女騎士「さあ、殺せ!!」(659)

ばーんばーんばーん
               ぐさっ
ぎゅいいいいいいいいいいいいいいいいん
                          ずぼぼぼぼぼーん ぐぐぐぐーん
                ぽよんぽよんぽよん ぷるん
       どっかーん

女騎士「私の負けだ……さぁ殺せ!」

男「負けを認めるんだな?」

女騎士「そうだ、殺せ!」

男「……目を閉じろ」

女騎士「くっ……一思いにやれ……」ギュッ…

女騎士(これが私の最期か……)

女騎士(生まれてこの方周囲からずっと冷遇されて生きてきた……幸せを感じたことなどほとんどなかった……)

女騎士(こんな世の中など……未練の欠片もない……)

女騎士(……でも……)

女騎士(来世があるなら次こそは…………幸せな……)



ちゅっ

女騎士「!?」

男「や……やった! 生まれて初めて女の子にキスしたぞーっ!!」

女騎士「!? !?」

女騎士「ふ、ふざけるな! 殺せ!!」

男「もう殺した」

女騎士「な、何だと」

男「キスを以て誇りを奪ってやった。もはや騎士としてのお前は死んだのだ」

女騎士「……っ戯れ事を……っ」

男「いいや、死んだ。間違いない。完璧」

女騎士「こんなことで死とするなら……わ、私はもう何度も殺されている……無理矢理に……」

男「えっ?」

女騎士「……くっ……えぇい殺せ! それともお前もあのケダモノ達のように凌辱の限りを尽くすか!?」

男「あ、いやそんな事情があるとは知らず……」

女騎士「殺せ! 今すぐ殺せ! どうした出来ないか!? 出来ないと言うなら自決するまで!」

男「よ、よせっ! やめろ!」

女騎士「放せぇっ! 何故止める! 孤児に生まれ、女であることも捨て、やむなく騎士の道にすがるしかなかった私がいま敵に敗れたのだ! もはや生きる意味など!!」

男「ちょっバッ暴れるな! くそーコイツ俺なんかよりずっとヘビーな事情抱えてたんだな……」

女騎士「殺せ、殺せーっ!」

男「とりあえずさ……も、帰っていいよ」

女騎士「はっ、帰る場所などない! ここが私の死地だ!!」

男「じゃ、じゃあとりあえずその……良かったらウチ来る?」

女騎士「ふっ、魂胆は見え透いているぞ、結局お前も私を肉欲のはけ口にしたいだけなのだろう!?」

男「ばばばば馬鹿何を言い出すんだ」

女騎士「慰み者にするなら私の死体で辛抱することだな! もはやこれ以上屈辱を受けてたまるか!」

男「し、死体って俺にそんな趣味ないしとりあえず落ち着け! 落ち着け!!」

女騎士「やめろっ汚い手で私に触るな、下賎なケダモノめ! 殺せ!!」

男「困ったどうしよう」

女騎士「殺せ! 殺さぬというなら……」

男「!」

トンッ

女騎士「ぁ……」ドサッ

男「あぶねー今本気で舌噛み切るつもりだったなコイツ」

男「……こうして改めてみると……やっぱこの娘かわいーなー」

女騎士「! ここは……」

男「オハヨー」

女騎士「! き、貴様は……」

男「オレんち」

女騎士「……な……。こ、これ、いつの間に!」

男「あぁ着替えさせたよ。男物しかないけど」

女騎士「……身体も拭いたのか?」

男「そうだよバカおっぱいしか見てないよバカ」

女騎士「何のつもりだ……敵に情けをかけて何を企んでいる」

男「そ、それは後で言う」

女騎士「ふん……私のような末端に捕虜の価値はないぞ。それとも肉奴隷として飼い馴らすつもりか」

男「いやいや全然違う」

女「何のつもりか知らんが……どうせ私が自害するか、私がお前の寝首をかいて終わりだ」

男「いいねそれ。隙があったら是非殺してくれ」

女「なんだと。ふん、奇人め」

男「なぁ、おまえ名前なんていうんだ」

女騎士「……立ち会う間際、名乗ったはずだ」

男「そうだっけ。憶えてないからもう一回教えてくれ」

女騎士「勝敗が決した今、名乗ったところで意味はない。名乗りたくもない」

男「え教えてよけち。あ、オレの名前は」

女騎士「聞きたくもない。どうせ長くない関係だ」

男「そうかよけち。とっとと寝とけよけち」

女騎士「いいのか。疲れが癒え次第お前を殺すかもしれんぞ」

男「いいぞ別に」

女騎士「帰る場所はないとは言ったが、お前の首を持ち帰れば話は変わるんだぞ」

男「なんだ帰る場所あるんじゃん嘘つき」

女騎士「だからお前の首が」

男「別に欲しけりゃくれてやるわいつでもどーぞ」

女騎士「……ふん。お前みたいな小物の首を持ち帰ったところで、惨めな生活が延長されるだけだ……」

男「お前はその小物に負けたわけだが」

女騎士「私の武器はどこにやった。殺してやるから教えろ」

男「そのベッドの脇だ」

女騎士「あった」

男「ドジ」

女騎士「ふ、ふん。間抜けはお前だ。こんな手を伸ばせば届くところに置くなど不用心にも程がある」

男「そうか。そんなことよりリンゴを食え」

女騎士「何?」

男「料理は出来ない。リンゴぐらいしかない。食え」

女騎士「毒か? 睡眠剤か? どの道ろくな仕掛けが施されているのだろう」

男「そんな金があったら可愛い姉ちゃんがいるBERにでも行く」

女騎士「ふ、ふん。その言葉が今の状況と矛盾していることに気づかないのか」

男「え? ってことは自分のこと可愛いって自信あるの?」

女騎士「ば、馬鹿めっ、なぜそうなる」

男(ホントはホントに可愛いけどね)

