ゆり「だから、好きなのよ」
音無「……誰が?」
ゆり「私が」
音無「……誰を?」
ゆり「あなたを」
音無「」
ゆり「……そんなに驚くことかしら?」
音無「あ、ああ、驚いたよ。……というか本気、なのか?」
ゆり「別にあなたにこんな嘘をつく必要がないでしょう?」
音無「まぁ、そりゃそうだけど……」
ゆり「まぁ、そういうわけだから」
音無「あ、ああ……」
ゆり「……」
音無「……」
ゆり「……」
音無「……」
ゆり「……あと、たぶんあなたのことが好きなのは私だけじゃないわよ?」
音無「……え?」
ゆり「少なくとも、私の知っている限りであと3人はいるわね」
音無「……マジで?」
ゆり「マジもマジ、大マジよ」
音無「……」
ゆり「私が言えるのはここまでよ。あとはその子達がどうするかだけど」
音無「……えっと、その、ゆり、お前は……」
ゆり「ああ、私はいいわよ。少なくとも今はね」
音無「……」
ゆり「ただ、その子達に負けるつもりはないわ。それだけはあなたも覚えておいて」
音無「あ、ああ……」
ゆり「それじゃあ、私の話はこれで終わりね。あとは好きにしていいわよ」
音無「あ、ああ、それじゃあ……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
音無(ゆりが俺の事を……?本気、だったのだろうか……?)
音無(しかも、他にも俺を好きな奴がいるって……)
音無(俺、まったく覚えがないんだけど……本当、なのか……?)
音無「うーん……」
かなで「……結弦?何してるの?」
音無「ああ、かなでか……」
かなで「どうしたの?何か悩み事?」
音無「ああ、ちょっと、な……」
かなで「私で良かったら、相談に乗るけど?」
音無「……あー、うーん……」
かなで「?……言いにくい事なの?」
音無「……言いにくいというか、なんというか……」
かなで「……私じゃ、力になれない?」
音無「あー、いや、そういうわけじゃないんだけどさ……」
かなで「?」
音無(かなでに相談しても大丈夫なんだろうか?あんまりこういう事を他人に言うのは良くない気がするけど……)
音無「……あのさ、かなで」
かなで「なに?」
音無「もし、かなでが突然知り合いに告白されたとしたら……どうする?」
かなで「告白?何の?」
音無「あー、要するに、好きって言われたらだよ」
かなで「……場所をわきまえてくれているのであれば、ちゃんと返事をするわ」
音無「……まぁ、そりゃそうだよな……(大山ェ……)」
かなで「……結弦は、誰かに告白されたの?」
音無「……まぁ、そうだと、思う……」
かなで「……」
音無「……かなで?」
かなで「……なに?」
音無「え?ああ、いや、黙ってどうしたのかなって思ってさ」
かなで「別に、なんでもないわ」
音無「そ、そうか。……それじゃあ、俺は行くよ。これはやっぱ俺が自分で解決しないといけないしさ」
かなで「どこに行くの?」
音無「いや、ちょっと頭冷やしたいから、適当にぶらつくだけだよ」
かなで「……そう」
音無「ああ、話し聞いてくれてありがとな。それじゃ」
かなで「……うん」
かなで(……なんだろう、この気持ち……少し、胸が痛いわ……)
―――――――――――――――――――――――――――――――
音無(……とは言ったものの、どうすりゃいいんだ……)
音無(そりゃ、ゆりは良い奴だと思うし……可愛いと思うけど……)
音無(しかも、他にも俺を好きな奴がいるって言われてもな……)
音無「……どうすりゃいいんだよ……」
岩沢「……ん?記憶無し男じゃないか。ここで何してるんだ?」
音無「ああ、岩沢か。……まぁ、ちょっとな」
岩沢「なんだ、はっきりしない言い方だな。何かあったのか?」
音無「あったと言えばあったんだけど、さ……」
岩沢「ふふ、なんだ?誰かに告白でもされたのか?」ニヤニヤ
音無「!?……まぁ、そんなとこ、だよ」
岩沢「……え?」
音無「……だから今、正直困ってるんだよ」
岩沢「だ、誰に告白されたんだ?」
音無「……え?……ああ、いや、でもそれ言っていいものなのか……?」
岩沢「……そうだな。それは、良くない、か……」
音無「それで今ちょっとぶらついてたんだよ。頭冷やすためにさ」
岩沢「……そうか」
音無「……参考までに聞くけど、岩沢は誰かに告白された事はあるか?」
岩沢「……いや、私はそういうのは……」
音無「そっか。まぁ、俺も初めてだったから、ちょっとよくわからなくてさ、ははは……」
