キリト「デモンズ・ソウル・オンライン?」(240)
『世界とは悲劇なのか』
世界初、ナーブギアを利用したヴァーチャルMMORPG『デモンズソウル』
その高価格にも関わらず発売日には長蛇の列ができ、1万本限定のソフトは瞬く間に完売した。
~桐ヶ谷家~
妹「いってきまーす」
母「行ってらっしゃーい」
……
和人「よし……準備OK」
和人「俺も行くか。もう一度、あの世界に」
キュイイイイイイイン……
【Demon’s Souls】
start
キリト「ん……ここは……」
キリト「はは……やった……!」
キリト「俺は戻ったてきたんだ!この世界に!」
奴隷兵「ウォォォォ……!」
キリト「くらえっ!」ズシャア
奴隷兵「グハッ!」シュウウウウ
キリト「βテストから腕はなまってないな。よし」
キリト「チュートリアルなんかさっさと終わらせて楔の神殿へ行こう」
青目騎士「グオオオオオ!」バッ
キリト「ふんっ!」パリィィィィン
キリト「『致命の一撃』だ!」
※致命の一撃
相手の攻撃を盾などで弾いて、体勢を崩してから攻撃すると
大ダメージを与えることができる。
青目騎士「グアアアア……!」シュウウウ……
キリト「よし……後少しでチュートリアルのボスだな」
ズトッ
キリト「いてっ」
弓兵「ウウウゥ……」
キリト「弓兵か……ふんっ!」ズシャッ
弓兵「ウグゥ……」シュウウウ……
キリト「油断しすぎたな……回復は……まあ、いいかこのくらいなら」
キリト「確かチュートリアルはボス戦まではHPが0になっても死なない仕様だったはず」
キリト「回復アイテムはチュートリアル後のためにとっておこう」
キリト「さて……いよいよボス部屋か」
拡散の尖兵「グオオオオオオッ!!」
※拡散の尖兵
巨大な黒い体のデーモン。右手の大斧で人間を叩き潰す。
キリト「相変わらず大きいな」
キリト「βテストでは油断して負けたけど……」
ズゴオオオオッ!
キリト「今度はそうは行かないっ!」
ズバァッ
拡散の尖兵「グオオオオオオオッ!!」シュウウウウウ…
【THE DEAMON WAS DESTROYED】ギャンッ!
キリト「いよっし!油断さえしなければ意外と楽勝だったな」
キリト「おっ要石だ。ひょっとして隠しエリアかな?」
※要石
エリアとエリアをつなぐ石。
触れることで別のエリアに移動できる。
ギュウウン……
~???~
キリト「おおっ!アイテムいっぱい!ボス討伐のご褒美ってところか!」
キリト「でも、ほとんど回復アイテムばっかだな。レアな武器でももらえると思ったけど」
竜の神「オオオオオオ……」
キリト「えっ?」
ドゴオオオオオオオッ!!
【YOU DIED】
~楔の神殿~
キリト「結局どちらにしろ死ぬのか……ドラゴンがグーパンチとか……」
モブA「まさかチュートリアルであんな強いボスが出るとは思わなかったよ」
モブB「あいつって頑張れば倒せるのかね?」
キリト「もう結構人がいるな。みんな尖兵に殺されたのか」
キリト(俺は倒したけど)ニヤッ
キリト「とりあえず、第1エリアにさっさと行こう。他のエリアも見て周りたいし。」
※デモンズソウルのエリア構成
( )内は通称
○ ×
塔のラトリア(ラトリア) 北の巨人(×)
○ ○
ストーンファング坑道(坑道) 嵐の祭祀場(嵐)
○ ○
ボーレタリア王城(城) 腐れ谷(谷)
デモンズソウルのゲーム中には5つのエリアがあり、それらはすべて楔の神殿と繋がっている。
それぞれのエリアには3~4のステージがあり、それぞれのステージのボスであるデーモンをすべて倒すことがゲームの目的となる。
ボーレタリア王城の1は最初にクリアしなければならず、城1クリア後に他のエリアが開放される。
キリト「そいっ!」
奴隷兵「ギャアアッ!」シュウウウ……
キリト「ふう……結構ソウルも溜まったな」
※ソウル
生物が持つ魂。デモンズソウルの世界では売買とレベルアップに必要となる。
クライン「だ、誰か助けてくれ~!」
キリト「? あれは!」
クライン「こいつら雑魚のクセに強すぎィ!」
キリト「大丈夫か!今行くぞ!」
シュウウウウウ……
キリト「これで全部っと……」
クライン「あぁ……ありがとよ。おかげで助かったぜ」
キリト「ずいぶんと無茶な戦い方するんだな。あんな人数に突っ込むなんて」
クライン「いやぁ……雑魚相手だったらこう……すぱすぱ~っとやれるんじゃないかと思ったんだけどよ」
クライン「雑魚でも束になって囲まれるときつわアッハッハ!ところで……さっきの戦いすごい立ち回りだったな。ひょっとしてβテスターか?」
キリト「ああ、そうだ」
クライン「おおっ!そりゃいいや!なあ頼むよ!俺にデモンズソウルでの戦い方って奴を教えてくれよ!」
キリト「……まぁ……別にいいけど……」ポリポリ
……
キリト「一度に多数を相手にするんじゃなくて、ひとりひとりおびき寄せるんだ。それで攻撃の当たる一瞬、前にパリィ」
クライン「よっ!ほっ!」パリィィィィン
奴隷兵「グアッ!」
クライン「で、できた!」
キリト「そこですかさず『致命の一撃』!」
クライン「あいよ!」ズドオオッ
奴隷兵「オオオオ……」シュウウウウウ……
クライン「よっしゃあ!ありがとな!だいぶとコツはつかんできたぜ!」
キリト「いや、俺は基本を教えただけだよ」
クライン「よし!それじゃあボス討伐しに行くか!」
キリト「え?」
クライン「βテスターなんだろ?1面のボスの攻略法くらい知ってるんじゃないか?」
キリト「えっと。それってつまり俺とパーティ組むってことか?」
クライン「なんだ?何か問題あるのか?あっ……一緒に組む約束がある奴がいるなら無理にとは言わねーが」
キリト「い、いや!大丈夫だ!問題はない!」
クライン「そっか?じゃあ行くぜ!」
……
キリト「そこ暗闇から奴隷兵が飛び出してくるから気をつけろ」
クライン「うおっ!危ねえ!」
……
キリト「この指輪が欲しかったんだ」
クライン「『しがみつくものの指輪』に『盗人の指輪』?どんな効果なんだ?」
※しがみつくものの指輪……ソウル体(一度死んで肉体を失った状態)で最大HPが本来半分になるところを3/4にする。
※盗人の指輪……敵から発見されづらくなる。
……
キリト「とにかく火炎だ。火炎壷と松脂を買い占めるんだ」
クライン「了解ィ!」
キリト「ついに来たぞ。ボス部屋だ」
クライン「とにかく火炎攻撃をすればいいんだな!」
【ファランクス】
本体は巨大な発光するスライム。全身に盾を模したような形状のスライム状のモンスターを纏い、
本体にまで攻撃が届きづらくなっている。盾スライムは正面からの攻撃は防ぐが、背面からの攻撃と、
炎攻撃には弱い。
キリト「とにかく火炎壷を投げまくるんだ!」バッ
ガシャアアン
ファランクス「……」シュウウウウウ……
クライン「本体が見えてきたぞ!」
キリト「松脂で剣に炎を纏わせる!」
キリト「おおおおおっ!」
ズバアッ!
