妹「私が義理の妹だったらどうする?」(419)
兄「なんて?」
妹「私とあんたが血つながってなかったらどうする?」
兄「取りあえず爆笑する」
妹「死ね」
ガチャッ バタンッ
兄「実におもしろい」
妹「……」
,彡ニ三三三三三三三ニ=ヾ;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:;:;:i' _,,,,._ 、-r
,彡ニ三三三三ニ三三ニニ;〃ヾ、;:;:;:;:;:;::;:;::;:::;:/;:;:/ .,','" ̄',〈... _,,,_ _,,,_ _,,,,,| |
,彡彡,'',ニ=ミミミ三三三三ニニ彡 `゙゙''ー-、;:;:;:;/;:;/ { { ,___ ,'r⌒!゙! ,'r⌒!゙! ,.'r⌒| l
',彡'/ r' ノヽヾミ三三三三三彡' _,,,,,,、ヽ;:;ィ''| .ゝヽ、 ~]| ,i i i l i l i i .i i .i .i
彡'|.|(‐'''" 'iミニニ三彡"´ ̄ `゙゙ー' ;;;:| `ー-‐'" ゞ_,.'ノ ゞ_,.'ノ ゞ__,.',、'ュ
. 彡i、ヾ (' ヾミニ三' __,,、 ....ノ / r--, 、-r
彡ゝ `'' " |ミミミ' ‐'"ひi,;'´ ,ィ;;ァ' ~`l | _,,,_ | |,,,,,_
'彳`ー‐i |ミミミ' `゙ーシ' |、ニ' | | ,'r⌒!゙! ..| |⌒','i
--、/ i |ミミ .,,r‐''" | ノ | | i i i l .| i .i |
く'ノ :i ミミ ´ ., ' |' l l ゞ_,.'ノ.. .L、-_,'ノ
、\ .l ヾ .ノ(_,,、. | (~'-'ノ
:\ヽ, ヽ / `t‐一' __ `~~
::::ヽ ヽ `::. ,; ' .:i 〈 ヽ
:::::::ヘ ヽ `::. ''"⌒゙''一ノ | }
::::::::::ヘ.ヽ ヽ、 ` ー'ーノ !>'⌒ヽ、
::::::::::::::ヽヘ `ー┬‐一;;''""´ /ヽ、 , )
\、:::::::::ヽヽ /::ヘ ) `゙'ー、_ /:::::::::Τ  ̄ `l
〃`゙ー、;;;;\\ /i:::::::丿 ' , ' , '`゙ヽ、 /:::::::::::┼‐- -ノ
昨夜
父「妹、大事な話がある」
妹「なに、浮気でもした?」
父「してない」
妹「じゃあなに」
父「驚かずに聞いてくれ。実は――」
妹「実は?」
父「実は、お前と兄は血がつながって無いんだ」
妹「な、なんだってー」
父「はっはっは!驚いたか!」
妹「驚いたー……もう寝ていい?」
父「マジなんだが」
ガチャ
母「お風呂あがったわよ」
妹「ねぇお母さんお父さんが浮気したってさ」
母「ほぉぅ?」 ボキボキ
父「してない!してないよ母さん!」
妹「私と兄が血つながってないとか言ってんだけど、病院連れて行く日決めようお母さん」
母「あら、話したの?」
妹「え」
父「そうだ、そろそろ妹は受け止められると思って」
妹「え」
母「そうよ?あんたは私の連れ子、兄はこの人の連れ子」
妹「なんですと……」
妹「はぁ……」
友「おはよー」
妹「おはよ」
友「どうしたの?」
妹「ちょっとね」
友「なんかあったの?」
妹「あったというかあり続けているというか」
友「現在進行中の悩みって事か」
妹「現在どころか生涯続く悩みというか」
友「え!?それは一大事ですな」
妹「そう、だからちょっと一人にしてください」
友「いつ頃まで?」
妹「お昼まででいいよ」
友「分かった!」
昼休み
友「で、どんな悩みなの?」
妹「え?言うの?」
友「言え」
妹「家庭の事情」
友「もっと踏み込んで」
妹「……私の兄との事で」
友「あとひと踏ん張り!」
妹「……うちの親、再婚だった」
友「分かった、血つながってないわけね」
妹「え!?ちょもうちょっとオブラートにっていうかもう分かったの!?」
友「まぁ似てないもんねお兄さんと、そんな気はしてた」
妹「似てるじゃん」
友「いや似てないよあんたとお兄さん」
妹「なんだと…」
友「なに?似てて欲しいの?」
妹「いや、別にそういうのは無いけど……似てないかなぁ…」
友「全然似てない、系統が違う」
妹(何故かショックな私がいる)
友「お兄さんと自分が似てない事にショックを受ける妹であった……後半へ続く」
妹「続かんっちゅーの。……ふーん、自分達からすれば気付かないもんだね」
友「私は気付いてたけどそんなもんかね」
妹「ふーん……そっかそっか」
ガラッ
「妹ちゃん、お兄さん来てるよ」
妹「え?」
妹「……」
兄「ん」
妹「あ、お弁当」
兄「忘れてんじゃねぇよばーか」
妹「うるさいな」
兄「お礼の一言位言えんのかお前は」
妹「さんきゅー」
兄「じゃあな」
妹「あ、ちょい待って。こっち来て」
兄「は?」
グイッ
兄「おわっ」
妹「……」 ジー
グニィ
兄「いへぇ」
妹(似てないのか……まぁそうか……うーん)
兄「はなふぇ」
妹「あ、ごめん」
兄「なにがしたいんだお前は」
妹「……パーツ照合?」
兄「ロボットか俺は。行くわ」
妹「あ、うん」
ガラッ
友「キスした?」
妹「いやしてないし」
友「え?血のつながりが無いと分かってから芽生えた私の本当の気持ち、届けっ!的な奴は?」
妹「りぼんコミックスは卒業したまえ」
友「ちゃおだもん」
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
妹「じゃあちゃおでいいから卒業しなさい」
友「禁断の愛、って奴リアルでイケるよ?ある意味人によっては涎出ちゃう様な環境に自分がいる事を自覚しなさい」
妹「あんたが変態で哀しいよ」
友「私へんたいぢゃなぃもん!」
妹「似合わないねそれ」
友「冷静に突っ込むなよ」
妹「ごめん空気読めなくて」
友「でもさー、あんたそんなに顔悪くないってかむしろ顔いい方だし?お兄さんもフツメンだし?」
妹「だからなんだ」
友「いけるって!」
妹「いけるならいこうみたいなノリやめろうざい」
友「何事も冒険だって!人生1度きりなんだしさ!」
妹「はぁ……そんなに人をくっつけさせたいなら、まず己が実績を持って説得力を持たせてからにしなさい」
友「え?じゃあ私お兄さんと付き合っていい?」
妹「それはだめ」
友「……」
妹「……」
友「だめ?」
妹「うんだめ」
友「なんで?」
妹「えー……私はあんたと、「兄の彼女」ではなく、「私の友達」というスタンスで付き合いたいから」
友「ぇぇー?お兄さんの彼女になっても私達の友情は不滅よぉぉ♪」
妹「うるさい」
友「……」
妹「にやにやするんじゃない!」
友「にやにや」
妹「声に出すな!」
妹「ただいま」
兄「おかえり」
妹「……」 ジー
兄「ふぁぁ」
妹「あんたって、結構イケメンよね」
兄「家族間でそういうの言い合って傷の舐め合いって死ぬほど虚しくなるからやめような?お兄ちゃんとの約束だ」
妹「お兄ちゃんだって、きっも」
兄「帰ってきてそうそうキモい事言っといてよく言う」
妹「お母さんは?」
兄「まだ仕事だろ」
妹「ふーん」
兄「あ、茶沸かしといたわヒマだったんで」
妹「あー今日私当番だっけ?さんきゅー」
兄「いいって事よ」
妹「よーしじゃあお風呂入っちゃおうかな、お茶ついでにお風呂は?」
兄「それは流石にまだ」
妹「じゃあ入れるから」
兄「好きにしなはれ」
妹「関西の人ってそういう他地域の人が使う関西弁ってイラッッとするらしいよ」
兄「分かったでござる」
妹「かといって昔に戻るな」
兄「ok i will be back!!!」 グッ
妹「頭おかしいのねあんた」
兄「風呂出たら俺入るから呼べよ、部屋いるから多分」
妹「分かった」
兄「……」
妹「……」
兄「……覗けと?」
妹「死ね」
妹「ばばんばばんばんばん」
妹「あびばびば」 ガラッ
妹「ふふんふふーん♪」
ゴクゴクゴク
妹「っぷは」
妹「ふー」
