ウルフルン「紙芝居やりまーす」 あかね「」 (941)

ウルフルン「はーいはいはい、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。 楽しい楽しい紙芝居だよー」カンカン

あかね「」

子供A「えー? 紙芝居ー?」

子供B「なんだかとっても面白そう!」

ウルフルン「はいはい、席は早い者勝ちだよー。 近くで見た方が迫力あるよー」カンカン

あかね「」

ウルフルン「ちなみに紙芝居見てくれる良い子には色んなお菓子をプレゼントしちゃいまーす」カンカン

子供C「わぁー! お菓子っ、お菓子っ!」タタッ

子供D「そういえば今おやつの時間だー!」タタッ

あかね「」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1349939609

~お読みになる前に、差支えなければ以下の文をお読み下さい~


・スマイルプリキュアのssです。

・キャラの崩壊があります。 ご注意下さい。

・名前のないキャラ(子供とか、老人とか)が出てきます。 ご注意下さい。

・物語について矛盾していることがあれば、ツッコミの方よろしくお願いします。

・遅筆です。 ストックはありますが、次第にそれもなくなると思います。

・なので書きながらの投稿になるとは思いますが、一応完結を目指して頑張っていきたいです。

・何か気になることがあれば、質問して頂ければ幸いです。


~それでも読んで大丈夫という方は、どうか楽しんでいって下さい~

ウルフルン「はーい、もう紙芝居見てくれる良い子はいないかなー?」カンカン

あかね「………、なぁアンタ」

ウルフルン「ん? なんだプリキュアか。 何やってんだこんなとこで?」カンカン

あかね「それはウチの台詞や!! アンタこそ、この公園で何やっとんねん!?」

ウルフルン「見てて分かんねぇのか? 紙芝居だよ紙芝居」カンカン

あかね「いや、見てたら分かるで? 分かるけど…」

ウルフルン「お前も見るか? お菓子あげるぞ?」カンカン

あかね「誰が見るか!! アンタらとウチとは敵同士―――」ガルルル

ウルフルン「あぁそうかい。 じゃあ紙芝居見ない悪い子はどっかに行ってな」シッシッ

あかね「んなもんこっちからどっか行ったるわ!」ダッ

あかね(…とは言ったものの……)コソッ

ウルフルン「はいはい、これで全員になるのかなー?」カンカン

あかね(やっぱ気になるから戻ってきてもうた…)

子供E「ねーねー? さっきのお姉ちゃんと何話してたのー?」クイクイ

ウルフルン「あーあの赤い子ね。 あの子なら確か…」

ウルフルン「お腹が痛いからってトイレへ走って行ったよ」

あかね「なっ!?」

子供F「それって、いわゆるひとつのうんこって奴ですかー?」ハーイ

ウルフルン「まぁそうなるね」

あかね「ちょっ!?」

子供A「そのお姉ちゃん間に合うと思いますかー?」ハーイ

ウルフルン「どうだろうね。 オオカミさんには分からないかな」

ウルフルン「もしかしたらどん底ハッピーな事になってるかもしれないねー」アッハッハッ

子供達「「「あっはっはっはっはっはっはっ!!!」」」

あかね(ウチがおらんからって好き放題言いよるで……)

ウルフルン「それでは今からお菓子を配りたいと思いまーす」

子供達「「「わ――――――――――い!!!」」」

あかね(お? なんやなんや?)

ウルフルン「はいどうぞ。 鬼の金棒型キャンディーだよー」テヅクリダヨー

あかね(手作り!? 手作りなんそれ!?)ニアワネェ!

子供C「わーい! お菓子、お菓子……ってあれ?」グイグイ

子供B「ねーねーオオカミさん、この周りにくっいてる袋が取れないよー?」グイグイ

ウルフルン「あぁごめんね。 オオカミさんちょっと巻きすぎちゃったみたい」

子供C「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ……」グイー

子供E「ほんとに取れない……どうやったら取れるの…?」グイグイ

ウルフルン「みんな苦労してるみたいだね。 それじゃあ……」

ウルフルン「その間に紙芝居でも読むとしますか」

あかね(いやいやなんでや!?)

ウルフルン「むかーしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいましたー」

あかね(紙芝居ホンマに始まってもうた…)

ウルフルン「おじいさんは山へしば刈りにー、おばあさんは川へ洗濯しに出かけましたー」

あかね(……それにしてもあれやな)チラッ

子供F「うーん…この袋何枚も重なっちゃってるよー」グイグイ

子供C「ぬががぎぐげげごごごごががががが……」メキメキ

子供D「ちょっ!? 顔が凄いことになってるよ!?」ダイジョウブ!?

あかね(だーれも紙芝居に集中できてへん感じやなこれ)

ウルフルン「おばあさんが川で洗濯をしていると、どんぶらこーっどんぶらこーっと大きな桃が流れてきましたー」

あかね(っていうかこれ桃太郎やんか。 もうみんな知ってるんとちゃうか?)

子供B「あっ分かった! これって、こういうやり方で巻いてたんだー」

子供C「え!? ちょっと僕に教えて! いや、教えろ!!」クワッ!

子供B「ひぃ!?」ビクッ

子供A「ちょっ!? 君の目なんだか血走ってない!?」コワッ!

あかね(ああ、だからみんな横目で見てるわけやな……1人お菓子しか見てへん子おるけど)

子供B「ほら、こうやってクルクルってしていくと…」スルスル

子供F「あ、本当だ! だんだんお菓子が見えてきた!」スゴーイ

子供C「Yes!!!」

子供E「これでやっと食べられるねー」スルスル

ウルフルン「おばあさんは、流れてきた桃をおじいさんと食べようと桃を持ち帰りましたー」

あかね(それでおじいさんが桃を切ってみると、中から赤ん坊の男の子が出てきました、と)

ウルフルン「家に着くと、そこには1匹のオオカミが待ち構えていましたー」

あかね(ん? オオカミ?)アレ?

ウルフルン「おばあさんはオオカミを見るやいなや逃げ出しましたが、すぐに追い付かれて食べられてしまいましたー」

あかね(なんか話違わへんか?)

ウルフルン「オオカミは続けて桃を食べようとしましたが、そこにおじいさんが帰ってきましたー」

ウルフルン「おじいさんはすぐに状況を理解し、おばあさんのかたきを討とうとしば刈り用の鉈を手にしましたー」

子供D「初めて聞くお話だねこれ」スルスル

子供A「でもワクワクしてきたね~」スルスル

子供C「お菓子っ! お菓子っ!」スルスルスルスルスルスル

子供F「おじいさん頑張って!」スルスル

あかね(確かに…ちょっと続きが気になってもうとるな自分)

ウルフルン「ところが残念。 おじいさんはオオカミに負けてしまい食べられてしまいましたー」

子供B「えぇー」スルスル

ウルフルン「それもそのはず。 オオカミはずっとずっと人間よりも強かったからですー」

子供D「桃は!? 桃はどうなっちゃうの!?」スルスル

あかね(この流れやと、桃から桃太郎が出てきてオオカミを退治するんやろうか?)

あかね(もしそうなら…むっちゃ熱い展開やないか)ドキドキ

ウルフルン「オオカミは最後に残ったお腹一杯食べましたー」

ウルフルン「満足したオオカミは、自分のお家に帰っていきましたー」



















ウルフルン「めでたしめでたし」

あかね(終わるんかい!!!)ウォイ!

ウルフルン「いやーやっぱりオオカミは強かった。 人間達に勝てる術なんてありませんでした」パチパチ

あかね(……忘れとった。 アイツ、バットエンド側の住民やった)ハァー

ウルフルン「オオカミが登場すれば、その物語に幸せな結末なんて来ませんからねー」

あかね(要は自作自演のためにこんなことを……しょうもないなーアイツ)ヤレヤレ

ウルフルン「皆さんも目の前にオオカミを見つけても、倒せるなんて思わnぶぐるぁッ!!?」バキィ!

あかね(えっ!?)

ウルフルン「おいちょっと待てお前ら!? 俺様はオオカミだzぎぇばッ!!?」ゴキン!

あかね(ちょっ!? 早速子供達が倒しにかかってるんやけど!?)

子供A「冗談じゃないよ!! なんでみんな食べられて終わっちゃうんだよ!?」パキペキ

ウルフルン「それは、自然界の厳しさという奴で……あとお前、ナイスアッパー…」ガクガク

子供B「オオカミが出ていても、赤ずきんとか幸せになってるじゃん!!」ビュッ ビュッ

ウルフルン「いや赤ずきんは別として、世界は広いからそういう結末もあるはず……あとお前、ナイス掌底打ち…」ガクガク

子供F「まぁ、紙芝居は百歩譲るとしてさ…」

あかね(譲っちゃうんか。 懐深いわぁ)

子供D「問題なのはこのキャンディーだよ!!」

あかね(キャンディー?)ハテ

子供C「な゛ん゛て゛こ゛ん゛な゛に゛ひ゛と゛い゛あ゛し゛な゛の゛お゛!!?」ダバー

あかね「」

ウルフルン「あぁ、その飴の事か」

ウルフルン「それは納豆餃子飴をアレンジしたものだからです」

あかね「」

子供A「納豆餃子飴って何さ!? 無茶苦茶くさいんだけど!?」

ウルフルン「そりゃそうだろ? そんなにくさくなかったらラッピングも必要なかったからな」

子供F「あっ!! だからあんなに沢山の袋でグルグル巻きにしてたんだ!」ナルホド

ウルフルン「いやー大変だったぜ。 金棒の黒い部分なんか、納豆餃子飴溶かしたものを真っ黒に焦がして表現したからなー」ウンウン

子供E「私とかは1回舐めただけだから良かった方だけど…」

子供B「この子なんて、あまりにも楽しみにしてたから一気に噛み砕いちゃったんだよ!?」バキッテ!

子供C「に゛か゛い゛し゛く゛さ゛い゛し゛ま゛す゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」ダバー

子供F「あぁぁぁ、口からとか目からとか…体の色んな所から色んな汁が出てる……」

ウルフルン「ちなみにゴツゴツした所は納豆餃子飴を砕いた奴なんだが、気付いてくれたか?」

子供A「そんなもん知るかよ!! みんな、やっちまおうぜ!!」ダッ

あかね(あ、あかん!? 本気で戦ってもうたら子供達が…!)

子供達「「「わ――――――――――!!!」」」ダダダダ

ウルフルン「おいおい。 さっきは油断してたが、本気の俺様に勝てる訳ないだろ?」ウルッフフ

あかね「早よ助けんと…っ!」ダッ

ウルフルン「まぁいいぜ。 オオカミの素晴らしさとカッコ良さというものを、テメェらに十分味わわせて―――」

子供C「カ――――――――――ッッッペェッッ!!!」ブバババ!

ウルフルン「うっわ!!? コイツ納豆餃子飴を吐き出しやがった!!」クッセェ!

あかね「」

ウルフルン「くっせぇ!! 汚ねぇ!! あとくっせぇ!!」ペッペッ

子供A「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」ブンッ

ウルフルン「ば、馬鹿がっ! そんなガキの攻撃なんぞ、真正面から受け止めりゃ痛くもかゆくも―――」

子供A「うりゃああああああああああああああああああ!!!」メキィ!

ウルフルン「ぐほぉおぉおお!!?」ゴロゴロゴロ

あかね(!? もの凄いダメージ喰ろてるやんか!?)

子供B「凄い威力だなー。 この金棒型のキャンディー」トントン

子供E「すっごく硬くて丈夫でいいね! あと棘がついてるし」トントン

子供C「いいなぁ……僕の食べちゃったから…」

子供D「そういえば君、よくこんな硬いものを噛み砕けたよね…?」

子供A「なんだか全然負ける気がしないぜ!!」ブンブン

あかね(…あかん、アイツ墓穴掘ってるわ)

子供A「みんないっくよー!」スッ

ウルフルン「ちょ、ちょっと待て…俺様はオオカミ―――」

子供A「いっせーのーでぇ!!」

子供達「「「そりゃー!!」」」ドーン!

ウルフルン「ぎゃぉぉぉぉぉぉおおお!!?」メキメキィ!

子供A「もういっちょー!」スッ

ウルフルン「やめろっつってんだろ!? さもないとお前ら全員食って―――」

子供達「「「うりゃー!!!」」」ドーン!

ウルフルン「わぉぉぉぉぉぉおおおおん!!?」メキメキメキィ!


あかね「子供って、あんなに強くなれるもんなんやね……感動したわ」ホロリ

あかね「つーかあのオオカミ大丈夫なんか? 助けた方がええかも…って」ブルルッ

あかね「うー……その前にお花摘みに行きましょか。 別に今すぐ助けんたってええやろ」クルッ

あかね「アイツウチより背高いし……うん、大丈夫大丈夫」タタッ




ウルフルン「かはっ、けへっ」ピクピク

子供A「よーし! もう動けないみたいだし、ここら辺でいいかなーっと」トントン

子供C「ねーねー? 僕もなんかしたいよー」

子供A「えー? 流石にこれ以上痛いのは駄目な気が…」

子供C「じゃあさ、痛くなければ大丈夫なんだよね?」

子供A「?」

ウルフルン「?」

子供C「さっきみたいに、噛み砕いた飴を吐き出すだけなら痛くならないよね?」

ウルフルン「!?」

子供F「それなら多分、大丈夫だとは思うけど…」

子供E「…でもそうなると、口の中に飴を入れなきゃならないんだよ?」

子供C「平気だよ! さっき食べたから慣れてるもん!」フンス

子供D「そっか……それじゃあこれ、みんなの分の飴だよ」ハイ

子供B「健闘を祈るからね」

子供A「頑張ってこいよ!!」グッ

子供C「ありがとうみんな……それじゃあ」クルッ

ウルフルン「!!?」ビクッ!

子供C「悪く思わないでね、オオカミさん」スタスタ

ウルフルン「…ッ!」プルプル

子供C「僕は別に、オオカミさんに恨みがあるからやってる訳じゃないんだよ?」ガリッ ←飴に噛み付く音

ウルフルン「……ッ!!」ガクガク

子供C「でもさ、どうしても譲れないものっていうのがあったからね。 仕方ないよね」バキィ! ←飴を噛み砕く音

ウルフルン「………ッ!!?」ガタガタ

子供C「後味悪くなるだろうから、一応自分の言い分を言わせてもらうね」バッキバッキバッキ ←飴を粉々にしてる音

ウルフルン「………ッッ!!? ~ッッ!!?」ガタガタガタ

子供C「それはねー……」ダラー

ウルフルン「~~ッッ!!! ~~ッッ!?!?」ガタガタガタガタ



子供C「テメェの飯が不味かった。 理由はそれだけで十分だろ?」

一旦この辺りで失礼させていただきます。
できるだけ頑張って更新していきたいので、どうかよろしくお願いします。

時間に空きが出来たので、続きを書いていきます。
あと名前欄に関しては、こういう報告や返信の時だけにとどめて使っていく事にしますね。

~夕方~


あかね「あかんあかん、もう暗くなってもうてる」タタタッ

あかね「まさか公園のお手洗いが工事中とはなー。 …家が近くにあって良かったでホンマ」タタタッ

あかね「っとと、ここやここや」キキーッ

あかね「一応戻って来たけど、やっぱもうみんな帰ってしもてるんやろな―――」テクテク














ウルフルン「」プーン

あかね「」オッタワ

>>26
名前欄に普通に文字列入れるだけだと誰にでもできるから本人証明にはならんぜ
とりあえずトリップでググッて意味を知るとよろしいかと
理解したらどっかのトリップ仮生成してくれるサイトで試して、かぶってないトリップを使うようにしたらいいんじゃない?

ウルフルン「」プーン

あかね「ちょっ!? アンタまだこんなとこに―――」タタタッ

ウルフルン「」プーン

あかね「ってくっさ!!? コイツくっさ!!」ハナツマミ

ウルフルン「」プーン

あかね「コイツだけがここにおるっちゅー事は……やっぱあの子供達にやられたんか」

ウルフルン「」プーン

あかね「なんか周りに納豆餃子飴が散らばっとうし……一体どんな目にあったんや……?」

>>29
調べてみましたが、こんな感じでしょうか?
間違っていたらすいません。

あっ、本当に文字が変化しました!
これからこの文字を名前欄に使っていきますね! >>29さんありがとうございます!

それでは続きの方を書いていきます!

あかね「とりあえずなんとかせな!」

ウルフルン「」プーン

あかね「…とは言っても、直にはよう触らんでウチ……」ウーン

ウルフルン「」プーン

あかね「あっ、そーや!! 今日の昼にみゆきから借りたキュアデコルがあるんやった!」ガサゴソ

ウルフルン「」プーン

あかね「うりゃ! プリンデコル!」カチャッ



レッツゴー! プ・リ・ン!



ウルフルン「」ベッチャア

あかね「うっし!! 顔面ジャストミート!!」

ウルフルン「」ドロドロォ・・・

あかね「プリンの形が崩れてコイツの全体を覆えば、くさい臭いも上書きされるっちゅー訳や!」

ウルフルン「…ッ」ピクピク

あかね「ありゃ?」

ウルフルン「…ッ!? …ッ!!?」ガクガク

あかね「しもた。 プリンで顔覆ってるから息できるようにせぇへんと…」キョロキョロ

あかね「とりあえず、ここにあった紙芝居の紙で鼻ほじくり出そか」ベチャベチャ

あかね「これで良し、と」フゥ

ウルフルン「」ンフー ンフー ←プリンから鼻だけ出して呼吸している

あかね「さて…」

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「………」ウーン

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「…まだ臭いが残っとうな」

あかね「あともう4、5個ちょい使うてみるか」レッツゴー!

あかね「まぁ、こんなとこでええやろ」フゥー

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「鼻の先っちょ以外全部プリンで覆われたから、臭いが消えるまでしばらく待っときますか」ストン

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「臭いが消えてきたら、一気にプリンから引きずり出す。 この作戦でいくで」

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「丁度良いタイミングが来るまで、辛抱強く待つ……まるでお好み焼きみたいやなー」

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「何度もひっくり返さず、ただ一回のみに全てをかける……ロマンやね」

ウルフルン「」ンフー ンフー

~数十分後~


ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「もうそろそろええかなー?」ズイッ

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「…うん、そないにくさくない。 大丈夫そうやね」スンスン

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「そういえば、どないしてコイツを引きずり出すか考えてなかったわ…」ウーン

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「そうや。 お好み焼きに近い感覚やから、それに倣った方法でやってみよか」ポンッ

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「コテは、せやな……この紙芝居を何枚か重ねたものを使うことにしまして…っと」トントンッ

あかね「やるまえに深呼吸、深呼吸…っと」スー ハー

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「ほないくで!!」カッ!

ウルフルン「」ンフー ンフー

あかね「ちゅー、ちゅー、たこ、かい…」グググ・・・

あかね「…なぁっっと!!」グアッ!



ヒュ―――ン



ウルフルン「」ベッチャア!

あかね「よっしゃあ!! 裏返し成功や!!」

ウルフルン「……んが、ぐ、ぐぐ…」グググ・・・

あかね「あ、起きた」

ウルフルン「………」ヨロ・・・

あかね「アンタ大丈夫やったか? ずっとここで寝てたんやで?」

ウルフルン「………」ヨロヨロ

あかね「………」

ウルフルン「………」キョロキョロ

あかね「………?」

ウルフルン「………」パンッ パンッ ←自分の体からプリンをはたき出してる

あかね「……あのー?」

ウルフルン「………」

あかね「ちょっとー…?」

ウルフルン「………」

あかね「おーい……?」

ウルフルン「………」スゥー・・・

あかね「………?」

ウルフルン「イエェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェエエエェエェェエエエエェエス!!!」

あかね「っ!?」ビクッ

ウルフルン「俺様バッドエンドオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォオオオォオォオォォオオオ!!!」コロンビア

あかね「」

ウルフルン「いやーすっきりしたぜ。 今日も絶好のバッドエンド日和だったなー」コキコキ

あかね「」

ウルフルン「まさか今回は、自分が作った道具でやられるとは思わなかったぜぇ」ウンウン

あかね「」

ウルフルン「納豆餃子飴による金棒…気まぐれで作ってみたんだが、俺様才能あるのかもしれねぇな」ウルッフフ

あかね「」

ウルフルン「んぁ? そこにつっ立ってるのは……まさかプリキュアか? そういや少し前にも会ったっけか」

あかね「」

ウルフルン「なんでテメェがここにいやがるんだ? まさか俺様を倒しに来たってのか?」

あかね「」

ウルフルン「馬鹿な奴だぜ。 単体で俺様に勝てると思ってたのかよ?」ウルッフフ

あかね「」

ウルフルン「………?」アレ?

あかね「」

ウルフルン「……おーい」ヒラヒラ

あかね「」

ウルフルン「…反応がねぇな」ヒラヒラ

あかね「」

ウルフルン「………」ウーン

あかね「」

ウルフルン「………」シャガミ

あかね「」

ウルフルン「…せいやっ!」バッ

あかね「ひゃぁっ!!?/// ちょっ、ちょっとアンタ、何スカートめくってんねん!?///」ガバッ

ウルフルン「いや、だって反応がなかったし」

あかね「そ、それは…アンタがいきなり大声で変な事言うから…」

ウルフルン「変な事? ……あー、バッドエンドって言った事か?」

あかね「せやせや」コクコク

あかね「なんであんな事になったってのに、まるで喜んどうような素振りしてんねん?」

ウルフルン「そうだなー…強いて理由を言うならば…」ウーン

あかね「言うならば…?」

ウルフルン「……趣味だから、かな」

あかね「はぁあ!? 趣味ぃ!?」

ウルフルン「そうそう。 さっきのは趣味だ趣味」

あかね「アンタ頭沸いてるんちゃうか!? なんで嫌な目に遭う事が趣味につながんねや!?」

ウルフルン「まーまー、まずは話を聞けってゴリラパンツちゃん」

あかね「な!? ア、アンタ……やっぱ見て…///」カァー

ウルフルン「今まで俺達、敵同士で争ってきただろ?」

あかね「……まぁ、せやな」ウン

ウルフルン「俺様達バットエンド側は、世界中をバッドエンドにするために行動してきた」

あかね「そのために人間達からバッドエナジーっちゅーもんを集めてきたんやろ? 何度も聞いたわ」

ウルフルン「ああ。 だがその度に毎回毎回プリキュア達によって邪魔されてなぁ…」

あかね「当然やろ! 世界をバッドエンドにさせてたまるかっちゅー話や!」フンス

ウルフルン「何度もお前達に挑戦し続け、その度にやられてきた」

ウルフルン「これってつまり、俺達にとってはバッドエンドになる訳だろ?」

あかね「確かにそうゆう事になるな」ウン

ウルフルン「最初の内はすっげぇ悔しがってた事は今でも覚えてる」

ウルフルン「だけどよ、何回も同じ目にあってると感覚が鈍ってきてな」

ウルフルン「いつしか頭ん中では、『そもそもバッドエンドってなんだっけ?』っていう疑問がグルグル渦巻いてやがんだ」

ウルフルン「流石にバットエンドに生きる住民が、バッドエンドの意味自体忘れたらダメだと思ってな」

あかね「……なるほど、大体分かってきたで」

あかね「アンタはバッドエンドを自ら体験して、自分の立ち位置を理解し直そうっちゅー訳やな?」

ウルフルン「まぁそういうことになるな」ウン

あかね「でもアンタ、さっき子供達に自分の恐ろしさ思い知らせようとか言うてなかったか?」

ウルフルン「あぁー…アレはいわゆるフラグって奴だよ」

あかね「…フラグぅ?」ナニソレ?

ウルフルン「物語で良くあるだろ? 最初強がってた奴が、最終的にボッコボコにされるっていうの」

あかね「それを実践しとったんか? ……徹底しとうなぁアンタ」

ウルフルン「ただ金棒の威力までは考えてなかったがな。 …あと最後のガキだけはマジで予想外だった」

あかね「?」

あかね「そういやさっき、あんたの口から『今回も絶好のバッドエンド日和』って言っとったけど…?」

ウルフルン「ああ。 今日みたいなことはずっと前からやってる」

あかね「ふーん。 ……例えばどんな感じで?」

ウルフルン「まず手始めに紐無しバンジーからやってみて」ワン

あかね「はぁ!?」

ウルフルン「次にシナモンチャレンジを10連チャンでやってみて」ツー

あかね「ちょっ!?」

ウルフルン「先日は何か調子に乗ってたんで、深海辺りまで沈んだりしてました」ハイ

あかね「それただの自殺願望になってへんか!!?」

ウルフルン「いやー深海はマジでヤバかった。 あの時はもう2度とするもんかと誓ったもんだ」ウンウン

あかね「そこまでやったらもう十分やと思うんやけど…」

ウルフルン「それがなー。 まだいまいちバッドエンドが何なのかがつかめねぇんだよなー」ウーン

あかね「つまりこれからは、そのバッドエンド探しを続けていく、と……?」

ウルフルン「そういうことになるな。 本業の方もしばらく休業する」

あかね「えぇー……?」

あかね「その間ウチらは何したらええのー……?」

ウルフルン「いいじゃねぇか別に。 敵がいなくなった分だけ華の女子中学生生活でも満喫しとけ」

ウルフルン「勉強に、スポーツに、恋に、打ち込めるもんなんて沢山あるじゃねぇか」

あかね「…まぁええわ。 アンタがおらんようになっても他の2人が襲撃してくるはずやし」

ウルフルン「何言ってんだ? アイツらも来ねぇぞ?」

あかね「……はぁ?」

ウルフルン「アカオーニは南アフリカで奴隷生活を体験中だし、マジョリーナも色んな所で薬物試験のモルモットに志願してる」

あかね「そいつらも同じ事やっとんのかい!!!」

ウルフルン「こちとらみんな必死なんでな。 早くバッドエンドの意味を理解しとかねぇと、ピエーロ様に顔向けなんてとてもできやしねぇし」

あかね「……いや、ちょい待ち。 アンタらの仲間であと1人いたはずやろ?」

ウルフルン「…もしかしてジョーカーの事か?」

あかね「せやせや」コクコク

あかね「そのジョーカーっちゅー奴が、アンタらのように忘れるなんて考えられへんのやけど…?」

ウルフルン「まぁ確かにな。 アイツがそんなヘマするなんて俺でも考えられねぇよ」

ウルフルン「実際にアイツ、俺達のように忘れたりしてなかったはずだぜ?」

あかね「…!! ちゅー事はつまり、そいつがいつ襲ってくるか注意せなあかんのか…!」グッ

ウルフルン「ただなぁ…」

あかね「?」

ウルフルン「アイツ最近急に体調崩して、ろくに今動けないでいるんだよなぁ…」

あかね「結局そいつもなんかい!!!」ウォイ!

ウルフルン「まぁそういう事だから、しばらくプリキュアで活躍するのは諦めるこったな」

あかね「しゃーないなぁ……しばらくはバレーに集中する事にしよか…」ハァー

ウルフルン「あぁそうだそうだ勝手にやっとけ。 テメェらはハッピーエンドになれるよう好きなだけ頑張っとけ」ヒラヒラ

あかね「じゃあ今からウチは帰るけど……アンタも帰るんか?」

ウルフルン「そうだなー。 とりあえず俺様は…」ストン

ウルフルン「さっきのガキ共との戦いであまりにも酷い負けっぷりだったから…」クンクン

ウルフルン「負け犬は負け犬らしく地面に這いつくばって、辺りに散らばってるプリンでも舐めるとするか」ピチャピチャ

あかね「やめとけや体に悪い!! てゆーか、アンタ犬やのうてオオカミやないか!?」

ウルフルン「負け犬が残飯をあさる……まさにバッドエンドだぜぇ…」ピチャピチャ

あかね「こーらっ、そない馬鹿なことはせんときってぇぇぇ…っ!」グイー

ウルフルン「そういえばなんでこんなとこにプリンがあんだ? 俺そんなもん作ったっけか?」ピチャピチャ

あかね「ぐぬぬぬぅ…! コイツ、めっちゃ力強い…」グググ・・・

ウルフルン「…あのさーお前、そんな風に引っ張ってんじゃねーよ」ピチャピチャ

あかね「何でアンタにそないな事、言われなあかんねや…!」ググググ・・・

ウルフルン「スカートの下が見えてるぞ」

あかね「!!?」ガバッ

ウルフルン「さっきのスカートめくりとは違って、しっかりと見えちゃったな」

あかね「………///」カァー

ウルフルン「ゴリラの絵は見えてたんだが、親子連れとは知らなかったわ。 随分と仲良さげじゃねぇか」

あかね「~~~っ///」プルプル

ウルフルン「ほれほれどうした? やっぱ見られて恥ずかしいんだろー?」ヤーイヤーイ

あかね「………、はぁー」

ウルフルン「あん?」

あかね「もうええわ、勝手にやっとき……ウチは帰らしてもらうさかい」クルッ

ウルフルン「どうしたんだよ? 俺を殴らねぇのか?」ガシッ

あかね「ウチは簡単には相手を殴らん。 そないに沸点低くないねんウチは」

ウルフルン「えぇー、殴ってくれたら俺様バッドエンドになれるのにー」グイグイ

あかね「挑発したのはわざとなんかい!!」

ウルフルン「頼むから殴ってくれよー。 一発でバッドエンド直行できる奴をさー」グイグイ

あかね「アンタどんだけバッドエンドにこだわんねん!?」

あかね「とにかく!! ウチは絶対に殴ったりはせぇへん!!」ダメ!

ウルフルン「えー、ケチー」ブーブー

あかね「ケチってアンタ……普段なら殴られずに済んだことに感謝するもんやで?」

ウルフルン「ほーい…」シブシブ

あかね「……ずいぶんと重い病気にかかっとうでホンマ…」

ウルフルン「あープリンうめぇー」ピチャピチャ

一区切りがついたので、明日に備えて寝ることにします。
朝早く起きれたら少しだけ書けるかもしれません。 書けたらいいなぁ。

おはようございます。 なんとか起きる事ができました。
たった数レスだけになりますが、続きの方を書いていきますね。

~翌日~


あかね「はぁー、昨日は散々な1日やったなー…」テクテク

みゆき「あ!! おっはよーあかねちゃん!」タタタッ

あかね「おーみゆきー。 今日も元気一杯やなー」

みゆき「うん! 今日も元気に起きれてウルトラハッピー!」イェイ!

キャンディ「キャンディも元気に起きれたクルー!」ヒョコッ

あかね「そーかそーか、えらいなキャンディー」ナデナデ

キャンディ「クルル~」

みゆき「そういえば、あかねちゃんの方はなんだか疲れてない?」

あかね「えっ? やっぱそう見えるんか?」

キャンディ「昨日何かあったクル?」

あかね「あー……うん、まぁちょっとな」

あかね「見つけたのはたまたまなんやけど、そこの公園で―――」ユビサシ




ウルフルン「あーチクショウ。 公園の土って案外かってぇな」ザック ザック

老人「そこの若いの。 ここで土を掘って何をやっとるんじゃ?」

ウルフルン「『コンドルの頭がめりこんどる』を実践中だ。 今からお前に、俺様の生き様というものを見せてやる」ザック ザック




あかね「」

みゆき「あ、オオカミさんだ」

キャンディ「ウルフルンクル!? それは大変クル!!」

みゆき「どうしようキャンディ!? ここには今私とあかねちゃんしかいないよ!」アタフタ

キャンディ「とにかく変身クル!! ぐずぐずしてると倒されちゃうクル!!」

みゆき「うん、分かった! プリキュア!! スマイルチャ―――」

あかね「ちょ―――――っと待ったみゆき―――――!!!」ガバッ!

みゆき「へっ!?」

キャンディ「どうしたクルあかね?」

あかね「あのな……えっと、そのー…」ポリポリ

みゆき「?」

あかね(…あのオオカミ、ウチらに気付いてへんみたいやから、今すぐ学校まで逃げへんか?)ボソッ

みゆき「えっ!?」

キャンディ(な、なんでクル!? 敵がいるのに逃げるなんてできないクル!)ボソボソッ

みゆき(キャンディの言うとおりだよあかねちゃん!! 私、敵さんがいるのに逃げるなんてダメだと思う!)ボソボソッ

あかね(そうは言ってもなー……今のアイツはなんか、誰かをバッドエンドにする気がないような気がするっちゅーか…)ボソッ

キャンディ(そんな訳ないクル!! アイツはバッドエンドの住民クル!!)ボソボソッ

あかね(あーもうしゃーないなー!! …みゆきぃ!!)ボソボソッ

みゆき(はっ、はい!)ビクッ

あかね(アンタ、学校遅刻しちゃってホンマにええのか!?)ボソボソッ

みゆき(ちっ、遅刻!?)ボソッ

あかね(せや。 ただでさえ成績悪いのに、これ以上遅刻したら留年確定やで!?)ボソボソッ

みゆき「えぇ―――!!?」ガビーン

あかね(し――っ! 声デカい!)ボソッ


老人「……はて? 何か声が聞こえた気がしたんじゃが…?」

ウルフルン「おいコラ、よそ見してんじゃねぇよジジイ。 今まさに頭をめり込ませる瞬間なんだぞ?」




あかね(……良かった。 バレてへんみたいやな)フゥー

みゆき(りゅ、留年なんて…そんなのヤダよ!!)ボソボソッ

あかね(せやろ? だから今後一切、遅刻しないようにすることやな)ボソボソッ

キャンディ(じゃあウルフルンはどうするクル!?)ボソボソッ

あかね(しばらく様子を見る。 そんでバッドエンドに空を染めた時は、すぐにボコボコにしたる)ボソッ

キャンディ(なんだか納得いかないクルゥ…)ボソッ

あかね(ほらみゆき! 急がんと遅刻遅刻!)グイッ

みゆき「きゃっ!?」



タタタ・・・


ウルフルン「ほうはひひい? ほへははほひへははははっへふは?(どうだジジイ? 俺様を見て嘲笑ってるか?)」

老人「すまんが、何を言ってるのかよく聞こえませんわい……おっと、もうこんな時間か」

老人「悪いが、ここで失礼するよ。 もうすぐモーニングバードが始まる時間なんでの」テクテク

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」ズボッ

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………、俺様はオオカミだ。 だから耳が良い。 …アイツらの声も丸聞こえだった」

ウルフルン「プリキュアめ、何故俺様を襲わなかった? 絶好のチャンスだっただろうに……特に赤い方のヤツ」

ウルフルン「あのゴリラパンツめぇ……昨日俺達が休業する話を聞いたからって、余裕の態度を見せやがったなぁ…!」ギリギリ

ウルフルン「俺様がアイツらに休めって言ったのは事実だが……なんか舐められてる気がするのはいなみねぇよな」

ウルフルン「もったいねぇ奴らだぜ。 今戦えば、もれなく俺様がバッドエンドらしく豪快に負けてやるってのによ」ハァ

ウルフルン「これじゃあこの先プリキュアにやられてバッドエンド、っていう展開にはなりそうにねぇか」

ウルフルン「さて、これからどう動くか…」ウーン

ウルフルン「………」

ウルフルン「……そういやアイツら、学校へ行くとかなんとかぬかしてたな」

ウルフルン「学校かー……前に襲撃したことがあったが、あんまりよく知らねぇんだよなーあそこ」

ウルフルン「………」

ウルフルン「……特に他にすることねぇし、1回行ってみっか」

ウルフルン「そこで新たなバッドエンドが俺様を待っている気がするしな」←キノセイ

ウルフルン「よっし、じゃあ行くか!! 未知なる冒険へ!!」ウルッフ!

とりあえず朝の分はこれで以上となります。
次は家に帰ってこれたらと考えていますが、レポート作成とかの関係で多少は遅くなりそうです。

朝からおつ
ダジャレを実行するなwwww

ウルフルンさんwwwwアンタって狼はwwww
最初からクライマックスじゃないですかーwwww

なんとか今さっきレポート作成が終わりました。 早めに出来上がって良かったです。


>>69
それだけこのオオカミは必死なんです、という事にしといて下さいw

>>70
まだまだ冒険は始まったばかりです。
なので、できればこの先も温かく見守っていただければ嬉しいです。


それでは、続きの方を書いていきますね。

~七色ヶ丘中学校・2年2組教室~


みゆき「良かったー遅刻せずに済んだー」グテー

キャンディ「むー…」ムスー

あかね「そう怒んなやキャンディ。 ほれ、プリンでも食うか?」つプリンデコル

キャンディ「食べ物で釣っても無駄クル!!」プイッ

あかね「あはははー…バレてもうた」

みゆき「それにしても、あかねちゃんって優しいんだね」

あかね「みゆき? いきなりどないしたんや?」

みゆき「だってあかねちゃん、今朝オオカミさんと戦わずに済ませたじゃん」

みゆき「無駄な戦いをせずに、いざというときだけ戦うっていうのは…すっごくカッコいいと思うよ」ニコッ

あかね「ホ、ホンマか? おおきに~」テレテレ

あかね(…ホンマはあいつの思い通りにさせない、っていうのが本音なんやけどなー)

あかね(アイツの言動から察するに、プリキュアと戦っても自ら負けに動きそうな気ぃするからなぁ…)ハァ・・・

なお「おはよう、みゆきちゃん、あかね」テクテク

みゆき「あ、なおちゃん! おはよー!」

あかね「おはよーさん、なお。 今日は朝練があったんか?」

なお「うん。 れいかもそうだったと思うけど……あれ?」キョロキョロ

みゆき「れいかちゃん…教室にはまだ来てないみたいだね」キョロキョロ

あかね「もうすぐ授業があんのに……おーい、やよいー」

やよい「? どうしたのあかねちゃん?」テクテク

あかね「朝早く登校してたんやろ? その間にれいか見いひんかった?」

やよい「ううん、見てないよ? …れいかちゃんに何かあったの?」

あかね「いや、別に何かあった訳やないんやけど…」

なお「……ちょっと私、様子を見に行ってくるよ」

あかね「あっ、それならウチが行くわ。 なおは朝練があって疲れとるんやろ?」

なお「で、でも……いいの?」

あかね「こっちはバレーの朝練無かったし、元気があり余ってるからな!」フンス

なお「じゃあお願いしようかな。 ありがとう、あかね」

あかね「ええってええって。 …そんじゃー行ってきまーす!」タタッ

やよい「足元に気を付けてねー」ヒラヒラ

みゆき「つまづいて転ばないようにねー!」ブンブン



タタタタ・・・


あかね(れいかが授業をサボるなんて考えられへん)タタタ

あかね(絶対に何かあったんや……無事でいてくれな、れいか…!)タタタ







~七色ヶ丘中学校・弓道場~


れいか「はぁ……はぁ……くっ」ガクン

弓道部員「青木さん!? しっかりして下さい!」

れいか「だ、大丈夫です…これしきのことで…」ハァ ハァ

あかね「れいか!!」タタッ

れいか「あっ……あかねさん…どうして、ここに…?」ハァ ハァ

あかね「それはこっちの台詞や!! 一体何があってん!?」

弓道部員「私達は、ただ練習してたんです…」

あかね「れ、練習…だけ?」

れいか「はい……その通りです…」ハァ ハァ

あかね「それっておかしいやないか!! むっちゃ汗出てて息切れしてるっちゅーのに…っ!」

れいか「それは……的が…」ユビサシ

あかね「的に何かあるんか!?」クルッ



















ウルフルン「おーい、早く撃ってきてくれー」

あかね「ま た ア ン タ か い っ っ !!?」ドーン

れいか「私達が部活動に励んでいると、いきなりあの方が現れまして…」

弓道部員「素早いロープ捌きで自分と的とを縛りつけ、『俺を狙って撃ってくれー』と言ってきたんです…」

あかね「なんちゅうはた迷惑な……そんなん無視したらええやんか!?」

れいか「それが…人数が多いので、その的を使わなければ練習効率が悪くなってしまうのです」

あかね「…的からどくよう注意したんか?」

弓道部員「それが……無理矢理どけようとしたら、何かをバラすとか訳の分からない事を言ってきて…」

あかね「バラすって……何を?」

れいか「あかねさん、ちょっと…」チョイチョイ

あかね「?」ススッ

れいか(…私達がプリキュアである事をバラす、と脅してくるんです)ヒソヒソ

あかね「……マジで?」

れいか「はい」コクン

あかね「…あんにゃろう」キッ

弓道部員「青木さんは本当に凄い方です! あの的を狙い続けているのに、1回もあの人を傷つけなかったんです!」

れいか「一歩間違えれば命を殺めるような行為を、他の方に押しつけてはいけないと思いまして…」ハァ ハァ

あかね「そっか……頑張ったな、れいか」

れいか「あら? 貴女が私を誉めても、私が喜ぶだけですよ?」ハァ ハァ

あかね「それだけやないで? れいかの喜ぶ顔を見てると、ウチも嬉しくなんねん」

れいか「…ありがとうございます、あかねさん」ニコッ

あかね「にひひひっ。 ……それじゃあ今からアイツと話つけてくるから、アンタらは教室に行く準備でもしとき」スクッ

弓道部員「は、はい! よろしくおねがいします!」ペコリ

ウルフルン「アイツらおせぇなー。 もうそろそろ顔面直撃してもいい頃合いだと思うんだがなー」

ウルフルン「……ん?」



あかね「………」ズンズン



ウルフルン「……あれ? ゴリラパンツがいやがる」

あかね「…おいオオカミ、アンタこんなとこで何やっとんねんコラ?」ズイッ

ウルフルン「見ての通りさ。 俺様に矢が刺さって、俺様バッドエンドっていうシナリオを実践中だ」

あかね「もう100%死ぬレベルになっとう事に気付いてないんか?」

ウルフルン「止めたってムダだぜ? 俺様の邪魔をすれば秘密をバラしてやるからな」ウルッフフ

あかね「……あんた、ホンマ馬鹿やなぁ」ハァー

ウルフルン「あん?」

あかね「あんた知らないようやけど、ずっとれいかはアンタに当たらへんよう頑張ってたんや」

ウルフルン「ほう、そうか」

あかね「仮にれいかの矢がアンタに当たったら、自分が殺したってれいかは悲しむに決まってんねん」

ウルフルン「そいつはバッドエンドなこった。 そうなったら俺様は嘲笑ってやるよ」ウルッフフ

あかね「…それ、おかしいと思わんか?」

ウルフルン「? 何がだよ?」

あかね「アンタが笑うってことは……それは幸せを感じてるっちゅー証拠なんや!」

ウルフルン「!?」

あかね「つまり幸せを感じてる以上、矢が当たってもアンタがバッドエンドになることは絶対にあらへん!!」ビシィ!

ウルフルン「っ!!?」ガビーン

ウルフルン「そ、そうだったのか…っ! 俺様は、とんだ無駄骨を…」ショック

あかね「せやろ? せやからこないな事したって意味ないんやって」

ウルフルン「そうだな……じゃあさっさとロープをほどくとするか」グイグイ

あかね(コイツが馬鹿でホンマに良かったわ)

ウルフルン「………」グイグイ

あかね「ほら、もう授業始まるからさっさとしいや!」

ウルフルン「………」グイグイ

あかね「あと今回は流石にワガママが過ぎたから、ロープほどいた後れいか達に謝罪するんやで? 分かったか?」

ウルフルン「なぁ、これどうやって取ればいいんだ?」ホドケナイ

あかね「ホンマいい加減にせえよアンタ!!?」グイグイグイー

あかね「はい! なんとか連れてきました~!」

弓道部員「ありがとうございます!! 助かりました!!」ペコペコ

あかね「こいつにも色々と理由があったみたいやけど、今猛烈に反省してるようやから堪忍したってなー。 …なっ?」

ウルフルン「ごっめ~ん、ゆるして~ん」ペッコリ ペッコリ

あかね(何その謝り方!?)

弓道部員「あ、謝るのはもういいですから…もうこんな真似は2度としないで下さいね?」

ウルフルン「おう! 任せとけ!」ブイ

弓道部員(なんか疲れるなーこの人)

れいか「………」フム

~七色ヶ丘中学校・廊下~


あかね「いやー危なかった危なかったー。 なんとか授業までには間に合いそうやなー」テクテク

れいか「……あかねさん、1つ聞きたいことがあるのですが」テクテク

あかね「? どないしたんれいか?」クルッ

れいか「先程弓道部に表れた敵についてです」

あかね「アイツか。 …別にほっといて大丈夫ちゃうか? 襲いかかってくる様子もなかったし」

れいか「いえ、そういう事ではなく……お二方について気になる事がありまして」

あかね「へっ?」

れいか「私が話しても全く相手にされなかったというのに、貴方が話すとあっさりと解決してしまいました」

れいか「あのウルフルンという方を説得できる何かを、あかねさんは持っていた……違いますか?」

あかね「あー……それはー、そのー…」

れいか「………」ジー

あかね(…もし、全部話してもうたら…)

あかね(真面目なれいかの事やから、アイツの願いを叶えようとするかもしれへん)

あかね(アイツの事はどうなってもええけど……れいかが他人を不幸にする姿なんて見とうない!)

あかね「ごめん、全然知らんねん。 あの時勢いで詰め寄ってみたらたまたま上手くいっただけで…」ヒラヒラ

れいか「……本当に? 嘘はついていませんか?」

あかね「つ、ついてない! ついてないですよホンマにホンマ!」ブンブン

れいか「………、そうですか。 嘘はついてない以上、私はあかねさんの言う事を信じます」

あかね(ほっ)

れいか「それでももし何かあったら…私に相談して下さいね?」

あかね「ありがとなれいか。 …それじゃあ先に教室に行っとうからなー」タタッ

れいか「あっ!? こら、あかねさん!! 廊下で走ってはいけません!!」

あかね「副会長さんも、廊下で大声出したらあかんとちゃいますかー?」タタタッ

れいか「……もうっ!」スタスタ ←早歩き

~七色ヶ丘中学校・屋上~


ウルフルン「あーチクショウ。 今回は上手くいかなかったかー」ウーム

ウルフルン「しかしまだ始まったばかりだ。 まだまだ俺様がバッドエンドになる道があるはずだ」

ウルフルン「早めにバッドエンドの意味っていうのを再認識して、本業の方に戻らねぇとな」ウン

ウルフルン「さて、これからどう動くか…」キョロキョロ

ウルフルン「………ん?」




キャッ! ヤ、ヤメテクダサイ!

イイジャネェカヨ、ハヤクダスモンダセコラ




ウルフルン「………」ジー

寺田るな「離して下さい!! これは生徒会活動に使う大事な資金なんです!」

ヤンキーA「んなもん知るかよ。 俺達朝飯食い忘れたから買いに行きてぇんだ」ガシッ

ヤンキーB「つーかさ、生徒会って実際何もしてねぇんだろ?」

寺田「そんなことありません!! 私達生徒会は、毎日学校のために一生懸命…っ!」

ヤンキーC「さっきからいちいちうぜぇんだよ!! 早く金渡さねぇとシメるぞコラ!!?」




ウルフルン「……人間共による小競り合いか」

ウルフルン「そういやそんな物語もあったなー。 結局一番恐ろしいのは、仲間であるはずの人間でしたーっていうのが」

ウルフルン「まぁ、他人様のバッドエンドなんて俺には関係の無い話…」クルッ

ウルフルン「……ん? ちょっと待てよ?」

ウルフルン「………」ポクポクポクポク




俺、参上



俺、アイツらの金横取りする



俺、アイツらに倒される



俺様バッドエンド!




ウルフルン「こ れ だ !!」チーン

ヤンキーA「おら、もう観念しやがれってんだ」ギリギリ

寺田「い、痛い…っ!」ギリギリ

ヤンキーB「ほらほら~? まだ抵抗してると腕折れちゃうかもよー?」ヒヒヒッ

ヤンキーC「これで飯にありつけるぜ。 つーか今晩辺り、一緒に飯でも食いにいけんじゃねーの?」ニヤニヤ

寺田「だ、誰か…誰か助けて……」ギリギリ




ウルフルン「ちょーっと待った―――――!!」スタッ




寺田「!?」

ヤンキーA「あ? …誰だテメェ?」

ウルフルン「通りすがりのオオカミです。 ちょっくらバッドエンドを頂戴しに来ました」

ヤンキーC「何言ってんだか訳分かんねぇが、俺達を止めようってのかよ? あ゛ァ!!?」

ウルフルン「おーおー威勢が良いじゃねぇか。 これなら大丈夫そうだ」テクテク

ヤンキーA「あ?」

寺田(何、この人…? 助けに来てくれたのかな…?)

ウルフルン「おい、そこのガキ」

寺田「は、はい!」

ウルフルン「お前が持っているその金、今すぐ俺様に渡してもらおうか?」

寺田「えぇっ!?」ギョッ

ヤンキーB「なっ、何言ってやがんだ!? 俺達が先に目ぇつけたんだぞ!?」

ウルフルン「順番なんて知るかよクソが。 俺様が欲しいと思えばそれでいいんだよ」ウルッフフ

寺田(助けに、来てくれたわけじゃないんだ…)ガックシ

ヤンキーA「冗談じゃねぇ!! おいテメェら、やっちまえ!!」

ヤンキーB&C「「おうよ!!」」ダッ

ウルフルン「おいちょっと待て。 俺を倒すのはもうちょい後からにしてくれないか?」ストップ

ヤンキーC「テメェの都合なんか知るかよ!! くらえ!!」ブンッ ブンッ

ウルフルン「しょうがねぇなー」ヒョイ ヒョイ

ヤンキーC「な!? コイツ、動き早――」

ウルフルン「ほんの少しだけ眠っといてくれ」トンッ

ヤンキーC「ッ!? がっ…」バタン

ヤンキーB「お、おい!? くそっ!!」ブンッ

ウルフルン「だから待てつってんだろーに」トンッ

ヤンキーB「ぎ!? あ、が……ち、ちくしょう…」バタン

ヤンキーA「…嘘、だろ……? 手刀だけで、全滅させやがった……」ワナワナ

ウルフルン「さて、後はお前だけだな」テクテク

ヤンキーA「まっ、待て!! 俺達が悪かった!! 悪かったから、だから…!」ガクガク

ウルフルン「何言ってんだお前?」テクテク

ウルフルン「最終的には俺が悪役になるんだっつーの。 その後お前らで俺様を倒しやがれ」テクテク

寺田(悪役? 自分を倒す? …何を言ってるのこの人?)

ヤンキーA「冗談じゃねぇ!! お前みたいな強い奴、倒せるわけねぇだろ!!」ダッ

ウルフルン「あ!? おいコラ待て逃げんな!!」



タタタタ・・・



ウルフルン「チッ! …まぁいい、まだ後2人いるからな」

寺田(わ、私助かったの?)

ウルフルン「おーい、もう今すぐに金とるから起きてくれー」ユサユサ

寺田(あぁだめだ……お金とるって言ってるし…)

ウルフルン「……起きねぇな。 力が強すぎたのかよ…ったく、加減って難しいぜ…」ブツブツ

寺田(というか私今チャンスじゃない? 今のうちに…)ソロー

ウルフルン「おいお前」

寺田「はいぃ!!? 逃げようとしてすみませんっ、すみませんっ!!」ペコペコ

ウルフルン「1つ聞きたいことがあるんだが」

寺田「……?」ビクビク

ウルフルン「お前さ、俺を倒すことってできたりするか?」

寺田「…へ?」キョトン

ウルフルン「率直に答えてくれ。 お前の実力で俺様を倒せるかどうかを」

寺田「え? …その……えーっと…」ドギマギ

ウルフルン「………」

寺田「……無理、です。 私では、貴方を倒すことはできません」

ウルフルン「そっかー。 やっぱそうだよなー」ハァー

寺田「そうだよなー、って…」

ウルフルン「何か計画が丸潰れになったし、もういいや」クルッ

寺田「えっ!?」

寺田「あ、あの! さっき私からお金をとるって言ったのは…?」

ウルフルン「そんなもん最初から狙っちゃいねぇよ。 つーか後でボコられて返す予定だったし」

寺田「ぼ、ボコられ? ……まぁいいです。 とにかく助けていただき、ありがとうございました!」ペコリ

ウルフルン「おいコラ、感謝すんじゃねぇよ。 全然バッドエンドじゃねぇじゃんそれ」

寺田「え? で、でも…何かお礼をしたいんですけど……」

ウルフルン「えぇー? そんなん貰っても全然嬉しくねぇんだけどなー…」

寺田「そうなんですか? 普通貰えば嬉しいものだと思いますが…?」

ウルフルン「ふーん……それじゃあ、試しに1個頼めるか?」

寺田「はい!」フンス

ウルフルン「俺の顔面を殴ってくれ」

寺田「はい!?」

ウルフルン「殴るんだよ。 俺様の顔をこう、ガツーンと」

寺田(マ、マゾなのかしらこの人……)

ウルフルン「ほら、さっさとやってくんねぇか?」ココラヘン ココラヘン

寺田(それでも…それがこの人の頼みならやってあげた方が良いよね…)

寺田「ほ、本当にいいんですか? やっちゃいますよ?」グッ

ウルフルン「おう、どんとこい」

寺田「……本当にやっちゃいますよ?」グググ・・・

ウルフルン「いいから早くしてくれ」

寺田「…ていっ!」ポカッ


ウルフルン「ぐおおぉおおぉおおおおぉぉおおぉぉおぉぉおおおぉおぉおおぉおぉおおおおぉぉおぉぉぉぉぉぉ…!!!」ビューン


寺田「」

寺田「……え? …えぇっ!? ちょっ、何!? 私ちょっとしか力使ってないよ!?」

寺田「あんな漫画っぽく吹っ飛ぶなんて普通ありえないのに……って、あれ?」

寺田「な、何これ!? 地面が凄いえぐれちゃってる!?」







~七色ヶ丘中学校・体育館屋上~


ネーネー? サッキオクジョウカラオオキナオトガシタンダケドー?

カラスデモオチタンジャナイノ?



ウルフルン「………」

ウルフルン「………、ほらやっぱりな。 ヤラセでぶっ飛んでも全然バッドエンドを感じねぇ」

ウルフルン「ただ痛いだけで全然嬉しくねぇし、痛いのは主にパンチじゃなくて屋上にぶつかった奴だし」

ウルフルン「つーか…何馬鹿な事やってんだろうなー俺……」ハァー

ウルフルン「さーて、仕切り直して次行くか次」スクッ

ウルフルン「こうやって軽ーく辺りを見渡せば、っと…」キョロキョロ

ウルフルン「……お? あったあった」




野球部員「もうお前らにはうんざりなんだよ!! 分かってくれないなら、このバットで…!」スチャッ

剣道部員「いいぜ? ただこっちには竹刀に加えて、頑丈な鎧があることを忘れんじゃねぇぞコラ」スチャッ

庭球部員「俺のテニスラケットから放たれる豪速球は、誰にも止められやしない!!」ブンッ

筝曲部員「ふっ。 ついに始まるみたいね……私と琴が奏でる、壮大なるシンフォニアの序曲が…っ!!」グァッ




ウルフルン「すんげぇバッドエナジーを感じるぜ……っていうか、どういう状況だよありゃ?」

ウルフルン「バッドエナジー感じる所にバッドエンドあり、だな……さて、俺様はどう動くか…」ウーン

ウルフルン「………」ポクポクポクポク




俺、参上



俺、アイツらの邪魔をする



俺、アイツらに集中攻撃される



俺様バッドエンド!




ウルフルン「よし、行くとするか!」チーン

野球部員「おぉおおおぉぉおおぉおぉおおお!!! くらえ、クラウチング・バスター!!!」ブンッ!

剣道部員「はっ!!! そんなもの、軽く受け止めてみせるわぁ!!」グッ

庭球部員「俺のテニスは!! 俺の青春は!! まだ始まったばかりだぁ!!!」ビシュッ!

筝曲部員「おーほほほほほ!! 私と琴との美しいアンサンブルに酔いしれなさいなぁ!!!」ブンッ!




ウルフルン「ちょーっと待っtぐぎゃぁぁあああぁぁああ!!?」ドカバキボコ




野球部員「!? な、何だ!?」

剣道部員「空から人が降ってきて、みんなの攻撃を受け止めた…だと…?」

ウルフルン「」

野球部員「お、おい! 大丈夫かよアンタ!?」バッ

庭球部員「コイツ…身を防げる物を何も持っていなかったようだな…」

剣道部員「信じられない……生身で俺達の攻撃を受け止めたというのか…!?」ワナワナ

筝曲部員「……どうやら私達は、この人に思い知らされたみたいね」

野球部員「? どういう事だよ?」

筝曲部員「…今私達が持っている道具全ては、自分の為じゃなくみんなの為にあるもの」

筝曲部員「バットや竹刀は試合で振ることにより人々を熱狂させ、琴は奏でることで人々に感動を与える」

筝曲部員「それなのに私達は……自分勝手な戦いの為に、これらの道具を使ってしまう所だったの」

他の部員達「「「!」」」

筝曲部員「きっと彼は…」チラッ

ウルフルン「」

筝曲部員「私達がどれだけ惨めな行いをしているかを、その身をもって教えてくれたんだと思うわ」

野球部員「そっか……俺達はなんて事を…」

剣道部員「そんな単純な事にも気付けていなかったぜ…」ハハッ・・・

庭球部員「今思い出したよ…俺は自分の為にラケットを振っちゃいない。 仲間の部員や、監督を喜ばせる為にラケットを振っているんだ…」クッ・・・

筝曲部員「彼は勇者ね。 こんな私達の為に自分の身を犠牲にしたんだから」

ウルフルン「」

庭球部員「とにかくこの人を保健室に運ぼう。 そして、起きたらみんなで謝ろう」グイッ

剣道部員「俺は別に竹刀振るった訳じゃなんだがなー」

野球部員「まぁいいじゃねーか。 この人がこうなった原因は俺達にあるんだし」グイッ

剣道部員「それもそうだな。 …よし、俺にも運ぶのを手伝わせてくれ」

ウルフルン「」

筝曲部員「うふふ……この人は一体、何を思って眠っているのかしらね…」クスクス

ウルフルン(まさにバッドエンドだぜぇ…)

一段落どころか一眠りしてしまいました。 申し訳ないです。
それではこの時間帯で早めに更新するのもアレなので、今回は時間を置きつつ投稿してみますね。

~七色ヶ丘中学校・2年2組教室~


佐々木なみえ「このようにして、イルカを英語で『dolphin』と書きm「あのー、先生…」…はい?」

やよい「少し体調が悪いので、保健室に行ってもいいですか?」

佐々木「大丈夫ですか黄瀬さん? 1人で行けますか?」

やよい「あ、はい。 1人でも大丈夫です……失礼します」テクテク

みゆき(……やよいちゃん大丈夫かな?)ヒソヒソ

あかね(アイツ体崩しやすいもんなー…ちょっと心配やね)ヒソヒソ

佐々木「それじゃあこの後の問題を……そこでヒソヒソ話してる星空さんと日野さん、答えてください」

みゆき「うぇー!?」

あかね「むっちゃバレとるやないかー!!」



ドッ! アハハハハハ・・・


やよい「うぅー……まだ冬じゃないのにお腹が冷えてきちゃった…」テクテク

やよい「この体質を防げる良い方法があったらいいのになー…」テクテク

やよい「あ、もう保健室に着いちゃった。 ……ドアをノックして、っと」トントン

やよい「すみませーん。 体調が悪くなったて来たんですけど…」ガラッ

やよい「……あれ? 誰もいない……先生何か用事でもあるのかな?」

やよい「………」

やよい「…せんせー。 体調が悪いので、ベッドを使わせてもらいまーす…」ボソッ

やよい「………、よし。 ベッドで横になろっと」テクテク

やよい「直接先生には言ってないんだけど、いないから仕方ないよね」シャー




ウルフルン「」スースー

やよい「」

やよい「きゃっ!? オ、オオカミさんだ…!」

ウルフルン「」スヤスヤ

やよい「れいかちゃんやあかねちゃんから聞いてたけど、もう帰ったんじゃなかったの…?」

ウルフルン「」フゴフゴ

やよい「それに何で保健室で寝てるのかな…? も、もしかして、勝手にベッド使ってるとか…?」

ウルフルン「」ガーガー

やよい「だったらなんとかしなきゃ…! 私はスーパーヒーローなんだし」フンス

ウルフルン「」ギシギシ

やよい「あと寝息が凄くうるさいし……うん、私ならできるはず」

やよい「よし、まずは起こさなきゃだね…」ズイッ

ウルフルン「」ムニャムニャ

やよい「……だめ、やっぱり怖くて起こせないよ…何か別の方法で…」キョロキョロ

ウルフルン「」パチクリ

やよい「この部屋には目覚まし…なんてないよね…」キョロキョロ

ウルフルン「…」

やよい「あっ花瓶があった……何かに使えるかな…?」

ウルフルン「……」ジー

やよい「そうだ。 この花瓶のお水を少しだけ借りてっと…」ヒョイ

ウルフルン「………」ジー

やよい「寝耳に水ってことわざがあるし…これをオオカミさんの耳に注げば絶対に起きるはず……」

ウルフルン「おい」

やよい「ひゃいっ!!?」ビクゥ!

ウルフルン「………」ムクッ

やよい「お、起きてたんだ…」

ウルフルン「………」ストン

やよい「あ、あのね……ここはみんなが通う学校だから、貴方みたいな人が来るような場所じゃないの。 だから…」

ウルフルン「ちょいとその花瓶貸してみろ」

やよい「あ、はい」

ウルフルン「………」テクテク

やよい「……あっ!? え、えーと、だからその…みんながいるこの学校で、悪いことをして欲しくないの」

ウルフルン「………」ポイッ ジャー ←花瓶から花と水を出してる 

やよい「もし言うことを聞いてもらえないのなら、私は貴方を見逃すわけには…」

ウルフルン「………」ガサゴソ

やよい「……? …何してるの?」

ウルフルン「よし、この薬品でいっか」ヒョイ

やよい「?」

ウルフルン「………」トプトプトプ

やよい「あのー…? なんで花瓶にお薬入れてるの……?」

ウルフルン「はい、これ持って」

やよい「あ、はい」

ウルフルン「………」ギシッ

やよい「……あのー…」

ウルフルン「………」ゴソゴソ

やよい「なんでまたベッドに戻って…?」

ウルフルン「………」スースー

やよい「……寝ちゃった」

ウルフルン「………」スースー

やよい「………」アノー・・・

ウルフルン「………」スースー

やよい「………」エート・・・

ウルフルン「………」チラッ

やよい「!」

ウルフルン「………」スースー

やよい(お、起きてる…)

ウルフルン「………」スースー

やよい(なんで狸寝入りなんかしてるんだろう?)

ウルフルン「………」チラッ

やよい(あっ。 またこっち見た)

ウルフルン「………」スースー

やよい(…私、どうしたらいいんだろう……)

ウルフルン「………」パチッ

やよい「!」

ウルフルン「………」ムクッ

やよい(お、起きた…)

ウルフルン「…おい」

やよい「な、……何?」

ウルフルン「なんでその花瓶で俺様を叩きつけねぇんだ?」

やよい「えっ!?」

やよい「か、花瓶で叩きつけるって何!? どうして私が!?」

ウルフルン「いやだって、お前さっき俺を起こそうとしてたからさ」

やよい「だからって、このお薬が入った花瓶で叩いたらとんでもないことになるよ!?」

ウルフルン「そうでもしないと俺様バッドエンドにならねぇじゃんかよ」

やよい「バ、バッドエンド?」ナニソレ?

ウルフルン「ほら、もう1回だけチャンスをやるから。 その花瓶で俺様の頭をかち割りプリーズ」ガサガサ

やよい「で、できるわけないよそんなの!! それにもう起きてるから必要ないじゃん!」

ウルフルン「んじゃーさっきお前が言ってた寝耳に水作戦でいいやもう」ムニャムニャ

やよい「だから起きてるでしょ貴方は!!? あとコレ水じゃないし!!」

ウルフルン「じゃあもうその花瓶の中身ぶちまけるだけでいいから。 ほれ、ばんざいしてみ?」

やよい「だからしないって言ってるでしょ!? もし危険なお薬だったら大変なことに―――」



ツルッ



やよい「えっ…うそ……!?」



バッシャァ!



