エレン「ミカサは俺が守る」(23)

※ エレンとミカサの立場が逆だったらという設定です。

※ 入れ替わっているのは二人の立場と性格です。このSS内ではミカサの父はグリシャ、母はカルラということになっています。

※ エレンの両親は既に他界し、幼少期のエレンはミカサに助けられたことになっています。

※ ミカサの口調はあのまま順調に成長した場合を想定しています。というかほぼ別人ですが(笑)

ーーー845年

ミカサ「……………*」ハッ

エレン「……そろそろ帰ろうぜ」

ミカサ「あれ…エレン…?…少し髪が伸びてない?」

エレン「…そんなに寝ぼけるまで熟睡してたのか」

ミカサ「…いや、なんか、ものすごく長い夢を見てたような気がするんだけど……」

エレン「!…ミカサ…何で泣いてるんだ?」

ミカサ「えっ?」

***


ミカサ「…言わないでよ。私が泣いてたって」

エレン「言わねえよ。けど、理由もなく涙が出るなんて、一度おじさんに診てもらったほうがいいんじゃねえか?」

ミカサ「べ、別にそんな大したことじゃないしーーー」

ハンネス「よう。ミカサ、エレン」

ミカサ「あ、ハンネスさん」チラ

ワイワイガヤガヤ
コリャウメエサケダ
ワハハハハ

ミカサ「…また飲んでる」

ハンネス「おう。お前らも一杯どうだ」

ミカサ「仕事は?」

ハンネス「ちゃんと仕事をしてれば喉が渇く。そこで飲んだ飲み物にたまたま酒が混じっていたことは…別に大した問題じゃあない」

ミカサ「…そんなんでいざって時に戦えるの?」

ハンネス「ん?いざって時って、いつだ?」

ミカサ「そんなの、奴らが壁を壊して入って来た時に決まってるじゃない!」

ハンネス「………あのなあミカサ。俺たちも仕事で奴らを見かけることはあるが、奴らにこの50mの壁をどうこうできるとは思えねえんだ。まあつまり、この中にいれば安全ってわけさ」

ミカサ「っ……でもそれじゃまるで…家畜と同じじゃない…!」

エレン「………」

駐屯兵「ダハハハハ!元気なこったなあ、医者の娘。いいか?奴らが壁の中に入って来たら、そりゃそん時はしっかりやるさ。しかしな、そんなこと100年間で一度もねえんだぜ?」

ミカサ「でも、安心してる時が一番危ないって、お父さんが言ってた」


ハンネス「…アッカーマン先生か。まあ確かに、あの人には頭が上がらねえ。でもそれとこれとは別だ。壁の中にいる限り、俺たちは平和に暮らせるんだよ」

ミカサ「…それなら始めから、奴らと戦う気なんて無いってこと?」

ハンネス「……まあ、ねえな」

ミカサ「!っ……じゃあもう、駐屯兵団なんて名乗るのやめて壁工事団にしなよ!」ダッ

エレン「どこ行くんだミカサ」ダッ

ハンネス「………まさかあいつ、調査兵団になるつもりなんじゃ…?」


***


エレン「……ミカサ。調査兵団はやめた方がいいぞ」

ミカサ「!…何、エレンも調査兵団をバカにするの?」

エレン「バカにするとかしないとか、そういう問題じゃーーー」

ゴーンゴーンゴーン

チョウサヘイダンガカエッテキタゾー

ミカサ「調査兵団の帰還の鐘!行こうエレン!英雄が帰ってきた!」ダッ

エレン「あ、おい!待てって」ダッ


***


キース「……………」ズーン

シュッパツシタトキノハンブンモイナイゾ?
コリャヒデエナ
ミーンナクワレチマッタノカ?

おっさん「あーあ、こりゃ俺らの税金をドブに捨てて、奴らを太らせてるようなもんだぜ」

ミカサ(あいつ、許せない…!)カッチーン

ドカッ!!

おっさん「ホモォ!!」

ミカサ(この家畜野郎!)

