ほむら「ゾンビが蔓延る時間軸で」 (109)
・バイオハザード×まどマギ
・叛逆ネタ少々。
・とある時間軸を描いた話。
・大方の文章は完成済みのため、リアルタイムで落としていきます。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387004101
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Ointment "ADRAVIL" to be used in the wound,Our company , including the "AQUA CURE" popular among women
我が社は傷に使用する軟膏“ADRAVIL”、女性に人気の“AQUA CURE”を始めとした
I have daily pursuit of drug development
薬品開発等を日々追求しています
Umbrella company of confidence and trust in the industry share NO, 1 will provide quality health to everyone
業界シェアNO,1の安心と信頼のアンブレラ社は皆様に良質な健康を提供します
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Umbrella Corporation
~病院~
さやか「き…恭介の腕が治ったってほほ本当なんですか!?」
医師「ああ…はじめは現代医学ではどうしようもないと高を括っていたがね」
医師「ちょうど私の知人がアンブレラ社の重鎮と掛け合ってくれてね、もしかしたら恭介君の腕を治せるかもしれないんだって言うんだ」
医師「ただ、それにはウィルスを投与する必要があってね」
医師「ウィルスっていうとちょっと怖いイメージがあるかもしれないが、これはアンブレラ社が近年開発した代物だ」
医師「新陳代謝を活性化させるもので、それを利用して腕を治そうと思ってね」
医師「頼んでみたら、寧ろアンブレラ社の方からそのウィルスを快く譲り受けてくれたんだ」
医師「これを使えば手術する必要もなく自然治癒で本人の負担をかけずに治せるわけだ」
医師「使用にあたっては本人もご両親も二つ返事で承諾してくれたからね」
医師「投与したのがつい一昨日だったんだけど……」
恭介「みてよ、さやか!おかげでこのとおり腕が動くんだ!」ニギニギ
医師「見ての通りさ。私も正直驚きを隠せなくてね」
恭介「治ったと言ってもまだリハビリが必要だけどね」
さやか「じゃ……じゃあまたバイオリンが引けるんだね!!」
恭介「奇跡も魔法も……あったんだね」
さやか「本当に…本当によかった。なんだかあたしまで嬉し涙が……」
さやか「あっ!そうだ。治った記念にこれを持ってきたんだった!」つ(CD)
恭介「これは……?」
さやか「ん?なんかいまいちの反応だねぇ。恭介が聞きたいからって持ってきたのにさ」
さやか「『亜麻色の髪の乙女』……リクエストしたの覚えてないの?」
恭介「あ……うん!そういやそんなことも言っていたね」
恭介「ごめんごめん!なんだか最近、忘れっぽくなっちゃってさ」
さやか「ったくぅ。そんな年でボケ始めたら後先が不安だよ!」アハハハハ
~学校~
さやか「……ということがあってさー」
まどか「ティヒヒ。さやかちゃん、そんなこと言ったら失礼だよぉ」
まどか「でも上条君、腕が治ってよかったね!」
さやか「そうだね。でも、もしこのままダメだったらあたし……キュゥべえと契約するつもりだったし」
ほむら「何度も言っておくけれど、一度契約したらもう後戻りできないのよ」ヌッ
さやか「言われなくてもわかってるって!だからこうして契約しなくて済んだんじゃないの!」
さやか「それにいつの間にあんた割って入ってきたのよ……」
ほむら「弾みよ」ファサー
さやか「くぅ~、相変わらず掴めない奴ぅ!」
ほむら(あの美樹さやかとこうして何気なく会話が弾んでいることに未だ驚きを隠せないわ)
ほむら(それだけじゃない。今回の時間軸に至っては今までのパターンと大きく異なっている)
ほむら(この時点で巴マミは生存。まどかとさやかは未契約。そしてどういうわけか佐倉杏子は巴マミと復縁しており、現在は再びコンビ組んで見滝原で活動している)
ほむら(そして私もまた快く彼女達に受け入れられているみたい)
ほむら(今の時点では少なからず良い方向へと向かっている。これならもしかして……ワルプルギスの夜を乗り越えられるかもしれない)
ほむら(ただ、それでも真実だけはどうしても告げられないでいる)
ほむら(私がそれを口にしないのは、恐らく今の関係が崩れてしまうのを恐れているからなのでしょう)
ほむら(そう、こうしてお互いに理解を深めれば深める程に……)
さやか「おやぁ~何かお考えですかなぁ?」チラ
ほむら「鬱陶しいわよ、さやか」バシ
さやか「あいたァ!ちょっとからかってやろうとしただけなのにぃ」ヒリヒリ
ほむら「おいたが過ぎるわ」プイ
まどか「ところで今日も上条君のところにお見舞いにいくの?」
さやか「うん。腕は治ったけどリハビリで色々と苦労してるみたいだから」
さやか「恭介が完全復帰するまではまだまだあたしが支えてやらないとねぇ」
まどか「熱いね~」
さやか「ん?寧ろこの時期だから肌寒い気がするけど」
まどか「いや、こっちの話だよぉ」ウェヒヒヒ
ほむら「まどか、私があなたをもっと熱くさせてあげるわ」ホム
まどか「……」
ほむら「……」
さやか「?」
まどか「さっ、そろそろ帰るね!」
ほむら「ええ、帰りましょうか」
さやか「じゃあ、あたしはどうせ病院寄るからお二人で先帰ってちょーだい」
ウン、ジャーネ
バイバイ
ほむら(そしてもう一つ気になることとすれば上条恭介について)
ほむら(そう彼の存在こそが美樹さやかの今後の命運を決めるキッカケとなるはずだった)
ほむら(ただ、上条恭介の腕が治ったおかげで美樹さやかはQBと契約することは無くなったけれど)
ほむら(気掛かりなのは現代医学では治せないと断言された腕がどうして治ったのか)
ほむら(それこそ本当の奇跡か魔法でもない限り……治るはずなんて)
バイオ主人公キャラはでるんすか?
夕方
~病院~
さやか「きょぅすけ!お待ちかねのさやかちゃんがお見舞いに来ましたよっと」ガチャ
恭介「クチャクチャ…やぁ……いつも…ベチャベチャ悪いね」グチャグチャ
さやか「なぁに窓際を見ながら話してんの。あたしはここだよ?」サヤカチャンデスヨー?
