妹「学校に行きたくないのです」(1000)

兄「理由を述べよ」

妹「いじめられるから行きたくにゃーのです」

兄「……」

妹「……」

兄「えっと、何故お前はいじめられるんだろうか?」

妹「私が可愛すぎるからだと思うのです。クラスのメスブタどもに嫉妬されるのです」

兄「うん、絶対その性格のせいだよな。自覚しような」

妹「というわけで兄の人、今日は一緒にゲームをして過ごしましょう」

兄「朝っぱらから異次元な発言をしないでくれ。これから出勤だ」

妹「兄の人は会社の犬ですか。社畜ですか」

兄「お前が毎日やってるゲームを買う金はその社畜が稼いでいるわけだが」

妹「はい、生活費もそうですし、ネット代とか携帯代もそうですな」

兄「わかってるなら自らのライフラインを断つような発言は慎んでくれ」

妹「そんな酷い! 友達がいなくても携帯を持ってたっていいじゃないですか!」

兄「誰もそんなことは言ってねえ」

妹「……言わなくても思ってると推察しました」

兄「お前のその旺盛な被害者意識はどこで育まれたんだろうな」

妹「……美貌?」

兄「これ以上お前と話していると働きに出るのが辛くなるのでもう行くな」

兄「ただいまー、今帰ったぞ」

妹「うむ、今日も安い賃金でこき使われてご苦労様です」

兄「……」

妹「……」

兄「ごめんなさいは?」

妹「はい、すみません。ごめんなさい。謝るからこの首にかけた手を離してください。死にます」

兄「うん、わかればいいんだ。俺も人間だからついカッとなることもある。気をつけてくれ」

妹「はひ……」

妹「ところで兄の人、今晩のご飯はなんですか?」

兄「あー、なんかどっと疲れたし、レトルトで済ませたい気分だな」

妹「……ロリコン?」

兄「何故そうなる」

妹「いや、私のスレンダーな身体を維持したくて食の偏りを意図しているのかと」

兄「……」

妹「……なぜそんな憐れみを込めた視線を私に向けるのです? 主に胸のあたりに」

兄「そうだよな、お前育ち盛りだもんな。ちゃんと肉野菜炒めくらいは作ることにするな」

妹「なぜでしょう。兄の優しさが痛いです。って言うか屈辱」

妹「お粗末さまでした」

兄「違うだろ、ごちそうさまだろ、お前が言うべき台詞は」

妹「いや、仕事で疲れている兄の分まで喋ってあげようかなと思いまして。思いました」

兄「いらん気遣いの典型だな」

妹「この世にいらないものなんてないってどこかの誰かが言いそうです」

兄「微妙に同意しかねる命題だな」

妹「……あれ、もしかして私っていらない子ですか? 家にも居場所がなかったりします?」

兄「あ、いや、そういうわけじゃ……」

妹「しょぼん……」

兄「あー、すまん、そういうつもりじゃなかったんだ」

妹「……お風呂沸かしてきます」

兄「あー……」

風呂場

兄「あー、さっきは言いすぎたかなあ……」

妹「ですねえ」

兄「そうだよなあ……あいつの嫌がらせに近い暴言って不器用な甘えなんだよなあ……」

妹「そうです。彼女には甘えられる人が兄しかいないのです。
  ゆえに細心の注意を払って接するべきだと思うのです」

兄「やっぱりそうかあ……って、おい」

妹「はい?」

兄「なぜお前がここにいる」

妹「いえ、仲直りに兄の背中をお流ししようかなと」

兄「……」

妹「バスタオルを巻いているとはいえ、プリチーなボディに欲情します?」

兄「……凶作だよなあ」

妹「人の胸を見てその表現は酷いと思うの」

ブオーン

妹「あ~、人に髪を乾かしてもらうって気持ちいいですな~」

兄「そういうもんかねえ」

妹「そういうものです。兄の人に髪を撫ぜられたりわしゃわしゃされたりするの好きです」

兄「ふーん。まあ俺も床屋でおっちゃんに髪洗われるのすっきりするし、そんなもんかもな」

妹「少し違うのですが、まあ良いです」

兄「ところでお前は床屋にいかんのか。髪が腰を通り越して尻まで届きそうな勢いなんだが」

妹「じわじわと殺す気ならいまここで楽にして欲しいです」

兄「そこまで床屋嫌いか。どんだけ社会不適応者なんだお前は」

妹「えっと、ほら、私の髪は兄さん以外に触って欲しくないっていう可愛い妹心だと思えば!」

兄「そういえばお前、最近まったく外に出ないけど、買い物とかどうしてるんだ?」

妹「今は生理用品すらネット通販で買えるのです」

兄「……」

妹「なんか髪を乾かす手つきが優しくなったですよ?」

兄「なんとかしないとなあ、いい加減」

妹「というわけでおやすみなさいなのです。でした」

兄「ああ、せっかく睡眠サイクルが正常化してるんだ、維持しような」

妹「むう、それはゲームの発売日と連動して乱れるので難しいです」

兄「……」

妹「ごめんなさい、なんか普通に悲しそうな顔をされると罪悪感が凄まじいです」

兄「責めてるつもりも急かすつもりもないんだけど、兄としては色々と心が痛い」

兄「じゃ、行ってくるな……」

妹「はい、今日も一日可愛い私の為に頑張ってください」

兄「……おー」

妹「兄、テンション低いです」

兄「んー……なんか今朝はどうも頭が重くてなあ……」

妹「……大丈夫ですか?」

兄「うーん、たぶん……」

妹「今兄さんに倒れられたら、私の今後のゲームライフはどうなるんです!」

兄「あー、怒る気力も湧かない」

妹「……えっと、もしかして本気で危険ですか?」

兄「んー……いや、なんか昨日色々と考えてたらあんまり寝れなかったからだと思う、大丈夫だ」

――それが兄の最後の言葉になるとは、この時の私はこれっぽっちも思っていませんでした






兄「うん、勝手に殺さないでくれな」

兄「うー……」

妹「というわけで、その後、帰宅した兄は見事にダウンしてしまったのでした」

兄「むー……」

妹「幸い明日から土日で会社は休みです。
  この二日で兄の失われた活力を取り戻したいと思います」

兄「そう思うなら部屋から出て行こうな。ただの心労と過労だ、寝かせてくれ」

妹「添い寝はいりませんか?」

兄「いらん」

妹「でも、風邪をひいた時って誰かに側にいて欲しくなりませんか?」

兄「風邪じゃない」

妹「なるほど、うっかり欲情してしまうと倫理的にまずいと」

兄「不毛の大地に喜ぶ農耕民族はいない」

妹「人の胸を大地に喩える雄大さは良いのですが、不毛って……」

兄「いいから寝かせてくれ……」

妹「というわけで土曜日です。兄の体の調子はどうなったでしょうか?」

兄「なあ、そのアナウンスは誰に向けたものなんだ?」

妹「や、なんか気分を出そうかな、と」

兄「朝っぱらからそんなもんはいらん。ってかどんな気分を出す気だお前は」

妹「……やっぱり桃色な?」

兄「なあ、最近お前やけにそっち方面のノリに傾いてるけど何かあったのか?」

妹「いえ、最近エロゲの世界に足を踏み入れてしまいまして……」

兄「……倒れるまで働いて稼いだ金がそんなものに使われているかと思うと俺辛い」

妹「で、でも私が終わったらちゃんと兄の人の夜のお供として活用できるじゃないですかー」

兄「ねーよ」

妹「ですよね……兄はお姉さん属性の巨乳好きですもんね……」

兄「……何故それをお前が知っている?」

姉「ブラウザの履歴はちゃんと消した方がいいですよ?」

兄「いくら兄妹とはいえプライバシーってもんがあると思う」

妹「というわけで今日の食事は私が作ろうと思います」

兄「…・・・不安だ」

妹「ささ、兄の人はお布団で待っていてください」

兄「不安だ……」

妹「三点リーダのつける場所を変えたことに何か深い意味があるのでしょうか?」

兄「お前が何を言っているのかよくわからないが、たぶんそれだけ不安なんだと思う」

妹「失礼です。私の料理の腕は戦闘後の体力回復すらこなせる粋に達しているというのに!」

兄「どこのヴァーチャルな世界での話だ、それは」

妹「テイルズは乱発しすぎですよね」

兄「……ソニックの相棒?」

妹「そういでば兄は瀬川でしたね、迂闊でした」

兄「すまん、もうお前が何を言っているのか兄さんさっぱりわからない」

妹「というわけで出来ました。おかゆです。どうぞどうぞたーんとお食べやすです」

兄「……ふむ、見た目はまともなだ。匂いも……まともだな」

妹「当然です。ここで紫色の物体とか出すほど私はベタな妹ではないのです」

兄「なんだかよくわからんが、じゃあ頂くぞ」

妹「ノンノン、兄は作法というものがわかっていません」

兄「ああ?」

妹「ここは当然あれですよ、『あ~ん』ですよ」

兄「……」

妹「……なぜ兄は私を絶滅の危機に瀕している小動物を見るような目で?」

兄「そうだよなあ、もう中学二年生だもんなあ、お前も恋とかしたいよなあ……」

妹「そんなしみじみと憐れまれるとそれはそれで辛い」

兄「なあ、真面目な話、お前は恋人はともかく、友達とか欲しくないのか?」

妹「友達なんて嘘っぱちです。あんなのごっこ遊びか保身かのニ択ですよ」

兄「思いっきり偏った認識だな」

妹「私が信じられるのは兄の人だけです」

兄「う~ん……」

妹「……兄さんは私のことが嫌いですか? 可愛いと思ってくれないのですか?」

兄「いや、可愛いことは可愛いんだが、どうも最近お前との温度差と言うかなんと言うか……」

妹「肉親の情であって、肉欲は湧かない、と」

兄「中二の台詞じゃないな、それ」

妹「触手とかは高度すぎて理解不能ですが、血縁の壁を越える背徳感はありだと思う」

兄「ああああほんとお前はエロゲなんてもんに手を出した上に見事に感化されやがって……」

妹「愛なんて支配欲のラベルを変えただけですよね」

兄「再教育が必要だと言うことはわかった」

妹「さて兄、日曜日ですが、体調はいかがでしょーか」

兄「ん、昨日よく寝たせいか、大丈夫っぽいな」

妹「……よかったです」

ぎゅ

兄「おい、ひっつくな、大げさだ」

妹「ああ……兄さんの胸、温かいです……ハァハァ……」

兄「だあああああああああああああああああ発情すんな!!」

妹「一緒に倫理を超越して悦楽に溺れましょうず」

兄「わけのわからない語尾をつけてわけのわからないことを言うなあああ!」

妹「兄さんはSM属性の持ち主でしたか」

兄「いや、そんな不穏な属性は保持していないな」

妹「ではなぜ私は縛られているのでしょう?」

兄「色々と危険を感じてな。止むを得ない処置だ」

妹「ちょっとしたジョークじゃないですか」

兄「お前、本気で発情してだろ」

妹「えっと、そりゃ確かにちょっとはお股がジュンとしましたが、でもまだ生えてないですし」

兄「あー、近所に精神科あったかな……」

妹「ごめんなさい、嘘です、謝ります。
  だから怖いことを言いながらタウンページをめくるのはやめてください」

兄「なあ、お前も年頃だし、性に興味を持つのは健全だとは思うんだよ」

妹「はい」

兄「でもな? 対象が肉親の俺ってのは不健全なんだよ」

妹「ですね」

兄「だろ? わかってるなら……」

妹「わかった上で突き進むから背徳感という快楽が得られるわけでして」

兄「……」

妹「あう、その本気で辛そうな悲しい顔は私としても結構堪えるものがあるのですが、
  しかしそこがまた何か私のなかのいけない悦びに火をつけると言うかなんと言うか……」

兄「俺また倒れそう」

兄「というわけで、俺はお前に欲情しないし、お前の欲情も一時的な気の迷いなんだよ」

妹「大抵の感情は気の迷いと言えるので、気の迷い大いに結構なのです」

兄「あー、どう言えばわかってくれるのかな……
  なんと言うか、今お前の周りに異性が俺しかいないから……」

妹「それはそうかもしれないです」

兄「だろ? だからまた学校にでも行けば、きっと良い男が見つかると思うんだよ」

妹「いえ、それはないです。ありえにゃーです」

兄「なんで?」

妹「第一に私が学校に行くことはありえにゃーのです!」

兄「嫌なことを力強く宣言するなよ……」

妹「第二に中学校の男連中なんて、子供過ぎて私は魅力まったく感じないわけで」

兄「あー……」

妹「あいつら、私が可愛いからって下心丸出しで擦り寄ってくるか、照れて攻撃的になるかのニ択でうざいのです」

兄「……まあ、お前は容姿だけはいいからなあ」

妹「とか言いつつ私の胸を残念そうに見つめる兄はどんだけ巨乳が好きなのかと言いたい」

妹「って言うか私の優れた部分は容姿だけではないわけでして」

兄「他に何があるのかと」

妹「ゲーム上手いです!」

兄「……」

妹「はい、自分でも言っててちょっと虚しいです」

兄「うん、わかってるならいいんだ」

妹「ネトゲ上の価値観って、家族に通じないのが悲しい」

兄「それを悲しいとお前が思うことが俺は悲しいよ」

ちゃりらりららら~

妹(ビクッ

兄「ん、電話か。ってか電話とかチャイムに過剰反応する症状が悪化してるなお前は……」

妹「いいから早く出てください。社会からの圧迫を感じて辛いです」

兄「ったく……はい、もしもし?」

??「あ、初めまして。私、このたび妹ちゃんの副担任になりました女と申します」

兄「はあ……」

妹「??」

妹「いーやーでーすー!」

兄「いや、でもなあ……」

妹「新しかろうと古かろうと教師になんて会いたくにゃーのです!」

兄「うーん、でももうオッケー出しちゃったしなあ……」

妹「って言うか休日に電話してきてその日のうちに来るとか非常識です! 迷惑です!」

兄「いや、まあ平日だと俺いないし、話の流れ的に……」

妹「兄さんは裏切り者です! 酷いです!」

兄「う、う~ん……」

妹「私のプライベートエリアに社会からの使者が来るのは耐えられないです!
  サンクチュアリが奪われるです! パレスチナ人の気分です……」

兄(困った……)

兄「と、言うわけで妹は部屋に閉じこもってしまいまして……」

女「……やっぱり急すぎたでしょうか?」

兄「いえ、急でも急じゃなくても反応は同じだと思います。
  すみません、わざわざご足労頂いたのに……」

女「いえ! こちらから無理にお願いしたことですし……」

兄「どうしましょう、縛るなり布団で簀巻きにするなりすれば連れて来られると思いますが」

女「そ、それはさすがにちょっと……」

兄「そうですか、でも妹に会えないとわざわざ来てもらった意味が……」

女「あ、いえ、そこは前任から聞いておりましたので、今日はお兄様とお話ができればと思いまして」

兄「はあ、まあ一応保護者ですからね、俺」

女「ご両親のことはお聞きしました、なんと申し上げて良いのか……」

兄「あー、まあ昔のことですし、俺も妹もそのへんは大丈夫ですよ。
  妹は小さすぎて両親の記憶自体ほぼないですし、俺ももう大人ですから」

 親父とお袋は、俺がまだ妹くらいの頃、旅先の外国で強盗に遭って殺されてしまった。
 保険金と幾許かの遺産のおかげで俺が社会に出るまでの生活費や学費には事足りたが
当然それなりに大変だった。妹はまだ赤子も同然だったし、俺も何の力もない子供だったからだ。

 でも、それらの出来事について振り返って考えることはほとんどない。
 妹の為に自分をしっかりと保つことでこれまで精一杯だったし、それは今も変わらないからだ。
 事件の後、俺が大学に入るまでこの家に来て一緒に暮らしてくれた父方の叔母は後にこう言った。