妹「……さてと」
兄の部屋
コンコン
妹「……」
コンコン
妹「……」 ガチャッ
シャカシャカシャカシャカ♪
妹「……」
兄「……」 カリカリカリ
妹「……」
兄「……」 カリカリカリ
テテテッ ボフッ
兄「……」 カリカリカリ
妹「……うーむ」
兄「うーむ」 ポリポリ
妹「……」
兄「……」 カリカリカリ
2時間後
ガチャッ
母「ただいまー、兄ー妹知らない?」
兄「……」 カリカリ
母「……」
ゴンッ
兄「って!?」
母「こら、白状しなさい。妹に何したの」
兄「なんだよ!妹なんか来てねぇよ!……風呂入ってんじゃね?……って7時!?……時間経つのはぇぇ」
母「あんた気付いてないの?」
兄「は?」
母「後ろ向けー後ろ!」
兄「」クルッ
妹「……」 スー スー
母「……」
兄「……俺は無実だ母さん」
母「……」
兄「きっと妹は忍術を使える様になったからそれで」
母「ま、いいわ。本人に聞けば済む事……妹、起きなさい」
妹「んーん」
母「起きなさい」
妹「……やぁ」
母「……」
ビシッ
妹「あたぁ!?」
妹「なにするのさ」 ムクッ
母「……」
兄「……」
妹「あ(えーと……)」
母「……」
妹「お母さん」
母「なに?」
妹「すべてこいつが悪いのよ」
兄「えええ!?」
母「何かされたの?」
妹「私を無視しやがったので不貞腐れて寝た」
母「それは兄が悪い」
兄「いやいや声かけられなかったし!いつのまにか部屋に忍び込まれてたの俺!俺被害者!」
母「ま、どうでもいいわ。二人とも降りてきて、ごはんにするから」
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
バタンッ
兄「……この野郎」
妹「あ、そうそうお風呂あがった」
兄「見りゃ分かるわ!」
妹「見ればね、あんた見なかったし」
兄「ぐ…」
妹「風呂あがったら言えって言ったのあんただし」
兄「ぐぬ」
妹「でも私はあんたが珍しく勉強してるっぽいから?だからあんたキリのいい所で一息つく時に声かけようと待ってあげてたわけ」
兄「ぐぬぬ」
妹「何か反論は?」
兄「めしだってよ」
妹「露骨すぎる話題逸らしだね」
兄「めしだめしだー」 ガチャッ
兄「はふっはふっ、ふはっ」 モグモグ
妹「下品な食い方だなおい」
兄「うるせぇ」
母「おいしい?」
兄「うめぇ」
妹「……」 モグモグ
母「あんたも答えなさいよ可愛くないわね」
妹「このデパートで買ってきた惣菜美味しい」
母「ぐぬぬ……ところで兄はお風呂いつ入るの」
兄「この後」
母「母さん先に入っていい?」
兄「何分ぐらいかかる?」
母「30分位」
兄「10分で上がるから俺先にしてくれ」
母「烏の行水ね……分かった」
兄「ごっそさんっ!」
妹「はやっ」
兄「風呂入るわ」
母「タオル2階から持っておりなさい」
兄「へーい」
妹「……何とも忙しそうだね」
母「勉強始めたんでしょう」
妹「え?」
母「受験勉強」
妹「……駅前の本屋に内定したんじゃないの?」
母「大学行くことにしたんだって」
妹「 」
母「……うん」 ニコニコ
妹「……」
妹「ふーん……どこの大学?」
母「関東地方だって」
妹「……ふーん、ごちそうさま」
母「もういいの?」
妹「ごちそうさま」
妹の部屋
ガチャッ バタンッ
妹「……」
妹(え、何この感じ……別にいいじゃん大学の方が)
妹「……私何考えてんの?」
妹「……」
妹「訳わかんない」 ボフッ
2週間後
友「ところで何か進展あった?」
妹「は?」
友「またまたん♪」
妹「兄と私?」
友「うんうん」
妹「ないっつーの。馬鹿?」
友(でも妹の口から絶対にそんなのはあり得ないとかは聞かないしなぁ……)
妹「つか、最近会話もあんまりしてないし」 ボソッ
友「え?なんで?」
妹「勉強、してるから」
友「妹が?」
妹「兄がだよ。何で私だよ」
友「え?でもお兄さん駅前の本屋に就職するって言ってなかったっけ?妹が嬉しそうに話してたから覚えてる」
妹「誰が嬉しそうだったと?……大学行くんだってさ」
友「えー、マジで?」
妹「うん」
友「ふーん……ねぇ、昼にお兄さんの教室行ってみようよ」
妹「え?なんで?」
友「いいじゃんいいじゃん!一緒にごはんでも食べよう!」
妹「え、いや」
友「まぁまぁ」
妹「つか邪魔になるって」
友「ああいやと言いつつ本音はそっちか」
妹「違う!」
友「怒るな怒るな、かわいいのぅ」
妹「私行かないから」
友「……じゃあちょっと覗いて忙しくなさそうだったらって事で、ね?私がお兄さんとご飯食べたいんだって。もし大学に行くんなら、ね?」
妹「……」
友「もう、残り時間少ないしさ」
兄の教室
友「んーと」
妹「窓際の後ろから3番目」
友「流石、愛しのお兄さんの御席は完璧に覚えてますか」
妹「怒るよ」
友「いないよ?」
妹「え?そう?……ぁ」
友「ん?……あ」
兄「先生、ここだけどうしても分かんないんですけど」
先生「これはこないだやった公式の応用を使えば、この式が求められてだな」
兄「うーむ。……あー、難しいけど分かりました」
先生「頑張れよ、この問題は結構重要だから2,3回復習しとけ」
兄「了解しました!5回位やっときます!」
先生「その意気やよし!」
熱唱する俺でさえ40分だが冷静に考えたら俺らの入浴時間なんてかなりどうでもいいよな
兄「すみません昼休みなのに」
先生「いや、いいよ。お前たちは今が一番大事な時期だからな」
兄「あざーす」
先生「また何かあったら聞きなさい」
兄「はい聞きます」
先生「ははは、じゃあ私は戻るよ」
兄「はい!」
友「……5回はやりすぎじゃないかね?ははっ」
妹「でも、言ったからにはやるんでしょ」
友「ふむ」
妹「戻ろう」
友「分かった……頑張ってるんだね。お兄さん」
妹「うん」
兄「ただいま」
妹「おかえり」
兄「ん」
ガチャッ バタンッ
妹「……」
妹「……」
ガチャッ
妹「ねぇ」
兄「なに?」
妹「大丈夫?いろいろ」
兄「は?大丈夫に決まってんだろ」
妹「ならいいけど」
兄「?」
妹「ごはん出来たら呼ぶから」
兄「わかった、あんがと」
2時間後
母「ご飯出来たから兄呼んできて」
妹「ん、分かった」
ガチャッ
妹「ご飯だよ」
兄「……」 カリカリカリ
妹「……おい」
兄「ん?あ、おう。なに?」
妹「ごはん」
兄「あ。もうそんな時間か……くそ」
妹「……」
兄「分かった、もうちょっとしたらキリが良くなるからそしたら。先に食べてていい、悪い」
妹「……うん」
母「兄は?」
妹「もうちょっとしたら来るって」
母「んじゃ先に食べちゃいましょう」
妹「私後でいいや」
母「?」
父「ただいまー」
母「お帰りなさい。ちょうど今からご飯よ」
父「お!それはナイスタイミング、妹、食べよう!兄は?」
妹「勉強してて、キリがいいところで降りてくるってさ。先に食べててだって」
父「そうか。頑張ってるんだなぁあいつ」
母「でも最近あんまり寝てないみたいで」
父「え?そうなのか?」
母「本人は大丈夫って言ってるんだけど」
父「うーん」
妹「……」
30分後
母「降りてこないわね」
妹「いいよ、私お風呂入ってくる」
父「もうお父さん食べちゃったぞ。ごちそうさま」
母「私も、妹はお兄ちゃんと食べるの?」
妹「まぁ……お風呂入ってくる」
父「しかし、急に頑張り出したな兄は」
母「一回エンジンかかるとアクセル全開で壊れるまで頑張っちゃうタイプだからね、あなたと一緒」
父「うーむ……栄養ドリンクとか買っとくか」
母「実はもう買ってあります」
父「お、流石母さん」
母「ふふっ」
父(無理せず頑張ってほしいもんだ)
30分後
妹「出た」
母「はーい」
妹「まだ降りてきてないんだ?」
母「うん、ちょっと流石に食べさせなきゃ。引っ張ってきて」
妹「……分かった」
ガチャッ
妹「ねぇごh…」
兄「……」 ガリガリ
兄(あー……何でこうなんだよ……くそ……何が違うんだよ) ボソッ
妹「……」
兄「……」 カリカリ
妹「お母さん、お盆出して」
ガチャッ バタンッ!!!