ウルフルン「………」ポタポタ

やよい「わ、わわわわわ……お、お薬かけちゃった……」アワアワ

ウルフルン「………」ポタポタ

やよい「ど、どうしよ、どうしよ…」アタフタ

ウルフルン「………」ポタポタ

やよい「…? ……お薬かかっても苦しくないの?」

ウルフルン「…あぁ、全然平気だ。 まったくもって苦しくねぇ」ポタポタ

ウルフルン「我慢もしてねぇし、別に強がってる演技をしてる訳でもねぇよ」ポタポタ

やよい「よ…よかった~」ホッ

ウルフルン「それに、もうヤラセはしないって決めてるからな」ポタポタ

やよい「?」

ウルフルン「つーか、なんだこの薬は? 全然痛み感じねぇじゃんかよ」フキフキ

やよい「あぁぁ…ベッドにお薬が染み込んじゃってる…」

ウルフルン「一番ヤバ気な薬を選んだつもりだったんだがなー」フキフキ

やよい「えーと……そのお薬を浴びてから眩暈がするとか、お腹が痛いとかってないの?」

ウルフルン「そんなもんねぇよ。 ただちょっと意識がボーっとするぐらいだ」ボー

やよい「それって結構まずいんじゃないかな…? …一体どんなお薬を使ったの?」

ウルフルン「薬の名前は書いてなかった…が、ドクロ模様があるやつ…だったな……」ボー

やよい「確かにそれヤバそうだね…」ガサゴソ

ウルフルン「あー……すっげぇだりー……」ボー

やよい「あっ、あったあった。 この瓶だね」ヒョイ

ウルフルン「………」ボー

やよい「ホントだ。 真っ黒なドクロマークでちょっと怖いかも……ってあれ?」

やよい「このドクロマーク、上から貼り付けてある……?」ペリペリペリ

やよい「あっ、シールの下にお薬の名前が書いてる。 ちょっと漢字が難しいけど…」

やよい「えーっとえーっと………び……や…く…」

やよい「…媚薬………」

















ウルフルン「………」ユラァ・・・

やよい「っ!!?」ビックゥ!

ウルフルン「………」ジリ…ジリ…

やよい「う、そ…だよね……? オオカミさん、お薬飲んじゃったの…?」タジッ

ウルフルン「………」ジリ…ジリ…

やよい「き、聞こえてないのかな……そもそもなんで保健室に媚薬があるの~…?」タジタジッ

ウルフルン「………」ジリ…ジリ…

やよい「ど、どうしよう…とにかく誰かに助けを呼ばないと…」タジッ



ガッ



やよい「えっ? きゃっ!!」



ビッターン!



やよい「う、うぅぅ…いたたたたぁ……尻もちついちゃった…」サスサス

ウルフルン「………」ジリ・・・

やよい「あ、あぁ……だ、だめ…痛くて動けない……」

ウルフルン「………」ジリッ

やよい「や、やだ……来ないでぇ…」

ウルフルン「―――ッ」バッ

やよい「きゃぁっ!?」



ドサッ…



ウルフルン「………」

やよい「あ、あわわわわ……か、顔が近い…///」カァー

ウルフルン「………」

やよい「お、オオカミさん。 お願いだから、こんな事はやめよ……ねっ?」アタフタ

ウルフルン「………」ズイッ

やよい「あのねっ、その、ねっ。 私なんか食べても、全然美味しくないに決まってるし…」アタフタ

ウルフルン「………」クンクン

やよい「こういうのは好きな人同士でやるもんだと思うかrひゃん!?」ビクンッ

ウルフルン「………」ペロッ ペロッ

やよい「ダ、ダメだから…ホントに、ホントにダメだから、ぁ…」ビクビクッ

やよい「やめてぇ…やめてよぉ…」グスッ

ウルフルン「………」

やよい「こわいよぉ……お願いだからぁ…」ポロポロ

ウルフルン「………」

やよい「う、うぇ…えぐっ…」ポロポロ

ウルフルン「………」

やよい「ひぐっ…ぐすっ、ふぇ…」ポロポロ

ウルフルン「………」

やよい「………? あれ?」グスッ

ウルフルン「………」

やよい「……動いてない…?」

ウルフルン「………」

やよい「…? ……?」

ウルフルン「………」

やよい「……もしもーし…」ヒラヒラ

ウルフルン「………」

やよい「寝ちゃったんですかー…?」ヒラヒラ

ウルフルン「………」スッ

やよい「ひっ!!?」ビクッ

ウルフルン「………」ガシッ

やよい「………っ」ブルブル

ウルフルン「………」

やよい「………?」チラッ

ウルフルン「………」

やよい「? 何持ってるの? ……花瓶?」

ウルフルン「ん」

やよい「あ、どうも」

ウルフルン「………」

やよい「………」

ウルフルン「………」

やよい「…えっ? えっ? 私、花瓶で何したらいいの?」

ウルフルン「………」

やよい「えーっと…この花瓶に何かあるのかな…」

ウルフルン「………」

やよい「…別に、何も変なとこなんてないけど…」ジロジロ

ウルフルン「………」ズイッ

やよい「ひゃぅ!!?」ビクッ

ウルフルン「………」

やよい「………」ブルブル

ウルフルン「………」

やよい「………?」チラッ

ウルフルン「………、はぁー」



ウルフルン「なんでその花瓶で俺様を殴らねぇんだよお前は?」

やよい「えぇっ!!?」

ウルフルン「簡単な事だろ? それで叩けば俺様をバッドエンドにできるじゃねぇか」

やよい「まだそんなこと言ってるの!? しないよ!!」

ウルフルン「自分で手を伸ばせば届くような場所に転がってたのに、周囲を見ずにこっちばっか見やがるし…」ハァー

やよい「そ、それは…貴方が私を、その…」

ウルフルン「んなことしたら俺様じゃなく、テメェの方がバッドエンドになるだろ? それじゃあダメだ」

やよい「え? それってどういう…?」

ウルフルン「要するにアレだ。 んなこと誰がするかって話だよ、マセガキ」ニヤニヤ

やよい「~~っ/// ま、マセてなんかないもん…///」カァー

ウルフルン「じゃあなんで大きな抵抗見せなかったんだよ? 絶対に殴られると確信して舐めてたんだぞ俺?」

やよい「えぅ!? そ、そんなの、あんなことされたら動けるはずが…///」カァー

ウルフルン「さーて、どうだかなっと」スクッ

やよい「あっ。 そういえば」

ウルフルン「あん?」

やよい「何だか平気そうに見えるけど、あの時にお薬飲んでなかったの?」

ウルフルン「いや、結構な量を飲んじまったぞ? 今も結構ボーっとしてるし」ボー

やよい「じゃあなんでそんなに普通でいられるんだろう…?」

ウルフルン「そりゃー多分、俺様のメンタルが強いからだろうな」ウン

やよい「…本当にそうなの?」

ウルフルン「強いんだよオオカミは。 メンタル弱かったら、一匹狼なんて寂しい真似できっこねぇだろ?」

やよい「ふーん……」

ウルフルン「……ちなみにその花瓶、全体に『びやく』とかいうのがべったり付いてんじゃねぇのか?」

やよい「あっ!? い、今すぐ洗わなきゃ!」タタッ

ウルフルン「おーおー。 結構『びやく』だらけになっちまったなーこの部屋」キョロキョロ

やよい「一応手洗ったけど、大丈夫だよね…?」フキフキ

ウルフルン「口にさえ入らなければ大丈夫だと思うぞ? 多分お前はセーフだ」

やよい「本当かなー…?」ウーン・・・

ウルフルン「臭いでも効果があるなら、もう効果が出てもおかしくないだろうからな」ウン

やよい「だといいんだけど…」

ウルフルン「そういやなんで俺こんな所で寝てたんだっけか…?」ハテ

やよい「えっ!? 自分でここに来たんじゃないの!?」

ウルフルン「あぁ。 確か最後に覚えてるのは、バットとテニスボールと琴で殴られた痛みぐらいだ」

やよい「な、何があったのそれ…?」

ウルフルン「まぁとにかく、ここには俺様が求めるバッドエンドがないから移動でもするか」

やよい「あっそういえば。 ねぇねぇ、バッドエンドってどういう―――」

ウルフルン「それではこれにてドロン!」シュンッ

やよい「ちょっと、話を聞いてよ!? ……あーあ、行っちゃった…」

やよい「うーん……あのオオカミさん、何だかいつもと様子が違ってたなぁ」

やよい「私達をバッドエンドにするというよりは、自分自身をバッドエンドにするように動いてたような…?」ウーン

やよい「よく分からないけど……れいかちゃんとかなら何か知ってるのかも? 今度聞いてみよっと」

やよい「とりあえず……この保健室を掃除しなくちゃね」ウン

やよい「ぞうきんは確か、外の廊下にあったはず…」タタッ


ガララッ ピシャン



トントン


相撲部員A「失礼するでごわす!」ガララッ

相撲部員B「おいどんも失礼するでごわす!」

相撲部員C「おいどんもでごわす! 先生はいらっしゃるでごわすか?」ピシャン



シーン・・・



相撲部員A「……誰もいないようでごわすね」キョロキョロ

相撲部員C「むぅ、困ったでごわす……てっきり先生がいたとばかり…」

相撲部員B「すっかりあの先生の診察を受けることが日課になってるでごわすね、おいどん達」

相撲部員A「当然でごわす! あの美人な先生の笑顔が、どれだけ自分達の生きがいとなっていることか…っ!」グググ・・・

相撲部員C「でも先生がいないようなら仕方ないでごわす」

相撲部員A「それもそうでごわすね。 ……引き返すでごわす」クルッ

相撲部員B「……ちょっと待つでごわすよ」

相撲部員A「? どうしたでごわすか?」

相撲部員B「この匂いは……」クンクン

相撲部員A「匂い…?」クンクン

相撲部員C「…あっ!? あの先生から香ってくる匂いがするでごわす!! しかも、この部屋一杯に!!」クンクン

相撲部員B「そうでごわす! 今まで大量に嗅いできたから間違いないでごわす!」クンクン

相撲部員A「匂いの元を辿ってみたら、この花瓶の元に辿り着いたでごわす!」クンカクンカ

相撲部員B「おいどんはこのベッドからでごわす! 何だか匂いの元が全体に染み込んでいるでごわす!」クンカクンカ

相撲部員C「おいどんは床でごわす! 床にある大量の液体から先生の香りがするでごわす!」クンカクンカ

相撲部員A「あぁー!! 花瓶の中に液体が少し入っていたでごわす!! ごっつぁんです!!」ゴクッ

相撲部員B「ベッドのシーツを絞ってたら液体が滲み出たでごわす!! ありがたいでごわす!!」ジュルジュル

相撲部員C「床に捨てるなんてもったいないでごわす!! 全力でリサイクルに貢献するでごわす!!」ピチャピチャ

A&B&C「「「ごちになったでごわす!!!」」」

A&B&C「「「…ん? なんだか体が熱く…?」」」

A&B&C「「「フゥォオォオオオォオォオォオオォォォオオオオォオオオォオオォオオオォオオオオオオオォオォオオオォォオオオ!!?」」」

やよい「ふー。 ちょっと遠かったけど、ぞうきんとバケツを持って来れたー」テクテク

やよい「頑張ってお掃除できたら、先生許してくれるかなー?」テクテク

やよい「………、あれ?」



・・・アァァアア・・・・・・アァァア・・・アアァァアァ・・・



やよい「保健室から声が聞こえる…?」キキミミ



相撲部員A「なんという事でごわしょう!? 世界が広がって見えるでごわす!!」(音は自粛)

相撲部員B「今まで試合でのみやってきたでごわすが、それ以外にも肌で触れ合う価値があったとはぁ!!!」(音は自粛)

相撲部員C「たまらんでごわす! たまらんでごわす!! たまらんでごわす!!!」(音は自粛)



やよい「」

『いままで』って事は、前にも使われたという……!?

>>137
あっ、いえ違うんです。 これはただ『相撲の試合で力士姿になってぶつかり合っていた』、という意味でして…
変な誤解を与えてしまいすみませんでした。







やよい(…えっ!? えっ!!? 何っ、どういうこと!!? 一体何がどうしたっていうの!!?)タジッ



モットダ! モットハダヲブツケアウデゴワス!
コレハマケラレナイデゴワス! スタミナショウブデゴワス!
ウォオォオォォォオオォォオオ!! モエテキタデゴワス!!



やよい(ま、まさか媚薬!? あの人達口に入れちゃったの!? なんで!!?)

やよい(……も、もし…そうだとすれば……)ゴクリ



ミンナ、ナイスファイトデゴワス! コウナッタラ、ミンナデチカラヲアワセルデゴワス!
ワカッタデゴワス! サンニンイッショニチョウテンヲメザスデゴワス!
ジョウトウデゴワス! キモチヲヒトツニスルデゴワス!



やよい(この扉の先には、一体何が繰り広げられているの…っ!?)ゾクッ

やよい「とにかく、中にいる人達を止めないと…っ!」

やよい「……でも、どうやって…?」

やよい「………」



イマサラデゴワスガ、オトコトイウモノハサイコウデゴワスナ!
マッタクモッテソノトウリデゴワス! ダンシサイコウデゴワス!
イママデ、ジョセイニウツツヲヌカシテタジブンガハズカシイデゴワス!



やよい「………」



アーッ エーッ イーッ ウーッ エーッ オーッ アーッ オーッ
ダメデゴワス! モットキモチヲタカメルデゴワス!
ア―――――ッ! エーッ! イーッ! ウーッ! エーッ! オーッ! ア―――――ッ! オーッ!



やよい「………」

やよい「………」

やよい「………うん、無理だ……私には無理だ……」フルフル

やよい「ごめんなさい…保健室にいる人達…」クルッ

やよい「私はプリキュアで、スーパーヒーローで、みんなの笑顔を守るのが使命だけど…!」タタッ



ウゥウゥゥォオォオォォオオオォオオオオオオォオオオォオォオォオォオオオオ…… ←獣となりし者達の咆哮



やよい「自分の力で、輝ける未来を切り開く事が大事だと思うから……だから…っ!」タタタッ



アァアアアアァアァァァアアァァァアァアァァアァァアァァァアアアァァアァァ…… ←獣となりし者達の雄叫び



やよい「私に手伝う事なんて、何もありません…っ! 自分自身の翼で羽ばたいて下さいっ!!」タタタタッ



タタタタ・・・


もう何度も腹の音が鳴っているので、そろそろ朝食を食べに失礼します。
朝早く起きすぎると、その分だけ空腹を感じるので不思議ですね。

朝ごはんを食べ終わりましたので、続きの方を書いていきたいと思います。



キーン コーン カーン コーン


みゆき「んん~。 やっと授業が終わったよ~」ノビー

あかね「あー、ホンマ疲れたわ……ウチ英語苦手やのにぃー…」グテー

なお「質問のほとんどが2人へ集中してたもんね」

れいか「授業中にコソコソと話すものではありませんよ、2人共」

みゆき「だってやよいちゃんが心配だったから…」ハップップー


ガラッ


やよい「………」テクテク

あかね「…あり? やよい、もう帰ってきたで?」

なお「本当だ……もう元気になったのかな?」

やよい「………」ストン

なお「やよいちゃん? もう体の方は平気なの?」

やよい「あ、なおちゃん……うん、もう大丈夫」

れいか「少し無理をされていませんか? 顔色が悪いみたいですよ?」

やよい「そ、そんなことないよ? ただちょっと、保健室で授業お休みするのはダメかなって思って…」

あかね「やよいは真面目でええ子やなぁ…」ジーン

みゆき「でも、もし何かあったら遠慮せずに言ってよね?」

やよい「ありがとうみゆきちゃん、それにみんな」ニコッ

やよい「あっ、そういえばれいかちゃん」

れいか「はい? なんでしょうか?」

やよい「さっき保健室に行くとね、あのオオカミさんがいたんだけど…」

あかね「はぁ!? アイツまだこの学校におるんか!?」マジデ!?

やよい「う、うん。 それでね、れいかちゃんならそれについて何か知ってるかなって思って…」

れいか「そうですか…」ウーム

やよい「弓道部の方にもオオカミさんが出たって話を聞いたけど、何か関係しているのかな?」

れいか「……すみません。 私の考えた限りでは思い当たる節が見つかりません」

やよい「そうなんだ。 ごめんね、分かんないこと聞いちゃって」

れいか「はい。 ですが…」チラッ

あかね「!」

れいか「あかねさんなら何か知って―――」



ヒノサーン チョットー



みゆき「? 誰かがあかねちゃんを呼んでるよ?」

あかね「あ、バレー部の先輩達や。 ……何か用でもあるんかな?」

なお「あかね、早く行ってあげなよ」

あかね「……確かにそうやな。 それじゃーれいか、質問してるトコ悪いけどちょっくら失礼するで?」

れいか「いえ構いませんよ。 早く行ってあげて下さい」

あかね「授業までには戻るからなー」タタッ

ウルフルン「保健室から出たはいいが……特にめぼしいものは見つからねぇなー」キョロキョロ

ウルフルン「頭が上手く働かねぇし、とりあえず一旦帰るとすっか…」ボー

ウルフルン「……ん?」



あかね「………」



ウルフルン「…なんだ、またゴリラパンツか。 学校の外に出て何してやが―――」



先輩A「日野さん? 貴女最近バレーの動きが鈍くなってきてんじゃないの?」

先輩B「ホント困るんだよねー、そういうのってー」



ウルフルン「―――、」オット

先輩A「バレー部のみんなも迷惑してんのよね。 期待されてる訳でもないのに頑張っちゃってる姿はまさに滑稽だわ」

先輩B「エースアタッカー目指してるとか言ってるけどさ、馬鹿みたいに聞こえるから笑っちゃうよねー」キャハハッ

あかね「………」

先輩A「正直不安しかないわよね。 こんな下手くそが将来バレー部を担っていくんでしょ?」ハァー

あかね「………」

先輩B「えっそうなの? てっきり才能無いからもう辞めちゃうかと思ってたー」

あかね「………」

先輩A「ねぇ日野さん、貴女自分の実力の無さに今まで気付いてなかったの?」ニヤニヤ

あかね「………あ」

先輩A「あ?」


あかね「あーいや~、自分馬鹿なんで気付いてなかったですわ~。 ホンマすいません」ニカッ

先輩A「……は?」

先輩B「…何? アンタ舐めてんの?」

あかね「いえいえ、そんなことありませんよ~。 ただ先輩方のありがたい助言に感謝感激しとった所です」ニコニコ

先輩A「助言って……相当頭沸いてるみたいね貴女」キッ

あかね「あー、確かに今日ホンマ暑いですね~。 ウチ頭が沸騰して更に頭悪なったかもしれませんわ~」エヘヘ

あかね「これ以上馬鹿になったら、ウチの将来どないなるか検討つかないですわ~」タハハ

先輩B「………うざ…」ボソッ

先輩A「…もういいわ。 授業始まるから失礼するわね、日野さん」テクテク


ドンッ


あかね「っ……! せ、先輩!! ありがとうございました!!」ペコリ




テクテク・・・



あかね「……行ってもーたな…」

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………、あっちゃー。 むっちゃ先輩怒っとったんやけど、ウチ何かしたかいなー?」ポリポリ

あかね「……だめや、全然分からへん。 ずっと前からされてるに分からへんなー」ウーン

あかね「…多分やけど、先輩が怒るような事をウチはやってもうたんやろな。 せやったら痛い目にあうのは当然やね。」ウン

あかね「後で謝れたらええんやけど……何回謝っても聞いてくれへんし…」

あかね「最初はもうちょい積極的に行動できとったはずやのに、今ではもう目見るだけでも怖くなっとうで自分…」

あかね「さて、と。 ほんのちょっぴり腕ぶつけられて痛いけど、ウチも教室に戻ろか…」

あかね「そんで勉強して、クラスのみんなと楽しく笑いあって…」

あかね「授業終わってからみんなと別れて、部活行って…」

あかね「…バレーを頑張って…」

あかね「……また、先輩達に……」

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………っ」グシ

ウルフルン「泣いちゃうのかお前?」ヒョイ

あかね「っ!!? お、オオカミ!?」ビックゥ!

ウルフルン「泣き出すなんてバッドエンド臭がぷんぷんするじゃねぇかよおい?」

あかね「な、泣いてなんかあらへん! これは汗や、汗なんや!」グシグシ

ウルフルン「そうかよ。 ……それにしてもアレだな」

あかね「……何や?」

ウルフルン「さっきのお前を見ているとよ…」

あかね「やっぱ見とったんか……そんで? 何かウチに用でもあるんか?」

ウルフルン「ああ」コクリ

あかね「…悪いけどほっといてくれへん? 今むっちゃ機嫌悪いねんウチ」ハァー

あかね「笑いたかったら笑っとけや。 それで気が済むんやったら勝手にやったらええ」

ウルフルン「あいにくだが、笑うような事はしねぇよ。 別の要件だ」

あかね「あーはいはい、さいですか。 ……で? その要件っていうのは何なんや?」

ウルフルン「…さっきのお前を見て、率直な感想とかを言おうと思う」

あかね「『感想』、って……どうせウチが惨めで可哀想だとか言うつもりなんやろ? そうなんやろ?」

あかね「アンタらってホンマそないな事に敏感やな? だてに毎回バッドエナジーを集めてきた訳やないっちゅー事か」ハンッ

ウルフルン「……まぁ、ちょっと違うんだけどな」

あかね「違う? 何がや?」

ウルフルン「感想の内容だよ。 ……可哀想とかじゃなく、尊敬の意味を込めてるつもりだ」

あかね「そ、尊敬?」

ウルフルン「あぁ、そうだ」

あかね「……それってまさか…」ワナワナ

あかね「『よく我慢できたなー』とか、『よく頑張ったなー』とか……そないな事、言うつもりなんかアンタは…?」ワナワナ

ウルフルン「うーむ…いまいちよく分かんねぇんだが、まぁそんな所だろう多分」ウン

あかね「……じょーだんやないで…」ボソッ

ウルフルン「あん? 何か言ったか?」

あかね「冗談やないって言うたんや!!! なんで敵に褒められなあかんねん!!?」ダンッ!

あかね「さっきのは褒められたくてやっとった訳やない!! ウチの気持ちも知らんで勝手な事言うなや!!!」

あかね「そもそも敵を褒めて何になんねん!!? 馬鹿かアンタは!!?」

ウルフルン「さっき自分の事を馬鹿馬鹿って連呼してた奴に言われたくねぇな」

あかね「……ッ! ええから今すぐどっかへ消えろや!!! 鬱陶しいねんホンマ!!」

あかね「同情なんていらへん!! そんな建前だけの優しい言葉なんて、こっちから願い下げや!!」

あかね「気を遣わずただ笑っとけや!! ウチが惨めやなって、あまりにも惨めやなって、正直に嘲笑ったらええねん!!」

ウルフルン「………」

あかね「大体、アンタには関係のない話やろ!!? ほっといてくれや!!!」

ウルフルン「…そうだな。 まず感想を言わせてもらうと…」

あかね「人の話聞けやゴラァァ……ッ!!」ビキビキ

ウルフルン「さっきの光景を見て俺は……」

















ウルフルン「正直お前が羨ましいと思った」

あかね「はぁっ!!?」

あかね「う、羨ましいってアンタ……あんなん見てどこにそんな要素があんねや!!?」

ウルフルン「主に羨ましいと思ったのは、お前に突っかかってきた奴らについてだ」

あかね「…先輩達がか? 何でや?」

ウルフルン「…さっき聞いてたんだが、『ずっと前からされてる』っていうのは本当か?」

あかね「…そうや。 ……ホンマにずっと前からああいう事されてきてんねん」

あかね「いつも無口でいるのもアレやったから、今回はむしろ笑顔で返したらええかなって思っとったんやけど…」

ウルフルン「いいなーそれ。 俺にはそんな奴いないからよ」

あかね「いいなーって、アンタ…」

ウルフルン「いつもスマイルなお前が泣き出す程だ。 どれだけバッドエンド要素があるかってのはすぐに分かる」

ウルフルン「しかもずっと同じ事され続けてるんだろ? どれだけバッドエナジーが溜まるんだよって話だ」

ウルフルン「俺様なんて、アカオーニもマジョリーナも遠くへ行っちまったし、そんな事を頼める奴なんて誰もいねぇ」

ウルフルン「だから人間界で活動してたんだが、この見た目のせいかお前のようにできず避けられてばかりでな」

ウルフルン「そういう理由があるから紙芝居とかで人を集めてたが、道具作るのも正直めんどくせぇしよ」ハァー

あかね「あの紙芝居は嫌々やっとったんかい…」

ウルフルン「それにさ、バッドエンドって思いがけない痛みっていうのが理想的だろ?」

あかね「そんなん知らんがな!!」

ウルフルン「以前の紐無しバンジーとか、深海に潜るとか、意図的にすっと無茶苦茶辛そうってためらっちゃうんだよなー」ハァ・・・

あかね「そりゃー辛いやろうな。 つーか、生きていられるかも分からへんレベルやし」ウン

ウルフルン「その点お前がすっげぇ羨ましい。 自分から動かないから身構えずに済むし、すっげぇ楽だし、ずっとされ続ける訳だしよ」

あかね「……はぁー。 アンタってホンマ…」

ウルフルン「という訳で、お前に折り入って頼みがある」

あかね「…何や? まだ何かあるんか?」

ウルフルン「さっきの俺の熱弁を聞いて、自分がどれだけ恵まれた環境にあるかが分かっただろ?」

あかね「『恵まれた』って……どんだけ勘違いしたら気が済むねん…」

ウルフルン「ああ、それについてなんだが…」

ウルフルン「お前の状況を、俺様に少し分けてくれないか?」

あかね「……はぁぁ?」

ウルフルン「俺様があれだけ苦労してるってのに、何でお前は楽してバッドエンドを迎えようとしてんだよ? 不公平だろそれ」

ウルフルン「お前の状況を俺様が味わえば、バッドエンドがどんなものだったかを思い出せるかもしれん」

ウルフルン「だから少し分けてくれ、いやむしろ全部寄越せ。 断るってんなら力ずくで奪ってやる」クイクイ

あかね「………ぷっ」

ウルフルン「?」

あかね「く、くくっ…くくくく…」プルプル

ウルフルン「……おい」

あかね「あ、あかん…ちょっとタンマや。 我慢できへんってこれぇ…っ」プルプル

ウルフルン「何いきなり笑い出しそうになってんだよ?」

あかね「だって、だって…アンタが馬鹿とは思っとったけど、ここまで馬鹿とは、馬鹿とはな、っあは、あはははははははは!」ゲラゲラ

ウルフルン「よく分からねぇが、俺様馬鹿にされてバッドエンドってことでいいのか?」

あかね「あはははは! ひぃ、ひぃ……あぁそうやな。 アンタの頭の中はバッドエンド確定や…ぷっ、くくくっ」

ウルフルン「そうか…でもなーんか納得できねぇなー…」

あかね「あはははははは、っはははははははははは、っは、っはぁ、あはははははは……」ゲラゲラ

あかね「……ふぅー…」

ウルフルン「…笑いの方は収まったのかよ?」

あかね「あぁ、こんなに笑ったのっていつ以来やろなー…久々にすっきりしたわー…」ハー・・・

ウルフルン「そうか。 それじゃあ早速、お前の立場を寄越してくれ」ホレ

あかね「あー、それはなー…多分無理やね」

ウルフルン「あぁ? 何だよそれ? やっぱ譲れないって言うのかコラ」ギロッ

あかね「いやいや、そういう訳やないねん。 だたこれは受け渡しができるもんやないからな」ヒラヒラ

ウルフルン「…そうなのか? ……俺様を騙そうとはしてねぇよな?」

あかね「せえへんって。 それに……」

ウルフルン「それに……何だよ?」

あかね「…これはウチの問題やからな。 自分の事は自分で解決しないとあかん」ウン

ウルフルン「そうかよ。 ……やっぱ譲れねぇんじゃねぇかよおい」

あかね「確かにそういう事になるな。 …ホンマ堪忍やで」ニヒヒ

あかね「しっかし嘘みたいやなー。 まさか敵さんがウチを元気にしてくれるとは…」ノビー

ウルフルン「別に元気にさせた覚えはないんだがな」

あかね「それでええよ別に。 ただ一方的にウチが感謝してるだけなんやから」

ウルフルン「おいテメェ感謝すんじゃねぇよ。 バッドエンドとは程遠いじゃねぇかよそれ」

あかね「あれっ、そうなん? なんかごめんな」

ウルフルン「………」ケッ

あかね「それにしても…こないな事になると、体の感覚が少しおかしくなっとう気がするなー」

あかね「少し前までは足取りが重かったのに、今はめっちゃ軽く感じるし…」

あかね「なんか学校の方から獣みたいな鳴き声が聞こえてくるし……耳もおかしなってもーてるな自分」タハハ

ウルフルン「それについては大丈夫だ。 俺も聞こえるからな」

あかね「………へっ?」




ウゥウウゥォォオオオォオォオオォオオォオオオオォオオオオォオォオオオォオオオオオォオオオオオォオオ……



みゆき「な、何……この変な声…?」

れいか「なんだか少し不気味ですね…」

豊島ひでかず「はっ、かっ…た、大変だ……」ゼー ゼー

岡部かつとし「豊島? さっき保健室で絆創膏を取りに行ってなかったか?」

豊島「そ、それなんだけどさ……保健室に行ってみたら、見たんだよ…」カタカタ

富田ただあき「見たって、何が?」

豊島「俺より先に入ろうとした男子生徒が、保健室から伸びてきた手に引きずりこまれたんだよ!!」

岡部「はぁ!?」

豊島「しかも、今聞こえてるこの獣のような声も、その保健室から出てたんだ!!」

2年2組生徒「「「えぇぇっ!!?」」」

井上せいじ「お、おい!! 何か今保健室がやばいらしいぞ!?」タタッ

岡田まゆ「一体何があったの!?」

井上「男子生徒が次々と保健室に飲み込まれてるらしいんだ!」

なお「なっ…!?」

金本ひろこ「でも、そんなに沢山の人が保健室に行くことなんてないと思うけど…!?」

井上「なんとか逃げてきた奴から聞いたんだが……どうやら、保健室を通るだけで扉が勝手に開くらしい…」

豊島「俺も見た。 ……一瞬過ぎて分からなかったが、多分あれは男の手だ。 しかも3人ぐらいの」

佐藤かずや「…そういえば隣のクラスが次移動教室で、その際に保健室を通るような……」

井上「ま、まずい!!」



ナ、ナンダ!? ホケンシツカラテガ、テガギャアアァァアァアァァア!!?
オイダイジョウブカ!?・・・ッテウワッ!? オレニモテガマワッテ、マワッテグアアアァアアァアァアア!!?
ダ、ダレカ、ダレカタスケウワアアァアァアァアアアァアア!!?



富田「おいおい!! 段々とんでもない事になってないか!?」

佐々木「み、皆さん緊急事態です!! 今すぐ避難してください!!」ガララッ

れいか「先生、一体何が起きているんですか!?」

佐々木「保健室で…保健室で何かが、何かが起こっているんです…」ガタガタ

佐藤「先生! 何かって言われても全然分かりませんよ!?」

佐々木「だって仕方ないじゃない!!? 確認しに行った男の先生達もみんな、保健室に飲み込まれたのよ!!?」

みゆき「せ、先生までもが被害に遭ってるんだ……」



アァアアァァァァアァアァアアアァアァアアァァァアァアァアアアァアアァアァアァァアアァアァァァァァァ……



佐々木「と、とにかく説明は後です!! 一緒に保健室を通らない道を通って避難しましょう!!」

なお「どうやらその方が良いみたいだね…!」ガタッ




オォオォオオォオォオオオオォォォォアァアァァアアアァアァアァァアァァァアアアァァァァアアァァァァァ……



あかね「な、何やこの声!? 段々大きなってへんか!?」ビリビリ

ウルフルン「そうだな。 すっげぇ鼓膜がいてぇ……きっと誰かが飲んだんだろうなーアレ…」ビリビリ

あかね「? 何や『アレ』って?」ビリビリ

ウルフルン「今保健室に行けば俺様バッドエンドになれるかもしれねぇし、ちょっくら行ってみるかなー」ビリビリ

あかね「なぁアンタ、この状況について何か知っとるんか?」ビリビリ

ウルフルン「……と思ったけどやっぱやめとくか。 耳が限界だし、頭もボーっとするし」ビリビリ

あかね「なぁって!? この大声で聞こえてへんのか!?」ビリビリ

ウルフルン「という訳で、俺様は家に帰らせてもらうぜー」シュンッ

あかね「あ、ちょっと!!? 勝手に帰んなや!!」ビリビリ

あかね「……行ってもうた…」

あかね「…どないしたら、ええねん…」チラッ



アァァアァァァアァアアァアアァアァアァァァァァアァァァアアァアァァアァァァアァァァァッァァァァァァ……



あかね「この学校で、一体何が起きてるというんや……?」ビリビリ



イィイィェェエエェァァァァァアアァァァアァァァアアアァァアァァァアァァァァァアァァァァアアアァァァ……



佐々木「みんな非常階段はこちらです! 急いで!」テクテク

れいか「皆さん、こういう時こそ冷静に。 慎重に且つ迅速に行動するのです」テクテク

みゆき「れいかちゃん……あかねちゃんがいなかったんだけど…?」テクテク

れいか「歩いている途中で合流できたら良かったのですが……今は先に外へ避難していることを願うしかありません…」テクテク

なお「あかね……無事でいてね…」テクテク

やよい「………」ガタガタ

佐々木「やっと着きましたね。 今からここを使って脱出―――」

れいか「っ!? 先生、出口を見て下さい!」ユビサシ

佐々木「え?」



タノムカラハヤクデテクレヨ!! アトガツマッテンダ!
チョ、チョットマッテ、ムリヤリオサナイデヨイタイイタイイタイ!!?
オイテメェ、デグチガセマイカラッテオスンジャネェヨ!?
ウッセェ!! ブッコロスゾ!?



れいか「…出口付近で喧嘩が起きているみたいです」

佐々木「喧嘩、ですって…!? 早く止めなきゃ!」バッ

なお「先生ダメです!! 他の生徒達が壁となって行けません!」

佐々木「そ、そんな…」

れいか「今は落ち着いて、先に避難した方々に外から援護してもらうしかないようですね」

豊島「じゃ、じゃあ……俺達は、ずっとここで待つしかねぇってのか…?」ワナワナ



ウゥウウゥゥォォォオオオォオオォオォォオォオォォオォォォオォオォオオオォォォオォォオォオオオォォォ……



なお「~~~ッ!! また、声が…っ!」ビリビリ

井上「だ、だめだ……もう俺、限界…っ」ガクン

岡田「私も…」ガクッ

みゆき「私、も…」バタン

なお「くっ……みゆきちゃん…みんな…」

佐々木「みんな、しっかりして!!」

佐藤「…もう、みんな限界みたいですね」

れいか「他のクラスの方々も、次々と倒れて……かくいう、私も…」ガクッ

なお「れ、れいか!? れいかしっかりして!!」ガシッ

れいか「私の事は構いませんから、どうか他の皆さんを…」ハァ ハァ



ウゥゥゥゥウウゥウゥゥゥァァァアァアアァァアアァアァァアァァァァアァァアアァァァアァァァァアァァァ……



井上「俺達、これからどうなっちまうんだ…?」ビリビリ

木角まゆみ「今思えば…私、お母さんにちゃんと親孝行してなかったなぁ……」ビリビリ

富田「俺もだ……へへっ、今更になって気付くなんてな…最低だよなー俺って……」ビリビリ

藤川あみ「会いたい……お母さんとお父さんに会いたいよぉ……」ビリビリ

佐々木「なんとか、なんとかならないの…!? あぁ神様…っ!」

宗本しんや「………」

宗本「っ!」ダッ!

佐々木「あっ!? 宗本君何処に行くつもりなの!? 戻ってきなさい!!」

豊島「あっちは確か……学校の正門がある方向じゃないか?」

岡部「じゃあアイツは正面玄関へ行ったのかよ?」

佐藤「何考えてんだ!? 途中にある保健室を通らなきゃいけないんだぞ!?」

野川けんじ「先生! 自分、今すぐ宗本君を止めに行ってきます!」ダッ

佐々木「お、お願い、します…ね……」ガクッ

富田「…先生も限界だったんだな…」

豊島「よしっ! 俺も宗本を止めに行ってくる!」ダッ

なお「みんな……気を付けて…っ!」

宗本「ハッ ハッ」ドタドタ

宗本「ハヒッ ハヒッ」ドタドタ


ガッ


宗本「―――!?」ビッターン!

宗本「…っ、……っ!」ググッ

宗本「ハー、ハー…」ヨロヨロ

宗本「ゼー、ゼー…」ガララッ

宗本「ゼー、ゼー…」テクテク ガチャン

宗本「………っ」ガシッ

野川「…宗本を見失ってしまったな…」キョロキョロ

豊島「ちくしょう! アイツ、何処に行って―――」キョロキョロ



宗本「―――、」ガララッ ダッ!

野川「あっ!? 宗本!!」

豊島「本当だ、教室から出てったぞ!! ……ん?」

宗本「ゼヒッ ゼヒッ…」ドタドタ

豊島「あれは…モップ? アイツ、何でモップなんか持って走ってやがんだ?」

野川「そんな事はどうでもいいから、宗本を止めるぞ!!」ダッ!

豊島「そ、そうだな!」ダッ!

宗本「ハヒッ ハヒッ…」ドタドタ

野川「おい宗本止まれ!! そっちは保健室だぞ!!?」タタタッ




アアァアァァアァアァァァォォオォォォオオォォオオォオオォオオオォオォオォオォオォオオォオオオォオオオオオオオオ…



野川「ぐぉぉっ!? 今までにないくらい、声がデカい…!?」ビリビリ

豊島「それだけ保健室が近いってことかよ…!」ビリビリ

宗本「―――っ」キキーッ

野川「大変だ!! アイツとうとう保健室の前に立ったぞ!?」

豊島「何やってんだよ宗本!! 戻ってこい!!」

宗本「っ!!」ガコン

豊島「なにっ!? アイツ…」

野川「モップを使って、保健室の扉が開かないように…!?」




ドンドンドンドンッ!



宗本「ぐっ…!!」ドンドンドンッ

野川「お、おい宗本!! 何でいきなり保健室で力比べしてんだよ!?」

宗本「と、富田…豊島……いたのか…」ドンドンドンッ

豊島「今ならまだ間に合う!! タイミングを見計らってこっちに来い!!」

宗本「……それよりも、アンタ達に頼みたいことがあるんだが…」ドンドンドンッ

豊島「な、何だよ一体…?」

宗本「俺が食い止めている間に、みんなを連れて外に出るんだ…!!」ドンドンドンッ

野川「なっ…!?」

豊島「何言ってんだよ!? そんな事したら、お前が…っ!」

宗本「勝手だとは思うが、これしかみんなを助ける方法が思いつかなかったんでな」ドンドンドンッ

野川「冗談じゃねぇ!! お前だけを見捨てて逃げれるかよ!!」

宗本「…すまん……頼むから…っ」ドンドンドンッ

豊島「な、何でだよ…? 何でそこまでして体張るんだよ…?」ワナワナ

宗本「……俺は、クラスでは影の薄い存在だ」ドンドンドンッ

宗本「みんなは誰からでも愛されそうな身なりをしてるっていうのに、こっちだけ意図的に仕込まれたような風貌をしている」ドンドンドンッ

宗本「富田とか藤川は愛嬌がある程度の体格をしているが、俺に至ってはふざけろって言いたくなるぐらいにデブい」ドンドンドンッ

宗本「そんな出オチの奴が、この先光を浴びる事なんてまずないだろう? だから…」ドンドンドンッ

豊島「…だからせめて、誰もしないような事をして自分から輝こうとした……?」

宗本「ああ……豊島の言うとおりだ」ドンドンドンッ

野川「それは…それはお前の個性だろうが!! 何もこんな事をする必要なかっただろ!?」

宗本「たとえそうだとしても……この先影を帯びたまま過ごすのは、もう耐えられないんだよ…っ!!」ドンドンドンッ




ウゥウゥウウゥゥォォォオオォオォオオォォオォオォオオオォオォオオオォオォォォォオオオォオオオォオォオオオォオオ…



宗本「…さぁ!! 早くみんなを連れて逃げるんだ!! それまでには絶対に持ちこたえてみせる!!」ドンドンドンッ

豊島「お、おい宗本! モップが…モップが折れ―――」



バキィッ!



野川「しまっ…!?」



ババババババッ!



豊島「保健室から手が…!!」

宗本「うぉおおぉおおぉおおぉおおおおおぉおおぉおおおおおぉおぉぉおぉ!!?」ズルズルズル

野川「宗本!! 宗本おおおおおおおおおおおおおおお!!!」

宗本「があああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


ガッシィ!


宗本「ぬががががががががががぁぁぁぁぁああ…ッッ!!!」メキメキメキ

野川「む、宗本……お前…」

豊島「入口の両端をつかんで持ちこたえて…!?」



メキメキィ!



豊島「お、おいっ!! 富田見てみろよあれ!!」

野川「保健室の扉が……変形した…!?」

宗本「…これで、保健室の扉が開くことはもうない…!」ニヤリ

宗本「みんなに忠告してくれ!! ここを通る際には耳を塞ぐようにと!!」メキメキメキ

豊島「で、でもお前はどうなるんだよ!?」

宗本「俺は見てのとおり、保健室の扉に挟まって身動きが取れなくなってしまった!」メキメキメキ

宗本「しかし、こうやって俺がフタになれば被害が出ることはもうない!! だからここを通って逃げるんだ!!」メキメキメキ



アァアアァァァァアァァァァアアァァアアアァァァアアァアァアアアァァアァァァァァァアアァアァァァアァアアァアアア…



宗本「ぐぉおおおぉぉおぉおおぉおぉおぉおおぉぉおおおおぉおぉおぉおおぉおおおお!!?」メキメキメキ

野川「宗本おおおおおおおおおおおおおおお!!!」

宗本「俺に構うなぁ!!! 今は自分が助かる事だけを考えろ!!」メキメキメキ

宗本「俺は精一杯の事をした!! 後は…後はお前達の力で未来を!! 未来を切り開けええええええええええええええええええええ!!!」メキメキメキ

野川「宗本……ちくしょうっ!!」ダッ!

豊島「今のお前…最高に輝いてるぜ!!」ダッ!

こうして―――



野川「さあみんな急げ!! 宗本の犠牲を無駄にするな!!」

豊島「両手で耳を塞ぎながら通るように! 倒れた人を運んでる奴は、事前にティッシュで耳に栓をしてくれ!!」

野川「あとは…あとはできたらでいい!! 己を盾にした宗本の勇姿を、目に焼き付けてやってくれぇ!!」

宗本「」メキメキメキ

藤川「宗本君…」

岡部「無茶しやがって…っ!」クッ・・・

佐々木「ごめんね、ごめんね宗本君…先生が…先生が不甲斐ないばっかりにぃ……」ウッ ウッ・・・

学校の生徒達は、無事に外へ避難することができた―――



あかね「あっ!! みんな無事やったんか!!」タタタ

なお「あぁ…うん、なんとかね…」

佐藤「だが…1人のクラスメイトを犠牲にしてしまった……」

やよい「」ガタガタガタ

なお「やよいちゃんは、避難する時からずっと震えてて…」

あかね「やっぱ怖かったんやな……ごめんなやよい、力になれんで…」ギュッ

やよい「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」ガタガタガタ

あかね「? 何でやよいが謝っとんねん?」




アァアァァァアァアァアァァアァアアァァァアァァアアァァアアァァアァアアァアアアアァアァアアァアァアァァァァァァ…



あかね「それにしても……この声の主って、一体何やったの?」

野川「それについてはすまないが…詳しい事はまだ…」フルフル

豊島「分かっているのは、保健室から声が出ているという事……そして、その声が男3人によるものだという事だけだ」

なお「……最初に、保健室へ引きずり込まれた人達はどうなっちゃったのかな…?」

あかね「……はっきりとは分からんけど……でも…」

なお「でも……何?」

あかね「……この光景を一言でまとめると、まさに…」




アアァアァァアアアァァアアァァァアァアァァアアァアアァアァアァアァアァァァアァァァアァァァアァァアアァァァァァ……





あかね「…まさに、バッドエンドって感じやな……」





アァアァアァァァアァアァアァアアァアァァアアァァアァアァアァアァァァァアァァァァアァアァァァアアァアァァァァァ………






それから保健室の先生が出張から帰ってくるまでの間、その獣のような雄叫びは学校中を震え上がらせた。

多くの生徒・職員を恐怖に陥れたそれは『獣の招き声』と呼ばれるようになり、以後保健室の前を通ることさえ拒ませたという―――

獣の招き声…(ゴクリ)
学校の怪談に新たに八つ目が追加されたのか…宗本お前カッコいいぜ(☆を眺め)
ウルフルン…いや、オオカミさんの紙芝居からなぜこうなったwwww

乙~
間接的とはいえ、徐々にスマプリ側の精神も削られているなwwwwww

三幹部残りの二人も気になるところ

オオカミさんが味方に付いたら強くなりそうだ(笑)

保健室の先生はいったいどうやってこの獣を止めたんだ!?

ファッ!? いつの間にか寝てしまってました! もうこんな時間ですやん!
できれば続きの方を書けたらなー、って思ってましたが……これから出かけの用事があるので、それから帰ってきた時になりそうです…


>>183(>>185)
佐々木「ごめんね、ごめんね宗本君……途中で話の収集がつかなくなったからって、君を犠牲にするような事をして…」ウッ ウッ・・・

>>184
赤鬼さんも魔女さんもいずれ出そうかと思っています。 少しキャラの崩壊があるかもですが…

>>186
ふ ふ ふ ……

それでは続きの方を書いていこうと思います、が……
ここらへんから少しの間は真面目な部分が増えちゃいますので、同じような展開を期待されてる方にはご注意願います。
『それでも構わないぜ!』、とおっしゃって下さる方はどうぞ続きの方をお楽しみ下さい。

~数日後・バッドエンド王国~


ウルフルン「………」ジー


『皆さんおはようございます』ペコリ

『本日のニュースは、数日前に七色ヶ丘中学校で起きた「獣の招き声」事件についてお送りします』


ウルフルン「………」ピッ


『加害者は相撲部員に所属する男子3人。 そして被害者は、生徒・職員を含め不特定多数に及び―――』


ウルフルン「………」ピッ


『いつもと何も変わらないはずの学校で起きた、悲劇的且つ謎に包まれた今回の事件。 今回番組は独自に取材を行い、謎を明らかに―――』


ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「…なんだこれ? あの学校の事しかテレビやってねぇじゃねぇか」

ウルフルン「『獣の招き声』ってのは……俺が去り際に聞こえてたあのでっかい声の事か」

ウルフルン「テレビの奴らがみんな深刻な顔になってるってことは…かなりのバッドエナジーが溜まってたんだろうな」

ウルフルン「…あーチクショウ。 やっぱ意識がはっきりしてないからって、あの時帰るべきじゃなかったかー」ハー

ウルフルン「これだけのバッドエンド確定ルートなんてそうそうないってのに…俺としたことが迂闊だったぜ」

ウルフルン「あの時混ざっとけばなー、俺様バッドエンドだったのになー」ハァー



?????『ん~っふっふっふ~。 お困りのようですねぇ~?』



ウルフルン「あん?」

ジョーカー「ご機嫌うるわしゅうございます、ウルフルンさん☆」シュンッ

ウルフルン「ジョーカーか……何か用かよ?」

ジョーカー「またまた~、用があるとしたら1つしかないじゃないですか~」

ウルフルン「あー……もしかして、バッドエンド探しについてか?」

ジョーカー「はい、その通りです」

ジョーカー「ご自身がバッドエンドになれるよう頑張っておいでですが、何かつかめましたか~?」

ウルフルン「そのことなんだが…正直言うと全然だ」

ウルフルン「自分がどれだけバッドエンドになっても、その根底には何があるのかまだはっきりしてねぇよ」フルフル

ジョーカー「あらあら~…」

ウルフルン「せっかく本業の方も休んでんだし、ちゃっちゃと思い出しておきたいんだがなー」

ジョーカー「あの~……私思ったんですけど~」

ウルフルン「?」

ジョーカー「いつまでやっても思い出せないなら、いっそのこと本業の方に専念しませんか?」

ジョーカー「バッドエナジーを集めている間とか、プリキュアと戦っている間とかにふとした拍子で思い出す、なんてことが…」

ウルフルン「断る」キッパリ

ジョーカー「…何か譲れない理由でもあるんですかねぇ~?」

ウルフルン「ただすっきりしねぇ。 それだけだ」キッパリ!

ジョーカー「えぇー…?」

ジョーカー「いや、あのですねウルフルンさん? 今はご自身のためではなく、ピエーロ様復活ために尽力すべきではないかと…?」

ウルフルン「今のは聞き捨てならねぇなジョーカー。 いいか? ちょっとだけ考えてみろよ」

ウルフルン「俺達が仮に、バッドエンドが何だったかを忘れたままでピエーロ様を復活させたとする」

ウルフルン「するとピエーロ様はこう言うぜ。 『何でバッドエンド知らない奴らが自分の部下なの? 馬鹿なの?』ってな」

ジョーカー「はぁ……」

ウルフルン「俺様は悪の三幹部の1人、ウルフルンだ。 ピエーロ様の部下として恥なんてかきたくねぇ」

ジョーカー「………」

ウルフルン「あとさ、俺様達に歯向かってくるプリキュアっていう奴らがいるだろ?」

ウルフルン「そいつらは『笑顔を守るために~』とか『最悪の結末になんかさせない~』とか何か理由を掲げて戦ってきてんじゃんか」

ウルフルン「それに対して俺達が『世界をバッドエンドにするのが目的だけどよく分かっていないぜ! うおー!』とか言って人間界襲撃してみ? ただの馬鹿だろそれ」

ジョーカー「………」

ウルフルン「だからさ、敵として戦うには何かこう、『バッドエンドのために俺は戦う!』とかカッコいい理由が欲しい訳よ」

ジョーカー「……そんなの」

ウルフルン「まぁそういう事だから、今日も俺様はバッドエンド探しに行―――」

ジョーカー「そんなの知ったこっちゃないですよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ウルフルン「っ!?」ビクッ

ジョーカー「いいから働いて下さいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ダバー

ウルフルン「」

ジョーカー「なんで勝手に仕事ほっぽり出して自由に行動してるんですか!!? 何考えてるんですか!!?」

ジョーカー「世界をバッドエンドにする事は!!? プリキュア退治は!!? ふざけるのも大概にして下さいよ!!」

ウルフルン「お、おいおいどうしたんだよジョーカー? まるで余裕がないような口調になりやがって…」

ジョーカー「実際に余裕がないんですよ!! 主に貴方達のせ・い・で!!!」ダンダンダン!

ジョーカー「何度も何度も私が行くように言っても全然聞いてくれないし!!」

ウルフルン「いやだから、さっきから言ってるだろ? バッドエンドの意義を再認識する必要があるからって…」

ジョーカー「おまけにアカオーニさんもマジョリーナさんもどっか行っちゃうし!! 全然連絡がつかないし!!」

ジョーカー「あまりにもイライラが激しかったので最近胃が痛くなってきましたよ!!」

ジョーカー「だから胃薬飲み始めましたよ胃薬!! 初めて服用した時にどれだけ溜め息が出たことか…ッ!」ギリギリ

ウルフルン「おーおー、随分大変なことになってんなーお前」

ジョーカー「貴方達のせいでしょバ幹部共!!! あと少しは悪びれて下さいよ!!」

ウルフルン「まぁでも、お前の言いたいことはよーく分かった」

ジョーカー「えっ? 分かってくれたんですか?」

ウルフルン「お前がそれだけ苦労してるなんて知らなかったからな」

ジョーカー「そ、それじゃあ…!」パァァ

ウルフルン「ああ。 これ以上ジョーカーに負担をかけさせないために俺様は…」

ウルフルン「一刻も早く、バッドエンドが何なのかを探し出すことにするぜ」ヨッコラセ

ジョーカー「全然分かっちゃいねぇ!! いいからさっさと働けって言ってるでしょ!!?」

ウルフルン「俺様のバッドエンディングロードは誰にも止められやしないぜぇ」テクテク

ジョーカー「ちょっと!? せめて話を聞いて下さいよ!!!」




テクテク・・・



ジョーカー「……行ってしまいましたか…」

ジョーカー「なんでこうも毎回毎回話を聞いてもらえないんだか…」ハァー

ジョーカー「しかしここまで仕事を放棄されては、私も何か行動に移す必要がありますねぇ」ウーム

ジョーカー「…試しに『アレ』を作ってみましょうか。 まだ頭の中でしか出来上がってないのですが…」

ジョーカー「仮に成功すればプリキュア退治だけではなく、私の目的も楽に果たせるかもしれませんし」フフフ・・・

ジョーカー「ミラクルジュエル……ついに、ついに私の願いが叶うときが―――ッ!?」ズキィ!

ジョーカー「ぐ、ぉぉおぉおぉおおぉお……ま、また胃が痛くなって…」キリキリ

ジョーカー「い、胃薬……胃薬ぃぃ……」ヨロヨロ

~七色ヶ丘中学校・体育館~


バレー部顧問「さぁ!! もうワンセットー!!」

バレー部員達「「「はいっ!!!」」」

あかね「よっしゃ、行くでー!」タタッ



ドンッ



あかね「うわっ、わ!?」ビターン

先輩B「あら? 日野さん当たっちゃったの? やっだもうごめんなさーい」ニヤニヤ

あかね「いっ…つつー……」サスサス

先輩A「別に謝る必要はないんじゃないかしら? この子が単にノロいだけなんだし」

先輩B「そうだよねー。 私悪くないもんねー」キャッキャッ

あかね「ぐぐぐ……」グググ・・・



ヒソヒソ ヒソヒソ



あかね「……ぅぐ…っ」ジワァ・・・

バレー部顧問「おいこら日野ー!! 何勝手に寝そべってんだー!?」

あかね「は、はい!! すみません!!」タタッ

~バレー部・朝練終了~


あかね「あー、朝練大変やったなー…」トボトボ

あかね「やっぱあれわざとぶつかってきたんやろうか? そうやとしたら絶対何か理由が……」トボトボ



タタタッ センパーイ



あかね「うん?」クルッ

後輩「先輩! バレー部お疲れ様でした!」タタッ

あかね「あれ? 君、確か同じバレー部の…」

後輩「そ、そうです! あ、あの…それで、これ…」サッ

あかね「? …絆創膏?」

後輩「はい。 先輩、さっき転んでて膝擦りむいてたから…」

あかね「…その絆創膏、君の?」

後輩「はい、そうです。 私トロくてよく転んじゃうから…」

あかね「そんなら貰うわけにはいかんかな。 別に保健室行けばくれるやろうし」

後輩「保健室!? ダメですよ!! あの『獣の招き声』がした保健室に行くなんて! 危険すぎます!」

あかね「き、危険って…そない大げさな」アハハ

後輩「と、とにかくです! 私の方は大丈夫ですから、今すぐ膝に張って下さいね?」

あかね「そっか…ありがとうな」

後輩「は、はい! ありがとうございます!」ペコリ

あかね「それにしても」

後輩「?」

あかね「バレー部で話しかけてくれた子って久々やったから、ホンマ嬉しかったわー」エヘヘ

後輩「…はい」

あかね「なんかいつの間にかバレー部のみんなから避けられるようになってな? なんでかなーって思っとったんやけど…」

後輩「……他のみんなは、あの先輩達の言いなりになっているだけなんです」

あかね「…そうなん?」

後輩「はい。 本当はみんな日野先輩の事を心配しているんです」

後輩「さっき先輩がこけた時も、小声で心配し合ってたんですよ?」

あかね「そ、そっか…そうやったんや……良かったぁ…」ホッ・・・

あかね「さっきのヒソヒソ話は、別にウチを馬鹿にしとう訳やなかったんやなー…」

後輩「そ、そんなこと絶対にしませんよ!! 日野先輩を馬鹿にするなんて!」

あかね「で、でもウチ、先輩達からバレーの才能ないって…下手くそやって言われてて…」

後輩「そういう事を言ってるのはあの先輩達だけです!!」

後輩「今まで日野先輩を見ていたら、才能があるなんて誰でも分かっちゃいますよ!」

後輩「先輩は下手くそなんかじゃありません! 将来のエースアタッカー候補です!」

あかね「そ、そない簡単にエースアタッカーって言われても…」ポリポリ

後輩「絶対になれます! 私が保証します!」ドンッ

後輩「ぐっ!? けほっ、けほっ…」

あかね「だ、大丈夫かいなアンタ?」

後輩「えへへ…ちょっと大声出しちゃいました……」エヘヘ・・・

後輩「でもスッキリしました。 今まで日野先輩の事なかなか言えなかったものですから…」

あかね「? なんで言えへんかったんや?」

後輩「………、あの先輩達です」

後輩「あの2人、やけに日野先輩の事を嫌っているみたいで…」

あかね「…そっか……やっぱりなー」

後輩「ある日あかねさんがいない時に、バレー部全員を集めたことがありまして」

後輩「すると先輩の口から、『日野さんが生意気だからみんな協力してー』と言ってきたんです」

あかね「それで、みんなが協力したっちゅー訳か…」

後輩「最初はもちろん全員反対しました。 そんな事できる訳ないって、日野さんが可哀想だからって」

後輩「でもその後に先輩が、2年や3年の先輩達を1人ずつ、どっかへ連れて行ったんです」

あかね「……?」

後輩「そして戻ってきた先輩達は、みんな口を揃えて『協力します』と言ってきたんです」

あかね「はぁ!?」

後輩「何が起きたか分からなかったんですが、連れてかれた先輩達の顔がみんな青ざめてて…」

あかね「そっか……それは多分、弱みを握られてるんやろうな」ウン

後輩「弱み、ですか?」

あかね「せや。 …あの先輩達には妙な噂話が立っててな…」

あかね「なんでもあの先輩達、1年生ん時に上級生のポジションを奪った事があるんや」

後輩「えっ!?」

あかね「あの2人は確かに実力あったそうやけど、その時点では3年生がぎょうさんおったらしいで」

後輩「それっておかしくないですか!? 何で2年生を差し置いて1年生がポジションを…!?」

あかね「聞くところによると、いきなり部活辞めた上級生2人が直々にコーチへ進言しとったらしいんや」

あかね「『私達のポジションは彼女達に譲ってあげてください』って。 なんか顔青ざめながら言っとったみたいやで」

後輩「そ、それもまさか…?」

あかね「おそらくやけど…その時も弱み握ってて、その先輩を無理矢理辞めさせたんやろうな」

後輩「で、でも…3年生の代わりを1年生が果たせるなんてできませんよ……私だったら、絶対に無理です…」

あかね「いや、それがな…」

後輩「?」

あかね「そのチームで試合したら思いのほか上手くいって、最終的に賞貰えたんやって」

後輩「えぇ!?」

あかね「さっき言ったやろ? あの2人には実力があるって」

後輩「た、確かに……あの先輩達のプレイはいつ見ても凄いと思いますけど…」

あかね「最近まで何も問題なかったからただの噂やと思ってたけど……まさかウチがターゲットにされてるとは思わんかったなー…」

後輩「はい……本意ではないとはいえ、先輩を傷つけるような事をしてすみませんでした…」ペコリ

あかね「いやいや!? 謝る必要なんかあらへんよ! 大丈夫やから!」ヒラヒラ

後輩「でも…」

あかね「それに、こんな事をされるのは何か理由があんねんやろ?」

後輩「え?」

あかね「何かウチが先輩を怒らせるような事をしたから、こんな事されてるだけやと思うし…ウチが悪いに決まっとうねん」ウン

後輩「………」

あかね「いくら思い出そうとしても全然心当たりないし、正直どう謝っていったらええか悩んでて…」ウーン

後輩「……あの~…」

あかね「ん? どないしたん? 何か心当たりでもあるんか?」


後輩「先輩達、理由はないと言ってましたよ?」

あかね「………へっ?」

~回想~


先輩B「はーい、それじゃあ上級生全員の協力も得られたので、明日から頑張っていこー!」オー

バレー部員A(3年生)「で、でも…」

バレー部員B(2年生)「やっぱり私には、日野さんをイジめるなんてできない…」

先輩A「大丈夫、貴方達は何もしなくていいわ。 ただ見てるだけでいいのよ」

先輩B「そーそー。 私達が日野さんにちょっかいをかけても何もせず、ただじっと立ってるだけでいいからね」

先輩A「要は私達の邪魔さえしなければいいの。 分かった?」

バレー部員A「………」

バレー部員B「………」

先輩A「…それじゃあ解散しましょうか。 明日も朝練があるから、みんなよろしくね」テクテク

バレー部員C(2年生)「あ、あの!!」

先輩B「えー何~? まだ何かあるの~?」クルッ

バレー部員C「せめて…せめて理由だけでも聞かせてもらえませんか!?」

先輩A「……理由?」

バレー部員C「は、はい! どうして先輩達が日野さんを敵視するのか知りたいんです!」

バレー部員A「わ、私も知りたい! 日野さんが先輩達に悪いような事をするなんて、やっぱり考えられないもの!」

バレー部員B「先輩! 日野さんはとても健気で優しい良い子なんです! 事情を話せばきっと分かってもらえると思います!」

先輩B「…な~んだ、そんな事かー」

先輩A「……生憎だけど、彼女に話しても分かってもらえないんじゃないかしら?」

バレー部員B「ど、どうして、ですか…?」


先輩A「だって、理由なんてないもの」

バレー部員A「り……理由が、ない…ですって?」ワナワナ

先輩A「そう、理由なんてない。 そして理由がないから分かってもらえるはずがない」

バレー部員B「ますます納得できません! 理由がないなら尚更、どうして日野さんの事を…っ!」

先輩B「さっき言ったでしょー? 『生意気だから』ってさ」

バレー部員C「生意気ってそんな………日野さんはいつも一生懸命で、いつも笑顔を振りまいていてくれてるのに…」

先輩B「だーかーらー、それが生意気って言ってるんでしょ!? あったま悪いなーもう!」プンスカ

バレー部員B「そんな…そんなのって……」フルフル

先輩A「とりあえず、質問は以上でいいかしら? 私達はもう帰らせてもらうからね」テクテク

バレー部員C「お、お疲れ様でした!」ペコリ

バレー部員達「「「お疲れ様でしたー……」」」ペコリ

先輩A「あぁそうそう、言い忘れてたけど」クルッ

先輩A「この事は日野さんには言わないように。 もちろんこのバレー部以外の人達にもね」

先輩A「もしこの事がバレたりしたら……分かってるわよね?」

バレー部員A「はっ、はい…」ビクビク

先輩B「一応言っとくけど、名前を隠してバラそうとしても無駄だかんね~」

先輩A「これはみんなで協力するものなの。 だから誰かが踏み外しそうになったら、他のみんなで支え合わなきゃいけない」

先輩A「仮にたった1人でも失敗しちゃったら、その失敗をみんなで受け入れなきゃいけないわ」

バレー部員B「わ、私達も支え合わなきゃ……ですか…?」ビクビク

先輩B「そうそう。 そうでもしないと、バレー部の半分以上の人達が学校来れなくなるかもよ~?」

バレー部員C「ひっ…!?」ゾクッ

先輩A「貴方達は同じバレー部員なんだもの。 チームプレイができない、なんて言わないわよね?」ニコッ

バレー部員達「「「………」」」


~回想終了~

あかね「……そうやったんか…そんな事が……」

後輩「はい…」

後輩「脅された先輩達はその後、私達1年に対して何度も何度もお願いしてきました。 『お願いだから言わないで』って」

あかね「そっかー……」

後輩「それが悪い事だと分かっていても…あの時涙を浮かべながら必死にお願いしている顔が、見るに堪えなくて…」

あかね「………」

後輩「……日野先輩…」

あかね「……ウチは、さ」

後輩「?」

あかね「今まで先輩達にされてきた事は絶対理由があるはずやって、絶対ウチが何かやらかしたからやって思ってたんや」

あかね「だからその原因を必ず見つけて、見つけたらそれについて先輩達に謝ろうって心に決めとった」

後輩「………」

あかね「やけど……理由があらへんっていうのは正直驚いたなぁ…」

後輩「………」

あかね「どうりで…」

後輩「………」

あかね「…どうりで……」

あかね「どうりでいくら探しても見つからなかった訳やな~」ニパッ

後輩「先輩…」

あかね「いやー納得できたわー。 理由なんて最初っからあらへんかったんやー」ウンウン

後輩「………」

あかね「ほなこれからどないしよっかなー? どないしたらええんやろー?」ウーム

あかね「先輩達にお好み焼きをプレゼントして好感度アップ!、…っちゅー訳にもいかんし…」ウーン

後輩「……先輩、あの…」

あかね「あっ、そういえば」ポンッ

後輩「?」

あかね「アンタさ、この事ウチに言ったらあかんかったんちゃうんか? バレー部のみんなは大丈夫なん?」

後輩「…大丈夫です。 ここは学校の穴場なので……私達以外に人が来ることはまずあり得ませんから…」

あかね「なるほどなー。 この話は2人だけの秘密っちゅー事になるんかー」ウンウン

後輩「……あの、できればこの事は誰にも…」

あかね「ちょいストーップ!」

後輩「えっ?」

あかね「悪いけどさ……さっきの秘密にするっちゅー話は却下や」

後輩「えぇぇ!!?」ガーン

あかね「そもそも、ウチとアンタが仲良く話したっちゅー事も嘘や」

後輩「?」

あかね「ウチはたまたまココを通りかかって、アンタがおるのをたまたま見つけた」

あかね「そしてアンタは誰もいないと思ったので、口からバレー部についての出来事を呟いてもうた」

あかね「それをウチがたまたま聞いてしまい、先輩達がウチをイジめる理由がない事をたまたま知ってもうた」

後輩「あ、あのー…」

あかね「…要は全部偶然やったんや。 偶然バレちゃうのはしゃーない事やろ?」ニコッ

後輩「日野先輩…」

あかね「さーて、もうそろそろ授業が始まるかもしれへんなー」ノビー

後輩「えっ? …あっ!? 本当だ!」

あかね「急いだ方がええよ? 正面玄関で靴履き替えて、そのまま保健室を通らずに非常階段を使って教室やからな?」

後輩「は、はい!」アタフタ

あかね「あと、冗談でも周囲に『日野先輩にバレたかもー』、とか言ったりしたらあかんで?」

あかね「ウチもできる限り、いつも通りに過ごすつもりやけど…そっちの不手際とかはカバーし切れんさかい」

後輩「分かりました! それじゃあ、先輩も急いで教室に…」アタフタ

あかね「あーそれは無理やね」

後輩「え?」

あかね「たまたま同じ場所に居ただけの2人が仲良く登校する、なんておかしな話やろ?」

後輩「で、でも……」

あかね「ええから早よう行っとき行っとき。 これからウチは、たまたま偶然手渡しされた絆創膏を貼るさかい」

後輩「…はい、分かりました。 ……失礼します」クルッ

あかね「あーそれと、これは単なる独り言やけどな…」

後輩「?」

あかね「絆創膏……ホンマにありがとうな」ニパー

後輩「…っ! はいっ!」ニコッ タタッ



タタタタ・・・

あかね「さーて、と。 早速膝に絆創膏でも貼っちゃいますかー」ペリッ

あかね「フンフンフフ~ン♪」ペタペタ

あかね「よっしゃ! 我ながらええ出来やで!」ジャジャーン

あかね「ふぅー……」グデーン

あかね「………」ボー

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………」スッ・・・



ダァンッ!!



