十時愛梨「え……お兄ちゃんが……?」 (50)


愛梨「うー……どうしよどうしよ……」

ちひろ「どうしたの? 携帯もってウロウロして」

愛梨「あ、ちひろさん……」

ちひろ「何か困ったことでもあった? 私でよければ、相談に乗るけど……」

愛梨「……じ、実はさっき、実家から連絡がありまして……」

ちひろ「ふんふん」

愛梨「……今からここに兄が来るみたいなんです」

ちひろ「へ? お兄さん?」

愛梨「……はい」

ちひろ「……いや、別に来るのは構わないけど……身内な訳だし……でも、なんで?」



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愛梨「……あの、言いにくいんですけど……兄は私を溺愛してて……私がアイドルになったのを内緒にしていたんですが」

ちひろ「……ちょっと待って」


愛梨「え?」

ちひろ「……つまり、お兄さんは愛梨ちゃんがアイドルだって知らなかったってこと?」

愛梨「は、はい……それで、兄が久々に家に戻ってきた時に、母が口を滑らしたみたいで……」

ちひろ「いやいやいや、おかしいおかしい」

愛梨「へ?」

ちひろ「……愛梨ちゃん、貴女の職業は?」

愛梨「……アイドルですよ?」



ちひろ「そうでしょ!」バン!

愛梨「うひゃっ!」

ちひろ「アイドルもアイドル! 【シンデレラガール】の十時愛梨! ウチのアイドルと言えば、愛梨ちゃん、貴女が筆頭と言えるのよ!?」

愛梨「え、えへへ……そんな、照れますよぉ……」

ちひろ(かわいい)

ちひろ(じゃなくて)

ちひろ「そんな有名アイドルのことを、自分の身内だと知らないって……! テレビも見ないの!? 貴女のお兄さんは!」

愛梨「見ないですね」

ちひろ「見ないの!?」

愛梨「それどころかネットもしないですし、携帯電話も持ってないんです。えへへ、変わっていますよね」

ちひろ「か、変わっていると言うか、浮世離れしていると言うか……お兄さん、何している人なの?」

愛梨「……さぁ、私もよく……ただ、修行していることは確かですね」

ちひろ「……修行?」

愛梨「修行です。えへへ、修行しているお兄ちゃん、じゃなかった、兄は、結構カッコいいんですよ?」


ちひろ「そ、そう……」

ちひろ(あああ、テレビ見ない、ネットしない、携帯持ってない、仕事はよく分からず、修行をしている……)

ちひろ(そんな怪しさ満点の兄を、だけど愛梨ちゃんは嫌っていない! 表情を見れば分かる!)

ちひろ(……前々から天然の気はあったけど、愛梨ちゃんだけはマトモだと思っていたのに! 変人は他のアイドルとプロデューサーだけで十分なのに! ああああああ、私の数少ない癒しが……)

愛梨「……でも、そんな兄だから、困っているんです」

ちひろ「え、へ? な、なにが?」

愛梨「さっきお話した通り、兄は世間に疎くて、その分偏見も強いんです。特に、こう言う芸能関係には」

ちひろ「ああ、なるほど。確かに、偶にそう言う人もいるけど……」

愛梨「だから、今まで内緒にしてて、兄に報せなかったんですけど……」

ちひろ「遂に知ってしまった、と」

愛梨「はい……多分、これからここに来るのも……アイドルを辞めさせるつもりだと……思います」

ちひろ「や、辞めさせるって……無理矢理!? そ、そんな横暴な……」

愛梨「昔からそうなんです……尊敬していますし、私も大好きなんですけど、時々話も聞かないぐらい強引になって……」

ちひろ(そ、想像以上に厄介だった……こんな肝心な時に、事務所には他に人が居ない!)


ちひろ(物理的な意味で『無理矢理』連れ去られて、辞めさせられたとしたら、後はもう、プライベートな問題、こちらでは手を出しにくい……!)

ちひろ(辞める辞めないは結局は本人の意思によるし、常識的に考えればそんなの無茶だ。契約の関係もある。だけど、話を聞く限り、結構ヤバイお兄さんみたいだし……私や世間の常識がどこまで通じるか……)チラリ



愛梨「私、アイドル辞めなくちゃいけないのかなぁ……」クスン



ちひろ「…………!」

ちひろ(……馬鹿か、私は。馬鹿はプロデューサーと皆でお腹一杯だってのに)

ちひろ「……大丈夫よ、愛梨ちゃん」

愛梨「ふぇ?」

ちひろ「お兄さんがなんて言おうと、何をしようと、大丈夫。私が、愛梨ちゃんを守る!」

ちひろ(ヤバイ人? 常識が通じない? それがどうした。そんなもの、ウチの事務所に一杯いるじゃないか)

ちひろ(そう、相手がなんだろうと、この千川ちひろ、それなりに修羅場を潜って来た。有象無象には、負けはしない!)


