三船美優「机の下で」 (71)
美優「おはようございます」ガチャ
・・・。
美優「(……誰もいないのね。他のアイドルはともかく、ちひろさんまでも)」ポスン
美優「(こうして見渡すと事務所が広く、寂しく感じるわ。いつもは他の子達がいて賑やかで、そしてあの人がいて……)」
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美優「(……あ、これプロデューサーさんのペンかしら。
――きっと落としていったのに気付かずに、出かけて行ってしまったのね。机の上に置いておけばいいかしら)」
美優「(プロデューサーさんの机。ちょっと汚れてるわね……)」
・ ・ ・
キュ……キュッ
美優「……これで、よし。あの人喜んでくれるかしら。それとも、急に綺麗になったら、気味悪く思っちゃうかな……?」
美優「……」
美優「(そう言えば、いつもこの下に……輝子ちゃんや乃々ちゃんが隠れていたわね……)」
美優「(輝子ちゃんはともかく、乃々ちゃんもここに隠れているあたり……ここってそんなに居心地が良いのかしら)」
美優「……」
美優さんが机の下にいるだけで
脱がざるをえない
んっ……んんっ……
美優「……ふぅ」
美優「(誰もいないから……って、思わず入っちゃったけど)」
美優「(さすがに私の身体には……窮屈だったかしら)」
美優「(……それにしても、輝子ちゃんはいつもこんな所でキノコを育てていたのね)」
美優「(……輝子ちゃんの気持ちになるですよ……)」
美優「……キノコーキノコーすこやかキノコー♪ フヒッ……」ボソッ
美優「……」
美優「(……やだ……自分でも分かるくらい……顔が熱い……っ)」カアア…
美優「(ちなみに輝子ちゃんがここで育てていたキノコは……全て菲菲ちゃんが美味しく料理しました)」
美優「(……でも、輝子ちゃんも乃々ちゃんも、ここに入りたがるのが分かってきた気がするなぁ)」
美優「……」スンスン
美優「(この中……仄かにあの人の匂いがする。ここにいると、あの人が近くにいるような気になるのね)」
美優「……凄く落ち着く……まるでPさんに包まれてるみたい」ウトウト
美優「……」コク…
…
ガチャ
美優「!!」ビクッ
\ゴンッ/
美優「あぅっ」
莉嘉「たっだいまー☆って、あれPくんいないの?」
梨沙「ちひろもいないわね」
美優「(あ、私ったら何時の間にか寝て……)」
『鍵もかけずに不用心ね』
『それじゃ、誰かオトナが来るまで、アタシたちで留守番してよっか☆』
美優「(この声は莉嘉ちゃんに、梨沙ちゃん…)」
美優「(どうしよう……出るに出られない……)」
『ちょっとお腹すいたなー。今日のお仕事、結構踊ったからかな』
『だったら、プリンでも食べる?』
美優「(こんな状態で出たら……引かれちゃうよね……)」
『え、マジ?!』
『今朝来た時に、冷蔵庫に入れといたの。ちょうど二個あるから、一緒に食べましょ』
『リサリサ太っ腹~☆』
美優「(お願い……少しの間で良いから……二人とも席を外してくれないかしら)」
『何てったってアタシのパパのおススメだからね、きっと美味しいに決まってるわ』
『じゃあ、アタシが持ってくるね!』タタタ
美優「(えっ? ……あっ、こっちに来ちゃうの……? ダメ、ばれちゃう……っ)」
『プリン☆プリン~♪』タタタ
『ハシャいじゃって、莉嘉ったら子供ねーっ』
美優「(……っ!)」ドキドキドキ
『えーリサリサだって子どもじゃーん』ガチャ
『アタシはもうカラダもココロもリッパなオトナなのー』
美優「(……良かった、気付かれなかっ――)」ホッ
『あれ!!!』
美優「!!!!」ビクン
『リサリサ、ちょっとこっち来て!』
『えー何、どうしたの?』タタタ
美優「(もしかして……あああ…梨沙ちゃんまで…来ないでえええ……)」ガクガク……
『なっ、無い……!? パパおススメの……マハカラのプリンがっ!!』プルプル……
『でしょ? 冷蔵庫の中の……どこにも無いよ!』
美優「(……まだバレてないのね)」ホッ
『リサリサ、本当に冷蔵庫に入れたの?』
『もちろん!! あんな貴重なモノ、そこらへんに置いとかないわよ
――と言いたいとこだけど、考えてみたら朝はちょっと急いでいたから……確証はないわ』
