ほむら「私の戦場はここじゃない…あれ?」(145)
ほむら「…」カチャカチャ
QB「どうしたんだい?」
ほむら「盾が…盾が時間を巻き戻さないの…」
QB「?」
QB「その盾がどうしたんだい?」
ほむら「だから、盾が時間を巻き戻さないのよ」
QB「よくわからないけど、貸してごらんよ」
ほむら「…」ギロッ
QB「もう君とは敵じゃない。変な事はしないよ」
ほむら「…ほら」ポイッ
QB「あっ…」バキッ
QB「ふぅん…なるほど」
ほむら「…」ドキドキ
QB「随分と原始的な故障のようだね。ほら、この盾についている砂時計をよく見てみなよ」
ほむら「…あっ」
QB「上の層と下の層の間に小石が詰まって、砂を食い止めてるようだね」
ほむら「ああ、良かった…これなら簡単に直せるわ」
ほむら「ん…んしょ」カリカリ
QB「…」
クリームヒルト「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」
ほむら「ねえインキュベーター、何か細長い物無いかしら」
QB「細長い、物?」
ほむら「指だと太すぎて、小石が取れないのよ…例えば、ヘアピンのような…」
QB「持ってる訳が無いじゃないか。僕は人間じゃないもの」
QB「僕にやらせてよ!いーから!いーから!あっ…」バキッ
ほむら「困ったわ…」
QB「周りを見渡すといい。ワルプルギスの夜が破壊したガレキの中から、見つかるかもしれないよ」
ほむら「…はぁ、ちょっと探してくるわ」
クリームヒルト「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
QB「…」
ほむら「鉄パイプ…窓の枠…」ガラガラ
ほむら「もっと細いものが欲しいのに…なんでこういう時って見つからないのかしら」
グニャグニャグニャ
ほむら「…!」
ほむら「この気配…空間のゆがみ…これって」
ほむら「魔女!」
ほむら「あのまど…いや、黒くて巨大な魔女が人間も、他の魔女も吸収し切ったと思っていたのに…」
ほむら「武器…武器は…」
ほむら「無い…とっくの昔に、使い切ってしまったんだった…」
グニャグニャ
ほむら「それに…まさか、この魔女って…」
オクタヴィア「…」グググググ
ほむら「…美樹さやかが魔女化した姿…!」
オクタヴィア「ヴォ…ヴォヴォヴォヴォ…」
ほむら「に…逃げないと…」
オクタヴィア「ヴォォォォォォォォォォォォォッ!」ビュン
ほむら「車輪が…あぁ、こんな所で終わりだなんて…」
ほむら「ごめんなさい…まどか…ごめんなさ…」ボコッ
ほむら「…」
オクタヴィア「ヴォヴォヴォ…」
チョキチョキ チョキチョキ
ほむら「ん…」
「~♪」チョキチョキ チョキチョキ
ほむら「あれ…私…車輪に…」
ほむら「!?」
オクタヴィア「~♪」チョキチョキ
ほむら「きゃあああっ!」
オクタヴィア「…ヴォヴォオヴォ」チョキチョキチョキ
ほむら「か、髪を切らないで!私の自慢の髪…やめて!」バタバタ
オクタヴィア「…」ギュゥゥゥゥ
ほむら「く…苦しい…」
オクタヴィア「ヴォッヴォヴォ…」チョキチョキ
ほむら「…」ゾクッ
オクタヴィア「ヴォー…」チョキチョキ
ほむら(随分と器用にするのね…二本の剣をハサミのように使って髪を切るなんて…)
オクタヴィア「ヴォヴォヴォ…」チョキ
オクタヴィア「ヴォッ」パッ ポトッ
ほむら「キャッ!」ドサッ
ほむら「いてててて…」