さやか「それに何食べてんのさー……」チラッ
さやか「!!」
さやか「きょ……恭介!!あんた何をッ!?」
さやかが見たもの――それはあまりに衝撃的で悍ましい光景であった。
紅に染められた何かを握り締めれば、徐に口へと運び、生々しい音を
立てながらそれを噛みちぎる上条恭介の姿がそこには映っていった。
恭介「いやぁ…ブチブチ…最近……バリバリ…やたらお腹が空いていて…」ゴリゴリ
恭介「ちょうど…バクバク…窓際に…グチャグチャ…鳥が止まっていたもん…ゴリゴリ…だからさ……つい」
恭介「ベチャバチャ……それに……クチャクチャ…何だか背中が……痒くて痒くて」ボリボリ
恭介「あ゛……ベチャベチャ…肉が剥がれ…クチャクチャ…落ちて」ボロボロ
さやか「ひいっ……!」ガタッ
恭介「メキメキ…ブチ…食うかい……?」スゥ
さやか「ッ……うっ!」リバァアアス
オエーベチャベチャ
さやか「げほ…げほッ……!」ハァハァ
さやか「せ…せせせ先生を呼ばなきゃ……」ピッ
ドタドタドタドタドタ…
医師「いったいどうしたんだ!!」ガチャ
医師「こ……これは……!!」
看護婦「どうなされたんでs……ひッ!!」ビク
恭介「?」グチャグチャ
看護婦「せせせ先生!! 一体なんなんですか!! これは!!?」ガクガク
医師「わわわわ私もこんなの知らんぞ……!!」
医師「と……取り敢えずその手に持つものを離しなさい!」バシッ
恭介「あ゛あ゛……ッ!」
医師「こ…これは! き…君はなんてものを食べているんだ!?」
恭介「先せい…はらがへった……たべもの…もっとほしい」ガシッ
医師「なっ…!何をいいいい言っているんだね!!?」
恭介「……」ガブリ
医師「あんぎゃあああああああああッ!!!」
さやか「ひいぃいぃっ!!! きょぅすけぇ……!」ガクガク
看護婦「キャアアアアアアアアア!!先生ェエエエ!!」
恭介「ガジガジ……」
医師「あ……あぁあ……」ビクビク
ドドドドドドドドド
医師2「一体何の騒ぎだ!!?」ガチャ
看護婦「かかか……患者の様子がおかしいんですっ!!!!」
医師2「見れば分かる! とにかく抑えるぞ!」ガシッ
医師2「キミは他の人を呼んできてくれ!」
看護婦「は……はい!」タッ
恭介「あ゛あ゛……は、な……せ」ジタバタ
医師「」ガク
医師2「手遅れか……ッ!」チラ
医師2「危ないからキミも早くこの場から離れてなさい!」
さやか「えっ……あっ、きょ、恭介は……」
医師2「この子のことは私が何とかする! キミは急いで逃げなさい!!」
さやか「ッ!」タッ
さやか(恭介ッ……つい昨日まではあんなに元気だったのに……いったいどうしちゃったのぉ)
ガシッ
さやか「ぁうっ……!」
さやか「いたたた……何かに躓いたのかな……」チラ
医師「……」ユラ
さやか「えっ……」
医師「……あ゛あ゛」
~ショッピングモール~
杏子「やっぱりこの時間は人が多いなぁ。こりゃあスリのしがいがありそうだ」ニシシシシ
マミ「こぉら!悪巧みしないの!めっよ。めっ!」
杏子「冗談だってぇ。もう昔のようなことはしねぇよ」
マミ「こんな時にふざけないの!せっかくコンビ再結成記念ということで放課後空けて一緒にショッピングしに来たって言うのに……」
杏子「へいへい。その堅苦しさは健在ってわけね」
マミ「誰が堅苦しいんですって?」つ(SG)
杏子「あわわわわ!こ、これも冗談だよ!じょうだん!!マイケルジョーダンだって!!」アタフタ
杏子「それにこんなところで変身しようとすんなって!」
マミ「うふふふ……冗談よ」クスクス
杏子「なっ!?」
杏子「ちぇっ……やっぱりアンタには勝てねぇな」ポリポリ
マミ「もぅ、何でもかんでも勝ち負けで決めないの」
マミ「それにせっかくのショッピングなんだから楽しくいきましょう♪」
杏子「で、どこに行くの?」
マミ「そうね、先ずは腹ごしらえでもしましょうか」
~食堂~
杏子「ぷはーこれ以上は食えねぇ……!」ウプッ
マミ「あら意外ね。佐倉さんのことだからもっといけるのかと思っていたけれど」モグモグ
杏子「マミィ……バイキングだからって少しは自重したらどうなんだ?」
杏子「奥の店員が執拗にこっちを睨みつけてるんだけど……」チラ
店員「「「……」」」ジィー
マミ「お金はちゃんと払ってんだから好きなだけ食べるのは当然で然るべきことでしょう?」
マミ「別に気後れすることでもないのに」モグモグ
杏子「いや、流石に置かれてる料理を空にするほど食うのはまずいだろ」
マミ「運の尽きなのよ。これも私に見定められたこの店の運命」キリッ
マミ「それにとなりの人も凄い食べっぷりじゃないの」チラッ
爺「…あ゛…あ゛…」バクバクバクバクバク
婆「あんたぁそんなに食ってちゃあ喉に詰まらせてまた召されてしまうよ」
爺「かゆ……」ムシャムシャムシャ
婆「はぁい? 粥? わかったよ。あんた好きだもんねぇ、お粥」
爺「うま……」ムシャムシャムシャ
婆「いやぁ……まさか死んじまったあんたが蘇るとは思わなんだ」
婆「しかも食欲旺盛で呻き声を上げるくらいに元気になってぇ……」
婆「これもかれも神様のおかげですじゃ」
爺「…あ゛あ゛」
マミ「ほら、私だけじゃないの」
杏子「お、おう」
杏子(……ってか、あの爺さん常に白目剥いてんだが大丈夫なのかよ……)
マミ「さてと、腹八分目に収めておきますか」
杏子(こ、これで八分目かよ……!)
一度区切り。今日中には投下しきるつもりでいます。
>>10 取り敢えず見てからのお楽しみということで……
杏子「ったく……帰り際まで店員に睨まれてたよ」ハァー
マミ「~♪」
杏子(当人は全然自覚がないみてぇだが……まぁ楽しんでんならそれでいいか)
マミ「さて、次はどこに行きましょう」
杏子「そうだなぁ……」
キャアアアアアアアアア
ヒトクイヨー
マミあん「!?」
ゾンビ「……」ベチャベチャ
ホスト「」ピクピク
マミ「ッ!!」
杏子「あ、あの野郎、人食ってんぞ!!?」
マミ「なんて悍ましい光景なの……」ウゥ
杏子「おい!こんなところでリバースするなよ!!?」ダカラアレホドクウナッテ…
マミ「わ、私なんかよりも……」ウプッ
マミ「も、もしかしたら……あの人は魔女の口づけをされているんじゃないかしら」
杏子「いや、見たところあの野郎からはそれらしき痕が見当たらねぇ……」
マミ「えっ!?じゃあ魔女の口づけによるものじゃないっていうの!?」
ホスト「……」ムクリ
杏子「し、死んだやつが蘇ったぞ!?」
ホスト「あ゛あ゛……」シュバ ガブリ
モブ「うわぁああああああああ」
モブ「う……あぁあ……」バタリ
モブ「」
モブ「……」ムクリ
モブ「あ゛あ゛……」
(以下ループ)
杏子「どういうことだ……おい!」
マミ「いつの間にか囲まれてしまったわ……」
ゾンビ「「「「ザワザワザワザワザワ」」」」
杏子「仲間を増やしがって……コイツらは一体なんなんだ!?」
マミ「これは……まるでアレね」
杏子「アレって?」
マミ「ゾンビよ!」マミッ
杏子「ゾンビ!? ゾンビってよく映画とかでみるアレか!?」
マミ「そう、アレよ。まさか実在するなんて思わなかったけれど」
マミ「気をつけて。この手のゾンビは噛まれたが最後……たちまち彼らのお仲間入りよ」
杏子「マジかよ……。じゃあ近接のアタシじゃあ危険じゃねぇか!」
マミ「と、とにかくこの場所でこの数では分が悪いわ!」ヘンシーン
マミ「一度外に出るわよ! 退路は私が開くわ!!」ガチャリ
杏子「お、おう!任せたぜ」ヘンシーン
マミ(こ、こういう時のためにデッドライジングをプレイしていてよかったわ……)
数時間後
~外~
ピーポーピーポピーポ
ギャアアアアア タスケテクレー
ミナサマオチツイテ!
ファオンファオンファオン
ナンナンダーアイツラハ!