岩沢「……」
音無「まぁ、とりあえず、向こうは待ってくれるみたいだから、もう少しゆっくり考えるつもりだよ」
岩沢「……そうか」
音無「それじゃ、俺は行くよ。バンド、頑張れよ」
岩沢「……ああ」
音無「……ああ、あとさ」
岩沢「?」
音無「いつだったかくれた飲み物、ありがとな。美味かったよ」
岩沢「!?」
音無「じゃ、それじゃあ俺はこれで」
岩沢「……まっ、待て!」
音無「ん?どうした?」
岩沢「……あっ、その、だな……」
音無「?」
岩沢「………~~~ッ!」
音無「???」
岩沢「……好きだ……」
音無「……は?」
岩沢「だ、だから、私も、お前が好きだ……ッ!///」
音無「……」
岩沢「……」
音無「……」
岩沢「……」
音無「……」
岩沢「……な、何か言え……ッ!///」
音無「え?あっ、いや、その……」
音無(嘘、だろ?岩沢が俺を?……ゆりが言っていたのは、岩沢の事だったのか……)
音無「あ、ああ、その、びっくりした……」
岩沢「……それだけ、か?」
音無「え?……あ、ああ、う、嬉しいよ」
岩沢「……」
音無「……」
岩沢「……ふぅ……まぁ、突然こんなこと言われてもそれが普通の反応か……」
音無「い、岩沢?」
岩沢「ふぅー、なんかすっきりした。以前から気になっていたんだ、お前の事がさ」
音無「そ、そうなのか……」
岩沢「そもそも、なんとも思っていない相手に飲みかけの飲み物などあげるか」
音無「あ、ああ、まぁ、そうか……」
岩沢「お前、あれ飲んだんだよな?」
音無「あ、ああ、飲んだけど?」
岩沢「間接キス、だよな、それ」
音無「!?」
岩沢「責任、取ってもらうぞ?」
音無「い、いや、その……///」
岩沢「……はは、冗談だよ。……ただ、覚えておいてくれ。さっきのは本心だから」
音無「……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
音無(岩沢も、俺の事が好きだったのか……)
音無(……ゆり、岩沢、一体どうしたっていうんだ……)
音無「はぁ、どうすりゃいいんだ、俺は……」
椎名「……」
音無「はぁ……」
椎名「……おい」
音無「!?……な、なんだ椎名か、驚かすなよ」
椎名「私は驚かしたつもりはない」
音無「いや、気配遮断してただろ……」
椎名「……あさはかなり」
すまん、ちょっと体の調子が悪いから寝る
残ってたらまた続き書く
保守サンクス
書いてくよ
音無「にしても椎名、珍しいな」
椎名「……何がだ」
音無「いや、緊急事態でもないのに、こんな風に話すのがさ」
椎名「……」
音無「あっ、別に悪いわけじゃないぞ。……気に障ったのなら謝る。悪かった」
椎名「……別にいい。ただ私は別に話さないわけじゃない」
音無「ああ、わかってる。俺がここに来て最初にギルドに行った後に、色々言われたしな」
椎名「あ、あれは……」
音無「改めて言うまでもないけど、お前は俺なんかよりもよっぽど強いぞ?」
椎名「……」
音無「俺よりもずっと運動神経いいしさ。俺はかなで……天使となんて戦ったら一瞬でやられるだろうしさ」
椎名「……お前の強さは、そういうものではない」
音無「え?」
椎名「……お前には確たる芯がある。その意志の強さこそ、お前の強さだ」
音無「い、いや、俺は別に……」
椎名「……お前が来て、この戦線は少しずつ変わってきている」
音無「……」
椎名「……それが良いことかどうかは私には判断できない。だが、私はそのお前の強さは認めている」
音無「椎名、お前……」
椎名「……だから、私はお前に少し興味がある」
音無「……え?」
椎名「……私は、私より弱いものに興味など持たない」
音無「……」
椎名「……お前は私より確かに弱い。戦闘も集中力も私はお前に劣るとは思わない」
音無「……まぁ、そりゃそうだろうけど」
椎名「……だが、お前の意志の強さは、私のそれに勝るとも劣らない」
音無「い、いや、そんなことないぞ?俺はただ……」
椎名「……私はそのお前の強さがどこからくるのか知りたくなった」
今更だけど、時系列はバラバラだから
そこんとこよろしく
音無「……椎名、俺はそんな大した人間じゃないよ」
椎名「……」
音無「俺はたださ、俺が死ぬ直前で手に入れることができた、報われた気持ちをみんなにも味わってほしかっただけだ」
椎名「……」
音無「この世界の住人は、それを持つ事無く死んでしまった者たちだ。……俺はそれを悲しいと思った」
椎名「……」