【THE DEAMON WAS DESTROYED】(デーモンを倒した)
【生身を取り戻した】
【デモンズソウルを得た】
クライン「よっしゃああ!」
クライン「いやあ、すごかったなぁ!おこぼれで俺まで生身取り戻しちまった。ありがとよ」
キリト「いや、クラインがいたからほとんどダメージを受けずにすぐに倒せたんだ」
クライン「あっ……そういえば俺ピザ注文してたの忘れてたわ……どうすっかな」
キリト「ログアウトするしかないんじゃないか?」
クライン「まあ、そうだな。このゲームの三日月草、味はイマイチだし、現実で腹も膨れないんじゃしょうがない」
クライン「悪い、いったんログアウトするわ。また一緒にプレイしようぜ」
キリト「ああ」
クライン「…………あれ?」
キリト「?……どうした?ログアウトしないのか?」
クライン「ログアウトボタンがない」
キリト「そんなはずは…………本当だ……βではあったはずなのに」
クライン「発売初日でバグ発見ってことなのか?」
キリト「そんな馬鹿な……ログアウトできないなんて致命的な不具合があったら大事に……」
ギュウウン
キリト「! なんだ?何もしてないのに転送された? ここは……楔の神殿?」
その後、楔の神殿に集められた俺たちの前にゲームマスターが現れ説明を開始した。
ログアウトできないのはバグではなく仕様であること。
このゲームの中でソウル体の状態で死ぬと現実の脳が破壊されること。
また、ソウル体の状態で一定期間が経過してもやはり脳が破壊されること。
ゲームをクリアしない限り、現実世界には戻れないこと。
楔の神殿はパニックになった。泣き喚くもの。逃げ出そうとするもの。
だが結局無駄なことだった。GMの言ったとおり、現実世界に戻る方法はなかった。
多くのプレイヤーは楔の神殿にとどまり動こうとしなかった。
だが、やがて、一部のプレイヤーたちが集まり、「攻略組」を組織した。
俺とクラインもそのプレイヤーたちに加わった。
始めに向かったのは城の2だった。
クライン「つまりまとめると、こういうことか?」
・生身の状態から一度死ぬと「ソウル体」(幽霊)になり、HPが半分になる。
・ソウル体の状態で死ぬと現実の体の脳も破壊される。
・ソウル体の状態のまま一週間経過してもやはり脳が破壊される。
・ソウル体から元に戻る最も単純な方法は各エリアのデーモンを倒すこと。
・このような状態になっているのは自分たちだけでなく他の世界(サーバー)でも同じことが起きている。
キリト「ああ、そういうことになる。俺たちはファランクスを倒したから、今は生身の状態だ」
クライン「他の連中は一度でも死ぬとアウトってことか」
キリト「このことは隠しておいたほうがいいかもしれない」
クライン「? どうして?」
キリト「生身になっていることを理由に一番前線に立たされるかもしれない。死ぬかもしれないゲームでそんな危険は冒せない」
クライン「だが……」
キリト「何も悪いことじゃない。自分の身は自分で守らなきゃいけないってだけだ」
クライン「確かにそうだけどよ……」
ディアベル「ストップ!ここから先は危険だ」
クライン「? 何で止まるんだ?」
キリト「ドラゴンだ」
クライン「ドラゴン?」
グオオオオオオオオオッ!
キバオウ「うおっ!危なっ!」
クライン「うかつに進めば空からのドラゴンのブレスで丸コゲってわけか……」
ディアベル「いいか!タイミングを見計らって一息に駆け抜ければ焼かれることはない!何人かずつ慎重に、っておい!」
アスナ「…………」タタタタッ
クライン「あいつ鎧もつけずにあんな軽装で!」
ドラゴン「グオオオオッ!」
キリト「また来るぞ!」
アスナ「…………ッ」ダッ
キバオウ「危なっ!あの女死ぬ気かいっ」
キリト「軽装だったのが幸いしたんだ。スピードが遅くならす、焼かれる前に道の向こう側の拠点まで行けた」
クライン「それにしても無茶すぎるだろ……命が惜しくないのかねあの女」
ディアベル「まあ……あんな感じだ!ちゃんとタイミングを見計ればやられることはない!」
……
クライン「最後は俺たちのグループか」
キリト「鎧は脱いだな?行くぞ!」
ダダダダダッ!
キリト「スタミナの続く限り走り続ければ問題ない……!」
クライン「走れ走れ走れ!止まるなぁ!焼き殺されるぞ!」
グオオオオオオオッ!
キリト「! 来た!」
キリト(大丈夫だ……かなり距離がある……炎が来る前に行ける……!)
アッシュ「あっ……」ズコッ
キリト「えっ……?」
「一人転んだぞ!」「止まるな!走れ!」
アッシュ「助けてくれええ!」
オオオオオオオッ!!
キリト「今、助けッ……!」
クライン「キリト!?」
ドラゴン「オオオオオオッ!!」
キリト「あ………」ゾクッ
ダッ!
アッシュ「待て!待ってくれ!!」
キリト「ごめん……!」
クライン「キリト!速く!すぐ後ろまで炎が!!」
アッシュ「ギャアアアアアア!!」シュウウウウウウ……
キリト「!」
クライン「キリト!跳べ!!」
キリト「おおおおっ!」
ゴロゴロ……
クライン「間に合ったぁ!」
キリト「はぁ……はぁ……!」
キバオウ「い、今の燃やされた奴……セレブリティ・アッシュとかいうの……死んだんか……?確か……ソウル体の奴が死んだら現実でも死ぬって……!」
キリト「………!」
キリト(そうだ……これはデスゲームなんだ……!しょうがないじゃないか!)
「お、俺……悪いけど戻るよ」「なんだよそれ!怖くなったのか?」「もういやだ!」
ディアベル「お、おいみんな!」
結局、セレブリティ・アッシュの死をきっかけに攻略組の半数は帰還していった……
クライン「まあ気持ちは分かるけどよ……」
キリト「残ったのは15人くらいか……」
ディアベル「みんな行こう……私たちは進まないといけないんだ」
アスナ「……」
ディアベル「頑張れ!後少しだ!!」
グオオオオオオオッ!
カリオン「よし!たどりついた……!」
弓兵「……」バッ
ズトズトズトッ!
カリオン「グッ!そ、そんなのあり……!」
青目騎士「ガアアアアッ!!」
シュウウウウウウウッ……
キバオウ「まずいで……ドラゴンの炎を抜けても向こう側で総攻撃を食らってまう……」
アスナ「…………こんなところで止まっている暇はないの……!」ギリッ
ダッ!
ディアベル「お、おい君!」
クライン「あいつまた!」
キリト「一人で行くなんて無茶だ!」ダッ!
アスナ「やあっ!」
弓兵「グオオオオッ!」シュウウウウウ……
キリト(速い!一瞬で弓兵たちをなぎ倒した!だが!)
青目騎士「オオオオオオッ!」
アスナ「あ……」
キリト「全力疾走と攻撃でスタミナがもう残っていない!まずい!」ダッ!
青目騎士「アアアアアッ!」
キリト「させるかぁ!」パリィィィィン
キリト「『致命の一撃』だ!」ズトオオオッ!
シュウウウウウウ……
キリト「立てるか?」
アスナ「あ……ありがと……」
キリト「スタミナ管理には気を使わないと。今みたいにスタミナが切れたところを襲われたら何もできないぞ」
アスナ「う、うん…………」
キリト「それに一人で突っ込むのも……聞いてるのか?」
アスナ「えっ?ああ、うん!ご、ごめんなさい……」
クライン「おーい!大丈夫かぁ!」
キバオウ「あんたら二人無茶するなぁ!」
キリト「みんな!」
ディアベル「二人が敵を始末してくれたおかげで、ここまで楽にこれたよ、さて……」
クライン「いよいよ……か」
キリト「城2のボス部屋だ」
キリト(……βテストでクリアできたのはここまでだった……攻略法は分かってる)
キリト「負ける要素がない。大丈夫だ」
【デーモン 塔の騎士】
全身を覆い隠すほどの盾と長大な槍を持った巨大な騎士。
塔の騎士「…………」
キバオウ「これは……」
クライン「でか過ぎる……」
ディアベル「キリト!クライン!アスナ!ディアベル!上に行って弓兵を始末してきてくれ!残り全員でこいつを倒す!」
クライン「あいよぉ!」
アスナ「……分かった!」
キバオウ「すぐ戻るで!」
キリト(ディアベルは……こいつの弱点がかかとだと知っているんだろうか……教えたら俺がβテスターとバレるかも……でも、ええい!)
キリト「ディアベル!こいつの弱点は足だ!足を狙って倒すんだ!」
ディアベル「! 分かってる!任せろ!」
キリト(分かってる?)
ディアベル「……」グッ
キリト(ディアベルもβテスターか!)
アスナ「やあっ!」
弓兵「グアアアアッ」シュウウウウ……
クライン「これで全員!」
キバオウ「すぐ下の奴らを手伝いに行かんと!」
キリト(大丈夫……行けるはずだ……βテストのときと同じだ……何も変わらない……弱点も分かってる……)
キリト「何も心配することなんか……」
塔の騎士「…………」グウウウウウッ
ディアベル「塔の騎士が盾を持ち上げたぞ!急いで逃げろ!!」
キルドーザー「分かった!!すぐに離れ……!」
ノーカウント「ま、待ってくれスタミナが!」
グシャアアアアッ
キリト「あ…………」
シュウウウウウウ……
アスナ「そんな……」
クライン「今の盾の一撃で……3人……いや4人……」
キバオウ「嘘やろ!そんなんありかっ!」
キリト「そうだ……違うんだ……βテストとは……ここで死んだら……本当に死ぬんだ……」
キルドーザー「だ、だれか……!助けて……!」
クライン「一人助かった奴がいるぞ!」
キリト「!」バッ!