マミあん「」
杏子「ア、アタシは夢でも見てんのか……?」
マミ「佐倉さん、残念だけれどこれは夢ではないわ……」
マミ「悪夢よ……」
QB「マミ!杏子!大変だよ。見滝原全域でゾンビが相次いで増えているよ!」ヒョコ
杏子「キュゥべえ! コイツは本当に魔女の仕業じゃねぇんだろうな!?」
QB「そうだね。なにせ、それらしき反応が一切ないんだ」
杏子「だったら一体誰がこんなことを……」
マミ「ところで鹿目さん達はどうしているのかしら!?」
杏子「そ、そうだ!アイツ等は無事なんだろうな!?」
マミ『もしもし鹿目さん!? 聞こえているかしら』
杏子『聞こえたら3秒で返事しろよ!!』
まどか『あっマミさんに杏子ちゃん! 無事だったんですね!!』
ほむら『私とまどかなら無事よ。ただ……』
まどか『大変なんです! さやかちゃんとのテレパシーが反応しないです!』
マミ『えっ!? 美樹さんは貴女達といるんじゃないの!?』
杏子『じゃあアイツは何処に……』
まどか『それが病院に行ったきり帰ってきてないらしくて……』
杏子『じ、じゃあまさかアイツは病院にいるのか!?』
マミ『可能性はあるでしょうね。ただ此処から病院は結構距離があるわ。だからテレパシーも届かないのかもしれない』
マミ『だったら一度病院に行った方がよさそうね』
杏子『おい!行くんだったらアタシも一緒に連れてけ!』
ほむら『私はまどかの傍を離れるわけにはいかないから、貴女達にさやかを任せてもらってもいいかしら?』
マミ『ええっ、美樹さんは私達が何とかするわ』
マミ『ところで貴女達は今どこにいるのかしら?』
まどか『市内の避難所です。逃れた人はみんな此処に集まってるんです』
ほむら『警察がバリケードを築いてくれてから今のところは安全よ』
ほむら『聞き返すようだけれど貴女達の方こそ今どこにいるのかしら?』
マミ『佐倉さんと一緒でショッピングモール付近にいるわ』
マミ『そろそろテレパシー切るわね。何かあったらまた連絡するわ』
ほむら『分かったわ。ただ十分に気をつけて。魔女の類いではないとはいえ油断できないわ』
マミ『ええ、勿論よ』
QB 「つまりキミ達は美樹さやかを助けにいくんだね」
杏子「そういうことだ。テメェも着いてこい」
QB 「やれやれ、結局そうなるのかい」
QB (まぁ、ここで彼女達に死なれては困るからね。それに今回の事態も非常に興味深い……)
QB 「わかったよ。いちお定期的にさやかに呼びかけてみるよ。圏内に入れば通じるはずだからね」
QB 「ただ、それでも通じないのなら……彼女は」
杏子「ば、馬鹿言うなッ!!そんなことあってたまるか!!」
マミ「そうね……。でも一刻を争うわ! 急ぎましょう」
そして夜
~病院~
中沢「此処ならアイツらに見つかることもないよ」キョロキョロ
さやか「中沢……あんたなんであの時……」
中沢「僕もたまたまお見舞いに行ったんだ」
中沢「ところがどっこい、着いてみれば修羅場だったわけだ。それにたまたまバールのようなものを持ってたからね」
中沢「まぁ、無事で何よりだ。ただ上条の方はもう……諦めた方がいいよ」
さやか「……」
中沢「あれはもう上条じゃない。……ゾンビだよ」
さやか「そんなわけない!そんな……!だってつい前まで……!」
中沢「とにかく今は此処から逃げることを考えようよ!もう夜だし、いつアイツらが不意を突いてくるか……」
中沢「……」チラッ
ゾンビ「「「あ゛あ゛……」」」ゾロゾロゾロ
中沢「くそっ……廊下はゾンビが彷徨ってるしこのままじゃ動けない」
さやか「うぅ……じゃあどうすればいいのよ……」
中沢「もうここは強行突破するしか方法がないのかもしれない」
さやか「えっ! 正気!?」
さやか「廊下の至る所にアイツらがいるんだよ!?」
中沢「大丈夫。ゾンビは鈍い、これ鉄則。 僕たちが全力で走れば切り抜けられるに違いないよ」
さやか「なんでそう言い切れるの!?」
中沢「まぁ此処で待っていても必ず誰かが助けにきてくれる保証はないし……」
中沢「外のあの様子では尚更だよ……」
中沢「だったらもう自分たちでどうこうするしかないんだよ!」
さやか「中沢……」
さやか「正直さ、あんたのこといつも先生御用達の弄られキャラかと思ってたけど、考えを改めなくちゃね……」
中沢「むふふふふふ」
中沢(こういう時のためにデッドライジングやっといてよかった)
ゾンビ「…」ソォ… クパァ
さやか「!! な、中沢! 後ろぉ!!」
中沢「えっ……」クル
ゾンビ「…」ガブリ
中沢「うぼぁあああああああああああああああ」
さやか「ひぃいい……」タッ
中沢「あぅぅ……ん」
ゾンビ「「「 あ゛あ゛……!」 」」ドドドドド
さやか「追っかけてくる! って普通に走ってるし~!!」タッタタタタタ
ドン
さやか「えっ!!? い、行き止まり!?」
ゾンビ「「「 あ゛ヴぁあああ」 」」クワッ
さやか(お、終わった……そして始まるんだ、新たなゾンビライフが……)ガクッ
壁際に追い込まれたさやかへと大口を開け、涎を滴らせるゾンビが襲いかかろうとした時だった。
突如、ゾンビ達の横合いから幾多の眩かしい光弾が飛んできた。それらは的確にヘッドショットを決めていく。
ゾンビ「「「ぐあ゛あ゛あ゛……」」」
マミ「危ないところだったわね!美樹さん」ガチャン
さやか「うぅ……マ゛ミ゛ざぁ゛ぁ゛あ゛あん!」
マミ「怖かったでしょう……。だけどもう大丈夫よ」ナデナデ
杏子「何度もテレパシーかけてんのに反応しねぇもんだから、てっきり死んじまったのかと思ったぞ」ハァー
QB「きっと彼女は相当追い詰められていたんだよ」
QB「さて、此処から一刻も早く出た方がいいよ。見たところ此処は他よりもゾンビが多く潜んでいるみたいだからね」
QB「それにしても、よくそんなところで生き残れたね、さやか」
さやか「クラスメートが助けてくれたの……」
さやか「でもアイツもゾンビに襲われて……あたし一人になっちゃって……」
さやか「怖かった……!怖かったよぉぉ。暗い中で聞こえてくるゾンビの呻き声が耳から離れられなくてぇ」グスッヒグッ
マミ「美樹さん……悲しむのは後よ。今は此処から出ましょ――――」
マミ「!!」
言葉を紡ぎ終えようとした刹那、マミは何かの気配を感づいた。その気配は
悪寒をもたらすようなそんな類いの……人ならざるもの。
マミ「みんな伏せてッ!!」ガチャ
マミは声を荒げ、周りに注意を促す。マスケット銃の銃口が向く先は――天上。
リッカー「グルルルル……」
長い舌を不敵に躍らせ、露出した脳髄に紅に染められたような体躯の化物。
化物は四足で天上へと張り付いていた。周りの視線がそれへと向けられる前に
マミは引き金を引く。
バシュン
リッカー「アギャロロロロ……!!」シュバ
マミ「躱された!? なんて素早さなの!」
さやか「ひぃいいい!! ああああああれはななな何なのよぉおおお!!??」ガクガクガク
杏子「なんて気持ち悪ぃやつなんだ……!」
QB「まさか、こんなものが地球上に存在しているなんてね。新しい発見だよ」
杏子「テメェ!こういう時に何くだらねぇこと言ってんだよ!!」
リッカー「ヴァギャギャギャギャ!」ドンッドンッドンドンドン
QB「マミ来るよ!!」