音無「だから、俺と同じ気持ちをみんなも持てたら良いはずだ……そんなある種の俺の我侭なんだよ」
椎名「……ならば、お前は私も救ってくれるのか?」
音無「え?」
椎名「……いや、なんでもない……」
音無「……救うよ」
椎名「!」
音無「椎名が、それを望むのなら、俺は救ってみせるよ」
椎名「……」
音無「……とは言っても、俺ができることなんてたかが知れてるけどさ、ははは……」
椎名「……なら、私と結ばれろ」
音無「……は?」
椎名「……わ、私の望みは、私より強い男と結ばれる事だ……///」
音無「」
音無(……おい、これって、まさか……)
椎名「……私は生前、くノ一として生きてきたが故に、恋愛などというものをした事がない」
音無「……」
椎名「……そもそも、私より強い男など私の周りにはいなかった」
音無「だ、だったら俺だって……!」
椎名「……お前は違う。お前のその強さは、私にはない強さだ」
音無「そ、そんなことないって!お前だってさっきそう……」
椎名「……他人を想う強さ。それがお前の強さだと、やっとわかった」
音無「……」
椎名「……私にはない強さだ。私は、他人に興味を持たない性質だから」
音無「……」
椎名「……だから、お前なら……いや、お前が私の傍にいてくれるなら、私は……」
音無「……」
椎名「……返事はすぐでなくともいい。いずれ聞かせてくれればそれでいい」
音無「……その、椎名、俺は……」
椎名「……安心しろ。待つのには慣れている。私は忍だからな」
音無「……ま、待ってくれ。……その、椎名は、相手が強ければいいのか?それとも……」
椎名「……お前だからいいんだ。そんなこと言わせるな……///」
音無「!?」
椎名「……]
音無「……椎名、ありがとう……でも、少し考えさせてくれ」
椎名「……」コクリ
音無「……あー、その、嬉しかったよ」
椎名「!?……あ、あさはかなり……///」シュ!
―――――――――――――――――――――――――――――――
音無(まさか椎名までもが俺の事を……)
音無(ゆり、岩沢、椎名……まだ、いるのか?)
音無(……俺、いつの間にこんな……)
音無(……どうすりゃ、いいんだよ)
音無「……はぁ」
遊佐「……音無さん?どうしたんですかこんなところで?」
音無「……ああ、遊佐か。珍しいなこんなとこで」
遊佐「ええ、今日は少し暇をもらったので」
音無「……そっか。いつも見張りご苦労様」
遊佐「いえ、私の性に合っているので、逆に助かりますよ」
音無「……そうか……まぁ、今日くらいはゆっくりしてくれ」
遊佐「?音無さん?どうかしたんですか?何か悩み事でもある風ですが……」
音無「ああ、いや、大した事じゃないよ……ちょっと、な……」
遊佐「……色恋沙汰ですか」
音無「!?……な、なんで」
遊佐「図星ですか……まぁ、一応、これでも戦線一のオペレーターだと自負しているので」
音無(オペレーターだからって、あんま関係ないんじゃ……)
音無「……はは、俺達も優秀なオペレーターを持ったもんだよ」
遊佐「それで?一体どうしたんですか?誰かに告白でもされたんですか?」
音無「……」
遊佐「……音無さんって随分とわかりやすい方ですね」
音無「……はぁ、遊佐には敵わないな」
遊佐「これでも戦線一のオペレーターですので」
音無(自負じゃなくなったよ……)
音無「……まぁ、とりあえずそんなところだよ」
遊佐「……なら、もう少し喜ぶべきではないでしょうか?女子に告白されるのは男子としては嬉しいのでは?」
音無「そりゃ嬉しいさ。嬉しいけど……」
遊佐「……まさか、複数人から?」
音無「……お前、どうしてそんなに鋭いんだ」
遊佐「これでも死んだ世界一のオペレーターですので」
音無「……まぁいいや……とりあえず、そんなこんなで悩んでるんだよ」
遊佐「……」
音無「どうすればいいんだ……これからどんな顔してあいつらに会えば……はぁ……」
遊佐「……一つ、手っ取り早い解決法がありますけど」
音無「えっ!?何かあるのか!?」
遊佐「はい。まぁ、音無さん次第ではありますが」
音無「なになに!教えてくれ!」
遊佐「……そんなに知りたいですか?」
音無「ああ!頼む!」
遊佐「……それじゃあ」
音無「……」ゴクリ
遊佐「……私と音無さんがすでに付き合っている事にすればいいんです」
音無「……は?」
遊佐「そうすれば音無さんは何も悩む必要がなくなりますが」
音無「ま、待て!それはまずいだろう!」
遊佐「何がですか?」
