千早「危険な二人」 (32)

美希「あふぅ…今日も疲れたの」

千早「打ち合わせ終わったばかりじゃない…まだ朝の9時よ」

やよい「でもすごいです!あんな大きいライブハウスでできるなんて」

千早「そうね。これもひとえに高槻さんのおかげだわうふふ」ニコニコ

美希「ここのカフェ、日差しが気持ちいいの」

千早「こうして休憩もらえたんだから、コーヒーで目を覚ましたら?」

男「はあ、はあ」

千早「あら……?あの人、こっちに向かってきてる」

やよい「もしかしてわたしたちのファンですかね?サイン欲しいのかも!」

千早「ごめんなさい。今サインはちょ…」

男「おい」ナイフ

千早「っと………」

タカ!ユージ!

男「おまえ、こっちにこい!」グイ

やよい「え、え?」

千早「高槻さん!!」

美希「むにゃ…」

ザワザワ

男「く、来るな!こいつがどうなってもいいのか!?」

??1「あまり俺達の手を煩わせない方がいいぞ」チャキ

??2「清々しい朝に女の子の悲鳴は似合わないぜ」チャキ

やよい「はわ……、た、たす、けて…」ビクビク

??1「あいつ、大したことなさそうだな」

??2「あっちの準備はいいみたいだな」チラ

??1「ここはビビらせますか」ドンッ

男「うひゃあ!?」ビク

やよい「あう…!」ドサ

刑事「今だ!確保―!!」ガバ

男「は、離せー!!」

??1「ばーか、空砲だよ」ス…

??2「俺たちがでしゃばらなくても良かったかな?」

千早「高槻さん!大丈夫!?」

やよい「は……………はい」ブルッ

美希「何があったの?」うーん

千早「よく平然と寝てられたわね…」ハア

タカ「ごめんね、驚かせちゃって」

ユージ「怪我はない?」

千早「あの………刑事さん、ですか?」

タカ「やっぱり知らないか、若い子は俺たちのこと」

ユージ「タカ……あれ、やりますか?」

美希「あれ?」

タカ「港署の……ダンディー、鷹山!」ビシ

ユージ「そして……セクシー、大下!」ビシ

3人「…」ポカーン

ユージ「…………タカ、すべってるぞ俺たち」

タカ「お前がやれって言ったんだろ…。センス、古かった?」

美希「なんていうか……ダサイの」

ユージ「うお!?今の言葉グサっと来たよ」

やよい「あ、あの!助けてくれてありがとうございます、おじさん!」

ユージ「おじさんと言ってくれるなんて、俺もまだまだ若いかな?」

タカ「白髪交じりのくせに」

ユージ「失礼だねー、若白髪って出世するのよ?」

千早「まさか…リハーサルの前にこんなことに巻き込まれるなんて…」

タカ「リハーサル?」

やよい「私たち…アイドルなんです」

タカ「え、そうなんだ」

ユージ「へえー!最近のアイドルってのは発育がいいねぇ」

美希「美希のこと?」

タカ「ユージ…子供に手を出したら犯罪だぞ」

ユージ「バカ言っちゃいけないよ、俺は父親の目線で………いや、この場合孫を見る目線?」

千早「お二人には感謝します」ペコ

ユージ「…」ジー

千早「あの…なにか…?」

ユージ「君はこの金髪の子と同い年くらい?」

千早「ええ…そうですけど」

ユージ「……んー、君はこう……なんて例えたらいいのか…」

千早「…?」

ユージ「海抜0メートル、みたいな?」

パシイン

あぶない刑事とはまたシブい

港署

千早「…」ムス

ユージ「ごめん、ごめん!この通り!おじさん反省してるから」

タカ「また「課長様」に怒られるぞユージ」コポコポ

ユージ「フォローしてくれよー」

千早「あの………これって公務執行妨害…になるんでしょうか?」

美希「え、千早さんおまわりさんのお世話になっちゃうの?」

タカ「いや…これはユージが悪いし、大目には見てくれるだろうな」

千早「よかった……もうアイドル活動ができないかと」ホッ

やよい「でも…結局ライブハウスのお仕事は延期になりました…」

ユージ「それはあのナイフ男が悪い!か弱い女の子を傷つけようとしたんだから」

美希「それもそうなの」

