結衣「……」ピコピコ
京子「結衣ー、このアイス食べてもいい?」
結衣「うんいいよ、……というかすでに食べてるじゃん」
京子「えへへ、まぁ細かいことは気にしないの、……おっ?」
京子「なになに、新しいゲーム買ったんか結衣は」
結衣「うん、たまにはナモクエ以外もいいかなと思って」ピコピコ
京子「……ぎゃ、ギャルゲーだと?」
京子「ふふ、結衣ってけっこうオタクの文化に明るいよね」
結衣「……あれだけコムケに駆り出されればそうなるよ」
京子「私としてはとしては嬉しい限りです」ニコッ
結衣「いやだからさ、京子のせいでもあるんだけど……」
京子「すっかり私色に染まってしまったのね、結衣しゃんは」
結衣「はぁ……もういいや、ちょっと大人しくしてて」ピコピコ
京子「照れちゃって可愛いの~♪」
結衣「……」ピコピコ
京子「むっ、なんで金髪の子と2人でご飯食べなかったんだよ!」
結衣「もう金髪の子は最初に攻略したから、次はこっちの赤毛の子」
京子「へぇ、最初に選んだか……、いい心がけだよ」ウンウン
結衣「まー、京子に似つかず思いやりのあるいい子だったよ」
京子「なぬっ!?」
結衣「お昼にお弁当持ってきてくれたりさ、ほんと甲斐甲斐しいというか」
京子「むむむっ……」プクー
京子「結衣、私にそんなこと言ってええんか?ん?」グニグニ
結衣「やえろ、ほっへぐにぐにしゅんな……」
京子「あ、綾乃と千歳に言いふらしてやるからな、結衣はオタクだって!」
京子「あの2人がそれを聞いたらきっとビックリするだろうなぁ~へへへ」
京子「……謝るなら今のうちよ結衣?」ニコッ
結衣「いや、一緒にコムケ行ったのにそんなの今さらだろ」
京子「あ……、そだね」
京子「でも珍しいよね、女の子と女の子のギャルゲーなんて」
結衣「かもな、大抵は男の子が主人公だもんね」ピコピコ
京子「だねぇ……、結衣はさ女の子同士とかは抵抗無いの?」
結衣「抵抗、か……」
結衣「まぁ普通ではないんだろうけど、ウチの学校そういう子が多いから慣れちゃった」
京子「だよねだよね、私も空き教室でイチャコラに遭遇してビックリしたよ~」
結衣「ははは、それはちょっと気まずいな……」ピコピコ
<ピンポーン!(インターホンの音)
結衣「はにかんでる……、ふふほんと可愛いなこの子」ピコピコ
京子「て、ていうかほんとあかりそっくりだな……」
結衣「うん、説明書の解説だと……」ゴソゴソ
『赤髪にお団子、ニッコリ笑顔がトレードマークのあかりちゃん』
『ピッカピカの中学一年生で春にこの学校に入学』
『しっかり者で周りを気遣う優しい心の持ち主、……そんな彼女と貴方との恋の行方は?』
京子「名前もあかりっていうのか!?」
<ピンポーン!(インターホンの音) ピンポーン!(インターホンの音)
<ピンポーン!(インターホンの音)
結衣「ごめんもうあかりにしか見えないやこの子……」
京子「だよねぇ、性格もあかりそっくりで儚げというか」
結衣「私はそこがいいと思うけどなぁ、……こう、守ってあげたくなるかな」
京子「……あ、分かるかも」
あかり「結衣ちゃーん、お家のカギ開いてたから勝手に入っちゃったよぉ……」ガラッ
結衣「あ、本物のあかりだ」
京子「よー、こっちの世界のあかりやい」
あかり「んんっ!?あかりって他にも誰かいるの!?」
あかり「ふ、2人とも、さっきのってどういう意味……?」
あかり「あかりには本物も偽物もないからね!!こっちの世界って!?」
あかり「というかあかりインターホン何回も押したよね!無視しないでよぉ!」プンプン
あかり「うぅぅぅ、お外からインターホンしっかり聞こえてたのに……」シクシク
結衣「すごいツッコミの嵐だ、さすがあかり……」
