紬「むっぎゅーん!」(412)


とある朝

紬「・・・」

紬「あれ?なんか…私の部屋が大きくなったような…」


コンコン

メイド「お嬢様、お目覚めの時間ですよー」

紬「は…はーい!」

ガチャ

メイド「失礼しま…ひっ…!お、お、お…お嬢様…!」

紬「え…?」

メイド「お嬢様…い、い、一体どうなされたのですか!?」

紬「へ…?え…?」

紬(あれ?この人こんなに大きかったかしら?)

メイド「し…失礼ですが…紬お嬢様ですよね…?」

紬「?ええ、そうよ?」

メイド「・・・」ゴクリ…

紬「?」

メイド「お、お…お嬢様…か、鏡をご覧になってください…」

紬「?えぇ…いいわよ…」

ひょい

紬「!?な…なにこれ!?」

鏡に映っていたのは紛れもなく琴吹紬であった…しかし…

紬「私…子どもになっている…!?」

メイド「お嬢様…お嬢様がお嬢様であることは分かるのですが…そのような姿…幼い時の紬お嬢様なのです…しかしなぜ…」

紬「私も分からないわ…でも、どおりで私の周りが大きく感じた理由が分かったわ」

メイド「お嬢様…学校…どうなされます?」

紬「・・・」

紬(確か今日、作った新曲をみんなに聞いてもらうんだったわ…みんなとても期待していたから…)

メイド「やはり、今日は休まれたほうが…」

紬「行きます!」ピシッ

メイド「え!?ほ…本当ですか!?」

紬「えぇ!」

紬(みんな今度の新曲に期待しているんだもの!がっかりさせたくないわ!)

紬「制服をお願いしますね」

メイド「あ!はい!」

バタン

紬「顔を洗わないと…」

洗面所

紬「えい!えい!」ピョンピョン

紬「ダメだわ…全然蛇口に届かない…」

紬「あ!椅子を持ってくれば良いのよ!」

紬「よいしょっ…よいしょっ…」ゴスゴス

紬「いつもは…簡単に運べるのに…よいしょっ…よいしょっ…」ゴスゴス

ガンッ

紬「え?」

ガターンッ!

紬「きゃっ!!倒しちゃった…」

メイド「お嬢様!今のは何の音ですか!?」バタバタ

紬「ご…ごめんなさい…!椅子を倒しちゃって…」

メイド「・・・」

メイド(お…お嬢様…かわいい…)


じゃーばしゃばしゃ

メイド「お嬢様、タオルですよ」

紬「ありがとうございます」ふきふき

メイド「まさか椅子を使っても届かなくなるとは…」

紬「ご…ごめんなさい!私を抱えてもらって…腕大丈夫なの?」

メイド「大丈夫ですよ、お嬢様。全くと言って良いほどきつくありませんから」

メイド(まるで幼稚園児を抱っこしていたみたいだった…)

紬「そうなの…」

メイド「あ…お嬢様…」

紬「どうしたの?」

メイド「今の身体のままで制服は着ることができないと思いますが…」

紬「・・・」

紬「あぁ!!」



紬「…ぶかぶかというかだぼだぼ…」

メイド「お…お嬢様…?」

紬「どうしよう…私これじゃあ学校に行けないわ…」

メイド「・・・」

メイド(お嬢様がお困りだ…しかし、私は琴吹家に仕える者!!この問題を解決せねば琴吹家のメイドとして名汚れ!!)

メイド「私にお任せください…今からお嬢様にピッタリなサイズを発注させますから!」

紬「え…?え…?」

メイド「・・・」ピポパ

メイド「今から用意して欲しい物があります。良いですか?」

紬「そ…そこまでしなくても…」

幼女「やあ諸君」

幼女「イキナリだが、ここに幼女で萌えたい変態はいるか?」

幼女「もしいるなら、是非我が家においでいただきたい」

幼女「人もロクにいないし、勢いも全くもってないが」

幼女「幼女と変態のほのぼのとした日常の妄想を垂れ流していってくれれば嬉しい」

幼女「これが招待状だ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
幼女「おい変態ちょっとこっちこい」@制作速報vip
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
幼女「変態紳士諸君のお越しをおまちしt」

幼女「ちょっと変態、待ってよ今まじめな話してるんだから」

幼女「えっ?!そ、そんなことないぞ!わたしは変態一筋だって・・・ぁっ、ちっ違っ・・・!/////」

幼女「あっ?!ま、まて変態!み、皆見てるから!皆見てるから!」

幼女「こんなトコでちゅーとかはずかs・・・んっ」チュー

幼女「バカぁ・・・/////」


メイド「はい。至急お願い致します」ピッ

紬「あ…あの~」

メイド「お嬢様、朝食の準備ができておりますので召し上がってください。その間に制服は届きますよ」ニコッ

紬「…そ…そう…ありがとう…」

紬(そこまでしなくても良いのに…)

紬(でも、これで堂々と学校に行くことができるから…良かったのよね…うん、きっとそうよ…)

メイド(お嬢様から、しかも幼い姿のお嬢様から『ありがとう』と言われた!やったー!)


30分後

メイド「お嬢様、制服が到着しましたよ」

紬「うん、着替えてくるわね」

メイド「お手伝い致しましょうか?」

紬「着替えくらい一人でできるわよ…」

メイド「そうですか…」

バタン

メイド(ちっ…幼い紬お嬢様の身体を拝めるかと思ったのに…)

ガチャ

紬「あ…あのう…///」モジモジ

メイド「?どうなされましたか?」

紬「手伝ってくれますか…着替えの…///」

メイド「無問題」


紬「・・・」

メイド「はい、袖を通してください」

紬「えぇ…」

メイド(紬お嬢様の身体を拝めることができたぜ!ふぇふぇふぇ…!)

紬「これでバッチリね!ありがとう!」キラキラ

メイド「いえ、当然のことです」

メイド(ちきしょー!思わず今の笑顔でゲル状になるところだったじゃねぇか!)

紬「それじゃあ、今から行ってくるわね」

メイド「はっ…!お嬢様!そのまま通学されるおつもりですか!?」

紬「?えぇ…そのつもりだけど…何かおかしいのかしら?」アタフタ

メイド「…は…犯罪率の上昇!!」

紬「…はい?」

メイド「日本の安全神話崩壊!!犯罪の一般化!!」

紬「え…えーと…」

メイド「今や略取・誘拐は通勤・通学時間が増えているのです!!」

バンッ!

紬「へ…?え…?」

メイド「車で行きましょう!!」ハアハア

紬「は…はい…」ガタガタ

バタン

紬「あの…やはり私…電車で…」

メイド「何をおっしゃっているのですか!!」

紬「ひぃっ!!」

メイド「その姿のままで通学されましたら、お嬢様に変な虫がついてしまうでしょっ!!それにお嬢様の姿にびっくりされる方が出てしまいます!学校の方に事前に説明しておかないといけません!」

紬「そ…そうね…今の私の姿じゃ誰も信じてくれないよね…」シュン

メイド(しまった…!お嬢様の気分を落ち込ませてしまった!私のしたことが…)

メイド「お嬢様…原因は何であれ、お嬢様の姿がどう変わろうと私はお嬢様の傍にいつもいますから…!」

紬「わぁ!こんなところに新しいケーキ屋さんがあるわぁ!軽音部のみんなに教えないと!」

メイド「」


桜ヶ丘高校

メイド「さて、到着しましたよ、お嬢様、まずは担任の先生にお話しましょう」

紬「そうね。さわ子先生なら私のこと信じてくれるはず…」

職員室

ガラッ

メイド「失礼致します」

教員1「!?」

教員2「ど…どちら様でしょうか…?」

メイド「琴吹の者です。山中先生にお話があります」

教員3「おい、マジでメイドだぞ…」ヒソヒソ

ザワザワ…

紬「ど…どうしたのかしら…?」

メイド「・・・」

バンッ

教員一同「!?」ビクッ

メイド「30秒以内に返事がない場合、この学校の土地から法人格まで買い占めますよ」ニコリ

教頭「は、は、は、早く山中先生をここに呼びなさーい!!」



さわ子「た…担任の山中です…」

メイド「山中先生ですか、お忙しいなか申し訳ありません。私、琴吹家に仕える者で保護者として参りました」

さわ子「あ…あの~琴吹さんの保護者がどのような用件で…」

メイド「紬お嬢様についてですが…」

さわ子(も…もしや…私が軽音部でムギちゃんにいつもお茶を入れさせているのが良くなかったのでは…?でも、いつもあの子が率先して行っているから…)