あかね「……くそっっったれがぁ…っ!!」グシャァ・・・

今週の放送も無事に見れたので続きの方を書いていきます。 ロボット対決すごかったなぁ…。
ただ、今書いている内容がアニメのそれと温度差を感じるので、>>182までなら同じように楽しめるかと思います。

~七色ヶ丘中学校・2年2組~


みゆき「おはよ~、みんな~!」タタッ

あかね「おはよー…って、もう授業始まってまう時間やないかーい!」ビシィ!

なお「また寝坊しちゃったんだね?」

みゆき「うぅ……確かに遅刻しかけたのもあるけど、いつもと違う方法で教室に入ったから…」

やよい「非常階段、やっぱりすぐには慣れないよね」

れいか「いつものように行くと、保健室の前を通る必要がありますからね」

あかね「なぁなぁ? そこまでして保健室を避ける必要があるんかなーって思うんやけど…?」

なお「あかねは学校の外にいたから分からないんだよ!」

みゆき「そうだよあかねちゃん! 本当に保健室から声が聞こえたんだから!」

れいか「『獣の招き声』事件……真相は相変わらず謎のままですからね…」

やよい「そ、そうだね……」ヒクヒク




キーン コーン カーン コーン



佐々木「ホームルームを始めまーす。 皆さん席に着いて下さーい」ガララッ

あかね「うぉっと、先生来てもうたな~。 そんじゃ早よ席に座りましょかー」トタトタ

みゆき「うん、そうだね―――」



ガシッ



みゆき「? どうしたの、なおちゃん?」

なお(…みゆきちゃん、あかねに何かあったか知ってる?)ボソッ

みゆき「? ……何かって?」キョトン

なお(……なんだか今のあかねを見てるとさ、無理して笑顔を作っている気がしてならないんだ)ボソボソ

みゆき(…そうなの? 私、分からなかったけど……いつものように元気なあかねちゃんだなーって)ボソボソ

なお(だったらいいんだけど…)ボソボソ

佐々木「星空さん? 緑川さん? もう他の皆さんは席に着いてますよ?」

みゆき「あっ! す、すみません!」アタフタ

なお「今すぐ席に座ります!」アタフタ

佐々木「それでは今から出席を取りますね」

佐々木「とはいえクラス全体を見渡すと、全員元気に登校してきてますね……たった1人の欠席を除いて」

豊島「…宗本…」

藤川「宗本君…」

佐々木「……ご両親から伺ってみたところ、宗本君の命に別状はないそうです」

野川「本当ですか!?」パァァ

佐々木「はい。 しかし意識はまだ完全に戻っていないようで、『完治するのにはまだ時間がかかる』とおっしゃっていました」

2年2組生徒「「「………」」」

佐々木「……あの時の宗本君の犠牲があったからこそ、今の私達がここにいるのです」

佐々木「なので、もし無事に宗本君が学校へ来れたなら……」

佐々木「みんなで一緒に言いましょうね。 …『ありがとう』って」ニコッ

2年2組生徒「「「…はい!!」」」

佐々木「それではホームルームを終わります。 1時間目の準備をしていて下さいね」ガララッ

あかね「そんじゃーちょっくら失礼しますか」ガタッ

みゆき「? あかねちゃん、1時間目は移動教室じゃないよ?」

あかね「もちろん知ってるでー。 ただちょーっとだけ花を摘みに、な」

みゆき「えぇ~? すぐに授業始まるけど大丈夫?」

あかね「大丈夫やって。 すぐに済ませるさかい」タタッ



ガララッ



みゆき「う~ん……確かによく見てみると…」

キャンディ(あかね、なんだか元気がないクル)ボソッ

みゆき「だよねぇ……」ウーン・・・

岡田「ねぇ、日野さん元気がなかったように見えたんだけど?」

井上「やっぱ分かるか? 俺もなんだかいつもと違うなーって思ってたんだが…」

富田「きっと、宗本の犠牲を心から痛んでいるんだろうな…」

木角「いつも元気にはしゃいでたから、ちょっと心配かも……」



みゆき「……他のみんなも気付いているみたい」

キャンディ(あかねはみんなの人気者クル)ボソボソ

みゆき「そうだね。 あかねちゃんにはやっぱり笑顔が一番似合うよねー、キャンディ」フフッ



岡田「あと、気になる事があるんだけど…」

木角「星空さん、誰もいないのに会話してるように見えるよね…?」



みゆき(!? キャ、キャンディごめん!!)グイー

キャンディ(クル―――――!?)ムゴー

~廊下~


あかね「急げ急げー、目的の地はすぐそこやー」スタスタ ←早歩き

あかね「よっしゃこの角を曲がれば…って」ピタッ



先輩B「あ~、1時間目から移動教室ってマジでダルすぎー…」テクテク



あかね「……先輩…」ササッ

あかね「…できれば先輩とは顔合わせたくないんやけど……角度的に隠れられへんし…」

あかね「……よし。 前にれいかから注意されたばかりやけど…ダッシュで切り抜けよか」グッ

あかね「少しだけなら大丈夫、大丈夫…!」ダッ



先輩B「ん~?」



あかね「…ッ」ダダダ・・・



ダダダダ・・・



先輩B「………」

先輩B「……ふ~ん?」

あかね「よっしゃ、セーフ!」バタンッ

あかね「…って安心してたらあかんな。 あんま時間ないし、とっとと鍵閉めて済ませんと―――」





??「日野さ~ん、いる~?」





あかね「ッ!!?」ビクッ



先輩B「ちょっとお話したいんだけどいいかな~?」テクテク

あかね(せ、先輩!? 何でここにおるん!? 1時間目は移動教室やったはずやろ!?)

先輩B「どこのトイレにいるか分かんないからさー、返事してくれる~?」

あかね(ここは聞こえないふり、聞こえないふり……)ブルブル

先輩B「おーい、居るのは分かってるんだよ~?」



シーン・・・



先輩B「………」



シーン・・・



先輩B「………」

先輩B「……シカトかよ」チッ

先輩B「まぁいっか、アタシってシカトされた程度で怒るタマじゃないしー」バタンッ

あかね(…? 何や? ……掃除用具入れの扉を開けたんか?)

先輩B「アタシは心優しいから、とりあえずみんなのために何かしよーかなーっと」ヒョイ

あかね(……?)

先輩B「~♪」ジャー

あかね(……水を出してるんか…?)

あかね(でも、この水の勢いは洗面台やない…掃除用の水入れ…?)

先輩B「なんだかこのトイレ汚く見えるからさー」グイッ

先輩B「トイレの真上から水でも流そーかなーって思ってるの~」

あかね(!!?)

先輩B「どこから水を流そっかなー? 沢山あるから迷っちゃうなー」キョロキョロ

あかね(あかん!! 今声出したら絶対に水かけられてまう!!)ビクビク

先輩B「まぁ、とは言っても――」チラッ

あかね(…?)

先輩B「最初っから既に決めてるんだけどね~」ニヤリ

あかね(なっ…!?)ビクッ

先輩B「フンフ~ン♪」

あかね(な、何でバレてもうたんや!? 声なんて全然出してへんのに!)

先輩B(ふふん。 今頃どうしてバレたのかーって混乱してると思うけど、それ以前の問題な訳よ日野さん)

先輩B(ホームルームが終わった後のトイレって意外と空いていから、誰も来ないのよねー)

先輩B(だから日野さんしかトイレに入ってない今、鍵が閉まっているたった1つの部屋が正解…っと)チラッ

先輩B「…あったあったぁ」ニヤァ

あかね(……っ!!)ビクビク

先輩B「それじゃー行きますよー!」ググッ

あかね(………っ)ビクビク

先輩B「いーち、にーの…」

あかね(だれか…っ!)ギュッ

先輩B「さぁん!!」ブンッ



バッシャーン!



先輩B「ふぃー! バケツ重かった~!」スッキリ

あかね「………」

先輩B「日野さ~ん、どうだったー? 私の華麗なバケツシャワーのお味は?」

あかね「………」

先輩B「……まだシカトする気ぃ? ホンットにやめてよねーそういうの」

あかね「………」ビクビク

先輩B「…そこにいるのは分かってんの! いいかげん鍵開けて顔見せろ!!」

あかね「………」ビクビク

先輩B「こ、の……ホントにさ、いい加減にして…っ」ピクピク

先輩B「このアタシに、水びたしになった惨めな顔を晒せやおらぁ!!!」


ダァン!!


あかね「……っ!!」ガタガタ



ガチャッ キィー・・・



先輩B「…やっと出てきたか。 ったく、先輩を待たせんじゃねぇよクソが―――」




ウルフルン「どうも」ポタポタ

先輩B「」

先輩B「……はっ? はぁ!!? 誰!? 誰なのアンタ!?」

ウルフルン「それはこっちの台詞だろ? いきなり勝手に頭から水かけやがって」ポタポタ

先輩B「そ、それは確かに悪かったけど…」

先輩B「…ってちっがう!! アンタ男でしょ!? 何で女子トイレにいる訳!!?」ビシッ

ウルフルン「ああ、バッドエンドの気配がしたもんだからちょっとな」ポタポタ

先輩B「ば、バッド……? 何ふざけた事言って…」



キーン コーン カーン コーン・・・



先輩B「あっ!? いっ、1時間目のチャイムが…!」ダッ

ウルフルン「ありゃ? おいおい、水かけただけで終わりかよ?」

先輩B「うっせぇ!! 今アタシ急いでんだよ!!」タタタ

先輩B「あとアンタ!! 女子トイレに入ってた事、先生にチクってやるから覚えとけよ!!」タタタタ・・・

ウルフルン「あーあ、アイツ行っちまった……せっかくのチャンスが……」

あかね「………」キィー

ウルフルン「お? 何だよ、もうトイレ済ませたのかよ?」

あかね「……何でアンタがここにおんねん?」

ウルフルン「いやな、以前お前の状況を寄越せって言ったらあっさり断られただろ? それがどうしても納得できなくてな」

あかね「どこまでしつこいんやホンマ…」ハァー

ウルフルン「上等な獲物が見つかれば何があっても手に入れる。 これはオオカミだけじゃなく、全生物にも言える当然の行為だ」ウルッフフ

あかね「…アンタはホンマ、いつも通りやなぁ…」

ウルフルン「あん?」

あかね「どんな辛い事があっても、どんな痛い事があっても、全部『バットエンド』の一言で片付けてまう」

あかね「ウチはそんな事できへん……たった1つの事でもできへんのや…」

ウルフルン「………」

ウルフルン「……片付けられないなら俺に寄越せよ。 テメェがやっても終わらせるなんて絶対できねぇ」

あかね「…前にも言ったやろ? これは受け渡しできひんねん」

あかね「受け渡しできひんくらい、きったない代物やねん……」

ウルフルン「…そうかよ」

あかね「…そんじゃー失礼するわ。 今から別のトイレに行くさかい」トボトボ

ウルフルン「? なんでここのトイレ使わねぇんだ?」

あかね「好き好んで男の近くで用を足す女の子なんて、おるわけないやろ?」トボトボ

あかね「あとな……今すぐこの場所から離れたいってのもあんねん…」トボトボ

ウルフルン「………」

あかね「まぁでも……アンタがココにおらへんかったら、ウチが水浸しになる所やった。 一応感謝しとくわ」

ウルフルン「…感謝すんじゃねぇよ。 バッドエンドが遠ざかるだろうが」

あかね「はは、そうやったなー……次からは気をつけるわ…」ハハハ・・・

あかね「あとな、アンタ」

ウルフルン「?」

あかね「もうこれ以上ウチに関わるのはやめとき」

ウルフルン「あん?」

あかね「だってそうやろ? いくらウチの状況を狙ったとしても、絶対にアンタにあげる事なんてできひん」

あかね「そない意味のない事しとくよりも、独りで勝手に喧嘩して負けるなり、勝手に自滅なりしてたらええんや」

ウルフルン「……分かったよ。 これからそうする事にするぜ」ケッ

あかね「……そんじゃ、達者でなー……」トボトボ



トボトボトボ・・・



ウルフルン「……さっきの女から、物凄いバッドエナジーの量が見えたもんだから驚いてたが…」

ウルフルン「アイツの方からも、かなりのバッドエナジーが溢れ出ちまってるな……」

~七色ヶ丘中学校・2年2組~


佐々木「それではこの問題を…誰に当てましょうかね~?」キョロキョロ

みゆき(私に当たりませんように当たりませんように…)ブルブル

あかね「…」ガララッ

佐々木「あっ、日野さん? 今まで何処に行ってたんですか?」

あかね「……すいません。 ちょっとだけ道に迷っちゃいまして…」エヘヘ

佐々木「ふーん? …それじゃあ早速で悪いけど、この問題分かりますか?」トントン

あかね「…すいません。 教科書読まないとよく分からないんで……ホンマすいません」ペコペコ

佐々木「あ、あら…? ……そうでしたね。 ごめんなさい」

みゆき(……あかねちゃん…)

やよい(あの場面なら少なくとも、『そんなん分かるわけないやろー!』とか言って元気に笑い飛ばすはずなのに…)

佐々木「それでは…早く席に着いて下さいね?」

あかね「はーい……」テクテク

なお(しかも、さっきよりも元気がなくなってる…?)




キーン コーン カーン コーン・・・



あかね「………」ボー

みゆき「あかねちゃん、あかねちゃん」

あかね「………」ボー

みゆき「さっきの英語の授業、あかねちゃん全くノート取ってなかったように見えたから…私のノートを使ってよ?」ハイ

あかね「………」ボー

みゆき「……あかねちゃん聞いてる? おーい…」ヒラヒラ

あかね「………」ボー

みゆき「ねぇ、あかねちゃんっ!」

あかね「あ゛?」ギロリ

みゆき「ッ!!?」ビクッ

あかね「…へっ? あれっ、みゆき? どないしたん一体?」キョトン

みゆき「あ……あの、その…これ、英語のノートなんだけど…」

あかね「ノート? ……あっ!? まさかもう英語の授業終わったんか!?」

みゆき「う、うん…」

あかね「あー! しもたー、全然授業聞いてへんかった~」グテー

みゆき「そっそれでね、ノート取ってないと思ったから私のノートを写してくれないかなーって…」

あかね「ホンマに!? サンキューなみゆき!!」パァァ

みゆき「うん……」

あかね「急げや急げ~!! 次の授業まで後5分やでぇぇぇ!!」カカカカッ

みゆき「……あかねちゃん……」

なお「………」

やよい「………」

れいか「………」

ウルフルン「さっきはもう関わるなと言われちまったが、そう簡単に諦める俺様じゃねぇよ」フヨフヨ ←飛んでる

ウルフルン「別にアイツに執着せずとも、さっき水かけてきた女から頼み込めばいいじゃねぇか。 ……俺様頭いいぜぇ」フヨフヨ

ウルフルン「しっかしこのバカ広い学校の中で、どうやって見つけ出すとするかねー?」キョロキョロ

ウルフルン「……ん?」フヨフヨ



先輩B「――――! ―――!!」ギャー ギャー



ウルフルン「おっと。 あっさり見つかったな」スタンッ

ウルフルン「どれどれ……誰かと一緒にいるみたいだが……?」コソッ



先輩B「だーかーらー!! さっき女子トイレでオオカミみたいな奴がいたんだってばー!!」

先輩A「……冗談はよして欲しいわ。 学校のイベントでもないのにオオカミなんて…」ハァ・・・

先輩B「冗談じゃないって言ってるのにー!!」ムキー!



ウルフルン「……何だアイツ? あの女と同等…いや、それ以上のバッドエナジーが出ていやがる…」

先輩A「そういえば貴女、授業遅刻してたみたいだけど何かあったの? 一緒に教室を移動していたはずよね?」

先輩B「うっ……そ、それは日野さんがいたから…」

先輩A「…日野さんがいたから、何か悪い事でもしてたの?」

先輩B「……うん」コクリ

先輩A「貴女って馬鹿ね。 さっき先生に叱られた理由にあの子が関わってるだなんて…本当に呆れるわ」ハァー

先輩B「は~い……ごめんなさ~い…」ムスー

先輩A「それにね」

先輩B「?」

先輩A「もうそんな面倒臭い事をする必要はないの。 とっておきの物を用意したからね」ガサゴソ

先輩B「……とっておき?」

先輩A「えぇ、今日の部活にこれを使おうと思ってるわ」

先輩B「何これ? …ビデオカメラ?」

先輩A「そう、ビデオカメラ。 これを誰にも見えない所に設置するの」

先輩B「また盗撮ぅ? その手はもう何度もやってきたから今更なんじゃないのー?」

先輩A「確かに盗撮には変わりないし、少しだけ飽きがあるのかもしれないわ」

先輩A「…でも、今回は違う」

先輩B「え?」

先輩A「今回はこのビデオカメラが重要な鍵となり、決定的な証拠となるのよ」

先輩B「??」クビカシゲ

先輩A「まずはこの設計図を見て欲しいんだけど…」ガサゴソ

先輩B「えっ? …うっわ!? 何、この絵……」

先輩A「この絵を使って日野さんを…」ヒソヒソ

先輩B「……へーぇ?」ニヤニヤ



ウルフルン「……思った以上にドス黒いぜアイツら…」

ウルフルン「とりあえずもう少し様子を見てみるか…今行っても関われそうにねぇし……」ウン

ウルフルンさんは何があっても決して諦めません。 まさに肉食動物の鑑です。

ここで、この後も結構登場しちゃう名無しさんを軽く紹介します。
設定とかはあまりこだわってないので、『こんな感じかー』って思っていただくだけで十分です。



・先輩A
 バレー部の先輩だよ! 大人っぽい雰囲気だよ! なんか強そうだよ!

・先輩B
 バレー部の先輩だよ! いわゆるギャルだよ! なんか偉そうだよ!

・後輩
 バレー部の後輩だよ! 大人しくて良い子だよ! すっごく良い子だよ!



それでは少し時間を置きますので、その後に続きを書きますね。

お出掛けして帰ってみたらもうこんな時間に。
これって『少し』とはあまり言えないですよね……失礼しました。

これから続きを書いていきますが、ここら辺は特に名無しさんが出てくるのでどうかご了承下さい。

~放課後・七色ヶ丘中学校・体育館~


バレー部顧問「よーし!! 今日の練習はここまで!!」

バレー部員達「「「ありがとうございましたー!!」」」ペコッ

バレー部顧問「みんな、気を付けて帰れよー!」スタスタ

あかね「はぁー…今日もめっちゃ疲れたー……」ハァ ハァ

先輩A「日野さん? ちょっといいかしら?」

あかね「…先輩…」ハァ ハァ

先輩B「お願いしたことがあるのー。 日野さんにしか頼めない事なんだよねー」

あかね「……分かり、ました…」ハァ ハァ

先輩A「…返事が小さいわね。 もう1回言ってみて」

あかね「…分かりました!」ハァ ハァ

先輩B「もっと大きな声出せるでしょーが!? もう1回!!」

あかね「分かりましたぁっ!!!」ハァ ハァ

後輩「……日野先輩…」ハァ ハァ

先輩B「よし合格! それじゃーこっちについてきてー」テクテク

あかね「………」ヨロヨロ

バレー部員B「あのー…先輩?」

先輩A「? …何かしら?」

バレー部員B「練習後なんだし、水分を取ってからの方がいいんじゃ…」

先輩A「あらそうなの? …日野さん、貴女喉乾いてるの?」

あかね「………」ゼー ゼー

先輩B「いらないんじゃないのー? 全然返事してこないし」

バレー部員B「そっ…それは練習後に大声出したから、体力を使い切ってるだけで…!」

バレー部員C「そうですよ! この状態を見たら誰だって分かるはず…っ!」

先輩B「おんやー? 随分と積極的な台詞だねー?」

バレー部員B&C「「っ!?」」ビクッ

先輩A「別にいいのよ? 自分が思ってる事をそのまま口に出しても」

先輩A「ただその発言が、チーム全体の輪を崩すことにならなければの話だけどね?」

バレー部員B&C「「………」」

先輩B「…もういい? じゃあ日野さん、こっちに来てねー」テクテク

あかね「………」ヨロヨロ

バレー部員B「日野さん…」

あかね「……2人とも…」

バレー部員C「……?」

あかね「…ありがとうな」ニパッ

バレー部員B「……っ!!」ズキッ

バレー部員C「日野、さん…」ズキズキ

あかね「………」ヨロヨロ

先輩B「もう、おっそーい! 何チンタラ歩いてんのよー!?」プンスカ

あかね「……すいません…」ゼー ゼー

先輩A「…まぁいいわ。 要件をまず話しましょう」

先輩A「さっき日野さんに用があると言ったけど、別に部活関係の事じゃないの」

あかね「?」ゼー ゼー

先輩B「日野さんにやってもらうのは、これー!」ジャーン

あかね「……絵の具…ですか…?」ゼー ゼー

先輩B「そして、これー!」ジャジャーン

あかね「これは……小さな紙…?」ゼー ゼー

先輩A「正確には画用紙だけどね。 少しだけ小さめに切ったものなの」

あかね「なんでまた、そんなものを…」ゼー ゼー

先輩B「日野さんにはね、この紙に絵の具で色を塗ってほしいのー」

あかね「……この紙全部に、ですか…?」ゼー ゼー

先輩A「大体3000枚ぐらいじゃないかしら? もしかしたらそれ以上かもしれないけど」

あかね「さ…3000枚も…」ゼー ゼー

先輩B「それぞれの紙に塗るべき色を鉛筆で書いてあるから、その上に濃い絵の具で上書きして欲しいわけ」

あかね「はぁ……」ゼー ゼー

先輩A「時間は幾らでもかけていいわ。 だけど明日の朝までに間に合わせなさい」

あかね「へっ!? 一晩で、これ全部をですか…っ!?」ゼー ゼー

先輩A「大丈夫よ。 親御さんには私達から連絡を入れてあげるから」

あかね「で、でもここは学校だし、戸締りとかされたら出られへんようになるし…」ゼー ゼー

先輩A「それについても問題ないわ。 ちょっとだけ先生から『お借りした』この鍵があるもの」チャリン

先輩B「でも明かりとかは確保できなかったから、この懐中電灯を使ってねー」つカイチュウデントウ

先輩A「あそこの小さな部屋へ行けば沢山の絵の具が用意されてるから、それで十分足りると思うわ」

あかね「いや、あの……別に、家に帰ってからでもできるんじゃあ…?」ゼー ゼー

先輩B「ダーメ!! あの小さな部屋でやること! いい!?」

あかね「………」

先輩B「? 返事してくれないのかな? もう息の方も整ってるでしょ?」

あかね「……理由は?」

先輩B「ん?」

あかね「どうしてこんな事しなきゃあかんのか、理由を聞きたいんですが」

先輩B「はぁ? アンタに聞かれても教える訳ない―――」

あかね「ッ!!」ギンッ!

先輩B「ッ!?」ビクッ

先輩A「…日野さん、これはサプライズだから誰にも言えないのよ。 ごめんなさいね?」

あかね「………」ギロリ

先輩A「………」

あかね「………」

先輩A「………」

先輩B「……?」キョロキョロ

あかね「………、分かりました。 ウチ、頑張ってみます」

先輩A「…良い子ね貴女は。 本当に素直で可愛くて素晴らしい子」ニコッ

あかね「………」

先輩A「それじゃあ絵の材料と一緒に、鍵と懐中電灯を渡すわね」スッ

あかね「……はい」

先輩B「絵が出来上がったら、近くにある公園まで運んでねー」

先輩A「場所は、そうね……ブランコの前辺りにでも置いてくれればいいから」テクテク

あかね「…分かりました…」

先輩B「それじゃー、しっかりと働くよーに!」テクテク



テクテクテク・・・



あかね「………」

あかね「……さて、それじゃあ早速絵でも描きましょか」

あかね「…と思ったけど、その前に水分補給やな。 もう喉がカラカラで限界や…」

あかね「確か水飲み場が外の方にあったはず…」テクテク

あかね「あーホンマしんどいわー…」テクテク

あかね「……ん?」



後輩「………」ソワソワ



あかね「あれは……」テクテク

後輩「…あっ!? 日野先輩! 大丈夫でしたか!?」タタタッ

あかね「………」

後輩「私、先輩の事が心配で……怪我とかありませんか?」

あかね「………」ウーン

後輩「…? 先輩?」

あかね「…同じバレー部やけど、初めて会話するな」ニコッ

後輩「えっ!?」

あかね「ウチは日野あかねと言うんや。 よろしくな」

後輩「うぇぇ!? まだそんな事言ってるんですか先輩!?」

あかね「えー、だってー……今朝のはたまたますれ違っただけやしー…?」ウーン

後輩「もうそういうのやめましょうよ! 私嘘つくの凄く苦手なんですからね!? あの先輩2人もいないんですし!」

あかね「そっか、分かった」

後輩「ほっ…」

あかね「で、どないしたんや? もう部活も終わったし帰る時間やろ?」

後輩「あっ、それなんですが」

あかね「?」

後輩「先輩、一緒に帰りませんか? これから帰る準備をするんですよね?」

あかね「あー……それで待っとったんかー」

後輩「?」

あかね「…ごめんな。 ウチ、ちょっと残らなきゃあかん用事ができてん」

後輩「そ、そうなんですか?」

あかね「ホンマにごめんな? 気持ちはすっごくありがたいんやけど…」

後輩「……その用事って」

あかね「?」

後輩「その用事ってもしかして、あの先輩達に言われたからやってるんですか?」

あかね「えっ? 何で分かんの?」

後輩「えっ? 本当にそうなんですか?」

あかね「えっ?」

後輩「えっ?」

あかね「…えっ?」

後輩「えっ?」

あかね「……もしかしてウチ、やぶ蛇やったか?」

後輩「はい、多分……さっきのはただなんとなく聞いてみただけなんで…」

あかね「そっかー…」タハー

後輩「それで先輩は…その用事をこれからやるつもりなんですか?」

あかね「うん、まぁそうやな。 さっき先輩にもやりますーって言ってもうたし」

後輩「あの……それなら私も手伝って…」

あかね「いやいや大丈夫やって! 夜遅くまで学校おったら親が心配するやろ?」

後輩「そ、それを言うなら先輩だって…っ!」

あかね「ウチの事は心配いらへんよ。 もう親に連絡したし」

後輩「はぁ……そうなんですか?」

あかね「まぁ厳密には、先輩がやってくれたらしいんやけどな」タハハ

後輩「えっ? ……それって大丈夫なんですか?」

あかね「……へっ?」

後輩「今までの日野さんに対する態度からすると、普通に電話するなんてあり得ないんじゃあ…」

あかね「!? まっ、まずい!!」ダッ!



ピポパポ プルルルルルル・・・

ピッ


あかね「あっ出た!」

あかね「なぁなぁ、ウチはあかねやねんけどな―――」

日野大悟『……何や、あかねか…』

あかね「父ちゃん!」

あかね「あのな父ちゃん、さっきバレー部の先輩から電話来いひんかったか?」

大悟『…ああ……その先輩という人から、あかねの帰りが遅くなるっちゅーのをしっかり聞いたで』

あかね「そっかー……ちゃんと伝わってたかー…」ホッ

大悟『あぁ…ちゃんと聞いたで……いきなりでちょっと信じられへんかったがな…』

あかね「あーうん。 ウチもちょっと信じられへんけど、なるべく直ぐに帰るようにするさかい―――」ポリポリ

大悟『そうやな……ホンマに信じられへんわ…』

あかね「……父ちゃん?」

大悟『…まさか、お前がなー……』

あかね「……?」

大悟『……お前が…』プルプル

大悟『まさかお前が、知らない男と腕組んで歩いてるとはなぁッ!!!』グァッ!

あかね「えぇっ!!?」

あかね「な、何言うてんの父ちゃん!? ウチは1人学校に残って―――」

大悟『そんな嘘をつかんでもええ!! もう全て分かってるんや!!』

あかね「だから、それは誤解で―――」

大悟『別に、お前には恋愛はするなとは言ってへんで? そんなもんは青春してる間に思いっきりしたらええ!』

大悟『せやけどな……学校と関係あらへんような、年の離れた男と付き合うのは論外や!! そんな風に育てた覚えはないで!!?』

あかね「父ちゃんお願いや!! 少しだけでも話聞いて―――」

大悟『もう勝手にしたらええ!! 2度と家に帰ってくんな!!!』

あかね「待ってや父ちゃ―――っ!」ブツンッ!

あかね「………」プー プー

あかね「………」ピッ

後輩「せ、先輩…?」

あかね「……どないしょぉ……ウチ、家庭崩壊の危機かもしれへん…っ」ジワァ・・・

後輩「わっ、わわっ!? ティ、ティッシュティッシュ!」アタフタ

~数分後~


後輩「…先輩、落ち着きましたか?」

あかね「……うん」グスッ

後輩「しかし、あの先輩達……よくもここまでひどい事ができますよねー…」

あかね「なぁ……ウチ、もう家に帰れへんの…?」グスッ

後輩「大丈夫ですよ! しっかり話し合えば誤解なんてすぐ解けますって!」

あかね「…ホンマに?」グシッ

後輩「だって親子ですよ? 子供を信じない親なんているはずがありません!」

あかね「そっか……ありがと」ニコッ

後輩「それじゃあ今すぐ先輩の家に行きましょう! 私も一緒に事情を話しますから!」

あかね「うん、分かったそうする―――」ピタッ

後輩「確か先輩のお家ってお好み焼き屋さんでしたよね?」クルッ

あかね「………」

後輩「? ……どうしたんですか先輩?」

あかね「………、ごめん。 今から勝手な事を言うんやけど…」

あかね「どうしても、あの2人に言われた用事を終わらせたいんや」

後輩「なっ…!?」

後輩「な、何言ってるんですか先輩!? 自分が何言ったのか分かってるんですか!?」

後輩「あの2人は先輩の事を嫌ってるんですよ!? 嫌ってるから私達バレー部を利用して、日野先輩の事を毎日毎日イジめてきたんですよ!?」

後輩「それなのに……それなのにどうして先輩は、そんな2人のために頑張ろうとするんですか!?」

あかね「………やっぱ変かな? ウチの言っとう事」

後輩「変ですよ!! 変、変!! 大きく変と書いて大変です!!」

後輩「私、今先輩が何を考えてそんな事言ってるのか全然理解できませんよ!!」

あかね「……確かにそうやな」ウン

あかね「自分から口に出しとうはずやのに、今自分でも何言うてんのって思ってしまうな」

後輩「じゃあなんで…っ!」

あかね「…まだ確信は持てへんけど……多分そうなんやろうなって思てるだけなんやけど…」

あかね「ウチはまだ、諦めたくないって思てるからかもしれへん」

後輩「え……?」

あかね「先輩達がウチをイジめるのに理由がないって知った時、正直何かが崩れそうやった」

あかね「理由がなきゃ解決するにも手も足も出えへんし、理由がなくてもあんな事できるんやって……正直怖かった」

後輩「先輩…」

あかね「それでもな、ウチはまだ可能性を信じたいねん」

後輩「可能性…ですか?」

あかね「そうや。 理由がないっちゅー事はつまり、『ただなんとなく嫌いだから』ウチをイジめてるって言い換えれると思うねん」

あかね「せやったら『ただなんとなく嫌い』という部分を、『ただなんとなく好き』っちゅー形に変換できるかもしれへんやろ?」

後輩「……『なんとなく』だから、もしかしたら考えが変わるかもしれない…?」

あかね「その通りや」ウン

あかね「以前聞いた事があるんや。 学校で目立たずにポツンとおった生徒のお話をな」

あかね「端目で見るとその生徒が暗い正確に見えたから、他の生徒はただ『なんとなく』その子を避けとったんや」

あかね「そしてある事をきっかけにして、そのポツンとおった生徒が積極的に行動するようになってな。 クラス中の生徒達と沢山おしゃべりするようになってん」

あかね「そしたらクラス中はその生徒の事を見直すようになって、その子を見る目が好意的になったそうなんや」

後輩「『なんとなく嫌い』を、『なんとなく好き』に変えることができた……」

あかね「…明確に理由があったなら、それを解決せぇへん限り何も変える事はできひん」

あかね「せやけど今回みたいな内容なら、ただがむしゃらに頑張ってみれば解決できそうな気がせぇへんか?」

後輩「可能性……ですか…」

あかね「……やっぱ、この話は無理あるかもな…正直あの先輩達やから自信ないし…」

あかね「笑う時は笑ったらええんやで? …ほら、こんな感じで」アッハッハッ・・・

後輩「…笑いませんよ、先輩」

後輩「むしろ先輩の事、ますます尊敬しちゃいました」

あかね「……そっか…ありがと」ニコッ

あかね「そんじゃーこれから頑張って、先輩達からの頼み事をやっちゃいますかー」ノビー

あかね「明日までに終わらせて、先輩達から『お前やるやないか、あかねー』とか言って褒めらえたらええけどなー」

後輩「本当ですね」クスクス

あかね「…あー、でもしもたな。 少し前に先輩達にメンチ切ってもたんやった」

後輩「あらら……でもその時は飲み物飲ませて貰えなかった訳ですし、気持ち的に荒くなっちゃったのは仕方ないですよ」

あかね「……せやな。 過ぎた事をねちねち言うんは性に合わへんしな」ウン

あかね「明日先輩に会うたら、謝るついでにお好み焼きでもプレゼントでもしたらええかな?」

後輩「え? せ、先輩…? お好み焼きはちょっと…」アノ・・・

あかね「…あれ? やっぱあかんか?」

後輩「は、はい……えーっと…お好み焼きは出来たてが一番美味しいので、持っていくと冷めちゃうから逆に失礼かと…」

あかね「あー、確かにそうやったそうやった。 気付かせてくれてサンキューな」

後輩「ほっ…」

あかね「それじゃあ気ぃ付けて帰ってな。 話付き合ってくれて感謝感激やったで」クルッ

後輩「あっ、先輩。 終わらせるのなら、私も手伝いますよ」

あかね「さっき言うたやろ? 親が心配してるから早よ帰りって」

後輩「た、確かに家の門限は厳しいですけど…」

あかね「それに、先輩達はウチ1人でやるよう頼んできたんや。 ズルはあまりしとうない」

後輩「むむむむ……あっ! それなら」ポンッ

あかね「?」

後輩「私今から日野先輩のお家へ行って、せめてご両親に事情を説明してきますね」

あかね「……ええの? 大丈夫?」

後輩「当然ですよ! 自分ができる事は全部やりたいんです!」フンス

あかね「…ホンマおおきにな」ニコッ

後輩「それでは今から日野先輩のお家へ行ってきます」スクッ

後輩「多分1時間後ぐらいになったら話が終わってると思うので、その時になったらもう1度電話を掛けて下さいね」

あかね「あっ、それについてお願いがあるんやけど」

後輩「はい? 何でしょうか?」

あかね「今ウチが先輩達にイジめられてるとか言うのは控えてほしいんやけど、できるか?」

後輩「…ちょっと難しいかもしれませんが……頑張ってみますね」

あかね「……よっしゃあ!! それじゃあ気張っていきましょかー!!」ダッ!

あかね「ウチがお好み焼き屋で培ってきたコテさばきが、絵描きにも通用することを証明したるで―――!!」ダダダ



ダダダダ・・・



後輩「良かった……先輩が元気になって…」

後輩「それじゃあ私も、先輩のために頑張りますか!」オー

~1時間後・お好み焼き店「あかね」~


後輩「それでは、私はこの辺にて失礼します」ペコリ

日野正子「ホンマおおきにな~。 あかねの為にわざわざ来てくれて」ニコニコ

後輩「い、いえ…私はただできる限りの事をしただけで…」アタフタ

日野げんき「しっかし姉ちゃんが後輩パシらせるなんて、偉くなったもんやなー」

正子「こら、げんき!」

げんき「ひっ!? だ、だってホンマの事やないかー!」

後輩「そ、そうですよお母さん。 私は自分からやりたいと思って来たんですから」

正子「こんなに親切にしてくれたし、今からでもお好み焼きご馳走したいとこやけど…」

後輩「そこまでしてくれなくても全然大丈夫ですよ! それに、いつの間にかお父さんもいないですし…」キョロキョロ

げんき「父ちゃんなら、今さっき頭冷やす言うて水風呂浴びに行ってもうたでー」

正子「さっきまで頭カンカンやったのになー……あの人はホンマに何というか…」ハァー

げんき「やっぱ姉ちゃんに男ができるんはまだ先なんかなー?」ウーン

正子「そういう決め付けはあかんやろげんき? もしかしたら、ウチらに隠して誰かとお付き合いしてるかもしれへんし」

げんき「えー、だって同じ学校やねんで? 普通何かしら変化があったらすぐに気付くもんやろ?」

後輩(……同じ学校に弟さんがいるのに、先輩がイジめられてるのはバレてないみたい)

後輩(先輩は家族にも言わないで頑張ってたんだ……やっぱすごいや)

正子「それじゃーアンタ、気ぃ付けて帰りなさいよ?」

げんき「次来た時には、父ちゃんに言ってお好み焼き奢らせたるからなー」

後輩「ありがとうございます。 それでは失礼しますね」ペコリ




ガラララッ ピシャン



後輩「ふぅ……やっぱりお店の中は、美味しそうな匂いでいっぱいだったなー」テクテク

後輩「それにしても良かった…上手く先輩のご両親に説明ができて…」テクテク

後輩「明日からも、日野先輩をサポートできたらいいなぁ……」テクテク






??「はぁ~い。 ちょっといいかなー?」テクテク






後輩「っ!?」ビクッ

先輩B「お好み焼き屋さんは繁盛してたかなー、後輩君?」テクテク

後輩「あ、ぁ……せ…先、輩…」

先輩A「少しお話があるの。 ……あそこの公園まで一緒に来てくれるかしら?」クイッ

~公園~


先輩B「おー、やっぱこの時間帯だからガランとしてるね~」キョロキョロ

先輩A「今日は良い天気だから綺麗な星が見れそうね。 ……貴女もそう思うでしょ?」

後輩「………」

先輩A「…下ばかり見ずに上を向いたらどうかしら? せっかくの星空なのに勿体ないじゃない」

後輩「……あの…」

先輩A「?」

後輩「私に……私に何か用でも、あるんですか…?」キッ

先輩A「……へぇ…意外だったわ。 貴女、見た目と違って弱々しい態度を取らないのね」

先輩B「てっきりもうバレたと感じて、ベラベラ喋るもんだと思ってたけどねー」

後輩「な、何の事を言って…」

先輩A「日野さんの事よ」

後輩「――っ!」ギクッ

先輩B「随分日野さんと楽しく喋ってたじゃないのー? どんな内容で会話してたわけー?」

後輩「…先輩達……見てたん、ですか?」

先輩B「遠くから見てたの。 あそこから見ると多分死角だったんじゃないかな?」

先輩A「どんな会話内容かは分からなかったけど、その後貴女がどんな行動を取るのかだけは予測できたの」

先輩A「日野さんが電話しててショックを受けてた様子や、貴女がお好み焼き屋の方向を指差してた様子からね……実に分かりやすかったわ」クスクス

後輩「それで…先輩達は私をつけてきたんですか? 何でそんな事を…」

先輩B「あーそれはね、もしかしたら誤解かもーって思ってたから」

後輩「誤解…ですか?」

先輩A「そう、誤解。 さっき貴女は、日野さんに代わって事情を話したんでしょうけど…」

先輩A「もしかしたら貴女が約束を守らず、お好み焼き屋に入らないまま家に帰るかも…って思ってね」

後輩「なっ!?」

先輩B「いやー、詰めが甘いねー君。 アタシ達なら絶対そうするのにさー」ウンウン

後輩「だっ、誰がそんな事…っ! しませんよ!!」

先輩A「まぁそれは別として、貴女には少し聞きたい事があるの」

後輩「聞きたい、事…?」

先輩B「ただの確認だよー。 ……お好み焼き屋さんを出た後に言ってた内容についてね」

後輩「……!」

先輩A「明日からも、誰かさんをサポートするとか言ってたわよね? …それは本心かしら?」

後輩「………」

先輩A「………」

後輩「………」

先輩A「………」

後輩「………、そうです。 それが私の本心です」

先輩B「うぉっ」

先輩A「………」

後輩「……先輩達が、他のバレー部の弱みを握ってるのは知っています。」

後輩「私はその人達にお願いされてしまったので、今まで日野先輩がヒドイ目に遭っているのをただ見てるだけでした」

後輩「でも、これ以上はもう耐え切れないんです。 …私、日野先輩のために何かしてあげたいんです…」

先輩A「…貴女ってば、本当に優しいのね」フフッ

先輩B「……いいのかよ? 他の部員に迷惑掛けても」

後輩「…先輩、は」

先輩B「あん?」

後輩「私達に協力を呼びかけた際、あなた方2人の邪魔をしないようにと言いました」

後輩「それってつまり…先輩達の邪魔さえしなければ、日野先輩を助けてもいいって事になりませんか…?」

先輩B「……それはただの屁理屈なんじゃねーの?」

後輩「屁理屈でもいいんです。 それで私にも、可能性が手に入るのなら……」

先輩B「……だ、そーだけど…どうしよっか?」クルッ

先輩A「構わないわ。 どのみち変わりはないもの」

後輩「?」

先輩A「あぁ、ごめんなさい。 今から説明するわね。 ……私達が日野さんにしてきた事よ」

後輩「――…!」

先輩A「…今まで私達は、日野さんに対して陰湿な行為を繰り返してきたわ」

後輩「………」

先輩A「でも、そろそろ日野さんにひどい事するのにも飽きてきた頃だし……もうやめようかなって思っているの」

後輩「えっ?」

先輩A「他の人達を縛りつける必要もないし、弱みを握っている内容のデータも全て消すわ」

後輩「えっ!? そ、それって…」

先輩B「うん。 これからはバレーだけに集中していきたいしねー」

先輩A「そうね。 受験ももう近づいているし、残りの時間を全力で取り組んでいきたいしね」ウン

後輩「ほ、本当ですか!?」パァァ

先輩A「ええ」ニコッ



















先輩「これからは私達2人の代わりに、学校中の生徒みんなにやってもらうつもりだから」

後輩「……え? 学校中のみんなに、って……えっ?」ポカン

先輩B「うーん、やっぱいきなり言っても混乱しちゃうよね。 無理ないよ」ウンウン

先輩A「詳しい事は明日になれば分かるはずだけど……要はサプライズよ」

後輩「サプ、ライズ…?」

先輩B「そうそう、サプライズサプライズ。 今言っちゃうとネタバレになるから言えないんだけど…」チラッ

先輩A「結果的にどうなるのかだけなら言ってもいいでしょう。 …具体的な方法は、明日までのお楽しみという事で」フフッ

後輩「ど……どういう…事、ですか…?」ワナワナ

先輩B「う~ん……アタシだとついうっかり全部言っちゃいそうだから…お願いできるかな?」

先輩A「……まぁいいわ。 …いい? よーく聞いておいてね」

後輩「………」ゴクリ

先輩A「明日学校に来た人達はみんな……」

後輩「………」

先輩A「…必ず日野さんに対して、敵対心を抱くようになる」

後輩「…っ!?」

先輩B「おー、すっごい簡潔ー。 さっすがー」パチパチ

先輩A「褒められても正直嬉しくないんだけどね…」ハァ

先輩B「…という事で、さっきの説明で分かってくれたかなー後輩君?」クルッ

後輩「………」タジッ

先輩B「およっ?」

後輩「――っ!!」ダッ!

先輩A「なっ!? いきなり走り出して…!?」

後輩(今すぐ先輩に、日野先輩に知らせなきゃ…っ!)ダダダ

先輩B「うりゃーっ!!」ガシッ

後輩「えっ……!?」



ビッターン!



後輩「……っ、いったぁ…」

先輩B「ったく、勝手に逃げ出してんじゃねぇってのー」グイグイ

後輩「う、うぅ……お願いですから…お願いですから、離して…っ」グググ・・・

先輩B「おーおー、全然抵抗できてないねー。 やっぱ見た目通りの貧弱さだなー」グイグイ

先輩A「…やっぱり凄いのね貴女って。 結構な距離が離れてたと思うんだけど?」

先輩B「いやいや、あれぐらいの距離は離れてるとは言わないっしょ?」グイグイ

後輩「離して下さい…このままだと、日野先輩がぁ…っ」グググ・・・

先輩B「…ホンっト先輩思いで良い子だなーアンタって。 お姉さん涙が出ちゃいそうだよー」ホロリ

後輩「離して……離し、てぇ…!」グググ・・・

先輩B「そう言われてもなー…」ポリポリ

先輩A「……分かったわ」

先輩B「?」

後輩「……?」グググ・・・

先輩A「少しお話でもしましょうか? 落ち着いて話し合えば、きっと円満に解決できるはずだわ」

後輩「……『お話』…? …『円満』…? …ふざけないで、下さい…っ!」キッ

先輩A「あら、ふざけてなんかいないわよ? 私は最善の方法を取っているだけ」

後輩「最、善…? ……日野先輩を追いつめる事が、最善って言うんですか…っ!?」

先輩A「違うわ。 そういう意味で言ってる訳じゃないの。 …これは貴女の安全のために言っているのよ?」

後輩「何を言って―――」

先輩A「この写真を見て頂戴」サッ

後輩「? ……ッッ!!?」ギョッ

先輩B「どれどれ~……おぉー、学校の更衣室の写真かー」

先輩A「写真の写り具合はどうかしら? 結構自信があるんだけど」ピラピラ

後輩「…な…んで……? これ、私が写って…?」ワナワナ

先輩B「誰かの下着姿の写真なんて、もう何回もやってきたから代わり映えしないんだけどねー……って、あれ?」

先輩B「何これ? 何か背中に変なものが見えるんだけど…?」

後輩「ッ!?」ギクッ

先輩A「私も最初見た時は驚いたわ。 寒いと言っても、バレーの練習にも重ね着してたからおかしいとは思っていたけど…」

後輩「あ……ぁ…」ガタガタ

先輩A「この黒い点はほくろかと思ったけど、そうじゃないわ……おそらくこれは火傷の痕でしょうね」

後輩「や…いや…っ」ガタガタ

先輩A「そして今はもう色は枯れてるけど……かつて赤かったであろう傷も沢山ある」

後輩「やめ、て……見ないで…っ」ガタガタ

先輩A「これらは背中にあるので、自分の不注意で傷付いたとは考えにくいわ。 よってこれは外的な要素で――」

後輩「見ないでええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」バッ

先輩A「あらま、写真が取られちゃったわ」

後輩「~~~っ!! ~~~~っ!!」ビリビリビリッ

先輩B「あーそっかなるほどねー。 そっちも昔イジめられてたクチだったかー。 …どうりで日野さんにも肩入れしてた訳だ」ポンッ

後輩「~~っ!!! ~っ!!」ビリッ ビリッ

先輩A「かつての自分と同じ境遇にあったから、日野さんを放ってはおけなかった……そんなところかしらね」

後輩「はぁ……、はぁ……」パラパラ

先輩A「そんなに写真を破るのに夢中になっちゃって……楽しかったのかしら?」クスクス

後輩「ッ!」キッ

先輩「そんなに楽しかったのなら、残りの写真もプレゼントするわね」バッ



バラバラバラバラ・・・



後輩「あっ…!? あ、ぁぁあ……!?」ワナワナ

先輩B「うっひょー! 鞄から同じ写真が大量に出てきたー!」

後輩「あぁああぁああぁぁああああぁぁぁああぁぁあぁぁあああぁああぁぁあぁあああぁあ!!!」

先輩A「どうかしら? パソコンに取り込んでるから、何枚現像しても色落ちとか絶対にないの」

後輩「やめてっ!! 見ないでぇ!!」

先輩B「この写真って結構衝撃的だよねー。 これを学校中にばら撒くとどうなっちゃうんだろうね?」

後輩「やっ!? やだっ!! やだやだやだやだやだぁっ!!」

先輩A「今まで隠してたみたいだから、きっとみんなの見る目が変わるのは間違いないでしょうね」

後輩「お願いだから、もうやめて…やめてよぉ…!」ジワァ・・・

先輩B「…あれま、泣いちゃった?」

先輩A「あらあら、ごめんなさいね。 私達はなにも、貴女を泣かせたくてやっている訳じゃないのよ?」

後輩「……?」グスッ

先輩A「さっき言ったように、私達はこれからバレーとか勉強の方に集中したいの」

先輩A「そのためには、私達と日野さんとの関係を終わりにしたい」

先輩B「というわけで、日野さんを学校中のみんなにパスしちゃおー…っていうのが明日のサプライズの目的なんだけど…」

先輩A「貴女には、私達の計画を邪魔してほしくないの」

後輩「っ!?」

先輩A「無事明日計画が終わったら、貴女も含め、バレー部みんなの弱みとなるものを全て消してあげるわ」

先輩B「できるよねぇー? 前に協力お願いしたときと同じように、ただ見てるだけでいいんだからさ?」

後輩「で、でもそうなったら日野先輩が…っ!」

先輩A「断るって言うなら仕方ないけれど……それならこの写真を明日使う事になるかもしれないわ」スチャッ

後輩「ひっ!?」ゾクッ

先輩B「という訳で、素直に頷いてくれたら嬉しいんだけどなー?」

後輩「……ど……て…」

先輩B「? 何か言った?」

後輩「…どうして…どうして、こんな事するんですか…?」グスッ

先輩B「? どうして、っていうのは?」

後輩「先輩は…日野先輩は、今まで頑張ってきたんですよ…?」

後輩「バレーだって、他の部員さん達以上に頑張っているんですよ…?」ジワァ・・・

後輩「先輩達にされてきた事があったって……あの人は笑顔を絶やさず、いつも前向きでいるのに…」ポロッ

先輩B「………」

後輩「今だって、2人から好意を向けてもらえるように頑張っているのに……どうして……」ポロポロ

先輩A「……そうだったの」

後輩「…えっ?」グスッ

先輩A「自分でも分かっていたわ。 自分がどれだけ酷い事をしているかを」

先輩A「それなのにあの子ったら、今日のような事があってもまだそんな事考えているのね…」

後輩「そ、そうです! だから今でも遅くは…っ」

先輩A「本当にあの子ったら……本当に…」フルフル

後輩「……?」

先輩A「本当に……」フルフル



















先輩A「本っ当にどこまでもふざけた思考回路持ってんじゃねぇかあのボケェ!!!」

後輩「ッ!!?」ビックゥ!

先輩A「ギィヤッハハハハハハハハハハァァア!!! 何なんだよ一体、何でそこまで的確に笑いのツボ狙えるんだよ!!? 天才じゃねぇのアイツ!!?」

先輩A「『どうしてこんな事する』だぁ? んなのある訳ねぇに決まってんだろ脳筋野郎が!!」

先輩A「そっちこそどうしてそんな底辺過ぎる質問なんかしてんだよ!? 頭沸いてるって表現にも限界があるの知らねぇのかよおい!!?」

後輩「せ、先輩……どうしたんですか、いきなり…!?」

先輩B「うっひょー!! 久々に本性現わしたねーコイツぅ!」

後輩「ほ、本性って…!?」

先輩A「しっかしあれだな。 あのボケた脳みそは、自分で何喋ってんのかさえ認識できていねぇのか」ククク

先輩A「『好意を向けてもらえるように』って言いやがったようだが……馬っ鹿じゃねぇの!? ぶわっっっかじゃねぇぇぇのぉぉぉぉお!!?」バンバンバン!

先輩A「あれだけやってんのに、まだ幻想的な希望持ってしつこく這い上がろうとしてんのか!! 気味悪ぃ以上に感動すら覚えてくるぜまったくよぉ!!!」ゲラゲラ

先輩B「…いつもはお嬢様みたいな立ち振る舞いしてるけど、ホントはこの性格を隠すためにやってるだけなんだってさ」

後輩「そん、な……」

先輩B「まっ、アタシも最初は驚いたけどさー……こんな性格だからこそつるもうって思えた訳だし」

先輩A「ゲッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ…」ゲラゲラ

先輩B「……おーい? もうそろそろ笑うのはいいんじゃないですかねー?」チョイチョイ

先輩A「わ、悪ぃなギャハッ、こんなに笑うのも…ゲヒヒッ、随分久しぶりだからよぉ…」プルプル

先輩B「いいからさっさと冷静になれっての。 落ち着いて話し合おうって言ったのはどこのどいつだよ?」

先輩A「そ、そうだな…」プルプル

後輩「………」ビクビク

先輩A「……よし、もう大丈夫だ…じゃなくて、もう大丈夫よ」キリッ

先輩B「収まったみたいだね。 それじゃー早速、そこの後輩君と話つけちゃって下さいな」

先輩A「そうね。 そうするわ」ジッ

後輩「ッ!!?」ビクゥ!

先輩A「いい? 2年しか歳が離れてないお姉さんのお話だけど、よーく聞いて考えてみてね」

後輩「………」ビクビク

先輩A「私達はね、誰かれ構わず同じような事はしたくはないの。 理由はどうあれね」

先輩B「本当は他のバレー部員には何もしたくないんだよ。 だから明日無事終われば全部チャラにする予定だし」

後輩「……ぁ」ガタガタ

先輩A「確かに今の日野さんは昔の貴女のような状況にあり、貴女が日野さんに情を抱くのは当然の事なのかもしれない」

先輩A「それでも、少し前までろくに話す事のなかった…言わば他人のために、自分の学校生活を犠牲にする必要なんてどこにあるのかしら?」

後輩「…ぁ…ぁあ…っ」ガタガタガタ

先輩A「……さて! それでは話も終わった事なので貴女に1つ質問をしてみます」

先輩A「さっきも同じ内容を聞いたと思うけど……気を楽にして答えて頂戴ね」ニコッ

後輩「ひっ…ぁ、あぁ、ぁ……っっ」ガタガタガタガタ


先輩A「…明日からも、誰かさんをサポートするとか言ってたわよね? ……果たしてそれは本心なのかしら?」ニヤァ・・・

~数時間後~


あかね「で、でけたでぇ~……全部終了や~……」ゼー ゼー

あかね「時間は……良かったー、まだ深夜になってへんかったー」ゼー ゼー

あかね「そんじゃま、早速このバラバラになっとう絵を公園まで運んでいこか」ヨット

あかね「さっき父ちゃんと電話したら許してくれそうな感じやったし、早よ帰って安心させたいしな…っとと」フラフラ

あかね「あー……あかん。 ずっと同じ姿勢やったから体があんま言う事きかへん…」ヨロヨロ

あかね「先輩達……これでウチの事見直してくれるやろか…?」ヨロヨロ

あかね「これでまた最初の時みたいに、みんなで楽しくバレーできたらええなぁ……」ヨロヨロ



ガチャッ

キィー・・・バタンッ




……

………

…………

……………












ガチャッ












ウルフルン「………」

~翌日~


あかね「あいたたた~……昨日叩かれたほっぺがまだ痛むわー…」サスサス

あかね「まーでも父ちゃん許してくれたし、夜遅くまで帰らへんかったウチも悪かったし……結果オーライやんな、うん」テクテク

あかね「昨日描いた絵も公園にはなかったし……無事先輩達が回収していったんやろうなーきっと」テクテク

みゆき「あっ! あかねちゃん!!」タタタ

あかね「お! みゆきー、今日も元気に―――って、あれ?」

やよい「お、おはようあかねちゃん…」

なお「…おはよう」

れいか「………」ペコ

キャンディ「おはようクル、あかね!」ヒョコッ

あかね「お、おはようさん……ってどないしたんや? みんなで集まりよって…何かあったんか?」

みゆき「う、うん。 ちょっとだけ、朝早くからみんなで集まろうってなって…」

れいか「……あかねさんの様子が少しおかしかったので…何かあったのか、どうしたら力になれるかを話し合っていたのです」

あかね「…そっかー、ウチのためにわざわざ…」

みゆき「そ、それでね? 話し合った結果、あかねちゃんから直接話を聞くのが一番という事になったんだけど…」

なお「…ねぇ、あかね? 最近元気がないようだけど、何かあったの?」

あかね「なっ、何もあらへんよ? そもそも一体ウチに何があったんやっちゅー話で…」

やよい「何かあったに決まってるよ! だって、いつも元気なあかねちゃんを見てたら分かるもん!」

あかね「そっ、そうなんか…?」

みゆき「そうだよ! 最近のあかねちゃんを見てたら、誰でもおかしいって分かっちゃうよ!」

あかね「そ…そないな事いきなり言われてもな~? 最近プリキュアやってへんから、世界は平和そのものやしー…?」ポリポリ

れいか「確かにあかねさんの言う通り、私達はプリキュアです。 …しかし、プリキュアである以前に大切な友達同士でもあるのです」

れいか「友達に何かあればすぐさまその身を案じ、助け合う……それは当然の事ではありませんか?」

あかね「うっ……それは、確かにそうやけど…」

なお「クラスでは何もおかしな事は起きてないから、あかねがやっているバレー部で何かあったと踏んでるんだけど……どうかな?」

あかね「いっ!? いやいや、そないな事あらへんって!! ウチ今めっちゃバレー部楽しんでるさかい!」ブンブン

なお「…そうなの?」

あかね「もちろんや! バレー部顧問の指導がちょい厳しいなーとか思たりするけど、それ以上に練習楽しいし」ウン

あかね「後輩にもええ子がおるし…同学年のみんなとも、多分息ぴったりやと思うし……先輩にも……」

なお「……そっか」

あかね「っちゅー訳で、みんな心配かけてごめんな! ウチはいつも通り元気いっぱいの日野あかねやで!」ブイ

みゆき「うん………、あれ? あかねちゃん、そのほっぺ…」

やよい「…何か赤いね? どうしたのそれ?」

あかね「あー、これな。 ……実は昨日、父ちゃんにぶたれてん」サスサス

みゆき「えっ!?」

たまにあかねちゃんの語尾が「~とう」とか「~しとう」って言うあたりが凄く神戸っぽい
それ以外は違和感ないんだけどね
大阪弁に比べたら神戸の人の喋りはちょっと優しい感じで好きよ

やよい「親にぶたれたって……あかねちゃん、何か悪い事したの…?」

あかね「いやー、昨日学校から家に帰るんがちょいと遅くなってもうてな」

あかね「一応家に断りを入れておいたんやけど、『親に心配をかけさせるんやない!!』って怒られてもうて…」アハハ

れいか「……その話を聞いても、なにもぶつ必要はないと思うのですが…?」

あかね「あーうん。 それは多分、家に帰る時間が深夜手前やったからやと思うねん」

なお「えっ!? 深夜って…!?」

あかね「しかも父ちゃん、ウチは学校におった言うてんのに『知らない男と歩いてるんちゃうかー!?』って言うてきたんや」

やよい「……っ!!?」

あかね「もちろんそれは父ちゃんの勘違いやから、昨日はその誤解を解くのに苦労しましたっちゅー訳やな」タハハ

>>308
なるほど……勉強になります。
それでも良い印象として受け入れてくれてありがとうございます。

あかね「いやー。 ビンタされて改めて感じたけど、親が子を心配するのは当たり前なんやなーってつくづく思ったわー」ウンウン

やよい「………」

あかね「これからはいつも以上に早よ家帰って、お好み焼き屋をもっと手伝っていくつもりや」グッ

なお「………」

あかね「あ、でもバレーをサボったりはせえへんよ? お好み焼きもバレーも両立できるようになったるねんウチ!」フンス

れいか「………」

あかね「――って、みんなどないしたんや? 一斉に俯いてもーたりして」キョロキョロ

みゆき「……あ、あのね、あかねちゃん……」

あかね「うん?」









みゆき「さっきの男の人とっていう話……本当は嘘じゃないんでしょ…?」

あかね「………へっ?」

あかね「なっ……何、言うてんねんみゆき? いきなり変な冗談言うて…」アハハ

なお「…なるほど。 確かにそういう事なら大体の説明がつくね」ウン

あかね「いやいや!? なおまで何話に乗ってきてんねん!?」

れいか「夜遅くまで殿方と遊んでいた……となれば寝不足になりますし、そのせいで学校でも元気がなかった…となれば納得ができますね」ナルホド

あかね「れいかまで……だから、それは父ちゃんの勘違いやって…!」

やよい「あかねちゃん……一体誰とそんな事を…?」

あかね「ちゃうんやって!! みんなが思てる事は全部誤解なんやって!!」ブンブン!

みゆき「…本当に違うの? 無理して言わなくてもいいんだよ?」

あかね「だから、無理なんかやのうて…っ!」キッ

やよい「全部話してもいいんだよ、あかねちゃん? 私達友達なんだから……ね?」

あかね「……なんで…どうしてなん……?」フルフル

なお「…あかね?」

あかね「なんでっ、なんでそない酷い事が言えるんやアンタらぁ!!?」グアッ!

やよい「!? あ、あかねちゃ―――」

あかね「さっきから言うてるやろ!!? 夜遅く学校におったって!! 別に男と遊んでる訳やないって!!」

あかね「ウチはそないな事せえへん…せえへんのに……恋愛やって正直、あんましたことあらへんのにぃ…っ!」ジワァ・・・

みゆき「あかね、ちゃん…」

あかね「それやのに…っ! それやのになんでアンタらは、人の頑張りを勝手に変な方向へ解釈してくれてんねん!!?」ダンッ!

みゆき「……だって……だって…っ」フルフル

あかね「最近何があったか、なんて…そんなんウチだけ知っときゃええやろ!!? アンタらは別に知らんでもええやろ!!?」

あかね「勝手に干渉してくんなや!! 都合よく人のプライベートを聞き出すなんてホンマ迷惑―――」

みゆき「だって分かんないんだもんあかねちゃんの事がぁ!!!」

あかね「っ!!?」

みゆき「あかねちゃんこそ、何で……何でそんな事を言うの!?」

みゆき「私達はクラスメイトなんだよ!? プリキュアなんだよ!? 大切な…大切なお友達なんだよ!?」

みゆき「だからっ! だから私達はこんなにもあかねちゃんを心配しているのに……どうして分かってくれないのぉ!!?」

あかね「……そんなん……分かる訳、ないやろ…」ボソッ

みゆき「…えっ?」

あかね「そんなん分かる訳ないやろ!!? 誰かの気持ちなんて全然分からへんわ!!!」

みゆき「なっ…!?」

なお「あ、あかね!?」

あかね「そしてウチも……ウチの気持ちも、誰かに分かってもらえる訳ないんや!!!」ダッ!

