工藤忍「大人になったら」 (33)



ガサ


P「荷物、ここでいいか?」

忍「うん。ありがと、お疲れさまー」

P「いえいえ」

忍「すぐご飯にする?それとも…ちょっと休憩してからにしよっか」

P「そうするか」

忍「分かった。じゃあリンゴ切らなきゃリンゴ」パタパタ

P「……」

P(いまのやり取りはいいっすね)



・この季節になぜか冬の話

・工藤忍(16)
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コト


忍「やるよー」

P「やったれー」

シャリシャリ

P「それにしてもたくさんあるな」

忍「う、うん。…へへ…お母さんってば、これでもほどほどだーなんて言うんだよ…もぉ」

P「そのうち事務所に持って行くか」

忍「うん」シャリシャリ

忍「…」

忍(アタシ一人じゃこんなに食べ切れないよって、そしたら、あら二人分よぉって……あわわ。思い出したらまた恥ずかしくなって来た…)ザクザク

P(あれが本場の剥き方なのかな……ご、豪快だな)


P「…」フム

P「それじゃあ、よかったら明日は迎えに来るよ」

忍「え?ど、どうして?」

P「少しずつ持って行くのは面倒だろ?車で段ボールごと、ある程度まとめて持って行くよ」

忍「…あ、でも……そうしちゃうと…」ゴニョ

P「?」

忍「あ、ありがと。でもまとめては、またそのうちね。アタシとプロデューサーさんで、食べられる分は食べちゃお」

P「そっか。忍に送られて来たものだしな。忍がそう言うなら」

忍「う、うん。そうしよう」コクコク

忍「……ふへへ」ニヘラ

P(よっぽど林檎が好きなんだな)



コト


忍「ウサちゃん」

P「ぴょん」

忍「…なんかごめん」

P「謝るなよ…」


忍「上手でしょ」フフ

P「たしかに。…うん、味もおいしい」モグ

忍「味はアタシは関係ないけどね」アハハ

P「そうか?一人で林檎剥いて食ってもおいしくないと思うけどな」モグモグ

忍「例えが極端だね…」


忍「とりあえず一つでいいよね…ご飯食べられなくなっちゃうし」

P「うん。ありがとな。忍もよかったらお一つどうぞ」

忍「剥いたのはアタシだけどね」クス

忍「…」スッ

P「?」


忍「ぴょんっ。えい」

P「むぐ」

忍「……おいし?」

P「……おいしいです」

忍「ふふ。そっか」

P「…………」モグモグ


P「とつぜんなにかと」

忍「ウサギだからね」

P「ウサギだからか」

忍「そうそう」コクコク

忍「ふふ…だから、残りのウサギもきっととぶんだよ」

P「なに言って――…、」

P(ああ、そういうことか…)

忍「……へへ…あーん」

P「…………」

P「あーん」

忍「ぱくっ。…むぐ」モグ

忍「えへへ。おいしい!」

P「そっか」

忍「プロデューサーさんも、もひとつどうぞー♪」ピョン♪

P(楽しそうだ)アーン


忍「…食べさせっこしてたらあっという間になくなっちゃったね…」

P「…本当だな。ウサちゃんおそるべし」

忍「へへ。プロデューサーさんがウサちゃんって言うと、なんだかへん」クス

P「む、忍が言うと可愛いのにな。ずるいぞ」

忍「どこに悔しがってんのさ」クスクス

忍「……、……可愛い……かな」

P「?うん。そりゃもう」

忍「あ、そー…へへ……可愛いか…」パタパタ

P(可愛い)


忍「そだ」パタ

忍「この服もね、事務所のみんなにお店教えてもらったりして……新しいのなんだよ。どう?」

P「似合ってるよ」

忍「うわー常套句」

P「口下手なもので」

忍「言い訳無用だよ!お誂え向きに包丁が一本――」

P「洒落にならないから」


忍「もぉー…ま、いいけどさ。…プロデューサーさん、いつも可愛いぞーとか、似合ってるよーとか、そんな普通の台詞ばっか…」ハッ

忍(…、い、いつも?…思い返すと、ありきたりな言葉とはいえプロデューサーさん、いつもアタシを、可愛いとかって……)カア//

忍(あわわ…)

P(なんて言うか)

忍(…?)

P(そうやっていつも可愛くなりたい!って思って、努力してるところが忍のいいところで、可愛いところだと思うんだよ)

P(――…って言ったら、…怒るだろうな。実際可愛いのをそうは思っていないみたいになるし…うーん…難しいもんだ…)

忍「…………//」


忍「……はふ。」

忍「ちょ、この話、やめ。もーアタシ息止めらんないし」

P「??なんで息を止めるんだ?」

忍「き、緊張しちゃうとつい、ね。なんない?」

P「俺はべつに」

忍「そっか。ねえねえ、ご飯のあとにも食べるかもだし、とりあえずもう一個、剥いておくね」

P「おう」

忍「♪」シャリシャリ

P(……、なんだか、上手く話を逸らされた気が……、…まあいいか)


P「……」

忍「…」スッ

P「…」

P「…」

忍「?…」シャリ

忍「どうかした?プロデューサーさん」

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P「…あ、いや…、」

P「なんでもないよ」

忍「そう?」

P「うん」

忍「…ふふ、へんなプロデューサーさん」シャリシャリ…

P「…」フー…

P(なるほど…たしかに、息が止まることって…あるな)