 ――兄くんは妹ちゃんのおかげで立ってられたのかもしれないわねー

 俺もそう思う。自分より弱い存在があったから俺はそれなりに強くいられたのだと思う。
 そういう意味で俺は妹に感謝している。

 ……でも、最近はこうも思う。妹は弱いままでいいのか? と。

男「……そんなわけで、今すぐ無理に学校に行かせる気もないですが、
  妹の今後については悩んでいます」

女「なるほど……でも中学校は義務教育ですから……」

男「そうですね、権利なのか義務なのかは俺にはよくわかりませんが、
  『普通なら』行くのが当然のことですよね」

女「えっと……確かに妹ちゃんの心の傷は……」

男「べつに妹が『普通じゃない』と言っているわけじゃないんです。
  生い立ちのことを引き合いに出す気もありません。
  『妹の今』に何が関係があって、何が無関係なのかは俺にはわかりません」

女「……」

男「ただ、妹にとって――妹の個性にとって、学校の環境は明らかに合っていません。
  これは学校が悪いとか妹が悪いとかの責任の所在についてでなく、ただの事実です」

女「それは確かにそうかもしれません。
  でも、そうやって合わないからと言って何もかもを避けていては、妹ちゃんは……」

男「そうですね。もちろん何もかもから逃げていては、人は生きていけないですよね」

女「はい」

男「でも、それは程度の問題だと思います」

男と兄まちがえたーよ。ここは家っす。支援してくれる人ありがとー

兄「理由や原因のことは考えずに、妹の今の個性について、俺の見解を述べて良いですか?」

女「あ、はい」

兄「まず、妹は奇麗すぎます。この認識は間違っていますか?」

女「えっと、いえ、写真を見ましたが、とても奇麗な子だと思います。
  近寄りがたいくらいと言ってもいいくらいに」

兄「ですよね。でも、そんな特別な外見に妹自身が上手く適応できていないんです」

女「……」

兄「話を聞く限り、それは妹だけじゃないみたいですけどね。
 クラスメイト達も妹の容貌を持て余していると言うか、
 どう向き合えば良いのか戸惑いがあったのでしょう」

女「その、ようですね……・」

兄「はい、本人と担任の先生から聞いたところによると、
 直接的ではないですがかなり陰湿で遠巻きな嫌がらせがあったみたいですね」

女「はい……」

兄「でも薄情かもしれないですが、俺はこのことで学校の子達を責める気はあまりないんです」

女「??」

兄「妹本人が持て余しているものを、周囲の子供が受け入れるのはなかなか難しいでしょう。
  まずは妹が自分に具わった個性を受け入れ、それに慣れる必要があると思います」

女「そうかも……しれません」

兄「はい、腕っ節強い男の子が自分の力を理解して加減を覚え、無自覚な威圧を避けるように、
  妹も自分の容貌を踏まえた上で姿勢を作らなければならないんです」

女「なるほど」

兄「ただ、妹はまだそういった対外的な配慮ができるほど精神的に大人ではありません。
  これは俺の接し方にも問題があったのだと思いますが、基本的に甘えたがりです。
  しかも甘え方が下手糞で、慣れない人はなんて生意気で失礼な子供かとびっくりします」

女「えっと……」

兄「いいんです、本当のことですから。妹の問題点は、容貌について無自覚なのに、
  容貌を鼻にかけた傲慢な人間だと想われてしまう所だと俺は思っています」

女「すると……」

兄「はい、自覚が先か、内面の進歩が先かはわかりませんが、妹は前に進まなければいけません。
  でも、その為にどうすればいいのか俺にはわかりません。女さんにはわかりますか?」

女「それは……」

兄「……と、言うわけです。今のところ、彼女の周りの大人、誰にもわからない。
  だから俺は無理に状況を動かす気にはなれません。
  妹の自然な成長を見守るしかできないわけです」

コンコン

兄「……おーい、先生帰ったぞ」

妹「……」

兄「寝てるのか?」

妹「……ううん、起きてます」

兄「そっか……入っていいか?」

妹「……どうぞ」

兄「うん、じゃあちょっとお邪魔するな」

妹「……」

兄「なんだ、ベッドに潜って? もう眠いのか」

妹「違います」

兄「ふむ、じゃあなんだろう?」

妹「兄さん……?」

兄「ん?」

妹「私、本当に奇麗なんでしょうか?」

兄「……そうだなー、お前が冗談で自称してるレベルの十倍くらいの奇麗さだなあ。可愛いぞ」

妹「そうですか……」

兄「うん、そうだ」

妹「……」

兄「……」

妹「……でも」

兄「うん?」

妹「でも……兄さんは私に欲情しないんですよね?」

兄「そうだなあ、そういうのはないなあ」

妹「……おっぱいが小さいからですか?」

兄「いや、そういうレベルの問題じゃないな」

妹「肉親は駄目ですか。勃起センサーに反応しないのですか」

兄「中二が勃起とかゆーな」

妹「……もっこり?」

兄「そういうことじゃなくてだな」

妹「……私、どうしたら良いのでしょう?」

兄「……そうだなあ、俺も知りたいよ、それは」

妹「頼りにならないです、兄の人」

兄「すまんなあ……じゃあ、お前はどうしたいんだ?」

妹「私は……」

妹「……私は兄さんと一緒に居たいです」

兄「うんうん、それは大丈夫だぞ。その先に何か欲しいものとかやりたいことはないのか?」

妹「……」

兄「エッチなの禁止」

妹「……エスパー?」

兄「いやパターン予測。っつうか習慣レベルだろ、もはや」

妹「ですよねえ」

兄「うむ」

妹「……この、兄さんと一緒の、自分が自分でそのまま居られる空間が好きです」

兄「そだな。俺もお前といるのはパワーが湧いてくるから好きだぞ」

妹「でも……この前倒れたのです。過労と心労って、私のせいなのです」

兄「うーん、たまたま考えごとしてて眠れなかっただけだぞ。一日で治ったし」

妹「本当ですか? 兄さんにとって、私って重荷じゃないんでしょうか?」

兄「うん、乳ないし、平気平気」

妹「貧乳差別反対」

兄「まあ、俺がお前を心配してるのは確かにそうだ。
  たった一人の妹だ、心配しないわけがない」

妹「……はい」

兄「でもな、お前がそのことに変な負い目を感じる必要は無いんだよ。
  そのことで、ある意味俺はお前に助けられてきたし、今もそうなんだから」

妹「……はい」

兄「だから、俺としてはお前を急かしたくないんだ。
  お前に依存している俺が、お前に偉そうなことは言えないんだ。
  色々と口では言うけど、ほんとはな」

妹「……」

兄「だから、無理はしないで言い。無理ってのは人に言われてするもんじゃない。
  自分がしたいと思うからするもんだ。自分が必要だと思ってするもんなんだよ。
  間違っても他人に頑張れと言われてするもんじゃない」

妹「……うん」

兄「だから、お前はお前なりに自分のペースを把握するんだ。
  自分の気質や能力と自分なりに折り合いをつけていけばいい。
  周りの勝手な押し付けに心を動かされる必要は無い。俺はそう思う」

妹「……うん、ありがと、お兄ちゃん」

兄「ん。なんだか説教臭くなったけど、俺としてはそんな感じだ」

 その夜、妹が俺の布団に潜り込んで来て、背中に引っ付いて寝てしまったけれど、
俺は特に文句は言わなかった。多分、女さんとの話を聞いていたんだと思うから。

 正直、俺には何が正しくて何が間違っているのかもよくわからないし、
いったいこの先何をすればいいのかもさっぱりわからない。

 ただ、背中に感じる小さな温もりだけはいつまでも冷めないでいて欲しいと思うのだった。

兄「うん、それで朝なわけだが、何やら股間が温かいのは何故だろう?」

妹「それは私のお尻が乗っかっているからです」

兄「……うん、なんでお前はそんなことをしているのだろう?」

妹「はい、それは胸では脂肪が足りないようなので、
  少しは脂肪が多いであろうお尻で代用しようと思ったからです」

兄「……」

びくん

妹「あ、反応した」

兄「だあああああああああああああああああ!
  月曜の朝っぱらから不健全なノリを持ち込むなあああ!!」

妹「ふむふむ、やはり兄の人は脂肪フェチである、と。メモメモ……」

兄「ちげーよ! 朝立ちはただの生理現象なんだって!」

妹「これ、一回出さないと苦しくないですか?」

兄「ああああ天国の父さん母さん、妹がどんどん変態になっていきます……」

妹「きっと喜んでますにゃー」

兄「さらっと死者を冒涜してるなお前」

妹「いやー、でも兄さんと私は母の人と父の人がエッチしたからこうして生きてるわけで……」

兄「あーやだやだやだやだやだ朝っぱらから親のセックスなんて考えたくない……」

妹「その背徳感、禁忌の先に至高の快楽があるのです」

兄「どんな禁断の果実だよ」

妹「いいから兄さんは黙って目の前の林檎にかぶりつけばいいと思う」

兄「ねーよ。っつーか林檎ってどこだ? 洗濯板しか見当たらないんだが?」

妹「せ、せめてキュートな野いちごくらいの詩的表現が必要だと思うの」

兄「わかったから胸を出すな。っつーかなんで乳首立ってるんだよお前は!」

妹「だ、だって兄のあれの感触がお尻にまだ残ってて……」

兄「あー……また倒れそう、俺」

    ∧ ∧
  (( *‘ω‘ )ノ なんか急ぎすぎたけど♪
    (  )
     >)

    ∧ ∧
  ヽ(‘ω‘ * )) これで終わりだよEND♪
    (  )

     (<

え……あの……えと……おおぅ?

                 /"~~~""''ー- 、
            _,,.. -‐''"~ ̄ ̄~"''‐- ..,,_i

           /              \  ぴっ
          / (●)   ヽγ⌒ヽ       ヽ   ぴっ
        (⌒ヽ、       |ー= )       ',   ぴっ
      <´・\ ⌒ヽ   ノー= )       i

 寝たい  l  3 ハ ノ⌒ヽ.,  ~"''''"         |
    ∫  ,<、・_(  /       、          |
   旦 (⌒ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒)、.,_        |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|\       /
                        |~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         

ごめんなさい。なんか前に書いてた時も終わり方が唐突だとよく言われました
でも読んでくれた人ありがとうです。小さなユーモアを感じていただければ幸いなのでした

……

妹「あーたたたたた!」

兄「うん、なんでいきなりケンシロウなんだろうな」

妹「……スタープラチナの方が良かったですか?」

兄「いや、何を基準に良いとか悪いとか言えばいいのかさっぱりわからないわけでな」

妹「えっと、なんというか、こう、私に必要なのは強さではないかな、と思いまして。思いました」

兄「凄まじい発想の飛躍だな」

妹「今の時代、女の子でもパワー型になれるじゃないですか」

兄「……よくわからんが、そういうもんなのか」

妹「はい、ロリっ子パワー型という地球の物理法則を無視した存在が熱いです」

兄「今度は何に影響されたんだお前は」

んじゃ誰かさんの妹の話でもして保守る
三学期初め頃の話

兄「そろそろ新学期だろ」
妹「そうですね」
兄「学校に行かなくていいのか。ってか実家に帰らなくていいのか」
妹「退屈ですから」
兄「退屈ってお前な……」
妹「大丈夫です次の週から出ますから」
兄「……まあ俺がとやかく言う事じゃないのかも知れんけど」

兄「あんまり親父やお袋を心配させるのもどうかと思うぞ」
妹「兄さんが抜けてませんか」
兄「いやまあ、俺も心配だがお前の成績的な意味で」
妹「そうですか」
兄「そうですよ」

1さんには少々申し訳ないのですが
続き書いてよろしいでしょうか?
なんかこの兄妹の設定とキャラが捨てがたいので

投下始めます
>>65の続きから第二部ということで
あ、私は>>217さんじゃないです

【第二部】

妹「やっぱり学校に行きたくないのです」

兄「そんなお前のために、学校をやろうとか思ったんだよな」

妹「どんな学校ですか? メダカ系?」

兄「兄の夜間学校とか言ってみたりする」

妹「兄さんが先生をやってくれるんですか?」

兄「そういう感じだな。ま、家庭教師と変わらんが」

妹「だいぶ開き直りましたね、私の不登校に対して」

兄「開き直ったとかそういうんじゃない。現実を見据えたんだ」

妹「でもそれだと、兄さんの負担が大変じゃないですか」

兄「だからさ、俺も無理にならない方法を考えてるところだ」

妹「授業が終わった後に、いちいち私を犯す的なことですか?」

兄「そんなに犯されたいのか?」

妹「いいえ、兄さん。犯すのじゃなくて、そっと奪って欲しいのです」

兄「それが女心ってやつなのか?」

妹「そうですね。私は日夜、兄さんとセックス的なことを妄想しているのですが」

兄「その感覚には、俺にもだいぶ耐性がついてきたよ」

妹「どちらかというと、私が兄さんを奪ってしまいます」

兄「それはどういう女心なんだ?」

妹「いいえ兄さん、これは女心とかそういうのじゃないんです。愛です」

兄「どんな愛なんだよ。愛なら俺にだってあるぞ」

妹「じゃあそれを見せてください。とっとと早く」

兄「だからそれが、夜間学校的なものかなと」

妹「兄さんの言い方が、私に似てきました。調教のかいがありましたね」

兄「その顔で調教とか言うなよ、頼むから」

妹「……おしおき?」

兄「おしおきも違う。どうしてそこへ行くんだ」

妹「自由連想ってことだと思うんですよ」

兄「お前のその、突拍子もない発想がどこから出てくるのか知りたい」

妹「兄さんといると、自然に出てくるんですよ。変かもしれないけど、楽なんです」

兄「変だって言う気はないよ。お前が賢いのは俺がよく知ってる」

妹「今や不登校のおバカさんで、おまけに貧乳ですけどもね」

兄「俺、貧乳とか言ってないから。スレンダーなのが相変わらずというかさ」

妹「スレンダー美女という位置づけにしてくれないでしょうか」

兄「カモシカのようだったんだよな、あの時」

妹「あの時って? いやですわお兄さま」

兄「お前が小6のときの運動会。リレーのアンカーやってた時だよ」

妹「そんなこともありましたねえ。と、遠い目をする私であった」

兄「ナレーション入れなくていいから。速かったんだよ、おそろしく」

妹「自分でも速かったような気がしますよ。まあ、ボルトにはあと一歩及びませんが」

兄「順位が何番だったかとかも覚えてないんだけどさ、お前が俺の目の前で
  コーナーを回ってきたんだ。すごいキリッとした真剣な表情でさ。
  あのコーナリングでのお前の表情とか走るスピードとか、後ろ姿とか、目に焼き付いてるよ」

妹「そうなんですか……うん、あれ、独走の2着だったんですよね」

兄「なんだ、独走の2着って」

妹「バトンを貰った時に、1位とは半周近く差があって、3位とも離れてたんです」

兄「そうだったのか」

妹「私は本気で一番を取りに行ってましたね。何が起こるかわからないじゃないですか」

兄「そういう迫力だったんだな。とにかくわが妹ながら、お前が輝きすぎてさ」

妹「……うん」

兄「そのまま映画の一シーンだったよ。そう思ったのは俺だけじゃないだろうな、とかもな」

妹「……うん、ありがと」

兄「俺の頭の中で残っている映画なんだよな。いいもの見せてもらったって感じだ」

妹「走ってたな、私……」

兄「お前もちゃんと覚えてたんだな、リレーのこと」

妹「あっはっはっは。変身!」

兄「何に変身したんだ、いったい」

妹「いや、ちょっといたたまれなくなっただけです」

兄「思う存分変身しなさい。あんまり良くなかったか、昔話は」

妹「変身しましたニャー」

兄「それは、猫なのか?」

妹「猫なのですニャー」

兄「撫でろという意味なのか?」

妹「それは考えてませんでしたニャー。猫が妹ちゃんに変わって話聞きますニャー」

兄「わかったわかった」

妹「でも撫でて欲しくなったですニャー」

兄「どこを撫でればいいんだ」

妹「それはもうどこでもお好きなところに、と妹ちゃんが申しておりますニャー」

兄「撫でられたいのは、猫なんじゃないのかよ」

妹「一心同体ってことですニャー」

兄「まあいいから、しばらく猫になってなさい。ところで何を話そうとしてたんだっけ」

妹「撫でてくださいニャー」

兄「わかったよ。撫でるから。なでなで」

妹「嬉しいニャー」

兄「よしよしよしよし」

妹「ヤバいです。好きです。お兄ちゃん……」

兄「急に変身が解けたのか」

妹「撫でられたら元に戻りました。ヤバいです、ちょっと」

兄「何がヤバいんだ」

妹「ヤバいんです。お兄ちゃんにキスして欲しくなったんです」

兄「キスぐらいならしてもいいぞ、って俺も思い切ったこと言うな」

妹「いや、ヤバいんです。キスするのがすごい怖いんです」

兄「普段あんなにセックス的なこと言うクセに、そうなのか」

妹「本当に怖いんですよ、何故か。自分でもよくわからないんですけど」

兄「わかったわかった。別にキスしないから」

妹「しては欲しいんです……でもなんか……」

兄「うーん。複雑な心理なんだな」

妹「もう今日は一緒に寝てください。エッチなことしませんから」

兄「いいけどさ、それ言うの、普通は男女逆だろうよ」

妹「兄さんのペニスを軽く握るぐらいしかしませんから」

兄「……とにかく急には握らないでくれよ。じゃ、おとなしく寝ような」

俺がそう言ったにも関わらず、その夜妹は背を向けて寝ている俺の
ペニスを何も言わずに触り始めた。その手の動きがゆっくりだったのは
妹なりの遠慮があったのかもしれない。