オクタヴィア「ヴォヴォヴォヴォ…」
オクタヴィア「ヴォヴォヴォ…」ゴソゴソ
ほむら「ここって…コンサートホールの座席…」
オクタヴィア「…」ズイ
ほむら「…?」
オクタヴィア「…」サッサッ
ほむら「け、剣で髪を梳かすのはやめて!」
オクタヴィア「ヴォヴォヴォ…」サッサッ
ほむら「…」
オクタヴィア「ヴォッ」マンゾクゲ
ほむら「今度は何をするの…?」
オクタヴィア「ヴォヴォヴォ…」ガシャ
ほむら「鎧の中に手を突っ込んで…」
オクタヴィア「…」グチャグチャ
ほむら「何かを掻き出そうとしている…?」
オクタヴィア「ヴォヴォ…」グチャ
オクタヴィア「ヴォッ」グショッ
ほむら「何かを取り出した…まさかあれって」
オクタヴィア「ヴォ…」ドロドロ
ほむら「あぁ、あれは生前付けていたヘアピンじゃない…」
オクタヴィア「ヴォヴォ…」スッ
ほむら「か、髪に付けてくれるの?」
オクタヴィア「ヴォヴォ…」サクッ
ほむら「痛い!頭に刺さったわ」
オクタヴィア「ヴォッ…?ヴォヴォヴォ」サクッサクッ
ほむら「いたっ、痛い!」
ほむら「もういい、私に貸しなさい」バッ
オクタヴィア「ヴォッ!ヴォォォォォッ!」
ほむら「いい?ヘアピンっていうのは…」
ほむら「こうやって、髪に引っかかるように…付けるのよ」ファサッ
オクタヴィア「ヴォッ、ヴォッヴォ」キャッキャ
ほむら「はぁ…何魔女相手に付け方の指導なんてしているのよ…」
オクタヴィア「ヴォヴォヴォ…」
ほむら「はぁ…離れて行ったわ…でも逃げ出せる空気じゃ…無いわね」
パッ パッ
ホルガー「…」
ほむら「あれは、使い魔の劇団…?」
ほむら「何か嫌な予感がしてきたわね…」
オクタヴィア「…」バッ
ホルガー「~♪」
ほむら「ハッ…指揮者気取りかしら…」
ほむら「まあいいわ、逃げだすチャンスを待つまで、あの連中の演奏でも聞いてましょう」
ほむら「思ったよりもまともで…美しくて…心地よい曲だし…」
劇団→楽団
ホルガー「~♪」
オクタヴィア「…」ユラユラ
ほむら「…何か眠くなってきた…あれ、ソウルジェムが…」
ほむら「ソウルジェムから、魂の光が抜け出ている…?」
ホルガー「~♪」
ほむら「まさか…」
オクタヴィア「…」ユラユラ
ほむら「周りの観客って…ずっと使い魔だと思っていたけれど…」
ほむら「よく見ると…ああ、なんて事なの…」
ほむら「隣の若い男性…隣の女性…これは本物の死体…」
ほむら「どれも外傷は無くて、綺麗な死体のまま…」
ほむら「この魔女のしたいことがやっと分かってきたわ…」
ほむら「ああ、よく美樹さやかが生前言っていたコンサート…上条恭介のコンサート…」
ほむら「メガネをかけていた時に、一度だけ映像を見させられた事があった…」
ほむら「このコンサートホール、少しデフォルメされているけれど構造自体はあのコンサートホールにどこと無く似ている…」
ほむら「この観客達も、あの映像に映っていた観客に出来る限り髪型や、顔つきまでも似させられている…」
ほむら「私が髪を切られて、ヘアピンを付けられたのってまさか…」
ほむら「あ…ああ…」
ホルガー「~♪」
オクタヴィア「…」クイッ
ホルガー「…」
オクタヴィア「ヴォヴォ」ズイ
ほむら「ああっ…ああああっ」
オクタヴィア「ヴォ…」ウットリ
オクタヴィア「ヴォッヴォッヴォvッヴォ」ナデナデ
ほむら「もうこれで…満足でしょう?さあ、もうそろそろ帰して…」