女騎士「よく分からん奴だ……まったく……酔狂の分際で……」

女騎士「……勝機は完全になくなった…。殺せ………」
セル「そうさせてもらおうか。お前にもベジータにも随分失望させられた。もっと楽しめるかと思っていたが…」

女騎士「さあ、殺せ!」

俺「命を軽く見てんじゃねえ!!」ヒュンボコ

女騎士「!! ・・・なにをする!」

俺「俺に出来るのはこれだけだ これから自殺願望みたいなこと言うんじゃねえぞ

じゃあな!」 タッタッタッ

女騎士「・・・、 この屈辱、必ず果たす!!」

>>58
そういう偽善主人公は殺したくなるからやめろ

>>60


女騎士「さあ、殺せ!」

男「はい! 一息でサックリ殺すんだ安心してください!」グワァ

女騎士「・・・ちょっと待て。 本気で殺すつもりか? 女騎士だぞ?」

男「はい! 勝負の世界に情けは無用! いきます!」グワァ

女騎士「・・・たんま」

男「・・・たんま有りだったんですか?」

女騎士「私はこう見えても可愛い。 性格も悪くないし、スタイルだって悪くない。 いきなり殺すのは酷くないか?」

男「家族ならまだしも知らない人ですし! じゃあたんま終わりで! 殺りまーす!」グワァ

女騎士「タイムゥ!!!」

男「タイムはずるくないですか?」

女騎士「家族ってのは女房も家族にはいるよな?」

男「はぁ…まぁ一応…一般常識ではそうですね」

女騎士「よし! いまから押しかけ女房になる! だから私を殺すな!」

男「……えぇぇ」

>>27

女騎士「さっき……食えと言ったな」 シャリ

男「結局リンゴ食べるのか。全然構わないけど」

女騎士「悩んだ末の結論だ」シャリ…

男「へぇどんな」

女騎士「敵に施しを受けてまで生きながらえるのは騎士の恥だが、」シャリ

女騎士「自分が敗れた相手に見苦しく逆らうのもまた騎士の恥」シャリ

男「堅苦しいな。素直にありがとうって言えばいいのに」

女騎士「ふざけるな。敵対関係が融解した訳ではない」シャリ

男「素直じゃねーなー」

女騎士「おい。なくなったぞ」

男「んん?」

女騎士「……か、仮に、もう一個食えと言われたなら、潔く食ってやるが」

男「あぁお腹空いてたんだね。ほら食え」ポイ

女騎士「し、仕方ないな」シャリシャリ

すまない再開するタイミングをしくじった
>>61よ後はそっち任せた

>>70
おまえがいなきゃはじまんねえよ

男「なぁ。なんでオレんとことお前んとこのお偉いさんは戦争してんだろうなぁ」

女騎士「さぁな。いつか聞いた気もするが忘れた。所詮前線で戦う者にとっては縁のない話だ」

男「毎日豪勢な暮らしをしている人間のために命を懸けるなんて、馬鹿らしいとか思ったことはないのか」

女騎士「そう言われたら確かに不愉快だが、その馬鹿らしいことをしなければ生きていけないからな」

男「理不尽だよなぁ。神様は何だってこんな世の中にしたんだろうなぁ」

女騎士「神などいない。信者達の言う神がいるなら、貧しい者不遇な者は救われているはずだ」

男「無神論者の代表命題だな」

女騎士「何を学があるようなフリをしている」

男「学か。お前よりは優っている自信はあるな」

女騎士「ふ、そんな知識戦場では何の役にも立たない」

男「それが正論だと知っているもんだから言い返せないな」

女騎士「……しかしまぁ、戦場でなければ、あるに越したことはないだろうな」

男「もしかして褒めてくれてるのか」

女騎士「馬鹿を言え。お前のことなど心底どうだっていい」

男「そうか」

女騎士「ところでこの家は大丈夫なのか」

男「オレにとって? お前にとって?」

女騎士「双方にとってと付け足そうか」

男「それなら双方にとって安全だが、今の状況では逆に危険といった感じかな」

女騎士「意味が分からん」

男「ちょうど境界線上に位置している。どちらの勢力が訪ねてきても危ないという訳だ」

女騎士「ふん……それならどちらかが消えれば、残った方は危険は半減する訳か」

男「おっと物騒な話にしないでくれ。ここは辺境だからほとんど人が来ないんだ」

女騎士「戦時中であればその限りではあるまい。堰もない境界線上となれば、勢力増築に真っ先に狙われる位置だ」

男「それは分かってる。いざとなったら逃げ出す手筈は整ってある」

女騎士「逃げ出す? お前は兵士ではないのか?」

男「そりゃ兵士だったさ、昨日お前に気まぐれを起こすまではな」

女騎士「……馬鹿な男だ。その腕なら将校だって狙えるだろうに」

男「あ、強かっただろう? オレ」

女騎士「くっ……なぜお前のような奴に負けたのだ……」

男「そういえばお前は軍ではどんな階位だったんだ?」

女「――!」

男「腕前はかなりのものだったし、装備からして尖兵って訳じゃなさそうだが……」

女騎士「……はっ、ついに本題に入ったか。その問いかけが、今まで私を生かしておいた道理だ」

男「おいおい話が飛躍してないか」

女騎士「なるほど諜報兵だとすればこの拠点位置も納得がいくな。ふっ、なんとくだらん真相だ」

男「いや、答えたくないならそれでいいけど」

女騎士「それでいいとはどういう意味だ。拷問でも始めるか」

男「おいおい」

女騎士「あくまで私の方から下りるのを待つ腹か? 無駄だ、事が発覚した以上、私が口をすべらせることはない」

男「オレはもう兵隊じゃないって」

女騎士「嘘をつけ。危うく騙されるところだった。ああ、どうやら最期の最後で騎士の尊厳を守ることができそうだ……」

男「はぁ……すっかり信用を失ってしまったか」

女騎士「この世で信用できるものなど自分以外にありはしない」

男「そうか」

男「じゃあ、今夜だ」

女騎士「!! ……くっ……」

男「違う、そうじゃない。オレを疑うにしろ自刃するにしろ、今夜オレの無抵抗ぶりを見てから決めてくれ」

女騎士「……?」

男「オレのベッドは今お前が使っているから、オレはそこの敷き物の上で寝る。その間、逃げるなり殺すなり好きにすればいい」

女騎士「……また嘘をついて……」

男「疑うのは勝手だけど、オレは今夜そのつもりだから」

女騎士「お前も今まで私と同室した奴と同類だ。私の寝込みを襲ってくるに決まっている」

男「バッ、しねーよそんなこと!」

女騎士「どうだかな。最初から私の胸にチラチラ目をやっていたのはバレているぞ」

男「うっあっそっ、そっれは――その――」

女騎士「ふん……所詮お前も男だ。お前達の本能衝動には心底うんざりしている。早く殺せ」

男「ち、違っ、えぇーっなんでそうなるんだよ!!」

女騎士「……ふん……」

女騎士(しかし最初からそのつもりであればとっくに……ますます分からん奴だ……)