兄「おわっ!?……あ?」
妹「……」
兄「あ、メシ……げぇ9時!?……もうそんな時間かよ」
妹「……」
兄「それ……」
妹「光栄に思え、食べさせてやろう」
兄「へ?」
妹「だから、あんたは問題とにらめっこしてなさい。私が口って言ったら口を開ける事。のどが乾いたら茶って言う事」
兄「……」
妹「な、なに……そんな驚かなくていいでしょ、ほらっ!」
兄「……おぉ」
兄「しかし、どういう風の吹きまわしだ?」
妹「なにが? 口」
モグモグ
兄「……いやなんつーかこんな甲斐甲斐しいといいますか」
妹「口」
モグモグ
兄「……」
妹「あんたが悪い」
兄「? 茶」
妹「ん」
ゴクゴク
妹「あんたが、いくらごはんって言っても降りてこないのが悪い。ご飯食べてもらえないお母さん可哀想」
兄「あー……すまん」
妹「口」
モグモグ
兄「というかお前のメシも持ってきたのか?お前はもう食べたんじゃないの?」
妹「問題に集中しろ。口」
モグモグ
兄「……?」
妹「……」
兄「……あ、俺を待っててくれたとか?」
妹「問題に集中!茶!」
ゴボゴボ
兄「げほげほっ!お前茶は俺が言ってからのあれだろうが!」
妹「あ、そうかごめん」
兄「んだよ……分かったよ、やればいいんだろやれば」
妹「そうそう」
妹(あ、お腹減って無かったって言うタイミング逃した……)
兄「……」 カリカリ
妹「口」
モグモグ
兄「……」 カリカリカリ
妹「口」
モグモグ
兄「……」
妹「……」
兄「……」
妹「ごはん終わり」
兄「……」 カリカリ
妹「……」
兄「……茶」 カリカリ
妹「ん」
2時間後
兄「よし、出来た」
妹「おめでと」
兄「え?おおぅ!まだいたのかお前」
妹「なに、いちゃ悪い?」
兄「いやてっきりもう出て行ったのかと」
妹「……」 ムスッ
兄「あ、いや……えーと」
妹「同じ問題してたね」
兄「あ、おう。この問題はこの項目の核となる奴らしくて、これが完璧に理解できればこの項目は大体理解できる様になるって先生が」
妹「で、何回復習したの?この問題」
兄「6回位かな。俺覚え悪いから」
妹「馬鹿だね」
兄「うるせぇ」
妹「……でも、正直だね」 ボソッ
兄「なんて?」
妹「もう寝るから」
兄「おう、ありがとう」
妹「いいよ、栄養ドリンクが冷蔵庫に入ってる。あんた専用だって」
兄「分かった」
妹「……じゃ」
兄「おう」
妹「あんま、夜更かししすぎるとかえって効率悪くなるよ」
兄「分かってる」
妹「おやすみ」
兄「おやすみ」
バタンッ
深夜3時 妹の部屋
ピピピピ ガチャッ
妹「ん……」 ムクッ
兄の部屋
妹「……」 ソッー カチャッ
妹「!」
兄「……」 カリカリ
妹「……ねぇ!」
兄「え!?」
妹「もう3時」
兄「あ」
妹「寝ろ」
兄「……はい」
妹「うん」
兄「風呂入って寝る」
妹「朝シャワーすればいい。もうお風呂お湯抜いてる」
兄「そっか、まぁそうだよな。はは」
妹「……」
兄「……妹?」
妹「ッ」
兄「え?どうした?」
グイッ
兄「?」
妹「すごいクマ」
兄「あー……」
妹「……なんで?」
兄「え?」
妹「なんで急に大学……本屋は?」
兄「……」
妹「いいじゃん本屋。なんで急に、あんた勉強嫌いじゃん」
兄「まぁ……」
妹「……」
兄「……あれだ。その」
妹「なに」
兄「俺あの……教師に、なろうかっつって……」
妹「!?」
兄「あの……結構いいかもとか思っちゃって、うん」
妹「ふーん。教師」
兄「そう。小学校とか、そこらへんの教師になれれば楽しいかなって」
妹「子供好きだもんねあんた」
兄「……」 ボリボリ
妹「分かった、応援する」
兄「……おう」
妹「じゃあ、教育学部?」
兄「一応、そのつもり」
妹「……もうセンター試験1か月後だけど」
兄「おう」
妹「大丈夫?」
兄「正直わからん」
妹「あっそ」
兄「でも」
妹「?」
兄「俺は、もうやるって決めた。……決めたから、やってやる」
妹「ぅ……」
兄「……」
妹「わ…かった……から、そんなに見るな」
兄「え?何が?」
妹「うるさい、とにかく今日はもう寝ろ!いいね!」
妹の部屋
ガチャッ バタンッ
妹「……はぁ」
妹「……」
妹『ふーん……どこの大学?』
母『関東地方だって』
妹「……」
兄『俺は、もうやるって決めた。……決めたから、やってやる』
妹「!」 ブンブン
妹「何よ……かっこつけちゃって」
妹「……」
妹「ふん……じゃあ、いいわよ。私だって……やってやる」
1週間後
兄「……ただいま」
妹「おかえり」
兄「……じゃ、部屋行くから」
妹「分かった」
母「……すごい顔してたわね。大丈夫かしら…」
妹「定期的に私が様子を見に行く、お母さんは心配しないで」
母「そう?何かあればすぐに言いなさいよ?」
妹「分かった」
母(なんだか、この子もスイッチ入ってるわね最近……兄応援スイッチ?)
ガチャッ
妹「……」
兄「……」 カリ カリ
妹「やってる?」
兄「あ? おう」
妹「分かった、何かあったら言って」
兄「?」
妹「いい?」
兄「おう」
妹「……その本持ってたっけ?」
兄「いや、これは友達に1日限定で借りた。どうしても気になった問題があったから。明日返すよ」
妹「ふーん」
兄「今日はこれと他のセンター用の問題やる予定」
妹「分かった……頑張って」
兄「おう」
3時間後
妹「……」 ウツラ ウツラ
妹「…」 ハッ!