れいか「あっ!? 待って下さい、あかねさん!!」

やよい「あかねちゃん!!」



タタタタ・・・



みゆき「なんで…どうしてなの……? 私、あかねちゃんの事信じてもいいの……?」

あかね(クソッ、クソォ!! みんなして勝手な事ばっか言いよってぇ…!)タタタッ

あかね(……それでも多分……いや、絶対悪いのはウチやんな…。 ついカーッとなってもうて、よう覚えてへん……)トッ トッ

あかね「………」グシグシ

あかね「……もう学校についたわ…」テクテク

あかね「教室でみんなと会ったら、どないして謝っていったらええかなー…?」テクテク





アッ!? ヒノサン!! タタッ





あかね「……ん? あれ、先生がこっち来て…?」

佐々木「日野さん!! 貴女は一体なんてことを…!!」ズンズン

あかね「? 『なんてこと』、って…何かあったんですか?」キョトン

佐々木「とぼけないで!! 正面玄関の上にあるアレの事よ!!」ビシッ

あかね「正面玄関の、上? ………っ!?」ギョッ

あかね「な……何や、アレ……!?」ワナワナ

みゆき「はぁー……」トボトボ

なお「元気出してみゆきちゃん! …って言いたいところだけど、あたしも…」ハァー

れいか「結局、あかねさんがどのような気持ちでいるのか分からなかったですね…」テクテク

やよい「うん…そうだね……」トボトボ





ワイワイ ガヤガヤ





やよい「…? ねぇねぇ、正面玄関の前に人が集まってない?」

なお「……何だか騒がしいね?」

れいか「そうですね……何かあったのでしょうか?」




イヤー、シッカシオドロイタナー
コンナヒドイコトヲスルヤツガ、コノガッコウニイルノカー



なお「どうやらみんな、正面玄関の上辺りを見てるみたいだけどー……っ!?」ギョッ

やよい「? どうしたのなおちゃん、上を見て固まっちゃって……っ!?」ギョッ

みゆき「こ、これって……大きい絵が吊り下げられてる…!?」

キャンディ「何だかあの絵、沢山の文字が書かれて出来ているみたいクルー…」ヒョコッ

れいか「『学校なんてクソくらえ』、『学校中のみんなは滅んでしまえ』……他にも、学校への罵詈雑言が沢山書かれていますね……」

みゆき「…何だかあの絵、怖いよ…」キュッ

やよい「うん、そうだね……あんな絵は、軽い気持ちで描けるもんじゃないよ…」

れいか「そうですね…。 絵を悪口だけで埋め尽くすなんて……なおもそう思うでしょう?」

なお「………いや」ワナワナ

れいか「?」

なお「それ…だけじゃない、みたい…」ワナワナ

れいか「……? 他にも何かあるのですか?」

なお「あれ……あの絵の隅っこ、隅っこに…っ」プルプル

れいか「隅っこ…? ………っ!!?」ギョッ

やよい「あれ、は…名前、だよね……? しかも、あの名前って……っ!?」ワナワナ

みゆき「……日野……あかね……っ!!?」ワナワナ

あかね「せ、先生!! これは何かの間違いや!! ウチこんなん描いた覚えない―――」

佐々木「じゃあ何であの絵に貴女の名前が書かれてるの!? どう考えても貴女がやった事だって分かるわよ!!」

あかね「ちゃ、ちゃう…ちゃうんや先生……ホンマに、全然覚えがないんや……」フルフル

あかね「昨日やってウチはただ、画用紙に色を塗るよう言われて――っ!」ハッ

あかね「ま、まさか……まさかあの大量の画用紙は……っ!?」ワナワナ





クスクス・・・





あかね「っ!?」グルン




先輩A「………」ニヤニヤ

先輩B「………」ニヤニヤ




あかね「先、輩……」ワナワナ

佐々木「とにかく、ここにいては騒ぎが大きくなるだけです!! 日野さんにはひとまず職員室に来てもらいましょう!!」グイッ

あかね「何でや…何でなんや先輩…? ウチはただ、先輩達に認めてもらいたかっただけやのに…」ヨタヨタ

佐々木「いいからしっかり歩きなさい!! 話はじっくり、聞かせてもらいますからね!!」テクテク

あかね「ウチが今までやってきた事って全部……全部無駄やったんか……?」テクテク





テクテクテク…





先輩B「ありゃりゃー、やっぱ予想通り連行されちゃったねー、日野さん」

先輩A「そ…そうね……本当に絶望したような顔でこっち見ちゃって…見ちゃって……ゲヒヒヒッ」プルプル

先輩B「はい、笑うのはそこまで。 この後アンタには重大な役割があるんだからねー」

先輩A「あ、ああ…もちろん分かってるわ。 笑うのはやるべき事を全て終わらせてからよね、うん」プルプル

先輩B「一晩かけてシグソーパズルに付き合ってやったんだからね。 せっかくの努力を無下にすんなよー?」

先輩A「そうよね……うん、もう平気よ平気。 大丈夫」キリッ

~七色ヶ丘中学校・2年2組~



ザワザワ・・・



みゆき「……あかねちゃん、先生に連れて行かれちゃったね…」

やよい「…本当に、あの絵はあかねちゃんが描いたものなの…?」

れいか「……分かりません。 否定しようにも、それを裏付ける証拠がありませんから…」

なお「…あかね……」



ガララッ



佐々木「………」テクテク

みゆき「? …先生? ホームルームまでまだ時間があるけど…?」

佐々木「……皆さん、今すぐ体育館に集まって下さい」

なお「体育館……? 一体どうして…?」

佐々木「全校生徒を集めて臨時集会を行います。 …今すぐ体育館シューズを持って移動して下さい」

~七色ヶ丘中学校・体育館~



ワイワイ ガヤガヤ



やよい「いきなり朝礼を始めるなんて…」

なお「いや……違う」

やよい「?」

なお「これは、朝礼のような軽々しい雰囲気とはまったく違うよ…」

みゆき「なおちゃんの言うとおりだね……何だかみんなピリピリしてる…」

やよい「……! ね、ねぇねぇ!! 先生達が立ってるところを見てみて!」ユビサシ

なお「? ………!」ハッ



あかね「………」



みゆき「あ…あかねちゃん……」

教頭『えー……それでは皆さん静かにして下さい。 緊急ではありますが、今から朝礼を行います』

教頭『それではまず始めに、校長先生のお話からです。 ……お願いします」ペコ

校長「…うむ」スタスタ


入江生徒会長「……校長先生、今までにないぐらい険しい顔をしてるね…」

れいか「いつも朗らかで、笑顔が絶えない校長でしたのに……」


校長『……あー、皆さんおはようございます。 今日も良い天気となりました』

校長『いきなり皆さんにお集まり頂いた事に関して、既にお気付きになさっている方もいるとは思いますが…』チラッ

あかね「………」

校長『…学校に吊り下げられていたあの絵について、少しお話させてもらおうかと思います』

校長『今まで平和だったこの学校に「獣の招き声」事件が起きたのは、まだ皆さんの記憶に新しい事でしょう』

校長『しかしそのような事件だけではなく、今回も不可解な出来事が起きてしまいました』

校長『今までなかった場所に吊り下げられた絵…しかもその絵には、この学校への誹謗中傷ばかりが書かれていて…』

校長『そしてその絵の端には、「日野あかね」という我が校の生徒の名前が書かれていました』



ザワザワ・・・



あかね「………」

校長『何故このような事をするのか? そう日野さんに聞いてはみたものの…』

校長『今現在でも、日野さんは「自分は何もしていない」と言っており、無実を主張しているのです』



ザワザワザワ・・・


校長『他の職員達は皆嘘であるとの意見ですが……ここで誠に恐縮ではありますが、私個人での意見を述べさせて頂きます』

あかね「………」

校長『…私は生徒達のことが大好きです。 実の孫のように大切に思っています』

校長『そして私は笑顔が大好きです。 その1人1人の笑顔が、周囲を幸せにするエネルギーになると信じていますから…』

あかね「………」

校長『決して全校生徒の事を把握できているつもりはありません、が……日野さんの事は前々から知ってはいました』

校長『いつでもどこでも笑顔を振りまいており、どんな事があっても不安になる事なく前に進んでいる……まさに生徒の鑑です』

校長『そんな生徒である日野さんが…いきなりこんな酷い事をするなんて、私には考えにくいのです』

あかね「……!」バッ

校長『できれば、日野さんが言っている事は信じてあげたい……私はそう思っております』

あかね「先生……っ」パァァ

校長『しかし事実を否定しようにも、まず情報が足りません。 一刻も早く情報を集める必要があります』

校長『そう考えながら私は校長室で悩んでいましたが……そんな私の元に、ある2人組の女子生徒がやってきました』

あかね「えっ……?」ヒクッ

校長『私は一体どうしたのかと聞いてみましたが…』

校長『……どうやら彼女達は、日野さんが絵を描いていたという証拠を持っているみたいなのです』

あかね「!!?」

校長『それを見せてくれるようにお願いしたのですが、彼女達は「ここで見せたら事実を隠ぺいされるかもしれない」と一点張りで……』

校長『ではどうしたらいいのかと聞くと、「全校生徒を集めてみんなで事実を確認しましょう」と提案してきたのです』

あかね「そ、その2人組って……」ワナワナ

校長『本日皆さんに集まって頂いたのは、このような提案を断りきれなかった私に責任があります。 …本当に申し訳ありませんでした』ペコリ

校長『そしていきなりで悪いのですが、このままお話をしてもあまり意味がないので…』

校長『早速その生徒の代表に上がってもらい、事実を確認する事にしましょう』

校長『それでは、足元に気を付けながら演壇まで登って来て下さい』ドウゾ

あかね「その生徒ってまさか…まさか……」ワナワナ









先輩A『おはようございます皆さん。 短い時間だとは思いますが、よろしくお願いします』ペコリ

あかね「あ……あ、ぁ……っ」ガタガタ

先輩A『本日登校した皆さんは、あの絵を見てしまったことでさぞ気分を害された事でしょう』

先輩A『その絵についての証拠を今すぐ説明したいのですが……その前に、皆さんに謝りたい事がございます』



? ザワザワ・・・



先輩A『それは……その証拠を得るために私達が、ビデオカメラで盗撮しなければいけなかったという事です』

あかね「なっ……!?」



!? ザワザワザワ・・・



先輩A『皆さんが騒ぐのも分かります! こんな犯罪のような行為に及ばずとも、まだ何か別の方法があったんじゃないかとは重々分かっています!』

先輩A『でも…でも仕方がなかった!! 日野さんの事を、同じバレー部の一員として無視する事ができなかったのです!!』

先輩A『そもそも私達がこのような行為をしたのは、以前から日野さんの様子がおかしいと思っていたからでした』

先輩A『練習の合間に、彼女がこの体育館にある小さな部屋を行き来していたのを、私達は不審に感じていたのです』

先輩A『先日気になったので、隙を見て覗き込むと……そこには大量の絵の具と画用紙が隠されていました』

あかね「!!?」

教頭『えー…お話を割り込む形で申し訳ありませんが……今でもその部屋を見てみると、先程言ってた絵の具の残骸らしき物が沢山残っていました』

先輩A『ご確認ありがとうございます。 ……おそらくこれらの材料は、日野さん自ら調達したものだと私達は考えています』

あかね「ちょっ、ちょっと待ちいや!? 材料とかは全部、先輩達が用意してたやつで―――」

バレー部顧問「おい日野!! 黙って話を聞かんか!!」ガシッ

あかね「でも先生…!」

バレー部顧問「いいから黙れぇ!!! 今のお前に、弁解の余地なんて何もない!!!」クワッ!

あかね「そ、そんな……」

先輩A『……では、話を続けます。 …その絵の具を見てしまった私達は、これから日野さんが何かをするという確信を持ちました』

先輩A『しかし……何かをするとは分かっていても、ただ注意するだけでは何も解決しないんじゃないか…という意見が脳裏をよぎったのです』

先輩A『同じような危険が何度も起きてしまうのなら、自分達が危険をおかしてでもそれを止めなくてはならない……そう私達は思い至りました』

先輩A『…とはいえ、ビデオカメラで盗撮してしまった事は変わりようのない事実です』

先輩A『なので、せめてこの場で謝罪をさせて頂きます。 ……本当に申し訳ありませんでした』ペコリ



ザワザワザワ・・・



教頭「……だ、そうですが…いかがでしょうか? 校長先生」

校長「…確かに盗撮は悪い事ですが……あの子が犯罪行為を行わなければ、証拠を得られなかったのもまた事実…」

校長『分かりました……今回の件はお咎めなし、という事にしましょう』

先輩A『あっ…ありがとうございます!!』ペコリ

あかね「………」

先輩A『それでは謝罪の方も終わりましたし、早速ビデオカメラに記録された映像を見てみる事にします』

あかね「………っ」ギリッ

先輩A『事前にビデオカメラの方を放送部に渡しておいたので、カーテンさえ閉めればすぐ見れるかと思いますが…』



シャー・・・



先輩A『あっ、消えましたね…ありがとうございます。 …では後は、このスクリーンに映しさえできれば…』

あかね「………っっ」ギリギリッ

先輩A『……見えてきましたね。 それでは早送りをしながら見ていこうかと思いますので…』



キュルキュルキュル・・・



先輩A『…あっ! ここですここ! 遠くから映しているので分かりませんが、外観的に日野さんだと思われます!』

みゆき「あかねちゃん……本当に、ビデオカメラに映っちゃってる…」


先輩A『この時の日野さんの手を見て下さい。 …沢山の紙が入っていますね。 今回の絵に使われた画用紙じゃないでしょうか?』


やよい「あの画用紙って…1枚1枚が凄く小さいね…?」

なお「そうだね……多分4桁ぐらいはあるんじゃないかな…?」


先輩A『絵の具にも手を付けましたね……画用紙の上に色を塗っている様子が伺えます』


入江「あの配色は…今朝の絵に使われていた色と全く一緒だ…」

寺田「それにしても、どうして画用紙が細かくなっているのでしょうか? 絶対に効率が悪いはずですのに…」

れいか「………」


先輩A『もう映像の方は大丈夫でしょうが……一応どれだけの時間で塗っていたのかを確認するので、そのまま早送りでお願いします』

先輩A『さて……私からの情報提供は以上で終わりです。 何か聞きたい事はないでしょうか?』



シーン・・・



先輩A『……では私からは以上です。 ありがとうございました』ペコリ

先輩A『先程も言いました通り、何時頃に日野さんが塗り終えたのかを確認するため映像を流し続けています。 ご協力をお願いします』

教頭『……もういいですかね? それでは、カーテンを開けてくれるようお願いします』



シャー・・・


校長「……日野さんの言うとおり、全て誤解であって欲しかったのですが…」ハァー

教頭「映像を見る限り、決定したも同然ですな。 …それでは全校生徒が集まっていることですし、ついでに服装チェックの方でも―――」





バキィ!!





校長「っ!?」

教頭「な、何ですか今の音は!?」クルッ



バレー部顧問「見損なったぞ日野ぉ!!! そこまで性根が腐っていたとはなぁ!!!」パキペキ

あかね「う、うぅ……痛い…っ」



校長「なっ…なんてことを…!!?」

佐々木「せ、先生!! 一体何をやっているんですか!?」バッ

バレー部顧問「決まっていますよ!! 教育的指導です!!」パキペキ

佐々木「だからって……だからって、なにも殴る必要ないじゃないっ!!!」キッ!

バレー部顧問「ごちゃごちゃうるせぇ!!! それとも何か!? この悪人に、何の罰も与えないつもりなのかよ!!?」

あかね「うぐ、ぐ……」グググ・・・

教頭「ひ、日野さん! 大丈夫ですか!?」タタッ

あかね「だ…大丈夫、です……」フラフラ

校長「ここは危険です! 佐々木先生が惹き付けている間に、ここから避難して下さい!」

あかね「そ、そうしm―――あいたっ!?」ゴツンッ

校長「っ!?」

教頭「な、何かが日野さんに当たって………、上履き?」クルッ




先輩B「………」ニヤリ



あかね「せ、先輩……?」ヨロヨロ

先輩B「………」

あかね「どうして…?」サスサス

先輩B「………」スゥー・・・

あかね「………?」サスサス






先輩B「ふ――ざ――け――る――な――――――――――――――――――――っ!!!」ビリビリ






あかね「なっ……!?」ビリビリ

教頭「きっ、君ぃ!? 何いきなり大声を出して…っ!?」ビリビリ

先輩B「ふぃー! あー、スッキリしたー!」ツヤツヤ

教頭「とっ、とにかく日野さん! ひとまずここから避難を!」

あかね「は、はいっ……!」ヨロヨロ





ビュッ





あかね「へっ…? うわっ!?」ゴツンッ

教頭「またですか…!? またあの生徒が投げて…っ!」クルッ



「あ…あの……えっと……」



あかね「………?」サスサス

教頭「…日野さん? あの生徒とはお知り合いで?」

あかね「い、いえ……初めて顔を見m――あいたっ!?」ゴツンッ

教頭「!? ま、また上履きが……!?」

校長「こ、これは………まさかっ!?」





ビュッ ビュッ ビュビュビュビュッ





あかね「いたっ!? いたたたたた!?」ドカカカカッ




「てめぇー日野ぉ!!! 何てことしやがったんだお前はぁ!!?」ビュッ

「さっきの子の言うとおりだ!! ふざけるな―――!!!」ビュッ

「この学校に何の恨みがあるっていうのよ!!? この馬鹿ぁ―――!!!」ビュッ




あかね「痛い!? ホンマに痛いって――痛いっ!!」ドカカカカッ

校長「生徒達が……暴徒化している…!?」ワナワナ

教頭「いっ、いけません…!! 先生方!! 今すぐ皆さんを落ち着かせるよう連係し合って下さい!!」

バレー部顧問「そんなの知るか!!! 自分はそれよりも、バレー部顧問としての責任を果たしに―――っ」ダッ

佐々木「そんな事、絶対にさせるものですかぁ!!」ガシィ!

バレー部顧問「ぐぉっ!? は、離せっ、コノッ!!」グイグイ

校長「ここは私達職員に任せて、日野さんはとにかく逃げて下さい!!」

あかね「はっ、はいっ!!」ダッ



ビュビュビュビュビュビュッ



あかね(い、痛い…めっちゃ痛い、けど……ここは我慢して走るっきゃない!!)ダダダ ドカドカッ



ビュビュビュビュビュビュッ



あかね(みんな、むっちゃ怖い顔しとる……これ全部、ウチの事敵やと思って…っ)ゾクッ




ビュビュビュビュビュビュッ



あかね(何でこんな事になってもうたんやろか…?)ダダダ ドカドカッ

あかね(ウチが悪い事したからか? それともウチが、みんなの嫌がる事をしてもうたからか…?)ダダダ ドカドカッ

あかね(どっちにしても……もう解決する方法なんて全然、全然分からへん…っ)ダダダ ドカドカッ

あかね(ウチはどないしたらええんや…!? どないしたら―――)



ガッ



あかね「!? うわ、わわっ!?」ビッターン!

あかね「い、つつつ~…」グググ・・・

あかね「………、ん?」



後輩「せ…先輩……」



あかね「あっ……!」

後輩「せ、先輩……あの…早く、逃げて下さ…」ワナワナ

あかね「なっ、なぁちょっと!!」ガシッ

後輩「ひゃっ!? な、何……!?」

あかね「1つ、アンタに聞きたい事があんねん!!」

後輩「き、聞きたい事って…?」

あかね「ウチは……ウチはこれから、どないしたらええんやろか…!?」

後輩「えっ…!?」

あかね「自分でも今、どんだけ変なこと言うてるかって十分理解してる!!」

あかね「でも…でも分からへんねん………分かってるんは、みんなが怖いって事だけで…」ガタガタ

あかね「たとえ今こっから逃げたとしても……明日もみんなから同じ事されるかもって思うと…震えが止まらんくて…っ」ガタガタ

後輩「…先輩……」

あかね「ウチ、めっちゃ今混乱してて……ろくに考える事もできんようになってて…」ガタガタ

あかね「何したらええか全然……全然分からんくて……っ」ジワァ・・・

後輩「……先輩、泣かないで―――っ!!?」ハッ!












先輩A「………」ジー












後輩「ひっ、ぁ……っ!?」ゾクッ

あかね「君に迷惑掛けとうって十分自覚してる! …でもウチはまだ諦めたくないっ! 諦めたくないんや!!」

あかね「せやからお願いや!! どんな些細な事でもでもええ!!」

あかね「何でもええからっ……何でもええからウチに、どないしたらええか教えてほしいんや…っ!」

後輩「………」

あかね「なぁ……なぁって…」ユサユサ

後輩「………」

あかね「お願いやから……」ユサユサ

後輩「………」

後輩「………」

後輩「………、し」

あかね「し?」



















後輩「知らないですよ。 そんなどうでもいい事なんて」フイッ

あかね「は………?」ピシッ

あかね「な、何て……? 今、何言うてたんか…よう聞こえんかったんやけど……?」ワナワナ

後輩「『そんなの知らない』、って言ったんですよ。 私には関係のない事ですし」

あかね「そっ、そんな…!? だって昨日、一緒に話をしてくれたやんか!?」

あかね「話聞いてくれて、励まされて……そんで、むっちゃ嬉しかって……」

後輩「記憶に無いですね。 昨日私は部活が終わった後、直ぐに家に帰りましたよ?」

後輩「先輩とは一言も会話してませんし……一体誰と勘違いしてるんですか?」ハァー

あかね「うっ…嘘や嘘や!! ウチはっ、ウチは勘違いなんかしとらん!!」ガクガク

後輩「きゃっ!? ちょ、ちょっと…あまり揺さぶらないで……!」ガクガク

あかね「何でそないな事言うんや!? 何で―――」ガクガク

後輩「っ……いいから、離して…っ!」ドンッ

あかね「うわっ!?」タジッ



後輩「学校を汚したそのきたない手で、私に触らないで下さいっ!!!」



あかね「―――っ!!」

後輩「……! ぁ…」ハッ

あかね「……何で…? …何でなん……?」ペタン

後輩「…しっ、失礼します!」タタッ

あかね「あ! まっ、待って――…っ!」ハッ





バレー部員達「「「………」」」





あかね「…みんな……」

あかね「………」

あかね「……あぁそっか…そうやったんか……」チラッ





先輩A「………」クスクス

先輩B「………」ニヤニヤ





あかね「あの子も…先輩達に脅されて……」ガクッ

先輩A「もうそろそろ楽しいショーが終わる頃合いかしらね…」クスクス



みゆき「……あかねちゃん…」

あかね「みっ、みゆき…!」バッ

みゆき「…ごめんね……もうあかねちゃんの事、友達だとは思えないよ……ごめんね……」フイッ

あかね「…ぁ……」ワナワナ



先輩B「もうみんな上履き投げちゃったって感じだし……ちょっとだけ物足りないかも」



やよい「………」

あかね「…やよい…」

やよい「……ごめん、なさい……」フイッ

あかね「ぅ…ぁ、ぁ……」ジワァ・・・

先輩A「さて……これでもう私達がしなくても、後はみんながやってくれるはずだわ」



なお「……あかね」

あかね「な、なお…」グスッ

なお「正直見損なったよ……あかねの事は、もう何も信じられない」フイッ

あかね「…あ、ぁ……」ポロッ



先輩B「そんじゃー、明日からまたバレーを頑張るとしますかねーっと」クルッ



れいか「………」

あかね「…れい、かぁ…」ポロポロ

れいか「………」フイッ

あかね「……ぅ、ぅぅ…」ポロポロ

あかね「う、ぐ…うぇっ、えぐっ……」ポロポロ

あかね(みゆき達の目も……他のみんなと同じで、冷めきった目ぇしとった…)

あかね(何で……何でこないな事になってもうたんかな…?)

あかね(…悪いのはあの先輩達であって……バレー部のほとんどが脅されてもうてて…)

あかね(そんで……ウチはあの2人に、まんまとハメられてもうたっちゅー訳か……)

あかね(それでも…それでもウチが、学校のみんなに迷惑掛けたんは紛れもない事実であって…)

あかね(結局悪いんはウチで…みんながウチの事を敵やと思ってて…)

あかね(…そして、それから……)

あかね(………、あかん。 明日の事なんて考えとうない……明日から学校行けばどうなるかなんて、考えとうない……)

あかね(…そういや、後でげんきに謝らんとあかんな……ウチのせいで、少なからず悪影響出るやろうし…)

あかね(ごめんな、げんき……最低な姉ちゃんになってもうて……)

あかね(…もうウチには、希望なんてない……あるんは絶望だけ……)

あかね(これからはもう大好きなバレーもできひん……友達もおらんようになってもうた……)

あかね(……ウチにはもう…救いなんてない……)

あかね(助けてくれる人なんて、誰も……誰もおらへん………)





























??「ざまあああああああああああああああ見やがれえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」ビリビリ

先輩A「な……っ!?」ビリビリ

先輩B「何、これぇ…っ!? 声デカ過ぎ…!!」ビリビリ

あかね「………ふぇ?」グスッ














ウルフルン「ウルッッッフッフッフッフッフフフフフフフフフフフフゥハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァア!!!」ジャジャーン!














あかね「………は?」

次回、オオカミが動く――――――という訳で、明日に続きます。

乙。明日が楽しみだ

>なお「正直見損なったよ……あかねの事は、もう何も信じられない」
最初から信じてないよね?逢い引き疑惑の時もあかねの話聞いて無かったじゃん

救いの(オオ)カミきたあああああ!!
やっぱり>>303何か仕込んでたんだろうか……!


というか改めて思ったけど、暇つぶしで人の人生台無しにするわ教育的指導とか言って生徒に暴力振るうわ
自称“友だち”よりも赤の他人を信頼するわ


人間の方がよっぽど恐ろしいわ

そういえばこんな動画見つけた→ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm17827887

改めて乙!

先輩、みゆき達四人、教師陣は焼き土下座でも足らないな

>>357(>>360)
その時はまだ、みんなはあかねちゃんの事を想っていたんです。
女の子は一旦思い込むと周りが見えなくなる、といった話をどっかのドラマで聞いた事があるので参考にしました。
「そうかもしれない……いや、絶対にそうだ…っ!」といった具合に。 男性ももちろん例外ではないとは思いますが…

>>359(>>358)
今から寝ようとしてるのに何見せてんですかちょっと最後ちょっと

普段から仲間だウルトラハッピーだとか言ってるくせに…こういうやつに限って無実が判明したら「私達は信じてたよ!本当だよ!本当だからね!?」と態度を180度コロッと変わるんだよな

救いの(オオ)カミさんはきっと>>1によって俺達の想像のつかないコトでこの場をおさめてくれる!(チラ)

後輩はまだしも、他のプリキュア勢がクズにしか見えない


なんて言われても仕方ない書き方だね

好きなキャラがこんな風にイジメられてるのを見るとゾクゾクする
しかも本人が悪いんじゃなく他人に陥れられてるのだと尚更に

後はハッピーエンドになれば最高だな
がんばれウルフルン

いたずらとしてのいじめや制裁的ないじめは好きだけどこういういじめは苦手だわ
ギャグだけ期待してたから軽く騙されたような感じ

>>363
何か理由があると信じとくわ

主人公上げるためだけに、無意味に他キャラ白痴化させてる訳じゃないととりあえず信じとく

違ったら、そっ閉じ

今帰ってみればこんなにもたくさんの返事が…!?
すごく嬉しく思う反面、少なからずプレッシャーを感じてしまいますね…。


>>363
今見てみれば確かにそうかも……改めて、自分の文章力の無さに気づかされます…。

>>364
できるだけそうなるように頑張っていきます。 オオカミさんも頑張ります。

>>365
最初はギャグだけにしよっかなーと考えてはいたんですが、軽いスパイス感覚で書いていったらこんな感じに……どうしてこうなった。
ですがあくまで『スパイス』ですので、最後の後味の方はそれに支配されないようにしていこうと思っています。

>>362 >>366
ご期待に沿えられるかどうか分かりませんが、最後まで見ていただけたら嬉しいです。


それでは今から更新していきます。

みゆき「おっ、オオカミさん!?」ギョッ

やよい「何でここに!? ていうか、まだこの学校にいたの!?」




先輩B「ゲェッ!!? あの時のオオカミ!?」

先輩A「…前に聞いてたけど、見間違いなんかじゃなかったのね……」




あかね「な…何で、ここに……?」グスッ

ウルフルン「ご苦労様なこったなぁ、学校を汚した犯人ちゃぁん? おかげで良い見ものだったぜぇ!!」ウルッフフ

あかね「そ…そんなぁ……見ものって…っ」ジワァ・・・

ウルフルン「だがよぉ」

あかね「…?」グスッ

ウルフルン「あの絵はまだ作品として甘っちょろいんじゃねぇかよオイ?」

あかね「? ……?」

ウルフルン「誰があんな貧弱な文章で絵ぇ埋め尽くせつったよボケェ!!?」

あかね「へっ!?」ビクッ

なお「『誰が』…? 『埋め尽くせ』…? …何を、言って……?」

ウルフルン「あーもういいわ、もうシケちまったから全部言うわー。 ホンっトお前にはがっかりだわー」

あかね「あ………え? 『がっかり』って…何が……?」

ウルフルン「あんだよテメェ、とぼける気かよ? それで逃げられるとでも思ってんのかよオイ?」

あかね「と、とぼけるって……ホンマに何言うてるか全然…」

先輩B「テメェ、オオカミィ!! さっきから意味分かんねぇ事ぬかしてんじゃねぇぞゴラァ!!」

あかね「ひっ!?」ビクッ!

ウルフルン「まぁ待てよ。 今すぐ全部バラしてやるから、そう大声上げんじゃねぇって」ウルッフフ

先輩B「あ゛?」

ウルフルン「んじゃー今から説明すっから、俺様よりも聞こえが悪い耳をかっぽじってよーく聞きやがれ」ウルッフフ

あかね「……?」ビクビク

ウルフルン「今日の朝に学校に張り出されてた絵が、今ではそこでへたり込んでる奴のせいになっているが…」

先輩A「『今では』…?」

ウルフルン「その実体は……」スッ

ウルフルン「俺様がそいつを脅した事にあるということだぁ!!」ビッ

あかね「えっ?」

先輩B「!?」

先輩A「なっ…!?」





ザワザワザワ・・・




みゆき「オオカミさんが…あかねちゃんを脅してた…?」

あかね(あれ? ウチ、あのオオカミに脅されてたんやっけか…?)ウーン

先輩B「はっ!? はぁぁ!!? アンタ何言ってんの!? 全然意味分かんないんですけど!?」

あかね(……うん、考えてみたけどやっぱちゃうよな。 あの先輩達が全部やった事で、アイツには全然関係ない話や)ウン

ウルフルン「確かにそうだな。 いきなりこんな事言っても、すぐには誰も理解してくれないだろうよ」

先輩B「いや、理解するもなにも…」

あかね(当事者のウチも、何言ってんのか理解できてへんのやけど……)

ウルフルン「そんな時のためにとっておきを用意してある。 これでバッチリだ」ゴソゴソ

先輩A「?」

先輩B「?」

あかね「?」

ウルフルン「もうちょいだけ詳しくやっていきたいんで、あらすじとかその辺の下りを…」ゴソゴソ

あかね「……?」

ウルフルン「この紙芝居を使って説明したいと思う」ヒョイ

あかね「!?」ギョッ

先輩A「か、紙芝居って……貴方ふざけているの?」キッ

ウルフルン「ふざけちゃいねぇよ。 100%マジだぜ俺?」テクテク


あかね(紙芝居……またアレやるんか…?)


ウルフルン「つー訳で、ちょいとこのマイク借りるぞ」ヒョイ

先輩A「あっ!? ちょっと…!」

ウルフルン『あー、マイクテステス、マイクテステス、俺様ウルフルン……』


みゆき「…オオカミさん、一体何してるんだろうね?」ボソッ

やよい「さっきも聞いたけど……多分、紙芝居をするんじゃないかな…?」ボソボソッ


ウルフルン『えー、お集まりの人間共…早速だが、俺様の作ったこの紙芝居を見てもらおうと思う』トンッ

ウルフルン『ただ普通じゃ見えねぇだろうから、今後ろで流れてる映像みたいにでっかくしたいんだができるか?』

教頭「こ、校長! どうなさいましょうか? やはり、すぐに追い出す事に…っ」

校長「…いえ、もう少しだけ待ってみましょう」

教頭「……は?」

校長「何か言いたげですし、言いたい事を言わせてからでも遅くはないでしょう…」

校長「先程生徒達の本性を見てしまったせいか、善悪の区別が付かなくなっている自分がいるのです……」

教頭「校長…」

校長「……それでは放送部に映像を映すよう指示を。 あと見えやすいようカーテンを閉めて下さい」

教頭「は、はい! 分かりました!」ソソクサ



シャー・・・



ウルフルン『おー、俺様の紙芝居がバッチリ映ってるな。 それじゃー始めるとすっか』ヨシ

ウルフルン『それでは紙芝居の始まり始まりー』パチパチ


あかね(ホンマに始まってもうた…)


ウルフルン『むかーしむかしあるところに、性格の悪いオオカミが住んでいましたー』

ウルフルン『そのオオカミは学校へ現れ、そこにいるみんなを食べようとしていましたー』


やよい「や…やっぱり学校に来たのは悪さをしようとして…」

れいか「そうですね……まさに敵が考えそうな事です…」

あかね(……確かアイツ、自分がバッドエンドになる為に学校来とう言うてたな…)

あかね(ちゅーことは、あの内容って……)

あかね(………)


ウルフルン『するとそこに、赤い髪の毛をした女の子が学校のみんなを守ろうと立ち塞がり、戦いを挑みましたー』


あかね(………)

あかね(………)

あかね(………捏造やんかこれぇ……)

みゆき「赤い髪の女の子って……あかねちゃん、だよね…?」


ウルフルン『女の子はオオカミと勇敢に戦いましたが、強くてたくましいオオカミに勝てる訳もなく負けてしまいましたー』

ウルフルン『オオカミは勝った後すぐに学校へ乗り出そうとしましたが、女の子がまだ諦めることなく立ち塞がりましたー』

ウルフルン『すると女の子は、あるお願いをオオカミにしてきました。 「何でも言う事聞くから、学校のみんなには手ぇ出さんといて下さい」、と』


れいか「………」


ウルフルン『オオカミはそのお願いを聞き入れ、学校のみんなを食べる代わりにその女の子へ悪戯をしてきましたー』

ウルフルン『暴力はもちろんの事ですが、他にも悪い事を沢山やってきましたー』


先輩A「………」


ウルフルン『そして昨日、オオカミは女の子にある絵を描くように命令しましたー』

教頭『…話の途中失礼ですが、「ある絵」とは朝にあったあの絵の事で…?』

ウルフルン『あーうん、そういう事になるな。 ……という訳で、紙芝居は以上となりまーす。 はい拍手ー』パチパチ




ザワザワザワ・・・



なお「あかねってば……1人でアイツと戦ってたんだ…」

やよい「それを今まで黙ってて……ごめんね、気付いてあげられなくて…っ」

あかね(どこからツッコんだらええんやろー……?)



先輩A「……なるほど。 つまり、貴方があの絵を描いた犯人だという事ですね?」

ウルフルン「あぁそうだ。 分かってくれたか?」


先輩B「でも証拠がないじゃん!! いきなりそんなん言われても信じるわけないでしょ!!?」


先輩A「…あの人の言うとおりです」フフッ

先輩A「学校の関係者でもない貴方がやったと言っても……信憑性なんてまずありませんよ?」

ウルフルン「………」

先輩A「それに、私達が日野さんの事を犯人だと決めつけたのにはちゃんとした理由があるのです。 ビデオカメラに映ったという明確な理由が」

ウルフルン「………」

先輩A「誰もが分かるような証拠を無視してまで、貴方の意見に賛同するなんて無理な話だと思いませんか?」ニヤリ

ウルフルン「…確かにそうかもな。 根拠がなきゃ、誰も信じちゃくれねぇだろうよ」

ウルフルン「説明する事全部に証拠がなけりゃ、必ずといってもいいぐらいにまるで信じねぇ……疑り深い人間共が考えそうな事だぜまったく」フンッ

先輩A「ええ、そうよ。 人を動かすにはその人の気持ちが揺らがないよう、はっきりとした理由で縛りつけなきゃだめなの」フフフッ

先輩A「ましてや、証拠がない貴方の言葉で気持ちが揺らぐ人なんて絶対にいない―――」




ウルフルン「でもさ、要は証拠さえありゃあいいんだろ?」




先輩A「………、え?」

ウルフルン「一応用意はしてみたが……あれぐらいやっときゃ証拠ってもんになんのかねぇ?」

先輩A「……は?」

放送部員「はっ、はっ……せ、先生!! 一大事です!!」タタッ

教頭「…何でしょうか? もう少しだけ静かにしてくれるとありがたいのですが…」

放送部員「さ、さっきまで、はぁはぁ……紙芝居を映している間に、ビデオカメラを早送りしてたら……ぜぇぜぇ……映ってたんです…」ゼー ゼー

教頭「『映ってた』、とは……日野さんではないので?」

放送部員「い、いえ…そうではなく…」ゼー ゼー

教頭「……?」

放送部員「日野さんが、はぁはぁ…映らなくなった、後に……」ゼー ゼー

放送部員「あそこで紙芝居をやってた人が…映って、いたんです…っ!」ゼー ゼー

教頭「なっ…!?」

校長「いっ、今すぐ! 今すぐその映像を流して下さい!」

放送部員「はっ、はひっ!」ダッ

先輩A「貴方…さっきから何を言っているの?」

ウルフルン「分かんねぇのかよ? 俺様が用意した証拠ってやつで、他の人間共を動かすって言ったんだ」

先輩A「?? ますます意味が―――」









??『ウルッフフフゥハハハハハハハハハハハハハハハハァァア!!! 元気に平和ボケしてるかよ人間共ぉ!!?』ビリビリ









先輩B「っ!!?」ビックゥ!

先輩A「なっ…何、この声―――!?」クルッ





ウルフルン『だがそんなクソッタレな生活も、俺様の手で黒く染め尽くしてやるから感謝しやがれぇッ!!』





先輩A「!!? こ、これって…!?」

先輩B「ビデオカメラの、映像……!?」

ウルフルン「おー、ちゃんと映ってるし声も聞こえるぜ。 これが科学の力ってやつかー」スゲェヤ

みゆき「えっ…えぇっ!!? 何あれ!?」

やよい「あかねちゃんがいた所に、オオカミさんが立っているよ!?」

なお「いや…むしろ、ビデオカメラの正面に立ってるね…」

れいか「近くにいるから、声がはっきりと聞こえてくるのでしょうね」

あかね(あのオオカミ……ウチがおらんなった後に、あそこへ来とったんか…)

あかね(……それにしても)




ウルフルン『一応自己紹介をしてやる!! その名がじきに、世界中へ轟くことになる崇高なる名前をなぁ!!』

ウルフルン『俺様はウルフルン!! 世界をバッドエンドにするため、各地を蹂躙している気高きオオカミであり…』

ウルフルン『その一環として、この学校中の人間共を食らい尽くしに来た者だぁ!!!』ドドーン




あかね(何でアイツ、ビデオカメラの前に立って独りで演説してんねやろ?)サビシクナイ?

ウルフルン『さっきあのガキが映ってたかと思うが、俺様は今までアイツに邪魔されちまってたんだ』

ウルフルン『俺様に勝負挑んで負けたくせに、「何でもするから他のみんなには手ぇ出すな」って頼みやがってよぉ』

ウルフルン『何べん断っても断固として譲らねぇし……仲間思いってやつかよ? くっだらねぇ!』




あかね(ここでも嘘ついてるし……一体何がしたいんやろうなー、アイツ…)

みゆき「そんな……そんな事って…」フルフル

あかね(早速騙されとう奴もおるし…)ハァー

ウルフルン『くだらねぇと思ったが…これは面白いんじゃねぇかと思って、あえて話に乗ってやったんだよ』

ウルフルン『そしたらどうだ? おもしれぇことに、マジで俺様の命令に何でもかんでも従ってやがんだよアイツ!!』

ウルフルン『なんせ、普通はできねぇような真似を平気でやるからなぁ……プライドの欠片もねぇあの姿は、マジでお笑いだったぜぇ』ウルッフフ




あかね(ホンマにみゆきは人を疑わないっちゅーか、何ちゅーか…)

やよい「こ、こんなのって…こんなのってないよ……あんまりだよ…っ」フルフル

あかね(あーあ、やよいまで信じてもうて…)

なお「こ、の……下郎がぁ…っ」ギリギリ

あかね(…あれ? なおまで騙されてんの?)

ウルフルン『最初の方は面白かったんだが……もう正直飽き飽きしてたとこだったんだ』

ウルフルン『俺様が求めているのは、人間共から希望と笑顔を奪い、絶望の淵に叩き落とすことにある!』

ウルフルン『だから、段々と生気がなくなってきたアイツの顔なんか見ても、全っ然面白くねぇんだよ!!』




れいか「……っっ」ゴゴゴゴ・・・

あかね(れいかまであの嘘信じてもうてるし……めっちゃ頭に血ぃ上っとうし…)ウワァ・・・

寺田「や、やっぱり…あの人悪い人だったんですね…っ」フルフル

あかね(……ん? あれ?)

ウルフルン『ここにビデオカメラがあるってぇ事は、あのクソガキが絵ぇ描いてる所を見られちまったみてぇだな』

ウルフルン『普通ならバレないよう、この機械をぶっ壊すのが当たり前なんだろうが……俺様は優しいから、そんなこたぁしねぇよ』ウルッフフ

ウルフルン『むしろ好都合だぜ! バレちまったら、もう隠す必要なんてどこにもねぇんだろ!?』

ウルフルン『最っ高じゃねぇかよおい!! 俺様にとっての邪魔者を、勝手に排除してくれるんだからなぁ!!』




野球部員「知らなかった……アイツ、あんなに悪い奴だったなんて…っ」ワナワナ

剣道部員「部外者だって事は最初から分かってはいたが……あそこまで腐っていたとはな…!」フルフル

あかね(あれ? あれれ? これって…)キョロキョロ

庭球部員「俺達はあんな屑に、感謝の気持ちを示していたのか…っ!」ギリギリ

あかね(これってなんか…)キョロキョロ

筝曲部員「ふふっ…やだ私ったら。 私の中の美しい琴の調べが段々と乱れてきちゃって……いやだわホント…」ゴゴゴゴ・・・

あかね(みんながみんな…アイツの嘘を信じてもうてるんか?)

ウルフルン「まずまずの出来だな。 ただもうちょっとだけ動作を大きくすれば良かったか」ウーム



ザワザワザワザワ・・・



先輩B「あわわわ……すっかりみんな騙されちゃってるみたい…」キョロキョロ


ウルフルン「そんじゃーあとは、このマイクを使うことにして…っと」チャキッ

先輩A「ま、待って!! 待ちなさ―――」

ウルフルン『いよっしゃあああああああああああああああ!!! ご静聴感謝するぜ人間共おおおおおおおおおおおおおおお!!!』ビリビリ

先輩A「がっ…!? ま、また、この大声…っ!!」ビリビリ

ウルフルン『俺様についての説明は以上だ!! 質問なんて馬鹿なもんは受けつけねぇ!!』

ウルフルン『だが最後に、俺様からありがたい言葉をテメェらに投げかけてやるからとくと聞きやがれぇ!!!』

ウルフルン『さっきのビデオカメラから、あの絵をそこのガキに描かせたのが俺様だってバレちまった!』

ウルフルン『しかしバレちまったという事は、もう今までみたいに1匹のメスガキだけをチマチマ追いつめる必要がなくなるという事になる!!』

ウルフルン『おかげで俺様は自由の身だ!!! これで晴れて、多くの人間共をいっぺんに食らい尽くす事ができるぜぇ!!』




「あの野郎……本当にどうしようもねぇ屑だな…」ギリッ・・・

「オオカミみたいな見た目だけでも十分ふざけているのに、態度もふざけきってるなんて…冗談じゃないわ…」ググ・・・

「正直、今体を動かしたくてしょうがねぇ。 別に運動部でもないんだけどなー俺」パシッ!




あかね(今のみんな……あのオオカミの事をごっつう怖い目で睨んでる…)

あかね(さっきまでは、確かにウチの事を敵視しとったのに…)

あかね(なんせウチが絵描いたのを、自分のせいにしようとしてるからなー…)

あかね(端からやったら、まるでウチの事庇ってるように見え―――)ピタッ

あかね(………)

あかね(………)

あかね(………ん? あれ?)

ウルフルン『しっかしあれだな。 今回の件を忘れる事はまずなさそうだぜ…』ウルッフフ


あかね(……もしかしたら、の話なんやけど…)


ウルフルン『まさか自分達を守ろうとしてた存在を、自分達で追いつめるなんて思いもしなかったしよぉ!!!』


あかね(…なんとなく、思てるだけなんやけど…)ドキドキ


ウルフルン『ウルッフフフハハハハハハハハハハハハハハハハァァア!!! いやー、あん時はマジで笑った!! マジで腹を抱えて笑っちまったぜぇぇ!!』


あかね(これって…これってもしかして……)ドキドキ


ウルフルン『これ以上面白いショーなんてこの世にあるかよ!!? いや絶対にねぇ!!! あり得ねぇ!!!』


あかね(もしかしてウチ……今アイツに助けてもろてるんとちゃうやろか……?)ドキドキ

ウルフルン『まぁ、とにかくだ。 俺様はこれから、テメェら人間共をまとめて食らい尽くしてやる』ウルッフフ

ウルフルン『テメェら人間共は黙って、希望を失くし絶望へ落ちる恐怖におびえているがいい!! 止めようとしたって無駄だ!!』

ウルフルン『なんせ俺様を止められる奴なんて誰一人としていねぇからな!! 誰一人としてだぁッ!!!』







??「お だ ま り な さ い っ っ !!!」ビリビリ







あかね「っ!!?」ビクッ

先輩B「うぉっ!? ビックリした!」





れいか「………っ」キッ





先輩A「あれは……生徒会の、副会長さん…?」

ウルフルン『………あ゛? 何か用かよコラ?』ギロリ

れいか「…私、今まで気付いてあげられませんでした」

れいか「あかねさんが独りで戦い、そして独りで苦しみ続けてきた事を…」

れいか「たとえ隠していたとしても、同じクラスメイトとして……いえ、大切な友人として…いち早く助けることができたはずでしたのに…っ」クッ・・・

あかね「れいか…」


ウルフルン『ハッ!! そんなん知るかってんだよ! 何いきなり反省会なんかしてんだよテメェ!?』

ウルフルン『それともなにか? 気付けなかった自分に非があると思ってはいるが、実際は隠してた本人が全部悪いって持論を持ち出す気じゃ――』


みゆき「あかねちゃんは、何も悪くないっ!!!」

あかね「っ!!」

みゆき「確かに、最初の方は嫌だって思ってたよ!! あかねちゃんから何も相談してくれず、1人で全部仕舞い込んでる姿を見ていて正直嫌だった!!」

みゆき「でもそれは自分のためじゃなくって…誰かに迷惑を掛けたくないっていう、あかねちゃんの優しさがあってこそだから…っ!」ジワァ・・・

みゆき「だからっ!! 私達はあかねちゃんの事を悪いって思わない!! 絶対に思わないよ!!!」

あかね「みゆき…」

やよい「…私も、ずっと前からあかねちゃんに笑顔を貰ってきた」

やよい「沢山沢山貰ってきたから……今度は私達が、あかねちゃんへ笑顔をプレゼントする番だと思っているの」

あかね「やよい…」

なお「あかねには笑顔が一番似合うんだ。 これはあたしだけじゃなく、周囲のみんなが知っている事だよ」

なお「だから、お前がその笑顔を奪ってしまったって言うのなら…」

なお「あたしはお前を、絶対に許さない…っ!!」キッ

あかね「なお…」

れいか「確かに私達が、先程まであかねさんを追いつめていたのは紛れもない事実です!」

れいか「しかし……いえっ、だからこそ!! これ以上、あかねさんを悲しませるような真似はしたくないのです!!」

れいか「二度と同じ悲劇を繰り返さないために、優しさと思いやり…そして、笑顔に包まれた学校にしていきたいと皆さん願っているはず!!」

れいか「なので、たとえ貴方が私達の道を阻み、彼女のように絶望の底へ沈ませようとしていても―――」スッ・・・

れいか「私達生徒一同は、貴方なんかに屈することは絶対にありませんっ!!!」ビシィ!




入江「…初めて、かもしれない……青木君がここまで怒っている姿を見るのは…」

寺田「副会長の言うとおりです!! 私達は、貴方なんかに絶対負けません!!」



「そっ、そうだそうだ!! 俺達はお前なんかに、絶対食べられたりはしないぞ!!」

「冗談じゃねぇぞクソオオカミ!!! 俺達の希望ってやつを奪われてたまるかってんだよ!!」

「たった1人の女の子を追いつめて笑顔を失くさせたっていうのに、何で悪びれもしないのよ!!? 最低じゃないの!!?」




ワイワイ ガヤガヤ ギャーギャー!!




先輩B「ま、マズイ…マズイってこれぇ……なんとかしなきゃ…」キョロキョロ

先輩B「……あ!」



後輩「………」

先輩B「ちょっ、ちょっとアンタ!! 今からこの状況をなんとかするから手伝ってよ!!」タタッ

後輩「……手伝うって、何をですか?」キョトン

先輩B「そんなん見てたら分かるでしょーがっ!! アンタ頭悪いの!!?」

先輩B「何だか知らないけど、あのオオカミが全部悪いって事になりつつあるからその訂正を―――」




後輩「でもこれって、先輩が言ってた『サプライズ』なんですよね?」ニコッ




先輩B「さ……サプ、ライズ…!?」

後輩「はい。 昨日は勿体ぶって教えてくれなかったじゃないですか」ニコニコ

後輩「なので、何が起きるのかなーとは思ってましたけど……まさかこんな事になるとは」ニコニコ

後輩「先輩って本当にサプライズが上手ですよね。 私、とてもびっくりしちゃいましたよ」ニコニコ

先輩B「はぁ!!? そんな訳ないでしょ!? 今の状況はね、アタシ達が計画してたもんとは全然違ってて―――」

後輩「まったまたー。 謙遜しないて下さいよー」ニコニコ

先輩B「こ、の…! ふざけんじゃ…っ!!」グアッ

後輩「っ!」ビクッ




ガシッ




先輩B「ッ!?」グルン

バレー部員A「ちょっとちょっと……流石に暴力はいかんでしょー?」グググ・・・

先輩B「あ゛ぁ゛!?」

後輩「先輩!」パァァ

先輩B「邪魔すんじゃねぇよ!! いいから手ぇ離せッ!!」グググ・・・

バレー部員A「はいはい、分かったわよ。 その代わり…」パッ

バレー部員B「さっき殴りかかろうとしてた後輩から、少し離れてもらいますからね?」

バレー部員C「さぁ1年生、早くこっちに来て」チョイチョイ

後輩「は、はい!」タタッ

先輩B「な、何だよテメェら!? 裏切る気かよ!!?」

バレー部員A「『裏切る』、って……何もそこまで言ってないでしょ?」ハァー

バレー部員C「あのまま殴ってしまえば、色々と問題が生じると思って止めただけです」

後輩「そうですよ。 私達は別に、先輩の事を裏切ったりなんかしてません」ヒョコッ

先輩B「あ゛!? じゃあなんでテメェは、アタシのさっきの言う事が聞かなかったんだよコラ!?」

後輩「そりゃーだって…」

後輩「先輩は私達に、『何もせずただ見てるだけでいい』って言ってたじゃないですか?」

先輩B「なっ…!?」

バレー部員A「そうそう。 私も以前そう聞いたわ」ウンウン

先輩B「ちょっ!?」

バレー部員B「『ただつっ立ってるだけでいい』、とも言いませんでしたっけ?」ハテ

バレー部員C「要は先輩達の邪魔さえしなければいいんですよね? ちゃんと覚えていますよ、先輩」ニコッ

先輩B「っ!!?」

バレー部員A「あーでも、さっきのは暴力沙汰にならないよう配慮しただけだから、そこんとこよろしくね?」テヘペロ

後輩「皆さんの言うとおり、私達バレー部は先輩達の邪魔をせず、言う事もちゃんと守っていましたよ?」

後輩「さっきも日野先輩に上履きを投げたりはせず、罵倒を浴びせたりもせずといった感じで…ただ見ていただけです」

先輩B「じゃ、じゃあ今から命令し直すから!! 早くこの状況をなんとかして―――」

バレー部員A「それは無理な話でしょ?」ズイッ

先輩B「えっ!?」タジッ

バレー部員B「そうですよ。 せっかくみんなで協力し合っているのに、なんでチームワーク崩すような事するんですか?」ズイッ

先輩B「ぅ…っ」タジッ

バレー部員C「先輩ってば、なんだかチームの輪から少し踏み外しそうになってますけど……安心して下さい。 私達が支えてあげますから…ね?」ズズイッ

先輩B「う、ぐ…っ!」タジタジッ



バレー部員達「「「…」」」ゾロゾロ



先輩B「テ…テメェら……」ワナワナ

後輩「先輩。 いきなり変な事言っちゃいますけど、私はバレー部の皆さんの事が大好きなんです」

先輩B「………」ワナワナ

後輩「ですから皆さんの迷惑がかからないよう、自分ができる事は精一杯やりたいと思っています」

先輩B「……ぎ」プルプル

後輩「もちろん先輩達から言われた内容にも、積極的に取り組んでいくつもりです」フンス

先輩B「ぎ……ぁ、が…」プルプル

後輩「そういう訳で、私達は先輩に言われた通り、この状況がどうなるかを陰ながら見守らせていただきますね」

先輩B「…ち…く、しょ…」ビキビキ

後輩「先輩だって私達と同じで、この状況がどう転んでいくのか……気になりますもんね?」ニコッ

先輩B「チク、ショウがぁぁぁぁぁ…ッッ!!!」ビキビキビキッ

正直みゆき達はゲスく書いたつもりはなかったんだけどなぁ……ちょっぴりきついです。
あと自身の表現力のなさに絶望中です。




ギャーギャー

イイカラダンジョウカラオリテコイヤ!!
ゼッタイニユルサンゾキサマァ!!
ヤロウテメェブッコロス!!



ウルフルン「さて、と……十分に焚き付けたし、もうそろそろ引き時かもな」

先輩A「……待ちなさい」

ウルフルン「おっと忘れてたぜ。 ほれ、今マイク返してやるからよ」ポイッ

先輩A「…そうじゃねぇよクソが」パシッ

ウルフルン「あん?」

先輩A「1つだけ聞きたいことがある。 …黙って答えろや」ギロリ

ウルフルン「……ほー? それがテメェの本性ってやつかよ?」オッカネー

先輩A「いいから質問に答えろ。 1回しか言わねぇ」

ウルフルン「………」

先輩A「貴様が出てきたおかげで、俺達の計画は丸潰れになっちまった」

先輩A「しかし防げたとして、貴様も無傷ではいられねぇはずだ。 学校にいる全員に恨まれる事になるだろうからな」

ウルフルン「………」

先輩A「ただ、こうなる事は容易に想像できたはずだろ? それを承知の上で、貴様はあのガキを庇った」

ウルフルン「………」

先輩A「これだけの人数を敵に回してでも……アイツを守る価値なんてあったのかよ?」

ウルフルン「……別に俺は、アイツを庇うつもりなんてなかったさ」

先輩A「あ゛?」

ウルフルン「俺はただ……」チラッ



あかね「!」ドキッ



ウルフルン「自分がやりたい事をやった。 …ただそれだけだ」

先輩A「……はぁぁ? 何カッコつけようとしてんだよテメェ?」

先輩A「ヒーローの真似事したけりゃ、行動よりもその見た目をなんとかしとけってんだよダボがッ!!」ケケッ

ウルフルン「悪口なら好きなように言ってろ。 そういうもんに関しては耐性あっからよ」

先輩A「………」

ウルフルン「…で? もういいのかよ? 質問の方は」

先輩A「……あぁ。 もう何処にでも行っちまえ」ヒラヒラ

先輩A「やりたい事をやった事で、大勢の奴らから恨まれつつ生きていく羽目になった事を一生後悔しやがれってんだ」

ウルフルン「ん。 それじゃー……」ググッ

ウルフルン「……さらばだぁッ!!!」バッ!

あかね「あっ!? ま、待って―――」




パリィィィン!!




校長「っ!!? 2階の、ガラスをぶち破って…っ!?」ギョッ

教頭「み、皆さん!!! 頭上からガラスの破片が落ちるかもしれません!! 気を付けて下さい!!」




ザワザワザワ・・・



あかね「…行ってもうた……」

佐々木「日野さん!! ここにいたのね!!」タタッ

あかね「先生…」

佐々木「怪我とかはない!!? 上履き投げられて痛かったでしょう!!?」

あかね「だ、大丈夫です……安心して、下さい…」フラフラ

佐々木「そっか…それなら良かっ―――」ホッ

あかね「ホンマに、全然……大丈、夫…です、か…ら……」フラッ・・・



バタンッ・・・



佐々木「っ!!? ひ、日野さん!? 日野さぁん!!?」バッ

なお「あかねっ!?」バッ

みゆき「あかねちゃん!?」タタッ

あかね「………」

佐々木「や、やっぱりみんなからのダメージが大きくて…っ!?」アタフタ

なお「………」

あかね「………」

なお「………」

あかね「………」スー スー・・・

なお「……大丈夫です、先生。 少し眠っているだけです」

佐々木「そ、そうなの…」ホッ

れいか「今までの事、そして先程の上履きを投げられた痛みを考えると…無理のない事でしょう」

あかね「………」スー スー・・・

佐々木「さて、それでは先生これから日野さんを運びますので、皆さんは自分の列に並んで―――」

みゆき「………、先生」

佐々木「? 何ですか? 星空さん」

みゆき「大変すみませんが…」

みゆき「私、今日の学校を早退させていただきます!」ペコリ

佐々木「えっ!!?」

やよい「わっ…私も!」ズイッ

佐々木「き、黄瀬さんもですか!?」

なお「…先生、あたしもです」ズイッ

佐々木「緑川さんも!?」

れいか「私もです、先生。 大変申し訳ない事だと分かっていますが…」ズイッ

佐々木「青木さんまで…!? 一体みんな、何を考えて…!?」

>れいか「今までの事、そして先程の上履きを投げられた痛みを考えると…無理のない事でしょう」
オイ原因の一部、自分達のやったことに対して悪怯れもせず何勝手に話を締めて誤魔化そうとしてやがる

みゆき「そんなの……決まっていますよ」チラッ

やよい「うん…」チラッ

れいか「はい…」チラッ

なお「………」チラッ


あかね「………」スー スー・・・


みゆき「私達はただ……友達として、やるべき事をやるだけです」

佐々木「?? よく分かりませんが……体調不良が原因なら欠席届にそう記入して、提出して下さいね?」

なお「ありがとうございます! 先生!」ペコリ

佐々木「では青木さん。 手続きのやり方とかお願いできるかしら?」

れいか「分かりました」コクリ

みゆき「それでは先生! 失礼します!!」ダッ

やよい「ま、待ってみゆきちゃん!」ダッ

なお「れいか!! 欠席届はどこにあるか知ってる!?」ダッ

れいか「職員室です! とにかく急ぎましょう!!」ダッ

佐々木「あっ、コラ4人とも!? 学校中で走り回ったりしちゃ―――」




ダダダダ・・・




佐々木「……行っちゃった」

>みゆき「私達はただ……友達として、やるべき事をやるだけです」
あかねが違うと主張しても信じず無視して罵倒してたであろうやつが友達とかほざくな

~七色ヶ丘中学校・校外~


ウルフルン(いよっしゃああああああああああ!!! 作戦通りだぜえええええ!!!)ダダダダ

ウルフルン(あの土壇場で俺様が登場し、あのゴリラパンツへ向けられた敵意を全部こっちに誘導してやった!!)ピョーン

ウルフルン(これで後はあの学校さえ行けば、あれだけ多くいた人間共から集中攻撃を受ける事間違いねぇ!!)スタッ

ウルフルン(それでアイツらに倒されて、俺様はバッドエンド……バッドエンドだ!!!)ウルッフフ

ウルフルン(しかも、その学校からの攻撃は一度きりじゃなく、おそらく何度も何度も襲いかかってくるはず!!)ダダッ

ウルフルン(それだけ沢山のバッドエンドを体験したら、流石にその存在意義というものを再認識できるはずだ!!!)ダダダダ

ウルフルン(思えば長い道のりだった!!! これまでの俺様は、己をバッドエンドにするために色々と面倒な事をしなくちゃいけなかった!!)ピョーン

ウルフルン(だが、そんな状況とはもうおさらばだ!!! これからはもう紙芝居を作ったり、自分から深海へ沈む必要性が無くなった訳だ!!)ピョーン

ウルフルン(常に諦めず、横取りできるチャンスを窺ってきた甲斐があったってもんだぜぇぇ!!)ウルッフフ

ウルフルン(『受け渡しできない状況だから』、とか言って断り続けてたアイツの悔しそうな顔が目に浮かぶぜ!! ゴリラパンツのバーカバーカ!!!)ピョーン ピョーン

ウルフルン(さて…今回は悪者らしく勢いよく逃げ出したから、本格的な活動は明日からになるな)ピョーン

ウルフルン(ずっと同じような倒され方されるのもアレだから、学校へ来る度に挑発の仕方を変えなきゃならねぇかもだが…)

ピョーン ピョーン

ウルフルン(まぁともかくだ! 俺様のバッドエンディングロードは誰にも止められやしないって事だぜ!!)ウルッフフ・・・

ウルフルン(………、ん?)ピョーン

ウルフルン(あそこに何か、見覚えある奴らが…)ジー

ウルフルン(………)ジー

ウルフルン(………、プリキュア?)

正直ここまでいくつか予想してたやつの1つそのままで内心みゆき達の行動に笑ってるオレガイル

キャンディ「いたクル!!! あそこにウルフルンが見えるクル!!」ビシッ

みゆき「あっ本当だ!! みんな、気を付けて!!」バッ

やよい「う、うん…!」グッ

なお「やっと、見つけた…っ!!」ググッ

れいか「………っ」キッ






ヒューン・・・






ウルフルン「よっ、と」スタッ

みゆき「…オオカミ、さん…っ!」グッ

俺的には逆に(オオ)カミさんにフルボッコにされるプリキュアがみたい

だってここでボコリに行かなきゃこいつら自分達のしたこと誤魔化せないから選択肢が1つしかなかったんだよwwww

今日はここら辺でやめておきます。 明日も出来れば更新していきたいと思っています。
けど……みなさんに言われて初めて気づきました。 自分、どんだけみゆきちゃん達を屑っぽく書いてんねん…。
全然そんなつもりはなかったのに、いつの間にか自身の手で汚してしまっていた事にすっごく後悔しています……表現力が欲しい…。

よしなら次回からはオオカミさんが栄えるようにクズキュアをフルボッコにするしかない

心臓掌圧は声優が豪華すぎた・・・・個人的にはフレッシュが好き
フレッシュ辺りから黄色が可愛い女の子になってきた気する

でも、みゆきたちから見れば、今まで散々悪いことしてきたオオカミさんがあかねを虐げるように仕向け、学校のみんなを食い散らかすって言ってるんだろ?
あかねに対して自責の念があるからこそ、あかねが倒れた今、代わりにオオカミさんを止めなきゃならないじゃん
ここで泣いたり、自虐してたらバッドエナジー的にダメだし
ちゃんと最後はあかねに償うつもりなんだろ











そうなんだろ>>1

先輩や殴った教師もだがクズキュアもきっちり謝罪とかさせないと

>>449
もしそうだとしてもならまずはオオカミさん逃げた時やあかねはどんだけ頑張ってるかとか言ってるときなど謝罪とかする暇はいくつかあったが倒れたからといって追うのは自分達の罪からの逃げじゃないか?

>>449
逃げた時点で追いつけるかどうかさえ分からないだろ、いつも瞬間移動的なアレで消えるし
そもそも本当に自責の念に駆られてるんなら、何よりもまず“友人”の安否を気にかけるだろ

とりあえずあいつらはもう友達と呼ぶ資格もないしプリキュアの素質も失ったも同然だろ

それがな、読み返してみると>>63付近で『バッドエンドの住民=敵』みたいな台詞をキャンディが言ってるんだ

だからもしかするとあいつらにとっての“プリキュア”ってのが
「自分たちの敵と戦ってくれる奴ら」ってだけの可能性も十分あり得る

一言で済まないからって、謝らなくてもいいという理由にはならない
むしろここまでの展開が十分すぎるほど鬱だった、(オオ)カミがぶち壊したけど

あかねが自分はやってない!信じてと「友達」に言ったのにあいつらは「友達」だ「仲間」だと日頃から言ってるのに信じもしないで見損なった
だけどオオカミサンのおかげであかねの最悪の自体は免れたしあかねのせいじゃなかったとわかったなら普通は一言謝るだろ
許す許されないの問題じゃなく誠心誠意の問題だ
許す許されないに関係なく謝るのが筋
だがあいつらは謝るところが自分達の問題もあかねが気絶したからこれ幸いとオオカミサンを追うって名目を使いオオカミサンを逃げるだしにしただけだろ
それに気絶したなら「友達」と主張するくらいなら一人くらいは付き添うだろ

プリキュア達そこまで言うほどクズか?