音無「何がって……まず遊佐に悪いだろう」
遊佐「……」
音無「好きでもない相手と付き合うフリなんて誰だって嫌だろ?……それに、今日俺に告白してくれた奴にも騙して悪いし」
遊佐「……じゃあ、私が音無さんを好きなら問題ないわけですよね?」
音無「え?」
遊佐「私が音無さんを好きで、音無さんが付き合うとご自身で決めれば、問題はないのでは?」
音無「それはそうだけど……って、ちょっと待て!?なんか色々とおかしいぞお前!?」
遊佐「別段おかしくはないと思いますが?」
音無「いやおかしいだろ!?まず遊佐、お前、俺のことなんか好きじゃないだろ!?」
遊佐「いえ、好きですよ?」
音無「」
遊佐「少なくとも、この戦線の男性の方の中では一番」
音無「……それは、別に俺が恋愛対象で好きってわけじゃ……」
遊佐「……鈍いですね」
音無「え?」
遊佐「そんなことだからいつの間にか色んなフラグが立つんですよ」
音無「……」
遊佐「……はぁ、じゃあはっきり言いますよ?……好きです、音無さん……これでいいですか……?///」
音無「あ、ああ……いや、でも待ってくれ。俺と遊佐ってそんなに接点ないと思うんだが、いつ……」
遊佐「……確かに、私達には直接的な接点はあまり多くはありません。……ですが、私は通常、どういう役割でしたか?」
音無「……オペレーター」
遊佐「そうです。私はオペレーター。その役割は情報の収集、伝達、そして状況確認と監視などです」
音無「えっと、それが一体?」
遊佐「つまり、私は屋上とかから皆さんの動きをよく見ていたんですよ。別に変な意味じゃなく」
音無「……」
遊佐「音無さんが戦線に参入して来てから、私は音無さんも見る必要があったんですよ。別に変な意味じゃなく」
音無「……」
遊佐「正直、最初は変な人だなって思っていたんです」
音無「変な人?」
遊佐「はい。最初、あなたからは何かをしようとかっていう気が感じられませんでしたから」
音無「……」
遊佐「いつもゆりっぺさんの、戦線の流れに合わせているだけ……私はそんなあなたを見て思いました」
音無「……何をさ?」
遊佐「この人は一体何を考えているんだろう?何がしたいんだろう?どうしてここにいるんだろう?と」
音無「……」
遊佐「そこからですかね。あなたを特別な意味を持って見始めたのは」
音無「……」
遊佐「私も四六時中あなたを見ているわけにもいきませんから、あなたの行動全部が全部と言えるわけではありませんが……」
音無「……」
遊佐「……あなたの行動は、基本誰かのためなんですね」
音無「!?」
音無(そんなこと、椎名も言ってたな……)
遊佐「あなたは誰かのためにこそ動く人です。見ていれば、残念なくらいはっきりわかってしまうほどに」
音無「そんなこと……」
遊佐「ゆりっぺさん、日向さん、ユイさん、敵であった直井くん、そして戦線の宿敵である天使に対してまで、分け隔てなく」
音無「……」
遊佐「この戦線が今こうして変わってきているのも、確実にあなたの力によるものです」
音無「それは……」
遊佐「そんな姿をずっと見てたら、そりゃ誰だって好きになりますよ」
音無「……」
遊佐「……解決策を提示するはずが、またさらに困惑させてしまったようですね。すみませんでした」
音無「あ、ああ、いや、その……ありがとう。こんな俺を好きになってくれてさ」
遊佐「……いえ、私が勝手にあなたを好きになっただけですから。気にしないで下さい。最悪、忘れてしまっても結構です」
音無「それはできない」
遊佐「……え?」
音無「……時間はもらうことになるけど、ちゃんと考えるから。それまで待って欲しい」
遊佐「……あぅ、わ、わかりました……待っています……///」
音無「ありがとう……それじゃ、俺はもう行くよ。……ちゃんと考えるから」
遊佐「……はい。どんな結果であろうと構いません。……ただ待っています」
音無「ありがとう……それじゃあ、な」
遊佐「……はい」
―――――――――――――――――――――――――――――――
NPC「ここで一つ聞きたいんだが、この続き俺の好みで進めてもいいのか?」
NPC「というかここまでも十分俺の好みで進めてるんだが……」
NPC「最後誰にするかはどうしたらいい?安価?」
NPC「意見求む」
NPC「ふむ、わかった。とりあえず今回は俺の好きなように書かせてもらうよ」
NPC「暇があれば、またいつか違う形で書く」
NPC「それじゃ続き書いていくよ」