男「……じゃオレはそろそろ寝ようかな」

女騎士「まだ夕刻なのに寝る気か、どうでもいいが」

男「いや、疲れているだけ。お前との戦いよりも、ここまで武具ごとお前を運ぶ方が骨だった」

女騎士「……ふん」

男「疲れが尋常じゃないから一足先にお休みだ。腹が減ったらそこにある壺の中に木の実が入っているから」

女騎士「べ、別に要らん」

男「身体を洗いたけりゃ裏口の外に井戸があるから。暇潰しならそこの本棚を漁ればいい。そんな訳でオレは寝るから」

女騎士「勝手にしろ」

男「逆にお前も勝手にしていいぞ。ただ不必要なことは控えてくれると有り難い」

女騎士「ふん、それは保証できん」

男「それじゃあお休み」パタ

女騎士「……」

男「」Zzz…

女騎士「…………」

女騎士(阿呆かコイツ……度し難い男だ……)

――夜――

女騎士(……疲労困憊のせいで結局ベッドから出られなかった……それにしても)

男「」Zzz…

女騎士(……狸寝入りしている様子もないな……)

女騎士(無防備過ぎる……今なら小剣一つでたやすくその息の根を絶てる……)

男「」Zzz…

女騎士(私自身も同じだ……今なら邪魔も入らず自分の喉元に刃を突き立てられる……)

男「」Zzz…

女騎士(ああ……まさか本当に私を襲うこともせず、こうして無防備を晒して寝るだけだなんて……)

女騎士(何をするのが正しいのか……何が騎士道精神に即した行動なのか……分からない……分からない……)

女騎士(私は……私はこの先、どうすればいいのだ…………)

男「」Zzz…

女騎士(私は……………………――――)

