桐乃「クリスマスに京介を落としてみせる」(341)
―――桐乃の部屋
桐乃「はぁ……どうしよう」
桐乃「いつ京介をデートに誘うか悩んでたら、いつの間にかクリスマス間近になっちゃった……」
桐乃「う~、ヤッバいなぁ」
桐乃「先約があったらどうしよう……てか、どうやってこの話を切り出そう……」
桐乃「うーん……そだ」
桐乃「………まずは新作のエロゲーの話をして、そっからさりげなく話題を振ればいいよね」
桐乃「それでデートの約束できたら、アキバあたりに誘って………あとは」
桐乃「………」
桐乃「……よしっ!よぉーっし!」
桐乃「いくぞーッ!!」
――――
俺の名前は高坂京介。自分でいうのもなんだが、ごく平凡な男子高校生である。
平凡を愛し普通の人生を送るため、なるべく無難な選択肢を選んできたつもりだったのだが………
去年の夏、妹からされた人生相談をきっかけに俺の人生は大きく変化することになる―――
――まあ、前置きはこのあたりにしておこう。そろそろ本題に入らないとな。
今日は12月20日。あと数回寝ればクリスマスイヴだ。
俺はここ数日、自分が誰とクリスマスイヴを過ごしたいのか考え続けていた。
俺が出した答えは―――
………と、説明するより会いに行ったほうが早いな。
じゃあ、さっそくデートに誘いに行くとしよう。
ちょっと緊張してきたな………
――――
ノックをする直前にドアが開き、そいつが現れた。
桐乃「あ…………」
京介「よ、よう」
桐乃「えっと………どしたの?……なんか用?」
京介「いや、別にたいした用じゃねぇんだけど。おまえが何してるかなーと思ってさ」
桐乃「ふ、ふうん。……実はあたしも今からあんたの部屋に行くところだったんだよね」
京介「へぇ……そりゃ偶然だな」
桐乃「うん。……だよね。…まあ、中入れば?」
京介「お、おう」
―――桐乃の部屋
相変わらず甘い匂いのする部屋だ。
なんかこう……落ち着かない気分になる………
さて、どう切り出したものか……と、考えていたところ桐乃が拍手を打って
「あっ、そうだ」となにか思い出したように隠し収納スペースを漁り始めた。
桐乃「これこれ!あんたにオススメの新作あるんだけどさ――」
京介「言っておくがエロゲーならやらんぞ」
桐乃「はぁッ!?パッケージも見ていないうちから何言っちゃってるワケ?」
京介「どうせ、妹ものの新作エロゲーだろ?見なくてもわかるっつーの」
桐乃「そ、そうだけど!!でもでもっ」
京介「……んじゃあ、見るだけな」
桐乃「にひひ~、パッケージ見たらぜったいやりたくなるよ~」
「じゃーん」と自慢げに見せびらかしてくる桐乃。
京介「うっ、これは!」
桐乃「ヤバくないっ!?可愛すぎじゃない!?」
京介「いやまあ……たしかに可愛いとは思うんだが…」
京介「な、なんだ、この【悪戯サンタ~待っててね♪マイシスター~】っつう邪悪なタイトルは」
京介「……いったいどんな内容なのかさっぱり見当がつかねぇぞ」
桐乃「寝てる妹の部屋に侵入してクリスマスプレゼントと称していろいろなイタズラをしちゃおうってゲーム」
京介「ろくでもねぇゲームだなッッッ!!」
エロゲーのパケ裏を見ると………兄が妹の靴下で●●●●してるシーンなどが描かれていた。
この妹ヒロインは靴下の中に、プレゼントの代わりに兄のアレがたっぷり入ってるとは想像もできないだろうよ………。
サンタさんからのプレゼントを楽しみに靴下をぶら下げてる妹に酷なことする変態サンタ(もとい兄)であった。
……ひでぇ話である。実にひでぇ話である。
俺が黄昏ている間も「でねっ、選んだ行動によって毎回違ったシチュでシナリオが進むんだけどさぁ!」
などと、延々と続く桐乃からの解説を俺は中断するべく、うんざりと言った。
京介「あ~、わかった。このゲーム貸してくれたら今度やっとくから」