NPC「あと、今回は本編で音無と繋がりができそう、かつ、俺個人の好きなキャラで書かせてもらってるから」
NPC「そこんとこ了承してくれ」
―――――――――――――――――――――――――――――――
音無(ゆり、岩沢、椎名、そして遊佐……)
音無(俺を好きになってくれたのはスゲー嬉しいけど……)
音無(……俺なんかのどこがいいんだ……)
音無(そして、俺はどうすればいいんだ……)
音無「……はぁ、でもちゃんと決めて返事しなきゃな……」
かなで「……結弦?」
音無「……ああ、かなでか。また会ったな」
かなで「……なんだか、さっきよりも深刻そうな顔してるけど、何かあったの?」
音無「……ああ、まぁ、最初に言っちゃったし、もうこの際だから言うけど、また告白されたんだ……」
かなで「……同じ人から?それとも違う人から?」
音無「……違う人から」
かなで「……」
音無「……みんな、真剣に俺を想ってくれてるみたいだから、さ……俺もちゃんと決めて返事しなきゃって思って……でも……」
かなで「……決めれないの?」
音無「……悩んでるんだ。みんな、良い奴だと思ってるし、みんな、その……可愛いし……」
かなで「……」
音無「……どうすりゃいいんだろ……はぁ……」
かなで「……結弦の好きなようにすればいいんじゃないの?」
音無「え?」
かなで「……結弦、少し屈んで、目を閉じて」
音無「え?なんで?」
かなで「お願い」
音無「……わかった」スッ
かなで「……」グイッ
音無「!?か、かなで!?な、何を!?」
音無(な、なんで頭抱えられて、抱きしめられてんだよ!?……む、胸が……///)
かなで「……目を瞑って、黙って私の心臓の音を聞いて」
音無「そ、そんなこと言われても……///」
かなで「結弦。お願い」
音無「!?……わかった」
音無(なんで、こんなに真剣なんだ……?)
かなで「……結弦。あなたの本当に好きな人は、誰?」
音無(俺の、本当に好きな人……?)トクン…トクン…
かなで「……結弦。あなたの心に刻まれてる人は、誰?」
音無(俺の、心に刻まれてる人……)トクン…トクン…
かなで「……結弦。あなたが誰よりも守りたい人は、誰?」
音無(俺が、誰よりも守りたいと思う人は……ッ!)トクン…トクン…
―――――――――――――――――――――――――――――――
かなで「……結弦。どうだった?」
音無「……ああ、決めたよ。というか、最初から決まってたんだ」
かなで「うん」
音無「あいつから告白されて、突然の事に上手く自分の気持ちを言えなかったんだ」
かなで「うん」
音無「情けねぇ……あいつは自分の気持ちを言ってくれたってのに、俺はそれから逃げようとしたんだ……」
かなで「……そうね」
音無「その迷走した挙句、他の奴らの気持ちを俺は……」
かなで「ううん、それはいいの」
音無「な、なんで……」
かなで「その子達があなたに想いを告げたのは彼女達の意思。それは結弦のせいじゃない」
音無「でも俺が、すぐ返事できてれば……」
かなで「結弦がすぐ返事をしていれば、彼女達は結弦に想いを告げる事さえできなかった、そうじゃない?」
音無「それは……そうかもしれないけど……でも……」
かなで「あなたが、他でもないあなた自身が彼女達の気持ちをなかったことにしちゃいけないわ」
音無「……」
かなで「想いを告げてくれた相手には、ちゃんと返事をしなくちゃいけないの。……それが断りの内容であっても」
音無「……そうか。そうだな。……それが、俺の最低限の責任だよな」
かなで「……うん」
音無「……ありがとう、かなで。お前のお陰で、決心がついたよ」
かなで「ううん、気にしないで。全部、結弦自身の力だから」
音無「いや、違うよ。かなでのお陰さ。かなでが心臓の音で、俺を落ち着かせてくれたからだよ」
かなで「ふふ、それが結弦自身の力なの」
音無「?」
かなで「……この意味はいつか、わかる時が来るわ……とりあえず今はやることがあるでしょ?」
音無「……ああ、そうだな……まずは、気持ちを伝えに行くよ」
かなで「……うん、頑張って」
音無「ああ、行ってくる……ほんとにありがとな、かなで」
かなで「ううん、いいの……それじゃあ、いってらっしゃい」
音無「ああ!」ダッ
かなで(……私はずるいのね。結弦にアドバイスなんてできる立場じゃないのにね……)
かなで(……どうか、彼女達がこの先幸福な人生を歩める事を……)
―――――――――――――――――――――――――――――――
音無「……返事を言いに来た」