妹はスウェットの上から、俺の上向きになっているそれを軽く撫で続けた。
背中に密着する妹の小さな胸のふくらみを感じながら、俺は妹の細い
指先の動きを黙って受け止めていた。

妹は、俺のペニスを硬くするまで撫で上げたが、やがてスースーと
眠りに落ちてしまった。俺には不思議といやらしい気持ちが起きなかった。
こんなことで妹が安心するのならば、それでもいいのかもしれない。

(翌日)
妹「兄さん、お帰りなさい……」

兄「ただいま」

妹「…………」

兄「どうした、今日はおとなしいな」

妹「はい……」

兄「食事済ませたか? 悪かったな、遅くなって」

妹「はい。食べたいと思うものを食べたい時に食べました」

兄「よろしい。詳しくは聞かないが、それでいいと思うぞ」

こんな感じでよろしければ、また後ほど再開したいと思いますが……

保守がてら誰かさんの妹の話その2
三月一~三日くらいの事

兄「なあ、もう休日終わってるんだが」
妹「終わってますね」
兄「なんでまだ居るんよ?」
妹「たまにはいいじゃないですか」
兄「……理由を聞いているんだが」
妹「そろそろ雛祭りなので」
兄「それが?」
妹「一緒に雛祭りたいんです」
兄「雛壇も雛人形もないぞ……」
妹「細かい事はいいんですよ」
兄「細かくないと思うが」
妹「駄目?」
兄「……いやまあ、それでいいんだったらいいけどさ。
後で単位足りなくなったり進級出来なくなっても知らんぞ」
妹「大丈夫です。昔の兄さんほどサボりも休みもしていませんから」
兄「うるせえよ」

義務教育の頃の話か
兄妹逆転してるけど数年前の誰かさんと妹の話

妹「兄さん兄さん」
兄「……」
妹「ゲーム一緒にやっていい?」
兄「……」
妹「勝手にやります」

妹「もうちょっと手加減してよ」
兄「……」
妹「ねえ、兄さんは学校行かなくていいの?」
兄「お前が言うのか」
妹「私は風邪で暇なだけです」
兄「そうか」
妹「そうです」
兄「じゃあ寝てろよ病人」
妹「兄さんが添い寝してくれるなら寝ます」
兄「……あほか」
妹「照れてますね?」
兄「うるさいな」

兄「なんで俺なんかに構うかね」
妹「見てられないので」
兄「……」
妹「ちゃんと復帰するまで幾らでも構いますよ」
兄「それは困るな」
妹「困りますか」
兄「ああ、困る」
妹「軽く凹みます」

再開します

おっとタイミングが

おかえりー

妹「兄さんは何をお食べになられたのですか?」

兄「なんだその敬語は。俺はテキトーに食べたけど」

妹「よろしい。詳しくは聞かないが、それでいいと思うぞ」

兄「お前、顔色ちょっと悪い?」

妹「んなことないと思いますが」

兄「体調悪い?」

妹「いえ、普通です。顔色が赤色とかですか?」

兄「ちょっと赤い感じするね」

妹「自分のことを、割と深めに考えてたんですよ。一日中」

兄「そうか。どんなことか聞いていい?」

妹「いいですよ。ええと、まず、食べることについて」

兄「食べたいものを食べたい時に食べるべきである、とか?」

妹「それはその通りかもしれませんね」

兄「いや、お前がさっきそういう風に言ったからさ。話、どうぞ」

妹「案外ちゃんと食べてるんですよね、私」

兄「そうだな。食事もちゃんとしてるし、身だしなみも整えてる」

妹「兄さんを食べたいかと言えば、実はそうじゃなくて」

兄「いきなりエロかよ」

妹「本当は食べられたいみたいなんです。真面目な話」

兄「なあ、真剣に取り合わなきゃいけないか、その話?」

妹「結構本気なんですけど、自分でも何でこんな話の流れかなと疑問に思うピー」

兄「何か、ピー音が入ったぞ」

妹「雑音です。無視してください。昨日引っかかったことが今日はいくつも頭の中を流れて」

兄「うん、昨日はなんか揺り動かしたんなら、すまなかった。ゆっくり話せよ」

妹「小学校の頃はね、まだ保ててたんですよ、自分が」

兄「俺はすっかり安心してたぞ。通知表も万遍なく良かったみたいだし」

妹「ひいきされてたかもしれませんね、担任の先生に」

兄「そうか。そういうこともあるかもしれんな」

妹「結構楽しくやってましたけど、今考えればギリギリだったのかなあ、心が」

兄「そのぐらいからヤバかったのか? 気がつかなかったよ」

妹「転機があったんですよ。高学年の頃に」

兄「何だ? 転機?」

妹「初潮です」

兄「……そうか。そうだな」

妹「女になることを否応なしに突き付けられたのだピー」

兄「話が重ければ、無理にしなくてもいいぞ」

妹「いえ、大丈夫です。男子が意味もなく女子にはやし立ててたんですよ」

兄「まあ、俺にもそんな時期があった。男子に代わってすまんと言うよ」

妹「すまんこ……?」

兄「言ってないから」

妹「『初潮! 初潮!』とかって、警察官のまねを男子がするんですよ」

兄「警察ごっこのフリなのか。それはキツいな」

妹「今ならまあ、それなりのギャグだと寛容する心を持ち合わせているんですが」

兄「心が太平洋のように広いな」

妹「『報告します署長! 事件は整理完了です。血まみれで大変苦労しました』ぐらいはもう平気ですね」

兄「随分とまた、ネタを織りまぜたもんだな」

妹「……ですから私を本当の女にしてください、兄さん」

兄「だからどうしてそこでいきなり短絡するんだ」

妹「それでも、小学校の頃はまだ大丈夫だったんですね」

兄「中学校に入ってからか?」

妹「あ、ちょっときつくなりました。セックスしてください」

兄「お前は困ると、すぐエロに走るな」

妹「そうなんですよ。ごめんなさい、自覚はあるんですけど」

兄「いや、まあ、いいよ。慣れたから」

妹「それについても考えてたんですよ」

兄「ふむ」

妹「この可愛い私に放たれてきた男子のエロス放射線が、そのまま流れ出しているのではと」

兄「ふぅむ。お前が思ってる以上に、そういう目を向けられていたかもな」

妹「もちろん私がエロくないわけじゃないですよ。それも自覚してます」

兄「お前の年頃で、普通どう折り合いをつけるかが俺にはよくわからないんだ。ごめんな」

妹「初潮を迎えるころから、兄さんとチュウできなくなってしまいました」

兄「そうか。考えればそんな頃か……。お前が自分の女を意識したんだな」

妹「そこが難しいんです。私は欲していたのに、されるのが怖くなったんです」

兄「うーん……」

妹「もう少し深く掘り下げました。うまく言えるかわからないですけど」

兄「辛かったら、別にエロエロなこと言ってもいいぞ」

妹「兄さんの勃起したペニスを、私に深く挿入してください」

兄「……落ち着いたか?」

妹「今ので自分でちょっと興奮してしまいました。大人げないですね」

兄「子供だろ」

妹「……そうなんですよ。子供なんですね、私」

兄「そこでそういうリアクションか」

妹「兄の人をなかなか欲情させることができません」

兄「なあ、それちょっといい加減にしてくれよ」

妹「私が大人になりかかっていることを、兄の人に認めてもらうわけにはいかないでしょうか」

兄「別に認めないとかは言ってないから」

妹「でも大人の階段を昇り始めたら、子供の階段を踏み外していたことに気がついたんです」

兄「どういうことだ?」

妹「調べたんですよ、ちょっと。子供の頃のスキンシップとホルモンバランスとか」

兄「ああ……もうちょっと構ってやればよかったよ」

妹「兄は悪くありません。親のスキンシップが足りなかったという事実がありまして」

兄「そうだな……事実だな」

妹「要するに私は、兄の肉体を用いてその欠損を埋めるという行為が必要なのです」

兄「だからって、エロに走るのは変だと思うぞ」

妹「エロに走る! 走る走る走る! ダッシュ! ダッシュ! オ~」

兄「走りたくなったのか? 最後の『オ~』って何だよ」

妹「いえ、何でもありません。強いて言うならば、ランナーズハイを表現した感覚かと」

兄「お前、小学校のとき、50メートル何秒だったっけ?」

妹「7秒台でした。男子含めてクラスで一番速かったです」

兄「今度、俺と一緒に走りに行くか?」

妹「え、どこへ?」

兄「運動公園のトラックとかさ。夜ならいいだろ」

妹「夜間学校の体育の授業というわけですか?」

兄「そうだな。まぁ、無理にとは言わない。お互い、運動不足だしなと思ったまでだ」

妹「ジャージ……」

兄「ジャージがどうした?」

妹「中学のジャージ、着たくないんですよ」

兄「他にないのか?」

妹「この美しい女彪のボディを包み込むのに相応しいジャージを持ってないんですよ」

兄「わかったわかった。新しいの買ってやるから」

妹「ネットで自分で買います。兄のカードで決済ですが」

兄「やる気あるってことだな。いいよ、買えよ」

妹「あっ」

兄「どうした?」

支援
規制解けない……

妹「私、走る気あったんですね。今ごろ気がつきました」

兄「そうなのか」

妹「私は全力で走って逃げます。兄はそれを追いかけます」

兄「鬼ごっこか」

妹「『捕まえてごらん、捕まえてごらん、アハハハハハ、ウフフフフフ』の世界です」

兄「どんなお花畑メルヘンだよ。しかも棒読みで」

妹「捕まっちゃった。捕まっちゃった。一度だけ自由にしていいからね」

兄「何で最初のフレーズは二回繰り返さなきゃいけないんだ」

妹「そこはそれ、お約束ということです。兄さん」

兄「少しほぐれてきたな、お前」

妹「そんな気がします」

兄「それと、シューズとかは大丈夫なのか?」

妹「……前に買って、一度も履いてない新品のジョギングシューズがあるんでした」

兄「なんだ……知らなかったよ」

妹「アハハハハハ、ウフフフフフ……」

兄「捕まえてやるよ……捕まえてやるから」

妹「兄さん、疲れました」

兄「ああ。顔色悪かったしな。またちょっと赤いぞ」

妹「走り疲れたみたいです。脳内で」

兄「……寝るか」

妹「それは、私が添い寝していいという暗黙の許可を含んでいますね」

兄「もう少し、俺にも楽な言い方してくれないかな」

妹「お兄ちゃん、一緒に寝てもいいよね」

兄「そういうのはさらっと言えるんだな」

妹「ね?」

兄「うん、ああ、いいよ」

妹「こうして兄は妹の毒牙に落ち、めくるめく官能の世界を彷徨うのであった」

兄「ナレーションはいいから。寝るよ」

妹「はい、兄さん。乳首に触っていいですから」

兄「あー、もう何でも言ってろ。好きなように言ってろ」

妹「兄さん……私、オナニーするんですよ」

兄「前にも聞いたような気がするな」

妹「重要な告白です。しちゃうんです。多分。今」

兄「…………」

妹「スキンシップが必要なんです」

兄「スキンシップとオナニーは別だろう」

妹「隣でするだけですから。迷惑かけませんから」

兄「…………」

妹「こんな風にね、自分の身体をなんとなく最初は触って……」

兄「グーグー」

妹「寝たフリしている兄さんをオカズにして」

兄「グーグー」

妹「おっぱい自分で直接触っちゃったりするの……はぁ……」

兄「スースー」

妹「んっ……んっ……ここから先は内緒……なの……あ……」

兄「…………」

妹「身体……くっつけちゃうよ……スキンシップだから……」

兄「…………」

妹はいつもよりも強く、俺の背中に胸を押しつけながら
その行為を続けた。妹の手が動いて、俺の腰に当たる。
多分、妹は自分で自分の秘部を刺激しているのだろう。

かなり高まってきた瞬間、妹は俺のペニスをまさぐり、少しさすった。
妹は「あぁん」という細い声を出して、イってしまった。
俺のペニスは勃起していた。妹が達した後も、しばらくの間「はぁはぁ」と
いう息が俺の背中にかかった。俺はその間、ずっと目を瞑っていた。

ちょっと中断します。はぁはぁ

乙ですー
待ってます

場繋ぎ的に
四月一日

妹「おはようございます」
兄「!?」
妹「何を驚いてるんです?」
兄「何で……布団が裸が」
妹「憶えていないんですか……」
兄「え。何。え?」
妹「あんなに優しく触ってくれたのに」
兄「……嘘だろ」
妹「確かめてみます?」
兄「……」
妹「なんて嘘です」
兄「洒落になってないから。勘弁してくれマジで」
妹「ちぇー」
兄「いや、ほんとに」
妹「そんなに嫌ですか」
兄「そうじゃなくて」
妹「じゃあなんですか」
兄「命の次くらいには大切にしてるつもりだしさ
そういう事やったとなるとその……なあ?」
妹「そうですか」
兄「そうですよ」