ディアベル「今行くぞ!」
塔の騎士「…………」スゥゥゥゥゥ……
キリト「ディアベル!槍だ!間に合わない!」
ディアベル「いやっ!行ける!」
キルドーザー「たすげっ!!」
ズトオオオオオ!
ディアベル「グアアアッ!」
キリト「!!うああああっ!」
ディアベル「うぅぅ……」シュウウウウ……
キリト「大丈夫か!?今回復アイテムを……!」
ディアベル「いや……いい……私はもう助からない……」
キリト「なんでこんな無茶を……!」
ディアベル「君もβテスターなら分かるだろ……?」
キリト「!」
ディアベル「誰だって死ぬような戦いに行きたくない……初心者ならなおさらだ……」
ディアベル「だから……私たちが行かなくちゃ……私たちが道を示さなければ……みんな……死んでしまう……」
ディアベル「だから……君が倒せ……!あの塔の騎士を……!君しかできない……!」シュウウウウ……
キリト「ディアベル……」
クライン「キリト!後ろだ!」
塔の騎士「……」スウウウウ…
キリト「俺がやらなければ……みんな死ぬ……」
アスナ「キリトォッ!」
ドゴオオオオッ
バッ
クライン「かわした!?」
キリト「お前の動きは知っている……何回も何回も……やりこんだからな!」
塔の騎士「……」スゥッ
ドゴオオオッ
キリト「お前の長い槍は足元まで届かない!」ズザザザッ!
塔の騎士「……」バッ
ズバアアアアンッ!
キリト「盾の衝撃波は塔の騎士自身の後方に回り込めば回避できる!」
キリト「そしてっ!お前の弱点!踵に一定ダメージを与えると!」ズバズバズバッ
塔の騎士「!!」ガクン
アスナ「塔の騎士が倒れた!」
クライン「行け!キリトォ!」
キバオウ「なんなんやあの動き……まるで最初から動きがわかっとるような……まさか……」
キリト「仇をとらせてもらう」【松脂を使い剣に炎を纏わせた】キュイイイイイイン
キリト「おおおおおっ!」ズバッズバッズバッ!
クライン「すげぇ!塔の騎士のHPがモリモリ減っていくぞ!」
キリト「これで、終わりだ!」ズシャアアアッ
塔の騎士「オオオオオオッ!」
【THE DEAMON WAS DESTROYED!】
クライン「やったあああああ!」
アスナ「キリト……」ホッ…
「すげええ!」「あの小僧が塔の騎士を倒したぞ!」「いったい何者なんだ?」
キリト「ふぅ……」
クライン「やったじゃねえかキリト!」
アスナ「キリト!大丈夫?怪我はない?」
キリト「あ、ああ。大丈夫だ……」
アスナ「な、何よ……」
キリト「いや……普段はフードに隠れててよくわからなかったけど……結構可愛い顔してるんだな……と……」
アスナ「ふぇっ!?」
クライン「キリト……お前……」
キリト「え?俺なんか変なこと言った?」
クライン「しかも天然か……」
キバオウ「おいあんた!」
キリト「?」
キバオウ「今の動き……まるで相手がどんな攻撃してくるかわかっとったみたいやけど……あんたβテスターか?」
キリト「…………そうだ」
キバオウ「ちゅうことはあんたは敵の弱点もわかっとったってことや!それを先に言って、あんたが前線で戦ったら誰も死ななかったかもしれへん!」
キバオウ「なんでや!なんで言わへんかったんや!」
キリト「それは……」
キリト「……………………」
キリト「くっ……ククク……」
アスナ「き……キリト?」
キリト「どうしてかだって?そんなの決まってるじゃないか!」
【デモンズソウルを手に入れた】
キリト「これだよ!デーモンを倒して手に入る『デモンズソウル』!武器の強化!特殊な魔法!」
キリト「このゲームで『デモンズソウル』を手に入れることは大きな力を手に入れることにほかならない!」
キリト「俺はこのゲームを生き残る……!そのためにはどんな手だって使ってやる!」
キリト「たとえば他人を利用して、デーモンを倒すなんてこともな!」
キバオウ「な、なんやそれ……自分はデーモンの情報を知ってて……簡単に強力なデモンズソウルを手に入れられる……!」
キバオウ「そんなのもう……!チートやないか!そうや!お前はチーターや!βテスターのチーターや!」
キリト「そうさ……俺はチーター……!いや!」
キリト「ビーターだ!」バァン
こうして、『攻略組』はデーモン『塔の騎士』に対して、大きな被害を出しながらも勝利した。
この勝利の後、キリトは自ら攻略組から離反し、ソロプレイを開始した。
βテスターにデモンズソウルを独占されることを恐れた一般プレイヤーたちは
キバオウらの扇動により、自分たちでデモンズソウルを得ようと立ち上がった。
『攻略組』は手始めに各エリアのステージ1に偵察隊を送った後、最終的にまず『坑道』を攻略していくことを決定した。
じょじょにデモンズソウルというゲームの仕様も明らかになっていった。
デモンズ・ソウル・オンラインの世界では数百人単位のプレイヤーが個別の世界(サーバー)にい集められ、
それぞれが独立してゲームを攻略していく。だが、お互いが影響しあう方法もある。
それは『血』を使ったコミュニケーションだ。デモンズソウルの世界では血で地面に文字を書くと、それが他の世界でも表示されることが分かった。
それを利用して、楔の神殿の一部は世界と世界の間で情報をやりとりする掲示板のような状態になった。
また、プレイヤーが死亡したときの大量出血も他の世界に表示される。この血痕に触れると、そのプレイヤーの死の直前数秒間の動きが幻影としてみることができる。
これを利用して、先にある脅威を予測できるようになった。
『血の掲示板』と偵察隊により分かった各エリアの情報は以下のとおりである。
・ボーレタリア王城
ファンタジーにありがちな中世風の城。主な敵は奴隷兵や騎士など。
ステージの難易度は中。恐らくもっともスタンダードなエリア。
☆厄介な敵 ・赤目騎士
攻撃力が高く動きが速い。盾を持って防御を固めているためダメージも与えづらい。
また、体力を大回復するアイテムも使用する。
・ストーンファング坑道
鉱石を採掘するための坑道。主な敵は鉱夫。皮膚が硬いため打撃や斬撃が効かない。刺突武器が有効。
装備強化用の鉱石が数多く手に入る。また、敵の攻撃やステージのトラップには炎属性が多い。ステージの難易度は低。
☆厄介な敵 ・王の公吏
強力な炎魔法と近接攻撃を使ってくる。だが動きは非常に遅い。
・塔のラトリア
薄暗いダンジョン。落下ポイントが多いため、普通に進むのも注意が必要。
敵の攻撃は強力。トラップも多い。魔術師の国のためか魔法を使う敵がいる。ステージの難易度は高。
☆厄介な敵 ・蛸頭の看守
監獄を見張る看守。強力な遠距離魔法、麻痺魔法、衝撃波を使用する。
特に厄介なのが麻痺魔法。動けなくされた後接近してきて胴体を貫き大ダメージを与えてくる。
・腐れ谷
汚物にまみれた谷。落下ポイント多数。敵の数は多く、毒攻撃を持つものもいる。
・嵐の祭祀場
武器が大量に落ちているらしいが、敵はかなり強力。特にスケルトンが脅威。
☆厄介な敵 ・スケルトン
すばやい動きでローリングしながら襲い掛かってくる。
攻撃力が高い上に、防御力も高くこちらの攻撃が通りにくい。
アルゴ「とまぁ……こんな感じだね」
キリト「ありがとう。アルゴ。報酬だ」【高名な勇者のソウルを渡した】
キリト「さて……今のところストーンファング坑道は『攻略組』が頑張っているところか……」
キリト「俺はどこに行くか……まずは強い武器が欲しいな。とりあえず、『嵐の祭祀場』に行くか」
~嵐の祭祀場~
スケルトン「…」グルグルグル…
キリト「βテストではこいつが厄介で後回しにしたんだっけか……」
キリト「よっ!!」ズバッ
スケルトン「オオオオオッ!」ズバッ!
キリト「くっ……駄目だ……この剣じゃ全然歯が立たない……」
キリト「なら……これならどうだ!『魔法の武器』」キュイイイイン…
※魔法の武器
自分の持っている武器に魔法攻撃力を付与する
キリト「おおっ!」ズバッ!
スケルトン「グアッ!」
キリト「よし!エンチャントならある程度ダメージを与えられるぞ!」
スケルトン「オオオッ!」ゴオオッ
キリト(しまった!強攻撃……!)
クライン「オラアッ!」ズゴオオオッ!