さわ子「・・・」ブツブツ

メイド「山中先生?山中先生!」

さわ子「す、す、す…すいません!お茶ぐらいは自分で入れます!」

メイド「山中先生…?」

さわ子「すいません!もう二度と生徒にそんなことはさせませんから!お許しを!お許しを!」

メイド「・・・」

バンッ

さわ子「」

メイド「すいません。こちらの話を聞いて頂けませんでしょうか?」ニコリ

さわ子「い…イエッサー…」ガタガタ

紬「・・・」

紬(もう…やり過ぎだってば…)



さわ子「え…え~と…本当にこの子が琴吹さんなのですか…?」

メイド「同じことを二度も言わせないでください」

さわ子「す…すいません…」

メイド「昨晩まではいつものお姿だったのですが、今朝になってお嬢様がこのような愛くるしい姿になってしまわれたのです」

紬「・・・///」

紬(もう!恥ずかしいことを言わないでよ…///)

さわ子「確かに愛くるしいわね…」ゴクリ

紬「」

メイド「ご理解頂けましたか…なら話は早いです。この愛くるしいお嬢様が学校で無事に過ごせられることと、ご友人等の説明をお願いしたいのです」

さわ子「分かりました。担任である私!この山中さわ子に愛くるしい琴吹さんをお任せください!」

メイド「さすが担任の先生ですね!安心しました…」

さわ子「いえいえ…」

メイド「ですが…」

カチャリ

さわ子「ひぃっ!!」

メイド「お嬢様に何かあった場合、山中先生を含め、学校もろともかくなる処理を致しますから…それをお忘れなく…」ニコリ

さわ子「は…はは…はい…」ガタガタ

紬「・・・」

紬「…もう!いい加減にして!」

メイド「お…お嬢様…?」

さわ子「」きゅ~

紬「さわ子先生は協力してくださるんだから、脅すようなやり方は止めて!!」

メイド「で…ですが…お嬢様…お嬢様の安全の保証して頂かないと…」

紬「でも、こっちは頼んでいる立場なの!そんな頼み方じゃさわ子先生たちが快く受け入れてくれるはずないじゃない!」

メイド「で…ですが…お嬢様…琴吹家の立場として…」

紬「琴吹、琴吹ってなによ!グスッ」

メイド「!お…お嬢様…」

紬「帰って…」

メイド「今なんと…」

紬「帰ってって言っているのよ!!あなたなんて知らない!!グスッ…」

メイド「お…お嬢様…」

メイド(あれ?なぜか興奮してくるのだけれど…?)ハアハア



メイド「先ほどの無礼な振る舞い申し訳ありませんでした」

さわ子「あ…いえ…こ…こちらこそすいません…」

紬「さわ子先生が謝ることじゃありません」

メイド「お嬢様…頑張ってください…!」

紬「・・・」プイッ

メイド「!?」

メイド(お嬢様が…!お嬢様が…!私にそっぽ向かれた…!)

メイド(い…良い…!これは良い…!)ハアハア

さわ子「私からHRで説明致しますので、琴吹さんをクラス全体で全力で守っていきますから、信じてください」

メイド「全力ではなく絶対ですよ!ぜ・っ・た・い・に!」

さわ子「は…はい…!」

紬「も…もう!早く帰ってよ!」

メイド「それではお願い致しますね…山中先生」ニコリ

バタン

ブロロ…

さわ子「……つ…疲れた…」

紬「さわ子先生…ごめんなさい…」ウルウル

さわ子「!む…ムギちゃんが気にすることないの!だ…大丈夫!大丈夫よ!」

さわ子(涙目なムギちゃんって…リーマンショック以上の破壊力だわ…!)

紬「はい…ありがとうございます…」ウルウル

生徒1「わぁ、さわ子先生の後ろにいる子かわいい!学校見学かな?」

生徒2「でも、ウチの制服を着ているわよ?すごく小さいけど…」

生徒3「きっと子ども役者か何かじゃない?」

生徒1「ということは…ここドラマ撮影があるのね!きゃ~!」

紬「……うぅ…」ギュッ

さわ子「!大丈夫よ、ムギちゃん…」

紬「で…ですが…見られているとなると…」

さわ子「う~ん、なら私の影に隠れて行く?あ、あとはぐれないようにしっかりと手を握っておくのよ?」

紬「は…はい、先生…!」

さわ子(むふふふ…こんなかわいい子と手を握っているなんて…私ったら幸せ…///)





桜ヶ丘高校内の某木

メイド「・・・」

メイド「スナイパーの準備をお願いします」ピッ

教室

唯「あれ?ムギちゃんまだ来てないの?」

律「う~ん?本当だな」

澪「もしかして今日欠席なのかな…」

唯「新曲期待していたのになぁ~」

律「ま、何か理由があるんだろうさ」

澪「梓にも伝えておかないとな」

ガラッ

さわ子「はい、みんな席についてー」

唯「ありゃ、さわちゃん来ちゃったよ~」

律「こりゃムギ欠席確定だな…」

さわ子「HRの前に琴吹さんについてお知らせがあらます」

生徒4「琴吹さんがどうしたのかしら…?」ヒソヒソ

生徒5「そういえば教室に現れてないわね…」ヒソヒソ

ザワザワ…

さわ子「はいはい静かにー!じゃ、入って来なさーい」

ガラッ

紬「し…失礼します…///」ヒョコッ

生徒一同「・・・」

唯「ほえ~」

律「・・・」

澪「・・・」

さわ子「えーと…琴吹さんはとある事情で今この姿になっちゃっていて…」

唯「か…かわいいっ…!」

生徒6「きゃ~!ちっちゃくてかわい~!」

紬「・・・///」

さわ子「…あ、こら、あんまり言わないの!でね、この姿だと学生生活で支障が出ることもあるからみんなで琴吹さんを助けてあげてね?」

生徒一同「はーい!」

和「先生。琴吹さんの身体が変わっただけで、他は変わらないということでしょうか?」

さわ子「えぇ、そんな感じよ。体育以外の授業は支障なく受けることはできるわ」

和「そうですか…」

紬「あ…あの…みんな…!」

唯「ほえ?」

紬「私…こんな姿になっちゃってみんなにこれからいっぱい迷惑をかけるかもしれないけど…よ…よろしくお願いします!!」

さわ子(お辞儀する姿も良い…!これはきゅんきゅんしちゃうわぁ~!///)

紬「・・・」

生徒6「迷惑だなんて思わないよー!」

紬「え?」

生徒7「琴吹さんは琴吹さんだもの!」

律「そうだぜ!ムギ!困った時は私たちに任せなっ!」

紬「み…みんな…」ウルウル

紬「ありがとう…グスッグスッ」

澪(な…泣き顔のロリムギ…も…持って帰りたいな…///)



唯「ム~ギちゃん!」ガバッ

紬「きゃっ!びっくりした~!」

唯「えへへ…ごめんね!でもムギちゃんがちっちゃくてかわいいから~!つい抱きしめたくなったんだぁ~!」

紬「・・・」シュン

澪「こ…こら!唯!ムギにちっちゃいと言うないの!」

唯「え?なんで?」

澪「ムギは今の身体のことに触れてほしくないんだよ。本人が気にしていることなんだからあまり言ってやるなよ」

唯「え~!だってだって本当にちっちゃくてかわいいんだもん!」ギュッ

澪「だけど、ムギは…」

紬「良いのよ、澪ちゃん…」

澪「へ…?」

ミスった…
>澪「こ…こら!唯!ムギにちっちゃいと言うないの!」



>澪「こ…こら!唯!ムギにちっちゃいと言わないの!」

ごめんなさい

紬「唯ちゃんは悪気があって言っているわけじゃないことは分かるから良いの…それに、小さいことは本当に見た通りのことだから仕方ないわ…」

澪「ムギ…」

唯「えへへ…ムギちゃんありがとう」スリスリ

紬「もう…唯ちゃんってば苦しい…」

唯「良いではないか~良いではないか~」

澪「ま…いっか…」


教員4「え~と、じゃあ、この問題を誰に解いてもらおうかな~?」

生徒5「うわ…難しい問題だよ…当てられたくないな…」ヒソヒソ

教員4「じゃ、琴吹。解いてみろ」

紬「は…はい…!」ピョン

トテトテ

紬「・・・」

紬「うーん…うーん…届かない…」

紬「えいっ!えいっ!」ピョンピョン

生徒5(必死に頑張っているところ、かわいい…)ぽわ~ん

律「やべ…つい見とれちまった…先生!椅子か何かないんですか!」

教員4「…はっ…!琴吹…この椅子使いなさい…」

紬「あ…はい!ありがとうございます!」ヨジヨジ

紬「えっと…」カキカキ

唯(わは~!ちびっこムギちゃんかわいいよ~!)