妹「……ごめん寝ちゃっt……兄!」
兄「……」
妹「ねぇ!どうした……熱あるじゃん!」
兄「……」
妹「……馬鹿!」
ガチャッ バタンッ
母「あ、妹。そろそろごはん」
妹「お母さん兄が倒れて!熱が」
母「! 氷枕用意するから兄をベッドへ!出来る?」
妹「分かった!」
父「なんだなんだ?」
母「あなた、妹手伝ってあげて!」
1時間後
兄「……ん」
妹「!起きた?」
兄「あれ……」
妹「……この馬鹿」
兄「……っ」
妹「頭がガンガンするんでしょ。まだ熱引いてない」
兄「……」
妹「明日病院行けば?」
兄「あーそう言う事か」
妹「知恵熱って奴だと思うけどね私は。風邪かもしれないから一応病院行きなよ」
兄「分かった、すまん」
妹「……明日は学校休んで」
兄「……でも借りた本」
妹「私が返しに行く、だから休んで」
兄「お前って……」
妹「なによ」
兄「こんなに優しかったっけか?ははっ」
妹「……黙ってろ」
兄「はいはい……つぅ!」
妹「! 今日はもうこのまま寝て」
兄「のど乾いた」
妹「ポカリ飲む?あるよ。ちょっと待ってて」
兄「悪い」
妹「いいよ」
ゴクゴク
兄「ふぅ」
妹「……ホント頭悪い癖に。急に頑張るから」
兄「馬鹿なのは分かってるっての」
妹「……じゃ……ない」
兄「?……寝るわ」
妹「うん」
兄「本……俺の後ろの席の奴」
妹「分かった。大丈夫、絶対返すから」
兄「……」 スゥ
妹「……」
兄「……」 スースー
妹「あんたって、すっごい馬鹿」
妹「馬鹿すぎてもう困ってばっかりだよ私は……でも」
妹「あんたは馬鹿だけど……馬鹿じゃないよ」
翌日 昼休み
友人「ひゃー……本当に頑張ってるんだねぇお兄さん」
妹「まぁね」
友人「惚れるねこりゃ」
妹「はぁ?ないっつーの」
友人「で、その本は何?」
妹「あいつが借りてた本、私が代わりに返しに行く」
友人「誰に返すのかは?」
妹「分かってる」
友人「じゃー行こうか」
妹「来てくれるの?あいついないけど」
友人「友達をお兄さんだけの為に動く現金女みたいに言わないでくれる?」
妹「ごめんごめん」
兄の教室
妹「えーと……すみません」
「なにかな?」
妹「あの、窓際の後ろから2番目の人に用事が」
「ああえーと、あそこにいるよ」
妹「ありがとうございます」
友人「どうもです♪」
妹「すみm
「しっかし兄の奴休みやがってよぉ」
「お前次の授業どうすんの?」
「いや別にあの本がなくても何とかなるけどあれあると便利なんだよなぁ……畜生何で休んでんだよ」
「風邪っつってたじゃん」
「はぁ……てかあいつさぁあんな問題理解できんのかよ」
「就職組だったのにな、ははっ」
「いやぁまぁいいんだけどね……しかし返してくれねぇとさぁ……風邪って嘘じゃねぇの?」
妹「……」
友「……」
「嘘って?」
「いや、あいつの頭じゃ1日で理解できなかったとか」
「ははっ、お前そんなひでぇ事言うなって」
「ま、もうしょうがねぇけどなぁ。明日兄来たらちゃんと理解出来てるのか試してやろうかな、ははっ」
友(何こいつらうざい人達だな……)
妹「……」スタスタスタ
友「あ」
「ん?なに?」
妹「はい」 スッ
「え?あ!……えっと」
妹「兄の妹です。兄が今日来られないから代わりに返しに来ました」
「あ……そ、そう…わざわざありがとう……ははっ」
妹「……私の兄は確かに馬鹿です」
「え……」
「おい!さっきの」
「あ……あ、いやあのえっとさっきのはその……」
妹「いいえ、別にいいです。うちの兄が馬鹿なのは分かってます。
毎日毎日ここ1カ月以上毎日夜の3時以降までずっと勉強して勉強して頑張らなきゃならない位馬鹿です」
「え?」
「ま、毎日3時まで」
妹「先ほどの話を聞いてしまったので、少し弁解させてもらいたいのですが。
私の兄は、馬鹿ですが、馬鹿なりに頑張れる人です。その本を借りた時もあなたに感謝して頑張って唸って勉強してました」
「…………」
妹「兄は本当に今風邪で倒れて家で寝ています。どうかあなたの言った様な事ではなく、本当に風邪なのだと言う事を言いたくなりました。
差し出がましく、長々とすみませんでした」 ペコッ
「こ、こちらこそ……その……」
妹「失礼します。 本、ありがとうございました。 行くよ」
友人「はいはい♪」
友人「ふふふふっ」
妹「なに?気持ち悪いんだけど」
友人「いやぁスカッとしたのではい」
妹「何であんたがスカッとしてんのよ」
友人「そりゃあああいう場面を見せてもらったわけだし当然でしょ。
というかあんたがあんまりスカッとしてない様な気がするのが気になるんだけど」
妹「よく分かったね。まぁはっきり言って言い足りなかった」
友人「あはは」
妹「もっともっと激しく罵倒してやりたかった。兄は本当にそれぐらい頑張ってるんだから、兄に失礼」
友人「でもあれ以上言ったらヤバかったよ」
妹「分かってる。明日兄が来た時に教室が居づらいものになっちゃうしね……だから自制した」
友人「よしよし。えらいえらい」 ナデナデ
妹「もっとナデたまえ」
友人「おーよしよし」
妹「……」
妹「ただいま」
兄「おかえりー」
妹「! もう大丈夫なの?」
兄「おう、朝医者行って点滴打ってもらって、帰ってからさっきまで寝てた!もう大丈夫だ!!」 グッ
妹「そっか、よかったね」
兄「おう!マジありがとな」
妹「これに懲りたら毎日4時まで勉強しない様にしなよ」
兄「うーん」
妹「し、な、よ」 ズイッ
兄「お、おぅ……でもなぁ……時間が」
妹「体壊してまで勉強しなくていいでしょ」
兄「……」
妹「その……ていうかあれだよ、あんた馬鹿なんだし」
兄「あ?」
妹「だから、一浪位ならお父さんもお母さんも許してくれるって」
兄「おい……」
妹「ぁ……いや、だからさ」
兄「俺は馬鹿だけど、でも……その言い方はねぇだろ!」
妹「ち、違う!そういう意味じゃなくて、もちろん今年合格してほしいって思ってるけど!」
兄「じゃあなんでそんな「あんたはどうせ今から頑張ったって…」みたいな事言うんだよ」
妹「違う!!!」
兄「違わねぇだろうがっ!んだよっ!所詮お前には他人事だからってか?ああ!?……!!」
ポロポロ
妹「……心配なの」
兄「あ、いや……あの……」
妹「あんたが体壊す方が心配なの!!!分かってよ馬鹿!!!!!何で言わせるのよ!!ふざけんじゃないわよ!!」
兄「ぁ……」
妹「馬鹿兄!!!」
兄「妹!!」
バタンッ
妹の部屋
コンコン
兄「妹……ドア越しでいいから聞いてくれ」
妹「…………」
兄「ごめん、俺馬鹿だから。その……1つの事にしか目が行かなくて……ってか……とにかくごめん!」
妹「……」
兄「俺がお前の立場になったらそりゃそうだよな、体ブッ壊すやり方続けるのは……だよな。うん」
妹「……」
兄「だから、お前の言いたい事は分かった……妹……」
ガチャッ
兄「!」
妹「なに」
兄「……ごめん」
妹「はぁ……」
妹「いいよ、もう。私もそんなに頭よくないし、言い方が悪かったし……うん」
兄「おう、ホントごめんな」