キリト「クライン!」
クライン「ひとりで大丈夫かと見に来てみれば案の上だぜ」
キリト「クライン……どうして」
クライン「どうせ演技なんだろ?塔の騎士戦でのアレ。他のプレイヤーたちを奮い立たせるための」
クライン「一週間ソウル体だと、問答無用で死亡だもんな。今から動き出さないと間に合わない。そうだろ?」
キリト「全部お見通しか……」
アスナ「ひとりで突っ込みすぎるのは危ないっていったのはどこの誰だったっけ?」ひょい
キリト「アスナ!お前も……」
クライン「まあ、そういうことだ。一人より二人、二人より三人。だろ?」
アスナ「まあ、助けられた恩もあるしね。今度はこっちが手助けする番よ」
キリト「二人とも……ありがとう」
クライン「とりあえずまずは、このスケルトンたちだな」
クライン「一匹一匹は対処できても先に進むほどに数が多くなる」
アスナ「かといって魔法を連発してるとすぐに魔力がつきる、と」
キリト「何か方法があるはずだ。このゲーム、一見無理難題に見えて、必ず解決策がある。スケルトンの弱点ってなんだ?」
アスナ「スケルトンってようは骨でしょ?叩けば折れるんじゃないの?」
クライン「でも打撃武器持ってないぞ」
キリト「…………」
キリト「…………!」
キリト「ひょっとしたら……」スチャッ
アスナ「どうしたの?武器をしまって」
キリト「二人とも。この武器は何属性だ?」
クライン「武器って?」
アスナ「あんた今素手じゃない」
キリト「そうだよ。この拳だよ。これはいったい何属性?」
クライン「何属性って、拳は殴るもんだから……」
アスナ「……!まさか」
キリト「そのまさかさ」ニヤリ
キリト「オラッ!」スパァン!スパァン!スパァン!
スケルトン「ギャアアッ!」
クライン「もう一体来たぞ!」
キリト「アスナ!頼む」
アスナ「…………」スパンスパンスパン!
スケルトン「グオオオオッ!」
クライン「すげぇな!拳最強じゃねーか!」
アスナ「なんかカッコ悪い……」
キリト「やっぱり、一見理不尽に見えても、必ず答えは用意されているんだ!」
キリト「行ける!このゲームクリアできるぞ!」スパァン!
アスナ「ちょっと待って!あれ!」
クライン「あいつ!チュートリアルに出てきた奴!」
拡散の尖兵「……」
キリト「俺に任せろ!『魔法の武器』!」
クライン「すごいな……最初は一撃でこっちを殺してきた奴を、あんなにあっさり」
キリト「こっちも最初よりレベルが上がってるからな」
アスナ「所詮はゲームってことね。命がかかってるけど」
キリト「このままいっきに行くぞ!」
【デーモン 審判者】
頭部がカラスになっている巨大なデーモン。右手に巨大な包丁を持っている。
ブヨブヨの志望で攻撃をガードしているが、包丁の刺さっている腹部だけはダメージが通る
審判者「グオオオッ!」
キリト「腹だ!腹の包丁を攻撃するんだ」
アスナ「了解!」ズバッズバッ
キリト「スタミナが切れる前に交代するんだ!」
クライン「包丁が来るぞ!!」
キリト「間に合えっ!」ズドオオッ!
アスナ「倒れた!一斉に攻撃して!」
【THE DEAMON WAS DESTROYED!】
クライン「意外と拍子抜けなボスだったな」
キリト「弱点を突いたからな。いったん戻って回収しそびれたアイテムを探してこよう」
……
クライン「『欠月のファルシオン』魔法攻撃力のある武器か」
キリト「クラインが持っていってくれ。俺には『魔法の武器』があるから」
クライン「おっ、ありがとよ」
アスナ「これは『神のタリスマン』?『奇跡』を使うのに必要なアイテムみたいね」
※奇跡
白魔法的なもの。
キリト「アスナが持って行くといい。俺は魔法剣士だから必要ない」
アスナ「あとは……この大量の『ソウルの名残』相手を引き寄せる効果があるらしいけど」
キリト「これは使えそうだな。次の谷1で使ってみよう」
谷1
キリト「足元に気をつけろ」
アスナ「今にも崩れおちそうね……」
腐敗人「キシャアアア!」
クライン「こいつら束になってくると厄介だぞ!」
キリト「『ソウルの名残』だ!」ポーイ
腐敗人「オオッ?」
クライン「よしっ!奴ら名残に引き寄せられてるぞ!」
キリト「今のうちに進め!」
~ボス部屋前~
キリト「名残のおかげでここまでこれたな」
クライン「もう名残だけでクリアできるんんじゃないか?」
アスナ「見て!血文字が残されてるわ!」
【炎が弱点】
【デーモン ヒル溜まり】
文字通りヒルが集まってできたデーモン。自己再生能力を持つ。
キリト「くらえ!持っている火炎壷をすべてここで使うぞ!」
クライン「オラッ!」ポーイ!
アスナ「あいつ!周囲からヒルを集めて回復してるわ!」
キリト「問題ない!回復を上回るスピードでダメージを与えれば!」
ヒル溜まり「グオオオオオオオオッ!」
【THE DEAMON WAS DESTROYED】ギャンッ!
キリト「よしっ!」
……
キリト「今攻略組はどんな状態なんだ?」
アスナ「坑道1をクリアしたところよ」
クライン「へぇ~向こうも頑張ってるな」
クライン「次はどこに向かう?」
キリト「まあ、『塔のラトリア』しかないだろうな」
アスナ「結構難易度が高いって噂のところね。しっかりと準備していかなくちゃ」
キリト「ソウルを使ってレベルアップと……あとは魔法もいくつか便利そうなのがあれば」
アスナ「私はせっかくだから奇跡を覚えてくる」
クライン「俺は魔法とかそういうのどうも苦手なんだよな。とりあえず筋力と技量あたりに振ってくる」
……
~塔のラトリア~
キリト「情報どおり、暗い場所だな」
アスナ「ところどころ柵がないところもある。落下には気をつけましょう」
カラーン……カラーン……
クライン「なんだ?鈴の音?」
キリト「静かに!」
蛸看守「…………」
チリーン………チリーン………
アスナ(あいつが……蛸頭の看守?)
キリト(ああ、強力な魔法攻撃を使うらしい……)
クライン(見ろ!誰かいるぞ)
バッカニア「…………」ススス……
キリト(後ろから攻撃するつもりか?)
蛸看守「……」グル…
バッカニア「仲間の仇だ!死ね!」ガツンッ!
クライン「やったか!」
キリト「駄目だ!仕留めきれていない!直前で振り向いたからバックスタブが発動しない!」
バッカニア「ヒ……」
蛸看守「……!……!」チリーン…… ゴオオッ!
バッカニア「ウグアアア!」
クライン「衝撃波!」
キリト「まずい!助けるぞ!援護してくれ!」
バッカニア「ううぅ……!なんだってんだ!」
蛸看守「……!」チリーン バチバチバチ
バッカニア「うわあああ!?体が!?」
クライン「麻痺攻撃だ!まずいぞ!」
蛸看守「……!」ズルッズルッ
バッカニア「ひいいいぃ……!」
キリト「やめろおお!」
ズシャアアッ
バッカニア「お……がはっ……」シュウウウウ……
キリト「あ……」
クライン「間に合わなかった……!」
キリト「クソッ!!」
蛸看守「……!」チリーン
アスナ「また魔法が来る!」
キリト「させるか!」
キリト(こいつの魔法は強力だが……本体のスピードは大したことないぞ!後ろに回りこんで……!)
キリト「『バックスタブ』だ!」ズシャアアアッ
蛸看守「ピギイイイッ!?」
キリト「まだ倒していない!アスナ!」
アスナ「分かってる!」
ズトッ!
蛸看守「……」シュウウウウ……
クライン「さっきの奴……ソウル体だったよな」
キリト「ああ……」
クライン「つまり……」
キリト「言わないでくれ」
クライン「すまん」
キリト「先を急ごう。そして早くこのゲームを終わらせよう」
……
アスナ「この棺桶開けることができそうね」
キリト「待った……周りに血痕が多い。罠かもしれない。」
……
クライン「また蛸頭か!」
キリト「背中側に回るんだ!」
……
アスナ「この鍵があれば、向こう側に行けるわね」
キリト「あの矢の雨を突っ切るのは無理そうだな」
ズシャアアア……
召使「グエッ!」
キリト「よし。これで大丈夫。情報が正しいのならこれでボスは復活しなくなるはずだ」
アスナ「これでボス部屋に行けるわね」
クライン「……なあ、ちょっと気になったことがあるんだけどよ」
キリト「どうした?」
クライン「このゲームって生身の状態で死ぬとソウル体になるんだよな?」
キリト「ああ。それがどうかしたのか?」
クライン「それって何かおかしくねーか?なんで一度死んだらそれで終わりにしないんだ?こんなクソッタレなデスゲーム作ってる奴がよ」
アスナ「確かに……言われてみればそうね。わざわざ一回分チャンスを与える理由なんてないのに」
キリト「何か意図がある……のか?」
クライン「まあ、考えても仕方がない。さっさとボス部屋に行こう」スタスタ……
ズトッ
クライン「あ、れ……?」シュウウウウ……
キリト「クライン!?」
クライン「誰……だ……てめぇ……!」
???「悪く思うなよ。『生身』は頂いていく」
クライン「ゴハッ!」シュウウウウウ……!