美優「(でも、このままじゃいずれバレちゃう……その前に何とかしないと!)」
『じゃあ、事務所の中手分けして探そうよ』
『良いわ。まだ誰も来てないみたいだし。こーなったら、徹底的に探そうじゃないの!』
美優「(早速ピンチ来た!)」
『テーブルの下とか』
『ダメ、何もないわ。そっちはどう?』
美優「(……こうなったら見つかるのも時間の問題ね。だったら、覚悟を決めるしかないのかしら)」
『んーダメ、キノコしかないや』
『そっかー……って何故キノコがッッ?!』
美優「(……そう、覚悟を決めるのよ美優。見つかって恥をかくくらいなら、いっそ自分から――)」スッ
???『まだ諦めてはいけない……せっかく手に入れた幸せを……自ら捨てるような真似はすべきではない』ボソ
美優「!?(だ、誰?!)」
???『チャンスはいずれ来るわ……それまで……もうしばらくの辛抱よ』
美優「(……もしかして、隣の……隣の机の下から?)」
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三船美優(26)
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星輝子(15)
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森久保乃々(14)
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楊菲菲(15)
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菲菲特製炒飯
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城ヶ崎莉嘉(12)
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的場梨沙(12)
美優「(一体誰が……)」
『た、ただいま戻りましたーっ!』ガチャ
美優「(あの声は、ちひろさん?)」
莉嘉「ちっひーお帰りー!!」
梨沙「どこ行っていたのよアンタ、鍵も掛かってなかったわよ?」
ちひろ「あっ梨沙ちゃん……それは……その」
莉嘉「あー! ちっひーの手に提げてる袋って…中目黒のお店の!」
梨沙「……パパのおススメプリン! どうしてちひろがそれを……まさか!」
ちひろ「もしかして、梨沙ちゃんのだったの? ――ごめんなさい。とっても美味しそうだったから、つい!」
『それで代わりのプリンを買いに出かけてたんだね』
『本当にごめんなさい!』
美優「(どうやら、ちひろさんが犯人だったみたいね)」
『いいわよ、パパのおススメスイーツだもの、食べたくなるのも無理ないわよ』
『それじゃ……今度こそプリンちゃんとご対面……』
美優「(後はどうやってここから出るか……)」
『あれ、プリン一個しか入ってないよ?』
『ちひろ、二個食べたんじゃないの?』
美優「(あれ?)」
『え、私は一個しか食べてませんけど?』
『冷蔵庫には一個も入ってなかったのよ!』
『えーっ、そんな?!』
美優「(一体誰が……)」
???「どうやら私も年貢の納め時のようね」スッ
美優「!」
高峯のあ「梨沙……そのプリンを食べたのは……私よ」\ニュウウウッ/
美優・梨沙・莉嘉・ちひろ「きゃああああああっ?!!!」
美優『(はっ!)』ムグッ
のあ「ちひろ、安心なさい。
私もマハカラの甘美なる誘惑に負けた、いわば敗者の一人……決してあなたを一人にしないわモグモグ」
梨沙「いや、どうしてアンタそこから出て来たのよ! っていうかそもそも何でそこに入っていたのよ!?」
のあ「梨沙……重要なのは私が机の下に入っていた事ではないチュルルルン……
今ズビッ……私がこうして罪なる味にレロレロ身をゆだねている事こそが……真理なのよペロペロ」
梨沙「蓋を舐めるのはやめなさい」
美優『(お隣はのあさんだったのね……私がうたた寝している間に入ったのかしら……)』
のあ「ついカッとして食べてしまった……今では満足……いえ、反省しているわ」
梨沙「こいつ……!」
