エイラ「どうすル?」
エイラ「どうするって、なにが?(裏声)」
エイラ「だかラ、私が告白したらサーニャはなんて返事するんダ?」
エイラ「……?」
エイラ「た、例えばの話だからナ。そんな真剣にならなくてもいいんだゾ」
エイラ「うーん……」
エイラ「……いや、なんか変なこと聞いたナ。忘れてくレ、もう寝ないと」
チュッ(自分の手の甲にキス)
エイラ「!!」
エイラ「……じゃあ、私がエイラのことを大好きだったとするでしょ? そうしたら、エイラは……(裏声)」
エイラ「さ…サーニャッ!」ガバッ(布団を抱きしめる)
エイラ「やっ、そんな、いきなりなんて……(裏声)」
エイラ「……」
エイラ「……はあ。何やってんダ、私は」
エイラ「まだ帰ってこないナ、サーニャ」
エイラ「時間は……午前3時カ」
エイラ「あと3時間以上も一人で悶々としているしかないなんテ」
エイラ「あア、私も一緒に行けば良かっタ……」
エイラ「ただいま、エイラ(裏声)」
エイラ「サーニャ!? もう帰ってきたのカ?」
エイラ「うん。昨日出現したばかりだし、レーダーでも感無しだったからって、特別に(裏声)」
エイラ「そ、そっカ。疲れただロ、何か飲むカ? 紅茶でも」
ギュッ(布団を抱きしめる)
エイラ「サーニャ?」
エイラ「……あったかいね、エイラ(裏声)」
エイラ「あ、ああ……そうだナ、ずっと毛布の中に潜ってたシ」
エイラ「違うの………うまく言えないけど、ベッドとは違う゛っ」
エイラ「えふっ、けふっ」
エイラ「……喉が痛くなってきタ」
エイラ「仕方ないナ、紅茶でも飲んデ寝るカ」
ドンドン!
エイラ「?」
エイラ「誰ダ?」
ペリーヌ(ちょっと中尉! さっきから一人でブツブツと、何をおっしゃっていますの!?)
エイラ「そんなにうるさかったカ?」
ペリーヌ「ええ。おかげさまで、今朝の朝礼には遅刻せずに済みそうですわ」
エイラ「ペリーヌ」
ペリーヌ「なんですの!?」
エイラ「みんな寝てるかラ、もう少し静かにナ」
ペリーヌ「――!」
エイラ「まあ立ち話もなんだシ、入れヨ。今お湯を沸かしてるかラ、お茶でも」
ペリーヌ「結構ですわ。私は部屋に戻ります」
エイラ「遠慮すんなっテ」
ペリーヌ「遠慮じゃありません。大体、夜中にそんなものを飲んでしまっては、眠れなくなってしまいますわ」
エイラ「お菓子もあるゾ、サルミアッキとか……」
ペリーヌ「っ、とにかく! 私はあなたに注意しにきただけですので。お休みなさい」
エイラ「そ、そっカ……ごめんナ」
ペリーヌ「……」
エイラ「……」
ペリーヌ「……はあ」
ペリーヌ「一杯だけ頂きますわ。飲み終わったら、体が冷えないうちにベッドに戻りますからね」
エイラ「……へへ、そうこなくっちゃナ」
シュンシュン
ペリーヌ「あら、ヤカンのお湯が沸いたようですわよ」
エイラ「みたいだナ。よっと」
エイラ「ぅ熱っ!? あっ、しまっ」
パタン(ヤカンの注ぎ口が閉じる)
ピィィ---------!!!