妹「私は、あんたが頑張ってるのは知ってる。だから今年合格してほしいと本当に思ってる、応援してる」
兄「うん」
妹「でも、だからといって体を壊すまでやっては欲しくない……心配する。だって」
兄「おう」
妹「あんたは、私の……だから」
兄「え?なに?」
妹「兄だからって言った」
兄「あ、そう」
妹「そう」
兄「……」
妹「と、というか!友達から聞いたんだけどさ」
兄「なんだ?」
妹「やっぱり寝る事は寝ないと。かえって寝ない時よりも頭が整理されて、すっきりして勉強の効率よくなるんだってさ」
兄「うん……そうだな……分かった!遅くても1時位には絶対寝る様にしようと思う!おーし!やってやる!!」
センター当日
兄「……」
妹「大丈夫、一生懸命やった事を出し切ればいいだけだよ」
兄「お、おう……」
妹「ほらお守り」
兄「おう」
母「頑張っておいで」
父「気をつけてな、やる科目を間違えたりするなよ?数学とかな」
兄「おう!頑張る!」
ギュッ
兄「妹?」
妹「が、がんばれ」
兄「……プッ なんでお前の方が緊張してんだよ……(あれ?何かいい感じに緊張が取れた…か?)」
妹「(まったく世話の焼ける)と、とにかく……がんばれ!」
兄「ただいま」
妹「おかえり!」
兄「おう」
妹「……」
兄「……」
妹「ん、んと……その」
兄「俺なりに、頑張ったつもり」
妹「……うん、お疲れ。明日もあるんでしょ?」
兄「当然」
妹「今日は12時には寝なよ」
兄「分かった」
妹「ごはん食べよう?」
兄「よし!メシ!」
母「はいはい」
センター2日目
兄「うがあああただいまあああああ!!!!!!!!!!」
妹「うわっ、テンションたかっ!」
兄「ひとまず終わったああ!!!」
妹「2次があるでしょまだ」
兄「明日センターの答え合わせ学校でするから、その結果次第じゃもう今日で終わった様なもんだ!」
妹「それじゃ浪人になるから結局だめじゃん」
兄「それを言うなよ……いや、まぁ何と言うかとにかく今この瞬間だけでいいからゆっくりさせてくれ」
妹「はぁ……取りあえずお風呂入ってくれば?」
兄「おう!母さん風呂入るわ!」
母「はいはーい。出たらご飯にするからね」
兄「へーい」
妹(久々になんか……いつもの兄だな……うん。へへ)
翌日
兄「ただいま……」
妹「あ、おかえり」
兄「……」
妹「……(これは……)」
兄「はぁ」
妹「そんなに落ち込むなって」 ポン
兄「妹?」
妹「その……あれだよ、来年は私も高3だし、そしたら一緒に勉強もできるし。いい感じじゃん?そしたら」
兄「ああ、2次に落ちればそうだなぁ。そうなるか」
妹「え?」
兄「いやぁ……ギリギリ足切りは逃れたから。何とか2次も受かりたいけど……不安っていうか……」
妹「……」
兄「ん?ど、どうした妹……顔赤いぞ?」
妹「うるさい!!よかったじゃん!馬鹿!おめでとう!馬鹿!」
国立志望かよ
こいつ馬鹿じゃねーじゃん
馬鹿をなめるな
2次試験1週間前
妹「ただいまー」
兄の部屋
ガチャッ
兄「……」 カリカリカリ
妹「ただいま」
兄「あ、おう」
妹「どう?順調?」
兄「赤本って解説結構しっかりしてるし、躓きつつもまぁなんとか」
妹「そっか。何か飲み物いる?」
兄「じゃあお茶」
妹「分かった、持ってくる」
兄「なんか悪いな」
妹「ま、今だけだから。精々妹を召使に出来るご身分を楽しみたまえ」
兄「なんだよそれ、ははっ」
2次3日前
友「おはよー」
妹「おはよ」
友「どう?最近のお兄さんの調子は」
妹「さぁ、まぁ夜は1時ぐらいに寝てるっぽいけど」
友「部屋で付き添ったりはしてないのかにゃ?」
妹「してるわけないでしょ、勉強の邪魔になるじゃん(センター前はまぁ……セーフでしょ)」
友「そっか、本当に今が必死な時期だもんね」
妹「そうだよ、朝早くから起きて頑張ってんだから」
友「なんかあんた奥さんみたいだね」
妹「はぁ?ないない」
友(でも前までは見られなかった頬染めリアクションはどういう事かなぁ?) 「などとは言いませんよ勿論」
妹「何言ってんの?」
友「ま、とにかく。応援してあげな」
妹「最初から……応援してるっての」
2次試験前日 夜 受験大学近くのホテルの一室
兄「……」 カリカリ
兄「……」 ピタッ
兄「おーし……おし!悔いはねぇ!」
兄「……で、何で」
兄「お前までついてきたの?」
妹「なによ、明日ちゃんとあんたが起きれるか分からないからついて来てあげたのに」
兄「いやまぁそれはありがたいけど」
妹「まぁ私も学校休めるし、観光にはこれるし。いいかなって」
兄「どう考えてもそっちがメインじゃね?」
妹「む……」
ズイッ
兄「あ?」
妹「あんたを起こすのがメイン、それだけは間違いないっつーの」
兄「そ、そうか」
妹「そうよ」
兄「分かった」
妹「分かればよろしい、それじゃあ寝よう」
兄「兄妹一緒の部屋で寝るって久々だな」
妹「まぁね。部屋1つしかとれなかったししょうがないよ」
兄「別に嫌とは言ってないだろ?」
妹「あっそ、まぁいいけど。ほら、確認。受験票」
兄「ここにある」
妹「筆記用具」
兄「ある」
妹「時計」
兄「ある」
妹「鉛筆削り」
兄「大丈夫、全部ある」
妹「じゃあそれ全部一か所に」
兄「出来た」
妹「よろしい」
兄「なんか、お前母さんみたいだな」
妹「はぁ?それを言うなら……ぁ」
兄「ん?なに?」
妹「な、なんでもない!寝るよ!」
兄「?」
妹「電気消すよ」
兄「目ざましよし」
妹「うん、大丈夫」
兄「それじゃ」
妹「うん」
パチッ
兄「ふー……」
妹「緊張する?」
兄「明日はするだろうけど、今はなんか落ち付いてる」
妹「そっか」
兄「お前がいるからかもな」
妹「え!?」
兄「安心出来てるのかも、一人だったら緊張してたと思う」
妹「……」
兄「ありがとな」
妹「いいよ、来年はあんたの番だからね」
兄「あーなるほど……まかせろ」
妹「絶対だからね」
兄「分かってるよ」
妹「じゃあ、寝よう。おやすみ」
兄「よし……うん、おやすみ」
二次試験 当日
兄「……よ、よし」
妹「緊張してんの?」
兄「ま、まぁ心地よい緊張感……む、武者ぶるいって奴だ!」
妹「はぁ……(ここなら知り合いいないし……ま、いっか)」
ギュゥ
兄「……あ?」
妹「ほら、頑張ってこい」
兄「あんがと」
妹「受験票、筆記用具、鉛筆削り、時計」
兄「ある、ある、ある、ある」
妹「よろしい……じゃあ」
兄「おう……行ってくるぜ!」
妹「うん!」
妹「……よし」 スタスタ
妹「すみません、このあたりに○○神社っていうのが」
「ああそれならあそこですよ」
妹「あ、分かりました。ありがとうございます」
試験会場
試験官「それでは問題用紙を裏返しにして後ろの人に回してください、まだ表にしないでください」
兄「ふぅ……すぅぅはぁぁ」
神社
妹「着いた……さてっと……よし!500円位でいっかな」
チャリンッ
妹(どうか……実力が100%出せますように。緊張で頭がまっ白になりませんように。どうか……合格しますように)
試験会場
試験官「それでは、始めてください」
兄(おーし……やるぜっ!!)