トオル「大下くーん、うちの評判下げるようなことはやめて欲しいなぁ」

ユージ「はいはい、町田課長」

トオル「ごめんね君たち、この人、口が悪いから」

ユージ「おい」

トオル「それにこの二人、こう見えて還暦過ぎてるおじいちゃんなんだ」

タカ「余計だよ」

やよい「そうなんですか!?近所のおじいちゃんより若々しいです」

ユージ「でしょ?まだまだ若いやつには負けないくらいビンb」

タカ「ユージ、また千早ちゃんの平手打ちが飛んでくるぞ」

カオル「今をときめくアイドルが来てるときいて飛んで来たわ!」

タカ「ああカオ……ル……!?なんだそのフリフリの衣装は…」

ユージ「お前自分の歳考えろよ……汚い脚丸見えだぞ」

カオル「あたしだって女よ!港署の熟女系アイドルとして売り出せば玉の輿も…」

タカ「…あれ……わいせつ物陳列罪じゃない?むしろ災害…」

ユージ「港署で立てつづけに不祥事が起きてしまうとは…」ハア

カオル「聞こえてるわよぉ」

千早「は、はは…」

カオル「ねえ!そこの毛虫みたいな子!」

美希「むにゃ…………なにこのオバサン」

カオル「ねえねえ、その肌を保つ秘訣ってなに?是非教えてほしいわ」ズイ

美希「急に言われても……まだ子供だからハリがあるのは当たり前なの」

カオル「なっ…」

美希「それにオバサン……必死すぎるし、その調子じゃ男の人も逃げるに決まってるの」

カオル「はぁ…」クラ

リサ「はいはい、これが残酷な現実ですよ真山課長」ポン

カオル「私……このまま独り身で孤独死しちゃうのかしら…」

リサ「私がいい老人ホーム紹介してあげますから、ほら元気出して」

タカ「……ありゃあ重症だな」

千早「個性的な人が多いんですね…」

ユージ「昔はもっと賑やかだったんだけどねー」

タカ「今じゃナカさんも署長も定年退職して、どこか寂しいねぇ」

やよい「でもすごく楽しそうです」

刑事1「鷹山さん大下さん、これから聞き込みに行ってきます!」

刑事2「お疲れさまです!」タタタ

千早「お二人は捜査に行かないんですか?」

タカ「俺たちは朝のひと仕事が終わったから」コク

ユージ「こうして優雅にコーヒーを飲めるわけ」

トオル「…」

ブロロロロ…

美希「いいのおじさんたち?ここまでしてもらって」

ユージ「いいのいいの、これはお詫びのしるし」

タカ「どうせ暇だし、リハーサルなくなった代わりに観光案内をね。せっかく君たち横浜まで来たんだから」

やよい「うっうー!ありがとうございます!」

タカ「ユージ、安全運転で頼むぞ」

ユージ「任せとけって」

懐かし過ぎるwww

キイッ

タカ「着いたよ。ここが山下公園だ」バタン

やよい「うわー、おっきい船が止まってます!」

美希「すごく感動するってわけでもないの」

ユージ「でもここの夜景はロマンチックなんだよ?」

千早「潮風が気持ちいいですね…。歌の練習したくなるわ」

美希「今度来る時はハニーも一緒がいいな」

ユージ「ん?ハニーって?」
美希「ハニーは美希のプロデューサーなの」

タカ「……俺たち、けっこうとんでもないこと知っちゃったんじゃない?」

ユージ「スキャンダルだよなこれ…。いや、俺たちは何も聞いてない、そうしよう」

美希「あれ?ボンネットにリボンのついた箱がある」

ユージ「これはもしや…シャイな俺のファンがこっそり置いていったのかな?」

タカ「入れ歯だったら実用的だな」

ユージ「いや違うね。中身はきっと素敵な…」パカ

爆弾「チッチッチ」

ユージ「……ものが……」

千早「これって、ば、爆弾!?」

タカ「ユージ、パス!!」

ユージ「よーし任せ………や、やっぱ歳だ肩から上、あがんない!」

タカ「お前いっつも肩の調子悪いよな!」アワワ

美希「美希、爆死だけはごめんなの!!」

ユージ「もうこうなったらタカ、ボーリングだボーリング!」ポイ

タカ「よし来た!!」シュッ

コロコロコロ…………ポチャン

ドオオオオオオン

千早「きゃあああああ!」

タカ「馬鹿伏せろ!」グイ

<なんだなんだ!  <大きな音がしたぞ!?

