恒一「あの世へ繋がる電話?」(185)
鳴「最近町でそういう噂が流行ってるみたい」
恒一「噂?」
鳴「都市伝説みたいなものよ」
恒一「ああ……口裂け女とかメリーさんみたいなものか」
鳴「うん、それで死んだ人とお話ができるらしいの」
恒一「死んだ人とかあ」
勅使河原「おーいサカキー」
恒一「あっ、勅使河原……それに望月も」
望月「二人で何の話してるの?」
恒一「最近流行ってる都市伝説の話だよ」
勅使河原「都市伝説ぅ?」
望月「あ、それ僕も知ってるかも。あの世へ繋がる電話とか言う奴だよね?」
鳴「そう、それ」
勅使河原「なんだそれ……女子とか好きそうだよなあ、そう言うの」
勅使河原「と言うかどうやってやるんだよ、あの世に電話かけるなんて」
恒一「さあ……見崎知ってるの?」
鳴「ううん、私もそこまでは……風の噂で少し聞いただけだし」
勅使河原「まあそんなもんだよなあ」
望月「あ、僕知ってるよ」
恒一「え?」
勅使河原「は?」
望月「この前お姉さんから聞いたんだ、それのやり方」
恒一「へえ、お姉さんから……」
望月「お姉さんもお客さんの一人から聞いただけらしいんだけどね」
勅使河原「ふーん……じゃあ折角だし試してみるか?」
恒一「試す?」
勅使河原「今ここで電話掛けてみようぜ、あの世に」
恒一「電話掛けるって……ほっ本気!?」
勅使河原「なんだよサカキ、もしかして怖いのか~?」ニヤリ
恒一「なっ……いやそういうわけじゃないけどさ」
勅使河原「大丈夫だって! どうせただの噂なんだろ?」
恒一「うーん……」
勅使河原「つーか実際に電話掛かるねーって、うちのクラスの災厄じゃあるまいし!」ハハハ
恒一「見崎はどう思う?」
鳴「……いいんじゃない、ちょっと試すぐらいなら」
恒一「まあ見崎もそう言うなら……」
勅使河原「よし! そうこなくっちゃな!」
勅使河原「そんで望月、その電話掛ける方法ってどうやるんだ?」
望月「えっと確か……『111』だったかな? その番号に掛ければいいらしいよ」
恒一「随分と簡単なんだね?」
望月「他にも何か注意事項みたいのがあった筈なんだけど……ごめん、細かい所は忘れちゃった」
勅使河原「まあ大事なとこだけわかりゃーいいって。それじゃあ早速かけてみるか……って、あれ」
恒一「どうかしたの?」
勅使河原「……わり、携帯家に忘れちまったみたいだ。誰か貸してくれねーか?」
恒一「ええー……」
恒一「二人は携帯は?」
鳴「私はまだ新しいの買ってないから」
望月「僕はそもそも携帯持ってないよ」
恒一「……仕方ないなあ、はい」スッ
勅使河原「さっすがサカキ! サンキューな!」
恒一「もし変なところに繋がったりしたら責任とってよ?」
勅使河原「大丈夫だって、えーと1、1、1っと……」ピッピッピッ
合宿後の話か
勅使河原「さーて掛かるかな~っと」
恒一「そういえば変なところに掛かったら通話料金とか大丈夫なの?」
望月「さあ……ちょっとわかんない」
恒一「わかんないってそんな無責任な!?」
鳴「もしその時はご愁傷様ね、榊原くん」
恒一「そんなぁ……」
勅使河原「……お?」
恒一「ん? 勅使河原どうかした?」
勅使河原「……ちょっちょっと待て! 今ハンズフリーにする!」
プルルルル…プルルルル…
恒一「これは……」
望月「……」ゴクリ
勅使河原「ま、マジかよ……」
鳴「……」
勅使河原「いや待て! まだ本当に死後の世界に繋がったってわけじゃ――」
プルルル……ガチャッ
『……もしもし?』
恒一「ほ、ホントに繋がった……」
勅使河原「どうすんだよこれぇ!?」
望月「勅使河原くんがやろうって言ったんじゃないか!」
勅使河原「俺だってマジで掛かるだなんて思ってなかったっつーの!」
恒一「ちょっと二人とも! 喧嘩してる場合じゃ……」
鳴「……ねえ、ちょっと待って」
恒一「えっ?」
鳴「この声……」
『もしもーし? どうかしましたか?』
恒一「声?」
勅使河原「どうかしたのかよ、見崎」
鳴「ちょっと静かにしてて」シッ
『もしもし? 大丈夫ですかー?』
恒一「……? あれ、この声って……」
鳴「……」
恒一「……桜木さん?」
『あっ、その声は榊原くん?』
桜木『お久しぶりですね、お元気でしたか?』
恒一「ほ……ホントに桜木さんなの?」
勅使河原「はあ!?」
望月「さっ桜木さん!?」
桜木『勅使河原くんに望月くんも……と言うことは見崎さんも近くに?』
鳴「うん、いるよ」
桜木『やっぱり。三人方もお久しぶりです』
勅使河原「マジかよ……マジで桜木なのか?」
恒一「信じられないけど、この声は確かに桜木さんだよ」
望月「声が似てるだけの別人ってことは?」
鳴「でも私たちの名前も知ってるとなると……」
勅使河原「よ、よし……ちょっとテストしてみるぞ」
恒一「そうだね、一応やっておこうか」
桜木『テスト?』
勅使河原「いいか、今から質問していくから澱みなく答えてくれよ?」
桜木『? はい、わかりました』
恒一「じゃあまずは……自分の名前と学年クラス、それに出席番号は言える?」
桜木『桜木ゆかり、夜見北中学校3年3組所属、出席番号は11番です』
望月「クラス内での役職は?」
桜木『風見くんと一緒にクラス委員長をやっていました』
長くなりそうだけど頑張れ
恒一「……3年3組の災厄のことについては知ってる?」
桜木『もちろんです。毎月クラスの関係者が一人以上死んでしまう……私もその犠牲者の一人になりましたから』
鳴「その対策になるおまじないについては?」
桜木『クラス内の誰か一人をいない者にしてクラスの人数を合わせることです』
恒一「それじゃあ、今年のいない者は誰だった?」
桜木『見崎鳴さんです』
望月「自分の身長、体重は言える?」
桜木『身長は155センチです。た、体重は……その、40キロ台、です』
勅使河原「カップのサイズは?」
桜木『D――ってなに言わせるんですか!?』
勅使河原「……これは完璧に桜木で間違いなさそうだな」
恒一「だね」
>>24
鳴がいないものって・・?