女騎士「」Zzz…

男「」Zzz…………

――翌朝――

男「おはよう」

女騎士「――!」ガバッ

男「はい、薬草の煮汁」コトン

女騎士「う……ん……」ゴシゴシ

男「二人とも無事に朝を迎えられて良かった。よく最高の選択を選んでくれたな」

女騎士「最高の……。いや……私はただ、お前の目的が知りたかっただけ」

男「……」

女騎士「それを知らずして終わらせるのは惜しいと思った。お前の行動は余りにも常軌を逸している」

男「……」

女騎士「不利益しか生まない私をなぜ助ける。軍を裏切ってまで私を匿う理由はなんだ。教えてくれ」

男「……」

男「……フリだけでいいから」

男「オレの……オレの恋人になってください!!」

女騎士「こい……? …………な、何だとッ!?」

女騎士「ふ、ふざけるな! そ、その類の冗談は虫酸が走る!!」

男「いや本気だ、まず聞いてくれ」

女騎士「聞きたくもない!!」

男「オレは死ぬ前に一度でいいから、異性と幸せな生活を送ってみたかったんだ」

女騎士「勝手に始めるな聞かんぞそんな与太話!」

男「オレにはきっと天命の出会いがある。そう信じてえり好みしているうちに戦争が始まった。兵舎に放り込まれ、出会いの機会はなくなってしまった」

男「オレは焦った。今日明日とも知れぬ命。なりふり構っていられなかった。聞けば強ければ女が寄るという。すぐに鍛えまくった」

男「だが――人死にを目の当たりにする日々を繰り返すうちに、ただただ虚しくなってきた。次第にオレは無気力になり、自身いつ死んでもいいような気分になっていった」

男「しかし――死ぬ前に一度でいいから、長年の夢、恋愛をするという本懐を成し遂げたかった!」

男「お前に会ったあの日、誰でも良かった! ブスでもバァさんでも男がいても!! どんな女が現れても恋人のフリをしてもらうつもりだったんだ!!」

女騎士「う……」ビリビリ

男「だから……まさかお前みたいなその……器量良しの娘に当たるとは思わなかったから、望外のチャンスと思って、ついここまで敢行しちゃった訳で。以上」

女騎士「……そんな理由で……」

男「というわけで、ママゴト感覚でもいいから、オレの恋人になってください」

女騎士「な…………わ……私か……」



リアルスケジュール的に厳しいから打ち切っていい?
明日の夜24時まで保守してくれたらちゃんと書けるけどそれはあんまりだから

VIPの典型的クソ書き手でごめんね

お前らthx
帰ったら頑張って打つ

女騎士「さあ、殺せ!」

聖騎士「来ないのか?ならばこちらからいくぞ」



キャー



END

>>116
男「どうかお願いします! フリだけでも、三日間だけでもいいから!」

女騎士「そ、そうは言っても、私はお前をまだ完全に信用した訳では……」

男「何が足りない? 命は元より、信用できるための保証なら何でも差し出す!」

女騎士「い、いや……その……私が乗り気ではないというか……」

男「なぜだっ、敗れた相手の言に従うのが騎士道精神じゃなかったのか!?」

女騎士「そ、それをここで持ち出すか」

男「いや自然な流れだ!」

女騎士「……」

男「どうか頼む! お願いします!」

女騎士「…………」

男「………………」

女騎士「分かった。装うだけでいいというなら」

男「本当か!? あ、ありが……ありがとう! い、今まで生きてきた甲斐があった!!」

女騎士「お、大袈裟だな。言っておくがあくまで『フリ』だけだからな」

男「分かってる! ありがとう、ありがとう……!!」

女騎士「そ、それで……その……」

男「何だ? 何でも言ってくれ!」

女騎士「こ、恋人というのは、具体的に何をすればいいのだ?」

男「えっ?」

女騎士「その……今までずっと武芸尽くしだったから……浮ついたことには批判する立場だったものでな……」

男「そ、そうか。恋人といえば……キ、キスとか! ……あ、初キスはもう勢いでやったけど……」モニョモニョ

女騎士「キスでいいのか? それなら慣れてるぞ」

男「!?」

女騎士「忌まわしい記憶だが、私の身体はすでに一通りの性行為は受けている。今更キスの一つなど造作もない」

男「――」

女騎士「それで? 他に恋人というのは何をすれば良いのだ?」

男「……笑うんだよ。心の底から笑う!」

女騎士「ふん、そんなことでいいのか」

男「違う違うそんな嘲笑じゃない、見てろ、こうやって笑うんだよ」

女騎士「ふぅん? 違いがよく分からんな……」

男「で、もう起きれるか」

女騎士「む……身体の節々は痛むが問題ない」

男「よし、じゃあ動くか」

女騎士「こ、恋人として私は、まず何をすればいい? さっそくキスか?」

男「ん。いや……多分いまキスしても、その意味は薄いと思う」

女騎士「意味? 唇同士が接合し、時に舌を絡め合うだけの行為に意味などあるか?」

男「……ある。それは時間が経ったら教えてやる」

女騎士「?」

男「それより今はもっと恋人の初歩的段階から踏んでいこう。手を貸せ」

女騎士「こ、こうか? ……なんだこれは? 握手ではないな」

男「こ、これが手を繋ぐってことだ」ドキドキ

女騎士「馬鹿にしてるのか? ――それに私は男はもとより、他人に肌身を触れられるのは好きではないのだが」

男「しかし恋人同士の基本だ。まず手を繋ぐことで、互いを強く確かめ合うんだ」ドキドキ

女騎士「……やはり落ち着かないな。……無性に落ち着かない……」

男「そ、そう、その調子だ!」ドキドキ

男「では今日は……本格的な恋人たる女の仕事をやってもらう」

女騎士「う……か、重ねて念を押すが、あくまで『フリ』ということを忘れるな」

男「聞く前から及び腰とは騎士の名が廃るな」

女騎士「何だと? いいだろうその挑発受けて立つ。言ってみろ恋人の仕事とやらを!」

男「じゃ、朝メシ頼むよ」

女騎士「何」

男「ここには材料だけはそろってるが、生で食えそうなものが果物くらいしかないんだ。パンはこの前なくなったし」

女騎士「つ、つまりどういうことだ」

男「恋人の作った料理! 堪能してみたかったんだここのところずっと今まで」

女騎士「ま、待て……」

男「いやいやオレ自身料理は壊滅的に才能なくてな。材料を無駄にする日々に心底うんざりしていたんだ」

女騎士「待て! 聞け!」

男「聞こう!」

女騎士「私だって料理なんてからっきしだぞ!」

男「な……な……何だって!!」

男「馬鹿な……騎士をやってる女の時点でまさかとは思っていたが……」

女騎士「なぜ『まさか』になるのだ。武芸ばかりやっていたと言ったばかりだろう」

男「いや! しかし……騎士の嗜みとして料理を学んでいる可能性が……」

女騎士「ない。戦時中だぞ。貴族と一緒にするな」

男「そうか……お前は料理ができないのか……」

女騎士「お、おい、するとどうなるのだ? 恋人は失格なのか? い、いやそれで結構か。よく分からない茶番に付き合うのもこれで終わ」

男「らない!! 恋人というものは、互いに助け合うものなんだ!!」

女騎士「そうは言うがな。素人が二人に増えたところで、無駄になる材料が倍になる結末が」

男「それでもいい! 立て! 炊事場に向かうぞ!」

女騎士「お、おぉ?」

男「何とか二人で力を合わせて素敵な朝メシをこしらえるんだ!」

女騎士「うむ。そ、それが恋人のやることなのだな」

男「そうだ。困ったときは助け合う。今回は若干違う気もするが」

女騎士「助け合う、か。仲間と一緒だな。私はひたすら上下関係の狭間にいたがな」

男「なら安心しろ、恋人はその仲間でもある。オレとお前は対等だよ」

男「よし……料理の書を発掘したぞ」

女騎士「なんだ、なぜそんなものが一般兵の家にある」

男「話せば長くなるから割愛しよう」

女騎士「大した事情ではなさそうだな」

男「よし……この『野菜スープ』に挑戦してみるか。材料も調理器具もそろっている」

女騎士「お、おぉ。確かにモノだけは充実しているな……」

男「全部腐らせていたものだ。野菜に至っては本当に腐るが」

女「よし、包丁は任せろ」

男「待て、それはオレの仕事だ」

女騎士「私はナイフの扱いなら長けているつもりだ」

男「いやそれは納得するが、しかしオレは料理に関しては包丁しか出来ないんだ」

女騎士「私だってそうだ」

男「恋人に危ないマネさせられる訳ないじゃないか!」

女騎士「何を言っているのか分からんが、思うにこれが一番安全な役目だと思うぞ」

男「いーからそれをよこしなさい!」ギャーギャー

女騎士「本当なのだな、女の恋人は包丁を握らないというのは!」

男「二人で調理場に立つ場合はそういうもんだよ」

女騎士「仕方ないな……おい、調理法を見せてみろ。……ふむ。なるほど。まずは水が要るようだな」

男「その調子だ。井戸なら裏口を出たすぐだよ」

女騎士「そうして水をいったん沸騰させて……ふむ……ふむ……」

男「お、おお? これは期待していいのか?」

女騎士「ま、まだやってみないと分からん。……ふむ……よし、とりあえず鍋に水を湛えよう」

男「オレは野菜洗って切っとくから!」

女騎士「うむ任せた。では――」

男「……」

男(字も淀みなく読めるようだし、苦手というより単に今まで調理する機会が無かっただけに見えるな……ん?)

女騎士「さ、さっきの紙、もう一度見せてくれ。分量を見そびれた」

男(不器用なりに健気で、それでいて若干抜けてるというのがまた可愛いなぁ……)

女騎士「おい、何をにやついてる」

男「にやついてない」

初々しいのう

男「痛っ」

女騎士「切ったか? 間抜けめ、だから私に任せておけと言ったろう」

男「恋人の台詞じゃない!」

女騎士「なら何と言うべきだ?」

男「こ、こういう時はだなぁ、『大丈夫?』って囁いて切った指を舐めてあげるもんなんだ」

女騎士「ふぅん? やってみようか」

男「い、いやいい、ホントは冗だ」

女騎士「大丈夫? ん――」

チュ チュパ

男「あうおえあわわ」

チュパ チュ チュパチュパ

女騎士「――ふぅ。これでいいのか?」

男「ま、まるで雰囲気はなかったが、ひ、非常に良かった」ドキドキ

女騎士「そうか。難しいな、恋人というのは」

男(い、今のが女の子の――)ドキドキドキドキ

女騎士「よし……ここでこの調味料を……」サッサッ

男「すごいな。まるでスープみたいな匂いじゃないか」

女騎士「私も驚いている。調理法に忠実であれば、この紙切れのスープをこれほどまでに再現できるとは」

男「なるほど悟った。オレはその紙の指示に忠実じゃなかったからうまくいかなかったのか」

女騎士「このスープは別に騎士でなくとも簡単に作り遂げられる内容だぞ」

男「馬鹿な」

女騎士「馬鹿だな。馬鹿ついでにそろそろ切り分けた野菜を頼む」

男「はいよ」

女騎士「あぁ待て、まずニンジンからだ。次にこれ、それ、その順だ」

男「す、凄いなお前。料理の才能あるんじゃないか?」

女騎士「何を言い出す。私はただ、この紙の通りに従っているだけだ」

男「いやいやそれを踏まえても、普通は初めてでここまで出来ないもんだよ」

女騎士「そ、そうか? ま、まぁまだ出来上がってもないしな……」

男(あー目を伏せて照れてる顔も可愛いなぁ……)