???「……」
音無「……でも返事を言う前に少し話したい事がある」
???「?」
音無「今日さ、お前の他にも複数人にから告白された」
???「……」
音無「色々と迷走しちゃったけどさ、最初から俺の心は決まってたんだよ」
???「……」
音無「突然の事だったからさ、すぐ返事できなかったけど、今ちゃんと返事をしたい。そしてもう一度、君の言葉を聞かせて欲しい」
???「……」
音無「…………好きだ…………………………ゆり……」
ゆり「……本当に、私でいいの……音無くん……?」
音無「ゆりでいいんじゃない、ゆりがいいんだ」
ゆり「!?……わ、私、こう男勝りだし、か、可愛げだってないわよ……?」
音無「そんなことない。ゆりは可愛いと思うぞ」
ゆり「そ、そんなこと……///」
音無「それに、男勝りって言ったけど、それは戦線のリーダーとして立派にやってるからだろ?」
ゆり「わ、私の性格が元々そうだから、よ……///」
音無「ならそれも含めてゆりだろ?俺はそんなゆりが、仲村ゆりが好きになったんだよ」
ゆり「!?」
音無「もう一度言うぞ……ゆり、俺はお前が好きだ」
ゆり「……///」
音無「戦線のリーダーとして、戦線を守るお前を、俺は守りたい……ダメか?」
ゆり「……う、ううん、ううん……あり、がとう……音無くん……ぐすっ……///」
音無「ゆり……」ダキッ
ゆり「あっ……ありがとう、音無くん…………あなたが、好きです……///」ギュッ
音無「こちらこそ、ありがとう……」
ゆり「……でも、音無くん……今日、あなたに告白した他の子達は……」
音無「それも俺がちゃんと返事をする。だから大丈夫だ」
ゆり「……悲しむ、でしょうね……私は、みんなのリーダーなのに……」
音無「……そう言わないでくれ、ゆり。俺が全部受け止める。その覚悟ももうしてるから」
ゆり「……うん」
音無「……だから、ゆりは笑っていてくれ。俺はゆりの笑顔が見たいから……」
ゆり「……うん///」ニコッ
音無「……ありがとう。そして、これからよろしく」
ゆり「……うん、こちらこそ、よろしく……結弦……///」
―――――――――――――――――――――――――――――――
エピローグ
音無「……ふぅ、まぁ、こんなもんかな……ゆり、あと何か必要なものはあるか?」
ゆり「いえ、もう大丈夫よ、結弦。……少し休憩しましょ?」
音無「ああ、そうだな……じゃあ、ちょっと飲み物でも買ってくるか……何か飲みたい物あるか?」
ゆり「うーん、そうね。じゃあ、Keyコーヒーをお願い。微糖で」
音無「了解。すぐ戻ってくるよ」
ゆり「うん……ま、待ってるから、早く来なさいよ……!///」
音無「はは、了解したよ。……それじゃ行ってくるよ」
―――――――――――――――――――――――――――――――
音無「さてと、さっさと行かなきゃな……ん?」
岩沢「……ん?ああ、記憶無し男……じゃなくて音無か。どうしたんだ?」
音無「……いやなに、ちょっと休憩がてら飲み物でも買いに行こうと思ってさ」
岩沢「……ふーん、どうやら、ゆりとはうまくいってるみたいだな」
音無「あ、ああ、まぁな……///」
岩沢「……はは、それは何よりだ」
音無「岩沢……その、さ」
岩沢「……何も言わなくていいぞ音無。……私はあの時の告白を後悔なんかしていないから」
音無「岩沢、お前……」
岩沢「残念ではあったが、相手がゆりなら、な。それにお前はちゃんと私の気持ちも受け止めて、その上で返事をくれた」
音無「……」
岩沢「それが断りの内容であっても、私は嬉しかったよ。お前が私の事を真剣に考えてくれてさ」
音無「……ありがとな、岩沢」
岩沢「……こちらこそ……まぁ、それに私には音楽があるからな。それだけで十分生きていけるんだよ」
音無「……はは、相変わらずの音楽キチっぷりだな」
岩沢「……ふん、褒め言葉として受け取っておく……ほら、ゆりが待ってるんだろ?もう行けよ」
音無「ああ、それじゃあな。……バンド、頑張れよ」
岩沢「ああ、言われずとも」
岩沢(……悔しくない、はずがない……)
岩沢(……初恋は、上手くいかないっていうけどね……)
岩沢(……でも、私は良い奴に恋をしたものだ、ホント)
岩沢「……さて、じゃあバンドの練習でもすっか!」
―――――――――――――――――――――――――――――――
音無(……岩沢は、ああ言ってたけど、ホントはどうなんだろうな……)
音無(あいつは、俺を恨んだりしてないのか……?)