紬「…と、できました…あ、椅子ありがとうございます」

教員4「あ…あぁ…」

教員4(やばい…なに生徒に萌えてんだ…)

律「あれ~?先生顔真っ赤ですよ~?」

教員4「だ…黙れ田井中!」




メイド「・・・」スチャ…

メイド「まず一人目のターゲットを言うぞ…」

紬「・・・」カキカキ

紬「あ…」ポロ

紬「うーん…うーん…」

紬(消しゴム取れない…)

生徒6「はい、琴吹さん」ヒソヒソ

紬「あ…ご、ごめんなさい…!」ヒソヒソ

生徒6「良いって良いって…」ヒソヒソ

紬(今度は自分で取らないと…!)



紬「あ…」ポロ

紬(今度は前の人の椅子の下に消しゴムが行っちゃったわ…でも今度はちゃんと椅子からおりて取らないと…)ピョン

紬(あ…あった…!)

教員3「えっと…あれ…?琴吹さん?琴吹さんがいない!」

生徒4「琴吹さんを捜そう!」

生徒5「まだ遠くに行っていないはず!」

タタタ

紬「・・・」

紬(どうしよう…みんな私がくなったと勘違いしちゃって捜しに行っちゃった…)

紬(今から椅子の下から出るに出られない…)


後で見つかりましたとさ



律「お~い!唯~!早く理科室に行くぞ~!」

唯「ま…待って~!」

澪「唯も準備できたことだし行くとするか」

律「しっかし、さっきのムギ失踪事件は面白かったな~!」

唯「椅子の下に隠れていたというよりも入っちゃったって感じだよね~!」

澪「こ…こら!ムギが気にしているだろ…」

律「あ…悪い…」

紬「ううん…いいの…私がちっちゃくなったのがいけないのだから…」

澪「ムギ…」

唯「ムギちゃんごめんね…」

紬「ううん。みんな気にしないで」ニコッ

唯澪律(やっぱりこの顔いい…!///)



教員2「各種の水溶液は何の水溶液か求めていく実験です。各班で結果を出していくのが今回の課題です」

律「よし!ちゃっちゃっと済ましちゃおうぜ~!澪とムギ任せたぜ~!」

澪「人をあてにするな!」

唯「?あれ?ムギちゃんは…?」

紬「ゆ…唯ちゃん…私…高椅子に座れなくて…」

唯「ごめんね!気づかなかったよ~!よっこいせ~!」ヒョイ

唯「あれ…?」

紬「ゆ…唯ちゃん…い…椅子にのせて…///」バタバタ

唯「ムギちゃん、アンプより軽~い!すっご~い!」

ピクッ

澪「私も小さくなりたい!」

律「はいはい…早く課題終わらせよーぜ…」



澪「ムギ…その水溶液は酸性だったっけ?」

紬「えっと…これとそれとあれが酸性だったわ」

律「・・・」

唯「ムギちゃんぎゅぅ~!」ギュー

律「いつまでムギを抱えているんだよ…」

唯「フィットサイズなんだよ~!」

紬「ゆ…唯ちゃん…もう、いいかしら…?」

唯「もうちょっとだけ~!むふふぅ~!」




メイド「……ふむ…」スチャ

メイド「これは良いものが見れた…」カキカキ



紬「はぁ…」とてとて

律「あ~腹減ったな~」

唯「お昼お昼~!」

澪「全くあの二人は…」

紬「・・・」

澪「どうした?ムギ…?」

紬「私…ずっとこのままなのかな、と思っちゃって…」

澪「突然になったんだろ?また突然元に戻るんじゃないのか?」

紬「だと良いのだけれど…」

澪「・・・」



唯律「いっただきまぁ~す!!」

紬「お弁当が大きく感じるわ…」

律「もし余ったらさ、もらってもいい?」

唯「あ!りっちゃんずるーい!私も私も!」

紬「え?いいけど…」

澪「おいおい…二人とも卑しいぞ」

律「そっかぁそっかぁ~!澪は要らないんだぁ~!」

澪「当たり前だ!人の弁当をねだるか、普通!」

紬「澪ちゃん…要らないの…?」

澪「へ…?」

紬「ほら、この玉子焼き美味しいよ?」ニコッ

澪「う…///」

紬「はい、あーん」

澪「へ?え?あ…あーん…///」パク

もぐもぐ

澪「あ…美味しい…甘味がちょうど良い!」

紬「良かったぁ~!」

唯「あ~!いいなぁいいなぁ~!私も欲しぃ~!あ~ん!」

紬「唯ちゃんには弁当箱の蓋に置いたじゃない?」

唯「違うよ~!ムギちゃんから食べさせて欲しいんだよ~!」

紬「え…?え…?」

律「もう唯、自分で食えよ」

澪「あ、そういえば、ムギ、新曲を聞かせてくれるって言っていたけど、今日は大丈夫なのか?」

紬「うん。ちゃんとみんなの分は用意してあるから大丈夫よ」

唯「やったぁ~!放課後楽しみ~!」

律「よっしゃ、がんばるか!」

紬「やっぱりもうお腹いっぱいだわ…みんなもらっていいわよ」

唯律「やったぁ~!」

澪「・・・」

澪「私も小さくなりたい!!」



教員6「え~…じゃあ、次の文章を…琴吹、読んでくれ」

紬「は…はい…!」ガタッ

教員6「ん?声はしたのだが…琴吹はどこなんだ…?」

紬「あ!私はここです!」ピョンピョン

教員6「おお、そんなところにいたか…えらく見えなくなったな…もう私も歳か…」

生徒5「ぷっ…くくく…」

生徒6「琴吹さん…」ヒソヒソ

紬「え?なに?」ヒソヒソ

生徒6「椅子の上に立って読んでみたらどうかしら?それなら先生に見えるでしょ?」ヒソヒソ

紬「そ…そっかぁ…!ありがとう!」ヒソヒソ

紬「よいしょっと…」

生徒6「・・・」

紬「あ…あ…」グラグラ

生徒6「え?ちょっ…!」

紬「ふぅ…」ピタ…

生徒6「ほっ…」

紬「えっと…今は昔…あっ…あっ…」グラグラ

生徒6「・・・」ハラハラ

紬「ふぅ…」ピタ…

生徒6「ほっ…」

紬「あっ…!」グラグラ

生徒6「ごめん、もう椅子からおりて!見ていられないわ」

紬「・・・」シュン

キンコンカンコーン

和「きりーつ!」

紬「・・・」しゅた

和「れい!」

紬「・・・」ぺこ

和「ちゃくせーき!」

紬「・・・」ぺたん

紬(あ…トイレに行きたくなっちゃった…)

紬「ね…ねぇ、唯ちゃん…」

唯「ん?なぁに?ムギちゃん?」ギュー

紬「…えっと…私今からトイレに行きたいのだけど…一緒に来てくれる…?」

唯「んー…私はまだ良いや!」

紬「そ…そうなの…」シュン


紬「・・・」とてとて

紬「ねぇ、りっちゃん」

律「んー?どうしたー?ムギー?」

紬「ちょっとトイレについて来て欲しいの…い…良い…かな…?///」モジモジ

律「・・・」

律「あ…あぁ!良いぜ!バッチグーだぜ!///」

律(その時、私の中の何かが弾けた気がしたが、心の中に留めておくことにした…いやするしかないのだ!)


紬「・・・」とてとて

律「・・・」すたすた

生徒1「あ、例のあの子だわ!かわいい~!」

生徒2「本当だ!もう撮影終わったのかな?撮影終わったのかな?」

生徒3「そんなわけないでしょ、だったら一緒にいる三年生の人はどうなるのよ?私前見たことあるわよ?」

生徒2「え?それじゃ、あの子、子ども役者じゃないの?」

紬「・・・///」ギュッ

律「……まぁ、あまり気にするな…悪口じゃないんだし…」

紬「で…でも…///」ギュー

律「・・・」

律(あれ…?ムギってこんなにかわいかったっけ?あ…子どもになったからそう感じるんだよ…そうに違いない…はは…)

紬「りっちゃん…?」ウルウル

律「ブフォッ!」

律(違う!断じて私は今のムギの仕草にときめいたわけじゃない!そうだあれだ!萌えたんだ!…あれ?一緒じゃねぇか!あぁ~もう!分からなくなってきた…!)