<対策>でいないものにした人ってことか?
それともネタバレ防止?
桜木『まったく! 勅使河原くんは少しおふざけが過ぎますっ!』
望月「流石にあの質問はね……」
勅使河原「わりーわりー、ちょっとした出来心だから許してくれよ委員長!」
桜木『もう……それにしても、まさかあなた達から電話が掛かってくるとは思いませんでしたよ』
恒一「僕らもまさか繋がるなんて思ってもみなかったけどね」
望月「……ねえ、それでどうするの、これ?」
勅使河原「どうするっつったってなあ……折角繋がったんだし少し話してみるか?」
望月「ええっ!?」
>>26
死者といないものごっちゃにしてないか?
勅使河原「そ、そりゃあ不気味っちゃあ不気味だけどよ……死んだクラスメイトと話ができるってことだろ、これ?」
恒一「確かに……」
鳴「一生に一度あるかないかの機会かもね、こんなの」
望月「二人まで……」
桜木『そうですよ、折角だから少しお喋りしましょう?』
望月「うーん……なんか嫌な予感がするんだけどなあ」
勅使河原「大丈夫だって、もし多額請求が来てもこれはサカキの携帯だしな!」
恒一「おいちょっと」
勅使河原「待った! 冗談だから! もしものときは割り勘だって!」
鳴「そこは勅使河原くんが全額負担するべきだと思うわ」
恒一「それじゃあ桜木さん、少しの間話しようか」
桜木『はい! ……と言っても、いざとなると何の話をすればいいのか困りますね』
勅使河原「そうだな……そっちは今元気? とか」
恒一「何だよその質問」
桜木『はい、私は元気ですよ。こっちは怪我をしたり病気になる心配がありませんから』
望月「へー……」
桜木『それに食べ物や飲み物もたくさんありますし』
鳴「……食べ物に飲み物?」
桜木『他にも本やゲームもあって娯楽にも事欠きませんね』
恒一「本? ゲーム?」
桜木『はい、ボードゲームとかトランプとか……あ、それに最近増えたのだとダーツもありますね』
恒一「ダーツ……?」
勅使河原「ちょっ、ちょっと待った!」
桜木『なんですか?』
勅使河原「桜木が居る所ってあの世なんだよな?」
桜木『はい、そうですが?』
勅使河原「そ、そうか」
望月「……僕、ちょっとあの世のイメージが崩壊してきてるんだけど」
恒一「安心して、ここにいる全員が同じこと思ってるから」
桜木『そうだ、私の方も聞きたいことがあったんですよ』
勅使河原「聞きたいこと?」
桜木『その……今災厄はどうなっているのかなって』
望月「災厄?」
恒一「どうなってるって……ああ。大丈夫、今年の災厄はもう終わったよ」
桜木『終わった?』
恒一「うん、終わった。もう現象は止まったんだ」
桜木『ほっホントですか!?』
勅使河原「そうだな、もう二か月前から誰も死んでねーし」
望月「多分この間の合宿でクラスに紛れ込んだ死者が死んだんだろうね」
桜木『そうなんですか……よかったですね!』
恒一「うん……」
鳴「……」
望月「……」
勅使河原「あー……その、あのな桜木――」
桜木『そうだったんですかあ……通りで少し前から人が来ないわけですね』
恒一「えっ?」
恒一「人が来ないってどういうこと?」
桜木『あ、えっと……災厄で死んだ人は皆こっちの方に来てるんです』
恒一「皆?」
桜木『はい、皆です。私が最初にこっちに来て、最後に赤沢さん達が』
勅使河原「赤沢達もいるのか!?」
桜木『はい、いますよ? 他にも中尾くんとか杉浦さんとか、水野くんのお姉さんとかも』
望月「ほ、本当に……?」
鳴「……」
桜木『そうだ、なんなら代わりましょうか? 皆も榊原くんたちと話したいでしょうし』
恒一「どうする?」
勅使河原「どうするってお前……もうとことん行けるとこまで行くしかねーだろ」
恒一「そうだね……じゃあお願いできるかな、桜木さん」
桜木『はい、じゃあちょっと皆を呼んできますので』
恒一「うん、よろしくね」
勅使河原「頼んだぜ!」
桜木『はい、少し待っててくださいね』
恒一「……」
鳴「……」
望月「……それにしてもびっくりだね。こんな風に死んだクラスメイトと話してるだなんて」
勅使河原「だよなあ、なーんか実感わかねぇな」
恒一「……でも、ちょっと安心してるかな」
鳴「安心?」
恒一「うん……もしかしたらさ、僕、桜木さんとかに恨まれてるんじゃないかと思ってたから」
鳴「恨まれてるって……」
恒一「だってさ、桜木さんが死んだのって少なからず僕が原因でもあると思うんだよ」
勅使河原「サカキそれは……」
望月「……」
恒一「だからもし恨み言でも言われたらどうしよう、ってちょっと緊張してたんだよね」
鳴「……でもそんな感じはしなかったね」
恒一「うん、だから安心してる。勝手な話だとは思うけど……」
鳴「……大丈夫よ、榊原くん」
恒一「え?」
鳴「私も同じだか――」
『……ま、待ってください!!』
勅使河原「お?」
『ちょっとガタッガコンんな取り合ったら壊れちゃガガッますって!!』