愛梨「で、でも! あ、兄は凄い強くて、話を聞かないときも多くて……!」

ちひろ「だいじょーぶ、だいじょーぶ。私が何とかするから! 愛梨ちゃんは安心して、ね?」

愛梨「……ちひろさぁん」ぐすん

ちひろ「よしよし」ナデナデ



 カツン

ちひろ「! ……来たみたいね」

愛梨「う、うううう……」

ちひろ「大丈夫、大丈夫……」ナデナデ

ちひろ(来るなら来なさい! それに、最低限私が足止め出来れば、事務所に帰ってきた武闘派な子達がなんとかしてくれるはず……)


ちひろ(なんとか……)


「邪魔をする」


ちひろ(なんとか……)


愛梨「お兄、ちゃん……」


「久しぶりだな、アイリ……」


ちひろ(なん……とか……)





レイ「南斗六聖拳が一つ、南斗水鳥拳伝承者のレイと言う者だ……妹のアイリが、世話になっている」

ちひろ(アカン)




モバマスと北斗の券のクロス。
世界観は気にしたら負け。


愛梨「……」

レイ「……」

ちひろ「そ、粗茶ですが……」コトッ

レイ「……頂こう」

愛梨「……」

レイ「……」

ちひろ「……」





ちひろ(こ、こええええええええええええええええええ!)

ちひろ(愛梨ちゃんに似ているとか似ていないとか、もうそう言う次元の問題じゃない!)

ちひろ(いや、全然似てないんだけど、おかしい! 全てがおかしい! 服装がおかしい! 筋肉がヤバイ! 威圧感がヤバイ!)

ちひろ(ナントカ拳の伝承者って……どこの世紀末だよ、もぉおおおおおおおおおお!)


レイ「……早速本題に入らせて貰おう」

愛梨「っ!」ビクン

ちひろ(来たか……!)

レイ「……ここの責任者は?」

ちひろ「……今は社長も担当プロデューサーも出払っております。お話ならば、私が」


レイ「……いいだろう」

レイ「単刀直入に言わせて貰う」


レイ「アイリを、アイドルから辞めさせて貰いたい」


愛梨「っ……」

レイ「……元々、都会に出たのは大学生活を送る為。アイドルになる為ではない」

レイ「そうだな? アイリ」ギロリ

愛梨「あう、う……そ、その……」

レイ「……仕事などの都合があるとは思うが、一度実家の方へ――――」




ちひろ「……出来ません」





レイ「……利権等から発生する違約金なら、言い値で払おう」

ちひろ「お金の問題ではありません」

レイ「……では?」

ちひろ「……愛梨さんが、アイドルを続けたい、辞めたくない、そう言っているからです」

レイ「なに……?」


ちひろ「私は一介の事務員にしか過ぎませんので、この場においては出過ぎたことは言いません。ですが」

ちひろ「本人が辞めたくないと言っている……ですから、私が承諾する訳には行けません」

レイ「……アイリ」


愛梨「……ちひろさん、ありがとう」

ちひろ「……」ニコッ


愛梨「……うん」


愛梨「お兄ちゃん、私、アイドルを辞めない」

レイ「……」


愛梨「初めはね、友達がオーディションに送って、それで、って感じだったんだけど、だけど、今は」

愛梨「今は、自分の、私の意思でアイドルをやっている。アイドルを、続けたいの」

愛梨「黙っててゴメンね。お兄ちゃん、きっと反対すると思っていたから」

愛梨「そして、お兄ちゃんの反対に、そのまま押し切られちゃうのが、怖かったから」

愛梨「でも、私は……私は!」



愛梨「お兄ちゃんと同じぐらい、アイドルが好き! 事務所の皆が好き!」



愛梨「アイドルは、辞めたくない! 辞めない!」


レイ「……それが」



レイ「それがお前の答えか」ゴゴゴゴゴゴゴ



愛梨「……っぅ、う」

ちひろ「………と言うことです」

ちひろ「今現在、彼女に、アイドルを辞める意思はありませんっ」

レイ「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

ちひろ「ぅぃっ……こ、この場はぁ! お、おお帰り願い、ますっ!」

レイ「…………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ちひろ(ふいぃ……だ、だだだだだ、誰か、誰か来ないの!? ぷぷぷプロデューサーか、きらりちゃんか、まゆちゃんか、ああああ、誰か、誰か)

