まゆ「……覚えていてくれたんですね」 (31)

まゆ「負けたら……褒めてもらえない……」の設定を引き継いでいます

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まゆ「……ねぇ、杏ちゃん」

杏「ん、何?」

まゆ「今日が何の日か知ってます?」

杏「9/7」

まゆ「そうですね、9/7ですねぇ……」

杏「うん」

まゆ「……」

杏「……」

まゆ「……それだけですかぁ?」

杏「んーっと」

杏「携帯とって?」

まゆ「どうぞ」

杏「ありがと」

杏「えーっと……」

まゆ「……何してるんですか?」

杏「ちょっと調べ物」

まゆ「……」

まゆ「そんなことより、今日が何の日か知ってます?」

杏「えーっと、何々?」

杏「クリーナーの日にCMソングの日……それと、ブラジルの独立記念日とか――」

まゆ「いじめですかぁ?」

まゆ「えっと……あの、わからないんですか、本当にわからないんですか?」

杏「いや、ほら、さ」

杏「杏にとっては毎日が日曜日だから」

杏「9/7だろうと7/9だろうと、それは同じなのだ!」ドヤッ

まゆ「……」

杏「で、今日って何の日?」

まゆ「……」

杏「……」

まゆ「……う」ジワッ

杏「!?」

まゆ「う……ぐすっ」

杏「じょ、冗談、冗談だから!」

まゆ「ひっく……な、何が……?」

杏「今日でしょ、今日が何の日かくらい知ってるから!」

まゆ「じゃあ……っく……何の日ですかぁ……?」

杏「えーっと、ま、まゆ!」

杏「まゆの誕生日!」

まゆ「……」

杏「……」

まゆ「……覚えていてくれたんですね」ニッコリ

杏(すぐ泣き止んだよ、この子)

まゆ「うふ……まゆ……すごく、すごくうれしいです……!」

杏「あー、よかったよかった」

まゆ「杏ちゃんに誕生日を覚えてもらっていて、すごくうれしいです……!」

杏「そりゃ覚えてるって」

まゆ「だって、毎日が日曜日っていってたじゃないですかぁ」

まゆ「まゆ、杏ちゃんにとって今日は単なる日曜日と同じかと思っていて……」

まゆ「悲しくなって……」

杏「もう、ちょっとした冗談だったのに」

杏「そんなの本気にしちゃうだなんてまゆは子供だなぁ」

まゆ「杏ちゃんより年下ですからねぇ」

まゆ「まだ子供なんですよ、まゆも」

杏「そうだね、子供だよね、負けず嫌いなところとか」

まゆ「……今、馬鹿にしましたかぁ?」

杏「まさか」

まゆ「それで、杏ちゃん」

杏「ん?」

まゆ「……」ワクワク

杏「……」

まゆ「……」ワクワク

杏「あー、うん、言わんとしてることはわかった」

まゆ「!」

杏「誕生日プレゼントでしょ?」

杏「ちゃんと用意してるよ」

まゆ「ほ、本当ですかぁ?」ワクワク

杏「もちろん!」

杏「これが私の誕生日プレゼントだぁっ!」

杏「王手」

まゆ「えっ」

杏「んで、詰み」

杏「はい、今回も杏の勝ち」

まゆ「えっ」

杏「んじゃ、ちょうど決着ついたし、誕生日会でもしよっか」

まゆ「えっ」

杏「ハッピーバースデー、まゆー」

まゆ「えっ」

杏「あ、ケーキはないから飴でお祝いだね」

まゆ「えっ」

杏「えーっと、今日で17だから17個の飴あげる」

まゆ「……」ジワッ

杏「全部ジョークでした!」

杏「だから泣かないで!」

杏「ほら、仕切りなおし、仕切りなおし!」

まゆ「待ったしても、王手はよけられませんよぉ……うう」

杏「そういう意味じゃなくて!」

杏「誕生日プレゼントもケーキも、ちゃんと別に用意してるから!」

まゆ「……本当に?」

まゆ「一生心に残る誕生日を迎えなくてすむんですかぁ?」

杏「いい意味で一生心に残る誕生日を迎えさせるから!」

まゆ「……よかったぁ」

杏「今日のまゆはなんだかジョークに弱いね」

まゆ「まゆはいつだって繊細です」

まゆ「……誕生日がこんな風だったら私じゃなくたってなくと思いますけどねぇ」

杏「あー、うん、ごめん、冗談にしてもやりすぎちゃったかも」

杏「そこは反省するよ」

まゆ「もう……杏ちゃんたら」

まゆ「めっ!」

杏「……」

まゆ「……うふふ」

杏(なんかいつもよりテンションの変動がすごいなぁ)

まゆ「それで……どうやって祝ってくれるんですかぁ?」ワクワク

杏「あー、えっと……」

杏(……まだちょっと早いなぁ)