勅使河原「なんだ?」
望月「桜木さんの声だね」
恒一「何かあったのかな?」
『待って! 待っ……待ちなさい!!!!!』
勅使河原「うおっ!?」
恒一「!?」
鳴「!!」ビクッ
『……静かになりましたね、では皆さんそこに正座して大人しくしていてください』
桜木『……もしもし?』
恒一「あ……も、もしもし?」
桜木『ごめんなさい、ちょっとこっちの方で不手際があって……もうちょっとだけ待っててくれますか?』
勅使河原「お、おう……わかった、いくらでも待ちます」
望月「」コクコク
桜木『ありがとうございます、それじゃまた後で……』
『……はい皆さん、それじゃ今からクジを作りますのでその順番通りに――』
恒一「……」
鳴「……」
勅使河原「……桜木ってさあ、結構こわ――」
望月「いや、余り言わない方がいいと思うよそれは」
・
・
・
『やったー!! 私が一番!!』
『くそぉおおっ!!』
『ちょっと! そのクジ私と交換しなさい! 一万、一万出すから!』
『やだよーっだ! 悔しかったら裸踊りでもしてみれば~?』クスクス
『このアバズレがぁ!!』ガタッ
勅使河原「……」
望月「……」
桜木『……あ、もしもしー?』
恒一「あ……な、なに?」
桜木『話す順番が決まりましたので、今から一人ずつ電話代わっていきますね?』
恒一「わ、わかりました」
桜木『なんで敬語……? まあいいです、それじゃ一番の人来てくださーい!』
『もっしもーし?』
恒一「あっ、その声……」
『おおっ、本当にこういっちゃんだ! 久しぶりだねー!』
勅使河原「この声……綾野か」
恒一「久しぶり、元気だった?」
綾野『元気元気! そっちも元気ー?』
恒一「うん元気だよ……ってなんか死んだ人と話す会話っぽくないね」
勅使河原「死人に元気もくそもなあ……」
望月「ちょっと勅使河原くん」
綾野『あはは、確かに勅使河原の言う通りだねー』ケラケラ
綾野ちゃんキタ――(゚∀゚)――!!
綾野『そういえば災厄は止まったんだって?』
恒一「うん、一応今年だけはね」
綾野『そっかーよかったね! あーあ、なんなら私が死ぬ前に止まってくれてたらなー……』
恒一「そ、それは……」
綾野『あっ……あはは冗談だってば、そんな声出さないでよこういっちゃん』
恒一「綾野さん……」
綾野『仕方ないよ、災厄なんだから……こういっちゃんは気にしないで?』
恒一「……ありがとう、綾野さん」
勅使河原「っつーかなんかサカキだけ喋ってね?」
望月「会話に入り込む隙が……」
鳴「……」(私さっきから空気)
綾野『それにしてもまさか夜見山から逃げようとしたら逃げる途中で死ぬなんて思わなかったよー』アハハ
恒一「ああそっか……確か崖から落ちちゃったんだっけ?」
綾野『あ、そうなの?』
恒一「え? そうなのって……」
綾野『実は死んだときの記憶があいまいになってるんだよね』
恒一「そうなの?」
綾野『うん、車で引っ越し先に向かってたところまでは覚えてるんだけどー……』
恒一「そうなんだ……」
綾野『私だけじゃないみたいだよ? 他にも死んだときの記憶が無い人多いみたい』
望月「死んだときの記憶が無いかあ……どういうことなんだろうね?」
勅使河原「さあな、俺オカルト詳しくねーし。見崎分かるか?」
鳴「ううん」
勅使河原「だよなあ……」
恒一「まあ、死んだときの記憶なんて無い方がいいと思うよ」
望月「それもそうだね……皆結構悲惨な死に方だったし」
鳴「確かに……死んだときの記憶なんて残ってたらトラウマになるかもね」
勅使河原「特に小椋とか桜木とかな……」
綾野『え? 由美がどうかした?』
恒一「あっいやいや、なんでもないよ」
綾野『あ、そういえばこういっちゃん見崎さんとはどうなの?』
恒一「え? 見崎?」
綾野『あれ……もしかしてまだ付き合ってない?』
恒一「はあ!?」
鳴「!?」
綾野『うっわマジで……? 意外と言うか予想外と言うか、いい加減にしろと言うか』
勅使河原「あー……まあそうなるよな」
望月「それは僕らも思ってたことだしね」
恒一「ちょっちょっと勅使河原たちまで!?」
勅使河原「だってよ、お前らそれでまだ付き合ってないって……」
望月「いい加減にしろって言われても文句言えないね」
恒一「ど、どういう……」
鳴「」
綾野『なーんだ、ならもし私が生きてたらこういっちゃんに猛アタックしてたのになー』
恒一「は?」
綾野『あっ、やっぱり気付いてなかった? 実は私、こういっちゃんのこと少し気になってたんだよ?』
恒一「え?」
鳴「……!?」
勅使河原・望月(なんか面白いことになってきた)
榊原「外見は見崎で明るいコがいたらなー」
アニメ見てる感じだと恒一が見崎を好きになる要素が見当たらないよね
なんで見崎にくっ付いてたのか良く分からなかった
綾野『だってさー! 都会から来たイケメン転校生で、しかも大学教授の息子でしょ? 気にすんなって言う方が無理!』