レイ「…………ほう、ならば」バッ


ちひろ(あ、これ死んだ)




ちひろ(短い、人生だったなぁ。思えば花がない人生だった。やりたいことも一杯あったんだけどなぁ。預金通帳の金額、あと一桁伸ばしたかったなぁ。ウチのアイドルがトップになるとこも見たかったなぁ。ふふふふ、きっと、香典はモバコ)





レイ「……妹を、よろしくお願いする」ペコリ



ちひろ「ぃん?」

愛梨「お兄、ちゃん?」


 ――んで。


レイ「……元より、アイリが自分で決めたことならば、頭ごなしに否定するつもりはなかった」

レイ「俺に内緒にしていたのは気に食わんが、な」ギロリ

愛梨「あ、あはは……ごめんなさい」

ちひろ「で、では、何故、最初に辞めさせると?」

レイ「……知っているとは思うが、アイリは抜けているところがある」

愛梨「もぅ! そんなことないですよーだ! ねぇ、ちひろさん」

ちひろ「……」

愛梨「ちひろさん!?」

レイ「よって、体よく事務所に利用されている可能性もあった……本人の意思に関わらず、な。失礼だが、確かめさて貰ったのだ」

ちひろ「は、はぁ……なるほど」

レイ「……今更だが……名は?」

ちひろ「はひっ!? な? 名? 私!? わ、私ですか!? あ、せ、千川ちひろと申しますっ」

レイ「……改めて、アイリをよろしく頼む」

ちひろ「ふぃっ、う、あ、そ、それはもう!」

レイ「……俺の殺気を受けて、あそこまで堂々と出来るのは、そう居らん……芸能の世界は、汚いところもあるだろう。それでも、貴女ならば……妹を、任せます」

ちひろ「……はい!」





愛梨「抜けてないもん……マヌケじゃないもん……」


 ガタン、ガタ

レイ「……ん?」

ちひろ「……誰か、帰ってきたようですね」

愛梨「あ、プロデューサーさん達ですよ、きっと!」

ちひろ「確かに、そろそろ戻ってきてもいい時間だけど」

レイ「……丁度いい。挨拶しておこう」

ちひろ「ぅぐ」

ちひろ(……プロデューサー、腕は確かなんだけど、言動がアレだし、素顔見せないし……ど、どうしよう、あまり、アイドルの身内に積極的に見せたい人じゃないんだけど)

愛梨「プロデューサーさん、良い人だよっ! ね、ちひろさん!」

ちひろ「ウンソウダネ」

愛梨「ちひろさん!?」

ちひろ(良い人……なのだろうか。愛梨ちゃん補正は、はっきり言って他人には通用しないし。多分、この子から見たら、大多数が『良い人』になるんだろうなぁ)



 カツン。

「どうでしたか! 今日のボク!」

「あぁ?」

「ふふふ、この世ので最もカワイイボクのパフォーマンスに、皆は釘付けでしたね!」

「フン、お前なんぞ、まだまだヒヨっ子だぁ」



レイ(……む?)


ちひろ(んー……でも、お兄さん、少なくとも見境なしにやらかす人じゃないみたいだし……プロデューサーの見た目がアレでも、分かってくれる……かな?)




幸子「戻りましたボクもカワイイですね!」

「文脈考えろよ……」

愛梨「あ、プロデューサーさん、幸子ちゃんも、お帰りなさい!」

レイ「……っ!」ガタン

ちひろ「きゃっ、ど、どうしました!?」

愛梨「お、お兄ちゃん?」

「…………」



幸子「……おっと」


「……そろそろ来るとは思っていたけどな」ハァ


レイ「……何故、貴様が此処に居る」


「何故……か。ふふふふ……」



ちひろ「お、お知り合い、だったんですか、二人は……?」

レイ「知り合いも何も、こいつは! 北斗の!」



「おっと、そこまで」


レイ「貴様……!」

幸子「……」



「昔の話だぁ……今の俺は……」



ジャギ「CGプロのプロデューサー、ジャギ様よぉ!」ヒャッハー



レイ「……愛梨、実家に戻るぞ!」

愛梨「え、えええっ!?」

ちひろ「ちょ、ちょちょちょ、ま、待ってください!」

レイ「事情が変わったのだ! こんな男の下にいたら、アイリは婚約者を殺された上に奴隷扱いされ自身の不幸に絶望し自ら目を潰した後一か月分の食料と引き換えにまたどこぞに売られてしまう!」