ペリーヌ「ちょ、ちょっと中尉!? なにをしてらっしゃいますの!?」
エイラ「いてて、水水みずみずみず! ペリーヌはヤカンを止めるんダ! 火を消セ!」
ペリーヌ「は、はいっ!」
ピュウウン……
ペリーヌ「な……何とか……」
エイラ「おイ、はやくここに隠れロ! すぐ人がくるゾ!」
ペリーヌ「え? でもそこは貴方のベッド……」
エイラ「ぐだぐだ言ってる場合カ? 見つかったら怒られるだけじゃ済まなイ! 急ゲ!」
ペリーヌ「で、では失礼します……」モゾモゾ
エイラ「……出てくるなヨ、ペリーヌ」
ペリーヌ「え?」
バタバタバタバタ
ガチャ
坂本「エイラ! 貴様夜中に何をしていた!」
ペリーヌ(少佐……!)
坂本「時計くらいは読めるだろう。今何時だ、言ってみろ」
エイラ「…3時、40分」
坂本「3時40分。ふむ、随分殊勝な心がけだな、エイラ。毎日こんな早起きを続けるつもりか?」
エイラ「いや……」
坂本「だがエイラ、軍規では原則として毎朝6時00分までは就寝時間と定められているんだ。これは知っていたか?」
エイラ「ん…」
坂本「……それをお前は、朝早くから何を騒いでいる! 眠れないなら眠れないなりに、静かにしていろッ!」
エイラ「……」
ペリーヌ(中尉……)
坂本「……朝礼が終わり次第、執務室に来るように。反省文を提出してもらう」
エイラ「……ん」
坂本「静かにしていろよ」
バタン
エイラ「……」
モゾモゾ
ペリーヌ「中尉」
エイラ「お湯」
ペリーヌ「え?」
エイラ「……冷めちまったナ。悪イ、また今度にしよウ。私も寝るかラ、もう部屋に戻ってくレ。見つからないようニ」
ペリーヌ「ですが……」
エイラ「はやく行けヨ!」
エイラ「……もう眠いんダ。グスッ、はやく行けっテ……ズズッ」
ペリーヌ「…泣いてらっしゃいますの?」
エイラ「ば、馬鹿カ! なんで怒られたくらいで私が泣くんだヨ……泣いてねーゾ!」モゾモゾ
ペリーヌ「怒られたから、ではなく、寂しかったから、でしょう? 私にもありますわ、何故だか急に人恋しくなる夜が」
エイラ「……」
ペリーヌ「やっと隣に人が来てくれたのに、あんな形で切り離されてしまって……今まで堪えていた寂しさが、溢れだしてしまったんですよね」
エイラ「そんなんじゃネー……」
ペリーヌ「くす、中尉も意外と可愛らしいところがありますのね」
エイラ「……ばっ、何言ってんダ」
ペリーヌ「……中尉がお休みになられるまでは、ここにいて差し上げますわ。安心して下さい」
エイラ「ん…」チラッ
ペリーヌ「ふふ」
エイラ「……ペリーヌ」
ペリーヌ「はい」
エイラ「……その…」
エイラ「……り……がと…」
ペリーヌ「え?」
エイラ「なっ、何でもねーヨ!」
ペリーヌ「やれやれですわね」
―翌朝―
パーパッパッパラッパ パッパッパラッパ
エイラ「う……ん」
サーニャ「あ、おはよう、エイラ」
エイラ「ん…サーニャ? もう帰ってきてたのカ?」
サーニャ「何言ってるのエイラ? もうみんな起床の時間よ」
エイラ「そ、そっカ」
サーニャ「……そうだ。今日の午後、時間が取れたらお茶しない? 確か今朝の定期便で、砂糖がたくさん入ってきたはずだから、お菓子を作っておくわ」
エイラ「ああ、いいゾ。でも一個だケ」
サーニャ「なに?」
エイラ「一人だけ、一緒にお茶飲みたいヤツがいるんダ。そいつも連れてきていいカ?」
サーニャ「もちろん構わないけど……エイラがそんなこと言うなんて、珍しいわね。誰なの?」
エイラ「そいつの名前は――」
ペリーヌ「ふえっ、くしゅん! うう……夜更かししたせいでしょうか……?」
おわり
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