紬「り…りっちゃん…?大丈夫?」

律「うわああああああああああああああああ!!!!」ガンガンガン

紬「!?ちょっ…!りっちゃん何しているの!止めて!おでこケガするわよ!りっちゃん!」

生徒1「・・・」

生徒2「・・・」

生徒3「・・・」




紬「ふぅ…」スカッ

紬「・・・」

紬「う~ん…」ふるふる

紬(紙まで手が届かない…)

律「ムギ~!まだか~?」

紬「あ…うん!ごめんね、りっちゃん」

紬(とにかく紙を…せーのっ!)ふるふる

紬「あ…!」どてっ

律「んー?大丈夫かー?ムギー?あ…」ガチャ

紬「だ…大丈夫よって…あ…」


律「ごめんっ!!本っ当にごめんっ!!」

紬「い…良いよ、りっちゃんわざとじゃなかったのだから…それにりっちゃんがかけつけてくれなかったら私、紙取れなかったんだし…///」ふきふき

律「で…でもよ…」

紬「私の方こそごめんなさい…あんなものを見せちゃって…///」

律「いや…綺麗だったよ…毛が生えていない純粋さが…はっ…!///」

紬「……り…りっちゃん…///」

律「うわあああああああああああ!!!!マジでごめん!!マジでごめん!!マジでごめん!!」





メイド「・・・」スチャ…

メイド「ふっ…そんなことでうろたえるとはまだまだだな…」

紬「……もう、良いよ…///」

律「ご…ごめん…」

紬「りっちゃんがさっきのことを秘密にしてくれるなら許すから…///」

律「分かった!絶対に誰にも言わない!嘘ついたらハリセンボン飲んでやるぜ!」

紬「分かった…りっちゃんを…信じるね」ニコッ

律「・・・///」

紬(ハリセンボンじゃなくて針千本なんだけどね…)

律「・・・///」

律(い…いかん…!さっきから今のムギを見るたびにハートがドキドキしてしまう…!いかん!相手はムギだぞ!仲間だぞ!蘇れ!私の理性いいいいいい!!!!)

紬「?りっちゃん…大丈夫…?」

律(ここでムギに心配をかけさせちゃあいけねぇ!平常心!平常心!)

律「あ…あぁ…大丈夫さ…」

紬「無理しないでね…」ウルウル

律「・・・///」

律(うおおおおおおおお!!!!カムバック私の理性!!!!カムバック私の理性!!!!)

紬「あ…りっちゃん…トイレにつきあってくれてありがとう…本当に嬉しかったわ…///」キラキラ

律「」



生徒1「・・・」

生徒2「・・・」

生徒3「・・・」

紬「りっちゃん止めて!止めてったら!」

律「うわああああああああああ!!!!」ガンガンガン

紬「りっちゃん!どうしちゃったの?ねぇ、止めてよ!」

律「私は!!私は!!変態じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」ガンガンガン


律が頭を打ちつけた壁に血が残り、後の桜ヶ丘高校の七不思議として語り継がれるのであった



ガラッ

律「う…」フラフラ

澪「律!遅いぞ…って、どうしたんだよ!」

律「え…?あぁ…これはちょっとした正当防衛さ…」

澪「……は?」

律「私は変態じゃねぇ…変態じゃねぇ…」ボソボソ

澪「・・・」

紬「りっちゃん、いきなり頭を壁に打ちつけ始めたの…何度も止めさせようとはしたのだけど…」

澪「・・・」

澪(原因はおそらくムギであることが想像できるが言葉にするのは止めておこう…)


澪は少し大人に近づいた

放課後

さわ子「みんな気をつけて帰るのよ~」

律「さわちゃん、今日部室に来るの?」

さわ子「それどころじゃないわよ~吹奏楽部が大会控えているし、(ムギちゃんの保護者のせいで)職員会議が増えたから当分来れないわよ~」

唯「大変だね。さわちゃん」

さわ子「はぁ…」

紬「さわ子先生…」

さわ子「ん~?どうしたのムギちゃん?」

紬「これ先生の分です…暇な時間に召し上がってください…」キラキラ

さわ子「・・・」

さわ子「あはははは!山中さわ子!今日こそ素敵な日はないわ~!疲れなんて吹っ飛んじゃったわ~!」

紬「あの…さわ子先生…どうしちゃったのかしら…?」

律「気でも触れたんだろ…放っておけ…」

澪「つ…疲れていたんだよ…きっと…」

澪(本当のことを知ったらムギ…傷つくだろうな…)

唯「部室~!部室~!レッツラゴ~!」



紬「はぁ…はぁ…」

律「ムギー大丈夫かー?」

紬「え…えぇ…はぁ…はぁ…」

澪「やっぱり筋力も下がっているみたいだな…」

唯「ムギちゃん頑張って!部室はあともう少しだよ!」

紬「う…うん…」

紬(どうしてなんだろう…私…何で私だけこんなに苦しい思いをしなくちゃいけないの…)

紬「はぁ…はぁ…」

律「やっぱりこの階段は急だよな…今のムギにはキツ過ぎるだろ…」

澪「ムギ…」

唯「なら私がムギちゃんを抱えて来るよ!」

紬「ダメ!!」

唯「へ…?」

紬「私が…はぁ…はぁ…自分でのぼらないと意味ないの…」

唯「でもムギちゃん…きつそうだよ…?」

紬「だ…大丈夫…私が…自力でのぼらないと…」

紬(いつもそうだった…私は自分だけの力で達成したことなんてない…必ず誰かの助けがあってやってきたの…)

紬「はぁ…はぁ…」

紬(今回だってさわ子先生やりっちゃんに、澪ちゃん、唯ちゃんのおかげで今日の授業を無事にすごせたの…)

紬「はぁ…はぁ…」

紬(人が見ればたかが階段かもしれないけど、そのたかが階段さえもできなくちゃ意味がない…!)

紬(だって自分の力で達成できないとこの身体の問題だって解決できるはずがないじゃない…!)

紬「はぁ…はぁ…」

とん

紬「ようやく…たどり着いた…」

唯「ムギちゃんやったよ!ムギちゃんはできる子だよ~!」

紬「う…うん…ありがとう…」

澪「しばらく休んだ方がいいぞ?ムギ」

紬「ありがとう…でも、みんなお茶とか飲みたいんじゃ…」

律「なーに言ってるんだよ!お茶なんかよりムギの方が心配に決まってんだろ!」

唯「そーだよ!そーだよ!私がお茶を入れるよ~!」

律「え…唯が…?」

澪「不安だな…」

唯「」

唯「もういいもん…私みんなにお茶をいれたりなんかしない…グスン」

律「じょ…冗談だってば…」

澪「ムギ、そこの椅子で休めるか?」

紬「え…えぇ…」とてとて…ころん

澪「・・・」

紬「ふぅ……」

紬「スヤスヤ…」

律「寝ちゃったな…ムギのやつ…」

唯「ねっ…寝顔もかわいいっ…!」

澪「少し気になるんだが…ムギはあの身体のままでこれからやっていけるんだろうか…?」

律「確かにさっきの階段でへばっちゃったからな…かなりキツイと思うなぁ…」

澪「やっぱり…ムギは…身体が小さくなったせいで体力まで落ちたのか…」

律「どうするよ?やっぱりムギは…」

唯「二人とも勝手なことを言わないでよ!!」

澪「唯…」

唯「さっきムギちゃん、あんな急な階段を自力でのぼろうと必死だったんだよ!」

律「だけどよ…ライブとかもっとハードなんだぜ?」

唯「でもでもムギちゃんなら絶対やってくれるはずだよ!さっきのムギちゃんの目を見ていればライブだって参加できるってわかるはずだよ!」

澪「…分かった…唯…」

律「ムギを信じてみるか…」

唯「うん!うん!」

ガラッ

梓「すいません!遅れました!」

律「ちょうどまとまったところで梓やって来たな!」

梓「…はい?」



梓「え…?こ…この小さな子がムギ先輩…!?」

紬「スヤスヤ…」

律「まぁ一発で信じろとは言わないが…」

唯「かわいいよね!かわいいよね!あずにゃん!」

梓「あ…はぁ、まあ確かにかわいいですけど…」

紬「ん…私眠ちゃった…」

梓「あ…目を覚ましましたね…」

紬「梓ちゃん…?」

梓「は…はい!」ビクッ

紬「ごめんなさいね…私…寝ちゃってしまって…」

梓「あ…いえ…」

梓(雰囲気はやっぱりムギ先輩だ…!)