オクタヴィア「ヴォッー」ジロジロ
オクタヴィア「ヴォ…」ヒョイッ
ホルガー「…」
ほむら「つ、使い魔を持ちあげてどうするつもりなの…?」
オクタヴィア「ヴォヴォ…」
ホルガー「…」
ほむら「髪と体型は上条恭介にそっくり…顔はおぞましい造形だけれど」
オクタヴィア「…」
オクタヴィア「…」オシツケ
ホルガー「…」ブチュー
ほむら「んぷっ…んんっ…」ブチュー
オクタヴィア「ヴォッ!ヴォヴォヴォッ!」グイグイ
ほむら「んっ…んんっ」ブチュブチュ
オクタヴィア「ヴォッ!ヴォヴォッ!」グイグイ
ほむら(意識が…混濁して…)
ほむら(もう…だめ…気絶しそう…)
ほむら「…」
ほむら「…」
オクタヴィア「ヴォッ!ヴォヴォヴォッ!」グイグイ
オクタヴィア「ヴォッ!」グイ
オクタヴィア「ヴォッ…」
オクタヴィア「…」ポイッ
ほむら「…」ドサッ
ホルガー「…」グチャッ
オクタヴィア「ヴォ…」ノシノシ シュン
ほむら「ん…ああ、私は魔女に使い魔と無理やりキスさせられて…」
ホルガー「…」ピクッピクッ
ほむら「おぇっ…鉄を舐めたような味がしたわ…」ゲシッ
ホルガー「」
ほむら「魔女は…消えたようね…はぁ…」
ほむら「出口を探さないと…」
ほむら「…ああ、酸欠で足元がおぼつか無い…」フラフラ
ほむら「おぇっ…おぇぇぇぇっ…」ゲロゲロ
ほむら「ぜぇ…ぜぇ…」
ほむら「出口…出口…」
「…ハアタシノヨメニナルノダー」
「チョーウゼェ」
「ガンガン…マモッチャ…」
「シッテ…ント…バカ」
ほむら「ここは…どうやら、魔女のメモリアルルームと言った所かしら」
「サヤカチャン!」
ほむら「まどかに…」
「ワタシハ…タキハラ…マホウ…ヨ」
ほむら「これは巴マミかしら」
「クウカイ?」
ほむら「佐倉杏子…」
「ボクトケ…ニナッテヨ…」
ほむら「フフ、インキュベーターまである…」
「ソノ…ナンテ…ケシチャ」
「ドッピュ…ダネ」
ほむら「私のは、無いのね…まあ当然だけれど…」
「カワイイリボン…」
ほむら「…私だけ、無いのね」
ほむら「…はぁ」
ほむら「そういえば、なぜ美樹さやかの映像だけ目が黒く塗りつぶされているのかしら」
ほむら「よくわからないわ…まあ、魔女自体何を考えているかわからないけれど」
ほむら「…」トコトコ
ほむら「これは、ポスターかしら…」
ほむら「えーっと、この文字は…何何?」
ほむら「KYOSUKE…OOSAKA…TOKYO…」
ほむら「フフ、大阪も、東京も今ごろは廃墟よ」
ほむら「よく出来てるわね、このポスター…」
ほむら「日時に…場所に…」
ほむら「裏にも何か文字が書いてある…」
ほむら「!」
Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me
Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me
Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me
Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me Look at me
ほむら「ああ…恐ろしい…」
ほむら「とっとと出ましょう、心の闇を見ている気分だわ」
ほむら「といっても、出口がどこにあるのか…」
ほむら「…」フラ フラ
ヴォォォォォォォォォォォォッ!