勅使河原「確かに……サカキはスペックたけーもんな」
恒一「ちょっと……勅使河原まで」
綾野『しかも進学校に行く予定って聞いたし、これは玉の輿狙うしかないなって!』アハハ
鳴「そういう理由なの……?」
望月「綾野さんって意外と打算的なんだね」
綾野『あ、もちろん都会云々は抜きにしてこういっちゃんのことは好きだよ? そんなのはおまけとかきっかけみたいなものだし』
恒一「そ、そう……ありがとう?」
綾野『あははは! なんでお礼言うの、こういっちゃん変なの!』
恒一「ご、ごめん……」
綾野『……あ、そろそろ交代の時間だ!』
恒一「交代?」
綾野『うん、いいんちょーが一人十分までって決めて……』
恒一「そうなんだ……」
綾野『それじゃこういっちゃん、それに三人も』
望月「うん」
勅使河原「俺らはおまけかよ……」
綾野『あはは、それじゃまたね!』
恒一「うん、またね」
勅使河原「じゃーなー」
『終わったよー、次の人どうぞ!』
『はいはい私! パスパース』
『ちょっと! 子機投げちゃだめですよ!』
望月「……綾野さん、元気そうでよかったね」
恒一「うん、そうだね」
勅使河原「あの世って案外楽しい場所なのかもな」
恒一「あはは、かもね」
『……もしもーし?』
勅使河原「おっ、次の人か……って誰の声だこれ?」
『あれ、子機壊れてない? 大丈夫?』
『もしもーし? 聞こえてるー?』
恒一「あっ、この声……水野さん?」
『おおっ! その声はホラー少年!』
勅使河原「水野?」
恒一「ほら、水野くんのお姉さんだよ。水野早苗さん」
勅使河原「ああー……なるほどな」
水野『何やら知らない人もいるみたいね。私は水野早苗よ、よろしくね』
望月「あっ……僕は望月優矢です」
勅使河原「俺は勅使河原直哉……です」
鳴「見崎鳴……」
水野『あら、例の見崎さんもいるのね』
勅使河原「例の?」
水野『ちょっとねー、以前見崎さんのことで恒一くんに相談されてたことがあって』
鳴「相談……?」
恒一「ちょっと水野さん! 誤解を与える言い方しないでくださいよ!」
水野『え? 何か問題でもあった?』クスクス
鳴「相談ってなんの相談ですか?」
水野『ええー……ちょっとここじゃ言えないかなあ?』
望月「ここで言えないことって……」
勅使河原「サカキお前……」
鳴「……榊原くん?」
恒一「ちょっと水野さん!! いい加減にしてください!!」
水野『あはははは! ごめんごめん怒んないでよホラー少年』
水野『それにしても、聞いた話だと見崎さんの件は解決したみたいね』
恒一「……まあ、一応は」
水野『よかったよかった、実はそれだけが心残りだったんだよねー』
恒一「ありがとうございます」
水野『と言うかなに、さっき綾野さんに聞いたけどまだ告白もしてないって本当?』
恒一「だからそれは……」
勅使河原「なんかまたサカキだけ喋ってんぞ」
望月「僕ら水野くんのお姉さんとは交流無かったし、これは仕方ないんじゃ……」
鳴(何の相談してたんだろう……)
水野『そういえばうちの弟は大丈夫? こっちに来てないってことは生きてるとは思うんだけど……』
恒一「水野くんなら大丈夫ですよ、怪我一つしてません」
水野『そっか! よかったあ、あの子意外とどんくさいとこあって心配だったのよね』
恒一「そうなんですか……そんな風には見えないけどなあ」
水野『見た目はね、見た目は。たまにとんでもないドジするのよあいつ』
恒一「へえ……水野さんとそっくりなんですね」
水野『……え? それどういう意味?』
恒一「いえ、なんでもないですから気にしないでください」
水野『ちょっと! それ私がドジだって言いたいの!?』
恒一「そういうわけではないですけど、遺伝ってすごいなあとは思ってます」
水野『ちょっとー!! ホラー少年表に出ろ!!』
水野『まったくもー……ちょっと勅使河原くん!』
勅使河原「へっ? お、俺?」
水野『ちょっとそこの小生意気なホラー少年一発叩いといて!』
勅使河原「ええ!?」
恒一「ちょっと!?」
水野『私が許可するわ! 行っちゃいなさいかませ少年!』
勅使河原「かませ少年ってなに!?」
水野『なんだか気味からはかませ臭がするから』
望月「ああ……」
鳴「確かに……」
勅使河原「おいお前ら何納得してんだ!!」
水野『行け! やっちゃえ!』
勅使河原「くっそお……サカキ一発殴らせろ!」
恒一「それ完全に八つ当たりだろ! やめてよ!」
勅使河原「うるせー!」
水野『あはははは……って、あれ? やばっもう時間!?』
恒一「え?」
勅使河原「あん?」
水野『ごめんねー、なんかもう十分経っちゃったって……』
恒一「あっ、もう終わりですか……」
水野『あら? なにそのちょっとほっとした感じの声』
恒一「いえ、ほっとなんてしてませんって」
水野『それじゃ、またいつかお話できたらしようね?』
恒一「……はい、またいつか」