兄「ホントは命より大事にしてるんだがな」
妹「……本当ですか」
兄「さて?」
妹「仕返しですか」
兄「からかってみただけだ。じゃ行ってくる」

妹「兄さん、お帰りなさい。食事はまだですよね?」

兄「ただいま。お前、もしかしてメシ作ったとか?」

妹「はい。お雑煮を作りました」

兄「なんで今どき雑煮? どこの国の正月だ」

妹「お餅を食べたくなったんですよ。そしたら指令が来て」

兄「どこからどんな指令が来るんだよ」

妹「ロシアのスパイと名乗っていました。オー、ゾーニ! って」

兄「スパイがスパイって名乗るかよ! じゃあ雑煮食わせて」

妹「お餅を焼くだけでオッケーですよ。簡単便利! オー、ゾーニ!」

兄「どうもありがとう。後で言えないかもしれないから先に礼を言っておくよ」

妹「失敬な! 普通に美味しかったですから。多分」

兄「あのさ……もう新学期だよな」

妹「うっ……死んだ!」

兄「いや、急かすつもりとかもないし、学校なんてアレかもしれない。ただな」

妹「餅を焼く死体の謎……残された三枚のメモ……次週、『雑煮殺人事件』乞うご期待」

兄「わかったわかった。けど、俺だっていろいろと不安なんだ」

妹「お餅焼けました。もうちょっとでできます。オー、ゾーニ……」

兄「もう3年なんだよな。高校受験とかどうするのかとか……」

妹「兄さん、もうちょっと待ってください。はい、お雑煮」

兄「うん。聞きたいのは高校行きたいかどうか、行きたくないならどうしたいかなんだ」

妹「ですから、もうちょっと待ってください。いいから食べてください」

兄「いただきます」

妹「このところ、考えがまとまりつつあるんですよ」

兄「そうか。悪かった。うん、美味いよ雑煮」

妹「良かったぁ……」

兄「妙に素直だな。いや、ほんとに美味いよ雑煮」

妹「お餅は何個ぐらい食べられそうですか?」

兄「あと二個にしておこうかな。よろしくプリーズ」

妹「まかせてプリーズ。違うな。まかせてちょんまげ。ベタだな……」

兄「お前さ、ひょっとして料理人になりたいとかなんとかかんとか?」

妹「料理人ってなんかすごい言い方ですね。いえ、全然考えたことないですよ」

兄「そうか。俺の勘ぐりすぎか。じゃあ将来何になりたいとかある?」

妹「社長秘書ですね。兄さんの」

兄「え、それだと俺が社長にならなきゃいけないんだな」

妹「そうです、社長」

兄「お前の言う社長秘書って、具体的にどういうイメージなんよ?」

妹「まず、社長の秘書をします」

兄「はい。それで?」

妹「次に、社長のお世話をします」

兄「エロい方に持ってこうとしてるだろ?」

妹「夜のお世話ならお任せです。昼間でもドアの鍵閉めて応じます」

兄「確かに、お前みたいな社長秘書いたら、みんな雇いたいだろうな」

妹「私は兄さんにしか雇われたくない専門の社長秘書です」

兄「あ、おかわり」

妹「社長秘書をおかわりですか? 旺盛ですね」

兄「ちげーよ。雑煮だってーの」

妹「はいただいま、社長」

兄「スーツ姿とか似合いそうだよなぁ。スレンダーだしな」

妹「兄さん今私のこと貧乳って言った気がするのです」

兄「言ってないよ。スレンダーと貧乳が同義語かよ」

妹「お雑煮のおかわりです、社長」

兄「ありがとう。お前だったら社長秘書どころか女子アナでも行ける気がするな」

妹「表に立つ仕事はいやですね」

兄「そうか。いや、イメージとして似合うかもって思っただけだから」

妹「裏方志向なのかもしれませんね。だから社長秘書なのかも」

兄「やっぱり思いつきで言ってただけだろ。他にやりたそうな仕事ないのか?」

妹「忍者ですね。あ、女だから『くのいち』になるんですかね」

兄「…………」

妹「手裏剣シュッシュッシュッ! グサッ!」

兄「刺さってない刺さってない」

妹「目つぶしドロン! 消えた!」

兄「消えてない消えてない」

妹「忍法なんとかの術!」

兄「なんの術だよ」

妹「兄さんを縛った上で秘薬を飲ませて全部言いなりの術!」

兄「秘技、忍法返しの術!」

妹「あ、それオッケーですよ。でも恥ずかしいから逃げちゃう」

兄「くそ、逃げ足が速いな」

妹「あー、結構憧れますね、くのいち」

兄「でも世の中、くのいちを雇ってくれる会社なんてないと思うぞ」

妹「日本は広いから、くのいちを必要としているところもあるかもしれませんよ」

兄「ねーよ。いつの時代の話だよ」

妹「ありますよ」

兄「ねーよ」

妹「ありますよ。日光江戸村」

兄「……ぎゃふんって言わなきゃダメか?」

妹「はっはっはっは」

兄「勝ち誇るな。ごちそうさま。美味しかったよ」

妹「あ、はい、お粗末さま」

兄「うん、そうか、お前は意外にキャリア志向だということがわかった」

すみません、この辺でダウンさせてください
話はもちろんまだ続きますが
ちょっとキリが悪くてすみません

保ー

保守ありがとうございます
まだ書き終わりませんが、たまってきてます

もう少しキリのいいところまで書いてから
投下開始したいです。1~2時間ぐらいかな

ほしゅ

妹「キャリア志向……ですか?」

兄「バリバリ働く女のイメージがあるってことだ。それと、お前も言ったように裏方志向だ」

妹「ああ、くのいちも完全に裏方ですからねえ」

兄「ちょっと意外な気がしたよ。今のお前を見てるとな」

妹「自分でも意外な指摘ですよ、兄さん。私は社長秘書になれるのでしょうか?」

兄「知るか! いやだから、お前の仕事イメージの方向性が見えた気がしただけだ」

妹「それとも、日光江戸村に就職するのが良いのでしょうか?」

兄「あながち悪いとも言い切れないあたりが、何とも言えないところだな」

妹「確かに……いずれは働くってイメージは自分の中にありますね」

兄「お嫁さんになる、とか、遊んで暮らす、とかって出てこなかったからなあ」

妹「私、結婚はしないのです」

兄「何で?」

妹「兄さんと一緒にいたい、というのがまず一つです」

兄「まあ、そんなこと言うだろうとか思ったけど、他にも理由があるのか?」

妹「結婚すると悪い人に殺される、という刷り込みがあるのです」

兄「……それか。親父とお袋のことか」

妹「それか、って?」

兄「お前さ、ひょっとしてその刷り込みっていうか、心の傷が想像以上に深いのかもな」

妹「否定はしませんが、考えるところはあります」

兄「それでさ、結婚したりするのが怖いから、その代償を俺に求めてるだろ」

妹「結婚が怖いのと、兄の人を求めていることは、話が別ですから」

兄「お前はさ、すり替えてるんだよ、多分」

妹「すり替えですか。私の言葉で言えば『反転』と同じですかね」

兄「なんだその反転って?」

妹「今は説明しません。まだうまく説明できないのですけど」

兄「とにかく、お前の気持ちが兄の俺にだけ向かってるのは、不健全なんだよ!」

妹「私は兄さんが必要なのです。いいから私の処女をそっと奪ってください。その勢いで」

兄「どうしてそうなるんだあああああ!」

妹「ごめんなさい。私は兄さんの痛いところを突いてしまったかもしれないのです」

兄「どこがだよ。俺はお前の問題の核心に迫った感じがしてるんだがな」

妹「結婚が怖いということですか?」

兄「そうだよ。そしてその原因も」

妹「多分ちょっと違いますよ。私はもし兄さんと結婚できるならば、怖くても結婚しますし」

兄「できないだろうがよ!」

妹「結婚なんて紙一枚ですよね。兄さんと結婚的なことなら、いくらでもできるのです」

兄「そうじゃないだろ。そうじゃないだろ」

妹「落ち着いてください、兄さん」

兄「ああ、すまん。悪かったよ」

妹「私がセックス的なことを兄さんに望んでいるのは、すごく普通の戦略だと思うのです」

兄「どこが普通なんだよ!」

妹「結婚は別として、一番大好きで一番安心できる人に処女を委ねるのがベストってことです」

兄「なんかおかしい」

妹「おかしくないのです。セックスと結婚は別ですから」

兄「ごめん、話についていけない」

妹「よくいるんですよね、処女で結婚して『私はこの人で本当にいいのかしら?』っていう人」

兄「どこでそんな話仕入れるんだよ、お前は」

妹「ネットです。だから、2~3人でも複数経験があった方が、女の気持ちが落ち着くらしいです」

兄「そりゃ、選ぶ過程ってのが必要なんだろうな」

妹「比較対象があった方が、自分で自分の結婚生活を納得させやすいみたいですよ」

兄「なんて耳年増な中学生なんだお前は」

妹「だてに一日中ゲームやネットをやっているわけではないのです」

兄「つまり、こういうことか。お前は俺を経験して、それをステップにしようとしてると」

妹「私は違うの! お兄ちゃんしか欲しくないから!」

兄「お前、言ってること無茶苦茶だぞ。処女で結婚すると落ち着かないって話したろ?」

妹「それは、相手が本当にいいかどうか確信のない人の話です。私には確信があるのです」

兄「どんな確信だよ!」

妹「私が今まで言ってきたことなのです。私と兄さんの運命なのです」

兄「運命ときたか」

妹「それを理解するには、もう少し時間が必要なのです。兄さんに」

兄「お前やっぱり、ちょっとおかしいぞ」

妹「今日は私よりも兄さんの方がおかしい感じがしているのです」

兄「まあいいよ。なんかお前の問題が見えた感じがして、俺も気が急いた」

妹「もう少し時間をかけてほぐしていかないとダメかもしれませんね」

兄「ああ、そうだな」

妹「だから私には、スキンシップが必要なんです」

兄「どうしてそこでそうなる」

妹「私と兄さんの心を、少しずつ溶かすために必要なんです」

兄「お前にスキンシップが必要なのは、理解したよ」

妹「兄さんの抵抗が、少しずつ薄れていっているのです」

兄「やめろ」

妹「ごめんなさい。この辺にしておきます。話、変えていいですか?」

兄「いいよ」

妹「ジャージ、届きました」

兄「おおそうか。よかったな。今から走りに行くか?」

妹「ごめんなさい。今日はもう気分じゃないのです」

兄「悪かったな。俺も今日あたり届くと思ってさ、早めに帰ってきたんだよ」

妹「ありがとです……」

兄「俺もさ、お前と走ろうって気が結構出てきたんだよな」

妹「嬉しいですよ。私も走りに行きたくなっています」

兄「もう着てみたのか?」

妹「はい。着てみたらなんかこう、頭の方にかーっと昇ってくるものがありました」

兄「それは気合いみたいなものか?」

妹「そういう感じかもしれないですね」

兄「やっぱりお前、根はアクティブなんだよ」

妹「それは気がついています。もういろんなこと思いつきますから」

兄「たとえばどんなことさ?」

妹「裸の上にジャージだけ着て、兄さんにジッパーをちゃーっと下げられるとか」

兄「想像したじゃないか」

妹「想像しないでください。恥ずかしいから」

兄「お前がそういう事言ったんだろ!」

妹「恥ずかしいけど、でも見られたいっていう女心をわかってくれないですか?」

兄「わかったから。わかったからさ」

妹「言ってて自分で興奮してしまいました。早いけど、今日はオナニーして寝ます」

兄「そうか。ゆっくり休めよ。今日は悪かった。雑煮、美味しかったよ」

妹「おやすみなさい、兄さん」

兄「おやすみ」

その夜、俺は一人の部屋で、妹のこれからのことや妹の心の傷について
思いを馳せていた。学校にはどう対処しなければならないだろうか。
そして妹は自分の将来をどう考えているのか。何が大きな引っかかりなのか。
要因はおそらく複合的なものだろう。絡み合った糸を解かなければならない。

楽観的な見方をすれば、妹は少しずついい方に向かっているような気がする。
だいたい、妹は恵まれたという言葉では収まりがつかないほどの美貌と
かなり恵まれていると思える他の資質を持っているのだ。普通の子ならば、
多少の苦労はあったとしても……とか考えているうちに、俺も疲れてしまった。

俺はベッドで横になった。もういいや、寝るかと思いつつも、妹のことが
頭から離れない。結婚するのが怖いのか……。俺に処女を捧げたいだと……。

今夜は背中に妹のぬくもりがない。今日はスキンシップをしてやれなかったな。
毎日ハグとかをしてやれば、多少は妹も気が落ち着くのかもしれないな……。
そんなことをあれこれ考えていた時だった。妹が俺の部屋にそっと入って来た。

「兄さん、まだ寝てないのですか?」

妹「ごめんなさい。やっぱり一緒に寝るのがクセになったのです」

兄「おいで……なんだ、新しいジャージ見せたかったのか」

妹「兄さんの邪魔じゃないのですか?」

兄「いいよ。でさ、お前はオナニーはしたのか?」

妹「そんな事、聞くのですね、兄さん」

兄「だってお前がいつも自分で言ってるじゃないか」

妹「自分で言うのはいいんですけど、言われるのは恥ずかしいんです」

兄「恥ずかしいけど、言われたいとかはないのか?」

妹「そのツッコミはスルーします。兄さんこそ、今日オナニーはしてないんですか?」

兄「してねーよ! 反転攻撃かよ!」

妹「いえ、男の生理を考慮して、心配に及んでいるだけなのです」

兄「心配には及ばねーよ、ってなんつー言い方をさせるんだお前は」

妹「このところ私と一緒に寝ててオナニーしてないようですから、結構溜まっているとお見受けします」

兄「見受けるなよ! いいから寝なさい。俺ももう寝るから」

妹「兄さんは、会社でオナニー的なことはしないのでしょうか?」

兄「普通しないし、できないだろ、会社でオナニーなんて」

妹「あっ、今の言い方、力強いですよ」

兄「何がだよ」

妹「『俺は普通じゃないから、会社でオナニーする、できる男だ』って聞こえました」

兄「空耳だな、それは。だからしねぇって」

妹「本当はですね、『普通はしないけど、俺はしたことがある』が正解です」

兄「どこのクイズなんだよ、それは」

妹「兄さん、とぼけないでもいいのですよ」

兄「とぼけてなんかないだろ」

妹「とぼけるな! 犯人はお前だ!」

兄「違う! 俺じゃない! 俺はやってない!」

妹「もうこの辺で楽になろうや。な? 証拠はあがってるんだし」

兄「違う! 証拠なんかない筈だ!」

妹「証拠なんかない筈ぅ? なぁんだ、証拠隠滅できたと思ってるんだな」

兄「違う! 違うんだ! やってないから証拠なんかないって!」

妹「お前さんは、証拠隠滅できたと思ってるんだろうがなぁ。警察を甘く見ちゃいけないよ」

兄「刑事さん! この取り調べはいつまで続くんですか!」

妹「兄さんが白状するまでなのです」

兄「だから、白状なんかしねぇって。やめろ。こら。くすぐるな」

妹「お前さん、もう釈放だよ。お前さんの根性には恐れいったさ。だがな……」

兄「何ですか、刑事さん?」

妹「お前さんがいくら自分に嘘をついても、真実は何一つ変わらないってことを覚えときな」

兄「なんだよ、それ」

妹「じゃあもう行きな。一言だけ言っておくぞ。お天道さんはお前のこと、いつも見てるからな」

兄「結局、犯人扱いかよ」

妹「心証は思いっきりクロですね」

兄「ひでぇなあ。どうでもいいことだろ。お前には関係ないだろ」

妹「いえ、私が言いたいのはですね」

兄「なんだ?」

妹「溜まってるのなら出させてあげたい、もう抜いちゃってたらちょっと悲しいということなのです」

兄「やっぱりそれか。それなのか」

妹「いいんですよ、兄さん。無理しないで。安心して私の毒牙にかかっちゃってください」

兄「なあ、お前、本当にそれでいいのか?」

妹「怖いんですね、兄さん」

兄「怖いとかそういうんじゃないだろ」

妹「兄さん、おかしいですよ」

兄「あっ、いきなり触るなよ」

妹「女の子みたいな抵抗の仕方するんですね」

兄「いいよ。触れよ」

妹「こんな可愛い子にこんなことされちゃって、出したくないわけないじゃないですか」

兄「マジで、ちょっとヤバいだろ」

妹「ジッパー開いて、見せちゃうのです」

兄「…………」

妹「あっ、すごい硬くなった……私もオナニーしちゃうの……」

兄「あっ……ヤバいよ……」

妹「兄さん、見てください。私こんなにエッチな格好してるんです……」

兄「可愛いよ……可愛いから……」

妹「気持ちいいですよね? 直接触りますよ……」

兄「ああっ……やめ……」

妹「兄さん……私のこと……好きですか……?」

兄「ああ……ああ……好きだ……」

妹「兄さん……出して欲しいです……」

兄「あ……あっ……」

妹「あっ……感じると……感じちゃうの……」

兄「お前の指で……あ……」

妹「見て……私……こんなに興奮してるんですよ……」

兄「あ……あ……出そう……」

しえn

妹「ねぇ……ねぇ……ねぇ……」

兄「そう……そう……そうだよ……」

妹「体にかけていいですよ……いっぱい出してください……」

兄「ああっ……もう……」

妹「あぁぁ……もうなの?」

兄「いくっ……いくっ……あっあっあっああああーっ」

妹「ああ……出てる……嬉しい……嬉しいです……」

兄「あっあっあっあっ……こんなに……」

妹の新品のジャージを少し汚してしまった。
妹は、どうせ一回洗濯するつもりだったからと言った。
妹は少し達成感を帯びたような目をして俺を見ていた。

妹と抱き合って寝た。ただ、ぬくもりが心地よかった。

すみません、いったんアレします

【第三部】

(後日、運動公園)