紬「寝たせいか、もうすっかり良くなったからお茶の準備するわね!」

紬「♪~」とてとて

梓「・・・」

梓「ど…どうしてムギ先輩あんな風になったのですか?」ヒソヒソ

澪「ムギも分からないらしいんだ…」ヒソヒソ

律「ホント謎だよなぁ…」

紬「み…みんな…!お…お茶ができたわよ…」フラフラ

梓「わーっ!!危なーい!!」

梓「私がやりますから!ムギ先輩は座っててください!」カチャカチャ

紬「ごめんなさいね…梓ちゃん…」

澪「ムギ…身体が小さくなると共に体力も落ちたんだからあまり無理するなよ?」

紬「うん…」シュン

律「まぁ、みんな心配してのことなんだからさ…」

紬「そう…よね…」

梓「…あ、ムギ先輩!新曲はどうでしたか?今日持ってきてくれたのですよね!」

紬「あ…うん!みんなの分もちゃんとあるわよ!」ガサゴソ

紬「ほら!」

唯「わ~い!ムギちゃんさすが~!」

澪「早速歌詞を作ってこないといけないな…」

律「楽しそうな感じじゃないか!さっすがムギ!」

紬「えへへ…///」

梓「!?」

梓(今のムギ先輩の顔…かわいかった…)

律「それじゃ、練習してみっか!」

唯「ほーい!」

梓「まず唯先輩は楽譜の読み方から入りますよ」

唯「あぁ…あずにゃん優しく教えてね~」

梓「それは唯先輩次第ですよ」

唯「あぁん…そんなぁ~…」

紬「・・・」

紬(私も練習しようっと!)

紬「あ…」

ちょっとすいません

一時間ぬけます

唯「あはぁ…」ほわわん

梓「唯先輩?」

紬「う~ん…」プルプル…

唯「ぐふふぅ~」ほわわん

梓「唯先輩…聞いてます…?」

紬「えい!えい!」ピョンピョン

唯「ふふふぅ~」ほわわわん

梓「唯先輩!!」バンッ

唯「!?え…な、な、なあにあずにゃん?」

梓「私の話聞いてましたか?」

唯「うん!ムギちゃんかわいいよね!」

梓「・・・」ペキッ

紬「う~ん…あ!」

紬「♪~」とてとて


梓「ゆ~い~せ~ん~ぱ~い~!!」

唯「あはぁ~…はっ!あ、あ…あずにゃん…こ、怖いよっ!!」

梓「唯先輩が人の話を聞かないからでしょっ!!」

唯「ご…ごめんね!あずにゃん!ちょっとムギちゃんに気をとられていたのでつい…」あたふた

梓「人のせいにしないでくださいっ!!」

紬「♪~」とてとて…とん

紬「よし!」フンス

澪「律、テンポまた違うぞ!」

律「あり?また間違えちゃった?」

澪「しっかり見てないからそうなるんだぞ」

唯「ぎゃー!!痛い痛いよ!!あずにゃん!!」

梓「ダメです!!唯先輩はこうしないとダメです!!」


律「…はは…」

澪「なにやってんだか…」

唯「あずにゃん、苦しいよ!!ロープほどいてよ!!」

梓「イヤです!!だいたい唯先輩が私の話を全然聞いていないのが悪いじゃないですか!!」

唯「いやぁん…あずにゃんがいじめるぅ~!!澪ちゃん助けて~!」

律「・・・」

澪「…なに…やっているんだ…?二人とも…」

梓「はっ!あ、こ、これは…その…唯先輩が言うことを聞いてくれませんから…///」あたふた

唯「あずにゃん…私に厳しいんだよぉ…」

梓「誤解を招く言い方しないでください!!」

澪「唯…梓がせっかく教えてくれているのだから聞いておかないと…」

唯「だって、その傍らでムギちゃんが一生懸命にキーボードに手を伸ばそうとしているから、それどころじゃなかったんだもん」

梓「何がそれどころじゃなかったんだもんですか、何が」

律「…一理あるな…ムギのあの姿は愛くるしいのは確かだ…」

梓「はぁっ!?」

澪「唯っ!!」

梓「澪先輩も言ってやってくださいよ!!今日は唯先輩酷いんですから!!」

澪「どうだったんだ…?ちびムギの姿は…?」

唯「すっごいキュートだったよ~!持って帰りたかったぐらい!」

澪「い…いいなぁ…」

梓「」

♪~

唯「あれ?これ…」

澪「こんな感じになるのか…」

梓「これ…キーボードですから…」

律「ムギ!」

紬「えへへ…///」

梓「あれ?背が…って椅子の上に立っていたわけですね…」

紬「さっき届かなかったから台になるなにかを探していたら椅子にしたの」

澪「それにしても早く合わせたいな…さっきみたいな感じになるのかと思うと…楽しみだな…」

紬「ご…ごめんなさい…さっきのはいくつか音を抜いて弾いていたの…」

律「え…?どうしてさ?」

紬「指も小さくなってしまって…届かない音も出てしまったの…」

梓「そうだったのですか…」

律「どうする?指は数日で伸びるものじゃないし…」

紬「…練習で頑張ってみるわ!」

澪「そ…それでできるのか…?」

紬「やってみないとわからないけど…可能な限りやってみるわ!」

唯「ムギちゃん頑張ってね!私応援しているよ!」

紬「ありがとう。唯ちゃん」

梓「唯先輩は人のことよりも自分のことを気にした方がいいですよ」

唯「も~あずにゃんは現実的すぎるぅ~」

梓「唯先輩が現実を見なさすぎなんです!」



唯「もう下校時間だよ~!」

梓「結局、唯先輩に楽譜の読み方しか教えられなかった…」

澪「まあまあ…」

律「梓おっつー」

紬「・・・」とてとて…とん…

紬「ふぅ…終わった…」

唯「も~!かわいいから飴ちゃんをあげたくなっちゃうよ~!いる?ムギちゃん」

紬「ありがとう。唯ちゃん」

律「完全に子どもに対して飴を与えるおばさんだな…」



唯「むふふふぅ~!」ギュー

紬「ゆ…唯ちゃん…歩きにくいのだけど…」

唯「私は構わないよ~!」

梓「・・・」

律「梓良かったじゃないか?自分の代わりにムギが唯に捕まって」

梓「・・・」

律「ん?梓~?」

梓「え?あ、はい。何ですか?」

律「ははーん…梓お前、ムギに焼きもち妬いているのか~?」

梓「ち…違いますっ!!」

唯「ムギちゃんはこの方がかわいいよ~!」

紬「唯ちゃんってば…歩きにくいわよ…」

梓「……ふん…」

キキキキキキー!!

澪「ひいぃっ!!」

律「な…なんなんだ…一体…?」

唯「ほへ~…」

紬(また…)

バタン

メイド「お迎えが遅くなり大変申し訳ございません。お嬢様」

梓「え…?お嬢様って…」

メイド「紬お嬢様、さぁ車にお乗りください」

紬「・・・」プイッ

澪「やっぱりムギだったか…」

唯「ムギちゃん…呼んでいるよ…?」

紬「…あんなの…放っとけばいいのよ」

唯「へ?」

メイド「そこの方!」ビシッ

唯「え?え?私!?」

メイド「はい!お手数ですが、お嬢様をこちらに連れて来てくださりませんか?」ニコリ

唯「は…はい…」

紬「止めて。私は電車で帰るの」

唯「え?でもムギちゃん…迎えに来た人が…」

紬「良いの!」

メイド「お嬢様…またダダをおこねになるおつもりですか?」

紬「わ…私の勝手じゃない!」

メイド「いけません。お嬢様の身体が元に戻られるまでお嬢様の身の安全のために送迎するしかないのです!」

メイド(本音は幼女化したお嬢様を近くで見たいがため!!それ以上でもそれ以下でもなくお嬢様の近くで視●するため!!)

唯「ムギちゃん…」

紬「ごめんなさい…私…」ダッ

唯「あっ!」

紬(せっかくみんなと楽しく下校するつもりだったのに…どうしていっつも私のしたいことに邪魔が入るの!!)てってってっ

ザッ

メイド「お嬢様…いけません…!」

紬「・・・」クルッ

ザッ

メイド「お嬢様…諦めましょう…」

紬「・・・」

メイド「今のお身体では電車は苦痛以外のなにものでもありませんよ」

メイド(そうです。車であれば、お嬢様と二人っきりの時間を過ごせるわけです)

紬「・・・」

メイド「さぁ、お嬢様…」

紬「私…ただ…ただ…みんなと過ごせる時間を…大切にしたかっただけなのに…グスッ」ぽろぽろ

メイド「!?」

紬「なんで…なんでなの?下校の時ぐらいみんなといたっていいじゃない!」ぽろぽろ

メイド「それは…お嬢様の身の安全のために…」

紬「全部そればっかりじゃない!なによ!本当は違う理由があるんじゃないの?」

メイド「ぎくっ!?」

寝ます…朝10時頃の再開を目指したいです

紬「・・・」

メイド「え…えっとその…」

紬「みんなといられるまでいたいの!せっかくの友達なんだから!私の貴重な下校の一時を奪わないで!」ぽろぽろ

メイド「・・・」

唯「ムギちゃん…」

律「そういうことだったのか…」

紬「唯ちゃん…みんな…」

澪「悪いけど、さっきの話は聞いたよ…」

梓「ムギ先輩…そこまで私たちのことを…」

メイド「・・・」

221:08/17(火) 12:00 ULH4ksf1O
…………次、むっぎゅーん!って言ったら"死"すぞ。
221:08/17(火) 12:00 ULH4ksf1O
…………次、むっぎゅーん!って言ったら"死"すぞ。
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…………次、むっぎゅーん!って言ったら"死"すぞ。

wwwwwwwwwww

メイド(どうする?このままではお嬢様は私のことを嫌いになってしまわれる…その時の怒られた顔に痺れるものがあるが…いやしかし、お嬢様の心を閉ざしてしまうかもしれない…なら…)

メイド「…分かりました…学校までの帰りのお迎えは止めに致します」

紬「ほ…本当!?」

メイド「ですが、駅からは私がお迎え致します!」

紬「へ…?」

メイド「お嬢様の今の姿では身体への負荷は計りしれませんからね、せめてそこからだけでもご一緒させてください。これならばご友人との一時を邪魔しないでしょう」

紬「そ…それなら…みんなと別れた後だから…うん。わかったわ…お願いします」

唯「ムギちゃん良かったじゃん!帰り一緒に帰れるんだよ~!」ギュッ

紬「えへへ…ありがとう…みんな」キラキラ

梓「!?」

律「」

唯澪メイド(い…今のは良い…!!)

