷いを持ったまま戦場に立たれても困る……)
千葉「酒も用意した」
ルルーシュ「……中へどうぞ。解決できるかは保障しませんが」
千葉「助かる」
ルルーシュ(千葉もブリタニアの店を利用するのか……。それとも知人……どうせ藤堂だな……藤堂の紹介だから別なのか……)
ルルーシュ(ともかく早く切り上げなければ)
ミレイ「あら?お客さん?」
千葉「名前は言えないことを許して欲しい」
ミレイ「はい、構いませんよ。では、悩みはなんでしょうか?」
千葉「上司のことで……」
ルルーシュ(藤堂か?)
ミレイ「会社の上司ですか?」
千葉「まあ、そんなところだ。上司と言っても顔すら見たことがないのだがな」
ミレイ「へえ……。顔も見たことがない?親会社の社長とかそういう人ですか?」
ルルーシュ(俺のことか……?)
千葉「そうだな。そう受け取ってくれて構わない」
ミレイ「その人がなにか?」
千葉「……私の直接の上司は厚い信頼を寄せているのだが、私はどうにも信じられなくてな」
ルルーシュ(ほう?)
千葉「このままで良いのだろうかとよく考えている」
ミレイ「今の職場を辞めたいと?」
千葉「信じられる者を引き抜いてな」
ミレイ「なるほど、難しい問題ですね」
千葉「そこで相談だ。その上司……ああ、親会社の社長のほうだが、その男のことを調べてもらえないだろうか?」
ルルーシュ(ほほう?)
ミレイ「えっと……そういうことは探偵に依頼したほうが……」
千葉「占いでわかるのではないのか?」
ミレイ「えーと……」
ルルーシュ「そのようなことはできない。お引取りを」
千葉「何でも望みを叶えてくれると聞いてきた。そうはいくか」
ルルーシュ(藤堂への忠誠心は買うぞ!!千葉!!)
ミレイ「で、でも……あの……やっぱり、こちらとしても名前を聞かないと……」
千葉「できないと言っている」
ミレイ「対価が必要ですから」
千葉「……私の秘密を対価にして上司の秘密を渡す……そういうことか」
ミレイ「ま、まぁ……そうなりますね……」
ルルーシュ(おのれ!!こんな場所で黒の騎士団の黒い部分を見てしまうことになるとはな!!!どいつもこいつも!!!)
千葉「いいだろう。それが信頼を買うための対価になるというなら」
ミレイ「は、はい。お願いします」
ルルーシュ(待てよ……。ここは先手を打ち、千葉の信頼を得るチャンスではないか)
ルルーシュ「―――待ってくれ。千葉凪沙」
千葉「……は?」
ミレイ「え?」
ルルーシュ「ふっ。この店を信用して来てくれたのでしょう?貴方のプロフィールなど、目を見ただけでわかる」
千葉「なに……?」
ルルーシュ「手を見せてください」
千葉「あ、ああ……」
ルルーシュ「皇暦1988年9月1日生まれ。旧日本軍に所属しブリタニア軍と交戦した過去をもつ。違いますか?」
千葉「そ、その通りだ……。流石は藤堂さん……。本物がいる店を知っていたなんて……」
ミレイ「……」
ルルーシュ「フフフハハハハ。さて、貴方の望みはその上司の正体……でしたね?」
千葉「そうだ……た、頼む……。やつの正体は……?」
ルルーシュ「貴方も良く知る人物ですよ」
千葉「だ、誰だ!?」
ルルーシュ「……藤堂鏡志朗だ」
千葉「なに?!」
ルルーシュ「藤堂は二役を演じている」
千葉「ま、まて!!それはありえない!!藤堂さんとゼロはいつも会話しているのに?!」
ミレイ「ゼロ!?あ、あなた……黒の騎士団の……?!」
ルルーシュ「ゼロはただの人形に過ぎない。やつは藤堂の指示の下で動いているだけだからな」
千葉「そんな……どうして……?!」
ルルーシュ「全ての罪を人形に負わせ、いつでも逃げ道を用意しているだけのことだ」
