オルミーヌ「えっと、おじいさん、意識は大丈夫ですかー、自分が誰か分かりますかー」
ウォルター「ええ、まあ……しかし、ここは一体、ロンドンでは無いようですが」
オルミーヌ「ろんどん? ここは○○山の森ですが……」
ウォルター(○○山の森、聞いた事の無い土地……。それにこの女性の格好も、とてもロンドンの若い女性のそれとは思えない、眼鏡デカイし)
オルミーヌ「あのー、どうしました?私の顔に何か付いてます?」
ウォルター「いや、失礼しました。聞いた事の無い単語が出て来ましたので」
オルミーヌ「え……」
オルミーヌ(この辺りの人なら誰でも知ってる筈の地名なのに、聞いたことが無い?)
オルミーヌ(着ている服も変だし……眼鏡も左にしかレンズ無いし)
オルミーヌ(もしかしてこの人、漂流者?)
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ウォルター「お嬢さん、一つ聞いても宜しいでしょうか?」
オルミーヌ「お嬢さん!?」
ウォルター「はて、どうかしましたかな?」
オルミーヌ「ああ、いえ……「お嬢さん」なんて呼ばれたの、初めてだったので」
ウォルター「おやおや、これは失礼を。職業柄この様な言い方が身に染みているので。不快でしたら別の呼び方でも構いません」
オルミーヌ「いや迷惑だなんてそんな!普段オッパイーヌとか乳眼鏡とかばっかり言われてるから驚いてしまっただけなので問題無いです、ハイ」
ウォルター「そ、そうでしたか……それはまた苦労なさっておられる様で」アセダラー
オッパイーヌ「良いんです、慣れてますから」ウギギギ
進行は亀なんでのんびりお待ち下さい
ウォルター「お嬢さん、一つ聞いても宜しいでしょうか?」
オルミーヌ「お嬢さん!?」
ウォルター「はて、どうかしましたかな?」
オルミーヌ「ああ、いえ……「お嬢さん」なんて呼ばれたの、初めてだったので」
ウォルター「おやおや、これは失礼を。職業柄この様な言い方が身に染みているので。不快でしたら別の呼び方でも構いません」
オルミーヌ「いや迷惑だなんてそんな!普段オッパイーヌとか乳眼鏡とかばっかり言われてるから驚いてしまっただけなので問題無いです、ハイ」
ウォルター「そ、そうでしたか……それはまた苦労なさっておられる様で」アセダラー
オッパイーヌ「良いんです、慣れてますから」ウギギギ
オルミーヌ「あ、そう言えば何か言いかけませんでした?」
ウォルター「ええ、それなのですが(やっと話が進んだ)」
ウォルター「ここは、イギリスの何処でしょうか?」
オルミーヌ「え、いぎりす?」
ウォルター「……では、欧州の、何処でしょうか」
オルミーヌ「お、オウシュウですか?オルテじゃなくて?」
ウォルター「おるて?」
オルミーヌ「……やっぱり」
ウォルター「……はて、もしやここは」
オルミーヌ(この人漂流者だ!)
ウォルター(ここは私の知ってる世界では無い!?)
ウォルター(いや待て、これだけで決めつけるのは早計過ぎる、単に欧州を知らないだけかもしれない)
ウォルター「……では、アフリカかアジアの何処かでしょうか」
オルミーヌ「えーっと、その「あふりか」や「あじあ」も、知らないです」
ウォルター「……では、キリスト教は?」
オルミーヌ「知らない、です」
ウォルター「イスラム教は?」アッラー
オルミーヌ「ごめんなさい」
ウォルター「仏教は?」ナンマイダー
オルミーヌ「…………」
ウォルター「……」
ウォルター(馬鹿な……あり得ない……っ!)
ウォルター(これは一体どういう……吸血鬼化の副作用による夢?それにしては余りにも現実味がある)
ウォルター(大体、私はあの時爆発と共に死んだ筈、それでなくとも既に身体はボロボロだったのに……)
オルミーヌ「うわー、どうしよー、取り敢えずお師匠様に連絡しないと」
オルミーヌ「あ、お師匠様ー、大変です、見回りしてたら漂流者見つけました……はい、初老の、黒い服来た……ハイ、エエ」ェ、ソンナ!