杏「それじゃあ、将棋の続きでもしよっか」

まゆ「……?」

杏「ふふふ、ここでまゆに大きな誕生日プレゼントを与えてあげよう!」

杏「その名も勝利!」

まゆ「接待で勝ってもうれしくないです」

杏「うわぁ、すごい冷たい目」

杏「でも勝ちたいんでしょ?」

まゆ「当然です」

まゆ「負けたらほめてもらえませんから……!」

杏「ここでまゆ対杏の勝率を思い出してみよう」

まゆ「……」

杏「ええと、まゆの勝った回数は――」

まゆ「主役はまゆですから、まゆの気が滅入ることはいわないでくださいね」ニッコリ

杏「……どうしよっか、今からでも誕生日プレゼント将棋の指南書にでもしようか?」

まゆ「結構です」

まゆ「独力で勝利を重ねたら……きっとPさんはもっともっと褒めてくれるんですから……!」

杏「勝たなきゃ意味ないよね」

まゆ「だから杏ちゃんと特訓してるんじゃないですか」

まゆ「うふ……徐々にうまくなってくのがわかります」

杏「……まあ、まゆがそれでいいならいいけどさぁ」

まゆ「それで、杏ちゃんの誕生日プレゼントは何ですか?」ワクワク

まゆ「まさか本当にそのつもりだった、なんてことは……?」

杏「ないない、ちゃんと用意してるよ」

杏「んとね……」

杏「あ、あったあった、はい」

まゆ「……なんですか、これ」

杏「最近できた遊園地のチケット」

まゆ「二枚、ですかぁ?」

杏「うん、二枚」

杏「……意味はわかるよね?」

まゆ「……」

まゆ「……まゆ、杏ちゃんが友達で本当によかったです」

杏「現金だなぁ」

まゆ「うふ、これに限らずですよ」

まゆ「ありがとう、杏ちゃん♪」

杏「どういたしまして」

杏「あー……いっぱいしゃべったから疲れた」

杏「ねー、まゆ、誕生日プレゼントに杏あげるから膝枕して」

まゆ「……二つも誕生日プレゼントくれるんですかぁ?」

杏「出血大サービスだよ」ドヤッ

まゆ「どっちかというと杏ちゃんへのプレゼントみたいですけどねぇ」

杏「いいじゃんいいじゃん」

杏「ほら、膝枕」

まゆ「ええ、どうぞ」

杏「ありがと」

杏「ぐてー」

まゆ「……うふふ」

まゆ「~♪」

杏「相変わらずまゆの膝枕は気持ちいいなぁ」

まゆ「うふ、ありがとうございます」

杏「ケーキとかはちょっと待っててね」

杏「もうちょっとでくるから」

まゆ「忘れてたわけじゃないんですね」

杏「誕生日といったらケーキでしょ」

杏「杏だってケーキは好きだもん」

まゆ「てっきり、飴17個かと思ってました」

杏「冗談だってば」

まゆ「飴17個とケーキとどっちが好きですか?」

杏「どっちも」

まゆ「うふ、杏ちゃんらしい」

まゆ「ケーキがもうちょっとでくるって言うのは……誰かが持ってきてくれるってこと?」

杏「うん、そのとおり」

杏「今日のスペシャルゲスト」

まゆ「……うふ」

杏「……急に笑ってどうしたの?」

まゆ「祝ってくれる人が増えるのはうれしいことですから」

まゆ「それに――」

杏「……あー」

まゆ「――杏ちゃんはまゆの喜ぶこと、知ってますもんねぇ」

杏「うん」

杏「正解だよ」

P「まゆー、杏ー」ガチャ

杏「ほらきた」

まゆ「……Pさぁん」

P「おう、まゆ」

P「ケーキもってきたぞ、ケーキ」

まゆ「うふ……うふふ、何でですかぁ?」ワクワク

P「なんでって――」

P「まゆの誕生日だからな」

まゆ「~~~~~っ!」ブワッ

まゆ「うれしい、すごくうれしいです……っ!」ポロポロ

まゆ「覚えていてくれたんですねぇ……!」ポロポロ

P「はっはっは、俺が忘れるわけないだろう?」

まゆ「そうですか、そうですよねぇ、そうにきまってますよねぇ!」ニッコリ

杏(……今まで見たことないほど幸せな表情だね)