千葉「そこまで考えていたなんて……」
ルルーシュ「藤堂がゼロを信頼しているのも納得だろ?あれは自分の分身なのだからな」
千葉「そうだったのか……。藤堂さんはいつも私たちのために隠れて組織までつくって……」
ルルーシュ「分かっていると思うがこれはトップシークレットだ。他言は無用」
千葉「分かっている。藤堂さんの足を引っ張るようなことはしない」
ルルーシュ「分かればいい」
千葉「藤堂さんがゼロの仮面を被っているときもあるのか?」
ルルーシュ「無論だ。藤堂が見えず、ゼロがいる場合は藤堂が仮面を被っていると思っていい」
千葉「藤堂さん……奇跡の二つ名は健在なのですね……」
ルルーシュ(これでよし)
ミレイ「……」
千葉「有益な話が聞けた。ここに来てよかった」
ルルーシュ「そうだ。これを持って行って下さい」
千葉「ツボは?」
ルルーシュ「強く大きな秘密というのは口から出ようとするもの。それは意思を持つかのように」
千葉「喋りたくなると?まさか……」
ルルーシュ「引き抜こうとした者には秘密が勝手に漏れていこうとするものですよ」
千葉「む……」
ルルーシュ「そこで、このツボです。もしどうしても秘密を押さえきれないと思ったときはこのツボに吐き出してください」
千葉「ゼロは藤堂さーん!!!ってツボに向かって発するのか。童話で聞いたことがあるが、効果はあるのか?」
>>53
千葉「ツボは?」→千葉「このツボは?」
ほ
ルルーシュ「ある。それともう一つ。もし、他人に秘密を語った場合、この壷の中へ引き摺りこまれますから、気をつけてください」
千葉「な……!?」
ルルーシュ「捨てても手元へ戻ってくる、呪いの壷。これは秘密知った対価です」
千葉「……」
ルルーシュ「それだけの覚悟があったのでしょう?」
千葉「……分かった。壷を受け取る」
ルルーシュ「ふっ。では、秘密には十分にご注意ください」
千葉「ああ。世話になったな」
ルルーシュ(藤堂への忠義と壷。この二重の鎖で縛っておけば、そう簡単には漏らそうとしないだろう……。ゼロへの忠誠心も上がり、いいこと尽くめだ)
ミレイ「……」
ルルーシュ「さ、会長?片づけを……どうかしました?」
ミレイ「……わ、私の秘密も……知ってるわけ……?」モジモジ
ルルーシュ「……残念ながら、会長の秘密は分かりません」
ミレイ「はぁ……よかった……。ん?いや、どっちがよかったのかな……知られていたほうが良かったのかしら……?」
ルルーシュ「ほら、片付け全然終わってないんですから。作業に戻りましょう」
ほ
ミレイ「ルルーシュ!!そろそろお昼じゃない?!」
ルルーシュ「そうですね。そうしますか」
ミレイ「やっほー!!これがメインだったのよねぇ!!」
ルルーシュ「全く、会長は」
ミレイ「でも、ルルーシュ?千葉さんのことだけど、どうしてあそこまで色々と知ってたの?」
ルルーシュ「彼女のことは少し調べれば情報は出ていますよ。元々日本解放前線にいた人ですからね」
ミレイ「って、ことはあれってデタラメ?!」
ルルーシュ「当然でしょう。信じていたんですか?」
ミレイ「なんかこう迫真だったし」
ルルーシュ「ああでも言わないと納得しないですからね」
ミレイ「ルルーシュ?詐欺師にだけはならないでね?」
ルルーシュ「なりませんよ。それにもうお客もこないでしょう。閉店の張り紙はしておきましたし」
ミレイ「そう。さてと、お昼にしましょうか」
ルルーシュ「ええ」
ルルーシュ(とりあえず今日は扇と四聖剣を呼び出さなくてはな……)
>>61
ルルーシュ「彼女のことは少し調べれば情報は出ていますよ。元々日本解放前線にいた人ですからね」
↓