>>463
あかねの立場に自分が立たされたと想定して信じてた「友達」が自分の話を聞いてもくれず信じてもくれないそうなった場合どう思うかって話

>>463
根も葉もない噂を元に仮説を立てて追求

それを断られると「あなたの為を思ってやってんのに」と逆切れ

更に例の絵の件も「本当にあかねがやったのか」「何かの間違いでは」と食い下がる様子もなくあっさりと縁を切り

(オオ)カミさん登場後は自分たちを棚に上げ糾弾、しかも倒れた友人の見舞いではなく敵の追跡を優先し

あまつさえ黒幕(と思い込んでるオオカミ)をボコる事で彼女への手向けになると思い込んでる



マジなんなのこいつら

確かにいじめられてると分かった時点で相談しないのか?という見方も出来るけど、
今回のケースは「いじめられてる、助けて」で済む問題じゃなかったからだよ

まず初めに、バレー部の後輩・同僚たちもいじめの対象であるという点
もしもバレたらあかねやバレー部の後輩・同僚たちが余計ひどい目にあわされてた可能性もある

次にいじめの事実をあかねから聞いたという事でスマプリ勢が新たにいじめや脅しの標的になる可能性もある点
というかあの先輩どもなら間違いなくやる、絵の件もやよいあたりを騙してやらせてたかもしれない
そうやって目をつけられてる最中に、最悪の場合プリキュアである事がバレてしまったりしたら目も当てられない事態だし



そもそもねじ曲がった仮説を前提に、まるであかねがそれを隠している様な聞き方をして
先に信頼を失わせたのは4人の方だよ

マジョリーナ「早くあたしらを出すだわさ」

スマプリみて毎回思うんだが皆なんでアカオニや二足で歩き喋るオオカミサンみて普通の反応しかしないんだ(笑)

合羽を忘れてたので、バイクで雨に打たれながら帰ってきました……体の節々が痛みます…。

今から続きを投下していきます。 今日も少しの間だけですが、どうかよろしくお願いします。

ウルフルン(……目の前にプリキュアが4人、あと妖精が1匹)

ウルフルン(となると、俺様がとるべき行動は…)ウーム

ウルフルン(………)ポクポクポクポク




俺、プリキュアと戦う



俺、プリキュアにやられる



俺様バットエンド!




ウルフルン(…別に深く考えるまでもなかったかもな)チーン

ウルフルン(まぁ、そんなのどうでもいい事か。 とにかく行動開始だ!!)スクッ

みゆき「………っ」

ウルフルン「何だよテメェら? 学校とやらをサボって、こんな所で仲良くピクニックってかぁ?」ウルッフフ

やよい「さ、サボってなんかないもん!」

なお「ちゃんと学校の方には欠席届を出してあるからね」

ウルフルン「ほーう………で? 学校を休んでまで俺様の先回りをしてきたって事かよ」ハンッ

ウルフルン「正義の味方であるプリキュア殿がわざわざ学校を休まれるほどの、大層な理由でもあったりすんのかねぇ?」

れいか「…理由の方は、言うまでもないと思いますが?」

ウルフルン「あん?」

れいか「少しお話をしましょう。 貴方がこれまでやってきた事、そして―――あかねさんの事について」

ウルフルン「お話だぁ? 何ふざけた事言ってんだテメェ?」

れいか「……そうでしたね。 『お話をする』というのは甚だしい表現だったかもしれません」

ウルフルン「あ?」

れいか「分かりやすく言い換えましょう。 ……今から私達が質問するので、貴方はそれに答えてほしいのです」

ウルフルン「質問に答えるぅ? 俺様が? …ケッ!! マジで何言ってんのか分かんねぇんだよクソが!!」

ウルフルン「なんで俺様がテメェらの都合に付き合わなきゃならねぇんだよ? プリキュアなんぞと情報を交換し合う必要性なんてこれっぽっちも――」

なお「いいから黙って答えろ。 貴様に拒否権は無い」ギロリ

ウルフルン「―――、……」

れいか「……それでは私から質問しますので、素直に答えて下さい」ズイッ

ウルフルン「………」

れいか「先程学校にておっしゃっていた事……あれは真の事だと考えてよろしいのですか?」

ウルフルン「はぁ? 今更な事聞くじゃねぇかよお嬢ちゃんよぉ?」

れいか「…あくまで確認のためです」

れいか「もし間違っていたのなら、これから貴方へ行う対応の仕方が変わってきますので」

ウルフルン「ふーん………まっ、結局はその取り越し苦労も無駄に終わる訳だがな」ウルッフフ

やよい「じゃあ、やっぱり…」

ウルフルン「あぁ、そうさ! 俺様の発言に何一つ偽りはねぇ!! オオカミは嘘つかねぇからよぉ!!」

ウルフルン(まぁ嘘なんだがな)ケケッ

れいか「そうですか……分かりました」

ウルフルン「さて、もういいかよ? それじゃー俺様は帰らせてもら――」

なお「まだ終わってないよ。 …次はあたしの質問に答えてもらう」ズイッ

ウルフルン「あーはいはいまたかよ、ったく……さっさと言いやがれってんだ」

なお「…さっきのれいかの質問を踏まえて聞くよ」

なお「どうしてあたし達プリキュアだけじゃなく、学校の生徒達までも標的にしたの? バッドエナジーさえ集めればいいはずでしょ?」

ウルフルン「…まぁ、確かにそうだな」

ウルフルン「そもそも俺様達バッドエンド王国が人間界にやって来ているのは、ピエーロ様復活の為にバッドエナジーを集めることにある」

ウルフルン「だからこれは、本来俺がすべき事じゃねぇ。 …あくまでこれは、個人的なお遊びみたいなもんだな」

なお「『お遊び』…!? そんな自分勝手な理由で、学校のみんなに迷惑掛けるだなんて…っ!?」

ウルフルン「いいじゃねぇかよお遊びで何が悪い!? 俺様にも息抜きというものが必要なんだよボケ!!」

ウルフルン「ピエーロ様のために尽力してる事に変わりねぇんだから、その間どのように動こうが俺の勝手だろうが!?」

なお「本当に……本当にどうしようもない奴だよ、お前は…っ!!」ギリッ

ウルフルン「こりゃまた最低な評価どーも……つっても、そういう評価はもう何度も貰ってきてるから、ありがたみなんて欠片も感じねぇけどな」

なお「………」

ウルフルン「それとも何か? そういう態度示すことで、相手に罪悪感でも持たせようって魂胆かよ? 意外とズル賢いんだなーお前って」ハンッ

なお「………」

ウルフルン「もしそうなら、改めて丁寧に言わせてもらうぜ嬢ちゃん? テメェでも分かってるはずの、100%分かりきった回答をよぉ」

なお「………っ」ビキッ

ウルフルン「『それは無駄な事だ』……これ以上ないくらい分かりやすいだろ? この俺様の思いやりに深ーく感謝しろよ、ク ソ ガ キ」ウルッフフ

なお「~っ!!」ビキビキッ

ウルフルン(よーしよし、いい調子だな……いい感じにアイツらを焚き付ける事に成功してるぜぇ俺様)

ウルフルン(このまま戦闘に入れば、間違いなくアイツらは容赦しねぇだろう……怒りに身を任せる形になってな)

ウルフルン(ちと痛ぇかもしれねぇが…むしろ好都合だぜ。 こうなりゃ、俺様はバッドエンド直行確定だろうからな)ウルッフフ

ウルフルン(これでバッドエンドの意義さえ理解できりゃ、ピエーロ様の前で恥をかかずに済みそうだぜ。 あー良かった良かった)ホッ

なお「…もういい。 みんな、あたしはもうさっさとケリをつけたいんだけど……準備はいい?」チャッ

やよい「まっ、待ってなおちゃん!!」

なお「……やよいちゃん?」

やよい「次は私が…私が質問するから、ちょっとだけ待ってて」ズイッ

ウルフルン「なんだよまだ終わらねぇのかよ……早くしろ」

やよい「う、うん……あのね…」

やよい「これは、私の勝手な考えなのかもしれないんだけど…」

なお「?」

れいか「?」

みゆき「?」

ウルフルン「…?」

やよい「私ね……オオカミさんが言ってる事って、嘘かもしれないって思ってるの」

ウルフルン「っ!!?」ギックゥ!

なお「『嘘』、って…!? 何言ってるのやよいちゃん!?」

れいか「そうですよやよいさん! 一体何処に、そう考えられる要素があるというのですか!?」

やよい「え、えっとね……それについては、少し長くなるかもだけど…」アタフタ

ウルフルン(ちょっ、ちょっと待てよおい!!? なんで嘘だってバレてんだよ!!?)ダラダラ

やよい「少し前に保健室行った時に、オオカミさんがいたってみんなに話したよね?」

やよい「その時に、オオカミさんの口から『俺様をバッドエンドに』、っていう言葉を何回も聞いたの」

れいか「? 『俺様を』…?」

なお「『バッドエンドに』…?」

ウルフルン(思い出した!! あん時は隠す必要ないと思って、ベラベラ喋っちまってたんだ!!)ヤベェ!

やよい「あの時結局攻撃とかしてこなかったから、おかしいなーって今までずっと思ってたんだけど…」

やよい「今日オオカミさんが学校でした事について考えてみると、間違いなく学校のみんなに嫌われるんじゃないかなー、って思ってて」

やよい「でもそれって、言い換えれば自分自身がバッドエンドになるっていう事じゃないかなー、って考えられて……」

ウルフルン(…まだ完全にはバレちゃいねぇようだが………もし、嘘だってバレちまったら…)

ウルフルン(仮にも正義の味方だ。 アイツらにかかれば、大体のもんはハッピーエンドへ事を運んじまうだろう)

ウルフルン(……今回の件も、例外じゃねぇとしたら…)

ウルフルン(…間違いなく良い方向へ持って行かれるに決まってる。 挙句の果てには、『次からは気を付けてね』とか言われるだけで終わっちまうかも…)ダラダラ

ウルフルン(そうなると俺様の野望が……バッドエンドの夢が……)ダラダラ

れいか「……つまりやよいさんは…この方が実際にやった訳ではない、とおっしゃるのですか?」

やよい「う、うん……間違えてたらごめんなさいなんだけど……どう、かな……?」チラッ

ウルフルン「………」ダラダラ

やよい「………」ジー

ウルフルン「………」ダラダラ

やよい「………」ジー

ウルフルン「………」ダラダラ

なお「…おい」

ウルフルン「………う」

やよい「う?」









ウルフルン「うっせぇこのマセガキィッ!!!」グァッ!

やよい「うぇっ!!?」ビクッ

ウルフルン「何言ってんだか分かんねぇんだよマセガキ!!! ちゃんとまともな言葉で喋りやがれこのマセガキ!!!」

やよい「ちゃ、ちゃんと喋れてるでしょ!!? あと私、マセてないもん!!」

ウルフルン「うっせぇマセガキ!!! マセたクソガキが喋ってんじゃねぇぞこのマセガキ!!」

やよい「だっ、だから!! マセてないって言ってるでしょ!!?」

ウルフルン「やいこらテメェマセガキ!! 何でテメェはマセてんだよこのマセガキ!!?」

やよい「だから! 私、マセてなんか…っ!」

ウルフルン「やーいやーい!! マセガキ!! マセガキィ!!」ベロベロバー

やよい「~~~っっ!!」プルプル

ウルフルン「マーセッ!! マーセッ!! マァァセェェガァァァァァキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイイイイイ!!!」

やよい「びぇえぇえぇええぇぇえぇえぇぇえぇええぇん!!! オオカミさんの馬鹿あぁあぁぁぁああぁあぁぁあぁああぁぁあ!!!」ダッ

なお「おーよしよし」ナデナデ

やよい「わ、私…えぐっ、マセてなんか、ないのにぃ…っ!」グスッ

れいか「大丈夫ですよ。 やよいさんの言う事に間違いはないですから」ナデナデ

やよい「うぅ……もう…もう絶対…ぐすっ、許して、あげないんだからぁ…っ!」キッ

ウルフルン(なんとか危機は去ったみたいだな。 流石俺様だぜ)フィー

キャンディ「みんな!! 準備はいいクル!?」

れいか「ええ!」チャッ

なお「ずっと前から準備万端だよ!!」チャッ

やよい「私、もう怒っちゃったもんね!!」チャッ

ウルフルン「はっ!! 上等じゃねぇか!! 今回こそぶちのめしてやr―――」パカッ



みゆき「………」



ウルフルン「………?」アレ?

みゆき「………」

ウルフルン「……おいピンク頭。 何ずっと俯いてやがんだよ?」

みゆき「………」

なお「? ……?」

やよい「……みゆきちゃん…?」

れいか「みゆきさん…?」

みゆき「………」

キャンディ「みゆき? どこか気分でも悪いクル?」

みゆき「………」

みゆき「……キャンディ、みんな……ごめんね」



みゆき「私、まだ諦めたくないみたい」テクテク



キャンディ「クル?」キョトン

ウルフルン「ふーん……で? そう思ってるから何だってんだよ?」

ウルフルン「信じるにしても信じねぇにしても、この後テメェらと戦うことに変わりはねぇと思うがなぁ?」ウルッフフ

みゆき「………そう…だよね…」

ウルフルン「あ?」

みゆき「オオカミさんの言うとおり…私がどういう気持ちでいるかなんて、どうでもいい事であって…」

みゆき「事実がどうあれ、あかねちゃんが辛い思いをしてきた事に変わりはないもんね……」

なお「…みゆきちゃん……」

れいか「みゆきさん……」

やよい「………」ウツムキ

ウルフルン「………」

間違えた! >>506の前にこのレスを入れて下さい!




みゆき「オオカミさん…」ズイッ

ウルフルン「何だ? やっぱテメェも言いたい事があんのかよ?」

ウルフルン「手短に頼むぜ? こちとら早く白紙の未来を黒く塗り潰したくて仕方ねぇんだ」つクロイエノグ

みゆき「………ねぇ、オオカミさん」

みゆき「私、学校でオオカミさんが言ってた事を信じようって思ってるの」

ウルフルン「……ほう?」

みゆき「世界中を最悪な結末にするための一環として、特に理由もなく私達の学校へ来てたという事」

みゆき「そして…オオカミさんがあかねちゃんの笑顔を奪っていった、っていう事を」

ていうか>>506をなしにして同じものを投下します! 本当にごめんなさい!




ウルフルン「ふーん……で? そう思ってるから何だってんだよ?」

ウルフルン「信じるにしても信じねぇにしても、この後テメェらと戦うことに変わりはねぇと思うがなぁ?」ウルッフフ

みゆき「………、そうだよね」

ウルフルン「あ?」

みゆき「オオカミさんの言うとおり…私がどういう気持ちでいるかなんて、どうでもいい事であって…」

みゆき「事実がどうあれ、あかねちゃんが辛い思いをしてきた事に変わりはないもんね……」

なお「…みゆきちゃん……」

れいか「みゆきさん……」

やよい「………」ウツムキ

ウルフルン「………」

みゆき「…あかねちゃんは、学校を守るためにオオカミさんと戦ったけど…負けちゃって…」

みゆき「そのせいで沢山酷い事をされてきて……段々と、元気が無くなっていって……っ」ジワァ・・・

みゆき「なのに、それに気付けないでいたなんて……本当に、最低だよね私って…っ」グスッ

キャンディ「みゆきぃ…」

ウルフルン「………」

みゆき「…そして、今朝の絵の事があって……その絵があかねちゃんが描いた事になってて……」グシグシ

みゆき「証拠の映像が撮られてて……あかねちゃんが映ってたから私、少しも疑うことなく信じちゃって…っ」ブワッ

みゆき「おまけに私、あかねちゃんに『友達とは思えない』って言っちゃった……言っちゃったよぉ…」ポロポロ

キャンディ「み…みゆき、泣かないで…。 キャンディも我慢するから……泣いちゃダメクルゥ…」オドオド

みゆき「今更、許されないよねこんなの…っ。 絶対に…許してもらえる訳、ないよね……っ」ポロポロ

ウルフルン「………」

なお「……あたし、も…」

なお「あたしもあかねに対して…『もう何も信じられない』って言っちゃった…っ」ジワァ・・・

なお「少し感情的になってたからって…なんて酷い事を言っちゃったんだ、あたしは……っ!」グシッ

キャンディ「な、なお……泣いちゃ嫌、クル…」ジワァ・・・

れいか「あの時……あかねさんは、涙を流していらっしゃいました…」

れいか「いつも笑顔のあかねさんが泣くなんて、おかしいはずなのにどうして……どうして気付いてあげられなかったのでしょうか…っ」ジワァ・・・

キャンディ「れいかぁ……」グスッ

やよい「ごめんね…ごめんね、あかねちゃん……本当に…ごめん、ねぇ…っ」ポロポロ

キャンディ「み、みんな…泣かないでクル……お願いだから泣かないで、クル…ゥ、ゥゥゥ…っ」ポロポロ

ウルフルン「………おい」

みゆき「ごっ、ごめんね! 泣くつもりなんて、全然なかったのに……本当にごめんねっ」グシグシ

ウルフルン「まったくだぜ。 なんで俺様がテメェらの懺悔に付き合わなきゃならねぇんだか…」ハァー

なお「次あかねに会ったら、まず第一に謝まらなきゃ…。 『許してくれるか』、なんて…どうだっていい……」グスッ

れいか「……たとえ許してもらわずとも…自分がやった行為には、最後まで責任をとらなければなりません…」ツー・・・

キャンディ「うぇぇぇ……っ、ぐすっ…ぐすっ…」ポロポロ

やよい「キャンディ、ごめんね…。 ぎゅーってしてあげるから、もう泣かないで……ね?」ギュー

キャンディ「で、でも……やよいだって、まだ泣いて…」グスッ

やよい「だ、大丈夫だから…もう、今から泣かないように、するから……っ」ジワァ・・・

キャンディ「やよいっ。 キャンディもう泣かないクル! だから…だからやよいも泣かないでほしいクル!」

やよい「ぐすっ……ありがとね、キャンディ…」ニコッ

ウルフルン「……で? 一体テメェは何がしたいんだよ?」

ウルフルン「まさか泣くだけ泣いて終わり、なんてこたぁねぇよなぁ?」

みゆき「……うん。 もちろん」グイッ

ウルフルン「じゃー早くしてくんねぇかな? 本開いてるし、絵の具を塗り潰す準備もバッチリ出来てるからよ」オラオラ

れいか「…みゆきさん…」

なお「………」

やよい「みゆきちゃん…」

みゆき「……あのね、オオカミさん」

みゆき「オオカミさんのせいだとしたなら、私達の学校は色々と振り回されちゃった事になるんだよ?」

みゆき「あかねちゃんはもちろんの事、今日の朝礼だって……」

ウルフルン「そりゃそうだろうよ。 本来なら、学校の奴ら全員を絶望の底へ落とそうとしてたんだからな」ウルッフフ

みゆき「そして私達は、オオカミさんの事を放っておけないと思って学校を抜け出してきたの」

ウルフルン「…やっぱそうだよなぁ? やっぱそういう事になるよなぁ?」ウルッフフ

ウルフルン「俺様の事が憎くて憎くてたまらない。 …それがテメェらの心情だ。 猿でも分かる事だぜ」

みゆき「………」

ウルフルン「更に俺様なら、この後の展開についても容易に予想することができる」ウルッフフ

みゆき「………」

ウルフルン「とは言っても単純明快な事かもしれねぇがな……この後俺様は、プリキュアであるテメェらと戦うんだ」

ウルフルン「世界をバッドエンドに染める崇高なる俺様と、それを防ごうとするクソボケ共による争いだ。 ……まぁこれは当然というか、義務と言った方が良いかもな」

みゆき「………」

ウルフルン「それによって俺達は世界の命運とやらを賭け、どっちかが滅ぶまで互いを傷つけ合う事に―――」

みゆき「……ううん、違うよオオカミさん」フルフル

ウルフルン「―――、あん?」

みゆき「私が言いたいのはそうじゃない。 …そうじゃないの」フルフル

ウルフルン「…何言ってんだテメェは? 何も違わねぇじゃねぇか」

ウルフルン「俺様とテメェらは敵同士であり、だからこそぶつかり合う……間違ったとこなんかどこにもねぇだろうがよ?」

みゆき「……確かに、そうかもしれない」

みゆき「オオカミさん達はバッドエンドのため、そして私達はハッピーエンドのために動いてて」

みゆき「それぞれの考え方が違うから、お互いに相容れなくて……だから、いずれ戦うしかないんだよね…」

ウルフルン「やっぱ分かってんじゃねぇか。 だったら話は早い―――」

みゆき「――でもっ!」

ウルフルン「!」ピクッ

みゆき「でも…でも私……まだ諦めたくない…っ!」グッ

ウルフルン「『諦め』…? テメェ、さっきからマジで何言って……?」

みゆき「…あのね、私……」

ウルフルン「………」

みゆき「私、オオカミさんの事を……」

みゆき「悪いオオカミだって……思いたくない…」

ウルフルン「………、は?」ポカン

みゆき「だからね、私……まだ信じていたいんだよ…」

みゆき「オオカミさんが、良いオオカミかもしれないっていう事を…っ!」

ウルフルン「…はぁぁ!!?」

ウルフルン「ちょ、ちょっと待てよおい!! なんでいきなりそんな話になってんだよ!?」

ウルフルン「俺達は敵同士だろ!? なら戦う敵に、良いも悪いも糞もねぇだろうが!!?」

みゆき「……そうだよね。 私、今とっても変な事言ってるって分かってる」

みゆき「でも聞いて、オオカミさん? 私、ここに来ようとする時まではこんな気持ちじゃなかったんだよ?」

ウルフルン「………」

みゆき「最初はね…確かに許せないって、ただそれだけしか思ってなかったんだけど……ここへ移動している時にある事に気が付いちゃって…」

みゆき「それで、もしかしたらって思ったの。 …とっても大事な事だから、耳を傾けてほしいな」

ウルフルン「………」

みゆき「………」ジー

ウルフルン(こいつの目……一点の曇りも感じねぇ)

ウルフルン(気まぐれで言ってるだけなら、聞き流す程度で済ませようと思ってたが……これは本気の目だ)

みゆき「………」ジー

ウルフルン(『大事な事』とやらを口に出される前に……こいつに話を全部持っていかれる前に、さっさとケリをつけるとすっか)

ウルフルン(幸い、他の奴らは戦う気満々だからな。 そこら辺りに誘導すれば間違いねぇはずだ)ウン

ウルフルン「……ウルッフッフッフ…」

みゆき「………?」

ウルフルン「こりゃぁ傑作だぜ…。 いきなり何を言い出すかと思えば、まーたハッピーエンド絡みの事かよ……マジでくだらねぇ」ウルッフフ

みゆき「………」

ウルフルン「いつもハッピーハッピー連呼してっから、頭ん中もそうなっちまったんだろうなぁ? もう治るこたぁねぇかもなーそれ」ウルッフフ

みゆき「………」

ウルフルン「おいテメェら!! さっきの台詞聞いたかよ!? こんなん冗談でも言う奴がいるなんて、マジで信じられねぇ―――」チラッ



やよい「………」ジー

なお「………」ジー

れいか「………」ジー



ウルフルン「………おい、テメェら。 何なんだよその目は……?」ヒクッ

なお「……正直言うと、みゆきちゃんよりもアンタの言う事の方が正しいって思ってる」

なお「今すぐにでもあたしは、敵であるお前をぶっとばしたいって思ってるよ」

ウルフルン「やっぱそう思うだろ? ならさっさとコイツを止めてくれよ」

ウルフルン「このままコイツの訳分かんねぇ持論を言われ続けるのは流石に耐え切れねぇ―――」

れいか「――それでも」

ウルフルン「あ?」

れいか「それでもみゆきさんは……本当に嘘偽りのない気持ちで貴方の前に立っておられます」

れいか「それほどまでに、みゆきさんは真剣なのだと分かってしまいます。 …決して冗談などではないのでしょう」

ウルフルン「………」

やよい「真面目にやろうとしている人を邪魔するなんて、私達にはとてもできっこないよ」フルフル

やよい「だから私達は…一生懸命頑張っているみゆきちゃんを、最後まで見守っていこうって思う」

ウルフルン「………」

キャンディ「む~……みんながそういうなら…キャンディも頑張ってみゆきを見守ることにするクル」

みゆき「みんな……ありがとう」

ウルフルン「……ケッ!! 分ぁったよ!! 全部聞きゃあいいんだろ聞きゃあ!!」

ウルフルン「要は話終われば済むんだろ!? じゃあちゃっちゃと言いたいこと言って、早く終わらせろっつーんだよ!!」

みゆき「う、うんっ。 じゃあ……今から言うね」

ウルフルン(クソッ!! 結局コイツの話を聞くはめになっちまった!!)チッ

ウルフルン(………)

ウルフルン(……だがしかし)チラッ

みゆき「………」

ウルフルン(よくよく考えてみれば、そんなに慌てるほどの事じゃねぇ。 …コイツが何か言った所で、この状況が変わるなんてまずねぇからな)ウン

ウルフルン(単に『戦いたくない』って拒否するならこっちから仕掛ければいいし、『私達は優しいから許してあげる』なんて言おうものなら、とりあえず逆切れしとけばいい)

ウルフルン(問題ねぇ、大丈夫だ……こんなクソガキに、俺様のバッドエンド計画を邪魔させてたまるかってんだよ…)

みゆき「……オオカミさん」

ウルフルン「おう」ボリボリ

ウルフルン(全部一つ返事で済ませ、興味なさ気に振る舞え……少しでも食いついたらおしまいだと思えよ俺……)

みゆき「オオカミさんがあかねちゃんにしてきた事は、確かに許せない事実かもしれないけど…」

ウルフルン「まーな」グイグイ

みゆき「それでもね……私がオオカミさんの事を、悪いオオカミだって思いたくないのは…」

ウルフルン「ふぅむ」ノビー

みゆき「今日のオオカミさんがいたおかげで、あかねちゃんや私達の事を救ってくれたからなんだよ?」

ウルフルン「へぇー…」クァ・・・









ウルフルン「………へっ?」ピタッ

ウルフルン「へ? は? …何だ? 何か今変なこと言わなかったかお前?」

ウルフルン「救った? …テメェらを? 俺が? ……俺が救った?? は? へ?」パニック

なお「……みゆきちゃん、一体どういうことなの?」

れいか「…流石に今回ばかりは賛同しかねます、みゆきさん。 私、みゆきさんの心情がまるで読めません」

やよい「そ、そうだよみゆきちゃん! 私達別に、敵さんに助けてもらった覚えなんて全然ないもん!」

みゆき「……みんなごめんね……やっぱそう思っちゃうのは無理ないよね…」エヘヘ・・・

みゆき「正直、自分でも自信がないんだよね~……自分のしている事が正しいかどうかなんて、全くって言っていいほど分かんないし…」エヘヘヘ

やよい「じゃあ、何でそんな事…」

みゆき「…それでもね」

やよい「?」

みゆき「それでも私、諦めたくない。 これ以上誰かが苦しい目に遭う必要なんてないんだって、誰もがみんな幸せになれるんだって信じたい」

みゆき「ただの思いつきかもしれないけど……それでも可能性が残っているなら、最後まで抗っていたいの」テクテク

なお「み、みゆきちゃん!? そんなに近づいたら…っ!!」

ウルフルン「『救う』…? そんな事したのか俺? …いや、そんな事あるはずがねぇ。 だって俺は―――」パニック

みゆき「オオカミさん…」ズイッ

ウルフルン「ってうおぉっ!!? 何いきなり目の前に立ってんだよテメェ!?」ビックゥ!

みゆき「え? えーっと、その……ごめんなさい?」

ウルフルン「つか、話の論点はそこじゃねぇ!! さっきのはどういう意味なんだよコラ!?」

ウルフルン「さっきまで記憶を探ってみたが、俺がテメェらを救った要素なんてどこにもなかったじゃねぇかよ!?」ビシィ!

みゆき「…やっぱそうだよね」

ウルフルン「あ゛?」

みゆき「オオカミさんが自分からこんな事するわけないよね~……最初から分かってた事なんだけど…」エヘヘ

ウルフルン「テ、テメェ…ッ! あんまり舐めた口聞いてっと……!!」ヒクヒク

みゆき「……うん、分かった。 私の口から全部説明するね」クスクス

ウルフルン「………」ムスッ

みゆき「えっとね……オオカミさんは今日、学校でどんな事したか覚えてる?」

ウルフルン「……ああ。 そりゃもちろんな」

みゆき「学校の朝礼で自分がやってきた事を告白して、学校中のみんなを不幸にしてやるって宣言して…」

ウルフルン「ああそうだ。 今まであのクソガキ1人に邪魔されてたからな……これで思う存分暴れることができるってもんだぜ」ウルッフフ

ウルフルン(まぁ、目的は全然違う所にあるんだけどな)

ウルフルン「正直感謝してるんだぜ俺? その『ちょうれい』とやらが無かったら、今でも俺様の行動が制限されていたからなぁ」ウルッフフ

みゆき「……そっか」

ウルフルン「あん?」

みゆき「ねぇオオカミさん? 朝礼があって良かったって思ってる?」

ウルフルン「? ……ああ、そりゃーな」

みゆき「私もね、オオカミさんが朝礼に出てくれて良かったなーって思ってるの」

ウルフルン「はぁ? なんでだよ?」

みゆき「…あの朝礼はね、オオカミさんがいてもいなくても必ずやらなくちゃいけなかったんだよ」

ウルフルン「………」

みゆき「それでね……今回はたまたま貴方が出てきてくれたから、ああゆう事になったんだけど…」

みゆき「そうじゃなかった場合の事を考えてたら……怖くて怖くてたまらないの……」キュッ

ウルフルン「? …そうじゃなかった場合、だと…?」

みゆき「うん。 あくまで、もしもの話なんだけどね……」

ウルフルン「………」

みゆき「もし……もしもあの時にオオカミさんが現れず、朝礼が終わっていたら…」

みゆき「……私達はあかねちゃんの事を、どういう目で見ることになってたのかな、って」

やよい「っ!!」

なお「っ!!」

れいか「っ!!」

みゆき「やっぱり怖いからって距離を置こうとしてたのかな? それとも、信用できないからって敵視してたのかな…?」

みゆき「ううん……もしかしたら、学校中のみんなが上履きを投げるような事を…私達もしていたのかも…」

やよい「………っ」ギュッ

みゆき「……やっぱりダメ。 いくら考えても、全部同じになっちゃう…」フルフル

みゆき「どう考えたって……あかねちゃんと元通りに仲直りできるなんて、全然思えないよ……」

なお「………っ」グッ

みゆき「…少し前からね、あかねちゃんの様子がおかしいって思ってはいたんだ…。 …でも、相談に乗ってあげようにも全然できない雰囲気で…」

みゆき「だから今朝、思いきってあかねちゃんに会ってはみたけど…そこで喧嘩しちゃって……それで、あかねちゃんの事信じてもいいのかって揺らいじゃって…」

みゆき「その後すぐにあの絵を見ちゃったから……その時点で、段々とあかねちゃんの事が分からなくなってきてね…」

みゆき「最後に証拠としてビデオカメラに映ってたもんだから……だからもう、何も考えられなくなっていたの……」

れいか「………」

ウルフルン「………」

みゆき「…最後にね、寝ているあかねちゃんを見たとき……ちょっとだけ笑っているように見えたんだ」

みゆき「ほんのちょっぴりなんだけど、それでも心からホッとしているような……見てるこっちが安心できるような、そんな笑顔」

ウルフルン「………」

みゆき「…あれはね、とてもじゃないけど1人で作れるような笑顔じゃない」

みゆき「あの状況から笑うようになるなんて、誰かが助けてくれない限りありえないはずなの。 だから…」

ウルフルン「……まさか…」

ウルフルン「まさか俺が……その笑顔を与えてやった……?」

みゆき「……うんっ! そうだよ!」ニコッ

ウルフルン「アイツが……笑ってた? 冗談だろ?」

みゆき「…ううん。 ちょっと分かりづらかったけど…確かに笑ってた」

ウルフルン「だ、だってよ? 俺、アイツが持ってたものを奪ってやったんだぜ? 悔しがってるはずじゃ…」

みゆき「? 『奪って』…? よく分からないけど…」

みゆき「今日オオカミさんが来たことで、あかねちゃんは笑顔を取り戻せた……それだけは自信を持って言えるよ」

ウルフルン「………」

みゆき「はっきりとは言えないけど、きっとあかねちゃんはオオカミさんに感謝しているんじゃ―――」

ウルフルン「……違う…」ボソッ

みゆき「えっ?」

ウルフルン「違うに決まってんだろ……そんな事、あるはずがねぇじゃねぇか…」ブツブツ

ウルフルン「俺様はバットエンド王国の住人だ……だから、人間共を不幸のどん底へ落とすのが当たり前なんだよ…」ブツブツ

ウルフルン「それなのに……それなのにたった1人だけでも…人間のガキが笑顔になるような事を、俺はしちまったのというのか……?」

みゆき「……やっぱそうなんだ」

ウルフルン「あん?」

みゆき「やっぱりオオカミさんは、私が思ってるような理由で動いてる訳じゃなかったんだね。 …ちょっとだけ期待してたんだけどなー…」エヘヘ

ウルフルン「き、たい? ……どこまでふざけきってんだよ、テメェは…っ」ヒクヒク

みゆき「……ふざけてなんか、ないよ…?」

ウルフルン「~っ!! いいか、よく聞け!! 俺はな! 全てはピエーロ様のためっ、そして自分のためだけに動いてんだよ!!」

ウルフルン「ましてや人間なんぞに期待されるような事をするつもりなんて、これっぽっちもなかった―――」

みゆき「――それでも!!」

ウルフルン「っ!」

みゆき「あの時オオカミさんがいなかったら、あかねちゃんとは2度と友達じゃいられなくなってた!!」

みゆき「そして、あの時オオカミさんがいてくれたから私達は……大切な大切な友達を失わずに済んだの!!」

ウルフルン「………っ」

みゆき「たとえその気がなかったとしても! たとえ偶然でも!! 結果的には私達を助けてくれた!!」

みゆき「オオカミさんのおかげで私達は救われた!! 最悪の形で終わるはずだった結末から、私達を助けてくれたの!!」

ウルフルン「ぐっ……!」

みゆき「勝手な解釈だって分かってる!! だけど、そうでもしなきゃ…この気持ちを上手く伝えられないから…っ!」

みゆき「だからっ、ただ聞いているだけでいいから……私のこの素直な気持ちを、受け取って下さい……っ」ジワァ・・・

ウルフルン「グルルルル……ッ」


みゆき「…私達の大切な友達を助けてくれて……そして、あかねちゃんに笑顔を取り戻してくれて………本当に、ありがとう…っ!」ポロポロ

ウルフルン「……っ!! おいテメェ!! 感謝なんかしてんじゃねぇ!!」

みゆき「ありがとう……ぐすっ…本当に、本当にありがとね……っ!」ポロポロ

ウルフルン「だから、バッドエンドから遠ざかるというのに…この野郎…ッ!!」ジャキン!

みゆき「!!?」ビクッ



グイッ



みゆき「きゃっ!?」

ウルフルン「あ゛ぁ゛!?」ギロッ

なお「ふー………ちょっとだけ危なかったね? みゆきちゃん」

みゆき「な、なおちゃん…」

なお「さて……」

ウルフルン「テメェ…俺様の邪魔をする気じゃ―――っ!!」ハッ

ウルフルン(いや待てよ…? これは逆に丁度良い展開じゃねぇかよ…!!)ウルッフフ

ウルフルン「かかって来やがれ、キュアマーチ!! まずはテメェからぶっ倒してやる―――」

なお「……いや、今回は止めておくよ」

ウルフルン「………は?」ポカン

なお「さっきまでは、戦いたくて戦いたくてしょうがなかったんだけど……なんだかもうどうでも良いかなーって」ポリポリ

ウルフルン「なん…だと……!?」

なお「それに、あかねの件に関しては紛れもない事実だからね……あたしからも一応礼を言っておくよ」

ウルフルン「ちょっ!? ちょっと待てよおい!!?」

なお「アンタの事は全然信用してないけど、今回ばかりは助けられたよ……ありがとう」ニコッ

ウルフルン「やめろ!! 礼を言うんじゃねぇ!!」

ウルフルン(そんな事したら、ますますバッドエンドが…っ!)グルルル・・・

れいか「……なお、ダメじゃないかしら? こういう時にそういう態度で接しちゃ……」

なお「え? そうかな?」

ウルフルン(そ、そうだよ!! 流石頭脳派は違うぜ!!)

れいか「感謝の気持ちを示す時はこうです。 ……この度は、本当にありがとうございました」ペコリ

ウルフルン(テメェもそうなるのかよ!!?)ウォイ!

やよい「えっ、えーっとえーっと……ありがとう、ございました…」ペコッ

ウルフルン「が…っ! く、くそっ…」プルプル

そういえばこいつら、日常時には全員ボケ寄りだったwwww
しかし見事に最初の方の空気に戻ったなぁ

れいか「…はいっ。 大変良く言えましたね、やよいさん」ナデナデ

やよい「うぅ……っ、あまり子供扱いしないで欲しんだけど…」

ウルフルン(何なんだよ!? マジで何なんだよこの空気は!!? 俺はこんな状況を望んじゃいねぇってのに…!!)グルルル・・・

キャンディ「む~……正直キャンディは納得いってないクル…」

ウルフルン(あ、後はお前だけだぞ妖精!! なぁおい、マジで頼むぞ!!)

キャンディ「…納得いってないけど……」チラッ

やよい「キャンディ…」ジー

れいか「………」ジー

なお「…キャンディ」ジー

みゆき「………」グシグシ

キャンディ「……みんなの空気を読んで、キャンディも一応頭を下げておくクル…」ペコッ

ウルフルン(負けちまったよコイツ!!! 結局、周りの空気に押されて負けちまったよ!!!)

キャンディ「それよかみゆき? 何かまた悲しい事でもあったクル? あまり泣かないでほしいクル…」

みゆき「だっ、大丈夫! もう泣かないし、別に悲しくないから全然大丈夫だよ!」グシグシ

ウルフルン「………」

ウルフルン(……結局)

れいか「みゆきさんの顔が、涙やら鼻水でぐちゃぐちゃになってますね…」アラマァ

なお「あ、本当だ……はい、みゆきちゃん。 これ使って?」つハンカチ

みゆき「ありがとー、なおちゃん…」ヒラヒラ

みゆき「ちょっとごめんね、今、目があまり見えないから……っと、あったあった」ガシッ

やよい「み、みゆきちゃん!? それハンカチじゃなくって―――」ギョッ

みゆき「ふぇ?」ズビー

キャンディ「クル―――――!!?」キタネェ!

みゆき「キャ、キャンディ!? ごめんね!!」

ウルフルン(今のコイツらから、戦意の欠片さえ何も感じなくなっちまった……)

今回はここら辺りで終わります。 区切りが良いかとは決して言えませんが……。
次に投稿するのは、少しだけ体調を万全にしてからにしたいと思います。 そうでもしないとまともに続けられる自信がないっていうか…。

少しの間でしたが、見ていただいた方ありがとうございました。 近日中には投稿していきたいので、その時はまたよろしくです。

乙ー!
正直、あそこからここまで空気を戻せたのは純粋に凄いと思う
そしてキャンディが若干黒いwwww

続きの方をたった今書き上げましたので、今から投下していきます。
『近日中に』と言ったのに、1週間以上もかかってしまいました……申し訳ないです。
その間にたくさんの支援をいただき、本当にありがとうございました。 こんな遅筆な身ですが、どうかよろしくお願いします。

ウルフルン(…ここから俺様がバッドエンドになるための手順は……)ポクポクポク

ウルフルン(………)ポクポクポクポク

ウルフルン(………)ポクポクポクポク

ウルフルン(………、ねぇな。 全くねぇ)チーン

ウルフルン(とりあえず一旦ブチ切れてみるのもアリだが……成功するかどうか分からねぇのはやりたかねぇし…)

ウルフルン(向こうはもう完全に落ち着いた雰囲気になっちまってるし……万事休すか)ウーム

ウルフルン(………)ウーン

ウルフルン(………)

ウルフルン(………)

ウルフルン(……帰るか。 バッドエンド王国へ)ウン

ウルフルン(よくよく考えてみりゃ、別にここで拘る必要なんかねぇし。 明日からコイツらの学校に行けば学校中の奴らから『おもてなし』されるに決まってるし)ウン

ウルフルン(しょうがねぇが、たった1日の辛抱だ……俺様の目標が達成される事に何ら変わりはねぇからな)ウンウン

ウルフルン「……チッ!」

みゆき「?」

ウルフルン「シケちまったぜ。 ……俺ぁもう帰る」クルッ

みゆき「え? …えぇっ!? オオカミさん、もう帰っちゃうの!?」

ウルフルン「さっきもそう言ったろ? テメェらとの会話で疲れちまったんだよ」ヒラヒラ

ウルフルン「今思えば俺、アカンベェ呼び出す鼻1つも持って来てねぇし……忘れた事で恥かかずに済んで良かったぜ」テクテク

みゆき「ま、待って!!」

ウルフルン「………、あん?」ジロッ

みゆき「あのね……まだ私の話、終わってなかったんだけど……」

ウルフルン「……まだあんのかよ…」マジカヨ

みゆき「あっ、でもね! 最後に私が思ってる事をただ言うだけだから……そんなに疲れない…とは、思うんだけど……」ゴニョゴニョ・・・

ウルフルン「………」

みゆき「………」モジモジ

ウルフルン(……正直、聞く価値なんてこれっぽっちもねぇとは思うが…)

ウルフルン(今聞かずに帰ったら、少なくともコイツの中でわだかまりが残っちまうことになる)

ウルフルン(そうなると次に戦うことがあった場合に、少しでも戸惑いを感じることになるだろう)

ウルフルン(…それだけは避けるべきだな。 俺様がプリキュアに倒されてバッドエンド、っていう展開を邪魔する要因はなるべく排除しなくちゃならねぇ)ウン

みゆき「え、えっと…その……疲れてるなら、別に全然構わないんだけど……」モジモジ

ウルフルン「…本当に、それで最後なんだな?」

みゆき「え?」

ウルフルン「なら早くしてくれ。 …俺ぁ帰ってすぐに寝たいんだ」クルッ

みゆき「……うんっ!」パァァ

ウルフルン(しっかしまぁ、結局クソ長い会話だけで終わっちまった訳だが…)

みゆき「えっとね、さっきも言ってたんだけど……またお礼を言うね。 …私達の事を助けてくれて、本当にありがとうございました」ペコリ

ウルフルン(その会話のせいか、なんか俺を見る目が変わってきてる気がするんだが……大丈夫なのかこれ?)ハテ

みゆき「あの時私達にはできなかった事を、オオカミさんはやってくれた。 …あかねちゃんを笑顔にしてくれた」

ウルフルン(まぁ去り際に『次は容赦しないぜ!』、とか大口叩いときゃなんとかなるだろう)ウン

ウルフルン(そうすりゃ、『やっぱアイツムカつく!』とか思われて今日の分はリセットされるだろうし……次会った時には、純粋な敵同士として戦えるはずだ)

みゆき「…たとえあれが偶然だったとしても、自分以外の誰かを笑顔にする事ができたのだから…」

みゆき「きっとオオカミさんにも、誰かを幸せにする力があるんじゃないかって思ってるの」

ウルフルン(………)

ウルフルン(………)

ウルフルン(………)


ウルフルン「………は?」

みゆき「それでね、誰かのためにできる事は、自分にもできる事だって思うから…」

ウルフルン(何だ…? 一体何が言いてぇんだコイツ―――)

みゆき「だから、だからね……」グッ・・・














みゆき「オオカミさんも、幸せになったっていいんだよ!」


ウルフルン「っ」ピクッ

みゆき「いきなりでなんだけど……私は幸せが好き。 ハッピーが大好き」

みゆき「小さな幸せだけでも十分嬉しいんだけど、心の底からこみ上げてくるような……そんな幸せが大好きなの」

ウルフルン「………」

みゆき「物語もね、全部が全部そんな結末だったらいいのにー、って思ってたりもするんだけど…」エヘヘ

ウルフルン「………」












―――昔昔、あるところに―――












ウルフルン「………」

みゆき「…それでもね、私のように幸せを求める人はたくさんいる」

みゆき「その人達だってきっと思ってるはずだよ。 『みんなと喜びを分かち合えるような、そんな幸せな世界だったらいいのに』…って」









―――お母さんは赤ずきんに言いました。 「オオカミには気を付けて下さいね。 どんな悪い事をするか分からないから」、と―――









ウルフルン「………」

みゆき「この世界だって、誰もが怒ったり悲しんだりする事のない……笑顔と優しさで包まれた世界の方が良いに決まってる」

みゆき「だから、オオカミさんにも分かってもらいたいの。 人を不幸にするよりも、幸せにしてあげる事の方が大事なんだって…」









―――すると、山に住んでいる悪いオオカミが藁のお家にやって来て―――









ウルフルン「………」

みゆき「今の私達は確かに敵同士だけど……今までは世界を巡って戦ってきてたけれど…」

みゆき「今回を通じてね、オオカミさんの事を一概に悪者だと言い切れないんじゃないかー、って思えてきたんだよ」







―――猟師は眠っているオオカミを見つけたので、鉄砲で殺してしまおうと―――







みゆき「だったら私は、貴方の事を悪者だって思いたくない。 良いオオカミなんだって思いたい」

みゆき「世界をバッドエンドにするよりも……オオカミさんにはこの世界で、たくさんの幸せを見つけてもらいたいな」ニコッ







―――「オオカミが来たぞ!」と言うやいなや、村の人達は棍棒やクワを持って家から飛び出して―――











ウルフルン「…」ビキッ

みゆき「どんな人にだって、幸せになれる方法はいくらでもある。 探していれば、信じていれば、絶対に見つけることができる」





―――思いっきり大きな声で「嫌なオオカミめ!! アンタ達なんか、みんな酷い目に遭って死んでしまえばいい!!」、と言い―――





みゆき「それでも難しいって思ったのなら、私達が助けになるから。 どんな時でも、いくらでも力になってあげるから…」





―――助けを呼びましたが、嫌われ者のオオカミは誰にも助けてもらえず、そのまま泉の底へ沈んでしまい―――











ウルフルン「…」ビキッ・・・ビキ、ビキッ・・・

みゆき「……ね? だからね、オオカミさんも一緒に……」









みゆき「みんなで一緒に、ウルトラハッピーになろうよ!」ニコッ

―――悪いオオカミがいなくなり、みんなは幸せに暮らしましたとさ。 めでたしめでたし―――



















ウルフルン「」ブチッ

みゆき「それでね? 赤鬼さんや魔女さんにも同じ事が伝えられたらいいなー、って思ってるんだけど…」モジモジ

ウルフルン「………、そうか」

みゆき「?」

ウルフルン「つまりテメェはアレか。 敵味方関係無しにハッピーエンドにしたい、って言ってんのか」

みゆき「う、うんっ! だから私ね、オオカミさん以外の人達もどうにかしたい、って思ってて…」

ウルフルン「……何故だ?」

みゆき「…え?」キョトン

ウルフルン「何故ハッピーエンドにしたがる? 何故幸せにこだわる?」

みゆき「えっ? ……えっ?」

ウルフルン「そもそも何故、笑顔と優しさで包まれた世界が良いに決まってんだ? 何故そうなってる? 誰が決めた?」

みゆき「な、何故って…」オドオド

ウルフルン「…そして何故…」

みゆき「……?」

ウルフルン「何故……」スゥー・・・



















ウルフルン「何故俺様が幸せにならなきゃいけねぇんだよクソ野郎がァッ!!!」クワッ!

みゆき「ッ!!?」ビックゥ!

ウルフルン「何が『幸せになってもいい』だ!! 何が『幸せにする力がある』だ!!! 黙って聞いてりゃどこまでもふざけやがって!!」

ウルフルン「そんな力あるわけねぇだろ!!? あってたまるかってんだよそんな使えもしねぇ力はよぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

みゆき「オ…オオカミ、さん…っ!?」タジッ

ウルフルン「俺様はバッドエンド王国三幹部の1人、ウルフルン様だ!! それ以外の何者でもねぇ!! それ以外ありえねぇ!!」

ウルフルン「なのにテメェは何故この俺様をハッピーエンドに連れ込もうとしやがる!!? そういう冗談は味方同士だけで勝手にやってろなんで敵にまで巻き添えくらわしてんだマジで
いい加減にしろ頭狂ってるのも甚だしんだっつーんだ勘弁してくれよマジでウザくてウザくてぶっ殺したくてたまらねぇんだよテメェみてぇなのそういうのッ!!!」

みゆき「なんで、いきなり怒って……!? さっきまでそんな素振りなんて全然……」ワナワナ

れいか「……理由は、分かりませんが…」

みゆき「…れいかちゃん…?」


ウルフルン「俺様はオオカミだ!! 人間共の不幸を求める、崇高なる気高きオオカミだ!! 理解できねぇなら分かるまで言ってやるぞクソガキ共!!」

ウルフルン「テメェらにこびりついた俺様の気色わりぃイメージが完全に上書きされるまで、何度でも何度でも何度だって宣言し尽くしてやるからよぉぉぉおおおおおおお!!!」


れいか「おそらく、何か触れてはいけない逆鱗に触れてしまったのでしょう……完全に逆上しています」

みゆき「そん、な…っ」

ウルフルン「何が『優しさ』だ!! 何が『幸せ』だ!! 何が『笑顔』だ!!! クソつまらねぇ単語ベラベラ並べてんじゃねぇぞ!!」

ウルフルン「そんなもんが少しあるってだけで身の毛がよだつんだよ!! それだけでこの世界を滅ぼすには十分過ぎる理由になってんだよいい加減分かれよボケが!!!」

キャンディ「ク、クルゥ…」ガタガタ

ウルフルン「……あ゛?」ギロリ

キャンディ「こ、恐い……ウルフルン、凄く恐いクル…」ガタガタ

やよい「キャ、キャンディ…大丈夫、大丈夫だから…」ガタガタ

ウルフルン「………ほう?」ニヤァ・・・

ウルフルン「おいおい何だよ!? 何なんだよテメェら!!」グググ・・・

やよい「ふぇ…?」



ヒュンッ!



ウルフルン「随分と良い顔してんじゃねぇかよおいぃ?」ズイィ

やよい「ひっ…!!?」ビックゥ!

れいか「!? 瞬間的にやよいさんの前へ…!?」

やよい「…ぁ……あ、ぁ…」ガタガタ

なお「お、おいお前!! やよいちゃんから離れろ!!」

みゆき「やよいちゃん逃げて!! とにかく、今は走って逃げてぇっ!!」

やよい「……ダ…ダメ…っ」ストンッ

やよい「腰が…腰が抜けちゃって……」ガタガタ

なお「クソッ!! どうにか間に合ってくれ…っ!!」ダッ!

やよい「キャ、キャンディ……せめて、せめて貴女だけでも逃げて…」ガタガタ

キャンディ「い、嫌クル……やよいだけを置いて、逃げれる訳ないクル…!」ガタガタ

やよい「キャンディ…っ」ギュー

ウルフルン「……そうだ。 その調子だ」ニヤァ・・・

やよい「……?」ガタガタ

ウルフルン「恐怖に怯え、血の気を感じさせねぇ顔。 底知れぬ不安で曇らせた顔。 …たっぷりと絶望を堪能してる証拠だなぁ。 良い感じじゃねぇか」ニヤニヤ

やよい「…?」ガタガタ

ウルフルン「よーしよしよし、後はこのまま……」スッ・・・





ウルフルン「コイツらの息の根止めれば、芸術的オブジェの完成だ」ジャキン





やよい「……ッッ!!?」ゾクゥ!

なお「やめろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」バッ!




ザン…ッ!!



ウルフルン「………」

なお「はー…っ、はー…っ」ゼー ゼー

やよい「ぁ……ぁ……」ガタガタ

れいか「やよいさん!! なお!! キャンディ!! 大丈夫ですか!?」タタッ

なお「なん、とかね……危機一髪、だったみたい…」ゼー ゼー

みゆき「…後ろにある大きな木とか岩とかが、真っ二つになって…っ!?」ゾッ

やよい「こ、こわ…っ、怖かった……怖かったよぉ…っ」ボロボロ

なお「おーよしよし、怖かったねー2人とも……でももう大丈夫。 大丈夫だから…」ナデナデ

やよい「なおちゃぁん…っ!」ギュー

キャンディ「うぇっ…ぐずっ、うえぇぇえぇえぇええぇぇぇぇぇ……」ギュー

ウルフルン「………」

れいか「あ、貴方って人は…っ!! 一歩でも間違えてれば、どうなっていた事か…!!」キッ

ウルフルン「……んで…よ…」ボソッ

れいか「…え?」

ウルフルン「なぁぁんで俺様の邪魔ばっかりしてくれてんだよテメェらはさぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」グァッ!

れいか「っ!?」ビクッ

ウルフルン「俺様の思い通りにいかねぇのは何故だ!? 俺様のやりたい事がまるでできねぇのは何故だ!!? 何もかもテメェらが原因なんだよゴミクズ共!!」

ウルフルン「ゴミはゴミらしく動かねぇでくっせぇ臭いとバッドエナジーを辺りにまき散らしてろ!! いいから大人しくピエーロ様復活の燃料になれっつってんだよぉぉおおお!!!」

なお「…立てるかな? やよいちゃん」スクッ

やよい「う、うん……なんとか…」スクッ

なお「……それにしても…」チラッ




ウルフルン「そもそもどういう事なんだよ!!? 何故人間風情が俺様の邪魔ばっかりしてくるんだよクソッタレ共が!!?」

ウルフルン「俺様はオオカミだぞ!! 昔っから恐れられてきた存在なんだぞ!!? なら人間共は恐怖にまみれた顔晒して逃げ回るのが当前じゃねぇのかよぉぉぉおおお!!?」




れいか「一体どうして、こんな事に……」

みゆき「………」

みゆき「………」

みゆき「……私の、せい…なんだよね……?」キュッ

やよい「え……?」




ウルフルン「それともテメェらはアレか!!? 身の程をわきまえようともせず、オオカミに立ち向かってきやがる猟師とか村の人間共のように振る舞うつもりなのかよ!!?」

ウルフルン「だったら尚更腹が立ってくんだよ!! そういう奴らを見てっと、はらわた食い破るだけじゃなく骨までしゃぶり尽くさねぇと気が済まねぇぇんだよぉぉおおおお!!!」



みゆき「私が…お話をしたせいで、オオカミさんを怒らせちゃったんだよね…?」ワナワナ

やよい「そ、それは…」

みゆき「………」

なお「みゆきちゃん……」

みゆき「………」

みゆき「……私って、本当にダメな子だなぁ…」クシャッ

みゆき「自分なりに頑張って、お話して、それで何とかしようとして……それなのに、結局悪い方向へと走っていっちゃうんだもん…」クシャクシャ

みゆき「今回のオオカミさんの事だって………あかねちゃんの、事だって…っ」ジワァ・・・

れいか「……っ」

みゆき「あかねちゃんについては、私達の勝手な思い込みで怒らせちゃったって分かってる……酷い事言っちゃったって、すっごく反省してる…」グスッ

みゆき「だけど、私……なんで今、オオカミさんが怒ってるのかが分からない……全然分からないよぉ…っ」ポロッ

やよい「………」

みゆき「本当に、ダメだよね私って…っ。 相手の気持ちも知らないで、自分の言いたい事だけ言っちゃって…!」ポロポロ

みゆき「その上、自分のどこが間違ってるのかさえ分からないんだもん……本当に酷過ぎるよね、私……っ」ポロポロ

なお「………、みゆきちゃん、は…」

みゆき「…?」グスッ

なお「みゆきちゃんがさっき言ってた事は……本心、なんだよね?」

なお「あかねの時みたいに、その場での思い込みなんかじゃなくって…」

なお「あたし達が出会うずっと前からずっと……ずっとそう信じてきた事なんだよね?」

みゆき「? ……う、うん…」コクン

なお「……こんな事…今のあたしには言う資格がないかもしれないけど、さ……」ポリポリ

みゆき「……?」

なお「…みゆきちゃんは、何も間違ってはいないって……あたしはそう思うよ?」ニコッ

みゆき「え……?」

なお「あたしは今までスポーツばっかりやってたから、みゆきちゃんの言う物語の事とかを完全に理解するのは難しいかもしれないけど…」

なお「だけど……それでもみゆきちゃんがさっき言ってた事に、どれだけの思いが込められてるのかは十分に伝わったよ?」ニコッ

みゆき「なおちゃん…」

やよい「…私もだよ…みゆきちゃん」ニコッ

みゆき「やよいちゃん…」

れいか「私もです。 ……私も、みゆきさんの言葉に心打たれました」ニコッ

みゆき「れいかちゃん…」

れいか「……そして……」チラッ




ウルフルン「俺様は人間共が絶望する顔が見てぇ!! 見てぇんだよ!!! ただそれだけなんだよ!!!」

ウルフルン「ただそれだけだっつーのに、毎回毎っ回テメェらにことごとく邪魔されてさぁッ!! こんな話があるかよ!!? あってたまるかっつーんだよぉぉおおおお!!!」




れいか「あの方も、きっと……みゆきさんの言葉に心打たれたのだと思います」

みゆき「えっ…? そ、そうなの…?」

れいか「…誰にだって、自分が信じる『道』というものがあるはずです」

れいか「そしてその進む『道』に少しでも『迷い』が見えた時……みゆきさんなら、どうなさいますか?」

みゆき「えぇっ!? え、えーとえーと……」ウーン・・・

れいか「………」ジー

みゆき「……多分、その場で立ち止まる…とか…?」

れいか「…私と同じなんですね、みゆきさんは」フフッ

みゆき「?」

れいか「私も以前、自分が何をしたいのかを悩んでいる時がありました。 ……そして少しの間だけですが、全てをやめてしまっていた…」

れいか「あの時に至っても私は、己が進んできた『道』に疑いを持ってしまったのです……だから立ち止まっていた…」

みゆき「そ、そういえば……確かにそんな事があったよね…」ウン

れいか「なおの場合なら、たとえそうなっても何も考えず、がむしゃらに進んで行っちゃう……小さい頃からそうだったものね?」クスクス

なお「ぅぐ…っ!? …ま、まぁ……否定はしないけどさ…」ゴニョゴニョ

れいか「……そして立ち止まったり、がむしゃらに進む以外の行動を起こす方もいます」

れいか「私も生徒会活動の一環で、何回かそのような方々に会った事がありまして……主に私が関与したのは、身だしなみに関する事だけだったのですが…」

みゆき「『服装チェック』、って…」

やよい「そ、それってまさか……いわゆるヤンキーさん…とか?」

れいか「はい…。 状況次第では、先生が代わりに対処して下さったので何事もありませんでしたが…」

れいか「それでも話を聞いてみると……どうやらあの方々も、自分の進むべき『道』で迷っていたみたいなんです」

なお「『道』、って…?」

れいか「……それは全部、自分への葛藤でした」

れいか「『思い通りにしたい事ができない』、『周りに認めてもらいたいのに、誰も自分を見てくれない』、『ハゲたくないのに、もう毛根が2割を切ってしまった』等々……
    みんながみんな、解決する事が難しいような……それでいて単純で、小さな悩み事を持っていたのです…」

なお(最後の方、悩み事としてはもの凄く深刻な気がするんだけど…)

れいか「そしてその人達は、悪い事をして先生に怒られる際に口を揃えて言うのです……『むしゃくしゃしてやってしまった』、と」

みゆき「『むしゃくしゃ』って……―――っ!」ハッ!