律「うわああああああああ!!!!私の理性カムバック!!私の理性カムバック!!」ガンガンガン

梓「!?ちょっと律先輩どうしたんですか、いきなり!?」

メイド「では…私は駅で待機しております…」

紬「ごめんなさいね…せっかく迎えに来てくれたのに…」

メイド「いえ、琴吹家に仕える者であればこれぐらい何ともありません、では!」シュタッ

澪「す…すごいな…あのメイドさん…」

唯「むふふふぅ~!ムギちゃ~ん!」ギュッ

紬「きゃっ…!も~唯ちゃん!」

唯「怒っているムギちゃんもかわいいなぁ~!」

澪「ゆ…唯…次…次は私で…///」



澪「♪///」ギュッ

紬「えーと…」

澪「唯はずるいぞ。さっきから一人占めしていて」

唯「てへへ…ごめんね~」

紬「私の意思は関係ないの?」

律「はぁ…はぁ…」

梓「大丈夫ですか?額から血が出ていますよ!というか何であんなことを…」

律「悪い…こうしないと私がある一線を超えちまう気がするんだ…」

梓「……はい?」

唯「澪ちゃん!そろそろ代わってよ~!」

澪「だ~め!唯は休み時間もしていたじゃないか。もう交替はなし」

紬「…あの~…私の意思は…?」

唯「えー!そんなぁー!」

紬(澪ちゃんまで聞いてくれない…)



紬「今日はみんなありがとう。明日元に戻っていれば良いだけれど…」

梓「確かにそうですね」

律「あまり期待してもぬか喜びするだけだからな。ま、早く元に戻ってくれることを祈っておくよ」

唯澪(正直そのままでいいと思う…)

紬「じゃあ、またね」ニコッ

律「」

唯「ほわぁぁ~///」

澪「・・・///」

梓「お疲れさまです!ムギ先輩!」

紬「・・・」てとてと

メイド「お嬢様…さぁ、一緒に帰りましょう…」

紬「えぇ…」


ガタン…タタン…

乗客1「やべ…本物のメイドだ…」ヒソヒソ

乗客2「秋葉原とかそういう人じゃないよね?」ヒソヒソ

乗客3「というかあのメイドが連れている女の子スッゴいかわいい~!」

乗客4「あ、本当だ…でもあの格好、桜ヶ丘の格好じゃないか…?

ザワザワ

紬「・・・///」ギュッ

メイド「!?お…お嬢様…気になさる必要はありませんよ。それよりも私の手から絶対にはなさないでくださいね」

紬「う…うん…」ギュッ

メイド「・・・」

メイド(これは…良い…!!)

メイド(これは意外とタナボタなのかもしれない。ロリ状態のお嬢様の身体と私の身体が今一つになっているのだから…)

メイド「ふふ…ふふふふ…///」

乗客5「!?」ビクッ


紬「ねぇ…」

メイド(あぁ…今お嬢様の愛くるしい顔が私の方に全て向いている!!)

紬「ねぇってば!」

メイド「なんでございましょう?」

メイド(ふ…思わずお嬢様の世界に溺れてしまうところだった…)

紬「言い忘れていて申し訳ないけど、明日体育があって…体操服を用意して欲しいの…できるかしら?」

メイド「至急用意致します。ブルマを」

紬「え?体操服はジャージで良いわよ?」

メイド「分かりました。用意致します。ブルマを」

紬「だから…ブルマじゃなくて…」

メイド「冗談ですよ」

紬「そ…そう…」ほっ

メイド「分かっておりますとも。至急用意致しますよ。ブルマを」

紬「・・・」



唯「憂~あのね~今日ムギちゃんがかわいかったんだぁ~!」

憂「そうなんだぁ!美容院かなにか?」

唯「違うよ!ムギちゃんがね、これぐらいちっちゃくなってね~!」

憂「もう、お姉ちゃんってば嘘ばっかり言って…」

唯「本当だもん!!あずにゃんに聞いてみてよ!!」

憂「はいはい。お姉ちゃん、お茶いる?」

唯「うん!ちょ~だ~い!」



かぽーん

紬「・・・」ごしごし

ざばー

紬「ふぅ…」

紬(身体が小さくなった分、洗いやすいわね…)てとてと

紬「・・・」


紬(今私の身体は小さいということは深い浴槽は足が届かないってことなんじゃ…)

紬「!!」ぴかーん

紬「♪~」てとてと

紬「よいしょ…よいしょ…」ゴスゴス

紬「こんな感じかしら?よし!」

紬「ふっ…はっ…」よじりよじり

紬「頂上~!」ビシッ

紬「ふふふ…一度飛び込みをやってみたかったの~♪」

紬「いっせ~の!えいっ!」ぴょん

ばっしゃーん!

紬「ぷはっ…!まるでプールみたい!」

紬「身体が小さいとこんな利点があるのね~!」

紬(いつ元に戻れるか分からない…ならこの身体でも十分楽しめるようにしないと…!)

紬「うん!楽しも~!お~!」






カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ

メイド「8GBじゃだめね…もっと容量が大きいのにすれば良かった」

紬「あんまり遊んでいたら心配されるからもう出た方が良いよね…」ザバッ

メイド「出られるようだ…」サッ

ガチャ

紬「はぁ…良い湯だったわぁ…」

メイド「お嬢様…」

紬「きゃっ!!いつのまにいたの!!」

メイド「お嬢様がバスタオルを右手で髪を丁寧に拭いていらっしゃる時です」

紬「…そ…そうなの…」

紬「あ…ここまで来てどうしたの?」

メイド「子どもが風邪を引く主な時間は風呂上がりだそうです。原因はちゃんと身体を拭いていないからなんだと」

紬「そうなの?でも、しっかり拭いたから大丈夫よ!ほら、髪もこんなに乾いているでしょ?」

メイド「…どうでしょうか?」

紬「へ…?」

メイド「お嬢様は前の身体の感覚で拭いておられたのでしょう…子どもの身体はデリケートなのです。より丁寧に拭かないといけません」

紬「そうだったの…それならもう一回拭いておこうかしら」

メイド「いえ、私が拭いて差し上げます」

紬「…はい?」

メイド「さぁ、バスローブを取ってください」

紬「え?え?じ…自分で拭くからそんなことしなくても良いわよ!///」

メイド「まだ分かておられないようですね…風邪をひいてしまわれましたらご友人達が心配されますよ?」

紬「う…そん…だけど…///」

メイド「さぁ…さぁ…これはれっきとした予防なのですよ…」ハアハア

紬「!?よ…予防の時に鼻血を出す人なんていません!///」

メイド「これはあの日、あまり血が出なかったからですよ。医学的によくあることです」

紬「ほ…本当なの…?」

メイド「本当です」

メイド「そんなことよりも早く身体を拭かないと!」

紬「そ…そんなことまでしなくても…は…は…はくちんっ!」

紬「あ…///」

メイド(Oh,year…)

メイド「ほらお嬢様申し上げた通りのことになったでしょ」

紬「うぅ…///」

メイド「大丈夫です…恥ずかしがることはありません」ふきふき

紬「・・・///」

メイド「はい、できました…」

紬「…ありがとう…私もう部屋に行きます…」てとてと

メイド「お休みなさいませ」

バタン

メイド「…さてこれらを家宝にせねば…」


バタン

紬「ぐす…やっぱり私の言うこと分かってくれない…」

紬(あれぐらい自分でできなきゃ…ライブとかできるわけないじゃない…)

紬「そうだ…練習しないと…」とてとて

紬「うーん…とうっ」パチッ

♪ー

紬「うん。これぐらいの音量なら大丈夫でしょ」

♪ー




紬「弾ける音は少し増えたけど…本番まではほど遠いわぁ…」

紬「もし間に合わなかったら…」

紬「・・・」ぶんぶん

紬「だめっ!そんなことを考えちゃ…必ず間に合わせるんだから!グスッ」

♪ー



翌朝

コンコン

メイド「お嬢様ーお目覚めの時間ですよー」

ガチャ

紬「すやすや…」

メイド「なんと…キーボードに寄りかかって寝てしまうとは…」

メイド(昨晩は遅くまで楽器の音が聞こえたからやはり…頑張られたのですね…)

紬「すやすや…」

メイド「!?」きらーん

メイド(シャッターチャーーーンス!!!!)