試験終了後 試験会場前
妹「あ」
兄「おーう」
妹「おつかれ」
兄「メシ食おうメシ!腹減ってしょうがねぇよ」
妹「美味しそうなカツ屋さんあったよ、行く?」
兄「あーカツ屋って試験前に行くべきだったかな」
妹「今から行っても効力一緒だって、行こう行こう」
兄「だ、だよなっ!結果発表で俺は合格を勝ち取るって感じで!」
妹「そんな感じ、さぁ行くよ」
兄「よーし!取り合えず終わったぜひゃっほう!」
妹「騒ぐな恥ずかしい」
兄「あ、ごめん」
妹「もう」
カツ屋
妹「それで?」
兄「ん?」 モグモグ
妹「手ごたえの程は?」
兄「取りあえず問題は全部埋める事は出来た」
妹「おお!」
兄「あと何問かは赤本でやった過去問と似たのがあったから」
妹「いいじゃんいいじゃん」
兄「でもまぁ、分からない」
妹「?」
兄「間違えてるかもしれないしな」
妹「そんなの考えたら止まらなくなるよ、取りあえず今はいい風にいい風に考えなきゃ」
兄「そ、そうか……うん!そうだよな!」
妹「そうそう!」
兄「よし!取りあえずいい感じだ!……そういや、お前は観光とかしてたのか?」
妹「え?あー……うん、行った」
兄「どこ?」
妹「○○神社って所」
兄「ああ、ホテルのパンフレットで見た気がする……他には?」
妹「……」
兄「?」
妹「行って…ない、かな」
兄「え!?なんでだよ、せっかく来たのに」
妹「いや、なんか……行く気が起きなくて」
兄「なんじゃそりゃ」
妹「へへ……まぁいいじゃん」
兄「じゃあお前ずっと神社にいたのか?」
妹「景色もいいので景色を眺めていた……みたいな?」
兄「ババアみてぇだな」
妹「なんだと」
兄「あ、いや。失言であった」
妹「うざ」
兄「でも、ほんと、行けばよかったのに」
妹「もうその話はいいの。……祈り続けなきゃ不安だったとか……そういうのはないから、あんたは気にしなくていいの!」
兄「え?もしかしてお前」
妹「カツ食べよ!冷めるから!!」
兄「顔真っ赤だが」
妹「ぅ……」
兄「……そっか」
妹「うぅ」
兄「お前は兄想いのいい奴だなぁ。うんうん」
妹「うるさいうるさい、食べるよ!」
兄「もし受かってたら来年同じ事してやろうっと」
妹「しなくていい!うるさい!黙って食べろ!」
合格発表日 学校
友人「今日だっけ?」
妹「そう」
友人「……」
妹「……」
友人「二人の旅行から帰って来た時のあの嬉しそうな顔で私に報告してくれた妹ちゃんはいずこへ」
妹「旅行じゃないし嬉しそうでもなかったっつーの」
友人「そろそろ言ってもいいかもしれないけど、あんた最近お兄さんの事話してるときちょっとほっぺ赤いよ」
妹「は、はぁ!?なわけないでしょ」
友人「ま、そういう事にしときますか」
妹「意味分かんない事言わないでくれる?うざいなぁ」
友人「で、合格発表何時から?」
妹「……11時」
友人「あと30分か。お兄さんは?」
妹「家のパソコンの前でにらめっこでもしてるんでしょ」
友「手ごたえあったんでしょ?じゃあ受かってるって」
妹「だといいけど」
友「あんた今絶対お兄さんより緊張してるよ」
妹「うるさいな」
友「本当にお兄さん想いの素晴らしい妹さんだことで……それとも恋人の事を自分の事の様に考える彼女…とか?」
妹「……」
友「聞いてないなこりゃ」
妹(聞いてるわよ馬鹿)
10時55分
妹「……」 ソワソワ
友「……」
10時59分
妹「……」
11時00分
妹「!……(神様……)」
ギュゥ
家 リビングPC前
10時59分
兄「うおおおおおおくるくるくるううううううう」
11時00分
兄「き、きたああああああああ!!!!」
兄「……よ、よぉし!見るぞ!当たって砕けるな!!…………ってアクセス多すぎて見れねぇ!!!くそがああああああ!!!!!!!!」
11時7分
兄「ふん!ふん!ふん!ふん!」 カチッ カチッ カチッ カチッ
兄「そりゃ!」 カチッ
兄「あ」
兄「…………」
ブブブブブブ
妹「!」 パカッ
妹「……」 ピッ
妹「!!!」
妹「…………」
妹「……先生」
先生「はい、どうした」
妹「体調がすぐれないので、保健室に行ってもいいですか?」
先生「うーむ……満面の笑みで体調不良を訴えるなよ」
2日後 家
父「えーそれでは!兄の○○大学教育学部合格を祝して!」
母「かんぱーい!」
妹「かんぱい!」
兄「かんぱいやっほっぉぉぉぉぅ!!!!!」
父「よし!兄!好きなだけ食え!寿司だぞ寿司!!」
兄「食いまくってやるぜ!まかせろ!!」 バクバクバクバ
妹「下品」
母「まぁでも今日ぐらいはいいんじゃない?」
妹「うーん……ま、目をつぶろうかな」
父「いやぁしかし面白かったなぁ合格発表日は」
母「帰ってきたら兄が一人でPC前で号泣してるんだもんね」
妹「あれは引いた」
兄「これうめぇ!!」
父「てっきりそれで俺は兄が落ちたのかと思ってどう声かけたらいいのかと思ってたんだが」
母「画面を見てみると合格してたしねぇ」
兄「妹マグロくれ」
妹「自分でとれっての……はい」
兄「さんきゅ」
父「ま、いいか」
母「そうね。今日はお祝いするだけで十分」
父「これからが大変だろうが、頑張ろうな母さん」
母「ええ、バリバリ稼ぐわよ」
兄「あ……その事に関しては、なんかすまん」
妹「……変な所で律儀だね」
父「そうだぞ兄、俺はお前の親父だ。まかせろ」
母「私も母親、まかせなさい!」
兄「……おう」
父「と、いう事でだ!さっそくだが明日から俺と大学の近くにいくぞ!」
兄「?」
父「分からんのか、お前の一人暮らし用のアパート捜さなきゃいけないだろうが」
兄「あ」
妹「……」
母「生活用品も揃えなきゃだし大変よ。これから4月位まで大忙し」
兄「な、なるほど……だよな!これから向こうで生活していくんだからな!」
母「そうそう」
父「しかしまさかお前が一人暮らしをする事になるとはなぁ、本屋の事が決まった時は家から通うつもりだったんだろ?」
兄「まぁそうだな」
母「ま、しっかり向こうでも頑張りなさい」
兄「お、おう」
妹「……」
1週間後
友「おはよー」
妹「うん」
友「……元気だせよー」
妹「は?元気ですけど?」
友「思いっきりまいってますって顔に書いてあるけど」
妹「気のせいじゃない?」
友「お兄さん」
妹「!」ビクッ
友「いつ引っ越すの?」
妹「……明日」
友「速いね」
妹「ちょっと早く行って、向こうの土地勘を覚えるんだってさ」
友「なるほど」
妹「……」
友「……で?」
妹「で?」
友「どうするの?」
妹「どう、って…」
友「告白しちゃえばいいのに」
妹「は、はぁ?」
友「もうどう見てもあんた好きになってんじゃん」
妹「何言ってんのよ馬鹿」
友「えー、絶対好きでしょ」
妹「……そりゃ、好きよ」
友「おお!!!」
妹「家族としてね」
友「おぃぃ」
妹「……ばかじゃないの」
友「このまま、お兄さんとバイバイって感じ?」
妹「大げさすぎ、夏とか正月とか普通に会えるでしょ」
友「そういう事じゃなくてさ、あんたも来年大学行くでしょ?」
妹「そりゃ合格すればいくさ」
友「そうするとあんたも一人暮らしを始めるわけだ、んで、お兄さんも一人暮らし、お互い別の土地で」