妹「兄さん、着きましたね」

兄「何人か走ってるな。見たところ年齢層高めだな。おじさん頑張ってるなぁ……」

妹「アハハハハハ……ウフフフフフ……」

兄「いきなりかよ……おい待てよ」

妹「兄さぁ~~~~ん! ここまでおいでぇ~~~~!」

兄「待てコラーー! ストレッチぐらいしろよーー!」

妹「……はぁ……はぁ……はぁ……」

兄「どうした? もう疲れたか?」

妹「大丈夫です。ちょっと身体がびっくりしているだけなのです」

兄「そうか。あんま無理すんなよ」

妹「ストレッチしませう、コーチ!」

兄「俺がコーチかよ」

妹「そうですコーチ。私はインターハイを目指す陸上少女!」

兄「はいはい」

妹「ケガから復帰して、コーチと二人三脚で記録を取り戻そうとしています!」

兄「なんの記録だよ」

妹「なかなか戻らない記録、過酷な練習と克服、そうこうするうち二人の間に芽生える恋……」

兄「ベタだな随分。ところでインターハイって高校だろ?」

妹「あ、そうでしたっけ。何か響きがいいから言っただけなのです」

兄「お前、高校行って、陸上部に入りたいとかそういうのか?」

妹「いえ。あんまり深読みしないでください、コーチ」

兄「だから俺、コーチやらないから」

妹「ちぇ。グレるぞ」

兄「非行に走った少女を更生させるため、コーチは……ってやらせんなよ!」

妹「兄さん、背中を押してくださいず」

兄「行けー、頑張れよー。ポーンってか?」

妹「違うのです。座ってストレッチをするのです。んしょ」

兄「なんだ、ストレッチか」

妹「くれぐれも私の豊かな胸の方を触ったりしないでくださいね。葛藤はわかりますが」

兄「誰がお前の、えー、その、アレなナニをだな……」

妹「そこで少女は一計を案じた。コーチが押す少女の背中……」

兄「一計を案じるなよ」

妹「少女は背中をわざと少し傾けた。するとコーチの手がジャージを滑り、少女の胸に……」

兄「滑らないから。ほら。押すぞ」

妹「いちにぃさんし、うーーーっ、いちにぃうーーっ、うーーっ」

兄「案外柔らかいな」

妹「今日は少し硬いですね。あ、あとは自分でやりますから」

兄「俺もやるか……。よいしょ。うっうっうっふぅーーっ」

妹「私いつも、家でストレッチやっているのですよ。ふーーーっ」

兄「そか。んーーー、ふぅーーーっ」

妹「はいストレッチ終わりぃーー。ピィーーーーッ」

兄「笛持ってないだろ」

妹「私は心に体育笛とスタートピストルを持っているのです」

兄「なんかお前、目の色変わったな」

妹「そりゃもうコーチ。インターハイですから。トラックを走って来ます」

兄「やる気だな」

妹「行って来ます。よーーい」

兄「バン!」

妹は陸上少女になって、トラックを走り出した。
「走って来ます」と言った妹の表情は、家で見る一見陽気な笑顔とは違って
いつになく凛としていた。そして妹は脇目も振らずに400メートルトラックを
疾走し始める。編み込んだ長い髪の毛が、尻尾のように揺れている。

妹がコーナーを回る。俺のいるホームストレートから次第に遠くなってゆく。
妹の赤ともピンクともつかない色のジャージが、夜間照明に映えている。
俺が妹の走りを見るのは、あの運動会の時以来だ。
あの頃と何が変わったのか……妹は変わらず輝いている。

バックストレートに差し掛かった。妹は前を走っていた中年男性を追い抜いた。
妹はどんなイメージでこのトラックを走っているのだろう。

俺はコーナーを走る妹の姿を確かめたくなって、最終コーナーまで思わず駆けた。
妹は真っすぐ背を伸ばし、華麗なフォームでコーナーを駆け上がって来る。
妹が俺の側を走り過ぎる。その時妹は、一瞬俺の方を見て、ニコっと笑った。
その笑顔には鋭さがあった。妹は女彪のように気高く、美しかった。

妹はトラックをちょうど一周したところで、見えないゴールテープを切った。
俺はゴールした妹のもとに、透明な旗を持って駆け寄って行く。

妹「はぁっ……はぁっ……はぁっ……あ~走った……」

兄「お前、走ったなぁ」

妹「はぁ……はぁ……はぁ……」

兄「聞くの忘れてたんだけどさあ」

妹「なんですか? はぁ~……はぁ~っ……」

兄「そのジャージの色、なんてーの?」

妹「これ? ワイン……レッド……」

兄「あー俺、レッドピンクとかピンクレッドとか言うのかと思ったよ」

昨夜は1時ぐらいからいきなりネット(プロバイダ)の調子が
悪くなりましてすみません(規制ではありません)

朝なのでこの辺で・・・
続きは夜になってしまいます・・・

保守ありがとうございます
ふぅ
もう少ししたらまた来ます

需要無いかもしらんが保守がてら

兄「なぁ、今日は学園祭じゃないのか」
妹「それが何か?」

兄「「それが何か?」って。参加しなくていいのか?」
妹「面倒です」

兄「いや、気になる先輩とか後輩とか同級生とかとお近づきになるチャンスじゃ」
妹「そんな人は居ません」

兄「……そうか」
妹「私は兄さん一筋ですので」

兄「お前は何を言ってるんだ」
妹「そんなに照れなくてもいいのに」

妹「ふぅ~~~っ」

兄「いきなり全力で走るとは思わなかったな」

妹「いい色でしょ」

兄「ああ、いい色だよな。すごく似合ってるぞ」

妹「ほんと? 嬉しいな。この色が気に入って買ったから」

兄「こんなんでワインレッドって言うのか。かなりピンクっぽいんだけど」

妹「赤系が良かったんだけど、赤やピンクは馬鹿っぽい色しかなかったんですよ」

兄「なんで赤系?」

妹「理由なんかないですよ。あるのかもしれませんけど」

兄「ほんとは俺、すごく感動している」

妹「熱血コーチっぽいですね」

兄「速かったな。一周走り切ったな」

妹「最初は行けるとこまでで、いつでもやめようと思ったのですけどね」

兄「ランニングフォームも綺麗だったよ」

妹「それだけは意識してました、コーチ」

兄「いきなりでもこれだけ走れるんだな」

妹「ね。自分でもびっくりですよ。感覚的にもかなり速かったのです」

兄「もっと走りたい?」

妹「いや、もういいです。自分でなんか納得しちゃったから」

兄「俺もゆっくり走って来ようかなあ」

妹「兄さん、一緒にジョグしませう」

兄「おし」

妹「トラックだと邪魔になるから、大回り一周で」

兄「それでいいや。行こう」

妹「……ゆっくり走りませう、兄さん」

兄「……うん」

妹「ふぅ。フフフフ」

兄「何かおかしい? 何笑ってる?」

妹「いえ、何にも。頭空っぽです」

兄「『アハハハハハ、ウフフフフフ』はやらないのか?」

妹「アハハハハハ。ウフフフフフ」

兄「棒読みかよ」

妹「兄さん、そんなにやりたかったの?」

兄「いや、そういう訳じゃ……」

妹「最初にやったじゃないですか。お約束で」

兄「そう言えばそうだな」

妹「あと、あれはね、畑の中とかでするんですよ」

兄「そうか」

妹「背の高い草? とか植えてるようなとこ」

兄「トウモロコシとかサトウキビとかか」

妹「そう。草の陰に隠れて、『こっちだよ~』とか」

兄「『どこだよ~』とか言うんだな」

妹「ここみたいに、広くて何にもないとつまらないです」

兄「そうだな」

妹「あと、野原の斜面とかですね」

兄「なんで斜面?」

妹「穴ぼこが空いてたりして、つまづいて転んじゃったりして」

兄「あ、その辺足元注意をしろよ」

妹「マムシが出るの?」

兄「出ねーよ」

妹「『捕まえてごらん、あっ』とかって転んじゃって」

兄「『ほ~ら捕まえた』とか言うのか。人生大変だな」

妹「あ~、一周結構長かったですね」

兄「ひょっとして1キロぐらいあった? そんなにはないか」

妹「そこでゴールですね。ゴール」

兄「ゴール。ふぅ」

妹「ふぅ」

兄「歩くか……」

妹「はい……」

兄「……このまま帰ろうか……今日は最初だし」

妹「はい……そうしませう」

兄「疲れた?」

妹「それなりに」

兄「また来ようか……」

妹「そうですね」

兄「それじゃ、運動公園さようなら」

妹「さようなら。また来るよ~」

兄「いい陽気だな。夜でもあったかい」

妹「兄さん、桜、綺麗ですよね」

兄「さっき来る時に、俺言ったろ」

妹「目に入ってたようで、入ってませんでした」

兄「そか。緊張してたのかね」

妹「この辺から見るのが一番綺麗です。照明あるし」

兄「そうだな。ライトアップみたいになってるしな」

妹「満開ですね」

兄「いつまで持つのかな、花」

妹「美人薄命……」

兄「縁起でもないこと言うなよ」

妹「美人と薄命だったら、私は美人の方を選ぶのですが」

兄「そりゃ誰だってそうだと思うけどな」

妹「私は意外に生命力あると思いますよ。心配しないでください」

兄「今度の土曜、昼間に花見でも行かないか?」

妹「桜はもういいです。お花見もなんか……」

兄「陽気も良くなって来たし、日に当たりに行こうよ」

妹「日なたぼっこなら、ベランダでしているのです」

兄「昼間出るのはイヤか」

妹「そうでもないんですけどね。知ってる人に会いそうな感じがイヤなのです」

兄「じゃあ俺は知らない人?」

妹「兄さん、それ新しいですね。ちょっと想像力が刺激されました」

兄「なんかまた、アレなナニだろ」

妹「そうなのですけど、もうちょっと深い感じも」

兄「どう深いのかね。と、つい聞いてしまうな」

妹「いえ、もし兄さんが私の知らない人だったとしても、私は兄さんを見つけると思うのです」

兄「ぬ」

妹「仮定の話ですから。でも見つける手間が省けました」

兄「お前が赤ちゃんだった頃を思い出したよ、急に」

妹「恥ずかしいですよ、それ……」

兄「まあいっか」

妹「何が『まあいっか』なんですか?」

兄「まあいいだろ」

妹「いいですけど……」

兄「あー。夜の散歩も……もうすぐ家か……」

妹「兄さん、私ね、一回学校行かなきゃって思っているのです」

兄「何だってぇ?」

妹「いつまでも兄さんに迷惑かけていられないですし」

兄「待て。学校行く気になったのか?」

妹「いいえ。やっぱりあそこは魑魅魍魎の巣です」

兄「…………」

妹「妖怪教師と女子生徒の皮を被った豚変化と男子の形をした小鬼で溢れています」

兄「お前の目にはそう映っているわけだ」

妹「自分で学校に話をつけに行こうと思っているのですよ。後で話しますから」

兄「わかった。後で聞くよ」

ここで休憩を挟みます。いいよね?

(帰宅)

妹「ただいま」

兄「ただいま。お前のいない家に帰ってくるのは久しぶりだな」

妹「出迎えがいませんね。では、お出迎えの儀式を行わねば」

兄「どんな儀式だよ」

妹「外の邪を祓い、内なる性欲に溺れるのです」

兄「お前、家に帰った途端そんな調子だな」

妹「お出迎えのキスぐらいでよろしいでしょうか?」

兄「お前さ、こないだ『キスが怖い』って言ってなかったか?」

妹「キスは、するのはいいかもですが、されるのが怖いのです」

兄「じゃあさ、してもいいぞ。キスぐらいなら」

妹「でも兄さんに待ち受けられてると思うと、もうダメなのですね」

兄「難しい奴だな」

妹「『お兄ちゃ~~ん、チュ』とかできれば、きっと一番いいのでしょうが」

兄「昔はそれに近かったけどな」

妹「私にも人並みに羞恥心はあるのです。成長しましたね」

兄「そう言われて、何て返したらいいんだ。え?」

妹「『恥じらってるお前が、すごく可愛い』ですかね」

兄「はい。わかりました」

妹「棒読みはやめれ」

兄「俺だってお前にハグぐらいしてやれば落ち着くかなぁと思ってるんだよ」

妹「なんですか、兄さん。その言い方は」

兄「え、なんかまずかった?」

妹「女心を全く理解していない、変態レイプ魔なのです」

兄「どの口が言うんだ」

妹「いいですか、兄さん」

兄「なんか怒ってる?」

妹「『兄さんはハグぐらいしてやりゃあ、落ち着くよなぁ、どうどうどう』って言われたら?」

兄「すまん。でもそうじゃないと思う」

妹「そうじゃないのに、そういう風に言うから!」

兄「おいで……」

妹「だめ」

兄「ごめん。悪かった」

妹「今ハグされるのも、怖くなったのです」

兄「大丈夫か?」

妹「はぁ。大丈夫ですよ。ごめんなさい」

兄「俺は、お前が可愛いんだよ……」

妹「じゃあ私が油断してる時に、そっと肩を抱いてください。そしたら私、泣いちゃいますから」

兄「いきなり泣くなよ。俺だってそんな器用じゃない」

妹「私、兄さんの前で泣いてませんね。泣いたらチャンスですよ」

兄「何のチャンスだよ」

妹「めくるめく愛欲チャンスです。美女と野獣の」

兄「勝手に野獣にするなよ。俺、そんなタイプじゃないぞ」

妹「兄さんの着ぐるみを脱いだ野獣が牙を向くという意味なのです」

兄「わかったわかった。立ち話もなんだから、座って話をしよう」

妹「井戸端会議でしたねえ。あらあらや~だわ」

兄「さっきの話の続きな。聞くよ」

妹「待って」

兄「え?」

妹は急に、俺に抱きついて来た。
細い身体でギュッと俺を抱きしめながら、俺を見つめている。
俺は不意に妹の唇を奪いたくなったが、ぐっと堪えた。

妹が、少し笑った。
さっきの運動公園のコーナーで見せた、あの微笑だ。
何故だかわからないが、俺はちょっと涙ぐみそうになった。

妹「えへへへへへへ」

兄「何だよ」

妹「兄さん、油断してたから」

兄「油断してたよ。ああ」

妹「……ずっとこうしたかったですよ」

兄「……うん」

妹「あの時と同じ顔してた。今」

兄「あの時って?」

妹「トラックですれ違った時」

兄「え」

妹「えへへへへ」

兄「何だよ」

妹「こいつ、私に絶対惚れてるなって顔」

兄「惚れてるよ。惚れ惚れしてるよ」

妹「わかってるんですよ」

兄「だってお前、すごく可愛いんだもん」

妹「兄さん、ジャージのままなのですよ。私たち」

兄「馬鹿みたいだな」

妹「一緒にお風呂に入りませう」

兄「あ、ああ」

妹「バスタオル巻きますから」

兄「それなら安心だな」

妹「スキンシップの一環です」

兄「スキンシップの一環な」

妹「と、油断させておいて、と」

兄「じゃあ油断するか」

妹「普通にお背中お流ししますから」

兄「ありがとう。お前も洗おうか?」

妹「え」

兄「いいから入ろう」

妹「はい」

兄「何にもしないから」

(風呂場)