紬「あ…もう朝…」むくっ…

メイド「」

メイド「あ…お嬢様…おはようございます…」

メイド(あ…危なかった…ほっ…)

紬「うん…おはよう…」むにゃ

メイド「朝の食事がまもなくできますので顔を洗われてください」

紬「ね…ねぇ!私戻ってる…?」

メイド「…残念ながら昨日のままです…」

紬「そうなの…」シュン

メイド「だ…大丈夫です!いつか元に戻りますよ!」

紬「元に戻ればいいのだけれど…」

洗面所

紬「えっほ…えっは…」ずるずる

紬「ほっ!」ぴょん

じゃー

ばしゃばしゃ

きゅっきゅっ…

紬「ふぅ…」ふきふき

紬(やっぱ一日経てば元に戻れるわけじゃなかったのね…)

紬「はぁ…」

紬「・・・」

紬「…」ぶんぶんぶんぶん

紬(だめだめ!このままじゃ私頑張れないじゃない!)

紬(とにかくこの身体で楽しみながら頑張るしかないのよ!うん!)

紬「頑張れ~私~!」

メイド「お嬢様どうされましたか?何か大声が聞こえましたが…」
紬「な…な、な、なんでもない!!///」

メイド「?」



カチャカチャ

紬「ごちそうさまでした」

メイド「お嬢様、体操服が届いております」

紬「あ…そういえばそうだったわね…」

メイド「お嬢様…大変申し訳ありませんが…」

紬「どうかしたの?」

メイド「お嬢様サイズのジャージズボンを注文していたはずなのに、手違いでブルマに…しかも3つ…」

紬「・・・」

紬「もう…それしかないならそれで良いわよ…」

メイド「了解致しました」

紬(うぅ…ただでさえみんなと違って目立つというのに…///)

メイド「さぁ、お嬢様、出発の時間になりましたよ」

紬「はい…」

紬(いけない…!また落ち込んでいたわ私…これを逆に楽しまないと…!)

紬「ポジティブに…ポジティブに…」

メイド「・・・」

メイド(必死になにかを言い聞かせているお嬢様…これは脳髄にまで焼き付けておかなくては…)



キイイィィ…ガチャ

メイド「さぁ、お嬢様」

紬「ドアを開けることくらい一人でできるのに…」

メイド「後続車が気になりますから」

紬「むぅー…」ぴょん

メイド「それでは頑張ってください、お嬢様」

紬「えぇ、もちろん」

メイド「失礼致します」バタン

ブロロ…

紬「よし!頑張ろうっと!」ふんす



カチャ

紬「良かった…下駄箱で私のところはもとから下の位置で…」

和「あら、ムギじゃない」

紬「和ちゃん!」

和「おはよう。ムギってこんなに早かったのね」

紬「昨日から車で…」

和「そうね。児童に対する犯罪が増えているというし…」

紬「もう!和ちゃんのいじわるっ!」

和「冗談よ、冗談」

生徒7「あ、真鍋先輩!おはようございます!」

和「えぇ、おはよう」

生徒7「あれ?先輩…この子はどうしたんですかー?もしかして先輩の妹さんですかー?」

紬「」ガーン

和「あ…えーと…どこから説明した方が良いのかしら…一応、同級生なんだけど…」

生徒7「へ…?先輩ったら冗談下手ですよーあははは…どこからどう見ても小学生じゃないですかー!」

紬「」グサッ

和「そ…そういうわけじゃなくて…」

生徒7「あ!もしかして飛び級ですか?すっごーい!」

紬「」グサッグサッ

和「と…とにかく後でちゃんと説明するから!ムギ!行くわよ!」

生徒7「?」


和「ムギ…大丈夫かしら?」

紬「ぐすん…な…なんとか…」

和「あの子は悪気があってあんなことを言ったわけじゃないから…気にすることないわよ」

紬「うん…和ちゃんがそう言うなら…グスッ///」

和「ほら、もうすぐ教室なんだから泣かないの」ふきふき

紬「和ちゃん…?」

和「あ…ごめんなさい…つい妹と同じ感覚でやっちゃったわ…」

紬「もー!和ちゃんのいじわる!」



紬「…ふぅ、やっと教室に着いた…」

和「澪から聞いていたけど、体力も落ちてしまっているのね。体育はどうするの?」

紬「一応、受けるつもりだけど…」

和「無理してケガしたら大変よ。ほどほどにね」

紬「そうね…気をつけないと…」

生徒5「あ!琴吹さんおはよー!」

生徒6「おはよー!」

紬「おはよう!…二人ともどうしたの?私の席のそばにいて…」

生徒6「まぁ、席に着いてみたら分かるって!」

生徒5「そうそう!」

紬「?」

紬「?私の席にあるこれ…なあに?」

生徒6「昨日琴吹さん椅子の上に立った時、危なっかしかったからね。揺れないように固定しておいたのよ」

生徒5「これなら安心して立てるでしょ?」

紬「二人とも…ありがとう!嬉しい!」

和「へ~良いじゃない!試しに上がってみたら?」

紬「うん!」

紬「ほっ…ほっ…」よじりよじり

紬「はっ!立てましたぁ~!」

生徒5・6「おぉ~!」パチパチ

紬「これなら先生からあてられても安心ね!本当にありがとう!」

生徒5「良いって良いって!」

生徒6「琴吹さんは今や私たちのクラスのアイドルだもの!放っとけないよー!」

紬「え…?あ…アイドル…?」

和「まぁ、あながち間違いでもないわね。ここでその姿でいたら誰もが目にしちゃうもの」

紬「え?え?和ちゃんまで?」あたふた

生徒5・6(慌てる琴吹さんかわいい…)

いつの間にか寝てしまった挙げ句寝過ぎた…
すいません



唯「へぇ~それでムギちゃんの席だけ違うんだぁ~!」

澪「それで朝から嬉しそうな顔をしていたのか…」

紬「えへへ…」

律「あ、ムギ~今日の体育どうするんだ?体操服とかぶかぶかじゃね?」

唯(ぶかぶかな体操服姿のムギちゃんも見てみたいなぁ~)

紬「それなら用意してあるわよ」

律「用意できるのかよっ!?」

澪(琴吹家ってすごいな…)



教員6「えー…次のところを…琴吹…読みなさい…」

紬「は…はい!」

紬「ほっ…ほっ…」よじりよじり

生徒6(頑張って琴吹さん!)

紬「よし…」

生徒5(やったね!琴吹さん!)

紬(よしっ…これなら……あ…!)

生徒6(?どうしたのかな?)

紬(どうしよう…教科書を机に置いたまま登っちゃった…)あせあせ

教員6「ん?琴吹どうしたのかね…場所は24ページの7行目からだぞ…?」

紬「は…はい…ただ今!」あたふた

紬(と…とにかく教科書がないことには始まらないから…取りに行かないと…)

生徒5(え?どうして降りちゃうの?)

ひょい

紬(教科書を持って上がって…)

生徒6(あぁ、教科書を持たずに上がっちゃったのね…どうりで降りたわけか…)

紬「ほっ…ほっ…」

教員6「琴吹…どうしたのだ…24ページの7行目だぞ?」

紬「す…すいません…!た…ただ今…!」よじりよじり

紬(よし!24ページの7行目っと…)ぱらぱら

教員6「もういい…他の人に頼む…座りなさい…」

紬「!?い…今から読みますのでっ!」

教員6「田井中起きない…今から24ページの7行目を読むように…」

律「へ…?あ…いやぁ~寝ていませんよ~!」

教員6「いいから読みなさい」

律「ちぇー」

紬「・・・」しゅん



紬「あともうちょっとだったのに…グスン」

生徒6「こ…今回は仕方なかったのよ!」

生徒5「次から気をつければ良いじゃない!ドンマイ!」

紬「二人とも…ありがとう…!」ニコッ

生徒5(その笑顔きゃっわいい~!)