マミ「佐倉さん! あれは私が足止めしておくわ!」
杏子「おう! 退路は任せろ!」
杏子「ただ、くれぐれも無茶はしてくれるなよ……!」
さやか「マミさぁあああん!!」
杏子「落ち着け! アイツはそう簡単に死ぬたまじゃねぇよ!」
QB「退路といっても病院内は入り組んでいるよ。そう簡単に上手くいくわk――」
スパーン ガラガラ ドゴーン
杏子「退路は自分で斬り開くもんだろ?」
QB「……まさか地面に穴を開けるなんてね」
QB(ここからがサバイバルホラーの見せ所なのに……)クワエテイタハーブヲオトシ
杏子「後はここから下へと着地すればいいだけの話だ!」ヒョイ
さやか「!? えっ??」オヒメサマダッコサレ
杏子「そぉぉおらっと!!」ピョン
さやか「いやぁあああああああああああ」
杏子「ほいさぁあああ!!」スタン
杏子「よしっ!無事着陸成功だ!」
さやか「」
杏子「おいおい、たかが10階から飛び降りた程度で気失うなよな」
杏子「ところでさ、この部屋はなんなんだ?」キョロキョロ
QB「此処はどうやら診断室みたいだね」
杏子「おい、なんか紙が置いてあるぞ」
QB「診療録だね。一々見る必要は無いとは思うけど」
さやか「待って!それって……」
杏子「目覚めるの早ぇな」
『304号室/上条恭介/○月×日
事故により左腕の指が負傷。
診断の結果、治療不可能と判断。』
さやか「恭介の……」
杏子「なんか裏にも張り紙が付いてるぞ?」
『○月△日 アンブレラ社からいただいた“Tーウィルス”
聞くところによれば代謝促進させる性質があるらしい。
これなら304号室の恭介君の腕もきっと治せることだろう。
しかしこんなわけのわからないものを患者に使うなと院長に怒鳴られた。
それもそうだ。でも私はこのまま諦めたくは無かった。
あの少年の志をこのまま終わらせたくない。
そんな大層な善意が私を突き動かした。
そしてやってしまった。
私は独断で恭介君にT-ウィルスを投与した。
だが結果は良い方向へと進んでくれた。
まるで奇跡や魔法をこの目にしているかのように
投与した即日から回復の予兆が見られ始めた』
『○月□日 私は騙された。
Tーウィルスを投与した恭介君は後に激しい発熱や嘔吐に
伴った。それこそ副作用か何かと思っていたが。
あの男は私を騙した。一体何のためにこれを使うというのか。
私は何も知らない。知らない』
さやか「Tーウィルス?」
杏子「聞いただけでもヤバそうな名前だな」
さやか「じ、じゃあ、恭介はこれを与えられてからおかしくなっちゃったの……?」
QB「可能性は高いね。それにさっきから此処だけやけにゾンビが多いと思っていたけど」
QB「これは仮説なんだけど、恐らく見滝原全土を巻き込んだこの事態の発端はこの病院からだろう」
QB「そしてその日記を覗ってみる限り、T-ウィルスっていうのが恐らくゾンビ化の要因なんだろうね」
QB「それも感染力の強いタイプのね。上条恭介から始まり徐々に見滝原全土へと感染していったんだよ。たった数時間の間でね」
QB「こんなものを生み出す人類はまさにどうかしているよと言いたいところだけれど、僕としては是非ともそれがどういうものか気になるところだ」
杏子「なん……だと」
QB「提供元はアンブレラ社。聞くところによれば国際ガリバー企業で業界No,1の製薬会社として人々に認知されているみたいだ。そんな企業がこんな物騒なものを研究していたなんて誰も思わないだろうね」
杏子「! この気配は!」クル
中沢「……」ユラ
杏子「テメェは……何者だ」ジャキン
さやか「中沢!」
杏子「あん? まさかアンタを助けっつうクラスメートっていうのは」
さやか「そうそう!コイツなんだって」
さやか「もぅー!アイツ等に襲われた時はどうなったのかと心配してたよ」
QB「でも何だか様子がおかしいね」
杏子「……まさか」
杏子「さやかぁぁ!そいつから離れろ!!!」
さやか「えっ?」
中沢「あ゛あ゛」ガバッ
さやか「いっ!!?」ビクン
杏子「させるかぁああああ!!」ブスッ
中沢「あががががががが」ザックリ
さやか「きょきょ杏子!! アンタ何やってん――」
QB「さやか! あれはもうゾンビだよ!!」
さやか「えぇっ!?」
杏子「口蓋を貫いたはずだぜ……。コイツまだ動けるのか!?」
中沢「がががががががががgっががが」ズルズル
杏子「こ、こいつ! 槍を伝ってッ!」
杏子「ち、畜生……離れやがれ!!」グイグイ
中沢「ぎぎぎぎぎぎぎぎ」ヨジヨジ
QB「さやか! このままじゃ杏子が危ない!」
QB「今すぐ僕と契約を! そうすればキミも戦える!」
さやか「で、でも……ええい!今は考えている場合じゃない!!」
さやか「キュゥべえ! あたし契約するよ!」
さやか「あたしの願いは……みんなを元に戻して!!」
QB「……それはできないよ。キミの因果では良くて一人までだ」
さやか「じ、じゃあ……恭すk」
さやか「いや!中沢を元に戻して!!」
QB「契約は成立だ。キミのエントロピーは凌駕した」シュウウウ
中沢「あぅぅぅん」ガクン
杏子「!? 助かった……のか?」
さやか「杏子大丈夫!?」
杏子「あぁ、でもまさかアンタ……」
さやか「うん。あたし契約したんだ、キュゥべえと」
さやか「すぐにでも杏子を助けにはこれしかなくてさ……」
さやか「咄嗟に思いついた願いがこれだったんだ」
さやか「せっかくの願い事だったし、もうちょっと考えておけば良かったけどね」
杏子「……」
QB「でも驚いたよ。キミのことだからてっきり上条恭介を元に戻すと願うと思っていたけれど」
さやか「あたしもよく分からないんだ。でも後悔も迷いもなかった。一体なんでだろうね……」
QB「まぁどちらにせよ、キミの願いでは上条恭介は元に戻すことはできなかったよ」
さやか「えっ」
QB「彼は遅すぎたんだよ。もうキミの叶えられる範囲を超えて彼は彼で無くなってしまったんだ」
さやか「それって……一体どういうことよ!!!」
杏子「!! さやか危ねぇッ!!」ドン
さやか「うわぁッ!」ドサー
リッカー「グロロロロロロロロ」ピョン
杏子「コイツはあん時の!!」
さやか「じゃあマミさんは……」
QB「テレパシーも通じない。これはまずいね」
杏子「さやか!逃げるぞ! アイツの身のこなしは伊達じゃねぇ!」ヒョイ
中沢「」カツガレ
杏子「マミですら勝てなかった相手だ!アタシ達がどうにかできる相手じゃあ――」
さやか「ギリッ……マミさんの仇ッ!!!」ヘンシーン
杏子「おい!それはやめろ!!」
QB「さやか無茶だよ! ついさっき魔法少女になったキミには荷が重すぎる!」
リッカー「……」チロチロ
さやか「はぁあああああああ!!」ジャキン
正面に佇む化物に突っ込んでいくさやか。
剣を前へと突き出し、露出している脳髄目掛けるも
化物はそれを躱し、天井へと張り付く
さやか「ッ!!このぉおお!!」ブンブンブンブン
天上目掛けて幾多の剣を雑破に投げていく。
しかしそれすらも嘲笑うかのように素早い身のこなしで
避けていく。そして――
リッカー「キシャアアアアアア」ガバ
隙を突くように化物はさやかの背後へと回れば
刹那、長い舌を突き出す。
杏子「さ、さやかッ!!」
バシューン!