桐乃「なになに?興味出てきたワケ~?」
京介「まあな」
桐乃「にひひ~!仕方ないなぁ。じゃあ貸してあげるから絶対コンプしてよね?」
京介「へいへい。わかりましたよ」
多分やんねーけど。
京介「そういや、おまえの用事ってなんだったんだ?」
桐乃「あたしの用事?」
京介「いや、おまえ俺に用があって俺の部屋に来るところだったんだろ?」
桐乃「あ、あ~……まぁ、たいしたことじゃないんだけど、さ」
桐乃「もうすぐクリスマスじゃん?……あんたはどうするのかなー………って」
京介「あ……ぷっ――ハハハッ」
なんだ……こいつも俺と同じだったんだな。
どう切り出すか、緊張してたのが馬鹿らしくなってきたぜ。
桐乃「な、なに?なんで笑ってんの?」
京介「はは……いや、おまえも俺と同じ用事だったんだなって思ってさ」
桐乃「同じ?じゃ、じゃあアンタも――それであたしの部屋に来たってこと?」
京介「おうよ」
桐乃「ふうん。そっか……あんたも同じだったんだ」
京介「桐乃……クリスマスどっか行くか?」
桐乃「うん!」
京介「決まりだな。どっか行きたいとこあるか?」
桐乃「んー………京介の行きたいとこでいいよ」
京介「むぅ……」
またか………
こいつの場合は本当にどこでもいいわけじゃない。
桐乃の行きたいところを当ててみなさいというゲームなのだ。
女っつーのはしちめんどくさい生き物である。
まあ――こう見えて俺は妹様の傾向を、この一年と半年で学んできたつもりだ。
ここは、おそらくこの答えで間違いないはずだ。
京介「そうだな。まず渋谷でショップを見て、ライブ見て――ってのはどうだ」
桐乃「却下」
京介「即答!?」
桐乃「バカじゃん?それ去年のクリスマスであたしが教えてあげたコースっしょ」
桐乃「もうちょっと自分で考えてよ」
京介「そ、そうだな………」
京介「ん~、……じゃあアキバはどうだ?」
桐乃「アキバか~!………うん、悪くないかもね!」
京介「よっし。じゃあアキバでいいな」
桐乃「オッケー。デートプランちゃんと考えてきてよね?」
京介「おう、ちゃんと考えとくよ。デートだもんな」
桐乃「……ん。楽しみにしてるから」
京介「任せとけ」
こうして、俺は無事に妹とクリスマスデートの約束をしてきたわけだ。
大切な妹と一緒にクリスマスイヴを過ごす。
なかなか悪くない答えを選んだんじゃないかと思う。
かつての俺だったらまず選ばない選択肢だったのだろうが――今はそうじゃない。
とまあ、ここまでは無事に物語が進んできたわけだが
俺が今、自分の部屋で何をしているかというと………
―――非常に気まずい思いをしていた……
『きょ、京介……大好き』
………壁越しに桐乃の声が聞こえてきたからだ。
いったい何をやってるんだあいつは?
今、とんでもない爆弾発言が聞こえた気がするが……
……俺の聞き間違いか?
『……えと、こっちの方がいいかな……あいつシスコンだし』
『あのね、あたし…兄貴のこと……好きなんだ』
……………………。
俺は自分の頬が真っ赤になっていくのを感じていた。
つうか、何!?
こいつ、やっぱり俺のこと好きだったの?
『うーん……もう少し可愛く言った方がいいのかなぁ……』
『あたしね……お兄ちゃんのこと……大好きだよ』
ぐはぁッッッ!!!!
………い、いまのは効いたぜ。危うく意識が飛びかけたぞ………
俺は桐乃の『お兄ちゃんのこと……大好きだよ』という台詞を脳内でリピートしていた。
い、いかん!
このままでは、妹の声を盗み聞きしている変態兄貴そのものだ。
俺はかぶりを振って壁から耳を離そうとした。
―――と、その時
『んっ……ん、くぅ……』
桐乃の甘い声が聞こえてきて俺は壁から耳を離せなくなってしまう。
な、ななななにをやってるんだ!?