莉嘉「ま、まあまあリサリサ……のあぴょんも反省しているんだし、さ」
ちひろ「私も言えた口ではないですけど……」
のあ「お詫びに……皆にスイーツを……おごるわ……これから皆で揃って街へ行きましょう」
美優『(!!)』
莉嘉「えっ! いいの?」
のあ「心行くまで食べなさい」
梨沙「そ、そこまで言われちゃ……仕方ないわね。お言葉に甘えさせてもらうわっ」
ちひろ「私も良いんですか? ありがとうございます!」
美優『(これってもしかして……)』
のあ「(さあ……美優、このチャンスを逃してはいけない)」bグッ
美優『(の、のあさんっ……)』ジワ……
タタタ
のあ「さあ、そうと決まれば出発の支度を……」
P「ただいま戻りました」ガチャ
のあ「!」
美優『(えっ)』
ちひろ「おかえりなさい」
美嘉「あ、莉嘉も来てたんだ★ただいまー」
莉嘉「Pくんにお姉ちゃん! おかえりー☆」
梨沙「おかえり。ずいぶん来るの遅かったわね」
P「ほら、さっき雪降ってたろ? あれで渋滞になっちゃってさ」
美嘉「莉嘉達は? もしかしてどこか出かけるの?」
のあ「これから……皆でお茶しに行くのよ……Pたちも、来る?」
P「うーん、でも今からこっちの仕事の続きをやろうと……」
美優「(……Pさんお願い、そのまま出かけて下さい!)」
のあ「Pは……来てくれないの……?」ジーッ
P「うっ……その目は……ずるい……」
P「分かりました、俺も行きますよ。今の仕事は後回しにできますし」
莉嘉「やったー☆皆一緒にスイーツパーティだねっ」
美優『(ほっ……)』
P「ちょっと待ってな。だったら手帳手帳、あった……あれ?!」
梨沙「どうしたの?」
P「ペンが……いっつも使ってるペンがない。あれーおかしいな……こっちの胸ポケットに挿したつもりだったのに」
美嘉「途中でどこかに落っことしちゃったとか?」
P「んー、でも考えてみたら今日は外に出てから今の今まで、一回も取り出さなかったような気がするからなあ」
ちひろ「もしここで落としたのなら、プロデューサーさんの机の上じゃないんですか?」
P「ですよねぇ。ペン、あるかな……おっ、あったあった」タタタ
P「ちょっと待ってくれよな。今スケジュールにちょちょっと書き加えるだけだから」ポスン、ムニュン
『ひゃん!?』
P「!? えっ…何? 足にやわらかい感触が……」チラッ
P「…」
美優「…」フルフル…
P・美優「……」
P「(これは夢でも見ているのだろうか)」
P「(美優さんが、俺の股間から顔を覗かせているではないか)」
美優「……」カアア
P「(美優さん顔真っ赤、目も潤んでるし……)」
美優「……」
P「み、美優さん、その……」
美優「…ぉーっ」ボソ…
P「?」
美優「…が、がおーっ☆ …なんてっ……」プルプル
P「その……失礼しまし――」キィイ
美優「まま待ってください! Pさんっ違うんです、これはその違わないけど、その!!」ガシッ
P「うおっ?!(太もも掴まれた! 立ち上がれないっ!!)」
ちひろ「? Pさん、どうかしたんですかって――えええっ!?」
P「ゲッ、ちひろさん……(この姿勢はまずいぞ)」
莉嘉「あーっ!! Pくんの机の下に、あれは美優さんっ!?」
梨沙「えっ?! どういうことよ!! って……アンタたち何してんのよーっ!!!」アワワ…
美嘉「えっえっえ~っ!? ……あの姿勢ってもしかして///」
のあ「オトナの吸いーツね」キリッ
梨沙「のあさんは黙っててッ///」
美優「あううう、ごご、誤解です、私はただPさんに……」グイッ
P「わっ?!」バターン
美優「きゃっ」ドサッ
ち・莉・美・梨「美優さんがPさんを押し倒したァ~ッ?!!」
のあ「メインディッ梨沙「言わせねーよ?!」」
美優「ああっ…ああ……(Pさんの顔が…こんなに近くにっ……)」ドキドキ
P「(ああ、今度は美優さんに押し倒されている……これは現実なんだろうか)」ドキドキ
美優「(……ここまで来ちゃったら、もう引き返せない……ゴールしちゃっても……良いよね?)」
P「(その潤んだ目……見ているこっちも吸いこまれそうなくらい綺麗だ)」
美優「……んっ」
P「(めっ、目を閉じたっ! えっ……これはその……しちゃって良いんでしょうか……だが彼女はアイドル……)」