リッカー「アギャッ」ドサー
マミ「はぁ……はぁ…」ポタポタ
QB「マミィ!!」
杏子「アンタ……その傷は!」
マミ「気をつけて! あの化物は一体だけではないわ!」
あんさやQ「!?」
マミ「まさか二体同時に襲われるなんて思ってもみなかった……」
マミ「あの時はすごく怖かった……もうダメかとすら思ったわ」
マミ「でも此処の人が助けてくれたの」
マミ「血濡れの白衣で身を挺して私を助けてくれた……その甲斐あってこうして無事でいられたの」
リッカー「グロロロロロ」スクゥ
マミ「佐倉さん、前に言ったわよね。一度噛まれてしまってしまったが最後って」
杏子「おい……まさかアンタ!」
マミ「美樹さんを……みんなを頼んだわよ」ジャキン
さやか「マミさんッ!!」
杏子「ちっ……」グイッ
さやか「杏子! まさかあんた、マミさんを見捨てる気なの!?」
杏子「仕方ねぇよ!! それがアイツの覚悟なんだ! 此処で立ち止まってたらみんなお陀仏なんだぞ!!」
杏子「マミはな。アイツは自分を犠牲にしてアタシ達に退路を与えたんだ! それを粗末するわけにはいかねぇんだ」
杏子「アンタが強情張ってもアタシが無理矢理引っ張り出してやるよ!!」グイー
さやか「は、離せぇえええ!!」ジタバタ
さやか「ま、マミさぁぁああん!!!」
マミ「行ったわね……」チラッ
マミ「私だって本当はこんなところで死にたくないもの……」
マミ「でもゾンビになるのはもっと嫌」
マミ「もう……こうするしかないのよ」
マミ「……」カチャリ
マミ「こんなことは誰にも言えるはずもない。だからこの弱みもこれで最期……」
ゾンビに囲まれる最中で砲台を顕現させた
マミは照準を化物へと向ければついに覚悟を決める。
しかし――
ゾンビ「グォオオオオオ」ガシッ
マミ「しまっ……!つかまって……!!」
ゾンビ「「「ゾロゾロゾロゾロ」」」ガシッガシッガシッ
マミ「そんなぁ……せめて、せめて!あれだけでも……!!」
ゾンビ「「「「……」」」」グチャグチャグチャ
マミ「い、いやぁあああああああああああああああああああ――」
グチャクチャグチャ…
ベチャクチャ
アーアー
一方……
リッカー「グルルルル……」ジロ
杏子「くそッ! もう一体に見つかっちまったッ!!」
杏子「でもこの状態じゃ戦えねぇ……」
中沢「」
リッカー「キシャアア」シュバ
さやか「てやぁあああああ」ノウテンザックリ
リッカー「アギァアア」オオアバレ
さやか「ぜぇ…化物めぇ……はぁ……はぁ……死ね、死んじまえぇええええ!!」
脳天に刃が突き刺さり足掻く化物に止めをささんと
さやかは二刀流で化物を滅多刺しにしていく。
彼女を渦巻くのは怒りと悲しみ。その全てをぶつけんと
眼前の肉塊を延々と突き刺していく。
リッカー「」
さやか「ぜぇ……はぁ……」ザックザックザックザックザックザックザックザックザックザックザック
杏子「お、おい!もういいさやか! そいつはもう死んでる!」
さやか「ふぅ!ふぅ……!!」ギリギリ
杏子「その気持ちは痛いほど分かる! だが今はとにかく逃げろ!」
杏子「生きて……ほむら達と合流するんだ」
――――――
――――
――
リッカー「ざ……や゛……」
~避難所~
ザワザワザワザワザワ
コワカッタヨー
ココナラダイジョウブダ
ケイサツガキットナントカシテクレルサ
まどか「杏子ちゃん!さやかちゃん!そして中沢君まで!?」
ほむら「さやか、無事だったのね」
杏子「まぁ、その過程でいろいろと醜い目にあったけどな……」
さやか「……」
杏子「あのボウヤは即席診療所に預けてきた。ただ……」
ほむら「まさか……」
まどか「えっ?えっ!?」
さやか「まどか。マミさんね、あたし達を逃がすために一人で病院に残ったんだ……」
まどか「!!」
QB「恐らくあの状況では魔法少女とはいえ生き残れる保証はない」
QB「もう彼女は死んだと思った方が賢明だね」
まどか「そ……そんなっ!ま、マミさんが……」
杏子「テメェ!そんな言い方はねぇだろう!」
QB「そう言われてもね。ボクは有りの侭のことを伝えたまでだよ」
QB「いずれにしろこれをひた隠しにはできないだろうしね」
アヴァアアアアア
キャアアアアーカンジャガアバレタァアア
オジイチャアアアアアン
ほむら「!!」
杏子「何の騒ぎだ!?」
QB「どうやら此処に避難していた一人が既にTーウィルスに感染していたらしいね」
まどか「てぃーうぃるす……?」
QB「人間をゾンビに変えちゃうウィルスだよ。感染経路様々でね」
QB「主に経口感染や血液感染によって人から人へと移っていくわけだ」
QB「つまりゾンビに噛まれたら終わりさ」
まどか「そ、そそんな恐ろしいものがあるの!!?」
ギャアアアア
カマレタアアアア
オソッテクルウウウウ
ほむら「とにかく此処はもう危ないわ。逃げるわよ」
さやか「に、逃げるって一体どうやって……」
詢子「そ こ で 」
知久「僕達の出番というわけだ」
タツヤ「はぁーい」
~見滝原市内~
ブロロロロロロロー
知久「こういう時のために車の免許取っておいてよかったよ」
詢子「まぁ、ペードラだけどなー」
まどか「でもいいのかな。停めてあった車を盗っちゃって……」
詢子「まどか、こういう時はいいんだよ。 第一、カギを締め忘れた奴が悪いのさ」
詢子「本当に他にどうしようも無いことになったらさ、一層ね、思い切り間違えちゃうのも手なんだよ」
まどか「そ、そうなのかな……」
詢子「そうだぞー。だから大人になる前に間違え方もちゃんと勉強しときなって」
知久「さて、このまま道なりに進んで隣町の風見野まで逃げ込めれば何とかなるだろうね……」
詢子「そうだと良いんだけどなぁ……」
ゾンビ「あ゛あ゛……」ゾロゾロ
知久「みんな、少し掴まっといてね」アクセルヲギュー
ブロロロロロロ
ドンッ
ゾンビ「アバラァアアアア」
知久「いやぁーやってしまったね。これは轢き逃げだよ」ハハハハ
詢子「心配すんな。あれは人じゃねーから」
さやか「パパさん、ワイルドだね……」
まどか(こんなパパ初めて見たよ……)
ほむら(流石はまどかのお父様だわ……!)
杏子「人は見かけによらねぇな……」
タツヤ「なーかざーわ」ツンツン
中沢「うーん……」
知久「さて、もう少ししたら風見野だよ」
詢子「!? おい!前に何かいるぞ!?」
ネメシス「……」
まどか「な、何なのあれは!!?」
知久「詢子……アレは」
詢子「あぁ……恐らくな」
知久「みんな、少し揺れるからしっかりとシートベルトしているんだよ?」
ネメシス『ターゲット補足。危険度――S 迎撃許可』
ネメシス「グォオオオオオオオオ」ガチャ
詢子「来るぞ!!」
知久「ッ!!」ハンドルマワシ
キー ギュルギュルギュル
ネメシスが放ったロケットランチャーの弾頭が迫る最中で
知久は持ちうるドライビングテクニックを活かしドリフト走行でそれを避ける。
そして曲がった方向へとそのまま車を走らせる。
杏子「あれは一体なんなんだ!!? 普通のゾンビと全然違うじゃねぇか!」
詢子「アレは特別なんだよ。云ってしまえば賢い強化ゾンビみたいなもんさ」
詢子「アレは人によって完全制御できる代物だ。でもなぜこんなところに……」
さやか「じゃあアレは誰かによって操作されてるってこと!?」
ほむら「ということは私達は何者かに狙われているってことかしら」
まどか「ええっ!!」
杏子「マジかよ……ただでさえゾンビで手が負えねぇってんのに」
さやか「っていうか、なんでママさんがそんなこと知っているんですか!?」
詢子「言ってなかったっけ?アタシの勤務先がアンブレラ社だってこと」
エエエー!!