ジャギ「妄想も大概にしとけよ……だからこいつには会いたくなかったんだ」

幸子「……愛梨さん、婚約者いたんですか?」

愛梨「初耳だよ……」

ちひろ「そ、相当混乱している、と言うことね……」

ジャギ「まぁ、なんにせよ、だ……こちらも、はいそうですか、とは言えねぇなぁ」




レイ「ならば、力ずくでも……!」ゴゴゴゴゴゴ

ジャギ「やるか……!」ゴゴゴゴゴゴ チョイチョイ




幸子「…………」ススッ

愛梨「お兄ちゃん……プロデューサーさん……」

ちひろ「じ、事務所の空気が歪んでいる……!」




レイ「……」

ジャギ「……」





ジャギ「北斗! 千手殺!」ババババッ

レイ「千塵岩破斬!」バッシュン





ジャギ「……」

レイ「……」





ジャギ「うわらばっ!」ドビュドビュドビュッシー

レイ「フン……」

愛梨「プ、プロデューサーさん!」

ちひろ「ひ、ひぇぇぇえええ、血が、血がぁ……」




レイ「……加減はした。そこを退け。貴様では俺に勝てん」

ジャギ「ふ、ふふふふふ。そりゃあ、そうだろうなぁ。力の差ぐらい、分からぬ俺ではないわ」

レイ「……何?」







「こう言うことですよ」



幸子「伝衝裂波!」ズバシュッ


レイ「ぬ、ぬぅう!?」

レイ(後ろから……!? 何時の間に……いや、それよりも……!)

幸子「む……防がれましたか」

レイ「これは……南斗の!」

幸子「会うのは初めてですね。お兄様がお世話になっています」

レイ「……ユダの妹か!」

幸子「おや、ご存知でしたか。これは光栄」

ジャギ「……」マキマキ

レイ「……ユダが自慢げに語っていたからな。写真も押し付けられそうになった……見なかったがな」

幸子「ふふふ、美しいお兄様は、カワイイボクにゾッコンですからね! 困ったものです!」

レイ「しかし、まさか紅鶴拳を使えるとは……!」

幸子「ボクはカワイイですから!」ドヤッ



レイ(意味が分からん)

ジャギ(意味が分からん)

ちひろ(意味が分からん)

愛梨(ごめん幸子ちゃん。意味が分かんない)




幸子「さて、二人掛かりですが……どうします?」

ジャギ「ふふふ、卑怯だろうが、勝てばいい……それが全てだ」

レイ「ぬかせ! 半人前如きが一人増えたところで、何も変わりはせん!」スッ

レイ「纏めて葬ってくれる! 南斗飛鳥乱戟……」ツルッ

レイ「な、なにっ!」グラッ



レイ(ゆ、床が滑って……この匂い、ガソリンか!?)



ジャギ「勝てばいい、そう言った筈だ!」スッ

幸子「隙を見逃さないボクはカワイイですね!」スッ



ジャギ「北斗神拳奥義!」バッ

幸子「南斗紅鶴拳奥義!」ババッ



レイ「おのれぇ……!」




ジャギ「北斗羅漢撃!」ブオガガガ

幸子「南斗鷹爪破斬!」シュッパーン




レイ「ぐわぁあああああああああ!」K.O




愛梨「お、お兄ちゃんが……」

ちひろ「せ、世界観が……」




ジャギ「ヒャッハー! 俺の名を言ってみろぉ!」ウィーンジャギ

幸子「妖星は最も美しく輝く、天をも動かす美と知略の星。ボクにピッタリでしょう」ドヤァ


 ――んでんで。

ちひろ(あれから、愛梨ちゃんのお兄さんに何やらワチャワチャしたプロデューサー。彼が言うには、ここ何日かの記憶を消したらしい)

ちひろ(もう私から何も言うことはない。好きにしてよもー)

ちひろ(ちなみに、愛梨ちゃんは、『いつか、落ち着いたらまた一から説明します!』と妙にポジティブだった)

ちひろ(いや、アイドル云々よりも、プロデューサーを先ずなんとかしないと駄目なんじゃない?)