京子「いやぁ、結衣のツッコミもキレがあるけど、あかりもなかなかだ」
結衣「うんうん、……ツッコミはあかりに任せて私もボケに回ろうかな」ピコピコ
あかり「もう……、ゲームに夢中になってて気が付かなかったんだね」
結衣「ゴメンねあかり、ちょっとのめり込んじゃってさ」
あかり「分かってくれればいいよぉ、あかりも勝手に入っちゃったし」
あかり「……ふふ、ほんとナモクエ大好きなんだね」チラッ
あかり「あれ?」
京子「あー、これはナモクエじゃなくてギャルゲーだな」
あかり「ぎゃるげー……?」
京子「まぁ簡単に言えばいまやってるのは、女の子と女の子の恋愛ゲーム」
あかり「お、女の子と女の子……!?」ゴクッ
結衣「たまにはナモクエ以外もいいかなと思ってさ、……おっと選択肢か」
京子「ていうかあかり、なんでちなつちゃん一緒じゃないの!?」
あかり「それがね、ちなつちゃん熱出しちゃったらしくて……」
京子「なにぃ!」
あかり「さっきお家に寄ったんだけど、これから病院行くみたいで」
結衣「そっか、それは心配だな……」
結衣「じゃあ夕方になったらお見舞いに行ってみようか」
あかり「そうだねぇ、病院から戻ったらメールするって言ってたから」
京子「はぁ……、ほんとに大丈夫かなちなつちゃん」ガクッ
あかり「歩けるくらい元気だったから、大丈夫だとは思うけど……」
結衣「2人とも……、暗い顔してたらちなつちゃんまで滅入っちゃうよ」
京子「結衣……そだね、とびっきりの笑顔とラムレーズンをもってお見舞いしよう!」
結衣「そうなんだけど、ラムレはお前が食いたいだけだろ……」ピコピコ
あかり「……」クスッ
あかり「……」ニコニコ
京子「どうしたんあかり、そんなにニヤニヤして」
あかり「ニヤニヤ!?」
あかり「……えっと、2人ともちなつちゃんのこと心配してくれてるんだなぁって」
あかり「2人はほんと友達想いのいい子さんだよねぇ、……ふふ」
結衣「そりゃあ可愛い可愛いちなつちゃんだから」
京子「むっ……、ちなつちゃんは結衣には絶対渡さんからな!」
結衣「はいはい」
あかり「……」クスッ
あかり(ほんと、昔からずーっと2人を見てきたけど、相変わらずだね)
あかり(いつも楽しい掛け合いであかりを楽しませてくれる……)ニコニコ
あかり(結衣ちゃんと京子ちゃん、2人とも優しいから大好き……、なんてね)
あかり「そうだ、あかりも一緒にゲーム参加するねっ!」ヒョコッ
京子「あっ、もういま手を繋げば良かったじゃん!」
結衣「まだ早いって、あまりがっついたらあかりに嫌われちゃうよ」
結衣「とりあえず昔の懐かしい思い出、ムードを高める方向に……」ピコピコ
京子「むっ……、そうだな、あかりならそっちのほうが良さそうかも」
あかり「な、なにこれぇ……!」カァー
あかり「ちょ、ちょっと2人とも何なのこのゲーム!?」
京子「あーもう静かにしててあかり、ギャルゲーって言っただろ?」
あかり「でも……こ、このゲームの子どう見てもあかりだよね……」
結衣「だな……、私にはもうあかりにしか見えない」ピコピコ
結衣「見た目といい幼なじみという立ち位置、中身もとってもいい子で魅力的」
あかり「ゆ、結衣ちゃん……あ、あんまり褒めないでよぉ~……」モジモジ
京子「しかも名前もあかりって言うんだよこの子」
あかり「えぇ!?」
▽ 結衣
誰もいない夕方の空き教室、遠くで吹奏楽の音がする。
ここいにるのは私とあかりだけ、……他とは隔絶された2人だけの世界のように感じた。
幼なじみとの会話に花が咲く、久しぶりの感覚に私の胸が高鳴る。
トクントクン、と少しずつ鼓動のリズムは早くなる。
ちゃんと朝起きてる?友達は出来そう?