さやか「初知りっすよ……」
まどか「わ、私は知ってたよ! お薬作ってる会社なんだよね!」
詢子「まぁな……」
ほむら「でもそんな会社がアレと一体何の関係が……」
詢子「製薬会社は表向きの顔さ。その実態は生物兵器の開発なんだ」
詢子「アタシは表向きの人事部だったんだが、あの会社の裏を知ってしまったのはつい最近でね」
詢子「それこそ実態を知った時はこんな会社辞めてやろうと思ったね」
詢子「でも時すでに遅しってやつだ。あんな超絶ブラック企業なんて聞いてねーぞ!!」
詢子「あの金髪オールバックのグラサン野郎ッ!!常に我が物顔で社内をほっつき回りやがって!!」
詢子「それにこんな事態になるなんて思ってもみなかった……」
知久「でもこれがアンブレラ社によるものだったら意図が掴めないね」
詢子「いや、どうせ実験ってところなんだろ」
詢子「ただ気掛かりなのは何故よりによって見滝原なのか……だ」
詢子「よぉーし!無事に風見野に着いた暁には証拠と証言を持ち帰ってアンブレラ社潰してやっからな!!」
知久「でも証拠あるの?」
詢子「あっ……ねぇわ」
杏子「証拠になるかどうか分からねぇけど……」つ(診療録)
知久「こ、これは!キミ一体どこでこれを!?」
杏子「病院に行った時に取ってきたんだよ」
詢子「ふむふむ……つまりアンブレラは病院を通じてT-ウィルスを広めたってことか」
詢子「何て狡い真似してやがるんだ。こんなの絶対あってたまるか!!」
詢子「こうしちゃいられない!! 一刻も早く風見野へ急ぐぞ!!」
知久「合点承知だよ」
ラジオ『ザザ――……ザ……現時刻にて日本政府の意向により見滝原市内全域を強制封鎖することが決定されました』
ラジオ『なお既に市内を囲むように陸上自衛隊より大型バリケードを建設中とのことです』
一同「「「!!?」」」
詢子「おい、冗談じゃねぇぞ!! 市内にはまだ生存者がいるだろうが!!」
さやか「そ、そんなぁ!」
ほむら「恐らく感染者を国内に撒き散らさないための苦肉の策なのでしょうね」
まどか「じ、じゃあ私達……閉じ込められたっていうの!?」
詢子「まだ決定されたばかりだ。今から突っ込めばまだ間に合うかもしれねぇ!」
知久「飛ばすよ」
ブロロロロロロ
風見野へ続く道路へと右折しようとした時だった。
ネメシス「……」ヌッ
知久「!!」
ネメシス「マギカァアアアア」ガチャ
バシューン
詢子「おい!危n―――」
ネメシスから放たれた弾頭は直撃こそしなかったものの
車体を大きく転倒させるには十分な衝撃を与えた。
車はバランスを崩し火花を横転し、撒き散らしながら
引き摺られれば、やがて静止する。
まどか「み、みんな大丈夫!!?」
ほむら「え、ええっ……何とか」
杏子「右に同じく」
さやか「シートベルトしてなきゃ即死だった……」
中沢「あうぅううう……こ、此処は?」
QB「」ベチャア
まどか「パパとママは!!?」キョロキョロ
知久「」
まどか「!!」
まどか「パ、パパァアアアアアアアアアアアアア!!」
ほむら「まさか……お父様が」
タツヤ「ママァー!!ママァー!!」
詢子「うぐっ……アタシももう駄目かもしれないね……」
まどか「! ママッ!!」
詢子「まどか……よく聞け」
詢子「たとえパパやママがいなくなっても……!」
詢子「アンタは一人じゃないんだ。ちょっと早いけれど……親離れの時が来たんだよ」
詢子「それにタツヤを任せられるのはまどか、アンタだ……」
詢子「まどか……アンタはいい子に育ったよ。嘘もつかない悪いこともしない。いつだって正しくあろうと頑張ってる」
詢子「子供としてはもう合格だ」
詢子「最後の最後でこんなことしか言えないけどさ……アンタには強く生き抜いててほしいんだ」
まどか「まるでこれが最期みたいなこと言わないでよぉ……ママ」グスッ
詢子「……そうだよな、アタシだって湿っぽいのは大嫌いさ……」
詢子「ゴメンな。タツヤを……頼ん……だ」
まどか「ママァッ……!!」
ネメシス「グォオオオオ……」ドスドスドスドス
さやか「アイツ、こっちに来るよ!!」ヘンシーン
杏子「ちっ!! やるしかねぇ!!」ヘンシーン
ほむら「さやか!? あなたいつの間に魔法少女に……」
さやか「ちょっといろいろあってね……こうするしかなかったんだ」
ほむら「……」
ほむら「今更どうこう言っても仕方がないわ……」ヘンシーン
ネメシス「マギカァアアア」ガコン スゥ ガチャリ
ネメシスは担いでいたロケットランチャーを放り投げれば
今度はガトリングガンを構え始め――
杏子「おい!こいつぁヤベェぞ!!!」
ネメシス「グォオオオオオオ」ドガガガガガガガガガガガガガガ
ほむら「ッ……」カチャ
カチッ
楯を傾け時間停止をするほむら。
ネメシスが持つ銃火器から放たれた無数の弾丸が宙に静止した。
そして楯から取り出したのは重厚なガトリングガン。
それを静止している幾多の弾丸に向かって連射する。
的確に弾と弾が重なり、一直線上の弾道を妨げるように置かれる。
カチッ
時間停止を解除したその刹那。弾と弾とがぶつかり合い火花を散らす。
本来、彼女達へと向けられた弾丸はほむらが放った弾丸によって相殺され、
ことごとく外野へと弾かれていった。
さやか「!? 一体何が起こってるの!?」
杏子「アンタがやってくれたのか」
ほむら「……」
キャアアアアアア
あんさやほむ「!!」
さやか「この声は!」
ほむら「まどかぁ!!」
ゾンビ「「「あ゛あ゛……」」」ザワザワザワザワ
中沢「ひぃいいいいいいい!こんなに囲まれてしまった!」
タツヤ「パーリィー!パーリィー!」
まどか「こんなのってないよ!あんまりだよ……」
さやか「あたしが助けに……!」シュバ
ゾンビ「オオオオオオ」ガブリ
さやか「あぐっ……!か、噛まれた……」
杏子「さやかぁあああああ!!」
ほむら「さやか!!」
ネメシス「オオオオオオオオ」ガシッ
不意を突き、急速接近してきたネメシスは
ほむらの肩部へと掴みかかれば、片手で
彼女の身体を持ち上げていく。
中沢「ひぃいいいいいいい!こんなに囲まれてしまった!」
タツヤ「パーリィー!パーリィー!」
まどか「こんなのってないよ!あんまりだよ……」
さやか「あたしが助けに……!」シュバ
ゾンビ「オオオオオオ」ガブリ
さやか「あぐっ……!か、噛まれた……」
杏子「さやかぁあああああ!!」
ほむら「さやか!!」
ネメシス「オオオオオオオオ」ガシッ
不意を突き急速接近してきたネメシスは
ほむらの肩部へと掴みかかれば、片手で
彼女の身体を持ち上げていく。
ほむら「うぐっ……」
杏子「ほむらぁ!!ちっくしょう!! 離しやがれぇええ!」ザックリ
ネメシス「……」
杏子「き、効いてねぇ……!!」
ゾンビ「「「あ゛あ゛あ゛」」」ユラリユラリユラリ
まど中「あわわわわわわわわわ」
「I have this!」 BANG BANG BANG BANG
ゾンビ「「「グアアアアアア」」」バタバタバタ
バリー「大丈夫か!?」
>>76はミスですorz
ネメシス「……スタァアアズ」パッ
ほむら「ぁう……」
杏子「な、なんだ?急にアイツ外方を向きやがったぞ」
ジル「みんな、下がって……」ガチャ ガコン
バシューン
ネメシス「……!」
ドゴーン
ほむら「! あ、あなたは一体……」
ジル「ただの外国人旅行者よ。ちょっと訳ありのね」
ジル「バリー、そっちの方は大丈夫なの?」
バリー「大丈夫だ。問題ない」ヘッドバッド
ゾンビ「アギャアアア」クリティカル
バリー「キミ達は今のうちに車に乗ってなッ!」BANG BANG BANG
中沢「あ、は……はい! 行くよ、たっくん」
タツヤ「まろかぁー」グイグイ
まどか「そうだよね、このまま悲しんでても仕方ないよね……」
まどか「ママ、パパ……いってきます」タッ
ジル「貴女達も早く!」
さやか「あああああああああああッ!!噛まれたぁあああ!!」
杏子「さやか!落ち着け!!今はとにかく逃げるぞ」
さやか「嫌だぁあああああああ!ゾンビになるなんてぇえええええ」
杏子「気をしっかりしろ!!」
ほむら「杏子手伝って。無理矢理彼女を引っ張るわよ」グイッ
杏子「言われなくたって……!!」グイッ
さやか「あああああああああああああああああああああ」ジタバタ
ネメシス「スタアアアアズ」ガチャ
ジル「バリー!あの子達は任せたわ!! アイツは私が引き付ける!」スチャ
バリー「おうよ。くれぐれも無茶ばかりはしてくれるなよ?」ヒョイ バタン ブロロロロロロロ
バリー「さぁ、かっ飛ばすぜ。しっかり掴まってな」GO!