美優「……」フルフル
P「(震えてる……美優さんにここまでさせといて、恥をかかせるのは男として最低だよな……)」
P「(いざP、いかせてもらいまぁ――)」
美優「きゅうっ」コテン
P「あっ……」
美優「」プシュ~
P「みっ、美優さーん! ちひろさん、水と手拭い頼みます!! あと美嘉達も、美優さん運ぶの手伝ってっ!!!」
・・・・
・・・
・・
・
美優「はっ…」パチ
P「あ、美優さんっ。――もう大丈夫そうですね」
美優「P、さん……? ここは?」
P「事務所ですよ。あれから美優さん、ずっと寝込んでたんですよ。はい、コレ水ですけど……飲んでください」コト
美優「ど、どうも……」
美優「(……さっきまでと変わらない事務所、それに、Pさんのちょっと赤くなった耳……)」
美優「(やっぱり、夢じゃなかったんだ……ううぅ……)」カアア
P「(さっきのこと、思い出してるのかな…)」
P「隣、座っても良いですか?」
美優「えっ……座るんですかっ?! そんな…いや……どうぞ」
P「失礼します」ポスン
美優「…」
P「…(めっちゃ目線逸らされてる……)」
美優「(何て話せばいいか、わからない……)」
P「…美優さん」
美優「(あんな事して……きっと変態だって思われてるに違いない……うう……死にたいっ)」
P「…美優さん!」トントン
美優「ひゃっ?!」ムニュッ
美優「な、なんれふかコレ……ペン?」ムニムニ
P「意地悪してごめんなさい。美優さんのほっぺた、柔らかそうだったからつい……」
P「それで、このペン……覚えてますか?」
美優「それ……確か昨年のクリスマスの」
P「美優さんから初めて頂いた、プレゼントです。
今日みたいに、うっかり持っていくのを忘れていったりしちゃうこともありますが……
ないと分かった時、すっごく焦るんです。それくらい、俺にとっては大切なモノなんです」
美優「Pさん……」
P「それから……俺の机も綺麗に拭いてくれたのも、美優さんですよね。きっと無くしたペンをそこに置いてくれたのも」
美優「!」
P「本当、ありがとうございます。きっと美優さんにはいつも見えない所で助けられてるんだなあ、って実感したんです。
――まあ……さっきのは、確かにちょっとびっくりしましたけど」
美優「そっ……それは忘れて……ください///」
P「がおーっ☆」
美優「や、やめてください……もうっ…Pさんの馬鹿っ!!」
P「あたたた、痛いです、やめてやめて」
http://i.imgur.com/kOyItph.jpg
クリスマス美優さん
P「いじめてすみませんでした。だから機嫌直してくださいよ…」
美優「もう知りませんっ」
P「あ、それじゃコレ食べません? ちひろさんが置いて行ってくれたんです。マハカラのおいしいプリン」
美優「……ん…」
P「美味しいみたいですよ? 何といっても梨沙のパパおススメですからねー。
一個しかありませんが……許してくれたら、美優さんにあげますよ」
美優「……させて……くれたら……」
P「?」
美優「Pさんが……私に食べさせてくれるなら……許してあげます」
P「ええっ!?」
美優「いいですよ、ね?」クスッ
お し ま い
???「(……どうしよう……)」ガタガタ
『いやさすがにそれは……』
『Pさん、私、恥ずかしい思いをしたのに……』
『う……それは俺も同じで……ええい、ままよ! やりますよ!! やらせていただきます』
乃々「(のあさんも行ってしまって、もう丸見えなんですけど……
このまま次にここに誰か来たら、今度こそ見つかってしまうぅ……仕事は、あとこの甘い空気も、むぅーりぃぃー……」
乃々「(お願いだから、二人ともイチャイチャしてないで、出て行ってほしいんですけどぉ……!!)」
その後、Pの机がアイドル達の巡礼スポットと化した為に森久保は唯一のエルサレムから追放されることになったり、
Pの体組織から催淫性物質を抽出した千川がノーベル化学賞を受賞したり、
梨沙の結婚式に向かう途中、Pがたまたま出くわしたひったくりに刺されたりするのだが、それはまた別のお話……
<今度こそおわり>
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