音無(俺は……)
椎名「……」
音無「うーん……」
椎名「……おい」
音無「……ん?なんだ椎名?」
椎名「……驚かなくなったな」
音無「まぁ、慣れてきたしな。そう毎度毎度驚いてたまるか」
椎名「……あさはかなり」
音無「……お前は相変わらずだよなー」
椎名「?どういうことだ?」
音無「いや、そのまんまの意味だよ。ホントぶれないなと思ってな」
椎名「……そうでもない」
音無「え?」
椎名「……お前に私と結ばれるのを断られた時は、な」
音無「……椎名、その……」
椎名「……ふっ、冗談だ」
音無「え?」
椎名「……確かに、お前に断られた時は少しばかり残念に思ったが、それだけだ」
音無「……」
椎名「……私は忍だ。強さを求めるくノ一だ。男など二の次だ」
音無「椎名、お前……」
椎名「……それに相手があのゆりならば、頷ける」
音無「え?」
椎名「……あいつは強い。心も体も。女でありながら、この私と同じくらい」
音無「……」
椎名「……だが、それ故に自分を犠牲にしようとする事がある」
音無「……そう、だな」
椎名「……だが、側で支えてくれる者がいれば大丈夫だろう」
音無「……」
椎名「……それがお前ならば特にな」
音無「椎名……」
椎名「……強い女の側には、強い男がいるべきだ」
音無「……ああ、ゆりは俺が必ず守るよ」
椎名「……ふっ、随分と語ってしまったようだ。私はもう行くぞ」
音無「ああ、俺も行かなきゃ。ゆりが待ってるし」
椎名「……ふっ、そうか。ならば行け」
音無「ああ。椎名、色々ありがとな」
椎名「……礼には及ばん」
音無「……それじゃあ、な。また今度色々話そうぜ」
椎名「……ふっ、あさはかなり」シュッ
―――――――――――――――――――――――――――――――
音無(椎名も、ホントに良い奴だな……)
音無(……でも、岩沢も、椎名も、何故ああも応援してくれるんだろうか……)
音無(俺は、あいつらを……)
音無「……後悔は、してないはずなんだけど、な」
遊佐「何が、後悔してないはず、なんですか?」
音無「!?ゆ、遊佐!?」
遊佐「そんなに驚かないでください。軽くへこみます」
音無「あ、ああ、わ、悪い」
遊佐「それで?さっきのは一体どういうことですか?」
音無「あっ、いや、別に……」
遊佐「……私を、いえ、私達を振った事を、ですか?」
音無「……」
遊佐「図星ですか。相変わらずわかりやすい方ですね、音無さんは」
音無「……その、俺は、さ、後悔というか……」
遊佐「後悔してくれないと困りますよ」
音無「え?」
遊佐「だってこんな美少女を振ったんですよ?後悔してくれないとこっちがへこみます」
音無「……えっと」
遊佐「……ですが、私達じゃなく、ゆりっぺさんを選んだことには後悔はしないで下さい」
音無「……ああ、それだけは絶対にしない」
遊佐「それを聞いて安心しました」
音無「遊佐、お前は……」
遊佐「音無さんは私の事も真剣に考えてくれたんですよね?」
音無「ああ、もちろんだ」
遊佐「少なくとも、私はそれで十分です。選ばれなかったのは残念ですが、ゆりっぺさんなら納得もできるので」
音無「……遊佐、ありがとな」
遊佐「いえ、どういたしまして……というのも変な話ですね。ふふ」
音無「そ、そうだよな。ははは……」
遊佐「……さてと、それはそうと音無さん。何かご用事があったんじゃないんですか?」
音無「あっ!やばい!ゆりを待たせてるんだ!そ、それじゃあな!また今度!」ダッ
遊佐「はい、ではまた」
遊佐(ホントに見ていて飽きない、不思議な人ですね……)
遊佐(……さて、これからもいっちょ頑張りますか)
飯食う
30分待ってくれ
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音無(遊佐も、ホントに良い奴だな……)
音無(岩沢、椎名、遊佐……ゆり、俺達は良い仲間を持ったよな)
音無(にしても……)
音無「……まずい……結構時間経ってるよな……」
かなで「……結弦?」
音無「おお、かなで。何してるんだ?」
かなで「校内の巡回。結弦は?」
音無「俺は少し休憩。ついでに飲み物をね」
かなで「ふたつ?」
音無「ああ、ひとつはゆりのだよ」
かなで「……そう。うまくいってるみたいね」