れいか「……みゆきさんや私…そしてやよいさんもおそらくは、道に迷えば立ち止まって悩む事になるでしょう」

やよい「う、うん……多分だけど、私もそうなると思う…」コクン

れいか「…そしてなおの場合は、悩んでいても仕方がないからってそのまま進んでいってしまう事になるでしょう」

なお「う……うん…」コクリ

れいか「……そして、その両方にも当てはまらない場合はきっと…」スッ・・・

れいか「あの先生に怒られていた方々のように、何が正しいのかが分からなくなり……それでいて、自分自身のやっている事が正しいのだと、そう振り払うようにして……」




ウルフルン「俺様がやっている事や!! 頭ん中で思ってる事!! それら全部に間違いなんて何処にもねぇんだよ、このハッピー野郎ッ!!!」

ウルフルン「挙句の果てには話巧みに変な情報入れようとしやがって!! そんなくっだらねぇガセネタはテメェの腐った脳味噌だけにしまっとけってんだクソボケェッ!!!」




れいか「……あのようにむしゃくしゃしてしまい、暴走してしまうのだと……そう思います……」

みゆき「………っ」





ウルフルン「あーあーあーあーマジでもうめんどくせぇったらめんどくせぇッ!!! もうちまちますんのは止めだ!!」

ウルフルン「こうなったら今すぐにでもバッドエンド空間作って、人間共をまとめて不幸にしてやる!!」サッ

ウルフルン「なぁおいテメェら!! 俺様が待つ必要なんてもうねぇんだよなぁ!? もう始めちまっても全然構わねぇんだよなあぁぁあ!!?」つクロイエノグ




なお「……ダメだ。 アイツ…もう話聞いてくれる様子じゃないよ…」

みゆき「……オオカミさん、ごめんね…っ。 私が貴方を怒らせちゃったんだよね……っ」グシグシ

れいか「…それで、これから一体どうしましょうか…?」

れいか「正直に申し上げますと私、あの方と戦いたくなんてありません……あかねさんへの恩があるというのに、それを仇で返すだなんて…」フルフル

なお「あたしもだよ…。 ここは一旦、戦わないよう逃げた方が良いんじゃ―――」

みゆき「………、いや」グッ

なお「?」

みゆき「私、戦うよ………ここで、オオカミさんと戦う…っ!!」チャッ

なお「…っ!?」

れいか「み、みゆきさん!?」

やよい「そ、それって……倒すっていう事…?」ワナワナ

みゆき「……ううん、違う…」フルフル

やよい「…?」

みゆき「私が勝手にお話をしたから、オオカミさんを怒らせちゃったんだよ…?」

みゆき「それなのに、何の謝りもしないでそのままにして逃げるだなんて……そんなの、できっこないよ…」フルフル

みゆき「最後まで責任は取らなきゃ…っ。 もしここで逃げちゃったら私、本当の本当に最低な人になっちゃう……」

やよい「……みゆきちゃん…」

みゆき「あっ…でも……あまり変わりはないのかもしれないよね…」

みゆき「あかねちゃんに対しても十分…最低な事をしてきた訳だし……」

なお「………」

みゆき「でっ、でもでも! だからって、同じ事を何度も繰り返しちゃダメに決まってる!」ブンブン

みゆき「だから、止めなきゃ…っ!! 『逃げる』んじゃなくて、『倒す』んじゃなくて……オオカミさんを『止める』んだ…っ!!」グッ

みゆき「今のオオカミさんには、勝てるかどうかなんて分からないけど……それでも、私1人だけでもやらなくちゃ…っ!!」ブルブル

れいか「………、分かりました」

みゆき「…?」ブルブル

れいか「少々後ろめたい気持ちがありますけど…」

れいか「攻撃せずに、ただ押さえつけるだけなら……問題はさほどありませんよね?」チャッ

みゆき「えっ…?」

なお「母ちゃんが父ちゃんに関節技極めてるとこ見といて良かったよ」テクテク

なお「ちょびっとだけ父ちゃん痛そうにしていたけど……あれならあたしにもできそうだし」チャッ

みゆき「えっ? …えっ?」

やよい「必殺技も使っちゃダメ、かぁ~……。 うぅぅ~……やっぱり、ちょっと怖いかも…」チャッ

みゆき「みっ、みんな…!?」

れいか「……確かに、みゆきさんの言うとおりです」

れいか「今ここで逃げてしまっては、何も変わらない…」グッ

れいか「ただ逃げてしまっては……あかねさんに示しなんて、とてもつけられやしません…!」

みゆき「…れいかちゃん……」

なお「…あかねはどんな時でも、1人で逃げずに頑張ってきたんだ…」

なお「それだっていうのに……あたし達は、自分のわがままで逃げちゃう所だった……」

みゆき「………」

なお「…それに今気付かせてくれたのは、みゆきちゃんのおかげだよ。 …本当にありがとう」ニコッ

みゆき「なおちゃん……」

やよい「……みゆきちゃんも、本当は戦いたくなんてないんだよね?」

みゆき「やよいちゃん…?」

やよい「それでもみゆきちゃんは、自分がやった事に責任を感じてるからオオカミさんと戦おうとしている…」

やよい「だから、私も手伝う…! みゆきちゃんが頑張ろうとしてるのに、私達だけで逃げるなんて絶対にできないよ…っ!!」

みゆき「やよいちゃん……みんな……っ」ウルッ

みゆき「本当に、本当にありがとね……っ。 こんな私のために……」ウルウル

なお「……それはちょっと違うよ、みゆきちゃん」

みゆき「…?」グスッ

なお「みゆきちゃんだけなんかじゃないよ……あたし達全員で、あかねの事を追いつめちゃったんだから…」

みゆき「………うん……」コクン

れいか「……むしろ、私達の方が最低なんです」

れいか「みゆきさんがお話をして下さらなければ……私達はあの方に、感謝の気持ちを抱くことさえできなかったでしょうから…」

みゆき「………」

やよい「……だからね、私達はみゆきちゃんに感謝しているんだ」

やよい「だからみんなで貴女のお手伝いがしたい。 貴女と一緒に、オオカミさんを怒らせた事への責任を持ちたい…」

やよい「そして…そして貴女と一緒に、みんなで一緒に……あかねちゃんに『ごめんなさい』って……そう伝えたいの……」

みゆき「………」

みゆき「……そっか……」クスッ

みゆき「そう、だよね……私だけじゃないん…だよね…」

みゆき「みんな揃って……4人揃って『最低な人』、なんだよね……」アハハ・・・

キャンディ「…キャンディも『さいていなひと』、クル……」シュン

みゆき「あははは……ごめんね、キャンディー…」ナデナデ

みゆき「私達みーんな最低だ……。 もうあの人に対して、この先『友達』だなんて言う資格はないのかもしれない…」ナデナデ

みゆき「だけどせめて……せめて自分達で出来る事は、とにかくやらなくちゃ…だよね……」

やよい「………うん」コクン

なお「………、」コクン

れいか「………、……それではみゆきさん…」コクリ

れいか「少しの間ですが……どうかよろしくお願い致します」ペコリ

みゆき「………」グシグシ

みゆき「………、うん!」キリッ

ウルフルン「……んぁ?」



みゆき「………っ」ズンズン



ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「……やぁーっと来やがったかぁ……♪」ニヤァ・・・

みゆき「……オオカミさん…」ザッ

ウルフルン「さぁさっさと始めようぜ!! 俺ぁもう我慢の限界なんだからよぉ!!」

ウルフルン「テメェらがくたばるか! それとも俺様が先にくたばるか!! 今こそここで決着を着けて―――」

みゆき「……ううん、そうじゃないよ…」フルフル

ウルフルン「……あ゛?」

みゆき「決着なんて、着けたくない…」

みゆき「もちろんくたばりたくないのもあるんだけど……それ以上に、オオカミさんをくたばらせるなんてしたくないよ…」

ウルフルン「じゃあ何故テメェらは俺様の前に立ってんだよ!? 何故そんな覚悟決めた目でこっち見てやがんだよ!!?」

ウルフルン「つーかその瞳には覚えがある!! その目はまさに、恐怖を感じながらもオオカミと戦うことを決めた奴らの目ぇそのもの―――」

みゆき「……確かに、その通りだよ…」

ウルフルン「あ゛ァ!?」ギンッ

みゆき「私はこれから…オオカミさんと戦う」グッ

みゆき「凄く怖いっていう気持ちは確かにあるけど…それでもやらなくちゃって……だから今、貴方の目の前にいるの…」ブルブル

ウルフルン「だったら何も違わねぇだろうが!!? 戦うと決めた以上、白黒つけない限り終わりなんて見えねぇんだっつーの!!」

ウルフルン「テメェらが俺様に食われ骨だけになっちまうか!! 俺様がテメェらに毛皮捌かれてそれ以外をゴミとして捨てられるか!! それ以外何もありゃしねぇんだよ!!!」

みゆき「……そんなの、嫌……」ボソッ

ウルフルン「――、…あ゛?」フーッ フーッ

みゆき「嫌だよそんなの……そんな事、したくないよ…っ」フルフル

ウルフルン「……何だと?」

みゆき「……私は、ただ……」

ウルフルン「…?」

みゆき「…ただ……っ」キュッ









みゆき「ただ貴方に……もっともっと、『ありがとう』って伝えたい…っ!!」


ウルフルン「…っ!!?」

みゆき「確かにさっきも言ったよ、『ありがとう』って……少し曲がった考えかもしれないけど、それでも私は貴方にありがとうって言った…!」

みゆき「だけど、あんなちょっとじゃ……あんなちょっとだけじゃ、私のこの気持ちを伝えきるなんて絶対にできないよ…っ!!」フルフル

ウルフルン「……っ」

れいか「私もです。 ……私も、もっと貴方に感謝の気持ちを伝えていきたい…っ」ズイッ

なお「たった1回しか言ってないんだ…。 …だから、まだまだ言い足りないんだよ…っ」ズイッ

ウルフルン「………」

やよい「私達はただ、貴方に伝えたいだけなの…。 『朝学校へ来てくれてありがとう』、『あかねちゃんを助けてくれて、本当にありがとう』って…」ズイッ

やよい「ただそれだけなのに…貴方が敵さんだとか、私達が敵同士だとか……そんなの、関係ない…っ!」

やよい「関係なんてあるわけないよ…っ!! もっともっと貴方に、『ありがとう』って言いたいよぉ…っ!!」ジワァ・・・

ウルフルン「………」

みゆき「……それから私、オオカミさんに謝りたい事があるの…」

ウルフルン「………」

みゆき「本当に、ごめんなさい…っ! オオカミさんが怒るとは思わなかったからって、私ってば気に障るような事言っちゃったみたいで…」ペコリ

ウルフルン「………」

みゆき「でもね、私…さっきの言葉の中に、嘘なんて1つもない……ただ自分が素直に思った事を言っただけなの…」

みゆき「貴方の事を、悪いオオカミだなんて思いたくない……貴方にも幸せになってもらいたいんだ、って…」

ウルフルン「………」

みゆき「…オオカミさん……っ」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………ギヒッ★」

みゆき「!」

ウルフルン「…ク、ヒヒッ…ギヒャヒヒヒヒ……」プルプル

みゆき「…?」

ウルフルン「何、だよそりゃぁ…? それがテメェの、ゲヒヒッ…テメェらの思ってる事でっ、事dアヒャギャヒヒッ!!」

みゆき「あ、あの…?」

ウルフルン「そういう考え方自体が馬鹿馬鹿しいっつぅーんだよぉぉぉおぉおおぉおぉぁぁゲッヒャヒャヒャ!! ウルッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ……!!」ゲラゲラ

みゆき「オ…オオカミ、さん……?」オロオロ

ウルフルン「ウルッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ、グひッ…ひひっ、ギヒャヒャヒヒヒ……」ゲラゲラ

みゆき「え……えっと……」オロオロ

ウルフルン「ヒャヒッヒヒャヒャヒャヒャ……ヒャハ、ハハ…ハハハ………、はぁー……」

みゆき「…?」

ウルフルン「……―――っ、」スゥー・・・

みゆき「……?」



ウルフルン「―――クッッッソふざけてんじゃねぇぇえぇえぇええぇぇぞぉおぉぉおおおぉぉぉおおおおおぉぁぁああぁあああぁああああああああああああああああ!!?」グァッ!



みゆき「…っ!?」ビリビリ

ウルフルン「さっきから『感謝』だの『ありがとう』だの『幸せ』だの!!! 忌々しい単語を飽きもせず口から出し続けやがって!!」

ウルフルン「お前らの姿は見てて滑稽なんだよ!! 仮に幸せになったとしても全然満足することなく、飢えた獣のように次の幸せへと貪りやがる!!」

ウルフルン「まさにテメェらは『飢えた獣』そのものだ!! このオオカミである俺様以上に、飢えに飢えちまってんだよテメェらはよォッ!!!」

みゆき「……ごめん、なさい……」キュッ

ウルフルン「来いよ!!! 幸せな結末しか求めることができねぇ猿共が!!!」

ウルフルン「テメェらがまるで味わった事のない!! 俺様が理想とする『最悪の結末』へと!! 俺様が直々に引きずり込んでやるからよぉぉおおおおおおおお!!!」

みゆき「…ごめんなさい……私…っ」ポンッ

なお「………止めよう、みゆきちゃん…」

みゆき「なおちゃん…」

なお「コイツを止めて、話を聞いてもらえるようになったら…」

なお「そしたらみんなで伝えよう? たくさんの『ごめんなさい』と、たくさんの『ありがとう』っていう気持ちを。 ………ね?」

みゆき「……うん…」コクン

れいか「…そして……みんなで謝りましょうね? あの人に対して数えきれないくらい、たくさん、たくさん……」

みゆき「…うんっ…!」コクン

やよい「……キャンディ。 ちょっとだけ危ないから、遠くへ離れててね…」

キャンディ「ク、クル……みんな、気を付けてクル…っ」トタタタ・・・

みゆき「……ごめんね、オオカミさん……本当にごめんね……」

なお「…っ」チャッ

みゆき「少し落ち着いたら、何回でも謝るから…」

やよい「みゆきちゃん…っ!」チャッ

みゆき「数えきれないぐらい、たくさんたくさんごめんなさいしてあげるから……だから……」

れいか「―――、来ますっ!!」チャッ

みゆき「……だから、少しの間だけ…っ」グッ

みゆき「貴方と戦ってしまうことを……どうか、許して下さい―――…っ!!」チャッ

ウルフルン「何とでもほざけ! 思うがままに猛り狂え!! 好きなだけ絶望しろォッ!!!」パカッ

ウルフルン「幸せしか知らねぇガキ共が!! 幸せしか知ろうとしねぇ馬鹿共がッ!!! 俺様がテメェらに負けるはずがねぇよ!!! 不幸から目を背ける奴らなんかに、
       絶対に絶対に負けるはずがねぇんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」














ウルフルン「世界よォッ!!! 最悪の結末、バッドエンドに染まれェッッ!!!」ブシュゥゥ!

4人「「「「プリキュアッ!! スマイルチャ―――――――――――――――ジ!!!」」」」レッツゴー!

今回はここまでになります。 次は場面が切り替わり、あかねちゃん視点から始まると思います。
と言いますか、戦闘シーンとかはまるで用意してないんですよね。 ごめんなさい。

「キジも鳴かずば」って昔話を思い出した
他にも救いようのない結末、いわゆるバッドエンドの話もたくさんあるけど

これらの中には『一部のキャラがバッドエンドにならないと辻褄が合わなくなる・道理を外れてしまう』話もあるよな?

例えば赤い靴やスペードの女王。ほぼ全ての原因が主人公の自業自得であり、話自体が一種の戒め
例えばマッチ売りの少女やフランダースの犬。あえて安易なご都合展開にせず、冷酷かつ自然な成り行き
上記の「キジも鳴かずば」にしたって、「家の中の事を外で言いふらすな」という教訓が込められている


みゆきはオオカミさんへの説得の中で何度も
『オオカミさんも幸せになっていい』
『物語も全部が全部そんな結末だったらいいのに』
『みんなと喜びを分かち合える幸せな世界』
という言葉を繰り返してるけどさ、

そりゃ確かにお前の好きなピーターパンを始め有名な童話のほとんどはハッピーエンドだよ
主人公が目的達成orもっと大事な何かを手に入れて万事解決大団円だよ

そしてその陰で「ワニに食われたり」「ボコボコにされ宝物奪われたり」「暖炉に蹴落とされて焼かれたり」「腹に石詰められて苦死んだり」する悪役達がオオカミさん達バッドエンド住民の大元なんだよ……
そもそも「オオカミさんも幸せになれる、誰かを幸せになれる」って人間側からすれば聞こえは良いけどさ、
オオカミさん達の側からすれば“昔話の中の悪役・汚れ役達の行動や存在意義の全否定”も同義だからな……
流石にこれはブチ切れてもしょうがないよ……


長々と済まん、久々の更新についテンションが上がってしまった
とにもかくにも>>1

>>623
干支の順で鼠を12時の方向に置き時計回りに配置したとき
鬼の象徴である牛(角)虎(衣服)である鬼門の逆
つまり裏鬼門に当たるのが猿鳥犬だから
要は黙れってこと死‎ね

>>626
成程、それであいつら二本角に虎柄のパンツ履いてるのか

今から続きの方を投下していきます。 区切りが良いとは決して言えませんが…。
長い間生存報告も何もせず、このスレを放置させる形になってしまい本当にすみませんでした。

~放課後・七色ヶ丘中学校~


あかね「………」スー スー

後輩「………」

あかね「………」スー スー

後輩「………」

あかね「………んっ…」ピクッ

後輩「!!」

あかね「んん~……?」パチ

後輩「せ、先輩!」バッ

あかね「ん? …あ、あれ? 君は……」パチパチ

後輩「よ、良かった~……もう目を覚まさないんじゃないかと…」ホッ・・・

あかね「ん~~……なーんか、むっちゃよう寝た気ぃするー…」ムクッ・・・

後輩「あ、あの~…? すぐに起き上がっちゃって、大丈夫……なんですか?」

あかね「あー、うん。 それは全然平気……なんやけど」グシグシ

後輩「?」

あかね「ここって何処なんやろ? 初めて見る場所やけど……?」キョロキョロ

後輩「あぁ、そうでしたね。 …ここは校長室ですよ、先輩」

あかね「こっ、校長室!? なんでウチ、そない大層な場所で寝て…!?」ギョッ

後輩「校長先生が、『この部屋を使うように』と言ってくれたからなんです」

後輩「倒れてしまった先輩を運ぶにしても、保健室が使えないので困ってたんですが……そんな時に、校長が直々に申し出てくれたんですよ?」

あかね「…あー…そうなんかー……そこら辺の記憶、全然覚えて無いんやけど…」ポリポリ

あかね「けどそっかー……ウチ、いつの間にか倒れてもうてたんかー……」ハー

後輩「最初はお父さんやお母さんを呼ぼうとしてたんですが……なんだか学校中が殺気立ってるので、少しでも迷惑を掛けないよう今は避けた方が良いと…」

あかね「そうなんかー……」

後輩「………」

あかね「………」

後輩「…えーっと…その……こ、校長先生って凄く優しいですよね! 自分の部屋をわざわざ貸してくれるなんて!」

あかね「えっ? …うん、そうやな。 後でありがとうって言わんとな」

後輩「………」

あかね「………」

後輩「………」ダラダラ

あかね「………」

後輩「あ、あの! 今日はすごく良い天気ですね!」

あかね「? そうやな?」

後輩「それでその! 私今福神漬けにハマっていまして!」

あかね「へっ!? 何やいきなり!?」フクジンヅケ!?

後輩「良いですよね福神漬け! カレーのお供としても大活躍なんですがそれ以外にも美味しい使い道が沢山あるんですよ! 私、今度色が付いてないのを作ろうと思ってまして―――」

あかね「ちょ、ちょい待ち!! いきなりどないしてんアンタ!?」

後輩「………」ダラダラ

あかね「……?」ジー

後輩「………」ダラダラ

あかね「………?」ジー

後輩「………す…」

あかね「す?」


後輩「すみ…ません……でした……っ!」ペコリ


あかね「えっ…?」ポカン

後輩「すみませんでした! すみませんでしたっ!! すみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」ペコペコペコペコー!

あかね「も、もうええから! 謝るんはもうええから!! ひとまず落ち着いてぇや!!」

後輩「だ、だってぇ……さっき私、先輩に酷い事言っちゃったのに……」ウルウル

あかね「『酷い事』……?」ウーム




―――知らないですよ。 そんなどうでもいい事なんて―――




あかね「あー、あん時の事か」ポンッ

後輩「『あん時の』って……そんな軽いノリで言えたものじゃないのに…」

あかね「ん~、でもなー……それって仕方のない事だったんやろ?」

後輩「?」

あかね「アンタ、あの先輩達に脅されとったんとちゃうんか?」

後輩「!!」

あかね「……反応からして、やっぱそうなんやな?」

後輩「……凄いですね、先輩って。 本当に凄いです……私、まだ何も言ってないのに……」

あかね「それでも気付いたんは、すぐ後からなんやけどなー…」エヘヘ

あかね「それにしても、最初言われた時は気が動転してるせいかむっちゃ効いたわー。 心にグサーッと」

後輩「うっ……す、すみません…」シュン・・・

あかね「いやいやいや、謝らんでえーよ。 脅されたんやったら、その台詞は本心やなかったっちゅー事やし」ヒラヒラ

後輩「先輩…っ」パァァ

あかね「いやでも、流石に『きたない手で触るな』の下りはあんまりやったんとちゃうかー?」チラッ

後輩「うぐぉぉおぉおお!?」グサグサーッ

あかね(コイツからかいがいがあんなー……ちょいと癖になるかも)ニシシッ

後輩「そ……それでも良かったですよ…」プルプル

あかね「?」

後輩「いつものように先輩が笑ってくれて……全然作り物じゃない笑顔でいてくれて…」

後輩「まるで、今までの事が嘘みたいです…」

あかね「………」

後輩「あの時、あのオオカミみたいな人がいなければどうなっていた事か……」

あかね「………」

後輩「…まぁでも、そんな事考えたって仕方ないですよね。 今はとりあえず、助かった事に素直に喜んで―――」

あかね「……まぁ…『今回は』、なんとか助かった事になるんやけどな」

後輩「?」

あかね「あの先輩が……あの2人がこんな事で終わるなんて、絶対ありえへんねん……」

後輩「――、………」

あかね「今回は結果オーライやったとしても、次もまた同じようにいくなんて到底思えへん」

あかね「むしろ次は、今回以上に酷い事を仕掛けてくるかも……」

後輩「………」

あかね「……なぁ、ところでアンタは大丈夫なんか?」

後輩「えっ?」

あかね「アンタも脅されとるんやろ? せやったら、こうやって話するのも色々マズいんちゃう?」

後輩「あ、はい。 それについてはもう大丈夫で―――」

あかね「あーそっか。 そういや周りには誰もおらへんもんな」ナルホド

後輩「……はい?」

あかね「今は先輩の目が届かない場所におるから、ここなら安心して話ができるっちゅー訳か……それなら納得やね」ウンウン

後輩「へっ? …えっ?」

あかね「まぁどういう理由で脅されたかは知らんけど、こういう場所以外で話したら怪しまれるからな。 そこんとこ気ぃ付けやー」ビシッ

後輩「ちょ、ちょっと…!?」

あかね「あーでもこの先、あの2人に嫌な事をされた後とかでええから、こうやって話をしてもらえたら嬉しいんやけど―――」

後輩「………ばっ…」プルプル

あかね「?」

後輩「馬鹿な事を言わないで下さいっ!!」グァッ!

あかね「っ!!?」ビクッ!

後輩「なんでそんな事を言うんですか!? なんで貴女はいつだってそうなんですか!?」ズイッ

あかね「な…なんでって……?」オロオロ

後輩「絶対に苦しいのに、辛いはずなのに……なんで誰にも助けを求めず、迷惑も掛けず、自分だけの力でなんとかしようとしてるのですか貴方は…っ!?」

あかね「だ、だってな? これはウチだけの問題やし……それにそっちが関わってもうたら、先輩達に何されるか分からへんし…」オロオロ

後輩「それでもいいんです!!」ズイッ

あかね「!?」

後輩「確かにさっきまでは脅された事もあり、あの先輩達の言う事を聞いているしかありませんでした!」

後輩「しかし、それによって日野先輩が追いつめられてしまった…。 本当なら、同じ仲間である私達がなんとかするべきだったっていうのに…!」グッ

あかね「え…えーっとえーっと……そこまで思いつめんでもええんよ? ウチは全然大丈夫やから…」

後輩「ですから…もう決めたんです!」

あかね「? 『決めた』って…?」

後輩「私達バレー部は、もう2度と今日のような悲劇は起こさないと! もうこれ以上、日野さんを悲しませるような事は絶対にしないと!!」

後輩「たとえ脅されようと決してそれに負けず、常に日野先輩の味方であろうと!! …そうみんなで決めたんです!!」

あかね「へっ!? ダ、ダメやってそんなん!! ウチ1人のためなんかにそんな…!」ブンブン

後輩「いいんですよ。 それにもう―――」

あかね「……?」

後輩「今日の朝礼でみんなが騒いでる間に、あの先輩達に逆らっちゃいましたから」テヘッ

あかね「なっ…!?」

後輩「正確には逆らってはいないんですが……それでもあの先輩の怒りを買うには十分でしょうね。 つまり言うところ、もう後には引けません」

あかね「な、なんでや!! なんでそないバカな事を…っ!!」キッ

後輩「全ては貴女のためです、日野先輩!!」

あかね「!!」

後輩「……先輩の気持ちは痛いほどよく分かりますよ」フゥ

後輩「『他の人が不幸になるぐらいなら、自分1人で不幸になった方がマシだ』とか思ってるのでしょう……まさに先輩が考えそうなことです」

あかね「…せやったら、なんで……」

後輩「…それでも」

あかね「……?」

後輩「たとえそれでも……もうこれ以上は、先輩が悲しむ姿なんて見たくない…」

後輩「私達のためなんかに…自分1人で辛い思いをしている姿なんて、もう見たくないんですよ…っ!」グッ

あかね「………」

後輩「あの時緑川さんが言っていたように、先輩には笑顔が一番似合うんです」

後輩「ですから、先輩には笑ってもらいたい。 いつものように笑顔と元気を周囲に振りまいていて欲しい」

あかね「………」

後輩「何かあったとしても、私達がいますから。 チーム一丸となって……まぁ、あの2人は別にして……いつでも、どこでもサポートしてあげますから…」

あかね「………」

後輩「だから先輩。 一緒にバレー、頑張っていきましょうよ………ねっ?」ニコッ

あかね「………」

後輩「………」

あかね「………」

後輩「……?」アレ?

あかね「………」

後輩「…あのー……?」

あかね「………っ」ジワァ・・・

後輩「っ!? せ、先輩、泣いて…!?」ギョッ

あかね「あ、あれぇ……? おかしいな…? なんでウチ、泣いてんねやろ…?」グシッ

あかね「全然悲しいないのに……むしろめっちゃ嬉しいはず、やのに……なんで…?」ポロポロ

後輩「……多分先輩は、嬉しいから泣いてるのではないでしょうか?」

あかね「嬉しいから、泣いてる…?」ポロポロ

後輩「はい。 …人は思いがけない喜びを得ると、自然と目から涙が流れるそうなんです」

後輩「きっと先輩は、私達の気持ちに対して心から嬉しいと感じ、涙を流したのではないかと…」

あかね「……ホンマに…?」グスッ

後輩「…では、先輩の方はどう思っていますか?」

あかね「ふぇ?」ポロポロ

後輩「先輩は今、どんな気持ちでいますか? …今すぐその涙を止めたいって思っていますか?」

あかね「………」グシグシ

後輩「………」

あかね「……せや、な…」ポロッ

あかね「止めたいって、不思議と全然思わへん……むしろ流してて心地良いもんやなこれって…」ポロポロ

後輩「……ここにタオルが沢山あります。 今日は部活がなくなったので、思いっきり使って下さいね」

あかね「うん………ありがとう」ニコッ

~数分後~


あかね「あー、スッキリしたわーホンマ」ゴシゴシ

後輩「……もういいんですか? もっと泣いてもいいんですよ?」

あかね「いやー気持ちはありがたいんやけど……タオルがほれ、この通りびっしょびしょやし」グッショリ

後輩「え? ……うわっ!? 本当だ!」ビッショビショ!

あかね「へいパース」ポーイ

後輩「わっ!? とっとと…、うっわ!? おっもぉっ!!」ズッシリ

あかね「これ以上泣いたら校長室が水びたしになるからなー。 ここら辺で我慢しとくわ」

後輩「あははは……」

あかね「しっかし、ぎょうさん泣いたせいか喉がカラカラになってきたなー」

後輩「あっ、私水筒持ってますよ。 好きなだけ飲んで下さい」ガサゴソ

あかね「え? いやいやいや、タオル貸してくれただけ十分やのにそんな…!」ブンブン

後輩「いいんですよ。 水飲み場よりも、こっちの麦茶の方が美味しいと思いますし……はい、どうぞ」つスイトウ

あかね「あ、ありがとう……全部飲んでもええの?」

後輩「えっ?」

あかね「えっ?」

後輩「……それ、2リットル入りですよ?」

あかね「うん。 見りゃ分かるけど」

後輩「えっ?」マジデ?

あかね「えっ?」ヤッパアカンカ?

後輩「……ど、どうぞ。 飲めるだけ飲んで下さい」

あかね「ホンマ恩に着るわー」ゴッキュゴッキュゴッキュ

後輩「」スゲェヤ

あかね「ぷっはぁーっ!! 飲んだ飲んだー!」(*゚∀゚)=3

後輩(本当に全部飲んじゃった…)

あかね「でも悪いなー、ここまでウチのためにやってくれて…」

後輩「い、いえ! 今まで全然何もしてあげられなかったので、このくらいは…!」ブンブン

あかね「でもホンマにええんか? あの先輩に今から謝れば、まだ間に合うかもしれへんのに…」

後輩「何言ってるんですか! 謝る必要なんて全くありませんよ!」

後輩「それにもう決めたことです! …ちょっとだけ怖いけど……それでも、みんなの気持ちは1つですから!」フンス

あかね「そっかー……みんなもう覚悟を決めてるんやなー…」

後輩「は、はい! ですから安心して下さ―――」

あかね「なら、ウチも腹を括らんとアカンな」

後輩「――、?」

あかね「まだ諦められへんとか、好きになってもらえるかもとか……そんな生温い事、みんなの前では言ってられへんし」ウン

後輩「え? それってつまり…?」

あかね「ああ。 ……ウチも闘う」

後輩「!!」

かね「『闘う』っつっても暴力は振るわへんで? あくまで対応の仕方を変えるだけや」

あかね「相手の嫌がらせには徹底的に抵抗したる。 へらへら笑って誤魔化すなんてせず、言いたい事があったらはっきりと言ったる」グッ

あかね「最終目標は、せやな……前に無理って馬鹿にされたからアイツらに実力で勝って、意地でもエースアタッカーにのし上がったる、って所か」ウーム

後輩「先輩…」

あかね「他のみんながこれだけ頑張ろうとしてるんや。 そもそもの原因であるウチだけが逃げるなんて、筋が通らへんやろ?」

後輩「先輩…っ!」パァァ

あかね「せやから……こんなウチなんかのために悪いって思てるけど…」

あかね「少しの間だけでええから……力を貸してくれへんか?」ニパー

後輩「…っ! はいっ!!」ニコッ

あかね「よっしゃー!! 新たに気持ちを入れ替えたウチは、まさに無敵そのものやでー!」ウガー

後輩「はい……はい…っ! 本当に、本当に良かったです…っ!」パチパチ

あかね「そんじゃー早速明日から頑張らんとな! 見とけよアイツらー!!」ウデマクリ

後輩「へ? 『明日』、って先輩…」

あかね「なんや? 明日も平日で、普通に学校あるんやろ?」グルングルン

後輩「……あぁ! 先輩はまだ知らないんでしたよね」ポンッ

あかね「?」グルグル

後輩「先輩は明日から学校に来れませんよ?」

あかね「………、へ?」ピタッ

後輩「学校側の判断で、しばらくの間は学校を休むようにと決められたんだそうです」

あかね「えぇぇぇ!!?」ガビーン

あかね「な、何てことや……。 『出鼻をくじかれる』とはまさにこの事やんかぁ~…」ガクッ

後輩「ま、まぁまぁ…。 そんなに落ち込まないで下さい」

あかね「で、でも…」

後輩「それでもまだマシな方なんですよ? 全校生徒が一時的に暴動化したなんて、退学になってもおかしくはないんですから」

後輩「それにですね、こういう決断を下したのは校長先生なんですよ?」

あかね「校長が…?」

後輩「はい。 『今回の件を通じて疲れてるだろうから、じっくりと体を休めて欲しい』、との事です」

あかね「そっか。 …でも『しばらくの間』ってどれぐらいなんやろ…?」

後輩「具体的な期間はもう決められてると思うので、職員室へ挨拶がてら確認しに行ってみてはどうでしょうか?」

あかね「うん、せやな……そんじゃー今から行っときますか」スクッ

後輩「あっ、そういえば」

あかね「?」

後輩「今朝いきなり現れた、オオカミみたいな人……あれって一体何だったんでしょうね?」

あかね「あぁ、アイツか……」

後輩「やっぱり知り合いなんですか? だったら助けてもらったのも…」

あかね「うーん、まぁ一応な。 …せやけどあっちはそんな気なんて、さらさらなかったんやろうけど…」

後輩「? …それって、どういう意味ですか?」

あかね「へっ!? ど、『どういう意味』、って…?」ギクッ

後輩「考えてみるとおかしいんですよ。 今回の騒動は原因は、あの先輩達にあるっていうのに…」ウーン

後輩「得られる物なんてないのにわざわざ罪をかぶるなんて、助ける以外に理由はないと思ってたんですが……そうじゃなかったとしたら、一体……?」ウーム

あかね「ま、まぁどうでもええやんかそんなん! 今はそんなんよりも今後の事を考えるべきやろ?」ドギマギ

後輩「……先輩、何か隠してますよね?」

あかね「かっ、隠してへんよ!? 全然隠してへん! ホンマにホンマ!」ブンブン

後輩「明らかに動揺してますねぇ……」ジトー

あかね「動揺なんてしてへんし! 何も隠してへんし! 動揺なんてしてへんし!!」ブンブン!

後輩「む~………そこまで言うなら、仕方がありません……」ガサゴソ

あかね「よ、良かった~。 分かってもらえてウチは嬉しい―――」ホッ

後輩「この涙まみれのタオルで、この部屋全体の拭き掃除をしようかと思います」グッショリ

あかね「げぇっ!? あ、あかんてそんなん!!」ヤメテ!

後輩「実はあそこら辺に隠し扉があったんですが、そこで見つけたこのカツラも入念に拭いて―――」つカツラ

あかね「カ、カツラて!!? いやそれよりも言う言う、言うからっ!! 今すぐ言いますからやめて下さいお願いします!!!」




~説明中~



後輩「な、なるほど……そんな事情があったんですか…」ビックリ

あかね「ああ、まぁな。 …端から聞くと、まるで何言うてんのかよう分からんとは思うけど…」

後輩「あっ、いえいえ。 ちょっと予想外だったので驚きましたが……これで話の合点がいきましたよ」ナルホド

後輩「要するに、あのオオカミ…さん? …は先輩を助けた訳ではなく、あくまでも自分の利益の為にやった事だった…と」

あかね「あー…うん。 まぁ……簡単にまとめるとそんな感じやね」ポリポリ

後輩「けど先輩? あちらの事情って普通分かりにくいのに、よく呑み込めましたよね? 『バッドエンド』なんていう言葉も中々聞けませんし…」

あかね「せ、せやなー! ウチは呑み込みが早いんやろうなあーっはっはっはっは!!(流石にプリキュアとかそんなんは言えません!!)」

後輩「ふーん…。 そうですか……分かりました」

あかね(な、なんとかやり過ごせたな……)ホッ

後輩「……空が赤くなってきましたね。 そろそろ帰らないと…」

あかね「あー、せやな。 ウチはまず職員室へ行かんとな、っと…」スクッ

後輩「あの、最後に1ついいですか?」

あかね「へっ!? な、何なん? まさかまた疑問に思う事でも…?」ドキドキ

後輩「いえ、そうではなく……先輩は今後、あのオオカミさんに会う予定とかはあったりしますか?」

あかね「え? そんな予定とかはないけど……なんで?」

後輩「あー、えっと…その……意図的ではなかったにせよ、日野先輩を助けてくれたのは事実ですし……せめてお礼でも言っておきたいなー、って…」

あかね「うーん……一応会えるっちゃ会えるかもしれへんけど……」ウーン

後輩「それなら今度会えたらでいいんで、私が感謝してた事を伝えて下さ―――」

あかね「けどな、そうする必要は全くあらへんよ」

後輩「…え?」

あかね「アイツはいつもこう言ってんねん。 『感謝はすんな。 バッドエンドが遠ざかるから』、ってな」

後輩「は、はぁ……」

あかね「まぁそんな訳で、こっち側から感謝の気持ちを伝えるのはやめときー。 いくらやっても無駄なもんは無駄やから」ヒラヒラ

後輩「? 『無駄』、って……そんな訳ないじゃないですか」

あかね「……へ?」

後輩「気持ちというのは押し付けるものなんです」

後輩「喜びはもちろん、怒りや悲しみだって言葉や身振り手振りでやっと伝わるもの。 …ですから、ただ自分が思ってるだけでは何も伝わらないんです」

あかね「あー……うん。 それはなんとなく分かるんやけど―――」ポリポリ

後輩「……特に、」

あかね「?」

後輩「特に『ありがとう』という言葉ほど、簡単に気持ちを伝えられるものなんてそうそうありません」

あかね「! …そ、そうなんか?」

後輩「はい、そうです。 みんなよく使ってるじゃないですか」

後輩「『手伝ってくれてありがとう』、『勉強見てくれてありがとう』、『話を聞いてくれてありがとう』……他にも沢山の『ありがとう』が常に飛び交っていますよ」

あかね「た、確かにウチもよう使てるけど…」

後輩「一言でも『ありがとう』って言えば相手も嬉しいはずですし、何より気持ちが伝えられた自分が一番喜ぶことができるんです」

あかね「………」

後輩「ですから先輩……感謝するという事は、決して無駄な事ではないんですよ?」

あかね「で、でも……でもな? アイツに感謝の言葉伝えたって、絶対喜ばへんに決まっとうし…」

後輩「たとえそうだとしても……先輩はどうでしょうか?」

あかね「ウ、ウチ…?」

後輩「はい。 その『アイツ』に助けられた形になって、先輩はどう思っていますか?」

後輩「それとも……助けてもらった事に関して、何とも思っていないんですか?」

あかね「なっ、何とも思ってない訳あらへんよ!? ……そんな訳、全然あらへんけど……」ゴニョゴニョ

後輩「相手に言い分があるからという理由で、その気持ちを伝えるのを簡単に諦めてもいいんですか?」

あかね「だから、そんな訳あらへんって…っ! ウチかて、ホンマは―――」

後輩「―――先輩」ズイッ

あかね「っ!」



後輩「先輩は今、どんな気持ちでいますか? 素直に考えてみて、その人に対して、どんな気持ちでありたいと思っていますか?―――」


今回は投下はここまでとなります。 先程も申し上げたんですが、近況の報告もせず放置してしまいまして、本当にすみませんでした。
何度も報告しようとしましたが、その文の内容をどうすればいいのか分からず、そのままずるずると放ったらかしにしてしまったのが正直な所です。
なので、出来ればで結構ですので、疑問に思ったことや誤字・脱字のご指摘があれば、生存報告も兼ねてお応えさせていただきます。 どうかよろしくお願いします。

次は近日中に投下できると思います。 場面はまた切り替わっちゃいます。

後輩「」スゲェヤ
これにワロタ

あかね「ウルフルンうちと付きおうてください!」展開はマダー?

結局この話はどうしたいの?
本当に何がしたいのかわからん

とりあえず最後まで読んでみようぜ
>>1が戻ってきて続き書いてくれて素直にうれしいよ
飯でも奢ってあげたいくらいだ

>>694
具体的にどうなるのかは流石に言えませんが、一応ハッピーエンドを目標に書いていくつもりでいます。
なので少々退屈な思いをさせてしまったかもしれませんが、そこら辺りの事を受け止めていただければ幸いです。

>>693
そういう展開ってやっぱりいいですよね。 私も大好物です。
ですが私、個人的にですけど、そういう関係ってまず友達から始まるもんだよなぁと思っているんです。

>>695
長い間エタってしまっていたのに、こんなに暖かく迎え入れて下さるなんて……本当にありがとうございます。
こんな私ですが、あまり無理をせずゆったりと読んでいて下されば嬉しいです。

続きが書けましたので、投下させていただきます。
なんて言いますか、その……失礼致しました。 『近日中』だなどと明記しましたのに、この体たらくとは…


~七色ヶ丘中学校・職員室~


あかね「みゆき達が、早退した…?」

佐々木「ええ、そうなの。 貴女が倒れた直後に言ってきたんだけどね…」

あかね「…えーっと、そのー……正直驚きを隠せないですね」ポリポリ

佐々木「本当よねぇ…。 4人いっぺんに早退するなんて、今までにない事だわ」ハァー

あかね「あ、あの~……それでその休んだ理由について、何か聞いてたりとかは…?」

佐々木「実はそれについてもよく分からないのよ…。 『友達としてやるべき事をやるだけ』とか言ってたけど、もう何がなんだか…」

あかね「『やるべき事』…? ……――っ!!」ハッ

佐々木「? どうかした?」

あかね「…もしかしてみゆき達は……」

佐々木「まさか、思い当たる節が見つかった…とか?」

あかね「い、いえ全然! 全然見当が付きませんですはいっ!」ビシィ!

佐々木「あ…あらそう……?」

佐々木「よく一緒に居る日野さんでも分からないなんて……今度じっくり話を聞いておかなきゃ」ウン

あかね「は、はははは……」ヒクヒク

佐々木「それにしても困ったものよねー…。 これ以上何かあったら、私…」ハァー

あかね「? 『何か』……ですか?」

佐々木「ええ。 …ほら、私達のクラスって何かと色々あるじゃない?」

佐々木「『獣の招き声』事件における宗本君はともかく、今回の件における日野さん、そして続けざまに休んでいった星空さん、黄瀬さん、緑川さん、青木さん…」ヒー フー ミー・・・

佐々木「理由はどうあれ、1つのクラス内でこれだけの生徒が休むなんて普通じゃ信じられない事なの」

あかね「はぁ……」

佐々木「おまけにさっきだって、『おたくのクラスの生徒は規範から外れてばかりで楽しそうですなーハハハハハ』、とか皮肉を言われるし…っ!!」クッ・・・!

あかね「……ホンマ、迷惑掛けてすいませんでした先生」ペコリ

佐々木「えっ!? …あっ! ご、ごめんなさい!! 別に貴女が謝る必要なんかないのよ!?」アタフタ

あかね「でも、先生ため息ついてるし…」フカブカー

佐々木「ため息なんて前からついてるから大丈夫よ! 先生なんだから、生徒の事を考えるのは当然で―――」アタフタ

あかね「いえ、そうではなく」

佐々木「?」

あかね「ため息ばっかりついてると幸せが逃げていく、と言いますし…」スッ・・・

佐々木「…?」

あかね「もしそうなら、先生から幸せがどんどん逃げていってると思うんで…」

佐々木「……?」

あかね「…これはウチの予想なんですけど…」

あかね「先生に男運が無いんも、きっとそのせいなんかなー……と」ニヤリ

佐々木「なっ…!?」

あかね「あっれぇ~? もしかして図星ですか~?」ニヤニヤ

佐々木「こ、こら!! 先生をからかうんじゃありません!!」ムキー!

あかね「あー、ムキになったムキになったー」ケラケラ

佐々木「だから笑うんじゃ―――って、えっ?」

あかね「ほな先生! しばらくの間失礼しまーす!」タタッ

佐々木「あっ!? ま、待って日野さん!!」



ガララッ ピシャン



佐々木「……行っちゃった…」

佐々木「………」

佐々木「………」

佐々木「……ふふふっ」クスクス

佐々木「日野さん、いつものように笑えるようになったのねぇ……先生は嬉しいわ…」クスクス



~七色ヶ丘中学校・校外~


あかね「あ~、明日から学校来れへんのかー」テクテク

あかね「まーええか。 せっかくの機会やし、校長のお言葉に甘えてじっくり休むとしましょー」ノビー

あかね「…これで大量の宿題さえ出なければ完璧やったんやけどなー…」タハハ・・・

あかね「……せやけど、いきなり休め言われても全然実感わかへんもんやね」テクテク

あかね「それだけウチが起こした問題が大きかったっちゅー事なんやろうけど…」テクテク

あかね「………」テクテク

あかね「………」テクテク

あかね「………」テクテク

あかね「……今日は色んな事があったなぁ…」テクテク

あかね「昨日から先輩達に言われた事をやって……そんで寝不足のまま登校して…」テクテク

あかね「その途中で、みゆき達と言い争いになってもた………ただウチの事心配してくれただけやったのに、ついカーッとなってもうて……」テクテク

あかね「そんで学校へ行くと……あの絵はウチを陥れるための、先輩達の罠やって気付いて…」テクテク

あかね「朝礼では…ビデオカメラに撮られとった映像を証拠にされ、殴られたり、上靴投げられたり…」テクテク

あかね「……昨日まで、優しくしてくれた後輩に……裏切られたり……」テクテク

あかね「………」テクテク

あかね「……そんでそのまま、みんなから嫌われるようになる前に…」ピタッ

あかね「あのオオカミが…来てくれた……」

あかね「………」

あかね「………」

あかね「……いや、『現れた』の方が正しいか。 何やねん、『来てくれた』って」テクテク

あかね「それやとまるで……アイツが来てくれる事を、心のどっかで期待しとったみたいやんか…」テクテク

あかね「いやいやちゃうちゃう!! ウチはそういうキャラちゃうやろ日野あかね!!」パシパシ!

あかね「アイツは敵!! 世界を巡って戦い合う、ただそれだけの関係や!!」フンス!

あかね「今日学校に現れたんもたまたまやし、何よりウチが頼み込んでお願いした訳やあらへん!!」

あかね「勝手に現れて勝手な事喋って、勝手に去っていっただけやんかアイツは!」ハンッ

あかね「そない勝手過ぎる奴なんかに、ウチが思うとこなんてあるわけないっちゅーねん!」

あかね「……ホンマに全然……あるわけないんやけどさ…」テクテク

あかね「………」テクテク

あかね「………」テクテク

あかね「………」テクテク

あかね「………」テクテク

あかね「……けどもし、」ピタッ

あかね「もしあの時アイツが来てくれへんかったら……ウチはどうなってたんやろうか…?」

あかね「……まぁ、いくら考えたって無駄なんやろうけどなぁ…」

あかね「結局……アイツに助けられた事に、変わりはないんやし……」

あかね「………」




―――助けられた形になって、先輩はどう思っていますか?―――




あかね「………」




―――助けてもらった事に関して、何とも思っていないんですか?―――




あかね「………」

あかね「………」

あかね「……そんなん、決まってるやろ…」ボソッ



あかね「感謝してるに、決まってるやろ…っ! 数え切れへんくらい、何べんでもありがとう言いたいよ…っ!」ギュッ・・・

あかね「けどそんなんじゃ、アイツは絶対に喜ばへん…っ。 『バッドエンドが遠ざかるから』って、何べん言うても拒絶されるに決まってんねん…」フルフル

あかね「ウチは一体、どないしたらええの…? どないしたら―――」






ピョーン ピョーン
オーイ、アカネー






あかね「? …何や?」





ピョーン ピョーン
アカネー、オ――イ





あかね「この声って、まさか……」キョロキョロ




キャンディ「あかねー!! やーっと見つけたクルゥー!!」ピョーン ピョーン


あかね「キャっ、キャンディ!?」

キャンディ「大丈夫クル、あかね!? まだゆっくり休んでた方がいいんじゃ―――」ポフッ

あかね「あっ、うん。 それに関しては全然問題あらへんよー、キャンディ」ギュッ

あかね「別に問題とかはあらへん、けど……そういやなんでアンタがココに…?」

キャンディ「クル! キャンディ達はさっきまで、あかねに会いに学校へ行ってたクル!」

あかね「ウチに会いに…?」

キャンディ「クゥル!」コクン

あかね「……『達』って、キャンディしかおらんようやけど…?」キョロキョロ

キャンディ「そ、それが…」アノ・・・

あかね「?」

キャンディ「…ついさっき、『ささき』って言う人にあかねの様子はどうか聞きにいってみたら……その先生に説教食らわされるようになって…」

あかね「そ、そうなんか?」

キャンディ「クルクル」コクコク

あかね「…ウチと入れ違いになってもうたんかなー…?」ウーン

キャンディ「それまでは、キャンディ1人じゃなかったクル…」

あかね「……先生、やっぱ怒ってたんか?」

キャンディ「…怒ってたクル」ウン

キャンディ「何だかよく分からないけど、『貴女達のせいで男運がないとか言われちゃったのよ!?』とか涙ながらに言われてたクル…」

あかね「………マジですか」

キャンディ「でもなんで、いきなりあんな訳分かんない事言われたクル…?」ウーン

あかね「……ごめん、キャンディ…」

キャンディ「クル?」

あかね「…それ多分、ウチのせいやと思う…」

キャンディ「??」クビカシゲ

あかね(ギャグのつもりやったんやけどなー、アレ……)ハー・・・

キャンディ「それでキャンディは3人にお願いされて、1人であかねの匂いを辿ってここまで来た訳クル」

あかね「そっかそっか~、ごくろうさんやったなー………、ん?」ナデナデ

キャンディ「? どうかしたクル?」

あかね「……『3人』? 4人やのうて?」

キャンディ「クル? ……っ!!?」ハッ!

あかね「?」

キャンディ「わっ、忘れてたクル!! うっかりすっかり忘れてたクル!!」ヤベェ!

あかね「えっ? …えっ? 何? 何なん?」

キャンディ「あかね! 今時間とか大丈夫クル!?」アタフタ

あかね「へっ!? …あ、空いてると思うけど……なんで…?」ドギマギ

キャンディ「え、えーっとあの……正直何て言ったら良いか、全然分からないけどクル……」アタフタ

あかね「…?」

キャンディ「こっ、このままだと……」

キャンディ「みゆきが……みゆきがぁ…っ!」ウルッ

あかね「っ!?」ギョッ

あかね「み、みゆきが!? みゆきに何かあったんか、キャンディ!?」バッ

キャンディ「ク、クル……話せば長くなるけどクル……」オロオロ

あかね「……っ」

キャンディ「…今日の朝ぐらいに、キャンディ達は学校の外に出て…」

あかね「学校の外に出て…? …――っ!!」ハッ!





―――『友達としてやるべき事をやるだけ』とか言ってたけど―――





あかね「…ま……まさか…」ワナワナ

キャンディ「…?」キョトン

あかね「まさか……あのオオカミなんか……っ!?」ワナワナ

キャンディ「クル!? まだキャンディ何も言ってないのに、どうして知って―――」

あかね「先生から聞いたんや!! ウチが倒れてから、みんなが早退してもうたって!!」

あかね「なぁ、キャンディ!! それって、もしかしたらなんやけど……みんなはウチのために、アイツを倒しに行っとったんとちゃうんか…!?」

キャンディ「そ、それは……」ソノ・・・

あかね「…っ」

キャンディ「………」エット・・・

あかね「……っ」グッ・・・

キャンディ「………、あかねの言うとおりクル…」コクン

あかね「!!」

キャンディ「あかねの言うとおり…確かにキャンディ達は、ウルフルンを倒すために後を追いかけてたクル…」

あかね「そっ、それで…その………アイツと、戦ってもうたり…?」ワナワナ

キャンディ「うっ……え、えっと……」アノ・・・

あかね「………っ」ギンッ

キャンディ「………、」コクン

あかね「…っ!!」

キャンディ「でっ、でもでも! 戦うにしても、あの時は仕方がなかったっていうか何というか―――」アタフタ

あかね「……それで……倒してもうたんか……」ペタン

キャンディ「クル!? あかね、一体何を言って―――」

あかね「だってそうやろ!? 戦いの真っ最中やったら、アンタはここにはおられへんやんか!!」

あかね「なおだって! やよいだって! れいかだって!! その戦いに決着ついたから、みんなでウチの様子を見に来てたん

とちゃうんか!?」

キャンディ「あ、あぅ……。 た、確かになんとか戦いは終わったけどクル……」オロオロ

あかね「………」





―――先輩は今、どんな気持ちでいますか?―――





あかね「………」

キャンディ「あかねの言うとおり、一応戦いの方は終わって……それでも今は、誰か1人が様子見ておかないとまずいっていうか…」オロオロ

あかね「………」

キャンディ「そっ、それでも何て言うか! 『戦いは終わった』って言っても、『倒し』てはいないっていうかその―――」アタフタ

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………馬鹿やろ、アイツ……」ボソッ

キャンディ「……クル?」







――ポタッ、ポタッ・・・







あかね「ホンマ、にぃ……っ! ホンマに馬鹿やろ、アイツはぁ…っ!!」ポロポロ

キャンディ「あ、あかね…!?」ギョッ

あかね「たとえ理由があったとしても…これでええって、たとえそない思てたりしても……こうなる事ぐらいは十分分かっとったはずやろ…っ!!」ポロポロ

キャンディ「あかね、どうかしたクル…!? なんでいきなり泣いて…!?」

あかね「…それやのに……」グスッ





―――俺はただ―――





あかね「……それ、やのに……っ」クシャァ・・・





―――自分がやりたい事をやった。 …ただそれだけだ―――





あかね「何も頼んでへんのに…何もお願いしてへんのに、こんな形になってもうて……っ! まさに自業自得やんかアホぉ…っ!!」ポロポロ

キャンディ「なっ、泣かないでクルあかねっ! みゆきと同じように、キャンディ使って鼻かんでもいいからクルゥ…!」アタフタ

あかね「それやのに……それやのにアイツは、ウチの事なんて全く考えてぇへん…っ! 自分の事しか考えてないんや…っ!」ポロポロ

あかね「せやからウチの気持ち伝えようとしたって、アイツが受け止めようとせえへん限り伝わるわけない―――」






―――気持ちというのは押し付けるもの―――






あかね「っ!!」






―――相手に言い分があるからという理由で、その気持ちを伝えるのを簡単に諦めても―――






あかね「………」

キャンディ「あ…あかね……? どうかしたクル……?」オソルオソル

あかね「………」

あかね「………」

あかね「……ウチ、は…」

あかね「ウチは、ただ…」





―――素直に考えてみて―――





あかね「……素直に…」

あかね「素直に…ウチはただアイツに―――」









―――その人に対して、どんな気持ちでありたいと思っていますか?―――









あかね「………」

キャンディ「あ、あの……えっと…」オドオド

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………、キャンディ」

キャンディ「クっ……クル?」

あかね「連れてってくれへんか? みゆきんトコへ」

キャンディ「えっ…?」

あかね「みゆきは1人で頑張ってんねんやろ? そのオオカミと2人っきりになって…」

あかね「せやからキャンディ。 お願いやから……お願いやから、2人がおるトコまで案内して欲しいんや」

キャンディ「でっ、でも……本当に大丈夫クル? 無理とかしてるんじゃ…」

あかね「そんなん心配せんでもええよー、キャンディ。 1回爆睡してもうてるし」ポンッ

あかね「それに…どうせ不思議図書館使うて移動するんやろ? せやから何も心配する事あらへんって」ナデナデ

キャンディ「うぅー……。 …分かったクル」コクン

あかね「あーでも、ここら辺の近くに本棚なんてあったかいなー…?」ウーム

キャンディ「それならキャンディが案内するクル!」ピョンッ

あかね「あっ。 別にウチが抱っこしながらでもええのに…」

キャンデイ「これ以上あかねに負担はかけられないクル!」

キャンディ「だからあかね! あまり無理せずに、自分のペースでキャンディについて来てほしいクル!」

あかね「そこまでせんでもウチ、十分走ったりとかできるんやけど…」

キャンディ「とりあえずしばらく向こうまで一直線だから、曲がる所まで先に行って待ってるクルー!」ピョーン ピョーン

あかね「あっ! ちょっと!?」




ピョーン ピョーン・・・




あかね「……正直、気ぃ遣いすぎやと思うんやけどなー…」ポリポリ

あかね「まぁえっか。 要は無理せずついて行ったらええだけの話やし」グイグイ

あかね「体の方は特に問題とかあらへんし、気持ちの方も……今さっき整理がついた」グイグイ

あかね「後は、ただ……みゆき達がおるトコまで…」フゥー・・・

あかね「あのオオカミがおるトコまで……ただ走るだけ……」

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………」グシグシ

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………」スゥー・・・

あかね「………」ハァー・・・

あかね「………」スゥー・・・

あかね「………」

あかね「………」

あかね「……ウ……ルン…」ボソッ



あかね「――ウルフルン…っ!!」ダッ!



~町はずれ・海に面する崖~


あかね「キャンディっ! 本当にこの先で合っとうやんな!?」タタタッ

キャンディ「そ、そうクル…。 でも…はひっ、あかね…ゼェー……早く、走り過ぎ…」ハヒッ ハヒッ

あかね「しっかしなんで、こない辺鄙なトコにみゆき達が…?」タタタッ






ギャーギャー!






あかね「っ!!」ピタッ






ギャーギャー!!






あかね「……この声って……」キョロキョロ

キャンディ「ぜはっ…はひっ……や、やっと…追いついたクル…」ゼー ゼー

あかね「………」キョロキョロ






オネガイ、モウヤメテッ!
ルッセェ!






あかね「……こっちかっ!!」ダッ!

キャンディ「えぇ―――――っ!!? また引き離されたクル―――!!」ガビーン

あかね「はっ、はっ、はぁっ……っ!」ダダダダ

あかね「もうすぐ…っ、もうすぐ目の前に……っ!!」ダダダダ



キキーッ



あかね「みゆきぃっ!! ウルフr―――」バッ














みゆき「もうお願いだからぁっ!! 崖から落ちようとするなんてやめてってばぁ!!!」ギューッ

ウルフルン「テメェに指図される覚えなんてこれっぽっちもねぇんだよバーカぶぅぅわぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああか!!!」ブラーン ブラーン




あかね「」

ウルフルン「てかなんでテメェら俺に止め刺さねぇんだよ!? ここまで準備万端に逆さ吊りにしやがったくせにさぁ!!?」ブラーン ブラーン

みゆき「いやこれ貴方が無理矢理作らせたんでしょ!!? 何度も何度も嫌だって言ってたのに…っ!!」ギューッ


あかね「」


みゆき「ていうかオオカミさんこそ、どうして自分からこんな事させたりしてんの!!? 普通じゃこんなの絶対に考えられない―――」

ウルフルン「ごちゃごちゃうっせぇッ!!! いいからテメェ離れろよ噛み殺すぞマジで!!」ブランブランブラーン

みゆき「うわぁっ!? ちょっ、オオカミさんやめて!! ここ崖!! 崖だからぁぁあぁあぁああっ!!!」ギューッ!


あかね「」


ウルフルン「そりゃあむしろ好都合じゃねぇか!! 崖があるなら突き落とせるって事だろ!? だったら何も言わず俺を突き落せってんだ!!!」ブラーン ブラーン

みゆき「だから!! なんでそうなっちゃうのよっ!!? そんなのできるわけないでしょお!!?」ギューッ

ウルフルン「テメェの理屈なんて知らねぇよ!! 知ったこっちゃぁねぇぇえんだよぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ブランブランブラーン

みゆき「きゃぁあああぁあああぁあぁああぁあああぁああああぁああぁあぁあああぁああああああぁあぁああぁあぁぁあぁあ!!?」ギューッ!


あかね「」


ウルフルン「いいから黙って、俺様をバッドエンドにしやがれっつーんだよぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ブランブランブラーン


あかね「」

今日の投下はここまでとなります。 明日(今日?)の最終回に備えて寝させていただきますね。
続きはその後書かせていただきますが、ドキプリが始まってしまう分、少しばかり分をわきまえて投下していきたいと思います。

今から続きの方を投稿していきます。
以前に申し上げましたとおり新シリーズが始まってるのを考慮して、sageつつ控えつつ投下していきます。

ウルフルン「そもそもテメェらが悪ぃんだよ!! 俺様の言う事素直に聞いてりゃ、誰がこんなめんどっちぃ事するかってぇのッ!!」ガルルル

みゆき「いやそれも無理だからね!!? 仮に言われた通りにしたら、間違いなくオオカミさん死んじゃう―――」

ウルフルン「つーか、残りのプリキュア共は何処に行っちまったんだよ!? まさかもう全員で相手するまでもないってか!? あ゛ァ゛ッ!!?」ブラーン ブラーン

みゆき「うぅっ…。 …そ、それは……」オロオロ

ウルフルン「くそったれがッ!! 結局数が多かろうと少なかろうと、俺様の思うようには動けねぇのかよ!!? 最っっっ悪だぜ!!」ケッ!

みゆき「…ご……ごめん、なさ…」シュン

ウルフルン「謝る暇あったら、早くこの状況をなんとかしろ!!」ブラーン ブラーン

ウルフルン「処刑する直前まで準備出来てんのに、まるでそれが実行されそうにないとか!! もう色々と限界が来てんだよ俺様はよぉッ!!!」ブラーン ブラーン

みゆき「え…えっと……あの……」オロオロ

ウルフルン「いいから早くしやがれっての!! もし悩むってんなら、今ここにいるテメェと―――、」チラッ


あかね「っ!!」


ウルフルン「後ろでつっ立ってやがる、もう1人のプリキュアと考えてさっさと決めやがれぇッ!!!」

みゆき「―――……、えっ……?」クルッ

あかね「あっ…」

みゆき「…―――っ!!」

あかね「あー、え~っと…その………ひ、久しぶり…?」ドギマギ

みゆき「……」

あかね「いや、正確には朝以来やから『久しぶり』とは言わんか……ならどない言うべきか……」ウーン

みゆき「……」

あかね「う~ん…何て言うたらええんかなー…? 『元気やったかー?』、とかもなんかちゃうし…」ウーム

みゆき「……」

あかね「……やっぱあかんな~、ウチ。 こういうのに慣れてへんから、やり方とかそんなん全然分からへん―――」アハハ・・・

みゆき「………ぁ…」パッ

あかね「ん?」

ウルフルン「おっ」ブラーン ブラーン

みゆき「あ……ぁ…あか、あかねちゃ……」フラフラ

あかね「……みゆき?」

ウルフルン「やっと解放してくれたかくそったれ」ブラーン ブラーン

みゆき「あか…ね、ちゃん……」フラフラ

あかね「……?」


ウルフルン「つか、これってチャンスじゃねぇか? ならこれを逃す手はねぇぜ」ウルッフフ


みゆき「………っ」ジワァ・・・

あかね「っ!!」



ガッ



みゆき「きゃう゛っ!?」ビッターン!

あかね「っ!? ちょっ、ちょいみゆき!?」タタッ


ウルフルン「よーし、今のうちにこうやって、崖方向に体を揺らせば……」ブラーン ブラーン
 

あかね「みゆき、大丈夫か!? 怪我とかは…っ」バッ

みゆき「…ぅ……っ」ググッ・・・

あかね「うわっちゃー……こらまた、盛大に転んでもうてんなー…」ダイジョウブ?

みゆき「……っ」ムクッ

あかね「こないゴツゴツしてる足場でふらふら歩くからやって…。 …あーもう、こんなに土付いてもうて……」パンッ パンッ

みゆき「………」

あかね「ホンマにみゆきはいつまで経っても、そこらへん何も変わっとらんっちゅーか何ちゅーか……」アハハ・・・

みゆき「………」

あかね「………?」アレ?


ウルフルン「……ありゃ?」ブラーン ブラーン


みゆき「………」

あかね「……みゆき、どないしたんや? そんなに黙り込んでもうt―――」




ダキッ・・・




あかね「―――へっ……?」


ウルフルン「何だこりゃ? いくら動いても全然ビクともしねぇ…」ブラーン ブラーン
 

あかね「え? ちょっ……みゆき?」オロオロ

みゆき「あ…かね、ちゃ…っ、…あかねちゃ、ん……っ」ギュゥゥゥ

あかね「みゆきさーん…? あんさんなんで今、ウチに抱きついてんねやろー…?」オーイ・・・?


ウルフルン「くっそ、壊れろ!! 壊れろよ、こんの…ッ!!」ブラーン ブラーン


あかね「それとも、やっぱどっか痛むんか? せやったらこの体勢はちょいと診づらいんやけども…」

みゆき「………ご、め…」ボソッ

あかね「…ん?」


ウルフルン「フンッ!! フンッ!!」ブンッ! ブンッ!


みゆき「ごめ、ん…な、さい……っ」ギュッ

あかね「……はい?」

みゆき「ごめん、なさい…っ あか、ね…ちゃん……、本当に、ごめんなさい……っ」ジワァ・・・

あかね「えっ? ……へっ?」キョトン


ウルフルン「ウルッフ!! ウルッフ!!! ウルッフンッ!!!」ブォァッ! ブォァッ!
 

あかね「なんでみゆきが謝ったりなんか……―――っ!!」ハッ!




―――もうあかねちゃんの事、友達だとは思えないよ―――




あかね「……まさか…」

みゆき「ごめんな、さい…っ! ごめん…な、さい…っ!」ポロッ

あかね「まさかみゆき……朝ウチに言うた事について謝って……?」


ウルフルン「うううぅうううぅうぅぅぉぉおぉおおぉおぉぉぉおおおおぉぉおおぉぁあぁあぁあああぁあぁあああぁあぁああああああああああああああああああ!!!」ブランブランブラーン


みゆき「ごめんなさい…あかねちゃん…っ。 …私……私…っ」ギュゥゥゥ

あかね「だ、大丈夫やってみゆき! ウチそんなん気にしてへんから! 全然っ、全然気にしてへんからっ!」アタフタ


ウルフルン「だぁぁあぁあぁああぁあらっっっしゃぁああぁあぁあああぁあぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」ブランブランブラーン


みゆき「私ってば……あんな酷い事言っちゃって…っ! あかねちゃんの事、少しも信じようとしないでぇ……っ!!」ポロポロ

あかね「わっ、わっ!? みゆき、泣いたらあかん!! 泣くん禁止やって!!」アタフタ


ウルフルン「んだよ、この造りはァァ…ッ!? めっっちゃくちゃ頑丈に出来てんじゃねぇかよォォ…ッ!!」ガルルルル
 

みゆき「だって……だってぇ…っ!」ポロポロ

あかね「どど、どないしょぉ…。 こんな時やのに、気の利いた台詞とか全然思いつかへん…」オロオロ


ウルフルン「クッソ!! ならせめて、この縄だけでも引きちぎって…!!」グイグイ


あかね「やっぱこういう時、他のみんながおらへんと―――」




タタタタ・・・
オ――イ




あかね「っ!」ピクッ


ウルフルン「…っ!! …っ!!」グイグイ
 

あかね「こ、この声って…!」クルッ




なお「大丈夫、みゆきちゃん!?」タタタッ

やよい「さ、さっきまで……ゼェー…みんなで、あかねちゃんへ会いに…ゲホゴホッ!! …い、行ってたけど…」ゼヒー ゼヒー

れいか「学校にもお家にもいらっしゃらなかったので、ひとまずはみゆきさんの応援にと思って―――」タタッ




あかね「みんなぁっ!!」パァァ


3人「「「―――…っ!?」」」ピタッ


ウルフルン「……っ!? …っ!! ッ!!!」グイグイ
 

あかね「良かったぁ~っ! みんな来てくれてホンマ助かったわぁ~!」

れいか「………」

あかね「いきなりで悪いんやけど、みゆきを何とかしてくれへんか!? 何言うても全然泣き止んでくれへんで、もうウチお手上げ状態やねん!」バンザーイ

やよい「……ぁ…」

あかね「あっ、そうや! なおやったらこういうの得意なんとちゃうか? いつも家で小さい兄妹の世話してるって聞いてるし」チョイチョイ

なお「………」

あかね「………、?」チョイチョイ


ウルフルン「ッ!!! ッッ!!! ォアッ!!! イェアッッ!!!」グイグイグイー


なお「……っ」ワナワナ

あかね「………なお?」アレ?