女騎士「出来たぞ」

男「うはーいい匂いだな!」

女騎士「注ぎ分けよう」

男「すごいな。お前本当は料理の経験あるんじゃないか?」

女騎士「阿呆なことも休み休み言え。騎士道に誓って今回初めての体験だ」

男「いやーそれにしたって……オレがこれまで何度やっても茶色と黒の中間色にしかならなかった代物を……」

女騎士「お前に料理の才が壊滅的にないというのは間違いないようだな」

男「お前、これだけやれたら……き、きっと将来、素敵なお嫁さんになれるぞ」

女騎士「そんな訳ないだろう、さぁ冷めないうちに飲むぞ」

男「ち、違うだろ! そこは『そ、そうカナ……』って照れ照れするところだろ!」

女騎士「それも恋人の作法なのか?」

男「いやもういいや……頂きます」

女騎士「……『主よ。我はその御名において、いまここに尊き糧を――』」

男「神はいないんじゃなかったのか」

女騎士「そう、神などいない。しかし祈りを捧げる騎士は確かにいる。邪魔をするな」

男「……」

女騎士「…………」

男「い、いや! でもオレが一人で作ったのより全然――」」

女騎士「こんなハズは!」ゴシカァン

男「う」

女騎士「何がいけなかった!? 調味料の量か!? 具材を入れる時機か!?」

男「落ち着け落ち着け。全部オレが平らげるから」

女騎士「これをか? 正気か?」

男「ああ、恋人と一緒に作ったスープだからな。全部腹に収めるに決まっているだろう?」

女騎士「いくら材料が勿体ないからって、自ら腹を壊すこともないだろう?」

男「恋人同士が二人して初めて作った料理だぞ? 平らげない理由なんかない」

女騎士「……あくまで『ふり』だと念を押したはずだ」

男「分かってるよ」

女騎士「……だが、恋人というものがどんな物か、いま少し分かったような気がする……」

男「そ、その調子だ」ドキドキ

男「ご馳走様でした」

女騎士「本当に空にするとは……恐れ入った。その胃腸に」

男「胃腸!?」

女騎士「しかし朝食にと作り始めたスープを飲み終えるのが昼下がりとはな。時間短縮も課題だな」

男「ノリノリだな。騎士なんかやめてコックを目指したらどうだ?」

女騎士「ふざけるな。斬るぞ」

男「斬れなかったくせに」ボソ

女騎士「おい今のは耳に障ったぞ、聞き捨てならんな。……よかろう、恋人として提案したい」

男「なんだい!?」

女騎士「一日必ず一度は私と仕合え。武の研鑽だ」

男「そ、そんなの却下! 恋人相手にそんな」

女騎士「却下を却下だ。よし、さっそく今からやるか。昼食の腹ごなしに丁度いい。行くぞ!」

男「お、おいっ」グイッ

女騎士「私が納得するまで付き合ってもらうからな!」ズルズル

男(コ、コイツの方から手を……これってもしかして初めてのことじゃ……)ドキドキ

>>260

女騎士「ん……よし。予備運動は終わった。ルールを決めようか」

男「はぁ……本当にやるのか?」

女騎士「勿論だ。身体を動かした鍛練は強壮効果を始め、経験の獲得、精神力の向上、ストレスの解消など様々な利点がある」

男「知っているよ」

女騎士「最も戦場に立つ者としては当然の日課だがな」

男「オレだって大体毎日やってるさ」

女騎士「ならば問題あるまい」

男「こ、恋人に乱暴するマネはごめんだと言ってるんだよ」

女騎士「私が強くなりたいがために望んでいるのだ。恋人とは助け合うものなのだろう?」

男「う~ん」

女騎士「それに……敗れたままというのは、戦士の血が収まらないものでな。一刻も早く返礼したくてやまないのだ」

男「……その気持ちは分かる。仕方ないな」

女騎士「決心したようだな。では構えろ! いくぞ!」

男「えっちょっルール、ルールまだ決めてない!」

男「そらっ!」

女騎士「くっ!」

男「よし一本。勝負ありだな」

女騎士「くっ……また負けたのか……」ガクッ

男「フェイントに対応できない以前に、動きが上品過ぎる。もっと柔軟な一手を選択しろよ」

女騎士「……違う。私はどんな牽制動作にも応じられるし、常に最善の一手を思考している。そうして現に今までそうやって生き残ってきた」

男「うん、確かに強い。教本通りの仕合いじゃオレは勝てないだろうな」

女騎士「? 我流ということか?」

男「というより経験の集大成だ。相手がAでくるから自分もAの対策だけで応じる。だが実戦では、そんなやり方ではペースを握れない」

女騎士「ふむ……」

男「相手がAでくるならAの対策も含めBCDEFでもって振り回すのさ。それが、自分と同じか少し上の力量の相手と当たった時の戦い方だ」

女騎士「し、しかしそんな数の対応策を実戦で即座に思いつけるはずが……」

男「だから経験を積むんだ。オレはただ経験を積むことで、ここまで強くなった」

女騎士「そうか……。お前との鍛練はとても参考になる! 私も経験を積むべく、是非これから毎日付き合ってくれ!!」

男「し、しまった」

保守thx。帰ったら頑張って打つ
しかし明日も朝早くからフル出勤なのであまり更新できそうにない。すまん
乗っ取ったり新しいの書きたい人いれば喜んで交代します。では