アスナ「クラインッ!よくもっ!」ズバッ!
???「…………」スゥゥゥ……
キリト「消えた……?」
アスナ「一体どこへ……!」
ズトッ!
アスナ「ガハッ……」
???「これで二つ目……!」
キリト「アスナ!」
アスナ「キリト……ごめん……!」シュウウウウウ……
キリト「アスナッ!」
キリト(落ち着け……!あの二人は生身を失ってスタート地点に戻っただけだ!)
キリト「お前はいったい何者だ!?なんで俺たちの命を狙う!?」
???「『生身』をもらうと言っただろう」
キリト「生身?」
???「そう。ソウル体から生身に戻る方法はいくつかある。そのうちのひとつがこれ」
???「『他の世界に侵入し、生身を奪ってくること』だ」
キリト「お前は……別のサーバーのプレイヤーってことか?」
???「そうだ」バッ!
キリト「ううっ!」
キリト(クソッどういうことだ!急に消えたり現れたり……一定距離離れると姿が見えなくなるようだが……)
キリト「姿が見えない……ってことは、『姿隠し』か?『盗人の指輪』か?隠密状態ってことだな?」
???「答える必要はない!」ズバッ!
キリト「あぶないッ!」ヒュン
???「ちょこまかと……もういい……次で仕留めてやる」
キリト「姿を隠しているだけなら……こっちにもやりようはある!」
キリト「くらえ!『毒の雲』!」
※毒の雲
ヒル溜まりのソウルから作られた魔法。
毒の雲を噴射し、相手を毒状態にする。
???(毒だと?闇雲に魔法を放ってきたか!だが、疫病ならともかく毒だけなら効果はたいしたことないはず……!)
???(これはただのハッタリだ!毒状態になろうと構うものか!逆に視界が塞がれて好都合!死ね!)
キリト「そこかっ!」ガキイン!
???「何っ!」
3 3
???「馬鹿な!なぜ分かった!?」シュゥゥゥ シュゥゥゥ
キリト「毒状態になったな・・・・・・これでもう隠れることはできない」
3 3
???「毒だと……?ハッ!」シュゥゥゥ シュゥゥゥ
???(しまった!こいつ!毒による『ダメージ表示』でこちらの位置を!」
キリト「さて、覚悟してもらおうか。『魔法の武器』」キュイイイイイン……
???「や、やめろ!待て!」
キリト「おおおっ!」ズシャアアア!
???「ガハッ!」
キリト「やはり……隠れて襲ってくるってことは体力は大したことないんだな」
3 3
???「おのれ……貴様……!」シュゥゥゥ シュゥゥゥ
キリト「見逃してやる……おとなしく元の世界へ帰れ」
???「覚えていろ!俺の名は『フラジール』!私をコケにしたことを後悔させてやる!」キュイイイイン…
キリト「消えたか……ん?これは……」
【黒い瞳の石を手に入れた】
パン パン パン
キバオウ「おうおう見事なもんやな」
キリト「…! キバオウ!見ていたのか?」
キバオウ「ああ、おかげで新しい敵の存在が分かったわ」
キバオウ「別に文句はないやろ?ビーターならあのくらい切り抜けられて当然や」
キリト「キバオウ……!お前……」
キバオウ「さっさとどいてくれるか?『愚か者の偶像』のデモンズソウルは俺たちが頂く」
キバオウ「雑魚敵を掃除してくれたおかげでずいぶん楽やったわ……なあ、ビーターはん?」
キリト「……勝手にしろ」
キバオウ「勝手にさせてもらうわ。よしお前ら行くで!」
キバオウ「集まった情報から、ステージが難しいエリアはボスが簡単であるっていう傾向がある!」
キバオウ「楽にデモンズソウルを頂くで!」
キリト「……早く二人のところへ行かないと『要石の欠片』」
※要石の欠片
帰還アイテム。楔の神殿へと戻る
キュウウウウン…
~楔の神殿~
アスナ「『黒い瞳の石』?」
キリト「ああ、アイテム説明を見てくれ」
クライン「何何?このアイテムを使うと『黒ファントム』として別の世界に侵入し……『生身』を奪うことができる?」
アスナ「別の世界っていうのはつまり、別のサーバー、侵入してくるのは別のサーバーのプレイヤーってこと?」
キリト「そういうことになる。『ソウル体』があるのはたぶんこのためだ」
クライン「プレイヤー同士で殺し合うってわけか。悪趣味やな」
アスナ「相手はパターンの決まっている敵キャラクターじゃなくて現実の人間……やり辛いわね」
クライン「生身を狙ってくるってことは、生身でいると危険ということか」
キリト「いや……一番危険なのは生身である俺よりもソウル体となった二人のほうだ」
アスナ「?」
キリト「俺は肉体があるから一度死んでもソウル体になるだけ……だが、二人が俺に巻き込まれて黒ファントムに殺されると……現実世界でも死ぬ」
アスナ「ちょ……ちょっと?」
キリト「だから……」フワッ
クライン「キリト!おい!?」
キリト「これが正解だ」
ゴオオオオオオオオッ ドサッ
【YOU DIED】
……
キリト「うーん……」
アスナ「キリト!キリト!」
キリト「ああ、おはよう……」
ボヤアアア
キリト「うん、ばっちりソウル体だ」
クライン「たく、無茶しやがって。お前までソウル体になるこたないのに……」
キリト「こうしたほうが安全なんだ。黒ファントムは普通の敵よりも厄介だし」
アスナ「それは分かるけど……でも……飛び降りる前に一言くらい言いなさい!馬鹿!」
キリト「ご、ごめん……!」
キバオウのグループはその後、何人かの犠牲を出しつつもデーモン『愚か者の偶像』を倒し、塔1をクリアした。
こうして、キリトたちの世界はすべてのエリアのエリア1+城の2をクリアしたことになる。
塔1から魔法を教えてくれるNPCを救出したことで、攻略組はさらにゲームクリアへと近づいた。
だが、その影で新たな脅威『黒ファントム』の災厄が世界に広まり始めた……
~嵐の祭祀場2~
クライン「畜生!こいつら次から次へと湧いてきやがる!」ズバッ!ズバッ!
キリト「無限湧き?いや……そんなはずは……!」
アスナ「見てキリト!あの死神だけ他と違う」
キリト「あいつが本体か!おおおっ!」ズバッ!
死神「ギャッ」シュウウウゥ……
クライン「亡霊どもも全員消えた……やっぱあいつが操ってたんだな」
キリト「このまままっすぐ進もう」
アスナ「やっぱり全員がソウル体だと黒ファントムに狙われることもないのね」
キリト「だが、その分一度でも死ねばアウトだ。気を抜くなよ」
アスナ「はいはい」
……
クライン「NPC相手だとある程度対策は打てるな」ポーイ
キリト「『ソウルの名残』で引き寄せたところを後ろから仕留める」ズシャッ
スケルトン「グアアアッ」
アスナ「安全かつ確実ね」
……
キリト「ここにも亡霊がいる!」
アスナ「死神を探して!」
クライン「魔法を撃たせるな!」
……
キリト「ボス部屋に着いたぞ」
アスナ「ここのボスは情報が少ないわね。生きて帰った人間がほとんどいないから」
クライン「そんなヤバイボスなのか?」
キリト「一応、緊急離脱用の『要石の欠片』をいつでも使えるようにしておこう」
キリト「行くぞ!」
グオオオオオッ
【デーモン 古の勇士】
巨大な曲刀を持った巨人の戦士。目が塞がれている。
古の勇士「グオオオッ!」
キリト「こいつが……ボスか!」
古の勇士「ゴオオオオオッ!」ガシャア!