数分後
~見滝原駅前~
バリー「もう一度言っておくが、あとほんの数分で隣町行きの電車が到着する」
バリー「俺達が手配しておいた。だからもう安心するといい」
バリー「それにキミ達は証言者として生き残ってもらわんとな!」
ほむら「この事態の黒幕がアンブレラ社であるということを立証すればいいのね」
バリー「そういうことだ。さて、俺は大事なパートナーを迎えに行かんとな」
バリー「じゃあ、またな」ブロロロロロ
~電車~
ガッタンゴットンガッタンゴットン
杏子「さやか、よかったな……。まさかあのおっさん、ワクチン持ってたなんてな」
さやか「……」
まどか「あの人達って一体……」
QB「全く……ボクまでどうしてこんな目に合わなければならないんだい」ヒョコ
さやか「キュゥべえ……生きてたの」
QB「ワクチンがあったなんて知らなかったけど、ぶっちゃけ君達はワクチンなんか無くても感染することはなかったけどね」
「「「!?」」」
さやか「それって……一体どういうことよ!!」
QB「だって君達の本体はそのソウルジェムなんだからね。抜け殻にウィルスを流し込まれようが意味がないよ」
QB「いいかい? 君達、魔法少女にとって元の身体なんて外付けのハードウェアでしかないんだよ」
QB「僕の役目はね。君達の魂を抜き取ってソウルジェムに変える事なのさ」
杏子「ふ、ふっざけんじゃねぇ!!それじゃあアタシたちはゾンビにされたようなもんじゃねぇか!!!」
ほむら「……」
さやか「なんで……! もっと早く教えてくれなかったの!!」
QB「訊かれなかったからさ」
QB「まぁ返って好都合じゃないか。おかげで君達はゾンビならずに済んだ」
QB「あっ……もうゾンビだから手遅れか」
QB「さて、そんなことよりも……まどか。ここでこそ契約する時なんじゃないかな」
QB「君ならこの事態を全て丸く収められるよ!」
QB「さぁ!僕と契約してゾンb――――」ブチュ
さやか「……」シャキン
まどか「さ、さやかちゃん……?」
さやか「そうなんだ……もう手遅れだったんだね」
杏子「お、おい……気を確かにしろ!」
さやか「……じゃあ。あたしもとっくにアイツらの同類だったんだぁ……」
ほむら「いえ、違うわ。アイツらは自我を持たない。でも貴女は……!」
さやか「もういいんだよ……。私さぁ、そろそろ疲れたんだよねぇ……」
さやか「恭介もマミさんも失って……。その上でこの先ゾンビとして生きたくなんかない」
さやか「だ か ら さ ぁ ……」ヘンシーン
まどか「ひっ!さ、さやかちゃぁぁん……!」
さやか「ふ……ふふふふふ……アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
さやか「みんなでさぁ……もう堕ちちゃおうよぉ」ジャキン
ほむら「!!?」
杏子「さやか!!気でも違ったかッ!!?」
中沢「???」アワワワワワ
タツヤ「さあか……こあいよぉ……」
ガタンゴトンガタンゴトン
車窓から漏れる都市の光だけが暗い車内を仄かに照らす。
そんな光と影のコントラストが一層、さやかの狂気を彩っていく。
ほむら「こんなことしている場合じゃないでしょう……!」
さやか「なぁに善人ぶちゃってんのさぁ転校生ぇ……。あんたももう立派なゾンビなんだからさぁ……」
さやか「ゾンビらしくしなよぉ……くっふふふふふふふふふふはははははははははは」ユラユラ
ほむら「さやか!貴女は一体どこまで愚かなの!!」
杏子「もうアイツは聞く耳持たねぇよ。アイツ……殺る気だぞ」ヘンシーン
ほむら「杏子!?」
杏子「だったらもうやることは一つだろ。ただ気が引けるってんならアタシ一人でやる」キッ
さやか「きょうこ? いいねぇ……その眼。身体中が疼くわぁ……」
さやか「らしくなってきたじゃん。お互い腐れ者同士さぁ……汚し合おうよ……」
杏子「顔を紅潮させて何に興奮してんだか……。こりゃあ本格的にイっちゃてんなぁ」
杏子「仕方ねぇ……この車両は頂いていくよ」スパーン
ほむら「!!」
ガコン キィィィィィー
ほむら「杏子……!貴女なんてことを!!」
杏子「すまねぇな。どうやらアタシの帰る場所はそこじゃねぇようだ」
杏子「さやかはアタシが引き受ける。いきな、アンタがまどか達を守るんだ」
まどか「杏子ちゃぁん!!」
さやか「面白くなってきたね。実はアンタとは一度戦ってみたかったんだぁ……」
杏子「ふん、トーシロが。なぁに勝手に思い上がちゃってんのさぁ」
杏子「アタシと張り合うなんざぁ……数年早ぇんだよ!!」ジャラジャラジャラ ジャキン
さやか「ッ!!」ガキン
杏子「ほらほぉら!どうした!?押されてんぞぉ?」
さやか「ぐっ……!!」ザシュン
杏子「ハッ!脇腹を抉ってやったぜぇ? 本当にゾンビってんならそれくらいどうってことねぇよなぁ?」
さやか「ふっ……ふふふふふふふふふふふ」ポワワン
杏子(か、回復しやがったか……それも尋常じゃねぇ回復速度だ)
杏子「だったら、とことん痛めつけてやるまでだ!!全治3ヶ月は覚悟しな!!」ツキツキツキツキ
さやか「あぐっ!……ふぅ!……」ザシュン ブシャー
杏子(どういうことだ!? 此処まで傷をつけてもアイツ怯まねぇ……!)
さやか「不思議だねぇ……だんだん痛みが気持ちよくなってきちゃった」ハァハァ
杏子(くっ……!コイツ)
ゾンビ「「「あ゛あ゛あ゛」」」バリン ドドドドド
杏子(!! 窓から入ってきやがった!)