音無「……はは、みんな心配してくれるんだな」
かなで「みんな?」
音無「ああ、前に俺に告白してくれた奴らだよ。さっきも会ってさ」
かなで「……彼女達なら、そうだと思った」
音無「そうだって?何が?」
かなで「結弦とゆりを応援するってこと」
音無「……」
かなで「?結弦?」
音無「……実際のところ、どうなんだろうな」
かなで「?」
音無「あいつらを疑うわけじゃない……けど、それでも俺は、あいつらから……」
かなで「……結弦は優しいから、そうして苦しむのね」
音無「……俺は優しくなんて……」
かなで「優しいから、彼女達を振ったのを苦しんでるんじゃないの?」
音無「……」
かなで「結弦。それは結弦の良い所だと思う」
音無「……」
かなで「でも、それであなたが苦しむのは間違いだわ」
音無「それは……」
かなで「彼女達はあなたとゆりを応援してくれてる。心に想いは残ってるだろうけど」
音無「……」
かなで「でも、あなたは彼女達のことを真剣に考えて結論を出したんでしょ?」
音無「……ああ」
かなで「彼女達は、それに満足していなかった?」
音無「してくれてた、みたいだけど……」
かなで「なら、あなたはそれを疑わずに信じなきゃダメ」
音無「……」
かなで「そして、あなたはあなたの意思を貫いて」
音無「……」
かなで「ゆりの側で、ゆりを支えてあげて」
音無「……ああ、わかった」
かなで「みんな、心からそれを応援してくれると思うから」
音無「……ありがとう、かなで。約束するよ。俺は俺の意思を貫く。……ゆりを守る」
かなで「……うん。頑張って」
音無「ああ、頑張るよ……かなでには、ホント励まされてばっかりだな」
かなで「ううん、私は大したことなんかしてない。それに……」
かなで(……それに、あなたは私に、命をくれたから……)
音無「それに?」
かなで「……ううん、なんでもない。……それよりもいいの?ゆりを待たせてるんじゃないの?」
音無「あ!悪いかなで!とりあえずまた今度な!」ダッ
かなで「うん。また」
かなで(……どうか、あの二人に末永い幸せが訪れますように……)
―――――――――――――――――――――――――――――――
音無「わ、悪い、ゆり!遅れた!」
ゆり「……そう、別にいいわ」ゴソゴソ
音無「ゆ、ゆり?……怒ってる?」
ゆり「……別に怒ってないわよ」ゴソゴソ
音無「じゃ、じゃあ、どうして顔向けてくれないのかなって……ははは……」
ゆり「……い、今作業中だから、ちょっと待ちなさい!」
音無「お、おう……」
音無(やっぱ、怒ってるよなぁ……まぁ、しょうがないか……)
ゆり(……かなでちゃんとの話を聞いて、顔真っ赤なんだから恥ずかしくて見れるわけないでしょ!///)
ゆり(ああー、もう!なんであんな恥ずかしい事かなでちゃんに言うの……!///)
ゆり(でも……)
ゆり「……ね、ねぇ、結弦」ゴソゴソ
音無「!?な、なんだ?」
ゆり「……これからも、私の側にいてくれる?」ゴソゴソ
音無「……ああ、もちろんだ」
ゆり「……ホントに?」
音無「ホントだよ」
ゆり「……ホントにホント?」
音無「ホントにホントだよ」
ゆり「ありがとう……結弦……」
音無「ゆり……」ダキッ
ゆり「あっ……!///」
音無「俺はゆりの側で、ゆりをずっと支え続けるよ」
ゆり「……うん……///」ギュ
音無「これからも頑張ろう。二人で、そして戦線みんなで……」
ゆり「ええ、あなたが、みんながいれば、私は頑張れる……」
音無「ゆり…………好きだ…………」
ゆり「……うん、私も大好き……」
音無(そう言って微笑んだ彼女の顔は、何よりも眩しくて―――)
音無(俺はそんな笑顔を、これからもずっと守ろうと改めて誓った―――)
Fin
―――――――――――――――――――――――――――――――
舞台裏の悲しき者達
野田「意エアwyほら;vほwjヴぃはうvhヴhh!!!」
直井「そんな、バカな……神である僕が、あんな下賎な女に……お、音無さぁあああああああああんッ!」
日向「お前ら……」
ユイ「ホント、アホですね♪」
ほんとに終わり
読んでくれた人サンクス
それじゃいつかまた
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