クライン「なんだ……?何もないところを攻撃したぞ」
キリト「……まさか……」ポーイ カツーン
古の勇士「グオオオオッ!」ガシャアアッ
クライン「! 音か!」
キリト「そうだ。どういうわけかあいつは目がふさがれているから音でこちらを探知してくるんだ」
アスナ「なるほど……ということはゆっくりと移動すればってキリト!?」
キリト「……」シュバッ
アスナ「音出したら駄目って言ってるのに!あの馬鹿!」
クライン「いや、待て!よく聞け!」
アスナ「え?」
キリト「…………」
アスナ「あれ?音がない?」
クライン「俺たちはこの前まで生身だから気づかなかったが……」
クライン「生身を失う……つまり、ソウル体になると体から音がでなくなるんだ。幽霊みたいなもんだな」
アスナ「……!そっか!だからキリトは走って攻撃を!」
クライン「恐らくみんなが苦戦したっていうのは生身で挑んだからだろう」
クライン「誰だって、死にたくはない。一度死んでも復活できるチャンスがある生身でなければ挑もうとしなかったんだろう」
クライン「特に生身で挑んで殺された連中はな」
アスナ「つまり、私たちは超ラッキーってわけね!」
クライン「ああ!俺たちも行くぜ!」
キリト「おおおおおっ!」
アスナ「やああああっ!」
クライン「たああああっ!」
【THE DEAMON WAS DESTROYED!】
アスナ「やった!ついに次が嵐の最終エリアよ!」
クライン「キリトどうする?いったん戻るか?それともこのままいっきに進むか?」
キリト「そうだな……これで一度は復活できるようになったんだ。このまま一度次のステージを確認してみるのも悪くない」
アスナ「決まりね。進みましょ」
~嵐の祭祀場3~
キリト「いきなり霧だな」
クライン「面倒だな。早く入ろう」
アスナ「あ、ちょっとは様子見たほうが……!」
グイイイイイン
クライン「お?なんか開けたところだな」
クライン「んん?」
嵐の王「オオオオオオオオ……」
【デーモン 嵐の王】
巨大なエイのような姿をしたデーモン。空を飛びながら自分を小さくしたような小型の『嵐の獣』を従え、
大量の太い針を打ち込む攻撃を得意とする
クライン「い、いきなりデーモンかよ!?」
キリト「クライン!伏せろ!」
クライン「うわっぷ!?」
ズドオオッ ズドオオッ!
アスナ「奴ら空飛んでる……一応弓は持ってきたけど……」
ズドッ! ズドオオッ!
キリト「攻撃が激しい!いったん隠れるぞ!あの廃屋だ!」
クライン「ひいいいいい!」
アスナ「……くらえっ!」ピシュン!
嵐の獣「ピイイィ!」
アスナ「雑魚にはダメージは与えられる……でも数が多すぎる!何かいい案はないの?」
キリト「……いい案って言っても……!」
キリト「おい、あれは?」
クライン「あれって……血文字?」
キリト「ペース的には俺たちがこの嵐3に一番乗りでもおかしくないはず。実際、血の掲示板にはここの情報は何もなかった」
アスナ「別の世界で私たち以外に先にここへ来た人たちがいる?」
キリト「あるいは……調べる価値はある。アスナ援護してくれ!」
アスナ「あっ!ちょっともう!」ピシュン!
ズドッ ズドッ!ズドッ!
キリト「俺の予想が正しければ……!」
ズドウッ!
キリト「うおっ!」ズザザァ!
【嵐に挑むなら空を裂く剣が必要だ】
キリト「このメッセージは!」
キリト(通常のプレイヤーが書いた血文字は読むと評価するか否かの選択ができる。だがこのメッセージは何も起こらないつまり!)
キリト「これは『公式メッセージ』だ!製作者が意図的にここに書いたんだ!」
キリト「空を裂く剣……てのは……あれか!」
アスナ「キリト!どこ行くの!?」
キリト「ちょっと待っててくれ!『空を裂く剣』をとってくる!」
ズドッ!ズドッ!
キリト(この攻撃は走り続けてる限り当たらない!スタミナが切れたら……間に合うか!)
ズザアアアッ
キリト「よしっ!これが!」グイッ!
キリト「『空を裂く剣』!『ストームルーラー』だ!」
【ストームルーラーを手に入れた!】
クライン「キリトの奴何をするつもりだ?」
アスナ「分からない。でもメッセージを見て何か分かったのかも!」
キリト「おおおお!くらえっ!!」
ズバアアアアアアアアアッ!
嵐の獣「ピギャアアアアアア!」
アスナ「一気にしとめた!?」
キリト「くうう……!さすがにスタミナを使うな……!」
アスナ「キリト!一番でかいのが来るわ!」
キリト「任せろ!空ごと叩き斬ってやる!」
……
嵐の王「…………」シュウウウウゥゥゥ……
【THE DEAMON WAS DESTROYED!】
【デーモンの長のソウルを手に入れた】
キリト「よしっ!」
クライン「これで……嵐の祭祀場はクリア?」
アスナ「すごい!キリト!私たちエリアのひとつを制覇した!」
キリト「へへ……それじゃあ一端楔の神殿に戻るか。デモンズソウルを使って強化しよう」
~楔の神殿~
クライン「それにしても、あのストームルーラーっていうの?すごい威力だな。アレ一本でラスボスまでいけるんじゃないのか?」
キリト「そのことなんだが……まあアイテム説明を見れば分かるよ」
クライン「え~っと……攻撃力低っ!なんだこれ」
キリト「あの空を裂く力は嵐の王戦限定の力なんだよ。普段は相手を吹き飛ばすだけとかなんとか」
アスナ「二人ともお待たせ。新しい奇跡を習得してきたよ」
キリト「結局どっちにしたんだ?」
アスナ「『嵐の王』のほう」
キリト「『一度きりの復活』じゃなくてよかったのか?」
※一度きりの復活
この奇跡を使うと一度だけHPが0になっても半分の状態で復活する。
アスナ「なんか、自分ひとりだけそういうの使うのはズルい気がして……」
クライン「遠慮することねーのに。命がかかってるんだから」
キリト「まあアスナがいいならそれでいいさ」
キリト「次は谷に行こうか」
クライン「そうだな」
アスナ「毒回復アイテム買ってこないと」
スタルカ「……うぅ……」
キリト「? どうしたんだ?あんた、調子が悪そうだ」
スタルカ「うるさい!俺に話しかけるな!俺に、俺に……!」シュウウゥゥゥゥ……
キリト「おい!しっかりしろ!」
スタルカ「うああああ……」
シュウウウウウ…
キリト「消えた……」
クライン「これがソウル体の時間制限って奴か……!」
アスナ「もう時間がない。これ以上このゲームを続けたらもっと多くの人が死ぬ。急がないと……」
キリト「ああ……!」
~谷2~
クライン「毒の沼か……嫌な感じだ」
キリト「毒回復アイテムの残り個数には注意しよう」
……
アスナ「うぷっ……!」
クライン「これはさすがに……きついなぁ……ナメクジ祭りかよ。キリトお前に任せる」
キリト「勘弁してくれ……」
……
アスナ「あのでかい奴が厄介ね」
キリト「いつもの方法で行こう。『ソウルの名残』でおびき寄せて脇を走り抜ける」
クライン「それ、一番得意だぜ」
……
キリト「さて、用意してきた毒回復アイテムが尽きるとかハプニングはあったが無事にボス部屋についたぞ」
アスナ「あのおばあさんぼったくりすぎでしょ……」
クライン「まあ、あそこにいてくれて助かった。でなけりゃ今頃毒で死んでた」
キリト「よし、準備はいいな!いくぞ!」
【デーモン 不潔な巨像】
不潔な巨像「オオオオオオッ!」
キリト「最後の最後までこんな敵か!」
クライン「蝿を発射してくるぞ!気をつけろ!」
不潔な巨像「オオオオオオオッ!」
【THE DEAMON WAS DESTROYED!】
アスナ「意外とあっけなかったわね」
キリト「キバオウがいつか言ってたな。『難しいエリアはボスが弱い』という傾向があるって」
クライン「なるほど」
アスナ「どうする?このまま進む?」
キリト「嵐のパターンがすべてに当てはまるなら、次はいきなりボスのはずだ」
クライン「まあ、それだけでも確認してこようか。チラッと見て帰るだけ。OK?」
キリト「OK。それでいこう」
~谷3~
アスナ「やっぱり、谷3に入ってしばらくいったらすぐボス部屋だ」
キリト「なるほどな。こういうパターンか」
クライン「まあ、それだけ分かればいいか。回復アイテムを補給して、またこよう」
ガツン
クライン「あれ?」
キリト「どうした?」
クライン「おかしいなさっきまでこんなところに白い壁なんてなかったのに」
アスナ「え?」
キリト「……?……!まさか!」
クライン「え?なんだ?どういうことだ?」
キリト「『黒ファントム』だ!油断していた!まさかこんな短いエリアで侵入してくるなんて!」
アスナ「『要石の欠片』も反応しない……!どうすれば……!」
キリト「落ち着いて考えろ……!確か黒ファントムはボスの霧を越えることはできない……」
キリト「黒ファントムに侵入されている間はエリアから脱出できない!だが生身のプレイヤー全員がボス部屋に入れば帰らざるをえないはずだ!」
クライン「ボス部屋へ走れ!」
ギュイン…
【黒いファントム『フラジール』に侵入されました】
キリト「フラジールだって?」
クライン「知ってるのか?」
キリト「ああ、前に入ってきた黒ファントムだ……!透明な奴!」
アスナ「ええ、でもこれで黒ファントムは帰還する以外に何も……」
ブオンッ!