まゆ「まゆ幸せです……一生で一番……!」

まゆ「ありがとう杏ちゃん、ありがとうPさん……!」

まゆ「一生の宝物です……!」

杏「ん、どういたしまして」

P「……そこまで喜んでくれると、祝う俺もうれしいよ」

まゆ「はぁ……ぁっ」

まゆ「まゆ、すごい満たされてます……心がいっぱいになってます……!」

まゆ「あぁ……幸せ……幸せ……!」

杏「……あのさ、まゆ」

まゆ「うふふ、なんですか杏ちゃん、飴がほしいんですか? あげましょうか?」

杏「もらうけどさ」

まゆ「はい、あーん」

杏「あーん」

まゆ「うふ♪」

P「……幸せそうで何よりだ」

P「んじゃ、とりあえず座らせてもらうな」

まゆ「Pさん、正面じゃなくて隣に座ってください」

まゆ「主役は私なんですから」

P「オーケー、わかった」

P「っしょっと」

まゆ「肩によっかかってもいいですか?」

P「ああ、かまわない」

まゆ「うふ」

まゆ「ああ、幸せ……夢見たい……」

まゆ「ううん、夢よりも心地いい、うれしい、幸せ……うふふ」

まゆ「最高です……ふふっ」

杏「……ね、プロデューサー」

杏「プレゼントは?」

P「ちゃんと持ってきたよ」

まゆ「うふ……私はPさんが私の誕生日を覚えていただけでも最高のプレゼントなのに」

まゆ「それなのに、もっとプレゼントをくれるんですかぁ……?」ワクワク

杏「眼に見えるくらいにわくわくしてるね」

P「ああ、それなんだけどな」

P「まゆにとって最高のプレゼントができたよ」

まゆ「……できた?」

P「ああ」

P「物じゃないんだ」

まゆ「……?」

P「まゆ」

まゆ「はい」

P「CDデビューが決まった」

P「それが、俺からの誕生日プレゼントだ」

まゆ「」

まゆ「……ほ」

まゆ「本当……ですかぁ?」

P「ああ、本当だよ」

まゆ「……」

杏「……まゆー?」

まゆ「……」

杏「ねぇ、Pさん、まゆ固まってるよ」

P「見ればわかるよ」

杏「Pさんもキザだねー」

杏「杏、そんなキザな真似はできないよ」

P「……そんなにキザだったか?」

まゆ「ぁ……ぁあ……あああ!」

まゆ「ねぇ、Pさん、私、私こんな幸せでいいんですかぁ……!?」

P「当然だろ、誕生日なんだから」

まゆ「うわぁ……っ!」

まゆ「大変です、Pさん……まゆ、うれしすぎて、うれしすぎて……!」

まゆ「もうどんな幸せなことでも物足りなくなりそうです……っ!」

P「ははは、喜んでもらえてうれしいよ」

まゆ「ありがとう、ありがとうございます……っ!」

まゆ「期待に添えるように……期待以上に……!」

まゆ「Pさんの心にいつまでも残るようなCDにしてて見せます……!」

P「おう、一緒にがんばろうな」

まゆ「はい……はいっ!」

まゆ「~♪」

P「さて、んじゃ、ケーキ切り分けるか」

杏「プロデューサー、がんばってね」

P「……いや、いいけどさ」

P「杏はいつまで膝枕されているつもりだ」

杏「まゆの誕生日に杏をあげちゃったから動けないのであーる」ドヤッ

P「佐久間杏になったのか」

杏「ねー、まゆ、養ってくれる?」

まゆ「もちろん♪」

まゆ「杏ちゃんだけじゃなくて、Pさんだって養って見せますよぉ」

P「俺も佐久間になるのか」

まゆ「私たち三人は佐久間一家ですね」

まゆ「どうします、Pさんに杏ちゃん、苗字を変えますかぁ?」

P「あはは、気が向いたらな」

杏「杏もー」

まゆ「あら、残念♪」

まゆ「……そうだ、杏ちゃんがプレゼントといえば」

まゆ「知ってますか、Pさん杏ちゃんは私に三つも誕生日プレゼントをくれたんですよ」

P「へぇ、そうなのか」

杏「まあねー」

まゆ「でも、Pさんはまだ二つじゃないですかぁ」

P「何か買ってきてほしいのか?」

まゆ「うふふ、そんなことないですよ」

まゆ「ずっとここにいてほしいです」

P「……」

まゆ「それに、お金がなくたって、誕生日プレゼントは渡せるんですよ」

まゆ「それこそ杏ちゃんみたいに」

P「……さすがに自分をプレゼントにはできないな」

まゆ「杏ちゃんみたいだとそうなりますねぇ」クスクス

まゆ「でも私のほしいプレゼントはそれとは違うんです」

P「……?」

まゆ「ねぇ、Pさん」

まゆ「ちょうどここに、遊園地のチケットが二つあるんですけど」

まゆ「……一緒にいってくれませんかぁ?」




終わり

9/7 23:59に書き終えたんです、まだ7日中です、許してください。

まゆ誕生日おめでとうCD化おめでとう!
俺にはまゆだけがいればいいってぜひともたっぷり教えてください!


誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。
読んでくださった方、ありがとうございました

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