まさか……まさか……
桐乃『あんっ……だめ…きょーすけ』
桐乃『はぁ、はぁ……んっ!…あ、んっ………んん~ッ!!』
京介「………」
桐乃『……や、やばっ…変になりそう……っん!……ん、あッ』
京介「………」
桐乃『だ、だめっ…んっ、くぅ………んん』
京介「……ゴクリッ」
桐乃『ひぅっ!……ッ~あんっ!』
桐乃『ぅんっ…はっ……あ、あぁッ!!……ヤバッ…イきそう…っ!』
京介「なっ……ちょ、ちょっと待て」
京介「け、携帯。……えっと、録音は、」
桐乃『っ…京介ぇ…んんっ、ああぁぁッ!ん~~~ッッッ!!!』
京介「…………あ」
桐乃『………はぁ…はぁ、んっ』
京介「……くそッ………間に合わなかった」
桐乃『はぁ…京介……おやすみ』
京介「………」
京介「……おやすみ、桐乃」
どうやら、桐乃は疲れたのか眠っちまったらしい。
まあ、実際のところ桐乃がなにをやってたのかなんてわからないんだが……。
俺はすっかり目が冴えて、眠れない夜を過ごすことになった。
……ふぅ。
言っておくが………俺は何もしてないぞ。溜息を吐いただけだからな。
勘違いしないように。
そして翌日――
―――リビング
京介「……おはよう」
桐乃「おはよ……って、すごいクマ出来てるけど。寝てないの?」
京介「いや、なんだ……昨日借りたゲームが面白くってさ、朝方までプレイしちまってよ」
桐乃「へぇ!徹ゲーするほど気に入ったんだ?」
京介「ま、まあな。けっこう面白かったぜ」
桐乃「うんうん。神ゲーだしトーゼンだよね~!」
京介「……おまえはスッゲー元気だな。昨日はよく眠れたのか?」
桐乃「ま、まあ、よく寝たかな」
京介「ふーん」
桐乃「な、なによ…」
京介「いや、なんでもねえよ」
桐乃「……そ、そうだ。今日ヒマ?」
京介「暇だけどどうした?」
桐乃「だったらさ学校終わってからどっか行かない?」
京介「いいけど、どっか行きたいとこでもあんのか?」
桐乃「ちょっと新しい服見に行きたいんだよね」
京介「まあかまわんけど、俺が行ってもなんの役にも立たんぞ」
桐乃「んなこと最初からわかってるっつうの。あんたに洋服のセンスなんて求めてないから」
京介「ぐっ……ならなんで俺が一緒に行かなきゃなんねーんだよ」
桐乃「そ、それは………ま、まあいいじゃん!どうせ暇なんでしょ?」
京介「そりゃそうだけど……ま、しゃーねえ。お付き合いしますよ」
桐乃「ほんと?んじゃ、放課後いったん帰ってきてから出発ね」
京介「了解」
――ということで放課後、俺は桐乃と家で合流してから若者向けのショップにやってきた。
なんつうか俺の着ている服ではこの店の雰囲気にまったく合わない。
桐乃はいつも通り完璧に決まってるファッションなので、隣に居る俺がかなり浮いてしまっている。
なんの罰ゲームだよ………って、なんか去年にもこんなことがあったような気がするな。
途中、店の外で待つことを提案してみたのだが、妹様にバッサリ却下されてしまった。
なんでこう、女ってーのは服見るだけで何時間もかかるもんなのかね。
決まったら買えばいいのに「あっちの店も見てから」だの「こっちの店も見ないと決められない」だの………
何着ても可愛いんだからさっさと決めちまえよ!
と、心の中でぼやいていると――
桐乃「ねぇ、どっちがいいと思う?」
京介「お、俺に聞くなよ」
桐乃「いいから。選んでよ」
京介「そういわれてもなぁ……どっちも似合うと思うぞ?」
桐乃「はいダメー」
京介「な、なにがだよ」
桐乃「そういうことを言う男が一番ダメなの」
桐乃「教えてあげるけど、あんたが今言った台詞、この場面でサイテーの答えだからね」
京介「ぐっ……悪かったな。そんなこと言われてもセンスねえから仕方ないだろ」
桐乃「……センスとかじゃなくて、あんたに決めてほしいの。だからちゃんと考えてよ」
京介「そ、そうかよ。じゃあ、そうだな――」
―――帰り道
桐乃は、俺が選んだ服を買ってきた。
俺に選ばせたことに何の意味があったのか、さっぱり分からなかったが桐乃は満足そうにしていた。
京介「ほんとに俺が選んだ服でよかったのか?」
桐乃「ん?あたしもこの服気に入ったし、あんたにしてはなかなかいい線いってると思うよ」
桐乃「それに、もともとあたしが買おうと思ってた二着の中から選んでもらったわけだしね」
京介「……それもそうだな。結局はおまえのセンスで選んだってことだしな」
桐乃「それは違うってぇ、あんたが選んでくれたからこっちを買ったわけじゃん?」
京介「よく分からん。話がややこしくなってきたぞ」
桐乃「だからぁ……その、選んでくれてありがと…ってこと」
京介「そ、そうか。まぁ……気に入ってもらえてよかったよ」
桐乃「ひひっ、当日を楽しみにしてなさいよね」
京介「え?もしかして今日選んだ服って、イヴに着るための服だったのか?」
桐乃「まあねー。だからあんたについて来てもらったってわけ」
京介「なんだよ、だったら最初からそう言えよ。それなら、もっと真面目に選びたかったぞ」
桐乃「真面目にってどんなの選ぶつもりだったわけ?」
京介「そりゃあ……おまえに似合いそうなやつをだなぁ」
桐乃「そんなこと言ってあんた絶対エロい服選ぶでしょ?」
京介「なッ!!んなことねーよ!」
桐乃「絶対ウソ!……い、妹にエッチな服着せようとしてハァハァするでしょ!?」
京介「しねぇーよッッ!!!!」
桐乃「ふん、どーだかァ?あんたほどのシスコンになると何するかわかんないしぃ~?」
こんのクソアマッ……!