もっと聞きたいことはあるのに、つまらない会話しかできない自分が恥ずかしい。
それでも他愛もない質問に、あかりは満面の笑みで答えてくれた。
私に向けられるとびきりの笑顔、……頬が熱い、きっとあかりのせいかな。
京子「ふむふむ、あかりと空き教室で二人きりってことか」
あかり「あわわわ……」ドキドキドキドキ
京子「つーか、結衣ってばあかりにベタ惚れじゃん」
結衣「やば……、なんか私も恥ずかしくなってきた……」カァー
あかり「ゆ、結衣ちゃん、……やっぱりもう止めようよぉ!」
結衣「いや、ここまで来たんだからあかりを落としたい、……私のものにしたい」ピコピコ
あかり「っ……」カァー
京子「むむむむむむ……」
あかり「だ、だめ、結衣ちゃん、あかりほんとに恥ずかしいから……」フルフル
あかり「もうここで終わりにして、他のことして遊ぼうよ、……ね?」
結衣「えぇ、でもせっかくここまできたのに」
あかり「それでも絶対にダメなの!……お願い、結衣ちゃ~ん……」グスッ
結衣「うぅん、まいったな……」
京子「そうだぞ結衣、このまま進めちゃ絶対にダメだ!」
あかり「京子ちゃん……」パァ
京子「主人公の名前を京子に変えるべきだ!」
あかり「なんで!?」
あかり「ゲームを止めるように結衣ちゃんを説得するんじゃないの!?」
京子「結衣ばっかりずるいんじゃないの~、私も参加したいよ」
あかり「うっうぅぅ、ちょっとでも期待したあかりが恥ずかしいよ……」シクシク
結衣「うーん、……京子に変えたら私が感情移入出来なくなるし」
京子「そだね、結衣もここまで来たんだからあかりとにゃんにゃんしたいだろうし」
結衣「そうそう、ちゃんとキスまで行きたいからさ」
あかり「も、もういやぁ……」モジモジ
結衣「じゃあ主人公の女の子の名前を、……結衣ちゃん京子にすれば」ピコピコ
京子「おぉ、それならあかりから結衣ちゃん京子ちゃんで呼ばれる!」
結衣「これで平等かな、良かった良かった」
あかり「もう、ツッコミ入れないからね、放棄するから……」
京子「いま動かしてる女の子の名前は、デフォルトで結衣なの?」
結衣「だね、しっかり設定も説明書に書いてある」
京子「どれどれ……」
京子『凛々しい顔立ちに黒髪のセミロングがよく似合う結衣ちゃん』
『キリッとした見た目とは裏腹に、寂しがり屋さんと可愛い一面を持つ』
『京子が作った部活内では、みんなの頼れるお姉さんのポジション』
『押しには弱そうだから積極的な子と相性が良さ気……?』
京子「だってさ、結衣にゃん」
結衣「……なんか、恥ずかしいな」
京子「あのさ、まんま結衣じゃねコレ」
結衣「というか主要キャラの名前がもうまんまだからね……」ピコピコ
京子「京子、あかり、結衣、ちなつ……」
京子「……」ゾクッ
京子「お、おおう、……背筋がなんか冷たくなった」
結衣「うん私も、……まぁ偶然だと割りきってこのゲームを楽しもうよ」
京子「そだね、深く考えたら負けな気がする」
あかり「ねぇねぇ、これって主人公は結衣ちゃんで固定なの?」
結衣「いや、さっきの4人から選べるみたいだよ」
京子「す、すげー……」
結衣「かなりの数のマルチエンディングがあるらしいからさ、お得感はあるかな」
あかり「じゃああかりが結衣ちゃんや京子ちゃんを攻略出来たりするんだ」ニコッ
京子「いや、あかりには無理だろ」
結衣「うーん、私たちがあかりを落とせても、あかりが私たちを落とすのは……」
あかり「むむむむむ……」プクー
あかり「さっきから黙って聞いてれば、2人ともあかりのこと甘く見過ぎだよぉ!」プンプン
あかり「結衣ちゃんと京子ちゃんになんかあかりは攻略されないもん……」
結衣「でもいい雰囲気なんだよね、すぐ攻略出来そうかも」
結衣「おっと、また選択肢か……」
京子「なんか重要っぽくねコレは、あかりの顔ちょっと赤いぞ」
あかり(ふふふ、悩んでる悩んでる、……そのまま失敗しますように)
▽あかり
「結衣ちゃん京子ちゃん、……昔に比べて、あかりどうなったかな」
▽結衣ちゃん京子
.→「すっかり大人になったよね、……ほら、身長の差だってぐっと縮まった」
「昔と変わらないね、いつまでも子供っぽくて可愛いよあかりは」