ほむら「!」
ほむら「ああ、魔女が帰ってきてしまったわ…これじゃ、また…」
ヒュン ヒュン ヒュン
ほむら「コンサートホールに逆戻り…」
オクタヴィア「ヴォッヴォッヴォッ」ワクワク
オクタヴィア「…」ガシッ スワラセ
ほむら「もう一曲耐えないと…」
ほむら「…」
オクタヴィア「…」スッ
ホルガー「~♪」
ほむら「さっきとは違った曲ね、クラシック調じゃなくてどこか温かみのあるような感じの」
ほむら「あまり認めたくないけれど、とてもいい曲…」
ほむら「…」
ほむら「ああっ、危ない…」
ほむら「こうやって、来た人来た人を夢心地にさせて魂を吸い取っていったのかしら」
ほむら「だとしたら…ある意味じゃ平和的な魔女なのかもしれないわね」
ほむら「肥料にしたり、コンピュータの中に閉じ込めるよりは…」
ほむら「まだマシな方なのかもしれない…」ファサッ ポロッ
ほむら「…ん?何か落ちたわ…」
ほむら「あっ…これって、まさか」
ほむら「…ヘアピン」
ほむら「…」ニヤッ
オクタヴィア「…」ウットリ
ホルガー「~♪」
ほむら「…すっかり忘れてたわ、大きさとしてはちょうどいいし…」
ほむら「…」ガタン
ほむら「…」カリ カリ カリ
オクタヴィア「~♪」フンフン
ほむら「…」カリカリカリ
オクタヴィア「…?」チラッ
ほむら「あと…もう少し、もう少し…」カリカリカリ
オクタヴィア「ヴォッ」ムカッ
ほむら「小石に届いたわ…あと1mmで…」カリカリ
オクタヴィア「…」ズイズイ
ほむら「えぃっ…えぃっ…」カリカリ
オクタヴィア「…」スゥーッ
オクタヴィア「ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!」
ほむら「きゃああっ!」カリカリ ボキッ
ほむら「あ…ヘアピンが…」
オクタヴィア「ヴォウ?」
ほむら「あ、あはは…貴方のヘアピン…折れちゃった…」
オクタヴィア「…」
ほむら「…」
オクタヴィア「…」カラン カラカラカラ
オクタヴィア「ヴォ…ヴォヴォヴォ…」
ほむら「結界が…晴れて行く…」
オクタヴィア「ヴォ…」
ほむら「悪い事をしたわね…でも私、しなければいけない事があるの…それじゃあ」
オクタヴィア「…」
QB「…!」
クリームヒルト「…」グニャグニャグニャ
QB「魔女の動きが活発になった…」
QB「一体どうしたんだろう。これはまさか…」
ほむら「はぁ…はぁ…」
QB「ああ、暁美ほむら、盾は直ったかい?」
QB「それにその髪型…」
ほむら「それどころじゃ無かったわ。魔女に捕まって無理やり髪を切られて、その上魂を吸い取られそうになったり人形遊びの人形にされたり…」
QB「…魔女?」
QB「魔女というのは、まどかの成れの果ての魔女の事かい?」
ほむら「あれじゃないわ、美樹さやかの成れの果て…」
QB「美樹さやかの成れの果て…ああ、人魚の魔女の事か」
QB「あの大きくて黒い魔女…救済の魔女という名前なんだけれど、あの魔女に人間も、他の魔女も全て吸い取られていたと思っていたけど」
QB「地球上で君以外に生命が残っていたなんて、驚いたなあ」
ほむら「そう言うならば、貴方もなぜ残っているの?」
QB「僕…そういえば、僕もあの魔女に吸い上げられていないね。つまり…」
ほむら「まどかが知っている生物は吸い上げられない?」
QB「いや、その可能性もあるだろうけど…もう一つ、仮説を作ったのだけれど聞いてくれないかな」
ほむら「ええ」
QB「救済の魔女の元となった少女、鹿目まどかは美樹さやかに対してどういう感情を抱いていたか、わかるかい?」
ほむら「…友人という感情かしら」
QB「僕は鹿目まどかが魔女化する瞬間に、彼女の感情エネルギーを入手したんだけど…」