妹「……そう、なるかな」
友「そして、お兄さんに彼女が出来たり、あんたに彼氏が出来たり、いやあんたしないかもしれないけどお兄さんloveだし」
妹「叩くよ?」
友「とにかくそういう事があったり、大学を卒業して就職したり……ほら」
妹「なに」
友「もう、家族として今みたいな生活を続ける事は一生出来なくなるんだよ?多分」
妹「!」
友「分かってるよね?」
妹「もち、ろん」
友「私はいつでもあんたの味方だから、アドバイスするけど。悔いのない様にしなさいよ?」
妹「…………分かってるわよ……」
妹「ただいま」
兄「おかえりー!」
妹「なにしてんの?」
兄「荷造り?」
妹「引越しの荷物は全部運んだんでしょ?」
兄「明日手で持っていく分をな。えーと歯ブラシだろ?お気に入りのコップだろ?」
妹「ああそういうのね」
兄「おう。……よし!これでいいかな」
妹「ちょっと、さ」
兄「あ?」
妹「ごはん食べ終わったら、あんたの部屋、行くから」
兄「?」
妹「い、いい?」
兄「いいけど?」
妹「うん」
夕食
父「いやぁしかし、こうして4人で食べることも今後は少なくなるんだなぁ」
母「成長よ成長」
父「だなぁ」
兄「あ、そうか。明日から俺一人でメシ作らなきゃなんねぇんだ」
妹「あんたなんかできんの?」
兄「……カップヌードル位なら!」
妹「……」
父「お前もうちょっと頑張れ」
母「勉強は一段落したんだから、大学の勉強をしながら今度は料理もね」
兄「うーむ……」
父「あ、そうだ。兄、大事な事を言う。よく聞け」
兄「あ?なに?」
父「正直お前は精神年齢が低い」
兄「おい」
父「だから、本来ならばお前が就職して、社会の波に少し揉まれてから話そうと思っていた事がある」
兄「……なんだよ」
妹「え?お父さん?」
父「うむ、ちなみに妹にはもう伝えてある」
兄「えー?なんだよぉお前知ってんの?何の事だよ」
妹「あ、ぅいや……え……ぇぇー?」
母「妹が慌てる姿なんて久々に見たけど面白いわね」
父「さぁ聞いて驚け!実はだな!」
兄「どうせ大した事ねぇんだろ?いいよ、さっさと言えよ」 ズズッー
父「うん、兄。お前と妹、血つながって無い」
兄「ぶほぉ!!??」
兄「げほっ!げほっ!!」
妹「だ、大丈夫!?」
兄「……な、何を言い出すかと思えば……あービックリした」
妹「……」
父「ほんとだぞ?」
兄「嘘に決まってんだろ、騙されねぇよ……はぁ……どういうサプライズの仕方だよったく」
母「あら、ほんとだけど」
兄「……ん?」
妹(うわ、私の時と同じ流れだ)
兄「……なにが?」
母「あんたとこの子、血の繋がって無い赤の他人よ?」
兄「はぁぁぁ!?」
母「あんたはお父さんの連れ子、この子は私の連れ子」
兄「…………妹、明日引っ越すのは延期だ。この二人を急いで病院へ連れて行こう。手伝ってくれ」
妹「なんかさ……マジ、らしいんだよね。うん」
兄「お前まで二人の肩持つのかよ、まったくそんな事しなくていいんだっつーの」
妹「いやぁ、うん。私も最近まで知らなかったんだけどさ」
兄「……」
妹「……」
兄「……え?」
父「実感湧いたか?」
母「現状把握完了?」
兄「……」
妹「……」
兄「え……だって俺とこいつ、似てるよな?」
父・母「「顔は別に似てない」」
兄「なん……だと……?」
妹(やっぱ似てると思ってたんだ、いや私もそうだったんだけど)
2時間後 兄の部屋
コンコン
兄「あー」
妹「入るよ?」
兄「おう」
ガチャッ バタンッ
兄「……」
妹「……ぁ、れ(やば……何この雰囲気)」
兄「いやぁ……まぁ座れよ」
妹「う、うん」
兄「……なんか、さぁ……」
妹「うん?」
兄「思い出したんだけど」
妹「?」
兄「前にお前「私が義理の妹だったらどうする?って聞いてきた事あったよな」
妹「!」
兄「という事は、あの時には知ってたって事になんのか?」
妹「あの日の、前の日に」
兄「……」
妹「いや、隠すつもりはなかったんだよ?でも、別に言う機会も必要性もなかったし」
兄「まぁ、うん」
妹「そうそう」
兄「……んー」 ポリポリ
兄「ふーん」
妹「……」
兄「なんか、実感わかねぇっつぅか」
妹「そりゃそうでしょ」
兄「てか俺とお前って似てると思ってたからさぁ」
妹「それは私も同じ、でも友達に聞いたら全然似てないって言われた」
兄「マジかよ。ショックではないけど変な感じだな」
妹「う、うん」
兄「……そっかそっか……ま!あれだ!!」
妹「ん?」
ナデナデ
妹「!?」
兄「お前が俺の妹な事には変わりねぇんだし?今まで通り楽しく行こう!な!」
妹「……」
兄「どうした?」
妹「それで、いいんだ?」
兄「え?」
妹「今まで通りは……無理だよ」
兄「……なんで?」
妹(本気で分かってないなこいつ。いやそれが普通で私の方が異常なのは分かってるけどさ)
兄「妹?」
妹「……」 ジィ
兄「???」
妹「もう、さ……とっくに私は」
兄「なんだ?」
妹「とっくに私は……く……だ、だから……あんたの……事さ…」
兄「おう」
妹「兄とは……見れてなかったり……したり……しなかったりなんだよ!分かってよ!!」
兄「……わからん。どゆこと?」
妹「……」 ガクッ
兄「おい、マジで分からんぞ?俺はお前のお兄ちゃんだぞ?これからもずっとだぞ?」
妹「……それは分かってるよこの馬鹿」
兄「じゃ、じゃあ何で兄として見れないとか言ってんだ??た、他人としか見れなくなって的な兆候が?……そ、そんな悲しい事言うなって」
妹「は?」
兄「な、仲良くしていこうぜ?今まで通りにさぁ」
妹「いやいやいやいや」
兄「あ?」
妹「あんた、重大な勘違いをしてる」
兄「……意味が分からん」
妹(うんこいつの反応が絶対的な世間一般的なものである事は分かってる)
妹「でもむかつく」
兄「意味も分からずむかつかれた!?」
妹「わ、分かってよ!分かってほしいんだよあんたに!」
兄「……と、言われましても」
妹「ぅぅー……」
兄「……顔が沸騰した用になってっけども」
妹「……」
兄「あのなぁ……分からんものは分からん!俺は馬鹿だ! ちゃんと明確に言え!」
妹「ッ……こ、この……こ…の…大馬鹿!!」
グイッ
兄「ん?」
妹「……ん……!」
兄「……!?」
妹「んーー」
兄「んんーーー!?」
プハッ
妹「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
兄「……………………」
妹「……分かった?」
兄「……」
妹「意味」
兄「おぅ」
妹「あっそ」
兄「えーと……でも、お前何故に?」
妹「知らないっつの!勉強頑張ってるあんた見てたら何となくよ何となく!」
兄「何となくっておい」
妹「理屈じゃないってのこんなの! つーか!」 ビシッ
兄「!」
妹「ふぁ、ふぁふぁふぁーすと……き、きすだったんだから!感謝しろっての!」
兄「お、俺もだが」
妹「うるさい!!」 バシッ
兄「ちょ」
10分後
妹「はぁ……死にたい」
兄「落ち着きを取り戻したら絶賛自虐モード突入かよ」