妹「兄さん、入りますよ」

兄「いいよ」

妹「バスタオル巻いてきました」

兄「本当に巻いてきたんだな」

妹「巻いて欲しくなかったのですか?」

兄「いや、特にない。湯入れたから後で入れよ」

妹「では、お背中お流ししましょう」

兄「よろしく」

妹「力、抜けてますね兄さん」

兄「そうだね」

妹「……あっちの方も力抜けてますね」

兄「そうだな」

妹「妹の手コキで出す味を覚えたのに」

兄「スキンシップだな」

妹「はい。背中終わりました。こっち向いてください」

兄「はい」

妹「兄さん、疲れてますね」

兄「そうかもね」

妹「足も洗っていいですか?」

兄「いいよ」

妹「……あ、少し大きくなってきましたね」

兄「そうかな」

妹「ここも洗いますから、ちゃんと」

兄「どうぞ」

妹「兄さんのこれ、好きなのですよ」

兄「そうか」

妹「触ってるだけで、感じちゃうのです」

兄「可愛いな」

妹「ちょっと硬くなってきましたね」

兄「ああ」

妹「お尻も洗いますよ。腰浮かせてください」

兄「うん」

妹「本格的にアワアワで手コキしちゃいますよ」

兄「あー気持ちいい」

妹「順調に鬼畜の道を歩み出していますね」

兄「どうかな」

妹「一回、シャワーで流しましょうか」

兄「ん」

妹「バスタオル取っちゃいますよ」

兄「おお」

妹「私も裸になっちゃいました。流しま~す」

兄「は~い」

妹「あ、すごい勃ってます。きゃあ~」

兄「だってさ」

妹「なんだ、やっぱり私の裸で興奮するんですね」

兄「そうだよ」

妹「そんなにじっくり見るんですか」

兄「可愛いからさ」

妹「恥ずかしいよぉ~」

兄「いいだろ」

妹「兄さんの背中に隠れて、おっぱいぴとっ」

兄「好きだよ」

妹「もう……もう……後ろから本気で手コキしちゃうの」

兄「感じるよ」

妹「ああ……すごいおっきい……すごいおっきく」

兄「あぁっ」

妹「もうだめ……もうだめ……たまらないです」

兄「どうする」

妹「乗ります……」

兄「来い」

妹「あぁっ……兄さん……私のあそこで擦り付けますよ……」

兄「あああっ……」

妹「兄さん……イってくれますか……?」

兄「イキそう……」

妹「兄さん……もう……入っちゃいそうだよ……」

兄「ゴムないよ……」

妹「買うから……今度買うから」

兄「ああああ……イク……」

妹「あ……もういっちゃう……もういっちゃうよ……」

兄「イクよ……」

妹「出して……あっあっあっあっ……あぁぁん」

兄「ああああ……あぁっ……あぁっ」

俺は妹の美しい裸体に向かって、思いっきり射精した。
妹はしばらく、小刻みに震えていた。
俺の頭はいつからか、ぼんやりとしたままだった。

ただ妹が、この世で一番美しく気高いものに思えた。

妹「兄さん……好き……好き……好き……」

兄「ああ……」

妹「こんなに好きなのに……まだ好きになるんです……」

兄「好きだよ……」

妹「ねぇ……ねぇ……ねぇ……ねぇ」

兄「うん……」

妹「止まらない……ギュってしてください……」

兄「ああ……好きだよ」

まだ起きて続きどんどん書いてますけど
寝落ちしそうです
区切りがいいところでまた投下します

(風呂上がり)

妹「兄さん、ベッドで横になって話しませう」

兄「ああ、そうしよう」

妹「さっぱりしましたか? んしょ」

兄「うん。あ、お前そっち?」

妹「こっち側がいい?」

兄「うん。なんとなく」

妹「疲れましたよね?」

兄「まあ。お前も疲れただろ?」

妹「うん。でも話はするからね」

兄「うん。俺も聞くから」

妹「眠くなったら、寝ちゃってくださいね」

兄「いや、ちゃんと聞くよ」

妹「えーあー。あ、急に話しづらくなりました」

兄「エロいことでも言えよ」

妹「そう言われても、急に思いつきません」

兄「解放しちゃったから?」

妹「そうみたいですね」

兄「お前も随分、力抜けた感じがするな」

妹「兄さんの力が抜けたからですよ」

兄「そうか」

妹「ごめんなさい。さっさと話しますね」

兄「気楽な話でいいよ」

妹「じゃ、学校の変態教師の話をしますね」

兄「いるのか、そんなのが」

妹「いるんですよ。一年の時ですけど、今どき体罰っぽいことをする先生がいました」

兄「桃太郎は鬼が島に鬼退治に行きました」

妹「兄さん、眠くなってますね。おとぎ話を続けますよ」

兄「はいはい」

妹「その先生はおそらくロリコンで、可愛い女の子が好きでした」

兄「イヤなおとぎ話だな」

妹「ある日、私でない、そこそこ可愛い女子が体罰を加えられました」

兄「お前じゃないんだな」

妹「違います。その先生の体罰は、生徒のお尻を平手で軽く叩くというものです」

兄「なんだそれ」

妹「その女子がお尻を叩かれた時、先生の中指が少し内側に食い込んでいました」

兄「ええっ」

妹「おしまい」

兄「それ問題だろう。処罰ものだろう」

妹「クビにして欲しいです」

兄「教師ってなかなかクビにならないからなぁ」

妹「それを目撃してしまったのが辛かったです」

兄「お前じゃないんだよな?」

妹「ほんとに私じゃないんですけど、ある意味やられたのも同然ですね」

兄「可哀想になあ。その子もお前も」

妹「そんな魑魅魍魎の跋扈する中学校なんですが」

兄「ごめんな、今まであまり話聞いてやれなくて」

妹「もう行かないことにしました」

兄「……はい?」

妹「続きがあります」

兄「……はい」

妹「緊張しますね」

兄「エロいこと言っていいぞ」

妹「ダメ。さっきの思い出して興奮しちゃいますから」

兄「では、続きの発表です。どうぞ」

妹「私、大学に行きたいのです」

兄「……………………ぎゃふん」

妹「どうして『ぎゃふん』が棒読みなのですか?」

兄「待て。話が飛びすぎてる」

妹「そうですね。先の話みたいに聞こえますからね」

兄「先の話すぎるだろ、大学なんて」

妹「でも兄さんも、私の高校受験がどうとか、先の話をするじゃないですか」

兄「あー、えー、それからそれで?」

妹「私は中学も高校も行かずに、高卒認定試験を受けて、大学に行きたいと固まりつつあるのです」

兄「はい?」

妹「この攻略法は結構チートなのですよ」

兄「ごめん、どういう意味?」

妹「中学卒業しなくても高卒認定試験が受けられて、しかもそれが結構簡単なのです」

兄「え、そうなのか」

妹「中学や高校に行きたくない私にはぴったり!」

兄「待て待て。中学や高校には本当に行きたくないのか?」

妹「はい。行きたくありません。クラスとか、子供の群れ的な空気がもうダメなのです」

兄「天国の父さん、母さん、妹はこれで良いのでしょうか……」

妹「良いって言ってるようですよ」

兄「まあ、聞いても答えてくれないというか、こっちで考えないとしょうがないしなあ」

妹「私たちが与えられた運命から考えれば、ダイナミックな選択の方が向いてると思いますし」

兄「ごめん、少し目が覚めたけど、頭がついてかない」

妹「とにかく、『中学に通わなきゃ』ということを、まず頭から切り離したいのです」

兄「まあ、その強迫観念が逆効果だというのは今はわかるよ」

妹「そのプレッシャーだけで、朝からお腹痛くなっちゃうのですよ」

兄「ううむ」

妹「クラスのアイドルにされて、惚れた腫れた嫉妬やっかみエロ暴力みたいな世界がもうイヤなのです」

兄「お前は他の子より、ほんとに苦痛だったろうよなあ」

妹「中学でクラス替えしても、高校に行っても、状況が変わるとは思えません」

兄「じゃあ大学はどうなんだ?」

妹「大学は、中学や高校よりも閉鎖的ではないですよね」

兄「まあ、逃げ場はいくらでもあるよな。でもどうして大学は行きたいわけ?」

妹「普通の理由です。勉強して大学出て、仕事したいからです」

兄「普通だな。まあ元々、お前を大学に行かせるぐらいの心づもりはあったよ」

朝の更新ここまでです・・・
再開未定ですが・・・まだまだ

妹「ありがとう、兄さん。兄さんは私の父であり兄であり男であります」

兄「俺は親父とお袋からお前を預かってるだけだ」

妹「預けた人は、もういません。兄さんの自由にしていいのですよ」

兄「お前にはお前の自由があるだろう」

妹「私も、それに気がついたのです。だからこそ、自由な選択を思いついたのです」

兄「自由すぎるんだよな、ちょっと」

妹「自由じゃないのは、兄さんの方なんですよ」

兄「いや、そんなことはない。親もいないし随分と自由だ」

妹「いえ、兄さんは親がいなくなった時から、親代わりで子供を背負ってしまったのです」

兄「お前のことか」

妹「子供は、私と兄さん自身です。子供が子供を育てていたのです」

兄「叔母さんがいたじゃないか」

妹「私は形的には兄さんっていう父と、叔母さんっていう母がいましたけど、兄さんは違います」

兄「お前が可哀想だったんだよ。ちっちゃい子供だったお前が」

妹「兄さんは可哀想じゃなかったんですか?」

兄「俺はもうお前ぐらいの年だったからな。何もわからないお前の方が辛かったろう」

妹「父さん母さんがいなくなってから、毎日泣いてましたけどね、私」

兄「そうだな……そんなこともあったよ」

妹「でも私は、泣くだけ泣いて、泣きやみました。兄さんは、まだ泣き切ってないのですよ」

兄「泣けるもんかよ……俺が強くなくてどうする……」

妹「兄さんは強いですよ。わかってます」

兄「そうだよ……俺は頑張って来たんだよ……」

妹「兄さんはね、そうやって自分の悲しみを押し殺しているつもりなのです」

兄「うっ……うっ……違う……」

妹「お願いですから兄さん、私のためにも泣いてください」

兄「いやだよ……いやだよ……折れちゃうじゃないか……」

妹「兄さんを自由にしてください。私を自由にしてください」

兄「何一つ……不自由なんか……させてない」

妹「兄さんの心の傷は、まだ癒えてないのです」

兄「あああっ……うわぁっ……ううっ……」

妹「ごめんなさい……ほんとにありがとう、兄さん」

兄「お……お前を……杖にしてきちゃったよ……ごめんよ……ううっ……」

俺は妹の前で、涙を見せてしまった。妹も涙を浮かべていた。
知らず知らずのうちに、俺は妹に負担をかけていたのかもしれない。
俺の強がりが、妹の心に痛みを与えてしまったのかもしれない。

妹が俺にキスをした。柔らかい唇の感触が、とても優しかった。
俺はふと、両親の死を知らされた日の電話を思い出し、余計に泣いた。
妹が俺を抱きしめてくれた。俺は妹の胸の中でひたすら泣き続けた。

【第三部おわり】

【第四部】

(日曜)