QB「オマケに、鹿目まどかが生前どう思っていたか、要するに思考も手に入れたんだ」
QB「今見せてあげよう、僕の目を見て…」
ほむら「…」ズイッ
QB「まず、鹿目まどかの友達観から見て行こうよ」
まどか『友達のすべてを受け止め、抱きしめて、わたしの痛みへと変えていきます
わたしの傷へと変えていきます。そしてその苦しみを、澱みを、愛おしいと感じ
生きていることそのものが、わたしの中に積み重なっていくことを愛おしいと感じ
そして、友達が抱える苦しみをともに味わえることに、感謝していました』
ほむら「つまり、友達の痛みは自分の痛みでもある、友達の喜びは自分の喜びでもある…」
ほむら「友達というのはまどかにとって特別な存在…自分と一心同体であり、全てを愛するまどかにとって、他よりも愛する存在」
QB「つまり、鹿目まどかの大親友である美樹さやかの成れの果ての人魚の魔女が吸収されなかったのは」
ほむら「その友達という特権的階級にいる存在であるから…」
QB「じゃあ、なぜ僕達はあの魔女に救済されなかったのか…」
ほむら「それは、まどかにとって私と貴方が友達であるから…では無いわね」
QB「うん、少なくともまどかは君の事をよく知らないし…それは、僕にもしかりだ」
ほむら「…この時間軸では、ね」
QB「つまり僕達が吸収されなかったのは、単純にあの人魚の魔女の近くにいたからじゃないかな?」
QB「あの時、この街に居てワルプルギスの夜を生き延びたのは、僕と君だけだったようだし」
ほむら「なるほどね、人魚の魔女のお陰で私達はあの魔女の餌食にならないで済んだって訳…」
ほむら「…はぁ」
QB「どうしたんだい?」
ほむら「いえ、ちょっと気がぬけちゃって」
QB「そうかい…ん?」
…チャンヲ…シマ…イデ
QB「暁美ほむら、何か言ったかい?」
ほむら「いえ、何も」
ヤカチャンヲ…ジメ…イデ
ほむら「ねぇ、インキュベーター…」
サヤカチャン…ナイテルヨ…
QB「なんだい?あ、また聞こえたね」
ほむら「まどかの友達観を、もう一度簡潔に行ってみて頂戴」
QB「友達の痛みは自分の痛みでもある、友達の喜びは自分の喜びでもある…」
ほむら「…まずいわ」
タイセツナヘアピン…カミジョウクンカラノプレゼント…
QB「何がだい?」
ほむら「ね、ねぇインキュベータ、何か細長いものは持っていない?」
QB「だから、持っていないよ」
ほむら「ああ、そうなの」
QB「何度聞けばわかってくれるんだい。わけがわから」グシャッ
「…」
ほむら「…ああ、本体はまどかそっくりの姿なのね」
クリームヒルト「…」ギリギリギリギリ
ほむら「まさか、あなたに矢先を向けられるなんて…初めての経験だわ…魔女になった姿と言えども」
クリームヒルト「…」ギリギリ…
ほむら「私を殺すのが貴方の幸せなら、もうそれでいいわ…殺しなさい」
クリームヒルト「…」ギリギリギリ ヒュンッ
ほむら「ごめんなさい、そしてさようならまどか…」
グサッ
ほむら「くっ…あれ?」
ほむら「刺さって…無い?」
ほむら「!」
オクタヴィア「ヴォ…ヴォヴォヴォ…」ドロドロ
ほむら「人魚の魔女…なぜ私を…」
オクタヴィア「ヴォヴォヴォ…」サシダシ
ほむら「…これって、まさか…ヘアピン…」
オクタヴィア「ヴォ、ヴォヴォ」
ほむら「…鎧の中身にあるどろどろの体で無理やりくっつけたのね、くっついていて無いようなものじゃない…」
オクタヴィア「ヴォ…」
クリームヒルト「…」ボトッ カラカラカラ
オクタヴィア「ヴォヴォヴォ…」
クリームヒルト「…」ニコッ ダッダッダッダッダッダ
オクタヴィア「ヴォォォォォォォォォォォォォッ!」シャリントバシ
クリームヒルト「…ッ」ドサッ
クリームヒルト「…?」ウルウル
オクタヴィア「ヴォッ!ヴォヴォッヴォッ!」アッチイケ!