言いたい放題だなぁ、おい!!
………いいぜ……てめーがその気なら、まずはそのふざけた妄想をぶち壊す――ッ!!
京介「ふっ……言ってくれるじゃねぇか………!俺を怒らせてそんなに恥ずかしい思いをしたいのか?」
桐乃「…きもっ。なんのことかしんないけど、あたしは恥ずかしいことなんてしてないから」
京介「俺はな、おまえがブラコンだって知ってんだよ」
桐乃「は、はあ!?い、意味わかんない…ッ……あ、あたしがブラコンなわけないでしょ!!」
京介「いいか……よっく聞けよ」
京介「『京介……大好き』」
桐乃「ッ!?ちょ、ちょっと!!」
京介「ククク……まだあるぜ?」
京介「『あたしね……お兄ちゃんのこと……大好きだよ』」
桐乃「~~~ッッッ!!!!」
京介「フハハッ!!どうだ?これでもまだ認めねえつもりなら、とっておきの秘密兵器を――、」
桐乃「……うっ…ううぅ」
ヤ、ヤバイっいじめすぎた!?くそ……結局、俺の負けかよ……。
ったく……泣くのは反則だろ。
京介「わ、悪かったよ……。いま言ったのは俺の作り話だ」
桐乃「え……?」
京介「俺が勝手に言った妄言だ。……だから、泣くな」
桐乃「……グシッ。………ふん!泣いてないっつーの!!」
嘘吐け!!
泣いてたじゃねーか!!
……と、突っ込むかわりに妹の頭を撫でてやった。
京介「悪かったな」
桐乃「……ゆるす」
桐乃「…手」
京介「な、なんだよ」
桐乃「寒いから手繋いで帰る」
京介「…おう」
ということで、家に着くまで手を繋いで帰った俺たちなのであった。
その間、俺はニヤケ顔になっていたような気がするが―――多分気のせいだろう。
まあ、冷静に考えてみると、あのことを桐乃に言っちまってたらヤバかったよな……いろいろと。
ギリギリのところで踏みとどまった自分を褒めてやりたいぜ。
そもそも――桐乃が俺のこと考えながら●●●●……なんて……しないだろ、普通に考えて。
などと思索しているうちに、ふと気付いた。
最近、桐乃のことばっか考えてるな、俺。
まあ今までにもこんなことはあったし、たいしたことじゃない。
たいしたことじゃないはずなんだが………どうにもモヤモヤする。
もしかして俺、桐乃のこと―――
いやありえねえって!俺が今回クリスマスに妹をデートに誘ったのだって日頃の感謝というか、そのはずだ。
……あいつを好きになっちまったら、俺はもう桐乃の兄貴でいられなくなってしまう。
桐乃の兄貴でいるために俺は、自分の想いに気付かないようクリスマスまでの時を過ごした。
――――そして、クリスマスイヴがやってきた。
―――高坂家玄関
桐乃「おまたせ」
京介「おう……って、おお」
桐乃「な、なにジロジロ見てんの…」
京介「可愛いな、その服。よく似合ってるよ」
桐乃「っ……あ、あたりまえっしょ?てか、エロい目で見んな。…シスコン」
京介「そりゃー、悪うございましたね。どうせ俺はシスコンですよ」
桐乃「ほら~拗ねてないでさっさと出発するよ」
京介「へいへい」
―――アキバ
京介「おお!思ったより人多いな」
桐乃「うわぁ……わざわざイヴにアキバ来るとかよっぽど暇なんだね」
京介「……いや、その台詞は俺たちが言っちゃいけないと思うぞ」
桐乃「たしかにねー。んで、どこ回る?」
京介「そうだな、どこか行きたいとこはねぇの?」
桐乃「んー、そういえばゲーセンにメルルの新しいぬいぐるみが入ってるはずだからゲーセン行きたいかな」
京介「んじゃまずはゲーセンに行ってみようぜ?」
桐乃「おっけー。メルちゃんのぬいぐるみゲットするんだから!」
京介「ま、ほどほどにな」
―――ゲーセン
桐乃「ああ~~ッ!もうっ!!ぜんぜん取れないぃ!!」
京介「おいおい……いったい幾ら使うつもりだ?」