妹「お帰りなさい、兄さん。結婚パーティーはどうでした?」

兄「あ。うん。まあ。まあまあ」

妹「微妙な答えですね。楽しくなかったのですか?」

兄「いや、面白かったよ。それなりに」

妹「マジックショーで人体が血しぶき上げて、本当にバラバラになったとかですか?」

兄「いや、それはなかった」

妹「兄さん、すごく素敵ですよ、その格好」

兄「そりゃ一応フォーマルだからな。……着替えて来る」

妹「あ~、兄さんの写真撮っとけばよかったな」

兄「悪かったな。早く楽な格好になりたかったんだよ」

妹「パーティーは何人ぐらい来てたのですか?」

兄「結構いっぱい。100人は余裕でいたろうな」

妹「そのうち3組ぐらいの即席カップルが、今ごろセックスしてる計算ですね」

兄「どんな計算だよ」

妹「そのうち1組は本当に付き合っちゃうんですけど、残りの2組はセフレ化しますね」

兄「お前の推察は恐ろしいな」

妹「兄さんは、無傷で帰って来ましたよね?」

兄「あのさ……」

妹「兄さんがそういう切り出し方をするときは、身構えてしまいます」

兄「どうして?」

妹「難しい話のような気がするからですかね」

兄「いや、そうじゃないよ。でもお前にとってはそうなのかな?」

妹「ちょっと怖いんですよね」

兄「いや、ビンゴ大会で二等が当たったんだよ」

妹「なんだ。ラッキーじゃないですか。もったいつけて」

兄「まあな」

妹「何が当たったんですか?」

兄「あー、クイズ!」

妹「ヒント!」

兄「ヒント? ちなみに一等景品は液晶大型テレビだった。あれ、中型かな?」

妹「え、それって結構豪勢な気がするのですが」

兄「先輩もちょっとお坊ちゃんだからな、少し張り込んでるかもな」

妹「とすると、液晶小型テレビ相当の景品ですか、二等は」

兄「そうだな。値段的にはそんなもんなのか? よくわからん」

妹「ずばり、iPod系とかですか。いい線のような気がします」

兄「ブブー。全然違います。堅いものではありません」

妹「コンドーム詰め合わせ!」

兄「ねーよ」

妹「なんだろう。こんにゃくじゃないですよね」

兄「別にやわらかいものでもないから」

妹「ダメだ。ダッチワイフとか出てきちゃったのです」

兄「ダメすぎるだろう」

妹「降参するのは悔しいですけど……降参」

兄「正解は……」

妹「正解は?」

兄「あー、箱根の温泉ホテルペア旅行券」

妹「ウホッ!」

兄「ウホッじゃねえだろ」

妹「行く行く行く行く。行っちゃうよ」

兄「え、ほんとか? 」

妹「連れてって連れてって連れてってよ~」

兄「『あんまり気分じゃないです』とか言うかもとか思ってたぞ」

妹「私でいいの? 私でいいよね?」

兄「そりゃ俺だって、お前としか行く相手がいないよ」

妹「兄さんは行きたくないのですか?」

兄「当たった時さ、『引きこもりの妹を連れ出して、遊んで来ます』って言ったんだな俺」

妹「おおーっ」

兄「会場が『おおーっ』ってなったよ。美談化されたみたいだ」

妹「ね。ね。行こうよ兄さん。美談ですから。美談美談。私美人ですし」

兄「いつ行く? 年内有効なんだけど」

妹「お、話が早いですね兄さん」

兄「ゴールデンウィークとか夏休みとかは対象外だってさ」

妹「他ならいつでもいいの?」

兄「ちょっと券を持って来るよ」

妹「あ、兄さん、これ温泉テーマパークの無料券付き?」

兄「って言うか、そこのホテルなんだろうな」

妹「水着がいるんですね……」

兄「そうみたいだな」

妹「水着がない……スクール水着は絶対にイヤなのです」

兄「そりゃそうだろうよ」

妹「水泳大会の時、私のふくらみかけの胸に視線を投げる男子の群れを思い出しました」

兄「極めて男子的なアレだなぁ」

妹「フッと目をやると、フッと目をそらすんですよ、まったく」

兄「水着、買っていいからさ」

妹「ほんと? ほんとほんと? 今買うすぐ買う~!」

兄「で、いつ行きたい?」

妹「今行くすぐ行く~!」

兄「じゃ今から行くか、って行けねぇよ」

妹「1泊2日ですよね。じゃあ次の土日」

兄「早いな」

保守、ご支援本当にありがとうございます
ちょっと中断します

だいぶ疲労しておりますが
END目標を4/10土曜午前2時と考えています
おそらくスレの流れ的に950は越えるかと

妹「ホテルの予約、必要ですよね。ちょっとネットで調べてみます」

兄「ほい」

妹「ふん。ふんふん。ふん……」

兄「どうだ」

妹「よっ。来た。う~ん、なるほど……」

兄「お、空室照会とかちゃんとあるな」

妹「その次の週は満室だし私生理、次の次からはゴールデンウィーク、5月に入ってもだめ……」

兄「結構混んでるのかな」

妹「やっぱり次の土日ですかね~、残り少ないけど。即決即断!」

兄「行きましょう」

妹「ちょっと待ってね。キャンセルとか調べて、水着買って、乗車券も予約して……」

兄「頭働いてるな」

妹「水着は月曜注文で金曜までには届くよね……そっちも確認しなきゃ……」

兄「うんうん。がんばれがんばれ」

妹「乗車券はきっと大丈夫よね……空席状況だけ一回見ておいて……」

兄「大変そうだな」

妹「あそうだ、ホテルに電話するという手もありますね……先にネット予約して……ぶつぶつ……」

兄「いいようだったら、俺が電話で予約しておくよ」

妹「いいの! 兄さん、私に任せてください。私の方が時間あるし、いろいろあるし」

兄「いいよ、やるよ」

妹「兄さんは私に何も任せてくれないんだから!」

兄「だってお前、中学生にさ……」

妹「ええと、アカウント取得ですか……ふむふむ……」

兄「わかった、全部お前に任せるから……」

妹「よし、っと。方向性は決まりました。次の土日に行くことにします」

兄「結局、最初と同じなんだな」

妹「ここまでには苦難の道のりがあったのです! いろいろシミュレーションしたり」

兄「何にしろ、お前が出かける気になってくれて、俺は嬉しいよ」

妹「ホテルの予約はまだ入れてないですよ。明日の朝一ぐらいまでにするつもりですから」

兄「はいはい。よろしくお願いします」

妹「さてと、次は水着ね。どうしよっかなぁ~」

兄「どんな水着買うんだよ」

妹「気になる? 気になる?」

兄「可愛いのがいいな」

妹「ものすごく大雑把ですね、兄さん。可愛くない水着なんて買いませんよ」

兄「お前が着れば何でも可愛いけどな」

妹「それも大雑把です。だからぁ、ビキニにするかワンピにするかなのですよ、まず」

兄「どっちにするんだ?」

妹「多分ビキニですかね」

兄「ほぉ」

妹「ワンピも似合う体型なのですけどね、もう少し胸があった方がごにょごにょ」

兄「ビキニだと、その、余計アレがナニじゃないのか?」

妹「太めでも細めでもビキニの方が、その、ごまかしがきく感じがするのです」

兄「へぇ~、そうなのかね」

妹「私の場合はブラの形やパッドで……って、もういいでしょ?」

兄「はい」

妹「だからそういう顔で見ないでください」

兄「顔に貧乳って書いてあったか?」

妹「貧乳貧乳言ってると、ほんとに大きくならないですからね。呪文唱えないでください」

兄「わかったよ。貧乳って言わないからさ」

妹「せめてなんか、オブラートに包んだ言い方を」

兄「発展途上乳?」

妹「嫌いです、兄さん」

兄「もう俺たち終わり?」

妹「はい。明日から別居です」

兄「さようなら。悲しいけどさ」

妹「兄さん、私、知ってるんですよ」

兄「何をだよ」

妹「兄さんが本当は貧乳好きだということをです」

兄「え?」

妹「兄さんの姉萌え巨乳萌えが気になってたんですよ」

兄「まぁいいからさ……」

妹「あれも『反転』の結果なのかなあって」

兄「なんだよ、『反転』って」

妹「兄さんは、わざわざ私と反対の属性を選んでいました」

兄「そう言われても、わからないな」

妹「私を無意識に否定していました」

兄「お前を否定しているわけじゃないぞ」

妹「私を性の対象に見ないように見ないようにとしていました」

兄「むう」

妹「妹に欲情しないため、姉属性だと言い聞かせていました」

兄「その辺にしておくれよ、お嬢ちゃん」

妹「ごめんなさい」

兄「いや、言う通りかもしれない」

妹「本当は兄さんが貧乳好きかどうかは自信ないです。でも、私たちはいろいろ反転しています」

兄「どんな?」

妹「私が口走るエロいことは、私が受けてきたエロエロ放射線の反転です」

兄「お前は愛情が必要なときに足りなくて、後で歪んだ欲望ばかり向けられてきたからだな」

妹「攻めるのはいいのに、受けるのが苦手な私だったり」

兄「それも同じだ。素直な愛情まで、受けるのが怖くなってるんだ」

妹「案外女々しいとこがある兄さんだったり、男性的なアプローチする私だったり」

兄「俺が支えているようで、実はお前に支えられてたりな」

妹「兄さんが貧乳貧乳言うのは、男子の歪んだ愛情表現と同じ感じだったり」

兄「そうだな、悪かった。俺はお前に姉を望んでいたのかもしれない。今気づいたよ」

妹「私を反転させて、姉にしていたのですね。私も今ようやくわかりました。あはははは」

兄「なんでそんな顔して笑うんだよ」

妹「なんだ兄さん、やっぱり最初っから私のことが好きなんだ~」

兄「お前が俺に言ってたことは、俺の気持ちの裏返しだったりしたら恥ずかしいじゃないか」

妹「兄さんは私のことが好きで好きでしょうがないんだ~」

兄「可愛い服着てるよな、今日」

妹「なんで今ごろになってそういうこと言うんですか?」

兄「帰って来たときからそう思ってはいたけど」

妹「兄さんが今日パーティーに行ったから、私もお洒落したのですよ」

兄「お前がパーティーに行くわけじゃないだろ」

妹「兄さんがパーティーで他の女の人に目移りしても、対抗したかったからです」

兄「可愛いな。こっちおいで」

妹「だめ」

兄「だめじゃない。もうだめじゃないから」

妹「やだよぉ。兄さん嫌いだよぉ」

兄「困ったなぁ」

妹「兄さんがこっち来るの」

兄「俺、お前のおっぱい好きだよ」

妹「いきなりすごいこと言う」

兄「いつもみたいに、見せてごらん」

妹「やだ」

兄「綺麗な形してるだろ。美乳だろ。乳首も可愛いだろ。知ってるよ」

妹「やぁっ」

兄「ボタン外すよ」

妹「だめ」

兄「もう着替えの時間だろ」

妹「まだなの」

兄「ボタン全部外しちゃったよ」

妹「隠すもん」

兄「隠さなくたっていいだろ。ほら、可愛らしい水色のブラだね」

妹「いやっ」

兄「スカートも脱がせてあげるよ。着替えなきゃね」

妹「だめっ。だめ」

兄「パンツもお揃いなんだね。足も細くてすごい綺麗だよ」

妹「もう……もう……」

兄「ブラ外して欲しいのかな?」

妹「違う……」

兄「ホック外れちゃったね」

妹「外しちゃだめ……」

兄「ストラップも落ちちゃったよ」

妹「…………」

兄「もう抵抗しないんだね。ブラ取っちゃおうね」

妹「……いや」

兄「可愛いおっぱいだね。張りがあって。ツンとした乳首で」

妹「……や」

兄「乳首も綺麗だよ。真ん丸でいい大きさで。美乳首だね」

妹「……や」

兄「ちょっと舐めちゃおうか」

妹「……あぁん」

兄「エッチな声出ちゃうんだね。こっちも?」

妹「……あぁっ……あぁ」

兄「可愛いから乳首吸っちゃうよ」

妹「あっ……兄さん……あっあっ……」

兄「感じちゃってるんだ」

妹「か、感じちゃうよぉ……」

兄「こっちはどうかな? 水色のパンツは」

妹「どうするの……?」

兄「ちょっと上から触ってみようか? 腰動いちゃうね」

妹「あぁっ……だめっ……だめ……」

兄「湿ってきちゃってるねぇ、もう」

妹「ずっと……こんな想像……してたんだから……」

兄「俺にこんな風にされるって?」

妹「そうなの……そうなの……」

兄「反転したんだよ」

妹「兄さん……兄さん……」

兄「こんな風に、指動かされたりして?」

妹「あぁん……兄さん……」

兄「いっぱい濡れてきちゃったね」

妹「もう……もう……」

兄「直接触るんだよね。すごいヌルヌルだ」

妹「あ……そう……いい……」

兄「いっぱいなぞっちゃうよ。クリトリス気持ちいい?」

妹「あっ……そこ……感じる……」

兄「指少し入りそうだね。ちょっとだけ入れてみようか」

妹「ん……ああっ……」

兄「乳首もいじっちゃうよ。もうイっちゃいそうだろ」

妹「私……イっちゃうの……? 」

兄「ああ、イっちゃうんだよ」

妹「イかされちゃうの? 兄さんの……指で……」

兄「そうだよ。そうだよ」

妹「い、イっちゃう……イっちゃうよ……」

兄「イっちゃいな。イっちゃいな」

妹「あっあっあっあっあっあっ……」

兄「可愛いよ。可愛いよ」

妹は俺の腕の中でガクガクと震えながら、上気した顔で俺を見ていた。
目が潤みながらも、口元が少し笑っているようだった。

しばらくして落ち着いた妹は「髪の毛切らなきゃね」と言った。
少しずつ変化してゆく妹が、たまらなく愛おしい。

【第五部】

(土曜朝、新宿駅ホーム)

妹「はい、ロマンスカーが到着しました~」

兄「来たね」

妹「今日明日と二日間、お客様の旅のお供をさせていただくガイドでございます」

兄「ガイドなのか」

妹「では、車内準備ができましたので、乗車いたします」

兄「はい」

妹「私はお客様の隣に座らせていただきます」

兄「ガイドさん、お綺麗ですね」

妹「よく言われるんですよ。お兄さんも素敵ですね~」

兄「ありがとうございます」

妹「私、一目ぼれしちゃいました」

兄「なかなかお上手ですね」

妹「お上手だなんて、そんなそんな~、本心なんですよ」

兄「おやつは300円までですか?」

妹「おやつはご自由に、お好きなだけどうぞ」

兄「お前も何か食べる?」

妹「あ、後でにします」

兄「だけどさ、援交みたいに見られたらイヤだな」

妹「そんな。どこからどう見てもガイドさんとお客さんじゃないですか」

兄「こんな団体ツアーがあるかよ。しかし随分ガイドにこだわってるな」

妹「そりゃもう、きっちり旅行プラン練ってきましたから」

兄「ノリノリだな」

妹「でもガチガチなプランじゃないんですよ」

兄「ガチガチはやだなぁ」

妹「この場合ならこう、とかって色々シミュレーションして、えーと、リーズナブルに」

兄「フレキシブルかな」

妹「そうそう。旅の時間は有効に使いたいじゃないですか」

兄「そうだな」

妹「だからネットで調べまくって、旅行ファイルまで作ってしまったのです」

兄「気合い入ってるな」

妹「作ってる間に、かなり頭に入ってしまいました」

兄「なあ、その熱意を少し勉強の方に向けてくれると嬉しいんだけどな」

妹「あっ、車内販売来ましたよ、お客様」

兄「とぼけない」

妹「勉強のやり方というか、方針がわかったような気がしてるのですよ」

兄「そうか」

妹「兄さん、ロマンスカーなんだから、もっとロマンスしませう。旅は楽しまないと」

兄「そうだな。すまん。で、箱根から先はどうやって行くんだ?」

妹「箱根登山鉄道に乗車、その後タクシーの予定です。お客様」

兄「わかりました。ガイド様」

(ホテル到着)

妹「チェックインして参りました。が、お部屋にはまだ入れません」

兄「どうするんですか?」

妹「荷物を預けます。しかる後、先に温泉テーマパークの方へと向かいます」

兄「ガイドさんも一緒に遊びに行くんですか?」

妹「もちろんです。お客様と水着でご一緒いたします」

兄「それは嬉しいですね。こんな可愛いガイドさんの水着姿が見られるなんて」

妹「いえいえ、とんでもございません。では参りましょう」

兄「参りましょう」

(温泉スパにて)

妹「では先に、お昼にいたしましょうか」

兄「そうですね、お腹が空きました」

妹「お客様の注文するものは、だいたいわかりますよ」

兄「そうですか。初めて会ったのに、初めてとは思えませんね」

妹「そうですね。なんか、懐かしい感じがします」

兄「以前どこかでお会いしましたっけ?」

妹「さあ、気のせいじゃないでしょうか」

兄「こんな風に出会えて、すごく幸せですよ」

妹「……では、ここで館内着を脱ぎましょう」

兄「あっ、黄緑のビキニですか。意外でしたね」

妹「明るい色の方がいいかと思いまして」

兄「紐ビキニですね。結構頑張ってますね」

妹「紐の方が調整しやすくていいんですよ。濡れると結び目も堅くなりますし」

兄「そうなんですか」

妹「あと、お客様がいざという時に、脱がせやすいようにですよ」

兄「脱がせて欲しいということですか?」

妹「そうは言ってませんよ、お客様」

兄「ガイドさんの水着に結構興奮してしまいました。ちょっとヤバいです」

妹「嬉しいですよ。お客様のお気に召すよう、努力して参りました」

兄「俺、相当浮かれてしまっているんですが、いいのでしょうか?」

妹「リゾートですから、いいのではないでしょうか」

兄「どこに行きましょうか?」

妹「では、こちらの広い海のスパはいかがですか? みんな泳いでますよ」

兄「いいですね。入りましょう」

妹「何して遊びますか?」

兄「恋でもしますか?」

妹「いいですね。楽しそうですね」

兄「恋はどうやってするんですか?」

妹「アハハハハハ……ウフフフフフ……」

兄「またそれですか」

妹「捕まえてごらん……捕まえてごらん……」

兄「絶対捕まえてやるぞ……」

俺は逃げていた妹を捕まえた。するとまた妹が逃げ出し、俺が追いかける。
妹と俺は、かなりはしゃいでいた。妹はガイドの仮面を被ったままなのだが、
おそらくその方が安心できるのだろう。こういう場所に来るのは久しぶりの筈だ。

妹はもはや、何をガイドしてるかもわからないし、俺も何をガイドされてるのかは
わからない。ただ妹も俺も自由になっているのはわかる。
それにしても妹が本当に可愛い。こんな可愛い子を連れていられる自分が
誇らしく思うほどだ。妹の明るい黄緑のビキニが、キラキラと光っている。

妹「外に洞窟風呂というのがありますよ。行ってみませんか」

兄「面白そうですね。行ってみましょう」

妹「……あっ、外は少し肌寒いですね」

兄「走って行きましょう」

妹「……洞窟の中、かなり暗いみたいですね」

兄「滑りやすいですよ。気をつけてください」

妹「手、繋ぎますよ」

兄「これもガイド業務の一環ですか?」

妹「そうです。お客様の安全を考慮しまして」

兄「ライトはあるけど、モヤがかかってて、本当に視界が狭いですね」

妹「白い霧みたいで、幻想的ですね」

兄「そうですね。天国を思い出しました」

妹「天国に行ったことがあるのですか?」

兄「いえ、よくは知りません」

妹「あっ、奥の方は誰もいませんよ」

兄「完全にカップルエリアですね」

妹「この辺に座りましょうか」

兄「寄り添って来るんですか?」

妹「カップル体験をお楽しみいただこうと思いまして」

兄「すごくサービスがいいんですね」

妹「お客様だけ特別ですよ」

兄「腕の中に入ってきてもいいですよ」

妹「お客様がお望みならば、そういたします」

兄「ガイドさんはお望みじゃないんですか?」

妹「お望みです」

兄「幸せですね」

妹「そうですね」

兄「キスしちゃってもいいですか?」

妹「……まだ早いかもしれませんよ」

兄「あ、人が来る音がしますね」

妹「残念ですね」

兄「でも何してるか全然見えませんね」

すいません、1~2時間中断して
そこからラストまでの予定です

妹「ちょっとドキドキしますね」

兄「ちょっと手、入れちゃっていいですか」

妹「それはサービス対象外ですよ」

兄「もう入れちゃいましたよ」

妹「……ダメですよ」

兄「ちょっと確認したかっただけです」

妹「……お客様、なにか硬くなってますよ」

兄「あ、人いっぱい来ちゃいましたね」

俺たちは人が増えてきた洞窟風呂を出て、また次の風呂へと行った。
妹が俺を先導する。その後ろ姿のプロポーションが美しい。
黄緑のビキニパンツに包まれたヒップからすらりと伸びた足。
妹は裸足で、階段をぴょんと昇ってゆく。俺を振り返って笑う。

俺たちはずっと水着のまま、館内のレジャー風呂や外の変わり湯を楽しんだ。
箱根の自然に包まれたうららかな日も、やがて夕方になり、外の気温が下がって来た。
そろそろ温泉スパを出て部屋に戻り、食事に行くことにする。

(スパのカウンター)