ユージ「……はー………間一髪だった」ムク

タカ「爆弾の神様にでも好かれてるのか俺たちは…」

美希「…生きた心地がしないの」ポタポタ

ユージ「あら」

千早「な、なんですか」びしょぬれ

ユージ「意外と君……色っぽいじゃないの」

千早「え……きゃああ!」サッ

お前を見ているぞ

さるよけ

タカ「………ん?」

ユージ「どしたタカ」

タカ「あのちっちゃい子はどこに…?」

美希「そういえば……やよいがいないの!」

千早「ま、まさか………………爆発に、巻き込まれて」ガタガタ

タカ「縁起でもないこと言わない方がいいぜ…」

ユージ「!これは…」

美希「なんの紙…?」

『仲間は預かった。返してほしければ今日の夜10時、○○倉庫まで来い』

タカ「…陽動か、なるほどね…」

千早「どういうことですか…?」

タカ「実は俺たち…今日本で暗躍している武器密輸組織を追ってるんだ」

ユージ「今朝俺たちが捕まえた男はその組織の重要人物…」

タカ「その報復に派手なプレゼントよこしてきやがったわけだ」

タカ「だが……、無関係な君たちまで狙ったのは到底許せない」ギリ…

千早「あ、あの………そういった捜査の情報を私たちに話してもいいんですか…?」

ユージ「もう君たちは当事者だしね…」

美希「美希、怖いのはごめんなの…」

千早「高槻さんがさらわれたのよ?……じっとなんかしてられない」

タカ「…やよいちゃんも幸せだな。こんな仲間思いの子がいて」

千早「そして華麗に助け出したら、高槻さんが「千早さん、私のお姉さんになってこれからも守ってくれませんか?」と言って、あんなことやこんなことを…」フヘヘ

ユージ「……この子も相当変わってるね」

タカ「あ、ああ」

○○倉庫

タカ「悪いことは言わない。ここは危険だから帰った方が良い」

千早「嫌です。もしかしたら高槻さんが乱暴されてるかもしれないのに」

ユージ「かー、女ってのは時々頑固だからねぇ」

美希「なんかノリでついてきちゃったの…」

ジャリ…

タカ「誰だ!?」チャキ

トオル「ぼ、僕ですよ!僕」

ユージ「どうしたんだよトオル。お前課長なんだから現場に出なくて良いだろ?」

トオル「…実は、犯人グループから電話があって…「お前の娘は預かった」って…」

タカ「なに!?」

トオルちゃんが課長になってるって事は、最終作後か。あの歳でも若いもんに負けない全力疾走してたユージ格好良すぎ

ユージ「お前の娘って…確か嫁さんオランダ人だったよな」

トオル「今年で娘は6歳です…。まったく、逆恨みもいいところですよ」

タカ「確かに動かずにはいられないな」

トオル「パパだってやる時はやるって所を見せますよ!」チャキ

ユージ「ドジ踏むなよ?」

トオル「ばっちこいですよ」

千早「それで…どうするんですか?」

ユージ「こういう時は俺の出番でしょ」ジャラ

タカ「はあ…まーた使えない道具の出番かよ」

ユージ「おじさんの底力、見せてやるかんね」カチャカチャ

美希「刑事さんがピッキングってどうかと思うの…」

ユージ「けっこう活躍してきたんだよこれ?…よっ…と…」カチャ

ガチャン!

タカ「……マジかよ、とっくの昔に使えないかと思ってたぞ」

ユージ「んふふ、これもまだ現役だね♪」

ユージ「さて…」チラ

敵A「そっちはどうだ?」

敵B「異常ありません!」

タカ「ここは見たところ……ざっと10人か」

千早「まさか…この数と闘うっていうんですか?」

ユージ「そのまさか」

千早「正気ですか!?そんなの自殺行為ですよ!」

ユージ「関係ないねっ」

タカ「お嬢ちゃん、男ってのは…」

美希「…?」

タカ「女のためなら、なんだってできるんだぜ?」

加藤タカ

トオル「…」

タカ「どうしたトオル」

トオル「…無理しないでくださいね、先輩たち」

ユージ「なんだよ急に」

トオル「二人とも……最近限界感じてるんでしょ?」

タカ「…」

トオル「僕知ってますよ。鷹山先輩はジムに通って…大下先輩は毎日ランニングしてるの」

ユージ「…」

トオル「今朝後輩と一緒に捜査行かなかったのも……本当に疲れてたからでしょ?」

トオル「もう………見てらんないですよ……」

タカ「……トオルに言われなくたって、自分の体は自分がわかってるさ」

ユージ「俺たちに置いてかれるなよ?」

トオル「先輩たちにだけいつもかっこいい所持って行かれたくないですからね」

タカ「さて……行くか!」ドン

敵A「うぐぅ!?」

敵B「来たぞ!奴らだ!!」パンパン

ユージ「甘いね君たち!」タタタ

敵C「応援を要請する!応援を…」

ユージ「よっ」ドン

敵C「…!」ドサッ

美希「あ、あわわ…」

千早「行きましょう!あの人達に気を取られてる隙に…!」ササ

美希「ま、待ってなの…」

あぶデカとかシブ過ぎる

やよい「…」

娘「…」フルフル

やよい「あ、あのー…」

ボス「なんだ」

やよい「この子……お腹すいてると思うんです……なにか食べ物を」

ボス「…文句は言わせん」チャキ

やよい「っ…」

娘「お姉ちゃん…怖く、ない?」

やよい「…本当はすごく怖いよ。でも……あなたぐらいの妹がいるから」

娘「!」

やよい「お姉さんのわたしがしっかりしないといけないって…そう思うんだ」

娘「…」

敵D「出てこい!」パンパン

トオル「お望みどおり出てきてやる!」ドンッ

敵D「があっ!」ガク

トオル「よ…よーし、今日の僕は冴えてるぞ…!」

敵E「後ろがガラ空きだ」チャキ

トオル「…調子に乗りすぎました」おてあげ

タカ「それ、自分の事言ってるのか?」ドン

敵E「」

トオル「た、助かりましたー先輩!付いていきます!」

タカ「ったく…」

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