家畜「いってえなクソガキ!何しやがんだ!」

ミカサ「……ッ!?うわっ!?」グイッ

エレン「………」ズルズル

家畜「おいコラ!戻って来い!」

ミカサ「ちょっとエレン!離してよ!」ズルズル


***


エレン「………」ズルズル

ミカサ「エレン!もういいでしょ!?」

エレン「………」パッ

ミカサ「うわっ*」ガラガラガッシャーン

ミカサ「急に離さないでよ!薪が散っちゃったじゃない」

エレン「…ミカサ。調査兵団に入りたいって気持ちは、変わったか?」

ミカサ「!……………手伝ってよ。拾うの」

エレン「……ああ」


***


ミカサ「…ただいまー」

カルラ「お帰りなさい。あらミカサ、今日は随分頑張ったじゃない」

ミカサ「エレンに手伝ってもらった」

カルラ「そう。エレンもありがとうね」

エレン「…うん」

カルラ「じゃあ、ご飯にしましょう。二人とも手を洗ってきなさい」

ミカサ「はーい」


***


ミカサ「お父さん、どこか出掛けるの?」

グリシャ「ああ。内地へ診療だ。二三日かかるかな」

ミカサ「ふーん…」

エレン「………ミカサが、調査兵団に入りたいって」

グリシャ「!」

ミカサ「エ、エレン!言わないでってーーー」ガタッ

カルラ「ミカサ!何を考えているの*壁の外に出た人類がどれだけ
死んだか分かってるの!?」

ミカサ「わ、分かってるよ!」

カルラ「だったらーーー」

グリシャ「ミカサ」

ミカサ「………」

グリシャ「どうして、外に出たいんだい?」

ミカサ「………一生、この壁の中で家畜みたいに暮らすなんて嫌だ。外の世界に何があるのか、何も分からないままで死にたくない。それに、今ここで諦めたら、今までに死んだ人たちの命が無駄になる…!」

グリシャ「……そうか」ガタッ

カルラ「ちょっと、あなた!?」

グリシャ「船の時間だ。もう行かなければ」

カルラ「あの子を説得してよ!」

グリシャ「カルラ。人間の探究心とは、誰かに言われて抑えられるものではないよ」

カルラ「!」

グリシャ「ミカサ。帰ったら、ずっと秘密にしていた地下室を見せてやろう」カギヲミセル

ミカサ「ほ、本当!?」

グリシャ「ああ。では行ってくるよ」

ミカサ「いってらっしゃーい」

カルラ「……ダメですからね」

ミカサ「?」

カルラ「調査兵団なんてバカな真似、母さんは許しません」

ミカサ「ば、バカって…!私には、家畜のままで平気でいられる人たちの方がよっぽど間抜けに見えるよ!」ダッ

カルラ「ミカサ!」

エレン「………」

カルラ「……エレン。あの子はだいぶ危なっかしいから、あなたがちゃんと見ていてあげてね?」

エレン「…わかった」

***


悪ガキ「どうした異端児!悔しかったらやり返してみろよ!」

アルミン「うっ!」ドンッ!