・・・・・


忍「ことこと」

忍「へへー。お鍋のおとって、聞いてるだけであったかくなるよね!」

P(分かるような分からんような)

忍「へへーまだかなー。まだかな?」ユラユラ…コトコト…

P(よく分からんが可愛い)



・・・・・


P「ご馳走さまでした」

忍「お粗末さまです」

忍「さーぱぱっと片づけちゃおっ」

P「えらいなー。俺、食べ終わったらいつもとりあえず寝転がっちゃうよ」ゴロン

忍「こら。太っちゃうぞ」カチャ

P「あと五分ー」

忍「朝起こしに来たんじゃないんだから」クス

忍「……?あ…ねえねえ。プロデューサーさん。こっち来てみて」

P「動くとかむーりぃ」

忍「似てるけど、それってどっちかっていうと杏ちゃんみたいだよ」

忍「もー。ほらー起きてー」グイグイ

P「あー」ズルズル



シャッ


忍「見て。ほらっ」

P「…、おお…」

忍「雪だね」

P「雪だな。…白くなってる」

忍「ね!わー…こっちに来てから、初めて見る……降ってるのは、去年もよく見たけど。それにまあ、全然地元の方とは雰囲気違うけど…」ペタ

忍「……なんだか…懐かしいな…」

P「……そっか」


忍「……」

忍「…アタシさ……その…」

P「大丈夫」ポン

忍「…ん」

P「忍は頑張ってるよ。だれに聞いたってもう立派なアイドルだし、トップアイドルだってもう夢じゃない」

忍「……そ、かな。アタシ、頑張れてる?か、輝けてる…かな?」

P「そばにいると眩しいくらいだ」

忍「……ふふ」ニコ

忍「それじゃープロデューサーさんに見てもらえないよ」クス

P「そんなもんだよ。一人で見るには眩しいくらいに、輝いてこそアイドルだ」

忍「……うん。そっか。そうだね」

忍「アイドルだもん。みんなに見てもらわなきゃね!」

P「うん」


忍「…じゃあ、でも…」

忍「いつかは光度の調節を覚えなきゃね」ウン

P「なんだそれ」

忍「なんだろねー」バシッ

P「いたい」


P「そろそろ帰るな」

忍「えー」

P(えーって)

忍「ほら。きっとこの雪でタクシーも動かないし!」

P「いや歩いて帰るし」

忍「この雪だとプロデューサーさんも動かないし!」

P「ひきこもりか、俺は」

忍「やしないますよー」ヘヘー

P「子どもがなに言ってんだ」ピコ

忍「あてっ」


忍「……」サスサス

忍「ねえ」

P「ん?」

忍「大人になったらいいの?」

P「……、いや、…そういうことじゃ」

忍「やしないますよー」

P「いや俺も働くって」

忍「も?」

P「う…」シマッタ…


忍「…」テレ

忍「へ、へへ。こ、この話も、この辺にしとこ……二人とも窒息しちゃうよ」ハフ

P「そ、そうだな」ゼェ

忍「……」ヘヘ…

忍「一旦、中断ってことで」

P「?」

忍「…アタシが大人になったら、」

忍「さっきの話の続き……しよっ」

P「……うん」

忍「うんっ」

忍「ま、そのまえにまずはトップアイドルだ!頑張るよ!」オー

P「頑張れー」

忍「プロデューサーさんも一緒にね!」コラー

P「頑張ります」



ポスン


P「っと」

忍「ふふ」

忍「ね…アタシ、もっと頑張るよ。だから、これからも、見ててね。アタシのこと」

P「…うん。見てるよ」

P「とりあえずサングラスでも買っておこう」

忍「ふふっ。そーだね。よろしく」クス


忍「じゃあ…雪、気をつけてね。車の事故もあるかもしれないし」

P「ありがとう。気をつけるよ」

忍「うん」

P「じゃあ、また明日」

忍「うん」

ガチャ

忍「……」

忍「…」パシ

P「?しの――…」クル


忍「…… …」

P「……」

忍「へへ…リンゴの味がする…」

P「…あ、ああ。デザートに、食べたしな…」

忍「うん…えへへ…ご、ごめん。き、急に変なことして、その、アタシ――」

忍「――っ…むぐ…」


忍「…はふ…」

P「……これでおあいこな」

忍「あ、…う、うん。うんうん」

P「…大丈夫か?」

忍「だ、だいじょーぶ!」

P(そうは見えないが)

P「…どうせ緊張して息が詰まるなら、口を塞いでも変わらないよな」

忍「…そ、そーだね」

忍「、……じゃあ」


忍「これからは……どきどき、したら、…こうする?」

P「……、いや」

P「また忍が大人になってからな」

忍「……ん」

忍「分かった!アタシ頑張って、早く大人になるよ!」

P「それは無理だと思うが」

忍「待っててね、プロデューサーさん」

P「…待ってるよ」

忍「うんっ」



・・・・おしまい

忍ちゃんカワイスギル脳みそとける

楽しかったです。こんな早朝足早の投下でしたがお読み頂きありがとうございました

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