桐乃「まだ五千円しか使ってないし、一万円までは頑張るつもり」
京介「落ち着け!たかがぬいぐるみに一万円も使うやつがどこにいるんだ!?」
桐乃「たかが?いまアンタ、たかがつった?」
京介「いえなんでもありませんッ!!」
桐乃「ふんっ、ならいいけど。……にしても取れないなぁ~」
京介「さっきから見てたけど、アームが弱すぎんだろ。こんなもんどう考えてもボッタクリじゃねえか」
桐乃「ねぇ、ちょっとあんたやってみてよ」
京介「俺の話し聞いてた!?アームが弱くて取れっこねぇって!!」
桐乃「いいから~!まだクレジットあるしさ。やってみてよ」
京介「……取れなくても文句言うなよ?」
桐乃「わかってるってぇ。ホラ、早く」
京介「わーったよ。えっと……この辺か?」
ウイーン……ガチャ
桐乃「ちょっと待って!あたしが横から見るから!」
京介「よし、じゃあ指示してくれよ?……動かすぞ」
ウイーン……
桐乃「ストップ!」
ガチャ
京介「っと……。いけたか?」
桐乃「おお!これは、結構いいところにいったと思うよ!」
京介「……っ!」
桐乃「がんばれっ…」
桐乃「あっ……ダメだぁ……ぬいぐるみにアームが引っかかっちゃった」
京介「いや、まだあるぞ」
桐乃「え?」
ウイーン……
京介「ほら、きたぞ…アームの爪がぬいぐるみのタグに上手い具合に引っかかってる」
桐乃「ほんとだ!超すごいじゃん!!」
ガコッ
京介「よし、やったぞ!……えと、ほら」
桐乃「うわぁ……ありがと」
京介「お、おう。……まぁ、ラッキーだったよな。まぐれみたいなもんだしさ」
桐乃「でも、あたしたちの息が合ったから取れたって感じじゃない?」
京介「へっ、そうかもな」
桐乃「にひひ~!さ、次はどこ行く?」
京介「そうだな―――」
その後、俺たちはいつものように電気街を見て周り、食事を終えたころには日が暮れてはじめていた。
今日はお袋たちもデートで帰りが遅くなるらしいので、時間にはまだ余裕がある。
そういえば、まだクリスマスプレゼントを買ってやれてなかったな。
今日は、一応このために財布の中には三万円ちょい入れてある。
たまには桐乃のために奮発するのも悪くないだろう。
とはいえ、こいつが今なにが欲しいのかさっぱり見当がつかん。
ということで、俺は桐乃に聞いてみることにした―――
京介「なぁ、おまえなんか欲しいもんあるか?」
桐乃「なぁに?もしかして、プレゼントでも買ってくれるワケ?」
京介「まあ、今日はクリスマスデートだからな。何でも買ってやるよ」
桐乃「マジで!?なんでもいいの?」
京介「いや、まぁ……俺の買える範囲で、ってことだぞ?」
桐乃「わかってるって!うーん……そうだなぁ……うん」
桐乃「………京介」
京介「えっと、なに?なんだって?」
桐乃「だ、だから!京介が欲しい……なんて」
京介「…………ッ」
桐乃「……ダメ?」
京介「おまえ……っ!――んなこと言って、また俺をからかうつもりだな!?」
桐乃「ち、ちがうってば!!この日のために……告白の練習だってしてたんだから。…聞いてくれる?」
京介「…おう」
桐乃「あたし、あんたのこと好きなんだ」
京介「………」
桐乃「だからあんたの彼女にしてくれたら…ってさ………それが一番欲しいプレゼント、かな」
京介「……そっか」
……やっぱ、あの壁越しに聞こえた台詞は聞き間違えじゃなかったんだな。
俺は、今まで桐乃の想い――俺の桐乃への想いに気付かないようにしてきた。
でも、もう曖昧なまま避けることは出来ない。
―――こいつの想いに、俺なりの答えを示してやらないとな。
京介「桐乃」
桐乃「……はい」
京介「俺たちは兄妹だ。だから、」
桐乃「や、やっぱいい!聞きたくないッ!!……いま言ったの全部冗談だからっ!!」