アルミン「そんなことするもんか。やり返したら、お前らと同レベルだ…!」

悪ガキ「何だと!」

アルミン「お前らは、僕の言ってることが正しいとわかってるんだろう。だから言い返せなくて、殴ることしかできないんだ!」

悪ガキ「!…うるせえぞこの屁理屈野郎!」バッ

ミカサ「やめなさい!」

悪ガキ「!?」

悪ガキ2「ミカサだ!」

エレン「………」ダダダダダ

悪ガキ「!?お、おい!エレンもいるぞ!」

悪ガキ3「に、逃げろォー!」ダッ

エレンハガチデヤベーッテ!
スタコラサッサー

ミカサ「はぁ、はぁ…アルミン。大丈夫?」

アルミン「あ、うん。なんとかね」

ミカサ「そう。良かった」ニコッ


***


アルミン「ーーーそれで、人類はいずれ外の世界に行くべきだ、って言ったら殴られたんだ…」

ミカサ「壁の外に行きたいってだけで異端視されるのは理不尽」

アルミン「仕方ないよ。100年間も続いてる平和を疑うような人がいたら、異端視するのが普通だ」

ミカサ「そうなのかな…。自分の命を賭けるんだから、私たちの勝手だと思うけど…」

エレン「絶対ダメだ」

アルミン「!」

ミカサ「あ、エレン!さっきはよくもお父さんとお母さんに言ってくれたわね!」

エレン「協力すると言った覚えはない」

アルミン「ご両親に言ったんだね!?それで、どうだった?」

ミカサ「……それはまあ、喜ばれはしないけど…」

アルミン「…そっか、やっぱりそうだよね」

アルミン「………でも、この壁の中で皆が安心しきっているのは、僕はどうかと思うな。百年壁が壊されなかったからと言って、今日壊されない保証なんて、どこにもないのに……」

ミカサ「………」

エレン「………」


ピカッ!ゴロゴロドカッカーン!!


ミカサ「うわっ!何!?」

アルミン「地震、かな?」

ワーワードウシタドウシタ
カベノホウカラキコエタゾ!?
ナニガアッタンダ

ミカサ「向こうが騒がしい。行ってみよう。エレン、アルミン」

アルミン「あ、うん」


***

ーーー
ーーーーーーーーーー



その日

人類は思い出した

奴らに支配されていた、恐怖を

鳥籠の中に囚われていた、屈辱を



ーーーーーーーーーー
ーーー


***


ーー船着場

アルミン「…ミカサとエレン、大丈夫かな」

アル爺「きっと大丈夫じゃ。友達が信じてやらんでどうする」

アルミン「…うん、そうだよね」

オレモノセテクレ!
セメテコドモダケデモ!
ニモツヲステロー!

アルミン「あっ、ミカサ!エレン!」

ミカサ「………」ボーゼンジシツ

エレン「………」

アルミン「!…二人とも……?」

アルミン(カルラさんとグリシャさんがいない…!まさか、二人は…)

バンッ!!!!

アルミン「!?」

ミカサ「……巨人どもめ…許さない…!」

アルミン「ミ、ミカサ……?」

ミカサ「…必ず…駆逐してやる…!一匹残らず…!私が!この手で!!」ポロポロ

アルミン「…ミカサ……」

エレン(ああ、またこれか……)キィーン

支援

>>13

ありがとうございます

続けます!



ーーーそれから2年ちょいちょい後

キース「只今より!第104期訓練兵団の入団式を始める!私が運悪く貴様らの教官となった、キース=シャーディスだ!!」

ミカサ(!…二年前の調査兵団長…?)

キース「貴様らを歓迎する気は毛頭ない!これから三年間徹底的に、巨人と戦う術を叩き込んでやる!」

エレン(『毛頭ない』…結構面白い冗談を言うな……)フッ

キース「三年後!貴様らがただの巨人の餌のままか!それとも王を守る名誉ある盾か!または巨人を駆逐する栄光ある人類の兵士か!貴様らが決めろ!!」

ミカサ(ええ…私はなる。巨人を一匹残らず駆逐する最強の兵士に、私はなってやる…!)


***


キース「おい貴様ァ!」

アルミン「ハッ!」ケイレイ!

キース「貴様は何者だ!どこから来た!」

アルミン「シガンシナ区出身!アルミン=アルレルトです!」

キース「そうか!バカみてえな名前だな!親がつけたのか!」

アルミン「祖父につけてもらいました!」

キース「そうか!アルレルト、貴様は何しにここへ来た!」

アルミン「人類n」

キース「それは素晴らしいな!貴様は巨人の餌になってもらおう!」ガシッ クルッ

キース「次!三列目!後ろを向け!」

キサマハナニモノダ!
ジャンk
ケンペイダンニナドイケルモノカァ!
キサマハナニモノダ!ナニシニココヘキタ!
コニースp
ギャクダコニースプリンガー…
キサマノシンゾウハミギニアルノカァ!?

エレン(これが通過儀礼…何の意味があるんだ…?)

チガウゾ!キサマハブタゴヤシュッシンカチクイカダ!
ハッ!ジブンハカチクイカデアリマス!