水野『……あ、それと』
恒一「? まだ何か?」
水野『私も……キミのせいなんて思ってないからね?』
恒一「え?」
水野『だからあんまり気に病まないようにね!』
恒一「み、水野さ――」
水野『それじゃバイバイ!』
恒一「あっ……」
『はい次の人パース!』
『だから投げないでください!』
『おっしゃ次は俺――ってなんだよ、なにか問題でも……って、え? ふざけんなおい!』
勅使河原「なんかよくわかんねーけど……よかったなサカキ」
恒一「うん……そうだね、よかった」
鳴「それより榊原くん」
恒一「ん? なに?」
『これは満場一致で決まったことよ』
『そんな……!』
『諦めなよ、仕方ないさ……』
鳴「なんの相談してたのか後で教えてね?」
恒一「…………そ、それは……」
鳴「ね?」
恒一「………………は、はい」
『……もしもし』
恒一「あっ、ほ、ほら! 次の人来たみたいだしその話は後にしよう!」
鳴「……そうね、後で」
勅使河原「えーっとこの声は……」
『お、その声は勅使河原か』
望月「中尾くん?」
『あ、僕もいるよ』
勅使河原「あれ、高林も?」
勅使河原「何で二人一度なんだよ?」
中尾『何でも尺の都合がどーとか……男は需要ないからひとまとめとも言ってたぞ』
高林『女子の圧政ってフェアじゃないよね』
恒一「た、大変そうなんだね……」
中尾『その声は榊原か……』
高林『久しぶり、榊原くん』
恒一「うん、久しぶり二人とも」
『ついでに、僕もいるよ』
勅使河原「は……? こっこの声って……!」
風見『元気そうだね? 勅使河原』
勅使河原「かっ風見……」
恒一「……!」
風見『榊原くんも久しぶり』
恒一「……うん、久しぶり」
勅使河原「か、風見! あのさ俺……」
風見『……ああ、いいよ謝らなくて』
勅使河原「え?」
風見『僕を殺しかけたことだろ? もういいって言ってるんだ』
勅使河原「なっ……で、でもよ」
風見『あんなことを知ってしまったら疑心暗鬼になるのも頷ける……それにあれは事故みたいなものだったしね』
勅使河原「風見……」
風見『それに、あの後僕も色々やらかしたし』
恒一「……」
風見『そうだ榊原くんにも謝っておかなきゃ……合宿の時はホントごめんね』
恒一「風見くん……」
風見『こっちに来て冷静になってから、ホント自分のやったことを後悔したよ』
風見『……まさか自分が人殺しするなんてね』
勅使河原「……金木と松井のことか?」
風見『うん、そうだよ。誰かから聞いてるみたいだね』
恒一「その二人もそっちにいるの?」
風見『うんいるよ……二人とも、僕を見た瞬間怯えて逃げ出したけど』
恒一「ああ……そりゃあ、ね」
風見『自分を殺した相手がやって来たら、まあ仕方ないよね』
風見『でも最近は少しずつ打ち解けてるよ』
恒一「そうなの?」
風見『うん……なんだろうね、少し不思議なんだけど』
風見『こっちの方に来ると、感情が薄れると言うか……憎しみとか悲しみとかそういうのが殆ど消えるみたいなんだ』
恒一「憎しみとか悲しみが消える?」
風見『うん、どういう仕組みなのかはわからないけどね』
風見『少なくともこっちには一人も恨み辛みを抱えてる人はいないよ』
恒一「そうなんだ……」
風見『っと……随分と話しこんじゃったみたいだね、もう時間だ』
恒一「え? もう?」
恒一「でもまだ十分経ってないんじゃ……」
風見『女性陣は十分、男性陣は五分ってさっき決まったらしい』
恒一「そ、そうなの……」
勅使河原「苦労してそうだなお前ら」
中尾『っておいちょっと待て!! 俺ら殆ど話してねーじゃねーか!?』
高林『こんなのフェアじゃないよ!!』
恒一「あはは……まあ元気そうなのが知れてよかったよ」
中尾『おい榊原! 俺はお前に一つ言っておくことが――』
『はいもう終了ですよー、終わった人はこちらにどうぞ』
中尾『ちょっはっ放して……うわー! 待って! やだー!』
高林『フェアじゃないー!!』
『ちくしょう! そろそろ男にも人権をくれよ!』
『無い無いそんなの、少なくとも中尾には』
『次の人誰ですかー?』
恒一「……」
勅使河原「……」
恒一「……よかったね、話せて」
勅使河原「……だな、ちょっとすっきりしたかもな」
『つぎわたしー』
『わかりました、子機どうぞ』
『もしもーし』
恒一「えっと、この声は……」
鳴「……小椋さん?」
小椋『久しぶりね、榊原くんに見崎さん』
勅使河原「小椋かあ」
望月「久しぶり、小椋さん」
小椋『うん、勅使河原に望月くんも久しぶり』
小椋『元気そうでよかった、彩も皆のこと心配してたしね』
望月「小椋も元気そうでよかったね」
勅使河原「だな、なんせ死に方が――」
望月「ちょっとその話は!」
小椋『死に方……? あ、それよりも……見崎さんに榊原くん』
鳴「?」
恒一「えっ、僕ら?」
小椋『うん……ごめんね、殺しかけて』
恒一「あ……」
鳴「……」