さやか「あはははぁ♪ 友達沢山来たね……」
杏子「おい! アイツ等とアンタを一緒にするんじゃねぇ!!」
杏子「アイツ等は見境なく人を襲う化物だ!! でもアンタは違うだろ!!」
さやか「間違ってなんかいないよぉ……♪ あたしも立派な化物だよ?それにあんたもさ」
さやか「だぁって、こんなことしたってさぁ……」スゥ
さやかは手にしていた剣の柄を持ち替え、その刃の鋒を自分の腹部へと向ければ
思いっきりそれを突き刺す。
ザシュ
さやか「あはっ♪ぜぇーんぜぇん痛くもなんとも無いんだからさぁああああああ」
さやか「痛くなーい!!痛くなーい!!全然痛くなんかないわぁああああああ」ポロポロ
見開いた眼から滴り落ちる涙。それだけが彼女の本心を物語らせていた。
ゾンビ「「「あ゛あ゛あ゛」」」ガシッガシッガシッ
さやか「みんなお腹空いちゃったんだね……」
さやか「いいよ……食べなよ、あたしをさ」
杏子「おい!! テメェ何バカなことを言ってやがる!!!」
杏子「そいつらはお前を餌としか見てぇねぇんだよ!」
杏子「くそっ!!どけぇえええええええええええ!!」ジャキンジャキン
さやか(あぁ……なんて詰まらない最期なんだろう……)
ゾンビ「「「あ゛あ゛あ゛」」」ガツガツガツガツ
さやか(痛みが無い……でも何かが消えていってる。自分でも……気が……つかないうち……に……)
ゾンビ「「「あ゛あ゛あ゛」」」バリバリボリボリグチャグチャ パキーン
さやか「」
杏子「さやかぁああああああああああああああああああああ」
ゾンビ「「「オオオオオオ」」」ガシッ ガブリガブリ
杏子「くっ!!は、離せェええええええええええ!!!」
杏子「ちくしょう……。こ……こんなのって……あんまり……だ」
少女を覆う無数の化物は彼女の一声を掻き消していくように呻き声をあげ
眼前の餌を貪り始める。それでも微かに発せられる少女の声はやがて枯れていき――
~電車(風見野行き)~
ガッタンゴットン ガッタンゴットン
まどか「……」
ほむら「……」
タツヤ「まろかー?ほむぅー?」
中沢「たっくん。僕とにらめっこしようねー」
タツヤ「あーい」
ニラメッコシマショー
まどか「さやかちゃん……杏子ちゃん……」
ほむら「……」
ほむら「まどか。アイツと契約しましょう」
まどか「えっ……」
ほむら「貴女はいろいろ大切なものを失いすぎたわ」
ほむら「今こうして落ち着いているように見えるけど、貴女のその潤いの絶えない瞳は偽りきれないわ」
まどか「……」
ほむら「もう……耐え切れないのなら素直に泣いてもいいのよ」
まどか「うぅ……ひぐっ……ほむらちゃ……」グスッ
まどか「うわぁあああああああああああああああああん」
ほむら「……」
ほむら(今までまどかをアイツと契約させないようにしてきた私が逆に契約を勧めるなんて皮肉なものよね)
ほむら(少し前から確信していたわ……もうこの時間軸に私の望む世界は無い)
ほむら(ここでまどかを契約させなくても……何れまどかの心の傷を漬け込んでアイツが契約を迫ってくる)
ほむら(もう諦めるしかない……。次こそは絶対に貴女を救ってみせる)
数分後
~風見野~
兵隊「まさか生存者がいたなんてね……」
兵隊2「それも年頃の女の子と男の子ときたもんだ」
兵隊1「まぁ何はともあれ無事でよかったよ」
兵隊3「ところで黒髪の女の子を見かけなかったか?」
兵隊1「えっ? さっきまでキャンプにいたはずじゃあ……」
――――――
――――
――
~見滝原展望台~
???「Tーウィルスの実験成果は上々だな」
アンブレラ社員「はい、でも何故、此処にしたんですか?」
ウェスカー「上からの意向だ。とにかくキミはそのままTーウィルスの実験成果を本社に届けたまえ」
ウェスカー「私は野暮用を片付けてから帰還する」
アンブレラ社員「ハッ!了解致しました」
ウェスカー「……」
ウェスカー(フン、アンブレラもそろそろ潮時だな)
ウェスカー(そもそもこれはアンブレラの仕業ですらない)
ウェスカー(Tーウィルスの実験は建前だ。俺の本当の狙いはこれじゃあない)
ウェスカー(アンブレラ社は文字通り、濡れ衣ならぬ濡れ傘を被ってもらおう)
ウェスカー「さて、サンプルも無事に手に入れたところで……いよいよお披露目といこうじゃないか」チラ
ほむら「……」
ウェスカー「初めまして」
ほむら「全ての元凶は……あなただったのね」
ウェスカー「君達の活躍は監視させてもらった。にわかにはとても信じ難い光景だったよ」
ウェスカー「瞬間移動、変身、武器生成、そして超人的な身体能力……まるで魔の所業だ」
ウェスカー「だが、これは利用価値がある。だから私はキミ達の存在をあぶりだしたかったのだ」
ほむら「そのために色んな人を巻き込んでこんな回りくどいやり方を……!!」
ウェスカー「必要な犠牲だ。人類が次なる段階に前進するためのな」
ほむら「一体……いつから私達の存在を知っていたの」
ウェスカー「数週間前にこの地でおかしな遺体を見つけてね」
ウェスカー「遺体にしては実に綺麗な状態だった。不自然な程にね。しかも医療機関でも外的内的な原因を特定できなかったそうだ」
ウェスカー「それがやがてアンブレラに転がり込んで研究者共が寄ってたかって研究した」
ウェスカー「だが結局それを解明することはできず迷宮入りとなった」
ウェスカー「私もほんの弾みだった。尤もそんなものには興味が無かったが社内での信用が欲しくてね。腕利きの親友に頼んで見てもらったのだ」
ウェスカー「そしてその謎のエネルギーで構成された宝石の存在まで導くことができたわけだ」
ほむら「ッ……」
ウェスカー「それから見滝原に着目して凡ゆる側面から調べ尽くせば、猟奇事件や集団自殺や妙な衣装の少女達だの妙な事例が浮かび上がってきた」
ウェスカー「オカルトなど信用しない質だが、実に興味深いものが窺えたよ」
ウェスカー「安心したまえ。この事実を知っている人間はもはや私だけだ」
ほむら「つまりあなたを殺せば全てが丸く収まるわけね」ガチャ
ウェスカー「一丁前に武器を構えるか。だが死ぬ前に少し訊ねよう」
ウェスカー「何故此処を突き止めた?」
ほむら「ある人がこっそり教えてくれたの」
ウェスカー「成程。だが君が此処へ来る動機が見えんな」
ほむら「ケジメよ……私達の平和を乱した根源を叩き潰しにね」
ウェスカー「その年で随分と肝が据わっているな」
ウェスカー「だが、さよならだ」ガチャ
ほむら「あなたがね」ガチャリ
カチッ
ほむら「相手が悪すぎたわね……」
ほむら「あれだけのことを知っていながら、魔法少女を敵に回せば一体どうなるか火を見るよりも明らかなのに」
ほむら「あなたは大馬鹿よ……」ガチャ バシューン
カチッ
静止した弾丸がやがて動き出す。弾丸は一直線上にウェスカーの眉間を射貫いた。
バァン
『○月△□日 見滝原市内で起こった生物災害(バイオハザード)は
突如発生したスーパーセルによって事態が収められた。
それにより見滝原市内は半壊。
生存者の証言や証拠から当事件に関与したとされている
国際製薬企業アンブレラ社の株価大暴落。
そして現時点で確認できた生存者は――――。』
ほむら「私の戦場はここじゃない……」
ほむら「まどか……次こそは必ず貴女を救ってみせる」
カチッ
ギュイイイイイイイン
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E N D
まさかキリよく終わるとは思わなかったでござる。
なんか歪めない終わり方になりましたがこれにて完結いたします。
ぶっちゃけ、同時系列で外伝を作ろうという前提で作ったため
キャラの最期がハッキリしない形になりましたが、もうこれで目処をつけよう、うん。
拙い文でしたが拝読ありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
変に格好付けようとした文章が果てしなくダサすぎて萎えた
この時間軸のまどかは結局契約してしまうんだろな…
自分的に、このSSの構成は良かったと思うよ
なんだか、凄い不完全燃焼感……
伏線とかが生かせてなくてとても悲しい。