ここまでの流れに感動した、ありがとう
が今はちょっと休ませてくれ。あと今日はあんまり更新できんと思う……

>>285

女騎士「ハァ……ハァ……」

男「フゥ……フゥ……」

女騎士「ど、どうした、息が上がってるぞ。私はまだやれるが」

男「オ、オレはもう疲れた。オレの負けだ。特訓は終わりにしよう」

女騎士「ふ、ふざけるな! 私はまだお前から三本しか取っていないぞ!」

男「このまま続けたら次が四本目、その次が五本目になる。オレ疲れたもん」

女騎士「て、手抜きは戦士の名折れだ! いいから構えろ!」

男「もう夕刻になった。オレがまだやれたとしても頃合いだ。家まで引き上げるぞ」

女騎士「くっ……やむを得ないか……」

男「あ、そうだ。帰宅する前に水浴びで汗を流し――」

女騎士「おぉ、水場があるのか? 至れり尽くせりの環境だな」

男「……あー……」

女騎士「? どうした?」

男「どうしよう」

男「ここからあっちに五分ほど進んだところに、澄んだ小川が流れている」

女騎士「ほう」

男「川下の方に向かわなければ誰かに出くわす可能性は低い。安心して身体を流すといい」

女騎士「了解した。……ん? お前は行かないのか?」

男「オ、オレは家の井戸でいいや」

女騎士「何故だ? 二人で同じ地点に向かう方が効率的ではないのか」

男「い、いいよ、乗り気じゃない。一人で行ってくるといい」

女騎士「私一人では道のりが分からないのだが」

男「一直線だよ。子供でも間違えようがない」

女騎士「そうか? 分かった。……私としてはお前と一緒だと安心するのだが」

男「!」

女騎士「来てくれないのか?」

男「い、いや……いい。お前だけで行くといいさ」

女騎士「そうか。断る理由も思い付かんが……まぁいい。じゃあな。後で家に戻る」

男「お、おぉ。また後でな。……………………うーん……」

小川――

女騎士「ふぅ……生き返るな」チャパチャパ

女騎士「なんと澄み切った冷水なのだ。汚れもろとも疲労が削ぎ落とされるようだ……」チャプ…

女騎士(あの男も共に来れば良かったものを。何を遠慮したのか皆目見当がつかん)チャプ チャプ

女騎士(……奴は何者なのだ。あの身のこなし、剣捌き、読みの深さ。相当の手練だ。とても前線で現れる兵卒とは思えん)

女騎士(私も少しは名の知れた使い手だったはず。これまで前線に立ってきたのは常に武功をあげ続けんがため)

女騎士(敵地の深部ならまだしもだ。あんな境界僻地の前哨戦であれほどの猛者と相対することになるなど――埒外にもほどがある)

女騎士(あの男……間違いなくただ者ではなかろう。これは何かある……)チャプン…



男宅井戸――

男「オレは馬鹿なのか? 賢明なのか? 最悪、ヘタレているだけなのか?」バシャー ガコンガコン

男(恥という概念を教えるべきだったか? 裸を意識させるべきだったか?)バシャー

男(まだ様子を見て正解だったか? 恋人としてあの娘の裸を目視すべきだったか? 水のかけっこしたりして幸せを満喫すべきだったか?)バシャー
男(今日の選択肢は永遠の難題の一つとして人生に刻みこまれるだろう……)ガコンガコン

男「へくちゅん!! ? ?」バシャー

女騎士「戻ったぞ」

男「お帰…… !」

女騎士「どうした?」

男「い、いや」

男(か、髪が瑞々しく垂れてて……別人のように可愛いくなってる……)

女騎士「?」

男「あ、いや。どうだった?」

女騎士「素晴らしい心地だった。この近辺の自然はどこまでも豊かだな」

男「あぁ、いいところだろう。地形が理想的なんだ。総合的な循環バランスも一定に保たれている」

女騎士「? ?」

男「いや、悪かった。さて、もう日が暮れるが……何かしたいことはあるか?」

女騎士「特には。何かするつもりなのか?」

男「町に下りてみないか?」

女騎士「町に?」

男「そ、そうだ。二人で、町に」

女騎士「し、しかし、我々は……」

男「まぁまずは地図を見てみろ」バサッ

女騎士「ふむ。東が私の軍の領地で、西がお前のそれだな。すでに頭に刷り込んだ図だ」

男「以前話したように、この家の位置は境界線上にある。――ここだ」

女騎士「なっ……こんな南端に……」

男「これから向かうつもりの町はココだ。僅かにオレのとこの領地だが、ほとんど戦火に無縁の田舎町だ。いい所だよ」

女騎士(……最後に記憶した限りでは、この男と初めて遭遇したのはもっと北の中央地点……そこから私をこの家まで運んできたというのか……?)

男「おい、聞いているのか?」

女騎士「……お前の話は本当なのだろうな? この地図をデタラメに指さしているのではないだろうな?」

男「あムカ。それならこの地図に書いてある町の名を憶えてろよ。すぐに一致するから」

女騎士「すぐに……ニ時間ほどか? この地図とお前の言い分が正しければ」

男「裏道抜け道を駆使すれば半時間だ」

女騎士「ふっ、聞けば聞くほどマユツバものだな。だが面白い、付き合ってやろう」

男「そ、そう来なくてはな!」

女騎士「なぜ声が上擦る?」

女騎士「ふっ…・・・ふざゲホッゲホッ……ふざけるな!あんなの道ではない!」

男「えー「えーではない!あんなもの獣道ですらないではないか!」」

男「でも半時間でついたろ?」

女騎士「確かに時間はな……だが、私は危うく谷底に落ちるところだったぞ」

男「ちゃんと助けたじゃないか」

女騎士「それにっ!イカダごと滝壺に落ちるところだったではないか!」

男「あー、あそこ実は10メートルほど潜ると抜け穴あってもっと早く着いたんだがな」

女騎士「死んでしまうわ!それにあんな蛇の巣の只中を進むとは思わなかったぞ……ウゥッ」

男「ちゃんと蛇避けの薬草渡したじゃないか」

女騎士「ふざけるなっっっ!大体お前は私に恋人の振りをしてくれと言っていたが、普通の女はああいった物を好まないのではないかっ?!」

男「ごめんなさい」







・・・早く>>10帰って来ないかな

>>374

女騎士「支度を整えよう」

男「あ、待て。剣は護身用に持参していいけど、鎧は置いていくんだ」

女騎士「なぜだ? 武装は充実しているに越したことはないだろう?」

男「……過度な武装は町民の警戒心を煽ってしまうだろう? それに仮にも敵の領土に踏み込むなら目立たない方がいい」

女騎士「なるほどもっともな意見だな」

男「――準備は整った? よし出発しよう」

女騎士「ところでその町まで何をしに行くのだ? 目的は?」

男「主に買い出し。あ、あと、デー……」

女騎士「……?」

男「あとで! 何か買ってあげてもいいかなとか思ったりしてな……」モニョモニョ

女騎士「そうか、ありがたい。今は特に思い付かないが」

男「そ、それじゃ行くぞ、こっちだ!」

女騎士「おい待て、急ぐならそう言え」

男(可愛い女の子とデート! デート!!)ドキドキ

女騎士「さすがに際どい道ばかりだな」

男「そりゃ最短経路だからな」

女騎士「……もう夕暮れか。そういえばなぜわざわざ今の時間を選ぶんだ? 明るい昼間のうちに出かけた方が帰りは困らなかったのではないか?」

男「あの町は夕方から初夜にかけてが一番賑わうんだよ。木こりやら炭鉱夫やらが仕事場から帰ってくるからな」

女騎士「賑わっているのが問題なのか?」

男「人が多い方がより目立たなくていいだろう?」

女騎士「まぁ確かに」

男「それに活気に溢れていた方が断然楽しいし」

女騎士「たかが買い出しに楽しさを求めるのか?」

男「た、たかがって……ま、まぁなぁ」

女騎士「やはり変わった男だな、お前は」

男「い、いや、これは普通だと思うぞ」

女騎士「そうなのか? 私には理解できない境地だが」

男「こ、恋人と一緒にお買い物するときは誰でもそうなるんだよっ」

女騎士「ふぅん?」

女騎士「・・・・?どうした男?もっと動いていいんだぞ」

男「いや・・・あの・・・もう出しちまった・・・」

女騎士「もう出したのか?これまで私が相手にしてきた男たちはもっと長かったが」

男「悪かったな、早漏で・・・」

女騎士「まあ私は楽だからいいんだがな。それにしても、チンコは小さいし、出すのは早いし、やはり男は変わった奴だ」

男「・・・・・・・グスン」

こんエロシーンしか想像できない

保守時間目安 (休日用)