ウォルター(身体も治ってるどころか、吸血鬼の力すら感じない……)
ウォルター(それに……彼女、オルミーヌは私を「どりふたーず」と言った、今の私の状況を彼女は知っているのかもしれない)
オルミーヌ・ウォルター「あの」
オルミーヌ「あ、えっと、先どうぞ」
ウォルター「では、先に私から」
ウォルター「先ほど言った「どりふたーず」とは一体何でしょうか?今の私にも関わっている事の様ですが」
オルミーヌ「あ、ちょうどその事を貴方に話そうと思っていたんです!えっと……すみません、貴方の名前は」
ウォルター「これはこれは、私とした事が名乗り忘れていました。私はウォルター、ウォルター・クム・ドルネーズと申します、ヘルシングの――いえ、単にウォルターとお呼び下さい」
ウォルター(馬鹿な話だ、裏切っておきながら何を言おうとしていのだ、私は)
オルミーヌ「ウォルターさん、ですね。私はオルミーヌと言います。十月機関という組織の人間で、貴方の様に別の世界から来た人間を保護する役割を帯びています」
ウォルター(やはり……ここは私の居た世界とは違うのか)
ウォルター「つまりは、貴女の言う別の世界から来た、私の様な人間の事を漂流者(ドリフターズ)とよぶ、と言う認識で宜しいでしょうか」
オルミーヌ「はい、それであってます。それでなんですが、今からウォルターさんに――」
ウォルター「っ!ミスオルミーヌ、静かに」
オルミーヌ「ぇ、なんですか?」
ウォルター「向こうの方から複数の人の足音が聞こえて来ます、貴女のお仲間でしょうか?」
オルミーヌ「足音?そんなの聞こえてこない」
オルテ兵士1「見回りが見知らぬ女が歩くのを見たってのは本当なのか?」
オルテ兵士2「ああ、なんでも乳がデカい眼鏡っ娘らしいぜ」
オルミーヌ「オルテの兵士!?私見られてたの!?」
オルミーヌ「しかも乳がデカいって何よ!どこみてんのよ!」ウギギ
ウォルター「ミス・オルミーヌ、声がデカいですぞ」アトチチモ
オルテ兵士1「ん、おいそこの女とジジイ!そこで何をしている!」
オルテ兵士2「見回りが見たのってコイツの事じゃないか?いい乳してるぜ!」クヒヒ
オルミーヌ「イヤァァァ!?見つかったー!?」
ウォルター「あそこの殿方二人が何を仰っているのかは分かりませんが、どうやらお仲間では無いそうですな」
オルミーヌ「は、はい!彼らはオルテの兵士で、その」
オルテ兵士1「ちょうどへんぴな土地で女がいなかったんだ、楽しませて貰うぜ」
オルミーヌ「女の敵ですー!!」
ウォルター「ふむ、なるほど」
オルテ兵士2「おい女!死にたくなけりゃ俺たちに素直に従え」
オルミーヌ「っ、えい!」石壁の札
オルテ兵士1「うお!急に壁が!?」
オルテ兵士2「なんだこの女!」
ウォルター(今のは……札の様な紙が石の壁に)
ウォルター(トランプやマスケット銃に比べれば大した事は無いが、吸血鬼や十三課のソレとも違う……)
オルミーヌ「ウォ、ウォルターさん!今の内に、来てください!」
ウォルター「む、状況がよく分かりませぬが、分かりました」
オルテ兵士1「クソ、折角のピーだ!絶対逃がすか」
オルテ兵士2「オーイお前ら、いぃたぞおおおお!」
オルミーヌ「お、応援まで呼んでる、急いで皆の所へ戻らないと!」スタタタ
ウォルター「どうやらかなり緊迫とした状況の様ですな」スタタタタタタタ
ウォルター「彼らは何者なのですか?オルテの兵士と言っておりましたが」スタタタ
オルミーヌ「彼らは、オルテという帝国の兵士です」スタタタ
ウォルター「そのオルテとはどの様な国なのでしょうか、貴女が属する十月機関とは敵対の関係にあるようですが」スタタタ
オルミーヌ「オルテはこの世界の大陸で最も強大な帝国です、この辺りも元はエルフ族の領域でしたが、今はオルテの占領地になってます!」スタタタ、ハァハァ
ウォルター「成程、して今は何処へ向かっておられるので?」
オルミーヌ「私が保護した他の漂流者達と、エルフ族のいる廃城です!そこまで逃げ切れば大丈夫ですから!」スタタタ
ウォルター(エルフ族と言ってるが、まさかあのエルフの事を言ってるのだろうか……)
オルミーヌ「この森を抜ければ廃城に続く道があります……見えました、あの開いた場所です!」ハァ、ハァ
ウォルター「確かに向こうにそれらしいのが見えますな。ですがミス・オルミーヌ」
オルテ兵士3「へへ、見つけたぜ」
オルテ兵士4「あの場所から逃げるなら、ここを通るのが一番だからなあ、先回りして正解だったぜ」
オルテ兵士5、その他「オイ、確かに上玉だぞ、顔は地味だが」「グヘヘ、これで退屈しないで済む」
ウォルター「見事に読まれていた様ですな」
オルミーヌ「……そんな、こんなに沢山の兵士が……」
ウォルター「彼らは何者なのですか?オルテの兵士と言っておりましたが」スタタタ
オルミーヌ「彼らは、オルテという帝国の兵士です」スタタタ
ウォルター「そのオルテとはどの様な国なのでしょうか、貴女が属する十月機関とは敵対の関係にあるようですが」スタタタ