京介「ちょ、最後まで聞けよ!!」
桐乃「やだ……聞きたくない」
まいったな……泣き出しちまった……。
でも、俺も覚悟を決めたんだ。最後まで聞いてもらわないと………
京介「あのな、よく聞け――俺たちは兄妹だ。恋人になることはできないし………結婚もできない」
桐乃「うっ……うぅ……ッ」
京介「でもな、桐乃―――」
京介「俺もおまえが好きだ」
桐乃「……え?」
京介「俺は桐乃が好きだ。愛してると言ってもいい」
桐乃「……っ」
桐乃「ぐしっ……ほんと…?ほんとに、あたしのこと好き?」
京介「ああ。大好きだよ。だから泣くな」
桐乃「うん……。へへっ……嬉しい」
桐乃「……でも、さ。それって、あたしとは付き合えないってことだよね……」
京介「まぁ、俺たちは兄妹だからな」
桐乃「……だよね」
京介「けどな、まだ俺の話は終わってないぜ?」
桐乃「……言っとくけど、これ以上ツライ話したらまた泣くかんね」
京介「安心しろ。こっからは俺の告白だ」
桐乃「あんたの告白?」
京介「ああ。――たしかに俺たちは結婚もできなきゃ恋人にもなれない。これはな、俺だって辛いんだ」
桐乃「……うん」
京介「できるなら、おまえと恋人になって結婚したい。世の中の理なんか糞くらえだ!!」
京介「……だからな、俺はおまえのために生きると決めた」
桐乃「えっ、それって……?」
京介「結婚とかはできないけどさ、俺が一生おまえの隣に居てやる」
桐乃「………ッ!」
京介「……えっと、だめか?」
桐乃「…ううん。……最高のクリスマスプレゼントだよ」
京介「そっか。ならよかったよ」
桐乃「ありがとね、京介」
京介「へ……どういたしまして」
―――こうして俺たちのクリスマスイヴは過ぎていくのだった
―――???
桐乃「京介……大好き」
京介「知ってるよ。おまえって、俺のこと考えながら●●●●するくらい俺のこと好きだもんな」
桐乃「なッ!!な、ななな、なんであんたがそれを!!??」
京介「さあ~?なんでかなぁ?」
桐乃「へ、変態!!シスコンッ!!」
京介「ふ……なんとでも言え。今の俺はシスコンであることを誇りに思っているからな」
桐乃「うう~ッ!あんたってほんと……エロい」
京介「ははっ、わるいわるい……えっと、な」
京介「俺も桐乃のこと……愛してるよ」
桐乃「……知ってるっての。もう……バカじゃん?」
京介「悪かったよ、それより、さ―――そろそろ…いいか?」
桐乃「うん……優しくしてよね、兄貴」
~fin~
支援していただいた方々ありがとうございました。
画像は大切に保管させていただきました。
休憩したあと落ちてなかったら後日談として少しだけ書いてみます。
,彡ニ三三三三三三三ニ=ヾ;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:;:;:i' _,,,,._ 、-r
,彡ニ三三三三ニ三三ニニ;〃ヾ、;:;:;:;:;:;::;:;::;:::;:/;:;:/ .,','" ̄',〈... _,,,_ _,,,_ _,,,,,| |
,彡彡,'',ニ=ミミミ三三三三ニニ彡 `゙゙''ー-、;:;:;:;/;:;/ { { ,___ ,'r⌒!゙! ,'r⌒!゙! ,.'r⌒| l
',彡'/ r' ノヽヾミ三三三三三彡' _,,,,,,、ヽ;:;ィ''| .ゝヽ、 ~]| ,i i i l i l i i .i i .i .i
彡'|.|(‐'''" 'iミニニ三彡"´ ̄ `゙゙ー' ;;;:| `ー-‐'" ゞ_,.'ノ ゞ_,.'ノ ゞ__,.',、'ュ
. 彡i、ヾ (' ヾミニ三' __,,、 ....ノ / r--, 、-r