妹「あんたが私の立場に立ってみなさいよ、恥ずかしすぎてもう死にたい」
兄「どんまい」
妹「あんたのせいでしょうが」
兄「……なんか謝ればいいの?」
妹「いいわよ馬鹿……というか……」
兄「?」
妹「今思えば、おかしかったのよね……昔から」
兄「なにが」
妹「お母さん、昔から私に「将来はお兄ちゃんと結婚しなさい」だとか、「お兄ちゃんの事は大好きになってもいいからね」だとか、散々言ってた」
兄「……なにその驚愕の事実」
妹「今考えれば、そうよ。あれ絶対わざとだったに違いない」
兄「……」
妹「お母さんは私があんたを好きになる様に刷り込み教育してたのよ!」
兄「洗脳かよ!?それでお前が俺を好きになってるんだとしたら微妙に悲しいぞおい」
妹「なわけないでしょうが!あんたの事は洗脳とか刷り込みとかまったく関係なく好きよ!」
兄「あ……」
妹「あ……」
兄「……あ、そう」
妹「ぅぅぅー……もうばか……」
兄「えーと……まぁ、うん。そうか、そういう刷り込みなら、ガキの頃からお前が俺を恋愛対象として見てないとおかしいわけだもんな」
妹「そんなのは無かったんだからね言っとくけど」
兄「それは一番俺が分かってるっつの」
妹「どうだか……朴念仁だし」
兄「信用ねぇな俺」
妹「と、とにかく……その……あんたを好きになったのは……その、あんたが頑張ってる姿が……」
兄「……」
妹「か、かっこ……悪くはなかったから、よ」
兄「そこは素直にかっこよかったって言えよ」
妹「うるさい黙れ」
兄「……ふーん」
妹「ま……あんたの私に対する気持ちは家族としてのものしかないのは分かってる。私だってちょっと前まではそうだったし」
兄「まぁ、そりゃそうだ」
妹「でも、ま。覚悟しなさいよね」
兄「は?」
妹「もう、私のは……じ…めて、あ、ああげたんだし?せ、責任」
兄「!?」
妹「なによ!嫌だっての?……」
兄「いや思考がフリーズした」
妹「そ、そう。じゃあ忘れて」
兄「リョウカイシマシタ」
妹「とにかく」
兄「……」
妹「私、あんた好きになっちゃったから。以上」
兄「取りあえず、事実としては認識した」
妹「現状はそれでいいわ、どうせ明日から暫く離ればなれだし」
兄「あ」
妹「ふん……何で私がこんなに恥ずかしい事言ったのか分かる?
明日からもあんたとこの家で暮らすなら、四六時中顔真っ赤にしなきゃならない様な事、誰が言うもんか」
兄「……」
妹「……」
ギュッ
兄「……な、なんだよこの手は」
妹「何でも、いいでしょ」
兄「顔真っ赤だぞ」
妹「あんたも微妙に赤いわよ。真っ赤じゃないのはムカつくけど」
兄「……」
妹「ねぇ」
兄「なんだ」
妹「向こう行っても、その」
兄「?」
妹「か、彼女とか……どうせ、出来ないんだから。つ、作ろうとかいう無駄な努力をする暇があったら勉学に励みなさい」
兄「…………」
妹「…………ああもう分かったわよ!そうよ!彼女作ってほしくないの!」
兄「うーん、まぁ出来ないだろうけど」
妹「まぁそうね。あんたじゃね」
兄「おい」
妹「なんてね」
兄「ん?」
妹「私にあんたを止める権利はないから、聞き流してくれてもいいよって事」
兄「……」
妹「私、来年あんたの大学受ける」
兄「!?」
妹「もう決めたから」
兄「え、それって」
妹「受かったら、同棲するから」
兄「……」
妹「1年後に同棲する女が確実に現れる状況で、あんたが彼女を作る気になるかどうかとっても気になる所だね。ふふっ」
兄「それは卑怯というのでは?」
妹「卑怯だと思うならあんたを好きだってこの気持ちが冷めるのを待つしかないと思うから、ここは素直に謝っておくかな。ごめんね」
兄「凄まじい論理展開だなお前は」
妹「私あんたの妹だし、馬鹿なの」
兄「はぁ……なんか色々ありすぎて疲れた。頭パンクしそう」
妹「あっそ」
兄「お前の所為だからな9割位」
妹「知ってる」
兄「そろそろ寝るかな」
妹「い、一緒に寝ない?」
兄「え!?お、お前まさか……おいおい俺はお前を妹だと思ってんだぞ!」
妹「え?……は、はぁ!?何変な方向に思考巡らせてんのよこの馬鹿!あんたの思ってる様な事なんかする気ないわよこの変態!」
兄「……お前が俺に変態……だと……」
妹「そうよ変態。私が今行ったのは単純に兄妹としての話よ!兄妹として一緒に寝る最後の機会なんだし?」
兄「夏とかに帰省すりゃ寝てやれそうだが」
妹「だめ、その頃はもう男と女でしか見れなくなってるから絶対」
兄「それはお前だけだろ」
妹「あんたもそうする自信があるわ」
兄(こいつ俺が大学入ってから何するつもりだよ……)
妹「とにかく一緒に寝るわよ」
兄「ったく……なんだか納得いかねー」
妹「さっさと布団入ってよ」
兄「うるせぇな」
10分後
妹「狭い」
兄「じゃあ部屋戻れよ」
妹「馬鹿?狭いからくっつくって言ったんだよ」
兄「ちょ!」
妹「昔はこんな感じで寝てたじゃん」
兄「昔だろ!お前がまだ甘えん坊な時の話だろうが!」
妹「今は昔に戻った事にするの。分かった?」
妹「お兄ちゃん?」
兄「…………お前が俺はこええよ」
20分後
妹「寝た?」
兄「もう少しで寝そう」
妹「興奮とかしない?」
兄「しねぇな」
妹「やっぱまだ駄目か」
兄「なに?お前興奮してんの?」
妹「はぁ?……ちょっとドキドキしてるだけで何てことないわよこんなの」
兄「あっそ」
妹「……聞いていい?」
兄「なにを」
妹「何で教育学部に入ろうと思ったの?何で教師になろうって……思ったの?」
兄「……あー」
妹「……」
兄「あれだよ……お前のせいだけど」
妹「は?私?」
兄「昔から、実は教師ってのはぼんやりいいなって思ってたんだ」
妹「……それが私のせい?」
兄「お前を、妹をあやしたり一緒に遊んでやったりするのが、かなり楽しかったんだよ。俺」
妹「!」
兄「で、まぁ……その時にガキを遊ばせるってか学ばせるってか……そういう教師っていいなって思ったというわけ」
妹「私だったから、楽しかったんじゃない?それを勘違いしちゃったんじゃない?」
兄「お前の願望だろそれ」
妹「バレたか」
兄「実際よく分からん。まぁとりあえず受かったし、これから勉強して、取りあえず教師になってみる。
そして生きて行ってみる、予定」
妹「……」
兄「何か質問は?」
妹「ないけど」
兄「なんだよ」
妹「うん……」
妹「あんたを、好きになったのは、そういうまっすぐな所かもなって思った。それだけよ」
妹「おにいちゃん」
end
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[二 ] __ 〔/ /
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レ1 | / o └、 ∠/ {i:i:i:i:i:i:i:i:}
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[二二_ ] / ノ:::::::::) \ ))
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