小椋『災厄が止まって、見崎さんがまだ生きてるってことは……死者は見崎さんじゃないんでしょ?』
恒一「……うん、そうだね。今年の死者は別の人だったよ」
小椋『やっぱりかあ……はあ、ごめんねホントに。勘違いで殺しかけるなんて』
恒一「いやそんな……あの状況じゃ仕方なかったよ」
鳴「……そうね、皆疑心暗鬼になってた」
小椋『……ありがと、ちょっと元気でた』
恒一「どういたしまして」
小椋『……そうだ、ちなみに多佳子や川堀とかも同じこと思ってるみたいよ』
恒一「杉浦さんたちも?」
小椋『うん、気まずいのか電話の順番のクジはひいてないみたいだけど……頼まれたし代わりに謝っておくわ。ごめんなさい』
恒一「そっか……うん、ありがとう。杉浦さんたちにもよろしく言っておいてくれる?」
小椋『ふう……これで胸のつっかえが取れたわ』
恒一「あはは、よかったね」
小椋『うん……あ、そうだ』
勅使河原「ん? どうかしたか?」
小椋『気になってるんだけどさ、今年の死者って誰だったの?』
恒一「え?」
鳴「……? そっちに来てないの?」
小椋『最後に来たのは泉美よ。もしかして泉美が死者だったの?』
恒一「えっ……いや、赤沢さんは死者じゃないよ」
小椋『え? どういうこと?』
恒一「こっちが聞きたいよ……怜子さんはそっちに行ってないの?」
小椋『怜子さん?』
鳴「三神先生のこと」
小椋『……誰よそれ?』
恒一「え?」
小椋『三神先生なんて人学校にいたっけ……? もしかしてその人が今年の死者だったの?』
恒一「う、うん……そうなんだけど、本当に覚えてない?」
小椋『うーん……やっぱり覚えてないなあ』
恒一「そう……」
鳴「どういうことなの?」
恒一「さあ、僕にもちょっと……」
恒一「うーん……」
鳴「死者だった人は別、ってことなのかな」
勅使河原「俺らはもうその人のことは覚えてないし、なんとも言えねーな」
望月「そうだね……」
小椋『とにかく、こっちにいる中には死者はいないってこと?』
恒一「……うん、そうだね」
小椋『そっか……わかった、それだけわかれば満足よ』
小椋『それじゃそろそろ時間だから、次の人に代わるね』
恒一「うん、それじゃまたね小椋さん」
小椋『ええ、また……まあ次が何時になるかわかんないけどね』
恒一「あはは、そうだね……」
小椋『見崎さんもまたね』
鳴「うん、またね」
勅使河原「おい俺らには何かねーのかよ?」
小椋『高校入ったら部活ぐらいしなさいよ、帰宅部のエース』
勅使河原「おい! なんだそりゃ!」
小椋『あはは! じゃーねっ』
『次の人誰ー?』
『ついに私の番ね!! 早く貸しなさい!』
『ちょっちょっと! つかみ取らないでよ!』
恒一「うーん……怜子さんはいないのか」
鳴「……話したかった?」
恒一「少し、ね……ほんの少しだけ」
『もしもしっ!!』
勅使河原「うおっ……ってこの声は!!」
『うげっ、勅使河原……ねえ恒一くんはいる?』
恒一「この声……赤沢さん?」
実はまだ玲子さんは生きていて恒一に復讐しにくるとか
赤沢『いたーっ! ……ごほん、久しぶりね恒一くん』
恒一「うん、久しぶり赤沢さん」
赤沢『ずっとあなたと話したかったわ』
恒一「そ、そうなの?」
赤沢『うん、こっちに来てからずっとね』
恒一「そうなんだ……」
鳴「……」
勅使河原「おい赤沢! 俺は!?」
赤沢『ゆかりー! これって勅使河原だけミュートとかにできない?』
勅使河原「おいっ!!!!」
赤沢『冗談よ、勅使河原達も久しぶり。元気だった?』
勅使河原「冗談きついぜマジで……」
望月「あはは、変わってないね赤沢さん」
赤沢『そりゃあね、私は私だもの……そうだ、それよりも見崎さん』
鳴「……私?」
赤沢『ええ、先に済ませておかないとね……合宿の時はごめんなさい』
鳴「……ああ」
赤沢『あなたは死者じゃなかったらしいわね』
鳴「うん、私は死者じゃない」
赤沢『やっぱり……はあ、死者も見抜けずに対策係だなんて、とんだお笑いものね』
望月「まあ元から余り対策できてなかった気も……」
勅使河原「おい望月、それ禁句禁句」
赤沢『…………まあいいわ、恒一くんもごめんね』
恒一「僕も気にしてないよ、それより僕もごめん」
赤沢『……ごめん? 何のことかしら?』
恒一「思い出したよ、赤沢さんが最後に言ったこと」
赤沢『最後……?』
恒一「もしかして覚えてない?」
赤沢『ごめんなさい、私も死ぬ直前の記憶があいまいで……』
恒一「えっとほら、河川敷で僕が缶をぶつけられた話」
赤沢『缶……? ……あっ!』
恒一「思い出した?」
赤沢『え、ええ……私たちが初めて会った時のことでしょ?』
恒一「そうそう」
鳴「? どういうこと、榊原くん。缶がどうとかって」
恒一「話すとちょっと長いからな……また後で話すよ」
赤沢『あ……あーあー、ちょっとずつ思い出してきたわ』
恒一「ホントに?」
赤沢『ええ……恒一くん、ああいう時は嘘でも覚えてるって言うものよ』