ちひろ(とは、言わなかった。もーどーでもいいよー好きにしてよー)

ちひろ(……事務所は、とりあえずは平和だ)






幸子「しかし、北斗は便利ですね。秘孔でもう何でもありじゃないですか」

ジャギ「なんだったら教えてやってもいいぞ?」

幸子「いいですよ、紅鶴拳も極めてないのに」

ジャギ「南斗も北斗も両方使えれば便利だぞぉ」

幸子「プロデューサーの南斗は中途半端もいいとこじゃないですか。大体、南斗の割に遅いんですよ、邪狼撃」」

ジャギ「ヒャッハッハ! いいんだよ、使えて、勝てればよぉ!」




まゆ「一理ありますねぇ……結局、愛梨さんのお兄さんは、執念が足りなかったんですよぉ……勝利の、執念が」


ジャギ「まぁ、そうは言ってもアイツの実力は本物だ。不意を撃てなかったら、この三人でもキツイぞ」

幸子「……確かに。水鳥拳継承者は伊達じゃないですからね」

ジャギ「あの時は偶然上手くいっただけだからな。出来ればまゆも居て欲しかったし」

まゆ「お仕事でしたからぁ……まゆも、水鳥拳見てみたかったんですけどねぇ」

幸子「では、もしまた来たら……どうします?」

ジャギ「そうだな……俺、幸子、まゆ、後一人欲しいな……かな子、いや、ヘレン、きらり辺りが居れば……」

幸子「お兄様の部下の人でも呼んでおきます?」

まゆ「兄さんのKING軍は……あ、今サザンクロス建設で忙しいんだっけ」

ジャギ「俺もアミバ辺りに……そう言えばあいつも妹が居るとか言ってたな……よし」

幸子「……これ以上拳法家増やしてどうするんですか……いや、愛梨さんみたいに、拳法教えてない例もあるかもしれませんけど」




 ワイワイガヤガヤ




ちひろ「……」

ちひろ(……もう、世界観の件に関しては、諦めている)




 カツン


きらり「……」

ちひろ「あ、きらりちゃん、おはよう」

きらり「……」

ちひろ「……きらりちゃん?」

きらり「……あ、ちひろさん、おはようございます」

ちひろ「ど、どうしたのきらりちゃん!? 言葉使いが変よ!?」

きらり「……にょわー」

まゆ「何か、あったんですかぁ?」



きらり「……お兄ちゃんに、きらりがアイドルをやってるってバレちゃったにぃ」



ジャギ「!?」

幸子「ん、んんん」

まゆ「あ、あらら……」



ちひろ「ま、またこのパターン……」


きらり「……アイドル、辞めなきゃいけないかも知れないにぃ……」

ちひろ「まぁ、そうなるわよね……前例からすれば」


ちひろ(もう私はツッコまない)


ちひろ(でも、今日は事務所を代表する武闘派が揃っているわけだし、問題はない、かな? ……また一つ私の常識が壊れてしまうだろうけど)




ジャギ「おい、きらり」

きらり「……にょわ?」

ジャギ「それは……『繋がっている』方か?」

ちひろ(繋がっている……?)


幸子「……」

まゆ「……」



きらり「そうだにぃ……」




幸子「ぅくっ!」

まゆ「あ、あらぁ……」

ちひろ「え、なにこの雰囲気」



ジャギ「……よし、分かった。もう言え。誰だ?」


きらり「……」

ジャギ「……」

幸子「有情なら、有情ならまだ……!」

まゆ「まぁそれなら、なんとか……」

ちひろ「え、え? な、なに?」

きらり「……」

ジャギ「……」

幸子「……」

まゆ「……」












きらり「……ラオウお兄ちゃんだにぃ」ボソッ





ジャギ「北斗神拳奥義、北斗飛衛拳!」ガシャーン

幸子「南斗紅鶴拳奥義、血粧嘴!」ガシャーン

まゆ「南斗孤鷲拳奥義、南斗獄屠拳!」ガシャーン



ちひろ「窓ガラスを破って!?」

きらり「みんな逃げちゃった……」




 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



きらり「……」

ちひろ「え、え? なに、なんなの!? この地響きなんなの!? なんで皆どっかいっちゃったの!?」



 ガツン



ちひろ「………ぁ」




ラオウ「…………きらりが世話になっているそうだな」テーレッテー

ちひろ(イカれた時代へようこそ)





 しかし、事務員の命懸けの嘆願により、きらりはアイドルを続けることになった。
 その後、自愛溢れる儚い土下座に心打たれたラオウは、ちひろに交際を申し込む。
 対し、ちひろは『全員筋肉の男の人は、ちょっと』と拒否。
 今までの人生全否定に拳王は哀しみを背負い、無想転生を習得。みくにゃんのファンを辞めた。



激終!!





あー、ミスった。
最後、全員筋肉じゃなくて全身筋肉の間違い。
いや、あの一族は確かに全員筋肉だけど。

なんにせよ終わり。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年09月29日 (日) 20:24:09   ID: nb3-WtUa

糞だわ。。。。

2 :  SS好きの774さん   2016年01月11日 (月) 14:32:53   ID: 8hFaGtzm

俺は好きだわ

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