00:00-02:00 40分以内                   __
02:00-04:00 90分以内            _□.--‐<´ヽ`、
04:00-09:00 180分以内         ,.-"`: :.|___\  ヽ、_ノ
09:00-16:00 80分以内         /: : : :,ヽ、\/l`ヽ、  \
16:00-19:00 60分以内         /::/: :〆、 ,×l/:l : l : ̄ヘ<
19:00-00:00 30分以内       |/|: :/●  ●|_!_l_l=:-:‐i´

                  .,-、  |: :|@   @|::|=|: : : : l
保守時間の目安 (平日用)  ;|!:::::::`ヽ、|!_ ⌒  _/:/ : : : : : l
00:00-02:00 60分以内    |!:::::::::::::::::∥r:‐t-t//::ヽ, : : : : : l

02:00-04:00 120分以内     ヾー──'‐(::|×|:::ト==l: : : : : : l
04:00-09:00 210分以内       ./: : : : :ノ:|×|:::|:::::::|: : : :l : : l
09:00-16:00 120分以内      /: :/: : :._}=ェ==|:::::::::ゝ、: :l : : :l

16:00-19:00 60分以内      /: :/|:.__/:::/:/:/ヘ|:::::::::::ノ: : l: : : l
19:00-00:00 30分以内.     /: :/,|/_/_/_/_/∧_l_lエ´ヘ、:l l: : : l
                  /: :/ゝ、/_/_/_/_/_l_l_ヘ_ヘ_ヘ,.ゝl : : :|
                   ̄      .|:×|:×|      ̄ ̄
                         .ヽ_人_ノ

>>461
それ間違ってるよ
2ちゃんねるに休日も平日もない

>>246
知ってるけどこのAA使いたかっただけ
なんか怒ってるようにも見えるじゃん

>>246>>462
なんか安価が全然違ったぜ
酔ってるのか

>>406

女騎士「ところでその雑嚢には何が入っているのだ」

男「これ? 旅人七ツ道具と、その他大事なものいくつか」

女騎士「大事なもの?」

男「そう。その気になれば国が動くような代物だ」

女騎士「ほう。是非拝見したい」

男「真に受けるなよ」

女騎士「お前は色々と変わっているから、そんなもの一つや二つ持っていても不思議ではない……キャッ」

男「『キャッ』!?」

女騎士「す、済まない。足を踏み外しただけだ」

男「お、お前いまの声……」

女騎士「流せ。無論故意に出した声ではない」

男「い、今の『キャッ』の声域で喋れるか!?」

女騎士「な、なんだ急に。喋る訳なかろう、馬鹿者め」

男(こいつあんな嬌声出せたんだ……神様ありがとう!)

男「見えてきた。ほらあそこ」

女騎士「おぉ、あれが例の町か。うむ、なにやら風の匂いに人気が混じり始めたな」

男「もうすぐ着くよ。な! 言った通り半時間で着いただろ?」

女騎士「まだ町の名は確認してないがな」

男「屁理屈こねるなよ」

女騎士「無理屈で鵜呑みにするより安全だ」

男「ショック、まだ信用ないのか。少なくとも恋人のうちはお前に嘘をついたりしないよ」

女騎士「恋人の『フリ』だ。大事な部分を省くな」

男「じゃ、じゃあ。ど、どうしたら本当の恋人になってくれるんだ? くれるんですか?」

女騎士「急に敬語になるな気色悪い。お、立て札。町まであと少しだな」

男「は、はぐらかすなよ! どうしたらお前はオレの」

女騎士「誰でも良かったんだろう? フリなら。それで突然本当の恋人だとか、調子が良すぎやしないか?」

男「あ……いや……その……」

女騎士「……まぁ、その、安心しろ、しばらくの間は恋人でいてやるから。ほら、行くぞ」

男「な、なぁ。それじゃせめて……手を繋がないか」

女騎士「手を? ああ、恋人同士の基本だったな」

男「……」

女騎士「おい、痛いぞ。私と握力を比べたいのか?」

男「あ、いや、ごめんな」

女騎士「大体互いを確かめ合うといっても、これにはそれほど意味があるのか? 単に動き辛いだけだろう?」

男「……」

女騎士「? どうした。お前らしくないな」

男「! ――そうだな。オレらしくないよな」

男「初めてだからとか、要領が分からないからとか、そんなんで塞ぎこんでちゃ世話ないよな!」

女騎士「そうだ。何のことか知らんが」

男「ありがとう! オレ頑張るから!」

女「おい急に引っ張るな、手が痛――くない……」

男「よーしなんか元気出てきた! ありがとうな!!」

女騎士(おかしな奴……ん? そういえばいつの間にか手を繋ぐのには抵抗なくなっているな)