妹「あれ、お客様、家族風呂というのがあるようですよ」

兄「なんですかこれ。個室露天ですか?」

妹「そうみたいですね。お値段もお安いようで」

兄「ガイドさんは行ってみたいということですか?」

妹「そうですね。食事までまだ時間があることですし」

兄「1時間ならいいですかね」

妹「聞いてみますね……あ、全然空いてるみたいですよ」

兄「では行ってみましょうか」

妹「お客様、こちらのドアが家族風呂になります」

兄「ドアが風呂なのですか?」

妹「……ではどうぞごゆっくりお楽しみを……わぉ」

兄「何が『わぉ』なんだよ……わぉ」

妹「いきなり畳の部屋ですね。茶の間ですか」

兄「ここが控え室というか、脱衣場なんですね」

妹「その向こうが露天風呂になっております」

兄「見ればわかります」

妹「この畳の間では、歴戦の強者どもが密かに事を営んでいると言われています」

兄「ガイドさん、すごい説明ですね」

妹「ではとりあえず、お風呂に入りましょうか」

兄「あ」

妹「どうしましたか、お客様」

兄「さっきまでずっと水着姿に見慣れてたのに、急にブラ外したからさ……」

妹「すごい大きくなってますね。ビンビンですよ」

兄「溜まってたしな」

妹「ではお客様、お身体を洗って差し上げますね」

兄「もうすっかり別の商売だなあ、それだと」

妹「ほんとにたまらなそうですね。ビックンビックンしてますよ」

兄「ああ。かなりヤバい」

妹「お湯かけますよ。私もかけますね……ああ、あったかい」

兄「案外寒くないよ。ああ、お前裸じゃないか。すごい可愛い」

妹「そうですよお客様。あらためて興奮してるんですね……」

兄「ああだめだ。ちょっとそんな風に握られただけでもう……」

妹「ほんとにイっちゃいますか?」

兄「ああっ……いいよ……すごく……イっちゃうよ」

妹「いいんですよ。今出しちゃっても」

兄「やらしいよ。たまんないよ……」

妹「私もちょっと楽しませてくださいね……少し挟んじゃいますよ」

兄「あっ……もうイっちゃうよ……もうイっちゃう」

妹「いいですよ……いいですよ……」

兄「ああっ……ああっ……ああっ……あーっ」

俺は妹の裸にすっかり興奮してしまい、あっと言う間に果ててしまった。
俺の精液は、自分の身体の上に飛び散った。妹が俺を洗ってくれた。
外はすっかり暗くなってきて、木樽の露天風呂に二人で入り、暖まった。

しばらくして俺たちは、家族風呂という名の個室露天風呂を出た。
そしてこの日初めて部屋に戻るのも束の間、すぐに夕食バイキングに
向かった。ホテルの部屋着に着替えて、二人してレストランへ。

夜になって落ち着いたのか、妹はガイドから妹に戻っていた。
妹は「食べたいものを食べたいだけ」と言って、デザートに
オレンジを山盛り持ってきて、ぱくぱくと食べた。
俺もつられてパイナップルをたくさん持ってきて、かぶりついた。
食事が終わり、俺たちは館内をぶらぶらしながら、部屋へと戻った。

妹「兄さん、窓から桜が見えますね」

兄「そうだな。来る途中も結構咲いてた。標高が高いから、遅いんだな」

妹「桜の種類が違うのかもしれませんよ。八重桜とか」

兄「そうだな。明日は観光するだろ。箱根はまだまだ桜の見頃かな」

妹「そうですね……今日はくたびれましたか?」

兄「お前の方こそくたびれただろう。ガイドやってあんなに張り切って」

妹「結構そうでもないんですよ。あーでももう横になりたいですね」

兄「とりあえず横になろうか」

妹「セックス的なこと、もうしちゃいましたね」

兄「しちゃったな……」

妹「今日は兄さんに処女を捧げようと思ってたのですけどね」

兄「なんか、そういう流れじゃなくなっちゃったな感じだな」

妹「兄さんは、気持ちの準備はあったんですか?」

兄「半分ぐらいはな。流れに身を任せるのもいいかと思って」

妹「でも二人で、何となく準備してましたよね。今日まで何日か禁欲してましたし」

兄「そうだな」

妹「さっきの兄さん、可愛かったですよ。あんなにたまらなくなっちゃって」

兄「恥ずかしいな、ちょっと」

妹「嬉しかったですよ。私であんなに興奮してくれて」

兄「今だって、少しは興奮してるさ」

妹「でもなんか、落ち着いちゃってますね」

兄「お前だってさ、本当はセックスするの怖いんだろ?」

妹「そうですよ。兄さんとしたいのと怖いのと両方ですけど」

兄「俺も怖い」

妹「何が怖いんですか?」

兄「そうだな。何が怖いんだろうな。抵抗感は薄れてきてるんだけどな」

妹「社会常識みたいなものですかね」

兄「それもあるだろうけど、やっぱり将来のこととかかな」

妹「未来なんて、どうなるかわかりませんよ」

兄「そうだけどさ……」

妹「やっぱり兄妹だからですよね」

兄「お前が実の妹じゃなかったなら、答えは簡単なんだけどな」

妹「何のために私がこんなに可愛く生まれて来たと思ってるのですか?」

兄「両親のいいとこ取り以上だもんなぁ」

妹「兄さんにわかりやすくするためですよ。目印です」

兄「なんの目印だ?」

妹「本気になっちゃっていいって。実の妹でも構わないって」

兄「もう俺、本気になってるよ。お前に」

妹「何事にも、例外ってあると思うんですよ」

兄「とかも思ってるし、セックスぐらいはとかも考えたさ」

妹「でも、妹だから、出会う手間が省けたとも思いますよ」

兄「まあな。だから結論を急がなくてもいいさ」

妹「裸で抱き合って寝ましょうか」

兄「そうだな。それでいいや。今日はずっと裸みたいなもんだったしな」

妹「私も、兄さんに口説いてもらえないと、セックスまではできないんですよ」

兄「でも口説かれると、怖くなったりするんだろ」

妹「そうですね。あと処女喪失はベッドの上がいいとか、いろいろわがままですよ」

兄「裸になろう」

>884
は?

>>885-889

まあまあまあまあまあまあ。

保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 40分以内
02:00-04:00 90分以内
04:00-09:00 180分以内
09:00-16:00 80分以内
16:00-19:00 60分以内
19:00-00:00 30分以内

保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 60分以内
02:00-04:00 120分以内
04:00-09:00 210分以内
09:00-16:00 120分以内
16:00-19:00 60分以内
19:00-00:00 30分以内


もちつけ。無駄に消費しすぎだよ。

妹「ああ……裸、気持ちいいですね」

兄「今日はずっと一緒だったから、こんなにぴったりくる」

妹「あったかいですよ。うんと甘えさせてください」

兄「お前のわがままが好きだよ。自由なお前が好きだよ」

妹「兄さん……いきなり口説くんですか」

兄「口説いてるんじゃない。本当の気持ちだ」

妹「あぁ……兄さん……好きです……すごく」

兄「お前に俺しかいないように、俺にもお前しかいないんだ」

妹「ああああっ……」

兄「やっぱりお前のことが欲しい。全部欲しい」

妹「はぁっ……はぁっ……はぁっ……兄さん……」

兄「ゆっくりな……」

妹「はい……」

兄「すごく濡れてきたよ。もっとな」

妹「うん……」

兄「指痛くないか?」

妹「全然痛くないよ……」

兄「もう大丈夫そうだな」

妹「大丈夫だよ……私もういっちゃってるから……」

兄「痛かったら、いつでも言うんだぞ」

妹「うん……」

兄「足広げるよ」

妹「いいよ……」

兄「少しずつ入れるからな」

妹「あ……3センチぐらい入ったよ」

兄「痛くない?」

妹「痛くない」

兄「あぁっ……お前の中に……入ってく」

妹「あっ……」

兄「痛い?」

妹「大丈夫……全部来て……兄さん……」

兄「すごい……吸い付くみたいだ……」

妹「うぅ……んん……」

兄「痛い?」

妹「痛い……」

兄「一回抜こうか……」

妹「うん……」

兄「……抜いたよ……大丈夫?」

妹「はぁ……はぁ……大丈夫だから……欲しいよ……」

兄「いいか? 入れるよ」

妹「うん……あぁっ……」

兄「あ……うぁっ……いいか?」

妹「いいよ……動いていいよ……そう……そう……」

兄「あぁぁぁぁ……絡みつくよ……痛くないか?」

妹「痛いけど……なんか……頭の芯が」

兄「俺も……白くなっちゃってる……」

妹「洞窟風呂みたい……おかしいね……」

兄「好きだよ……好きだよ……」

妹「好き……好き……」

兄「お前すごい……もういきそう……」

妹「私……ずっといっちゃってるから」

兄「あぁ……はぁっ……出すよ……」

妹「うん……きて……大丈夫だよ……」

兄「ああっ……いくよ……いくよ」

妹「あぁん……きて……きて……きてね……ああっ」

兄「ああああああっ」

白い光に包まれながら、俺たちは結ばれた。
至福の瞬間だった。今まであった怖さのようなものが全て、
光に洗われて消えてしまった。

俺たちは抱き合ったまま、ひとつになっていた。
大きな光の繭の中で、身体の境目がわからなくなるほど一体になっていた。

(日曜、朝)

妹「おはようなのです、兄さん」

兄「おはようございます」

妹「もう朝食バイキングが始まっている時間なのです」

兄「ん、まだ始まったばかりじゃないか」

妹「バイキングは、遅く行くと痛い目に遭うかもですよ」

兄「そうだな」

妹「支度もしなければですし」

兄「じゃ、ゆっくり急ぐか」

(レストランへ)

妹「兄さん、お腹空いてますか?」

兄「まあまあ。お前は?」

妹「結構空いてます。あやっ……階段が」

兄「どうした」

妹「ちょっと痛みました」

兄「え、足くじいた?」

妹「違います。はさまっているのです」

兄「何が?」

妹「兄さんがです」

兄「えっ?」

妹「私の足と足の間に」

兄「痛むのか。大丈夫か?」

妹「大丈夫ですけど、大股で歩けないかもですね」

兄「どんな感じなんだ?」

妹「すごく嬉しいです」

兄「そうじゃなくて」

妹「足と足の間に靴ずれがあるような感じです」

兄「ううむ。わからないけど」

妹「兄さん、私、ガニ股になってますか?」

兄「どれ。なってないと思うけど」

妹「私のイメージでは、今かなりのガニ股なのです」

兄「どうする? 今日」

妹「そうですね。ちょっと予定変更しましょうか?」

兄「そうだな。無理しない方がいいだろ」

妹「あ、いいアイディアがありました、兄さん」

兄「なんだ?」

妹「ここは温泉なのです。湯治することにします」

兄「そうか。そうだな。森の温泉の方はまだ行ってないしな」

妹「でもあっちは男女別なのが残念ですね」

兄「水着で入れないからな」

妹「男湯に兄さんと入るのはダメですか?」

兄「絶対ダメ。超ダメ。つーか無理」

朝食後、いったん部屋に戻ってチェックアウトしてから
俺たちは森の温泉へと向かった。
妹とはお昼に待ち合わせにして、しばしの別れになった。

俺は広い露天風呂に浸かっていた。頭は空っぽだった。
ただ箱根の眺望を目にしながら、自然を満喫していた。
ぼんやりしている間に、待ち合わせの時間が来た。
長いような、あっという間のような、不思議な時間だった。

湯上がりの妹は、いつもにも増して美人だった。
そして朝よりも元気な感じだ。二人でレストランに入った。

妹「兄さん、聞いてくださいなのです」

兄「おお、何でも聞くぞ」

妹「私、開通してしまったのです」

兄「そうだな。痛みは?」

妹「ジンジンしますけど、もうかなり大丈夫です」

兄「そうか。よかった」

妹「違うんです、開通って。それも開通ですけど」

兄「なんの開通なんだよ」

妹「私はガイドになります」

兄「あ、今日もやるの?」

妹「そうじゃないんです。私、将来はガイドとかツアコンとか旅行関係の仕事をします」

兄「え、『します』ですか」

妹「はい。なんか、全部わかっちゃったのですよ」

兄「お前今、俺が見たこともないような顔してるぞ」

妹「うーん、やっぱり。だから開通したのです」

兄「聞かせてくれよ。なんでガイドに?」

妹「今回の旅行計画とか立ててて、なんか自分ですごいしっくりいってたのですね」

兄「楽しそうだったな」

妹「なんで自分がこういうのが好きか、気がついてしまったのです」

兄「なんで?」

妹「私、海外のニュースとかサイトとか見るの、すごい好きなのですよね」

兄「なんか、俺の知らないようなサイト見てるよなあ」

妹「やっぱり運命なのかなと」

兄「どんな運命?」

妹「うちの両親は旅先の海外で亡くなりましたよね」

兄「あ」

妹「私は両親みたいに海外に出たりしたい。そして安全な旅行をしたいさせたい、と」

兄「はぁー」

妹「そういう星のもとに生まれたのかなと、すごく自分で納得がいったのですよ」

兄「そうかあ」

妹「だから私は旅行関係の仕事をします。もう決めました。というか間違いないと」

兄「うん。うんとしか言えないよ」

妹「最初は窓口とかの仕事でもいいんですよ。でもいずれはガイドとかツアコンとか……」

兄「うん」

妹「世界を回る仕事がしたいのです。広い世界に出てみたいのです」

兄「合ってるかもな。美人は世界共通語だしな」

妹「いずれ世界のどこかで、自分の安心できる場所を見つけて、兄さんと一緒に住みたいのです」

兄「そうか……俺らはもともと、しがらみがないもんなあ」

妹「そこでガイドの会社とか作っちゃうんですよ。兄さんが社長になってください」

兄「お前が社長秘書兼ガイドってわけか。そりゃ面白い」

多分次でさる食らいますので、2時再開で
2時5分ぐらい終了を予定しております

その後も妹の話は続いた。妹の説明は淀みなかった。
高卒認定で大学に行きたい、大学は語学関係だと。
中学や高校はどうでもいい、できれば行きたくないと。
勉強は必要な教科に絞る、その方が効率的だ、などなど。

やっぱり頭の回転が速い子だ。一見無茶なプランなのだが、
俺は妹の話を全く絵空事とは思わなくなった。
なにしろ妹は開通してしまったのだ。
今の輝きと冴えがあれば、困難も困難じゃなくなるだろう。

それから俺たちは、箱根観光に出た。と言っても、
妹がまだ少し歩きにくそうにしているので、乗り物を多用してみた。

芦ノ湖までバスに乗って、遊覧船に乗った。
そこからの帰路は、ロープウェイとケーブルカーと登山鉄道だ。
できるだけ色々な乗り物に乗ってみたいという、妹のプランだった。

妹「兄さん、来てよかったですね、箱根」

兄「ほんと、よかったよ」

妹「では今回の旅行、最後のガイドになります。ロマンスカーの手配をいたします」

兄「よろしくお願いします、ってガイドさん、もう業務おしまいですか?」

妹「ちょっとくたびれちゃったので、これでおしまいです」

兄「家に着くまでが旅行じゃないんですか?」

妹「家に着いても旅は続きますよ」

兄「それもそうだな」

俺たちは夕闇の中に到着したロマンスカーに乗り、帰途についた。
妹は座席に着くや否や、俺にもたれかかって眠ってしまった。

今までなんとなく仕事をしてきた俺にも、目標ができた。
できれば将来は、俺も妹と一緒に働きたい。
やっぱり俺が社長になるべきなのか? 何を勉強すべきなのか?
今は何も見えないが、こうやって考えることがとても楽しい。
妹もおそらく、温泉の中でこの楽しさを味わっていたのだろう。

兄さんの自由にしていい、と妹は言った。
俺の自由と妹の自由が同じことであって欲しいと思った。
天国の父さん母さん、妹が今ここにいることを感謝します。
天国はきっと自由なんだろうな。俺ももっと自由になろう。
そうすれば妹と暮らすこの世も、天国になるのだから。

途中駅に停車して車内が少しざわめき、妹が目を覚ました。
妹はずっと無言のまま、微笑みながら俺の顔を見つめていた。
ロマンスカーが再び発車し、車内が静寂を取り戻すと、
妹は「兄さん、キスしてください」と俺にせがんだ。

妹が長い睫毛をした目を閉じる。俺は妹にキスをした。長い長いキスだった。
妹は安心したのだろうか、目を閉じたまま、再び寝息を立て始めた。
ロマンスカーの心地良い揺れにいざなわれて、いつしか俺も眠りについてしまった。

ー完-

オワター

ご愛読ご支援、保守ありがとうございました。
またスレを乗っ取ったことで>>1さんには大変申し訳なく思います。
キャラの造形が変わってしまったことが一番申し訳ないと言いましょうか。

最初に書いたように、設定とキャラが大変興味深かったので
どこまで書けるかと思いつつ書き始めたら、2章を書いているうちに
頭の中までラストまで出来上がってしまったのが、こんなに長くなった次第です。
この設定に魅かれたのは理由があります。私の実の両親は、私が生まれる前に
殺害されてしまったので、個人的に感情移入せざるを得なかったという感じです。

このスレは朝7~8時ぐらいに落ちるのでしょうか。
ここまでおつきあいくださいまして、重ね重ねありがとうございました。

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