キリト「えっ?」
アスナ「キリト!?」
クライン「キリトォ!」
キリト(なんだ?吹き飛ばされた?)
フラジール「…………」ニィッ
キリト「馬鹿な!ボス部屋には黒ファントムは入ってこれないはず!」
どぷん
キリト「まずい!どこまで落ちた……?早く上に戻らないと!」
不浄「……」
キリト「なんだ?この赤い生き物たちは……」
不浄「……」ゾロゾロ
キリト「急がなきゃならないのに……!ほら!向こうに行け!『ソウルの名残』だ!」
キリト「急げ!向こうに上に上れそうな段差がある!」
ガル「やはり、戻れはしないか」
ガル「どうしても彼女を害そうというのであれば、仕方ない」
ガル「この地の底で腐り落ちるがいい」
キリト「こいつは……プレイヤーじゃない!NPCか!」
【デーモン 乙女アストラエア&騎士ガル・ヴィンランド】
人間からデーモンになった聖女アストラエアとそれを守る騎士、ガル・ヴィンランド
ガル「っ!」ブオン!
キリト「邪魔をするな!」パリィィィィン
キリト「おおおっ!」ズドオオオッ!
ガル「ぐっ!」
キリト「致命の一撃でもこのダメージか……!お前は後回しだ!」
キリト「アスナ!クライン!」ダッ!
アスナ「キ……キリト……逃げて……」シュウウウウウ……
キリト「お前……!」
フラジール「久しぶりだな。驚いたか?実は私も驚いてるんだ。まさかボス部屋に侵入できるとはね」
フラジール「どうやら私が君の世界に侵入するタイミングと君たちがボス部屋に入るタイミングが一致したことによる不具合のようだ」
キリト「そんなことはどうでもいい!お前をここで倒す!」
フラジール「君がソウル体だったらここで殺すこともできるのにな。まあいい、すぐにそうなるさ」バッ!
ブオオオオン!
キリト「これは!ストームルーラー!?」
キリト(嵐の王エリア以外では吹き飛ばし効果のみ……こういうことか)
フラジール「君を殺す前に、少し意地悪をしてやろう」ブモモモモモモ
キリト「茶色い……雲?」
【ARMOR BREAK】
【WEAPON BREAK】
キリト「! 武器の耐久値が!」
フラジール「ハハハハ!手も足もでないとはこのことだ!」ズバッ!
キリト「ぐあああッ!!」
キリト(これは打刀!?クラインが使っているものより強化されているが……!)
フラジール「仕上げだ」キュイイイイイン
キリト(『魔法の武器』いや……紫の輝き……?)
フラジール「『呪いの武器』だ!」ズバアアッ!
キリト「あああああっ!!」シュウウウウウ……
フラジール「死んだか……ここでひとつ残念なお知らせだ」
フラジール「今、塔エリアを攻略している君のお仲間たちだが……早く助けにいかないと、私の仲間に殺されてしまうかもしれないよ?」
フラジール「もっとも、そんなザマで戦力になるのか疑わしいがね。ハハハハ!」
キリト「お前ぇ!」シュウウウウウウ……
~楔の神殿~
キリト「ううっ!」
クライン「キリト!戻ったか!」
キリト「すぐに!塔の2に行かないと!」
アスナ「えっ!どういうこと?」
キリト「フラジールに嵌められた。はじめからこれが狙いだったんだ!ソウル体の状態で戦わざるをえない状況を作り出すこと!」
クライン「ってことは……罠ってことじゃねーか!」
キリト「それでも行かないと!みんな殺される!」
アスナ「塔の攻略に行ったキバオウたちはまだ戻ってきてないわ……」
キリト「黒ファントムに侵入されている限り、楔の神殿に戻ることはできないんだ!」ギュイイイイイン
キリト(『エドの砥石』……せめて武器は修理してからいかないと。防具は修理している暇もソウルもない!)
クライン「待て!俺も行くぜ!」
アスナ「私も!」
キリト「分かってるのか?ソウル体ってことはこの状態で死んだら現実でも死ぬんだぞ!?」
クライン「それでもお前をひとりで行かせられるか!」
アスナ「時間が無いんでしょ?急ぐわよ!」
キリト「……!分かった!死なないように気をつけろよ!」
~塔2~
キリト「!!」
クラースナヤ「何で楔の神殿に戻れないんだよおおおおっ!」
キリト「落ち着け!何があった!」
クラースナヤ「き、キリト!助けてくれ!あいつらがくる!」
ゴオオッ!
クラースナヤ「グアアアアア!」
キリト「これは……炎!」
レッドラム「おやおや……わざわざ殺されにきたのか?」
キリト「『水のベール』!」
※水のベールとは
炎ダメージを軽減する水の防御の呪文。
レッドラム「反応が速いね。戦い慣れてると見える。だが無意味だ」パッ!
ゴオオオッ!
キリト「! 馬鹿な!呪文の発動が速すぎる!」
バアアン!
キリト(ガードしてこの威力か!)
ギュンッ
アスナ「キリト!大丈夫?」
クライン「どういう状況だ?」
キリト「気をつけろ!あいつ魔法使いだ!」
レッドラム「二人追加か。それじゃあとっておきをお見せしよう」
レッドラム「『走り嵐』!」ゴオオオオ!
※走り嵐
上級魔法「炎の嵐」を速射バグを利用し発動することで
走りながら炎の嵐が発動できる。相手は死ぬ
クライン「あいつ!炎を纏いながら突進してくる!」
キリト「まずいっ!」スパッ!
レッドラム「いたっ!投げナイフだと!?」
キリト「一撃当てれば止められるのか……よかった……」
レッドラム「舐めるな!この距離ならばもうよけられない!もう一度『走り嵐』を……!」
バチバチバチバチ……
レッドラム「……?なんだこれ?」
レッドラム「魔法が……使えない?」
アスナ「間に合った……『反魔法領域』」
※反魔法領域
術者を含む周囲の敵の魔法を封印する。
レッドラム「馬鹿な!」
キリト「これで終わりだ!」ズバッ!
レッドラム「グアアアッ!」
クライン「もいっぱっつ!」
レッドラム「あ……あ……」シュウウウウウ……
キリト「魔法特化型か……体力には振ってないんだな」
キリト「これで楔の神殿に戻れるようになるはずだ……キバオウたちはどこへ?」
クライン「探しに行こう」
……
クライン「クソッ……ここにもいないか……」
アスナ「ひょっとして……ボス部屋に行ったんじゃ……」
キリト「可能性はある……行ってみよう!」
「うううぅ……」
キリト「おいあんた!大丈夫か?」
「お前は……キリト……」
アスナ「他のみんなは?」
「あの妙な魔法使いに襲撃されて、何人かは落ちて死んで……何人かはこのあたりに隠れたんだ……」
「だが、キバオウは……ボスを倒せば道が開けるって言って、一人ボス部屋に……」
クライン「一人で行ったのか……?無茶だ!」
キリト「助けないと!」
【デーモン マンイーター】
ギュイン……
キリト「キバオウ!大丈夫……か……」
キバオウ「うおおおおおおらああああっ!」ズバッズバッズバッ!
マンイーター「ギャオオオオオオッ!!」
キバオウ「とどめじゃ!!」グシャアア!
マンイーター「オオオオオオ……」
クライン「す、すげぇ……一人で……」
キバオウ「ん……なんじゃお前ら?なんでこんなところにおるんや?」
キリト「あ、いや、そのお……なんというか……」
キバオウ「……ひょっとして助けにきたんか?」
アスナ「まあ、そういうことになるわね」
キバオウ「ガハハハハ!まあ、見ての通りや!お前さんの力がなくても一人で余裕やったわ!まあ、回復アイテムは全部つきたけどな」
キリト「そうらしいな……はは……」
キバオウ「それにしてもわざわざ助けにくるなんてお前も意外といいところあるんやな、見直したで」
キリト「なんか気持ち悪いな……」
キバオウ「人の好意は素直に受け取るもんやで」
キリト(なんかおかしいな……)
キバオウ「まあ、正直わいもビーターやなんやって散々言ってきたけど」
キリト(いつもだったらここで……)
キバオウ「どうしても、攻略組に復帰したいって言うんやったらまあ、聞いてやらんでもないで」
キリト(THE DEAMON WAS DESTROYEDっていうのが出るはずなんだけど……)
キバオウ「おい聞いてるんか?」
マンイーター「…………」
キリト「! 上だ!キバオウ!」
キバオウ「へ?上?」
ゴオッ!