恒一「あはは、ごめん……」
赤沢『まったく……まあそういうところでも、私は完敗だったってわけか』ボソッ
恒一「完敗?」
赤沢『こっちの話よ、気にしないで』
赤沢『……え? なに? もう終わり?』
恒一「あっ……もう時間か、早いね」
勅使河原「だな、話しこんでると結構時間が経つのって早いもんだなあ」
望月「だね……と言うかもうそろそろ下校時刻じゃない?」
『お願いゆかり! もうちょっとだけ! あと五分だけ!』
恒一「ああ、確かにもう夕方だね」
鳴「そろそろ帰った方がいいんじゃないかしら?」
恒一「そうだなあ……」
『お願いゆかりー!! 一生のお願いだから!!』
赤沢『……ごめんなさい恒一くん、もう時間だわ』
恒一「そうみたいだね……それでさ、こっちも悪いんだけど」
赤沢『? なにかしら?』
恒一「僕らもそろそろ帰らなきゃだから、次の人で終わりでいいかな?」
赤沢『ああ……わかったわ、皆に伝えておく』
恒一「ありがとう、じゃあさようなら赤沢さん」
赤沢『ええさようなら……またね、恒一くん』
恒一「うん、またね」
『次の人で最後よー』
『ええーっ!!!!?』
勅使河原「……赤沢のやつ、俺らには挨拶無しだったぞ」
望月「ドンマイ、勅使河原くん」ポン
勅使河原「肩に手ぇ置くな!!」
『あっぶなー……最後私じゃん!』
『あら、あなただったの。はい受話器』
鳴「……最後は誰だろうね?」
恒一「うーん、まだ話してない人だと……誰だろう?」
『もっしもーし!』
勅使河原「この声は……って誰だよ? 望月知ってる?」
望月「いや僕は……榊原くんは?」
恒一「いや、これは僕も知らない人の声だよ」
『ん? もしもーし? 聞こえてるー?』
鳴「……え?」
恒一「どうしたの見崎?」
『あっ、今の声もしかして鳴!?』
鳴「っ……! み、未咲!?」
恒一「未咲?」
未咲『久しぶりだね鳴! 声聞きたかったよ!』
鳴「……ホントに未咲なの?」
未咲『うん! ホントに私だよ、鳴』
鳴「未咲……」
勅使河原「なあ、どういうこと? 見崎がミサキミサキって言ってるけど」
望月「わかんないよ……」
恒一「……ああそっか、なるほど」
勅使河原「おっ、サカキは何か知ってんの?」
恒一「見崎のいとこだよ、藤岡未咲って言う子」
勅使河原「フジオカミサキ?」
恒一「うん、彼女も災厄の犠牲者だったんだ」
望月「あれ、ちょっと待って……でも今いとこって言わなかった?」
恒一「あー……それは……」
未咲『鳴元気だった?』
鳴「うん、私は元気。未咲は……言わなくてもって感じね」
未咲『うん! 私も元気だよ!』
鳴「……まさか未咲とまた話せるだなんて思ってなかった」
未咲『私もだよー! 相変わらず鳴の声は綺麗だね!』
恒一「その話はいずれするよ、ちょっとややこしいからさ……」
勅使河原「ふーん……まあいいけどな」
望月「それより、あっちは随分楽しそうだよ」
未咲『ごめんね鳴、約束守れなくなっちゃって』
鳴「ううん……いいよ、そんなの。気にしてない」
未咲『でもー……あーあ、鳴と一緒にまた観覧車乗りたかったなー』
鳴「私も」
未咲『全く、ホント病気のばかやろーだよね! あれ? 災厄だっけ?』
鳴「それは……」
未咲『こっちにいる人に色々聞いたよ? 鳴大変だったらしいね』
鳴「ううん、それほどでもなかったわ」
未咲『でもいない者にするなんて理不尽じゃない! 私に少しぐらい相談してくれればよかったのにー!』
鳴「それは……ごめんね、家族には話しちゃいけない決まりだったから」
未咲『ぶー……まあいいけど。鳴だから許す』
鳴「ふふっ……ありがと、未咲」
未咲『……えへへっ、どーいたしまして!』
勅使河原「俺、見崎のあんな笑顔初めてみるぞ」
恒一「僕もだよ……」
未咲『そーだ! それで例の彼氏さんって今いるの!?』
鳴「……は?」
未咲『鳴ったらずるいよ! 私を差し置いて先に大人の階段を……』
鳴「ちょっちょっと待って未咲、彼氏って誰のこと?」
未咲『えー? しらばっくれてもだめ! こっちの人が教えてくれたんだから! 確か榊原くんだっけ?』
鳴「!?」
未咲『もしもーし! そっちに榊原くんって人いるー!?』
恒一「あれ? 僕呼ばれた?」
勅使河原「みたいだな……行って来いよ」
恒一「いいのかなあ邪魔して……」
望月「呼ばれてるんだから気にしなくていいと思うよ」
恒一「えっと……僕が榊原恒一だけど」
未咲『おー! 君が鳴の彼氏?』
恒一「えっ?」
鳴「ちょっと未咲! 榊原くんはそんなんじゃ……!」
未咲『あはは、鳴ったら照れてる! ねえねえ榊原くん!』
恒一「あ……な、なに?」
未咲『鳴のどこに惚れたの?』
恒一「惚れっ!?」
鳴「未咲っ!!」
未咲『わかるよー、鳴って可愛いもんね?』
恒一「は、はあ……」
未咲『鳴って結構ゴスロリとかフリルたくさんのワンピースとか似合うんだよ? そういうの着たときはホントお人形さんみたい!』