「あかりのロングヘアーがまた見たいなぁ……」
「そ、そう言えば今日の給食美味しかったよね!」
「ここに婚姻届があるんだけど、とりあえず名前とハン押してくれるかな」
「…… (ドラフトに指名されることを信じて、その場で素振りを始める)」
京子「最後は明らかに違うとして、うぅむ……」
結衣「いや、そもそもまともなのが3つしか無いだろ……」
京子「実際の結衣ならヘタレて4番目になりそうだけどね、へへへ」
結衣「むっ……、京子もそうなりそうだけどな」
京子「えーそうかなぁ、……じゃあ上3つに絞られるかな?」
結衣「まぁ攻略するならそこら辺でしょ、……うーん」
京子「ふむ……」
結衣「やっぱり一番上なのかなぁ……?」
京子「いやいや、幼なじみってことを忘れちゃいけない!」
京子「2人だけの大切な記憶、距離を詰めるちょっとしたイジりも必要」
結衣「じゃあ2番目かな……」
結京「うーん……」ムムム
あかり(柄にもなく2人とも考え込んじゃった、……甘い甘い)
あかり(あかりはそんなに軽い女じゃないもんね~)ベーッ
あかり(ま、まぁ好意を向けてくれるのは嬉しいな、ゲームだけど……ぇへへ)
あかり「悩んでる悩んでる……」フフフ
京子「あのさー、あかりは久々に会った幼なじみにどんなこと言われたい?」
あかり「えっ?」
あかり「それは結衣ちゃんと京子ちゃんに、ってこと?」
京子「まぁそうなるかな、……私らに言われてキュンと来る言葉はどんなんだね」
あかり「えっと、……大人っぽくなったね、とか成長を褒められると嬉しい……かな?」モジモジ
京子「結衣、一番上の選択肢だ!」
結衣「あかりはほんとに純粋で可愛いなぁ……」ポチッ
あかり「あっ……!!」
▽結衣ちゃん京子
「すっかり大人になったよね、……ほら、身長の差だってぐっと縮まった」
▽あかり
「あっ……、ふふふ、そうだよぉあかりだって成長したんだからね!」
「結衣ちゃん京子ちゃんも、とっても大人っぽくなったね、……綺麗だよ」
あかりはそう言って私に笑顔で応えてくれた。
その笑顔にはいつもと違って、どこか高揚感を含んでいるように見える。
お世辞でもいまの私にはあかりの言葉は嬉しかった、……ドキドキが止まらないな。
あかり「……」モジモジ
京子(クソ、かなりいい雰囲気なのになにか引っかかる……)
結衣(どう考えても名前だろ、なんだよ結衣ちゃん京子って)
京子(それか!……どこかの売れない芸人みたいだよね)
結衣(まだユッピー&キョッピーのがマシだけどな)
京子(ていうか思考をジャックしてまでツッコミ入れんなよ)
結衣(ごめんごめん、もうしないから)
京子「お、いいじゃんいいじゃん……」
あかり「ふ、2人ともずるいよぉ、いまのは誘導尋問だよ!!」カァー
結衣「あかり……、良かったら隣に座ってくれないかな……?」
あかり「え゛っ!?」
京子「そうだそうだ、私と結衣の間に座りなよ」
結衣「そっちのほうが盛り上がりそうだし、……嫌ならいいんだけど」
あかり「い、嫌なんかじゃないけど……、でも!」モジモジ
京子「あーもうじれっタイガー、綺麗なお姉さんに囲まれなよ」グイッ
あかり「ひょえっ!」
結衣「ゴメンねあかり……、狭くない?」モゾモゾ
あかり「う、ううん、そんな謝らないで結衣ちゃん」
京子「くふふ、もうここから逃がさんからなあかり!」スリスリ
あかり「やっ、やめてぇ京子ちゃん……」
結京「あかり……」ピトッ
あかり「うぅぅぅぅ……」ドキドキ
私とあかりの間に少し沈黙が流れる、気まずいなんてことはない。
胸のドキドキはどんどん加速する。あかりの顔を見るのもいっぱいいっぱいだ。
そんななかあかりが開口一番に呟いた。
▽あかり
「結衣ちゃん京子ちゃん……あかりね、寂しかったんだよ」
その言葉発したあかりはとても弱々しくて、いまにも崩れてしまいそうだった。
私はあかりの手を強く握りしめ、安心させるために……。
▽結衣ちゃん京子
. →「ゴメンねあかり、私だけ中学に進んで……、寂しかったよね(ほっぺにキス)」
「あかり、歯に給食の青のり付いてるよ」
「…… (やっぱりドラフトにかかるか不安なので素振りの数を増やす)」