彡ゝ `'' " |ミミミ' ‐'"ひi,;'´ ,ィ;;ァ' ~`l | _,,,_ | |,,,,,_
'彳`ー‐i |ミミミ' `゙ーシ' |、ニ' | | ,'r⌒!゙! ..| |⌒','i
--、/ i |ミミ .,,r‐''" | ノ | | i i i l .| i .i |
く'ノ :i ミミ ´ ., ' |' l l ゞ_,.'ノ.. .L、-_,'ノ
、\ .l ヾ .ノ(_,,、. | (~'-'ノ
:\ヽ, ヽ / `t‐一' __ `~~
::::ヽ ヽ `::. ,; ' .:i 〈 ヽ
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〃`゙ー、;;;;\\ /i:::::::丿 ' , ' , '`゙ヽ、 /:::::::::::┼‐- -ノ
ID変わりましたがもう少ししたら再開します。
――――
よう、また会ったな。
俺の名前は高坂京介。自分でいうのもなんだが、ごく平凡な男子高校生である――ってこれはもういいな。
俺の話を最後まで見てくれたあんたらに少しだけ――あの時話してなかったことを綴っていくとしよう。
そう、俺と妹の物語はまだ終わっちゃいない。
俺たちはクリスマスイヴの日、お互いの想いを伝え合い――結ばれた。
先に言っておくぞ―――あの日の夜の話は教えてやらん。
桐乃が女になる瞬間を知ってるのは俺だけでいいからな。
おまえらにも一つだけ教えてやるとすれば………桐乃、めちゃくちゃ可愛かったぜ。
まあ、そう怒るな。
これから少しだけ――見せてやるからさ。
つうことで、あと少しだけ付き合ってもらえるとありがたい。
―――桐乃の部屋
桐乃「ねぇ、京介」
京介「どした?」
桐乃「ん」
京介「……っ」
桐乃「もう、はやくぅ」
京介「わ、わかった。……じゃ、いくぞ」
ちゅ…
桐乃「へへ~。ねぇ、もっかい」
京介「ん」
ちゅー…
桐乃「……ん」
京介「……れろ」
桐乃「!?……ん~~ッ!」
ちゅる…
桐乃「ぷぁっ……あ、あんた、いきなり舌いれるとか!」
京介「嫌だったか?」
桐乃「そ、そうじゃなくて……ッ」
京介「じゃ、なんだよ?」
桐乃「うぅ~~だ、だって……あんた、あたしがチューしたいだけの時もすぐエッチしようとするんだもん」
京介「んなことっ………あるかもしれねぇな」
桐乃「自覚はあるんだ……」
そう――お恥ずかしい話だが、あれだけ桐乃を幸せにすると言っておきながら、
桐乃と愛を確かめ合う行為は日に日に増えていくのであった。…………主に俺のせいで。
――仕方ねえだろ?
こんなに可愛い妹が俺を好いてくれてるんだぜ?
俺も桐乃が大好きだし……
でも、もし……あやせにバレたら……いや、考えるのはやめよう。
間違いなく待ってるのは、死だからな。
桐乃「なに、ボーっとしてんの?」
京介「今、俺があやせに殺されるシーンを想像していた……」
桐乃「は?なんで?」
京介「いや、俺たちの関係がバレたらヤバイだろ?」
桐乃「もうばれてるけど?」
京介「はぁ!?マジで!?」
桐乃「うん。この前、あやせに聞かれて答えてたらいつの間にかばれてた」
京介「マジかよ……俺が今、この世に存在するってことは、認めてくれたってことなんだろうか」
桐乃「いや…あんた、あやせのことなんだと思ってるの?」
京介「ま、まあ――その話は今はやめとこうぜ」
京介「それより、今日は駄目か?」
桐乃「うッ……やっぱするつもりなんだ…」
京介「まあ、おまえが嫌だって言うなら無理にはしねえけどさ」
桐乃「べ、べつに嫌とはゆってないじゃん」
京介「そ、そうか。……なら、さ」
桐乃「う、うん」
ベッドに移動する俺たち。
こいつの匂いをかいでいると、すげえ幸せな気分になる。……変態的な意味ではないぞ?