ルルーシュ「彼女のことは少し調べれば情報は出ていますよ。元々日本解放戦線にいた人ですからね」
ほ
ミレイ「うーん、おいしいっ!さっすが、ルルーシュね。いいお嫁さんになれるわよ」
ルルーシュ「会長ぐらい美味しそうに食べてくれる旦那なら俺も喜んで嫁ぎますけどね」
ミレイ「うぐっ……!?」
ルルーシュ「どうしました?」
ミレイ「うぐぐっ……!!」
ルルーシュ「ああ。はい、水」
ミレイ「うぐっ……うぐっ……ぷはっ……。ルルーシュ、変なこと言わないでよ」
ルルーシュ「どうして俺が怒られるんですか」
ミレイ「もう……」
ルルーシュ(それにしてもこの顧客名簿を見る限り、黒の騎士団のメンバーも多く利用しているな。日本人にとっては馴染みの店なのか)
ルルーシュ(今夜、アジトでこの店のことを聞いてみてもいいかもな。レジスタンスの隠れ家になっていたのかもしれないし)
ミレイ「ふぅー。食べた食べた。さ、ルルーシュ。午後もがんばりましょー」
ルルーシュ「ええ。早く終わらせましょう、こんなことは」
ミレイ「こんなこととは失敬な。これも立派な社会奉仕活動なんだから」
ルルーシュ「これが?いや、会長がそういうならそうなのでしょうね」
ルルーシュ「なんだ、この玩具のような杖は……。これは値打ちはなさそうだな」
ミレイ「可愛い杖ね。捨てるなんて勿体無いわよ。シャーリーかカレンにプレゼントしたら?魔法少女になれるかも」
ルルーシュ「シャーリーはともかくカレンは似合わないでしょう」
ミレイ「そう?案外いい線行ってると思うけどなぁ」
ルルーシュ「真面目に片付けを―――」
「ごめんください」
ミレイ「あれ?また?」
ルルーシュ「張り紙も見えないのか。眼科を薦めたほうがいいかもしれませんね」
ミレイ「まぁまぁ。それだけのお店だったってことでしょ?」
ルルーシュ(願いを叶える店か。前の店主、会長の祖父母は一体どんな詐欺まがいなことをしていたのか……)
ミレイ「今行きまーす」
咲世子「どうも。ミレイ様、ルルーシュ様」
ルルーシュ「咲世子さん?どうしたんですか?」
咲世子「少し様子を見に来ました。このお店の片付けをしていると聞きまして」
ミレイ「もしかして咲世子さんもこの店を利用したことあるとか?」
咲世子「いえ。ですが、この店はかなり有名ですので、店のことは知っていました」
ルルーシュ「占いの館としてですか?」
咲世子「どんな願いでも叶えてくれるということでそれはもう評判がよかったんですよ」
ミレイ「私の祖父母が店を開いたときから、そんな噂があったの?」
咲世子「はい。そのように聞いております」
ルルーシュ(長年続いたということはそれだけ成果があったのか……)
咲世子「どうやら、何も問題はないようですね」
ルルーシュ「どこがですか。見ての通りにまだ三割も片付いていないんですよ。咲世子さんも手伝ってくれればありがたいのですが」
咲世子「それは……」
ミレイ「ああ、うん。そのほうが捗るし、咲世子さんさえよければ手伝っていって」
咲世子「……いえ、ナナリー様をお一人にするわけにもいきませんので」
ルルーシュ「それもそうですね。ナナリー優先でお願いします」
咲世子「かしこまりました」
ミレイ「……」
咲世子「それでは、遅くなるようでしたら後ほど伺いますので」
ミレイ「あーあ、折角の戦力が……」
ルルーシュ「そもそもどうして俺だけなんですか。リヴァルやスザクも誘えば男手も増えてよかったんじゃないですか?」
ミレイ「あー、そうね。あまり考えてなかったわ」
ルルーシュ「はぁ……」
ルルーシュ(それにしても咲世子の話からすれば、何でも願いを叶えるというのも全くの偽りではないようだな。何かあるのか……?)