オルミーヌ「オルテはこの世界の大陸で最も強大な帝国です、この辺りも元はエルフ族の領域でしたが、今はオルテの占領地になってます!」スタタタ、ハァハァ
ウォルター「成程、して今は何処へ向かっておられるので?」
オルミーヌ「私が保護した他の漂流者達と、エルフ族のいる廃城です!そこまで逃げ切れば大丈夫ですから!」スタタタ
ウォルター(エルフ族と言ってるが、まさかあのエルフの事を言ってるのだろうか……)
オルミーヌ「この森を抜ければ廃城に続く道があります……見えました、あの開いた場所です!」ハァ、ハァ
ウォルター「確かに向こうにそれらしいのが見えますな。ですがミス・オルミーヌ」
オルテ兵士3「へへ、見つけたぜ」
オルテ兵士4「あの場所から逃げるなら、ここを通るのが一番だからなあ、先回りして正解だったぜ」
オルテ兵士5、その他「オイ、確かに上玉だぞ、顔は地味だが」「グヘヘ、これで退屈しないで済む」
ウォルター「見事に読まれていた様ですな」
オルミーヌ「……そんな、こんなに沢山の兵士が……」
オルミーヌ「十人以上もいる……こんな数、石壁だけじゃ凌ぎ切れない」
オルミーヌ「こうなったら、どうにかウォルターさんは、漂流者だけは逃がさないと……」
オルテ兵士4「おっと、姉ちゃんだけじゃなくそこの爺さんも来てもらうぜ」
オルテ兵士3「その格好、噂の漂流者だろう、捕まえればエルフ共に対する人質に出来らぁ」
オルテ兵士5「もしくはエルフ共に協力する漂流者共への人質にしてやる、見たところただの老いぼれだし、楽なもんだぜ」
オルミーヌ「そんな……!」
ウォルター「ミス・オルミーヌ、彼らは一体何と?」
オルミーヌ「私だけじゃなくて、漂流者であるウォルターさんも狙われています……っ。ここは私が残った石壁の札で時間を稼ぎますから、ウォルターさんは別の道を探して下さい!」
ウォルター「しかし、それでは貴女が」
オルミーヌ「構いません!十月機関は、漂流者を守るのが使命です、から!」ガタガタ
ウォルター(…………)
???『だ、大丈夫ですか!!ウォルターさん!!』
―――
ウォルター(私は……、今何を考えていた)
ウォルター(一瞬とはいえ、怯えながらも気丈に振る舞うミス・オルミーヌを、「彼女」と重ねて見ていたのか?)
ウォルター(愚劣極まる。今頃になって何を考えているのやら)
オルミーヌ「ウォルターさん、急いで!」
ウォルター「いえ、ミス・オルミーヌ、貴女がそうする必要はございません」
オルミーヌ「え?」
ウォルター「このウォルター、見ての通り老いぼれ(ロートル)ではございますが、この者たちを無力化させる程度の事でしたら、不可能ではございません」
オルミーヌ「ほ、本当ですか!?」
ウォルター「ええ、私の後ろに下がって下され」
オルミーヌ「は、はい!分かりました」
オルミーヌ(廃城にいる三人、私の知ってる漂流者達は、皆特色は違うけど全員が人間離れした人たちだった)
オルミーヌ(ウォルターさんもきっと、何か特別な能力が……っ!)
オルテ兵士3「ん?なんだ爺さん、デカパイ姉ちゃんの代わりに何かしようってか!」
オルテ兵士4「ヒャハハ!そんなヨボヨボで何をしでかすんだよ、素直に俺たちに捕まっちまえって」
ウォルター「相変わらず何をのたまっているのかは分からないが、どうやら罵っている事は分かりましたぞ」
オルテ兵士5「何言ってんだ爺さん、ワケ分かんねえ言葉喋ってんじゃねえぞ」
ウォルター「目覚めてそうそう、上手く出来るか分かりませんが……っ!!??」
ウォルター(これは、馬鹿な……)
オルミーヌ(ウォルターさん、ポケットに手を入れたまま固まってどうしたんだろう)
ウォルター(鋼線(付きの手袋)が……無い、消えている……)
ウォルター「ミス・オルミーヌ」
オルミーヌ「はい、ウォルターさん!」
ウォルター「逃げましょう」キリッ
オルミーヌ「えっ!?」ガビーン
オルミーヌ「ウォルターさん、逃げるってどういう」
ウォルター「私自身、事態を把握し切れておりませんが、少しばかりマズい事になりました」
ウォルター「ですので、ここは強行突破とさせて頂きましょう、失礼」ヒョイ
オルミーヌ「きゃ、ウォルターさん!?」オヒメサマダッコ??
ウォルター「む、思ったよりも……いえ何でもありません、ではしっかり掴まって下さい、行きますぞ」
オルミーヌ「行くってどうやって――キャアア!」
オルテ兵士7「な、なんだこの漂流者、女を抱きかかえてこっちに走ってきやがる!
」
オルテ兵士8「自棄になったか、おいお前ら捕らえろ!」
オルテ兵士9「終わりだ、ジジイ!」
オルミーヌ「きゃああ!ウォルターさん、止まって!戻って!」
ウォルター「――はっ!」ジャンプ
オルテ兵士10「な、なにい!?」
オルテ兵士5「女を持ったまま俺たちを飛び越えやがった!」
オルテ兵士4「馬鹿な!なんて身体能力だ!あり得ねえあのジジイ!」
一旦止まります
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