生徒6(琴吹さんの笑顔を見て保育士か小学校の先生に進路を変更したくなっちゃった…)



唯「ムギちゃーん早く着替えよー!」

紬「そうね…急がないと…!」ガサゴソ

唯「はっ…!」

唯(ムギちゃんが今出したのって…ブルマ…だよね?)

唯「ねえねえりっちゃん…」ヒソヒソ

律「んー?どーしたんだー?唯ー」

唯「今ムギちゃんの出している紺のものって、ブルマだよね?」ヒソヒソ

律「はぁ?そんなわけ…」

紬「恥ずかしいと言っている場合じゃないわね!えいっ!///」さっ

律「」

唯「ね!ね!あれってブルマだよね?そうだよね?」

律「・・・」

唯「りっちゃん…?」

律(ウチの学校の体操服はブルマじゃなくてズボンだろ!いや待てよ?今のムギの身体に合うズボンがなかったからブルマになったのか?あぁ畜生…似合うじゃねぇか……って何考えてんだよ私!!
  いや言っておくが私はロリコンでも変態でもない……はず…いや、絶対にそうだ!!私はロリコンでも変態でもない!本当だっ!!嘘じゃねぇっ!!あれは…そう!誉め言葉だっ!!誉め言葉以外のなにものでもねぇっ!!)


唯「?おーい、りっちゃんどったのー?」

紬「りっちゃんがどうかしたの?」てとてと

唯「あ、ムギちゃーん!ブルマとかはいちゃってかわいいなぁも~!」

紬「あ、こ…これしか用意できなかったの…あんまりジロジロ見ないで…///」

唯「ふっふーん!りっちゃん隊員!これは凝視ものですよ~!」

紬「も…もうっ!唯ちゃんったら!///」

律「・・・」

唯「あれ?りっちゃん?りっちゃーん?」

律「うわああああああああああああああ!!!!私は変態じゃねぇ!!変態じゃねぇ!!変態じゃねええええぇぇぇ!!!!」ガンガンガンガンガン

唯「なに!?りっちゃんなにがあったの!?どったの!?」


澪(律…早くお前が救われることを祈っているよ…)


結局四人は遅れましたとさ



教員8「はい、今日はバレーボールをやりまーす。じゃまず、4人一組となってトスの練習をしてくださーい」

生徒一同「はーい」

唯「りっちゃんはさっき壁を頭に打ち続けたせいで額から出血しちゃって今保健室に行っているから、澪ちゃん、ムギちゃん、和ちゃん一緒にやろー?」

澪「これぐらいならムギにも問題ないだろうな」

和「そうね」

唯「それならさっそく、行きま~す!それ!」

ぽ~ん

澪「よっと…」

ぽ~ん

和「そーれっ」

ぽ~ん

紬(トスぐらいならこの身体でも大丈夫なはず…よ~し!)

紬「そいやっ!」

ぐきっ

紬「」



唯「ああ~ん!ムギちゃん飛ばしすぎだよ~!」

唯「あれ…?ムギちゃん?」




律「突き指で私と同じ保健室にいるわけか…」

紬「……ぐす」こくんこくん

すいません。
急用で2、3時間ほど離れます。

本当に申し訳ありません

律「まぁ良かったじゃん。骨折とか脱臼じゃなくて」

紬「うん…そうなんだけど…初めてだったから…」

律「えぇっ!?今まで一度も突き指になったことないのかよ!?」

紬「う…うん…」

律(マジかよ…ムギがお嬢さま育ちだとは分かっていたがまさかこれほどまでいっていたとは…)

紬「ねぇ、りっちゃん、突き指っていつになったら痛みが引くの?」

律「そりゃあ…放っておけばいつの間にか痛みが引いているけど…」

紬「そ…そうなんだ…」しゅん

律「・・・」

律「あ~…少し痛みが引く方法があるんだったなー…」

律「・・・」チラッ

紬「・・・」きらきら

律「うぐっ…やるからさ…痛い指を出してみな」

紬「うん…」さっ

律(ちっちゃくて強く握ったら潰れちゃいそうな指だなぁ…)

紬「ど…どうするの?」

律「それはな~こうするんだよ…」

キュッ

紬「?ハンカチで指を巻いてあるけど…これだけでいいの?」

律「なんか知らないけど、突き指は一種の内出血みたいなものらしいから、冷やすか血の流れを抑えた方が良いんだってさ」

紬「本当…りっちゃんの言う通り、痛みが引いてきた気がする…りっちゃんすごい!何でも知っているのね!!」

律「へへ…まーな…」

紬「りっちゃんは大丈夫なの?自慢のおでこをぶつけたりしちゃって…」

律「へ…?あ…あれは…き、筋トレのよーなもので、頭を鍛えてさ…なんつーか、平常心を取り戻すためのものっつうか…」

律(ああもう自分で何言っているか分かんねぇ…)

紬「そうなの…」

律(あ、今ので良かったのか…)

紬「でも、あまり無理しないでね。りっちゃんが体育でいないだけでもみんな寂しがっていたのよ?それほどりっちゃんはみんなから慕われていたのよ」

律「・・・」

律(いや…これはムギが単純に私を誉めただけに過ぎないんだよ…あぁ、そうに違いない。そりゃあ三回も同じような感じになりゃあ、いくら私でも学習能力はつくぜ!良かった…私は変態じゃないんだな…私はロリコンじゃない…!)じーん…

紬「あ…あの…りっちゃん…///」

律「んー?どったー?ムギー」

律(今の私ならどんなものでも耐えられそうだぜ…!)

紬「あの…またりっちゃんに迷惑がかかるかもしれないのだけど…///」もぞもぞ

律「なーに言ってんだよ、ムギ!私らの仲だろ?迷惑だなんて気にするんじゃねぇーよ!」

紬「あ…ありがとう。そ…それなら……トイレについて来てくれる?///」

律「」



律「・・・」すたすた

紬「・・・」てとてと

律(……うむうぅ…いかん…!)

紬「・・・」てとてと

律(ついムギのブルマに目がいっちまう…)

紬「あ…!ねぇ、りっちゃん…」くるっ

律「!?」ビクッ

紬「?ど…どうしたの?そんなにびっくりしなくても…」

律「な…何でもないさ…はは…あははは…それよりどうしたんだ?」

紬「なんか…私たち今授業中なのに二人で抜け出したみたいですごいと感じない?」

律「・・・」

紬「それに、前に二人だけで遊んだ時もりっちゃんからいろいろと案内してくれたよね…なんだかわくわくしてきたわぁ~」

律「・・・」

律(なんでだよなんでだよなんでだよなんでだよなんでだよ!!ちきしょーー!!こいつは素で言っているんだよな?わざとじゃねえよな?なんでこうも『あれ?なんかこれありじゃね?』みたいな雰囲気を作っちまうんだよコイツは!!)

紬「♪~」てとてと

律(むきゃーー!!どうしたら良いんだよ!!)



トイレ

律「はあ…はあ…なんとか乗り越えたはず…たぶん…」

紬「りっちゃん大丈夫なの?さっきから顔色が優れないけど…」

律「・・・」

律(言えねぇ…コイツのせいだと言えねぇ…)

律「な…なんとかな…ははっ…というか今度は大丈夫なんだろうな?また紙が届かずこけてしまったらそれこそ骨折するぞ?」

紬「えぇ!今度はちゃんと考えてあるの!」

律「へ…へーどうするわだ?」

紬「和式の方でやれば良いのよ!」

律「……へ?」

紬「和式なら落ちることもないはず!これなら安心よ!」

律「あれ…?なら私いらなくない?」

紬「……あ!」

律「こらっ!」

紬「ご…ごめんなさい。りっちゃん…」しゅん

律「あ…いやぁ、私も暇だったからさ!そうそう…!私もトイレしたくなったんだぁ~」

紬「・・・」

律「はは…」

紬「りっちゃんは優しいんだね…」

バタン

律「・・・」

律(え…?なにこの喪失感…)



教員8「えっと…あなたは何をしていたのですか?」

メイド「精神的自由権の行使を…」

教員8「確かにカメラの撮影は自由ですよね」

メイド「そうです。自然的な行為です」

教員8「ですが、カメラに撮られたくない権利もあると思うんですが…」

メイド「それは初耳です」

教員8「…肖像権と言いましてね…撮られたくない人の気持ちを配慮したもので…」

メイド「大丈夫です。今日はその目標となる被写体がおりませんでしたので」

教員8「……は?」


唯「澪ちゃん、澪ちゃん。ムギちゃんの家のメイドさんが来ているけど、どうしたのかな?あんなにカメラをたくさん持ってきて」

澪「……詮索しない方がいいと思うぞ」

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