ミレイ「ルルーシュ。みてー。剣が出てきた」
ルルーシュ「危ないですから仕舞ってください、そんなもの」
ミレイ「やー、とー」
ルルーシュ「会長?怪我をしたら俺の責任問題になるんで、やめてください」
ミレイ「はいはい」
ルルーシュ(会長の親族にギアス能力者がいた可能性もあるな。この館、調査する価値はあるかもしれない)
ミレイ「ルルーシュ?どうしたの?」
ルルーシュ「向こうの倉庫を見てきます。片付ける場所の優先順位を決めておいたほうがいいですからね。今日中に終わらないと思いますし」
ミレイ「わかった。よろしく」
ルルーシュ「はい」
ミレイ「ふんふーん」ゴソゴソ
「誰かいますかー?」
ミレイ「ん?はいはーい。今、いきまーす」
「閉店したと聞いたんですが……」
ミレイ「実はそうな―――え!?」
カレン「会長?!」
ミレイ「カ、カレン……。どうして?」
カレン「会長こそ……」
カレン(って、やばっ。髪の毛、セットしてないし……!!)
ミレイ「自宅のヘアスタイルね」
カレン「あ、まぁ……はい……」
ミレイ「どうしたの?悩み事?」
カレン「……閉店したって聞いたので、最後に悩み事を聞いて貰おうかなって……」
ミレイ「私でよければ聞くけど、どうする?」
カレン「……なら、聞いてください」
カレン「このお店はお兄ちゃんに教えてもらったんですよ」
ミレイ「へえ。お兄さんもよく利用してたの?」
カレン「ええ。ここで色々な助言を貰ったと言っていました」
ミレイ「私の祖父母は何をやっていたのかしらね……ホント」
カレン「助言は的確だって言っていました。実際、あたしも色々と……」
ミレイ「最近も来たの?」
カレン「もう何ヶ月も前ですけど」
ミレイ「ふぅーん。そのときもいいアドバイスを貰ったのね?」
カレン「ええ。だからこそ、今のあたしがあるようなものですから」
ミレイ「そこまでの助言ができるってすごいのね」
カレン「はい。会長は知らなかったんですか?」
ミレイ「お店のことは聞いてたけど、界隈を賑わせているなんて今日初めて知ったぐらい。私も何か聞いておけばよかったなぁ」
カレン「でも、今は訊く側なんですよね」
ミレイ「おっと、そうだった。で、悩み事はなぁに?」
カレン「……気になる人がいるんです」
ミレイ「恋の悩みかー。大得意」
カレン「こ、恋というか……。えっと、まだ、よくわからないんですけど……。その人のこと、あたしはよく知らないし」
ミレイ「街で見かけてひとめぼれ!?」
カレン「あー、えっと……なんていえばいいかな……知り合いではあるんですが、素性を知らないというか……」
ミレイ「近くて遠い存在ってこと?少し話しただけの学校の先輩、みたいな?」
カレン「あー、そうそう。もっというならニーナがユーフェミア皇女に憧れているみたいな、感じに似ていると思ってください」
ミレイ(千葉さんと似た境遇ね……)
カレン「あたし、その人に何度も助けられてるし、これからも付いていきたいとは思っているんです」
ミレイ「何か問題でもあるの?」
カレン「なんていうか……その……その人の傍にはいつも女性がいて。もうかなり憎たらしいんですけど」
ミレイ「ほほう。嫉妬ね」
カレン「大したこともしてないのにどうしてあいつを傍に置いているのか分からなくて……」
ミレイ「その理由を聞きにきたと?」
カレン「もしくは、えっと……あたしが隣にいける方法なんて……ものが……」
ミレイ「いいわよねー。青春って」
カレン「でも、会長に言っても仕方ないですよねー。ごめんなさい。もう帰ります」
ミレイ「まあまあ。閉店と聞いて、慌てて最後の悩みを解決するために駆けつけたわけでしょ?要はそれだけカレンにとって大きな悩みってことよね?」
カレン「……はい」
ミレイ「その人ってどんな人?」
カレン「かっこいいです」
ミレイ「……うん。ほかには?」
カレン「頭が良くて、厳しいけど優しくて……」
ミレイ「ぞっこんなんだ」
カレン「い、今は、あくまでも人として尊敬しているだけですから」
ミレイ「確認だけど、それってルルーシュじゃない?」
カレン「ち、ちがいます!!どうしてルルーシュくんが出てくるんですか?!」
ミレイ「どれも当てはまってたから」