色々あって………


キース(これであらかた終わったか…?しかしまさか芋を食う奴がいるとはな……。ん?あれは…)

ミカサ「………」

キース(…あいつか。グリシャの娘というのは。…ほう、中々いい面構えをしている)

ミカサ「………」

キース(グリシャ。お前の娘の器がどれだけのものか、確かめさせてもらうぞ)

キース「おい貴様!!」

ミカサ「ハッ!」ケイレイ!

キース「貴様は何者だ!どこから来た!」

ミカサ「シガンシナ区出身!ミカサ=アッカーマンです!」

キース「アッカーマン!貴様は何しににここへ来た!」

ミカサ「………」ギロッ

キース(!?)

ミカサ「…私は、巨人どもを一匹残らず殺し尽くすため、訓練兵に志願いたしました…!」ゴゴゴゴゴ

キース「そ、そうか。ならば目指すといい(なにこの子怖い)」

ミカサ(あれ。怒鳴られなかった。なんでだろう?)


***

支援

>>18

ありがとうございます!


***


コニー「な、なあ!三人はシガンシナ区出身なんだよな!?」

ミカサ「?そうだけど…」

コニー「じ、じゃあよ、やっぱり見たのか!?超大型巨人!」

ミカサ「…ええ、まあ」

オオマジカスゲーナ
ワイワイガヤガヤ

コニー「どんな感じだった?壁を跨いだって聞いたぞ!?」

ミカサ「そんなに大きくはなかった。壁から顔を出す程度」

ミーナ「じゃあ、ウォールマリアを破ったっていう鎧の巨人は!?」

ミカサ「…それも見たけど、見た目はあまり普通の巨人と変わらなかった」

トーマス「じゃあ、普通の巨人は!?」

ミカサ「…うっ…!」クチヲオサエル

カラン…
シーン……

マルコ「皆もうよそう。話したくないことだってあるだろう」

トーマス「ご、ごめん、思い出させて……」

ミカサ「…大丈夫。気にしないで」


***


ゴーンゴーンゴーン

マルコ「鐘の音だ。皆片付けよう」

ハーイ
カチャカチャ
ゼンブオワッタカー?
ジャアカイサーン

ミカサ「………」スタスタ

ジャン「な、なああんた」

ミカサ「私?」クルッ

ジャン「あ、ああ。見かけない顔立ちだと思ってな、つい…//」

ミカサ「…私には、東洋人の血が入っているらしい。だからあなたたちとは顔立ちが若干違うのかも…」

ジャン「そ、そうなのか…//すまない、とても綺麗な黒髪だ//」

ミカサ「!ど、どうも…//じゃあ、また明日」

ジャン「あ、ああ…//」


***


エレン「…大丈夫か?」

ミカサ「え、何が?」

エレン「…食事の時のことだ」

ミカサ「ああ…あれか。大丈夫だから、心配しないで」

エレン「…あまり無理しない方がいい」

ミカサ「分かってる…」

エレン「………話は変わるが、髪、長過ぎやしねえか?立体機動で事故になるぞ」サラッ

ミカサ「!」ドキッ

ミカサ「あ、うん…確かに、ちょっと長いかもしれない…」

ミカサ(でも、さっき褒められたから、あまり切りたくないな…)

ミカサ「…まあ、立体機動の時は結ぶか何かするから、大丈夫」

エレン「…そうか。気をつけろよ」

ミカサ「うん。じゃあ、また明日」

エレン「…ああ。おやすみ」


***


***


ーーー翌日

キース「今から貴様らにやってもらうのは、立体機動の素質を見極める適性検査だ!これが出来ぬ者は囮にも使えん!いつまでも出来ないようなら開拓地に移ってもらう!心してかかれ!」

ハッ**

アルミン「だ、大丈夫かな…」

ミカサ「きっと大丈夫。自信を持って」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年09月28日 (月) 00:43:25   ID: kASGKCCl

いいとおもうよ

2 :  SS好きの774さん   2015年10月05日 (月) 22:38:19   ID: gysWWATF

うん、いいと思うよ

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