なお「………本、当に……?」ジリッ

あかね「ん?」

なお「本当に……あかね、なの…?」ヨロ、ヨロ・・・

あかね「?? …そら見たら分かるやろ?」

あかね「ウチは正真正銘まごうことなき、アンタらの知ってる日野ちゃんやって」

なお「―――…っ!」


ウルフルン「ビ、ビクともしねぇ…! つか、全く身動きがとれねぇ…っ!?」ゼー ゼー


あかね「それともアレか? 朝ぶりに会うたから、ウチの顔なんて忘れてもうたんかー!、なんて……」アハハ・・・

なお「……、っ…」タタッ

あかね「……って、何言うてんねんやろなー自分。 今はそれよりもみゆきやんか」ウン

なお「………っ」タタタッ

あかね「そんじゃー早速で何やけど、みゆきの事頼んだでなお―――」




ダキッ・・・




あかね「――へっ……!?」


ウルフルン「し、しまった!! そういや俺、プリキュア共に顔面意外縄でびっちり締めるよう命令したんだった!!」ビッチリ
 

なお「……あ…か、ねぇ…っ」ギュゥゥゥ

あかね「ちょっ…ちょっと、なお…っ!?」ドギマギ

なお「…ごめん、なさい…っ! 本当に…本当に、ごめんね……あたし…っ」ジワァ・・・

あかね「うぇぇっ!!? なっ、なんでなおまで泣いてんねんちょっとぉ!?」ギョッ


ウルフルン「クソッ!! クッッソォォォオ!!! 俺様としたことが!! 俺様としたことがぁぁああああああああああああああああああ!!!」ブラーン ブラーン


あかね「アンタ、ウチよりずっとお姉さんしとるんやないんか!? やのにそないぎょうさん涙流してもうて…っ!」アタフタ

なお「う゛ぇえ゛ぇぇぇぇ……。 だって…だってぇ……っ!」ポロポロ

あかね「あ、あかん…っ! もうウチ1人じゃ何もできへんってこれぇ…っ」オロオロ


ウルフルン「冗談じゃねぇ!! 冗っっ談じゃねぇぞぉッ!!? 今が絶好のチャンスだってぇのに…ッ!!」ガルルルル


あかね「やっ、やよい! れいか! 何でもええから助けt―――わぷぅっ!?」ギューッ!

れいか「あかねさん…っ! 本当に、あかねさんなのですね……っ!」ジワァ・・・

やよい「ゴホッ、ゲホッ! …あ……あか、ねちゃnゲッホ!! ごっ、ごめ…っ! ごめ、んなs――ガハゲヘゴホッ!!」ポロポロ

あかね「アンタらも結局そうなるんかいっ!!」ウォイ!


ウルフルン「プリキュア共がこっちを見てない今、俺様自身の手でバッドエンドになれるはずだってぇのにぃィィ…ッ!!」ギリギリッ
 

あかね「み、みゆき! みゆきさんっ!! 今こそ出番ですって!! こういう時こそ、リーダーたるみゆきさんの腕の見せどころですって!!」アタフタ

みゆき「私、全然リーダーなんかじゃないよぉ…っ! あかねちゃんを追い詰めちゃった私に、そんな資格なんて……全然…っ!」ポロポロ

あかね「いやいやいやそんなんもう気にしてへんから! もう大丈夫やから!! やからせめて、泣くんだけは勘弁してぇや!!」アタフタ


ウルフルン「どりゃあッ!! うぉるァッ!! ギぃえァおぁアッッ!!!」ブンッ! ブンッ!


なお「えぐっ…ひぐっ、あ゛か゛ね゛ち゛ゃぁ゛ん゛……っ!」グスッ

あかね「ちゃっ、『ちゃん』!!?」ギョッ

なお「な、何でm、ぐすっ…何でも、言う事聞くからぁ…っ! だがらあだじの事…ひっぐ、な゛お゛の事嫌いにならないでよぉぉぉ……っ」ポロポロ

あかね「何かなおさん今、喋り方とかまるで子供っぽくなってきてません!!?」


ウルフルン「動けェッ!! 動けってんだよォオッッ!!!」ブォァッ! ブォァッ!
 

あかね「こっ、こんな状況でも、れいかはれいかやんな!?」オロオロ

あかね「こうやってみんなが落ち着きなくしてる中でも、れいかだけは常に冷静で! まさか乱れるなんて事は―――」

れいか「良かっ、たぁ……っ! またこうやって、貴女に会える事ができて嬉じい…っ、嬉し゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛……っ!!」ギュゥゥゥ

あかね「うっわ、めっちゃ乱れてるー!!?」ガビーン

れいか「あだしゃぁ、げにあーたの事があぢごとでぇ…っ! おんなぢキュアプリの士ー戦ながに、それをビトレる有り形になっでもうて……おらっちゅーホモ・サピエンスは……っ!!」ポロポロ

あかね「っていうか、れいか!? アンタ今ですます口調やないにしても、着地地点とか色々見失いすぎやろ!!」ワッカンネェ!


ウルフルン「ぐぅうぅうぅうううぅぅぉおぉおおおぉおおぉおおおおおおぉおおおおおあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」グイグイグイー


あかね「…っちゅーかやよい、アンタ大丈夫か? えらい息切れしとるみたいやけど……?」

やよい「だっ、大丈bゲッホォ!! …そ、それよりもごm、ごめんなs――うぉ゛ぇっ!」ポロポロ

あかね「っ!!?」ビクッ!

やよい「……ご……ごめ…ん、なさい……っ。 …私は、平気……全然っ…全然、平k――ぉ、おぇ゛、っ………う、う、ぅ゛ぉお゛え゛ぇえぇぇぇっ!!」 ←えずいてる

あかね「あ、あかんてやよい!! それだけはあかん!!! その一線だけは、絶対に越えたらあかんっ!!!」ストップ、ストップ!


ウルフルン「ちっっっくしょぉおおぉおおおおおぉおおぉぉおぉおおおがぁああぁあぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
       ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」ブランブランブラーン
 

以上で投下を終わります。
sage進行の形をこのまま続けていくという体で、明日もよろしくお願いします。

 
 
 
~数十分後~




あかね「………もう泣くんはええか? みんな…」

みゆき「…うん……」グシッ

やよい「……はい……」スン スン

なお「……っ」グシグシ

れいか「………」ドゲザ

あかね「れいかはもうええ加減頭上げとき。 …あとみんなも、別に正座とかせんでええから」

みゆき「うっ……で、でも…」オドオド

なお「あたし達はもう少し、このまま座っていたいっていうか……」ソノ・・・

あかね「………」

みゆき「………」ドギマギ

あかね「………、はぁー……」ワシワシ

あかね(…ここら辺岩だらけやから、肌押し付けたら痛いに決まってんのに……)ウーン・・・

やよい「……あと、ごめんね…」モジモジ

あかね「?」

やよい「制服………私達のせいで、びちょびちょになっちゃって……」

あかね「あー……、うん。 …まぁ確かに泣くにしても、ここまで来ると濡らしすぎやね……」ビッショビショ

れいか「は、はい……。 …本当に申し訳ありませんでした。 それについて、何も考えていなかったとはいえ…」シュン・・・

なお「なっ、何なら、あたしの制服を使って―――っ!!」バッ

あかね「いやいやええってええってそんなん! そんな事したら、それこそなおが風邪引いてまうやろ?」

あかね「それにほら。 別にこんなんは、腰に巻いてるセーター着とけばええだけの話やし…」イソイソ

なお「でも―――っ!」

あかね「……それにな、」イソイソ

なお「…?」

あかね「大体分かってはいるんやで? …なおやみんなは、別にウチに迷惑掛けるためにこんな事したんやないって」

4人「「「「――…っ!!」」」」

あかね「……みゆき達は、ウチに会うてからすぐに謝ってくれた」

あかね「普通あんな事があったら、相手がどういう顔すんのかとか、どないして気持ち伝えたらええのかとかよう分からんくて…怖くてたまらんはずやのに……」

みゆき「………」

あかね「…それでも……それでもみんなは、ウチに対して謝ってくれたんや」

あかね「『相手は怒ってるかもしれへん』とか、『謝っても許してもらえないかもしれへん』とか……実際にどない思てたんかはよう知らへんけど…」

なお「………」

あかね「…それでも『怖い』っていう気持ちに必死に向き合うて……体をガタガタ震わせながら、顔が涙でぐちゃぐちゃになりながら『ごめんなさい』、って……そう言うてくれたんやんな?」

れいか「………、」コクン

あかね「……まぁいくらなんでも、吐きそうになりながら謝るんは流石にどうかと思うけどな~?」キシシ

やよい「うぅっ……ご、ごめんなさい……」ズーン

あかね「ええってええって。 あんまそんなん気にしてへんし」ポンッ

あかね「それに……やよいは最後まで吐かずに我慢できたんやもん。 …ホンマえらいもんやで」ナデナデ

やよい「っ……/// あ…ありがと……」ゴニョゴニョ

あかね「……そんで、さ…」ナデナデ

やよい「?」

みゆき「…?」

あかね「みゆき達がこんなにも……こんなにも精一杯、自分の気持ちを振り絞って謝ってくれたんや…」ナデナデ

あかね「せやからウチも……ちゃんとそれに対して向き合わなきゃあかん、って思てる」

れいか「……っ!」

あかね「みんなはウチに気持ちを伝えてくれた。 嘘偽りのない本当の気持ちを、しっかりとウチに伝えてくれた」

あかね「やったら、ウチもそれにしっかりと応えんと……それこそ筋が通らへんってもんやろ?」ニッ

なお「…う、うん……」コクリ

あかね「…普通、こんなんに向き合うんもへったくれもないんやろうけど……」ポリポリ

みゆき「……っ」キュッ・・・

あかね「第一、みゆき達が言うてきたからウチも…っていう形になってんのも、そらまた変な話やし…」

やよい「………」ブルブル

あかね「……せやけど、今はもうそんなん関係あらへんやんな」ウン

あかね「言いたい事はちゃんと言わなあかん。 相手に伝えたい事は、それを口に出して……しっかりと伝えていかなあかん」

なお「っ……」ゴクリ・・・

あかね「…でもウチ、こういう時に何て言うたらええか……正直よう分かってへんねん…」モジモジ

あかね「せやから、その……ウチが何か変な事言うて、気分悪くなってもうても………そこら辺はちょい容赦してや?」

れいか「は、はい……」フルフル

あかね「…そんじゃあ、今から言うで……」スー ハー・・・

みゆき「……」ガタガタ

やよい「……」ガタガタ

なお「……」ガタガタ

れいか「……」ガタガタ

あかね「………、―――っ」スゥー・・・

4人「「「「……っ!」」」」グッ・・・!



















あかね「―――みんな、ごめんな……っ! ホンマにごめんなさい…っ!!」ペコッ


4人「「「「…っ!!?」」」」ギョッ
 

みゆき「…えっ? ……あ…あかねちゃん…?」オソルオソル

あかね「……っ」フカブカー

みゆき「なん、で…謝ってるの……? …怒ったりしないの……?」ワナワナ

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………始、めは…」ボソッ

みゆき「っ!」

あかね「始めは、そんな気なんてまるで無かった……全然頭になかったんや…」

あかね「ましてや、ここに来たんも別の用があったからで……みゆき達と会うても、謝るとかそんなん正直考えてへんかった…」

みゆき「じゃあ、なんで…っ!」

あかね「―――それでも、」スッ・・・

みゆき「っ!!」

あかね「ウチかて、前々から分かってはいたんや…。 みんなに迷惑掛けてもうてた事……」

あかね「1人で勝手に悩み抱え込んでたこと…。 …そんでその事をみんなにも言わず、いらん心配掛けさせてもうてたこと全部……」

やよい「そっ、そんなの…」ワナワナ

なお「そんなの……そんなの尚更、あかねが謝る必要なんて…っ」フルフル

れいか「そうですよあかねさん…っ! 私達はそれ以上の酷い事を、貴女にしてきて―――」

あかね「……それやのに…」

れいか「―――、…?」

あかね「みんなはウチに対して謝ろうと……こんなにも一生懸命やってくれたっちゅーのに…」

あかね「それやのにウチは……ただ笑って、終わらせようとしとった…っ!」グッ…!

みゆき「えっ……?」

あかね「みんなに責められたくないからって……謝るんが怖いからって、それについて何も触れようとせんで…」

あかね「当たり障りのない事言うて…へらへら笑って、相手のご機嫌を取って、誤魔化して…」

あかね「そんで何にも向き合おうともせず……ただ自分勝手な理由で逃げて、終わらせようとしとったんやウチは…っ!!」クッ・・・

みゆき「…っ!!」

あかね「せやから、みんな…っ!! こんな短い言葉だけで、長い間迷惑掛けとったみんなに詫びれるなんて到底思ってへんけど…っ!」ペコッ

みゆき「やっ、やだ…っ! そんな、謝らないでよあかねちゃん…っ!」フルフル

やよい「そ、そうだよ…! 悪いのは全部、私達にあるのに…」オロオロ

あかね「ホンマにごめんな…っ! ウチのわがままのせいで、こんな…っ!」フカブカー

みゆき「わっ、私の方こそごめんね…っ! ごめんなさい…っ!! あんな…あんな酷い事を言っちゃって…!」ペコッ

なお「あ、あたしだって…っ! 『信用できない』とか『見損なった』とか言っちゃって……本当にごめん…っ!!」ペコッ

れいか「私も、あの時は申し訳ありませんでした…っ!! 貴女を助けるばかりか、逆に追い詰める形になってしまって…っ!!」ペコッ

やよい「ごめんなさい、あかねちゃん…っ! 本当に、ごめんね…っ!!」ペコッ

あかね「何の相談もせんと、1人で勝手に抱え込んでもうててごめんっ!!」ペコッ

みゆき「わっ、私こそ! あかねちゃんの事、何にも気付いてあげられなくてごめんなさい!!」ペコッ

あかね「みんなに心配かけてもうて、ホンマにごめんっ!!」ペコペコッ

れいか「ただ心配していただけで、実質何もしてあげられなくてごめんなさい!!」ペコッ

あかね「ぁ…えっと……あっ、朝! 今日の朝ん時、みんなに対して怒ってもうてごめん!!」ペコッ

なお「それこそ、こっちがごめんなさいだよ…っ!! あたし達のせいであかねを怒らせちゃったんだから…っ!」ペコッ

やよい「あかねちゃんの言葉を信じないで、私達の勝手な思い込みで判断しちゃってごめんなさい…っ!!」ペコペコッ

あかね「ぅぐっ…! め、迷惑掛けて……ごめんなさい…!」ペコッ・・・

みゆき「私達だって!! 迷惑掛けてばっかりでごめんなさい!!!」ペコペコッ!

あかね「う、ぅうっ……!」タジッ

みゆき「あ、あと! 安心できたからって、朝礼の後に付き添ってあげられなくてごめんなさい!! 本当にごめんなさい!!!」ペコペコッ

あかね「…あ……ぅ…」オロオロ

みゆき「そっ、それでね……えっとね…あの……」アセアセ

あかね「……ぁ…」パクパク

みゆき「ほ…他に謝ることといえば、その……ちょっ、ちょっと待っててね……」ウムム・・・

あかね「……っ」パクパク

なお「あ、あかね……? 大丈夫……?」

みゆき「他に何か…他に何か謝ること……」ムムムム・・・

なお「みゆきちゃんも、ちょっとだけ落ち着いた方が良いんじゃ……」

あかね「……っ」パクパク

みゆき「えーっと…え~っと…」グヌヌ・・・

あかね「………」ワナワナ

みゆき「う~~んと……え~~…っと……?」グヌヌヌ・・・

あかね「………」ワナワナ

あかね「………」ワナワナ

あかね「………」

あかね「………」

あかね「………、かっ…」

4人「「「「?」」」」

あかね「かっ……かか、か……」

4人「「「「…?」」」」カ?









あかね「―――関西風な喋り方でごめんなさいっ!!」ペコッ!

4人「「「「っ!!?」」」」

あかね「いつも『やねん』とか言うててごめん!! 『あかん』とか言うててごめん!!」ペコペコッ

なお「え? …えっ!?」

あかね「話の終わりにオチとか求めてもうてごめん!!」ペコッ

なお「いや、ちょっ…!」

あかね「何でもかんでもツッコんでごめん!! すぐに『なんでやねん』とか言うてもうてごめん!!」ペコペコッ

なお「ちょ、ちょっとあかね!? それは流石に何か違う―――」

みゆき「―――口癖が『ウルトラハッピー』でごめんなさいっ!!!」クワッ!

なお「いやちょっと!!?」ミユキチャン!?

あかね「食べてるもんとか、弁当の中身がいっつもお好み焼きでごめんなさい!!」ペコッ

みゆき「絵本が大好きでごめんなさい!!」ペコッ

あかね「お好み焼きおかずにしてごはん食べててごめんなさい!!」ペコペコッ

みゆき「絵本で読書感想文書いちゃってごめんなさい!!」ペコペコッ

なお「ス、ストップ! ストップストップ2人とも! 一旦落ち着いて…」アタフタ

やよい「せっ、戦隊ヒーロー物が大好きでごめんなさいっ!!」ペコッ

なお「やよいちゃんも話に乗らなくていいから!! これ以上続いちゃったら多分、収集が付かなくなっちゃう―――」

れいか「―――いつも道ばかり説いてしまってごめんなさいッ!!!」カッ!!

なお「れいか!!?」

あかね「赤信号になっても、車が通ってへんかったら普通に渡る癖があってごめんなさい!!」ペコッ

みゆき「『はっぷっぷ~』とかよく言っちゃってごめんなさい!!」ペコッ

やよい「いつも泣いてばっかでごめんなさい!!」ペコッ

れいか「ですます口調でごめんなさい!!」ペコッ

なお「ま…待ってよ、みんな……」ワナワナ

れいか「生徒会に属しててごめんなさいっ!!」ペコペコッ ←ジキセイトカイチョー

あかね「家がお好み焼き屋さんでごめんなさいっ!!」ペコペコッ ←カンバンムスメ

やよい「漫画研究部に入っててごめんなさいっ!!」ペコペコッ ←モハヤプロレベル

みゆき「チアリーディング部に入っててごめんなさいっ!!」ペコペコッ ←マジデシランカッタ

なお「ちょっ……、ちょっ……」ワナワナ

あかね「英語ができひんでごめんなさいッ!!!」ペコペコー

やよい「数学が全然できなくてごめんなさいッ!!!」ペコペコー

みゆき「全教科のテストの点数が悪くてごめんなさいッ!!!」ペコペコー

れいか「常に学年トップの成績でごめんなさいッ!!!」ペコペコー

なお「れいかごめん!!! それ嫌味にしか聞こえない!!!」

 
 
~数分後~



あかね「ほっ、他……他には…えっと……」ゼー ゼー

みゆき「あっ……頭が、その……チョ、チョココロネ、みたいで……ゼー…ごめん、なさい……」ゼー ゼー

あかね「ウ…ウチ……の、髪型…は……ゼー……普通、やったなそういや……」ゼー ゼー


なお「みんな、大丈夫…? すごい息切れしちゃって…」

れいか「え、えぇ……まぁ……」ゼー ゼー

やよい「そ…それよりも、あの……」チラッ


あかね「………」ゼー ゼー

みゆき「………」ゼー ゼー

あかね「………」ゼー ゼー

みゆき「………」ゼー ゼー

あかね「………」

みゆき「………」

あかね「………、ぷっ…」

みゆき「……ふふっ…」


3人「「「!」」」
 

あかね「ぷ、くく、くっ……な、何やみゆき、その顔……っ」プルプル

みゆき「あ、あかねちゃんだって……ぶぷっ…変な、変な顔しちゃって…っ!」プルプル

あかね「そっ、そんなん、今のみゆきに比べたら全然まし、ましやっtあはっ! あはははは!!」

みゆき「あかねちゃん、笑うの禁止っ…! 私も笑っちゃいそうになって…なってぇ…っ!!」プルプル

あかね「あははっ、ははっ、あははははははははは!!」ゲラゲラ

みゆき「も、もう駄目…っ! 限界っ、げんか……あはっ、ははっ! あははははははは!!」ゲラゲラ

あかね「あっはははははははははははははははははは……」ゲラゲラゲラ


なお「……2人とも、笑ってるね……」

やよい「……ぷ、ふふっ…」クスクス

なお「?」

れいか「…やよいさん?」

やよい「ご、ごめんね…。 今のれいかちゃんを見てたら、つい…」フフッ・・・

れいか「私…?」

なお「あぁ、そういえば……服とか髪型とかぐちゃぐちゃになっちゃってるね…」アリャリャ・・・

やよい「笑うのは悪いって分かってるんだけど……今までのれいかちゃんのイメージと全然違ってるから、つい思わず…」クスクス

なお「…まぁ確かに、ね………ふふっ」クスクス

れいか「あらまぁ………ですがやよいさんも…ふふっ、謝りすぎたせいで御髪が乱れていますよ…?」クスクス

やよい「あっ、本当だ…。 これじゃあ、人の事笑えないね……あははっ」ケラケラ

今回はここまでとなります。
明日も投下していきますので、よろしくおねがいします。


次も楽しみだ

>>784
ご支援ありがとうございます。
その一言をいただくだけでも、やっぱりやってきて良かったなぁと心から思えてくるんです。

それでは続きの方を書いていきますね。

あかね「あー、いや~……それにしても」グシグシ

みゆき「思いっきり笑ったから、なんだかスッキリしたねー…」グシグシ

あかね「せやなー……」ハー・・・

みゆき「………」

あかね「………」

みゆき「………」

あかね「………」

みゆき「………あの、ね…? あかねちゃん…」

あかね「………」

みゆき「あかねちゃん……私…」モジモジ

あかね「……みゆき」

みゆき「? …何?」

あかね「それについてはちょっとタンマや」

みゆき「??」

なお「ねぇねぇあかね、みゆきちゃん」テクテク

みゆき「あっ。 なおちゃん、みんな」

なお「これからジュースでも飲もうと思うんだけどどうかな?」つジュースデコル

やよい「なんだか私、思いっきり泣いたり声出したりしたせいか今喉がカラカラで…」

れいか「よければ皆さんの分もご用意したいのですが、よろしいでしょうか?」

みゆき「うんっ、お願い~! そういえば私も喉カラカラだよ~」アハハ

あかね「………」

みゆき「ねぇねぇ? あかねちゃんも勿論飲むよね?」ジュース

あかね「……あー、いや…」ソノ・・・

みゆき「ん?」

あかね「その前に、な………ちゃんと言うとかなあかんかなーって思てる事がありまして……」ポリポリ

みゆき「…?」

あかね「あー……そのー……何て言うたらええんか……」ワシワシ

4人「「「「……?」」」」

あかね「……ウチらの関係について、なんやけどな」

4人「「「「!!」」」」

あかね「今思い返してみても…その……今日は色んなことがありまして…」モジモジ

あかね「みんなに迷惑掛けただけやなしに、それでウチらとの関係にもひびが入ってもうたような……そんな気がしたんや…」アハハ・・・

れいか「………」

あかね「…『ひび』っちゅーもんは、1度入ってもうたら中々直すことができひん」

あかね「乾いた粘土とか、割れもんとか、雪だるまとか色々あんねんけど……もしかしたらウチらのソレも、それに近いのかもしれへんって思ってて……」

なお「………」

あかね「始めは何とかしようって精一杯努力はすんねんけど……いくら頑張っても頑張っても元に戻せへんようやったら、最終的には隠してまう」

あかね「悪気とかは全然ないんやけど、『できるだけ頑張ったからもうええかな?』って思ってもうて……そんで途中で諦めて、何事もなかったかのように振る舞ってまうんや……」

やよい「………」

あかね「まぁウチも、転校前の学校で大切な壺にヒビ入れてもうた時があってな~」ポリポリ

みゆき「………」

あかね「ヒビ入っただけやからボンドで割れ目埋めて、その上にセロテープでくっ付けりゃええかーって感じで済ましとったんやけど……その後結局バレて、こっぴどく叱られたもんや」タハハ

みゆき「………、あの……あかねちゃ…」ゴニョゴニョ

あかね「――なぁみゆき?」

みゆき「っ!」

あかね「いきなりで何やけど……ちょいとみゆきに言うてもらいたい事があんねん」

みゆき「な……何?」

あかね「ほら、さっきアンタがウチに言いかけてた事があったやろ? お互い大笑いしてもうた後に」

みゆき「? ……―――あっ!」ハッ

やよい「?」

なお「?」

れいか「…?」

あかね「あん時は何言うてくるか何となく分かってもうてたから、口で直接言うんは先延ばししてもらってたんやけど…」

みゆき「…ぁ……ぅ…」オロオロ

あかね「できたら、今ここで言うてくれへんかな…? みゆきはあん時ウチに、なんて言おうとしとったかを…」

みゆき「え……えっと…」オロオロ

あかね「………」ジー

みゆき「……ぅー…」

あかね「………」ジー

みゆき「………」モジモジ

あかね「………」ジー

みゆき「………」モジモジ

あかね「………」ジー

みゆき「………う、うん……分かった…。 …今から言うね」コクン

あかね「……なんかごめんな、みゆき? 無理してるんやったら、やっぱ言わんでも構へn―――」

みゆき「だっ、大丈夫!! 全然っ! 全然大丈夫だから!!」フンス!

みゆき「そ、そうか…?」

みゆき「あの、ね……あかねちゃん……」

あかね「…うん」

みゆき「確かに、あかねちゃんの言うとおりで……その……今朝の事があって…そのせいで、私達の関係にもヒビが入っちゃったっていうか…」ソノ・・・

あかね「……うん…」

みゆき「…そ…それで、ね……? それで私達、今までみたいには戻れないのかなって……正直、諦めてた部分もあったんだけど…」

あかね「………」

みゆき「色々とお互い謝った後……一緒に笑い合ってた時に、ね…? もしかしたらって思ったの……」

あかね「………」

みゆき「……『もしかしたら、私達―――」

あかね「………」

みゆき「―――また、友達でいられるんじゃないかな』、って……」

あかね「………」

みゆき「……これは、ただ単に思いついただけの言葉」

みゆき「深く考えないで、何も考えもしないで……なのにふとした拍子で心に浮かんだ、たったそれだけの言葉」

あかね「………」

みゆき「…それでも、ね…」ボソッ

みゆき「どうやら私……その言葉に嘘とかはないんだって思u、――…ううん、違う…っ!」フルフル

あかね「………」

みゆき「わっ、私はね…っ! …私は、ただ……」

あかね「………」

みゆき「……私はただ、あかねちゃんと…っ!」キュッ

あかね「………」

みゆき「―――あかねちゃんとずっと……この先も、これからもずっと貴女と、友達でいたい…っ!!」

あかね「――…っ!」

みゆき「だからあかねちゃん…っ!! 私がこんな事をお願いするのは間違ってるって分かってる………、けど…っ!!」

あかね「………」

みゆき「よ、よければ、また……わ、私と…私達と……っ、」ガクガク

あかね「………」

みゆき「とっ、友達……で……いて、くれない…でしょうか……?」ボソボソ

あかね「………」

みゆき「………、」チラッ・・・

あかね「………」

みゆき「…――っ! おっ……お願い、します…っ!!」バッ

やよい「わっ、私からも…っ!」ペコッ

なお「あたしからも、お願い…っ!」バッ

れいか「私もです、あかねさん……どうか…っ!」ペコッ

あかね「………」

みゆき「……っ」ブルブル

あかね「………」

れいか「………っ」フカブカー

あかね「………」

なお「……っ!」ブルブル

あかね「………」

やよい「………っ」カタカタ

あかね「………」

みゆき「……、……?」アレ?

あかね「………」

みゆき「………あ、あのー…?」

あかね「………、」

みゆき「……あかね、ちゃん…?」ソロー・・・


あかね「っ…、……っ!!」ダバー


4人「「「「っ!!?」」」」ギョッ

みゆき「え…っ!? ちょ、ちょっとあかねちゃん…っ!?」オロオロ

やよい「どっ、どこか体でも痛いの…!?」ワタワタ

なお「それとも、やっぱり服がびしょびしょで気持ち悪いとか…!?」オロオロ

あかね「あー……いや、ちゃうちゃう」ボロボロ

あかね「ウチ今、めっちゃ涙もろくなっててなー……これでもう今日、何回泣いてもうたか全然分からへん…」

れいか「な…『涙、もろい』……ですか…?」

あかね「うん……」コクン

あかね「例えば今日の朝、学校行く時に涙出てきとったし……そんで朝礼ん時とかはもう、ぼろっぼろに泣いてもうてたからな~…」グシグシ

みゆき「―――…っ!」グッ・・・

あかね「……でもな、」グスッ

みゆき「…えっ?」

あかね「でも今はちゃう……ちゃうよ…。 そんな風に出してる涙とは、全然ちゃう…」グスッ

あかね「『悲しい』とか『悔しい』とか…そんなん微塵にも思ってへんもん……」ポロポロ

みゆき「えっ? ……えっ?」

あかね「…だって……だってな…」グシグシ

みゆき「……、」コクリ

あかね「こんなに今、泣いもうてんのに……涙とか出まくってんのに…」ジワァ・・・

あかね「やのにウチ、めっちゃ嬉しいって…これ以上ないぐらいに、めちゃくちゃ嬉しいって……そない思ってんねんもん…っ」ポロポロ

みゆき「…――っ!!」

あかね「色々と、先に言わしてもうてごめんな…。 ウチ、正直怖かってん…」グシッ

あかね「みんなとまた、以前と同じようにずっと笑い合いたいっちゅーんが…もしウチだけの独りよがりやったらどないしょぉって思てて……ホンマにごめん……っ」グシグシ

みゆき「そ……それって……」ワナワナ

あかね「……みゆき…」グスッ

みゆき「えっ? …あっ! はっ、はいっ!」ビシッ

あかね「…やよい…」

やよい「はっ、はひっ!」ビシッ

あかね「なお……」グシグシ

なお「は…はいッ!!」ビシィ!

あかね「……れいか」

れいか「…はい」コクリ

あかね「こんなウチやけど……自分勝手にわがまま言うて、そんでみんなとの関係にひび入れてまうような…ホンマどうしようもないウチやねんけど…」

みゆき「………」

あかね「それでも、もしまだ形が残ってんのなら……ひびが入った『だけ』で、まだ完全にはバラバラになってへんようやったんなら…」

あかね「…ウチにもまだ、チャンスが残ってるんやとしたら………流石に完璧とまではいかれへんでも、少しでも元に戻していきたいって……そう思てるから……」

みゆき「………」

あかね「…せやから、みゆき……みんな……」

みゆき「………、」

あかね「よければ、ウチとまた一緒に…」

みゆき「……、……っ」フルフル

あかね「…よければまた、一緒に……」スッ・・・

みゆき「……っ」フルフル

あかね「―――ウチとまた、友達になってくれませんか……?」ニコッ

みゆき「~~っ!!」パァァ



ギュッ



4人「「「「……喜んでっ!!」」」」ギューッ

あかね「……えへへっ///」ニパー

区切りが良いので、ひとまずはここまでとなります。
なりますが、なんだかしんみりしちゃったので明日起きたらすぐにでも投下していきます。

 
 
~そして~





カチャッ

レッツゴー! ジュー・ゥー・ス!




みゆき「わーい、出た出た~♪」ポンッ

やよい「あっ、私のこれパイナップルジュースだ~」チュー

みゆき「あれっ? そうなの?」

やよい「? …みゆきちゃんのはそうじゃないの?」

みゆき「え~っと……」チュー

やよい「…確かによく見ると、ジュースの色が違うような…?」ジー

みゆき「……あっ! これ桃だ~! 桃の味がする~!」オイシー!

やよい「えっ、そうなの!? いいなぁ~」

みゆき「ねぇねぇ、やよいちゃん! ちょっとお互いのジュース飲み合いっこしてみようよ~」キャイキャイ

やよい「わぁい、やったー! それじゃあ先に、私のジュースからあげるね~」キャイキャイ

なお「………」

れいか「どうやら、デコルを使う者によって飲み物の中身が変化するみたいですね」チュー

なお「…そう、みたいだね……」ハハ・・・

れいか「? ……ちなみに、なおは一体どんなジュースだったの?」

なお「………、これ……」サッ

れいか「…あら? それって…」

なお「……しそジュース……」

れいか「あ、あら…」マァ

なお「いやでもこれ、以外といけるんだよ? すっごくおいしいんだよ?」

なお「飲んでみたら、しその味とか全然しないし……甘くておいしいんだけどさ……」チュー

れいか「なおの場合だったら青りんごとか、マスカットあたりがジュースになると思ってましたのに…」チュー

なお「しかもこのジュース、色が紫なんだよね~…。 …しそって確か、緑色だったはずだよね?」チュー

れいか「確かになおの言うとおりです。 ……けど…」チュー

なお「? ……けど?」

れいか「……しそにも色々と種類があり、緑のものもあれば紫色のものもある…と、以前聞いた事があります」チュー

なお「へぇ~…?」チュー

れいか「はい。 実際にそのジュースを作るために、紫色のしそを煮込むのですが……そうすることで色素が抜け落ち、緑色になるんだそうですよ?」

なお「ふぅ~ん……」チュー・・・

れいか「はい…」チュー・・・

なお「………」チュー

れいか「………」チュー

なお「………」チュー チュー

れいか「………」チュー チュー

なお「……じゃあさ、」

れいか「?」チュー?

なお「それって、もしかして……紫が私に関係してる色ってことなんじゃあ…?」チュー

れいか「さぁ…? 流石に私も、そこまではちょっと…」ウーン

なお「あーうん、そっか。 …なんかごめんね、れいか。 変なこと聞いちゃって」

れいか「いえいえ、お構いなく」チュー

なお「……ちなみにれいか?」チュー

れいか「はい?」チュー

なお「れいかの方はどうかな? 今何を飲んでるの?」オイシイ?

れいか「あぁ、これですか? これは…」チュー

なお「…?」

れいか「これはおそらく青汁ですね。 味的に」マッズイ

なお「……それ、ジュースなの……?」

れいか「最初は少し抵抗がありましたが、慣れてみると中々クセになる味ですね。 …なおも一口どう?」

なお「いや、いい……やめとく……」チュー

れいか「そうですか? …では私は、もう少しだけおかわりにでも…」モウイッパイ!

なお「………」チュー・・・

なお(ごめんね、れいか…。 なんかあたしだけわがまま言っちゃってたみたい……)チュー・・・

あかね「………」チュー・・・

みゆき「あかねちゃん、あかねちゃん」タタッ

あかね「…ん? みゆきか…」

みゆき「そっちのジュースはどんな味だった? 私のはピーチ味でね~」エヘヘ

あかね「う~ん…。 …多分、オレンジジュースやとは思うんやけど…」チュー

みゆき「じゃあ、ちょっとだけ飲み比べてみてもいいかな?」ワクワク

あかね「ん? …あー、うん。 ええよ」

みゆき「わーい、やったー!」バンザーイ!

あかね「………」

みゆき「それじゃあ先に、私のジュースから――…って、」

あかね「………」ボー

みゆき「? ……あかねちゃん?」

あかね「………」ポケー

みゆき「どうかしたの? …どこか体の調子でも悪いの?」

あかね「……ん? …あーいや、別にそんなんやないんやけど…」

みゆき「も、もしかして……やっぱり、ジュース交換とかしたくない…とか…?」シュン・・・

あかね「いっ!? いやいやちゃうよ! ホンマ、そういうんやないから……」アタフタ

みゆき「……じゃあ、なんで……?」

あかね「…うーん……。 ……ちょっと、な…」チラッ

みゆき「?」チラッ














ウルフルン「」ブラーン ブラーン

キャンディ「おーい、ウルフルン。 チミもジュース飲むクルー?」ホレホレ

ウルフルン「」コヒュー コヒュー・・・

キャンディ「あぁー…こりゃダメクル。 完全に虫の息クル…」チュー




あかね「…なーんであんな風になってもうてるんやろなー、って思って……」チュー・・・
 

みゆき「あっ……―――あぁあぁぁっ!!? わ、忘れてた!!」

やよい「み、みゆきちゃん!?」タタッ

なお「どうしたの、一体!?」タタッ

みゆき「わっ、わわ…私、オオカミさんの事忘れちゃってた!! すっかり忘れちゃってたよ!!」ワタワタ

やよい「え? ……――あぁっ!? 本当だ!!」ワスレテタ!

なお「そ、そうだ!! そう言えばそうだったよ!!」ワタワタ

れいか「…完全に忘れてしまっていましたね……。 …けれど、どうして…?」チュー

あかね「……実は、ウチも今さっき気付いたトコでして…」ポリポリ

あかね「最初見た時は、耳がつんざくぐらいの大声で声荒げとったはずなんやけど……なんか途中から聞こえなくなってったような…」

みゆき「そ、そういえば…」

なお「確かに…」ソウカモ

やよい「私達もなんだか、途中から自分達だけの世界に入っちゃってた気が……」

あかね「…んで、一応話聞くんやけどs――、……あーいや、」

みゆき「?」

あかね「…やっぱ別に詳しく聞かんでもええかな…」ウン

みゆき「……?」

あかね「一応さ、キャンディから聞いとった事とか確認させてもらうんやけど………アンタら、アイツに戦って勝ったんやんな?」

みゆき「う……うん…」コクリ

あかね「でも、キャンディが言うにはみゆきが危ないとか何とかって…」

みゆき「あー……うん。 それは確かに、ちょっと危なかったかも…」

あかね「……その割には、あんま大きな怪我とかしてへんように思うんやけど…?」マジマジ

あかね「向こうについて考えてみても、あんだけ大声荒げるぐらいの元気はあったっちゅー訳やろし…」ウーン・・・

みゆき「そ、それは……」ソノ・・・

あかね「…?」

なお「……そもそもアレは、戦いって言えるのかな…?」

あかね「へっ?」

なお「というかあたし達、あのオオカミに1度も攻撃とかしてないよ?」

あかね「??」

やよい「戦ったのは本当だけど…その……相手だけが一方的に襲いかかってきたっていうか…」

みゆき「それで私達は、何とかしてそれを止めなくちゃーって思って、」

れいか「そしてプリキュアに変身し、あの方の暴走を食い止めるために奮闘した……というのが正解でしょうか」

あかね「へ…へぇー……? そりゃ確かに、結構危なかったみたいやなー…」

れいか「はい…。 ……ですが、」

あかね「えっ…?」

れいか「ですがそれ以上に…」ハァ・・・

あかね「ま、まだ何かあんの…?」

れいか「ええ、まぁ………しかしそれを言葉で言い表そうにも……ねぇ…?」チラッ

なお「うん…。 …一体、『アレ』は何て表現したらいいのかな…?」

やよい「…よく、分かんないだけど……私達が言えるのは、戦っている時よりもその後の方が大変だったっていう事だけで…」

あかね「た…戦った、『後』って……?」ヒクッ

みゆき「あ……あの、ね…? あかねちゃん…」

あかね「なっ……何…?」

みゆき「一応、それについては言わせてもらうつもりなんだけど…」

あかね「あ……は、はい…」コクン

みゆき「でもその、えぇと、えっと……何て言いますか…」ゴニョゴニョ

あかね「………、」

みゆき「私、ね…? 決してオオカミさんの事、悪く言うつもりはないんだけど……ね……?」

あかね「……っ」ゴクリ・・・



みゆき「……―――正直言って、訳が分からなかったの……」

 
 
 

今回の投下は以上となります。 次からはみゆきちゃん達の回想から入っていきます。

なおさんと紫色との関係性については、ちょちょいと調べてみれば必ずと出てくると思いますのでどうぞ。

~回想開始~


ウルフルン「ガァアアアァォオオォォォオォオォオオォオアアアァアアアァアアアァアアアアァアアァアアアァアアアァアアァアアアアアァアァアアアァアアアアァアアア!!!」ドドドドド

マーチ「うぅううぅぉおぉおおおぉおぉおおおああぁああぁああああぁあああああぁああぁあああああああぁあああぁあああぁあぁああああああぁあああぁああぁああああ!!!」バッ!



ガッシィ!



ウルフルン「がっ…!? ぐォ、ぉア…ッ!?」

マーチ「よっし、つかんだぁっ!!」ガッシリ

ウルフルン「こんの、ガキィ…ッ!! は、離せ―――ッ!!」ジタバタ


ビューティ「―――今です、ハッピー!!」

ハッピー「うんっ!! …多分、これ以上のチャンスはもうない!!」グッ!

ハッピー「行くよみんな!! これで一気に終わらせよう!!」

ハッピー「今すぐマーチに……―――マーチに続けぇぇええええぇええええええええええええええええええええぇええ!!!」ダダダダ!



ウルフルン「…ッ!?」ハッ!




バババババッ!




ウルフルン「う、うぅううぅぉおぉおおおぉおおぉぉおおおぉおおおおぉおおおおおぉおぉおおおおおおおぉおおおぉおぉおお―――ッ!!?」





ドッシ―――ン!





ウルフルン「ギッ…!? ア゛、がっ、ぎぎギ…ッ!?」グググ・・・

ハッピー「や…やったっ! 捕まえたぁっ!!」ウマノリ

ウルフルン「ごっっっがぁ゛あ゛ァぁア゛ぁ゛ァア゛ァ゛アあぁ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ…!!」ギリギリィ・・・ッ

ウルフルン「クソォッ!! クッッゾォ゛ォ゛オ゛ォオオオォオ゛アアァアアァ゛アア゛アアァアア゛アアアア゛アァ゛ァ゛ァ゛…ッ!!!」ギギギギ・・・

マーチ「…っ!? ハッピー!! まだ油断しちゃダメだよ!!」ギリギリ

ハッピー「えっ…? …――きゃっ!!?」グイー!

ウルフルン「ち゛く゛しょう、離せ…ッ!! 離っ……せ゛ぇ゛ぇぇッ…!!」ググググ・・・!

ピース「う、嘘…っ!? 4人がかりで押さえているのに、まだ動けるっていうの…っ!?」グググ・・・

ハッピー「そんな…!? せっかく捕まえたのに、このままじゃ…っ!」グググ・・・

ビューティ「ハ、ハッピー! このまま私達が振り払われる前に、早く…!!」グイグイ

ハッピー「う……うん…っ!」

ウルフルン「離せェッ!! はなぜぇえぇええッ!!!」ジタバタ

ハッピー「オオカミさん! ねぇオオカミさんっ!!」

ウルフルン「はな゛、ぜっ――…!! はな゛ぁ゛ッ!!!、せ゛ェえ゛ぇえェぇ゛ぁ゛ア゛ア゛ア゛!!!」ジタバタ

ハッピー「お願いオオカミさんっ!! 話を聞いて!!」

ウルフルン「あ゛ぁ゛ァ゛ァ゛ア゛ッ!!?」ギンッ!

ハッピー「ひっ…!?」ゾクッ

ウルフルン「テメェ、まだ話があるってぇのか!? まだ何かあるってぇのかよ!!? ふっっざけんじゃねぇえぇぇぞぉおぉおおおおおおおおおおおおおおおぉおお!!?」

ハッピー「……っ!!」ビリビリ

ウルフルン「俺様は!! もう何も聞く耳を持たねぇッ!! テメェらの胸糞悪ぃ感情が入り混じった声なんざ、微塵にも聞きたかねぇんだよ!!」

ウルフルン「なのに貴様は敵同士で争ってるってぇこの時に、その訳の分からねぇ口を挟もうってのかよ!!? このクソボケェッ!!!」

ハッピー「……」

ウルフルン「それに、俺はまだ負けてねぇ!! つーか俺様が負けるわけがねぇんだ決まってんだろそんな事!!?」

ハッピー「……」

ウルフルン「今すぐこれを振りほどいてやる!! 振りほどいてからすぐにでも、テメェらを地獄の底に叩き落として…ッ!!」ググググ・・・

ハッピー「………め……て…」ボソッ

ウルフルン「…あ゛?」フーッ フーッ

ハッピー「……もう…やめて……」

ウルフルン「あ゛ァ゛ッ!!?」

ハッピー「もう、やめて………やめようよ、こんなの……」フルフル

ウルフルン「テ、ンメェェ…ッ!! この期に及んで、まだそんなふざけきった事を…ッ!!」ビキィッ

ハッピー「……じゃないと…」

ウルフルン「――……、あ゛?」

ハッピー「…そう、じゃないと……っ」フルフル

ウルフルン「…?」

ハッピー「そうしてくれないと……今ここで、オオカミさんが戦うのをやめてくれないと……」フルフル

ウルフルン「……?」

ハッピー「……私、は……私達は…」

ウルフルン「………?」

ハッピー「……私達は、本当に…っ」ギュッ


ハッピー「本当に、何をしてでも……どんな手を使ってでも、貴方を止めなきゃいけなくなっちゃう…っ!!」

ウルフルン「…な……に……?」ピクッ

ウルフルン「ど…どういう事だ、テメェ…? 何を言ってやがる…?」グググ・・・

ハッピー「………」

ウルフルン「『どんな手を使ってでも』、だと……? …それじゃあまるで……」グググ・・・

ハッピー「………」

ウルフルン「…それじゃあ、まるで……」グググ・・・

ウルフルン「さっきまでの戦いで、そういう手を一切使わずに……まるで貴様らが手加減をしていたかのように聞こえ―――」

ハッピー「……ねぇ? オオカミさん…」

ウルフルン「っ! …な、何だよ……!?」

ハッピー「私達がプリキュアに変身して…その後すぐ、貴方と戦うようになって…」

ハッピー「今はこうして、やっとオオカミさんを押さえつける形にはなったんだけれど……」

ウルフルン「……?」

ハッピー「……こういう状態になるまでに……ここまで持っていくのに、一体どれだけの時間がかかっちゃったんだろうね……?」

ウルフルン「あ゛ぁ? ……ケッ! んなもん、俺が知るかよ…!」

ハッピー「…そっか。 …ちなみに私的には、もうかれこれ数時間は戦っていた気がするんだけど…」

ウルフルン「だからッ!! それが一体どうしたってんだ―――」ガルルル

ハッピー「……それを踏まえて、1つ聞きたいことがあってね…」

ウルフルン「―――、……何…?」

ハッピー「さっきまで戦ってて……ずっとずっと、すごい量の時間を費やして戦ってきて…」

ハッピー「オオカミさんは今、身体のどこかに『痛い』って思うところとかあるのかな?…って」

ウルフルン「あ゛…? …『痛いとこ』、だと…?」

ハッピー「……うん…」コクリ

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………へ、へへっ……」

ハッピー「!」

ウルフルン「何を聞いてくるかと思えば……ケケッ、やっぱそういう類の事を聞いてくるわけかよ…!」ウルッフフ

ウルフルン「つかやっぱそうだったんじゃねぇか! テメェの脳味噌は腐ってんだッ!! イカれてるうんぬんよりも、もう既にハッピー色に腐り切っちまってんだよテメェはァ!!」

ハッピー「………」

ウルフルン「テメェこういう時でもアレなんだろ!? 『どこか怪我とかしてない?』だとか! 『痛いことしてたらごめんなさい』だとか!!
       最後の最後でそのクソッタレな善意を振り撒くつもりなんだろ!?」

ウルフルン「でもざぁぁあぁあああぁあぁんねぇぇえぇええぇんでしたぁぁあぁあああぁああぁぁあぁああああぁああぁああああああぁあ!!! 残念ながらそれはテメェの思い違いだ!!
       今回ばかりは見当違いも甚だしかったっつー訳なんだよ!! このクソボケェッ!!」

ハッピー「………」

ウルフルン「そういう恩着せがましい台詞吐くのは、もうちょいこっちを見下せるような状況になってなきゃ意味ねぇぇんだよッ!! 確かめてねぇならもういっぺん俺をよく見てみろ!!」

ハッピー「………」

ウルフルン「俺はどこを怪我してると思う? 貴様らから見て、どこにそんな思い上がれるような要素が俺様にあるっていうんだよ?」

ハッピー「………」

ウルフルン「顔か? 腕か? 足か?腹か?背中か?尻尾か? それとも目には見えねぇ骨や内臓とでも言うつもりか?」ニヤニヤ

ハッピー「………、」キョロキョロ

ウルフルン「…まぁ大サービスとして、少なくとも内側にそういう怪我はねぇとだけ言っといてやるがよ」ウルッフフ

ハッピー「………」キョロキョロ

ハッピー「………」キョロキョロ

ウルフルン「………」

ハッピー「………」ジロジロ

ウルフルン「………」

ハッピー「………」サスサス

ウルフルン「………」

ハッピー「………」サスサス

ウルフルン「………」

ハッピー「………」スッ・・・

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………見つからなかったみてぇだなぁ?」ニヤァ・・・

ハッピー「………、うん…」コクリ

ウルフルン「ウルッフッフッフ……そりゃそうだよなぁ? やっぱそうなっちまうよなぁ? まさか見つかるはずがねぇもんなぁあ?」

ハッピー「………」

ウルフルン「まぁそうなるのが当然―――ていうか、それ以外はまずありえねぇんだ。 ……何せ俺は…」ウルッフフ

ハッピー「………」

ウルフルン「なんせ俺は……―――どこにも痛手なんか負っちゃいねぇ…!!」ニヤリ

ハッピー「………」

ウルフルン「でもって俺様は全身に痛みを感じちゃいねぇ!! かすり傷1つだってどこにもありゃしねぇんだ!!」

ウルフルン「つまりテメェが言うような状況とは程遠いっていう訳なんだよぉおおおぉおおぉおおおおおおおおおおおぉひャっヒャッ!!
       ウルッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ…!!」ゲラゲラ

ハッピー「………」

ウルフルン「……だが長い間戦い続けてたせいか、俺の体力はもう限界に近い…! ……しかし…ッ!!」ググッ・・・!

マーチ「…――っ!?」グググ・・・

ウルフルン「今からテメェらを振り払い、攻撃技を喰らいながらでもぶっ殺せるだけの力は残ってるんでなぁ…ッ!
       もういい加減そろそろ 決着でも 付けようじゃ ねぇ、か、ァ、ァァァ゛ア゛ァ゛ア゛ア゛アア゛ア゛アアァ゛ア゛ア゛ア゛アァ゛ア゛…ッ!!!」ググググ・・・ッ!

ビューティ「そん、なっ…!? このままでは…っ!」グググ・・・

ピース「ハ、ハッピー!!」グググ・・・

ハッピー「……っ!」グググ・・・

ウルフルン「ギャヒッヒヒヒャハハハハハハァ!!! 残念だったなぁ、プリキュアのカス共ォ!! テメェらはもう終わりだッ!!
       貴様ら人間をぶちのめし、最後に勝利の遠吠えをあげることになるのはこのオオカミだ!!!」グググ・・・ッ!

ハッピー「………」グググ・・・

ウルフルン「全部、全部その正義の味方気取りな行動が命取りだったんだよ!!」グググ・・・!

ウルフルン「大した余裕もねぇクセしてろくに決着付けようとしねぇでッ!! 俺達悪役に情けをかけたりすっからこういう結末になんだよ、この間抜けェッ!!!」ググググ・・・!

ハッピー「………」グググ・・・

ウルフルン「てゆーか、テメェらこそ今の自分の姿形やらを客観的に見れちゃいねぇんだろうが!!」グググ・・・!

ウルフルン「そっちこそ同情誘えるぐれぇにボロッボロになってんのに気付いてねぇのかよぉ!?、おいッ!!?」グググググ・・・ッ!

ハッピー「………」グググ・・・

ウルフルン「いくら『伝説の戦士・プリキュア』と言えど!!」ググググ・・・!

ハッピー「………」グググ・・・

ウルフルン「そんな完全にガタが来てやがる、たかが人間ごときにッ!!」グググググ・・・ッ!

ハッピー「………」グググ・・・

ウルフルン「無傷の俺様がどう戦おうが、負けに転じるような事なんて絶対にありえねぇ―――――っ!?」ピタッ

ウルフルン「………」ググググ・・・

ハッピー「………」グググ・・・

ウルフルン「………」ググ、グ・・・

ハッピー「……?」ググ・・・

ウルフルン「………ちょっと、待てよ……?」グググ・・・

ハッピー「………」ググ・・・

ウルフルン「………」グググ・・・

ウルフルン「………」グググ・・・

ウルフルン「……なぁ、おい」チラッ

ハッピー「!」ググ・・・

ウルフルン「一応、念のために確認しときたいんだが……」グググ・・・

ハッピー「………」ググ・・・

ウルフルン「……俺は……いや、俺達は…」グググ・・・

ウルフルン「俺達は本当に……さっきまで本当に、戦っていたんだよな……?」グググ・・・

ハッピー「………」ググ・・・

ハッピー「………、」コクリ

ウルフルン「…いや、別にわざわざ確認なんざする必要はねぇんだ。 もう十分に分かってはいるからな…」グググ・・・

ハッピー「………」ググ・・・

ウルフルン「後先考えずがむしゃらに暴れまくってたから、そこまではっきりとは憶えちゃいねぇ」グググ・・・

ウルフルン「しかしこうやって今押さえ付けられてることや、俺がかなりの体力を消耗していること……
       そして何よりお前らにある生々しい傷跡が、俺と戦ってたから出来たもんなんだってすぐに理解できる」グググ・・・

ハッピー「………」ググ・・・

ウルフルン「……だが、な…」ググ・・・

ウルフルン「もしそれで、話が全部収まるんだとしたら……どうしても1つ分からねぇ点が出てくるんだよ…」ググ・・・

ハッピー「………」

ウルフルン「俺達はさっきまで戦っていた。 …何時間にもわたって、それぞれの全力を以て戦った。 ……そして俺はお前達に、数えきれないほどのダメージを与えたはずだ」ググ・・・

ハッピー「………」

ウルフルン「……だとしたら、何故……」

ハッピー「………」

ウルフルン「……何故、俺は………お前らと戦って、『ここまで無傷でいられる』…!?」

ウルフルン「なんで俺は、『数時間確かに戦っていたのに、何1つ傷を負っちゃいねぇ』んだよ……っ!?」

ハッピー「………」

ウルフルン「……さっきまで俺は、ただただ『怒り』に身を任せて動いていた…」

ウルフルン「あらゆる理性という理性を完全に捨て去って、本能だけで暴れていた……はずだ…。
       ……あんま記憶にねぇのはそのせいかもしれんが…」

ハッピー「………」

ウルフルン「…そして俺は……その状態のまま、貴様らに戦いを挑んだんだ」

ハッピー「………」

ウルフルン「貴様らを倒すこと、貴様らを消すこと、貴様らをバッドエンドに染め、ありとあらゆる幸せを貴様ら全員から奪い尽くすこと……そればっかりを考えていた…」

ウルフルン「要はただ勢いでぶつかっていっただけなんだよ。 作戦なんてあったもんじゃねぇ……
       ……守りの面においても然りだ」

ハッピー「………」

ウルフルン「俺は攻めることだけしか考えてなかった。 …身を守るとか、端から頭には入ってなかったんだ」

ハッピー「………」

ウルフルン「……ま、だからだろうなぁ…」

ウルフルン「そんなんだったから…いや、そういう状態だったからこそ……今感じてる違和感の正体が、はっきりと分かる…!!」

ハッピー「………」

ウルフルン「おいキュアハッピー!!」

ハッピー「っ!」

ウルフルン「俺は……俺は貴様らに戦いを挑み、そしてさっきまで戦っていた…!」

ウルフルン「これ以上ないぐらい必死になって、力を出し切った…ッ!! 『俺は』全力で戦ったぞ…!!」

ハッピー「………」

ウルフルン「……だが……」

ハッピー「………」

ウルフルン「俺じゃないとして、『テメェは』……? …『そっちは』、どうだったんだ……?」

ハッピー「………」

ウルフルン「俺と同じように戦ってたか…? 本気で俺を潰そうとしてたか…?」

ウルフルン「テメェは……いや、テメェらは………俺のように、本気で戦っていたのか……?」

ハッピー「………」

ウルフルン「…もし、も……全部……」

ピース「………」

ウルフルン「全部……俺の予想通りだとしたら……」ワナワナ

マーチ「………」

ウルフルン「…さっきの台詞も……冗談じゃ、なかったとしたら……」ワナワナ

ビューティ「………」

ウルフルン「……っ」ワナワナ

ハッピー「………」

ウルフルン「……っ」ワナワナ

ハッピー「………」

ハッピー「………」

ハッピー「……そっか、」

ウルフルン「っ!!」

ハッピー「貴方と戦って……私達は、こんなにもボロボロになっちゃって…」

ハッピー「私とかなんかもう…体中の色んなとこが痛くて、痛くて痛くてたまらなくて……」

ウルフルン「………、」

ハッピー「それでも、オオカミさんは……私達みたいにはなってないんだよね?」

ハッピー「どこか痛いとこ、とか……どこか怪我してるところとか……そういうのは、本当に無いんだよね…?」

ウルフルン「……っ」

ハッピー「………」

ハッピー「……そっかぁー…」

ウルフルン「っ……」ワナワナ

ハッピー「そうなんだー……」

ウルフルン「………っ」ワナワナ

ハッピー「………」

ウルフルン「……っ」ワナワナ

ハッピー「………」

ウルフルン「……っ」ワナワナ

ハッピー「………」

ハッピー「………」

ハッピー「………っ……た…」ボソッ

ウルフルン「ッ!?」ギョッ




ハッピー「良かっ…たぁ……っ! オオカミさんが、無事で……本当に良かった…っ!!」ニコッ・・・

ウルフルン「っ…!!?」

ウルフルン「テ、テメ……っ! …テ、メ゛ ェェ゛ッ…!!」ビキッ!

ハッピー「っ…!?」

ウルフルン「テェェェ゛ンメ゛ェェエェエエェエェエエエエェェエエェェエエェエエエェエエエエエェエェエェエエエエェ゛エ゛ェ゛エ゛ェ゛ェ゛エ゛エ゛エ゛ェ゛エ゛ェ゛エ゛ェ゛ェ゛エ゛エ゛ェ゛ェ゛ェ゛……ッッ!!!」ビキビキィッ!

ハッピー「……っ」

ウルフルン「や…やっぱ、『手加減』してやがったのか…ッ!! そっ、そこまで…そこまで俺の事を、コケにしやがったってぇのか…ッ!!?」

ウルフルン「みっ、みんなして…っ! テメェら全員で、おっ…お、俺っ! 俺…をォッ!!
       俺様の事を、最後の最後まで舐め腐ってやがったってぇぇのかァァアァアァアアアアアアアアァアァアアアァ゛ァ゛アア゛ァ゛ア゛ァ゛アア゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛……ッッ!!!」ガルルルル

ハッピー「………」

ウルフルン「…ッ!! ……ッ!!」フーッ フーッ

ハッピー「………」

ハッピー「……そう…じゃない、よ……」フルフル

ウルフルン「あ゛ァ゛ッ!!?」ギンッ!

ハッピー「私……手加減なんか、してないよ…。 …コケにするとかだって、そう…」フルフル

ハッピー「オオカミさんの事だって……そんな風に思ったことだなんて、1度もない…っ! …思えるわけがない……っ!!」

ウルフルン「…テ、メッ…! …ふっ…ざ、けッ……!!」プルプル

ハッピー「…できっこないよ……っ、そんなの―――…」キュッ・・・

ウルフルン「――ッ!! じゃあ一体何故なんだ!!? 何故『俺は無傷のままでいられる』!!?」

ハッピー「……、」

ウルフルン「何時間も戦っておいて!! 互いに加減とかせず、全力で戦ってて!! そんでそっちが今までにねぇぐれぇに傷だらけになっちまってッ!!!」

ハッピー「………」

ウルフルン「なのになんでっ! なんで『俺だけがダメージを1つも受けてねぇ』んだよ!!? 絶対におかしいだろうがよそんなの!!!」

ハッピー「……そ、れは…」ソノ・・・

ウルフルン「俺達が何回戦ってきたと思ってやがる!? 何回互いにぶつかり、傷付け、争ってきたと思っていやがる!!?」

ハッピー「………」

ウルフルン「俺達は、何度もテメェらに戦いを挑みっ! そして敗れてきた!!」

ウルフルン「始めの方で善戦してた場合もあったが最後にはテメェらに負け、負けて、負けて、負け続けてきたんだッ!! テメェらがバッドエンド王国に乗り込んだ時だってそうだ!!」

ハッピー「……って…」ボソッ

ウルフルン「あん時も俺は負けちまったんだぞ!!?
       たった1人しかいねぇプリキュアと、力と力全力でぶつけ合って!! それでも俺は惨めに負けちまったんだぞ!!?」

ハッピー「…だっ……て…っ!」

ウルフルン「それなのに今回はその4倍の数と戦って、かすり傷1つもねぇってか!?」

ウルフルン「こんなふざけた事があってたまるかよ!?
       あってたまるかってぇぇんだよぉおぉおおぉおおぉおおおぉおおおおおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉおおおお!!!」

ハッピー「~~っ!!」プルプル

ウルフルン「そういえばテメェ、さっき『絵本が好きだ』とかぬかしてたよなぁ!? だとするとコレも何かのオマージュって奴か!!」

ウルフルン「むごたらしく殴って殴って血ぃ流して殺すんじゃなく、本に書かれてるオオカミの最期みてぇに火の中水の中突っ込ませてハッピーエンドにしようって魂胆なんだr―――」

ハッピー「―――だってっ!!!」

ウルフルン「っ!?」ビクッ

ハッピー「だって……っ! …だっ、て……っ」フルフル

ウルフルン「…、? ……、?」

ハッピー「…私は、ただ……」キュッ・・・

ウルフルン「……?」

ハッピー「私…は、ただ………オオカミさんの事が……っ!」ジワァ・・・

ウルフルン「………、あ゛?」ピクッ

ハッピー「違う、もん……っ! 私……、そんなんじゃないもん……っ」グシグシ

ウルフルン「……何だと?」

ハッピー「わだ…じ、っ…ぐすっ……そんなんじゃ…っ、ないのに゛、ぃ……っ」ポロポロ

ウルフルン「おい。 ……どういう事だよそれは?」ジロッ

ハッピー「うっ、ぅ……っ、…ひっ、ぐ……、うぇ………っ」ポロポロ

ウルフルン「おいテメェ…ッ!! 俺様が聞いてんのに泣いてんじゃ―――!!」キッ!

ビューティ「―――お待ち下さい」

ウルフルン「――、……あん?」

ハッピー「…ビュー……ティ……?」グスッ

ビューティ「ハッピーは既に心身共にボロボロです。 …とてもではありませんが、泣き止むのに多少の時間がかかってしまう事でしょう」

ビューティ「ですので私が…。 …彼女が落ち着いてくれるまでは、このキュアビューティが……今貴方が抱いている疑問に対して、でき得る限り答えていきたいと思います」

今回の投下は以上となります。 続きは明日更新していきます。

学校が忙しくてでまともに書き進める事ができませんが、せめて区切りの良いところまでいきたいなぁと思っています。

ビューティ「…まずは、先程の質問についてですが……」

ウルフルン「………、」

ビューティ「………」

ウルフルン「………」

ハッピー「……、」グスッ・・・

ビューティ「……おおむね、貴方が思ってらっしゃる通りです」

ウルフルン「!!」

ハッピー「っ!?」ギョッ

ビューティ「ずっと戦っていたはずなのに、怪我をしているのが私達だけだという事。 そして貴方だけが不自然に傷を負っていない事…」

ビューティ「これらは全部、私達が前もって決めていたからなんです。 …『貴方に攻撃することなく、この戦いを終わらせるんだ』、…と」

ウルフルン「やっぱ、そうかよ…ッ!! 結局テメェらは俺の事、底辺に見下して……ッ!!」ギリッ・・・!