結衣「……」
京子「ちょっと結衣、今さらここでボケはいらないからね」
結衣「あ、ああうん、大丈夫だよ上以外選択ないようなものでしょ」ポチッ
あかり「ほ、ほっぺにきす……」モジモジ
結衣(下2つ選んでたらどうなってたんだろう、気になる……)
▽結衣ちゃん京子
「ゴメンねあかり、私だけ中学に進んで……、寂しかったよね」
その言葉を聞いたとき、あかりから一粒の涙がポロリとこぼれ落ちた。
あかりは強い子だ、どんなことあってもいつも笑顔。
転んで膝をすりむいても、大きな犬に吠えられても泣いたりはしなかった。
そのあかりがいま目の前で泣いている、……私のせいで、あかりは。
自分の好きな人を自分で泣かせてしまった……。
胸がキュッと締め付けられる、心にもやがかかる。
……私は、彼女を強く引き寄せ、柔らかい頬にキスをした。
どれくらいの時間が経ったのかな、私には止まったように感じた。
私の腕の中であかりは満足そうに微笑んでいる。いつもの笑顔で。
あかり▽
「結衣ちゃん京子ちゃんにはやっぱり隠し事は無理だね……」
「本当はね、ずーっと寂しかったんだよあかり」
「あかりを1人だけ置いて中学に行っちゃうんだもん、ピカピカの制服を着て……」
「寂しくないワケないよ……でも、ちゃんと一年間我慢したもん、……偉いよね?」
私は何も言わないで彼女の頭を撫でであげた、あかりが安心できるように。
あかりの優しい香りが頭に広がる、……つい嬉しくて頬が緩む。
でもそれを悟られないように、強く抱きしめる。見られたら恥ずかしいからね。
あかり▽
「ふふっ、もうそんなに抱きしめたら苦しいよぉ……、ねぇ結衣ちゃん」
不思議とあかりがどんな言葉を待っているのか手に取るように分かる。
胸の高鳴りを感じる、頬が焼けるように熱い。
それでも私は伝えないといけない。私はすぅ、と息を吸い込みあかりにこう言った。
>>98 訂正
私は何も言わないで彼女の頭を撫でであげた、あかりが安心できるように。
あかりの優しい香りが頭に広がる、……つい嬉しくて頬が緩む。
でもそれを悟られないように、強く抱きしめる。見られたら恥ずかしいからね。
あかり▽
「ふふっ、もうそんなに抱きしめたら苦しいよぉ……、ねぇ結衣ちゃん京子ちゃん」
不思議とあかりがどんな言葉を待っているのか手に取るように分かる。
胸の高鳴りを感じる、頬が焼けるように熱い。
それでも私は伝えないといけない。私はすぅ、と息を吸い込みあかりにこう言った。
▽結衣ちゃん京子
「もうあかりを手放したりはしない、私がずっとそばにいるよ」
「……好きなんだ、あかりのこと」
「待たせてごめん、こんなに悲しい思いさせてごめんね」
「もうこんな思いは絶対にさせないから、……だから」
「私のそばにいてください、ずーっと私だけのあかりでいてください」
あかりはもうぐしゃぐしゃに泣いていた、可愛い顔が台無しだよ。
私も泣いていたんだけど、不思議と胸はすっきりと晴れていた。
もう一人じゃない、もう寂しい思いはさせない。私がそばにいるからね。
……大好きだよあかり。
結衣「……はぁ、いい話だった、きゅんきゅんするな」ウットリ
京子「ね、ねえ結衣、そのゲーム私にも貸して欲しいな」
結衣「うんいいよ、でもやりたいことあるしそれ終わったらね」
京子「へへへ、ありがと~結衣」
結衣「なんかヤンデレエンドとか百合心中エンドもあるみたいだけどね……」
京子「まじ……?」
あかり「……」
結衣「まぁさすがに私はそこまでコンプリートする気はないけど」
京子「うーむ、奥が深いなこのゲームは……」
あかり「っ……」グスッ
結衣「あかり……?」
あかり「……」ギュムッ
京子「うおっ、私の胸に飛び込んできた!」
あかり「っ……うっ、ウワァァァン……」グスッ
結衣「あ、あかり?」
あかり「ゆ、結衣ちゃん、京子ちゃん……うっ、うぅぅぅ……」グスッ
京子「あかり大丈夫だよ、私たちはここにいるからさ」ナデナデ
あかり「うっ、……う゛っ……」
結衣「ゴメンねあかり、……ほんとはずっと辛かったんだよな?」
結衣「私たちが中学の制服を初めて着たときも、あかりは笑ってくれた」
