女「将来早くに禿げる男と、禿げない男を見分ける能力?」 (22)

神「そうじゃよ。最近、契りを交わしてからパートナーが禿げたからって、頭髪の神であるわしに怨嗟の念を送ってくる女子が多くてのう」

神「そこで前もって分かっていれば、そういう趣味のものしかハゲに近寄らなくなって、無駄な憎しみが消えるかと思って」

女「はぁ。頭髪の神なら、はげないようにしてあげればいいんじゃないですか?」

神「それはできんよ。誰の髪も運命が決まってるんじゃから」

女「そうですか……それでその、早ハゲを見分けられるっていうのはどういうことなんですか?」

神「この能力者が早くに禿げる男の頭を見ると、今ある髪が見えなくなって、将来のハゲ頭が出現するんじゃ」

女「え、つまり、今すぐハゲるわけですか?」

神「髪はあるよ。でも、将来早くにはげるやつの髪は見えなくなるんじゃ」

神「あ、ちなみに将来っていうのは、だいたいアラフィフくらいまでにハゲるやつじゃな」

神「六十歳前後からハゲるやつはセーフってことで、普通に見えるようにしとくから」

神「あと オプションで、ハゲはハゲ面積が広大になる年齢、ハゲ年を、額に光る文字で浮かび上がるようにしといたから」

女「いや、いらないですそんなオプション」

神「じゃ、君の感想によってすべての女子にこの能力を実装するかどうか決めるから」

女「責任重大じゃないですか」

神「では目覚めるがよい……頭髪の預言者よ……」




女「なんだ今の夢……」




女「おはよー……」

母「おはよー。ごはんできてるよ」

女「うん……ねー、聞いてよ。変な夢見ちゃって」

父「どんな夢を見たのですか?」ピカー

女「」

父「女さん?」

女「ぶふっ、お、お父さん、なにその頭?冗談?」プルプル

父「頭がどうかしたんですか?」ピカー

女「だ、だって、ハゲヅラ被って」ククク

父「は、ハゲ?」

父「そうですか……やっぱりハゲてきてますか……」

女「え、いやそのヅラのこと……」

父「いいんです……確かに最近特に薄くなってきていて……」

母「ちょっと!父さんのこといじめないで!」

女「え?え?」

母「父さん、最近髪のことすごく気にしてるのに!あなたも知ってたでしょう?」

女「う、うん。だからあえてそんな格好して、吹っ切れたのかなって」

母「父さんはふさふさです!!」

父「もういいんですよ、母さん……」

女(なにこれ……え、まさか)

父「ははは、そうですね……いっそ開き直れば」『40』ピカー

女(なんか額で光っとる!!)

母「そんな弱気になってはダメよ……きっと大丈夫だから。ほら、わかめの味噌汁作ったの」

父「ありがとう。君の優しさがあれば僕はハゲても平気だよ」

女(父さん40歳って言ったら……三年後じゃん……三年後には禿げるんだ父さん……うわぁ)

女(昔は若いお父さんで羨ましいってみんなに言われて、ご近所でもアイドルみたいにきゃーきゃー言われてたのに……)

女(あと二年でハゲちゃうんだぁ……)

「なんだよ、この騒ぎは。朝っぱらからうるせーな」

女(こ、この声はお兄ちゃん!?)

女(くふ、父さんがこんなだし、お兄ちゃんもハゲの血統なんだよね……)

女(いつも偉そうで、かっこつけてるお兄ちゃんが禿げちゃってるかもしれないなんて……)

女(ぷふ……だ、ダメよ、まだ決まったわけじゃないじゃない!振り向くまで笑っちゃダメ!)プルプル

直下のレスのコンマ以下が奇数ならハゲ、偶数ならふさふさ
また、ハゲだった場合のハゲ年齢の計算式
3X(コンマ二桁目)+25

兄「よう」

女「おはよう……はぁー」

兄「あ?なんだよそのため息はよ」

女「お兄ちゃん、わかってないよ。ノリ悪すぎ。なんでそこでハゲじゃないの」

父「ぐはっ、は、ハゲ……」

母「ちょっと女ちゃん!今ハゲは禁句よ!」

父「ぐふぅ」

兄「なんで俺がはげねーといけねーんだよ」

父「ひぎぃ」

女「だって、お兄ちゃんだってお父さんの血継いでるんだから、こうならないとおかしいでしょ!?」

父「」

兄「俺は絶対こうならねえよ!!見ろ、このふさふさっぷり!」

女「そうだね……ちっ」

女(お兄ちゃんは六十までは安泰なのか……)

神『ちなみに』

女「うおっ!?」

兄「?なに奇声あげてんだよ」

女「え?うん、なんでもないっ」

神『日常のちょっとした行動の積み重ね、いわゆるバタフライ効果によってハゲの進行は変わるからの』

神『今は能力に引っ掛からなくても、君の行動いかんによってハゲは増えるのじゃ』

女「へー……」

女「お兄ちゃん」

兄「なに?」

女「もっと肉食べなよ。肉好きでしょ?ほら、ウィンナーあげる」

兄「お、おう」

女(そろそろ行こっと)

女(ねえ、神様?)

神『なんじゃい』

女(この能力の感想って、いつ言えばいいの?)

神『その辺はフィーリングで決めるから、好きに使えばよかろうて』

女(ふーん。あ、そうだ、オンオフってできないの?この能力)

神『そうじゃな……ほい』チロリロリーン

女(え、なに今のゲームみたいな安っぽい効果音)

神『これで、片目で見ると能力はキャンセルされるようになったぞい』

女(へー)チラッ

父「……」シクシク

女(あ、ほんとだ)

女(すごいなー。ほんとに神様なんだ)

女(でも、なんかすでにこの状況になれつつある私って、ちょっと変なのかな?)ガチャッ

女(ま、将来誰が禿げようと別にいいと思うけどな)

女(あ、でも、相手のハゲ遺伝子が自分の子供にもって思うと、ちょっと嫌かな?)

女(でもうちって、すでにハゲ遺伝子のお父さんがいるしなあ)

女(……そうすると、ハゲとハゲのサラブレッドか)ブフッ

女(や、やば……自分で考えてて笑いが……)プルプル

「や、おはよ。女ちゃん」

女(……この声は、幼馴染くん!!)

女(昔はよく遊んだのに、引っ越して行っちゃった幼馴染くん……)

女(でも最近また戻ってきて再開したら、すごくかっこよくなってたんだ)

女(その幼馴染くんが……ハゲかも!?すごい気になる!)クルッ

直下のレスのコンマ以下が奇数ならハゲ、偶数ならふさふさ

幼馴染「どうしたんだい?思いだし笑い?」『37』ピカー

女「!!!ぐふっ」

幼馴染「お、女ちゃん?」

女「ご、ごめん……ちょっと、まってね……ぷふ……タイミングが……悪くて……笑い、止まんない……くひっ」

幼馴染「う、うん……」

女(お、幼馴染くん、ハゲるんだ!しかもお父さんよりも三歳早く!)

女「……」チラッ

幼馴染(47)「?」ニコッピカー

女「――!!」

女(やっばい!想像以上にやばい!)

女(顔は普段の幼馴染みくんなのに、頭だけきれいに禿げて、しかも額に光る数字!)

幼馴染(37)だった

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