桐乃「電気消してよ……」
京介「おう」
カチカチ…
桐乃「ちゅーして」
京介「ん、おまえキス好きだな」
桐乃「だって……気持ちいいんだもん」
京介「そうだな。ほら、目瞑れよ」
桐乃「ん」
ちゅ…
桐乃「はむ……んっ」
ちゅっちゅ
京介「ん……っ」
桐乃「ぷあ」
京介「服、脱がすぞ」
桐乃「……うん」
スルスル……
京介「……やっぱ綺麗だな、おまえのカラダ」
桐乃「エロ……あんたにしか見せないんだから感謝してよね?」
京介「もちろん感謝してますよ」
ペロ…
桐乃「ひぅ……っ」
/ ̄ ̄ ̄フ\ _ ノ^)
// ̄フ / \ .//\ ./ /
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// ̄ ̄ ̄フ /_ .//_ //_ / \./ (_(__)
// ̄フ / ̄//////////// | (_(__)
/∠_/./ ./∠///∠///∠// ∧ ∧ /) (_(__)
\ \ \/ ̄ ̄ ̄フ\ \ \_ \ _ /⌒ `´ 人___ソ
\ \ \フ / ̄\ \ .//\ //\ / 人 l 彡ノ \
\ _ \//___\/∠_ // < Y ヽ ヽ (. \
//\///_ //_ /// 人├'" ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
// //.////////∠/ ヽ-i ヽ__ ヽ
/∠_//./∠///∠// .\\ `リノ ヽ |\ ヽ
京介「はは、すっかり敏感になっちまったな」
桐乃「ん、ばか……誰のせいだと…ん、思ってんのよぉ」
ペロペロ
桐乃「んっ…!ッ……んはぁ…」
そろそろ下の方に行っても大丈夫だろう。
普段は妹様の尻に敷かれている俺ではあるが、こういう時は立場が逆転するのだ。
京介「ほら、足広げろ」
ガバッ
京介「………エロいな」
桐乃「あ、あんま見んなっ」
ペロペロ…
桐乃「ひゃぅ!……ん、だめぇ」
京介「ん………やめねーよ」
ぴちゃぴちゃ…
ジュルジュル
桐乃「んっくぅ……ッ…あんっ」
桐乃「は、んっ……はぁ、はぁ……も、もう無理――京介、入れて?」
京介「このくらいで勘弁してやるか。……じゃあ、入れるぞ」
桐乃「うん……はぁ、はぁ……きて」
京介「……おう」
グ、グッ…
ズチュ……ッ
桐乃「ん~~~ッッッ!!」
京介「……入った。…動かすぞ」
桐乃「ちょ、ちょっと待、」
ズチュッズチュ…
桐乃「あんッ!……ん、んっ!だめっ……声出ちゃう…!」
京介「はっ、はっ…いいじゃん別に。…おまえの声可愛いよ?」
ズチ……グチュッ
桐乃「バ、バカ……ん。……お父さんたちに聞かれたらぁ…んっ」
京介「大丈夫だって。……もう寝てるよ」
桐乃「そ、そんなの……っく!ぁん……ッ!」
京介「はっ、はっ……桐乃気持ちいいか?」
グチュ……グチュ…
桐乃「知ってる、くせにぃ……んっ……ばかぁ」
京介「俺は超気持ちいいぞ」
桐乃「あ、あたしもっ……ん~ッ!」
―――そろそろ限界が近づいてきた俺は自然と腰の動きを早めていく。
俺と桐乃は抱き合いながら、お互いの愛を確かめ合った。
ズチュッグチュッ
パンパンッ、パンパンッ
桐乃「ん、っくぅッ!!あんッ!!……ダメぇっ…変になりそう……!」
京介「桐乃…はぁ、はぁ――大好きだ!」
桐乃「あたしもっ!あたしも京介のこと好きッ!!ん…あんッ…はっ、はぁ、あたしイっちゃいそうっ!!
桐乃「だから……京介の好きなとこに出して?」
京介「おう、俺もイきそうだ。じゃあ、顔に……っておい!足を絡められるとっ!!
桐乃「イ、ク……ッ!あんっ…ん~ッッッ!!っぁぁ…んんんッッ」
京介「き、桐乃やばいって!………あっ!」
ピュッ……ビュル
ドクッドクッ…
京介「………ふぅ」
やっちまった………。
桐乃「あっ……ッあ、ん…」
ピクッ…ピクッ…
桐乃「はぁ、はぁ……んっ!はぁ…だ、だめ……クラクラする」
京介「それはよかったよ……俺も気持ちよかった」
とうとう、中に出しちまった……
これだけは、するまいと心に決めていたことだったのだが―――
もし、これで桐乃に新しい命が宿ったとしても、たとえどんなことになっても俺は桐乃を守ってみせる。
桐乃「京介、大好き」
京介「俺もおまえのこと大好きだよ」
―――――
―――とまあ、こんな感じだったな。
あの後、本当にいろいろあって大変な目にあったんだけど、それはまた別の話だ。
俺と妹の物語はこんなかんじで騒がしく続いていくんだろうよ。
それでも、俺はこの騒がしい日々が結構楽しかったりする。
あの頃より少し大人になった今でも、俺の隣には妹がいてくれるんだからな―――
~true end~
みなさん支援ありがとうございました。
特に画像で支援してくださった方、お疲れ様でした。
ではまた。
次回は桐乃のギャグ話か、もしくは陵辱ものを考えてます。
需要があれば黒猫かあやせも書きたいですが。
>>289
期待
今のところ桐乃陵辱とあやせが人気のようですので、この二本に決めようかなと思います。
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