結衣「似合ってるよ2人とも、中学生活楽しんでね、……って」
京子「そっか……、寂しいって言わないで隠してきてたんだね」ギュッ
あかり「うっ、……ウワァァァァァァ……」ポロポロ
京子「嫌なこと思い出させちゃったんだね、……ごめんあかり」ギュッ
あかり「ううんっ……ご、ごめんねっ、2人とも、取り乱して……」
結衣「そんなことないよ、辛い思いをさせたのは私たちの方だから」
あかり「……」クシクシ
あかり「あのね……、2人の中学入学をお祝いしたのは本当だよ?」
あかり「嬉しかった、結衣ちゃんと京子ちゃんがお揃いの制服を着てるのを見るのは」
あかり「だって、いつもあかりを可愛がってくれた2人だもん、嬉しくないわけがない」ニコッ
結京「あかり……」
あかり「その頃は、寂しいって気持ちはたぶんまだ無かったと思う」
あかり「そ、それでも、一緒に学校行けなかったりすると」グスッ
あかり「もう、2人ともあかりの知らないところに行っちゃった気がしてね……」
あかり「あ、あかりがいくら走っても、もう追いつけないんだって……」
結衣「あかり、もういいよ、……辛い思いさせてごめん」
京子「さっきのゲームと同じだ、あかりを放ったらかしにして」
あかり「ううん、……結衣ちゃんと京子ちゃんはあのゲームとは違う」
京子「えっ?」
あかり「2人は暇を見つけて遊びに来てくれた、……たまに一ヶ月来ない時もあったけど」ムスッ
あかり「楽しいお話いっぱいしてくれたよね、あかりを笑わせてくれた」
あかり「寂しい思い、辛い思いをしないように、遊んでくれたよね」
あかり「……だからきっと一年間耐えられたんだよ、優しい2人のおかげで」
あかり「結衣ちゃんと京子ちゃんは何も悪くない、……いつもあかりを心配してくれてる」
あかり「……大好きだよ、いつもありがとう」ニコッ
結衣「あんまり泣かせるようなこと言うなよ……」ギュッ
京子「あかりのくせに……」ギュッ
あかり「ちょ、ちょっと2人とも苦しいよぉ~……ぇへへ」
京子「それでも私たちはまたあかりより先に卒業しちゃう……」
結衣「もしかしたら、同じ高校にだって行けないかもしれない」
あかり「ううん、気にしないで」
結衣「その時は毎日電話かメールする」
京子「週末はちなつちゃんも誘って結衣の家でパーティーだ!」ニコッ
結衣「……ふふ、しょうがないな京子は」
あかり「……」ギュッ
結衣「っと、あかりは甘えん坊だな……」ナデナデ
京子「私たちがいないとダメだなあかりは、……うんうん」
結京(逆かもしれないけどな、恥ずかしくて言えないけど)
あかり「あかりの大好きな幼なじみさんたちへ」
あかり「言いたいことはもうさっき言ったしいいかな、ふふふ」
あかり「それでもまだ足りないからこれだけは言わせてね」
あかり「……2人とも、大好きだよっ!」ニコッ
結衣「知ってる」 京子「あーもう聞き飽きたって」
あかり「もぉ!……ほっぺた赤いくせに、無理しちゃって」クスッ
結衣「あ、赤くなんかなってないって!」
京子「あー暑いな、残暑がきびしー」パタパタ
~その晩、結衣ちゃん家~
結衣(それにしてもちなつちゃんの風邪大したことなくて良かった……)
結衣(2人とも一生懸命看病してたなぁ、まんざらじゃない感じだったけど)
結衣(いい雰囲気だったな、ごらく部は一生ものだね、きっと)
結衣「最後にちなつちゃんを落として京子にこのゲーム貸してやるか……」ピコピコ
結衣「あ、あれ、5分で結ばれてグッドエンディングなっちゃった」
結衣「あはは……」
おわり
>>142 確かにグッドと書くといろいろ配慮に欠けるかも、という訳で訂正
~その晩、結衣ちゃん家~
結衣(それにしてもちなつちゃんの風邪大したことなくて良かった……)
結衣(2人とも一生懸命看病してたなぁ、まんざらじゃない感じだったけど)
結衣(いい雰囲気だったな、ごらく部は一生ものだね、きっと)
結衣「最後にちなつちゃんを落として京子にこのゲーム貸してやるか……」ピコピコ
結衣「あ、あれ、5分で結ばれちゃった」
結衣「あはは……」
おわり
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