町・市場――

女騎士「おぉ、賑やかだな! 日の入りだというのに活気に溢れ返っている!」

男「は、はぐれないようにな」ギュ…

女騎士「うむ」キュッ

男(お、おお? 握り返してきた!?)ドキドキ

女騎士「いやしかし、正直ここまで活気付いてるとは思わなかった。とても同じ空の下で剣戟が起こっているとは思えないな」

男「でもないけどな」

女騎士「ん? いま」

男「お、さすが鋭い。おい」グイッ

浮浪者「うげっ」

男「お互い時間を無駄にしたくない。黙って返してくれ」

浮浪者「…………ちっ……」ポイッ

男「おっと。な? 飛躍した言い方になるが、戦争の影響は少なからずある」

女騎士「なぜ逃がした。奴は軍規に当てれば極刑ものだぞ」

男「未遂で終わったんだし許してやろうぜ。それに些細なことでも目立ちたくないからな……」

男「まずは……と。ここだ」

女騎士「……仕立屋? 何の用があるのだ?」

男「お前の服をあつらえるに決まっているだろう」

女騎士「なっ。不要だそんな物。金があるならもっと有意義なことに使え」

男「金ならある。それに今のお前には必要な物だ。いつまでもそんな男物の地味な服じゃ……その……」

女騎士「なんだ」

男「オ、オレの替えの服が使えなくなるからな! ここは辛抱してくれ」

女騎士「……鎧を持ち込ませなかったのは、さては最初からそういう意図だったか」

男「ま、まぁ、うん」

女騎士「これも恋人としての役割なのか?」

男「そ、その通りだっ」

女騎士「はぁ。仕方ないな」

男「そ、そう来なくちゃな!」

女騎士(し、仕立屋か……初めて入るな……)ドキドキ

男(本命はメイド服……最低でもスカートは……)モンモン

カランカラン

店主「いらっしゃいませぇー♪」

男「こんにちは。早速だけどこの娘の仕立てを頼みます」

女騎士「う、うむ。よろしく頼む」

店主「あらあら! こ~んな可愛い女の子に男の子の服なんて着せちゃダメじゃないですか~」

女騎士「いや私は別に」

男「だろう? では、こほん。メイド服のような感じで頼む」

店主「はいは~い♪」

女騎士「寝言を。却下。店主。却下だ。さもなくば帰る」

店主&男「えぇーっ」

女騎士「普通の仕立てでいい。動きやすい服を頼む」

店主「はいはい承りました~♪ それじゃカレ、ちょっとその辺ぶらついてて。す~ぐに終わるから」ハァト

男「分かった。じゃあまた後でな」

女騎士「ああ」

男(店主……あの店主ならきっと『動きやすい服』の意味を分かってくれるはず……!!)

>>515

表通り――

男(……今のうちに情報収集でもしておこうかな)

男(BERに行きたいとこだけど、ここは絶対に離れるわけにはいかないし――)

男(ん。ちょうどいい、あの旅人なんて良さそうだな)

男「――もし。そこの旅人」

旅人「? なんだ」

男「ちょっと立ち話に付き合って欲しい」ピンッ

旅人「! ……何のつもりだ。こんな金があるなら酒場にでも行け」ズイッ

男「おっと押し返すのか、物好きだな。今のご時勢なら黙って逃げても不思議じゃないが」

旅人「物好きはお前だろう。そりゃ貰えるものなら欲しいが、大した情報は持ってないぞ」

男「だったらオレの目利きが外れてたってことだ。その金はどの道くれてやるよ」

旅人「……何者だ? お前は」

男「答えるのはそっちだ。もう支払いは済ませたからな」

旅人「……よかろう。何が聞きたい?」

――カランカラン

女騎士「待たせたな」

男「おお、待って……た……」

男(上下つながるワンピース型ながらスカートが股まで短い!? しかも鎖骨もちょっと肌蹴けすぎてないか!?)

女騎士「私が店主に頼んでもらって短くしてもらった。これだとそのまま上から武装できるしな」

男(フードも似合ってるし……肩口も下手に膨らんでない簡素な仕上がりで……うお! ニーソまで!!)

女騎士「あまりジロジロみるな、落ち着かん。で、どうだ? 少しはサマになっているか?」

男「あ……ああ、最高だ! 見違えたよ! よく似合ってる!」ドキドキ

女騎士「そ、そうか? こんな格好はしたことがないが、そう言われて悪い気はしないな」

男「ただちょっと最高すぎて心配になってきた。これじゃ一気に注目の的だ」

女騎士「? なぜだ。この街中では珍しくもない格好にみえるが」

男「い、いや。お前の場合は……その……元がいいから……」

女騎士「もと? 元がいいとはどういうことだ?」

男「あいや、その……その……」

店主「はぁ……恋人同士ならではのこのやり取り、いつ見てもたまんないわ……。あ! お客さんお金お金!!」

町・市場通り――

女騎士「……なぁ。なぜか道行く人々の視線が刺さるのだが」

男「や、やっぱりそうか?」

女騎士「……まさか私が敵兵だということに勘付かれているのではないだろうな?」ヒソヒソ

男「い、いや。それはないと思うが――」ヒソヒソ

女騎士「ほら、まただ。一気に三人の男に見られた。服を変えてから明らかに変だぞ……」

男「……手」

女騎士「? ああ」キュッ

男「……」ギュウッ

女騎士「だ、だからそう固く握る必要はないだろう? 加減しろ」

男「あ、ああ悪い……」

女騎士「おい、お前も何か変だぞ? どういうことか説明しろ」

男「……リビドーと独占欲からなる極めて原始的な本能行動」

女騎士「? なんだ、もっと分かりやすく言え」

男「なんでもない」ドキドキドキドキドキドキ

はやくこんなスレ落とせよクズ
勝手に乗っ取っていつまでも居座ってんじゃねーぞ荒らすぞ

パン屋――

娘「いらっしゃいませ! あ、お兄さん久しぶり!」

男「やぁ。今日も繁盛してるみたいだね」

娘「お陰様でねっ! ……あれ? お兄さん、戦争、もう終わったんだっけ?」

男「終わってないけど、ちょっと今は休暇というか」

娘「そうなんだ! じゃあゆっくり見てってよ! 新作もあるよ!」

女騎士「おい、お前はここの常連なのか?」

男「この町に来るときは必ず寄ってるパン屋だよ」

娘「! お兄さん、そちらの綺麗な方は?」

男「え? ああ、彼女は……その……」

女騎士「初めまして。この男の恋人のフリをさせてもらっている」

娘「フ、フリ? そ、そうなんだ。なんだか深い事情がありそうですね」

女騎士「その通り。決して誰にも漏らす訳にはいかない、内密な事情があるのだ」

娘「ふぅん……そ、そうなんだ……ア、アハハ……」

男「おい! なんとなく誤解を招くような言い方はやめろ!!」

>>608
本物? 基本的に乗っ取りで書くときはスレ主の意向に従うけど……

すみません、こんな流れなので打ち切ります
本文は全てコピったので、まとまったら製作速報VIPで新スレ立てます

正直、忙しい中空いた時間に即席執筆で投下するのも大変だった
やっぱり、だらだら長引かせるなら安易に乗っ取りなんてするんじゃなかった
これまで支援保守してくださった方々、ごめんなさい。ありがとう

むしろ政策VIpは知らないけどパー即とか保守いらないところにスレだけ今のうちに立てて誘導しておけば迷子が出ないんじゃね

>>633
了解。今からちょっとスレ立ててくる

立てたよ

【製作速報VIP(クリエイター)@VIPService】
女騎士「さあ、殺せ!!」

今度こそこのスレから退散。また縁があって気が向いたらよろしく
重ねてありがとうね。では

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