恒一「ご、ゴスロリ……」ゴクリ
未咲『おっ、興味ある? 興味ある? 残念だなー、写真が見せれたらよかったんだけど』
鳴「……未咲、いい加減にして。榊原くんに迷惑」
未咲『ありゃ……あはは、鳴に怒られちゃった。ごめんね榊原くん』
恒一「い、いや僕は別に……」
未咲『ん……あーもう時間かあ』
鳴「もう?」
未咲『うん、もう終わりだって。もっと鳴とお喋りしたかったなー』
鳴「……うん、私ももっと未咲と話したかった」
未咲『うん……ねえ、榊原くん』
恒一「……ぼく?」
未咲『鳴のことよろしくね? この子意外と危なっかしいから』
鳴「!?」
恒一「ああ……そうだね、確かに」
鳴「榊原くんまでっ!?」
鳴「大丈夫」キリッした後すぐにガラスで怪我しそうになったりロッカー倒してテッシー殺そうとしたり全然大丈夫だよな
未咲『あはははは! それじゃーね鳴、榊原くん!』
鳴「もう……じゃあね、未咲。話せてよかった」
恒一「僕も藤岡さんと話せてよかったよ」
未咲『うん、私も二人と話せてよかった……バイバイ!』
鳴「バイバイ、未咲」
『――はーい終わりましたー!』
『それじゃあ受話器戻しておいてくださいね』
『待って! その前に恒一くんともう一言だけ――』
『駄目ですよ、あちらに迷惑になりますから』
『お願いゆかり! 後生だから――』
――ブツッ
ツー…ツー…ツー…
恒一「……」
鳴「……」
勅使河原「……」
望月「……」
恒一「……よかったね」
勅使河原「……だな、まさかまた赤沢達と話せるなんて思ってなかったぜ」
恒一「ホント、皆と話せてよかったよ」
鳴「私も……未咲とまた話せて嬉しかった」
望月「それにしてもまさか本当だったなんてね、この都市伝説」
勅使河原「だなー……オカルトは災厄以外信じない主義だったけど、こりゃ改める必要があるな」
恒一「みたいだね」
鳴「うん……」
勅使河原「……よし! それじゃそろそろ帰るか!」
望月「もう外も暗いしね」
恒一「そうだね……行こう、見崎」
鳴「うん」
勅使河原「そうだ、帰りどっか寄っていかね? 小腹すいちまってさー」
望月「またあ?」
恒一「僕もちょっと空いたかな……夕飯前に少しだけならいいと思うけど」
望月「榊原くんまで……」
恒一「見崎はどう思う?」
鳴「たまにはいいんじゃないかしら」
勅使河原「よし、じゃあ決まりだな! じゃあ久しぶりにイノヤでも――――」
「――――?」
「――。――――」
「――」
・
・
・
・
・
・
――リリリリ
ピリリリリリリ
ピリリリリリリ
ピリリリリリリ
ピリリリリリリ
ピリリリリリリ
ピリリリリリ
ピリリリリリ
ピリリリリリ――ピッ
『……』
『……』
『……この度はあの世へ繋がる電話のご利用、ありがとうございました』
『死者との通話はお楽しみになられたでしょうか?』
『もう二度と話せない筈の人との会話、楽しんで頂けたのなら幸いです』
『……では』
『本日、お客様がご利用になられた時間は××時間××分××秒になります』
『ご利用時間から換算致しました通話料金は後日、係の者が請求に参りますのでそのように』
『では、またのご利用をお待ちしております』
『……』
『……』
『……』
『……まあ』
『――次があれば、の話ですが』
――ブツッ
ツー…ツー…ツー…
終わり
>>145
水増しし過ぎではないか?
-、
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__ -=ニ\入)ニ二二二二>''": : : : : : : : :l: : : :.∨ l }\{\{ ̄≧=ミ从__彡' /_ \__ノ ,〉
<二二二二二二二二>''": :/: :.:/: :/: : : : :.}㍉:.: :.∨l|,/-- ´ __ } l|\{_ { `ーく___/〉
二二二二二二>'"_フ: : :/: : : :/: :/: : :/: :./ V:.「l l| 〃 ̄`| l「} l{ /介ー―'‐介
二二二>''"、___/ /: :ーァァ≦}/l: : /: :./_ ㌶_} { == 、 ''' | llノ从_l::∨\__ノ}:|
/::::::::::::::::\/ /:.: : : :|:l 芹刈 l/}/__ `}リ_} 〃,,,, _ ノイ| /⌒::::::\__/::
:::::::::::::::::::::/ /: : : : : |:{乂少゙ ´芹うト l/: |从{ V´ } ,小 { /::::::::::::::::::::::::/
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おつ
やっべ王子くん素で忘れてた
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