クリームヒルト「…?…?」ボロボロ
オクタヴィア「ヴォヴォヴォ…」アッチイケ
クリームヒルト「…ッ」ダッダッダッダ シュン
クリームヒルト「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
オクタヴィア「…」ゼェゼェ
オクタヴィア「…」バタリ
ほむら「美樹さやか!」
ほむら「なぜ、助けに来てくれたのかしら…」
オクタヴィア「ヴォ…ヴォヴォヴォ」クイクイ
ほむら「ああ、ヘアピン?付けろって言うのね」クシクシ
オクタヴィア「ヴォ…」ツンツン
ほむら「…?」
オクタヴィア「ヴォヴォ…」クイクイ
ほむら「鎧を、外せ?」
ほむら「よいしょ、よいしょ…」ガチャ カラカラカラ
オクタヴィア「ヴォヴォ…」ズルッズルッ
ほむら(溶解して、殆ど原型を留めていない…)
オクタヴィア「…」ズルッズルッ
ほむら「…」
オクタヴィア「…」ペチャッ
ほむら「ひゃっ!」
オクタヴィア「…」ナデナデ
ほむら「…何のつもりかしら」
オクタヴィア「…」
ほむら「…?」
(アナタ、ミキサヤカ…)
ほむら「…あなたも、テレパシーが使えたのね…まあいいわ…」
ほむら(私は美樹さやかじゃないわ。貴方が美樹さやかよ)
オクタヴィア(ワタシ…チガウ…コンナゾンビミタイナバケモノジャナイ…)
オクタヴィア(アナタ…ミキサヤカ…ダッテ、ソックリ…ダモン)
ほむら(何処がそっくりだっていうの?)
オクタヴィア(ココロ…ヨマセテモラッタ…)
オクタヴィア(スキナヒトニ…アイサレナイ…ドンナニガンバッテモ…)
オクタヴィア(ソノヒト…ホカノヒト…アイス)
ほむら「…」
オクタヴィア(ダレヨリモ…ソノヒトヲアイシテルノニ…)
オクタヴィア(ダカラ…ミキ…サヤカ…アナタハ)
ほむら(そういう点では、私と貴方は似ているかもしれないけれど…)
オクタヴィア(ゴメンナサイ…ミキサヤカ…ワタシ…モウダメ…)
オクタヴィア(アナタノ…タイセツナ…サートヲ…)ドロドロ
オクタヴィア(モウ…マモ…レナ…)
オクタヴィア「」
ほむら「…」
ほむら「…」カリ カリ
QB「暁美ほむら、よく救済の魔女の攻撃から生き残ったね」
QB「どんな手を使ったのかはよく分からないけど…あれ、それは何だい?」
ほむら「人魚の魔女の、グリーフシード」カリカリ
QB「人魚の魔女…あぁ、美樹さやかの成れの果てか」
ほむら「グリーフシードには、こんな使い方まであったのね」カリカリ
QB「僕はそんな使い方する魔法少女、始めて見たけどね」
ほむら「…」カリカリ ポロッ
ほむら「取れたわ…」
ほむら「…」スック
QB「で、その盾を使って何をするんだい?」
ほむら「…こうよ」カチャ
QB「…暁美ほむらが消えた」
QB「どういう事だろうね」
クリームヒルト「…!」
QB「あれ、暁美ほむらが居なくなったと同時に、救済の魔女の様子が…」
QB「どういう事だろう…」
クリームヒルト「…」ボロボロボロボロ
QB「自壊を始めてる…?」
QB「どういう事だろう…」
QB「そうか、なるほどね」
QB「この魔女を倒したくば世界中の不幸を取り除く以外に方法は無い。 もし世界中から悲しみがなくなれば魔女はここが天国であると錯覚するだろう…か」
QB「つまり、暁美ほむらと人魚の魔女が居なくなったという事は、実質この地球上から悲しみが失われたという事だ」
QB「暁美ほむら、最後の最後で本当に、お手柄だよ…」
終わり
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