カレン「全然、違いますから」
ミレイ「その人、ほかに女性の影はないの?」
カレン「えっと……。もう一人います。その人はもうかなり身分が違うので、あたしなんかじゃ太刀打ちできないんですけど」
ミレイ「つまり、その人は二人から想われてると?」
カレン「そこも分からないんです。憎たらしい女のほうは関係を否定してるんですけど、いつも同じ部屋で一緒にいるし……」
ミレイ「なるほどね。仕事上のパートナーでもあるわけか」
カレン「ええ……」
ミレイ「カレン。なら、大丈夫よ」
カレン「どうしてですか?」
ミレイ「その人もいい大人なんでしょ?カレンが憧れるっていうぐらいだから」
カレン「はい。年上でしょうね」
ミレイ「そのパートナーだっていい年齢なんでしょ?それで関係を否定するなら、それは真実よ。いい大人が中学生みたいなことしないでしょうし」
カレン「はぁ……。なら、どうしたら?」
ミレイ「簡単じゃない。アタックするだけよ。恋はガーッツ、なんだから」
カレン「で、でも……」
ミレイ「もう一人の身分が高い人のことね?」
カレン「はい。彼女はもう自分が嫁だと言っていますし……」
ミレイ「傍にカレンの言う憎たらしい女性がいるにも関わらずそう言えるってことは、その人はかなり器が大きいと見た。愛人とかウェルカムな人なんじゃないの?それならもうカレンのすべき事は一つしかない」
カレン「なんですか?」
ミレイ「堂々と宣言する。私が嫁だーっ!!ってね」
カレン「むりむりむり!!」
ミレイ「大丈夫。既成事実さえ作っちゃえば、向こうもノリ気になってくれるわよ」
カレン「き、嫌われたらどうするんですか?!」
ミレイ「年下の女の子の可愛い我侭を無碍にするようなら、それまでの男ってことで」
カレン「でもぉ……」
ミレイ「カレンが惚れた相手ですもの、きっとその人なら受け入れてくれると思うな」
カレン「そうですか?」
ミレイ「うん。そんなに不安なら……えーと……あ、あった」
カレン「な、なんですか?」
ミレイ「このリボンをプレゼントしちゃう」
カレン「リボンなんてどうしたら……?」
ミレイ「そりゃもう可愛く髪を結って、私を貰ってくださいとか言えばいいじゃない」
カレン「い、いえるわけないでしょう!?」
ミレイ「いいから、ほら」
カレン「でも……」
ミレイ「そのリボンは恋を成就させる力があるから大丈夫よ」
カレン「ほ、ほんとうですか?」
ミレイ「マジマジ。これでも私は店主の親族に当たる人物なのよ?」
カレン「なら、対価は……?」
ミレイ「カレンがその人に抱きついている写真でいいわ」
カレン「顔は見せませんよ?」
ミレイ「そこまではいいわよ。貴方の嬉しそうな顔を拝めれば十分だから」
カレン「なら……やってみます」
ミレイ「うんっ。頑張ってきて、カレン」
カレン「話を聞いてくれてありがとうございました」
ミレイ「いいのよ。またね」
カレン「はいっ」
ミレイ(なんて私が偉そうにアドバイスできる立場でもないのになぁ……。ま、いいか)
ミレイ「いいから、ほら」
カレン「でも……」
ミレイ「そのリボンは恋を成就させる力があるから大丈夫よ」
カレン「ほ、ほんとうですか?」
ミレイ「マジマジ。これでも私は店主の親族に当たる人物なのよ?」
カレン「なら、対価は……?」
ミレイ「カレンがその人に抱きついている写真でいいわ」
カレン「顔は見せませんよ?」
ミレイ「そこまではいいわよ。貴方の嬉しそうな顔を拝めれば十分だから」
カレン「なら……やってみます」
ミレイ「うんっ。頑張ってきて、カレン」
カレン「話を聞いてくれてありがとうございました」
ミレイ「いいのよ。またね」
カレン「はいっ」
ミレイ(なんて私が偉そうにアドバイスできる立場でもないのになぁ……。ま、いいか)
新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内
新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内
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