キバオウ「あ…………落ち……」
キリト「キバオウ!!」
……シュウウウウウウ……
キリト「キバオウ……!なんでこんな……倒したんじゃなかったのか!」
アスナ「そんな……!」
クライン「2体目!?」
マンイーター「グオオオオオッ!」
キリト「こんな狭い足場で吹き飛ばし攻撃なんてしやがって……!」ギュイイイイイイン
キリト「しかも二体目だと……?ふざけんな!」
キリト「キバオウの仇だ!ぶっ倒してやる!」
キリト「うおおおおおおっ!」
キリトの勇気がボーレタリアを救うと信じて!
完
ゴオッ!
キバオウ「あ…………落ち……」
キリト「キバオウ!!」
……シュウウウウウウ……
キリト「キバオウ……!なんでこんな……倒したんじゃなかったのか!」
アスナ「そんな……!」
クライン「2体目!?」
マンイーター「グオオオオオッ!」
キリト「こんな狭い足場で吹き飛ばし攻撃なんてしやがって……!」ギュイイイイイイン
キリト「しかも二体目だと……?ふざけんな!」
キリト「キバオウの仇だ!ぶっ倒してやる!」
キリト「うおおおおおおっ!」
キリトの勇気がボーレタリアを救うと信じて!
未完
マンイーターを普通に倒したキリトたちは谷4と城3、城4を攻略。
(城4を先に攻略したのは早めに攻略しておけば黒ファントムがこないだろうという打算によるものだった)
坑道の3はキバオウの仲間たちが強力して竜の王を打ち破った。
そして、ついに最後の塔3エリアに到達したが、フラジールの卑劣な罠で全員生身を失ってしまった
しかしそのエリアのボスは別世界の戦士を特殊召喚するという能力を持った
【黄衣の翁】であった。そして召喚されたのは……
フラジール「やあ、キリト!会いたかったよ」
キリト「また邪魔をするつもりか!フラジール!」
フラジール「君はすでに私に一度負けている。そして私は黄衣の力で強化されている。それで勝つつもりかね?」
キリト「ああ勝つさ!」
雷電「ちょっと待てキリト。まずは俺がこいつと戦う権利があるぜ」
キリト「雷電!だけどお前もソウル体じゃ……!」
雷電「こいつはキバオウさんを罠にかけて結果死なせた!俺には仇を討つ権利がある!俺はキバオウさんとは親友だったんだ!」
ゴオオオ……
キバオウ『階段下のフレーキのおっさんおるやろ?階段から降りるときいつも怒鳴られるんや』
キバオウ『見てみ?ほら?まったく動かれへんやろ?これ頭突きハメ言うんやで』
キバオウ『曲剣左手に装備してパリィしてみ?めちゃくちゃカッコエエで!』
雷電「キバオウさん……」
雷電「正面から行かせてもらう!フラジール!」
フラジール「ふん!来い!死ぬためにな!」ギュイイイイイン!
キリト「雷電さん!駄目だ!」
雷電(私の『塔の盾』と柴染の鎧なら!どんな攻撃にも耐えられる!)
フラジール「そんなに世の中甘くないぞ」ブワァン!
雷電「これはストームルーラー!?しまった盾が!」
フラジール「終わりだ!」ズバアアアッ
雷電「グアアアアッ!」シュウウウウウウ……
キリト「雷電さん!」
フラジール「さあ来い!残るはお前とクラインだけだぞ!」
キリト「貴様!絶対に許さない!『光の武器』!」ギュイイイイイイン
クライン「うおおおお!雷電とキバオウたちの仇だ!『削り取る槍』!」
フラジール「邪魔だ!『ストームルーラー』!」
クライン「グオオオオオッ!」ズバアッ
フラジール「さあ死ね!キリト!
キリト「うおおおおっ!」
キリト(呪いの武器の攻撃力は甚大!……当たれば死ぬ!)
キリト(そして奴は一度切りの復活も使っている……!あれをどうにかしなければ勝てない!)
キリト「うっ!」シュンッ
キリト「はっ!」ビシュンッ
フラジール「チョコマカと!『ストームルーラー』」
キリト「グアアアアッ!」
フラジール「これで終わりだ……!お前の仲間と同じようにあの世に送ってやる!」
フラジール「そういえばいつも一緒にいた女はどうした?あいつも死んだか?」
フラジール「お前の目の前であの女を切り刻むのが楽しみだったのにな!もうどこかでのたれ死んだか!?アハハハハ!」
アスナ「『神の怒り』!」ズガアアアアア!
フラジール「グハアアアアッ!!なんだとぅ!」
アスナ「『神の怒り』の衝撃波は……壁を貫通する……一度しか使えない奥の手よ……だけどこれで奴の体勢は崩れた」
フラジール「馬鹿な!壁の向こう側から私の位置を性格に探知したというのか!?」
キリト「『ダメージ表示』だよ……フラジール……お前の位置は呪いの武器のスリップダメージで筒抜けだ!」
フラジール「ひっ!?」
キリト「そしてこれで終わりだ!」ズバッ!ズバッ!ズバッ!
フラジール「ぐああああっ!?」
クライン「入った!両手持ちの直剣チェイン!あれを抜け出すことはできない」
フラジール「しまった!『一度切りの復活』が!」
キリト「このまま削りとってやる!」
フラジール「舐めるなぁ!『ストームルーラー』!」
キリト「なんだとっ!」グワアアアアッ!
フラジール「はぁはぁ……やはりお前は手ごわい奴だ…『酸の雲』」ブボボボボ
【WEAPON BREAK】
キリト「ううっ!」
フラジール「これで止めを刺してやる……!」
ガリッ 【WEAPON BREAK】
フラジール「あっ?」
クライン「へへっ……やっと全部削りとってやったぜ……刀は耐久が低いからな」
フラジール「き、さま……!!」
キリト「フラジール!お前の相手は俺だ!」
フラジール(しまった!こいつ!突っ込んできた!いや、だが大丈夫だ!奴の武器は壊れている!)
フラジール(奴の攻撃はハッタリだ!私の呪いの武器がかかったこの刀(壊れているが)で十分押し切れる!そのくらいのHP残量だ!)
フラジール「死ねえええええええ!」
キリト「うおおおおおおおっ!」
ガキイイイン!
フラジール「がはっ……!?」
キリト「…………」
フラジール「なんだ?なんだこのダメージは?なぜお前はピンピンしているのに私だけ!」
キリト「お前は『呪いの武器』を過信しすぎたんだ」
フラジール「過信だと?この私が?」
キリト「そうだ。お前は自分の『呪いの武器』の特性が分かっていなかった。だから負けたんだ」
フラジール「ど、どういうことだ!説明しろ!」
キリト「最初にお前が『呪いの武器』を使うのを見たとき、なんとなく違和感があったんだ」
キリト「普通のエンチャント魔法は武器に魔法攻撃力を付加する……『魔法の武器』や『光の武器』はな」
キリト「だが、お前の『呪いの武器』はダメージ量がちょうど1・5倍だった」
フラジール「!!」
キリト「そう。『呪いの武器』の強化は足し算ではなくかけ算!だから通常のエンチャントよりも強い」
キリト「だが、それは武器が通常の状態であったなら。もともとの数値が低くなれば、強化の度合いもガクンと低くなる」
キリト「それに対し、俺の『光の武器』は足し算……たとえ武器の攻撃力が壊れて皆無になっても、付加された魔法攻撃力は変わらない」
キリト「それが俺とお前の勝敗を分けた。それだけのことだ」
フラジール「ク、ククク……なるほどそういうことか……!だが残念だったな!私はすでに今の会話のうちに装備を変えて戦闘準備を整えた!さあ!これで終わり――」
アスナ「『神の怒り』」
ズガアアアアアアン!
フラジール「グハアアアアア!!」
【THE DEAMON WAS DESTROYED】
こうしてキリトはすべてのデーモンを倒した
プレイヤーたちはゲームの世界から解放され現実世界に戻った。
キリトとアスナは結婚した。
そして時は流れ……
キリト「ふぁああああ!デモンズソウルも飽きたなぁ!」
キリト「お?なんだこれ?『ダークソウル』?」
キリト「面白そうだな。早速予約しに行こう」
終わり
このSSまとめへのコメント
むしろ巻きのスピード感で面白かったわ!!!!!!!