ハッピー「ち、ちがっ……! 私達、見下してなんか―――…っ」ブンブン

ビューティ「―――しかし、」

ハッピー「…?」

ウルフルン「……あ゛?」ガルルル・・・

ビューティ「私達が、そうしなかったのは……手をかけようとしなかったのは、別に貴方を軽んじていたからという訳ではありません」

ウルフルン「な、…に……?」ピクッ

ビューティ「……本当は、もっと早めに終わらせるつもりでした」

ビューティ「しかし予想していたよりも、ずっと状況的に不利だったという事……そして貴方に、私達の声が一向に届かなかったという事…」

ビューティ「そして何よりも、私達に……私達にそれだけの余裕を持ち合わせられないという事実あったから、ここまでの時間を要してしまったのです」

ウルフルン「……?」

マーチ「……正直言うと、ね…」グイグイ

ウルフルン「!」

マーチ「あたし達、実際かなりヤバかったんだよ……? …おだててるとかそんなんじゃなくて、本気でさ…」

ウルフルン「あ゛……?」

マーチ「いつものアカンベェみたいに、勝手が効かないというのもあったかもだけど…」グイグイ

マーチ「ただ捕まえるだけのはずなのに、全然上手くいかないし…それに、めちゃくちゃ素早かったし……力だって…」

ウルフルン「……?」

ピース「…わ、私……すっごく、怖かったんだよ……?」フルフル

ピース「戦い始めたとき、なんか……オオカミさんの眼が、いつもと違って赤く光ってたし……
     それにしっ、…し、しし、舌…なんかも……ろくにしまわないで……っ!」ブルブル

ウルフルン「………」

ハッピー「……私、も…怖かった……っ」キュッ・・・

ハッピー「だってあんなオオカミさん、今まで見たことないんだもん…っ!
      本当に…本当の本当に こっ、怖かった……っ。 ……怖かったよぉ…っ!」ブルブル

ウルフルン「………」

ピース「…あかねちゃんは、本当に………たった1人で、あのオオカミさんを倒したっていうの……?」フルフル

ウルフルン「………」

ウルフルン「……だった、ら…」ボソッ

ハッピー「!」

ウルフルン「だったら何故……この俺に対して、一切の攻撃をしてこなかった……?」

ウルフルン「こっちは攻めて、攻めて…ただひたすら攻めまくったっていうのに……何故反撃の1つもしてこなかった…?」

ハッピー「……、」

ウルフルン「…そっちに、俺を倒すだけの……コケにするだけの余裕が無かったってんなら……どうして……」

ハッピー「………」

ウルフルン「……どうして……」

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ピース「………」

マーチ「………」

ビューティ「………」

ウルフルン「………」

ビューティ「……―――それは、」

ウルフルン「っ!!」

ビューティ「それは、ただ……私達が願っていたことだから…」

ウルフルン「『願、…って』…?」

ビューティ「はい。 ……まぁもっとも、これはハッピーの受け売りなんですがね」フフッ・・・

ウルフルン「…?」

マーチ「…ハッピーは後悔してるんだよ。 …――『オオカミさんを怒らせてしまった』、ってね」

ウルフルン「なっ…!?」

ピース「……今日、貴方が体育館に来てくれて…」

ピース「そしてそこで、あかねちゃんの事を助け出してくれて……笑顔にしてくれて……」

ウルフルン「………、」

マーチ「…もしあれがあのままだったら……あたし達は絶対に後悔することになってた…」

ウルフルン「……っ」

ビューティ「…ですから……たとえそれが、単なる思い込みだったとしても…」

ビューティ「それがたとえ…みゆきさんから教えてもらい、ようやく気付けたものだとしても……皆貴方に対して、いくら感謝してもしきれないんです」ニコッ

ウルフルン「…ぐっ……!!」ワナワナ

ハッピー「…――そしてその後に…」グスッ・・・

ウルフルン「っ…!?」ビクッ

ハッピー「私が…帰りそうになったオオカミさんとお話ししたから…」グシグシ

ハッピー「私が余計な事を喋っちゃったから……最後の最後で、貴方を怒らせてしまった…」

ウルフルン「……っ」

ハッピー「……いくら謝ったって……許してくれるわけがないって、十分に分かってる…」

ウルフルン「……、」

ハッピー「だけど―――……ううんっ、だからこそ………私は私がしてきた事に、正面から向き合いたい……っ。
      悪い事をしたんだという事実から、逃げ出したくない…っ!」グッ・・・

ハッピー「罪は罪として、ちゃんと償っていきたいんだって……私が貴方にしてきた事について、しっかりと責任を取っていきたいんだって―――」

ウルフルン「………」

ハッピー「―――……そう、思っているの……」

ウルフルン「………」

ピース「……そしてそれは、私達だって同じ」

ウルフルン「――…、」

マーチ「……、……あたし達はみんな、みゆきちゃんがそばにいてくれたから……こうして前を向いていられるんだ」

ウルフルン「………」

ビューティ「…敵である貴方に対し、心から感謝をしていきたいと思えるのも…」

ビューティ「罪の意識から逃げようとするのではなく、自分から向き合っていくんだと思えるのも全て……全て、みゆきさんがいてくれたものだから……」

ハッピー「…みんな……」

ウルフルン「………」

ビューティ「ですから私は……私達は、みゆきさんが描く世界というのを見届けたい。 彼女が抱いている夢を、彼女が信じている道を、共に一緒に歩んでいきたい」

ウルフルン「………」

マーチ「そのためにもあたし達は……みゆきちゃんの気持ちとか、責任とか……そういうのを全部、分かち合いたいって思うから……」

ウルフルン「………」

ピース「…みんなで貴方に『ありがとう』って……『ごめんなさい』っていう気持ちをいっぱい、いっぱい伝えていきたいって思うから……」

ウルフルン「………」

ビューティ「戦って『勝つ』ためでもなく、『倒す』ためでもない……ただ、貴方を『止める』ため…」

ビューティ「争いで決める優劣なんかよりも、もっと大切な……もっと大事なものがあるのだと、そう信じているから……」

ウルフルン「………、」

ハッピー「……もし、も…」ボソッ

ウルフルン「!」

ハッピー「もしも、プリキュアとしての力を使って……それで勝ったとしても……」

ハッピー「それは、貴方の気持ちを何も考えず……ただ力で、無理矢理言う事を聞かせてるだけだって思ったから……っ」

ウルフルン「…―――っ!!」

ハッピー「…それ、だけは……っ!」グッ

ハッピー「それだけは……っ、…それだけは、絶対にしたくないって思ったから―――…っ!!」

ウルフルン「……、」

ハッピー「……っ」フルフル

ウルフルン「………」

ハッピー「………っ」フルフル

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「……そういう事かよ」

ウルフルン「やっぱテメェ舐めてるわ。 俺達の立場とか、お互いの境遇とかそんなん全く考えちゃいねぇ」

ハッピー「………、」

ウルフルン「単にテメェは、意味のねぇ屁理屈をこねまくってるだけなんだよ」

ウルフルン「その自分勝手な『気持ち』とやらにかまけてばっかで、実際のところ何の解決もしようとしねぇ……俺からして見れば、ただのわがまま振り撒いてばっかのガキに過ぎねぇんだ」

ハッピー「………」

ウルフルン「貴様らはプリキュアなんだろ? 『伝説の戦士・プリキュア』とか呼ばれてんだろ? だったら戦えよ」

ハッピー「………」

ウルフルン「戦士ってのは、戦う存在だから『戦士』なんだろうが」

ウルフルン「なら戦いもしねぇ奴は『戦士』なんかじゃねぇ。 …そういう奴らが戦わねぇのは、もうその戦いを諦めた時だけなんだよ」

ハッピー「………」

ウルフルン「…まぁもっとも、テメェらがすでに勝負投げてるってんなら話は別だが―――」

ハッピー「……そう……なのかな……」ボソッ

ウルフルン「―――、……あん?」

ハッピー「私……これでも一生懸命、全力を尽くしてきたつもりだけど……」

ハッピー「自分なりに精一杯頑張ってきて……どんなにつらくても、苦しくても…それでも挫けないで、努力してきたつもりなんだけど……」

ウルフルン「……?」

ハッピー「……だけど……もう、諦めるしかないのかな……?」キュッ



ハッピー「どんなにお話しても、どんなに頑張っても意味がないのなら……やっぱり戦って、無理矢理終わらせるしかないのかな……?」



ウルフルン「……は……?」

ウルフルン「な、ん…だ と……っ?」

ハッピー「………」

ウルフルン「き…貴様……何だよ、その言い草は……?」

ハッピー「………」

ウルフルン「…それだと…まるで……―――っ!!」ハッ!







―――本当に、何をしてでも……―――




―――どんな手を使ってでも、貴方を止めなきゃいけなくなっちゃう…―――







ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「……まさか……」

ハッピー「………」

ハッピー「………、多分…」ボソッ

ウルフルン「っ!?」

ハッピー「これは多分、なんだけど………間違ってたら、ごめんなさいなんだけど……」

ウルフルン「………、」

ハッピー「……今まさに、オオカミさんの思っている通り…かな」

ウルフルン「――…っ!」

ハッピー「オオカミさん、さっき言ってたよね? 『体力はもう限界に近い』んだ、って…」

ウルフルン「あ゛? …あ、あぁ…。 ……そうだ」

ハッピー「……実は、私達もなんだ~…」エヘヘ・・・

ハッピー「今まで、こんなに長い間戦った事なんてなくって……それですっごく、すっごく疲れちゃってて…」

ウルフルン「………」

ウルフルン「……それが、どうしたってんd―――」

ハッピー「―――でもね、」

ウルフルン「っ!!」

ハッピー「今貴方が言っているような、戦いによる『疲れ』っていうのは…」

ウルフルン「……?」

ハッピー「……きっと私達の言うそれとは、かなり大きな違いがあるんじゃないかなって思うの」

ウルフルン「あ゛……!?」

ハッピー「…だって、私達…」

ハッピー「さっきまでずーっとずーっと戦ってたのに、誰も能力とか必殺技とか使ってないんだよ?」

ウルフルン「――っ!!」

ハッピー「…これは手加減じゃない、…っていうのはさっきも言ったんだけど……貴方を傷つけないよう攻撃を避け続けてたら、いつの間にかそういう感じになっちゃってて……」

ハッピー「見た目とかはもう、今までにないぐらいボロボロになっちゃってはいるけど……頑張って我慢さえしていれば、案外まだまだ動けたりできて……」

ウルフルン「………、」

ハッピー「……それでもやっぱり、痛いところはすっごく痛いんだけどね……」エヘヘヘ・・・

ウルフルン「………」

ハッピー「……それよりも、オオカミさんの方だよ…」

ウルフルン「あ……?」ピクッ

ハッピー「………」

ウルフルン「……俺……?」

ハッピー「………、うん…」コクリ

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「……ちょっと、」

ウルフルン「何言ってんだか……正直よく分からねぇんだg―――」

ハッピー「―――本当はもう、ろくに体を動かせられないんでしょ…?」

ウルフルン「ッッ!!?」ギョッ

ウルフルン「なっ……!? な……!?」パクパク

ハッピー「………え?」

ウルフルン「な…に、を……言って……っ!」フルフル

ハッピー「………」

ハッピー「……気付いて、ないの……?」

ウルフルン「――ッ!!」ビキッ!

ハッピー「だって……オオカミさん、もう……」

ウルフルン「……っ、…ざ……ッ!!」

ハッピー「……えっ…?」

ウルフルン「――ふざけやがってッ!! ふざけやがって、ふざけやがってふざけやがってふざけやがってふざけやがってふざけやがってふざけやがって!!!
       なんで俺様がテメェなんぞに評価されなきゃなんねぇんだよ!!?」

ウルフルン「つーかなんでいきなり『俺の体は動かねぇ』って決め付けてきやがる!? さっきまで俺の事ヒーコラ押さえ付けてやがったくせしてさぁ!!?」

ハッピー「………でも……」

ウルフルン「『でも』じゃねぇよ動くに決まってんだろ当然だろダボがッ!!! もぉぉ頭にきた!!」ガッ!

ウルフルン「もういい加減、テメェらを振り払ってやる…ッ!! その後すぐにでも、テメェら全員終わりにして…!!」グイグイ

ハッピー「………」

ウルフルン「…ッ!!」グイグイ

ハッピー「………」

ウルフルン「…っ!! ……ッ!!」グイグイ

ハッピー「………」

ウルフルン「ッ!! …ッ!! ―――…っ!?」グイグイ

ハッピー「………」

ウルフルン「がッ…!? ぐォ、お、ォ……ッ!!」グイッ! グイッ!

ハッピー「………」

ウルフルン「く、くっそ…ッ!! 何だよ、コレ……ッ!?」グイグイーッ!

ハッピー「………」

ウルフルン「……体、が……っ」ワナワナ

ウルフルン「体が、動かねぇ……っ!? 俺の体が、全然……全く、言うこときかねぇだと……っ!!?」ワナワナ

ハッピー「………」

ウルフルン「どういう事だよこれは……!? さっきまで確かに、俺は動けたはずだぞ……!?」グイグイ

ハッピー「………」

ウルフルン「まっ……まさか……ッ!」ギロリ

ウルフルン「俺達が、さっきまで話している間に……何か能力使って細工を……!?」グルルル・・・

ハッピー「………」

ハッピー「………、違うよ…」フルフル

ウルフルン「あ゛ァッ!?」

ハッピー「オオカミさん……本当に何も、気付いていなかったんだね……」

ウルフルン「だから……ッ!! 一体何が―――ッ!!」

マーチ「―――アンタがそうなったのはアンタ自身のせいだって事だよ」

ウルフルン「ッ!?」

マーチ「だからさ、さっき自分でも言ってたでしょ? 『体力はもう限界に近い』、ってさ」

ウルフルン「し…しかし……そん時はまだ、俺は自由に動けて………少なくとも今のようには……」ワナワナ

ビューティ「……おそらく、単にそれに気付いていなかっただけなのでしょう」

ビューティ「怒りで我を忘れ、己を顧みず、ただ全力で獲物を狙い続けてきた。 ……そうすることで冷静さを欠いていれば、自身がどういう状態にあるのかというのをしっかり認識できないはず」

ハッピー「……本当に………『私達を倒す』、っていう本能だけで動いてたんだね……」

ウルフルン「……ッ」

ピース「…それでさっき、落ち着きを取り戻したから動けなくなっちゃったんだ……」

ウルフルン「…ぐっ……!!」ワナワナ

ビューティ「…もう私達が押さえ付ける必要なんてないでしょう。 おそらく指1本たりとも動かせないはずです」スッ・・・

ピース「う、…うん……」スッ・・・

ウルフルン「がッ……くっ……、ゴ、ぉ…ォお……ッ!?」プルプル

マーチ「……本当だ……。 あたし達を振りほどこうとしてた手や足も……さっきまでの力が全然入ってない……」スッ・・・

ウルフルン「ぎ、ァ゛…ガッ…ァ゛……ッ! あ゛ァ゛ぁ゛ぁ゛ァ゛……!!」プルプル

ビューティ「…長い、戦いでしたね……。 …果たしてこれを『勝負』と表現してもいいのか定かではありませんが…」

ウルフルン「ぐぉおぉおおぉおおおぉおぉぉおぉおぉぉぉおぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……ッ!!」メキメキメキメキ

ウルフルン(ま…まだだ……ッ!! まだ俺は、負けちゃいねぇ……ッ!!)グルルル・・・

ピース「…そういえば、キャンディは何処にいるんだろう…?」キョロキョロ

マーチ「多分遠くに隠れてるんじゃないかな…? 何なら今から探しにでm―――」

ハッピー「………」

マーチ「――…? …ハッピー、どうかしたの?」

ピース「もう、オオカミさんの上に乗っかる必要なんてないんだよ……? 早く楽な姿勢にしてあげた方がいいんじゃ……」

ハッピー「………」

ウルフルン「が…ぐッ……ギ…ぎぃぃィぃ……ぐっ、く……」プルプル

ハッピー「………」

ウルフルン「くっ……ぐ……ぃっ、ひ……ひっ、ひヒっ………ひヒヒひッ……」フルフル

ハッピー「………」

ピース「……ハッピー…?」

ウルフルン(…確かに、今の俺では体を動かすなんてできねぇ…。 ……しかしそれは、単に俺が疲れているからに過ぎない…!)

ウルフルン(なら話は簡単だ……!! 疲れて動かなくなったんなら、その分休んで動けるようにすればいい…!!)ウルッフフ

ハッピー「………」

マーチ「……?」

ウルフルン(今じゃもう、いくら休んだとして立つ事さえままならねぇかもだが……最後の力を振り絞って、ぶつけるくらいならできるはずだ…!)

ウルフルン(そうすれば全員は無理だが、奴らの中で1人ぐらいなら確実に倒せる…!! ありったけの力を込めて、どれか1匹のガキを道連れにできる……ッ!!)

ハッピー「………」

ビューティ「……ハッピー……?」

ウルフルン(…この際もう、誰だっていい)

ウルフルン(その油断している馬鹿面を、今すぐ絶望色に染め上げてやる……ッ! 誰かが感付いちまうギリギリのタイミングまで安静にし、バレたと思ったら持てる力を一気に解放させt―――)

ハッピー「―――させると思う…?」スッ・・・

ウルフルン「ッッ!!?」

ウルフルン「なっ…!? な、なな……っ!?」ワナワナ

ピース「ハ、ハッピー!?」ギョッ

マーチ「一体、何をして……!?」

ハッピー「………」

ウルフルン「き、貴様……っ! 何で……!?」ワナワナ

ウルフルン(何で、バレやがった……っ!? まさかさっきの笑い声で……―――いや、それだけで考えが分かるなんてことは―――っ)

ハッピー「……だって……」

ハッピー「だって今のオオカミさん、すっごく危ない目をしていたから……それを見て、絶対に止めなきゃダメだって…そう思ったから……」

ウルフルン「あ゛…? ……『目』……?」

ハッピー「……うん」コクリ

ハッピー「何かをしようとして、そのためには自分がどうなっても構わないって考えてる目……自分を犠牲にして、まるで生きることさえ考えなくなってしまったかのような目……」

ウルフルン「………」

ハッピー「そういう目をした人を、私見たことがある…」

ハッピー「すごく身近にいたのに……すぐに気付いてあげられたはずなのに………結局私達、何もしてあげられなかった……っ」キュッ・・・

ウルフルン「………」

ハッピー「……だからこそ……っ! だから誰であっても、もうそんな事させたりはしない……っ!!」グッ・・・!

ハッピー「もし次にそういう人がいたら、絶対に止めてあげるんだって……!! …たとえそれが敵であっても、そんなの関係ないんだって……っ!」

ウルフルン「………、」

ハッピー「……たとえそのやり方が……こうするしか他に、思いつかなかったとしても……」

ウルフルン「………」

ハッピー「…本当は、こんな事したくない…。 …お話で終われるんだったら、私で良ければいくらでもお話してあげるのに……」

ウルフルン「………」

ハッピー「……だけど……そうじゃないから……」

ハッピー「オオカミさんが、自分を犠牲にしてまで私達を倒そうとしているから……。 だから私は、何としてでもそれを止めなくちゃ、…って……思うから……っ」フルフル

ウルフルン「………」

ハッピー「わ、私は、今……貴方を前にして、手を振りかざしてます……。 …ここから私は、必殺技を出すことができて……貴方を、倒すことができます……」フルフル

ウルフルン「………、」

ハッピー「そっ、それから……もし、私1人の攻撃に耐えられたとしても……私の他に、あと3人の攻撃が待っています……」フルフル

ウルフルン「………」

ハッピー「なので……いくら抵抗しても無駄、です……。 …いくら頑張っても、貴方にもう勝ち目はありません……っ」フルフル

ウルフルン「………」

ハッピー「戦おうとしても、意味なんてないから……っ。 オオカミが1匹、力尽きるだけで……悲しい気持ちしか生まれないから……っ」ブルブル

ハッピー「…だから……っ、…だから簡単に……自分の命を捨てるような事はしないで……っ!」

ウルフルン「………」

ハッピー「ねぇ……っ、もう止めようよ、こんなの……っ! 私もう、貴方と戦いたくないよ……っ!」ブルブル

ウルフルン「………」

ハッピー「これは最後の忠告……。 貴方が戦う意思を止めれば、この戦いは終われるし……止めなければ、私達で無理矢理終わらせるしかないから……っ」キュッ・・・

ハッピー「だから、お願いします……!! 勝手な理由だけど…押し付けがましいぐらい、馬鹿なお願いだけど……どうか聞いて下さい……っ!! ……どうか……っ!!」

ウルフルン「………」

ハッピー「……っ」ブルブル

ウルフルン「………」

ハッピー「………っ」ブルブル

ウルフルン「………」

ウルフルン「………、そうか……」

ハッピー「!」

ウルフルン「絶対に、バレねぇと思ったんだがなぁ……。 …俺のこの惨めな姿を見て、テメェらが油断している隙を狙って一泡吹かそうとしてたんだが……」

ハッピー「………、……」

ウルフルン「……結構、頑張ってたつもりなんだがなぁ…」

ウルフルン「俺は俺なりに、これでも全力で戦って……今まで以上に…これまでにねぇってぐらいに、死力を尽くしてきたはずなのによ……」

ハッピー「………」

ウルフルン「……それでも、テメェは…テメェらはまだ、余力を残してて……」

ハッピー「………」

ウルフルン「あんだけ暴れてたのに、俺は……ガキ1匹倒すこともできなくて………何もできなくて……」

ピース「………」

マーチ「………」

ビューティ「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………、そうか……」



ウルフルン「俺は………負けるのか………」ガクッ・・・
 

すいませんストックが無くなりました。 なので少し書き溜めを作っていきます。

土曜日には、数レスだけになりますが更新できると思います。

ピース「…お……終わっ、た…の……?」

ウルフルン「………」

マーチ「……そう、みたいだね……」

ビューティ「はい…。 …もう完全に、戦う意思が見受けられなくなりましたから……」

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ハッピー「………、…さい……」ボソッ

ウルフルン「………あ゛?」

ハッピー「ごめん、なさい……。 ……ごめ、ん…なさい……っ」

ウルフルン「……何で謝ってんだよ?」

ハッピー「ご、め…っ、なさ……い……っ。 ごめ、…なざ、ぃ……っ」ジワァ・・・

ウルフルン「だから……ッ! どうしてテメェが謝ってんだよ……!!」ギロッ

ハッピー「だっ、て………だっ…、てぇ……っ!」ポロポロ

ハッピー「やっぱり…私、最低だ……っ。 あれだけ戦いたくないって…傷付けたくないって、言っておいて……こうやって、力で無理矢理終わらせる事しかできないんだもん……っ」ポロポロ

ピース「………、」

ハッピー「本当に私、どうしようもないよね……っ。 貴方の気持ち、考えないで……自分がやりたいように、やるだけやって……っ」

ハッピー「それで…何もかも全部、無かった事にしちゃうんだもん……。 …こんなんじゃ、オオカミさんに怒られても仕方ないよね……っ」

マーチ「……ハッピー……」

ビューティ「………」

ハッピー「…ごめんね……本当にごめんね…オオカミさん……」グスッ

ウルフルン「………」

ハッピー「こんな1回謝っただけで、許されないって十分わかってる……。 …後で気が済むまで、何回でも謝るから……っ」

ウルフルン「………」

ハッピー「……あと、貴方にお礼もしたい……。 …こんな形でだけど、私達のお願い聞いてくれたんだもん…」グシッ

ウルフルン「………」

ハッピー「勝手な押し付けかもしれないけど……それでもいつか、何かして欲しい事があったら言ってもらいたい…。 …いらないかもしれないけど、少しでも力になりたい……っ」グシグシ


ハッピー「私にできることだったら、何でもしてあげるから……っ」

ウルフルン「っ!」

ハッピー「……だから、許してほしいだなんて……そんな風には、絶対言わないけれど……」

ウルフルン「………それは、本当か…?」

ハッピー「えっ?」

ウルフルン「『何でもしてあげる』、だとか……『お礼』だとか……そういうのは全部、そっちがしてくれるってことで…」

ウルフルン「俺がやりたいっていう事を、俺が言えば………本当にテメェがやってくれるんだよな……?」

ハッピー「あ、ぅ…? …え……えーと……、……はい……」コクリ

ウルフルン「……じゃあ……」

ウルフルン「早速……やってもらうとすっか……」

ハッピー「……へ?」キョトン

ピース「っっ!!? ちょっ、ちょっと待ってちょっと待って!?」アタフタ

ハッピー「?」

ピース「そ、それって……もしかしなくても、アレ…だよね……?///」カァァァ

ハッピー「…『アレ』?」

ピース「ほ、ほら……こういうのって、本とかでもよく…見たことがあるから……///」モジモジ

ピース「『何でもしてあげる』っていう言葉にも反応してたし、やけに食いつき良いし……そ、それに…その……この状況に加えて、『オオカミ』って言ったら……ね……?///」チョンチョン

マーチ「ッ!!? は!? ちょっ、え!? 何!? そうなの!!?///」ボンッ!

ハッピー「な……何……? …何か、あるの……?」

ピース「ハッピー! 多分それ聞いちゃだよ! だってそれは―――」

ビューティ「そうですよハッピー!! もしかしたらバッドエンド側に有利になる条件を、意味も無く呑まされるかもしれませんよ!?」

マーチ「い、いや…そうじゃなくてね、ビューティ…」

ビューティ「え……? …で、では……この先相手がたとえ悪事を働いていたとしても、程度が軽ければそれを見逃すようにという旨…でしょうか……?」

マーチ「いやそうじゃなくて、えっと…えぇっと……何て言ったら良いか……え~っと………――あぁぁもうっ!!///」ガシガシガシ

ハッピー「そ…そんなに、まずい事なんだ……」チラッ

ウルフルン「………」

ハッピー「………、」エット・・・

ウルフルン「………」

ハッピー「………」エーット・・・

ウルフルン「………」

ウルフルン「………、なんだ」

ウルフルン「結局、何もしてくれねぇって感じか……まぁ最初から期待しちゃいねぇが…」ハァー・・・

ハッピー「―――っ!」

マーチ「ハ、ハッピー! さっきのは発言は無しってことにしよ? ……ねっ?、そうしよ?」

ハッピー「………」

ピース「今ならまだ、『間違いだった』で訂正すれば間に合うと思うから……」ワタワタ

ハッピー「………、」グッ・・・

ピース「だから、ね? ハッピー。 次からはもう、『何でも』だとか、そういうのは簡単には言わない方が良i―――」

ハッピー「………って……」ボソッ

ピース「―――……、えっ?」

ハッピー「オオカミさん言って!! 何をして欲しいのか! それさえ言ってくれたら私、何でもするから!!」

ピース「なっ…!!?」ギョッ

マーチ「ちょっ、ちょっとハッピー!?」

ビューティ「お願いします! どうか今すぐ言い改めて下さい、ハッピー!!」

マーチ「そ、そうだよっ! コイツにどんな酷い事されるか分かってないのに、そんな事言っちゃったら……っ!」

ハッピー「…だ…大丈夫………分かってる、よ……。 …私、十分わかってるから……」

ピース「分かってないっ! 全然ハッピー分かってないよ!!」ブンブン

マーチ「さっき自分でも言ってたじゃんか!? 『自分を犠牲にするような事はしないで』、って!! …なのに、自分からそれを守らないだなんて……っ!」

ハッピー「……だって……」キュッ

マーチ「…えっ?」

ウルフルン「……?」

ハッピー「だって、私……自分の我がまま押し付けて、言うこと聞いてもらったんだもん…。 だったら私も誠意を見せなきゃ……」

ハッピー「…それに、私…こうでもしないと……オオカミさんに本気でそう言ってないって…そう思わちゃってるから……」

ウルフルン「!」

ハッピー「…確かに、何されるか分からないし……怖くてたまらないけど……。 …でも私だって、悪ふざけでこんな事言ってるわけじゃない…!!」ギュッ・・・!

ハッピー「何かあったら力になりたいって…! 本当に心の底から手を差し伸べたいって、そう思ってるんだもん…っ!! 冗談半分でお願いされても全然意味がないよ!!」

ウルフルン「……っ!!」

ハッピー「だからオオカミさんっ!! 私、これから貴方が言う事全部受け止めるから!! どんなに無茶でも、どんなに酷い内容でも、絶対に投げ出したりはしないから!!」

ウルフルン「………、」

ハッピー「…だから……だからオオカミさんも、もっと私を頼って……っ!」

ウルフルン「………」

ハッピー「…私…頑張るから……っ。 貴方がしてほしい事があれば私、全力でそれに応えていくから…っ」

ハッピー「だから、出来ればでいい……。  …少しだけでいいから……オオカミさんの気持ちとか、やりたい事とか………貴方の心の声、聞かせて……?」

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ハッピー「………えっ…と……」アノ・・・

ウルフルン「………」

ハッピー「ごっ、ごめんなさい…。 …私ちょっと、調子に乗り過ぎた……よね…?」

ウルフルン「……分かった」

ハッピー「…え……?」

ウルフルン「そっちの言い分は理解した…。 どこまでもクソ甘ぇ奴だから当てにしてなかったが、そこまで決意が固いなら信用してもいいのかもな……」

ハッピー「えっ…? …そ、それって……」

ウルフルン「……ああ…」コクン

ウルフルン「貴様にやってもらいたい事がある」

ハッピー「!」

ウルフルン「言っておくが、今更拒否とかすんじゃねぇぞ…!! …もう取り消しは効かねぇからな……!!」

ハッピー「う…うん……っ。 ……覚悟は、できてる……!」グッ・・・

ピース「ハ、ハッピー…っ!」

ハッピー「……ごめんね、ピース、…みんな……」

ハッピー「やっぱり私、自分に嘘つけないや…。 …これから私、どうなるのか分かんないし……すごく怖いけど……」

マーチ「………、」

ハッピー「…それでも、ね……『オオカミさんのためなら』、って思うと……それでもまぁ、いいかな~って……」エヘヘ・・・

マーチ「……ハッピー……っ!!」

ピース「……っ」ギュッ・・・

ハッピー「……これは、私が勝手に決めたこと…。 …だから、みんなに迷惑は掛けたくない……っ」

ハッピー「できればキャンディと一緒に、学校まで先に行っててくれないかな……? …私もいつになったら行けるか分からないけど、必ず後であかねちゃんに謝りに行くから……」

ビューティ「………、分かりました」コクリ

ハッピー「うん。 …じゃあまずは、キャンディが今どこにいるのか探しt―――」

ビューティ「私もハッピーのお手伝いをさせていただきます」

ハッピー「っ!!?」

ハッピー「なっ…なん、で……!? だってこれは、私1人で決めた事だって…」

ビューティ「周囲の意見に流されず、自身の意思でそうしようと決断された。 …そういった姿勢は大変素晴らしいことですよ、ハッピー。 1人の人間として、素直に尊敬できます」ニコッ

ハッピー「で、でもでも! これから先、どんな事されるか分かってないんだよ…っ!? もしかしたら痛くて、辛くて苦しいのかもしれないんだよ!?」

ビューティ「――なら一層、貴女を見捨てるわけにはいきません…!」

ハッピー「!!」

ビューティ「……本当に、分かりませんか? ハッピー…」

ハッピー「……え?」

ビューティ「…今貴女が私を心配してくれたように……私も貴女の事が、心配で心配で堪らないのですよ…?」

ハッピー「っ! ……ぁ……」

ビューティ「それに私達……もう2度と、誰か1人に重荷を背負わせるような事は決してしないと……先程そう誓ったではありませんか…」

ハッピー「………、」

ビューティ「…私達は一蓮托生」

ビューティ「どんな時でも、どんな状況でも…どんな事が起きようとも……私達はいつも一緒です。 ……違いますか?」

ハッピー「………」

ビューティ「………」

ハッピー「………」

ビューティ「………」

ハッピー「……、めん…」ボソッ・・・

ハッピー「ごめんね、ビューティ……本当にごめん……私、どうかしてたみたい……」グスッ

ビューティ「……こういう場合、みゆきさんの好きな絵本では謝っていましたか?」

ハッピー「…ううん、違う……。 ………ありがとう……っ」ニコッ・・・

ビューティ「……どんなに痛くても、どんなに苦しくても……私達は一緒ですよ?」ナデナデ

ハッピー「うん……っ、……うん……っ!」グズグズ

ピース「………」

マーチ「………」

ピース「……私、最低だ……。 何変なことばっかり考えてたんだろ…。 ……自分が恥ずかしい……」シュン・・・

マーチ「ああ……。 …あたしも今すぐ、6レス前の自分をぶん殴りたい気分だよ……」

今回はここまでです。 全然区切りが良くないのは目を瞑っていただけたらなぁと思います。

すみませんがただ今現状的に厳しい事になってますので、すぐには更新することができません。 用事が終わればすぐに書いていきますのでよろしくです。

ウルフルン「……で、何だ…」

ビューティ「………」

ウルフルン「なんか貴様も一緒にやるってぇ話になりつつあるみてぇだが………いや、違うな」

ウルフルン「どうせテメェらの事だ。 ……物語でオオカミや魔女とかの行動パターンが先読みできるように、こうなっちまう事はまぁ大体予想できてはいたさ」

ハッピー「………」

ビューティ「………」

ウルフルン「…これもテメェらの言う『仲間のため』ってやつか?」

ウルフルン「それともいつも決まり文句にしている『光輝く未来』とやらのためかねぇ? ……まぁ、どのみち俺にとっては知ったこっちゃねぇがな。 正直知ったこっちゃねぇ」ククク・・・

ビューティ「………」

ウルフルン「……だが、こっちにも事情ってもんがあるんでな。 …そっちの都合だけで話決めちまう前にこれだけはハッキリと言わせてもらう」

ビューティ「………、」

ウルフルン「……今回ばかりは、貴様らの脳内で思い描けるような甘っちょろいもんじゃねぇ」

ウルフルン「ましてや俺でもどう話が転がるか分かっちゃいねぇんだ。 ……いつもどおりの平穏や安易な結末を期待しているのなら、そんなものはさっさと切り捨てちまえ」

ビューティ「………」

ウルフルン「…そんで少しでも、貴様がそれに対してためらいを覚えるっていうのなら……悪いこた言わねぇ。
       それが貴様の人間らしさだっていうことを素直に受け止め、我が身可愛さにここから引き揚げた方が何百倍も良いに決まっt―――」

ビューティ「……前置きは、もう結構です」

ウルフルン「―――、…あ?」

ビューティ「私に関してはもう大丈夫ですよ。 ……既に心の準備は出来ていますから」

ウルフルン「………、」ジッ

ビューティ「………」

ウルフルン「………」ジー・・・

ビューティ「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………ほーぅ…?」ニヤァ・・・

ウルフルン「…まぁいいか。 人数多い方が都合が良いだろうし、よくよく考えなくてもこっちにとっちゃありがたい提案だからなぁ」ウルッフフ

マーチ「……だったら、」ズイッ

ウルフルン「あん?」

ピース「…別にあと2人ぐらい増えても……問題、ないよね……?」スッ

ハッピー「マ、マーチ…!? ピース…!?」ギョッ

マーチ「『なんで』、とか聞くのはもう無しだからね?」ニッ

ピース「その辺りの良い台詞とか、もうほとんど全部ビューティが持っていっちゃったし……せめてカッコぐらいは、つけさせてほしいかな…って」ニコッ

ハッピー「………うん……っ」コクン

ウルフルン「…テメェら正気か? 今まさに自分でとち狂った事喋ってることに何ひとつ気付かねぇのかよ?」

マーチ「あれ、心配してくれてるの? 見た目に関わらず案外優しいトコあるんだねぇ」

ウルフルン「……お前天才だなぁ。 さっきの俺の台詞からそういう発想が出てくるとか、マジで吐き気や苛立ちやらが込み上げてくるわ」

ウルフルン「いいか? 俺はな、俺のやりたい事を真面目にやろうとしてんだ。
       ……敵にこの身を委ねようとしてる時点で馬鹿言ってるとは思うが、それでも俺はふざけず懸命に、やりたい事をやろうとしてんだよ」

マーチ「………」

ウルフルン「…そこに『気持ちのつながり』だの、『仲間意識』だの掲げてばっかで、特にリスクについて何も考えてない短絡思考の奴らが介入してきたとする」

ウルフルン「そんでそういった奴らほど、ふとした拍子で不安や恐怖に溺れやすくなるもんだ。
        『これから自分はどうなるんだろう』っていう疑問から始まり、『なんで自分がこんな目に遭うんだ』、『もう嫌だ』、『苦しい』、『どうにかしなきゃ』、…ってな具合にな」

ピース「………」

ウルフルン「冷静さを失った人間がどう動くかなんて知ったこっちゃないが、少なくとも俺の思い通りにはならないって事ぐらいは分かる。 …だからなるべく排除はしておきたい」

ウルフルン「まぁ要するにアレだ、『そっちの身勝手で俺の邪魔をされてたまるか』って話だ。 ……これぐらいなら、貴様らの脳味噌でも理解はできるだろ?」

マーチ「………」

ピース「………」

ウルフルン「………」

マーチ「………」

ピース「………」

ウルフルン「………」

マーチ「………」

ピース「……言われてるよ? マーチ」チラ

ウルフルン「…、……」

マーチ「あれ、これってあたしに向けて言われてたの? 話聞く限りだとまさにピースのための言葉だと思ってたんだけど」チラッ

ウルフルン「………」

ピース「それは多分ないんじゃないかな? もしそうだとしたら、まるで私が何も考えてないおバカさんみたいになっちゃうじゃん」フフ

マーチ「うんうん、それでこそやよいちゃんだなぁって思うよ。 ずーっと一緒にいるんだから、全部までとはいかなくても人となりとかは十分理解しているつもりだからね」フフッ

ウルフルン「………」

ピース「わぁっ、ありがとうマーチ! 私も同じようになおちゃんやみんなの事、もっともーっと知りたいなぁって思ってるんだ~」ニコッ

マーチ「そうなんだ? あたし結構前からみんなに自分の事知ってもらおうって努力してきたつもりだったんだけど、ピースが忘れて覚えてないんだったら何でも聞いてね?」ニッコリ

ピース「もちろんぜーんぶ覚えてるよ? でもなおちゃんってば、一緒にいると毎回新しい一面が見つかっちゃうんだもん。 ほんとバラエティに富み過ぎだよ」ニコー

ビューティ「……?」

マーチ「人っていうのは色んな面があって当たり前だと思うけどなぁ? もしそうじゃないって言うなら、『やよいちゃんといえば泣き虫』としか見られなくなっちゃうようなものだよ」ニコニコ

ピース「マーチにとってはその方が良かったのかもしれないね? プリキュアになる前までは凛々しいイメージしかなかったのに、今だとその面影がまるで感じられないもん」ニコニコ

ハッピー「……、………?」

マーチ「ごめんね、ピース? でもあたしも随分やよいちゃんへの印象が変わっちゃってるからおあいこだよ」ニッコリ

マーチ「例えばほら、数学が苦手な人なんて他にも沢山いるんだから気にしなくても……ってあれ? そういえばあの時の問題って確か『さんすう』、だったかな?」ニコー

ピース「もー、マーチってば意外と忘れんぼさんだったりするよねぇ」ニコー

ピース「だから昔の人の名前とかすぐに言えないのかも……あっ、もしかしてマーチって、お父さんやお母さんの名前もあんまり憶えてないとか?」ニコニコ

ハッピー「………ぇ……っと……?」アレ・・・?

マーチ「まっ…まっさかぁ、そこまでじゃないよ~。 やよいちゃんほど苦手があるわけでもないんだしー」キャイキャイ

ハッピー「……? ……??、…??」オロオロ

ピース「それに私ね、『苦手』っていう言葉はまさになおちゃんのためにあるようなものだと思ってるんだ~」キャピキャピ

ピース「例えば虫とかそうだったよね?
     …確か修学旅行の時にちょうちょデコルで飛んでたそうだけど、どうだった? 大嫌いなちょうちょさんの羽が自分の背中から生えてくるだなんて」ニコニコ

ビューティ「……?、…?」オロオロ

マーチ「も…もー、イジワルだなぁピースってば。 本当はやよいちゃんだって怖がりなくせにぃ~(人付き合いとか)」チクチク

ピース「マ…マーチだって、私以上に怖がりなくせにぃ~(お化けとか)」トゲトゲ

マーチ「怖がりなくせにぃ~(周囲のプレッシャーとか)♪」イガイガ

ピース「怖がりなくせにぃ~(高い場所とか)☆」ウニウニ

ウルフルン「………」

ハッピー「……ぇ゛ぅぅ……」オロオロ

ウルフルン「………」

ビューティ「……、…」チラ

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「……じゃあ、早速青いのとピンクの2人にやってもらいたい事があるんだが…」

マーチ ピース「「っ!!?」」

マーチ「ちょっ、ちょっと待ってよ!」タタッ

ウルフルン「あん?」

ピース「とっ、止めたりとかはしてくれないの!? …そ、それに……私達の意見とかって、その……聞いてくれなかったり…?」モジ

ウルフルン「知るかよボケ、そっちが2人で勝手に発展してたんだろうがカス。 こっちが聞いてた内容普通にシカトしてきやがって」ギロリ

ピース「あぅぅ……。 …だ、だって、さっきの言葉聞いてると…まるで私達が何も考えずに動いてるように聞こえちゃって……ちょっぴり心外だなぁと……思いまして…」モジモジ

ピース「それに、さっきとかものすごく丁寧に説明してくれてたし……少しぐらい反発しても、すぐに止めてくれるかなぁ~って……僅かながらに期待してたと言いますか……」ツンツン

マーチ「…軽いノリで、じゃれ合ってたつもりだったんだけど……なんか途中で止めるに止められない雰囲気になってたと言いますか…」

マーチ「誰も何も言わず、ただこっち見てるだけだし……そ、それにピースの言葉とか…妙に生々しくて真に迫ってたし……正直、心が抉れっぱなしでした……」グスン

ハッピー「ご、ごめんね……? 何とかして止めようとはしてたんだけど、私の知ってる絵本にさっきみたいなお話を止める方法が思い当たらなくて……」

ビューティ「私もどうも苦手でして……、その……
       生徒会に入っていると、周囲の方々から先程のようになじられる機会はよくあるのですが……やはりこういうのは慣れませんね……」

ウルフルン「自業自得なエピソードなんざ絵本の中だけで事足りてんだ。 むしろ俺達にとっては生温いレベルだってぇの」フンッ

ウルフルン「まぁでも、俺が言いたいのはそういう事だよ。
       さっきみたいに自分の感情を優先して物事を進めようとしてっから、今みたいに俺の邪魔へと繋がっちまう」

ウルフルン「軽い雑談でもこれだ。 ……それが人間だっていう事は前々から分かってはいたが、そんな信用もできない奴らにほいほい頼み込めるほど今の俺に余裕はないんでな」

ピース「………えっと……」

ウルフルン「だからそれに構う暇なんてないし、あったとしてもそんなのに構ってたまるかってな訳で、
       そんでもってすずめの涙ほどでもいいから不安だと思える部分はできるだけ取り除きたいっていう訳だ」

ウルフルン「まぁそういう事なんで俺は俺のやりたいことをやるから、そっちもそっちで自由に争い潰し合ってくれ。 以上」フイッ

マーチ「まっ…、待って! お願いだから待って!!」ユサユサ

ピース「さっき変な意地を張ってた件については謝るから! 一生懸命謝るから!! だから私達にも何かできることがあったら――」ユサユサ

ウルフルン「今すぐ帰ってくれ」

ピース「いやそういうことじゃなくてね!? こっちも誠意を見せるっていう話!!」

ウルフルン「……アホが、口先だけなら簡単に騙せるとでも思ったかクソガキ」ギロッ

ウルフルン「でも残念だったなぁ? すでに同じ手口で赤ずきんや子ヤギを食ったことがあるこの俺に、そんな上っ面だけの言葉が通用するとでも―――」

マーチ「――上っ面なんかじゃないっ!!」

ウルフルン「っ!」

ピース「たっ…確かに、怖いって思ってるよ……?
     何をされるかなんて、全然分からないし……すっごく、すっごく怖いって思ってるけど…っ!」フルフル

ウルフルン「………、」

マーチ「……それでも…、もう嫌なんだよ……っ!」グッ・・・!

マーチ「友達が目の前で傷付けられそうになるのが……!
     そしてそれ以上に、その光景を見ても一向に手を差し伸べられない自分が……っ!!」

ウルフルン「……!」

マーチ「…そして……それと同じような事を、今まさに繰り返しそうになっている自分がイヤだ……っ! ………絶対に、嫌なんだ……っ!!」

ウルフルン「………」

ピース「…たとえどんなに辛くても……私はハッピーと…みんなと手を取り合って、一緒に同じ道を歩いていきたい…」

マーチ「たとえリスクを負ったしても、どれだけ酷い目に遭うんだとしても……あたしはあたしの信じる道を選んで、選んで、最後まで自分自身を貫き通して…」

ウルフルン「………」

マーチ「……それで全てが終わったら、笑顔で言ってやるんだ。
     『みんなと一緒にいられて良かった』、って…『こういう選択をしてきて、本当に良かった』、…ってさ」ニコッ

ウルフルン「………、」

ピース「…だから……もう、分かってくれるよね……? 私達が考えていること……」

ウルフルン「………」

ピース「………」

マーチ「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「……ああ、はっきりと思い知らされたぜ」ハァー・・・

ウルフルン「やっぱ貴様らも正気じゃなかったってことがな。 ……今のでよーく分かった」

ハッピー「ありがとう、ピース…マーチ……みんな、ありがとね………こんな私のために……っ」ジワァ・・・

ウルフルン「………」

マーチ「もうっ…、またそれ? 一体何回そうやって謝るつもりなんだろうねぇ、あたし達のリーダー様は?」

ハッピー「……だってぇ゛……っ」グスッ

ウルフルン「………」

ピース「さっきも言ってたけど、私達は自分でこうしたいって思ってるからやっているだけ。 ……だからハッピーが気にすることなんて、1つもないんだよ?」

ビューティ「…貴女はリーダーらしく、もっと胸を張るべきです」

ビューティ「そして貴女はもっと笑顔でいるべきです。 ……私達は皆、笑顔が一番似合う貴女には絶えず笑っていてほしいと……そう思っているのですから…」

ハッピー「…うん…」グシッ

ウルフルン「………」

ピース「あっ、じゃあさ、今度私達の誰かが同じ目に遭ってたら同じように助けてよ? ……それでいいでしょ? ねっ?」

ハッピー「……分かっ、…た……っ」コクン

ハッピー「私…絶対みんなのこと助ける……っ。 …もうこの先誰も、泣かせるような事はしない……っ」グスグス

マーチ「…って、言ってるそばから本人が泣いちゃってどうすんのさ……まったく」フゥ

ビューティ「……ふふっ…」クスクス

ピース「あはははっ……」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………」

ウルフルン「………そこまで、して…」

ハッピー「…?」グスッ

ウルフルン「……そこまでして、仲間が大事だって言うのか」

ウルフルン「正直分からねぇ。 …全然分からねぇよ、テメェらの考えてること全てが…」

ウルフルン「自分さえ無事なら、他の奴らなんざどうでもいいに決まってる。 …なのに自分から犠牲になろうとする奴に肩入れするだなんて、正気の沙汰じゃねぇだろうに……」

ピース「……そう、なのかな……?」

ウルフルン「…あ?」

ピース「確かに私自身、何をやってるんだろうって思う時があるかもだけど……そこまで難しい事じゃないとは思うんだけどな~……?」ポリポリ

ウルフルン「……?」

マーチ「…まぁでも、アンタの言い分は分からないでもないよ」

マーチ「自分が大事だって思うのは当然の事だし、それで自分だけ助かろうとしてもそれは責められる事じゃないしさ」

ウルフルン「………」

ビューティ「……ですがそれ以上に、」

ウルフルン「!」

ビューティ「それ以上に、私達は嬉しいんですよ。 …こうして自分自身の意志で、仲間に手を差し伸べてられていることに」

ビューティ「とても小さな、ただの自己満足に過ぎないかもしれませんが……、
       こうして仲間に手を……私達の大切な友達に、手を差し伸べられて嬉しいと……今はただ、そう思っているんです……」

ウルフルン「……ふーん……」

ハッピー「?」

ウルフルン「…『友達』……『友達』…、ねぇ…。 ……俺にはないからなぁ、そういうの……」ブツブツ

ハッピー「……?」

ウルフルン「……まぁ、この際どうだっていいやそんな事」ヘッ

ウルフルン「どのみち貴様らには……グヘっ、ヒヒヒっ………このウルフルン様の、欲望の捌け口となってもらうんだからなァ……ッ!!」ジュルリ

4人「「「「――…っ!!?」」」」ゾクゥッ!

 
ウルフルン「…じゃあ……言うぞ……」


ピース「……っ、……っ」ブルブル

ハッピー「……っ、」キュッ・・・

ハッピー(…待っててね……あかねちゃん……っ!)


ウルフルン「……今から貴様らには……この俺の野望のために……」


マーチ「……、…っ」ギュッ・・・!

ハッピー(……私達、これから先どんな目に遭うのかなんて分からないけど……)

ハッピー(痛いとか、辛いとか…ううん……きっと、私の想像もつかないような恐ろしい出来事が待ってるんだって思うけど…。 ……後で必ず、会いに行くから……!)


ウルフルン「……順を追って、やってもらいたい事があるんだが……」


ビューティ「………っ」グッ・・・!

ハッピー(…ただ…ちょっぴり、用事が出来ちゃって……それを済ませるのに、ほんの少しだけ時間が掛かるってだけで……これさえ終われば、すぐに謝りに行けると思うから……っ)ブルブル


ウルフルン「………まず始めに………」


ハッピー(……絶対に、貴女に会いに行くから……っ!!)

 
ウルフルン「……―――っ、」スゥー・・・ッ


ハッピー「―――……っっ」ギュゥ・・・ッ!





























ウルフルン「……縄、持って来い」









ハッピー「………」


ハッピー「………、は?」ポカン

ウルフルン「んだよ聞こえてなかったのか? 縄だよ、縄」

ハッピー「は? …え? ………えっ?」

ウルフルン「やっぱ聞いてなかったんじゃねぇかテメェ。 縄持って来いっつってんだ、縄。 ロープ」

ハッピー「え…? …えー…っと……あの……、………はい?」

マーチ「……ロープ?」

ウルフルン「ああそうだ、ロープだ」コクコク

ビューティ「……Rope?」

ウルフルン「Yes , That's rope . または綱とも言うらしい」

ハッピー「……な……何に、使うの……?」

ウルフルン「馬鹿かお前は? あんなもん使い道は1つしかねぇじゃねぇか」

ハッピー「…? ……えー…と…?」

ピース「……そっ、か……」ボソッ

ハッピー「?」

ピース「や…やっぱり、抵抗とかされたくないもんね……。
     だからまず、私達を縛って……何があっても、身動き取れないようにして……」フルフル

ハッピー「……そっか…そうだよね……それなら納得…」

ウルフルン「いやいや違う違う」

ハッピー「…え?」

ウルフルン「てか何でお前ら縛るためにロープ使う感じになっちゃってるわけ?」

ハッピー「えっ……だ、だって……縄を使っていくだなんて、それ以外に理由なんて…」

ウルフルン「んなもん俺を縛るために決まってんだろ」

ハッピー「はぁっ!!?」

ハッピー「なっ…何で!? 私達の自由を奪うとかじゃないの!? ていうか何しようとしてるの!!?」

ウルフルン「さっきも言ったじゃねぇかよ。 これは俺の野望のためだ、他意はねぇ」

ハッピー「や…『野望』、って…」

ウルフルン「縄の材料はわらや植物の茎で出来たものが理想だな。 新品とかじゃなくて、妙に使い古してて泥とか汗とかでまみれちまってるやつ」

ウルフルン「魔女裁判でよくそういうのが使われてたってマジョリーナも言ってたし……うん、それがいいな。 それにしよう」ウン

ハッピー「……本当に……何を、考えて…―――っ!」チョンチョン

ピース「(…ど……どうしよっか、ハッピー……? …なんだか、雰囲気的におかしくなっちゃってるけど…)」ヒソヒソ

ハッピー(………)

ハッピー「(……そんなの、決まってる…!)」キッ

ウルフルン「さあ、そうと決まればさっさと取りかかってくれ。 さっきみたいなやつじゃなくてもワガママ言わんから、とにかく縄だ縄」

ハッピー「い…っ、……いや…っ!」

ウルフルン「………」

ウルフルン「……何か言ったか、お前?」ギロッ

ハッピー「わっ……私…、やだ…っ! そんなのやりたくない!!」

ウルフルン「……あ゛?」

ハッピー「だ、だって…私……貴方にごめんなさいって…ありがとうって気持ちを伝えていきたい一心で、ここに立っているのに…」

ウルフルン「………」

ハッピー「……私達に腹いせとして、暴力を振るって鬱憤を晴らそうっていうのなら理解できる」

ハッピー「さっきピースとかが言ってた内容だって……実はあまりよく分かっていないんだけど……
      でも話を聞いていると、オオカミさんが喜びそうな感じなんだなぁって思えたから……だから私も喜んで受け入れられる……と、思う…」

ウルフルン「………」

ハッピー「…だけど、今オオカミさんがやろうとしている事は…何だかとても嫌な予感がするっていうか……どう考えても、貴方が嫌な目に遭う未来しか見えてこないっていうか……」

ウルフルン「………、」

ハッピー「…今、貴方が何を考えてるのかなんて全然分からないけど……全然、分かってあげられないって思うけど………それでも私、嫌だよ……っ」ギュゥッ・・・

ハッピー「せっかく…お互いのこと、少しでも分かり合えるかもって……っ。
      …もしかしたら私達、お友達になれるのかもって……そう思ってて……っ」

ウルフルン「……っ!」

ハッピー「だから私、嫌なの…っ!
      貴方を傷付けてしまうようなことをやるのも……貴方を責めるようなことをするのも、全部……、……全部……っ!!」

ウルフルン「………、」

ハッピー「……だって…オオカミさんが辛い気持ちになっていると………私も辛いんだって……そう思うから……」

ウルフルン「………」

ハッピー「……っ」

ウルフルン「………」

ハッピー「………、」

ウルフルン「………」

ハッピー「……ご、め…んね……。 …本当に、勝手だよね……私……」

ウルフルン「………キュ、ア…」ボソッ

ハッピー「っ!!」

ウルフルン「…キュア、ハッピー…」

ハッピー「な…っ、何!? オオカミさん!」バッ




ウルフルン「―――お前何自分で言い出したこと投げ出そうとしてるわけ?」


ハッピー「…へっ……!?」ピシッ

ウルフルン「お前さっき言ってたよなぁ?
       『俺の言う事全部受け止める』とか、『絶対に投げ出したりしない』とか、はっきりとそういう感じのことを俺に言ってくれたんだよなぁ?」

ハッピー「え…? あ……、…あー………た、確かに…そう言ってた……かなー…?」ドギマギ

ウルフルン「お前のその言葉聞いてて俺めちゃくちゃ心打たれてたんだわ。
       それが同情によるモンだって分かってても、何のためらいもなくこの俺に手を差し伸べてくれるとか正直敵ながらあっぱれって思えたね」

ウルフルン「それが何? 箱開けて中身確認した途端に後悔して、『やっぱり無かったことにしたぁ~い』とか言い出すわけだ? 手のひらひっくり返すってレベルじゃねぇだろそれ」

ハッピー「そ、そんなこと――…っ! ……は、ある…のかも……。 …実際、そう言っちゃってますし…」ゴニョゴニョ

ウルフルン「でも残念だったなぁ? もし仮にお前がこういった嘘を平気でつくいかさま野郎だったとしても、今回ばかりは通用させやしねぇよ。
       オオカミをも騙すオオカミ少年の誕生とか、そんな恐ろしい存在は何があっても認めるわけにゃいかねぇしな」

ハッピー「う、s…っ!? そんな…っ、私、嘘なんかついてないよ! それは本当だよ!! だって私は―――」

ウルフルン「……まず第一に、縄がそう簡単に千切れないことを大前提とする」

ハッピー「――って、……へ…?」ポカン

ウルフルン「体全体で使っていくつもりだから、長さに関しては長ければ長いほうが良い。 だからありったけ長いの持って来い。
       太さについても同じ感覚で選んでいくように」

ハッピー「え……? …えっ?」

ウルフルン「だが硬すぎて曲がらないやつとかは駄目だ。 俺の体にフィットしなきゃ意味ねぇんだし、そこらへんは強さとしなやかさとのバランスをよーく考えてから行動に移せ」

ハッピー「そ、その…えっと、あの……ちょ、ちょっと待って…」


ピース「……、」ポカン


ウルフルン「あとこんな場所じゃあ臨場感の欠片もない訳だし、そっちが縄持って来て俺を縛る前にちょっくら移動でもすっかねぇ」

ハッピー「しっ、ば…っ!? …ね、ねぇっ! 『縛る』とかものすごい言葉使ってることに違和感とか感じないの!? それに、『臨場感』って一体……!?」

ウルフルン「場所はテレビの物語でよく見られる海に面した崖辺りを参考にして、先に待機しておくことにする。 あそこら辺なら雰囲気的にも多分ぴったりだろ」ウン

ハッピー「あっ…危ないよ!! 崖ってすっごく危険な場所だから近づいちゃ駄目だよって、みんなもよく言ってるし――っていうか、『雰囲気』って何!?」


マーチ「…ぇー……、…と…?」ソノ・・・


ハッピー「ま、待って! とりあえずオオカミさん待って!!
      せめて説明だけ! どうしてこんな事をするのか、説明さえしてくれれば十分だから―――」

ウルフルン「場所とか別に教えなくても問題ないんだろ? 今日の朝俺の先回りをしていたあたり、何か特別な移動手段があると踏んでるんだが」

ハッピー「ねぇちょっと聞いてる!? もしかして私の声聞こえてないの!? いや絶対に聞こえてるでしょ!!?
      確かオオカミの耳ってものすごく良かったはずだよねぇ!?」


ビューティ「……、…?」
 

ウルフルン「さぁ、ひとまず伝えるべき内容は伝えたから早速取り掛かってくれ。 要件が終わり次第また別の事をやってもらうつもりでいるからな」

ハッピー「えっ…!? ちょっ、ちょっと待って!? ねぇ、待ってよ!?」

ウルフルン「とにかくこれ以上の無駄は省くぞ。
       …ただでさえあの戦闘のせいで時間が潰れてんだ。 だから貴様らには、この俺の手足として十分に役立ってもらう」

ハッピー「で、でもっ……! やっぱり、貴方からお話聞かないと自分でも納得できないっていうか―――!」

ウルフルン「『無理』とか言うなよ? 弱音とか吐くんじゃねぇぞ? 絶対に途中から逃げ出すんじゃねぇぞ? これらはぜーんぶ、自分の口から出た言葉だからなぁ?」

ハッピー「――あ、う…ぅぅぅ……っ」シュン・・・

ウルフルン「………」

ハッピー「………、」

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「……まぁ、なんだ…。 …いつでもどこでも、結局最後まで信じられるのは自分自身なんだ。
       ……だから自分で言い出した内容ぐらいは、しっかり信じて動きながら形にすることで守っていくようにしとけ」

ウルフルン「…じゃねぇと……貴様らの言う、『戦士』やら……『仲間』とやらを語る、以前の問題になっちまうからな…」

ハッピー「…えっ……?」

ウルフルン「……、」フイッ

ハッピー「………」

ハッピー「……オオカミ、さん……?」

ウルフルン「……だから、さ……早くしろ…。 ……早くやれ」ヘッ

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ハッピー「………」

ウルフルン「………」

ハッピー「………、……ありがとう…」ニコッ・・・

ウルフルン「………、」



ハッピー「やっぱり私、理由とかあまりよく分かってない暴力を振るうのって許されるべきじゃないっていうか―――っ!!」

ウルフルン「早よぉぉぉおぉおおおぉおおおおぉおぉおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお持って来いやぁああぁあああああああああああああああああああああ
       ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」グァッ!

ハッピー「はっ!!? はぃいいぃぃいいいいいいぃいいいいぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」ダッ!

 
 
~しばらくして ・ 海に面する崖~




ウルフルン「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!! まだだっ、まだまだぁッ!! まだこんなもんで済むと思ってんじゃねぇぞクソガキィ!!」

ハッピー「うっ……ううぅぅ…っ」グイグイ

ウルフルン「ギャハヒャハハハッ、何だテメェッ! 辛そうに呻きやがって!! まさかこの程度で音を上げてんじゃあねぇだろうなぁ!?、オイッ!!?」

ピース「…も、もう…ダメだよ……っ。 …これ以上は、もう…っ」グイグイ

ウルフルン「ウルッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャア!! すっげヤッベェ、たっまんねぇこれぇ! こいつは癖になっちまいそうだぜぇえ!!」ゲラゲラ

ウルフルン「心の奥底から込み上げてくる快楽ッ! 体中を駆け巡ってくる電流ッ!! そして他の何ものにも代えがたい高揚感!!」ゾクゾクゾクゥッ

ウルフルン「どいつもこいつもテメェら無しじゃあ得られなかった感覚だからなぁ!? だから今までの鬱憤も兼ねて楽しんどかねぇと損ってもんだよなぁあ!!?」ゲラゲラ



マーチ「……あのさ、ビューティ」

ビューティ「はい?」クルッ

 
 

ウルフルン「俺は満足してるか? いやまだ足んねぇよなぁ!? こんなもんで心満たされるわけねぇぇよなぁあ!!?」

ピース「……っぐ、うぅ…」クタッ

ハッピー「ピース!」バッ

ウルフルン「おら動け黄色ぉッ!! テメェらにはこの俺の人形として、もっともっと動いてもらわねぇと困るんだよぉ!!」ゲラゲラ

ハッピー「や…止めて……っ。 …お願いだから、もう許して……」フルフル

ウルフルン「んなもん知るかよ!! 知ったこっちゃねぇよ知る価値もねぇだろそんなの!!?」

ウルフルン「要は俺様が楽しけりゃそれでいいんだっつの!! テメェら人間共の感性なんかどうだっていいんだよ!!!」

ハッピー「…そんな……っ!?」



マーチ「……あそこにいるみんなって、端から見たら何してるように見える?」

ビューティ「? …何、って……」ジッ・・・






ウルフルン「さぁさっさと手を動かせッ! そして俺を縛り上げろォ!! まだ半分もロープ消費しちゃいねぇんだからよぉ!!」

ハッピー「ひっぐ、…ぇぐ、っ……もう、嫌だ…っ。 ……もうやだよぉ……っ」グズグズ グイグイグイー

ウルフルン「うぅうぅぅぉぉおぉおおぉおぉぉおおおぉおおおおおお来てるッ!! 来てるぞォぉぉおお!!!
       この圧迫感がッ! そして更に込み上げてくる熱情が!! この俺が高みにきたことを確たるものにしてくれているッッ!!!」




ビューティ「……どう見ても、お二方が悲愴感漂わせながら縄で束縛しているのを横目に、縛り付けられている本人が気持ちを昂らせているようにしか見えませんが…」

マーチ「だよねー……」

マーチ「いや、その……何? 頭では分かってるつもりなんだけどさ…」

ビューティ「はい」カキカキ



ウルフルン「さぁ立て!! もっとだ、もっと俺を楽しませろ!!」

ハッピー「うっ…ぐす……なんでぇ……? なんで私、こんなことしてるの……?」グスグス

ウルフルン「少しでも気ぃ抜いてたら、どうなるか分かってんだろうなぁ!? ア゛ァ゛!!?」

ハッピー「分かんないよぉ……分かんない……。 …いやもうほんと、何もかも全部分かってないんですけど……」グイグイ



マーチ「こうして声だけ聴くと、どうしても勘違いしちゃいそうになるっていうか……ね?」

ビューティ「はい、そうですね。 …あっそこ、マーチ押さえてて下さい」カリカリ

マーチ「あ、うん」

ウルフルン「なんでゆるーく巻いちゃってんだよ!! コマかよッ!!! そういうのはアカオーニの専門だろうが!?」

ピース「だ、だって…」グイー

ウルフルン「絞めるときはこう!! 勢いをつけて、限界まで引っ張るようにしてこう!!」ギュルン! ギュルン!

ピース「わわっ!? ちょ、待っ…! 指っ、指の先が絡まって痛い!? 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」メキメキメキメキィ!



マーチ「ところでさ……それ、何?」

ビューティ「設計図ですよ。 口頭で作れと言われただけなので目に見える形にしようかと」フゥ

マーチ「へぇー……聞いただけじゃアレだったけど、こんな感じかー…。 ……でもやっぱりコレ、変な形だなー…」

ビューティ「………」ウーム

マーチ「こんなの作って、何をするつもりなんだろうね? これじゃあ何かをぶら下げるしかできないと思うんだけど…」

ビューティ「……ちょっといいかしら?」

マーチ「ん?」



ウルフルン「終わったか!? 終わったのか!! 馬鹿め、88点だ! この馬鹿がッ!!」ゴロゴロ

ハッピー(あれ? 意外と良い点数……)ゼー ゼー



ビューティ「この設計図通りに作ろうと思うのだけれど、しっかりとした造りってできる?」

マーチ「え……うん。 そりゃ作るんだから、せめてすぐ壊れない程度には頑張ろうかと…」

ビューティ「……何だか嫌な予感がします。 もっと頑丈にしましょう」

マーチ「え?」



ウルフルン「さぁ次は木材だ! とっとと木材を持って来い!!」

ハッピー「えぇっ!? まだ何かあるの!?」

ウルフルン「はぁあ!!? バッカお前、当ったり前だろうが!! なんで俺がこうしてぐるぐる巻きになってると思ってんだよ!?」ゴロゴロ

ハッピー「いや知らないよ!!?」



ビューティ「でき得る限り強堅に、どれだけ沢山の付加をかけても壊れることのないよう補強に補強を重ねます」カリカリ

マーチ「で、でもあたし……お父ちゃんの仕事の見よう見まねだし、できるかどうか……」

ビューティ「できますよ。 …なおと私なら、きっと」

マーチ「! ……うん、分かった! やるからには全力でやってやる!! 直球勝負だ!!」



ハッピー「わ、分かった! 分かったから!! 持ってくるよ木材! だからちょっと待ってて!!」ダッ!

ウルフルン「あ、できればヒノキの木でお願いします。 匂い的に結構好みなんで」

ハッピー「よく分からないけど分かったー!!」タタタタ・・・

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